【文献】
WANG,Cui-Hua.,et al.,Liner C2-symmetric polycyclic benzodithiophene: efficient, highly diversified approaches and the optical properties,Tetrahedron Letters,2005年,Vol.46,pp. 8153-8157
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1〜12のいずれか一項に記載の1種又は複数種のポリマーと、半導体特性、電荷輸送特性、正孔/電子輸送特性、正孔/電子ブロッキング特性、導電特性、光導電特性もしくは発光特性を有する1種又は複数種の化合物又はポリマーとを含む混合物又はポリマーブレンド。
請求項1〜12のいずれか一項に記載の1種又は複数種のポリマーと、1種又は複数種のn型有機半導体化合物とを含むことを特徴とする、請求項13に記載の混合物又はポリマーブレンド。
光学、電気光学、電子、エレクトロルミネッセンスもしくはフォトルミネッセンス素子、又は、このような素子の構成要素、又は、このような素子もしくは構成要素を備えるアセンブリにおける、電荷輸送、半導体、導電、光導電又は発光材料としての請求項1〜17のいずれか一項に記載のポリマー、混合物、ポリマーブレンド又は配合物の使用。
請求項1〜19のいずれか一項に記載の電荷輸送、半導体、導電、光導電もしくは発光材料、又は、ポリマー、混合物、ポリマーブレンドもしくは配合物を含む、光学、電気光学、電子、エレクトロルミネッセンスもしくはフォトルミネッセンス素子。
請求項1〜19のいずれか一項に記載の電荷輸送、半導体、導電、光導電もしくは発光材料、又は、ポリマー、混合物、ポリマーブレンドもしくは配合物を含む、光学、電気光学、電子、エレクトロルミネッセンスもしくはフォトルミネッセンス素子の構成要素。
請求項1〜19のいずれか一項に記載の電荷輸送、半導体、導電、光導電もしくは発光材料、又は、ポリマー、混合物、ポリマーブレンドもしくは配合物を含む、光学、電気光学、電子、エレクトロルミネッセンスもしくはフォトルミネッセンス素子を含むアセンブリ。
請求項20に記載の素子であって、前記素子は、有機電界効果トランジスタ(OFET)、薄膜トランジスタ(TFT)、有機発光ダイオード(OLED)、有機発光トランジスタ(OLET)、有機薄膜太陽電池デバイス(OPV)、有機系太陽電池、レーザダイオード、ショットキーダイオード、光導電体及び受光素子から選択される、素子。
請求項21に記載の構成要素であって、前記素子は、有機電界効果トランジスタ(OFET)、薄膜トランジスタ(TFT)、有機発光ダイオード(OLED)、有機発光トランジスタ(OLET)、有機薄膜太陽電池デバイス(OPV)、有機系太陽電池、レーザダイオード、ショットキーダイオード、光導電体及び受光素子から選択され、前記構成要素は、電荷注入層、電荷輸送層、中間層、平坦化層、帯電防止フィルム、ポリマー電解質膜(PEM)、伝導性基板、導電パターンから選択される、構成要素。
請求項22に記載のアセンブリであって、前記素子は、有機電界効果トランジスタ(OFET)、薄膜トランジスタ(TFT)、有機発光ダイオード(OLED)、有機発光トランジスタ(OLET)、有機薄膜太陽電池デバイス(OPV)、有機系太陽電池、レーザダイオード、ショットキーダイオード、光導電体及び受光素子から選択され、前記アセンブリは、集積回路(IC)、無線識別(RFID)タグもしくはセキュリティマーキング又はこれらを含有するセキュリティデバイス、フラットパネルディスプレイ又はそのバックライト、電子写真デバイス、電子写真記録デバイス、有機メモリデバイス、センサデバイス、バイオセンサ及びバイオチップから選択される、アセンブリ。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明のポリマーは、合成が容易であると共に有利な特性を示す。本発明のポリマーは、素子製作プロセスに係る良好な塗布加工性、有機溶剤中への高い溶解度を示し、また、溶液塗布加工法を用いた大規模製造に特に好適である。同時に、本発明のモノマー及び電子供与性モノマー由来のこれらのコポリマーは、低いバンドギャップ、高い電荷キャリア易動性、高いBHJ太陽電池における外部量子効率、例えばフラーレンを伴うp/n型ブレンドにおいて用いられる場合における良好なモルフォロジー、高い酸化安定性、及び、電子素子における長い耐用年数を示し、ならびに、特に電力変換効率の高いOPV素子といった有機電子OE素子用の有望な材料である。
【0030】
式Iの単位は、n型及びp型半導体化合物の両方、特に供与体及び受容体単位の両方を含有するコポリマーといったポリマー又はコポリマーにおける(電子)供与性単位として特に好適であり、BHJ太陽電池デバイスにおける使用に好適なp型及びn型半導体のブレンドの調製に特に好適である。
【0031】
式Iの繰返し単位は、新規な高性能OSC材料の開発において数多くの有益性をもたらす縮合芳香族環の拡張された系を含有する。第1に、コア構造の長軸に沿う多数の縮合芳香族環により全体的な平面性が高まると共に、共役分子主鎖における可能性のあるねじれの数が低くなる。π−π構造又はモノマーの延長により、ポリマー主鎖に沿った電荷輸送を促進させる共役の程度が高まる。第2に、縮合したチオフェン環の存在によって分子主鎖中のスルフル原子の割合が高いため、分子間のわずかな接触がより促進され、これにより、分子間における電荷ホッピングが有利となる。第3に、縮合環が多数あることにより、OSCポリマー主鎖におけるはしご型構造の割合が高くなる。これによって、より広範囲でより強力な吸収帯が形成され、結果的に、従来技術における材料と比して太陽光の取り入れが向上する。
【0032】
他の有益性も存在するが、追加として、縮合する芳香族環は、縁部での置換と比して、HOMO及びLUMOエネルギー準位、及び、標的モノマー構造のバンドギャップをより効率的に変性することが可能である。
【0033】
加えて、本発明のポリマーは以下の有利な特性を示す。
i)式Iの単位は共平面構造を示すことが予期される。固体状態で高度な共平面構造を採用することは電荷輸送に有益である。
ii)富電子チオフェン単位をベンゾジチオフェン系多環に導入することで、インデノフルオレンポリマーと比した場合にポリマーのHOMO準位が高められることとなる。これにより、トランジスタ素子において有機半導体として適用される場合におけるポリマーへの電荷注入が向上することが予期される。また、ホモポリマーに係るHOMO準位は、P3HT及び他のポリチオフェン材料よりも本質的に低く、従って、ポリマーは向上した酸化安定性を有することとなる。
iii)ベンゾジチオフェン系多環式構造は、4個のアルキル基又は2個のアルキリデン基によって可溶化されることが可能である。ジアルキリデン置換ベンゾジチオフェン系多環式ポリマーにおいては、アルキリデン基中のsp
2炭素原子によって、アルキル鎖がポリマー主鎖と同一面内となる立体配置が可能となる。この立体配置によって、隣接するポリマー鎖上のπ−π系間における鎖間の距離が短くなり、それ故、鎖間のπ−πの重なりの程度が向上する。
iv)共役ポリマーの光電子特性は様々であり、これは、各繰返し単位中の固有の電子密
度と、ポリマー主鎖に沿った繰返し単位間の共役の程度とに顕著に基づいている。ベンゾジチオフェン系多環式構造の長軸に沿って追加の芳香族環を縮合させることで、得られるモノマーにおける共役、従って、ポリマーに沿った共役の拡張が可能であり、繰返し単位の間における可能性のある「ねじれ」の影響を最低限とすることが可能である。
v)ベンゾジチオフェン系多環又は適切なコモノマーとの共重合の追加の詳細な最適化及びさらなる変更によって、有機電子用途のための候補材料が得られるはずである。
【0034】
式Iの単位、その官能性誘導体、化合物、ホモポリマー及びコポリマーの合成は、本明細書においてさらに例示するとおり、当業者に公知である方法、及び、文献中に記載されている方法に基づいて達成可能である。
【0035】
本明細書において用いられるところ、「ポリマー」という用語は、高相対分子量の分子であって、その構造が、低相対分子量の分子から実際に又は概念的に誘導される単位の複数の繰り返しを実質的に含むものを意味すると理解されるであろう(ピュアアンドアプライドケミストリー(Pure Appl.Chem.)、1996年、第68巻、p.2291)。「オリゴマー」という用語は、中相対分子量の分子であって、その構造が、より低相対分子量の分子から実際に又は概念的に誘導される複数の小単位を実質的に含むものを意味すると理解されるであろう(ピュアアンドアプライドケミストリー(Pure Appl.Chem.)、1996年、第68巻、p.2291)。本発明の本明細書において用いられる好適な意味において、ポリマーは、>1個、すなわち、少なくとも2個の繰り返し単位、好適には≧5個の繰り返し単位を有する化合物を意味すると理解され、オリゴマーは、>1個及び<10個、好適には<5個の繰り返し単位を有する化合物を意味すると理解されるであろう。
【0036】
さらに、本明細書において用いられるところ、「ポリマー」という用語は、1個又は複数個の別個のタイプの繰り返し単位(分子の最小の構成単位)の主鎖(backbone)(「主鎖(main chain)」とも称される)を含む分子を意味すると理解され、通例公知である用語「オリゴマー」、「コポリマー」、「ホモポリマー」等を含む。さらに、ポリマーという用語には、ポリマー自体に追加して、このようなポリマーの合成に付随する開始剤、触媒及び他の要素からの残渣も含まれると理解され、ここで、このような残渣は、共有結合的に組み込まれていないと理解される。さらに、このような残渣及び他の要素は、通常は重合精製後プロセスの最中に除去されるが、典型的には、一般に、容器間又は溶剤もしくは分散媒体間で移される場合にポリマーと共にとどまるよう、ポリマーと混合又は混ざり合っている。
【0037】
本明細書において用いられるところ、例えば式Iの単位、又は、式IIIもしくはIV又はこれらの部分式のポリマーといった、ポリマー又は繰り返し単位を示す式において、アスタリスク(
*)は、隣接する単位又はポリマー主鎖における末端基に対する化学結合を意味すると理解されるであろう。例えばベンゼン又はチオフェン環といった環において、アスタリスク(
*)は、隣接する環に縮合するC原子を意味すると理解されるであろう。
【0038】
本明細書において用いられるところ、「繰り返し単位」、「繰返し単位」及び「単量体単位」という用語は、同義的に用いられ、規則的な巨大分子、規則的なオリゴマー分子、規則的なブロック又は規則的な鎖を繰り返しによって構成する最小構成単位である、構成上の繰返し単位(CRU:constitutional repeating unit)を意味すると理解されるであろう(ピュアアンドアプライドケミストリー(Pure
Appl.Chem.)、1996年、第68巻、p.2291)。さらに、本明細書において用いられるところ、「単位」という用語は、それ自身が繰返し単位であることが可能であるか、又は、他の単位と一緒になって構成上の繰返し単位を形成することが可能
である構造単位を意味すると理解されるであろう。
【0039】
本明細書において用いられるところ、「末端基」は、ポリマー主鎖を末端封止する基を意味すると理解されるであろう。「主鎖中の末端位置における」という表記は、一端でこのような末端基に結合すると共に他端で他の繰り返し単位に結合する二価の単位又は繰り返し単位を意味すると理解されるであろう。このような末端基は、例えば以下に定義されているR
5又はR
6の意味を有する基のように、ポリマー主鎖を形成するモノマーに結合しており、重合反応に関与していなかった反応性基、又は、末端封止基を含む。
【0040】
本明細書において用いられるところ、「末端封止基」という用語は、ポリマー主鎖の末端基に結合するか、又は、ポリマー主鎖の末端基を置換する基を意味すると理解されるであろう。末端封止基は、末端封止プロセスによってポリマーに導入されることが可能である。末端封止は、例えば、ポリマー主鎖の末端基を、例えばアルキルもしくはハロゲン化アリール、アルキルもしくはアリールスタナン、又は、アルキルもしくはアリールボロネートといった、単官能性化合物(「末端封止剤」)と反応させることにより実施されることが可能である。末端封止剤は、例えば重合反応の後に添加されることが可能である。あるいは、末端封止剤は、重合反応の前又はその最中に、インサイチュで反応混合物に添加されることが可能である。末端封止剤のインサイチュでの添加はまた、重合反応の停止、それ故、形成されるポリマーの分子量の制御にも用いられることが可能である。典型的な末端封止基は、例えばH、フェニル及び低級アルキルである。
【0041】
本明細書において用いられるところ、「小分子」という用語は、典型的には反応してポリマーを形成することが可能である反応性基を含有せず、単量体形態で用いられるよう設計されている単量体化合物を意味すると理解されるであろう。これとは対照的に、「モノマー」という用語は、他に定めがある場合を除き、1個又は複数個の反応性官能基を有し、これにより、反応してポリマーを形成することが可能である単量体化合物を意味すると理解されるであろう。
【0042】
本明細書において用いられるところ、「供与体」又は「供与する」及び「受容体」又は「受容する」という用語は、それぞれ、電子供与体又は電子受容体を意味すると理解されるであろう。「電子供与体」は、他の化合物又は化合物の原子の他の基に電子を供与する化学要素を意味すると理解されるであろう。「電子受容体」は、他の化合物又は化合物の原子の他の基から輸送された電子を受容する化学要素を意味すると理解されるであろう(米国環境保護庁(U.S.Environmental Protection Agency)、2009年、技術用語集(Glossary of technical terms)、http://www.epa.gov/oust/cat/TUMGLOSS.HTMも参照のこと)。
【0043】
本明細書において用いられるところ、「n型」又は「n型半導体」という用語は、伝導電子密度が易動性正孔密度より多い不純物半導体を意味すると理解され、及び、「p型」又は「p型半導体」という用語は、易動性正孔密度が伝導電子密度より多い不純物半導体を意味すると理解されるであろう(J.シューリス(J.Thewlis)、コンサイスディクショナリーオブフィジックス(Concise Dictionary of Physics)、ペルガモンプレス(Pergamon Press)、オックスフォード(Oxford)、1973年も参照のこと)。
【0044】
本明細書において用いられるところ、「脱離基」という用語は、特定の反応に関与する分子の残存部分又は主部分であるとみなされる原子から離脱する原子又は基(これは荷電されていても非荷電であってもよい)を意味すると理解されるであろう(ピュアアンドアプライドケミストリー(Pure Appl. Chem.)、1994年、第66巻、
p.1134も参照のこと)。
【0045】
本明細書において用いられるところ、「共役」という用語は、sp
2−ハイブリッド形成(又は、任意選択で、sp−ハイブリッド形成とも言う)を伴う主にC原子を含有する化合物(例えばポリマー)を意味すると理解され、ここで、これらのC原子はヘテロ原子によって置換されていてもよい。最も簡単な事例において、これは、例えば、C−C単結合と二重結合(又は三重結合)とを交互に有する化合物であるが、例えば1,4−フェニレンといった芳香族単位を有する化合物も含まれる。ここに関連して「主に」という用語は、共役を妨げ得る自然に(自発的に)生じる欠陥を伴う化合物もまた共役化合物とみなされることを意味すると理解されるであろう。
【0046】
本明細書において用いられるところ、他に定めがある場合を除き、分子量は数平均分子量M
n又は重量平均分子量M
wとして記載されており、これは、テトラヒドロフラン、トリクロロメタン(TCM、クロロホルム)、クロロベンゼン又は1,2,4−トリクロロベンゼンなどの溶離溶剤において、ポリスチレン基準に対してゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される。他に定めがある場合を除き、1,2,4−トリクロロベンゼンが溶剤として用いられる。繰り返し単位の総数nとも称される重合度は、数n=M
n/M
U(式中、M
nは数平均分子量であり、M
Uは単一の繰り返し単位の分子量である)と記載される平均重合度を意味すると理解されるであろう(J.M.G.コーウィー(J.M.G.Cowie)、ポリマー:現代物質化学及び物理学(Polymers:Chemistry&Physics of Modern Materials)、ブラッキー(Blackie)、グラスゴー、1991年を参照のこと)。
【0047】
本明細書において用いられるところ、「カルビル基」という用語は、非炭素原子(例えば−C≡C−)をまったく伴わないか、又は、任意選択で、N、O、S、P、Si、Se、As、TeもしくはGeなどの少なくとも1個の非炭素原子と結合した少なくとも1個の炭素原子を含む一価又は多価の有機ラジカル部分のいずれかを意味すると理解されるであろう(例えばカルボニル等)。「ヒドロカルビル基」という用語は、1個又は複数個のH原子を追加的に含有し、また、任意選択で、例えばN、O、S、P、Si、Se、As、Te又はGeといった1個又は複数個のヘテロ原子を含有するカルビル基を意味すると理解されるであろう。
【0048】
本明細書において用いられるところ、「ヘテロ原子」という用語は、H原子又はC原子ではない有機化合物中の原子を意味すると理解され、好適には、N、O、S、P、Si、Se、As、Te又はGeを意味すると理解されるであろう。
【0049】
3個以上のC原子の鎖を含むカルビルもしくはヒドロカルビル基は、直鎖、分岐、ならびに/又は、スピロ及び/もしくは縮合環を含む環式であり得る。
好適なカルビル及びヒドロカルビル基としては、各々が任意選択で置換されており、1〜40個、好適には1〜25個、きわめて好適には1〜18個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ及びアルコキシカルボニルオキシ;さらに、6〜40個、好適には6〜25個のC原子を有する任意選択で置換されているアリール又はアリールオキシ;さらに、各々が、任意選択で置換されており、6〜40個、好適には7〜40個のC原子を有するアルキルアリールオキシ、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、アリールカルボニルオキシ及びアリールオキシカルボニルオキシが挙げられ、ここで、これらの基のすべては、任意選択で、好適にはN、O、S、P、Si、Se、As、Te及びGeから選択される1個又は複数個のヘテロ原子を含有する。
【0050】
カルビル又はヒドロカルビル基は、飽和もしくは不飽和の非環式基であっても、又は、
飽和もしくは不飽和の環式基であってもよい。不飽和非環式基又は環式基が好ましく、特にアリール、アルケニル及びアルキニル基(特にエチニル)が好適である。C
1〜C
40カルビルもしくはヒドロカルビル基が非環式である場合、これらの基は、直鎖であっても分岐であってもよい。C
1〜C
40カルビルもしくはヒドロカルビル基としては、例えば:C
1〜C
40アルキル基、C
1〜C
40フルオロアルキル基、C
1〜C
40アルコキシ又はオキサアルキル基、C
2〜C
40アルケニル基、C
2〜C
40アルキニル基、C
3〜C
40アリル基、C
4〜C
40アルキルジエニル基、C
4〜C
40ポリエニル基、C
2〜C
40ケトン基、C
2〜C
40エステル基、C
6〜C
18アリール基、C
6〜C
40アルキルアリール基、C
6〜C
40アリールアルキル基、C
4〜C
40シクロアルキル基、C
4〜C
40シクロアルケニル基等が挙げられる。前述の基のうち、それぞれ、C
1〜C
20アルキル基、C
1〜C
20フルオロアルキル基、C
2〜C
20アルケニル基、C
2〜C
20アルキニル基、C
3〜C
20アリル基、C
4〜C
20アルキルジエニル基、C
2〜C
20ケトン基、C
2〜C
20エステル基、C
6〜C
12アリール基及びC
4〜C
20ポリエニル基が好適である。シリル基、好適にはトリアルキルシリル基で置換された例えばアルキニル基、好適にはエチニルといった、炭素原子を有する基とヘテロ原子を有する基との組み合わせもまた含まれる。
【0051】
本明細書において用いられるところ、「アリール」及び「ヘテロアリール」という用語は、縮合環をも含み、任意選択で1個又は複数個の基Lで置換されている、4〜30個の環C原子を有する単環式、二環式もしくは三環式芳香族又はヘテロ芳香族基を意味することが好ましく、
ここで、Lは、ハロゲン、−CN、−NC、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)NR
0R
00、−C(=O)X
0、−C(=O)R
0、−NH
2、−NR
0R
00、−SH、−SR
0、−SO
3H、−SO
2R
0、−OH、−NO
2、−CF
3、−SF
5、P−Sp−、任意選択で置換されるシリル、又は、任意選択で置換され、任意選択で1個もしくは複数個のヘテロ原子を含む1〜40個のC原子を有するカルビルもしくはヒドロカルビルから選択され、好適には、任意選択でフッ素化された、1〜20個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、チアアルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル又はアルコキシカルボニルオキシであり、ならびに、R
0、R
00、X
0、P及びSpは上記及び以下に示されている意味を有する。
【0052】
きわめて好適な置換基Lはハロゲン(最適にはF)、又は、1〜12個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、オキサアルキル、チオアルキル、フルオロアルキル及びフルオロアルコキシ、又は、2〜12個のC原子を有するアルケニル、アルキニルから選択される。
【0053】
特に好適なアリール及びヘテロアリール基はフェニルであって、加えて、1個又は複数個のCH基が、すべてが無置換、単置換又は多置換であることが可能であり、Lは上記に定義されているとおりである、N、ナフタレン、チオフェン、セレノフェン、チエノチオフェン、ジチエノチオフェン、フルオレン及びオキサゾールによって置換されていてもよいフェニルである。きわめて好適な環は、すべてが無置換、単置換又は多置換であることが可能であり、Lは上記に定義されているとおりである、ピロール、好適にはN−ピロール、フラン、ピリジン、好適には2−又は3−ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、イミダゾール、イソチアゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソキサゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、チオフェン、好適には2−チオフェン、セレノフェン、好適には2−セレノフェン、チエノ[3,2−b]チオフェン、チエノ[2,3−b]チオフェン、フロ[3,2−b]フラン、フロ[2,3−b]フラン、セレノ[3,2−b]セレノフェン、セレノ[2,3−b]セレノフェン、チエノ[3,2−b]セレノフェン、チエノ[3,2−b]フラン、インドール、イソインドール、ベンゾ[b]フラン、ベンゾ[b]チオフェン、ベンゾ[1,2
−b;4,5−b’]ジチオフェン、ベンゾ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン、キノール、2−メチルキノール、イソキノール、キノキサリン、キナゾリン、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイソチアゾール、ベンズイソキサゾール、ベンゾキサジアゾール、ベンゾキサゾール、ベンゾチアジアゾールから選択される。アリール及びヘテロアリール基のさらなる例は、本明細書中以下に示されている基から選択されるものである。
【0054】
アルキル又はアルコキシラジカル(すなわち末端CH
2基が−O−で置換されている)は、直鎖又は分岐であることが可能である。アルキル又はアルコキシラジカルは、直鎖であることが好ましく、2、3、4、5、6、7又は8個の炭素原子を有し、従って、例えば、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、ヘプトキシ又はオクトキシであり、さらには、メチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ノノキシ、デコキシ、ウンデコキシ、ドデコキシ、トリデコキシ又はテトラデコキシであることが好適である。
【0055】
1個又は複数個のCH
2基が−CH=CH−で置換されているアルケニル基は、直鎖又は分岐であることが可能である。アルケニル基は、直鎖であることが好ましく、2〜10個のC原子を有し、従って、ビニル、プロプ−1−、又はプロプ−2−エニル、ブタ−1−、2−又はブタ−3−エニル、ペンタ−1−、2−、3−又はペンタ−4−エニル、ヘキサ−1−、2−、3−、4−又はヘキサ−5−エニル、ヘプタ−1−、2−、3−、4−、5−又はヘプタ−6−エニル、オクタ−1−、2−、3−、4−、5−、6−又はオクタ−7−エニル、ノナ−1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−又はノナ−8−エニル、デカ−1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−又はデカ−9−エニルであることが好適である。
【0056】
特に好適なアルケニル基は、C
2〜C
7−1E−アルケニル、C
4〜C
7−3E−アルケニル、C
5〜C
7−4−アルケニル、C
6〜C
7−5−アルケニル及びC
7−6−アルケニル、特にC
2〜C
7−1E−アルケニル、C
4〜C
7−3E−アルケニル及びC
5〜C
7−4−アルケニルである。特に好適なアルケニル基の例は、ビニル、1E−プロペニル、1E−ブテニル、1E−ペンテニル、1E−ヘキセニル、1E−ヘプテニル、3−ブテニル、3E−ペンテニル、3E−ヘキセニル、3E−ヘプテニル、4−ペンテニル、4Z−ヘキセニル、4E−ヘキセニル、4Z−ヘプテニル、5−ヘキセニル、6−ヘプテニル等である。5個以下のC原子を有する基が一般に好適である。
【0057】
オキサアルキル基(すなわち、1個のCH
2基が−O−によって置換されている)は、好適には、例えば直鎖2−オキサプロピル(=メトキシメチル)、2−(=エトキシメチル)又は3−オキサブチル(=2−メトキシエチル)、2−、3−、又は4−オキサペンチル、2−、3−、4−、又は5−オキサヘキシル、2−、3−、4−、5−、又は6−オキサヘプチル、2−、3−、4−、5−、6−又は7−オキサオクチル、2−、3−、4−、5−、6−、7−又は8−オキサノニル又は2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−又は9−オキサデシルである。オキサアルキル(すなわち1個のCH
2基が−O−によって置換されている)は、好適には、例えば直鎖2−オキサプロピル(=メトキシメチル)、2−(=エトキシメチル)又は3−オキサブチル(=2−メトキシエチル)、2−、3−、又は4−オキサペンチル、2−、3−、4−、又は5−オキサヘキシル、2−、3−、4−、5−、又は6−オキサヘプチル、2−、3−、4−、5−、6−又は7−オキサオクチル、2−、3−、4−、5−、6−、7−又は8−オキサノニル又は2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−又は9−オキサデシルである。
【0058】
1個のCH
2基が−O−によって置換されており、及び、1個のCH
2基が−C(O)
−によって置換されているアルキル基において、これらのラジカルは近接していることが好適である。従って、これらのラジカルは一緒になって、カルボニルオキシ基−C(O)−O−又はオキシカルボニル基−O−C(O)−を形成する。好適には、この基は直鎖であり、2〜6個のC原子を有する。従って、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、ペンタノイルオキシ、ヘキサノイルオキシ、アセチルオキシメチル、プロピオニルオキシメチル、ブチリルオキシメチル、ペンタノイルオキシメチル、2−アセチルオキシエチル、2−プロピオニルオキシエチル、2−ブチリルオキシエチル、3−アセチルオキシプロピル、3−プロピオニルオキシプロピル、4−アセチルオキシブチル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペンタオキシカルボニル、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、プロポキシカルボニルメチル、ブトキシカルボニルメチル、2−(メトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(プロポキシカルボニル)エチル、3−(メトキシカルボニル)プロピル、3−(エトキシカルボニル)プロピル、4−(メトキシカルボニル)−ブチルであることが好適である。
【0059】
2個以上のCH
2基が−O−及び/又はC(O)O−で置換されているアルキル基は、直鎖又は分岐であることが可能である。好適には、アルキル基は直鎖であり、3〜12個のC原子を有する。従って、ビス−カルボキシ−メチル、2,2−ビス−カルボキシ−エチル、3,3−ビス−カルボキシ−プロピル、4,4−ビス−カルボキシ−ブチル、5,5−ビス−カルボキシ−ペンチル、6,6−ビス−カルボキシ−ヘキシル、7,7−ビス−カルボキシ−ヘプチル、8,8−ビス−カルボキシ−オクチル、9,9−ビス−カルボキシ−ノニル、10,10−ビス−カルボキシ−デシル、ビス−(メトキシカルボニル)−メチル、2,2−ビス−(メトキシカルボニル)−エチル、3,3−ビス−(メトキシカルボニル)−プロピル、4,4−ビス−(メトキシカルボニル)−ブチル、5,5−ビス−(メトキシカルボニル)−ペンチル、6,6−ビス−(メトキシカルボニル)−ヘキシル、7,7−ビス−(メトキシカルボニル)−ヘプチル、8,8−ビス−(メトキシカルボニル)−オクチル、ビス−(エトキシカルボニル)−メチル、2,2−ビス−(エトキシカルボニル)−エチル、3,3−ビス−(エトキシカルボニル)−プロピル、4,4−ビス−(エトキシカルボニル)−ブチル、5,5−ビス−(エトキシカルボニル)−ヘキシルであることが好適である。
【0060】
チオアルキル基(すなわち、1個のCH
2基が−S−で置換されている)は、直鎖チオメチル(−SCH
3)、1−チオエチル(−SCH
2CH
3)、1−チオプロピル(=−SCH
2CH
2CH
3)、1−(チオブチル)、1−(チオペンチル)、1−(チオヘキシル)、1−(チオヘプチル)、1−(チオオクチル)、1−(チオノニル)、1−(チオデシル)、1−(チオウンデシル)又は1−(チオドデシル)であることが好ましく、ここで、sp
2ハイブリッド形成されたビニル炭素原子に隣接したCH
2基が置換されていることが好適である。
【0061】
フルオロアルキル基は、パーフルオロアルキルC
iF
2i+1であることが好ましく、ここで、iは、1〜15の整数であり、特にCF
3、C
2F
5、C
3F
7、C
4F
9、C
5F
11、C
6F
13、C
7F
15もしくはC
8F
17、きわめて好適にはC
6F
13、又は、部分フッ素化アルキル、特に1,1−ジフルオロアルキル(これらのすべては直鎖又は分岐である)であることが好適である。
【0062】
アルキル、アルコキシ、アルケニル、オキサアルキル、チオアルキル、カルボニル及びカルボニルオキシ基は、非キラル又はキラル基であることが可能である。特に好適なキラル基は、例えば、2−ブチル(=1−メチルプロピル)、2−メチルブチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、特に2−メチルブチル、2−メチルブトキシ、2−メチルペントキシ、3−メチルペントキシ、2
−エチル−ヘキソキシ、1−メチルヘキソキシ、2−オクチルオキシ、2−オキサ−3−メチルブチル、3−オキサ−4−メチル−ペンチル、4−メチルヘキシル、2−ヘキシル、2−オクチル、2−ノニル、2−デシル、2−ドデシル、6−メタ−オキシオクトキシ、6−メチルオクトキシ、6−メチルオクタノイルオキシ、5−メチルヘプチルオキシ−カルボニル、2−メチルブチリルオキシ、3−メチルバレロイルオキシ、4−メチルヘキサノイルオキシ、2−クロロプロピオニルオキシ、2−クロロ−3−メチルブチリルオキシ、2−クロロ−4−メチル−バレリルオキシ、2−クロロ−3−メチルバレリルオキシ、2−メチル−3−オキサペンチル、2−メチル−3−オキサヘキシル、1−メトキシプロピル−2−オキシ、1−エトキシプロピル−2−オキシ、1−プロポキシプロピル−2−オキシ、1−ブトキシプロピル−2−オキシ、2−フルオロオクチルオキシ、2−フルオロデシルオキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルオキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−オクチル、2−フルオロメチルオクチルオキシである。2−ヘキシル、2−オクチル、2−オクチルオキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−ヘキシル、1,1,1−トリフルオロ−2−オクチル及び1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルオキシがきわめて好適である。
【0063】
好適な非キラル分岐基は、イソプロピル、イソブチル(=メチルプロピル)、イソペンチル(=3−メチルブチル)、tーブチル、イソプロポキシ、2−メチル−プロポキシ及び3−メチルブトキシである。
【0064】
好適な実施形態において、R
1,2は、相互に独立して、1〜30個のC原子を有し、1個又は複数個のH原子がFで任意選択で置換されている第1級、第2級もしくは第3級アルキル又はアルコキシ;又は、任意選択でアルキル化もしくはアルコキシル化されており、4〜30個の環原子を有するアリール、アリールオキシ、ヘテロアリールもしくはヘテロアリールオキシから選択される。きわめて好適なこの種の基は、以下の式
【0065】
【化5】
からなる群から選択され、式中、「ALK」は、任意選択でフッ素化され、好適には直鎖であり、1〜20個、好適には1〜12個のC原子を有し、第3級基の場合には1〜9個のC原子を有することがきわめて好適なアルキル又はアルコキシを示し;及び、破線はこれらの基が結合している環への結合を示す。これらの基のうち、すべてのALK下位基が等しいものが特に好適である。
【0066】
−CY
11=CY
12−は、−CH=CH−、−CF=CF−又は−CH=C(CN)−であることが好適である。
本明細書において用いられるところ、「ハロゲン」としては、F、Cl、Br又はI、好適にはF、Cl又はBrが挙げられる。
【0067】
本明細書において用いられるところ、−CO−、−C(=O)−及び−C(O)−は、カルボニル基、すなわち、構造
【0068】
【化6】
を有する基を意味すると理解されるであろう。
【0069】
好適には、式I中のX
1及びX
2は、C(R
1R
2)又はC=C(R
1R
2)を示す。
好適には、式Iの単位は以下の式から選択される。
【0070】
【化7】
(式中、A
1及びA
2は上記及び以下に記載されている式Iの意味を有し、R
1〜4は、相互に独立して、式Iにおいて記載されているR
1の意味の1つ、又は、上記及び以下に開示されている好適な意味を有する。)
式I中の基A
1及びA
2は、相互に独立して、単環式又は二環式であり、5〜12個の環原子(C原子及びヘテロ原子の両方を含む)を有し、好適には1個もしくは複数個の基R
1又は上記に定義されているLによって置換されているか無置換である芳香族又はヘテロ芳香族基を示す。A
1及び/又はA
2が二環式基である場合においては、2つの縮合環が含まれる。基A
1及びA
2は、隣接する式I中の5員環に縮合している。
【0071】
好適な実施形態において、A
1及びA
2は共に、5〜7個の環原子を有する単環式基を示す。他の好適な実施形態においては、A
1及びA
2は共に、9〜12個の環原子を有す
る二環式基を示す。他の好適な実施形態においては、A
1及びA
2の一方は5〜7個の環原子を有する単環式基であり、A
1及びA
2の他方は9〜12個の環原子を有する二環式基である。
【0072】
好適には、式I及びその部分式中の基A
1及びA
2は、以下の式からなる群から選択され、式中、環中のアスタリスク(
*)は隣接する式I又はその部分式中の5員環に縮合しているC原子を示す。
【0073】
【化8】
式中、Xは、S、O又はSeであり、YはC又はNであり、ここで、個々の芳香族及び芳香族複素環は1個又は複数個の基R
1によって置換されていることも可能である。好適な実施形態において、チオフェン環は、3位において基R
1で置換されている。
【0074】
きわめて好適には、式I及びその部分式中の基A
1及びA
2は、以下の式からなる群から選択される。
【0075】
【化9】
式中、個々の芳香族及び芳香族複素環は1個又は複数個の基R
1によって置換されていることも可能である。好適な実施形態において、チオフェン環は、3位において基R
1で置換されている。
【0076】
最適には、式I及びその部分式中の基A
1及びA
2は、式(2a)、(3a)、(3b)及び(7a)から選択される。
式I及びその好適な部分式の単位において、R
1及びR
2は、1個又は複数個のF原子で置換されているか無置換である、1〜30個のC原子を有する直鎖、分岐又は環式アルキルを示すことが好適である。
【0077】
さらに好適には、R
1及びR
2の一方はHであると共に、他方は、Hとは異なり、好適
には、1個もしくは複数個のF原子により置換されているか無置換である1〜30個のC原子を有する直鎖、分岐又は環式アルキルである。
【0078】
さらに好適には、R
1及び/又はR
2は、相互に独立して、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択され、その各々は、任意選択で、フッ素化、アルキル化又はアルコキシル化されており、4〜30個の環原子を有する。
【0079】
式I中のR
1及び/又はR
2が置換アリール又はヘテロアリールを示す場合、R
1及び/又はR
2は1個又は複数個の基Lで置換されていることが好ましく、ここで、Lは、P−Sp−、F、Cl、Br、I、−OH、−CN、−NO
2、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)NR
0R
00、−C(=O)X
0、−C(=O)R
0、−NR
0R
00、C(=O)OH、4〜20個の環原子を有する任意選択で置換されているアリールもしくはヘテロアリール、又は、1〜20個、好適には1〜12個のC原子を有する直鎖、分岐もしくは環式アルキル(ここで、1個又は複数個の隣接していないCH
2基は、各事例において互いに独立して、O及び/又はS原子が互いに直接結合されず、また、1個又は複数個のFもしくはCl原子又はOH基で置換されているか無置換であるよう、−O−、−S−、−NR
0−、−SiR
0R
00−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−CY
1=CY
2−又は−C≡C−により任意選択で置換されており、X
0は、ハロゲン、好適にはF、Cl又はBrであり、ならびに、Y
1、Y
2、R
0及びR
00は上記及び以下に記載されている意味を有する)から選択される。
【0080】
さらに好適には、式I中のR
1及び/又はR
2は、1〜30個のC原子を有する1個もしくは複数個の直鎖、分岐又は環式アルキル基で置換されているアリール又はヘテロアリールであって、1個又は複数個の隣接していないCH
2基が、O及び/又はS原子が互いに直接結合されないよう、−O−、−S−、−C(O)−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−O−C(O)−O−、−NR
0−、−SiR
0R
00−、−CF
2−、−CHR
0=CR
00−、−CY
1=CY
2−又は−C≡C−で任意選択で置換されており、及び、1個又は複数個のH原子が任意選択で、F、Cl、Br、I又はCNによって置換されているアリール又はヘテロアリールを示す。
【0081】
本発明に係る好適なポリマーは、1個又は複数個の式IIの繰返し単位
−[(Ar
1)
a−(U)
b−(Ar
2)
c−(Ar
3)
d]− II
(式中、
Uは式Iの単位であり、
Ar
1、Ar
2、Ar
3は、各出現において等しいか又は異なっており、また、相互に独立して、Uとは異なり、好適には5〜30個の環原子を有し、好適には1個又は複数個の基R
Sによって任意選択で置換されているアリール又はヘテロアリールであり、
R
Sは、各出現において等しいか又は異なっており、F、Br、Cl、−CN、−NC、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(O)NR
0R
00、−C(O)X
0、−C(O)R
0、−C(O)OR
0、−NH
2、−NR
0R
00、−SH、−SR
0、−SO
3H、−SO
2R
0、−OH、−NO
2、−CF
3、−SF
5、任意選択で置換されるシリル、任意選択で置換され、任意選択で1個又は複数個のヘテロ原子を含む1〜40個のC原子を有するカルビルもしくはヒドロカルビルであり、
R
0及びR
00は、相互に独立して、H又は任意選択で置換されているC
1〜40カルビルもしくはヒドロカルビルであり、好適には、H又は1〜12個のC原子を有するアルキルを示し、
X
0は、ハロゲン、好適にはF、Cl又はBrであり、
a、b及びcは、各出現において等しいか又は異なっており、0、1又は2であり、
dは、各出現において等しいか又は異なっており、0又は1〜10の整数である)
を含み、ここで、ポリマーは、少なくとも1個の式IIの繰返し単位(bは少なくとも1
である)を含む。
【0082】
本発明に係るさらに好適なポリマーは、式I又は式IIの単位に追加して、任意選択で置換されている単環式又は多環式アリール又はヘテロアリール基から選択される1個又は複数個の繰返し単位を含む。
【0083】
これらの追加の繰返し単位は、好適には、式III
−[(Ar
1)
a−(A
c)
b−(Ar
2)
c−(Ar
3)
d]− III
から選択され、式中、Ar
1、Ar
2、Ar
3、a、b、c及びdは式IIにおいて定義されているとおりであり、A
cは、Uとは異なるアリール又はヘテロアリール基であり、Ar
1〜3は、好適には5〜30個の環原子を有し、任意選択で、上記及び以下に定義されている1個又は複数個の基R
Sによって置換されており、好適には電子受容特性を有するアリール又はヘテロアリール基から選択され、ここで、ポリマーは、少なくとも1個の式IIIの繰返し単位(式中、bは少なくとも1である)を含む。
【0084】
R
Sは、R
1について記載されている意味の1つを有することが好適である。
本発明に係る共役ポリマーは、式IV:
【0085】
【化10】
(式中、
Aは、式IもしくはIIの単位又はその好適な部分式であり、
Bは、Aとは異なる単位であって、任意選択で置換されている1個又は複数個のアリール又はヘテロアリール基を含み、好適には、式IIIから選択され、
xは、>0及び≦1であり、
yは、≧0及び<1であり、
x+yは1であり、ならびに
nは>1の整数である)
から選択されることが好適である。
【0086】
式IVの好適なポリマーは以下の式
*−[(Ar
1−U−Ar
2)
x−(Ar
3)
y]
n−
* IVa
*−[(Ar
1−U−Ar
2)
x−(Ar
3−Ar
3)
y]
n−
* IVb
*−[(Ar
1−U−Ar
2)
x−(Ar
3−Ar
3−Ar
3)
y]
n−
* IVc
*−[(Ar
1)
a−(U)
b−(Ar
2)
c−(Ar
3)
d]
n−
* IVd
*−([(Ar
1)
a−(U)
b−(Ar
2)
c−(Ar
3)
d]
x−[(Ar
1)
a−(A
c)
b−(Ar
2)
c−(Ar
3)
d]
y)
n−
* IVe
(式中、U、Ar
1、Ar
2、Ar
3、a、b、c及びdは、各出現において等しいか又は異なっており、式IIに記載されている意味の1つを有し、A
cは、各出現において等しいか又は異なっており、式IIIに記載されている意味の1つを有し、x、y及びnは式IVにおいて定義されているとおりである)から選択され、ここで、これらのポリマーは交互又はランダムコポリマーであることが可能であり、また、ここで、式IVd及び式IVeにおいて、繰返し単位[(Ar
1)
a−(U)
b−(Ar
2)
c−(Ar
3)
d]の少なくとも1個中及び繰返し単位[(Ar
1)
a−(A
c)
b−(Ar
2)
c−(Ar
3)
d]の少なくとも1個中のbは少なくとも1である。
【0087】
本発明に係るポリマーにおいて、繰返し単位を含む総数nは、2〜10,000である
ことが好適である。繰返し単位を含む総数nは、好適には≧5、きわめて好適には≧10、最適には≧50であり、かつ、好適には≦500、きわめて好適には≦1,000、最適には≦2,000(nの前述の下限及び上限の任意の組み合わせを含む)である。
【0088】
本発明のポリマーは、統計又はランダムコポリマー、交互コポリマー及びブロックコポリマー、ならびに、これらの組み合わせといった、ホモポリマー及びコポリマーを含む。
以下の群から選択されるポリマーが特に好適である。
−単位U又は(Ar
1−U)又は(Ar
1−U−Ar
2)又は(Ar
1−U−Ar
3)又は(U−Ar
2−Ar
3)又は(Ar
1−U−Ar
2−Ar
3)のホモポリマー(すなわち、すべての繰返し単位が等しい)からなる群A、
−等しい単位(Ar
1−U−Ar
2)及び等しい単位(Ar
3)によって形成されるランダム又は交互コポリマーからなる群B、
−等しい単位(Ar
1−U−Ar
2)及び等しい単位(A
1)によって形成されるランダム又は交互コポリマーからなる群C、
−等しい単位(Ar
1−U−Ar
2)及び等しい単位(Ar
1−A
c−Ar
2)によって形成されるランダム又は交互コポリマーからなる群D、
ここで、これらの基すべてにおいて、U、A
c、Ar
1、Ar
2及びAr
3は上記及び以下に定義されているとおりであり、群A、B及びCにおいて、Ar
1、Ar
2及びAr
3は単結合とは異なり、また、群Dにおいて、Ar
1及びAr
2の一方はまた単結合を示し得る。
【0089】
式IV及び式IVa〜IVeの好適なポリマーは、式V
R
5−chain−R
6 V
から選択され、式中、「chain」は式IV又は式IVa〜IVeのポリマー鎖を示し、また、R
5及びR
6は、相互に独立して、上記に定義されているR
1の意味の1つを有するか、又は、相互に独立して、H、F、Br、Cl、I、−CH
2Cl、−CHO、−CR’=CR’’
2、−SiR’R’’R’’’、−SiR’X’X’’、−SiR’R’’X’、−SnR’R’’R’’’、−BR’R’’、−B(OR’)(OR’’)、−B(OH)
2、−O−SO
2−R’、−C≡CH、−C≡C−SiR’
3、−ZnX’もしくは末端封止基を示し、X’及びX’’はハロゲンを示し、R’、R’’及びR’’’は、相互に独立して、式Iに記載されているR
0の意味の1つを有し、R’、R’’及びR’’’の2個はまたこれらが結合しているヘテロ原子と一緒に環を形成し得る。
【0090】
好適な末端封止基R
5及びR
6は、H、C
1〜20アルキル、又は、任意選択で置換されているC
6〜12アリールもしくはC
2〜10ヘテロアリールであり、きわめて好適にはH又はフェニルである。
【0091】
式IV、IVa〜IVe及びVによって表されているポリマーにおいて、xは単位Aのモル分率を示し、yは単位Bのモル分率を示し、nは重合度又は単位A及びBの総数を示す。これらの式は、A及びBのブロックコポリマー、ランダム又は統計コポリマー及び交互コポリマーを含み、ならびに、xが>0であると共にyが0である事例についてはAのホモポリマーを含む。
【0092】
本発明の他の態様は、式VIのモノマー
R
7−(Ar
1)
a−U−(Ar
2)
b−R
8 VI
に関し、式中、U、Ar
1、Ar
2、a及びbは、式IIの意味、又は、上記及び以下に記載されている好適な意味の1つを有し、ならびに、R
7及びR
8は、好適には、相互に独立して、Cl、Br、I、O−トシレート、O−トリフレート、O−メシレート、O−ノナフレート、−SiMe
2F、−SiMeF
2、−O−SO
2Z
1、−B(OZ
2)
2、−CZ
3=C(Z
3)
2、−C≡CH、−C≡CSi(Z
1)
3、−ZnX
0及び−S
n(Z
4)
3(式中、X
0はハロゲン、好適にはCl、Br又はIであり、Z
1〜4は、各々が任意選択で置換されるアルキル及びアリールからなる群から選択され、また、2つの基Z
2は一緒になって環式基を形成していてもよい)からなる群から選択される。
【0093】
以下の式のモノマー
R
7−Ar
1−U−Ar
2−R
8 VI1
R
7−U−R
8 VI2
R
7−Ar
1−U−R
8 VI3
R
7−U−Ar
2−R
8 VI4
が特に好ましく、式中、U、Ar
1、Ar
2、R
7及びR
8は式VIに定義されているとおりである。
【0094】
式I、II、III、IV、IVa〜IVe、V、VI及びこれらの部分式
(式中、Ar
1、Ar
2及びAr
3の1個又は複数個は、好適には電子供与特性を有し、以下の式
【0095】
【化11】
(式中、X
11及びX
12の一方はSであると共に他方はSeであり、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17及びR
18は、相互に独立して、Hを示すか、又は、上記及び以下に定義されているR
1の意味の1つを有する)
からなる群から選択されるアリール又はヘテロアリールを示す)
の繰返し単位、モノマー及びポリマーが特に好適である。
【0096】
式I、II、III、IV、IVa〜IVe、V、VI及びこれらの部分式
(式中、A
c及び/又はAr
3は、好適には電子受容特性を有し、以下の式
【0097】
【化12】
(式中、X
11及びX
12の一方はSであると共に他方はSeであり、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15及びR
16は、相互に独立して、Hを示すか、又は、上記及び以下に定義されているR
1の意味の1つを有する)
からなる群から選択されるアリール又はヘテロアリールを示す)
の繰返し単位、モノマー及びポリマーがさらに好適である。
【0098】
以下の式:
−(U)
x− IVa
−(U)
x−(Ar)
x− IVb
−(U−Ar)
n− IVc
(式中、U及びAr
1は式IIにおいて定義されているとおりであり、n、x及びyは式IVにおいて定義されているとおりである)
のコポリマーが特に好適である。
【0099】
以下の好適な実施形態の列挙から選択される、式I〜VI及びこれらの部分式の繰返し単位、モノマー及びポリマーがさらに好適である:
−yは≧0及び≦1であり、
−X
1及びX
2はSであり、
−X
1及びX
2はC(R
3R
4)であり、
−X
1及びX
2はSi(R
3R
4)であり、
−X
1及びX
2はC=Oであり、
−nは、少なくとも5、好適には少なくとも10、きわめて好適には少なくとも50であると共に、2,000以下、好適には500以下であり、
−M
wは、少なくとも5,000、好適には少なくとも8,000、きわめて好適には少なくとも10,000であると共に、好適には300,000以下、きわめて好適には100,000以下であり、
−R
1及びR
2の一方はHであると共に、他方はHとは異なり、
−R
1及びR
2はHとは異なり、
−R
1及び/又はR
2は、相互に独立して、1〜30個のC原子を有する第1級アルキル
、3〜30個のC原子を有する第2級アルキル、及び、4〜30個のC原子を有する第3級アルキルからなる群から選択され、ここで、すべてのこれらの基において、1個又は複数個のH原子が任意選択でFで置換されており、
−R
1及び/又はR
2は、相互に独立して、各々が、任意選択で、フッ素化、アルキル化又はアルコキシル化されており、及び、4〜30個の環原子を有するアリール及びヘテロアリールからなる群から選択され、
−R
1及び/又はR
2は、相互に独立して、1〜30個のC原子を有する第1級アルコキシ又はスルファニルアルキル、3〜30個のC原子を有する第2級アルコキシ又はスルファニルアルキル、ならびに、4〜30個のC原子を有する第3級アルコキシ又はスルファニルアルキルからなる群から選択され、ここで、すべてのこれらの基において、1個又は複数個のH原子が任意選択でFで置換されており、
−R
1及び/又はR
2は、相互に独立して、各々が、任意選択でアルキル化又はアルコキシル化されており、ならびに、4〜30個の環原子を有するアリールオキシ及びヘテロアリールオキシからなる群から選択され、
−R
1及び/又はR
2は、相互に独立して、すべてが直鎖又は分岐であり、任意選択でフッ素化されており、ならびに、1〜30個のC原子を有する、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル及びアルキルカルボニルオキシからなる群から選択され、
−R
1及び/又はR
2は、相互に独立して、F、Cl、Br、I、CN、R
9、−C(O)−R
9、−C(O)−O−R
9、又は、−O−C(O)−R
9、−SO
2−R
9、−SO
3−R
9を示し、ここで、R
9は、1個もしくは複数個の隣接していないC原子が−O−、−S−、−C(O)−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−O−C(O)−O−、−SO
2−、−SO
3−、−CR
0=CR
00−もしくは−C≡C−によって任意選択で置換されており、また、1個もしくは複数個のH原子が、任意選択で、F、Cl、Br、IもしくはCNによって置換されている、1〜30個のC原子を有する直鎖、分岐もしくは環式アルキルであるか、又は、R
9は、1個もしくは複数個のハロゲン原子又は上記に定義されている1個もしくは複数個の基R
1によって置換されているか無置換である4〜30個の環原子を有するアリールもしくはヘテロアリールであり、
−R
0及びR
00は、H又はC
1〜C
10−アルキルから選択され、
−R
5及びR
6は、H、ハロゲン、−CH
2Cl、−CHO、−CH=CH
2、−SiR’R’’R’’’、−SnR’R’’R’’’、−BR’R’’、−B(OR’)(OR’’)、−B(OH)
2、P−Sp、C
1〜C
20−アルキル、C
1〜C
20−アルコキシ、C
2〜C
20−アルケニル、C
1〜C
20−フルオロアルキル、及び、任意選択で置換されているアリールもしくはヘテロアリール、好適にはフェニルから選択され、
−R
7及びR
8は、好適には相互に独立して、Cl、Br、I、O−トシレート、O−トリフレート、O−メシレート、O−ノナフレート、−SiMe
2F、−SiMeF
2、−O−SO
2Z
1、−B(OZ
2)
2、−CZ
3=C(Z
4)
2、−C≡CH、C≡CSi(Z
1)
3、−ZnX
0及び−Sn(Z
4)
3からなる群から選択され、ここで、X
0はハロゲンであり、Z
1〜4は、各々が任意選択で置換されているアルキル及びアリールからなる群から選択され、ならびに、2個の基Z
2はまた環式基を形成していてもよい。
【0100】
本発明の化合物は、当業者に公知である方法、及び、文献に記載されている方法に従って、又は、これらと同様に合成可能である。他の調製方法を実施例から選択することが可能である。例えば、ポリマーは、山本カップリング、鈴木カップリング、スティルカップリング、薗頭カップリング、ヘックカップリング又はブッフバルトカップリングなどのアリール−アリールカップリング反応により好適に調製されることが可能である。鈴木カップリング及び山本カップリングが特に好適である。重合されてポリマーの繰り返し単位を形成するモノマーは、当業者に公知である方法に従って調製されることが可能である。
【0101】
好適には、ポリマーは、式VI又はその好適な部分式のモノマーから上記及び以下に記載されているとおり調製される。
本発明の他の態様は、1個もしくは複数個の等しいもしくは異なる式Iの単量体単位又は式VIのモノマーを、相互に、及び/又は、1種又は複数種のコモノマーと、好適にはアリール−アリールカップリング反応といった重合反応においてカップリングすることによりポリマーを調製するプロセスである。
【0102】
好適で好適なコモノマーは、以下の式
R
7−(Ar
1)
a−A
c−(Ar
2)
c−R
8 C
R
7−Ar
1−R
8 D
R
7−Ar
3−R
8 E
から選択され、式中、Ar
1、Ar
2、Ar
3、a及びcは、式IIの意味の1つ又は上記及び以下に記載されている好適な意味の1つを有し、A
cは、式IIIの意味の1つ又は上記及び以下に記載されている好適な意味の1つを有し、ならびに、R
7及びR
8は、式VIの意味の1つ又は上記及び以下に記載されている好適な意味の1つを有する。
【0103】
式VI又は式VI1〜VI4から選択される1種又は複数種のモノマーを、式Cの1種又は複数種のモノマーと、任意選択で、式D及びEから選択される1種又は複数種のモノマーと、アリール−アリールカップリング反応においてカップリングすることによりポリマーを調製するプロセスがきわめて好ましく、ここで、R
7及びR
8は、Cl、Br、I、−B(OZ
2)
2及び−Sn(Z
4)
3から選択されることが好適である。
【0104】
例えば、本発明の好適な実施形態は、
a)式VI1のモノマー
R
7−Ar
1−U−Ar
2−R
8 VI1
と、式D1のモノマー
R
7−Ar
1−R
8 D1
とを、アリール−アリールカップリング反応中でカップリングすることによりポリマーを調製するプロセス、
又は
b)式VI2のモノマー
R
7−U−R
8 VI2
と、式C1のモノマー
R
7−Ar
1−A
c−Ar
2−R
8 C1
とを、アリール−アリールカップリング反応中でカップリングすることによりポリマーを調製するプロセス、
又は
c)式VI2のモノマー
R
7−U−R
8 VI2
と、式C2のモノマー
R
7−A
c−R
8 C2
とを、アリール−アリールカップリング反応中でカップリングすることによりポリマーを調製するプロセス、又は
d)式VI2のモノマー
R
7−U−R
8 VI2
と、式C2のモノマー
R
7−A
c−R
8 C1
と、式D1のモノマー
R
7−Ar
1−R
8 D1
とを、アリール−アリールカップリング反応中でカップリングすることによりポリマーを調製するプロセスに関し、
式中、R
7、R
8、U、A
c、Ar
1,2は、式II、III及びVIにおいて定義され
ているとおりであり、ならびに、R
7及びR
8は、式VIにおいて定義されているとおり、Cl、Br、I、−B(OZ
2)
2及び−Sn(Z
4)
3から選択されることが好適である。
【0105】
好適な重合方法は、例えば国際公開第00/53656号パンフレットに記載されている鈴木重合、例えばT.ヤマモト(T.Yamamoto)ら、プログレスインポリマーサイエンス(Progress in Polymer Science)、1993年、第17巻、p.1153〜1205もしくは国際公開第2004/022626 A1号パンフレットに記載されている山本重合、及び、例えばZ.バオ(Z.Bao)ら、米国化学会誌(J.Am.Chem.Soc.)、1995年、第117巻、p.12426〜12435に記載されているスティルカップリングといった、C−C−カップリング又はC−N−カップリングをもたらすものである。例えば、山本重合によって直鎖ポリマーを合成する場合、2個の反応性ハロゲン化基R
7及びR
8を有する上記のモノマーが好ましく用いられる。鈴木重合によって直鎖ポリマーを合成する場合、好適には、反応性基R
7又はR
8の少なくとも一方がボロン酸又はボロン酸誘導体基である上記のモノマーが用いられる。スティル重合によって直鎖ポリマーを合成する場合、好適には、反応性基R
7又はR
8の少なくとも一方がアルキルスタナン誘導体基である上記のモノマーが用いられる。
【0106】
鈴木及びスティル重合は、ホモポリマー、ならびに、統計、交互及びブロックランダムコポリマーの調製に用いられ得る。統計又はブロックコポリマーは、反応性基R
7及びR
8の一方がハロゲンであり、他方の反応性基がボロン酸、ボロン酸誘導体基又は/及びアルキルスタナンである、例えば式VI又はその部分式の上記のモノマーから調製されることが可能である。統計、交互及びブロックコポリマーの合成は、例えば、国際公開第03/048225 A2号パンフレット又は国際公開第2005/014688 A2号パンフレットにおいて詳述されている。
【0107】
鈴木及びスティル重合では、Pd(0)錯体又はPd(II)塩が用いられる。好適なPd(0)錯体は、Pd(Ph
3P)
4などの少なくとも1個のホスフィンリガンドを有するものである。他の好適なホスフィンリガンドは、トリス(オルト−トリル)ホスフィン、すなわちPd(o−Tol
3P)
4である。好適なPd(II)塩は、酢酸パラジウム、すなわちPd(OAc)
2を含む。あるいは、Pd(0)錯体は、例えばトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)といったPd(0)ジベンジリデンアセトン錯体、又は、例えば酢酸パラジウムといったPd(II)塩を、例えばトリフェニルホスフィン、トリス(オルト−トリル)ホスフィンもしくはトリ(t−ブチル)ホスフィンといったホスフィンリガンドと混合することにより調製されることが可能である。鈴木重合は、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化リチウム、リン酸カリウム、又は、炭酸テトラエチルアンモニウムもしくは水酸化テトラエチルアンモニウムなどの有機塩基といった塩基の存在下で実施される。山本重合では、例えばビス(1,5−シクロオクタジエニル)ニッケル(0)といったNi(0)錯体が用いられる。
【0108】
上記のハロゲンの代わりとして、式−O−SO
2Z
1の脱離基(式中、Z
1は上記のとおりである)を用いることが可能である。このような脱離基の特定の例はトシレート、メシレート及びトリフレートである。
【0109】
式I〜VI及びこれらの部分式の繰返し単位、モノマー及びポリマーの特に好適な合成方法が、本明細書中以下に示されている合成スキームに例示されており、ここで、Rは上記のR
1の意味の1つを有する。
【0110】
非官能化モノマーの合成がスキーム1及び2に例示されている。
スキーム1
【0112】
【化14】
官能化がスキーム3に例示されている。
スキーム3
【0113】
【化15】
ホモポリマーの合成がスキーム4に例示されている。
スキーム4
【0114】
【化16】
交互コポリマーの合成がスキーム5に例示されている。
スキーム5
【0115】
【化17】
統計ブロックコポリマーの合成がスキーム6に例示されている。
スキーム6
【0116】
【化18】
上記及び以下に記載されているモノマー及びポリマーを調製する新規な方法が本発明の他の態様である。
【0117】
本発明に係る化合物及びポリマーは、例えば単量体化合物と一緒に、又は、電荷輸送、半導体、導電、光導電及び/もしくは発光半導体特性を有する他のポリマーと一緒に、又は、例えばOLED素子における中間層もしくは電荷ブロッキング層として用いられる、正孔ブロッキング特性もしくは電子ブロッキング特性を有するポリマーと共に、混合物もしくはポリマーブレンドで用いられることも可能である。それ故、本発明の他の態様は、本発明に係る1種又は複数種のポリマーと、上記特性の1つ又は複数を有する1種又は複数種のさらなるポリマーとを含むポリマーブレンドに関する。これらのブレンドは、従来技術に記載されており、当業者に公知である従来の方法によって調製されることが可能である。典型的には、ポリマーは、相互に混合されるか、又は、好適な溶剤に溶解され、溶液が組み合わされる。
【0118】
本発明の他の態様は、上記及び以下に記載されている1種又は複数種の小分子、ポリマー、混合物又はポリマーブレンドと、1種又は複数種の有機溶剤とを含む配合物に関する。
【0119】
好適な溶剤は、脂肪族炭化水素、塩素化炭化水素、芳香族炭化水素、ケトン、エーテル及びこれらの混合物である。用いられることが可能である追加の溶剤としては、1,2,4−トリメチルベンゼン、1,2,3,4−テトラ−メチルベンゼン、ペンチルベンゼン、メシチレン、クメン、シメン、シクロヘキシルベンゼン、ジエチルベンゼン、テトラリン、デカリン、2,6−ルチジン、2−フルオロ−m−キシレン、3−フルオロ−o−キシレン、2−クロロベンゾトリフルオリド、ジメチルホルムアミド、2−クロロ−6フルオロトルエン、2−フルオロアニソール、アニソール、2,3−ジメチルピラジン、4−フルオロアニソール、3−フルオロアニソール、3−トリフルオロ−メチルアニソール、2−メチルアニソール、フェネトール、4−メチルアニソール、3−メチルアニソール、4−フルオロ−3−メチルアニソール、2−フルオロベンゾニトリル、4−フルオロベラトロール、2,6−ジメチルアニソール、3−フルオロベンゾニトリル、2,5−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール、ベンゾニトリル、3,5−ジメチルアニソール、N,N−ジメチルアニリン、エチル安息香酸塩、1−フルオロ−3,5−ジメトキシベンゼン、1−メチルナフタレン、N−メチルピロリジノン、3−フルオロベンゾトリフルオリド、ベンゾトリフルオリド、ベンゾトリフルオリド、ジオサン(diosane)、トリフルオロメトキシ−ベンゼン、4−フルオロベンゾトリフルオリド、3−フルオロピリジン、トルエン、2−フルオロトルエン、2−フルオロベンゾトリフルオリド、3−フルオロトルエン、4−イソプロピルビフェニル、フェニルエーテル、ピリジン、4−フルオロトルエン、2,5−ジフルオロトルエン、1−クロロ−2,4−ジフルオロベン
ゼン、2−フルオロピリジン、3−クロロフルオロベンゼン、3−クロロフルオロベンゼン、1−クロロ−2,5−ジフルオロベンゼン、4−クロロフルオロベンゼン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、2−クロロフルオロベンゼン、p−キシレン、m−キシレン、o−キシレン、又は、o−、m−及びp−異性体の混合物が挙げられる。極性が比較的低い溶剤が一般に好適である。インクジェット印刷には、高沸点の溶剤及び溶媒混合物が好適である。スピンコーティングには、キシレン及びトルエンといったアルキル化ベンゼンが好適である。
【0120】
特に好適な溶剤の例としては、特に限定されないが、ジクロロメタン、トリクロロメタン、モノクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、テトラヒドロフラン、アニソール、モルホリン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、1,4−ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、酢酸エチル、n−酢酸ブチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセタミド、ジメチルスルホキシド、テトラリン、デカリン、インダン、安息香酸メチル、エチル安息香酸塩、メシチレン及び/又はこれらの混合物が挙げられる。
【0121】
溶液中の化合物又はポリマーの濃度は、好適には0.1〜10重量%、より好適には0.5〜5重量%である。任意選択で、溶液はまた、例えば国際公開第2005/055248 A1号パンフレットに記載されているとおり、レオロジー特性を調節するために1種又は複数種のバインダを含んでいる。
【0122】
適切な混合及びエージングの後、溶液は以下のカテゴリーの1つとして評価される:完全な溶液、境界型溶液又は不溶性。等高線を描くことにより溶解度パラメターの概要を示す−水素結合のために溶解性と不溶性との区別には限界がある。溶解性領域内に属する「完全」溶剤は、「クロウレイJ.D.(Crowley,J.D.)、テアギューG.S.Jr(Teague,G.S.Jr)及びローJ.W.Jr.(Lowe,J.W.Jr.)、ジャーナルオブペイントテクノロジー(Journal of Paint Technology)、1966年、第38(496)巻、p.296」などの発行されている文献中の値から選択可能である。溶剤ブレンドが用いられてもよく、「溶剤(Solvents)、W.H.エリス(W.H.Ellis)、(Federation of Societies for Coatings Technology)、第9〜10巻、1986年」に記載されているとおり識別可能である。このような手法により、本発明のポリマーの両方を溶解するであろう「非」溶剤のブレンドがもたらされ得るが、ブレンド中に少なくとも1種の真溶剤が含まれていることが望ましい。
【0123】
本発明に係る化合物及びポリマーはまた、上記及び以下に記載されている素子中のパターン化OSC層に用いられることが可能である。最新のマイクロエレクトロニクスにおける用途のためには、一般に、経費を節約するため(より多くの素子/単位面積)、及び、電力消費量を削減するために微小構造又はパターンを形成することが望ましい。本発明に係るポリマーを含む薄層のパターニングは、例えば、フォトリソグラフィ、電子ビームリソグラフィ又はレーザパターニングによって実施可能である。
【0124】
電子素子又は電気光学素子における薄層として用いるために、本発明の化合物、ポリマー、ポリマーブレンド又は配合物は、いずれかの好適な方法により積層され得る。素子の液体コーティングが真空蒸着技術よりも望ましい。溶液堆積法が特に好適である。本発明の配合物では、多数の液体コーティング技術を用いることが可能である。好適な積層技術としては、特に限定されないが、ディップコーティング、スピンコーティング、インクジェット印刷、ノズル印刷、凸版印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、ドクターブレードコーティング、ローラ捺染、リバースローラ捺染、オフセットリソグラフィ印刷、ドライ
オフセットリソグラフィ印刷、フレキソ印刷、ウェブ印刷、スプレーコーティング、ディップコーティング、カーテンコーティング、ブラシコーティング、スロットダイコーティング(slot dye coating)又はパッド印刷が挙げられる。
【0125】
高解像度の層及び素子を調製する必要がある場合には、インクジェット印刷が特に好適である。本発明の選択された配合物は、インクジェット印刷又はマイクロディスペンサによって予め形成されている素子基板に適用され得る。好適には、特にこれらに限定されないが、アプリオン(Aprion)、日立工機株式会社、インクジェットテクノロジー(InkJet Technology)、オンターゲットテクノロジー(On Target Technology)、ピコジェット(Picojet)、スペクトラ(Spectra)、トライデント(Trident)、キサール(Xaar)により供給されるものなどの産業用ピエゾプリントヘッドが用いられて有機半導体層が基板に適用され得る。また、ブラザー工業株式会社、セイコーエプソン株式会社、コニカミノルタ株式会社、セイコーインスツル株式会社、東芝テック株式会社製のものなどの半産業用ヘッド、又は、マイクロドロップ(Microdrop)及びマイクロファブ(Microfab)製のものなどのシングルノズルマイクロディスペンサが用いられ得る。
【0126】
インクジェット印刷又はマイクロディスペンサによる適用のために、化合物又はポリマーは先ず好適な溶剤中に溶解されるべきである。溶剤は上記の要求を満たすものでなければならず、選択されたプリントヘッドに対していかなる悪影響も有するものであってはならない。追加的に、プリントヘッド内部における溶液の乾燥によって引き起こされる運用上の問題を防止するために、溶剤は、>100℃、好適には>140℃、より好適には>150℃の沸点を有しているべきである。上記の溶剤とは別に、好適な溶剤としては、置換及び非置換キシレン誘導体、ジC
1〜2−アルキルホルムアミド、置換及び非置換アニソール及び他のフェノール−エーテル誘導体、置換ピリジンなどの置換複素環、ピラジン、ピリミジン、ピロリジノン、置換及び非置換N,N−ジ−C
1〜2−アルキルアニリン、ならびに、他のフッ素化又は塩素化芳香族化合物が挙げられる。
【0127】
本発明に係る化合物又はポリマーのインクジェット印刷による積層に好適な溶剤は、1個又は複数個の置換基によって置換されたベンゼン環を有するベンゼン誘導体を含み、ここで、1個又は複数個の置換基における炭素原子の総数は少なくとも3個である。例えば、ベンゼン誘導体は、プロピル基又は3個のメチル基で置換されていてもよいが、いずれの事例においても、合計で少なくとも3個の炭素原子で存在している。このような溶剤によれば、インクジェット流体が化合物又はポリマーと共に溶剤を含んで形成されることが可能となり、これにより、ジェットの詰まり、及び、吹付け中の成分の分離が低減又は防止される。これらの溶剤は、以下の例の列挙:ドデシルベンゼン、1−メチル−4−t−ブチルベンゼン、テルピネオールリモネン、イソズレン、テルピノレン、シメン、ジエチルベンゼンから選択されるものを含み得る。溶剤は、各溶剤が好適には>100℃、より好適には>140℃の沸点を有する2種以上の溶剤の組み合わせである溶媒混合物であってもよい。このような溶剤によれば、積層される層におけるフィルム形成性が高まり、層における欠陥が低減される。
【0128】
インクジェット流体(すなわち、溶剤、バインダ及び半導体化合物の混合物)は、20℃で、好適には1〜100mPa・s、より好適には1〜50mPa・s、最適には1〜30mPa・sの粘度を有する。
【0129】
本発明に係るポリマーブレンド及び配合物は、例えば表面活性化合物、潤滑剤、湿潤剤、分散剤、疎水剤、接着剤、流動性向上剤、消泡剤、脱気剤、反応性であっても非反応性であってもよい希釈剤、助剤、着色剤、染料又は顔料、増感剤、安定化剤、ナノ粒子又は抑制剤から選択される1種又は複数種のさらなる成分又は添加剤をさらに含んでいること
が可能である。
【0130】
本発明に係る化合物及びポリマーは、光学、電気光学、電子、エレクトロルミネッセンスもしくはフォトルミネッセンス構成要素又は素子における電荷輸送、半導体、導電、光導電又は発光材料として有用である。これらの素子において、本発明のポリマーは、典型的には、薄層又はフィルムとして適用される。
【0131】
それ故、本発明はまた、電子素子における、半導体化合物、ポリマー、ポリマーブレンド、配合物又は層の使用を提供する。配合物は、種々の素子及び装置において高易動性半導体材料として用いられ得る。配合物は、例えば、半導体層又はフィルムの形態で用いられ得る。従って、他の態様において、本発明は、電子素子において用いられる半導体層であって、本発明に係る化合物、ポリマー、ポリマーブレンド又は配合物を含む層を提供する。層又はフィルムは、約30ミクロン未満であり得る。種々の電子素子用途について、厚さは、約1ミクロン未満の厚さであり得る。層は、例えば電子素子の一部に、前述の溶液コーティング又は印刷技術のいずれかによって積層され得る。
【0132】
本発明は、本発明に係る化合物、ポリマー、ポリマーブレンド、配合物又は有機半導体層を含む電子素子をさらに提供する。特に好適な素子は、OFET、TFT、IC、論理回路、キャパシタ、RFIDタグ、OLED、OLET、OPED、OPV、太陽電池、レーザダイオード、光導電体、受光素子、電子写真デバイス、電子写真記録デバイス、有機メモリデバイス、センサデバイス、電荷注入層、ショットキーダイオード、平坦化層、帯電防止フィルム、伝導性基板及び導電パターンである。
【0133】
特に好適な電子素子は、OFET、OLED及びOPV素子であり、特にバルクヘテロ接合(BHJ:bulk heterojunction)OPV素子である。OFETにおいては、例えば、ドレインとソースとの間のアクティブ半導体チャネルが本発明の層を含んでいてもよい。他の例として、OLED素子においては、電荷(正孔又は電子)注入又は輸送層が本発明の層を含んでいてもよい。
【0134】
OPV又はOPD素子における使用について、本発明に係るポリマーは、p型(電子供与体)半導体及びn型(電子受容体)半導体を、含むか含有する配合物、より好適には実質的にこれらから構成される配合物、きわめて好適にはこれらに限定される配合物で用いられることが好適である。p型半導体は、本発明に係るポリマーから構成される。n型半導体は、酸化亜鉛(ZnO
x)、亜鉛酸化錫(ZTO)、酸化チタン(TiO
x)、酸化モリブデン(MoO
x)、酸化ニッケル(NiO
x)もしくはセレン化カドミウム(CdSe)などの無機材料であることが可能であり、又は、グラフェンもしくはフラーレンもしくは置換フラーレン、例えば、ICBAといったインデン−C
60−フラーレンビス付加体、もしくは、「PCBM−C
60」もしくは「C
60PCBM」としても公知であり、例えばG.ユー(G.Yu)、J.ギャオ(J.Gao)、J.C.フンメレン(J.C.Hummelen)、F.ウドル(F.Wudl)、A.J.ヒーガー(A.J.Heeger)、サイエンス(Science)、1995年、第270巻、p.1789ffに開示されており、以下に示す構造を有する(6,6)−フェニル−酪酸メチルエステル誘導化メタノC
60フラーレン、もしくは、例えばC
61フラーレン基、C
70フラーレン基もしくはC
71フラーレン基との構造類似化合物、もしくは、有機ポリマーなどの有機材料であることが可能である(例えばコークレーK.M.(Coakley,K.M.)及びマックギーM.D.(McGehee,M.D.)、ケミストリーオブマテリアルズ(Chem.Mater.)、2004年、第16巻、p.4533を参照のこと)。
【0135】
【化19】
好適には、本発明に係るポリマーは、例えばPCBM−C
60、PCBM−C
70、PCBM−C
61、PCBM−C
71、ビス−PCBM−C
61、ビス−PCBM−C
71、ICBA(1’,1’’,4’,4’’−テトラヒドロ−ジ[1,4]メタノナフタレノ[1,2:2’,3’;56,60:2’’,3’’][5,6]フラーレン−C60−lh)、グラフェンといったフラーレンもしくは置換フラーレン;又は、例えば、ZnO
x、TiO
x、ZTO、MoO
x、NiO
xといった金属酸化物などのn型半導体とブレンドされて、OPV又はOPD素子における活性層を形成する。素子はさらに、透明又は半透明基板において、活性層の片側に第1の透明又は半透明電極を有し、活性層の反対側に第2の金属製又は半透明電極を有することが好適である。
【0136】
さらに好適には、OPV又はOPD素子は、例えば、ZTO、MoO
x、NiO
xといった金属酸化物、例えばPEDOT:PSSといった共役ポリマー電解質、例えばポリトリアリールアミン(PTAA)といった共役ポリマー、例えばN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(1−ナフチル)(1,1’−ビフェニル)−4,4’ジアミン(NPB)、N,N’−ジフェニル−N,N’−(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD)といった有機化合物などの材料を含む正孔輸送層及び/又は電子ブロッキング層として作用する、又は、代わりに、例えばZnO
x、TiO
xといった金属酸化物、例えばLiF、NaF、CsFといった塩、例えばポリ[3−(6−トリメチルアンモニウムヘキシル)チオフェン]、ポリ(9,9−ビス(2−エチルヘキシル)−フルオレン]−b−ポリ[3−(6−トリメチルアンモニウムヘキシル)チオフェン]もしくはポリ[(9,9−ビス(3’−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル)−2,7−フルオレン)−アルト−2,7−(9,9−ジオクチルフルオレン)]といった共役ポリマー電解質、又は、例えばトリス(8−キノリノラト)−アルミニウム(III)(Alq
3)、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリンといった有機化合物などの材料を含む正孔ブロッキング層及び/又は電子輸送層として作用する1つ又は複数の追加の緩衝層を活性層と第1の電極又は第2の電極との間に有する。
【0137】
本発明に係るポリマーとフラーレン又は変性フラーレンとのブレンド又は混合物において、比ポリマー:フラーレンは、好適には重量基準で5:1〜1:5、より好適には重量基準で1:1〜1:3、最適には重量基準で1:1〜1:2である。ポリマーバインダもまた、5〜95重量%で含まれ得る。バインダの例としては、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)及びポリメチルメタクリレート(PMMA)が挙げられる。
【0138】
BHJ OPV素子における薄層を製作するために、本発明の化合物、ポリマー、ポリマーブレンド又は配合物が、いずれかの好適な方法により積層され得る。素子の液体コーティングが真空蒸着技術よりも望ましい。溶液堆積法が特に好適である。本発明の配合物では、多数の液体コーティング技術を用いることが可能である。好適な積層技術としては
、特に限定されないが、ディップコーティング、スピンコーティング、インクジェット印刷、ノズル印刷、凸版印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、ドクターブレードコーティング、ローラ捺染、リバースローラ捺染、オフセットリソグラフィ印刷、ドライオフセットリソグラフィ印刷、フレキソ印刷、ウェブ印刷、スプレーコーティング、ディップコーティング、カーテンコーティング、ブラシコーティング、スロットダイコーティング(slot dye coating)又はパッド印刷が挙げられる。OPV素子及びモジュール領域を形成するために、例えばスロットダイコーティング(slot dye coating)、スプレーコーティング等といった、可撓性基板に適応する印刷方法が好適である。
【0139】
PCBMといった、C
60又はC
70フラーレン又は変性フラーレンを有する本発明に係るポリマーのブレンド又は混合物を含有する好適な溶液又は配合物を調製する必要がある。配合物の調製において、好適な溶剤は、p型及びn型の両方の構成要素の完全な溶解が保証され、また、選択された印刷方法によって持ち込まれる境界条件(例えばレオロジー特性)が考慮されるよう選択される必要がある。
【0140】
有機溶剤は一般に、この目的のために用いられる。典型的な溶剤は、塩素化芳香族溶剤を含む、芳香族溶剤、ハロゲン化溶剤又は塩素化溶剤であることが可能である。例としては、これらに限定されないが、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、四塩化炭素、トルエン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、アニソール、モルホリン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、1,4−ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、酢酸エチル、n−酢酸ブチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセタミド、ジメチルスルホキシド、テトラリン、デカリン、インダン、安息香酸メチル、エチル安息香酸塩、メシチレン及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0141】
OPV素子は、例えば、文献から公知のいずれかのタイプのものであることが可能である(例えば、ワルダウフ(Waldauf)ら、アプライドフィジックスレターズ(Appl. Phys. Lett.)、2006年、第89巻、p.233517を参照のこと)。
【0142】
本発明に係る第1の好適なOPV素子は、以下の層:
−任意選択で基板、
−陽極とされる、例えばITOといった金属酸化物を含むことが好適な高仕事関数電極、−例えばPEDOT:PSS(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレン−スルホネート)又はTBD(N,N’−ジフェニル−N−N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’ビフェニル−4,4’−ジアミン)又はNBD(N,N’−ジフェニル−N−N’−ビス(1−ナフチルフェニル)−1,1’ビフェニル−4,4’−ジアミン)のポリマーブレンド又は有機ポリマーを含むことが好適な任意の伝導性ポリマー層又は正孔輸送層、
−例えばp型/n型二重層として、又は、個別のp型及びn型層として、又は、ブレンドもしくはp型及びn型半導体として存在することが可能であり、BHJを形成する、p型及びn型有機半導体を含む「活性層」とも称される層、
−任意選択で、例えばLiFを含む電子輸送特性を有する層、
−陰極とされる、例えばアルミニウムといった金属を含むことが好適な低仕事関数電極、を備え(底から上に向かって順番に)、ここで、好適には陽極である電極の少なくとも一方が可視光に対して透明であり、また
p型半導体は本発明に係るポリマーである。
【0143】
本発明に係る第2の好適なOPV素子は逆OPV素子であって、以下の層:
−任意選択で基板、
−陰極とされる、例えばITOを含む高仕事関数金属又は金属酸化物電極
−TiO
x又はZn
xといった金属酸化物を含むことが好適な、正孔ブロッキング特性を有する層、
−例えばp型/n型二重層、又は、個別なp型及びn型層、又は、ブレンドもしくはp型及びn型半導体として存在することが可能であり、BHJを形成する、電極間に位置するp型及びn型有機半導体を含む活性層、
−例えばPEDOT:PSSもしくはTBDもしくはNBDのポリマーブレンド又は有機ポリマーを含むことが好適な任意の伝導性ポリマー層又は正孔輸送層、
−陽極とされる、例えば銀といった高仕事関数金属を含む電極、
を備え(底から上に向かって順番に)、ここで、好適には陰極である電極の少なくとも一方は、可視光に対して透明であり、また
p型半導体は本発明に係るポリマーである。
【0144】
本発明のOPV素子において、p型及びn型半導体材料は、上記のとおり、ポリマー/フラーレン系といった材料から選択されることが好適である。
活性層が基板上に積層される場合、微細なレベルで相分離が生じるBHJが形成される。微細相分離に対する考察については、デンラー(Dennler)ら、IEEEの予稿集、2005年、第93(8)巻、p.1429、又は、ホッペ(Hoppe)ら、アドバンスドファンクショナルマテリアルズ(Adv.Func.Mater)、2004年、第14(10)巻、p.1005を参照のこと。次いで、任意選択でアニーリングステップが、ブレンドモルフォロジー、従って、OPV素子性能を最適化するために必要となり得る。
【0145】
素子性能を最適化するための他の方法は、高沸点添加剤を含み得るOPV(BHJ)素子を形成するための配合物を調製して、正しい方法で相分離を促進するものである。1,8−オクタンジチオール、1,8−ジヨードオクタン、ニトロベンゼン、クロロナフタレン及び他の添加剤が、高効率太陽電池を達成するために用いられてきている。J.ピート(J.Peet)ら、ネイチャーマテリアルズ(Nat.Mater.)、2007年、第6巻、p.497、又は、フレチェット(Frechet)ら、米国化学会誌(J.Am.Chem.Soc.)、2010年、132巻、p.7595〜7597に例が開示されている。
【0146】
本発明の化合物、ポリマー、配合物及び層は、OFETにおける半導体チャネルとしての使用にも好適である。従って、本発明はまた、ゲート電極、絶縁(又はゲート絶縁体)層、ソース電極、ドレイン電極、及び、ソース電極とドレイン電極とを接続する有機半導体チャネルを備えるOFETを提供し、ここで、有機半導体チャネルは、本発明に係る化合物、ポリマー、ポリマーブレンド、配合物又は有機半導体層を含むものである。OFETの他の特性は当業者に周知である。
【0147】
ゲート誘電体及びドレイン及びソース電極の間に薄膜としてOSC材料が配置されているOFETは一般に公知であり、例えば米国特許第5,892,244号明細書、米国特許第5,998,804号明細書、米国特許第6,723,394号明細書、及び、背景技術において引用されている文献において記載されている。本発明に係る化合物の溶解特性、従って、大表面への塗布加工性を利用した低コストでの製造といった利点により、これらのFETの好適な用途は、集積回路、TFTディスプレイ及びセキュリティ用途などである。
【0148】
OFET素子におけるゲート、ソース及びドレイン電極、ならびに、絶縁及び半導体層
は任意の順番で配置されてもよいが、ただし、ソース及びドレイン電極は絶縁層によってゲート電極から離間されており、ゲート電極及び半導体層の両方が絶縁層に接続されており、ソース電極及びドレイン電極の両方が半導体層に接続されている。
【0149】
本発明に係るOFET素子は:
−ソース電極、
−ドレイン電極、
−ゲート電極、
−半導体層、
−1つ又は複数のゲート絶縁体層、
−任意選択で基板
を備えることが好ましく、ここで、半導体層は、上記及び以下に記載されている化合物、ポリマー、ポリマーブレンド又は配合物を含むことが好適である。
【0150】
OFET素子は、トップゲート素子又はボトムゲート素子であることが可能である。OFET素子の好適な構造及び製作方法は、当業者に公知であり、また、例えば米国特許出願公開第2007/0102696 A1号明細書といった文献に記載されている。
【0151】
ゲート絶縁体層は、例えば市販されているサイトップ 809M(Cytop 809M)(登録商標)又はサイトップ 107M(Cytop 107M)(登録商標)(旭硝子株式会社製)といったフッ素化ポリマーを含むことが好適である。好適には、ゲート絶縁体層は、例えば、絶縁体材料、及び、1個又は複数個のフッ素原子を伴う1種又は複数種の溶剤(フルオロ溶剤)、好適にはパーフルオロ溶剤を含む配合物から、スピンコーティング、ドクターブレード、ワイヤバーコーティング、スプレーもしくはディップコーティング、又は、他の公知の方法により積層される。好適なパーフルオロ溶剤は、例えばFC75(登録商標)(アクロス(Acros)から入手可能、カタログ番号12380)である。他の好適なフッ素化ポリマー及びフルオロ溶剤が、例えば過フッ素化ポリマーテフロン AF(Teflon AF)(登録商標)1600又は2400(イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(DuPont)製)、又は、フルオロペル(Fluoropel)(登録商標)(サイトニックス(Cytonix)製)、又は、パーフルオロ溶剤FC43(登録商標)(アクロス(Acros)、No.12377)のように従来技術において公知である。例えば米国特許出願公開第2007/0102696 A1号明細書又は米国特許第7,095,044号明細書に開示されているとおり、1.0〜5.0、きわめて好適には1.8〜4.0と低い誘電率(又は誘電定数)を有する有機誘電体材料(「低k材料」)が特に好適である。
【0152】
セキュリティ用途においては、トランジスタ又はダイオードといった、本発明に係る半導体材料を伴うOFET及び他の素子を、紙幣、クレジットカードもしくはIDカード、国内ID書面、ライセンスといった価値のある書面、又は、切手、チケット、株券、小切手等といった金銭的価値を有するいずれかの製品を認証し、及び、その偽造を防止するためのRFIDタグ又はセキュリティマーキングに用いられることが可能である。
【0153】
あるいは、本発明に係る材料は、例えばフラットパネルディスプレイ用途におけるアクティブディスプレイ材料として、又は、例えば液晶ディスプレイといったフラットパネルディスプレイのバックライトとして、OLEDにおいて用いられることが可能である。一般的なOLEDは、多層構造を用いて実現されている。発光層は、一般に、1つ又は複数の電子輸送層及び/又は正孔輸送層の間に挟まれている。電圧が印加されることにより、電荷キャリアとしての電子及び正孔が発光層に向かって移動し、ここで再結合することにより、励起され、そして、発光層中に含まれるルモフォア単位が発光する。本発明の化合物、材料及びフィルムは、電気特性及び/又は光学特性に対応して、1つ又は複数の電荷
輸送層及び/又は発光層中において利用され得る。さらに、発光層におけるこれらの使用は、本発明に係る化合物、材料及びフィルムが、それら自身エレクトロルミネッセント特性を示すか、又は、エレクトロルミネッセント基もしくは化合物を含む場合に特に有利である。OLEDにおける使用のための選択、特徴づけ、ならびに、好適な単量体、オリゴマー系及びポリマー化合物又は材料の処理は、一般に、当業者に公知である(例えば、ミューラー(Mueller)ら、シンセチックメタルズ(Synth.Metals)、2000年、第111〜112巻、p.31〜34、アルカラ(Alcala)、ジャーナルオブアプライドフィジックス(J.Appl.Phys.)、2000年、第88巻、p.7124〜7128、及び、これらにおいて引用されている文献を参照のこと)。
【0154】
他の使用によれば、特にフォトルミネッセント特性を示す本発明に係る材料は、欧州特許出願公開第0 889 350 A1号明細書、又は、C.ウェダー(C.Weder)ら、サイエンス(Science)、1998年、第279巻、p.835〜837において記載されているとおり、例えばディスプレイ素子において光源の材料として利用され得る。
【0155】
本発明のさらなる態様は、本発明に係る化合物の酸化型及び還元型の両方に関する。電子が損失又は獲得されることによって高度に非局在化されたイオン形態が形成されることとなり、これは高度に伝導性である。これは、一般的なドーパントに露出されることによって生じることが可能である。好適なドーパント及びドーピング方法は、例えば欧州特許第0 528 662号明細書、米国特許第5,198,153号明細書又は国際公開第96/21659号パンフレットから当業者に公知である。
【0156】
ドーピングプロセスとは、典型的には、レドックス反応における酸化剤又は還元剤で半導体材料を処理して、適用されたドーパントに由来する対応する対イオンを伴って材料中に非局在化イオン中心を形成することを意味する。好適なドーピング方法は、例えば、大気圧又は減圧下におけるドーピング蒸気への露出、ドーパントを含有する溶液中での電気化学ドーピング、熱拡散される半導体材料へのドーパントの接触、及び、半導体材料へのドーパントのイオン注入を含む。
【0157】
電子がキャリアとして用いられる場合、好適なドーパントは、例えば、ハロゲン(例えば、I
2、Cl
2、Br
2、ICl、ICl
3、IBr及びIF)、ルイス酸(例えば、PF
5、AsF
5、SbF
5、BF
3、BCl
3、SbCl
5、BBr
3及びSO
3)、プロトン酸、有機酸又はアミノ酸(例えば、HF、HCl、HNO
3、H
2SO
4、HClO
4、FSO
3H及びClSO
3H)、遷移金属化合物(例えば、FeCl
3、FeOCl、Fe(ClO
4)
3、Fe(4−CH
3C
6H
4SO
3)
3、TiCl
4、ZrCl
4、HfCl
4、NbF
5、NbCl
5、TaCl
5、MoF
5、MoCl
5、WF
5、WCl
6、UF
6及びLnCl
3(式中、Lnはランタノイドである)、アニオン(例えば、Cl
−、Br
−、I
−、I
3−、HSO
4−、SO
42−、NO
3−、ClO
4−、BF
4−、PF
6−、AsF
6−、SbF
6−、FeCl
4−、Fe(CN)
63−、ならびに、アリール−SO
3−などの種々のスルホン酸のアニオン)である。正孔がキャリアとして用いられる場合、ドーパントの例は、カチオン(例えば、H
+、Li
+、Na
+、K
+、Rb
+及びCs
+)、アルカリ金属(例えば、Li、Na、K、Rb及びCs)、アルカリ土類金属(例えば、Ca、Sr及びBa)、O
2、XeOF
4、(NO
2+)(SbF
6−)、(NO
2+)(SbCl
6−)、(NO
2+)(BF
4−)、AgClO
4、H
2IrCl
6、La(NO
3)
36H
2O、FSO
2OOSO
2F、Eu、アセチルコリン、R
4N
+(Rはアルキル基である)、R
4P
+(Rはアルキル基である)、R
6As
+(Rはアルキル基である)、及びR
3S
+(Rはアルキル基である)である。
【0158】
本発明の化合物の伝導形態は、特にこれらに限定されないが、OLED用途における電荷注入層及びITO平坦化層、フラットパネルディスプレイ及びタッチスクリーンのためのフィルム、帯電防止フィルム、印刷された伝導性基板、印刷回路基板及びコンデンサなどの電子用途におけるパターン又はトラクト(tract)を含む用途において有機「金属」として用いられることが可能である。
【0159】
本発明に係る化合物及び配合物はまた、例えばコーラー(Koller)ら、ネイチャーフォトニクス(Nat.Photonics)、2008年、第2巻、p.684に記載されているとおり、有機プラズモン発光ダイオード(OPED)における使用に好適であり得る。
【0160】
他の使用によれば、本発明に係る材料は、例えば米国特許出願公開第2003/0021913号明細書に記載されているとおり、LCDもしくはOLED素子におけるアライメント層において、又は、これらの層として単独で、もしくは、他の材料と一緒に用いられることが可能である。本発明に係る電荷輸送化合物を使用することにより、アライメント層の導電性を高めることが可能である。LCDにおいて用いられる場合、この高い導電性によって、切替可能なLCDセルにおける悪影響を及ぼす残留dc効果が低減され、残像が抑制可能であり、又は、例えば強誘電性LCDにおいて、強誘電性LCの自然分極電荷の切替によってもたらされる残留電荷が低減可能である。アライメント層上に設けられた発光材料を備えるOLED素子において用いられる場合、この高い導電性により、発光材料のエレクトロルミネセンスが増強可能である。メソゲン又は液晶特性を有する本発明に係る化合物又は材料により上記のとおり配向された異方性フィルムを形成可能であり、これらは、前記異方性フィルムに提供される液晶媒体におけるアライメントを誘起又は増強するためのアライメント層として特に有用である。本発明に係る材料はまた、米国特許出願公開第2003/0021913 A1号明細書に記載されているとおり、フォトアライメント層において、又は、これらの層として用いられるよう、光異性化能を有する化合物及び/又は発色団と組み合わされてもよい。
【0161】
他の使用によれば、特にその水溶性誘導体(例えば極性又はイオン性側基を伴う)又はイオンドープ形態での本発明に係る材料は、DNA配列を検出及び識別するための化学センサー又は材料として利用可能である。このような使用は、例えばL.チェン(L.Chen)、D.W.マックブランチ(D.W.McBranch)、H.ワン(H.Wang)、R.ヘルゲソン(R.Helgeson)、F.ウドル(F.Wudl)及びD.G.ウィッテン(D.G.Whitten)、米国科学アカデミー紀要(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.)、1999年、第96巻、p.12287;D.ワン(D.Wang)、X.ゴン(X.Gong)、P.S.ヒーガー(P.S.Heeger)、F.リニンスランド(F.Rininsland)、G.C.バザン(G.C.Bazan)及びA.J.ヒーガー(A.J.Heeger)、米国科学アカデミー紀要(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.)、2002年、第99巻、p.49;N.ジセサレ(N.DiCesare)、M.R.ピノト(M.R.Pinot)、K.S.シャンゼ(K.S.Schanze)及びJ.R.ラコウィクス(J.R.Lakowicz)、ラングミュア(Langmuir)、2002年、第18巻、p.7785;D.T.マクエード(D.T.McQuade)、A.E.プレン(A.E.Pullen)、T.M.スウェイガー(T.M.Swager)、ケミカルレビュー(Chem.Rev.)、2000年、第100巻、p.2537に記載されている。
【0162】
文脈において他に明らかな記載がある場合を除き、本明細書において用いられるところ、本明細書における複数形の用語は、単数形を含むと解釈されるべきであり、逆もまた同様である。
【0163】
本明細書の記載及び特許請求の範囲全体を通して、「を含む(comprise)」及び「を含有する(contain)」という語、ならびに、例えば「を含む(comprising)」及び「を含む(comprises)」といったこれらの語の変形は、「特にこれらに限定されないが、〜を含む(including)」を意味し、他の要素を排除することは意図されていない(排除されない)。
【0164】
本発明の範囲内に属している限りにおいては、本発明の前述の実施形態に変更を加えることが可能であることが理解されるであろう。本明細書において開示されている各特性は、他に定めがある場合を除き、同じ、均等又は同様の目的のために代わりの特性によって置き換えられてもよい。それ故、他に定めがある場合を除き、開示されている各特性は、一連の一般的な均等又は同様の特性の単なる一例である。
【0165】
本明細書に開示されているすべての特性は、このような特性及び/又はステップの少なくともいくつかが相互に排他的である組み合わせを除き、いずれかの組み合わせで組み合わされてもよい。特に、本発明の好適な特性は本発明のすべての態様に対して適用可能であり、いずれかの組み合わせで用いられてもよい。同様に、必須ではない組み合わせで記載された特性は(組み合わせではなく)個別に用いられてもよい。
【0166】
特に、好適な実施形態の上記の特性の多くは、単に本発明の実施形態の一部としてではなく、独立して進歩性を有するものであることが認識されるであろう。ここに特許請求されている発明のいずれかに追加して、又は、その代わりに、これらの特性に対する独立した保護が求められ得る。
【0167】
上記及び以下において、他に定めがある場合を除き、割合は、重量を基準とした百分率であり、温度は摂氏である。誘電定数ε(「誘電率(permittivity)」)の値は、20℃及び1,000Hzで得られる値を指す。
【0168】
ここで、単なる例示であり本発明の範囲を限定しない以下の実施例を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【実施例】
【0169】
実施例1
トリイソプロピル−チオフェン−2−イル−シラン
【0170】
【化20】
チオフェン(20.0g、238mmol)の無水テトラヒドロフラン(200cm
3)中の溶液に、−78℃、窒素雰囲気下で、n−ブチルリチウム(ヘキサン中に2.5M、100cm
3、250mmol)を45分間かけて滴下する。添加の後、この反応混合物を−78℃で1時間撹拌する。トリイソプロピルシリルトリフルオロメタンスルホネート(83cm
3、310mmol)を滴下し、反応混合物を−78℃でさらに1時間、及び、23℃で17時間撹拌する。この反応混合物を水(500cm
3)で失活させ、有機物をジエチルエーテルで抽出する(4×150cm
3)。組み合わせた有機層を重炭酸ナトリウムの飽和水溶液(100cm
3)、続いて、塩水(100cm
3)で洗浄する。有
機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、溶剤を減圧中で除去してトリイソプロピル−チオフェン−2−イル−シラン(48.0g、84%)を濃い茶色の油として得る。MS(m/e):240(M+、100%)。
1H NMR(300MHz,CDCl
3)7.63〜7.61(1H,m,ArH),7.30(1H,d,ArH,J 3.3),7.22(1H,dd,ArH,J 3.3,3.3),1.38〜1.30(3H,m,CH),1.11〜1.09(18H,m,CH
3)。
(5−ヨード−チオフェン−2−イル)−トリイソプロピル−シラン
【0171】
【化21】
トリイソプロピル−チオフェン−2−イル−シラン(10.0g、41.6mmol)の無水テトラヒドロフラン(100cm
3)中の溶液に、−30℃、窒素雰囲気下で、リチウムジイソプロピルアミン(テトラヒドロフラン中に2.0M、22.9cm
3、45.7mmol)を30分間かけて添加する。添加の後、この反応混合物を0℃に温め、0℃で30分間撹拌する。この反応混合物を−78℃に冷却し、ヨウ素(12.7g、49.9mmol)の無水テトラヒドロフラン(100cm
3)中の溶液を添加し、この反応混合物を23℃で17時間撹拌する。この反応混合物を水(500cm
3)で希釈し、有機物を40−60石油(4×200cm
3)で抽出する。この組み合わせた有機層を水性塩酸(1.0M、2×100cm
3)、塩水(100cm
3)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、次いで、ろ過する。このろ液を減圧中で濃縮して、(5−ヨード−チオフェン−2−イル)−トリイソプロピル−シラン(10g、79%)をオフホワイトの固体として得る。MS(m/e):367(M+、100%)。
1H NMR(300MHz,CDCl
3)7.30(1H,d,ArH,J 3.5),6.95(1H,d,ArH,J 3.5),1.33〜1.24(3H,m,CH),1.10〜1.05(18H,m,CH
3)。
1,4−ジブロモ−2,5−ビス−トリメチルシラニルエチニル−ベンゼン
【0172】
【化22】
1,4−ジブロモ−2,5−ジヨード−ベンゼン(15.0g、31mmol)及びエチニル−トリメチル−シラン(6.0g、62mmol)のテトラヒドロフラン(150cm
3)中の溶液に、窒素雰囲気下に、室温で、ジイソプロピルアミン(90cm
3、640mmol)、ヨウ化銅(I)(353mg、1.9mmol)及びビス(トリフェニルホスフィン)塩化パラジウム(II)(60mg、0.9mmol)を添加する。得られる混合物を23℃で17時間撹拌し、水(100cm
3)に注ぎ入れ、ジエチルエーテル(5×50cm
3)で抽出する。この組み合わせた有機層を水(50cm
3)、塩水(50cm
3)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、次いで、ろ過する。このろ液
を減圧中で濃縮して油状の残渣を得る。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(40−60石油)を用いて精製して油状の残渣を得る。得られる油をメタノールで倍散してきめ細かなクリーム状の沈殿物を形成し、これをろ過し、メタノールでよく洗浄して1,4−ジブロモ−2,5−ビス−トリメチルシラニルエチニル−ベンゼン(11g、84%)をクリーム状の固体として得た。MS(m/e):428(M+、100%)。
1H NMR(300MHz,CDCl
3)7.67(2H,s,ArH),0.27(18H,s,CH
3)。
1,4−ジブロモ−2,5−ジエチニル−ベンゼン
【0173】
【化23】
1,4−ジブロモ−2,5−ビス−トリメチルシラニルエチニル−ベンゼン(8.0g、19mmol)のテトラヒドロフラン(30cm
3)及びメタノール(70cm
3)中の溶液に、水酸化カリウム(2M、10cm
3)の水溶液を添加する。この反応混合物を23℃で17時間撹拌する。混合物を水(250cm
3)に注ぎ入れ、生成物をジエチルエーテル(5×100cm
3)で抽出する。この組み合わせた有機層を塩水(70cm
3)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過する。このろ液を減圧中で濃縮し、粗生成物をメタノール(50cm
3)で倍散する。この固体をろ過により回収して、1,4−ジブロモ−2,5−ジエチニル−ベンゼン(5.0g、93%)を白色の固体として得る。
1H NMR(300MHz,CDCl
3)7.72(2H,s,ArH),3.50(2H,s,CH)。
(5,5’−(2,5−ジブロモ−1,4−フェニレン)ビス(エチン−2,1−ジイル)ビス(チオフェン−5,2−ジイル))ビス(トリイソプロピルシラン)
【0174】
【化24】
1,4−ジブロモ−2,5−ジエチニル−ベンゼン(2.0g、7.0mmol)及び(5−ヨード−チオフェン−2−イル)−トリイソプロピル−シラン(9.5g、16mmol)のテトラヒドロフラン(50cm
3)中の溶液に、窒素雰囲気下、23℃で、ジイソプロピルアミン(20.6cm
3、146mmol)、ヨウ化銅(I)(81mg、0.4mmol)及びビス(トリフェニルホスフィン)塩化パラジウム(II)(137mg、0.2mmol)を添加する。得られる混合物を23℃で17時間撹拌する。この反応混合物を、水(200cm
3)に注ぎ入れ、次いで、ジエチルエーテル(5×50c
m
3)で抽出する。この組み合わせた有機層を水(50cm
3)、塩水(50cm
3)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、次いで、ろ過する。このろ液を減圧中で濃縮し、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(40−60石油:ジエチルエーテル;9:1)を用いて精製して、(5,5’−(2,5−ジブロモ−1,4−フェニレン)ビス(エチン−2,1−ジイル)ビス(チオフェン−5,2−ジイル))ビス(トリイソプロピルシラン)(3.6g、67%)を薄いクリーム状の固体として得る。
1H NMR(300MHz,CDCl
3)7.80(2H,s,ArH),7.50(2H,d,ArH,J 3.5),7.23(2H,d,ArH,J 3.5),1.42〜1.35(6H,m,CH),1.16〜1.14(36H,m,CH
3)。
(5,5’−(2,5−ビス(メチルチオ)−1,4−フェニレン)ビス(エチン−2,1−ジイル)ビス(チオフェン−5,2−ジイル))−ビス(トリイソプロピルシラン)
【0175】
【化25】
(5,5’−(2,5−ジブロモ−1,4−フェニレン)ビス(エチン−2,1−ジイル)ビス(チオフェン−5,2−ジイル))ビス(トリイソプロピルシラン)(2.2g、2.9mmol)の無水テトラヒドロフラン(100cm
3)中の溶液に、−78℃、窒素雰囲気下で、t−ブチルリチウム(ヘプタン中に1.7M、6.8cm
3、12mmol)を30分間かけて滴下する。添加の後、この反応混合物を−78℃で30分間撹拌し、その後、メチルジスルファニルメタン(0.8g、8.7mmol)を一度に添加する。添加の後、氷浴を外し、得られる黄色の密な懸濁液を23℃で17時間撹拌する。この反応混合物を水(250cm
3)で失活させ、30分間撹拌して、沈殿物を得る。この沈殿物をろ過により回収し、40−60石油でよく洗浄して、(5,5’−(2,5−ビス(メチルチオ)−1,4−フェニレン)ビス(エチン−2,1−ジイル)ビス(チオフェン−5,2−ジイル))−ビス(トリイソプロピルシラン)(0.8g、39%)を薄い黄色の固体として得る。
1H NMR(300MHz,CDCl
3)7.42(2H,d,ArH,J 3.5),7.25(2H,s,ArH),7.18(2H,d,ArH,J 3.5),2.52(6H,s,CH
3),1.37〜1.30(6H,m,CH),1.12〜1.10(36H,m,CH
3)。
3,7−ジヨード−2,6−ビス−(5−トリイソプロピルシラニル−チオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン
【0176】
【化26】
ヨウ素(5.6g、22mmol)の無水ジクロロメタン(300cm
3)中の溶液に、窒素雰囲気下に、室温で、(5,5’−(2,5−ビス(メチルチオ)−1,4−フェニレン)ビス(エチン−2,1−ジイル)ビス(チオフェン−5,2−ジイル))−ビス(トリイソプロピルシラン)(3.8g、5.5mmol)を25分間かけてゆっくりと添加する。添加の後、得られる濃い茶色の密な懸濁液を23℃で65時間撹拌する。得られる密な懸濁液をろ過し、固体を、水(50cm
3)、続いて、アセトン(50cm
3)でよく洗浄する。粗生成物を温かいジクロロメタン(100cm
3)で撹拌し、沈殿物をろ過により回収し、ジクロロメタン(20cm
3)で洗浄して、3,7−ジヨード−2,6−ビス−(5−トリイソプロピルシラニル−チオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン(4.2g、84%)を得る。
1H NMR(300MHz,CHCl
3)7.28(2H,d,ArH,J 3.5),6.95(2H,d,ArH,J 3.5),1.33〜1.24(6H,m,CH),1.10〜1.07(36H,m,CH
3)。
2,6−ビス−(5−トリイソプロピルシラニル−チオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−3,7−ジカルボン酸ジエチルエステル
【0177】
【化27】
3,7−ジヨード−2,6−ビス−(5−トリイソプロピルシラニル−チオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン(4.0g、4.4mmol)の無水テトラヒドロフラン(200cm
3)中の溶液に、−50℃、窒素雰囲気下で、t−ブチルリチウム(ヘプタン中に1.7M、10.5cm
3、18mmol)を50分間かけて滴下する。添加の後、この反応混合物を30分間撹拌し、次いで、−78℃に冷却する。エチルクロロホルメート(1.2g、11mmol)の無水テトラヒドロフラン(20cm
3)中の溶液を10分間かけて滴下し、反応混合物を23℃で17時間撹拌する。得られるきめ細かな懸濁液を水(50cm
3)で失活させ、ろ過により回収する。この固体をメタノール(20cm
3)、続いて、40−60石油(20cm
3)で洗浄する。次いで、粗生成物を薄いシリカのプラグ(温かなクロロホルム)を通してろ過して固体を得、これをアセトン中で倍散し、ろ過により回収して、2,6−ビス−(5−トリイソプロピルシラニル−チオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジ
チオフェン−3,7−ジカルボン酸ジエチルエステル(2.5g、69%)をクリーム状の固体として得る。
1H NMR(300MHz,CDCl
3)8.69(2H,s,ArH),7.54(2H,d,ArH,J 3.5),7.25(2H,d,ArH,J
3.5),4.40(4H,q,CH
2,J 7.2),1.41〜1.28(12H,m,CH),1.16〜1.13(36H,m,CH
3)。
ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]−ジ−[4,4−ビス−(4−ドデシルフェニル)−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン−2−イル]−トリイソプロピルシラン
【0178】
【化28】
1−ブロモ−4−ドデシル−ベンゼン(1.30g、4.0mmol)の無水ジエチルエーテル(60cm
3)中の溶液に、窒素雰囲気下、−78℃で、t−ブチルリチウム(ヘプタン中に1.7M、4.7cm
3、8.0mmol)を30分間かけて滴下し、続いて、30分間攪拌する。次いで、2,6−ビス−(5−トリイソプロピルシラニル−チオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−3,7−ジカルボン酸ジエチルエステル(0.6g、0.7mmol)を添加し、続いて、23℃で17時間攪拌する。この反応混合物を減圧中で濃縮し、この残渣に、無水ジクロロメタン(50cm
3)、続いて、トルエン−4−スルホン酸(1.5g、8.8mmol)を添加する。この反応混合物を23℃で17時間撹拌する。反応混合物を減圧中で濃縮し、この残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(40−60石油)を用いて精製する。カラムからの生成物をメタノールで倍散し、固体をろ過により回収して、ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]−ジ[4,4−ビス−(4−ドデシルフェニル)−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン−2−イル]−トリイソプロピルシラン(140mg、12%)を薄い黄色の固体として得る。
1HーNMR(300MHz,CDCl
3)7.89(2H,bs,ArH),7.17(2H,s,ArH),7.15(8H,d,ArH,J 8.3),7.03(8H,d,ArH,J 8.3),2.55〜2.50(8H,m,CH
2),1.58〜1.53(8H,m,CH
2),1.37〜1.23(78H,m,CH及びCH
2),1.10〜1.08(36H,m,CH
3),0.87(12H,t,CH
3,J 6.6)。
ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]−ジ−[4,4−ビス−(4−ドデシルフェニル)−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン−2−イル]
【0179】
【化29】
テトラブチルアンモニウムフロリド(298mg、1.2mmol)の無水ジクロロメタン(5cm
3)中の溶液を、ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]−ジ−[4,4−ビス−(4−ドデシルフェニル)−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン−2−イル]−トリイソプロピルシラン(550mg、0.3mmol)の無水ジクロロメタン(5cm
3)中の溶液に、窒素雰囲気下に0℃で滴下する。次いで、この反応混合物を23℃で17時間撹拌する。この反応混合物を水(20cm
3)で希釈し、ジエチルエーテル(3×30cm
3)で抽出し、組み合わせた有機層を塩水(30cm
3)で洗浄する。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、減圧中で溶剤を除去する。得られる残渣をメタノール(50cm
3)で倍散して明るい懸濁液を形成する。この固体をろ過により回収し、メタノールでよく洗浄して、ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]−ジ−[4,4−ビス−(4−ドデシルフェニル)−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン−2−イル](300mg、67%)を濃い赤色の固体として得る。
1HーNMR(300MHz,CDCl
3)7.88(2H,s,ArH),7.24(2H,d,ArH,J 5.0),7.15(8H,d,ArH,J 8.3),7.05(2H,d,ArH,J 5.0),7.04(8H,d,ArH,J
8.3),2.55〜2.50(8H,m,CH
2),1.60〜1.50(8H,m,CH
2),1.34〜1.24(78H,m,CH及びCH
2),0.87(12H,t,CH
3,J 6.6)。
ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]−ジ−(2−ブロモ[4,4−ビス−(4−ドデシルフェニル)−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン−2−イル])
【0180】
【化30】
1−ブロモ−ピロリジン−2,5−ジオン(66.9mg、0.4mmol)を、ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]−ジ−[4,4−ビス−(4−ドデシルフェニル)−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン−2−イル](300mg、0.2mmol)の無水テトラヒドロフラン(40cm
3)中の溶液に、窒素雰囲気下、暗中に、0℃で数回に分けて添加する。添加の後、この反応混合物を23℃で17時間撹拌する。この反応混合物を減圧中で濃縮し、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラ
フィー(40−60石油〜クロロホルムの勾配)を用いて精製して、ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]−ジ−(2−ブロモ[4,4−ビス−(4−ドデシルフェニル)−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン−2−イル])(280mg、84%)を明るいオレンジ色の固体として得る。
1HーNMR(300MHz,CDCl
3)7.85(2H,s,ArH),7.12(8H,d,ArH,J 8.3),7.08(2H,s,ArH),7.05(8H,d,ArH,J 8.3),2.55〜2.50(8H,m,CH
2),1.56〜1.53(8H,m,CH
2),1.30〜1.24(72H,m,CH
2),0.87(12H,t,CH
3,J 6.6)。
ポリ{2,17−[ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]−ジ−[4,4−ビス−(4−ドデシルフェニル)−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン−2−イル]]}−アルト−{2,2’−ビチオフェン}(ポリマー1)
【0181】
【化31】
窒素ガスを、ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]−ジ−(2−ブロモ[4,4−ビス−(4−ドデシルフェニル)−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン−2−イル])(260mg、0.2mmol)及び5,5’−ビス−トリメチルスタナニル−[2,2’]ビチオフェニル(84.5mg、0.2mmol)の無水トルエン(4cm
3)及び無水N,N−ジメチルホルムアミド(0.5cm
3)中の混合物に1時間通気させる。トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(6.3mg、0.007mmol)及びトリ−o−トリル−ホスフィン(8.4mg、0.027mmol)を反応混合物に添加し、続いて、100℃で17時間加熱する。この反応混合物をメタノール(100cm
3)に注ぎ入れ、ポリマー沈殿物をろ過により回収する。粗ポリマーを逐次的なソックスレー抽出に供する;メタノール、アセトン、40−60石油、80−100石油、シクロヘキサン及びクロロホルム。クロロホルム抽出物をメタノール(100cm
3)に注ぎ入れ、ポリマー沈殿物をろ過により回収して、ポリ{2,17−[ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]−ジ−[4,4−ビス−(4−ドデシルフェニル)−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン−2−イル]]}−アルト−{2,2’−ビチオフェン}(150mg、45%)を赤色の固体として得る。GPC(クロロベンゼン、50℃)M
n=49,200g/mol、M
w=96,600g/mol。
実施例2
2,6−ビス−トリメチルスタナニル−ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン
【0182】
【化32】
ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン(4.00g、21.0mmol)の無水テトラヒドロフラン(160cm
3)中の懸濁液に、−78℃で、t−ブチルリチウム(30.9cm
3、52.6mmol、ペンタン中に1.7M)を30分間かけて滴下する。得られる混合物を−78℃で2時間撹拌し、続いて、トリメチルスズクロリド(63.0cm
3、63.0mmol、ヘキサン中に1M)を添加する。氷浴を外し、反応混合物を23℃で4時間撹拌する。ジエチルエーテル(500cm
3)を添加し、有機物を水性重炭酸ナトリウム(100cm
3、2M)、水(100cm
3)及び塩水(100cm
3)で洗浄する。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、溶剤を減圧中で除去する。粗生成物をアセトニトリル中に倍散し、固体をろ過により回収して、2,6−ビス−トリメチルスタナニル−ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン(8.5g、78%)を白色の固体として得る。
1HーNMR(300MHz,CDCl
3)8.27(2H,s,ArH),7.41(2H,m,ArH),0.44(19H,m,CH
3)。
2,6−ビス(2−チオフェン−3−カルボン酸メチルエステル)−ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン
【0183】
【化33】
2−ブロモ−チオフェン−3−カルボン酸メチルエステル(7.54g、34.1mmol)及び2,6−ビス−トリメチルスタナニル−ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン(8.00g、15.5mmol)の無水トルエン(100cm
3)及び無水N,N−ジメチルホルムアミド(12.5cm
3)中の溶液を、溶液中に窒素を30分間通気させることにより脱気する。次いで、溶液を40℃に加熱し、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(568mg、0.62mmol)及びトリ−o−トリル−ホスフィン(755mg、2.48mmol)を添加する。この溶液を110℃で17時間加熱する。混合物を23℃に冷却させ、メタノール(100cm
3)に注ぎ入れる。この固体をろ過により回収し、メタノール(100cm
3)で洗浄して2,6−ビス(2−チオフェン−3−カルボン酸メチルエステル)−ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン(6.0g、82%)を明るい黄色の固体として得る。
1HーNMR(300MHz,CDCl
3)8.22(2H,s,ArH),7.78(2H,s,ArH),7.54(2H,d,ArH,J 5.5),7.30(2H,d,ArH,J 5.5),3.87(6H,s,CH
3)。
[2−(6−{3−[ビス−(4−ヘキサデシル−フェニル)−ヒドロキシ−メチル]−チオフェン−2−イル}−ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−2−イル
)−チオフェン−3−イル]−ビス−(4−ヘキサデシルフェニル)−メタノール
【0184】
【化34】
1−ブロモ−4−ヘキサデシル−ベンゼン(8.11g、21.2mmol)の無水テトラヒドロフラン(150cm
3)中の懸濁液に、−78℃で、t−ブチルリチウム(22.4cm
3、42.5mmol、ペンタン中に1.9M)を30分間かけて滴下する。この反応混合物を−78℃で1時間撹拌し、その後、2,6−ビス(2−チオフェン−3−カルボン酸メチルエステル)−ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン(2.00g、4.25mmol)を添加する。この反応混合物を、−78℃で2時間、次いで、23℃で17時間撹拌する。水(150cm
3)を添加し、有機物をジエチルエーテル(5×60cm
3)で抽出する。この組み合わせた有機層を塩水(100cm
3)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、溶剤を減圧中で除去する。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(40−60石油)により精製して、2−(6−{3−[ビス−(4−ヘキサデシル−フェニル)−ヒドロキシ−メチル]−チオフェン−2−イル}−ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−2−イル)−チオフェン−3−イル]−ビス−(4−ヘキサデシル−フェニル)−メタノール(2.5g、36%)を無色の油として得る。
1HーNMR(300MHz,CDCl
3)7.81(2H,s,ArH),7.21〜7.07(18H,m,ArH),6.77(2H,s,ArH),6.46(2H,d,ArH,J 5.4),3.40(2H,s,OH),2.59(8H,t,CH
2,J 7.6),1.65〜1.52(8H,m,CH
2),1.39〜1.16(104H,m,CH
2),0.93〜0.82(12H,m,CH
3)。
ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]−ジ−[4,4−ビス−(4−ヘキサデシルフェニル)−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン−2−イル]
【0185】
【化35】
2−(6−{3−[ビス−(4−ヘキサデシル−フェニル)−ヒドロキシ−メチル]−チオフェン−2−イル}−ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−2−イル)−チオフェン−3−イル]−ビス−(4−ヘキサデシルフェニル)−メタノール(2.50g、1.55mmol)のトルエン(150cm
3)中の溶液を、溶液に窒素を通気することにより脱気する。アンバーリスト15(Amberlyst 15)(10g)を添加し、この反応混合物をさらに1時間脱気し、次いで、60℃で4時間加熱する。この反応混合物を23℃に冷却させ、ろ過し、この固体をジクロロメタン(200cm
3)で洗浄する。溶剤を減圧中でろ液から除去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(40−60石油)により精製して、ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]−ジ−[4,4−ビス−(4−ヘキサデシルフェニル)−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン−2−イル](1.40g、84%)を濃い黄色の固体として得る。
1HーNMR(300MHz,CDCl
3)7.88(2H,s,ArH),7.24(2H,d,ArH,J 4.9),7.18〜7.01(18H,m ArH),2.52(8H,t,CH
2,J 7.8),1.62〜1.49(8H,m,CH
2),1.36〜1.15(104H,m,CH
2),0.92〜0.81(12H,m,CH
3)。
ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]−ジ−(2−ブロモ[4,4−ビス−(4−ヘキサデシルフェニル)−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン−2−イル])
【0186】
【化36】
1−ブロモ−ピロリジン−2,5−ジオン(317mg、1.77mmol)を、ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]−ジ−[4,4−ビス−(4−ヘキサデシルフェニル)−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン−2−イル](1400mg、0.89mmol)の無水テトラヒドロフラン(150cm
3)中の溶液に、窒素雰囲気下、暗中に、0℃で数回に分けて添加する。添加の後、この反応混合物を23℃で17時間撹拌する。この反応混合物を減圧中で濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラ
フィー(40−60石油〜クロロホルムの勾配)により精製して、ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]−ジ−(2−ブロモ[4,4−ビス−(4−ヘキサデシルフェニル)−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン−2−イル])(1300mg、84%)を明るいオレンジ色の固体として得る。
1HーNMR(300MHz,CDCl
3)7.85(2H,s,ArH),7.12(8H,d,ArH,J 8.3),7.08(2H,s,ArH),7.05(8H,d,ArH,J 8.3),2.53(8H,t,CH
2,J 7.8),1.62〜1.48(8H,m,CH
2),1.38〜1.13(104H,m,CH
2),0.92〜0.79(12H,m,CH
3)。
ポリ{2,17−[ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]−ジ−[4,4−ビス−(4−ヘキサデシルフェニル)−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン−2−イル]]}−アルト−{2,5−チエノ[3,2−b]チオフェン}(ポリマー2)
【0187】
【化37】
ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]−ジ−(2−ブロモ[4,4−ビス−(4−ヘキサデシルフェニル)−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン−2−イル])(300mg、0.173mmol)及び2,5−ビス−トリメチルスタナニル−チエノ[3,2−b]チオフェン(80.4mg、0.173mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(2.4mg、0.003mmol)及びトリ−o−トリル−ホスフィン(4.2mg、0.014mmol)及び無水トルエン(6cm
3)の混合物中に1時間窒素ガスを通気させる。この反応混合物を、予熱しておいた油浴中において、100℃で20分間加熱する。ブロモベンゼン(0.04cm
3)を添加し、混合物を100℃で10分間加熱する。トリブチルフェニルスタナン(0.17cm
3)を添加し、混合物を100℃で20分間加熱する。この反応混合物をメタノール(100cm
3)に注ぎ入れ、ポリマー沈殿物をろ過により回収する。粗ポリマーを逐次的なソックスレー抽出に供する;アセトン、40−60石油、シクロヘキサン及びクロロホルム。クロロホルム抽出物をメタノール(100cm
3)に注ぎ入れ、ポリマー沈殿物をろ過により回収して、ポリ{2,17−[ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]−ジ−[4,4−ビス−(4−ヘキサデシルフェニル)−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン−2−イル]]}−アルト−{2,5−チエノ[3,2−b]チオフェン}(220mg、74%)を赤色の固体として得る。GPC(クロロベンゼン、50℃)M
n=42,000g/mol、M
w=350,000g/mol。
実施例3
[2−(6−{3−[ビス−(4−オクタデシル−フェニル)−ヒドロキシ−メチル]−チオフェン−2−イル}−ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−2−イル)−チオフェン−3−イル]−ビス−(4−ヘキサデシルフェニル)−メタノール
【0188】
【化38】
1−ブロモ−4−オクタデシル−ベンゼン(15.7g、38.2mmol)の無水テトラヒドロフラン(150cm
3)中の懸濁液に、−78℃で、t−ブチルリチウム(33.6cm
3、63.7mmol、ペンタン中に1.9M)を30分間かけて滴下する。この反応混合物を−78℃で1時間撹拌し、その後、2,6−ビス(2−チオフェン−3−カルボン酸メチルエステル)−ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン(3.00g、6.38mmol)を添加する。この反応混合物を−78℃で2時間、次いで、23℃で17時間撹拌する。水(150cm
3)を添加し、有機物をジエチルエーテル(5×60cm
3)で抽出する。この組み合わせた有機層を塩水(100cm
3)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、溶剤を減圧中で除去する。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(40−60石油)により精製して、2−(6−{3−[ビス−(4−オクタデシル−フェニル)−ヒドロキシ−メチル]−チオフェン−2−イル}−ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−2−イル)−チオフェン−3−イル]−ビス−(4−ヘキサデシル−フェニル)−メタノール(3.0g、27%)を無色の油として得る。
1HーNMR(300MHz,CDCl
3)7.81(2H,s,ArH),7.20〜7.07(18H,m,ArH),6.77(2H,s,ArH),6.46(2H,d,ArH,J 5.4),3.39(2H,s,OH),2.59(8H,t,CH
2,J 7.7),1.63〜1.53(8H,m,CH
2),1.36〜1.18(120H,m,CH
2),0.91〜0.83(12H,m,CH
3)。
ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]−ジ−[4,4−ビス−(4−オクタデシルフェニル)−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン−2−イル]
【0189】
【化39】
[2−(6−{3−[ビス−(4−オクタデシル−フェニル)−ヒドロキシ−メチル]−チオフェン−2−イル}−ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−2−イル)−チオフェン−3−イル]−ビス−(4−ヘキサデシルフェニル)−メタノール(3.00g、1.74mmol)のトルエン(150cm
3)中の溶液を、溶液中に窒素を通気することにより脱気する。アンバーリスト15(Amberlyst 15)(10g)を添加し、この反応混合物をさらに1時間脱気し、次いで、60℃で4時間加熱する。この反応混合物を23℃に冷却させ、ろ過し、この固体をジクロロメタン(200cm
3)で洗浄する。溶剤を減圧中でろ液から除去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(40−60石油)により精製して、ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]−ジ−[4,4−ビス−(4−オクタデシルフェニル)−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン−2−イル](1.70g、58%)を濃い黄色の固体として得る。
1HーNMR(300MHz,CDCl
3)7.88(2H,s,ArH),7.24(2H,d,ArH,J 5.0),7.15(8H,d,ArH,J 8.3),7.08(2H,d,ArH,J 5.0),7.02(8H,d,ArH,J 8.0),2.52(8H,t,CH
2,J 7.8),1.61〜1.48(8H,m,CH
2),1.37〜1.16(120H,m,CH
2),0.91〜0.83(12H,m,CH
3)。
ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]−ジ−(2−ブロモ[4,4−ビス−(4−オクタデシルフェニル)−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン−2−イル])
【0190】
【化40】
1−ブロモ−ピロリジン−2,5−ジオン(357mg、2.01mmol)を、ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]−ジ−[4,4−ビス−(4−オクタデシルフェニル)−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン−2−イル](1700mg、1.00mmol)の無水テトラヒドロフラン(150cm
3)中の溶液に、窒素雰囲気下、暗中に、0℃で数回に分けて添加する。添加の後、この反応混合物を23℃で17時間撹拌する。この反応混合物を減圧中で濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(40−60石油〜クロロホルムの勾配)により精製して、ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]−ジ−(2−ブロモ[4,4−ビス−(4−オクタデシルフェニル)−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン−2−イル])(1500mg、81%)を明るいオレンジ色の固体として得る。
1HーNMR(300MHz,CDCl
3)7.85(2H,s,ArH),7.12(8H,d,ArH,J 8.3),7.08(2H,s,ArH),7.05(8H,d,ArH,J 8.3),2.53(8H,t,CH
2,J 7.8),1.62〜1.49(8H,m,CH
2),1.37〜1.15(120H,m,CH
2),0.92〜0.82(12H,m,CH
3)。
ポリ{2,17−[ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]−ジ−[4,4−ビス−(4−オクタデシルフェニル)−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン−2−イル]]}−アルト−{2,5−チエノ[3,2−b]チオフェン}(ポリマー
3)
【0191】
【化41】
窒素ガスを、ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]−ジ−(2−ブロモ[4,4−ビス−(4−オクタデシルフェニル)−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン−2−イル])(200mg、0.107mmol)及び2,5−ビス−トリメチルスタナニル−チエノ[3,2−b]チオフェン(49.9mg、0.107mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(1.5mg、0.002mmol)及びトリ−o−トリル−ホスフィン(2.6mg、0.009mmol)及び無水トルエン(6cm
3)の混合物に1時間通気させる。この反応混合物を、予熱しておいた油浴中において、100℃で20分間加熱する。ブロモベンゼン(0.02cm
3)を添加し、混合物を100℃で10分間加熱する。トリブチルフェニルスタナン(0.11cm
3)を添加し、混合物を100℃で20分間加熱する。この反応混合物をメタノール(100cm
3)に注ぎ入れ、ポリマー沈殿物をろ過により回収する。粗ポリマーを逐次的なソックスレー抽出に供する;アセトン、40−60石油、シクロヘキサン及びクロロホルム。クロロホルム抽出物をメタノール(100cm
3)に注ぎ入れ、ポリマー沈殿物をろ過により回収して、ポリ{2,17−[ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]−ジ−[4,4−ビス−(4−オクタデシルフェニル)−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン−2−イル]]}−アルト−{2,5−チエノ[3,2−b]チオフェン}(180mg、92%)を赤色の固体として得る。GPC(クロロベンゼン、50℃)M
n=103,000g/mol、M
w=365,000g/mol。
実施例4
ポリ{2,17−[ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]−ジ−[4,4−ビス−(4−オクタデシルフェニル)−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン−2−イル]]}−アルト−{2,2’−ビチオフェン}(ポリマー4)
【0192】
【化42】
窒素ガスを、ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]−ジ−(2−ブロモ[4,4−ビス−(4−オクタデシルフェニル)−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン−2−イル])(200mg、0.107mmol)及び5,5’−ビス−トリメチルスタナニル−[2,2’]ビチオフェニル(52.7mg、0.107mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(1.5mg、0.002mmol)及びトリ−o−トリル−ホスフィン(2.6mg、0.009mmol)及び無水トルエン(6cm
3)の混合物中に1時間通気させる。この反応混合物を、予熱しておいた油浴中において、100℃で20分間加熱する。ブロモベンゼン(0.02cm
3)を添加し、この混合物を100℃で10分間加熱する。トリブチルフェニルスタナン(0.11cm
3)を添加し、混合物を100℃で20分間加熱する。この反応混合物をメタノール(100cm
3)に注ぎ入れ、ポリマー沈殿物をろ過により回収する。粗ポリマーを逐次的なソックスレー抽出に供する;アセトン、40−60石油、シクロヘキサン及びクロロホルム。クロロホルム抽出物をメタノール(100cm
3)に注ぎ入れ、ポリマー沈殿物をろ過により回収して、ポリ{2,17−[ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]−ジ−[4,4−ビス−(4−オクタデシルフェニル)−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン−2−イル]]}−アルト−{2,2’−ビチオフェン}(110mg、51%)を赤色の固体として得る。GPC(クロロベンゼン、50℃)M
n=84,000g/mol、M
w=163,000g/mol。
実施例5
トランジスタの製作及び測定
トップゲート薄膜有機電界効果トランジスタ(OFET)を、フォトリソグラフィにより画定したAuソース−ドレイン電極と共にガラス基板上に製作した。7mg/cm
3の有機半導体のジクロロベンゼン中の溶液を上部にスピンコーティングし(任意選択で、薄膜のアニーリングを100℃、150℃又は200℃で、1〜5分間実施する)、続いて、フッ素化ポリマー誘電体材料(リシコン(Lisicon)(登録商標)D139、ドイツ国メルク(Merck)製)をスピンコーティングした。最後に、フォトリソグラフィにより画定したAuゲート電極を積層した。トランジスタ素子の電気的特徴づけを、周囲の空気雰囲気において、コンピュータ制御されたアジレント 4155Cセミコンダクタパラメターアナライザ(Agilent 4155C Semiconductor Parameter Analyser)を用いて行った。飽和領域(μ
sat)における電荷キャリア易動性を化合物について算出した。電界効果易動性を式(1):
【0193】
【数1】
を用いて、飽和領域(V
d>(V
g−V
0))において算出し、式中、
Wはチャネル幅であり、Lはチャネル長であり、C
iは絶縁層のキャパシタンスであり、V
gはゲート電圧であり、V
0はターンオン電圧であり、及び、μ
satは飽和領域における電荷キャリア易動性である。ターンオン電圧(V
0)をソース−ドレイン電流の開始と判定した。
【0194】
トップゲートOFET中のポリマー1、2、3及び4に係る易動性(μ
sat)が表1にまとめられている。
表1:トップゲートOFET中のポリマー1、2、3及び4に係る易動性(μ
sat)
【0195】
【表1】