(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6392215
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】媒体導管用の接続装置
(51)【国際特許分類】
F16L 37/12 20060101AFI20180910BHJP
【FI】
F16L37/12
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-518973(P2015-518973)
(86)(22)【出願日】2013年6月18日
(65)【公表番号】特表2015-526659(P2015-526659A)
(43)【公表日】2015年9月10日
(86)【国際出願番号】EP2013062594
(87)【国際公開番号】WO2014001144
(87)【国際公開日】20140103
【審査請求日】2016年6月17日
(31)【優先権主張番号】202012102342.3
(32)【優先日】2012年6月26日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102012108759.8
(32)【優先日】2012年9月18日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】505055505
【氏名又は名称】フォス・アウトモーティヴ・ゲー・エム・ベー・ハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ハーゲン,ハラルト
(72)【発明者】
【氏名】クレール,アドリアン
【審査官】
渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−277400(JP,A)
【文献】
国際公開第2005/068892(WO,A1)
【文献】
特開2007−218387(JP,A)
【文献】
実開昭63−201289(JP,U)
【文献】
特開昭57−148645(JP,A)
【文献】
実開昭63−056395(JP,U)
【文献】
特開平08−075070(JP,A)
【文献】
特開2006−307904(JP,A)
【文献】
特開平11−193894(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 37/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体導管を差込み接続するための受容部と、ハウジング部を任意の装置またはその他の媒体導管に接続するための接続部の二つの部分からなる、ハウジング部から構成され、
前記接続部は金属で構成され、プラスチックで構成された前記受容部と、同軸回転対称差込み継手を介し、相補係合かつ周方向に閉じた曲線で接続され、
前記接続部は差込み部によって前記受容部の差込み受部内に差し込まれ、
前記差込み部は半径方向外向きに突き出した係止段によって、前記差込み受部内に設けられた半径方向のアンダーカット面に後方から当接して相補係合している媒体導管用の接続装置であって、
前記受容部は、前記差込み継手の差込み軸(X)と同軸の、軸方向に突き出した環状凸部を有し、該環状凸部は、案内するために、前記接続部内に形成された対応する凹部に摩擦係合し、
前記接続部の前記差込み部および前記受容部の前記差込み受部の間に、シーリングチャンバ内に配置されている弾性周回シールによって半径方向外側に向けて封止された環状隙間を有し、
前記シーリングチャンバは、前記接続部の円筒状外周面と該円筒状外周面から半径方向外側に向かって突き出した段面とを一方とし、前記受容部の円筒状内周面と該円筒状内周面から半径方向内側に向かって突き出した段面とを他方とした両者の間に形成され、
前記二つの段面は、前記シーリングチャンバを軸方向に規定し、
前記円筒状内周面は前記環状凸部の一部を形成することを特徴とする接続装置。
【請求項2】
前記差込み継手は、
差込み継合わせプロセスの間に、前記接続部の前記差込み部の、前記係止段を有する半径方向外側の環状縁を介して、
前記受容部の前記差込み受部の内部領域が、所要の直径拡張百分率Ed(Ed=(da−di)/diであり、daは前記環状縁の外径であり、diは前記差込み受部の最小内径である)だけ弾性拡張されるように、設計されていることを特徴とする、請求項1に記載の接続装置。
【請求項3】
前記直径拡張百分率Edが、5〜7%であり、かつ、使用するプラスチック材料の伸び率未満であることを特徴とする請求項2に記載の接続装置。
【請求項4】
前記受容部の前記環状凸部は、該環状凸部の自由端の少なくとも半径方向外側に挿入斜面を有し、
前記差込み継合わせプロセスの間に、半径方向に拡張された前記受容部の前記環状凸部が、前記接続部内に形成された対応する前記凹部に挿入可能であることを特徴とする、請求項2または3に記載の接続装置。
【請求項5】
前記接続部の前記差込み部は、端部外側に面取り状の、前記係止段に前置された挿入斜面を有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の接続装置。
【請求項6】
前記受容部の前記差込み受部内には、スロート部が形成され、該スロート部は、一端が前記アンダーカット面に移行し、他端が前置された挿入斜面を有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の接続装置。
【請求項7】
前記受容部は、繊維強化プラスチックで構成され、
少なくとも前記差込み受部の領域には、拡張方向に対して横向きの、軸方向に繊維配向が存在することを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の接続装置。
【請求項8】
前記接続部の前記差込み部は、組み合わされた状態において、半径方向の応力除去がされて、前記受容部の前記差込み受部内に配置されていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の接続装置。
【請求項9】
ハウジング部を構成する部品の少なくとも一方、特に前記受容部、はエルボとして形成され、
前記受容部は前記接続部に対して前記差込み軸(X)周りに回転可能であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の接続装置。
【請求項10】
組み合わされた状態において、
ハウジング部を構成する部品が、特定の配向角度で、前記差込み軸(X)周りの相対回転することを防止する、および/または、軸方向に相対運動することを防止する、部材によって特徴づけられている、請求項9に記載の接続装置。
【請求項11】
回転防止手段としてのクリップ要素が、前記接続部と前記受容部との間の連結領域に外側から取り付けられており、
クリップ要素は、一方で前記受容部に設けられた外歯形に相補係合し、他方で前記接続部の六角部を相補係合して外被することを特徴とする、請求項10に記載の接続装置。
【請求項12】
クリップ要素は、軸方向において前記受容部と前記接続部との間に形成された周回隙間に向けて突出する、少なくとも一つの半径方向の安全部分を有することを特徴とする、請求項11に記載の接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項1のプリアンブルに記載の、媒体導管を差込み接続するための受容部と、ハウジング部を任意の装置またはその他の媒体導管に接続するための接続部の二つの部分からなる、貫流路を有するハウジング部からなり、接続部は金属で形成されて、プラスチックで形成された受容部と、同軸回転対称差込み継手を介し、相補係合かつ周方向に閉じた曲線で接続されている構造の媒体導管用の接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような接続装置は、欧州特許第1697675号明細書から公知である。この公知の接続装置は、差込み継手として形成されているので、媒体導管は、容易かつ速やかに、ハウジング部の差込み受部に差し込まれる。差込み受部内には、差し込まれた導管を機械的に固定するための保持要素と、導管の周方向の封止を行なうための流体シールとが配置されている。この公知の態様において、プラスチック製受容部と金属製接続部との間の相補係合の差込み継手は、受容部が接続部に係止結合して、係合する。そのため、金属製接続部に必須の内側の溝状の係合凹部は、内側領域の切削加工が必要となるために、非常に高い製造コストにつながる。さらに、金属製接続部の形状剛性が高いために、差込み継合わせプロセスにおいて、プラスチック製受容部は半径方向に圧縮されなければならないが、これは限られた範囲でのみ可能であるため、係止の有効面の半径方向の重なりが制限されるとともに、係止結合の効果的な保持力も制限されることになる。
【0003】
さらに、このような接続装置の同様の実施形態、これについては、例えば国際公開第2009/040489号、および独国特許発明第102005027816号明細書参照のこと、も知られており、これらは、接続部が、外側周方向の刃縁によって受容部に係合する。したがって、外側周方向の刃縁は、相補的、もしくは少なくとも摩擦的に受容部のもとの円筒状の内周面に係合する。しかし、これは、プラスチック製受容部が、持続的に半径方向のプレストレスに曝されるという短所がもたらされ、これが、刃縁によって引き起こされる切り欠き効果によって、いわゆる応力腐食割れをもたらすとともに、それによって、接続装置の損傷もしくは機能不全の原因となることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第1697675号明細書
【特許文献2】国際公開第2009/040489号
【特許文献3】独国特許発明第102005027816号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上記のような種類の接続装置を、プラスチック製受容部と金属製接続部との間の差込み継手領域において改良し、信頼度の向上および組み立て/使用特性の改善が達成されるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、上記目的は、独立請求項1記載の特徴によって達成される。本発明の有利な実施態様の特徴は、従属請求項ならびに下記説明にも記載したとおりである。
【0007】
したがって、本発明によれば、接続部は差込み部によって受容部の差込み受部内に差し込まれ、差込み部は半径方向外向きに突き出した係止段によって、差込み受部内に設けられた半径方向のアンダーカット面に後方から当接して相補係合するように構成されている。
こうした有利な態様によって、重要な利点が達成される。
例えば、先ず、プラスチック製差込み受部内の半径方向のアンダーカット面は、比較的簡単な成形技術的により製造可能である。
差込み継合わせプロセスの間に、形状不変な金属製差込み部により、プラスチック製差込み受部の一部の領域は半径方向に弾性的に拡張される。プラスチック材料の弾性は、半径方向の圧縮よりも、拡張に好適に利用することができる。この点で、受容部は、繊維強化プラスチックで構成され、少なくとも差込み受部の領域には、拡張方向に対して横向きの、軸方向に繊維配向が主に存在するのが有利である。係止領域において拡張方向に対して約90°をなす、この所定の繊維配向は、プラスチック射出工程中の適切な処置、特に、射出ポイントの配置および配向、射出速度および成形金型によって保証することができる。適切なパラメータは、シミュレーション、例えば“充填シミュレーション”なる用語によって知られている、ディジタルプロトタイピングにおいてプラスチック射出成形工程のシミュレーションのための方法を用いて求めることができる。
【0008】
さらに、有利なことに、本発明によれば、接続部の差込み部は、その係止段と、組み合わされ、差し込まれた状態において、半径方向の応力除去がされて、受容部の差込み受部内に配置されている。差込み部の係止段に対応する、差込み受部に形成されたアンダーカット面により、差込み継合わせプロセスの間に発生した拡張は完全に解消されるため、プラスチック製受容部の応力除去が達成される。これによって、前述した応力腐食割れの問題は完全に回避される。さらに、本発明に係る差込み継手を介して接続された二つの部品は、有利なことに、差込み軸周りに自由に、つまり僅かな力で相対回転可能である。
このことは、二つのハウジング部品のうちの一方、特に受容部が、エルボ、T形ピースまたはY形ピース等のように形成されている場合に特に有利であるが、それは差込み継手領域におけるこうした回転可能性を、ハウジング部品の相対配向角度調整に利用することができるからである。この場合、配向角度調整を行なった後、エルボを配向角度ポジションに固定するために、相対回転することを防止する追加の手段が設けられているのが有利である。さらに、軸方向に相対運動することを防止する防止手段も設けられていてよい。
【0009】
本発明のさらに別の有利な態様において、受容部はその自由端に、差込み軸と同軸の、軸方向に突き出した環状凸部を有し、該環状凸部は、差込み軸への相対傾倒を防止して、案内するために、接続部内に形成された対応する凹部に摩擦係合する。これにより、受容部の環状凸部と、接続部に形成された凹部内の円筒状内周面とを介して、互いに係合する二つの差込み継手の部品の実効軸方向にガイド長さの延長が達成される。好ましくは、環状凸部はその自由前端領域によって、接続部の凹部の底部領域の相補係合切込み凹部に係合するため、環状凸部の半径方向内側面にも摩擦式のガイド部が存在する。この場合、差込み継合わせプロセスで発生したプラスチック製受容部の半径方向の拡張を顧慮し、受容部の環状凸部は、該環状凸部の自由端の少なくとも半径方向外側に挿入斜面を有し、差込み継合わせプロセスの間に、常に半径方向に拡張された環状凸部が、接続部内に形成された対応する凹部に挿入可能である。これにより、差込み軸に対して垂直な面同士の半径方向の交差ないし重なりは、面同士が挿入斜面の領域でのみ交差し、環状凸部は常に凹部内にしっかり差し込まれるため、回避されることになる。係止領域では約5から7%の拡張が生じても、環状凸部の自由端領域における円周の拡張は5から7%未満のわずかな拡張であり、挿入斜面は、接続部の対応する凹部の差込領域への環状凸部の最初の接触が常に挿入斜面内で行なわれるように、設計されている。挿入斜面は、安全のため、環状凸部の自由端領域に6から10%の拡張が生じても差込み継合わせプロセスが損なわれないように設計されている。組み立て中に、環状凸部は接続部の凹部内に広くわたり密接しており、環状凸部の拡張応力は接続部によって支持される。これにより、組み立て中に、環状凸部の亀裂は確実に回避される。組み合わされた状態で、環状凸部は、接続部に形成された凹部で拡張なしに、直径遊びとして0.14から0.38mmの範囲、ないし、半径遊びとして0.07から0.19mmの範囲にある僅かな継手遊びで摩擦されており、蛇行状の輪郭が、外部からのダスト、湿気等の侵入を防止する汚染封止のためのラビリンスシールを形成しているのが好ましい。
【0010】
ハウジング部を構成する二つの部品の相互周回封止を行うために、差込み継手領域には弾性周回シールが設けられており、該周回シールは、有利には、接続部の円筒状外周面と該外周面から半径方向外側に向かって突き出した段面とを一方とし、受容部の円筒状内周面と該内周面から半径方向内側に向かって突き出した段面とを他方とした両者の間に形成されたシーリングチャンバ内に配置されている。こうした有利な実施形態により、両面には、半径方向のシール凹部がまったく不要である。これにより、特に接続部の差込み部の円筒状外周面に載設することにより、周回シールの簡単な軸方向の組み立てが可能である。さらに、シール凹部が存在しないために、差込み受部を有するプラスチック製受容部は成形技術的に簡単に、詳しく言えば円筒状内周面の領域の軸方向の離型によって有利に製造可能であり、そのため、離型バリは発生せず、むしろ、バリのない、周方向に平滑なシール面が達成される。
【0011】
以下、図面によって具体的に示した好ましい実施形態を参照して、本発明を詳細に説明する。各図は以下を示している:
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】アングル継手として形成された本発明による接続装置の縦断面図である。
【
図2】
図1に示した接続装置の斜視図である(
図4に示した保護クリップを除く)。
【
図3】
図1に示した接続装置の本発明上不可欠な要素の側面図と分解図とを兼ねた図であり、当該要素はそれぞれ半縦断面図によって表されている。
【
図5】差込み結合の差込み継合わせプロセスの開始時の状態における、
図1および3に対応する部分図である。
【
図6】完全に組み立てられ組み合わされた状態における、差込み継手の係止領域の縦断面図である。
【
図7】差込み継合わせプロセスの中間状態における、
図5と同様な図である。
【
図8】接続装置の縮小側面図とソケットスパナの形の追加の組付けツールを示す図である。
【
図9】ソケットスパナの変形で、
図8と同様な図である。
【
図11】
図9のXI‐XI線による横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面の各図において、同一部品には常に同一符号を付してある。
【0014】
以下に行なう説明につき、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、また、説明された特徴の組み合わせのうちのすべての特徴または複数の特徴に限定されるものでもなく、むしろ、当該実施形態/各実施形態の個々の部分特徴は、それと関連して説明された他のすべての部分特徴から切り離されても、それ自体発明上の意義を有し得るとともに、また、他の実施形態の任意の特徴と組み合わされても、さらにまた、請求項記載の特徴組み合わせおよび遡及的引用とも無関係に、等しく発明上の意義を有し得る旨明確に強調しておくこととする。
【0015】
本発明による接続装置1は、図中不図示の媒体導管、すなわち流動媒体または圧力媒体、例えば液体および/または気体用のパイプまたはホースを任意の装置またはその他の導管に接続結合するために使用される。そのため、接続装置1は、それぞれの媒体用の貫流路4を有するハウジング部2からなり、ハウジング部2は二つの部分からなり、それぞれの媒体導管を差込み接続するための受容部6と、ハウジング部2の他端を接続するための接続部8とで構成されている。
【0016】
図1に示した実施形態において、受容部6は、導管端の簡単な差込みによって媒体導管を素早く、かつ、好ましくは取り外し可能な接続のために、受容口10を有している。差し込まれた導管端が抜脱しないように固定すべく、受容口10内には保持要素12が支持されており、該保持要素は、図示の実施形態において、円周全体にわたって均等に配置された、半径方向の内側かつ差込み方向に傾斜して延び、それによって、導管端の外周面にかえし状に摩擦係止作用および/または相補係止作用をもたらす複数の保持歯を備えた、弾性力のある歯車として形成されている。導管端の接続解除を行なうために、保持要素12を変形させることのできる軸方向にスライド式の接続解除要素13が設けられている。さらに、差し込まれた導管端を外部に対して封止するために、受容口10内には少なくとも一つの周回シール14が配設されている。さらに図示したように、受容口10内には支持スリーブ16が同軸的に配置されて、導管端は差込み時に該支持スリーブ16の円筒状外周面に被嵌することができるようになされていてもよい。これによって、差し込まれた導管端は支持スリーブ16により保持要素12の保持力に対抗して半径方向に支持される。導管接続に関するさらなる詳細は独国特許出願公開第202012102342号明細書に開示されている。
【0017】
接続部8は、例示的に図示したように、例えば任意の装置への接続用におねじアダプタ18を有していてよく、ねじ締めのために六角部20が設けられている。該装置と接続部8との封止のために、おねじアダプタ18と六角部20との間の移行領域にはシールリング22が配置されている。
【0018】
さらに、金属、特にアルミニウムまたは真鍮、スチール等で形成された接続部8は、プラスチックで形成された受容部6と、同軸回転対称な差込み継手24を経て、相補係合して周方向に閉じた曲線で接続されている。したがって、この差込み継手24はスナップ式の相補係合接続であって、周回密接して支持作用を果たす。これにより、高い接続強度が達成される。
【0019】
本発明によれば、接続部8は差込み部26によって受容部6の差込み受部28内に差し込まれ、差込み部26は半径方向外向きに突き出した係止段30によって、差込み受部28内に設けられた半径方向のアンダーカット面32に後方から当接して相補係合するように形成されている。これについては、特に、
図3を参照されたい。相補係合を達成すべく、いわゆるアンダーカット角度β、これについては
図1,3および6を参照のこと、は少なくとも90°、つまりβ≧90°である。
【0020】
好ましい実施態様において、受容部6は、差込み受部28に接続して、差込み継手24の差込み軸Xと同軸の、軸方向に突き出した環状凸部34を有しており、該環状凸部は、案内するために、接続部8内に形成された対応する軸方向の凹部36に摩擦係合する。差込み継手24は、差込み継合わせプロセス、これについては
図5から7を参照のこと、の間に、接続部8の差込み部26の、係止段30を有する半径方向外側の環状縁38を介して、受容部6の差込み受部28の内部領域が、好ましくは5から7%だけ、弾性拡張されるように、設計されている。これは直径比の設計によって達成される。
図3において、環状縁38の外径には符号“da”が付され、差込み受部28内の最小内径には符号“di”が付されている。したがって、Ed=da−di/diから、所要の直径拡張百分率が得られる。ただし、それぞれの直径比によって設計される拡張率は、常に、使用されるプラスチック材料の伸び率未満である。
【0021】
受容部6の環状凸部34は、差込み継合わせプロセス(
図5から7)の間に、半径方向拡張時に常に、接続部8内に形成された対応する凹部36に挿入可能であるように、該環状凸部の自由端の少なくとも半径方向外側に挿入斜面40を有している。ただし、
図7において、拡張変形状態は、明確にするために、やや誇張されている。
【0022】
好ましくは、受容部6は繊維強化プラスチックで形成されている。これにつき、
図3に追加的な部分拡大図と破線によって示唆したように、少なくとも差込み受部28の領域には、軸方向、つまり差込み軸Xと平行な繊維配向が存在する。したがって、材料中に埋め込まれた、破線で示唆した繊維は、拡張方向(矢印D)に対して横向きに配向されており、これによって弾性的な拡張が容易になる。
さらに、
図1および6から判明するように、組み合わされた状態において、接続部8の差込み部26と受容部6の差込み受部28との間の環状隙間は弾性周回シール42を介して外部に対して封止されている。この周回シール42は、有利には、接続部8の円筒状外周面46と該外周面から半径方向外側に向かって突き出した段面48とを一方とし、受容部6の円筒状内周面50と該内周面から半径方向内側に向かって突き出した段面52とを他方とした両者の間に形成されたシーリングチャンバ44内に配置されている。
【0023】
上記の円筒状内周面50は、好ましくは、環状凸部34の領域に位置し、つまり、環状凸部34の内側面は内周面50を形成している。こうした有利な態様により、構造的に簡単なシール配置が実現でき、こうして、製造および組み立てが簡単になる。さらに、内周面50は軸方向に離型可能であり、それにより、成形継ぎ目なしに離型可能であるために、この内周面は平滑なシール面として、周回シール42の周回密接によって優れた封止を保証する。
【0024】
さらに、接続部8の差込み部26は、係止段30を有する環状縁38の端部外側に面取り状の、係止段30に前置された挿入斜面54を有しているのが有利である(
図3を参照のこと)。
【0025】
さらに、受容部6の差込み受部28の内部には、最小内径diを形成するスロート部56が設けられており、このスロート部は一端がアンダーカット面32に連続し、他端には、前置された挿入斜面58が形成されている。
【0026】
特に
図6に示した状態から理解されるように、差し込まれ、組み合わされた状態で、接続部8の差込み部26の特に環状縁38と係止段30の領域は、半径方向応力除去されて、受容部6の差込み受部28内に配置されている。環状縁38は、差込み受部28のアンダーカット面32を形成する緩和溝60内に、外側半径方向ゆとりをもって着座している。
【0027】
さらに、
図1および3から判明するように、好ましくは、ハウジング部2を構成する部品6,8の少なくとも一方、しかも、図示したように、特に受容部6、はエルボとして形成されていてよい。受容部6が接続部8に対して差込み軸X周りに回転可能であり、接続部8に対する受容部6の配向角度調整を行なうことができる。この場合、組み合わされた状態において、一定の配向回転角度を保つべく、差込み軸X周りの部品6,8の相対回転を防止するとともに、好ましくは両者の軸方向の相対運動も防止する追加の手段が設けられていることが好ましい。
図1および4から看取されるように、上記防止手段として、基本的にリング状のクリップ要素62が、接続部8と受容部6との間の連結領域に外側から取り付けられている、または取り付け可能であってよい。このクリップ要素62は、一方で、受容部6に設けられた外歯形64、これについては、特に、
図2,3,5を参照のこと、に相補係合し、他方で接続部8の六角部20を相補係合して外被する。
図4から看取されるように、クリップ要素62は、開いた状態で弾性変形によって取り付けおよび取外しが可能なように、円周方向の1箇所で開閉可能であってよい。外歯形64に係合するため、クリップ要素62は、
図4に示したように、対応する対向歯形68を具備した内側縁66を有している。また、接続部8の外周の六角部20を外被係合するために、クリップ要素62は内周面が六角部に対応する六角穴72を具備した区域70を有している。
図4に示したように、歯形64,68は、例えば10°の角度ピッチαで形成されて、それぞれ10°ごとの段階的な配向角度調節を行なうことができるように形成されていてよい。さらに、クリップ要素62は、
図1に示したように、少なくとも一つの半径方向の
内向き突出部74により、軸方向において受容部6と接続部8との間に形成された周回隙間76(これについては
図6を参照のこと)に係合し、部品6,8の軸方向遊びをブロックすることができる。
【0028】
受容部6と接続部8の間の接続の、上述した本発明に係る実施形態により、有利には、軸方向の全長ないし全高を短縮することができる。これについて
図8から11に例示的に図示したように、接続装置1がエルボまたはT形ピースとして形成されている実施態様において、全高が僅かであることにより、組み立て、すなわち接続部8のネジ締めを行なうために、末端に位置する端縁が開放した少なくとも一つの側面端開口端凹部82を有し、受容部6のアングル部を跨いで軸方向から接続部8の六角部20に被せることのできるソケットスパナ80を使用することができる。
図9および11から看取されるように、T形ピース(図中不図示である)として形成された受容部6との組み立て用のソケットスパナ80は、互いに反対側に位置して対向する二つの凹部82を有している。受容部6の外径が、好ましくは、ソケットスパナ80の当該凹部ないし各々の凹部82が被せられる領域においてテーパすることにより、ソケットスパナ80の当該凹部ないし各々の凹部82は狭幅に、すなわち、エルボ、これについては
図8および10を参照のこと、の場合には、いずれにせよ、六角部20の6個のコーナー20aのうちの少なくとも4個が凹部82を有するソケットスパナ80内に確実に収容され、T形ピースとして形成されている場合、これについては
図9および11を参照のこと、には、必要とされる凹部82が二つであるために、互いに反対側に位置して対向する少なくとも2個のコーナー20aが当該ソケットスパナ内に確実に収容されるように、形成されていてよい。
【0029】
本発明は、図示説明した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨により機能的に等しいすべての実施形態をも含むものである。実施形態はすべての特徴の組み合わせに限定されるものではなく、むしろそれぞれの個々の部分特徴は、他のすべての部分特徴から切り離されても、それ自体発明上の意義を有し得る旨明確に強調しておくこととする。さらに、本発明は、従来と同様、それぞれの独立請求項に定義された特徴組み合わせに限定されるものでもなく、総じて開示されたすべての個別特徴のうちの特定の特徴のその他のあらゆる任意の組み合わせによって定義されていてもよい。これは、基本的に、それぞれの独立請求項に開示された各々の個別特徴は実際に省かれても本願明細書の他の箇所で開示された少なくとも一個別特徴によって置き換えられてもよいことを意味している。その限りで、請求項は、発明を画定しようとする第一の試みとして理解されなければならない。