【文献】
HIRSH, A. J. ET AL,Design, Synthesis, and Structure-Activity Relationships of Novel 2-Substituted Pyrazinoylguanidine Epithelial Sodium Channel Blockers: Drugs for Cystic Fibrosis and Chronic Bronchitis,Journal of Medicinal Chemistry,2006年,49(14),4098-4115
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
それを必要とするヒトにおける、放射性核種を含有する呼吸性エアロゾルによって引き起こされる、呼吸管及び/又は他の体の器官への決定的な健康影響を防止、軽減及び/又は処置するための医薬組成物であって、有効量の請求項1から16のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本明細書で使用するように、以下の用語は表示されたように定義される。
【0023】
「本発明の化合物」は式Iの化合物又はその塩、特に薬学的に許容される塩を意味する。
【0024】
「式Iの化合物」は、本明細書で式Iと指定された構造式を有する化合物を意味する。式Iの化合物は、溶媒和物及び水和物(即ち、式Iの化合物の溶媒との付加体)を含む。式Iの化合物が1つ又は複数の不斉中心を含むそうした実施形態では、この語句は、光学異性体(エナンチオマー及びジアステレオマー)及び幾何異性体(cis-/trans異性)を含むそれぞれの個々の立体異性体並びに立体異性体の混合物を包含するものとする。更に、式Iの化合物は表示された式の互変異性体も含む。
【0025】
その説明及び実施例を通して、化合物は、可能であれば、CambridgeSoft Corp./PerkinElmer社によって販売されている化合物を命名するためのChemDraw Ultra 11.0ソフトウェアプログラムの使用を含むIUPAC標準命名原則を用いて命名する。
【0026】
炭素原子が、4つの原子価をもたらすように表示された十分な数の結合変数をもたない一部の化学構造表示では、4つの原子価を提供するのに必要な残りの炭素置換基は水素であると考えるべきである。同様に、結合が、末端基を特定することなく引かれているいくつかの化学構造では、そうした結合は、当技術分野で慣用的なように、メチル(Me、-CH
3)基を示すものとする。
【0027】
一実施形態では、式(I)の化合物は、構造:
【0028】
【化3】
[この文献は図面を表示できません]
【0029】
を有する、3,5-ジアミノ-N-(N-(4-(4-(2-アミノ-3-(4-(3-(ビス(2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)プロピル)フェニルアミノ)-3-オキソプロピル)ナフタレン-1-イル)ブチル)カルバムイミドイル)-6-クロロピラジン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩である。
別の実施形態では、式(I)の化合物は、構造:
【0030】
【化4】
[この文献は図面を表示できません]
【0031】
を有する、3,5-ジアミノ-N-(N-(4-(4-(2-アミノ-3-(4-(3-(ビス(2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)プロピル)フェニルアミノ)-3-オキソプロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル)ブチル)カルバムイミドイル)-6-クロロピラジン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩である。
【0032】
他の実施形態では、式(I)の化合物は、構造:
【0033】
【化5】
[この文献は図面を表示できません]
【0034】
を有する、3,5-ジアミノ-N-(N-(4-(6-(2-アミノ-3-(4-(3-(ビス(2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)プロピル)フェニルアミノ)-3-オキソプロピル)ナフタレン-2イル)ブチル)カルバムイミドイル)-6-クロロピラジン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩である。
【0035】
別の実施形態では、式(I)の化合物は、式:
【0036】
【化6】
[この文献は図面を表示できません]
【0037】
を有する、3,5-ジアミノ-N-(N-(4-(4-((S)-2-アミノ-3-(4-(3-(ビス((2S,3R,4R,5R)-2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)プロピル)フェニルアミノ)-3-オキソプロピル)ナフタレン-1-イル)ブチル)カルバムイミドイル)-6-クロロピラジン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩である。
【0038】
3つの独立の実施形態は、それぞれ式(II)、式(III)及び式(IV)の化合物:
【0039】
【化7】
[この文献は図面を表示できません]
【0040】
(式中、
nは0、1、2、3、4、5又は6から選択される整数であり、
R
1は、水素、C
1〜C
8アルキル、及び3〜8個の炭素原子を有するポリヒドロキシル化アルキル基から選択され、
R
2は水素、又は3〜8個の炭素原子を有するポリヒドロキシル化アルキル基であり、
R
3及びR
4は、それぞれ独立に、水素又はC
1〜C
3アルキルである)
の化合物又は薬学的に許容されるその塩を含む。
【0041】
式(I)、(II)、(III)及び(IV)で独立に表される化合物の各群の中に:
nが1、2、3、4、5又は6から選択される整数であり、
R
1が、水素、C
1〜C
8アルキル、及び3〜8個の炭素原子を有するポリヒドロキシル化アルキル基から選択され、
R
2が水素、又は3〜8個の炭素原子を有するポリヒドロキシル化アルキル基であり、
R
3及びR
4が、それぞれ独立に、水素又はC
1〜C
3アルキルである、
他の実施形態又は薬学的に許容されるその塩がある。
【0042】
式(I)、(II)、(III)及び(IV)で独立に表される化合物の各群の中に:
nが1、2、3、4、5又は6から選択される整数であり、
R
1が水素及びC
1〜C
8アルキルから選択され、
R
2が水素、又は3〜8個の炭素原子を有するポリヒドロキシル化アルキル基であり、
R
3及びR
4が、それぞれ独立に、水素又はC
1〜C
3アルキルである、
他の実施形態又は薬学的に許容されるその塩がある。
【0043】
式(I)、(II)、(III)及び(IV)で独立に表される化合物の各群の中に:
nが1、2、3、4、5又は6から選択される整数であり、
R
1が水素及びC
1〜C
8アルキルから選択され、
R
2が水素であり、
R
3及びR
4が、それぞれ独立に、水素又はC
1〜C
3アルキルである、
別の実施形態又は薬学的に許容されるその塩がある。
【0044】
式(I)、(II)、(III)及び(IV)で独立に表される化合物の各群の中に:
nが1、2、3、4、5又は6から選択される整数であり、
R
1及びR
2が、それぞれ独立に、3〜8個の炭素原子を有するポリヒドロキシル化アルキル基であり、
R
3及びR
4が、それぞれ独立に、水素又はC
1〜C
3アルキルである、
更に別の実施形態又は薬学的に許容されるその塩がある。
【0045】
式(I)、(II)、(III)及び(IV)で独立に表される化合物の各群の中に:
nが1、2、3、4、5又は6から選択される整数であり、
R
1及びR
2が、それぞれ独立に、3〜8個の炭素原子を有するポリヒドロキシル化アルキル基であり、
R
3及びR
4が水素である、
別の実施形態又は薬学的に許容されるその塩がある。
【0046】
式(I)、(II)、(III)及び(IV)で独立に表される化合物の各群の中に:
nが1、2、3、4、5又は6から選択される整数であり、
R
1及びR
2が、それぞれ独立に、3〜8個の炭素原子を有するポリヒドロキシル化アルキル基であり、
R
3及びR
4が、それぞれ独立に、C
1〜C
3アルキルである、
別の実施形態又は薬学的に許容されるその塩がある。
【0047】
式(I)、(II)、(III)及び(IV)で独立に表される化合物の各群の中に:
nが1、2、3、4、5又は6から選択される整数であり、
R
1及びR
2が、それぞれ独立に、3〜8個の炭素原子を有するポリヒドロキシル化アルキル基であり、
R
3が水素であり、
R
4がC
1〜C
3アルキルである、
追加の実施形態又は薬学的に許容されるその塩がある。
【0048】
本発明のポリヒドロキシル化アルキル基は、3〜8個の炭素原子のアルキル鎖が2個以上のヒドロキシル基で置換されているものである。ポリヒドロキシル化アルキル基の例は、ブタン-1,4-ジオール;ブタン-1,2,2-トリオール;ブタン-1,1,2,3,-テトラオール;ペンタン-1,2,3,4-テトラオール;ヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタオール;ヘプタン-1,2,3,4,5,6-ヘキサオール及びオクタン-1,2,3,4,5,6,7-ヘプタオールである。
【0049】
本明細書で説明する化合物の各群の中の一実施形態は、そのポリヒドロキシル化アルキル基が式-CH
2-(CHR
5)
n-H(nは2、3、4、5、6又は7から選択される整数であり、R
5は独立に、それぞれの場合、H又はOHであり、但し、R
5基の少なくとも2つはOHである)を有する化合物である。
【0050】
本明細書で説明する化合物の各群の中の別の実施形態は、そのポリヒドロキシル化アルキル基が式-CH
2-CHOH-(CHR
6)
m-H(mは1、2、3、4、5又は6から選択される整数であり、R
6は独立に、それぞれの場合、H又はOHであり、但し、R
6基の少なくとも1つはOHである)を有する化合物である。
【0051】
本明細書で説明する化合物の各群の中の他の実施形態は、そのポリヒドロキシル化アルキル基が式-CH
2-(CHOH)
n-CH
2OH(nは1、2、3、4、5又は6から選択される整数である)を有する化合物を含む。本明細書で説明する化合物の各群の中の別の実施形態は、nが2、3、4又は5から選択される整数である化合物を含む。各群の中の別の実施形態は、nが3、4又は5から選択される整数である化合物を含む。
【0052】
本明細書で説明する化合物の各群の中の別の実施形態では、式-CH
2-(CHOH)
n-CH
2OHで表される鎖は、次式:
【0053】
【化8】
[この文献は図面を表示できません]
【0054】
を有する2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキサンである。
【0055】
本明細書で説明する化合物の各群の中の別の実施形態では、式-CH
2-(CHOH)
n-CH
2OHで表される鎖は、次式:
【0056】
【化9】
[この文献は図面を表示できません]
【0058】
3つの他の独立の実施形態は、それぞれ式(V)、式(VI)及び式(VII):
【0059】
【化10A】
[この文献は図面を表示できません]
【化10B】
[この文献は図面を表示できません]
【0060】
(式中、
nは1、2、3、4、5又は6から選択される整数であり、
R
3及びR
4は、それぞれ独立に、水素又はC
1〜C
3アルキルである)
の化合物又は薬学的に許容されるその塩を含む。
【0061】
式(V)、(VI)及び(VII)で表される各実施形態の中に、nが1、2、3、4、5又は6から選択される整数であり、R
3及びR
4がそれぞれ水素である他の実施形態又は薬学的に許容されるその塩がある。式(V)、(VI)及び(VII)で表される各実施形態の中に、nが1、2、3、4、5又は6から選択される整数であり、R
3及びR
4がそれぞれC
1〜C
3アルキルである別の実施形態又は薬学的に許容されるその塩がある。
【0062】
本明細書で説明する実施形態のそれぞれの中に、nが1、2又は3から選択される整数である他の実施形態がある。本明細書で説明する実施形態のそれぞれの中に、nが4、5又は6から選択される整数である他の実施形態がある。本明細書で説明する実施形態のそれぞれの中に、nがそれぞれ1、2、3、4、5及び6の整数である6つの他の独立の実施形態がある。
【0063】
本明細書で式(I)、(Ia)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、及び(VII)を含む化合物は、遊離塩基又は塩、特に薬学的に許容される塩の形態であってよい。薬学的に許容される塩の総説については、Bergeら、J. Pharma Sci.(1977)66:1〜19頁を参照されたい。
【0064】
無機又は有機酸から形成される薬学的に許容される塩には、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、硝酸塩、スルファミン酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、ギ酸塩、グルコン酸塩、コハク酸塩、ピルビン酸塩、タンニン酸塩、アスコルビン酸塩、パルミチン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、フタル酸塩、アルギン酸塩、ポリグルタミン酸塩、シュウ酸塩、オキサロ酢酸塩、サッカラート、安息香酸塩、アルキル又はアリールスルホン酸塩(例えば、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩又はナフタレンスルホン酸塩)及びイセチオン酸塩;例えばリシン、アルギニン、グルタミン酸、グリシン、セリン、トレオニン、アラニン、イソロイシン、ロイシン等のアミノ酸で形成された錯体が含まれる。本発明の化合物は、塩素、臭素又はヨウ素等の元素アニオンから形成された塩の形態であってもよい。
【0065】
治療上の使用のために、式Iの化合物の活性成分の塩は、薬学的に許容される、すなわち、それらは、薬学的に許容される酸から誘導される塩ということになる。しかし、薬学的に許容されない酸の塩も、例えば、薬学的に許容される化合物の調製又は精製において用途を見出すことができる。例えば、トリフルオロ酢酸塩は、そうした用途を見出すことができる。薬学的に許容される酸から誘導されるかどうかに関係なく、すべての塩は本発明の範囲内にある。
【0066】
「キラル」という用語は、鏡像パートナーの非重合せ性(non-superimposability)の特性を有する分子を指し、「アキラル」という用語はそれらの鏡像パートナー上に重ね合わせ可能な分子を指す。
【0067】
「立体異性体」という用語は、同一化学構造を有しているが、空間における原子又は基の配置に関して異なっている化合物を指す。「ジアステレオマー」とは、2つ以上のキラル中心を有し、その分子が互いの鏡像ではない立体異性体を意味する。ジアステレオマーは、異なる物理的特性、例えば、融点、沸点、分光特性、及び反応性を有する。ジアステレオマーの混合物は、電気泳動及びクロマトグラフィー等の高分解能分析手順下で分離し得る。「エナンチオマー」とは、互いの重ね合わせることができない鏡像である化合物の2種の立体異性体を意味する。
【0068】
本明細書において使用される立体化学的定義及び規則は、S. P. Parker編、McGRAW-HILL DICTIONARY OF CHEMICAL TERMS (1984) McGraw-Hill Book Company、New York;並びにEliel, E.及びWilen, S.、STEREOCHEMISTRY OF ORGANIC COMPOUNDS(1994)John Wiley & Sons, Inc.、New Yorkに一般に従う。
【0069】
多くの有機化合物は、光学活性な形態で存在し、すなわち、それらは平面偏光面を回転させる能力を有する。光学活性な化合物を記載する上で、接頭辞D及びL又はR及びSは、そのキラル中心の周りの分子の絶対配置を表すために使用する。特定の立体異性体をまたエナンチオマーと称してもよく、このような異性体の混合物は、エナンチオマー混合物と呼ばれることが多い。エナンチオマーの50:50混合物は、ラセミ混合物又はラセミ体と称され、これは化学反応又は化学過程において立体選択又は立体特異性がない場合に起こり得る。「ラセミ混合物」及び「ラセミ体」という用語は、2種のエナンチオマー種の等モル混合物を意味する。
【0070】
「互変異性体」という用語は、その中での水素原子の移動が2つ以上の構造をもたらす立体異性体の種類を指す。式Iの化合物は、異なる互変異性型で存在し得る。アミジン、アミド、グアニジン、尿素、チオ尿素、複素環等は、互変異性型で存在することができることを当業者であれば認識するであろう。例示として、限定するためではなく、式(A)の化合物は、下記で示したように様々な互変異性型で存在することができる。
【0071】
【化11】
[この文献は図面を表示できません]
【0072】
式Iの実施形態の全てのアミジン、アミド、グアニジン、尿素、チオ尿素、複素環等の全ての可能な互変異性型は、本発明の範囲内である。互変異性体は平衡状態で存在しており、したがって、当業者であれば、提供した式における単一の互変異性体の表現が、可能性のあるすべての互変異性体を同等に指すことを理解するであろう。
【0073】
式Iの範囲内の化合物及びその薬学的に許容される塩のすべてのエナンチオマー、ジアステレオマー及びラセミ混合物、互変異性体、多形体、疑似多形体は本発明に包含されることに留意すべきである。エナンチオマー的に濃縮された混合物及びジアステレオマー的に濃縮された混合物を含むそうしたエナンチオマー及びジアステレオマーのすべての混合物は本発明の範囲内である。エナンチオマー的に濃縮された混合物は、特定のエナンチオマーともう一つの(alternative)エナンチオマーの比が50:50超であるエナンチオマーの混合物である。より具体的には、エナンチオマー的に濃縮された混合物は、少なくとも約75%の特定のエナンチオマー、好ましくは少なくとも約85%の特定のエナンチオマーを含む。一実施形態では、エナンチオマー的に濃縮された混合物は他のエナンチオマーを実質的に含まない。同様に、ジアステレオマー的に濃縮された混合物は、特定のジアステレオマーの量がそれぞれのもう一つのジアステレオマーの量より多いジアステレオマーの混合物である。より具体的には、ジアステレオマー的に濃縮された混合物は、少なくとも約75%の特定のジアステレオマー、好ましくは少なくとも約85%の特定のジアステレオマーを含む。一実施形態では、ジアステレオマー的に濃縮された混合物は、他のすべてのジアステレオマーを実質的に含まない。当業者であれば、「〜を実質的に含まない(substantially free of)」という用語が、5%未満、好ましくは1%未満、より好ましくは0.1%未満の他のジアステレオマーの存在を表すことを理解するであろう。他の実施形態において、他のジアステレオマーは存在しないか、又は他の任意の存在するジアステレオマーの量は検出レベル未満となる。立体異性体は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)及びキラル塩の結晶化法を含む当技術分野で公知の技術によって分離することができる。
【0074】
その立体異性体が実質的に存在しない単一の立体異性体、例えば、エナンチオマーは、光学活性な分割剤を使用したジアステレオマーの形成等の方法を使用したラセミ混合物の分割によって得ることができる(「Stereochemistry of Carbon Compounds」、(1962)、E. L. Eliel、McGraw Hill; Lochmuller, C. H.、(1975) J. Chromatogr.、113:(3)283〜302)。本発明のキラル化合物のラセミ混合物は、(1)キラル化合物によるイオン性ジアステレオマー塩の形成、及び分別結晶又は他の方法による分離、(2)キラル誘導体化試薬によるジアステレオマー化合物の形成、ジアステレオマーの分離、及び純粋な立体異性体への変換、及び(3)直接キラル条件下での実質的に純粋又は濃縮された立体異性体の分離を含めた任意の適切な方法によって分離及び単離することができる。
【0075】
一実施形態では、本発明は、支配的な異性体として、3,5-ジアミノ-N-(N-(4-(4-((S)-2-アミノ-3-(4-(3-(ビス((2S,3R,4R,5R)-2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)プロピル)フェニルアミノ)-3-オキソプロピル)ナフタレン-1-イルブチル)カルバムイミドイル)-6-クロロピラジン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩の、エナンチオマー的に濃縮された混合物、又は混合物を含む組成物を提供する。
【0076】
他の実施形態は、それらの各混合物のそれぞれにおける支配的な異性体として、それぞれ、式(I)、(Ia)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)及び(VII)の化合物又は薬学的に許容されるその塩を含むエナンチオマー的に濃縮された混合物又は組成物を含む。
【0077】
別の実施形態では、本発明は、他の異性体を実質的に含まない、エナンチオマー的に濃縮された混合物又は組成物3,5-ジアミノ-N-(N-(4-(4-((S)-2-アミノ-3-(4-(3-(ビス((2S,3R,4R,5R)-2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)プロピル)フェニルアミノ)-3-オキソプロピル)ナフタレン-1-イル)ブチル)カルバムイミドイル)-6-クロロピラジン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0078】
4つの他の実施形態は、それらの各混合物のそれぞれにおいて他の異性体を実質的に含まない、それぞれ式(I)、(Ia)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)及び(VII)の化合物又は薬学的に許容されるその塩を含むエナンチオマー的に濃縮された混合物又は組成物を含む。
【0079】
本明細書では、医薬品として使用するための、式(I)、(Ia)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)及び(VII)の化合物又は薬学的に許容されるその塩を含む、本明細書で説明する化合物及び化合物の群のそれぞれも提供する。
【0080】
式Iの化合物及び薬学的に許容されるその塩は、異なる多形又は疑似多形として存在し得る。本明細書において使用する場合、結晶多形とは、結晶化合物が異なる結晶構造で存在する能力を意味する。結晶多形は、結晶充填の差異(パッキング多形)又は同じ分子の異なる配座異性体の間のパッキングの差異(コンホメーション多形)からもたらされることがある。本明細書において使用する場合、疑似結晶多形は、化合物の水和物又は溶媒和物が異なる結晶構造中に存在する能力も含む。本発明の疑似多形は、結晶充填の差異(パッキング疑似多形)、又は同じ分子の異なる配座異性体の間のパッキングの差異 (コンホメーション疑似多形)によって存在し得る。本発明は、式Iの化合物の全ての多形及び疑似多形、並びに薬学的に許容されるそれらの塩を含む。
【0081】
式Iの化合物及び薬学的に許容されるその塩は、アモルファス固体として存在し得る。本明細書において使用する場合、アモルファス固体は、固体中の原子の位置の長距離秩序がない固体である。結晶サイズが2ナノメートル以下であるとき、この定義を同様に適用する。溶媒を含む添加剤を、本発明の非晶質形態物を作り出すために使用することができる。本明細書で説明するすべての医薬組成物、治療の方法、併用製品及びその使用を含む本発明は、式Iの化合物及び薬学的に許容されるその塩のすべての非晶質形態を含む。
【0082】
使用
本発明の化合物は、ナトリウムチャネル遮断薬としての活性を示す。特定の理論に拘泥するものではないが、本発明の化合物は、粘膜表面に存在する上皮ナトリウムチャネルを遮断することによってin vivoで機能し、それによって粘膜表面による水の吸収を低下させ得ると考えられる。この効果は、粘膜表面上の保護液体の容量を増大させ、系の均衡を取り戻させる。
【0083】
結果として、本発明の化合物は、特に、そのためにナトリウムチャネル遮断薬が指示され得る臨床症状の治療のための医薬品として有用である。そうした状態には、それを必要とするヒトにおける、可逆性又は不可逆性気道閉塞と関連する疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の急性増悪期を含むCOPD、喘息、気管支拡張症(嚢胞性線維症以外の状態に起因する気管支拡張症を含む)、急性気管支炎、慢性気管支炎、ウイルス感染後咳嗽、嚢胞性線維症、気腫、肺炎、汎細気管支炎、並びに肺及び骨髄移植関連細気管支炎を含む移植関連細気管支炎等の肺状態が含まれる。本発明の化合物は、人工呼吸器関連気管気管支炎を治療する、かつ/又は人工呼吸器装着患者の人工呼吸器関連肺炎を防止するのにも有用である可能性がある。本発明は、それを必要とする哺乳動物における、好ましくはそれを必要とするヒトにおける本明細書で説明する状態のそれぞれを治療する方法であって、それぞれの方法が、医薬有効量の本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩を前記哺乳動物に投与する工程を含む方法を含む。また、(a)それを必要とする哺乳動物におけるCOPDの増悪を軽減するための方法;(b)それを必要とする哺乳動物におけるCFの増悪を軽減するための方法;(c)それを必要とする哺乳動物における肺機能(FEV1)を改善する方法、(d)COPDを経験している哺乳動物における肺機能(FEV1)を改善する方法、(e)CFを経験している哺乳動物における肺機能(FEV1)を改善する方法、(f)それを必要とする哺乳動物における気道の感染症を低減させる方法も提供する。
【0084】
哺乳動物における粘膜線毛クリアランスを刺激し、増進させる、又は改善する方法であって、それを必要とする哺乳動物に、医薬有効量の式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩を投与する工程を含む方法も提供する。粘膜線毛クリアランスは、気管支の自己クリアリング機構を含む気道中の粘液の移動又はクリアランスに関与する、自然な粘膜線毛作用を含むものと理解されよう。したがって、それを必要とする哺乳動物の気道における粘液クリアランスを改善する方法も提供する。
【0085】
更に、ナトリウムチャネル遮断薬を、肺粘膜表面以外の粘膜表面における粘膜への水分の付与の増進によって改善される状態の治療のために指し示すことができる。そうした状態の例には、口内乾燥(口腔乾燥症)、乾燥皮膚、腟乾燥、副鼻腔炎、鼻副鼻腔炎、乾燥酸素を投与することによってもたらされる鼻腔内脱水症を含む鼻腔内脱水症、ドライアイ、シェーグレン病、中耳炎、原発性線毛機能不全、末端腸閉塞症候群、食道炎、便秘及び慢性憩室炎が含まれる。本発明の化合物を、眼球又は角膜への水分の付与を促進させるために使用することもできる。
【0086】
本発明の化合物は、ヒトから痰試料を得るための方法において有用である可能性もある。この方法は、本発明の有効量の化合物を患者の少なくとも1つの肺に投与し、次いでそのヒトから痰試料を誘発させ、集めることによって実施することができる。
【0087】
したがって、一態様では、本発明は、そのためにナトリウムチャネル遮断薬が指示される、ヒト等の哺乳動物における状態の治療のための方法を提供する。
【0088】
他の実施形態では、本発明は、本明細書で説明される方法のそれぞれに、本方法のレシピエントにおける高カリウム血症を最少化又は排除する追加の利益を提供する。そこで治療指数の改善が達成される、本明細書で説明される方法のそれぞれを含む実施形態も提供する。
【0089】
本明細書で用いる「治療する(treat)」、「治療すること(treating)」及び「治療(treatment)」という用語は、障害又は状態或いはそうした障害又は状態の1つ若しくは複数の症状の進行を逆転させる、緩和させる、阻止する又はそれを防止することを指す。
【0090】
本明細書で説明されるすべての治療方法は、有効量の本発明の化合物、式Iの化合物又は薬学的に許容されるその塩を、治療を必要とする対象(一般に哺乳動物、好ましくはヒト)に投与することによって実行される。
【0091】
一実施形態において、本発明は、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける、粘膜への水分の付与の増進によって改善される状態の治療方法を提供する。一実施形態において、本発明は、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける、可逆性又は不可逆性気道閉塞と関連する疾患の治療方法を提供する。1つの特定の実施形態において、本発明は、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療方法を提供する。1つの特定の実施形態において、本発明は、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける、COPDの急性増悪期の頻度、重症度を低減する若しくはその期間を短縮するため、又はCOPDの急性増悪期の1つ若しくは複数の症状を治療するための方法を提供する。一実施形態において、本発明は、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける、喘息の治療方法を提供する。一実施形態において、本発明は、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける、気管支拡張症(嚢胞性線維症以外の状態に起因する気管支拡張症を含む)の治療方法を提供する。一実施形態において、本発明は、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける、急性及び慢性の気管支炎を含む気管支炎の治療方法を提供する。一実施形態において、本発明は、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける、ウイルス感染後咳嗽の治療方法を提供する。一実施形態において、本発明は、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける、嚢胞性線維症の治療方法を提供する。一実施形態において、本発明は、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける、気腫の治療方法を提供する。一実施形態において、本発明は、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける、肺炎の治療方法を提供する。一実施形態において、本発明は、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける、汎細気管支炎の治療方法を提供する。一実施形態において、本発明は、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける、肺及び骨髄移植関連細気管支炎を含む移植関連細気管支炎の治療方法を提供する。一実施形態において、本発明は、それを必要とする人工呼吸器を装着したヒトにおける、人工呼吸器関連気管気管支炎を治療する、且つ/又は人工呼吸器関連肺炎を防止する方法を提供する。
【0092】
本発明は、それを必要とするヒトにおける、可逆性又は不可逆性気道閉塞、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、気管支拡張症(嚢胞性線維症以外の状態に起因する気管支拡張症を含む)、急性気管支炎、慢性気管支炎、ウイルス感染後咳嗽、嚢胞性線維症、気腫、肺炎、汎細気管支炎、移植関連細気管支炎及び人工呼吸器関連気管気管支炎からなる群から選択される疾患を治療する、又は人工呼吸器関連肺炎を防止するための特定の方法であって、それぞれの方法が前記ヒトに、有効量の式1(a)の化合物又は薬学的に許容されるその塩を投与する工程を含む方法を提供する。各治療方法のための他の実施形態において、薬学的に許容される塩の形態は、式(1a)の化合物の塩酸塩又はヒドロキシナフトエ酸塩である。各治療方法の中の別の実施形態では、式(1a)の化合物の遊離塩基が使用される。
【0093】
一実施形態において、本発明は、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける、口内乾燥(口腔乾燥症)の治療方法を提供する。一実施形態において、本発明は、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける、乾燥皮膚の治療方法を提供する。一実施形態において、本発明は、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける、腟乾燥の治療方法を提供する。一実施形態において、本発明は、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける、副鼻腔炎、鼻副鼻腔炎又は乾燥酸素を投与することによってもたらされる鼻腔内脱水症を含む鼻腔内脱水症の治療方法を提供する。一実施形態において、本発明は、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける、ドライアイ若しくはシェーグレン病の治療又は目若しくは角膜への水分の付与を促進する方法を提供する。一実施形態において、本発明は、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける、中耳炎の治療方法を提供する。一実施形態において、本発明は、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける、原発性線毛機能不全の治療方法を提供する。一実施形態において、本発明は、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける、末端腸閉塞症候群、食道炎、便秘又は慢性憩室炎の治療方法を提供する。
【0094】
そのためにナトリウムチャネル遮断薬が指示される医学療法における使用のため、特に、ヒト等の哺乳動物における状態の治療における使用のためにも本発明の化合物が提供される。本明細書で説明されるすべての治療上の使用は、有効量の本発明の化合物を、治療を必要とする対象に投与することによって実行される。一実施形態において、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける、可逆性又は不可逆性気道閉塞と関連する疾患等の肺の状態の治療において使用するために、本発明の化合物が提供される。1つの特定の実施形態において、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療において使用するために、本発明の化合物が提供される。一実施形態において、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける、COPDの急性増悪期の頻度、重症度を低減する若しくはその期間を短縮するのに使用するため、又はCOPDの急性増悪期の1つ若しくは複数の症状を治療するために、本発明の化合物が提供される。一実施形態において、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける、喘息の治療において使用するために、本発明の化合物が提供される。一実施形態において、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける、嚢胞性線維症以外の状態に起因する気管支拡張症を含む気管支拡張症又は急性気管支炎及び慢性気管支炎を含む気管支炎の治療において使用するための化合物を提供する。一実施形態において、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける、ウイルス感染後咳嗽の治療において使用するための化合物を提供する。一実施形態において、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける、嚢胞性線維症の治療において使用するための化合物を提供する。一実施形態において、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける、気腫の治療において使用するために、本発明の化合物が提供される。一実施形態において、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける、肺炎の治療において使用するために、本発明の化合物が提供される。一実施形態において、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける、汎細気管支炎又は肺及び骨髄移植関連細気管支炎を含む移植関連細気管支炎の治療において使用するために、本発明の化合物が提供される。一実施形態において、それを必要とする人工呼吸器を装着したヒトにおける、人工呼吸器関連気管気管支炎の治療、又は人工呼吸器関連肺炎の防止において使用するために、本発明の化合物が提供される。
【0095】
一実施形態において、それを必要とする哺乳動物、特にヒトの粘膜表面における、粘膜への水分の付与の増進によって改善される状態の治療において使用するために、本発明の化合物が提供される。一実施形態において、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける、口内乾燥(口腔乾燥症)の治療において使用するための化合物を提供する。一実施形態において、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける、乾燥皮膚の治療において使用するための化合物を提供する。一実施形態において、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける、腟乾燥の治療において使用するための化合物を提供する。一実施形態において、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける、副鼻腔炎、鼻副鼻腔炎又は乾燥酸素を投与することによってもたらされる鼻腔内脱水症を含む鼻腔内脱水症の治療において使用するために、本発明の化合物が提供される。一実施形態において、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける、ドライアイ若しくはシェーグレン病の治療、又は目若しくは角膜への水分の付与の促進において使用するために、本発明の化合物が提供される。一実施形態において、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける、中耳炎の治療において使用するために、本発明の化合物が提供される。一実施形態において、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける、原発性線毛機能不全の治療において使用するために、本発明の化合物が提供される。一実施形態において、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける、末端腸閉塞症候群、食道炎、便秘又は慢性憩室炎の治療において使用するために、本発明の化合物が提供される。
【0096】
本発明はまた、そのためにナトリウムチャネル遮断薬が指示されるヒト等の哺乳動物における状態の治療のための医薬品の製造における本発明の化合物の使用を提供する。一実施形態において、可逆性又は不可逆性気道閉塞と関連する疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、COPDの急性増悪期、喘息、気管支拡張症(嚢胞性線維症以外の状態に起因する気管支拡張症を含む)、気管支炎(急性気管支炎及び慢性気管支炎を含む)、ウイルス感染後咳嗽、嚢胞性線維症、気腫、肺炎、汎細気管支炎、移植関連細気管支炎、(肺及び骨髄移植関連細気管支炎を含む)、人工呼吸器関連気管気管支炎の治療、又は人工呼吸器関連肺炎を防止するための医薬品の製造における本発明の化合物の使用を提供する。
【0097】
1つの特定の実施形態において、粘膜表面における粘膜への水分の付与の増進によって改善される状態の治療、口内乾燥(口腔乾燥症)、乾燥皮膚、腟乾燥、副鼻腔炎、鼻副鼻腔炎、乾燥酸素を投与することによってもたらされる鼻腔内脱水症を含む鼻腔内脱水症の治療、ドライアイ、シェーグレン病の治療、目又は角膜への水分の付与の促進、中耳炎、原発性線毛機能不全、末端腸閉塞症候群、食道炎、便秘又は慢性憩室炎の治療のための医薬品の製造における本発明の化合物の使用を提供する。
【0098】
本明細書で使用されるような「有効量」、「医薬有効量」、「有効用量」及び「医薬有効用量」という用語は、それを投与される対象における、例えば研究者又は臨床医によって探究される細胞培養、組織、系又は哺乳動物(ヒトを含む)の、生物学的又は医学的応答を引き出すのに十分な本発明の化合物の量を指す。この用語は、正常な生理学的機能を増進させるのに有効な量もその範囲内に含む。一実施形態において、その有効量は、そうした組成物を吸入により投与したとき、気道及び肺の分泌物及び組織中、或いは治療を受ける対象の血流中に所望レベルの薬物を提供して、期待された生理学的応答又は所望の生物学的効果をもたらすのに必要な量である。例えば、そのためにナトリウムチャネル遮断薬が指示される状態の治療のための有効量の本発明の化合物は、特定の状態を治療するためにそれが投与される対象において十分である。一実施形態において、有効量は、ヒトにおけるCOPD又は嚢胞性線維症を治療するのに十分な本発明の化合物の量である。
【0099】
本発明の化合物の正確な有効量は、それだけに限らないが、治療を受ける対象の種、年齢、体重、治療を必要とする正確な状態及びその重症度、投与される特定の化合物の生物学的利用能、効力及び他の特性、製剤の性質、投与経路並びに送達デバイスを含むいくつかの因子に依存し、最終的には担当医師又は獣医の判断によることになる。適切な用量に関するさらなるガイダンスは、アミロライドと本発明の化合物の間の効力の差も十分考えながら、他のアミロライド等の他のナトリウムチャネル遮断薬の慣用的な用量を考慮することに見出せる可能性がある。
【0100】
70kgのヒトの治療のために、本発明の化合物の対象の気道表面に局所投与(例えば吸入により)される医薬有効用量は約10ng〜約10mgの範囲であってよい。別の実施形態において、医薬有効用量は約0.1〜約1000μgの範囲であってよい。一般に、気道表面に局所投与される1日量は、気道表面上での活性薬剤の約10
-9、10
-8又は10
-7〜約10
-4、10
-3、10
-2又は10
-1モル/リットル、より好ましくは約10
-9〜約10
-4モル/リットルの溶解濃度を達成するのに十分な量である。患者のための具体的な用量の選択は、上記したものを含むいくつかの因子をもとにして、当技術分野における通常の技術の担当医師、臨床医又は獣医によって決定される。1つの特定の実施形態において、70kgのヒトの治療のための本発明の化合物の用量は約10ナノグラム(ng)〜約10mgの範囲である。別の実施形態において、有効用量は約0.1μg〜約1,000μgの範囲である。一実施形態において、70kgのヒトの治療のための本発明の化合物の用量は約0.5μg〜約0.5mgの範囲である。他の実施形態では、その用量は約0.5μg〜約60μgである。別の実施形態では、医薬有効用量は約1〜約10μgである。別の実施形態では、医薬有効用量は約5μg〜約50μgである。別の実施形態は、約10μg〜約40μgの有効用量を有する。2つの他の実施形態では、医薬有効用量は、それぞれ約15μg〜約50μg、約15μg〜約30μgである。これらの用量範囲のそれぞれにおいて、その範囲内のすべての増分用量が含まれることを理解されよう。例えば、0.5〜50μgの範囲は、0.5μg、0.6μg、0.7μg、0.8μg、0.9μg、1.0μg、1.1μg、1.2μg、1.3μg、1.4μg、1.5μg、1.6μg、1.7μg、1.8μg、1.9μg、2.0μg、2.1μg、2.2μg、2.3μg、2.4μg、2.5μg、2.6μg、2.7μg、2.8μg、2.9μg、3.0μg、3.1μg、3.2μg、3.3μg、3.4μg、3.5μg、3.6μg、3.7μg、3.8μg、3.9μg、4.0μg、4.1μg、4.2μg、4.3μg、4.4μg、4.5μg、4.6μg、4.7μg、4.8μg、4.9μg、5.0μg、5.1μg、5.2μg、5.3μg、5.4μg、5.5μg、5.6μg、5.7μg、5.8μg、5.9μg、6.0μg、6.1μg、6.2μg、6.3μg、6.4μg、6.5μg、6.6μg、6.7μg、6.8μg、6.9μg、7.0μg、7.1μg、7.2μg、7.3μg、7.4μg、7.5μg、7.6μg、7.7μg、7.8μg、7.9μg、8.0μg、8.1μg、8.2μg、8.3μg、8.4μg、8.5μg、8.6μg、8.7μg、8.8μg、8.9μg、9.0μg、9.1μg、9.2μg、9.3μg、9.4μg、9.5μg、9.6μg、9.7μg、9.8μg、9.9μg、10.0μg、10.1μg、10.2μg、10.3μg、10.4μg、10.5μg、10.6μg、10.7μg、10.8μg、10.9μg、11.0μg、11.1μg、11.2μg、11.3μg、11.4μg、11.5μg、11.6μg、11.7μg、11.8μg、11.9μg、12.0μg、12.1μg、12.2μg、12.3μg、12.4μg、12.5μg、12.6μg、12.7μg、12.8μg、12.9μg、13.0μg、13.1μg、13.2μg、13.3μg、13.4μg、13.5μg、13.6μg、13.7μg、13.8μg、13.9μg、14.0μg、14.1μg、14.2μg、14.3μg、14.4μg、14.5μg、14.6μg、14.7μg、14.8μg、14.9μg、15.0μg、15.1μg、15.2μg、15.3μg、15.4μg、15.5μg、15.6μg、15.7μg、15.8μg、15.9μg、16.0μg、16.1μg、16.2μg、16.3μg、16.4μg、16.5μg、16.6μg、16.7μg、16.8μg、16.9μg、17.0μg、17.1μg、17.2μg、17.3μg、17.4μg、17.5μg、17.6μg、17.7μg、17.8μg、17.9μg、18.0μg、18.1μg、18.2μg、18.3μg、18.4μg、18.5μg、18.6μg、18.7μg、18.8μg、18.9μg、19.0μg、19.1μg、19.2μg、19.3μg、19.4μg、19.5μg、19.6μg、19.7μg、19.8μg、19.9μg、20.0μg、20.1μg、20.2μg、2
0.3μg、20.4μg、20.5μg、20.6μg、20.7μg、20.8μg、20.9μg、21.0μg、21.1μg、21.2μg、21.3μg、21.4μg、21.5μg、21.6μg、21.7μg、21.8μg、21.9μg、22.0μg、22.1μg、22.2μg、22.3μg、22.4μg、22.5μg、22.6μg、22.7μg、22.8μg、22.9μg、23.0μg、23.1μg、23.2μg、23.3μg、23.4μg、23.5μg、23.6μg、23.7μg、23.8μg、23.9μg、24.0μg、24.1μg、24.2μg、24.3μg、24.4μg、24.5μg、24.6μg、24.7μg、24.8μg、24.9μg、25.0μg、25.1μg、25.2μg、25.3μg、25.4μg、25.5μg、25.6μg、25.7μg、25.8μg、25.9μg、26.0μg、26.1μg、26.2μg、26.3μg、26.4μg、26.5μg、26.6μg、26.7μg、26.8μg、26.9μg、27.0μg、27.1μg、27.2μg、27.3μg、27.4μg、27.5μg、27.6μg、27.7μg、27.8μg、27.9μg、28.0μg、28.1μg、28.2μg、28.3μg、28.4μg、28.5μg、28.6μg、28.7μg、28.8μg、28.9μg、29.0μg、29.1μg、29.2μg、29.3μg、29.4μg、29.5μg、29.6μg、29.7μg、29.8μg、29.9μg、30.0μg、30.1μg、30.2μg、30.3μg、30.4μg、30.5μg、30.6μg、30.7μg、30.8μg、30.9μg、31.0μg、31.1μg、31.2μg、31.3μg、31.4μg、31.5μg、31.6μg、31.7μg、31.8μg、31.9μg、32.0μg、32.1μg、32.2μg、32.3μg、32.4μg、32.5μg、32.6μg、32.7μg、32.8μg、32.9μg、33.0μg、33.1μg、33.2μg、33.3μg、33.4μg、33.5μg、33.6μg、33.7μg、33.8μg、33.9μg、34.0μg、34.1μg、34.2μg、34.3μg、34.4μg、34.5μg、
34.6μg、34.7μg、34.8μg、34.9μg、35.0μg、35.1μg、35.2μg、35.3μg、35.4μg、35.5μg、35.6μg、35.7μg、35.8μg、35.9μg、36.0μg、36.1μg、36.2μg、36.3μg、36.4μg、36.5μg、36.6μg、36.7μg、36.8μg、36.9μg、37.0μg、37.1μg、37.2μg、37.3μg、37.4μg、37.5μg、37.6μg、37.7μg、37.8μg、37.9μg、38.0μg、38.1μg、38.2μg、38.3μg、38.4μg、38.5μg、38.6μg、38.7μg、38.8μg、38.9μg、39.0μg、39.1μg、39.2μg、39.3μg、39.4μg、39.5μg、39.6μg、39.7μg、39.8μg、39.9μg、40.0μg、40.1μg、40.2μg、40.3μg、40.4μg、40.5μg、40.6μg、40.7μg、40.8μg、40.9μg、41.0μg、41.1μg、41.2μg、41.3μg、41.4μg、41.5μg、41.6μg、41.7μg、41.8μg、41.9μg、42.0μg、42.1μg、42.2μg、42.3μg、42.4μg、42.5μg、42.6μg、42.7μg、42.8μg、42.9μg、43.0μg、43.1μg、43.2μg、43.3μg、43.4μg、43.5μg、43.6μg、43.7μg、43.8μg、43.9μg、44.0μg、44.1μg、44.2μg、44.3μg、44.4μg、44.5μg、44.6μg、44.7μg、44.8μg、44.9μg、45.0μg、45.1μg、45.2μg、45.3μg、45.4μg、45.5μg、45.6μg、45.7μg、45.8μg、45.9μg、46.0μg、46.1μg、46.2μg、46.3μg、46.4μg、46.5μg、46.6μg、46.7μg、46.8μg、46.9μg、47.0μg、47.1μg、47.2μg、47.3μg、47.4μg、47.5μg、47.6μg、47.7μg、47.8μg、47.9μg、48.0μg、48.1μg、48.2μg、48.3μg、48.4μg、48.5μg、48.6μg、48.7μg、48.8μg
、38.9μg、49.0μg、49.1μg、49.2μg、49.3μg、49.4μg、49.5μg、49.6μg、49.7μg、49.8μg、39.9μg、及び50μgの個々の用量を含む。
【0101】
その化合物が異なる経路で投与される場合、慣用的な用量計算法を用いて、上記に提案した用量を調整することができる。他の経路による投与に適した用量の決定は、上記説明及び当技術分野における一般的な知見に照らして、当業者の技術の範囲内である。
【0102】
有効量の本発明の化合物の送達は、同時に、又は24時間等の指定された期間にわたって時間内に別個に送達することができる、単一剤形又は複数単位用量の送達を伴うことができる。本発明の化合物の用量(単独か又はそれを含む組成物の形態で)を1日当たり1〜10回投与することができる。一般に、本発明の化合物(単独か又はそれを含む組成物の形態で)を1日(24時間)当たり4回、3回、2回又は1回投与することになる。
【0103】
本発明の式(I)の化合物は、空気感染症を治療するのにも有用である。空気感染症の例には、例えばRSVが含まれる。本発明の式(I)の化合物は炭疽菌感染症を治療するのにも有用である。本発明は、病原体によって引き起こされる疾患又は状態に対する、予防的、曝露後予防的、防止的又は治療的な処置のための本発明の式(I)の化合物の使用に関する。好ましい実施形態において、本発明は、バイオテロリズムで使用される可能性のある病原体によって引き起こされる疾患又は状態に対する、予防的、曝露後予防的、防止的又は治療的な処置のための本発明の式(I)の化合物の使用に関する。
【0104】
最近では、テロ行為における生物学的物質の使用についての懸念に対処するために、様々な研究プログラム及び生物テロ防御方策が整ってきている。これらの手段は、バイオテロリズム、又は人を殺傷し、恐怖を広げ、社会を混乱させるための微生物若しくは生物学的毒素の使用に関する懸念に対処しようとするものである。例えば、国立アレルギー感染症研究所(NIAID)は、広範なバイオテロリズム及び新たに発生し再発生する感染性疾患における研究の必要性に対処する計画の概説するStrategic Plan for Biodefense Researchを開発している。このための計画によれば、米国一般市民の炭疽菌(Bacillus anthracis)芽胞への意図的な曝露は、国の全般的な備えとバイオテロリズムの間にギャップがあることが明らかにされている。更に、この報告は、これらの攻撃によって、バイオテロリズム剤によって引き起こされる疾患を迅速に診断するための試験、それを防御するためのワクチン及び免疫治療、並びにそれを治癒させるための薬物及び生物製剤に対するいまだ対処されていない必要性をあらわにしていることを詳述している。
【0105】
様々な研究努力の焦点の多くは、バイオテロリズム剤として潜在的に危険性があると特定されている病原体の生物学の研究、そうしたバイオテロリズム剤に対する宿主応答の研究、感染性疾患に対するワクチンの開発、現在入手可能で、研究中であるそうしたバイオテロリズム剤に対する治療薬の評価、脅威となる薬剤の徴候及び症状を特定するための診断学を開発することに向けられてきた。そうした努力は称賛に値するが、バイオテロリズムに利用される恐れがあると特定されている多数の病原体を考えると、これらの努力は、バイオテロリズムの脅威のあらゆる可能性に対する満足すべき回答をまだ提供できてはいない。更に、バイオテロリズムの薬剤として潜在的に危険性があると特定されている病原体の多くについは、産業界による治療的又は防止的手段の開発のための十分な経済的誘因が提供されていない。更に、仮に、ワクチン等の防止的手段が、バイオテロリズムに使用される恐れのある各病原体のために利用可能であったとしても、すべての一般集団にそうしたワクチンを投与するコストは極めて高いものとなる。
【0106】
どのバイオテロリズム脅威に対しても好都合で有効な治療が利用できるようになるまで、病原体による感染のリスクを防止又は低減させることができる防止的、予防的又は治療的な処置に対する強い必要性が存在する。
【0107】
本発明は、そうした予防的処置の方法を提供する。一態様では、予防的に有効な量の式(I)の化合物を、1つ又は複数の空中病原体による感染に対する予防的処置を必要とする個体に投与する工程を含む予防的処置方法を提供する。空中病原体の具体的な例は炭疽菌である。
【0108】
別の態様において、ヒトにおいて疾患を引き起こす可能性がある空中病原体による感染のリスクを低減するための予防的処置方法であって、前記方法が、有効量の式(I)の化合物を、空中病原体による感染のリスクがあるがその疾患について無症状であるヒトの肺に投与する工程を含み、その有効量のナトリウムチャネル遮断薬及びオスモライトが、そのヒトにおける感染のリスクを低減するのに十分である方法を提供する。空中病原体の具体的な例は炭疽菌である。
【0109】
別の態様において、空中病原体による感染を治療するための曝露後の予防的処置又は治療処置方法であって、有効量の式(I)の化合物を、空中病原体による感染に対してそうした処置を必要とする個体の肺に投与する工程を含む方法を提供する。本発明の曝露後の予防、救助及び治療処置方法によって、それに対して防御できる可能性のある病原体には、口、鼻又は鼻腔を通して体に入り、したがって肺へ進む可能性のある任意の病原体が含まれる。一般に、病原体は天然由来か又はエアロゾル化による空中病原体である。病原体は天然由来であっても、エアロゾル化後に意図的に環境へ導入されても、また病原体を環境へ導入する他の方法であってもよい。自然には空気中に送られない多くの病原体が、バイオテロリズムで使用するために、すでにエアロゾル化されている、又はエアロゾル化される可能性がある。本発明の処置が有用である可能性のある病原体には、それだけに限らないが、NIAIDによって示されているようなカテゴリーA、B及びCの優先順位の病原体が含まれる。これらのカテゴリーは概ね疾病予防管理センター(CDC)によって編集されているリストに対応する。CDCによって示されているように、カテゴリーAの薬剤は、容易に、散布させることができる、又は個人間で伝染させることができるものであり、高い死亡率をもたらし、重大な公衆衛生上の影響の可能性がある。カテゴリーBの薬剤は次の優先順位のものであり、それらには、中程度に容易に散布され、中程度の罹患率及び低い死亡率をもたらすものである。カテゴリーCは、それらの入手可能性、製造及び散布のし易さ並びに高い罹患率及び死亡率の可能性のため、将来大量散布が企てられる可能性のある新たな病原体からなる。これらの病原体の具体的な例は、炭疽菌及びペスト菌である。それに対し防御できる、又はそれからの感染リスクを低減させることができる追加の病原体には、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、アデノウイルス及び呼吸器合胞体ウイルス等が含まれる。それに対して防御できる可能性のある他の病原体は、重篤な急性呼吸器症候群(SARS)を引き起こすと考えられているコロナウイルスである。
【0110】
本発明はまた、放射性物質拡散兵器(RDD)の爆発等の核攻撃又は原子力発電所災害等の偶発事故による、放射性核種を含む放射性物質、特に呼吸性エアロゾルへの曝露によって引き起こされる、呼吸管への決定的な健康影響を防止、軽減及び/又は処置するための式Iのナトリウムチャネル遮断薬又は薬学的に許容されるその塩の使用に関する。したがって、それを必要とするヒトにおけるを含むそれを必要とするレシピエントにおける、放射性核種を含有する呼吸性エアロゾルによって引き起こされる呼吸管及び/又は他の体の器官への決定的な健康影響を防止、軽減及び/又は処置するための方法であって、前記ヒトに有効量の式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩を投与する工程を含む方法を本明細書で提供する。
【0111】
放射性物質拡散兵器(RDD)の爆発等の核攻撃又は原子力発電所災害等の偶発事故による、放射性核種を含む呼吸性エアロゾルへの大衆の曝露のための結果の管理計画に関連する主要な関心事は、呼吸管、主に肺への決定的な健康影響の可能性をいかに防止、軽減及び/又は処置するかということである。そうした高度に内部汚染された個体を管理し処置することに備えた薬物、技術及び手順並びに訓練された人材をもつことが必要である。
【0112】
内部蓄積した放射性核種によって引き起こされる呼吸管及び体内の様々な器官への損傷の可能性を防止、軽減及び/又は処置する方法を決定するために、研究がなされてきた。これまで、研究上の注目の大部分は、それらの排出及び除去を加速させることによって、内部蓄積した放射性核種による健康影響を軽減するよう設計された戦略に焦点が当てられてきた。これらの戦略は、血流に到達することができ所与の放射性元素に対して特異的である遠位の全身部位に蓄積される可溶性の化学形態に焦点が当てられてきた。そうしたアプローチは、蓄積した放射性核種が相対的に不溶性の形態である場合には機能しないことになる。研究により、RDDから分散した放射性核種の物理化学的形態の、大部分とは言わないまでも、多くは相対的に不溶性の形態であるということが示されている。
【0113】
吸入された不溶性の放射性エアロゾルからの肺への放射線量を効果的に低減するための公知の唯一の方法は、気管支肺胞洗浄すなわちBALである。肺胞タンパク症を有する患者の治療のためにすでに使用されていることから適用されたこの技術は、長期間実行しても安全で繰り返し可能な手順であることが示されている。手順において変動はあるが、BALのための基本的な方法は、対象に麻酔をかけ、続いて、機能的残気量に達するまで、肺の1つだけの葉内に等張食塩水を徐々に導入することである。次いで追加の容量を加え、重力によってドレナージさせる。
【0114】
動物に対してBALを用いた試験の結果は、妥当な一連のBAにより、肺深部含量の約40%を除去できることを示している。いくつかの研究では、動物間で、回収される放射性核種の量に相当な変動が見られている。この変動の理由は現在確認されていない。
【0115】
更に、動物での試験に基づいて、BAL治療による大幅な用量削減は、不溶性の放射性核種の吸入に起因する健康影響の軽減をもたらすと考えられる。この試験において、成長したイヌは不溶性の
144Ce-FAP粒子を吸入している。2つのイヌの群に、放射線肺臓炎及び肺線維症(約2MBq/kg体重)を引き起こすことが公知である
144Ceの肺含量を与え、1つの群に曝露後2〜56日間、10回の片側だけの洗浄処置をし、他方の群には処置をしなかった。第3の群を、処置(約1MBq/kg)後のBAL処置群において見られるのに匹敵する
144Ceのレベルで曝露したが、これらの動物は未処置であった。すべての動物を16年までに及ぶ彼らの寿命まで生存させた。各群におけるイヌの間で
144Ceの初期肺含量に変動があるので、各群についての線量率及び蓄積線量は重なっている。それでも、肺炎/線維症によるリスクを低減させるBALの効果は生存曲線から明らかであった。1.5〜2.5MBq/kgの肺含量を有する未処置イヌでは、平均生存時間は370±65dであった。処置イヌについては、平均生存時間は1270±240dであった。これは、統計的に有意な差であった。0.6〜1.4MBqの
144Ceの肺含量を施された第3の群は、処置群と実質的に差がない1800±230の平均生存時間を有していた。生存の延長に同様に重要なことであるが、高用量の未処置群のイヌは肺への決定的な作用(肺炎/線維症)により死亡したが、処置群のイヌは死亡しなかった。その代わりに、低用量未処置群のイヌと同様に、処置イヌは大部分肺腫瘍(血管肉腫又は癌腫)を有していた。したがって、BAL処置によりもたらされる用量の減少は、その肺が受けた放射線量をもとにして予測可能な肺における生物学的効果を生み出したようである。
【0116】
これらの結果に基づいて、肺からの粒子のクリアランスを増進させるための任意の方法又は方法の組合せによって、残留放射線量を更に減少させると、肺への健康影響の可能性を更に低下させると考えられる。しかし、BALは多くの欠点を有する手順である。BALは、専門の医療センターで、訓練を受けた呼吸器科医によって実施されなければならない高度に侵襲的な手順である。したがって、BALの手順は高い費用がかかる。BALの欠点を考慮すると、これは、例えば核攻撃の事態において、放射性粒子の加速的な除去を必要とする人に容易にかつ即時に利用できる処置選択肢ではない。核攻撃又は核事故の事態において、曝露されている又は曝露されるリスクがある人のための即時的で比較的容易に投与される処置が必要である。吸入エアロゾルとして投与されたナトリウムチャネル遮断薬は、気道表面への水分の付与を回復することが示されている。そうした気道表面への水分の付与は、蓄積された粘液分泌及び肺からの付随する粒子状物質のクリアリングを助ける。したがって、特定の理論に拘泥するものではないが、ナトリウムチャネル遮断薬は、気道通路からの放射性粒子の除去を加速させるために使用できると考えられる。
【0117】
上記で論じたように、汚染爆弾等の放射能攻撃に続く肺への最も高いリスクは、不溶性の放射性粒子の吸入及び保持によってもたらされる。放射性粒子保持の結果として、肺への累積的曝露は大幅に増大し、最終的に肺線維症/肺炎をもたらし、死に至る可能性がある。不溶性粒子は、これらの粒子が液中に存在しないので、キレート剤で全身的にクリアすることはできない。これまで、BALによる粒子状物質の物理的除去は、放射線誘導性肺疾患の緩和において有効であることが示されている唯一の治療レジメンである。上記で論じたように、BALは、体内に吸入された放射性粒子の影響を軽減するための現実的な治療解決法ではない。したがって、気道通路からの放射性粒子のクリアリングを効果的に助け、BALとは異なり、投与するのが比較的簡単であり、大規模な放射線被ばくシナリオに拡張可能である治療レジメンを提供することが望ましい。更に、その治療レジメンが、比較的短期間で多数の人に容易に利用可能であることも望ましい。
【0118】
本発明の一態様において、放射性核種を含有する呼吸性エアロゾルによって引き起こされる呼吸管及び/又は他の体の器官への決定的な健康影響を防止、軽減及び/又は処置するための方法は、有効量の式Iのナトリウムチャネル遮断薬又は薬学的に許容されるその塩を、それを必要とする個体に投与する工程を含む。この態様の特徴(feature)において、ナトリウムチャネル遮断薬をオスモライトと一緒に投与する。更にこの特徴に関して、オスモライトは高張食塩水(HS)である。他の特徴において、ナトリウムチャネル遮断薬及びオスモライトをイオン輸送モジュレーターと一緒に投与する。更にこの特徴に関してイオン輸送モジュレーターは、β-アゴニスト、CFTR増強剤、プリン受容体アゴニスト、ルビプロストン及びプロテアーゼ阻害剤からなる群から選択することができる。この態様の別の特徴において、放射性核種は、コバルト-60、セシウム-137、イリジウム-192、ラジウム-226、リン-32、ストロンチウム-89及び90、ヨウ素-125、タリウム-201、鉛-210、トリウム-234、ウラン-238、プルトニウム、コバルト-58、クロム-51、アメリシウム、及びキュリウムからなる群から選択される。他の特徴において、放射性核種は、放射性物質廃棄デバイスからのものである。更に別の特徴において、ナトリウムチャネル遮断薬又は薬学的に許容されるその塩を、個体が吸入する呼吸性粒子のエアロゾル懸濁剤で投与する。追加的な特徴において、ナトリウムチャネル遮断薬又は薬学的に許容されるその塩を、放射性核種への曝露後に投与する。
【0119】
組成物
本発明の化合物を単独で投与するのも可能であるが、いくつかの実施形態では、それを組成物、特に医薬組成物(製剤)の形態で存在することが好ましい。したがって、別の態様において、本発明は、活性成分としての医薬有効量の本発明の化合物及び薬学的に許容される賦形剤、希釈剤又は担体を含む組成物、特に医薬組成物(吸入可能な医薬組成物等)を提供する。本明細書で用いるような「活性成分」は、本発明の任意の化合物又は医薬組成物中での本発明の2つ以上の化合物の組合せを指す。医薬組成物が、医薬有効量の式(I)、(Ia)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)及び(VII)の化合物又は薬学的に許容されるその塩(独立に又は組み合わせて)及び薬学的に許容される賦形剤、希釈剤又は担体を含む特定の実施形態も提供する。
【0120】
いくつかの実施形態では、その医薬組成物は、希釈剤中に医薬有効量の式(I)、(Ia)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)及び(VII)の化合物又は薬学的に許容されるその塩(独立に又は組み合わせて)を含む。別個の実施形態では、医薬組成物は、それぞれ高張食塩水、滅菌水及び高張食塩水中に医薬有効量の式(I)、(Ia)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)及び(VII)の化合物又は薬学的に許容されるその塩を含み、その塩分濃度は本明細書で説明する通りであってよい。一実施形態では、塩分濃度は0.17%w/vであり、他の実施形態ではそれは2.8%w/vである。
【0121】
i)医薬有効量の式(I)、(Ia)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)及び(VII)の(化合物又は薬学的に許容されるその塩;ii)1つ若しくは複数の薬学的に許容される賦形剤、担体又は希釈剤;iii)群i)の化合物及び群ii)の賦形剤、担体又は希釈剤を、それを必要とする対象に投与するための取扱説明書;及びiv)容器を含むキットも提供する。それを必要とする対象には、特にそれを必要とするヒト対象を含む、本明細書で説明する治療方法を必要とする任意の対象が含まれる。他の実施形態は、振動メッシュ式ネブライザー及びジェット式ネブライザーを含むネブライザー、能動及び受動式乾燥粉末吸入器を含む乾燥粉末吸入器並びに加圧型、乾燥粉末及びsoft mist式計量式吸入器を含む計量式吸入器からなる群から選択されるエアロゾル化デバイスも含む。
【0122】
一実施形態において、キットは、i)用量当たり約10ng〜約10mgの式(I)、(Ia)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)及び(VII)の化合物又は薬学的に許容されるその塩;ii)用量当たり約1〜約5mLの希釈剤;iii)群i)の化合物及び群ii)の希釈剤を、それを必要とする対象に投与するための取扱説明書;及びiv)容器を含む。他の実施形態において、希釈剤は、用量当たり約1〜約5mLの本明細書で説明するような生理食塩水溶液である。他の実施形態では、希釈剤は、用量当たり約1〜約5mLの低張食塩水溶液である。別の実施形態では、希釈剤は、用量当たり約1〜約5mLの高張食塩水溶液である。更に他の実施形態では、希釈剤は、用量当たり約1〜約5mLの滅菌水である。
【0123】
i)薬学的に許容される希釈剤に溶解された医薬有効量の式(I)、(Ia)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)及び(VII)の化合物又は薬学的に許容されるその塩を含む溶液;iii)群i)の溶液を、それを必要とする対象に投与するための取扱説明書;及びiii)容器を含むキットも提供する。
【0124】
i)薬学的に許容される希釈剤に溶解された約10ng〜約10mgの式(I)、(Ia)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)及び(VII)の化合物又は薬学的に許容されるその塩を含む溶液;iii)群i)の溶液を、それを必要とする対象に投与するための取扱説明書象;及びiii)容器を含むキットも提供する。他の実施形態において、その希釈剤は、用量当たり約1〜約5mLの本明細書で説明するような生理食塩水溶液である。
【0125】
別の実施形態は、i)吸入に適した乾燥粉末製剤での医薬有効量の式(I)、(Ia)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)及び(VII)の化合物又は薬学的に許容されるその塩、ii)吸入に適した任意選択の1つ若しくは複数の薬学的に許容される賦形剤又は担体;iii)それを必要とする対象に群i)の化合物及び群ii)の賦形剤又は担体を投与するための取扱説明書;並びにiv)容器を含むキットを含む。他の実施形態では、そのキットは、乾燥粉末製剤をレシピエントに送達するのに適した乾燥粉末吸入器も含む。追加の実施形態では、乾燥粉末吸入器は、単一用量の吸入器であっても多数用量の吸入器であってもよい。
【0126】
本明細書で説明するキットのそれぞれの他の実施形態は、用量当たりの式(I)、(Ia)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)及び(VII)の化合物又は薬学的に許容されるその塩の濃度が、a)約0.1μg〜約1,000μg;b)約0.5μg〜約0.5mg;及びc)約0.5μg〜約50μgを含む本明細書で説明する有効用量範囲の1つであるものを含む。
【0127】
上記したキットのそれぞれについて、希釈剤が本明細書で説明する濃度の高張食塩水である追加の実施形態がある。各キットについての別の実施形態では、希釈剤は本明細書で説明する濃度の低張食塩水である。各キットについての他の実施形態では、希釈剤は吸入に適した滅菌水である。
【0128】
薬学的に許容される賦形剤、希釈剤又は担体は、その製剤の他の成分と適合し、かつそのレシピエントに有害でないという意味で許容されるものでなければならない。一般に、この医薬製剤で使用される薬学的に許容される賦形剤、希釈剤又は担体は、それ/それらが製剤で送達される量で消費するのに安全であると考えられるという意味で「非毒性」であり、それ/それらがその活性成分と感知できるほどの反応をしない、又は活性成分の治療活性に対して望ましくない影響をもたらさないという意味で「不活性」である。薬学的に許容される賦形剤、希釈剤及び担体は当技術分野で慣用的なものであり、所望の投与経路をもとにして慣用的な技術を用いて選択することができる。REMINGTON’S, PHARMACEUTICAL SCIENCES, Lippincott Williams & Wilkins;第21版(2005年5月1日)を参照されたい。好ましくは、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤又は担体は、FDAによって一般に安全と認められる{Generally Regarded As Safe(GRAS)}ものである。
【0129】
本発明による医薬組成物には、経口投与;皮下、皮内、筋肉内、静脈内及び関節内を含む非経口投与;皮膚、目、耳等への局所投与を含む局所投与;経膣又は経直腸投与;様々なタイプの乾燥粉末吸入器、加圧型計量式吸入器、softmist式吸入器、ネブライザー又は吹送器によって送達することができるエアロゾルの使用によることを含む、鼻の空洞及び洞、口腔、及び気管外気道並びに肺を含む呼吸管への投与に適したものが含まれる。最も適切な投与経路は、治療を受ける患者及び状態又は障害を含む複数の因子に依存する可能性がある。
【0130】
例えば吸入器によって計量投与される製剤の場合に関しては、製剤は、単位剤形又はバルク形態で存在することができ、製薬技術分野で周知の方法のいずれかによって調製することができる。通常、これらの方法は、活性成分を担体、希釈剤又は賦形剤、及び任意選択の1つ又は複数の補助的成分と一緒にする工程を含む。一般に、製剤は、活性成分を、1つ若しくは複数の液体の担体、希釈剤又は賦形剤或いは微粉化された固体の担体、希釈剤又は賦形剤或いはその両方と、均一にかつ密に一緒にし、次いで、必要なら、その産物を所望の製剤に成形することによって調製される。
【0131】
1つの好ましい実施形態において、その組成物は、気管支内空間への吸入及び送達に適している吸入可能な医薬組成物である。一般に、そうした組成物は、ネブライザー、加圧型計量式吸入器(MDI)、softmist式吸入器又は乾燥粉末吸入器(DPI)を用いた送達のための粒子を含むエアロゾルの形態である。本発明の方法で使用されるエアロゾル製剤は、ネブライザー、softmist式吸入器若しくはMDIで投与するのに適した液体(例えば、溶液)であっても、またMDI若しくはDPIで投与するのに適した乾燥粉末であってもよい。
【0132】
呼吸管へ医薬品を投与するのに使用されるエアロゾル剤は、一般に多分散系のもの、すなわち、異なる多くのサイズの粒子を含むものである。粒径分布は通常、空気力学的質量中央径(MMAD)及び幾何標準偏差(GSD)で説明される。気管支内空間への最適の薬物送達のためには、MMADは約1〜約10μm、好ましくは約1〜約5μmの範囲であり、GSDは3未満、好ましくは約2未満である。10μm超のMMADを有するエアロゾル剤は、肺に達するように吸入させるのには一般に大き過ぎる。約3超のGSDを有するエアロゾル剤は医薬品が、高い割合で口腔へ送達されるので、肺への送達には好ましくない。粉末製剤でこれらの粒子サイズを達成するために、活性成分の粒子を、微粉化又は噴霧乾燥等の従来技術を用いて微粉化することができる。呼吸性粒子を作製するために使用できる他のプロセス又は技術の非限定的な例には、噴霧乾燥法、沈降法、超臨界流体法及びフリーズドライ法が含まれる。所望の画分を、空気分級又は篩別により分離することができる。一実施形態において、粒子は結晶性のものとなる。液体製剤のためには、粒径は、ネブライザー、softmist式吸入器又はMDIの具体的なモデルを選択することによって決定される。
【0133】
エアロゾル粒径分布は、当技術分野で周知のデバイスを用いて決定される。例えば、多段式Andersonカスケードインパクター、又は計量式吸入器及び乾燥粉末吸入器から放出されるエアロゾル剤のための特徴のあるデバイスとして、米国薬局方の第601章に具体的に引用されているもの等の他の適切な方法がある。
【0134】
吸入により肺へ局所送達するための乾燥粉末組成物は、賦形剤又は担体を含まず、代わりに、吸入に適した粒径を有する乾燥粉末形態の活性成分だけを含むように製剤化することができる。乾燥粉末組成物は活性成分と、モノ-、ジ-又はポリ-サッカリド(例えば、ラクトース又はデンプン)等の適切な粉末ベース(担体/希釈剤/賦形剤物質)の混合物を含むこともできる。ラクトースは一般に乾燥粉末製剤用に好ましい賦形剤である。ラクトース等の固体賦形剤を使用する場合、その賦形剤の粒径は一般に、吸入器中でのその製剤の分散を助けるために、活性成分よりずっと大きいものになる。
【0135】
乾燥粉末吸入器の非限定的な例には、リザーバー式複数用量吸入器、事前計量式複数用量吸入器、カプセルベースの吸入器及び単一用量の使い捨て型吸入器が含まれる。リザーバー式吸入器は、1つの容器中に多数の用量(例えば、60個)を含む。吸入の前に、患者が吸入器を作動させると、リザーバーから1用量の医薬品が計量され、吸入に備えるようになっている。リザーバー式DPIの例には、それだけに限らないが、AstraZeneca社のTurbohaler(登録商標)及びVectura社のClickHaler(登録商標)が含まれる。
【0136】
事前計量式複数用量吸入器では、それぞれ個別の用量が別々の容器に入れて作られており、吸入前の吸入器の作動によって新たな用量の薬物が容器から放出され、吸入に備えるようになっている。多用量型DPI吸入器の例には、それだけに限らないが、GSK社のDiskus(登録商標)、Vectura社のGyrohaler(登録商標)及びValois社のProhaler(登録商標)が含まれる。吸入の間、患者の吸気流は、その粉末がデバイスを出て口腔に入るのを加速する。カプセル吸入器については、製剤はカプセル中にあり、吸入器の外に貯蔵されている。患者はカプセルを吸入器に入れ、吸入器を作動させ(カプセルに穴を開ける)、次いで吸入する。その例には、Rotohaler(商標)(GlaxoSmithKline社)、Spinhaler(商標)(Novartis社)、HandiHaler(商標)(IB社)、TurboSpin(商標)(PH&T社)が含まれる。単一用量の使い捨て型吸入器では、患者は吸入器を作動させて吸入に備え、吸入し、次いでその吸入器と包装を廃棄する。その例には、Twincer(商標)(U Groningen社)、OneDose(商標)(GFE社)及びManta Inhaler(商標)(Manta Devices社)が含まれる。
【0137】
一般に、乾燥粉末吸入器は、粉末経路の乱流特性を利用してその賦形剤-薬物が一体になって分散し、活性成分の粒子が肺の中に堆積されるようにする。しかし、特定の乾燥粉末吸入器は、サイクロン分散チャンバーを利用して、所望の呼吸可能なサイズの粒子が形成されるようにする。サイクロン分散チャンバーでは、薬物は、コイン形の分散チャンバー中に接線方向で進入し、それによって空気経路及び薬物は外側の円形壁に沿って進む。薬物製剤がこの円形壁に沿って進むので、それは跳ねまわり、凝集物は衝撃力によって粉々になる。空気経路はチャンバーの中心の方へらせん状に向かって垂直に外へ出る。十分小さな空気力学的なサイズを有する粒子は、空気経路を流れてチャンバーを出ることができる。実際には、分散チャンバーは小さなジェットミルのような働きをする。製剤の仕様に応じて、大きなラクトース粒子を製剤に加えて、API粒子との衝突による分散を助けるようにすることができる。
【0138】
Twincer(商標)単一用量の使い捨て型吸入器は、「空気分級器」と称されるコイン型サイクロン分散チャンバーを用いて動作させるようである。フローニンゲン大学(Rijksuniversiteit Groningen)の米国特許出願公開第2006/0237010号を参照されたい。フローニンゲン大学によって出版されている文献は、60mg用量の純粋な微粉化コリスチンスルホメテート(colistin sulfomethate)を、この技術を用いて吸入可能な乾燥粉末として効果的に送達できると述べている。
【0139】
好ましい実施形態において、エアロゾル製剤は、吸入器から放出される粒子が約1μm〜約5μmの範囲のMMAD及び約2未満のGSDを有する乾燥粉末吸入器を用いて、乾燥粉末として送達される。
【0140】
本発明による化合物及び組成物の送達において使用するのに適した乾燥粉末吸入器及び乾燥粉末分散デバイスの例には、それだけに限らないが、US7520278、US7322354、US7246617、US7231920、US7219665、US7207330、US6880555、US5,522,385、US6845772、US6637431、US6329034、US5,458,135、US4,805,811及び米国公開特許出願第2006/0237010号に開示されているものが含まれる。
【0141】
一実施形態において、本発明による医薬製剤は、Diskus(登録商標)型デバイスで送達するために製剤化された吸入用の乾燥粉末である。Diskus(登録商標)デバイスは、その長さに沿って間隔を開けて複数のくぼみを有するベースシート、及び複数の容器を画定するための、密閉されているが剥離できるようにそれにシールされているふたシートから形成された細長いストリップを含む。その各容器は、所定量の活性成分を単独か、又は1つ若しくは複数の担体又は賦形剤(例えば、ラクトース)及び/又は他の治療用活性薬剤と混合して含む吸入可能な製剤をその中に有する。このストリップは、ロール状に巻き取るのに十分に柔軟性であることが好ましい。ふたシート及びベースシートは、好ましくは、互いにシールされていない先端部分を有し、その先端部分の少なくとも1つが巻き上げ手段に取り付けられるように構成されていることが好ましい。また、ベースシートとふたシートの間の密封用シールは、それらの幅全体に及んでいることが好ましい。吸入のための用量を用意するために、ふたシートは、ベースシートの最初の末端から縦方向にベースシートから剥がすことができることが好ましい。
【0142】
一実施形態において、本発明による医薬製剤は、単一用量の使い捨て型吸入器、特にTwincer(商標)吸入器を用いて送達するために製剤化された吸入用の乾燥粉末である。Twincer(商標)吸入器は、1つ又は複数のくぼみを有するホイルラミネートブリスター、及び複数の容器を画定するための、密閉されているが剥離できるようにそれにシールされているふたシートを含む。その各容器は、所定量の活性成分を単独か、又は1つ若しくは複数の担体又は賦形剤(例えば、ラクトース)と混合して含む吸入可能な製剤をその中に有する。ふたシートは、吸入器の本体から突き出るように構成された先端部分を有することが好ましい。患者は、1)外部包装の上包を取り除き、2)ホイルタブを引っ張ってブリスター内の薬物を見えるようにし、3)ブリスターからその薬物を吸入することによって、デバイスを操作し、それによってエアロゾル製剤を投与することになる。
【0143】
別の実施形態において、本発明による医薬製剤は、どちらもNexBio社のPCT公開番号WO2009/015286又はWO2007/114881に記載されているような微粒子に製剤化されている吸入用の乾燥粉末である。そうした微粒子は一般に、溶媒中に本発明の化合物を含む溶液に対イオンを加え、その溶液にアンチソルベントを加え、溶液を徐々に約25℃未満の温度に冷却して、化合物を含む微粒子を含有する組成物を生成させることによって形成される。次いで化合物を含む微粒子を、沈殿、濾過又は凍結乾燥等の適切な任意の手段で溶液から分離することができる。本発明の化合物の微粒子を作製するための適切な対イオン、溶媒及びアンチソルベントは、WO2009/015286に記載されている。
【0144】
別の実施形態において、本発明による医薬組成物は、計量式吸入器を用いて乾燥粉末として送達される。計量式の吸入器及びデバイスの非限定的な例には、US5,261,538、US5,544,647、US5,622,163、US4,955,371、US3,565,070、US3,361306並びにUS6,116,234及びUS7,108,159に開示されているものが含まれる。好ましい実施形態において、本発明の化合物は、計量式吸入器を用いて乾燥粉末として送達され、放出される粒子は約1μm〜約5μmの範囲のMMAD及び約2μm未満のGSDを有する。
【0145】
吸入により気管支内空間又は肺へ送達するための液体エアロゾル製剤は、適切な液化噴射剤を使用する計量式吸入器等の加圧パック、softmist式吸入器又はネブライザーから送達される、例えば水性の液剤若しくは懸濁剤又はエアロゾル剤として製剤化することができる。吸入に適したそうしたエアロゾル組成物は、懸濁液であっても溶液であってもよく、一般に、活性成分を、薬学的に許容される担体又は希釈剤[例えば、水(蒸留又は滅菌された)、生理食塩水、高張食塩水又はエタノール]及び任意選択の1つ又は複数の他の治療用活性薬と一緒に含むことができる。
【0146】
加圧型計量式吸入器で送達するためのエアロゾル組成物は一般に薬学的に許容される噴射剤を更に含む。そうした噴射剤の例には、フルオロカーボン若しくは水素含有クロロフルオロカーボン又はその混合物、特にヒドロフルオロアルカン、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、特に1,1,1,2-テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3,-ヘプタフルオロ-n-プロパン又はその混合物が含まれる。エアロゾル組成物は賦形剤を含まなくても、任意選択で、界面活性剤、例えばオレイン酸又はレシチン及び共溶媒、例えばエタノール等の当技術分野で周知の追加の製剤用賦形剤を含んでもよい。加圧型製剤は一般に、弁(例えば、絞り弁)で閉じられ、口金を備えたアクチュエーターに組み込まれた缶(例えば、アルミニウム缶)の中に保持されることになる。
【0147】
別の実施形態において、本発明による医薬組成物を、計量式吸入器を用いて液体として送達する。計量式の吸入器及びデバイスの非限定的な例には、米国特許第6,253,762号、同第6,413,497号、同第7,601,336号、同第7,481,995号、同第6,743,413号及び同第7,105,152号に開示されているものが含まれる。好ましい実施形態において、本発明の化合物を、計量式吸入器を用いて、その放出される粒子が約1μm〜約5μmの範囲のMMAD及び約2未満のGSDを有する乾燥粉末として送達する。
【0148】
一実施形態において、エアロゾル製剤は、ジェットネブライザー、又は静止式及び振動式多孔板ネブライザーを含む超音波ネブライザーでエアロゾル化するのに適している。噴霧するための液体エアロゾル製剤は、固体粒子製剤を可溶化又は再構成させることによって調製するか、或いは、酸又はアルカリ、緩衝塩、等張性調節剤等の薬剤を追加して、水性ビヒクルを用いて製剤化することができる。これらは、濾過等の工程中の技術によって、又はオートクレーブ中での加熱若しくはγ線照射等の最終工程で殺菌することができる。これらは、殺菌されていない形態で存在してもよい。
【0149】
患者は、噴霧溶液のpH、浸透圧及びイオン含有量に敏感である可能性がある。したがって、これらのパラメーターを、活性成分に適合し、患者に許容されるように調整しなければならない。活性成分の最も好ましい溶液又は懸濁液は、pH4.5〜7.4、好ましくは5.0〜5.5で>30mMのクロリド濃度及び約800〜1600mOsm/kgの浸透圧を含むことになる。溶液のpHは、一般的な酸(例えば塩酸又は硫酸)又は塩基(例えば水酸化物ナトリウム)で滴定するか、或いは緩衝剤を使用して制御することができる。通常使用される緩衝剤には、クエン酸/クエン酸ナトリウム緩衝剤等のクエン酸緩衝剤、酢酸/酢酸ナトリウム緩衝剤等の酢酸緩衝剤及びリン酸緩衝剤が含まれる。緩衝剤の強さは、2mM〜50mMの範囲であってよい。
【0150】
有用な酢酸、リン酸及びクエン酸緩衝剤には、酢酸ナトリウム、酢酸ナトリウム三水和物、酢酸アンモニウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素カリウム、リン酸カリウム、クエン酸ナトリウム及びクエン酸カリウムが含まれる。使用できる他の緩衝剤には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、アミノメチルプロパノール、トロメタミン、テトラヒドロキシプロピルエチレンジアミン、クエン酸、酢酸、ヒドロキシトリカルボン酸又はその塩、例えばそのクエン酸塩又はクエン酸ナトリウム塩、乳酸、及び乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、乳酸リチウム、乳酸カルシウム、乳酸マグネシウム、乳酸バリウム、乳酸アルミニウム、乳酸亜鉛、乳酸銀、乳酸銅、酸鉄、乳酸マンガン、乳酸アンモニウムを含む乳酸の塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン並びにその組合せ等が含まれる。
【0151】
そうした製剤は、市販のネブライザー、又はその製剤を粉砕して呼吸管中での堆積に適した粒子若しくは小滴にできる他のアトマイザーを用いて投与することができる。本発明の組成物のエアロゾル送達に使用できるネブライザーの非限定的な例には、空気式ジェットネブライザー、ベント式若しくは呼吸強化式(breath enhanced)ジェットネブライザー又は静止式若しくは振動式多孔板ネブライザーを含む超音波ネブライザーが含まれる。市販のネブライザーには、Aeroneb(登録商標)Goネブライザー(Aerogen)及びeFlowネブライザー(Pari Pharma)が含まれる。
【0152】
ジェットネブライザーは、水のカラムを通って上方へ噴射される高速の空気流を利用して小滴を発生させる。吸入に適さない粒子は壁又は空気力学的邪魔板に衝突する。ベント式若しくは呼吸強化式ネブライザーは、患者が吸入する際のネブライザーの産出速度を増大させるために、吸入された空気が一次小滴発生領域を通過するということ以外は、基本的にジェットネブライザーと同じやり方で動作する。
【0153】
超音波ネブライザーでは、圧電性結晶の振動は薬物リザーバー中で表面不安定性を生み出し、これは、小滴が形成されるようにする。多孔板ネブライザーでは、音波エネルギーによって発生した圧力場は、液体を、メッシュ孔を通して強制的に通過させ、そこでレイリー分裂により小滴に分裂させる。音波エネルギーは、振動式ホーン、又は圧電性結晶によって駆動されるプレート、或いはメッシュ自体の振動によって供給することができる。アトマイザーの非限定的な例には、単一型若しくは双子型の任意の流体アトマイザー又は適切なサイズの小滴を発生させるノズルが含まれる。単一型流体アトマイザーは、1つ又は複数の穴を通して液体を強制的に通過させ、そこで液体の噴流を破壊して小滴にすることによって機能する。双子型の流体アトマイザーは、1つ又は複数の穴を通して気体と液体の両方を強制的に通過させるか、或いは液体の噴流を液体又は気体の別の噴流に衝突させることによって機能する。
【0154】
エアロゾル製剤をエアロゾル化するネブライザーの選択は、活性成分の投与において重要である。異なるネブライザーは、それらの設計及び操作原理に基づいて異なる効率を有しており、製剤の物理的及び化学的特性に敏感である。例えば、異なる表面張力を有する2つの製剤は異なる粒径分布をもつ可能性がある。更に、pH、浸透圧及び浸透イオン量等の製剤特性は薬物治療の忍容性に影響を及ぼす可能性があり、したがって、好ましい実施形態は、これらの特性の特定の範囲に適合する。
【0155】
好ましい実施形態において、噴霧用の製剤は、約1μm〜約5μmのMMAD及び2未満のGSDを有するエアロゾルとして、適切なネブライザーを用いて気管支内空間に送達される。最適に効果的であり、かつ上気道性及び全身性の副作用を回避するために、エアロゾルは約5μm超のMMADを有すべきであり、約2超のGSDを有すべきではない。エアロゾルが約5μm超のMMAD又は約2μm超のGSDを有する場合、その用量の多くの割合は上気道に堆積し、下気道の所望部位に送達される薬物の量は減少する。エアロゾルのMMADが約1μmより小さい場合、その粒子の多くの割合は吸入された空気中に浮遊したままとなり、息を吐くときに吐き出される可能性がある。
【0156】
本発明の化合物は、経気管支鏡(transbronchoscopic)洗浄によっても投与することができる。
【0157】
経口投与に適した製剤は、それぞれが所定量の活性成分を含むカプセル剤、カシェ剤又は錠剤等の離散した単位として;散剤又は顆粒剤として;水性液体又は非水性液体中の液剤若しくは懸濁剤として;又は水中油型の液体乳剤若しくは油中水型の液体乳剤として存在することができる。活性成分は、サシェイ剤、ボーラス剤、舐剤又はペースト剤として存在することもできる。
【0158】
錠剤は、任意選択で1つ若しくは複数の補助的成分と一緒に圧縮又は成形によって作製することができる。圧縮錠剤は適切な機械中で、活性成分を、結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、表面活性剤又は分散剤と混合された粉末又は顆粒等の自由流動形態で圧縮することによって調製することができる。成形錠剤は、適切な機械中で、不活性液体希釈剤で湿潤させた粉末状化合物の混合物を成形することによって作製することができる。錠剤は、任意選択でコーティングする、又は割線を入れることができ、そこで活性成分の遅延又は制御放出が提供されるように製剤化することができる。
【0159】
口内での、例えば頬側又は舌下による局所投与のための製剤には、スクロース及びアカシア又はトラガカント等の香味ベース中に活性成分を含むロゼンジ剤並びにゼラチン及びグリセリン又はスクロース及びアカシア等のベース中に活性成分を含むトローチ剤が含まれる。
【0160】
非経口投与のための製剤には、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤、及び対象とするレシピエントの血液との等張性を製剤に付与する溶質を含むことができる水性及び非水性の滅菌注射液剤;並びに懸濁化剤及び増粘剤を含むことができる水性及び非水性の滅菌懸濁剤が含まれる。製剤は、単位用量又は複数用量の容器、例えば密封アンプル及びバイアル中に存在することができ、使用直前に、滅菌液担体、例えば生理食塩水又は注射用蒸留水を加えるだけしか必要としないフリーズドライ(凍結乾燥)された状態で貯蔵することができる。即時注射用の液剤及び懸濁剤は、上述したような種類の滅菌した散剤、顆粒剤及び錠剤から調製することができる。
【0161】
液剤、シロップ剤及びエリキシル剤等の経口液は、所与の量が活性成分を所定量含むような投薬単位形態で調製することができる。シロップ剤は、適切に香味づけされた水性液体に活性成分を溶解することによって調製することができ、エリキシル剤は、薬学的に許容されるアルコール性ビヒクルを使用して調製される。懸濁剤は、活性成分を薬学的に許容されるビヒクルに分散させて製剤化することができる。エトキシ化イソステアリルアルコール及びポリオキシエチレンソルビトールエーテル等の可溶化剤及び乳化剤、保存剤、ペパーミント油或いは天然甘味料若しくはサッカリン又は他の人工甘味料等の香味用添加物も経口液体組成物中に混ぜ込むことができる。
【0162】
小さい単層ベシクル、大きい単層ベシクル及び多層ベシクル等のリポソーム送達系も、本発明の化合物のための送達手段として使用することができる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミン及びホスファチジルコリン等の様々なリン脂質から形成させることができる。
【0163】
局所投与のための医薬組成物は、軟膏剤、クリーム剤、懸濁剤、ローション剤、散剤、液剤、ペースト剤、ジェル剤、噴霧剤、エアロゾル剤又は油剤として製剤化することができる。目又は他の外部組織、例えば口及び皮膚の治療のために設計された組成物は、局所軟膏剤又はクリーム剤として施用することができる。軟膏剤として製剤化する場合、活性成分を、パラフィン系ベースか又は水混和性軟膏ベースと一緒に使用することができる。或いは、活性成分を、水中油型クリームベース又は油中水型ベースを用いてクリーム剤に製剤化することができる。
【0164】
目又は耳への局所投与のために設計された他の組成物には、その活性成分が、例えば生理食塩水を含む水性溶媒等の適切な担体中に溶解又は懸濁している点眼剤及び点耳剤が含まれる。
【0165】
経鼻投与用に設計された組成物には、エアロゾル剤、液剤、懸濁剤、噴霧剤、ミスト剤及び点滴剤が含まれる。経鼻投与用のエアロゾル可能な製剤は、経鼻投与用の製剤では呼吸不可能なサイズの粒子が好ましいという条件で、吸入用のエアロゾル可能な製剤とほとんど同じ仕方で製剤化することができる。一般に、約5ミクロンのサイズの粒子、最大で目に見えるサイズの小滴を用いることができる。したがって、経鼻投与のためには、10〜500μmの範囲の粒径を用いて、鼻腔内で確実に保持するようにすることができる。
【0166】
経皮パッチを使用することができる。これは、患者の表皮と長期間接触したまま保持され、それを通した活性成分の吸収を促進するように設計されている。
【0167】
経膣又は経直腸投与のための組成物には、軟膏剤、クリーム剤、坐剤及びかん腸剤が含まれる。これらはすべて従来技術を用いて製剤化することができる。
【0168】
別の態様において、本発明は、それを必要とするヒトにおける、粘膜表面への水分の付与を促進する又は粘膜防御を回復する方法であって、本発明の化合物を含む医薬組成物をヒトに投与する工程を含み、前記化合物を有効量で投与する工程を含む方法を提供する。1つの好ましい実施形態において、その方法は、約10
-9、10
-8又は10
-7〜約10
-4、10
-3、10
-2又は10
-1モル/リットル、より好ましくは約10
-9〜約10
-4モル/リットルの気道表面上での化合物の溶解濃度を達成するのに十分な本発明の化合物の量を含む吸入可能な組成物として、医薬組成物を投与する工程を含む。
【0169】
別の態様において、本発明は、それを必要とするヒトにおける、可逆性又は不可逆性気道閉塞に関連する疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、気管支拡張症(嚢胞性線維症以外の状態に起因する気管支拡張症を含む)、急性気管支炎、慢性気管支炎、ウイルス感染後咳嗽、嚢胞性線維症、気腫、肺炎、汎細気管支炎、移植関連細気管支炎及び人工呼吸器関連気管気管支炎のいずれか1つを治療する、又は人工呼吸器関連肺炎を防止する方法であって、本発明の化合物を含む医薬組成物をヒトに投与する工程を含み、前記化合物を有効量で投与する工程を含む方法を提供する。1つの好ましい実施形態において、その方法は、約10
-9、10
-8又は10
-7〜約10
-4、10
-3、10
-2又は10
-1モル/リットル、より好ましくは約10
-9〜約10
-4モル/リットルの気道表面上での化合物の溶解濃度を達成するのに十分な本発明の化合物の量を含む吸入可能な組成物として、医薬組成物を投与する工程を含む。
【0170】
別の態様において、本発明は、それを必要とするヒトにおける口内乾燥(口腔乾燥症)、乾燥皮膚、腟乾燥、副鼻腔炎、鼻副鼻腔炎、又は乾燥酸素を投与することによってもたらされる鼻腔内脱水症を含む鼻腔内脱水症、ドライアイ、シェーグレン病のいずれか1つを治療する、目又は角膜への水分の付与を促進する、末端腸閉塞症候群を治療する、中耳炎、原発性線毛機能不全、末端腸閉塞症候群、食道炎、便秘又は慢性憩室炎を治療する方法であって、本発明の化合物を含む医薬組成物をヒトに投与する工程を含み、前記化合物を有効量で投与する工程を含む方法を提供する。
【0171】
本発明の化合物のために好ましい単位用量製剤は、有効量の活性成分又は適切なその画分を含むものである。
【0172】
上記に特に挙げた成分に加えて、本発明の製剤は、当該の製剤のタイプを考慮して当技術分野で慣用的な他の薬剤を含むことができることを理解すべきであり、例えば、経口投与に適したものは香味剤を含むことができる。
【0173】
本発明の組成物は、治療を受ける具体的な状態及び所望の投与経路のために望ましい即時、制御又は持続放出のために製剤化することができる。例えば、経口投与用の制御放出製剤は、結腸への活性薬剤の送達を最大化させるために、便秘の治療に望ましい可能性がある。そうした製剤及びそのための適切な賦形剤は製薬技術分野で周知である。化合物の遊離塩基は一般に、水溶液中で塩より溶解度が小さいので、式(A)の化合物の遊離塩基を含む組成物を用いて、吸入によって肺へ送達される活性薬剤のより持続性の高い放出を提供することができる。溶液に溶解していない微粒子の形態で肺の中に存在する活性薬剤は、生理学的応答を誘発させるためには利用できないが、溶液中に徐々に溶解する生物学的に利用可能な薬物のデポーとしての役目を果たす。他の例として、例えば鼻の粘液分泌中へ溶解させるために、製剤は、本発明の化合物の遊離塩基形態と塩形態の両方を用いて、活性成分の即時放出と持続放出の両方を提供することができる。
【0174】
組合せ
本発明の化合物は、他の治療活性薬剤と一緒に製剤化及び/又は使用することができる。本発明の化合物と一緒に製剤化又は使用できる他の治療活性薬剤の例には、それだけに限らないが、オスモライト、抗炎症剤、抗コリン剤、β-アゴニスト(選択的β
2-アゴニストを含む)、P2Y2受容体アゴニスト、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(PPAR)δアゴニスト、他の上皮ナトリウムチャネル遮断薬(ENaC受容体遮断薬)、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)モジュレーター、キナーゼ阻害剤、抗感染剤、抗ヒスタミン剤、非抗生物質 抗炎症性マクロライド、エラスターゼ及びプロテアーゼ阻害剤並びに界面活性剤等の粘液又はムチン改変剤が含まれる。更に、心臓血管の適応症のために、本発明の化合物を、β遮断薬、ACE阻害剤、HMGCoAレダクターゼ阻害剤、カルシウムチャネル遮断薬及び他の心血管治療薬と併用することができる。
【0175】
したがって本発明は、別の態様として、有効量の本発明の化合物、並びにオスモライト、抗炎症剤、抗コリン剤、β-アゴニスト(選択的β
2-アゴニストを含む)、P2Y2受容体アゴニスト、PPARδアゴニスト、ENaC受容体遮断薬、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)モジュレーター、キナーゼ阻害剤、抗感染剤、抗ヒスタミン剤、非抗生物質 抗炎症性マクロライド、エラスターゼ及びプロテアーゼ阻害剤並びに界面活性剤等の粘液又はムチン改変剤から選択される1つ又は複数の他の治療活性薬剤を含む組成物を提供する。したがって、本発明は、別の態様として、有効量の本発明の化合物並びにβ遮断薬、ACE阻害剤、HMGCoAレダクターゼ阻害剤及びカルシウムチャネル遮断薬から選択される1つ又は複数の他の治療用活性薬剤を含む組成物を提供する。1つ又は複数の他の治療活性薬剤(特にオスモライト)と組み合わせて本発明の化合物を使用すると、粘膜表面に十分に水分を与え、それによって、例えば腎臓における等のナトリウムチャネルの全身的遮断に起因する望ましくない副作用の可能性を低減させるのに必要な本発明の化合物の用量を減少させることができる。
【0176】
本発明による「オスモライト」は浸透圧的に活性な分子又は化合物である。「浸透圧的に活性な(Osmotically active)」分子及び化合物は、気道又は肺上皮表面上で膜非透過性(すなわち、本質的に非吸収性)である。本明細書で使用されるように「気道表面」及び「肺表面」という用語は、気管支及び細気管支等の肺気道表面、肺胞表面並びに鼻及び洞の表面を含む。適切なオスモライトには、イオン性オスモライト(すなわち塩)及び非イオン性オスモライト(すなわち、糖類、糖アルコール及び有機オスモライト)が含まれる。一般に、本発明の化合物と一緒に使用されるオスモライト(イオン性と非イオン性の両方)は、好ましくは、細菌成長を促進させない、又は実際には阻止する又は遅延させるオスモライトである。本発明で使用するのに適したオスモライトは、ラセミ体であっても、またエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、多形体若しくは疑似多形体の形態であってもよい。
【0177】
本発明において有用なイオン性オスモライトの例には、薬学的に許容されるアニオン及び薬学的に許容されるカチオンの任意の塩が含まれる。アニオン及びカチオンのいずれか(又はその両方)が浸透圧的に活性であり、それらが投与される気道表面に関して、急速な能動輸送に曝されないことが好ましい。そうした化合物には、それだけに限らないが、FDAに承認されている市販の塩に含有されるアニオン及びカチオンが含まれ[例えばRemington:The Science and Practice of Pharmacy, Vol. II、1457頁(第19版1995)を参照されたい]、これらは、当技術分野で公知のように任意の組合せで使用することができる。
【0178】
薬学的に許容される浸透圧的に活性なアニオンの具体的な例には、それだけに限らないが、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、重炭酸、酒石酸水素塩、臭化物、エデト酸カルシウム、カンシル酸(カンファースルホン酸)、炭酸、塩化物、クエン酸、ジヒドロ塩化物、エデト酸、エジシル酸(1,2-エタンジスルホン酸)、エストレート(ラウリル硫酸)、エシル酸(1,2-エタンジスルホン酸)、フマル酸、グルセプト酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコリルアルサニル酸(p-グリコールアミドフェニルアルソン酸)、ヘキシルレソルシン酸、ヒドラバミン(N,N'-ジ(デヒドロアビエチル)エチレンジアミン)、臭化水素酸、塩酸、ヒドロキシナフトエ酸、ヨウ化物、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、リンゴ酸、マレイン酸、マンデル酸、メシル酸、臭化メチル、硝酸メチル、硫酸メチル、ムチン酸、ナプシル酸、硝酸、亜硝酸、パモ酸(エンボン酸)、パントテン酸、リン酸又は二リン酸、ポリガラクツロン酸、サリチル酸、ステアリン酸、塩基性酢酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、酒石酸、テオクル酸(8-クロロテオフィリン酸)、トリエトヨウ化物、重炭酸等が含まれる。好ましいアニオンには、塩化物、硫酸、硝酸、グルコン酸、ヨウ化物、重炭酸、臭化物及びリン酸が含まれる。
【0179】
薬学的に許容される浸透圧的に活性なカチオンの具体的な例には、それだけに限らないが、ベンザチン(N,N'-ジベンジルエチレンジアミン)、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N-メチルD-グルカミン)、プロカイン、D-リシン、L-リシン、D-アルギニン、L-アルギニン、トリエチルアンモニウム、N-メチルD-グリセロール等の有機カチオン;及びアルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、亜鉛、鉄、アンモニウム等の金属カチオンが含まれる。好ましい有機カチオンには、3-炭素、4-炭素、5-炭素及び6-炭素有機カチオンが含まれる。好ましいカチオンには、ナトリウム、カリウム、コリン、リチウム、メグルミン、D-リシン、アンモニウム、マグネシウム及びカルシウムが含まれる。
【0180】
本発明の化合物と一緒に使用することができるイオン性オスモライトの具体的な例には、それだけに限らないが、塩化ナトリウム(特に高張食塩水)、塩化カリウム、塩化コリン、ヨウ化コリン、塩化リチウム、塩化メグルミン、L-リシンクロリド、D-リシンクロリド、塩化アンモニウム、硫酸カリウム、硝酸カリウム、グルコン酸カリウム、ヨウ化カリウム、塩化第二鉄、塩化第一鉄、臭化カリウム及び上記の任意の2つ以上の組合せが含まれる。一実施形態において、本発明は、本発明の化合物と2つの異なる浸透圧的に活性な塩の組合せを提供する。異なる塩を使用する場合、アニオン又はカチオンの1つは、異なる塩の中で同じであってよい。高張食塩水は、本発明の化合物と一緒に使用するのに好ましいイオン性オスモライトである。
【0181】
非イオン性オスモライトには、糖類、糖アルコール及び有機オスモライトが含まれる。本発明においてオスモライトとして有用な糖類及び糖アルコールには、それだけに限らないが、3炭素糖(例えば、グリセロール、ジヒドロキシアセトン)、4炭素糖(例えば、エリトロースのD及びL形態の両方、トレオース、並びにエリトルロース)、5炭素糖(例えば、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、プシコース、フルクトース、ソルボース、及びタガトースのD及びL形態の両方)、並びに6炭素糖(例えば、アルトース、アロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、及びタロースのD及びL形態の両方、並びにアロ-ヘプツロース、アロ-ヘプロース、グルコ-ヘプツロース、マンノ-ヘプツロース、グロ-ヘプツロース、イド-ヘプツロース、ガラクト-ヘプツロース、タロ-ヘプツロースのD及びL形態)が含まれる。本発明の実施に有用なさらなる糖には、ラフィノース、ラフィノースシリーズオリゴ糖及びスタキオースが含まれる。各糖/糖アルコールの還元型のD形態とL形態の両方も本発明に適している。例えば、グルコースは、還元されると、本発明の範囲内のオスモライトであるソルビトールとなる。したがって、ソルビトール及び他の還元型の糖/糖アルコール(例えば、マンニトール、ズルシトール、アラビトール)は本発明で使用するのに適したオスモライトである。マンニトールは本発明の化合物と一緒に使用するのに好ましい非イオン性オスモライトである。
【0182】
「有機オスモライト」は通常、腎臓における細胞内浸透圧を制御する分子を指すために用いられる。例えば、J. S. Handlerら、Comp. Biochem. Physiol, 117, 301〜306頁(1997年);M. Burg, Am. J. Physiol. 268, F983〜F996頁(1995年)を参照されたい。有機オスモライトには、それだけに限らないが、3種の主要なクラスの化合物:ポリオール(多価アルコール)、メチルアミン、及びアミノ酸が含まれる。適切なポリオール有機オスモライトには、それだけに限らないが、イノシトール、ミオイノシトール及びソルビトールが含まれる。適切なメチルアミン有機オスモライトには、それだけに限らないが、コリン、ベタイン、カルニチン(L-、D-及びDL形態)、ホスホリルコリン、リゾ-ホスホリルコリン、グリセロホスホリルコリン、クレアチン並びにクレアチンリン酸が含まれる。適切なアミノ酸有機オスモライトには、それだけに限らないが、D-及びL-形態のグリシン、アラニン、グルタミン、グルタミン酸、アスパラギン酸、プロリン及びタウリンが含まれる。本発明で使用するのに適した追加的な有機オスモライトには、チフロース及びサルコシンが含まれる。哺乳動物の有機オスモライトが好ましく、ヒトの有機オスモライトが最も好ましい。しかし、特定の有機オスモライトは、細菌、酵母、及び海生動物由来のものであり、これらの化合物も、本発明で使用することができる。
【0183】
オスモライト前駆体は、本発明の化合物と一緒に使用することができる。本明細書で用いる「オスモライト前駆体」は、異化又は同化である代謝工程によってオスモライトに変換される化合物を指す。オスモライト前駆体には、それだけに限らないが、グルコース、グルコースポリマー、グリセロール、コリン、ホスファチジルコリン、リゾ-ホスファチジルコリン及び無機ホスフェート(ポリオール及びメチルアミンの前駆体である)が含まれる。アミノ酸オスモライトの前駆体には、タンパク質、ペプチド、及びポリアミノ酸が含まれ、それらは加水分解されて、オスモライトアミノ酸、及び代謝前駆体(アミノ基転移等の代謝工程によってオスモライトアミノ酸に転換させることができる)を生成する。例えば、アミノ酸グルタミンの前駆体は、ポリ-L-グルタミンであり、グルタミン酸の前駆体は、ポリ-L-グルタミン酸である。
【0184】
化学修飾されたオスモライト又はオスモライト前駆体も使用することができる。そうした化学修飾は、オスモライト(又は前駆体)を、オスモライト又はオスモライト前駆体の効果を変える又は増進させる(例えば、オスモライト分子の分解を阻害する)追加の化学基と結合させることを含む。そうした化学修飾は、薬物又はプロドラッグに利用されてきており、当技術分野において公知である(例えば、米国特許第4,479,932号及び同第4,540,564号;Shek, E.ら、J. Med. Chem. 19:113〜117頁(1976年);Bodor, N.ら、J. Pharm. Sci. 67:1045〜1050頁(1978年);Bodor, N.ら、J. Med. Chem. 26:313〜318頁(1983年);Bodor, N.ら、J. Pharm. Sci. 75:29〜35頁(1986年)を参照されたい)。
【0185】
本発明の化合物と一緒に使用するのに好ましいオスモライトには、塩化ナトリウム、特に高張食塩水及びマンニトールが含まれる。
【0186】
7%及び>7%高張食塩水の製剤については、重炭酸アニオンを含む製剤が、特にCF又はCOPD等の嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)機能障害を有する呼吸器障害に特に有用である可能性がある。最近の発見によれば、HCO
3-コンダクタンス/Cl
-コンダクタンスの相対比はcAMP及びATPで活性化される単一のCFTRチャネルについて0.1〜0.2であるが、汗管中での比は、刺激条件に応じて、ほぼ0からおよそ1.0の範囲であり得る。すなわち、cAMP+cGMP+α-ケトグルタル酸を合わせると、Cl
-コンダクタンスとほぼ等しいCFTR HCO
3-コンダクタンスをもたらすことができる(Quitonら、Physiology, Vol. 22, No. 3, 212〜225頁、2007年6月)。更に、重炭酸アニオンを含む7%及び>7%高張食塩水の製剤は、気道表面液における、より良好なpH制御のため、特に有用である可能性がある。最初に、CFにおいて気道の酸性化が起こり(Tateら、2002年)、CFTR依存性重炭酸の分泌がないことが、気道表面液層の酸性化に伴う気道状態への応答能力の障害をもたらす可能性がある(Coakleyら、2003年)ことが示されている。次に、肺の表面への重炭酸なしでのHS溶液の添加は重炭酸濃度を更に希釈し、潜在的にはpH又は気道表面液層内での気道酸性化への応答能力を低下させる可能性がある。したがって、HSへの重炭酸アニオン添加は、CF患者における、気道表面液層のpHの維持又は改善の助けとなり得る。
【0187】
この証拠のため、本発明の方法により投与される7%又は>7%高張食塩水の製剤に重炭酸アニオンを含めることは特に有用である。最大で30〜200mM濃度の重炭酸アニオンを含む製剤は、7%又は>7%HS液剤のために特に興味のあるものである。
【0188】
高張食塩水は、通常の生理食塩水(NS)より高い、すなわち9g/L又は0.9%w/v超の塩濃度を有すると理解され、低張食塩水は、例えば約1g又はL/0.1%w/vから約8g/L又は0.8%w/vの、通常の生理食塩水より低い塩濃度を有する。本明細書での治療の製剤及び方法において有用な高張食塩水溶液は、約1%〜約23.4%(w/v)の塩濃度を有することができる。一実施形態において、高張食塩水溶液は、約60g/L(6%w/v)〜約100g/L(10%w/v)の塩濃度を有する。別の実施形態において、生理食塩水溶液は、約70g/L(7%w/v)〜約100g/L(10%w/v)の塩濃度を有する。別の実施形態では、生理食塩水溶液は、a)約0.5g/L(0.05%w/v)〜約70g/L(7%w/v);b)約1g/L(0.1%w/v)〜約60g/L(6%w/v);c)約1g/L(0.1%w/v)〜約50g/L(5%w/v);d)約1g/L(0.1%w/v)〜約40g/L(4%w/v);e)約1g/L(0.1%w/v)〜約30g/L(3%w/v);及びf)約1g/L(0.1%w/v)〜約20g/L(2%w/v)の塩濃度を有する。
【0189】
本明細書での治療の製剤及び方法において有用な生理食塩水溶液の具体的な濃度は、独立に、1g/L(0.1%w/v)、2g/L(0.2%w/v)、3g/L(0.3%w/v)、4g/L(0.4%w/v)、5g/L(0.5%w/v)、6g/L(0.6%w/v)、7g/L(0.7%w/v)、8g/L(0.8%w/v)、9g/L(0.9%w/v)、10g/L(1%w/v)、20g/L(2%w/v)、30g/L(3%w/v)、40g/L(4%w/v)、50g/L(5%w/v)、60g/L(6%w/v)、70g/L(7%w/v)、80g/L(8%w/v)、90g/L(9%w/v)、100g/L(10%w/v)、110g/L(11%w/v)、120g/L(12%w/v)、130g/L(13%w/v)、140g/L(14%w/v)、150g/L(15%w/v)、160g/L(16%w/v)、170g/L(17%w/v)、180g/L(18%w/v)、190g/L(19%w/v)、200g/L(20%w/v)、210g/L(21%w/v)、220g/L(22%w/v)、及び230g/L(23%w/v)の塩濃度を有するものを含む。上記した濃度/パーセンテージのそれぞれの間の生理食塩水濃度のもの、例えば1.7g/L(0.17%w/v)、1.25g/L(1.25%w/v)、1.5g/L(1.5%w/v)、25g/L(2.5%w/v)、28g/L(2.8%w/v)、35g/L(3.5%w/v)、45g/L(4.5%w/v)、及び75g/L(7.5%w/v)の生理食塩水も使用することができる。
【0190】
低張食塩水溶液の特に有用な濃度は、約0.12g/L(0.012%w/v)〜約8.5g/L(0.85%w/v)のものが含まれる。この範囲内の任意の濃度、例えばw/vベースで、0.05%、0.1%、0.15%、0.2%、0.225%(1/4NS)、0.25%、0.3%(1/3NS)、0.35%、0.4%、0.45%(1/2NS)、0.5%、0.55%、0.6%(2/3NS)、0.65%、0.675%(3/4NS)、0.7%、0.75%及び0.8%を用いることができる。
【0191】
本明細書で説明される生理食塩水の範囲及び具体的な濃度のそれぞれを、本明細書で説明される製剤、治療方法、レジメン及びキットで使用することができる。
【0192】
本発明の範囲内でまた意図されるのは、化学修飾されたオスモライト又はオスモライト前駆体である。このような化学修飾は、オスモライト(又は前駆体)に、オスモライト又はオスモライト前駆体の効果を変化又は増強する(例えば、オスモライト分子の分解を阻害する)さらなる化学基を連結させることを伴う。このような化学修飾は、薬物又はプロドラッグに利用されてきており、当技術分野において公知である。(例えば、参照により本明細書中に各々組み込まれている米国特許第4,479,932号及び同第4,540,564号;Shek, E.ら、J. Med. Chem. 19:113〜117(1976);Bodor, N.ら、J. Pharm. Sci 67:1045〜1050(1978);Bodor, N.ら、J. Med. Chem. 26:313〜318(1983);Bodor, N.ら、J. Pharm. Sci 75:29〜35(1986)を参照されたい)。
【0193】
本発明の化合物と一緒に使用するのに適した抗炎症剤には、コルチコステロイド及び非ステロイド系抗炎症性薬物(NSAID)、特にホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤が含まれる。本発明で使用するためのコルチコステロイドの例には、経口又は吸入用のコルチコステロイド又はそのプロドラッグが含まれる。具体的な例には、それだけに限らないが、シクレソニド、デスイソブチリル-シクレソニド、ブデソニド、フルニソリド、モメタゾン及びそのエステル(例えば、フロ酸モメタゾン)、プロピオン酸フルチカゾン、フロ酸フルチカゾン、ベクロメタゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-フルオロメチルエステル、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-17α-プロピオニルオキシ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-(2-オキソ-テトラヒドロ-フラン-3S-イル)エステル、ベクロメタゾンエステル(例えば、17-プロピオン酸エステル又は17,21-プロピオン酸エステル)、フルオロメチルエステル、トリアムシノロンアセトニド、ロフレポニド又はその任意の組合せ若しくはサブセットが含まれる。本発明の化合物と一緒に製剤化又は使用するのに好ましいコルチコステロイドは、シクレソニド、デスイソブチリル-シクレソニド、ブデソニド、モメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン及びフロ酸フルチカゾン又はその任意の組合せ若しくはサブセットから選択される。
【0194】
本発明で使用するためのNSAIDには、それだけに限らないが、ナトリウムクロモグリケート、ネドクロミルナトリウム、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤(例えば、テオフィリン、アミノフィリン、PDE4阻害剤、混合型PDE3/PDE4阻害剤又は混合型PDE4/PDE7阻害剤)、ロイコトリエンアンタゴニスト、ロイコトリエン合成の阻害剤(例えば、5LO及びFLAP阻害剤)、一酸化窒素シンターゼ(iNOS)阻害剤、プロテアーゼ阻害剤(例えば、トリプターゼ阻害剤、好中球エラスターゼ阻害剤及びメタロプロテアーゼ阻害剤)、β2-インテグリンアンタゴニスト及びアデノシン受容体アゴニスト又はアンタゴニスト(例えば、アデノシン2aアゴニスト)、サイトカインアンタゴニスト(例えば、ケモカインアンタゴニスト)又はサイトカイン合成の阻害剤(例えば、プロスタグランジンD2(CRTh2)受容体アンタゴニスト)が含まれる。本発明の方法で投与するのに適したロイコトリエン修飾因子の例には、モンテルカスト、ジレウトン、及びザフィルルカストが含まれる。
【0195】
PDE4阻害剤、混合型PDE3/PDE4阻害剤又は混合型PDE4/PDE7阻害剤は、PDE4酵素を阻害することが公知である、又はPDE4阻害剤として作用することが発見されており、選択的PDE4阻害剤である(すなわち、PDEファミリーの他のメンバーをそれほど阻害しない化合物)任意の化合物であってよい。本発明の化合物と一緒に製剤化及び使用するための特定のPDE4阻害剤の例には、それだけに限らないが、ロフルミラスト、プマフェントリン、アロフィリン、シロミラスト、トフィミラスト、オグレミラスト、トラフェントリン、ピクラミラスト、イブジラスト、アプレミラスト、2-[4-[6,7-ジエトキシ-2,3-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ナフタレニル]-2-ピリジニル]-4-(3-ピリジニル)-1(2H)-フタラジノン(T2585)、N-(3,5-ジクロロ-4-ピリジニル)-1-[(4-フルオロフェニル)メチル]-5-ヒドロキシ-α-オキソ-1H-インドール-3-アセトアミド(AWD-12-281、4-[(2R)-2-[3-(シクロペンチルオキシ)-4-メトキシフェニル]-2-フェニルエチル]-ピリジン(CDP-840)、2-[4-[[[[2-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イルオキシ)-3-ピリジニル]カルボニル]アミノ]メチル]-3-フルオロフェノキシ]-(2R)-プロパン酸(CP-671305)、N-(4,6-ジメチル-2-ピリミジニル)-4-[4,5,6,7-テトラヒドロ-2-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)-5-(4-メチル-1-ピペラジニル)-1H-インドール-1-イル]-ベンゼンスルホンアミド、(2E)-2-ブテンジオエート(YM-393059)、9-[(2-フルオロフェニル)メチル]-N-メチル-2-(トリフルオロメチル)-9H-プリン-6-アミン(NCS-613)、N-(2,5-ジクロロ-3-ピリジニル)-8-メトキシ-5-キノリンカルボキサミド(D-4418)、N-[(3R)-9-アミノ-3,4,6,7-テトラヒドロ-4-オキソ-1-フェニルピロロ[3,2,1-][1,4]ベンゾジアゼピン-3-イル]-3H-プリン-6-アミン(PD-168787)、3-[[3-(シクロペンチルオキシ)-4-メトキシフェニル]メチル]-N-エチル-8-(1-メチルエチル)-3H-プリン-6-アミン塩酸塩(V-11294A)、N-(3,5-ジクロロ-1-オキシド-4-ピリジニル)-8-メトキシ-2-(トリフルオロメチル)-5-キノリンカルボキサミド(Sch351591)、5-[3-(シクロペンチルオキシ)-4-メトキシフェニル]-3-[(3-メチルフェニル)メチル]-(3S,5S)-2-ピペリジノン(HT-0712)、5-(2-((1R,4R)-4-アミノ-1-(3-(シクロペンチルオキシ)-4-メチオキシフェニル)シクロヘキシル)エチニル)-ピリミジン-2-アミン,cis-[4-シアノ-4-(3-シクロプロピルメトキシ-4-ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン-1-オール]、及び4-[6,7-ジエトキシ-2,3-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ナフタレニル]-1-(2-メトキシエチル)-2(1H)-ピリジノン(T-440)、及びその任意の組合せ又はサブセットが含まれる。
【0196】
ロイコトリエンアンタゴニスト及びロイコトリエン合成の阻害剤には、ザフィルルカスト、モンテルカストナトリウム、ジロートン及びプランルカストが含まれる。
【0197】
本発明の化合物と一緒に製剤化及び使用するための抗コリン剤には、それだけに限らないが、特にM
3受容体のパンアンタゴニスト及びアンタゴニストを含むムスカリン性受容体アンタゴニストが含まれる。例示的な化合物には、ベラドンナ植物のアルカロイド、例えばアトロピン、スコポラミン、ホマトロピン、ヒヨスチアミン及びその塩を含む種々の形態(例えば、無水アトロピン、硫酸アトロピン、アトロピン酸化物又はHCl、硝酸メチルアトロピン、臭化水素酸ホマトロピン、臭化メチルホマトロピン、臭化水素酸ヒヨスチアミン、硫酸ヒヨスチアミン、臭化水素酸スコポラミン、臭化メチルスコポラミン)又はその任意の組合せ若しくはサブセットが含まれる。
【0198】
一緒に製剤化及び使用するための追加の抗コリン作用薬、メタンテリン、臭化プロパンテリン、臭化メチルアニソトロピンメチル又はValpin50、臭化アクリジニウム、グリコピロレート(Robinul)、ヨウ化イソプロパミド、臭化メペンゾラート、塩化トリジヘキセチル、メチル硫酸ヘキソシクリウム、シクロペントレートHCl、トロピカミド、トリヘキシフェニジルCCl、ピレンゼピン、テレンゼピン及びメトクトラミン又はその任意の組合せ若しくはサブセット。
【0199】
本発明の化合物と一緒に製剤化及び使用するための好ましい抗コリン作用薬には、イプラトロピウム(臭化物)、オキシトロピウム(臭化物)及びチオトロピウム(臭化物)又はその任意の組合せ若しくはサブセットが含まれる。
【0200】
本発明の化合物と一緒に製剤化及び使用するためのβ-アゴニストの例には、それだけに限らないが、サルメテロール、R-サルメテロール及びそのキシナホ酸塩、アルブテロール又はR-アルブテロール(遊離塩基又は硫酸塩)、レブアルブテロール、サルブタモ−ル、フォルモテロール(フマル酸塩)、フェノテロール、プロカテロール、ピルブテロール、メタプロテレノール、テルブタリン及びその塩並びにその任意の組合せ又はサブセットが含まれる。
【0201】
本発明の化合物と一緒に製剤化及び使用するためのP2Y2受容体アゴニストは、気道表面、特に鼻の気道表面によるクロリド及び水の分泌を刺激するのに有効な量を使用することができる。適切なP2Y2受容体アゴニストは当技術分野で公知であり、例えば米国特許第6,264,975号の段落9〜10に、また米国特許第5,656,256号及び同第5,292,498号にも記載されている。
【0202】
本発明の方法で投与できるP2Y
2アゴニストには、ATP、UTP、UTP-、γ-S等のP2Y
2受容体アゴニスト及びジヌクレオチドP2Y
2受容体アゴニスト(例えば、デヌホソル又はジクアホソル)又は薬学的に許容されるその塩が含まれる。P2Y
2受容体アゴニストは一般に、気道表面、特に鼻の気道表面によるクロリド及び水の分泌を刺激するのに有効な量を含有させる。適切なP2Y
2受容体アゴニストは、それだけに限らないが、そのそれぞれが参照により本明細書中に組み込まれている米国特許第6,264,975号、同第5,656,256号、同第5,292,498号、同第6,348,589号、同第6,818,629号、同第6,977,246号、同第7,223,744号、同第7,531,525号及び米国特許出願公開第2009/0306009号に記載されている。
【0203】
本明細書での併用療法及び製剤は、アデノシン2b(A2b)アゴニストを含むことができ、またBAY 60-6583、NECA(N-エチルカルボキシアミドアデノシン)、(S)-PHPNECA、LUF-5835及びLUF-5845も含むことができる。使用できるA2bアゴニストは、Volpiniら、Journal of Medicinal Chemistry 45(15):3271〜9頁(2002年);Volpiniら、Current Pharmaceutical Design 8(26):2285〜98頁(2002年);Baraldiら、Journal of Medicinal Chemistry 47(6):Cacciariら、1434〜47頁(2004年);Mini Reviews in Medicinal Chemistry 5(12):1053〜60頁(2005年12月);Baraldiら、Current Medicinal Chemistry 13(28):3467〜82頁(2006年);Beukersら、Medicinal Research Reviews 26(5):667〜98頁(2006年9月);Elzeinら、Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 16(2):302〜6頁(2006年1月);Carottiら、Journal of Medicinal Chemistry 49(1):282〜99頁(2006年1月);Tabriziら、Bioorganic & Medicinal Chemistry 16(5):2419〜30頁(2008年3月);及びStefanachiら、Bioorganic & Medicinal Chemistry 16(6):2852〜69頁(2008年3月)に記載されている。
【0204】
本発明の化合物と一緒に製剤化及び使用するための他のENaC受容体遮断薬の例には、それだけに限らないが、すべてParion Sciences, Inc.社の米国特許第6858615号及びPCT出願番号WO2003/070182、WO2004/073629、WO2005/018644、WO2006/022935、WO2007/018640及びWO2007/146869に記載されている化合物等のアミロライド及びその誘導体が含まれる。
【0205】
小分子ENaC遮断薬は、ENaCチャネル孔を通るナトリウム輸送を直接防止することができる。本明細書で併用して投与することができるENaC遮断薬には、それだけに限らないが、アミロライド、ベンザミル、フェナミル及び米国特許第6,858,614号、同第6,858,615号、同第6,903,105号、同第6,995,160号、同第7,026,325号、同第7,030,117号、同第7,064,129号、同第7,186,833号、同第7,189,719号、同第7,192,958号、同第7,192,959号、同第7,241,766号、同第7,247,636号、同第7,247,637号、同第7,317,013号、同第7,332,496号、同第7,345,044号、同第7,368,447号、同第7,368,450号、同第7,368,451号、同第7,375,107号、同第7,399,766号、同第7,410,968号、同第7,820,678号、同第7,842,697号、同第7,868,010号、同第7,875,619号に例示されているようなアミロライド類似体が含まれる。
【0206】
ENaCタンパク質分解は、ENaCを介してナトリウム輸送を増進させることがよく記載されている。プロテアーゼ阻害剤は、内在性気道プロテアーゼの活性を妨害し、それによってENaCの切断及び活性化を防止する。ENaCを切断するプロテアーゼには、フューリン、メプリン、マトリプターゼ、トリプシン、チャネル関連プロテアーゼ(CAP)及び好中球エラスターゼが含まれる。本明細書で組み合わせて投与できるこれらのプロテアーゼのタンパク質分解活性を阻害できるプロテアーゼ阻害剤には、それだけに限らないが、カモスタット、プロスタシン、フューリン、アプロチニン、ロイペプチン及びトリプシン阻害剤が含まれる。
【0207】
本明細書での組合せは、それだけに限らないが、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、miRNA、miRNA模倣体、アンタゴmir、リボザイム、アプタマー及びデコイオリゴヌクレオチド核酸を含む1つ又は複数の適切な核酸(又はポリ核酸)を含むことができる。例えば米国特許出願公開第20100316628号を参照されたい。一般に、そうした核酸は、17個又は19個のヌクレオチドの長さから最大で23個、25個又は27個のヌクレオチドの長さ若しくはそれ以上であってよい。その例には、それだけに限らないが、米国特許第7,517,865号及び米国特許出願第20100215588号、同第20100316628号、同第20110008366号及び同第20110104255号に記載されているものが含まれる。一般に、siRNAは、17個又は19個のヌクレオチドの長さから最大で23個、25個又は27個のヌクレオチドの長さ若しくはそれ以上である。
【0208】
本発明の組合せで投与することができるCFTR活性モジュレート化合物には、それだけに限らないが、US2009/0246137A1、US2009/0253736A1、US2010/0227888A1、特許番号7,645,789、US2009/0246820A1、US2009/0221597A1、US2010/0184739A1、US2010/0130547A1、US2010/0168094A1及び交付済み特許:7,553,855、US7,772,259B2、US7,405,233B2、US2009/0203752、US7,499,570に記載されている化合物が含まれる。
【0209】
本明細書での組合せ及び方法で有用な粘液又はムチン変性剤には、還元剤、界面活性剤及び洗剤、去痰薬並びにデオキシリボヌクレアーゼ剤が含まれる。
【0210】
ムチンタンパク質は、共有結合(ジスルフィド)及び非共有結合の形成によって高分子量のポリマーに組織化される。還元剤での共有結合の切断は、in vitroで粘液の粘弾特性を低下させるための十分に確立された方法であり、粘液の付着性を最少化し、in vivoでのクリアランスを改善すると予測されている。還元剤がin vitroでの粘液粘度を低下させることは周知であり、痰試料を処理するための助剤として通常使用される。還元剤の例には、それだけに限らないが、N-アセチルシステイン、N-アシステリン、カルボシステイン、グルタチオン、ジチオスレイトール、チオレドキシン含有タンパク質及びトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィンを含む、スルフィド含有分子又はタンパク質ジスルフィド結合を還元できるホスフィンが含まれる。
【0211】
N-アセチルシステイン(NAC)は、粘着性のある又は濃厚な気道粘液をほぐすために胸部理学療法と合わせて使用することが承認されている。CF及びCOPDにおける経口又は吸入によるNACの効果を評価する臨床研究により、粘液のレオロジー特性の改善が報告されており、肺機能は改善し、肺増悪は低下する傾向がある。しかし、圧倒的な臨床データは、NACが、経口又は吸入により投与した場合、気道粘液閉塞を治療するのに、せいぜいわずかにしか効果的でない治療剤であることを示唆している。NACの使用に関する既存の臨床文献の最近のコクラン(Cochrane)レビューは、CFに対するNACの効力を支持する証拠を見出していない。NACの最低限の臨床的有益性は以下のことを反映する:
【0212】
NACは、気道表面に対して部分的にしか活性でない相対的に不十分な還元剤である。主要なゲル形成気道ムチンであるMuc5Bをin vitroで完全に還元するためには、非常に高い濃度(200mM又は3.26%)のNACが必要である。更に、気道表面のpH環境(CF及びCOPDの気道においてpH 6.0〜7.2の範囲で測定される)では、NACは、その反応状態において、負の電荷をもつチオレートとして部分的にしか存在しない。したがって、病院では、NACは非常に高い濃度で投与される。しかし、現在のエアロゾルデバイスは、通常用いられる比較的短い時間領域(7.5〜15分間)内で、末梢気道表面上で、20%Mucomyst溶液の治療濃度でさえ達成できないと予測されている。
【0213】
非臨床的な研究において、吸入により投与された
14C標識NACは、6〜36分間の範囲の半減期で、肺からの急速な排除を示している
12。
【0214】
NACは非常に高い濃度の高張性吸入溶液(20%又は1.22モル)として投与され、気管支収縮と咳嗽を引き起こすことが報告されている。多くの場合、NACは、この薬剤の忍容性を改善するために、気管支拡張剤と合わせて投与することが推奨されている。
【0215】
したがって、NAC等の還元剤は、ボーラスエアロゾル投与にはあまり適していない。しかし、肺エアロゾル注入による還元剤の送達は、吸入溶液中の還元剤の濃度の低下を可能にしながら(忍容性を増大させると予測される)、有効性を増大させると期待される。
【0216】
界面活性剤及び洗剤は、粘液粘弾性を低下させ、粘液のクリアラビリティを改善することが示されている展着剤(spreading agent)である。界面活性剤の例には、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、PF、パルミチン酸、パルミトイル-オレオイルホスファチジルグリセロール、サーファクタント関連タンパク質(例えば、SP-A、B又はC)が含まれ、また動物由来のもの(例えば、雌ウシ若しくは仔ウシの肺洗浄物から、又はブタ肺蔵のひき肉から抽出したもの)、或いはその組合せであってよい。例えば、米国特許第7,897,577号、同第5,876,970号、同第5,614,216号、同第5,100,806号及び同第4,312,860号を参照されたい。界面活性剤製品の例には、Exosurf(登録商標)Neonatal(パルミチン酸コルホスセリル)、Pumactant(登録商標)(DPPC及びエッグホスファチジルグリセロール)、KL-4界面活性剤、Venticute(登録商標)(ルスプルチド(lusulptide)、rSP-C界面活性剤)、Alveofact(登録商標)(ボバクタント)、Curosurf(登録商標)(ポラクタントα)、Infasurf(登録商標)(カルファクタント)、Newfacten(登録商標)(改変型ウシ界面活性剤)、Surface(登録商標)、Natsurf(商標)(非イオン性アルコールエトキシレート界面活性剤)及びSurvanta(登録商標)(ベラクタント)が含まれる。洗剤の例には、それだけに限らないが、Tween-80及びtriton-X 100が含まれる。
【0217】
それだけに限らないが、グアイフェネシン(例えば、米国特許第7,345,051号を参照されたい)を含む適切な任意の去痰薬を使用することができる。それだけに限らないが、ドルナーゼアルファ(例えば、米国特許第7,482,024号を参照されたい)を含む適切な任意のデオキシリボヌクレアーゼを使用することができる。
【0218】
キナーゼ阻害剤の例には、NFkB、PI3K(ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ)、p38-MAPキナーゼ及びRhoキナーゼの阻害剤が含まれる。
【0219】
本発明の化合物と一緒に製剤化及び使用するための抗感染剤には、抗ウイルス剤及び抗生物質が含まれる。適切な抗ウイルス剤の例には、Tamiflu(登録商標)(オセルタミビル)及びRelenza(登録商標)(ザナミビル)が含まれる。適切な抗生物質の例には、それだけに限らないが、アズトレオナム(アルギニン又はリシン)、ホスホマイシン及びトブラマイシン等のアミノグリコシド又はその任意の組合せ若しくはサブセットが含まれる。本明細書で使用できる追加の抗感染剤には、アミノグリコシド、ダプトマイシン、フルオロキノロン、ケトライド、カルバペネム、セファロスポリン、エリスロマイシン、リネゾリド、ペニシリン、アジスロマイシン、クリンダマイシン、オキサゾリジノン、テトラサイクリン及びバンコマイシンが含まれる。
【0220】
有用なカルバペネム抗生物質の例は、イミペネム、パニペネム、メロペネム、ビアペネム、MK-826(L-749,345)、DA-1131、ER-35786、レナペネム、S-4661、CS-834(R-95867のプロドラッグ)、KR-21056(KR-21012のプロドラッグ)、L-084(LJC 11036のプロドラッグ)及びセフトロザン(CXA-101)である。
【0221】
本発明の化合物と一緒に製剤化及び使用するための抗ヒスタミン剤(すなわち、H1-受容体アンタゴニスト)には、それだけに限らないが:エタノールアミン類、例えばジフェンヒドラミンHCl、マレイン酸カルビノキサミン、ドキシラミン、フマル酸クレマスチン、ジフェニルヒドラミンHCl及びジメンヒドリナート;エチレンジアミン類、例えばマレイン酸ピリラミン(メピラミン)、トリペレナミンHCl、クエン酸トリペレナミン及びアンタゾリン;アルキルアミン類、例えばフェニラミン、クロロフェニラミン、ブロモフェニラミン、デクスクロルフェニラミン、トリプロリジン及びアクリバスチン;ピリジン類、例えばメタピリレン、ピペラジン類、例えばヒドロキシジンHCl、パモ酸ヒドロキシジン、シクリジンHCl、乳酸シクリジン、メクリジンHCl及びセチリジンHCl;ピペリジン類、例えばアステミゾール、レボカバスチンHCl、ロラタジン、デスカルボエトキシロラタジン、テルフェナジン及びフェキソフェナジンHCl;三環系及び四環系のもの、例えばプロメタジン、クロルプロメタジン、トリメプラジン及びアザタジン;並びにアゼラスチンHCl又はその任意の組合せ若しくはサブセットが含まれる。
【0222】
本明細書での組合せ及び方法で使用するのに適した他のクラスの治療剤の例には、抗ウイルス剤、例えばリバビリン、抗真菌薬、例えばアンフォテリシン、イトラコナゾール及びボリコナゾール、拒絶反応抑制剤、例えばシクロスポリン、タクロリムス及びシロリムス、それだけに限らないが、抗コリン剤、例えばatrovent、siRNA、遺伝子治療ベクター、アプタマー、エンドセリン-受容体アンタゴニスト、α-1-抗トリプシン及びプロスタサイクリンを含む気管支拡張剤が含まれる。
【0223】
治療及び使用の上記方法において、本発明の化合物は単独で使用しても、1つ又は複数の他の治療活性薬剤と併用してもよい。一般に、本発明の化合物で治療を受ける疾患又は状態において治療効果を有する任意の治療活性薬剤を、本発明の化合物と組み合わせて利用することができる。ただし、具体的な治療活性薬剤は、本発明の化合物を使用する治療法と適合するものであるものとする。本発明の化合物と併用するのに適した典型的な治療活性薬剤には、上記の薬剤が含まれる。
【0224】
1つの好ましい実施形態において、本発明の化合物は、1つ又は複数のオスモライト、特に高張食塩水又はマンニトールと併用される。
【0225】
別の態様において、本発明は、有効量の本発明の化合物及び少なくとも1つの他の治療活性薬剤を投与する工程を含む、上記したような治療及び使用のための方法を提供する。本発明の化合物及び少なくとも1つの追加の治療活性薬剤は、治療的に適切な任意の組合せで同時又は逐次的に組み合わせて使用することができる。本発明の化合物の1つ又は複数の他の治療活性薬剤と合わせた投与は、1)上記した組成物等の単一の医薬組成物、又は2)それぞれがその成分である活性成分の1つ若しくは複数を含む別個の医薬組成物での同時投与によるものであってよい。その組合せの成分を、本発明の化合物を最初に投与し次いで他の治療活性薬剤を投与するか、又はその逆で投与する逐次的な方法で別個に投与することができる。
【0226】
本発明の化合物を1つ又は複数のオスモライトと合わせて投与する実施形態では、各成分の投与は同時であることが好ましく、それは、単一の組成物であっても別々の組成物であってもよい。一実施形態において、本発明の化合物及び1つ又は複数のオスモライトを、経気管支鏡洗浄で同時に投与する。別の実施形態において、本発明の化合物及び1つ又は複数のオスモライトを、吸入により同時に投与する。
【0227】
本発明の化合物を他の治療活性薬剤と併用する場合、各化合物の用量は、本発明の化合物を単独で使用する場合と異なっていてもよい。適切な用量は当業者によって容易に決定されよう。本発明の化合物の適切な用量、他の治療活性薬剤及び投与の相対的タイミングは、所望の併用治療効果を達成するように選択されることになり、それは担当医師、臨床医又は獣医の専門的知識及び判断力の範囲内である。
【0228】
実験手順
本発明はまた、以下に詳述するように、本発明の化合物を調製する方法及びこうした方法において有用な合成中間体も提供する。
【0229】
特定の略語及び頭字語を、合成方法及び実験の詳細の説明において使用する。これらのほとんどが当業者には理解されるものではあるが、以下の表が、これらの略語及び頭字語の多くの一覧を有する。
【0230】
【表1A】
[この文献は図面を表示できません]
【0231】
【表1B】
[この文献は図面を表示できません]
【0232】
式Iの化合物は、当分野で既知の技術を用いて合成することができる。代表的な合成手順を以下のスキーム1に例示する。
【0233】
スキーム1
【化12】
[この文献は図面を表示できません]
【0234】
これらの手順は、例えばE. J. Cragoe、「The Synthesis of Amiloride and Its Analogs」(Chap 3)in Amiloride and Its Analogs、25〜36頁において説明されている。アミロリド類似体を調製するための他の方法は、例えばCragoeの米国特許第3,318,813号、特に‘813特許のA、B、C及びDの方法に記載されている。本発明の化合物の調製のために適合させることができる更に他の方法は、すべてParion Sciences, Inc.社に譲渡されている、PCT公開番号WO2003/07182、WO2005/108644、WO2005/022935、US7,064,129、US6,858,615、US6,903,105、WO2004/073629、WO2007/146869及びWO2007/018640に記載されている。
【0235】
メチルN'-3,5-ジアミノ-6-クロロピラジン-2-カルボニルカルバムイミドチオエート(2)の調製は、WO2009/074575に見ることができる。
【0236】
一般に、本発明の化合物は、式IIの化合物を式IIIのアミンで処理することによって好都合に調製することができる。より具体的には、メタノール、エタノール又はテトラヒドロフラン等の適切な溶媒及びトリエチルアミン(TEA)又はジ-イソプロピルエチルアミン(DIPEA)等の塩基中で、高温、例えば70℃に加熱しながら、式2の化合物を式3のアミンで処理する。慣用的な技術を用いて、さらなる精製、立体異性体の分割、塩形態物の結晶化及び/又は調製を実施することができる。
【0237】
当業者には明らかであるように、場合によっては、合成における出発又は中間化合物は、代わりの反応部位を提供する他の官能基をもつことができる。そうした官能基による干渉は、アミン又はアルコール保護基等の適切な保護基を利用し、適切な場合、合成工程の適切な優先順位付けを行うことによって回避することができる。適切な保護基は当業者に明らかであろう。そうした保護基を導入し取り除くための方法は当技術分野で公知であり、そうした慣用的な技術を、本発明の方法においても用いることができる。
【0238】
以下の具体的な実施例は、本明細書では例示の目的だけのために提供されるものであり、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を限定するものではない。
【0239】
材料及び方法。すべての試薬及び溶媒は、Aldrich Chemical Corp.社、Chem-Impex International Inc社及びTCI chemical industry Co. Ltd社から購入した。NMRスペクトルは、Bruker AC400(
1H NMRは400MHzで、
13C NMRは100MHzで)か又はBruker AC300(
1H NMRは300MHzで、
13C NMRは75MHzで)で得た。プロトンスペクトルは、内部標準としてテトラメチルシランを基準とし、炭素スペクトルはCDCl
3、CD
3OD又はDMSO-d
6(別段の指定のない限り、Aldrich社又はCambridge Isotope Laboratories社から購入)を基準とした。フラッシュクロマトグラフィーは、シリカゲルカラム(Redi Sep. Rf、Teledyne Isco)又は逆相カラム(高性能C18 Goldカラム)を備えたCombiflashシステム(Combiflash Rf、Teledyne Isco社)で実施した。ESI質量スペクトルはShimadzu LCMS-2010 EV質量分析計で得た。HPLC分析は、Shimadzu Prominence HPLCシステムで、220nmで検出されるWaters XTerra MS C18 5μm 4.6x150mm分析カラム(別段の指定のない限り)を用いて得た。以下の時間プログラムを1.0mL/分の流量で使用した:
【0240】
【表2】
[この文献は図面を表示できません]
【0241】
UPLC分析は、Shimadzu Prominence UFLCシステムで、220nmで検出されるWaters ACQUITY UPLC HSS T3 1.8μm 2.1x100mm分析カラム(別段の指定のない限り)を用いて得た。以下の時間プログラムを0.3mL/分の流量で使用した:
【0242】
【表3】
[この文献は図面を表示できません]
【0243】
1.(S)-2-アミノ-3-(4-(4-(3-(3,5-ジアミノ-6-クロロピラジン-2-カルボニル)グアニジノ)ブチル)ナフタレン-1-イル)プロパン酸(16)の塩酸塩の調製
【0244】
スキーム2
【化13】
[この文献は図面を表示できません]
【0245】
4-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)ナフタレン-1-カルバルデヒド(2)の調製;4-ヒドロキシナフタレン-1-カルバルデヒド(1)(10.0g、58.1mmol)の無水THF(200mL)溶液を0℃に冷却し、イミダゾール(12.0g、174mmol)及びtert-ブチルジメチルシリルクロリド(TBSCl)(13.1g、87.1mmol)を順次加えた。室温で16h撹拌した後、反応混合物を濾過し、溶媒を蒸発させた。残渣をEtOAc(500mL)に溶解し、NH
4Cl飽和水溶液(100mL)、水(100mL)及びブライン(100mL)で洗浄し、Na
2SO
4で脱水した。溶媒を減圧下で除去し、残渣を、シリカゲル(2%EtOAc/ヘキサン)を用いたフラッシュクロマトグラフィーで精製して2(14.8g、90%)を淡黄色固体として得た。
【0246】
【数1】
[この文献は図面を表示できません]
【0247】
(Z)-メチル2-(tert-ブチルオキシカルボニル)アミノ-3-[1-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)ナフタレン-4-イル]アクリレート(4)の調製;
(MeO)
2P(O)CH(NHBoc)CO
2Me、3(23.0g、52.7mmol)の無水CH
2Cl
2(100mL)溶液に、DBU(10.1mL、67.3mmol)を仕込み、混合物を0℃で30min撹拌した。1(14.8g、51.74mmol)の無水CH
2Cl
2(60mL)溶液をシリンジでゆっくり加え、反応混合物を16hにわたって室温に加温した。溶媒を減圧下で除去した後、残渣をCH
2Cl
2(500mL)に溶解させ、NH
4Cl飽和水溶液(2×150mL)及びブライン(200mL)で迅速に洗浄し、Na
2SO
4で脱水した。溶媒を蒸発させ、粗生成物を、シリカゲル(1%NEt
3を含む20%EtOAc/ヘキサン)を用いたフラッシュクロマトグラフィーで精製して4(20.0g、85%)を黄色固体として得た。
【0248】
【数2】
[この文献は図面を表示できません]
【0249】
メチル2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-(4-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)ナフタレン-1-イル)プロパノエート(5)の調製;
4(17.2g、37.6mmol)及び10%Pd/C(3.40g)のEtOH(200mL)懸濁液を脱気し、室温で16h、水素化条件(1atm、バルーン)に供した。反応混合物をセライト(Celite)のプラグで濾過し、プラグをMeOHで洗浄した。濾液を真空下で濃縮して5(17.0g、99%)を白色固体として得た。
【0250】
【数3】
[この文献は図面を表示できません]
【0251】
メチル2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-(4-ヒドロキシナフタレン-1-イル)プロパノエート(6)の調製;
5(17.0g、37.0mmol)の無水THF(200mL)の0℃での溶液に、テトラブチルアンモニウムフルオリド(48.1mL、48.1mmol)を仕込んだ。得られた溶液を15min撹拌し、NH
4Cl飽和水溶液(150mL)でクエンチした。溶媒を減圧下で除去した後、残渣をCH
2Cl
2(500mL)に溶解させ、飽和水(saturated aqueous water)(2×150mL)及びブライン(200mL)で迅速に洗浄し、Na
2SO
4で脱水した。溶媒を蒸発させ、粗生成物を、シリカゲル(25%EtOAc/ヘキサン)を用いたフラッシュクロマトグラフィーで精製して回転異性体6(14.0g、94%)を黄色固体として得た。
【0252】
【数4】
[この文献は図面を表示できません]
【0253】
化合物7及び8の調製;
CHIRALPAK ADカラム5cm I.D×50cm L、粒子20μを、イソクラチック系IPA/ヘプタン(0.4%DEAを含む7.5%)を用いて、エナンチオマーを分離するために使用した。8.0gのラセミ化合物6を、カラムで精製してS異性体8(3.5g、44%の収率)を白色固体として得、R異性体7(2.2g、28%)を白色固体として得た。
【0254】
(S)-メチル2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-[4-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフタレン-1-イル]プロパノエート(9)の調製;
化合物8(1.22g、3.53mmol)のピリジン(20mL)溶液に、トリフラート(0.9mL、5.30mmol)を0℃で仕込み、反応混合物を室温で2h撹拌した。濃縮した後、反応混合物をCH
2Cl
2(100mL)と水(50mL)に分配させた。水層を分離し、CH
2Cl
2(2×50mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、濃縮して化合物9(1.51g、89%)を褐色油状物として得た。
【0255】
【数5】
[この文献は図面を表示できません]
【0256】
(S)-メチル3-{4-[4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ブタ-1-イニル]ナフタレン-1-イル}-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパノエート(11)の調製;化合物9(1.50g、3.14mmol)の無水CH
3CN(60mL)溶液に、TEA(1.27mL、12.6mmol)、ヘキサン(1.27mL、0.62mmol)中の10%(t-Bu)
3P、ベンジルブタ-3-イニルカルバメート(10、948mg、4.71mmol)及びCuI(30mg、0.16mmol)を室温で仕込んだ。得られた混合物をアルゴンで10min脱気し、Pd(PPh
3)
4(363mg、0.31mmol)を一度に素早く仕込んだ。アルゴンで5min脱気した後、得られた混合物を16h還流させた。反応混合物を真空下で濃縮し、残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、60:40酢酸エチル/ヘキサン)で精製して化合物11(1.30g、78%)を褐色油状物として得た。
【0257】
【数6】
[この文献は図面を表示できません]
【0258】
(S)-メチル3-(4-(4-アミノブチル)ナフタレン-1-イル)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパノエート(12)の酢酸塩の調製;
11(1.00g、1.88mmol)及び10%Pd/C(200mg)のMeOH(20mL)及びAcOH(2mL)の混合物懸濁液を脱気し、室温で16h、水素化条件(1atm)に供した。反応混合物をセライトのプラグで濾過し、プラグをMeOHで洗浄した。濾液を真空下で濃縮してアミン塩12(820mg、95%)を白色固体として得た。
【0259】
【数7】
[この文献は図面を表示できません]
【0260】
(S)-メチル2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-(4-{4-[3-(3,5-ジアミノ-6-クロロピラジン-2-カルボニル)グアニジノ]ブチル}ナフタレン-1-イル)プロパノエート(14)の調製;アミン塩12(815mg、1.77mmol)及びメチル3,5-ジアミノ-6-クロロピラジン-2-カルボニルカルバムイミドチオエート(13、1.1g、2.83mmol)のEtOH(6.0mL)溶液に、DIPEA(2.50mL、14.2mmol)を室温で仕込んだ。反応混合物を、封管中、70℃で2h加熱し、室温に冷却し、真空下で濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、80:18:2 CHCl
3/CH
3OH/NH
4OH)で精製してグアニジン14(870mg、80%)を黄色固体として得た。
【0261】
【数8】
[この文献は図面を表示できません]
【0262】
(S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-(4-(4-(3-(3,5-ジアミノ-6-クロロピラジン-2-カルボニル)グアニジノ)ブチル)ナフタレン-1-イル)プロパン酸(15);メチルエステル14(510mg、0.83mmol)のTHF(3mL)、メタノール(3mL)及び水(1mL)の混合物溶液に、固体LiOH(120mg、4.99mmol)を仕込み、反応混合物を室温で2h撹拌した。反応混合物のTLCにより反応の完了が示されたら、1N HCl(水溶液)を添加して反応混合物のpHを9〜10にし、有機溶媒を除去した。水性部分のpHを5〜6に調整し、得られた沈殿物をジクロロメタンで抽出した。水性部分をDCM(2×50mL)で抽出した。有機層を合わせ、Na
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮して化合物15(375mg、76%)を白色固体として得た。
【0263】
【数9】
[この文献は図面を表示できません]
【0264】
(S)-2-アミノ-3-(4-(4-(3-(3,5-ジアミノ-6-クロロピラジン-2-カルボニル)グアニジノ)ブチル)ナフタレン-1-イル)プロパン酸(16)のHCl塩の調製;ジオキサン中の4N HCl(8.0mL)を15(258mg、0.43mmol)、次いで水(4.0mL)に加え、反応混合物を室温で3h撹拌した。溶媒を除去し、残渣を凍結乾燥して化合物16(250mg、99%)を黄色固体として得た。
【0265】
【数10】
[この文献は図面を表示できません]
【0266】
2. (S)-3,5-ジアミノ-N-(N-(4-(4-(2-アミノ-3-(4-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)フェニルアミノ)-3-オキソプロピル)ナフタレン-1-イル)ブチル)カルバムイミドイル)-6-クロロピラジン-2-カルボキサミド(23)の調製
【0267】
スキーム3
【化14】
[この文献は図面を表示できません]
【0268】
(S)-メチル3-{4-[4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ブタ-1-イニル]ナフタレン-1-イル}-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパノエート(17)の調製;
メチルエステル11(1.71g、3.22mmol)のTHF(21mL)、メタノール(21mL)及び水(7.0mL)の混合物の溶液に、固体NaOH(1.29g、32.3mmol)を仕込み、反応混合物を室温で3h撹拌した。反応混合物のTLCにより反応の完了が示されたら、1N HCl(水溶液)を添加して反応混合物のpHを9〜10にし、有機溶媒を除去した。水性部分のpHを5〜6に調整し、得られた沈殿物をジクロロメタンで抽出した。水性部分をCH
2Cl
2(2×50mL)で抽出した。有機層を合わせ、Na
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮して化合物17(1.55g、93%)を褐色固体として得た。
【0269】
【数11】
[この文献は図面を表示できません]
【0270】
化合物19の調製;THF(2.5mL)中の化合物18(100mg、0.56mmol)に、DEPBT(218mg、0.72mmol)、17(289mg、0.56mmol)及びDIPEA(0.3mL、1.68mmol)を順次仕込み、室温で16h撹拌した。溶媒を減圧下で除去した後、残渣をCH
2Cl
2(100mL)に溶解させ、NaHCO
3飽和水溶液(2×50mL)及びブライン(50mL)で迅速に洗浄し、Na
2SO
4で脱水した。溶媒を蒸発させ、粗生成物を、シリカゲル(8%メタノール/CH
2Cl
2)を用いたフラッシュクロマトグラフィーで精製してアミド19(250mg、66%)を黄色固体として得た。
【0271】
【数12】
[この文献は図面を表示できません]
【0272】
化合物20の調製;19(210mg、0.31mmol)及び10%Pd/C(150mg)のMeOH(3.0mL)及びAcOH(0.3mL)の混合物懸濁液を脱気し、室温で12h、水素化条件(1atm)に供した。反応混合物をセライトのプラグで濾過し、プラグをMeOHで洗浄した。濾液を真空下で濃縮してアミン塩22を得、これをトリエチルアミンで中和し、粗生成物を、シリカゲル(CMA、80:18:2)を用いたフラッシュクロマトグラフィーで精製して遊離アミン20(130mg、77%)を白色固体として得た。
【0273】
【数13】
[この文献は図面を表示できません]
【0274】
22の調製;アミン20(122mg、0.22mmol)及びメチル3,5-ジアミノ-6-クロロピラジン-2-カルボニルカルバムイミドチオエート(21、139mg、0.35mmol)のEtOH(4.0mL)溶液に、DIPEA(0.31mL、1.76mmol)を室温で仕込んだ。反応混合物を、封管中、70℃で2h加熱し、室温に冷却し、真空下で濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、80:18:2 CHCl
3/CH
3OH/NH
4OH)で精製してグアニジン22(111mg、66%)を黄色固体として得た。
【0275】
【数14】
[この文献は図面を表示できません]
【0276】
化合物23(S)-3,5-ジアミノ-N-(N-(4-(4-(2-アミノ-3-(4-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)フェニルアミノ)-3-オキソプロピル)ナフタレン-1-イル)ブチル)カルバムイミドイル)-6-クロロピラジン-2-カルボキサミドのHCl塩の調製
ジオキサン(3.0mL)中の4N HClを22(100mg、0.13mmol)に加え、次いで水(1.0mL)を加え、反応混合物を室温で3h撹拌した。溶媒を除去し、1N NaOH(水溶液)で中和し、得られた固体を水で洗浄し、1N HCl(水溶液)で再度処理し、水を除去し、残渣を凍結乾燥して化合物22(65mg、65%)を黄色固体として得た。
【0277】
【数15】
[この文献は図面を表示できません]
【0278】
3. 3,5-ジアミノ-N-(N-(4-(4-((S)-2-アミノ-3-(4-(3-(ヘキシル((2S,3R,4R,5R)-2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)プロピル)フェニルアミノ)-3-オキソプロピル)ナフタレン-1-イル)ブチル)カルバムイミドイル)-6-クロロピラジン-2-カルボキサミド(28)の調製
【0279】
スキーム4
【化15】
[この文献は図面を表示できません]
【0280】
化合物25の調製;
THF(10mL)中の化合物24(165mg、0.38mmol)に、DEPBT(148mg、0.48mmol)、17(200mg、0.38mmol)及びDIPEA(0.2mL、1.14mmol)を順次仕込み、室温で16h撹拌した。溶媒を減圧下で除去した後、残渣をCH
2Cl
2(100mL)に溶解させ、NaHCO
3飽和水溶液(2×50mL)及びブライン(50mL)で迅速に洗浄し、Na
2SO
4で脱水した。溶媒を蒸発させ、粗生成物を、シリカゲル(8%メタノール/CH
2Cl
2)を用いたフラッシュクロマトグラフィーで精製してアミド25(210mg、60%)を黄色固体として得た。
【0281】
【数16】
[この文献は図面を表示できません]
【0282】
化合物26の調製;
25(280mg、0.30mmol)及び10%Pd/C(560mg)のEtOH(9.0mL)及びAcOH(1.0mL)の混合物懸濁液を脱気し、室温で4h、水素化条件(1atm)に供した。反応混合物をセライトのプラグで濾過し、プラグをMeOHで洗浄した。濾液を真空下で濃縮してアミン塩22を得、これをNaHCO
3で中和し、粗生成物を、シリカゲル(CMA、80:18:2)を用いたフラッシュクロマトグラフィーで精製して遊離アミン26(160mg、67%)を黄色固体として得た。
【0283】
【数17】
[この文献は図面を表示できません]
【0284】
化合物27の調製;
アミン26(155mg、0.20mmol)及びメチル3,5-ジアミノ-6-クロロピラジン-2-カルボニルカルバムイミドチオエート(21、123mg、0.31mmol)のEtOH(8.0mL)溶液に、DIPEA(0.28mL、1.56mmol)を室温で仕込んだ。反応混合物を、封管中、70℃で2h加熱し、室温に冷却し、真空下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(80:18:2 CHCl
3/CH
3OH/NH
4OH)で精製し、次いで逆相クロマトグラフィー(Gold C18)で精製してグアニジン27(100mg、51%)を黄色固体として得た。
【0285】
【数18】
[この文献は図面を表示できません]
【0286】
化合物28 3,5-ジアミノ-N-(N-(4-(4-((S)-2-アミノ-3-(4-(3-(ヘキシル((2S,3R,4R,5R)-2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)プロピル)フェニルアミノ)-3-オキソプロピル)ナフタレン-1-イル)ブチル)カルバムイミドイル)-6-クロロピラジン-2-カルボキサミドのHCl塩の調製;水(3.0mL)中の4N HClをエタノール(0.5mL)中の27(80mg、0.08mmol)に加え、反応混合物を40℃で6h撹拌した。溶媒を除去し、追加の4N HClを加え、混合物を40℃で更に4h加熱した。溶媒を除去し、水を加え、残渣を凍結乾燥して化合物28(78mg、99%)を黄色固体として得た。
【0287】
【数19】
[この文献は図面を表示できません]
【0288】
【数20】
[この文献は図面を表示できません]
【0289】
4. 3,5-ジアミノ-N-(N-(4-(4-((S)-2-アミノ-3-(4-(3-(ビス((2S,3R,4R,5R)-2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)プロピル)フェニルアミノ)-3-オキソプロピル)ナフタレン-1-イル)ブチル)カルバムイミドイル)-6-クロロピラジン-2-カルボキサミド(33)の調製
【0290】
スキーム5
【化16】
[この文献は図面を表示できません]
【0291】
化合物30の調製:
THF(8.0mL)中の化合物29(290mg、0.54mmol)に、DEPBT(210mg、0.70mmol)、17(311mg、0.60mmol)及びDIPEA(0.28mL、1.62mmol)を順次仕込み、室温で16h撹拌した。溶媒を減圧下で除去した後、残渣をCH
2Cl
2(100mL)に溶解させ、NaHCO
3飽和水溶液(2×50mL)及びブライン(50mL)で迅速に洗浄し、Na
2SO
4で脱水した。溶媒を蒸発させ、粗生成物を、シリカゲル(8%メタノール/CH
2Cl
2)を用いたフラッシュクロマトグラフィーで精製してアミド30(400mg、72%)を黄色固体として得た。
【0292】
【数21】
[この文献は図面を表示できません]
【0293】
化合物31の調製;
30(400mg、0.39mmol)及び10%Pd/C(210mg)のEtOH(54mL)及びAcOH(6.0mL)の混合物懸濁液を脱気し、室温で4h、水素化条件(1atm)に供した。反応混合物をセライトのプラグで濾過し、プラグをMeOHで洗浄した。濾液を真空下で濃縮してアミン塩31(333mg、84%)を黄色固体として得た。
【0294】
【数22】
[この文献は図面を表示できません]
【0295】
32の調製;31(370mg、0.36mmol)及びメチル3,5-ジアミノ-6-クロロピラジン-2-カルボニルカルバムイミドチオエート(21、226mg、0.58mmol)のEtOH(12mL)溶液に、DIPEA(0.51mL、2.88mmol)を室温で仕込んだ。反応混合物を、封管中、70℃で2h加熱し、室温に冷却し、真空下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(80:18:2 CHCl
3/CH
3OH/NH
4OH)で精製してグアニジン32(250mg、63%)を黄色固体として得た。
【0296】
【数23】
[この文献は図面を表示できません]
【0297】
33 3,5-ジアミノ-N-(N-(4-(4-((S)-2-アミノ-3-(4-(3-(ビス((2S,3R,4R,5R)-2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)プロピル)フェニルアミノ)-3-オキソプロピル)ナフタレン-1-イル)ブチル)カルバムイミドイル)-6-クロロピラジン-2-カルボキサミドのHCl塩の調製
水(6.0mL)中の4N HClをエタノール(2.0mL)中の32(200mg、0.18mmol)に加え、反応混合物を40℃で8h撹拌した。溶媒を除去し、追加の4N HClを加え、混合物を40℃で更に6h加熱した。溶媒を除去し、混合物を、逆相クロマトグラフィー(Goldカラム)で精製し、残渣を凍結乾燥して化合物33(138mg、59%)を黄色固体として得た。
【0298】
【数24】
[この文献は図面を表示できません]
【0299】
【数25】
[この文献は図面を表示できません]
【0300】
5. 3,5-ジアミノ-N-(N-(4-(4-((S)-2-アミノ-3-オキソ-3-(4-(3-((2S,3R,4R,5R)-2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキシルアミノ)プロピル)フェニルアミノ)プロピル)ナフタレン-1-イル)ブチル)カルバムイミドイル)-6-クロロピラジン-2-カルボキサミド(38)の調製
【0301】
スキーム6
【化17】
[この文献は図面を表示できません]
【0302】
化合物35の調製;
THF(15mL)中の化合物34(400mg、0.91mmol)に、DEPBT(389mg、1.30mmol)、17(516mg、1.00mmol)及びDIPEA(0.52mL、3.00mmol)を順次仕込み、室温で16h撹拌した。溶媒を減圧下で除去した後、残渣をCH
2Cl
2(100mL)に溶解させ、NaHCO
3飽和水溶液(2×50mL)及びブライン(50mL)で迅速に洗浄し、Na
2SO
4で脱水した。溶媒を蒸発させ、粗生成物を、シリカゲル(8%メタノール/CH
2Cl
2)を用いたフラッシュクロマトグラフィーで精製してアミド35(700mg、83%)を黄色固体として得た。
【0303】
【数26】
[この文献は図面を表示できません]
【0304】
化合物36の調製;
35(700mg、0.74mmol)及び10%Pd/C(400mg)のEtOH(90mL)及びAcOH(10mL)の混合物懸濁液を脱気し、室温で16h、水素化条件(1atm)に供した。反応混合物をセライトのプラグで濾過し、プラグをMeOHで洗浄した。濾液を真空下で濃縮してアミン塩36(650mg、95%)を黄色固体として得た。
【0305】
【数27】
[この文献は図面を表示できません]
【0306】
37の調製;
36(650mg、0.70mmol)及びメチル3,5-ジアミノ-6-クロロピラジン-2-カルボニルカルバムイミドチオエート(21、436mg、1.13mmol)のEtOH(12mL)溶液に、DIPEA(0.90mL、5.60mmol)を室温で仕込んだ。反応混合物を、封管中、70℃で2h加熱し、室温に冷却し、真空下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(80:18:2 CHCl
3/CH
3OH/NH
4OH)で精製してグアニジン37(444mg、62%)を黄色固体として得た。
【0307】
【数28】
[この文献は図面を表示できません]
【0308】
38のHCl塩の調製;
水(6.0mL)中の4N HClをエタノール(3.0mL)中の37(240mg、0.23mmol)に加え、反応混合物を40℃で8h撹拌した。溶媒を除去し、追加の4N HClを加え、混合物を40℃で更に8h加熱した。溶媒を除去し、混合物を、逆相クロマトグラフィー(Goldカラム)で精製し、残渣を凍結乾燥して化合物38(251mg、64%)を黄色固体として得た。
【0309】
【数29】
[この文献は図面を表示できません]
【0310】
【数30】
[この文献は図面を表示できません]
【0311】
6.(S)-3,5-ジアミノ-N-(N-(4-(4-(2-アミノ-3-(4-(6-(ジメチルアミノ)ヘキシル)フェニルアミノ)-3-オキソプロピル)ナフタレン-1-イル)ブチル)カルバムイミドイル)-6-クロロピラジン-2-カルボキサミド(43)の調製
【0312】
スキーム7
【化18】
[この文献は図面を表示できません]
【0313】
化合物40の調製;
酸17(880mg、1.70mmol)のTHF(30mL)溶液を氷浴中で0℃に冷却した。NMM(0.37mL、3.40mmol)を加え、次いでPivCl(0.20mL、1.70mmol)を加え、反応混合物を同じ温度で2h撹拌した。39(375mg、1.70mmol、15mL THF)を加え、反応混合物を同じ温度で更に10min撹拌した。反応混合物を室温にし、16h撹拌した。有機溶媒を除去した。残渣に水を仕込み、CH
2Cl
2(3×100mL)で抽出した。有機層を合わせ、Na
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(クロロホルム中に4%メタノール)で精製してアミド40(719mg、59%)を淡黄色固体として得た。[M+H]
+720。
【0314】
化合物41の調製;
40(719mg、1.00mmol)及び10%Pd/C(300mg)のEtOH(110mL)及びAcOH(20mL)の混合物懸濁液を脱気し、室温で16h、水素化条件(1atm)に供した。反応混合物をセライトのプラグで濾過し、プラグをMeOHで洗浄した。濾液を真空下で濃縮してアミン塩41を黄色固体(660mg、93%)として得た。[M+H]
+589。
【0315】
化合物42の調製;
アミン41(660mg、0.93mmol)及びメチル3,5-ジアミノ-6-クロロピラジン-2-カルボニルカルバムイミドチオエート(21、650mg、1.67mmol)のEtOH(10mL)溶液に、DIPEA(1.66mL、9.3mmol)を室温で仕込んだ。反応混合物を、封管中、70℃で2h加熱し、室温に冷却し、真空下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(80:18:2 CHCl
3/CH
3OH/NH
4OH)で精製してグアニジン42(370mg、50%)を黄色固体として得た。[M+H]
+801。
【0316】
化合物43(S)-3,5-ジアミノ-N-(N-(4-(4-(2-アミノ-3-(4-(6-(ジメチルアミノ)ヘキシル)フェニルアミノ)-3-オキソプロピル)ナフタレン-1-イル)ブチル)カルバムイミドイル)-6-クロロピラジン-2-カルボキサミドのHCl塩の調製
TFA(10mL)を、CH
2Cl
2(10mL)中の42(370mg、0.46mmol)に加え、反応混合物を室温で2h撹拌した。溶媒を除去し、追加の1N HClを加え、溶媒を除去した。混合物を、逆相クロマトグラフィー(Goldカラム)で精製し、残渣を凍結乾燥して化合物43(290mg、92%)を黄色固体として得た。
【0317】
【数31】
[この文献は図面を表示できません]
【0318】
【数32】
[この文献は図面を表示できません]
【0319】
7. 3,5-ジアミノ-N-(N-(4-(4-((S)-2-アミノ-3-(4-(6-(ビス((2S,3R,4R,5R)-2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)ヘキシル)フェニルアミノ)-3-オキソプロピル)ナフタレン-1-イル)ブチル)カルバムイミドイル)-6-クロロピラジン-2-カルボキサミドの調製
【0320】
スキーム8
【化19A】
[この文献は図面を表示できません]
【化19B】
[この文献は図面を表示できません]
【0321】
化合物45の調製;
酸17(900mg、1.74mmol)のTHF(40mL)溶液を氷浴中で0℃に冷却した。NMM(0.38mL、3.48mmol)を加え、次いでPivCl(0.21mL、1.74mmol)を加え、反応混合物を同じ温度で2h撹拌した。44(1.21g、1.74mmol、20mL THF)を加え、反応混合物を同じ温度で更に10min撹拌した。反応混合物を室温にし、16h撹拌した。有機溶媒を除去した。残渣に水を仕込み、CH
2Cl
2(3×100mL)で抽出した。有機層を合わせ、Na
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(クロロホルム中に4%メタノール)で精製してアミド45(2.00g、純粋ではない)を淡黄色固体として得た。[M+H]
+1196。
【0322】
化合物46の調製;
45(2.00g、純粋ではない)及び10%Pd/C(400mg)のEtOH(120mL)及びAcOH(20mL)の混合物懸濁液を脱気し、室温で16h、水素化条件(1atm)に供した。反応混合物をセライトのプラグで濾過し、プラグをMeOHで洗浄した。濾液を真空下で濃縮してアミン塩46を得、これをNaHCO
3で中和し、粗生成物を、シリカゲル(CMA、80:18:2)を用いたフラッシュクロマトグラフィーで精製して遊離アミン46を黄色固体(500mg、2工程にわたって27%)として得た。[M+H]
+1067。
【0323】
化合物47の調製;
アミン46(500mg、0.47mmol)及びメチル3,5-ジアミノ-6-クロロピラジン-2-カルボニルカルバムイミドチオエート(21、330mg、0.84mmol)のEtOH(20mL)溶液に、DIPEA(0.84mL、94.70mmol)を室温で仕込んだ。反応混合物を、封管中、70℃で2h加熱し、室温に冷却し、真空下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(80:18:2 CHCl
3/CH
3OH/NH
4OH)で精製してグアニジン47(325mg、55%)を黄色固体として得た。[M+H]
+1278。
【0324】
HCl塩化合物48 3,5-ジアミノ-N-(N-(4-(4-((S)-2-アミノ-3-(4-(6-(ビス((2S,3R,4R,5R)-2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)ヘキシル)フェニルアミノ)-3-オキソプロピル)ナフタレン-1-イル)ブチル)カルバムイミドイル)-6-クロロピラジン-2-カルボキサミドの調製
水(20mL)中の4N HClを、EtOH(2.0mL)中の47(325mg、0.25mmol)に加え、反応混合物を室温で2h撹拌した。溶媒を除去し、混合物を、逆相クロマトグラフィー(Goldカラム)で精製し、残渣を凍結乾燥して化合物48(165mg、60%)を黄色固体として得た。
【0325】
【数33】
[この文献は図面を表示できません]
【0326】
【数34】
[この文献は図面を表示できません]
【0327】
8. 3,5-ジアミノ-N-(N-(4-(4-((S)-2-アミノ-3-オキソ-3-(4-(6-((2S,3R,4R,5R)-2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキシルアミノ)ヘキシル)フェニルアミノ)プロピル)ナフタレン-1-イル)ブチル)カルバムイミドイル)-6-クロロピラジン-2-カルボキサミドの調製
【0328】
スキーム9
【化20】
[この文献は図面を表示できません]
【0329】
化合物50の調製;
酸17(950mg、1.84mmol)のTHF(30mL)溶液を氷浴中で0℃に冷却した。NMM(0.40mL、3.68mmol)を加え、次いでPivCl(0.23mL、1.84mmol)を加え、反応混合物を同じ温度で2h撹拌した。49(800mg、1.47mmol、10mL THF)を加え、反応混合物を同じ温度で更に10min撹拌した。反応混合物を室温にし、16h撹拌した。有機溶媒を除去した。残渣に水を仕込み、CH
2Cl
2(3×100mL)で抽出した。有機層を合わせ、Na
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(クロロホルム中に4%メタノール)で精製してアミド50(1.40g、純粋ではない)を淡黄色固体として得た。[M+H]
+1043。
【0330】
化合物51の調製;
50(1.40g、純粋ではない)及び10%Pd/C(400mg)のEtOH(120mL)及びAcOH(20mL)の混合物懸濁液を脱気し、室温で16h、水素化条件(1atm)に供した。反応混合物をセライトのプラグで濾過し、プラグをMeOHで洗浄した。濾液を真空下で濃縮してアミン塩51を得、これを次の工程で直接使用した(1.20g、粗製物):[M+H]
+913。
【0331】
化合物52の調製;
アミン51(1.20g、0.47mmol、粗製物)及びメチル3,5-ジアミノ-6-クロロピラジン-2-カルボニルカルバムイミドチオエート(21、723mg、1.86mmol)のEtOH(20mL)溶液に、DIPEA(2.00mL、11.6mmol)を室温で仕込んだ。反応混合物を、封管中、70℃で2h加熱し、室温に冷却し、真空下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(80:18:2 CHCl
3/CH
3OH/NH
4OH)で精製してグアニジン52(500mg、3工程にわたって24%)を黄色固体として得た。[M+H]
+1125。
【0332】
化合物53 3,5-ジアミノ-N-(N-(4-(4-((S)-2-アミノ-3-オキソ-3-(4-(6-((2S,3R,4R,5R)-2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキシルアミノ)ヘキシル)フェニルアミノ)プロピル)ナフタレン-1-イル)ブチル)カルバムイミドイル)-6-クロロピラジン-2-カルボキサミドのHCl塩の調製
水(25mL)中の4N HClをEtOH(5.0mL)中の52(500mg、0.44mmol)に加え、反応混合物を室温で2h撹拌した。溶媒を除去し、混合物を逆相クロマトグラフィー(Goldカラム)で精製し、残渣を凍結乾燥して化合物53(170mg、41%)を黄色固体として得た。
【0333】
【数35】
[この文献は図面を表示できません]
【0334】
【数36】
[この文献は図面を表示できません]
【0335】
9. 3,5-ジアミノ-N-(N-(4-(4-((S)-2-アミノ-3-(4-(6-(ヘキシル((2S,3R,4R,5R)-2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)ヘキシル)フェニルアミノ)-3-オキソプロピル)ナフタレン-1-イル)ブチル)カルバムイミドイル)-6-クロロピラジン-2-カルボキサミドの調製
【0336】
スキーム10
【化21A】
[この文献は図面を表示できません]
【化21B】
[この文献は図面を表示できません]
【0337】
化合物55の調製;THF(50mL)中の化合物54(770mg、1.45mmol)に、DEPBT(564mg、1.88mmol)、17(752mg、1.45mmol)及びDIPEA(0.77mL、4.35mmol)を順次仕込み、室温で16h撹拌した。溶媒を減圧下で除去した後、残渣をCH
2Cl
2(100mL)に溶解させ、NaHCO
3飽和水溶液(2×100mL)及びブライン(50mL)で迅速に洗浄し、Na
2SO
4で脱水した。溶媒を蒸発させ、粗生成物を、シリカゲル(5%メタノール/CH
2Cl
2)を用いたフラッシュクロマトグラフィーで精製し、逆相クロマトグラフィー(Goldカラム)で精製してアミド55を黄色固体(800mg、54%)として得た。[M+H]
+1027。
【0338】
化合物56の調製;
55(800mg、0.78mmol)及び10%Pd/C(400mg)のEtOH(120mL)及びAcOH(30mL)の混合物懸濁液を脱気し、室温で16h、水素化条件(1atm)に供した。反応混合物をセライトのプラグで濾過し、プラグをMeOHで洗浄した。濾液を真空下で濃縮してアミン塩56を黄色固体(780mg、99%)として得た。[M+H]
+897。
【0339】
化合物57の調製;
アミン塩56(780mg、0.75mmol)及びメチル3,5-ジアミノ-6-クロロピラジン-2-カルボニルカルバムイミドチオエート(21、466mg、1.20mmol)のEtOH(20mL)溶液に、DIPEA(1.37mL、7.67mmol)を室温で仕込んだ。反応混合物を、封管中、70℃で2h加熱し、室温に冷却し、真空下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(80:18:2 CHCl
3/CH
3OH/NH
4OH)で精製してグアニジン57(455mg、55%)を黄色固体として得た。[M+H]
+1110。
【0340】
化合物58 3,5-ジアミノ-N-(N-(4-(4-((S)-2-アミノ-3-(4-(6-(ヘキシル((2S,3R,4R,5R)-2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)ヘキシル)フェニルアミノ)-3-オキソプロピル)ナフタレン-1-イル)ブチル)カルバムイミドイル)-6-クロロピラジン-2-カルボキサミドのHCl塩の調製
水(25mL)中の4N HClを、エタノール(10mL)中の57(455mg、0.41mmol)に加え、反応混合物を室温で2h撹拌した。混合物を、逆相クロマトグラフィー(Goldカラム)で精製し、残渣を凍結乾燥して化合物58(230mg、55%)を黄色固体として得た。
【0341】
【数37】
[この文献は図面を表示できません]
【0342】
【数38】
[この文献は図面を表示できません]
【0343】
10.(S)-2-アミノ-3-(6-(4-(3-(3,5-ジアミノ-6-クロロピラジン-2-カルボニル)グアニジノ)ブチル)ナフタレン-2イル)プロパン酸(80)の調製
【0344】
スキーム11
【化22A】
[この文献は図面を表示できません]
【化22B】
[この文献は図面を表示できません]
【0345】
化合物62の調製;
安定なウィッティヒ イリドカルボメトキシメチレントリフェニルホスホラン(Ph
3PCHCO
2Me、43.0g、129mmol)を、窒素雰囲気下でアルデヒド59(20.0g、107mmol)のCH
2Cl
2(200mL)溶液に加え、反応混合物を室温で16h撹拌した。TLCで反応の完了(16h)を監視した。CH
2Cl
2を減圧下で除去し、10%酢酸エチル-ヘキサンを用いたFCCにより、対応するtrans-α,β-不飽和エステル62(24.0g、92%)を白色固体として得た。
【0346】
【数39】
[この文献は図面を表示できません]
【0347】
化合物62の調製(追加的経路);
0℃に冷却された250mL無水CH
2Cl
2中のトリメチルホスホノアセテート(55.6mL、381mmol)にDBU(48.8mL、322mmol)を加え、混合物を15min撹拌した。50mL CH
2Cl
2中のアルデヒド59(40.0g、215mmol)を滴下添加した。反応混合物の温度を室温にし、得られた反応混合物を室温で16h撹拌し、次いで100mLの水でクエンチした。混合物を分配させ、水層をCH
2Cl
2(3×150mL)で抽出した。合わせた有機分をブラインで洗浄し、脱水し(Na
2SO
4)、濾過し、濃縮し、残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(10:1 ヘキサン/酢酸エチル)で精製して所望のtrans-α,β-不飽和エステル62(48.0g、92%)を白色固体として得た。
【0348】
化合物64の調製;
化合物62(48.0g、196mmol)及び10%Pd/C(10g)のEtOAc/THF(600mL/75mL)懸濁液を室温で16h、水素化条件(1atm)に供した。反応混合物をセライトで濾過し、MeOHで洗浄した。濾液を真空下で濃縮して64(46.5g、96%)を白色固体として得た。
【0349】
【数40】
[この文献は図面を表示できません]
【0350】
化合物66の調製;
メチルエステル64(46.5g、191mmol)のTHF/MeOH/H
2O(500mL/500mL/150mL)溶液に、NaOH(45.6g、114mmol)を加え、反応混合物を室温で2h撹拌した。溶媒を除去し、pH値を1N aq HClで1に調整すると白色固体が沈殿した。固体を濾過し、水で洗浄し、真空下で乾燥して酸66(42.5g、97%)を白色固体として得た。
【0351】
【数41】
[この文献は図面を表示できません]
【0352】
化合物67の調製;
化合物60(39.3g、222mmol)の無水THF(500mL)溶液に、n-ブチルリチウム(110mL、シクロヘキサン中の2M溶液)を-78℃で滴下添加し、反応混合物を1h撹拌して、化合物61の溶液を得た。無水THF(1000mL)中の化合物66(42.5g、185mmol)の別の溶液に、NMM(26.3mL、240mmol)及びPivCl(27.3mL、222mmol)を-78℃で滴下添加した。反応混合物を同じ温度で1min撹拌し、次いで調製した化合物66の溶液を-78℃でゆっくり加えた。反応混合物を更に10min撹拌し、次いで0℃にし、1h撹拌し、次いで室温で30min撹拌し、飽和(satd)NH
4Clでクエンチし、濃縮してTHFを除去し、CH
2Cl
2(1000mL)と水(1000mL)に分配させた。水層を分離し、CH
2Cl
2(2×1000mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をNa
2SO
4で脱水し、濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、30:70CH
2Cl
2)で精製して化合物67(45.0 g、63%)を白色固体として得た。
【0353】
【数42】
[この文献は図面を表示できません]
【0354】
化合物68の調製
化合物67(45.0g、116mmol)の無水THF(700mL)溶液にKHMDS(34.6g、174mmol)を-78℃で少しずつ添加した。得られた混合物を30min撹拌した後、アジ化トリシル(53.6g、174mmol)を加え、反応混合物を5min撹拌した。次いで、酢酸(69.6g、1158mmol)、次いでテトラメチルアンモニウムアセテート(30.9g、232mmol)を同じ温度でゆっくり加えた。反応混合物を24℃に加温し、16h撹拌し、飽和NaHCO
3(300mL)でクエンチし、濃縮してTHFを除去し、CH
2Cl
2 (2×500mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をNa
2SO
4で脱水し、濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、10:90 EtOAc/ヘキサン、次いでDCM)で精製して化合物68(31.0g、62%)を黄色固体として得た。
【0355】
【数43】
[この文献は図面を表示できません]
【0356】
化合物69の調製
化合物68(31.0g、72.1mmol)のTHF/H
2O(300mL/100mL)溶液にH
2O
2(49g、433mmol)、次いでLiOH(6.04g、144mmol)を0℃で少しずつ添加した。反応混合物を同じ温度で10min、次いで室温で1h撹拌し、飽和Na
2SO
3(200mL)でクエンチし、減圧下で濃縮してTHFを除去し、CH
2Cl
2(500mL)で洗浄した。水層を1N aq HClで酸性化し、CH
2Cl
2(2×500mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をNa
2SO
4で脱水し、濃縮し、MTBEで洗浄して化合物69(15.0g、82%)をオフホワイトの固体として得た。
【0357】
【数44】
[この文献は図面を表示できません]
【0358】
化合物70の調製
化合物69(15.0g、55.1mmol)及び10%Pd/C3.50g)のAcOH/H
2O(300mL/100mL)懸濁液を室温で3h、水素化条件(1atm)に供した。反応混合物をセライトで濾過し、AcOH/H
2O、次いでMeOHで洗浄した。濾液を真空下で濃縮して酢酸塩70(14.0g、83%)を黄色固体として得た。
【0359】
【数45】
[この文献は図面を表示できません]
【0360】
化合物71の調製
化合物70(14.0g、45.9mmol)の酢酸(140mL)溶液に臭化水素酸(140mL)を室温で滴下添加し、反応混合物を3h還流させた。反応混合物を室温に冷却し、濃縮した。粗製の褐色残渣71(12.4g、87%)を、更に精製することなく、次の工程で直接使用した。
【0361】
【数46】
[この文献は図面を表示できません]
【0362】
化合物72の調製
塩化アセチル(38.4g、540mmol)を0℃で無水メタノール(400mL)に加え、次いで化合物71(24.0g、77.2mmol)を加えた。反応混合物を4h還流させ、濃縮した。残渣をCH
2Cl
2(500mL)と飽和NaHCO
3(300mL)に分配させた。水層を分離し、CH
2Cl
2(2×300mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をNa
2SO
4で脱水し、濃縮して化合物72を白色固体として得た。
【0363】
【数47】
[この文献は図面を表示できません]
【0364】
化合物73の調製
化合物72(16.6g、67.8mmol)のMeOH/H
2O(360mL/120mL)溶液にNaHCO
3(22.8g、271mmol)及びBoc
2O(17.7g、81.3mmol)を0℃で加えた。得られた混合物を室温に加温し、1h撹拌した。反応混合物をCH
2Cl
2(200mL)と水(200mL)に分配させた。水層を分離し、CH
2Cl
2(2×400mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、濃縮した。20%酢酸エチル-ヘキサン、次いでCH
2Cl
2を用いたFCCにより、化合物73(17.0g、73%)を白色固体として得た。
【0365】
【数48】
[この文献は図面を表示できません]
【0366】
化合物74の調製;
化合物73(7.0g、20.3mmol)のCH
2Cl
2(300mL)溶液に、0℃でピリジン(16.5mL、203mmol)を加え、トリフラート(5.11mL、30.4mmol)を加え、同じ温度で1h撹拌し、次いで室温で2h撹拌した。濃縮した後、反応混合物をCH
2Cl
2(300mL)と水(200mL)に分配させた。水層を分離し、CH
2Cl
2(2×300mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、濃縮して化合物74(8.80g、91%)を褐色油状物として得た(NMRによりピリジンの存在が確認された)。反応をLC-MSを用いて監視し、生成物の生成をLM-MSデータで確認した:
【0367】
【数49】
[この文献は図面を表示できません]
【0368】
化合物75の調製;
無水CH
3CN(450mL)中の化合物74(16.5g、34.6mmol)及びベンジルブタ-3-イニルカルバメート(17、10.4g、51.9mmol)を室温で、アルゴンで10min脱気し、次いでTEA(19.3mL、138mmol)、ヘキサン(13.9mL、6.91mmol)中の10%(t-Bu)
3P、及びCuI(0.33g、1.72mmol)を室温で加えた。得られた混合物をアルゴンで10min脱気し、Pd(PPh
3)
4(3.99g、3.45mmol)を一度に素早く加えた。アルゴンで5min脱気した後、得られた混合物を18h還流させた。反応混合物を真空下で濃縮し、残渣を、カラム(シリカゲル、75:25ヘキサン/EA)で精製して化合物75(14.1g、77%)を褐色固体として得た。
【0369】
【数50】
[この文献は図面を表示できません]
【0370】
化合物76の調製
メチルエステル75(12.1g、22.8mmol)のTHF/MeOH/H
2O(150mL/150mL/50mL)溶液にNaOH(4.56g、114mmol)を加え、反応混合物を室温で2h撹拌した。pH値を1N aq HClで9に調整し、有機溶媒を除去した。残渣のpH値を5-6に調整し、懸濁液をCH
2Cl
2(500mL)と水(200mL)に分配させた。水層を分離し、CH
2Cl
2(2×400mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をNa
2SO
4で脱水し、濃縮して化合物76(10.50g、89%)を褐色固体として得た。
【0371】
【数51】
[この文献は図面を表示できません]
【0372】
化合物77の調製;SG-SJL-B-27
75(2.0g、3.77mmol)及び10%Pd/C(500mg)のEtOH(90mL)及びAcOH(10mL)の混合物懸濁液を脱気し、次いで室温で16h、水素化条件(1atm)に供した。反応混合物をセライトのプラグで濾過し、プラグをMeOHで洗浄した。濾液を真空下で濃縮してアミン塩77(1.60mg、93%)を白色固体として得た。
【0373】
【数52】
[この文献は図面を表示できません]
【0374】
化合物78の調製;SG-SJL-B-30
アミン塩77(1.60g、3.47mmol)及びメチル3,5-ジアミノ-6-クロロピラジン-2-カルボニルカルバムイミドチオエート(13、2.16g、5.56mmol)のEtOH(40mL)溶液に、DIPEA(6.20mL、34.70mmol)を室温で加えた。反応混合物を封管中、70℃で1h加熱し、次いで室温に冷却し、真空下で濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、80:18:2 CHCl
3/CH
3OH/NH
4OH)で精製してグアニジン78(1.24g、59%)を黄色固体として得た。
【0375】
【数53】
[この文献は図面を表示できません]
【0376】
化合物79の調製;SG-SJL-B-32
メチルエステル78(1.24g、2.00mmol)のTHF(25mL)、メタノール(25mL)及び水(10mL)の混合物の溶液に固体NaOH(324mg、8.00mmol)を加え、反応混合物を室温で1h撹拌した。反応混合物のTLCは反応の完了を示した。次いで、1N HCl(水溶液)を添加して反応混合物のpHをpH9〜10にし、有機溶媒を除去した。水性部分のpHをpH5〜6に調整し、沈殿物が析出し、ジクロロメタンで抽出した。水性部分をCH
2Cl
2(2×50mL)で抽出した。有機層を合わせ、Na
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。黄色の固体化合物(79、1.10g、92%)を真空下で乾燥した。
【0377】
【数54】
[この文献は図面を表示できません]
【0378】
化合物80 (S)-2-アミノ-3-(6-(4-(3-(3,5-ジアミノ-6-クロロピラジン-2-カルボニル)グアニジノ)ブチル)ナフタレン-2イル)プロパン酸の塩酸塩の調製
ジオキサン(25mL)中の4N HClをEtOH(5.0mL)中の79(1.10g、1.83mmol)に加え、反応混合物を室温で2h撹拌した。溶媒を除去し、逆相カラム(goldカラム)で精製し、残渣を凍結乾燥して化合物80(700mg、67%)を黄色固体として得た。
【0379】
【数55】
[この文献は図面を表示できません]
【0380】
【数56】
[この文献は図面を表示できません]
【0381】
11. (S)-3,5-ジアミノ-6-クロロ-N-(N-(4-(6-(2,3-ジアミノ-3-オキソプロピル)ナフタレン-2イル)ブチル)カルバムイミドイル)ピラジン-2-カルボキサミド(84)の調製
【0382】
スキーム12
【化23】
[この文献は図面を表示できません]
【0383】
化合物81の調製;
酸76(2.0g、3.87mmol)のTHF(80mL)溶液を氷浴中で0℃に冷却し、NMM(0.63mL、5.03mmol)を加え、次いでi-BCF(0.63mL、5.80mmol)を滴下添加し、反応混合物を同じ温度で2h撹拌した。NH
3(メタノール中に7.0N、5.52mL、38.7mmol)を滴下添加し、反応混合物を同じ温度で更に2h撹拌した。次いで反応混合物を室温にし、16h撹拌した。有機溶媒を除去した。この残渣に水を加え、CH
2Cl
2(3×100mL)で抽出した。有機層を合わせ、Na
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(クロロホルム中に3%メタノール)で精製してアミド81(1.75g、88%)を淡黄色固体として得た。
【0384】
【数57】
[この文献は図面を表示できません]
【0385】
化合物82の調製;
81(1.75mg、3.39mmol)及び10%Pd/C(600mg)のEtOH(110mL)及びAcOH(15mL)の混合物懸濁液を脱気し、次いで室温で12h、水素化条件(1atm)に供した。反応混合物をセライトのプラグで濾過し、プラグをMeOHで洗浄した。濾液を真空下で濃縮してアミン塩82を白色固体(1.40g、93%)として得た。
【0386】
【数58】
[この文献は図面を表示できません]
【0387】
化合物83の調製
アミン塩82(1.40mg、3.15mmol)及びメチル3,5-ジアミノ-6-クロロピラジン-2-カルボニルカルバムイミドチオエート(13、1.96mg、5.04mmol)のEtOH(40mL)溶液にDIPEA(5.64mL、31.5mmol)を室温で加えた。反応混合物を封管中、70℃で2h加熱し、次いで室温に冷却し、真空下で濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、80:18:2CH
2Cl
2/MeOH、8:2:0.2 CHCl
3/CH
3OH/NH
4OH)で精製してグアニジン83(1.15g、61%)を黄色固体として得た。
【0388】
【数59】
[この文献は図面を表示できません]
【0389】
化合物 (S)-3,5-ジアミノ-6-クロロ-N-(N-(4-(6-(2,3-ジアミノ-3-オキソプロピル)ナフタレン-2イル)ブチル)カルバムイミドイル)ピラジン-2-カルボキサミド(84)のHCl塩の調製
ジオキサン(25mL)中の4N HClをEtOH(6.0mL)中の83(1.15g、1.92mmol)に加え、反応混合物を室温で2h撹拌した。溶媒を除去し、逆相カラム(goldカラム)で精製し、残渣を凍結乾燥して化合物84(310mg、28%)を黄色固体として得た。
【0390】
【数60】
[この文献は図面を表示できません]
【0391】
【数61】
[この文献は図面を表示できません]
【0392】
12. 3,5-ジアミノ-N-(N-(4-(6-((S)-2-アミノ-3-(4-(3-(ヘキシル((2S,3R,4R,5R)-2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)プロピル)フェニルアミノ)-3-オキソプロピル)ナフタレン-2イル)ブチル)カルバムイミドイル)-6-クロロピラジン-2-カルボキサミド(89)の調製
【0393】
スキーム13
【化24】
[この文献は図面を表示できません]
【0394】
化合物86の調製;
THF(50mL)中の化合物85(1.10g、2.32mmol)に、DEPBT(766mg、2.56mmol)、76(1.00g、1.97mmol)及びDIPEA(1.0mL、5.91mmol)を順次加え、室温で16h撹拌した。溶媒を減圧下で除去した後、残渣をCH
2Cl
2(100mL)に溶解させ、飽和水(2×100mL)及びブライン(50mL)で迅速に洗浄し、Na
2SO
4で脱水した。溶媒を蒸発させ、粗生成物を、シリカゲル(5%メタノール/CH
2Cl
2)を用いたフラッシュクロマトグラフィーで精製してアミド86を黄色固体生成物(1.19g、57%)として得た。
【0395】
【数62】
[この文献は図面を表示できません]
【0396】
化合物87の調製;
86(1.19g、混合物)及び10%Pd/C(220mg)のEtOH(110mL)及びAcOH(15mL)の混合物懸濁液を脱気し、次いで室温で3h、水素化条件(1atm)に供した。反応混合物をセライトのプラグで濾過し、プラグをMeOHで洗浄した。濾液を真空下で濃縮してアミン塩87を得、次いでこれをNaHCO
3で中和し、粗生成物を、シリカゲル(CMA、80:18:2)を用いたフラッシュクロマトグラフィーで精製して遊離アミン87を黄色固体(550mg、2工程にわたって58%)として得た。
【0397】
【数63】
[この文献は図面を表示できません]
【0398】
88の調製;
アミン87(550mg、0.65mmol)及びメチル3,5-ジアミノ-6-クロロピラジン-2-カルボニルカルバムイミドチオエート(21、400mg、1.04mmol)のEtOH(20mL)溶液に、DIPEA(1.15mL、6.44mmol)を室温で加えた。反応混合物を、封管中、70℃で2h加熱し、次いで室温に冷却し、真空下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(80:18:2 CHCl
3/CH
3OH/NH
4OH)で精製し、次いで逆相カラム(Gold C18)で精製してグアニジン88(333mg、48%)を黄色固体として得た。
【0399】
【数64】
[この文献は図面を表示できません]
【0400】
3,5-ジアミノ-N-(N-(4-(6-((S)-2-アミノ-3-(4-(3-(ヘキシル((2S,3R,4R,5R)-2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)プロピル)フェニルアミノ)-3-オキソプロピル)ナフタレン-2イル)ブチル)カルバムイミドイル)-6-クロロピラジン-2-カルボキサミド化合物(89)のHCl塩の調製;
水(20mL)中の4N HClをエタノール(10mL)中の88(333mg、0.31mmol)に加え、反応混合物を室温で2h撹拌した。逆相カラム(goldカラム)で精製し、残渣を凍結乾燥して化合物89(210mg、68%)を黄色固体として得た。
【0401】
【数65】
[この文献は図面を表示できません]
【0402】
【数66】
[この文献は図面を表示できません]
【0403】
13. 3,5-ジアミノ-N-(N-(4-(6-((S)-2-アミノ-3-(4-(3-(ビス((2S,3R,4R,5R)-2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)プロピル)フェニルアミノ)-3-オキソプロピル)ナフタレン-2イル)ブチル)カルバムイミドイル)-6-クロロピラジン-2-カルボキサミド(94)の調製
【0404】
スキーム14
【化25】
[この文献は図面を表示できません]
【0405】
化合物91の調製;
THF(30mL)中の化合物90(484mg、0.91mmol)に、DEPBT(300mg、1.00mmol)、19(400g、0.77mmol)及びDIPEA(0.40mL、2.31mmol)を順次加え、室温で16h撹拌した。溶媒を減圧下で除去した後、残渣をCH
2Cl
2(100mL)に溶解させ、飽和水(2×100mL)及びブライン(50mL)で迅速に洗浄し、Na
2SO
4で脱水した。溶媒を蒸発させ、粗生成物を、シリカゲル(5%メタノール/CH
2Cl
2)を用いたフラッシュクロマトグラフィーで精製してアミド91を黄色固体生成物(600mg、76%、純粋ではない)として得た。生成物の生成をLCMSで確認した。
【0406】
化合物92の調製;
91(600mg、0.59mmol)及び10%Pd/C(200mg)のEtOH(90mL)及びAcOH(10mL)の混合物懸濁液を脱気し、次いで室温で16h、水素化条件(1atm)に供した。反応混合物をセライトのプラグで濾過し、プラグをMeOHで洗浄した。濾液を真空下で濃縮してアミン塩92を得、次いでこれをNaHCO
3で中和し、粗生成物を、シリカゲル(CMA、80:18:2)を用いたフラッシュクロマトグラフィーで精製して遊離アミン36を黄色固体(350mg、66%、純粋ではない)として得た。
【0407】
【数67】
[この文献は図面を表示できません]
【0408】
化合物93の調製
アミン92(350g、0.38mmol)及びメチル3,5-ジアミノ-6-クロロピラジン-2-カルボニルカルバムイミドチオエート(13、242mg、0.62mmol)のEtOH(10mL)溶液にDIPEA(0.67mL、3.80mmol)を室温で加えた。反応混合物を封管中、70℃で2h加熱し、次いで室温に冷却し、真空下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(80:18:2 CHCl
3/CH
3OH/NH
4OH)で精製し、次いで逆相カラム(Gold C18)で精製してグアニジン93(170mg、3工程にわたって20%)を黄色固体として得た。
【0409】
【数68】
[この文献は図面を表示できません]
【0410】
3,5-ジアミノ-N-(N-(4-(6-((S)-2-アミノ-3-(4-(3-(ビス((2S,3R,4R,5R)-2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)プロピル)フェニルアミノ)-3-オキソプロピル)ナフタレン-2イル)ブチル)カルバムイミドイル)-6-クロロピラジン-2-カルボキサミド(94)のHCl塩の調製
水(20mL)中の4N HClをエタノール(5.0mL)中の93(170mg、0.15mmol)に加え、反応混合物を40℃で2h撹拌した。溶媒を再度除去し、4N HClを加え、40℃で更に2h加熱した。この添加を更に2回繰り返した。溶媒を除去し、逆相カラム(goldカラム)で精製し、残渣を凍結乾燥して化合物94(80mg、50%)を黄色固体として得た。
【0411】
【数69】
[この文献は図面を表示できません]
【0412】
【数70】
[この文献は図面を表示できません]
【0413】
14. 3,5-ジアミノ-N-(N-(4-(6-((S)-2-アミノ-3-オキソ-3-(4-(3-((2S,3R,4R,5R)-2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキシルアミノ)プロピル)フェニルアミノ)プロピル)ナフタレン-2イル)ブチル)カルバムイミドイル)-6-クロロピラジン-2-カルボキサミド(99)の調製
【0414】
スキーム15
【化26】
[この文献は図面を表示できません]
【0415】
化合物96の調製;
酸19(1.17g、2.27mmol)のTHF(60mL)溶液を氷浴中で0℃に冷却し、NMM(0.30mL、2.95mmol)を加え、次いでPivCl(0.30mL、2.49mmol)を加え、反応混合物を同じ温度で2h撹拌した。アニリン171の34(1.0g、2.27mmol、10mL THF)を加え、反応混合物を同じ温度で更に10mih撹拌した。次いで反応混合物を室温にし、16h撹拌した。有機溶媒を除去した。この残渣に水を加え、CH
2Cl
2(3×100mL)で抽出した。有機層を合わせ、Na
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(クロロホルム中に4%メタノール)で精製してアミド96(1.40g、66%、純粋ではない)を淡黄色固体として得た。生成物の生成をLCMSで確認した。
【0416】
化合物97の調製;
96(1.40g、1.50mmol)及び10%Pd/C(300mg)のEtOH(120mL)及びAcOH(12mL)の混合物懸濁液を脱気し、次いで室温で16h、水素化条件(1atm)に供した。反応混合物をセライトのプラグで濾過し、プラグをMeOHで洗浄した。濾液を真空下で濃縮してアミン塩97を得、次いでこれをNaHCO
3で中和し、粗生成物を、シリカゲル(CMA、80:18:2)を用いたフラッシュクロマトグラフィーで精製して遊離アミン97を黄色固体(550mg、2工程にわたって30%)として得た。
【0417】
【数71】
[この文献は図面を表示できません]
【0418】
98の調製;
アミン97(550mg、0.68mmol)及びメチル3,5-ジアミノ-6-クロロピラジン-2-カルボニルカルバムイミドチオエート(13、423mg、0.62mmol)のEtOH(20mL)溶液に、DIPEA(1.21mL、6.80mmol)を室温で加えた。反応混合物を、封管中、70℃で2h加熱し、次いで室温に冷却し、真空下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(80:18:2 CHCl
3/CH
3OH/NH
4OH)で精製し、次いで逆相カラム(Gold C18)で精製してグアニジン98(500mg、72%)を黄色固体として得た。
【0419】
【数72】
[この文献は図面を表示できません]
【0420】
3,5-ジアミノ-N-(N-(4-(6-((S)-2-アミノ-3-オキソ-3-(4-(3-((2S,3R,4R,5R)-2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキシルアミノ)プロピル)フェニルアミノ)プロピル)ナフタレン-2イル)ブチル)カルバムイミドイル)-6-クロロピラジン-2-カルボキサミド(99)のHCl塩の調製
水(20mL)中の4N HClをエタノール(5.0mL)中の98(500mg、0.15mmol)に加え、反応混合物を40℃で2h撹拌した。溶媒を再度除去し、4N HClを加え、40℃で更に2h加熱した。この添加を更に2回繰り返した。溶媒を除去し、逆相カラム(goldカラム)で精製し、残渣を凍結乾燥して化合物99(206mg、50%)を黄色固体として得た。
【0421】
【数73】
[この文献は図面を表示できません]
【0422】
【数74】
[この文献は図面を表示できません]
【0423】
15. (S)-3,5-ジアミノ-N-(N-(4-(6-(2-アミノ-3-(4-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)フェニルアミノ)-3-オキソプロピル)ナフタレン-2イル)ブチル)カルバムイミドイル)-6-クロロピラジン-2-カルボキサミド(103)の調製
【0424】
スキーム16
【化27】
[この文献は図面を表示できません]
【0425】
化合物100の調製;
酸19(1.75g、3.39mmol)のTHF(70mL)溶液を氷浴中で0℃に冷却し、NMM(0.74mL、6.78mmol)を加え、次いでPivCl(0.41mL、3,39mmol)を加え、反応混合物を同じ温度で2h撹拌した。18(825mg、4.61mmol、10mL THF)を加え、反応混合物を同じ温度で更に10mih撹拌した。次いで反応混合物を室温にし、16h撹拌した。有機溶媒を除去した。この残渣に水を加え、CH
2Cl
2(3×100mL)で抽出した。有機層を合わせ、Na
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(クロロホルム中に4%メタノール)で精製してアミド100(1.60g、71%)を淡黄色固体として得た。
【0426】
【数75】
[この文献は図面を表示できません]
【0427】
化合物101の調製;
100(1.60g、2.30mmol)及び10%Pd/C(400mg)のEtOH(130mL)及びAcOH(20mL)の混合物懸濁液を脱気し、次いで室温で16h、水素化条件(1atm)に供した。反応混合物をセライトのプラグで濾過し、プラグをMeOHで洗浄した。濾液を真空下で濃縮してアミン塩101を黄色固体(1.60g、99%)として得た。
【0428】
【数76】
[この文献は図面を表示できません]
【0429】
102の調製;
アミン101(1.60g、2.30mmol)及びメチル3,5-ジアミノ-6-クロロピラジン-2-カルボニルカルバムイミドチオエート(21、1.60g、4.14mmol)のEtOH(25mL)溶液に、DIPEA 4.1mL、23.0mmol)を室温で加えた。反応混合物を、封管中、70℃で2h加熱し、次いで室温に冷却し、真空下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(80:18:2 CHCl
3/CH
3OH/NH
4OH)で精製してグアニジン102(645mg、37%及び640mg、37%(純粋ではない))を黄色固体として得た。
【0430】
【数77】
[この文献は図面を表示できません]
【0431】
(S)-3,5-ジアミノ-N-(N-(4-(6-(2-アミノ-3-(4-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)フェニルアミノ)-3-オキソプロピル)ナフタレン-2イル)ブチル)カルバムイミドイル)-6-クロロピラジン-2-カルボキサミド(103)のHCl塩の調製
TFA(10mL)をCH
2Cl
2(15mL)中の47(545mg、0.71mmol)に加え、反応混合物を室温で1h撹拌した。溶媒を再度除去し、1N HClを加え、溶媒を除去し、逆相カラム(goldカラム)で精製し、残渣を凍結乾燥して化合物48(206mg、50%)を黄色固体として得た。
【0432】
【数78】
[この文献は図面を表示できません]
【0433】
【数79】
[この文献は図面を表示できません]
【0434】
16. 3,5-ジアミノ-N-(N-(4-(4-((S)-2-アミノ-3-(4-(3-(ヘキシル((2S,3R,4R,5R)-2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)プロピル)フェニルアミノ)-3-オキソプロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル)ブチル)カルバムイミドイル)-6-クロロピラジン-2-カルボキサミド(123)の調製
【0435】
スキーム17
【化28A】
[この文献は図面を表示できません]
【化28B】
[この文献は図面を表示できません]
【0436】
化合物105の調製;
104(100g、0.675mmol)の無水THF(800mL)溶液に、NaOH(32.0mg、0.809mmol)及び硫酸ジメチル(102g、0.809mmol)を0℃で滴下しながら仕込んだ。反応混合物を室温で2h撹拌した。THFを減圧下で除去し、混合物をCH
2Cl
2(1.0L)と水(1.0L)に分配させた。水層を分離し、CH
2Cl
2(2×1.0L)で抽出した。合わせた有機抽出物をNa
2SO
4で脱水し、濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、100%CH
2Cl
2)で精製して化合物105(108.0g、90%)を黄色液体として得た。
【0437】
【数80】
[この文献は図面を表示できません]
【0438】
化合物106の調製;
無水DMF(71.45ml、0.923mmol)の溶液に、POCl
3(57.40ml、0.616mmol)を、窒素雰囲気下、0℃で滴下しながら仕込んだ。反応混合物を0℃で30min撹拌した。105(50.0g、0.308mmol)の無水1,2-ジクロロメタン(500mL)溶液を、窒素雰囲気下、0℃で反応混合物に滴下添加した。添加が完了した後、反応混合物を80℃で6h加熱した。反応混合物を冷H
2Oでクエンチし、CH
2Cl
2(1.0L)と水(1.0L)に分配させた。水層を分離し、CH
2Cl
2(2×1.0L)で抽出した。合わせた有機抽出物をNa
2SO
4で脱水し、濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、5%EA/ヘキサン)で精製して化合物106(35.0g、61%)を黄色固体として得た。
【0439】
【数81】
[この文献は図面を表示できません]
【0440】
化合物107の調製
0℃に冷却した100mL無水CH
2Cl
2中のトリメチルホスホノアセテートの溶液(55.0mL、0.378mmol)にDBU(58.0mL、0.380mmol)を仕込み、混合物を15min撹拌した。50mL CH
2Cl
2中のアルデヒド106(16.0g、0.084mmol)を滴下しながら加えた。反応混合物を室温にし、16h撹拌し、100mLの水でクエンチした。混合物を分配させ、水層をCH
2Cl
2(3×150mL)で抽出した。合わせた有機分をブラインで洗浄し、脱水し(Na
2SO
4)、濾過し、濃縮し、残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(10:1ヘキサン/酢酸エチル)で精製してcis & trans-α,β-不飽和エステル107(15.0g、72%)を白色固体として得た。
【0441】
【数82】
[この文献は図面を表示できません]
【0442】
化合物108の調製
107(33.0g、0.134mmol)及び10%Pd/C(15g、0.127)のEtOH(300mL)懸濁液を、室温で3h、水素化条件(1atm)に供した。反応混合物をセライトで濾過し、MeOHで洗浄した。濾液を真空下で濃縮して108(28.0g、90%)を白色固体として得た。
【0443】
【数83】
[この文献は図面を表示できません]
【0444】
化合物109の調製
メチルエステル108(28.0g、0.106mmol)のTHF/MeOH/H
2O(200mL/200mL/60mL)溶液に、NaOH(25.0g、0.625mmol)を仕込み、反応混合物を室温で3h撹拌した。溶媒を除去し、1N HCl水溶液でpHを1に調整し、沈殿した白色固体を濾過し、水で洗浄し、真空下で乾燥して酸109(25.5g、92%)を白色固体として得た。
【0445】
【数84】
[この文献は図面を表示できません]
【0446】
化合物110の調製
60(13.70g、77.31mmol)の無水THF(200mL)溶液に、n-ブチルリチウム(45.07mL、90.08mmol、シクロヘキサン中の2M溶液)を、-78℃で滴下しながら仕込み、反応混合物を1h撹拌してリチウム塩61の溶液を得た。109(15.0g、64.37mmol)の無水THF(200mL)の別の溶液に、NMM(9.30mL、83.64mmol)及びPivCl(10.30mL、83.64mmol)を-78℃で滴下しながら仕込んだ。反応混合物を30min撹拌し、-20℃で1h加温し、調製したリチウム塩の溶液を-78℃でゆっくり加えた。反応混合物を更に10min撹拌し、0℃にし、1h撹拌し、室温にし、30min撹拌し、飽和NH
4Clでクエンチし、濃縮してTHFを除去し、CH
2Cl
2(300mL)と水(100mL)に分配させた。水層を分離し、CH
2Cl
2(150mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をNa
2SO
4で脱水し、濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CH
2Cl
2)で精製して化合物110(15.0g、60%)を白色固体として得た。
【0447】
化合物111の調製
110(15.0g、38.14mmol)の無水THF(250mL)溶液に、KHMDS(13.70g、68.67mmol)を-78℃で滴下しながら仕込んだ。得られた混合物を30min撹拌した後、アジ化トリシル(19.0g、61.40mmol)を加え、反応混合物を5min撹拌した。酢酸(15.0mL、228mmol)及びテトラメチルアンモニウムアセテート(30.9g、76.28mmol)を、同じ温度でゆっくり加えた。反応混合物を24℃に加温し、16h撹拌し、飽和NaHCO
3(100mL)でクエンチし、濃縮してTHFを除去し、CH
2Cl
2(300mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をNa
2SO
4で脱水し、濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、90:10ヘキサン/EtOAc、次いでDCM)で精製して化合物111(8.80g、54%)を黄色固体として得た。
【0448】
【数85】
[この文献は図面を表示できません]
【0449】
化合物112の調製
111(31.0g、72.1mmol)のTHF/H
2O(300mL/100mL)溶液に、H
2O
2(49mL、433mmol)、次いでLiOH(6.04g、144mmol)を0℃で滴下しながら仕込んだ。反応混合物を0℃で10min撹拌し、室温で1h撹拌し、飽和Na
2SO
3(200mL)でクエンチし、減圧下で濃縮してTHFを除去し、CH
2Cl
2(500mL)で洗浄した。水層を1N HCl水溶液で酸性化し、CH
2Cl
2(2×500mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をNa
2SO
4で脱水し、濃縮し、MTBEで洗浄して化合物112(15.0g、82%)をオフホワイトの固体として得た。
【0450】
【数86】
[この文献は図面を表示できません]
【0451】
化合物113の調製
112(15.0g、55.1mmol)及び10%Pd/C(3.50g)のAcOH/H
2O(300mL/100mL)懸濁液を、室温で3h水素化条件(1atm)に供した。反応混合物をセライトで濾過し、AcOH/H
2Oで洗浄し、次いでMeOHで洗浄した。濾液を真空下で濃縮して酢酸塩113(14.0g、83%)を黄色固体として得た。
【0452】
化合物114の調製
113(11.0g、44.1mmol)の酢酸(120mL)溶液に、臭化水素酸(120mL)を室温で滴下しながら仕込み、反応混合物を3h還流させた。反応混合物を室温に冷却し、濃縮した。粗製の褐色残渣114(8.90g、80%)を、更に精製することなく、次の工程で直接使用した。
【0453】
【数87】
[この文献は図面を表示できません]
【0454】
化合物115の調製
塩化アセチル(17.0mL、243mmol)を0℃で無水メタノール(300mL)に加え、114(8.90g、28.2mmol)を加えた。反応混合物を4h還流させ、濃縮した。残渣をCH
2Cl
2(200mL)と飽和NaHCO
3(100mL)に分配させた。水層を分離し、CH
2Cl
2(200mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をNa
2SO
4で脱水し、濃縮して化合物115(7.30g、90%)を白色固体として得た。
【0455】
【数88】
[この文献は図面を表示できません]
【0456】
化合物116の調製
115(7.30g、25.60mmol)のMeOH/H
2O(100mL/60mL)溶液に、NaHCO
3(12.0g、145mmol)及びBoc
2O(10.0g、45.8mmol)を0℃で仕込んだ。得られた混合物を室温に加温し、1h撹拌した。反応混合物をCH
2Cl
2(100mL)と水(50mL)に分配させた。水層を分離し、CH
2Cl
2(100mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、濃縮した。20%酢酸エチル/ヘキサン、次いでCH
2Cl
2を用いたフラッシュカラムクロマトグラフィーにより、化合物116(7.1g、81%)を白色固体として得た。
【0457】
【数89】
[この文献は図面を表示できません]
【0458】
化合物117の調製
116(7.0g、20.05mmol)のCH
2Cl
2(80mL)溶液に、ピリジン(100mL)及びトリフラート(4.64mL、24.0mmol)を0℃で仕込み、1h撹拌し、室温で2h撹拌した。濃縮後、反応混合物をCH
2Cl
2(150mL)と水(70mL)に分配させた。水層を分離し、CH
2Cl
2(100mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、濃縮して化合物117(8.00g、83)を褐色油状物として得た。
【0459】
【数90】
[この文献は図面を表示できません]
【0460】
化合物118の調製
無水CH
3CN(100mL)中の化合物117(8.0g、16.6mmol)及びベンジルブタ-3-イニルカルバメート(10、5.00g、24.9mmol)を室温で、アルゴンで10min脱気し、TEA(9.34mL、66.50mmol)、ヘキサン(7.0mL、3.32mmol)中の10%(t-Bu)
3P、及びCuI(0.16g、0.84mmol)を仕込んだ。得られた混合物をアルゴンで10min脱気し、Pd(PPh
3)
4(2.00mg、1.73mmol)を一度に素早く加えた。アルゴンで5min脱気した後、得られた混合物を16h還流させた。反応混合物を真空下で濃縮し、残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、75:25ヘキサン/酢酸エチル)で精製して化合物118(4.50g、52%)を褐色固体として得た。
【0461】
【数91】
[この文献は図面を表示できません]
【0462】
化合物119の調製
メチルエステル118(4.500g、8.42mmol)のTHF/MeOH/H
2O(30mL/30mL/10mL)溶液に、NaOH(3.60g、90mmol)を仕込み、反応混合物を室温で3h撹拌した。pH値を1N HCl水溶液で9に調整し、有機溶媒を除去した。残渣のpH値を5-6に調整し、懸濁液をCH
2Cl
2(100mL)と水(50mL)に分配させた。水層を分離し、CH
2Cl
2(100mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をNa
2SO
4で脱水し、濃縮して化合物119(3.66g、85%)を褐色固体として得た。
【0463】
【数92】
[この文献は図面を表示できません]
【0464】
化合物120の調製;
THF(30mL)中の化合物119(800mg、1.53mmol)に、DEPBT(845mg、2.56mmol)、24(700mg、2.33mmol)及びDIPEA(1.0mL、4.65mmol)を順次仕込み、室温で16h撹拌した。溶媒を減圧下で除去した後、残渣をCH
2Cl
2(50mL)に溶解させ、飽和水(50mL)及びブライン(50mL)で迅速に洗浄し、Na
2SO
4で脱水した。溶媒を蒸発させ、粗生成物を、シリカゲル(6%メタノール/CH
2Cl
2)を用いたフラッシュクロマトグラフィーで精製してアミド120(1.0g)を黄色固体として得た。
【0465】
【数93】
[この文献は図面を表示できません]
【0466】
化合物121の調製
120(1.00g、1.01mmol)及び10%Pd/C(600mg)のEtOH(50mL)及びAcOH(2mL)混合物の懸濁液を、脱気し、室温で12h、水素化条件(1atm)に供した。反応混合物をセライトのプラグで濾過し、プラグをMeOHで洗浄した。濾液を真空下で濃縮し、アミン塩121(700mg、80%)を白色固体として得た。
【0467】
【数94】
[この文献は図面を表示できません]
【0468】
化合物122の調製
アミノ塩121(700mg、0.81mmol)及びメチル3,5-ジアミノ-6-クロロピラジン-2-カルボニルカルバムイミドチオエート(13、680mg、1.75mmol)のEtOH(20mL)溶液に、DIPEA(1.60mg、9.26mmol)を室温で仕込んだ。反応混合物を封管中、70℃で2h加熱し、室温に冷却し、真空下で濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、80:18:2 CHCl
3/CH
3OH/NH
4OH)で精製してグアニジン122(380mg、48%)を黄色固体として得た。
【0469】
【数95】
[この文献は図面を表示できません]
【0470】
3,5-ジアミノ-N-(N-(4-(4-((S)-2-アミノ-3-(4-(3-(ヘキシル((2S,3R,4R,5R)-2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)プロピル)フェニルアミノ)-3-オキソプロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル)ブチル)カルバムイミドイル)-6-クロロピラジン-2-カルボキサミド(化合物123)のHCl塩の調製;
ジオキサン(15mL)中の4N HClをEtOH(5.0mL)中の122(350g、0.35mmol)に加え、反応混合物を室温で2h撹拌した。溶媒を除去し、混合物を、逆相クロマトグラフィー(Goldカラム)で精製し、残渣を凍結乾燥して110mg(45%)の化合物123を黄色固体として得た。
【0471】
【数96】
[この文献は図面を表示できません]
【0472】
【数97】
[この文献は図面を表示できません]
【0473】
17. 3,5-ジアミノ-N-(N-(4-(4-((S)-2-アミノ-3-(4-(3-(ビス((2S,3R,4R,5R)-2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)プロピル)フェニルアミノ)-3-オキソプロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル)ブチル)カルバムイミドイル)-6-クロロピラジン-2-カルボキサミド(127)の調製
【0474】
スキーム18
【化29】
[この文献は図面を表示できません]
【0475】
化合物124の調製;
THF(30mL)中の化合物119(1.0g、1.92mmol)に、DEPBT(845mg、2.82mmol)、29(1.25g、1.91mmol)及びDIPEA(1.0mL、5.73mmol)を順次仕込み、室温で16h撹拌した。溶媒を減圧下で除去した後、残渣をCH
2Cl
2(50mL)に溶解させ、飽和水(50mL)及びブライン(50mL)で迅速に洗浄し、Na
2SO
4で脱水した。溶媒を蒸発させ、粗生成物を、シリカゲル(5%メタノール/CH
2Cl
2)を用いたフラッシュクロマトグラフィーで精製してアミド124[900mg(混合物)]を黄色固体として得た。
【0476】
化合物125の調製;
124[900mg(混合物)、0.77mmol]及び10%Pd/C(600mg)のEtOH(50mL)及びAcOH(1.5mL)の混合物懸濁液を脱気し、室温で12h、水素化条件(1atm)に供した。反応混合物をセライトのプラグで濾過し、プラグをMeOHで洗浄した。濾液を真空下で濃縮して粗125(800mg)を無色油状物として得た。
【0477】
化合物126の調製;
粗125(800mg)及びメチル3,5-ジアミノ-6-クロロピラジン-2-カルボニルカルバムイミドチオエート(13、400mg、1.02mmol)のEtOH(40mL)溶液に、DIPEA(1.10mL、6.38mmol)を室温で仕込んだ。反応混合物を、封管中、70℃で2h加熱し、室温に冷却し、真空下で濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、80:18:2 CHCl
3/CH
3OH/NH
4OH)で精製してグアニジン126(285mg、3工程にわたって12%)を黄色固体として得た。
【0478】
【数98】
[この文献は図面を表示できません]
【0479】
3,5-ジアミノ-N-(N-(4-(4-((S)-2-アミノ-3-(4-(3-(ビス((2S,3R,4R,5R)-2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)プロピル)フェニルアミノ)-3-オキソプロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル)ブチル)カルバムイミドイル)-6-クロロピラジン-2-カルボキサミド(化合物127)のHCl塩の調製
ジオキサン(10mL)中の4N HClをEtOH(3.0mL)中の126(1.15g、0.23mmol)に加え、反応混合物を室温で2h撹拌した。溶媒を除去し、混合物を逆相クロマトグラフィー(Goldカラム)で精製し、残渣を凍結乾燥して62mg(32%)の化合物127を得た。
【0480】
【数99】
[この文献は図面を表示できません]
【0481】
【数100】
[この文献は図面を表示できません]
【0482】
18. 3,5-ジアミノ-N-(4-(4-((S)-2-アミノ-3-オキソ-3-(4-(3-((2S,3R,4R,5R)-2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキシルアミノ)プロピル)フェニルアミノ)プロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル)ブチルカルバモイル)-6-クロロピラジン-2-カルボキサミド(131)の調製
【0483】
スキーム19
【化30】
[この文献は図面を表示できません]
【0484】
化合物128の調製;
THF(30mL)中の化合物119(1.00g、1.92mmol)に、DEPBT(862mg、2.88mmol)、34(1.50g、2.98mmol)及びDIPEA(1.0mL、5.76mmol)を順次仕込み、室温で16h撹拌した。溶媒を減圧下で除去した後、残渣をCH
2Cl
2(50mL)に溶解させ、飽和水(30mL)及びブライン(20mL)で迅速に洗浄し、Na
2SO
4で脱水した。溶媒を蒸発させ、粗生成物を、シリカゲル(6%メタノール/CH
2Cl
2)を用いたフラッシュクロマトグラフィーで精製してアミド128(780mg、42%)を黄色固体として得た。
【0485】
【数101】
[この文献は図面を表示できません]
【0486】
化合物129の調製;
128(780mg、0.776mmol)及び10%Pd/C(300mg)のEtOH(30mL)及びAcOH(1.0mL)の混合物懸濁液を脱気し、室温で12h、水素化条件(1atm)に供した。反応混合物をセライトのプラグで濾過し、プラグをMeOHで洗浄した。濾液を真空下で濃縮してアミン塩129(720mg、85%)を白色固体として得た。
【0487】
【数102】
[この文献は図面を表示できません]
【0488】
化合物130の調製
化合物129(720mg、0.77mmol)及びメチル3,5-ジアミノ-6-クロロピラジン-2-カルボニルカルバムイミドチオエート(13、456mg、1.17mmol)のEtOH(20mL)溶液に、DIPEA(1.12mL、6.42mmol)を室温で仕込んだ。反応混合物を封管中、70℃で2h加熱し、室温に冷却し、真空下で濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、80:18:2 CHCl
3/CH
3OH/NH
4OH)で精製してグアニジン130(380mg、45%)を黄色固体として得た。
【0489】
【数103】
[この文献は図面を表示できません]
【0490】
3,5-ジアミノ-N-(4-(4-((S)-2-アミノ-3-オキソ-3-(4-(3-((2S,3R,4R,5R)-2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキシルアミノ)プロピル)フェニルアミノ)プロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル)ブチルカルバモイル)-6-クロロピラジン-2-カルボキサミド(131)のHCl塩の調製;
ジオキサン(25mL)中の4N HClを、EtOH(5.0mL)中の130(350mg、0.35mmol)に加え、反応混合物を室温で2h撹拌した。溶媒を除去し、混合物を、逆相クロマトグラフィー(Goldカラム)で精製し、残渣を凍結乾燥して化合物131(125mg、48%)を黄色固体として得た。
【0491】
【数104】
[この文献は図面を表示できません]
【0492】
【数105】
[この文献は図面を表示できません]
【0493】
19. (S)-3,5-ジアミノ-N-(N-(4-(4-(2-アミノ-3-(4-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)フェニルアミノ)-3-オキソプロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル)ブチル)カルバムイミドイル)-6-クロロピラジン-2-カルボキサミド(135)の調製
【0494】
スキーム20
【化31】
[この文献は図面を表示できません]
【0495】
化合物132の調製;
THF(30mL)中の化合物119(700mg、1.34mmol)に、DEPBT(600mg、2.00mmol)、18(360mg、1.51mmol)及びDIPEA(0.80mL、4.03mmol)を順次仕込み、室温で16h撹拌した。溶媒を減圧下で除去した後、残渣をCH
2Cl
2(50mL)に溶解させ、飽和水(50mL)及びブライン(50mL)で迅速に洗浄し、Na
2SO
4で脱水した。溶媒を蒸発させ、粗生成物を、シリカゲル(6%メタノール/CH
2Cl
2)を用いたフラッシュクロマトグラフィーで精製してアミド132[800mg(混合物)]を黄色固体生成物として得た。
【0496】
【数106】
[この文献は図面を表示できません]
【0497】
化合物133の調製;
132[800mg(混合物)、1.01mmol]及び10%Pd/C(350mg)のEtOH(30mL)及びAcOH(1mL)の混合物懸濁液を脱気し、室温で12h、水素化条件(1atm)に供した。反応混合物をセライトのプラグで濾過し、プラグをMeOHで洗浄した。濾液を真空下で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、80:18:2 CHCl
3/CH
3OH/NH
4OH)で精製して化合物233(500mg、2工程にわたって67%)を黄色固体として得た。
【0498】
【数107】
[この文献は図面を表示できません]
【0499】
化合物134の調製
アミノ塩133(500mg、0.90mmol)及びメチル3,5-ジアミノ-6-クロロピラジン-2-カルボニルカルバムイミドチオエート(13、530mg、1.36mmol)のEtOH(20mL)溶液に、DIPEA(1.30mL、7.25mmol)を室温で仕込んだ。反応混合物を封管中、70℃で2h加熱し、室温に冷却し、真空下で濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、80:18:2 CHCl
3/CH
3OH/NH
4OH)で精製してグアニジン134(285mg、42%)を黄色固体として得た。
【0500】
【数108】
[この文献は図面を表示できません]
【0501】
(S)-3,5-ジアミノ-N-(N-(4-(4-(2-アミノ-3-(4-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)フェニルアミノ)-3-オキソプロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル)ブチル)カルバムイミドイル)-6-クロロピラジン-2-カルボキサミド化合物135のHCl塩の調製;
ジオキサン(10mL)中の4N HClを、EtOH(5.0mL)中の134(380g、0.35mmol)に加え、反応混合物を室温で2h撹拌した。溶媒を除去し、混合物を、逆相クロマトグラフィー(C18 Goldカラム)で精製し、残渣を凍結乾燥して化合物135(125mg、49%)を黄色固体として得た。
【0502】
【数109】
[この文献は図面を表示できません]
【0503】
【数110】
[この文献は図面を表示できません]
【0504】
20. (S)-2-アミノ-3-(4-(4-(3-(3,5-ジアミノ-6-クロロピラジン-2-カルボニル)グアニジノ)ブチル)-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル)プロパン酸(139)の調製
【0505】
スキーム21
【化32】
[この文献は図面を表示できません]
【0506】
化合物136の調製;
118(800mg、1.49mmol)及び10%Pd/C(350mg)のEtOH(50mL)及びAcOH(1.0mL)の混合物懸濁液を脱気し、室温で12h、水素化条件(1atm)に供した。反応混合物をセライトのプラグで濾過し、プラグをMeOHで洗浄した。濾液を真空下で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、80:18:2 CHCl
3/CH
3OH/NH
4OH)で精製して化合物136(700mg、93%)を黄色固体として得た。
【0507】
化合物137の調製;
アミン塩136(700mg、1.50mmol)及びメチル3,5-ジアミノ-6-クロロピラジン-2-カルボニルカルバムイミドチオエート(13、880mg、2.26mmol)のEtOH(30mL)溶液に、DIPEA(2.15mL、12.03mmol)を室温で仕込んだ。反応混合物を、封管中、70℃で2h加熱し、室温に冷却し、真空下で濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、80:18:2 CHCl
3/CH
3OH/NH
4OH)で精製してグアニジン137(560mg、60%)を黄色固体として得た。
【0508】
【数111】
[この文献は図面を表示できません]
【0509】
化合物138の調製
メチルエステル137(560g、0.907mmol)のTHF/MeOH/H
2O(30mL/30mL/10mL)溶液に、NaOH(3.60g、7.25mmol)を仕込み、反応混合物を室温で3h撹拌した。pH値を1N HCl水溶液で9に調整し、有機溶媒を除去した。残渣のpH値を5-6に調整し、懸濁液をCH
2Cl
2(100mL)と水(50mL)に分配させた。水層を分離し、CH
2Cl
2(100mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をNa
2SO
4で脱水し、濃縮して化合物138(420mg、78%)を褐色固体として得た。
【0510】
【数112】
[この文献は図面を表示できません]
【0511】
(S)-2-アミノ-3-(4-(4-(3-(3,5-ジアミノ-6-クロロピラジン-2-カルボニル)グアニジノ)ブチル)-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル)プロパン酸化合物139のHCl塩の調製;
ジオキサン(10mL)中の4N HClを、EtOH(5.0mL)中の138(420mg、0.69mmol)に加え、反応混合物を室温で2h撹拌した。溶媒を除去し、混合物を、逆相クロマトグラフィー(C18 Goldカラム)で精製し、残渣を凍結乾燥して化合物139を黄色固体(200mg、49%)として得た。
【0512】
【数113】
[この文献は図面を表示できません]
【0513】
【数114】
[この文献は図面を表示できません]
【0514】
21. 3,5-ジアミノ-N-(N-(4-(4-((S)-2-アミノ-3-(4-(3-(ビス((2S,3R,4R,5R)-2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)プロピル)フェニルアミノ)-3-オキソプロピル)ナフタレン-1-イル)ブチル)カルバムイミドイル)-6-クロロピラジン-2-カルボキサミド(33)のキラル合成
【0515】
スキーム22
【化33】
[この文献は図面を表示できません]
【0516】
化合物141の調製;
1-ナフトール(140、10.0g、69.4mmol)のアセトニトリル(70.0mL)溶液に、NBS(142、12.3g、69.4mmol)を複数に分割して30minかけて添加した。得られた混合物を室温で4h撹拌し、真空下で濃縮し、次いで水(200mL)及び酢酸エチル(200mL)を加えた。水層を分離し、酢酸エチル(2×200mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、4:1ヘキサン/EtOAc)で精製して所望の化合物141(9.50g、61%)を白色固体として得た。
【0517】
【数115】
[この文献は図面を表示できません]
【0518】
化合物7の調製;
亜鉛末(7.03g、107.6mmol)を、フレーム乾燥し窒素パージした枝付き丸底フラスコに加えた。無水DMF(50.0mL)をシリンジで加え、次いで触媒量のヨウ素(1.00g、3.94mmol)を加えた。得られた混合物は、無色から黄色へ、黄色から無色へ変色していることが観察された。保護されたヨードアラニン143(11.8g、35.9mmol)を一度に添加し、次いで触媒量のヨウ素(1.00g、3.94mmol)を加え、室温で30min撹拌した。軽い発熱を伴って亜鉛は首尾よく挿入された。有機亜鉛試薬の溶液を室温に冷却し、続いてPd
2dba
3(821mg、0.89mmol)、SPhos(736mg、1.79mmol)及び臭化アリール141(8.00g、35.9mmol)を加え、混合物を窒素陽圧下、50℃で16h加熱した。反応混合物を室温に冷却した。飽和NH
4Cl溶液(300mL)及びEtOAc(300mL)を加え、次いで混合物をセライトで濾過し、EtOAc(100mL)で洗浄した。水層を分離し、EtOAc(2×300mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、真空下で濃縮した。粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、4:1ヘキサン/EtOAc)で精製して所望の化合物7(4.60g、37%)を黄色固体として得た。
【0519】
【数116】
[この文献は図面を表示できません]
【0520】
化合物9の調製;
化合物7(7.60g、21.8mmol)のCH
2Cl
2(150mL)溶液に、ピリジン(18.0mL)及びTf
2O(9.19g、32.6mmol)を0℃で加えた。得られた混合物を室温で2h撹拌し、真空下で濃縮し、CH
2Cl
2(100mL)と水(50mL)に分配させた。水層を分離し、CH
2Cl
2(2×50mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、濃縮して化合物9(11.0g、粗製物)を褐色油状物として得た。粗生成物を、更に精製することなく、次の工程で直接使用した。
【0521】
【数117】
[この文献は図面を表示できません]
【0522】
化合物11の調製;
化合物9(11.0g、21.8mmol)及びベンジルブタ-3-イニルカルバメート10(6.56g、32.6mmol)の無水アセトニトリル(100mL)溶液を、アルゴン雰囲気下で10min脱気し、次いでTEA(11.9mL、87.0mmol)、ヘキサン(8.80mL、4.35mmol)中の10%(t-Bu)
3P、及びCuI(207mg、1.08mmol)を室温で加えた。得られた混合物をアルゴンで更に10min脱気し、Pd(PPh
3)
4(2.51g、2.17mmol)を一度に添加した。アルゴンで5min脱気した後、得られた混合物を16h還流させた。反応混合物を真空下で濃縮し、残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、2:3ヘキサン/EtOAc)で精製して化合物11(7.00g、2工程にわたって61%)を褐色油状物として得た。
【0523】
【数118】
[この文献は図面を表示できません]
【0524】
化合物17の調製;
メチルエステル11(7.00g、13.2mmol)のTHF(200mL)、メタノール(200mL)及び水(75.0mL)の溶液に、固体NaOH(16.0g、79.2mmol)を加えた。得られた混合物を、TLCによって反応の完了が示されるまで室温で1h撹拌した。1N塩酸を加えて反応混合物のpHを10に調整した。濃縮した後、水(100mL)を加え、pHを5〜6に調整した。得られた沈殿物をCH
2Cl
2(2×250mL)で抽出した。有機層を合わせ、Na
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮し、MTBEとすり混ぜて化合物17(5.00g、75%)を白色固体として得た。
【0525】
【数119】
[この文献は図面を表示できません]
【0526】
化合物30の調製;
化合物17(4.60g、8.91mmol)のTHF(160mL)溶液に、T
3P(酢酸エチル中に50%、10.7mL)及びNMM(4.89mL、44.5mmol)を順次加えた。室温で10min撹拌した後、アミン29(6.11g、9.33mmol)を加え、反応混合物を室温で16h撹拌した。溶媒を除去した後、残渣をCH
2Cl
2(100mL)に溶解させ、飽和NH
4Cl、飽和NaHCO
3及びブラインで迅速に洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、9:1 CH
2Cl
2/MeOH)で精製してアミド30(6.60g、64%)をオフホワイトの固体として得た。
【0527】
【数120】
[この文献は図面を表示できません]
【0528】
化合物31の調製
30(7.26g、6.20mmol)及び10%Pd/C(1.50g)のEtOH/AcOH(240mL/40.0mL)懸濁液を、シリンジを用いてアルゴンでバブリングしながら10min脱気し、次いで室温で16h、水素化条件(1atm)に供した。反応混合物をセライトで濾過し、MeOHで洗浄した。濾液を真空下で濃縮し、MTBEとすり混ぜてアミン塩31(7.06g、98%)を褐色固体として得た。
【0529】
【数121】
[この文献は図面を表示できません]
【0530】
32の調製
31(7.06g、6.18mmol)のEtOH(50.0mL)溶液に、DIPEA(8.80mL、49.4mmol)、次いでメチル3,5-ジアミノ-6-クロロピラジン-2-カルボニルカルバムイミドチオエート(13、3.84g、9.88mmol)を室温で加えた。反応混合物を70℃で2h加熱し、室温に冷却し、真空下で濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、80:18:2 CHCl
3/CH
3OH/NH
4OH)で2回精製して化合物32(2.50g、33%)を黄色固体として得た。
【0531】
【数122】
[この文献は図面を表示できません]
【0532】
3,5-ジアミノ-N-(N-(4-(4-((S)-2-アミノ-3-(4-(3-(ビス((2S,3R,4R,5R)-2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)プロピル)フェニルアミノ)-3-オキソプロピル)ナフタレン-1-イル)ブチル)カルバムイミドイル)-6-クロロピラジン-2-カルボキサミド(33)のHCl塩の調製
32(2.50g、2.02mmol)のEtOH(30.0mL)溶液に、4N塩酸(80.0mL)を加えた。得られた混合物を室温で2h撹拌した。溶媒を除去し、逆相カラムで精製し、凍結乾燥して化合物33(1.82g、85%)を黄色吸湿性固体として得た。
【0533】
【数123】
[この文献は図面を表示できません]
【0534】
【数124】
[この文献は図面を表示できません]
【0535】
22. (2R,2'R,3R,3'R,4R,4'R,5S,5'S)-6,6'-(3-(4-アミノフェニル)プロピルアザンジイル)ジヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタオール(29)の調製
【0536】
スキーム23
【化34】
[この文献は図面を表示できません]
【0537】
化合物145の調製
化合物144(8.80g、154.1mmol)のCH
2Cl
2(150mL)溶液に、TEA(32.2mL、231.2mmol)及びBoc
2O(40.4g、185.3mmol)を0℃で加えた。反応混合物を0℃で0.5h撹拌続行し、室温に加温し、5h撹拌した。次いで混合物をCH
2Cl
2(150mL)と水(150mL)に分配させた。水層を分離し、CH
2Cl
2(2×150mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、濃縮して所望の化合物145(22.0g、91%)を無色油状物として得た。
【0538】
【数125】
[この文献は図面を表示できません]
【0539】
化合物147の調製
化合物145(14.0g、89.12mmol)の無水THF(150mL)溶液に、アルゴン下で9-BBN(THF中に0.5M、270mL、133.8mmol)を加えた。反応混合物を室温で2h撹拌した後、化合物146(17.7g、71.3mmol)、Pd(PPh
3)
2Cl
2(3.12g、4.45mmol)及び1N aq NaOH(150mL)を室温で加えた。得られた混合物を更に1h撹拌した。溶媒を除去した後、残渣をEtOAc(200mL)と水(200mL)に分配させた。水層を分離し、EtOAc(2×200mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、真空下で濃縮した。粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、4:1ヘキサン/EtOAc)で精製して化合物147(8.00g、43%)を褐色固体として得た。
【0540】
【数126】
[この文献は図面を表示できません]
【0541】
化合物148の調製;
化合物147(8.00g、28.6)を、ジオキサン(50.0mL)中の4N HClに室温で溶解し、溶液を1h撹拌した。反応混合物を真空下で濃縮し、残渣を、MTBEとすり混ぜて化合物148(4.00g、65%)を褐色固体として得た。
【0542】
【数127】
[この文献は図面を表示できません]
【0543】
化合物150の調製;
化合物148(4.00g、18.5mmol)及びトリオール149(24.8g、92.5mmol)のMeOH(150mL)溶液に、AcOH(11.1mL、185mmol)を加え、反応混合物を室温で10min撹拌した。NaCNBH
3(5.83g、92.5mmol)を加えた後、溶液を室温で24h撹拌続行した。追加の化合物149(4.0当量)、AcOH(4.0当量)及びNaCNBH
3(4.0当量)を4日間にわたって加えた。次いでヘキサナール(2.0当量)、AcOH(2.0当量)及びNaCNBH
3(2.0当量)を加えた。溶液を室温で更に1h撹拌した。溶媒を除去した後、残渣を飽和NaHCO
3で中和し、残渣をEtOAc(200mL)と水(200mL)に分配させた。水層を分離し、CH
2Cl
2(2×300mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をNa
2SO
4で脱水し、真空下で濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、9:1 CH
2Cl
2/MeOH、80:18:2 CHCl
3/MeOH/NH
4OH)で精製して化合物150(6.50g、52%)をオフホワイトの固体として得た。非純粋画分からの追加的な4.00gの物質を単離し、逆相カラムで精製して1.50g(12%)の純粋な化合物150(合計7.70g、64%)を得た。
【0544】
【数128】
[この文献は図面を表示できません]
【0545】
(2R,2'R,3R,3'R,4R,4'R,5S,5'S)-6,6'-(3-(4-アミノフェニル)プロピルアザンジイル)ジヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタオール(化合物153)の調製;
化合物150(6.50g、9.50mmol)及び10%Pd/C(1.30g)のEtOH(150mL)懸濁液を、シリンジを用いてアルゴンでバブリングしながら10min脱気し、次いで水素雰囲気(バルーン、1atm)下、室温で6h撹拌した。反応混合物をセライトで濾過し、MeOHで洗浄した。濾液を真空下で濃縮して153(6.01g、97%)をオフホワイトの固体として得た。
【0546】
【数129】
[この文献は図面を表示できません]
【0547】
23. 3,5-ジアミノ-N-(N-(4-(4-((R)-2-アミノ-3-(4-(3-(ビス((2S,3R,4R,5R)-2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)プロピル)フェニルアミノ)-3-オキソプロピル)ナフタレン-1-イル)ブチル)カルバムイミドイル)-6-クロロピラジン-2-カルボキサミド(152)の調製
【0548】
スキーム24
【化35】
[この文献は図面を表示できません]
【0549】
化合物14の調製
1-ナフトール(1、10.0g、69.4mmol)のアセトニトリル(70.0mL)溶液に、NBS(142、12.3g、69.4mmol)を複数に分割して30minかけて添加した。得られた混合物を室温で4h撹拌し、真空下で濃縮し、次いで水(200mL)及び酢酸エチル(200mL)を加えた。水層を分離し、酢酸エチル(2×200mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、濃縮した。残渣を、結晶化(ヘプタン/EtOAc)により精製して所望の化合物14(6.0g、39%)を白色固体として得た。
【0550】
【数130】
[この文献は図面を表示できません]
【0551】
化合物145の調製
亜鉛末(4.76g、72.9mmol)を、フレーム乾燥し窒素パージした枝付き丸底フラスコに加えた。無水DMF(25.0mL)をシリンジで加え、次いで触媒量のヨウ素(677mg、2.67mmol)を加えた。得られた混合物は、無色から黄色へ、黄色から無色へ変色していることが観察された。保護されたヨードアラニン114(8.00g、24.3mmol)を一度に添加し、次いで触媒量のヨウ素(677mg、2.67mmol)を加え、室温で30min撹拌した。軽い発熱を伴って亜鉛は首尾よく挿入された。有機亜鉛試薬の溶液を室温に冷却し、続いてPd
2(dba)
3(556mg、0.60mmol)、SPhos(498mg、1.21mmol)及び臭化アリール14(5.40g、24.3mmol)を加え、混合物を窒素陽圧下、50℃で16h加熱した。反応混合物を室温に冷却した。飽和NH
4Cl溶液(300mL)及びEtOAc(300mL)を加え、次いで混合物をセライトで濾過し、EtOAc(100mL)で洗浄した。水層を分離し、EtOAc(2×300mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、真空下で濃縮した。粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、4:1ヘキサン/EtOAc)で精製して所望の化合物145(3.10g、37%)を黄色固体として得た。
【0552】
【数131】
[この文献は図面を表示できません]
【0553】
化合物146の調製
化合物145(3.07g、8.90mmol)のCH
2Cl
2(75.0mL)溶液に、ピリジン(7.25mL、88.9mmol)及びTf
2O(2.24mL、13.3mmol)を0℃で加えた。得られた混合物を室温で2h撹拌し、真空下で濃縮し、CH
2Cl
2(100mL)と水(50mL)に分配させた。水層を分離し、CH
2Cl
2(2×50mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、濃縮して化合物146(4.20g、粗製物)を褐色油状物として得た。粗生成物を、更に精製することなく、次の工程で直接使用した。
【0554】
【数132】
[この文献は図面を表示できません]
【0555】
化合物147の調製
化合物6(4.20g、8.80mmol、粗製物)及びベンジルブタ-3-イニルカルバメート7(2.65g、13.2mmol)の無水アセトニトリル(50.0mL)溶液を、アルゴン雰囲気下で10min脱気し、次いでTEA(4.81mL、35.2mmol)、ヘキサン(3.56mL、1.76mmol)中の10%(t-Bu)
3P、及びCuI(84mg、0.44mmol)を室温で加えた。得られた混合物をアルゴンで更に10min脱気し、Pd(PPh
3)
4(1.01g、0.88mmol)を一度に添加した。アルゴンで5min脱気した後、得られた混合物を18h還流させた。反応混合物を真空下で濃縮し、残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、2:3 ヘキサン/EtOAc)で精製して化合物147(3.20g、2工程にわたって67%)を褐色油状物として得た。
【0556】
【数133】
[この文献は図面を表示できません]
【0557】
化合物148の調製
メチルエステル147(3.10g、5.84mmol)のTHF(60mL)、メタノール(60mL)及び水(20.0mL)の溶液に、固体NaOH(1.40g、35.09mmol)を加えた。TLCによって反応の完了が示されるまで、得られた混合物を室温で2h撹拌した。1N塩酸を加えて反応混合物のpHを10に調整した。濃縮した後、水(100mL)を加え、pHを5〜6に調整した。得られた沈殿物をCH
2Cl
2(2×200mL)で抽出した。有機層を合わせ、Na
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮し、MTBEとすり混ぜて化合物148(3.00g、99%)を白色固体として得た。
【0558】
【数134】
[この文献は図面を表示できません]
【0559】
化合物149の調製
化合物148(800mg、1.55mmol)のTHF(30mL)溶液に、T
3P(酢酸エチル中に50%、1.86mL)及びNMM(0.85mL、7.75mmol)を順次加えた。室温で10min撹拌した後、アミン29(1.01g、1.55mmol)を加え、反応混合物を室温で1h撹拌した。溶媒を除去した後、残渣をCH
2Cl
2(100mL)に溶解させ、飽和NH
4Cl、飽和NaHCO
3及びブラインで迅速に洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、9:1 CH
2Cl
2/MeOH)で精製してアミド149(1.20g、67%)をオフホワイトの固体として得た。
【0560】
【数135】
[この文献は図面を表示できません]
【0561】
化合物150の調製
149(1.15g、1.00mmol)及び10%Pd/C(230mg)のEtOH/AcOH(80.0mL/20.0mL)懸濁液を、シリンジを用いてアルゴンでバブリングしながら10min脱気し、次いで室温で16h、水素化条件(1atm)に供した。反応混合物をセライトで濾過し、MeOHで洗浄した。濾液を真空下で濃縮し、MTBEとすり混ぜてアミン塩150(1.12g、97%)を褐色固体として得た。
【0562】
【数136】
[この文献は図面を表示できません]
【0563】
151の調製
150(1.05g、0.92mmol)のEtOH(15.0mL)溶液に、DIPEA(1.30mL、7.35mmol)、次いでメチル3,5-ジアミノ-6-クロロピラジン-2-カルボニルカルバムイミドチオエート(13、573mg、1.47mmol)を室温で加えた。反応混合物を70℃で2h加熱し、室温に冷却し、真空下で濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、80:18:2 CHCl
3/CH
3OH/NH
4OH)で2回精製して化合物151(410mg、36%)を黄色固体として得た。
【0564】
【数137】
[この文献は図面を表示できません]
【0565】
3,5-ジアミノ-N-(N-(4-(4-((R)-2-アミノ-3-(4-(3-(ビス((2S,3R,4R,5R)-2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)プロピル)フェニルアミノ)-3-オキソプロピル)ナフタレン-1-イル)ブチル)カルバムイミドイル)-6-クロロピラジン-2-カルボキサミド(152)の合成
151(480mg、0.42mmol)のEtOH(5.0mL)溶液に、4N塩酸(25.0mL)を加えた。得られた混合物を室温で2h撹拌した。溶媒を除去し、逆相カラムで精製し、凍結乾燥して化合物152(300mg、71%)を黄色吸湿性固体として得た。
【0566】
【数138】
[この文献は図面を表示できません]
【0567】
【数139】
[この文献は図面を表示できません]
【0569】
スキーム25
【化36】
[この文献は図面を表示できません]
【0570】
化合物155の調製;
化合物154(500mg、9.00mmol)のCH
2Cl
2(50mL)溶液に、TEA(1.63mL、11.7mmol)及びBoc
2O(2.16g、9.90mmol)を0℃で加えた。反応混合物を0℃で0.5h撹拌続行し、室温に加温し、3h撹拌した。次いで混合物をCH
2Cl
2(50mL)と水(50mL)に分配させた。水層を分離し、CH
2Cl
2(2×50mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、濃縮し、残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、2:3ヘキサン/EtOAc)で精製して所望の化合物155(1.20g、86%)を無色油状物として得た。
【0571】
【数140】
[この文献は図面を表示できません]
【0572】
化合物157の調製;
化合物155(1.00g、6.45mmol)及び156(1.30g、6.45mmol)の無水THF(15mL)溶液を、アルゴン雰囲気下で10min脱気し、次いでTEA(3.53mL、25.8mmol)、PPh
3(424mg、1.61mmol)及びCuI(246mg、1.29mmol)を室温で加えた。得られた混合物をアルゴンで更に10min脱気し、Pd(PPh
3)
4(7.45g、6.45mmol)を一度に添加した。アルゴンで5min脱気した後、得られた混合物を16h還流させた。反応混合物を真空下で濃縮し、残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、2:3ヘキサン/EtOAc)で精製して化合物157(750mg、42%)を褐色油状物として得た。
【0573】
【数141】
[この文献は図面を表示できません]
【0574】
化合物158の調製;
化合物157(2.00g、7.24)をジオキサン(20.0mL)中の4N HClに室温で溶解し、溶液を2h撹拌した。反応混合物を真空下で濃縮し、残渣を、MTBEとすり混ぜて化合物158(1.25g、82%)を褐色固体として得た。
【0575】
【数142】
[この文献は図面を表示できません]
【0576】
化合物159の調製;
化合物158(100mg、0.47mmol)及びホルムアルデヒド水溶液(30%、1.40mL、1.41mmol)のMeOH(3.0mL)の溶液に、AcOH(0.09mL、1.41mmol)を加え、反応混合物を室温で30min撹拌した。NaCNBH
3(88mg、1.41mmol)を加えた後、溶液を室温で16h撹拌続行した。追加のホルムアルデヒド水溶液(30%、0.92mL、0.94mmol)、AcOH(0.09mL、1.41mmol)及びNaCNBH
3(88mg、1.41mmol)を加え、更に16h撹拌した。溶媒を除去した後、残渣を飽和NaHCO
3で中和し、残渣をEtOAc(30mL)と水(30mL)に分配させた。水層を分離し、CH
2Cl
2(2×40mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をNa
2SO
4で脱水し、真空下で濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、9:1 CH
2Cl
2/MeOH、80:18:2 CHCl
3/MeOH/NH
4OH)で精製して化合物159(50g、52%)をオフホワイトの油状物として得た。
【0577】
【数143】
[この文献は図面を表示できません]
【0578】
化合物18の調製;
化合物159(100mg、0.49mmol)及び10%Pd/C(40mg)のMeOH(3.0mL)懸濁液をアルゴンで10min脱気し、次いで水素雰囲気(バルーン、1atm)下、室温で3h撹拌した。反応混合物をセライトで濾過し、MeOHで洗浄した。濾液を真空下で濃縮し、CH
2Cl
2/ヘキサンとすり混ぜて18(48mg、55%)を白色結晶として得た。
【0579】
【数144】
[この文献は図面を表示できません]
【0581】
スキーム26
【化37】
[この文献は図面を表示できません]
【0582】
化合物161の調製;
化合物158(4.00g、18.9mmol)及びトリオール160(11.7g、56.6mmol)のMeOH(50mL)溶液に、AcOH(3.40mL、56.6mmol)を加え、反応混合物を室温で30min撹拌した。NaCNBH
3(3.55g、56.6mmol)を加えた後、溶液を室温で16h撹拌続行した。追加の化合物160(11.7g、56.6mmol)、AcOH(3.40mL、56.6mmol)及びNaCNBH
3(3.55g、56.6mmol)を加え、溶液を室温で16h撹拌続行した。溶媒を除去した後、残渣を飽和NaHCO
3で中和し、残渣をCH
2Cl
2(10mL)と水(10mL)に分配させた。水層を分離し、CH
2Cl
2(2×10mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をNa
2SO
4で脱水し、真空下で濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、9:1 CH
2Cl
2/MeOH、80:18:2 CHCl
3/MeOH/NH
4OH)で精製して化合物29(700mg、7.0%)をオフホワイトの固体として得た。
【0583】
【数145】
[この文献は図面を表示できません]
【0584】
化合物29の調製;
化合物161(500mg、0.90mmol)及び10%Pd(OH)
2/C(215mg)のEtOH(230mL)懸濁液を、シリンジを用いてアルゴンでバブリングしながら10min脱気し、次いで水素雰囲気(バルーン、1atm)下、室温で2h撹拌した。反応混合物をセライトで濾過し、MeOHで洗浄した。濾液を真空下で濃縮し、残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、9:1 CH
2Cl
2/MeOH、80:18:2 CHCl
3/MeOH/NH
4OH)で精製して化合物29(264mg、55%)をオフホワイトの固体として得た。
【0585】
【数146】
[この文献は図面を表示できません]
【0587】
スキーム27
【化38】
[この文献は図面を表示できません]
【0588】
化合物162の調製;
化合物158(200mg、0.94mmol)及びトリオール160(194mg、0.94mmol)のMeOH(2.0mL)溶液に、AcOH(0.17mL、2.82mmol)を加え、反応混合物を室温で30min撹拌した。NaCNBH
3(148mg、2.35mmol)を加えた後、溶液を室温で16h撹拌続行した。追加の化合物160(0.2当量)、AcOH(3.0当量)及びNaCNBH
3(1.0当量)を加え、溶液を室温で16h撹拌続行した。溶媒を除去した後、残渣を飽和NaHCO
3で中和し、残渣をCH
2Cl
2(10mL)と水(10mL)に分配させた。水層を分離し、CH
2Cl
2(2×10mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をNa
2SO
4で脱水し、真空下で濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、9:1 CH
2Cl
2/MeOH、80:18:2 CHCl
3/MeOH/NH
4OH)で精製して化合物162(95mg、28%)をオフホワイトの固体として得た。
【0589】
【数147】
[この文献は図面を表示できません]
【0590】
化合物164の調製;化合物162(95mg、0.26mmol)及びヘキサナール163(52mg、0.51mmol)の溶液に、AcOH(0.05mL、0.78mmol)及びNaCNBH
3(41mg、0.65mmol)を加えた。溶液を室温で16h撹拌した。溶媒を除去した後、残渣を飽和NaHCO
3で中和し、残渣をEtOAc(10mL)と水(10mL)に分配させた。水層を分離し、CH
2Cl
2(2×10mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をNa
2SO
4で脱水し、真空下で濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、9:1 CH
2Cl
2/MeOH、80:18:2 CHCl
3/MeOH/NH
4OH)で精製して化合物164(70mg、59%)をオフホワイトの固体として得た。
【0591】
【数148】
[この文献は図面を表示できません]
【0592】
化合物24の調製
化合物164(1.70g、3.77mmol)及び10%Pd/C(200mg)のMeOH(40mL)懸濁液をアルゴンで10min脱気し、次いで水素雰囲気(バルーン、1atm)下、室温で2h撹拌した。反応混合物をセライトで濾過し、MeOHで洗浄した。濾液を真空下で濃縮し、残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、9:1 CH
2Cl
2/MeOH、80:18:2 CHCl
3/MeOH/NH
4OH)で精製して化合物24(1.20g、76%)をオフホワイトの固体として得た。
【0593】
【数149】
[この文献は図面を表示できません]
【0595】
スキーム28
【化39】
[この文献は図面を表示できません]
【0596】
化合物166の調製;
化合物148(4.60g、21.3mmol)及びトリオール165(17.1g、63.9mmol)のMeOH(100mL)溶液に、AcOH(12.1mL、63.9mmol)を加え、反応混合物を室温で10min撹拌した。NaCNBH
3(4.00g、63.9mmol)を加えた後、溶液を室温で6h撹拌続行した。次いでヘキサナール163(5.10mL、42.6mmol)及びNaCNBH
3(2.60g、42.6mmol)を加えた。溶液を室温で更に2h撹拌した。溶媒を除去した後、残渣を飽和NaHCO
3で中和し、残渣をEtOAc(200mL)と水(200mL)に分配させた。水層を分離し、CH
2Cl
2(2×300mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をNa
2SO
4で脱水し、真空下で濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、9:1 CH
2Cl
2/MeOH、80:18:2 CHCl
3/MeOH/NH
4OH)で精製して化合物166(6.90g、64%)をオフホワイトの固体として得た。
【0597】
【数150】
[この文献は図面を表示できません]
【0598】
化合物85の調製;
化合物166(800mg、1.55mmol)及び10%Pd/C(300mg)のEtOH(40mL)懸濁液を、シリンジを用いてアルゴンでバブリングしながら10min脱気し、次いで水素雰囲気(バルーン、1atm)下、室温で2h撹拌した。反応混合物をセライトで濾過し、MeOHで洗浄した。濾液を真空下で濃縮して85(700mg、93%)をオフホワイトの固体として得た。
【0599】
【数151】
[この文献は図面を表示できません]
【0601】
スキーム29
【化40】
[この文献は図面を表示できません]
【0602】
化合物168の調製;
162(534mg、1.45mmol)のMeOH(30mL)溶液に、水(5.0ml)中の0℃での飽和NaHCO
3溶液を仕込み、10min撹拌した。次いで(Boc)
2O(350mg、1.60mmmol)を加え、反応混合物を同じ温度で3h撹拌し、室温にし、更に30min撹拌した。混合物を濃縮し、残渣をCH
2Cl
2(100mL)に溶解させ、溶液を水(100mL)及びブライン(50mL)で洗浄した。有機層をNa
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮し、残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、9:1 CH
2Cl
2/MeOH、8:2 CHCl
3/MeOH)で精製して化合物168(435mg、64%)をオフホワイトの固体として得た。
【0603】
【数152】
[この文献は図面を表示できません]
【0604】
化合物34の調製;
化合物168(80mg、0.21mmol)及び10%Pd/C(40mg)のEtOH(10mL)懸濁液を、シリンジを用いてアルゴンでバブリングしながら10min脱気し、次いで水素雰囲気(バルーン、1atm)下、室温で2h撹拌した。反応混合物をセライトで濾過し、MeOHで洗浄した。濾液を真空下で濃縮して34(82mg、89%)をオフホワイトの固体として得た。
【0605】
【数153】
[この文献は図面を表示できません]
【0607】
スキーム30
【化41】
[この文献は図面を表示できません]
【0608】
化合物148(6.40g、29.6mmol)及びトリオール165(11.9g、44.5mmol)のMeOH(300mL)溶液に、AcOH(5.32mL、88.8mmol)を加え、反応混合物を室温で30min撹拌した。NaCNBH
3(3.73g、59.2mmol)を加えた後、溶液を室温で16h撹拌続行した。追加の化合物165(11.9g、44.5mmol)、AcOH(5.32mL、88.8mmol)及びNaCNBH
3(3.73g、59.2mmol)を加え、溶液を室温で14h撹拌続行した。追加の化合物165(7.93g、29.6mmol)、AcOH(3.55mL、59.2mmol)及びNaCNBH
3(2.80g、44.4mmol)を加え、溶液を室温で10h撹拌続行した。溶媒を除去した後、残渣を飽和NaHCO
3で中和し、残渣をCH
2Cl
2(100mL)と水(100mL)に分配させた。水層を分離し、CH
2Cl
2(2×100mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をNa
2SO
4で脱水し、真空下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、9:1 CH
2Cl
2/MeOH、80:18:2 CHCl
3/MeOH/NH
4OH)によるチャレンジングな精製を経て化合物150及び169(20g、混合物)を得た。混合物を次の工程で直接使用した。
【0609】
化合物170の調製;
150及び169(20.0g、混合物)のMeOH(120mL)及び水(40mL)の溶液に、飽和NaHCO
3(9.99g、118.4mmol)を0℃で仕込み、10min撹拌した。(Boc)
2O(9.69g、44.4mmol)を加え、反応混合物を同じ温度で10min撹拌し、室温にし、更に2h撹拌した。混合物を濃縮し、残渣をCH
2Cl
2(100mL)に溶解させ、溶液を水(100mL)及びブライン(50mL)で洗浄した。有機層をNa
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮し、残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、9:1 CH
2Cl
2/MeOH、8:2 CHCl
3/MeOH)で精製して化合物150(1.50g)及び170(4.50 g)をオフホワイトの固体として得た。ESI-MS m/z 529[C
27H
32N
2O
9+H]
+。
【0610】
化合物171の調製
化合物170(4.20g、7.92mmol)及び10%Pd/C(500mg)のEtOH(100mL)及びAcOH(10mL)の懸濁液をアルゴンで10min脱気し、次いで水素雰囲気(バルーン、1atm)下、室温で16h撹拌した。反応混合物をセライトで濾過し、MeOHで洗浄した。濾液を真空下で濃縮し、Na
2CO
3で中和し、残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、9:1 CH
2Cl
2/MeOH、8:2 CHCl
3/MeOH)で精製して化合物172(2.70g、68%)をオフホワイトの固体として得た。
【0611】
【数154】
[この文献は図面を表示できません]
【0613】
スキーム31
【化42】
[この文献は図面を表示できません]
【0614】
化合物17(30.0g、121mmol)及び173(14.2g、145mmol)の無水アセトニトリル(300mL)溶液を、アルゴン雰囲気下で10min脱気し、次いでTEA(67mL、484mmol)、ヘキサン(49.0mL、24.2mmol)中の10%(t-Bu)
3P、及びCuI(1.15g、6.05mmol)を室温で加えた。得られた混合物をアルゴンで更に10min脱気し、Pd(PPh
3)
4(14.0gg、12.1mmol)を一度に添加した。アルゴンで5min脱気した後、得られた混合物を50℃で16h加熱した。反応混合物を真空下で濃縮し、残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、2:3ヘキサン/EtOAc)で精製して化合物174(15.0g、58%)を褐色油状物として得た。
【0615】
【数155】
[この文献は図面を表示できません]
【0616】
化合物175の調製;
化合物174(15.0g、67.9mmol)の無水CH
2Cl
2(50mL)溶液に、Et
3N(28.0mL、203.7mmol)及びDMAP(4.12g、33.9mmol)を、アルゴン下、0℃で加えた。反応混合物を同じ温度で5min撹拌した後、TsCl(32.5g、170mmol)を0℃で加えた。得られた混合物を室温で更に4h撹拌した。溶媒を除去した後、残渣をCH
2Cl
2(250mL)と水(150mL)に分配させた。水層を分離し、CH
2Cl
2(2×250mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、真空下で濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/EtOAc)で精製して化合物175(15.0g、60%)を褐色油状物として得た。
【0617】
【数156】
[この文献は図面を表示できません]
【0618】
化合物176の調製;
化合物175(5.00g、12.9mmol、粗製物)のTHF(10mL)溶液に、水(30%、50.0mL)中のNHMe
2を加え、次いで封管中、室温で3h撹拌した。溶媒を除去した後、残渣をCH
2Cl
2(100mL)と水(100mL)に分配させた。水層を分離し、CH
2Cl
2(2×100mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、真空下で濃縮した。粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)で精製して化合物176(400mg、13%)を黄色粘着性固体として得た。
【0619】
【数157】
[この文献は図面を表示できません]
【0620】
化合物39の調製;
化合物176(400mg、1.62mmol)及び10%Pd/C(50mg)のEtOH(50mL)懸濁液を、シリンジを用いてアルゴンでバブリングしながら10min脱気し、水素雰囲気(バルーン、1atm)下、室温で16h撹拌した。反応混合物をセライトで濾過し、MeOHで洗浄した。濾液を真空下で濃縮して39(300mg、84%)を褐色粘着性固体として得た。
【0621】
【数158】
[この文献は図面を表示できません]
【0623】
スキーム32
【化43】
[この文献は図面を表示できません]
【0624】
化合物177の調製;
化合物175(6.00g、16.0mmol)のメタノール(150mL)中の7N NH
3の溶液を封管中、30℃で5h加熱した。温度を40℃に上昇させ、16h撹拌し、次いで温度を60℃に再度上昇させ、4h撹拌した。溶媒を除去した後、残渣をCH
2Cl
2(100mL)と水(100mL)に分配させた。水層を分離し、CH
2Cl
2(2×100mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、真空下で濃縮した。粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、9:1 CH
2Cl
2/MeOH)で精製して化合物177(1.48g、43%)を黄色油状物として得た。
【0625】
【数159】
[この文献は図面を表示できません]
【0626】
化合物178及び179の調製;
化合物177(1.38g、6.33mmol)及びトリオール165(2.03g、7.59mmol)のMeOH(10mL)溶液に、AcOH(0.6mL、9.49mmol)を加え、反応混合物を室温で30min撹拌した。NaCNBH
3(800mg、12.7mmol)を加えた後、溶液を室温で16h撹拌続行した。追加の化合物165(2.55g、9.49mmol)、AcOH(0.80mL、12.7mmol)及びNaCNBH
3(1.19g、18.9mmol)を加え、溶液を室温で16h撹拌続行した。追加の化合物165(2.55g、9.49mmol)、AcOH(0.80mL、12.7mmol)及びNaCNBH
3(1.19g、18.9mmol)を加え、溶液を室温で16h撹拌続行した。溶媒を除去した後、残渣を飽和NaHCO
3で中和し、残渣をCH
2Cl
2(10mL)と水(10mL)に分配させた。水層を分離し、CH
2Cl
2(2×10mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をNa
2SO
4で脱水し、真空下で濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、9:1 CH
2Cl
2/MeOH、80:18:2 CHCl
3/MeOH/NH
4OH)で精製して化合物179(2.28g、51%)をオフホワイトの固体として得た。
【0627】
【数160】
[この文献は図面を表示できません]
【0628】
178/179(900mg)の混合物も単離し、次の工程で直接使用した(SG-GHC-G-106)。
【0629】
化合物44の調製;
化合物179(2.26g、3.11mmol)及び10%Pd/C(100mg)のEtOH(50mL)及びAcOH(10mL)の混合物懸濁液をアルゴンで10min脱気し、次いで水素雰囲気(バルーン、1atm)下、室温で16h撹拌した。反応混合物をセライトで濾過し、MeOHで洗浄した。濾液を真空下で濃縮して44(1.90g、80%)を褐色固体として得た。
【0630】
【数161】
[この文献は図面を表示できません]
【0632】
スキーム33
【化44】
[この文献は図面を表示できません]
【0633】
化合物180の調製;
178(900mg、混合物、約2.0mmol)のMeOH(20mL)及び水(10mL)の混合物の溶液に、NaHCO
3(672mg、4.0mmol)を0℃で仕込み、10min撹拌した。(Boc)
2O(524mg、2.40mmol)を加え、反応混合物を同じ温度で1h撹拌し、室温にし、更に4h撹拌した。混合物を濃縮し、残渣をCH
2Cl
2(100mL)に溶解させ、溶液を水(100mL)及びブライン(50mL)で洗浄した。有機層をNa
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮し、残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、9:1 CH
2Cl
2/MeOH、8:2 CHCl
3/MeOH)で精製して化合物180(780mg、64%)をオフホワイトの固体として得た。
【0634】
【数162】
[この文献は図面を表示できません]
【0635】
化合物49の調製;
化合物180(780mg、1.36mmol)及び10%Pd/C(50mg)のEtOH(10mL)及びAcOH(2.0mL)の混合物懸濁液を、シリンジを用いてアルゴンでバブリングしながら10min脱気し、次いで水素雰囲気(バルーン、1atm)下、室温で4h撹拌した。反応混合物をNa
2CO
3で中和し、セライトで濾過し、MeOHで洗浄した。濾液を真空下で濃縮して49(625g、84%)を白色固体として得た。
【0636】
【数163】
[この文献は図面を表示できません]
【0638】
スキーム34
【化45】
[この文献は図面を表示できません]
【0639】
化合物182の調製;
化合物181(1.60g、16.00mmol)の無水THF(40mL)溶液に、アルゴン下で9-BBN(THF中の0.5M、80mL、40.0mmol)を加えた。反応混合物を室温で2h撹拌した後、化合物172(3.17g、12.8mmol)、Pd(PPh
3)
2Cl
2(561mg、0.80mmol)及び1N aq NaOH(24mL)を室温で加えた。得られた混合物を更に1h撹拌した。溶媒を除去した後、残渣をEtOAc(100mL)と水(100mL)に分配させた。水層を分離し、EtOAc(2×100mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、真空下で濃縮した。粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、4:1ヘキサン/EtOAc)で精製して化合物182(1.20g、34%)を褐色固体として得た。
【0640】
【数164】
[この文献は図面を表示できません]
【0641】
化合物183の調製
化合物182(1.20g、5.38mmol)の無水CH
2Cl
2(20mL)溶液に、アルゴン下、0℃でEt
3N(7.32mL、53.8mmol)を加えた。反応混合物を同じ温度で5min撹拌した後、塩化メシル(0.62mL、8.07mmol)を0℃で加えた。得られた混合物を室温で更に2h撹拌した。溶媒を除去した後、残渣をCH
2Cl
2(50mL)と水(50mL)に分配させた。水層を分離し、CH
2Cl
2(2×50mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、真空下で濃縮した。粗生成物183(3.00g、粗製物)を次の工程で直接使用した。
【0642】
化合物184の調製;
化合物183(3.00g、5.38mmol、粗製物)のメタノール(30.0mL)中の7N NH
3溶液を、封管中、60℃で2h加熱した。溶媒を除去した後、残渣をCH
2Cl
2(100mL)と水(100mL)に分配させた。水層を分離し、CH
2Cl
2(2×100mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、真空下で濃縮した。粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)で精製して化合物184(390mg、2工程にわたって33%)を黄色油状物として得た。
【0643】
【数165】
[この文献は図面を表示できません]
【0644】
化合物185の調製;
化合物184(620mg、2.79mmol)及びトリオール165(938mg、3.49mmol)のMeOH(30mL)溶液に、AcOH(1.16mL、27.8mmol)を加え、反応混合物を室温で10min撹拌した。NaCNBH
3(526mg、8.37mmol)を加えた後、溶液を室温で16h撹拌続行した。追加の化合物165(0.3当量)、AcOH(10当量)及びNaCNBH
3(1.0当量)を16hかけて添加した。次いでヘキサナール163(0.96mL、8.37mmol)、AcOH(1.00mL)及びNaCNBH
3(526mg、8.37mmol)を加えた。溶液を室温で更に2h撹拌した。溶媒を除去した後、残渣を飽和NaHCO
3で中和し、残渣をEtOAc(100mL)と水(100mL)に分配させた。水層を分離し、CH
2Cl
2(2×100mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をNa
2SO
4で脱水し、真空下で濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、9:1 CH
2Cl
2/MeOH、80:18:2 CHCl
3/MeOH/NH
4OH)で精製して化合物185(950g、61%)をオフホワイトの油状物として得た。
【0645】
【数166】
[この文献は図面を表示できません]
【0646】
化合物54の調製;
化合物185(950g、1.70mmol)及び10%Pd/C(300mg)のEtOH(100mL)懸濁液をアルゴンで10min脱気し、次いで水素雰囲気(バルーン、1atm)下、室温で3h撹拌した。反応混合物をセライトで濾過し、MeOHで洗浄した。濾液を真空下で濃縮して54(790mg、88%)を黄色油状物として得た。
【0647】
【数167】
[この文献は図面を表示できません]
【0648】
本発明の化合物を特性評価するために、いくつかのアッセイを用いることができる。代表的なアッセイを以下で論じる。
【0649】
ナトリウムチャネルの遮断活性及び可逆性のIn Vitroでの測定
本発明の化合物の作用機序及び/又は効力を評価するために用いた1つのアッセイは、アッシングチャンバー中に置いた気道上皮単層を用いて、短絡回路電流(I
SC)下で測定する気道上皮ナトリウム電流の管腔薬物阻害の判定を含む。新たに切除したヒト、イヌ、ヒツジ又はげっ歯類の気道から得た細胞を多孔質0.4ミクロンのSnapwell(商標)インサート(CoStar)上に播種し、ホルモン限定培養液中、気液界面(ALI)条件で培養し、アッシングチャンバー中でクレブスリンガー重炭酸液{Krebs Bicarbonate Ringer(KBR)}に浸しながら、ナトリウム輸送活性(I
SC)についてアッセイする。すべてのテスト薬物添加は、半対数用量添加プロトコル(1×10
-11M〜3×10
-5M)で内腔浴(lumenal bath)に添加し、I
SC(阻害)の蓄積変化を記録する。すべての薬物を、ストック溶液としてジメチルスルホキシド中で、1×10
-2Mの濃度で調製し、-20℃で貯蔵する。8種の調製物を通常平行して処理する;実行当たり2種の調製物に、陽性対照としてアミロリド及び/又はベンザミルを組み込む。最大濃度(5×10
-5M)を投与した後、内腔浴を、新鮮な薬物を含まないKBR溶液で3回交換し、それぞれを約5分間連続して洗浄した後、得られたI
SCを測定する。可逆性は、3回目の洗浄後での、ナトリウム電流についてのベースライン値へのパーセントでの回復と定義する。電圧クランプからのすべてのデータを、コンピューターインターフェースにより集め、オフラインで分析する。
【0650】
すべての化合物についての用量効果関係を考慮し、Prism 3.0プログラムで分析する。IC
50値、最大有効濃度及び可逆性を計算し、陽性対照としてのアミロリド及びベンザミルと比較する。イヌの気道から新たに切除した細胞における、アミロリドに対する代表的な化合物のナトリウムチャネル遮断活性の効力をTable 1(表4)に示す。
【0651】
【表4】
[この文献は図面を表示できません]
【0652】
アッセイ2.ヒツジにおける粘膜毛様体クリアランス(MCC)試験
MCCの変化を測定するためにほとんどの場合使用されている動物モデルはヒツジモデルである。粘液線毛クリアランス(MCC)を増強するための化合物の効果は、参照により本明細書中に組み込まれているSabaterら、Journal of Applied Physiology、1999、2191〜2196頁によって記載されたin vivoモデルを使用して測定することができる。
【0653】
これらの試験では、成体ヒツジを拘束し、気管内チューブを経鼻で挿管した。エアロゾル化試験品目を10〜15分間かけてヒツジに投与した。次いで放射能標識
99mTc硫黄コロイド(TSC、3.1mg/mL;およそ20mCiを含有する)を、試験品目の後、規定時間の4又は8時間で投与した。放射能標識エアロゾルを、気管内チューブを通して約5分間投与した。次いでヒツジから抜管し、肺における全放射能カウントを、5分毎に1時間の観察期間測定した。肺からの放射能標識クリアランスの速度は、動物におけるMCC速度を代表するものである。このシステムの利点は、それがヒト肺環境を近似してシミュレートするという点である。このモデルは、試験期間にわたる血漿と尿のサンプリングによる、同時的なPK/PD情報の収集も可能にする。MCC測定の間の気道表面上の薬物濃度を測定するためのいくつかの技術がやはり存在する。これらには、吐き出された呼吸凝縮物の収集又は気管支鏡検査法によってASLを得るための濾紙法が含まれる。
【0654】
上記したヒツジモデルを、エアロゾル送達試験薬剤のMCCに対するin vivoでの効果(効力/持続性)を評価するために用いた。4mLの試験薬剤か、又はHSと組み合わせた試験薬剤からなる処置を試験した。HSを試験薬剤MCCと組み合わせるかどうかを判定するために、HSを、試験薬剤投与に続いて直ちに投与した。試験溶液を、Raindropネブライザーを用いて8リットル/分の流量でエアロゾル化し、電磁弁及び圧縮空気源(20psi)からなる線量測定システムに接続した。Raindropネブライザーを用いたエアロゾル投与後のヒツジ肺における薬物の沈着した線量はその線量の8〜15%と推定される。Raindropネブライザーを用いて、放射能標識TSCを、薬物処置後4時間か又は8時間後に約3分間かけて投与して、効力/持続性を評価した。放射能カウントを、右肺の中央部において、5min間隔で1時間、ガンマカメラで測定した。3つの分析方法、すなわち、1)線形回帰を用いて当てはめた、最初の30minにわたるクリアランスの初期速度(勾配)、2)1時間にわたる経時的なクリアランス%についての曲線下面積、及び3)1時間で得られた最大クリアランスを使用した。
【0655】
0.024nmol/kg(3μM)での化合物33の効果を、ヒツジMCCについて投与4時間後、試験し、ビヒクル(4mL滅菌H
2O)と比較した(
図1)。その効果の分析をTable A(表5)に示す。化合物33は、ビヒクル対照と比較してMCCを強化していた。
【0656】
【表5】
[この文献は図面を表示できません]
【0657】
Table B(表6)及びTable C(表7)は
図2及び
図3とともに、ビヒクルと比較して、本発明の他の化合物がMCCを同様に増進させることを実証している(例えば、化合物123及び48を参照されたい)。
【0658】
【表6】
[この文献は図面を表示できません]
【0659】
【表7】
[この文献は図面を表示できません]
【0660】
本発明の化合物が作用の期間を増大させるかどうかを判定するために、それらを、投与後8時間で試験した。Table D(表8)及びTable E(表9)は
図4及び
図5とともに、化合物33及び152についてのMCC vs.ビヒクルの増大した作用期間を明らかに示している。
【0661】
【表8】
[この文献は図面を表示できません]
【0662】
【表9】
[この文献は図面を表示できません]
【0663】
HSが、化合物33のMCC効果を増大させるかどうかを判定するために、7%HSを、0.24nmol/kgの化合物33に続いて直ちに投与し、MCCを同時投与後8時間評価した(
図6)。
図6に示すように、HSは、MCCに対する化合物33の効果を増大させている。
【0664】
アッセイ3。ヒト気道上皮による気道表面液体薬物(ASL)のクリアランス及び代謝
33の先端表面からの消失及び気道上皮代謝を、ヒト気管支上皮(HBE)細胞で評価した(Table 3(表6))。これらの実験では、25μLのENaC遮断薬の25μM溶液を、気/液界面で成長させたHBE細胞の先端表面に添加し、先端及び基底外側区画における薬物及び代謝産物濃度を、UPLCにより2hにわたって測定した。
【0665】
【表10】
[この文献は図面を表示できません]
【0666】
比較例
本発明の式(I)の化合物は、アミロリド等の公知のナトリウムチャネル遮断薬や以下に示す比較例1等の第三世代化合物と比べて、より強力であり、且つ/又は粘膜表面、特に気道表面からの吸収はより遅い。したがって、式(I)の化合物は、Table G(表10)に示すデータによって証明されるように、これらの公知の化合物と比べて、粘膜表面上でより長い半減期を有している。先端表面からの化合物33の消失及び気道上皮代謝をHBEにおいて評価し、比較例1と比較した(Table H(表11))。これらの実験では、25μLのENaC遮断薬の25μM溶液を、気/液界面で成長させたHBE細胞の先端表面に添加し、先端及び基底外側区画における薬物濃度を、UPLCにより2hにわたって測定した。先端表面上で本発明の化合物を2hインキュベーション(37℃)した後、先端側で化合物33はほとんど代謝されてなかった。逆に、比較例1の大部分は先端側から排除されており、83%代謝されて、より活性の低い、以下の構造のカルボン酸、(S)-2-アミノ-3-(4-(4-(3-(3,5-ジアミノ-6-クロロピラジン-2-カルボニル)グアニジノ)ブチル)フェノキシ)プロパン酸
【0667】
【化46】
[この文献は図面を表示できません]
【0669】
【表11】
[この文献は図面を表示できません]
【0670】
比較例1は、有用な医薬品特性を有するナトリウムチャネル遮断薬として、WO2003/070182(米国特許第6,858,615号、同第7,186,833号、同第7,189,719号、同第7,192,960号及び同第7,332,496号)に特許請求されているか、記載されているか、又はその開示の範囲内にあり、そこに記載されている方法及び当技術分野で公知の他の方法によって調製することができる。
【0671】
比較例1
【化47】
[この文献は図面を表示できません]
(S)-3,5-ジアミノ-6-クロロ-N-(N-(4-(4-(2,3-ジアミノ-3-オキソプロポキシ)フェニル)ブチル)カルバムイミドイル)ピラジン-2-カルボキサミド
【0672】
比較例1の化合物は、US2005/0080093の15頁、及びWO2008/031048の90頁に化合物2として、またWO2008/031028の42〜43頁に化合物2として見ることができる。嚢胞性線維症及びC.O.P.Dの治療において有用な活性をもつためには、化合物は、連続投与によって、最終的に、重篤で危険な状態である高カリウム血症をもたらすことになる血漿中カリウムを増大させない用量で粘膜毛様体クリアランス(MCC)の増進を引き起こす特性を有していなければならない。したがって、腎臓によってそれらが著しく排出された場合に血漿中カリウムを増大させることが公知であるこのクラスの化合物においては、それを回避しなければならない。この可能性を評価するためには、in vivoでMCC活性を有しており、有用な用量で血漿中カリウムを増大させないことが有益である。これを評価するための1つのモデルが、以下で説明するヒツジMCCモデルである。
【0673】
Table I(表12)及び
図7で見ることができるように、ヒツジMCCモデルでの比較例1についてのED
50は、3つの異なる測定値(勾配、AUC及び最大クリアランス)を用いて、約240nmol/kg(3mM)である。臨床的に活性な用量であると思われるこの用量で、比較例1は血漿中カリウムの増大を引き起こす(
図8)。これは、反復投与により、高カリウムをもたらすことになる。したがって、比較例1はヒトでの使用には受け入れられないが、化合物(Ia)は、このモデルで、1000超の便益/リスク比を有する安全で効果的なMCCをもたらす。
【0674】
【表12】
[この文献は図面を表示できません]
【0675】
図Iは、上記MCCモデルで説明したようにして、化合物33及び比較例1による経時的なパーセンテージ粘液クリアランスをグラフにしたものである。化合物33によって、更に大きなパーセンテージ粘液クリアランスが、比較例1より1,000倍低い用量でもたらされた。したがって、化合物33は、カリウムの増大を伴わないで、臨床的に関連する用量範囲内で最大の効果をもたらしている。
【0676】
図10は、MCC試験で、比較例1を施されたヒツジの血漿において見られる有効な用量での、血漿中カリウムレベの大幅な増大を例示している。化合物33は、比較例1より、ヒツジMCCにおいて1,000倍超強力であり、ここで、24nmol/kg(ED50用量の1000倍)という高い用量でも血漿Kの増大を伴わないのに対して、比較例1は、3mMというおよそED50用量で血漿Kの増大を有する(
図7及び
図8)。Table J(表13)に示されているように、ここでもやはり、化合物33の独特で予想外の効力及び安全性の利点が実証されており、比較例1より、治療指数が1,000倍を超える高い、腎臓に対する安全性を有している。
【0677】
【表13】
[この文献は図面を表示できません]
【0678】
図11、
図12、
図13及び
図14に例示されるように、本発明の他の化合物は、公知の化合物に対して同様の安全性及び効力の利点を有している。