【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明の第1の構成の発電装置は、回転軸に固定された円板状の回転子と、
前記回転子に固定され、着磁方向が前記回転軸の軸心に平行であるとともに、着磁方向が交互に入れ替わる永久磁石からなる偶数極数の磁極を同一円周上に有する界磁と、
前記回転子が回転したときに前記界磁が作る磁束を横切るような導電パターンを形成したコイル基板を有する固定子とを備え、
前記固定子の導電パターンは、相数に対応して複数設けられ、各相の発電電力を独立して出力可能としたことを特徴とする。
この第1の構成において、コイル基板に導電パターンが形成されたものを発電用コイルとして用いることにより、巻線で形成した発電用コイルに比べて占積率が向上し、巻線工程も不要となり、コギングの発生もなくなる。これを回転子とセットにして複数相設けることにより、複数層の発電電力を出力することができる。
【0011】
本発明の第2の構成は、第1の構成において、2つの回転子および界磁が、前記回転軸の長手方向に所定の間隔を隔てて設置され、各界磁は、互いに異極同士が対向するように配置され、対向する前記界磁の間に、前記固定子が配置されていることを特徴とする。
この第2の構成により、2つの界磁の間に強力な磁場が形成され、その間に配置される固定子の導電パターンが切る磁束も多くなるため、発電電力を高めることができる。
【0012】
本発明の第3の構成は、第1または第2の構成において、前記導電パターンは、プリント配線基板上に成層された銅箔をエッチング加工することにより形成されていることを特徴とする。
この第3の構成により、既存のエッチング加工技術を用いて導電パターンを容易に製造することができる。
【0013】
本発明の第4の構成は、第1から第3の構成において、所定のターン数のコイルを得るために、前記コイル基板を複数枚積層したことを特徴とする。
この第4の構成により、コイル基板の枚数分、ターン数を多くすることができ、発電電力の電圧を高めることができる。
【0014】
本発明の第5の構成は、第1から第4の構成において、所定のターン数のコイルを得るために、前記コイル基板と前記回転子のセットを複数にしたことを特徴とする。
この第5の構成により、コイル基板の枚数分、ターン数を多くすることができ、発電電力の電圧を高めることができる。
【0015】
本発明の第6の構成は、第1から第5の構成において、前記固定子および回転子は、筒状のケーシングに収納されていることを特徴とする。
この第6の構成により、固定子および回転子を保護するとともに、固定子のコイル基板をケーシング内部に確実に固定することができる。
【0016】
本発明の第7の構成は、第6の構成において、前記回転軸は、前記ケーシングにベアリングで回転自在に支承されていることを特徴とする。
この第7の構成により、回転軸に固定されている回転子を円滑に回転させることができる。
【0017】
本発明の第8の構成は、第1から7の構成において、前記回転子に、前記固定子に設けられたコイル基板を冷却するための空気の流れを起こさせる空気循環孔を形成したことを特徴とする。
この第8の構成により、回転子が回転すると空気の対流が生じ、固定子に設けられたコイル基板が冷却される。
【0018】
本発明の第9の構成は、第1から8の構成において、前記回転子に、前記固定子に設けられたコイル基板を冷却するための空気の流れを起こさせるフィンまたは溝を形成したことを特徴とする。
この第9の構成により、回転子が回転すると空気の流れが生じ、固定子に設けられたコイル基板が冷却される。
【0019】
本発明の第10の構成の発電装置用電機子構造は、
回転軸に固定された円板状の回転子と、
前記回転子に固定され、着磁方向が前記回転軸の軸心に平行であるとともに、着磁方向が交互に入れ替わる永久磁石からなる偶数極数の磁極を同一円周上に有する界磁と、
前記回転子が回転したときに前記界磁が作る磁束を横切る発電コイルからなる電機子を有する固定子とを備えた発電装置の電機子構造であって、
前記発電コイルは、絶縁材からなるコイル基板の表面に形成された導電パターンにより構成され、
前記導電パターンは、相数に対応して複数設けられ、各相の発電電力を独立して出力可能としたことを特徴とする。
この第10の構成では、コイル基板に導電パターンが形成されたものを発電コイルとして用いることにより、巻線で形成した発電コイルに比べて占積率が向上し、巻線工程も不要となる。これを複数相設けることにより、複数層の発電電力を出力することができる。
【0020】
本発明の第11の構成は、第10の構成において、絶縁層と導電パターンが形成された導電層が交互に複数層、積層され、同一相の各層の導電パターンの巻き終わりと次の層の巻き始めが、スルーホールメッキにより導通されて所定のターン数の導電パターンが形成されていることを特徴とする。
この第11の構成により、外付けの電線による各層の導電パターンの接続が不要となり、接続の手間の削減と、誤接続を防ぐことができる。
【0021】
本発明の第12の構成は、第11の構成において、導電パターンが4層できるように形成され、最外層の導電パターンには、絶縁層を介して接続ランドを設けた導電層を設けたものである。
この第12の構成により、外部への発電電力の取り出しのための配線が不要となる。
【0022】
本発明の第13の構成は、第11または12の構成において、複数層の導電パターンの巻き終わりと次の層の巻き始めあるいは、最外層の導電パターンと接続ランドとを接続するスルーホールを複数個の小孔で構成し、これらの小孔にスルーホールメッキを施して接続ランドで電気的に接続したことを特徴とする。
この第13の構成により、円周長を大きくすることが可能となり、スルーホールメッキのメッキ厚が薄くても、抵抗とそれによる発熱を低下させることができる。
【0023】
本発明の第14の構成に係る発電装置用電機子の製造方法は、
絶縁基板の上下面に第1及び第2の金属層を付着させ、
前記第1及び第2の金属層にエッチング処理を施して第1相及び第2相の発電コイルの機能を有する第1及び第2の導電パターンを形成し、
前記第1及び第2の導電パターンの上下に絶縁層を被覆し、
前記被覆した絶縁層の上下面に第3及び第4の金属層を付着させ、
前記第3及び第4の金属層にエッチング処理を施して第3相の発電コイルの機能を有する第3の導電パターン及びリードパターンの機能を有する第4の導電パターンを形成し、
前記第1〜第3の導電パターンの巻き始めまたは巻き終わりを、前記第4の導電パターンと、スルーホールメッキを介して導通することを特徴とする。
この方法により、3相の発電コイルの基本構成を有する電機子が得られる。
【0024】
本発明の第15の構成は、第14の構成の製造方法によって得られた電機子を、必要枚数積層することにより、所定のターン数の発電コイルを得ることを特徴とする。
【0025】
本発明の第16の構成は、第14の構成の製造方法によって得られた電機子の導電パターンの形状が山谷を連続するパターンである場合、前記第1及び第2及び第3の導電パターンの山谷に対して山谷が完全に逆転した第5及び第6及び第7の導電パターンを積層することにより、第1〜第3の導電パターンと第5〜第7の導電パターンの各相を重ねることを特徴とする。
この第16の構成によって、1単位のコイルユニットを製造することができ、さらに複数のコイルユニットを積層して接続することにより、所定のターン数の発電コイルが得られる。