特許第6392252号(P6392252)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社羽野製作所の特許一覧

特許6392252発電装置および発電装置用電機子構造並びに電機子の製造方法
<>
  • 特許6392252-発電装置および発電装置用電機子構造並びに電機子の製造方法 図000002
  • 特許6392252-発電装置および発電装置用電機子構造並びに電機子の製造方法 図000003
  • 特許6392252-発電装置および発電装置用電機子構造並びに電機子の製造方法 図000004
  • 特許6392252-発電装置および発電装置用電機子構造並びに電機子の製造方法 図000005
  • 特許6392252-発電装置および発電装置用電機子構造並びに電機子の製造方法 図000006
  • 特許6392252-発電装置および発電装置用電機子構造並びに電機子の製造方法 図000007
  • 特許6392252-発電装置および発電装置用電機子構造並びに電機子の製造方法 図000008
  • 特許6392252-発電装置および発電装置用電機子構造並びに電機子の製造方法 図000009
  • 特許6392252-発電装置および発電装置用電機子構造並びに電機子の製造方法 図000010
  • 特許6392252-発電装置および発電装置用電機子構造並びに電機子の製造方法 図000011
  • 特許6392252-発電装置および発電装置用電機子構造並びに電機子の製造方法 図000012
  • 特許6392252-発電装置および発電装置用電機子構造並びに電機子の製造方法 図000013
  • 特許6392252-発電装置および発電装置用電機子構造並びに電機子の製造方法 図000014
  • 特許6392252-発電装置および発電装置用電機子構造並びに電機子の製造方法 図000015
  • 特許6392252-発電装置および発電装置用電機子構造並びに電機子の製造方法 図000016
  • 特許6392252-発電装置および発電装置用電機子構造並びに電機子の製造方法 図000017
  • 特許6392252-発電装置および発電装置用電機子構造並びに電機子の製造方法 図000018
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6392252
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】発電装置および発電装置用電機子構造並びに電機子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 21/24 20060101AFI20180910BHJP
   H02K 16/02 20060101ALI20180910BHJP
   H02K 15/04 20060101ALI20180910BHJP
   H02K 3/04 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
   H02K21/24 G
   H02K16/02
   H02K15/04 D
   H02K3/04 D
【請求項の数】16
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-558855(P2015-558855)
(86)(22)【出願日】2015年1月20日
(86)【国際出願番号】JP2015051399
(87)【国際公開番号】WO2015111579
(87)【国際公開日】20150730
【審査請求日】2017年10月2日
(31)【優先権主張番号】特願2014-8791(P2014-8791)
(32)【優先日】2014年1月21日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2014-8792(P2014-8792)
(32)【優先日】2014年1月21日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】598133676
【氏名又は名称】株式会社羽野製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100195327
【弁理士】
【氏名又は名称】森 博
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(72)【発明者】
【氏名】羽野 喜昭
(72)【発明者】
【氏名】屋宜 学
(72)【発明者】
【氏名】西溜 剛
【審査官】 樋口 幸太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−517381(JP,A)
【文献】 特表2001−510677(JP,A)
【文献】 特開2008−245356(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/047252(WO,A1)
【文献】 実開昭62−152652(JP,U)
【文献】 特開2002−151841(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 21/24
H02K 3/04
H02K 15/04
H02K 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸に固定された円板状の回転子と、
前記回転子に固定され、着磁方向が前記回転軸の軸心に平行であるとともに、着磁方向が交互に入れ替わる永久磁石からなる偶数極数の磁極を同一円周上に有する界磁と、
前記回転子が回転したときに前記界磁が作る磁束を横切るような導電パターンを形成した各相毎のコイル基板と、
前記各相毎のコイル基板の前記導電パターンのそれぞれの端部を全相分、外部に引き出すための引出し配線用基板と、
前記コイル基板を相数分と前記引出し配線用基板1枚とを積層したものを整数組積層した固定子とを備え、
前記各相のコイル基板は、前記回転軸が内部を貫通する穴を有する円板状であり、かつ各導電パターンは、前記回転軸に対して放射方向の直線パターンと円周方向の円弧パターンが交互につながる、前記極数N個の歯を有する平歯車状の凹凸パターンを、複数列直列接続したものであり、かつ前記各相のコイル基板の導電パターンは各相の発電電力を独立して出力可能としたことを特徴とする発電装置。
【請求項2】
2つの回転子および界磁が、前記回転軸の長手方向に所定の間隔を隔てて設置され、各界磁は、互いに異極同士が対向するように配置され、対向する前記界磁の間に、前記固定子が配置されていることを特徴とする請求項1記載の発電装置。
【請求項3】
前記導電パターンは、プリント配線基板上に成層された銅箔をエッチング加工することにより形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の発電装置。
【請求項4】
所定のターン数のコイルを得るために、前記コイル基板を複数枚積層したことを特徴とする請求項1から3のいずれかの項に記載の発電装置。
【請求項5】
所定のターン数のコイルを得るために、前記コイル基板と前記回転子のセットを複数にしたことを特徴とする請求項1から4のいずれかの項に記載の発電装置。
【請求項6】
前記固定子および回転子は、筒状のケーシングに収納されている請求項1から5のいずれかの項に記載の発電装置。
【請求項7】
前記回転軸は、前記ケーシングにベアリングで回転自在に支承されている請求項6記載の発電装置。
【請求項8】
前記回転子に、前記固定子に設けられたコイル基板を冷却するための空気の流れを起こさせる空気循環孔を形成した請求項1から7のいずれかの項に記載の発電装置。
【請求項9】
前記回転子に、前記固定子に設けられたコイル基板を冷却するための空気の流れを起こさせるフィンまたは溝を形成した請求項1から8のいずれかの項に記載の発電装置。
【請求項10】
回転軸に固定された円板状の回転子と、
前記回転子に固定され、着磁方向が前記回転軸の軸心に平行であるとともに、着磁方向が交互に入れ替わる永久磁石からなる偶数極数の磁極を同一円周上に有する界磁と、
前記回転子が回転したときに前記界磁が作る磁束を横切る発電コイルからなる電機子を有する固定子とを備えた発電装置の電機子構造であって、
前記発電コイルは、絶縁材からなるコイル基板の表面に形成された導電パターンにより構成され、
前記導電パターンは、相数に対応して複数設けられ、
前記各相毎のコイル基板の前記導電パターンのそれぞれの端部を全相分、外部に引き出すための引出し配線用基板が、相数毎に1枚設けられ、
前記固定子は前記コイル基板を相数分と前記引出し配線用基板1枚とを積層したものを整数組積層して形成され、
各導電パターンは、前記回転軸に対して放射方向の直線パターンと円周方向の円弧パターンが交互につながる、前記極数N個の歯を有する平歯車状の凹凸パターンを、複数列直列接続したものであり、かつ前記各相のコイル基板の導電パターンは、各相の発電電力を独立して
出力可能とした発電装置用電機子構造。
【請求項11】
絶縁層と導電パターンが形成された導電層が交互に複数層、積層され、同一相の各層の導電パターンの巻き終わりと次の層の巻き始めが、スルーホールメッキにより導通されて所定のターン数の導電パターンが形成されている請求項10記載の発電装置用電機子構造。
【請求項12】
導電パターンが4層できるように形成され、最外層の導電パターンには、絶縁層を介して接続ランドを設けた導電層が設けられている請求項11記載の発電装置用電機子構造。
【請求項13】
複数層の導電パターンの巻き終わりと次の層の巻き始めあるいは、最外層の導電パターンと接続ランドとを接続するスルーホールを複数個の小孔で構成し、これらの小孔にスルーホールメッキを施して接続ランドで電気的に接続した請求項11または12に記載の発電装置用電機子構造。
【請求項14】
絶縁基板の上下面に第1及び第2の金属層を付着させ、
前記第1及び第2の金属層にエッチング処理を施して第1相及び第2相の発電コイルの機能を有する第1及び第2の導電パターンを形成し、
前記第1及び第2の導電パターンの上下に絶縁層を被覆し、
前記被覆した絶縁層の上下面に第3及び第4の金属層を付着させ、
前記第3及び第4の金属層にエッチング処理を施して第3相の発電コイルの機能を有する第3の導電パターン及びリードパターンの機能を有する第4の導電パターンを形成し、
前記第1〜第3の導電パターンの巻き始めまたは巻き終わりを、前記第4の導電パターンと、スルーホールメッキを介して導通することを特徴とする発電装置用電機子の製造方法。
【請求項15】
請求項14記載の製造方法によって得られた電機子を、必要枚数積層して所定のターン数の発電コイルを得ることを特徴とする発電装置用電機子の製造方法。
【請求項16】
請求項14記載の製造方法によって得られた電機子の導電パターンの形状が山谷を連続するパターンである場合、前記第1及び第2及び第3の導電パターンの山谷に対して山谷が完全に逆転した第5及び第6及び第7の導電パターンを積層することにより、第1〜第3の導電パターンと第5〜第7の導電パターンの各相を重ねることを特徴とする発電装置用電機子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力発電、水力発電、潮力発電等の発電に用いることのできる発電装置および発電装置用電機子構造並びに電機子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電や火力発電等の枯渇性エネルギー源を利用した発電に対し、近年では、風力発電、水力発電、潮力発電などの再生可能エネルギーを利用した発電が注目され、実用化が図られている。
【0003】
例えば風力発電の場合、自然エネルギーを用いるため、温室効果ガスや焼却灰を出さず、また放射性廃棄物が出ないなどの利点がある。
その半面、時間帯や季節、天候などの影響を強く受け、安定した電力を得ることが困難であるという欠点がある。
【0004】
従来からの発電機の構造としては、風車とともに回転する界磁を永久磁石とし、固定子鉄心に設けた突極に巻線を巻いて、電力を取り出す方式のものがある。
しかし、発電機停止時には、界磁の永久磁石と固定子鉄心の突極との間に磁気吸着力が働くため、この吸着力に打ち勝つ強さの風力を受けないと、風車は回転せず、発電ができないという問題があった。また、前記の磁気吸着力は、発電機の回転軸の1回転におけるトルクむら、いわゆるコギングの発生の原因となり、円滑な回転が得られなくなる。
【0005】
このような問題を解消するものとして、特許文献1、2に開示されたものがある。
特許文献1には、磁束を発生する磁石と、この磁石が発生する磁束の空気中での磁束密度の低下を抑制する磁性体と、前記磁石と前記磁性体との間に配置された、略三角形状の電線巻回部を複数接続したコイルとを備え、前記磁石と前記コイルとが相対移動可能に構成されると共に、この相対移動が行われても前記磁石と前記磁性体との距離が一定となるように構成されている発電装置が開示されている。
【0006】
特許文献2には、基準軸線上の第一位置に回転軸線を一致させる形で配置され、発電駆動源となる流体の流れを受けて第一方向に回転する第一回転入力部と、前記基準軸線上の前記第一位置とは異なる第二位置に配置されるとともに、同一方向から前記流体の流れを受けたとき、前記第一回転入力部とは逆方向に回転する第二回転入力部と、界磁用マグネットが設けられた第一ロータと、該第一ロータと逆方向に前記第二回転入力部と一体回転するとともに前記界磁用マグネットにより励磁される発電用コイルが設けられた第二ロータとを有した発電機とを備え、前記発電機は、前記発電用コイルと前記界磁用マグネットとが前記回転軸線方向にエアギャップを形成する形で対向するよう、前記第二ロータにおいて、空芯扁平に構成された複数の前記発電用コイルが前記回転軸線周りに各々前記軸線方向が前記回転軸線方向と一致する形で配列し、前記第一ロータにおいて、前記回転軸線周りに複数の前記界磁用マグネットが各々前記回転軸線方向に着磁された形で配列したアキシャルギャップ型発電機として構成されてなる発電装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−10573号公報
【特許文献2】特開2008−82251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前掲の特許文献1,2に開示された発電装置では、発電用コイルは空芯扁平であり、突極を有しないため、コギングが発生しないという特徴がある。しかし、発電用コイルは、通常、被覆電線を多数回巻いて形成されるものであり、手巻きにしても、機械巻きにしても、巻く作業に手間が掛かり、また断面円形の電線を用いる場合、占積率は高々65%とされており、同じ空間でターン数を稼ぐことには限界がある。
【0009】
そこで本発明は、発電用のコイルの巻き工程が不要で、占積率が電線よりも向上し、コギングが発生しない発電装置および発電装置用電機子構造並びに電機子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明の第1の構成の発電装置は、回転軸に固定された円板状の回転子と、
前記回転子に固定され、着磁方向が前記回転軸の軸心に平行であるとともに、着磁方向が交互に入れ替わる永久磁石からなる偶数極数の磁極を同一円周上に有する界磁と、
前記回転子が回転したときに前記界磁が作る磁束を横切るような導電パターンを形成したコイル基板を有する固定子とを備え、
前記固定子の導電パターンは、相数に対応して複数設けられ、各相の発電電力を独立して出力可能としたことを特徴とする。
この第1の構成において、コイル基板に導電パターンが形成されたものを発電用コイルとして用いることにより、巻線で形成した発電用コイルに比べて占積率が向上し、巻線工程も不要となり、コギングの発生もなくなる。これを回転子とセットにして複数相設けることにより、複数層の発電電力を出力することができる。
【0011】
本発明の第2の構成は、第1の構成において、2つの回転子および界磁が、前記回転軸の長手方向に所定の間隔を隔てて設置され、各界磁は、互いに異極同士が対向するように配置され、対向する前記界磁の間に、前記固定子が配置されていることを特徴とする。
この第2の構成により、2つの界磁の間に強力な磁場が形成され、その間に配置される固定子の導電パターンが切る磁束も多くなるため、発電電力を高めることができる。
【0012】
本発明の第3の構成は、第1または第2の構成において、前記導電パターンは、プリント配線基板上に成層された銅箔をエッチング加工することにより形成されていることを特徴とする。
この第3の構成により、既存のエッチング加工技術を用いて導電パターンを容易に製造することができる。
【0013】
本発明の第4の構成は、第1から第3の構成において、所定のターン数のコイルを得るために、前記コイル基板を複数枚積層したことを特徴とする。
この第4の構成により、コイル基板の枚数分、ターン数を多くすることができ、発電電力の電圧を高めることができる。
【0014】
本発明の第5の構成は、第1から第4の構成において、所定のターン数のコイルを得るために、前記コイル基板と前記回転子のセットを複数にしたことを特徴とする。
この第5の構成により、コイル基板の枚数分、ターン数を多くすることができ、発電電力の電圧を高めることができる。
【0015】
本発明の第6の構成は、第1から第5の構成において、前記固定子および回転子は、筒状のケーシングに収納されていることを特徴とする。
この第6の構成により、固定子および回転子を保護するとともに、固定子のコイル基板をケーシング内部に確実に固定することができる。
【0016】
本発明の第7の構成は、第6の構成において、前記回転軸は、前記ケーシングにベアリングで回転自在に支承されていることを特徴とする。
この第7の構成により、回転軸に固定されている回転子を円滑に回転させることができる。
【0017】
本発明の第8の構成は、第1から7の構成において、前記回転子に、前記固定子に設けられたコイル基板を冷却するための空気の流れを起こさせる空気循環孔を形成したことを特徴とする。
この第8の構成により、回転子が回転すると空気の対流が生じ、固定子に設けられたコイル基板が冷却される。
【0018】
本発明の第9の構成は、第1から8の構成において、前記回転子に、前記固定子に設けられたコイル基板を冷却するための空気の流れを起こさせるフィンまたは溝を形成したことを特徴とする。
この第9の構成により、回転子が回転すると空気の流れが生じ、固定子に設けられたコイル基板が冷却される。
【0019】
本発明の第10の構成の発電装置用電機子構造は、
回転軸に固定された円板状の回転子と、
前記回転子に固定され、着磁方向が前記回転軸の軸心に平行であるとともに、着磁方向が交互に入れ替わる永久磁石からなる偶数極数の磁極を同一円周上に有する界磁と、
前記回転子が回転したときに前記界磁が作る磁束を横切る発電コイルからなる電機子を有する固定子とを備えた発電装置の電機子構造であって、
前記発電コイルは、絶縁材からなるコイル基板の表面に形成された導電パターンにより構成され、
前記導電パターンは、相数に対応して複数設けられ、各相の発電電力を独立して出力可能としたことを特徴とする。
この第10の構成では、コイル基板に導電パターンが形成されたものを発電コイルとして用いることにより、巻線で形成した発電コイルに比べて占積率が向上し、巻線工程も不要となる。これを複数相設けることにより、複数層の発電電力を出力することができる。
【0020】
本発明の第11の構成は、第10の構成において、絶縁層と導電パターンが形成された導電層が交互に複数層、積層され、同一相の各層の導電パターンの巻き終わりと次の層の巻き始めが、スルーホールメッキにより導通されて所定のターン数の導電パターンが形成されていることを特徴とする。
この第11の構成により、外付けの電線による各層の導電パターンの接続が不要となり、接続の手間の削減と、誤接続を防ぐことができる。
【0021】
本発明の第12の構成は、第11の構成において、導電パターンが4層できるように形成され、最外層の導電パターンには、絶縁層を介して接続ランドを設けた導電層を設けたものである。
この第12の構成により、外部への発電電力の取り出しのための配線が不要となる。
【0022】
本発明の第13の構成は、第11または12の構成において、複数層の導電パターンの巻き終わりと次の層の巻き始めあるいは、最外層の導電パターンと接続ランドとを接続するスルーホールを複数個の小孔で構成し、これらの小孔にスルーホールメッキを施して接続ランドで電気的に接続したことを特徴とする。
この第13の構成により、円周長を大きくすることが可能となり、スルーホールメッキのメッキ厚が薄くても、抵抗とそれによる発熱を低下させることができる。
【0023】
本発明の第14の構成に係る発電装置用電機子の製造方法は、
絶縁基板の上下面に第1及び第2の金属層を付着させ、
前記第1及び第2の金属層にエッチング処理を施して第1相及び第2相の発電コイルの機能を有する第1及び第2の導電パターンを形成し、
前記第1及び第2の導電パターンの上下に絶縁層を被覆し、
前記被覆した絶縁層の上下面に第3及び第4の金属層を付着させ、
前記第3及び第4の金属層にエッチング処理を施して第3相の発電コイルの機能を有する第3の導電パターン及びリードパターンの機能を有する第4の導電パターンを形成し、
前記第1〜第3の導電パターンの巻き始めまたは巻き終わりを、前記第4の導電パターンと、スルーホールメッキを介して導通することを特徴とする。
この方法により、3相の発電コイルの基本構成を有する電機子が得られる。
【0024】
本発明の第15の構成は、第14の構成の製造方法によって得られた電機子を、必要枚数積層することにより、所定のターン数の発電コイルを得ることを特徴とする。
【0025】
本発明の第16の構成は、第14の構成の製造方法によって得られた電機子の導電パターンの形状が山谷を連続するパターンである場合、前記第1及び第2及び第3の導電パターンの山谷に対して山谷が完全に逆転した第5及び第6及び第7の導電パターンを積層することにより、第1〜第3の導電パターンと第5〜第7の導電パターンの各相を重ねることを特徴とする。
この第16の構成によって、1単位のコイルユニットを製造することができ、さらに複数のコイルユニットを積層して接続することにより、所定のターン数の発電コイルが得られる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、発電用のコイルの巻き工程が不要で、占積率が電線よりも向上し、コギングが発生しない発電装置および発電装置用電機子が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施の形態1に係る発電装置の構造を示すものであり、(a)は正面図、(b)は(a)におけるA−A断面図、(c)は(b)におけるB−B断面図である。
図2】本発明の実施の形態1における第1基板u相導電パターンを示す正面図である。
図3】本発明の実施の形態1における第1基板v相導電パターンを示す正面図である。
図4】本発明の実施の形態1における第1基板w相導電パターンを示す正面図である。
図5】本発明の実施の形態1における第1基板端子部を示す正面図である。
図6】本発明の実施の形態1における各相合成第1基板を示す正面図である。
図7】本発明の実施の形態1における第2基板u相導電パターンを示す正面図である。
図8】本発明の実施の形態1における第2基板v相導電パターンを示す正面図である。
図9】本発明の実施の形態1における第2基板w相導電パターンを示す正面図である。
図10】本発明の実施の形態1における第2基板端子部を示す正面図である。
図11】本発明の実施の形態1における各相合成第2基板を示す正面図である。
図12】本発明による発電装置用電機子の製造工程を示す説明図である。
図13】本発明の製造方法によって得られた電機子構造を示す説明図である。
図14】基板におけるスルーホールの例を示すものであり、(a)は孔THが1つの場合の拡大平面図、(b)は複数の小孔TH1〜7で構成した実施の形態2の場合の拡大平面図である。
図15】(a)は積層する基板の層数とコスト、発電電圧、抵抗損失の関係を示すグラフ、(b)は層数と最大発電電力との関係を示すグラフである。
図16】空冷構造を備えた発電装置に係る実施の形態3を示すものであり、(a)は断面図、(b)は回転子の正面図である。
図17】空冷構造の他の例を示すものであり、(a)は空気循環孔を回転軸に対して斜めに形成した断面図、(b)は回転子にフィンまたは溝を設けた例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態1を、図面を参照しながら具体的に説明する。
図1は本発明の実施の形態1を示すものであり、風力発電用の発電装置の例を示している。この発電装置において、回転軸1の長手方向の中央部には、回転軸1とは独立して固定子2が配置され、固定子2の両側において、回転軸1には第1回転子3および第2回転子4が固定されている。回転軸1の中央部には大径部1aが設けられていて、大径部1aよりも内側に第1回転子3および第2回転子4が接近しないように、両回転子の位置が規制されている。これにより、第1回転子3と第2回転子4の間隔が規定される。
【0029】
第1ケーシング5aと第2ケーシング5bからなるケーシング5は、ベアリング6を介して回転軸1へ回転自在に取り付けられている。ケーシング5は回転軸1が回転している間に動くことができないように、他の固定部分(図示せず)に固定されている。第1回転子3および第2回転子4の位置がずれないように、ベアリング6と第1回転子3および第2回転子4との間にブッシュ7を設けているが、他の方法で第1回転子3および第2回転子4の位置がずれないようにしてもよい。第1ケーシング5aのフランジと第2ケーシング5bのフランジとの間には固定子2が挟み付けられ、ボルト8で締め付け固定されている。更に、固定子2が回転方向へずれないようにケーシング5と固定子2を櫛型で合わせ込んでもよい。
【0030】
第1回転子3および第2回転子4には、複数(偶数)の永久磁石9が固着されている。複数の永久磁石9は、磁極方向が回転軸1の長手方向に着磁されており、隣り合う永久磁石9の磁極が交互に入れ替わるように配置されている。本例では、永久磁石9の個数は10個であり、円周上に、36度の角度間隔で設けられている。
【0031】
また、第1回転子3の永久磁石9の磁極と、第2回転子4の永久磁石9の磁極は、異極同士が対向するように位置合わせされ、回転軸1に固定される。
固定子は複数のコイル基板を積層して形成されている。
【0032】
更に、第1回転子3と第2回転子4と固定軸1のセットを複数にすることで所定のターン数のコイルを得るようにしても良い。
【0033】
図2は、第1基板10に形成される3相(u相、v相、w相)のうちu相導電パターンPu1の層を示す。このu相導電パターンPu1は、巻き始めPu1−sから10個の凹凸パターンが4列形成され、巻き終わりPu1−eで、基板積層後スルーホールメッキを介してリードパターンPlu1により外側に引き出されている。第1基板10の周囲には、位置合わせのための切り欠き11が10個、36度間隔で設けられている。
【0034】
図3は、第1基板10に形成されるv相導電パターンPv1の層を示す。このv相導電パターンPv1は、巻き始めPv1−sから10個の凹凸パターンが4列形成され、巻き終わりPv1−eで、基板積層後スルーホールメッキを介してリードパターンPlv1により外側に引き出されている。
【0035】
図4は、第1基板10に形成されるw相導電パターンPw1の層を示す。このw相導電パターンPw1は、巻き始めPw1−sから10個の凹凸パターンが4列形成され、巻き終わりPw1−eで、基板積層後スルーホールメッキを介してリードパターンPlw1により外側に引き出されている。
【0036】
u相導電パターンPu1とv相導電パターンPv1とw相導電パターンPw1は、電気角では120度の位相差を有しており、本例では、10極であるため、12度(機械角)の角度差をもって第1基板10に形成されている。
【0037】
図5は、各相のリードパターンPlu1、Plv1、Plw1が形成された層を示すものであり、基端はそれぞれ基板積層後スルーホールメッキを介して各相の巻き終わりPu1−e、Pv1−e、Pw1−eに接続される。
【0038】
図6は、各導電パターン及びリードパターンを合成した図である。この図により、各相が12度の角度差をもって第1基板10に形成され、各相の導電パターンの巻き始め、巻き終わりが重なることなく引き出されていることが分かる。
【0039】
図7は、第2基板20に形成される3相(u相、v相、w相)のうちu相導電パターンPu2の層を示す。このu相導電パターンPu2は、巻き始めPu2−sから10個の凹凸パターンが4列形成され、巻き終わりPu2−eで、基板積層後スルーホールメッキを介してリードパターンPlu2により外側に引き出されている。第2基板20の周囲には、位置合わせのための切り欠き21が10個、36度間隔で設けられている。
【0040】
図8は、第2基板20に形成されるv相導電パターンPv2の層を示す。このv相導電パターンPv2は、巻き始めPv2−sから10個の凹凸パターンが4列形成され、巻き終わりPv2−eで、基板積層後スルーホールメッキを介してリードパターンPlv2により外側に引き出されている。
【0041】
図9は、第2基板20に形成されるw相導電パターンPw2の層を示す。このw相導電パターンPw2は、巻き始めPw2−sから10個の凹凸パターンが4列形成され、巻き終わりPw2−eで、基板積層後スルーホールメッキを介してリードパターンPlw2により外側に引き出されている。
【0042】
u相導電パターンPu2とv相導電パターンPv2とw相導電パターンPw2は、第1基板10と同様に、12度の角度差をもって第2基板20に形成されている。
【0043】
図10は、各相のリードパターンPlu2、Plv2、Plw2が形成された層を示すものであり、基端はそれぞれ基板積層後スルーホールメッキを介して各相の巻き終わりPu2−e、Pv2−e、Pw2−eに接続される。
【0044】
図11は、各導電パターン及びリードパターンを合成した図である。この図により、各相が12度の角度差をもって第2基板20に形成され、各相の導電パターンの巻き始め、巻き終わりが重なることなく引き出されていることが分かる。
【0045】
第1基板10と第2基板20とは、各相の導電パターンが0.5サイクル(18度)回転したパターンであり、例えばu相の場合、第1基板10のリードパターンPlu1の先端の位置と、第2基板20のu相導電パターンPu1の巻き始めPu1−sの先端の位置が一致しており、スルーホールメッキにより導電パターンが直列接続できるようになっている。
【0046】
なお、第2基板20におけるu相の導電パターンPu2の巻き終わりに接続されているリードパターンPlu2の先端の位置と、第1基板10におけるu相の導電パターンPu1の巻き始めPu1−sの位置は、36度ずれているので(他の相も同じ)、第2基板20の次の層に第1基板10を36度ずらしたものを積層し、スルーホールメッキによって接続することにより、導電パターンは直列接続されていき、ターン数を多くすることができる。この36度ずらして積層する操作を360度まで繰り返すことにより、各層で20層、全体で60層の導電パターンを直列接続することができる。
【0047】
ここで、第1基板10、第2基板20は、それぞれ36度毎に切り欠き11,21が設けられており、36度ずらして積層する際に、切り欠き11,21の位置が揃うため、各基板の位置合わせを容易に行うことができる。ケーシング5aと5bの内側の、固定子2を挟み付ける部分に、切り欠き11,21に嵌り込む凸部を設けることにより、固定子2の回転軸1回りの回転を抑止することができる。
【0048】
上記構成の発電装置の回転軸1の軸方向に風車を取り付けることにより、コギングのない、微風から回転することが可能な風力発電機を実現することができる。
また、コイルの占積率がよいことと界磁が効率よく得られるように薄型のコイルを形成できるため、風車による回転力を高効率で電力に変換することが実現できる。
【0049】
図12は、本発明の実施の形態1に係る電機子を製造する工程を示すものである。
まず、図12(a)に示すように、絶縁基板31、たとえばプリプレグの基板の上下面に、銅箔32,33を積み重ね、図12(b)に示すようにプレス等により一体に成型する。なお、プリプレグとは、ガラス繊維に樹脂を含浸した成形用中間材料であり、強度、絶縁性に優れている。本例では、絶縁基板31は100μm厚、銅箔32,33は70μmとした。
【0050】
次に、図12(c)に示すように、銅箔32,33の表面に30μmの銅メッキ34,35を施し、銅箔と銅メッキを合わせた厚みを100μmとする。但し、本実施の形態1の場合、銅部分の厚みが100μmであれば効果は同じであるため、銅箔+銅メッキの代わりに100μmの銅箔を用いてもよい。
【0051】
次に、図12(d)に示すように、エッチング処理により、銅箔32,33および銅メッキ34,35を施した部分に導電パターンを形成する。これは、上述したu相の導電パターンPu1とv相の導電パターンPv1に相当する。
【0052】
次に、図12(e)に示すように、導電パターンPu1,Pv1の上下に、絶縁基板36,37を貼り付け、さらにその上下に銅箔38,39を貼り付け、プレス加工で一体化する。
【0053】
次に、図12(f)に示すように、前述の導電パターンの巻き終わりと、リードパターンの基端との間を貫通する孔THを穿孔する。
【0054】
次に、図12(g)に示すように、銅箔38,39の表面に30μmの銅メッキ40,41を施し、銅箔70μmと銅メッキ30μmで100μmの銅の部分を形成し、さらに孔THの内部にスルーホールメッキを施す。
【0055】
次に、図12(h)に示すように、銅箔38,39および銅メッキ40,41を施した部分に、エッチング処理により導電パターン(接続ランド)を形成する。これは、上述したw相の導電パターンとリードパターンPlu1、Plv1、Plw1に相当する。
【0056】
以上の工程で製造した第一基板A1と同様に、図12(j)に示す第二基板A2を製造し、間に、図12(i)に示す絶縁板42を介してプレスで一体化し、導電パターンPu1,Pv1,Pw1,Pu2,Pv2,Pw2の3相、2系統分の電機子ユニットを製造する。この電機子ユニットは、導電パターンのみでカウントすると6層となる。
【0057】
この電機子ユニットを10個、36度ずつ角度をずらして積層することにより、導電パターン60層の電機子を製造することができる。リードパターン(接続ランド)の層も入れると80層となり、さらに、全体の巻き始めと巻き終わりのリードパターンも入れて、82層となる。
【0058】
図13は本発明の実施の形態1に係る電機子を製造する工程で最終のプレス状態を示すものである。
【0059】
図12で示した基板を最終的に接合するため、図13に示すように、積層した基板の上下をSUSプレート50,51で挟み込み、更にSUSプレート50,51を絶縁板52,53で挟み込み、位置決めと支えのため複数本のポール54を通し、クラフト紙55,56で絶縁板52,53の上下を挟み込みプレスを行う。基板接合後はクラフト紙55,56、絶縁板52,53、複数本のポール54、SUSプレート50,51を取り外すと、整合された最終基板となる。
【0060】
上記構成の発電装置の回転軸1の軸方向に風車を取り付けることにより、コギングのない、微風から回転することが可能な風力発電機を実現することができる。
また、コイルの占積率がよいことと界磁が効率よく得られるように薄型のコイルを形成できるため、風車による回転力を高効率で電力に変換することが実現できる。
【0061】
図12の実施の形態1では、複数の基板における導電パターンの巻き終わりとリードパターン間を貫通する孔THを形成し、その孔THにスルーホールメッキを施して複数の基板の導電パターンと最外層の基板のリードパターン(接続ランド)Plu1、Plv1、Plw1を導通させるようにしている。その孔THは、図14(a)の拡大平面図に示すように、通常は1個である。この孔THが形成される最外層の基板の表面には円形のランド部Lおよび内周面にスルーホールメッキTPが施される。しかし、本発明の発電用のコイルのように電流が例えば10〜20Aと大電流の場合、通常のメッキ厚が25μm程度であると、抵抗損失が大きくなり、電気変換効率が悪い。
そこで、本実施の形態2では、図14(b)に示すように基板に複数(本例では7個)の小孔TH1〜7を開け、この小孔TH1〜7を全て含むような銅メッキによるランド部Lと小孔TH1〜7の内周を覆うメッキからなるスルーホールメッキTPを形成する。これにより、積層された複数の基板の表面と裏面間で、小孔TH1〜7によるスルーホールメッキTPが並列接続されたことになり、抵抗が57%に減少し、電気変換効率が向上する。
ちなみに、図14(a)の単一孔では、直径5mmのランドに直径4mmのスルーホールを開けた場合、円周長さ=25.12mmとなる。一方、図14(b)の7つの小孔TH1〜7を設ける例では、直径5mmのランドに直径1mmのスルーホールを7個あけた場合、円周長さ(合計)=43.96mmとなり、1.75倍の円周長となって、円周長の分、電気抵抗が低下することが理論的にも裏付けられる。
【0062】
次に、上述の実施の形態1では、電機子ユニットを10個、36度ずつ角度をずらして積層することにより、導電パターン60層、最外層のリードパターンの層も入れると80層の電機子を製造する例を示した。基本的には、36度ずつ角度をずらして基板を積層して一相分を形成するには10個(360度)が1単位であり、3相では合計で導電パターン30層が基本層数(最外層のリードパターンの層も入れると40層)である。ここで、層数とコスト、発電電圧、抵抗損失の関係を図15(a)に示している。一般的には、層数が増えると発電電圧は増えるが、同時に抵抗損失も増え、これにより発熱量が増え、温度上昇が大きくなる。同時に、コストも高くなる。そこで、層数を40層とした場合と、実施の形態1に示した80層とした場合の最大発電電力の関係を調べたところ、図15(b)に示すように、層数を増やしても、最大発電電力は頭打ちとなることがわかった。コストの面では層数が少ないほうが有利であるので、電機子として層数を40層とすることが好ましいことが判明した。
【0063】
図16は、固定子2に積層されている複数のコイル基板に発生する熱を冷却するための空冷構造を備えた発電装置に係る実施の形態3を示すものである。この実施の形態では、永久磁石9を取り付けた第1回転子3と第2回転子4に固定子2と反対側が大径となる空気循環孔3a,4aを設けている。この構成とすることにより、回転軸1n回転により第1回転子3と第2回転子4が回転したとき、孔の両側の圧力差により空気が流れ、空気循環孔3a,4aから空気が取り入れられ、対流を助ける。これにより、コイルが冷却される。なお、ケーシング5にも通気孔5cを設けて外気を取り入れ、また高温となった空気を排熱することができる。このような通気孔5cを設けない場合でも、ケーシング5に冷却フィンを設けて空冷することもできる。
【0064】
図17は、空冷構造の他の例を示すものであり、図17(a)は第1回転子3,第2回転子4に形成する空気循環孔3b,4bを回転軸1に対して斜め方向とし、第1回転子3と第2回転子4の回転により空気の対流を効率的に起こすようにしている。
【0065】
図17(b)はまた別の例を示すものであり、第1回転子3,第2回転子4のコイル基板(固定子2)側に放射状のフィン(突起)12または溝13を設け、第1回転子3,第2回転子4の遠心力により空気の流れを発生させるようにしたものである。このフィン12または溝13は、一方のみでもよく、また両方設けてもよい。
【0066】
このように、固定子2に積層されている複数のコイル基板に発生する熱を、第1回転子3,第2回転子4の回転による空気の対流により冷却することで、発電効率の低下を抑えることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、発電用のコイルの巻き工程が不要で、占積率が電線よりも向上し、コギングが発生しない発電装置および発電装置用電機子として、風力発電、水力発電、潮力発電等の発電に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 回転軸
1a 大径部
2 固定子
3 第1回転子
3a,3b 空気循環孔
4 第2回転子
4a,4b 空気循環孔
5 ケーシング
5a 第1ケーシング
5b 第2ケーシング
5c 通気孔
6 ベアリング
7 ブッシュ
8 ボルト
9 永久磁石
10 第1基板
11 切り欠き
12 フィン
13 溝
20 第2基板
21 切り欠き
31 絶縁基板
32,33 銅箔
34,35 銅メッキ
36,37 絶縁基板
38,39 銅箔
40,41 銅メッキ
50,51 SUSプレート
52,53 絶縁板
54 ポール
55,56 クラフト紙
TH スルーホール
TH1〜7 小孔
L 接続ランド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17