特許第6392254号(P6392254)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エシコン エルエルシーの特許一覧

特許6392254関節接合部及び偏向式先端部分を有する外科用締結具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6392254
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】関節接合部及び偏向式先端部分を有する外科用締結具
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/068 20060101AFI20180910BHJP
【FI】
   A61B17/068
【請求項の数】19
【全頁数】68
(21)【出願番号】特願2015-561381(P2015-561381)
(86)(22)【出願日】2014年2月20日
(65)【公表番号】特表2016-508826(P2016-508826A)
(43)【公表日】2016年3月24日
(86)【国際出願番号】US2014017245
(87)【国際公開番号】WO2014163814
(87)【国際公開日】20141009
【審査請求日】2017年2月20日
(31)【優先権主張番号】13/791,950
(32)【優先日】2013年3月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】317011687
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ミクシャ・アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】ネリング・ロバート
(72)【発明者】
【氏名】コーン・サイモン
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・マシュー・ディー
(72)【発明者】
【氏名】ジャレット・ジェレミー・ディー
【審査官】 沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】 特表平08−507708(JP,A)
【文献】 特表2012−528699(JP,A)
【文献】 特表2012−526615(JP,A)
【文献】 特表2010−515548(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02067441(EP,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0055027(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/068
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用締結具であって、
第1脚部であって、近位端部、遠位端部、前記第1脚部の前記遠位端部における第1挿入先端部、及び前記第1脚部を近位セグメントと前記第1脚部の前記近位セグメントに対して偏向可能な遠位セグメントとに分離させる第1関節接合部を含む、第1脚部と、
第2脚部であって、近位端部、遠位端部、前記第2脚部の前記遠位端部における第2挿入先端部、及び前記第2脚部を近位セグメントと前記第2脚部の前記近位セグメントに対して偏向可能な遠位セグメントとに分離させる第2関節接合部を含む、第2脚部と、
前記外科用締結具の閉鎖端部を形成するために、前記第1及び第2脚部の前記近位端部を接続するブリッジと、を備え
前記第1挿入先端部が前記第1脚部の最遠位端部に第1遠位点を有し、前記第2挿入先端部が前記第2脚部の最遠位端部に第2遠位点を有し、
前記第1挿入先端部が、前記第1脚部の前記近位端部よりも前記第1脚部の前記遠位端部に近い第1挿入ツール座部表面を含む近位端部を含み、前記第2挿入先端部が、前記第2脚部の前記近位端部よりも前記第2脚部の前記遠位端部に近い第2挿入ツール座部表面を含む近位端部を含み、
前記第1関節接合部が前記第1挿入ツール座部表面と前記第1脚部の前記最遠位端部における前記第1遠位点との間に配置され、前記第2関節接合部が前記第2挿入ツール座部表面と前記第2脚部の前記最遠位端部における前記第2遠位点との間に配置される、外科用締結具。
【請求項2】
外科用締結具であって、
第1脚部であって、近位端部、遠位端部、前記第1脚部の前記遠位端部における第1挿入先端部、及び前記第1脚部を近位セグメントと前記第1脚部の前記近位セグメントに対して偏向可能な遠位セグメントとに分離させる第1関節接合部を含む、第1脚部と、
第2脚部であって、近位端部、遠位端部、前記第2脚部の前記遠位端部における第2挿入先端部、及び前記第2脚部を近位セグメントと前記第2脚部の前記近位セグメントに対して偏向可能な遠位セグメントとに分離させる第2関節接合部を含む、第2脚部と、
前記外科用締結具の閉鎖端部を形成するために、前記第1及び第2脚部の前記近位端部を接続するブリッジと、を備え
外科用締結具が、前記第1脚部の前記近位端部と前記遠位端部との間に延びる第1位置合わせ案内部と、前記第2脚部の前記近位端部と前記遠位端部との間に延びる第2位置合わせ案内部と、を含み、
前記第1関節接合部および前記第2関節接合部は、それぞれが前記第1挿入先端部および前記第2挿入先端部を、前記第1の脚部および前記第2の脚部の前記近位セグメントのそれぞれに対して全ての方向に偏向させることが可能な、全方向式の接合部である、外科用締結具。
【請求項3】
前記第1挿入先端部が前記第1脚部の最遠位端部に第1遠位点を有し、前記第2挿入先端部が前記第2脚部の最遠位端部に第2遠位点を有する、請求項に記載の外科用締結具。
【請求項4】
前記第1脚部及び前記第2脚部がそれぞれ反対の方向に互いから離れる方を向く外壁を有し、前記第1及び第2遠位点間の距離が、それぞれ反対の方向に互いから離れる方を向く前記第1及び第2脚部の前記外壁間の距離よりも大きい、請求項1または3に記載の外科用締結具。
【請求項5】
前記第1脚部及び前記第2脚部が、それぞれの長手方向軸に沿って延在し、前記第1挿入先端部及び前記第2挿入先端部が、前記それぞれの長手方向軸に対して外側に傾斜する、請求項1または2に記載の外科用締結具。
【請求項6】
前記第1挿入先端部が、前記第1脚部の前記近位端部よりも前記第1脚部の前記遠位端部に近い第1挿入ツール座部表面を含む近位端部を含み、前記第2挿入先端部が、前記第2脚部の前記近位端部よりも前記第2脚部の前記遠位端部に近い第2挿入ツール座部表面を含む近位端部を含む、請求項に記載の外科用締結具。
【請求項7】
前記第1関節接合部が前記第1挿入ツール座部表面と前記第1脚部の前記近位端部との間に配置され、前記第2関節接合部が前記第2挿入ツール座部表面と前記第2脚部の前記近位端部との間に配置される、請求項に記載の外科用締結具。
【請求項8】
前記第1関節接合部が前記第1挿入ツール座部表面と前記第1脚部の前記最遠位端部における前記第1遠位点との間に配置され、前記第2関節接合部が前記第2挿入ツール座部表面と前記第2脚部の前記最遠位端部における前記第2遠位点との間に配置される、請求項に記載の外科用締結具。
【請求項9】
前記第1挿入ツール座部表面が、前記第1脚部の前記近位端部の方を向き、前記第2挿入ツール座部表面が、前記第2脚部の前記近位端部の方を向く、請求項1または6に記載の外科用締結具。
【請求項10】
前記第1脚部が、前記第1脚部の前記近位端部と前記第1挿入ツール座部表面との間に延びる第1位置合わせ案内部を含み、前記第2脚部が、前記第2脚部の前記近位端部と前記第2挿入ツール座部表面との間に延びる第2位置合わせ案内部を含む、請求項に記載の外科用締結具。
【請求項11】
前記第1脚部上の前記第1位置合わせ案内部が、前記第1挿入ツール座部表面で終端し、かつ前記第1挿入ツール座部表面と実質的に位置合わせされた遠位端部を有し、前記第2脚部上の前記第2位置合わせ案内部が、前記第2挿入ツール座部表面で終端し、かつ前記第2挿入ツール座部表面と実質的に位置合わせされた遠位端部を有する、請求項10に記載の外科用締結具。
【請求項12】
前記第1位置合わせ案内部が前記第1関節接合部を通って延在し、前記第2位置合わせ案内部が前記第2関節接合部を通って延在する、請求項2または10に記載の外科用締結具。
【請求項13】
前記第1脚部が前記第1脚部の前記近位端部に向かって突出する第1返し部を備え、前記第2脚部が前記第2脚部の前記近位端部に向かって突出する第2返し部を備え、前記第1及び第2返し部が互いから離れて外側に向かって突出する、請求項1または2に記載の外科用締結具。
【請求項14】
前記第1及び第2脚部の前記近位端部間を延在し、前記ブリッジの遠位面から離間されたテンション要素を更に備える、請求項1または2に記載の外科用締結具。
【請求項15】
医療用装置を組織に固定するための外科用締結具であって、
第1脚部であって、近位端部、遠位端部、前記第1脚部の前記近位端部と前記遠位端部との間を延在する第1位置合わせ案内部、及び前記第1脚部の前記遠位端部における第1挿入先端部、を有する、第1脚部と、
第2脚部であって、近位端部、遠位端部、前記第2脚部の前記近位端部と前記遠位端部との間を延在する第2位置合わせ案内部、及び前記第2脚部の前記遠位端部における第2挿入先端部、を有し、前記脚部のうち少なくとも一方が、その前記近位端部と前記遠位端部との間に配置された関節接合部を有し、前記関節接合部は、前記脚部のうち前記少なくとも一方に結合される前記挿入先端部がその前記近位端部に対して偏向することを可能にする、第2脚部と、
前記外科用締結具の閉鎖端部を形成するために、前記第1及び第2脚部の前記近位端部を接続するブリッジと、
前記第1脚部を近位セグメントと前記近位セグメントに対して偏向可能な遠位セグメントとに分離させる、前記第1脚部の前記近位端部と前記遠位端部との間に配置された第1関節接合部と、
前記第2脚部を近位セグメントと前記近位セグメントに対して偏向可能な遠位セグメントとに分離させる、前記第2脚部の前記近位端部と前記遠位端部との間に配置された第2関節接合部と、
第1挿入ツール座部表面を有する近位端部及び第1遠位点を含む遠位端部を含む前記第1挿入先端部であって、前記第1関節接合部が前記第1挿入ツール座部表面と前記第1遠位点との間に配置される、前記第1挿入先端部と、
第2挿入ツール座部表面を含む近位端部及び第2遠位点を含む遠位端部を含む前記第2挿入先端部であって、前記第2関節接合部が前記第2挿入ツール座部表面と前記第2遠位点との間に配置される、前記第2挿入先端部と、を含む、外科用締結具。
【請求項16】
医療用装置を組織に固定するための外科用締結具であって、
第1脚部であって、近位端部、遠位端部、前記第1脚部の前記近位端部と前記遠位端部との間を延在する第1位置合わせ案内部、及び前記第1脚部の前記遠位端部における第1挿入先端部、を有する、第1脚部と、
第2脚部であって、近位端部、遠位端部、前記第2脚部の前記近位端部と前記遠位端部との間を延在する第2位置合わせ案内部、及び前記第2脚部の前記遠位端部における第2挿入先端部、を有し、前記脚部のうち少なくとも一方が、その前記近位端部と前記遠位端部との間に配置された関節接合部を有し、前記関節接合部は、前記脚部のうち前記少なくとも一方に結合される前記挿入先端部がその前記近位端部に対して偏向することを可能にする、第2脚部と、
前記外科用締結具の閉鎖端部を形成するために、前記第1及び第2脚部の前記近位端部を接続するブリッジと、
前記第1脚部を近位セグメントと前記近位セグメントに対して偏向可能な遠位セグメントとに分離させる、前記第1脚部の前記近位端部と前記遠位端部との間に配置された第1関節接合部と、
前記第2脚部を近位セグメントと前記近位セグメントに対して偏向可能な遠位セグメントとに分離させる、前記第2脚部の前記近位端部と前記遠位端部との間に配置された第2関節接合部と、を含み、
前記第1関節接合部が前記第1脚部の減少した断面直径区画を含み、前記第2関節接合部が前記第2脚部の減少した断面直径区画を含む、外科用締結具。
【請求項17】
前記第1脚部の前記近位端部に向かって突出する第1返し部を有する前記第1脚部であって、前記第1遠位点が前記第1関節接合部によって前記第1返し部に対して偏向可能である、前記第1脚部と、
前記第1返し部から離れるように、かつ前記第2脚部の前記近位端部に向かって突出する第2返し部を有する前記第2脚部であって、前記第2遠位が前記第2関節接合部によって前記第2返し部に対して偏向可能である、前記第2脚部と、を更に含む、請求項15に記載の外科用締結具。
【請求項18】
医療用装置を組織に固定するための外科用締結具であって、
第1脚部であって、近位端部、遠位端部、前記第1脚部の前記遠位端部における第1挿入先端部、及び前記第1挿入先端部が前記第1脚部の前記近位端部に対して偏向することを可能にする第1関節接合部を有する、第1脚部と、
第2脚部であって、近位端部、遠位端部、前記第2脚部の前記遠位端部における第2挿入先端部、及び前記第2挿入先端部が前記第2脚部の前記近位端部に対して偏向することを可能にする第2関節接合部を有する、第2脚部と、
前記外科用締結具の閉鎖端部を形成するために、前記第1及び第2脚部の前記近位端部を接続するブリッジと、を備え
外科用締結具が、前記第1脚部の前記近位端部と前記遠位端部との間に延びる第1位置合わせ案内部と、前記第2脚部の前記近位端部と前記遠位端部との間に延びる第2位置合わせ案内部と、を含み、
前記第1関節接合部および前記第2関節接合部は、それぞれが前記第1挿入先端部および前記第2挿入先端部を、前記第1の脚部および前記第2の脚部の前記近位端部のそれぞれに対して全ての方向に偏向させることが可能な、全方向式の接合部である、外科用締結具。
【請求項19】
前記第1挿入先端部が湾曲形状を有する第1挿入ツール座部表面を有し、前記第2挿入先端部が湾曲形状を有する第2挿入ツール座部表面を有し、前記第1及び第2挿入先端部の各々が前記挿入先端部の最遠位端部を画定する遠位貫通点を有し、前記遠位貫通点間の距離が、それぞれ反対の方向に互いから離れる方を向く、前記それぞれの第1及び第2脚部の外壁間の距離よりも大きい、請求項18に記載の外科用締結具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2009年5月12日出願の米国特許出願第12/464,143号の一部継続出願であり、その開示全体は参照により本願に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は概して、外科用締結具、より具体的にはアプリケータ器具、外科用締結具を展開するためのシステム及び方法に関連する。
【背景技術】
【0003】
ヘルニアは、患者の腹部筋肉壁又は股間内の弱い場所又は欠陥を貫通して腸管又は腸の小さいループが突出する状態である。この状態は一般的にヒト、特に男性に生じる。この種類のヘルニアは、先天性の欠陥から生じる場合があり、したがって患者は生まれつきこの問題を有するか又は酷使若しくは重いものを持ち上げることによって生じ得る。重いものを持ち上げることは、腹壁に多大な圧力を生じさせ、腹筋の弱い部分で破裂又は破断を生じさせ、欠損部又は開口を生じさせる場合があることが既知であり得る。いずれの場合においても、患者は、見た目の悪い腸組織がその欠損部を貫通して出っ張った状態となり、これが痛みや持ち上げる力の低下を生じさせる場合があり、場合によっては大腸の圧迫、又は、突出組織への血流が遮断された場合には、他の合併症を生じさせる可能性がある。
【0004】
上記の問題に対する一般的な解決法は外科手術であり得る。外科的手術の間、開いた切開部を通じて、又はトロカールなどのアクセスポートを通じて内視鏡的に、欠損部が評価されて注意深く検査される。いずれにせよ、典型的な欠損領域に存在する血管及び神経の網状組織により、注意深い検査が必要とされ、これは、外科医が高度な技術及び注意をもってヘルニア治療を行うことを必要とする。この領域には、胃血管、外腸骨血管及び下腹壁血管、並びに鼠径床を通って延びる輸精管などの生殖管などの血管構造が見出され得る。
【0005】
一旦、外科医が患者の生体構造に精通すれば、外科医は欠損部を通して内臓を患者の腹部内に慎重に再配置する。欠損部の修復は、縫合糸又は締結具を用いた欠損部の閉鎖を伴う場合があるが、一般には、従来型の縫合糸又は外科用締結具を用いた、開いた欠損部上へのメッシュパッチなどの外科用プロテーゼの配置及び腹壁又は鼠径床へのメッシュパッチの取り付けを伴う。メッシュパッチはバリアとして機能し、欠損部を介した腸の飛び出しを防ぐ。鼠径床にメッシュパッチを縫合することは、開放式手術に非常に適している場合があるが、内視鏡手術では、はるかに困難で時間がかかる場合がある。内視鏡手術が適用される場合、外科用締結具を適用する内視鏡外科用器具が使用され得る。しかしながら、鼠径床の組織は、クーパー靭帯などの構造を貫通するために針又は締結具が使用される場合に、特殊な困難を外科医に提示し得る。
【0006】
現在、メッシュパッチを鼠径床に取り付けるために、内視鏡又は開放式手術において使用するために、外科医が利用可能な様々な外科用器具及び締結具が存在する。使用される最も古いタイプの内視鏡外科用器具の1つは、外科用ステープラーである。複数の又は積み重ねた、これらの形成されていないステープルは一般的に、連続的な様式でステープルカートリッジ内に収容されている場合があり、かつ、ばね機構によって器具内で順次前進させられるか又は送達され得る。積み重ね体から最遠位のステープルを分離し、ばねで留めた積み重ね体の残りを保持するために、二次弁機構又は送達機構が利用され得、こうした機構は、最遠位ステープルをステープル形成機構に送達するために使用されてもよい。この種類の送達機構は、Rothfussらの米国特許第5,470,010号、及び同様にRothfussらの米国特許第5,582,616号に見出される。
【0007】
別のヘルニアメッシュ取り付け器具は、ばねの小部分に似た螺旋状ワイヤー締結具を用いる。多数の螺旋状ワイヤー締結具は、5mmシャフト内に連続的に保存されてもよく、組織内へと螺旋状に進められるか又は回転されてもよい。荷重ばねが、複数の螺旋状締結具をシャフト内の遠位に偏らせる又は送達するために用いられ得る。突出部はシャフト内へと延伸して、荷重ばねによる締結具の積み重ね体の排出を防ぐことができ、また、回転式締結具の通過を可能にし得る。これらの種類の器具及び締結具は、Bolducらの米国特許第5,582,616号、Bolducらの米国特許第5,810,882号、及びSteinらの米国特許第5,830,221号に見出される。
【0008】
一方で、上記の外科用器具はヘルニア締結用途に使用されてもよく、これらは外科用器具を通じて複数の締結具を送達するためにばね機構を使用する。ばね機構は、一般には長く柔らかいコイルばねを使用して、外科用器具のシャフト内のガイド又は軌道を介して締結具の積み重ね体を押す。これらの種類の送達機構は、一般的に単純かつ確実であり得るが、1つの締結具を積み重ね体から分離し送達するために、追加的な二次弁機構又は突出部を必要とし得る。
【0009】
ヘルニアメッシュ取り付けのために、他の外科用締結具が使用され得るが、少量の締結具を保持する、再装填可能な単発器具又は回転式マガジンのいずれかを利用する。これらの種類の外科用締結器具は、いずれもEdward Phillipsに対する米国特許第5,203,864号及び5,290,297号に見出される。これらの器具は外科のコミュニティでは受け入れられておらず、考えられるその理由は、これらの単発の能力及び回転式マガジンの大きな寸法により、このような器具が開放式手術に限定され得るためである。
【0010】
上記の全ての外科用器具はヘルニア締結用途に使用され得るが、これらは外科用器具を通じて複数の締結具を送達するためのばね機構、又は送達機構の代わりに回転式マガジンのいずれかを使用する。外科用クリップなどの、他の種類の外科用締結具も利用可能であり得、これらはクリップを遠位に送達するために、ばねの使用を必要としない送達機構を利用し得る。往復式送達機構は、米国特許第5,601,573号、同第5,833,700号及び同第5,921,997号(Fogelbergら)に記載されている。Fogelbergらの参照文献は、クリップ積み重ね体を連続で送達するための往復式送達バーを用いた送達機構を有するクリップ適用器を教示している。送達器シューは、遠位に移動する送達バーと操作可能に係合して共に移動し、また近位に移動する送達バーと摺動自在に係合し得る。かくして、送達器シューは、遠位に移動する送達バーと共にクリップ積み重ね体を遠位に割送り又は押すことができ、また近位に移動する送達バーに対しては静的な状態を保持する。弁機構はまた、積み重ね体から最遠位クリップを分離し、最遠位クリップが血管に適用され得る際に、積み重ね体を静的に維持することを要求され得る。Fogelbergらの参照文献は、単一の往復部材を有する往復式送達機構を教示しているが、ヘルニアメッシュの取り付けにおけるクリップ適用器具の使用も、移動部材による各クリップの個別の駆動又は送達も教示していない。
【0011】
往復運動を用いる別の締結具送達機構は、Kliemanらに対する米国特許第4,325,376号に開示されている。複数のクリップをクリップマガジンに連続式に格納するクリップ適用器が開示される。クリップは積み重ね体の内部に存在し、最も近位側の位置のクリップは、器具が作動するごとに、往復運動部材又はラチェットブレードによって遠位にラチェット送り又は割送りされ得る爪によって、遠位に押されるか又は送達され得る。爪が遠位に割送りすると、爪はクリップの積み重ね体を遠位に押し得る。また、二次弁機構も説明され得る。したがって、Kliemanらの送達機構は、クリップの積み重ね体を遠位方向に押すか又は送達するために単一の往復運動部材を使用することを教示し、最遠位クリップを送達するために二次弁機構を必要とし得る。
【0012】
DeCarlo Jr.に対する米国特許第3,740,994号は、複数のステープル又はクリップを割送りすることができ、また一対の対向する板ばねアセンブリのうちの1つを往復運動させることによって複数のステープル又はクリップの発射の準備をさせることができる、新規な往復運動式送達機構を説明している。ステープルは、ガイドレールの平面内に延在する固定された板ばねアセンブリと共に、ガイドレール内に連続して存在する。往復運動する板ばねアセンブリは、固定された板ばねアセンブリに向かって内側に対向して延びる。往復運動式板ばねアセンブリが遠位に移動すると、アセンブリの独立した板ばねのそれぞれは、ステープルと係合し、これを遠位に移動させることができる。遠位に移動するステープルによって、固定された板ばねアセンブリの局所の独立した板ばねが偏向され、偏向した板ばねは、ステープルが通過した後で偏向していない位置に戻り得る。移動している板ばねアセンブリが近位に移動すると、固定された板ばねアセンブリの板ばねはステープルを静的に保持し、その近位への移動を防ぐ。二次ガイドレール及び弁機構は、積み重ね体から単一のステープルを分離して形成するために提供され得、また単一のクリップが形成されると、ステープルの積み重ね体を静的に保持し得る。
【0013】
加えて、類似の送達機構が、DiGiovanniらに対する米国特許第4,478,220号、及びMengesらに対する米国特許第4,471,780号に開示されている。これら関連特許のいずれもが、1つの固定された部材及び1つの往復運動部材を用いて複数のクリップを遠位に送達する又は割送りする、往復運動式送達機構を教示している。角度を付けられた可撓性の指部が往復運動部材にヒンジ連結により取り付けられて、遠位に移動する時にクリップと操作可能に係合し、また近位に移動する時にクリップと摺動自在に係合し得る。クリップが遠位に移動して跳ね上がると、固定された部材内の角度を付けられた可撓性指部が常道から外れて偏向し、クリップが通過した後でクリップの近位への移動を阻止する。二次弁機構もまた開示される。
【0014】
その開示が参照により本明細書に組み込まれる、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願公開2002/0068947号は、複数の独立した外科用締結具を送達する装置を教示している。一実施形態では、送達装置は遠位端部及び近位端部を有する駆動機構を含む。駆動機構は、移動部材及び固定された対向部材を有し、移動部材は送達装置に対して近位及び遠位に移動可能である。移動部材は組織を貫通するための尖った遠位端部を有する。装置は第1及び第2部材の間に配置された少なくとも1つの外科用締結具を含む。少なくとも1つの外科用締結具のそれぞれは、近位端部及び遠位端部を有する。装置は少なくとも2つの連続位置を有する作動装置を更に有する。移動部材を遠位方向に移動させ、組織を貫通するための第1位置、及び移動部材を近位方向に移動させ、それによって締結具の遠位端部を展開するための第2位置である。
【0015】
腹腔鏡的に使用されるメッシュを固定するためのタックは、一般的にステンレス鋼、ニチノール又はチタンなどの金属から作製されている。金属製タックは十分な保持強度、様々なプロテーゼメッシュの貫通、及び製造の容易さを提供するために必要である。最近まで、市販の吸収性タックは存在せず、外科医は、身体内に恒久的に滞在しない固定手段を提供するには吸収性縫合糸を使用するしかなかった。しかしながら、腹腔鏡手術の場合、縫合糸の使用は過度に困難であるので、縫合糸は、治療が開放式で行われる場合を除いては一般に使用されない。異質体の蓄積が最小限である、より低い侵襲性の技術に繋がる外科的傾向により、腹腔鏡的に適用され得る外形が最小の吸収性タックが必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上記の進歩にも関わらず、更なる改善への必要性が依然として存在する。特に、最小限の外形を有する外科用締結具、腹腔鏡的に適用され得る外科用締結具、及び吸収性の外科用締結具の必要性が存続している。
【課題を解決するための手段】
【0017】
一実施形態では、外科用締結具は、近位端部、遠位端部、第1脚部の遠位端部における第1挿入先端部、及び第1脚部を近位セグメントと第1脚部の近位セグメントに対して偏向可能な遠位セグメントとに分離させる第1関節接合部を含む、第1脚部と、近位端部、遠位端部、第2脚部の遠位端部における第2挿入先端部、及び第2脚部を近位セグメントと第2脚部の近位セグメントに対して偏向可能な遠位セグメントとに分離させる第2関節接合部を含む、第2脚部と、を含む。一実施形態では、第1挿入先端部は第1脚部の最遠位端部に第1遠位点を有し、第2挿入先端部は第2脚部の最遠位端部に第2遠位点を有する。一実施形態では、ブリッジは、外科用締結具の閉鎖端部を形成するために、第1及び第2脚部の近位端部を接続することが好ましい。
【0018】
本明細書で使用する時、用語「関節接合部」は、関節接合又は並進運動の両方が可能な機能区域を意味することを意図し、また、一方のセグメントのもう一方のセグメントに対する回転、脚部の圧縮、及び/又は脚部の伸長を包含することを意図する。一実施形態では、関節接合手段を備える脚部を有する外科用締結具を提供することは、脚部の遠位セグメントが脚部の近位セグメントに対して360度を超えて回転することが可能であること、脚部の遠位セグメントが脚部の近位セグメントに対して任意の横方向に偏向することが可能であること、遠位セグメントが脚部の長手方向軸に沿って脚部の近位セグメントに向かって圧縮可能であること、並びに脚部が伸長可能であり、脚部の近位及び遠位セグメントが脚部の長手方向軸に沿って互いから離れるように移動されること、を意味する。一実施形態では、関節接合部は、それ自体が脚部の近位セグメントと遠位セグメントとの間で圧縮され得る。一実施形態では、関節接合部は伸長して脚部の延長を可能にする。一実施形態では、近位セグメント、関節接合部、及び遠位セグメントは、生体適合性ポリマー材料などの同じ材料から作られる。
【0019】
一実施形態では、第1挿入先端部は、第1脚部の近位端部よりも第1脚部の遠位端部に近い第1挿入ツール座部表面を含む近位端部を有し、第2挿入先端部は、第2脚部の近位端部よりも第2脚部の遠位端部に近い第2挿入ツール座部表面を含む近位端部を有する。一実施形態では、第1関節接合部は、第1挿入ツール座部表面と第1脚部の近位端部との間に配置されるのが望ましく、第2関節接合部は、第2挿入ツール座部表面と第2脚部の近位端部との間に配置されるのが望ましい。
【0020】
一実施形態では、第1関節接合部は、第1挿入ツール座部表面と第1脚部の最遠位端部における第1遠位点との間に配置され、第2関節接合部は、第2挿入ツール座部表面と第2脚部の最遠位端部における第2遠位点との間に配置される。
【0021】
一実施形態では、第1脚部は第1脚部の近位端部と第1挿入ツール座部表面との間に延びる第1位置合わせ案内部を有し、第2脚部は第2脚部の近位端部と第2挿入ツール座部表面との間に延びる第2位置合わせ案内部を有する。一実施形態では、第1脚部上の第1位置合わせ案内部は、第1挿入ツール座部表面で終端し、かつ第1挿入ツール座部表面と実質的に位置合わせされた遠位端部を有し、第2脚部上の第2位置合わせ案内部は、第2挿入ツール座部表面で終端し、かつ第2挿入ツール座部表面と実質的に位置合わせされた遠位端部を有する。一実施形態では、第1位置合わせ案内部は第1関節接合部を通って延在し、第2位置合わせ案内部は第2関節接合部を通って延在する。
【0022】
一実施形態では、外科用締結具は、第1及び第2脚部の近位端部間を延在し、ブリッジの遠位面から離間されたテンション要素を備える。テンション要素は、外科用締結具が組織内に挿入された後でブリッジとプロテーゼ装置との間に間隙が残る場合に、プロテーゼ装置に張力を適用することが好ましい。
【0023】
一実施形態では、医療用装置を組織に固定するための外科用締結具は、近位端部、遠位端部、第1脚部の近位端部と遠位端部との間を延在する第1位置合わせ案内部、及び第1脚部の遠位端部における第1挿入先端部、を有する、第1脚部と、近位端部、遠位端部、第2脚部の近位端部と遠位端部との間を延在する第2位置合わせ案内部、及び第2脚部の遠位端部における第2挿入先端部、を有する、第2脚部と、を備えることが好ましい。脚部のうち少なくとも一方が、その近位端部と遠位端部との間に配置された関節接合部を有し、該関節接合部は、脚部のうち少なくとも一方に結合される挿入先端部がその近位端部に対して偏向することを可能にすることが望ましい。ブリッジは、外科用締結具の閉鎖端部を形成するために、第1及び第2脚部の近位端部を接続することが好ましい。
【0024】
一実施形態では、第1脚部を近位セグメントと近位セグメントに対して偏向可能な遠位セグメントとに分離するために、第1関節接合部が第1脚部の近位端部と遠位端部との間に配置される。一実施形態では、第2脚部を近位セグメントと、近位セグメントに対して偏向可能な遠位セグメントとに分離するために、第2関節接合部が第2脚部の近位端部と遠位端部との間に配置される。
【0025】
一実施形態では、第1挿入先端部は、第1挿入ツール座部表面を有する近位端部及び第1遠位点を含む遠位端部を含み、第1関節接合部が第1挿入ツール座部表面と第1遠位点との間に配置されることが望ましい。一実施形態では、第2挿入先端部は、第2挿入ツール座部表面を含む近位端部及び第2遠位点を含む遠位端部を含み、第2関節接合部が第2挿入ツール座部表面と第2遠位点との間に配置されることが望ましい。
【0026】
一実施形態では、第1脚部は、第1脚部の近位端部に向かって突出する第1返し部を有し、第1挿入先端部の第1遠位点が第1関節接合部によって第1返し部に対して偏向可能であることが好ましい。一実施形態では、第2脚部は、第1返し部から離れるように、かつ第2脚部の近位端部に向かって突出する第2返し部を有し、第2遠位先端部が第2関節接合部によって第2返し部に対して偏向可能であることが好ましい。
【0027】
一実施形態では、第1関節接合部は第1脚部の減少した断面直径区画を含み、第2関節接合部は第2脚部の減少した断面直径区画を含む。
【0028】
一実施形態では、医療用装置を組織に固定するための外科用締結具は、近位端部、遠位端部、第1脚部の遠位端部における第1挿入先端部、及び第1挿入先端部が第1脚部の近位端部に対して偏向することを可能にする第1関節接合部を有する、第1脚部と、近位端部、遠位端部、第2脚部の遠位端部における第2挿入先端部、及び第2挿入先端部が第2脚部の近位端部に対して偏向することを可能にする第2関節接合部を有する、第2脚部と、を有することが好ましい。ブリッジは、外科用締結具の閉鎖端部を形成するために、第1及び第2脚部の近位端部を接続することが望ましい。一実施形態では、第1挿入先端部は、湾曲形状を有する第1挿入ツール座部表面を有することが好ましく、第2挿入先端部は、湾曲形状を有する第2挿入ツール座部表面を有し、第1及び第2挿入先端部の各々が挿入先端部の最遠位端部を画定する遠位貫通点を有する。一実施形態では、遠位貫通点間の距離は、それぞれ反対の方向に互いから離れる方を向く、それぞれの第1及び第2脚部の外壁間の距離よりも大きい。
【0029】
一実施形態では、本発明は、外科用締結具を一貫して展開するためのアプリケータ器具及び方法を開示する。一実施形態では、アプリケータ器具は、外科用メッシュなどのプロテーゼ装置を組織上の所定の位置に保持するために用いられる。一実施形態では、アプリケータ器具は、発射ロッドと一致するように外科用締結具を位置付けるための機構を含む。アプリケータ器具は好ましくは、最初に発射ロッドを外科用締結具の方に第1速度で前進させる発射システムを含む。一実施形態では、エネルギーは、発射ロッドが外科用締結具の方に前進させられるか又は導かれる際に、発射システム内に保存され得る。発射システムは望ましくは、外科用締結具を発射ロッドと係合させる一方で、外科用締結具を静的な位置に維持する。発射システムは好ましくは、保存されたエネルギーを解放して、発射ロッドを第1速度よりも高い第2速度で前進させて、外科用締結具を組織内に展開する。一実施形態では、1つの外科用締結具が発射システムの1周期中に分配される。外科用メッシュなどのプロテーゼを組織に固定するために、複数の外科用締結具が分配され得る。
【0030】
一実施形態では、外科用締結具を分配するためのアプリケータ器具は、好ましくはハウジングと、ハウジングから延びる細長いシャフであって、ハウジングと連結された近位端部及びこの近位端部から離れた遠位端部を有する、細長いシャフトと、を含む。アプリケータ器具は望ましくは、外科用締結具を細長いシャフトの遠位端部から分配するための発射システムを含む。発射システムは好ましくは細長いシャフト内に配置される発射ロッドを含み、望ましくは、発射ロッドを細長いシャフトの遠位端部の方へと第1速度で前進させる第1段階、及び発射ロッドを細長いシャフトの遠位端部の方に第1速度よりも高い第2速度で前進させる第2段階を有する発射周期を有する。
【0031】
一実施形態において、発射ロッドの遠位端部は挿入フォークを含む。アプリケータ器具は、挿入フォークを先頭外科用締結具内にゆっくりと導いた後、プロテーゼ装置を通じて組織内に外科用締結具を迅速に発射するように適合される。先行技術の装置は、締結具を組織内に駆動し続けながら、ハンマー様の方式で締結具を通じて1つの動きで押し要素を迅速に前進させるか、又は締結具を組織内にゆっくりと駆動するために同じ速度で締結具にゆっくりと係合する。第1の種類の先行技術装置は、締結具の組織内への適切な挿入を確実にするために、確実な方法で締結具に係合するその能力が限定されている。第1の「ハンマー様」先行技術装置はまた、衝突力のために外科用締結具を損傷することがあり、又は衝突力に耐えるように適合された大きな締結具の使用を必要とし得る。第2の種類の先行技術装置は、組織の広がりを避け、適切な組織の貫通を可能にするのに十分なだけ速く、締結具を前進させない。これらの先行技術手法は両方とも、組織への一貫しかつ反復可能な締結具の貫通に適していない。一実施形態において、本発明は、挿入フォークを先頭外科用締結具内へとゆっくりと導き、これが挿入フォークと外科用締結具の適切な係合を確実にすることよって、これらの制限を解決する。適切な係合の後、本発明はまた、プロテーゼ装置を通って組織内へと、外科用締結具の迅速な発射を提供する。結果として、各外科用締結具は、好ましくは、ユーザーのトリガーの圧迫の速度とは無関係に同様に挿入される。
【0032】
一実施形態において、発射ロッドの遠位端部は、発射周期の第1段階中に外科用締結具の少なくとも1つと連結され、発射ロッドの遠位端部が外科用締結具の少なくとも1つを、発射周期の第2段階中に細長いシャフトの遠位端部から分配する。発射システムは、発射ロッドと連結された発射ばねなどのエネルギー保存要素を含んでもよく、それによって発射システムが、発射周期の第2段階の前に発射ばね中にエネルギーを保存し、発射周期の第2段階中に発射ばねから発射ロッドへと保存されたエネルギーを移送するように適合される。一実施形態において、エネルギー保存要素としてはまた、空気式装置、水力式装置及び/又は圧縮気体装置が挙げられる。
【0033】
一実施形態において、アプリケータ器具は、発射システムを起動するために第1位置と第2位置との間で可動の作動装置を含む。作動装置は、発射システムを起動する圧迫可能なトリガーであり得る。一実施形態において、発射ばねは、発射周期の第1段階の前に少なくとも部分的に圧迫され、発射ロッドは発射周期の第1段階中に作動装置の移動と比例する速度で遠位方向に前進する。発射ばねは好ましくは、作動装置が第1位置から第2位置へと動く際に、内部にエネルギーを保存するために圧縮可能である。発射ばね内に保存されるエネルギーは、発射ロッドを細長いシャフトの遠位端部の方に迅速に駆動するために、発射周期の第2段階中に解放される。本明細書において開示される実施形態の多くは「発射ばね」に言及するが、上記に開示されるものなどの、他のエネルギー保存装置が使用され得、依然として本発明の範囲内にあることが想到される。
【0034】
一実施形態において、発射システムは好ましくは、発射周期の第1段階の後かつ発射周期の第2段階の前に、発射ロッドを、細長いシャフトの遠位端部の方に移動しないように拘束する、解放ラッチを含む。発射周期の好ましい段階において、かつ好ましくは発射システム内にエネルギーが保存された後に、解放ラッチは望ましくは、遠位方向に移動するように発射ロッドを解放する。
【0035】
一実施形態において、アプリケータ器具は、作動装置と連結され、かつ外科用締結具を細長いシャフトの遠位端部の方に前進させるために細長いシャフトを通って延びる、アドバンサを含み得る。アドバンサは好ましくは、作動装置が第1位置から第2位置へと移動する際に細長いシャフトの遠位端部の方に移動するように適合されている。アドバンサは好ましくは、作動装置が第2位置から第1位置へと移動する際にシャフトの近位端部の方に移動するように適合されている。アドバンサは望ましくは、アドバンサの遠位端部の方に突出している複数のアドバンサタブを含み、各アドバンサタブは、外科用締結具を細長いシャフトの遠位端部の方に推進するために外科用締結具の1つと係合するように適合されている。
【0036】
一実施形態において、外科用締結具は、アドバンサによって細長いシャフトの遠位端部の方に推進されるために、細長いシャフト内に配置される。一実施形態において、外科用締結具の最遠位の1つは、外科用締結具の最遠位の1つと発射ロッドの遠位端部を位置合わせするために、段階アセンブリによって係合可能である。一実施形態において、発射ロッドの遠位端部は、外科用締結具の最遠位の1つと係合するように適合された、離間した歯を有する挿入フォークを含む。
【0037】
一実施形態において、外科用締結具は、第1脚部であって、第1挿入先端部を有する遠位端部、近位端部、及び第1挿入先端部に隣接するように位置する第1挿入ツール座部表面を有する、第1脚部を備える。外科用締結具は好ましくは、第2脚部であって、第2挿入先端部を有する遠位端部、近位端部、及び第2挿入先端部に隣接するように位置する第2挿入ツール座部表面を有する、第2脚部を備える。外科用締結具はまた、望ましくは、外科用締結具の閉鎖近位端部を形成するために、第1脚部及び第2脚部の近位端部を接続する、ブリッジを含む。一実施形態において、挿入フォークの歯は好ましくは、外科用締結具の近位端部よりも外科用締結具の遠位端部に近い位置で外科用締結具上に挿入力を適用するため、外科用締結具の第1及び第2挿入ツール座部表面に対して配置可能である。
【0038】
一実施形態において、アプリケータ器具は、外科用締結具が全て分配された後、発射システムの動作を防ぐために、発射システムと連結されるロックアウトシステムを含み得る。一実施形態において、ロックアウトシステムは、全ての外科用締結具が分配された後、作動装置又はトリガーを閉鎖位置に固定する。
【0039】
一実施形態において、外科用締結具を分配するためのアプリケータ器具は、ハンドル区分及びトリガーを有するハウジングと、外科用締結具を分配するための細長いシャフトと、を含む。細長いシャフトは、ハウジングと連結した近位端部、及び近位端部から離れた遠位端部を含む。細長いシャフトは、外科用締結具を細長いシャフトの遠位端部から送達又は分配するために、内部を通って延びる外科用締結具送達導管を含み得る。アプリケータ器具は好ましくは、トリガーによって起動可能な発射システムを含み、発射システムは発射ロッド及び発射ロッドと連結されたエネルギー保存アセンブリを含む。一実施形態において、発射システムは望ましくは、発射ロッドを細長いシャフトの遠位端部の方に第1速度で移動させるための第1段階と、発射ロッドを細長いシャフトの遠位端部の方に第1速度より速い第2速度で駆動するためにエネルギー保存アセンブリから発射ロッドにエネルギーを移送するための第2段階と、を含む第1周期を有する。一実施形態において、エネルギーは、発射ロッドが第1速度で前方に移動する際の最初の先導段階中において、エネルギー保存アセンブリに保存され得る。
【0040】
一実施形態において、アプリケータ器具は、外科用締結具を発射ロッドの遠位端部と位置合わせするために、細長いシャフト内に配置される段階アセンブリを含み得る。外科用締結具は好ましくは、段階シャフト内の細長い導管を通って細長いシャフトの遠位端部の方に前進させられる。アプリケータ器具は、トリガーが圧迫される度に外科用締結具を細長いシャフトの遠位端部の方に漸増的に前進させるために、発射システムと連結されたアドバンサを含み得る。一実施形態において、発射ロッドは好ましくは、トリガーが開放位置から閉鎖位置へと圧迫される時、遠位方向に移動し、発射ロッドは、トリガーが閉鎖位置から開放位置へと戻る際に近位方向に移動する。
【0041】
一実施形態において、外科用締結具を分配する方法は、ハウジング、ハウジングから突出する細長いシャフト、及び外科用締結具を細長いシャフトの遠位端部から分配するための発射ロッドを含む発射システムを有する、アプリケータ器具を提供する工程を含む。この方法は好ましくは、第1外科用締結具を発射ロッドの遠位端部と位置合わせする工程と、発射ロッドの遠位端部を、外科用締結具と係合するために、第1外科用締結具の方へと第1速度で前進させる工程と、発射ロッド前進工程の後で、かつ発射ロッドを細長いシャフトの遠位端部の方に移動しないように拘束している間に、発射システム内にエネルギーを保存する工程と、を含む。この方法は望ましくは、発射ロッドを遠位方向の移動のために解放する工程と、第1すなわち先頭外科用締結具を細長いシャフトの遠位端部から分配するために、第1速度よりも速い第2速度で発射ロッドを遠位方向に駆動するために、保存されたエネルギーを発射ロッドに移送する工程と、を含む。
【0042】
一実施形態において、発射システムは望ましくは、発射ロッドと連結される圧縮可能な発射ばねと、発射システム内にエネルギー保存するために発射ばねを選択的に圧縮するための、発射ばねと連結された作動装置と、を含む。一実施形態において、発射ロッドを前進させるためのエネルギーがばねに保存される。一実施形態において、ばねは、アプリケータ器具の起動の前に予備荷重をかけられているか又は予備圧縮されている、発射ばねである。
【0043】
一実施形態において、アプリケータ器具は、外科用締結具がもはや利用可能でない場合(例えば、全ての外科用締結具が分配された時)に、アプリケータ器具の動作を防ぐために、ロックアウト機構を含む。一実施形態において、ロックアウト機構は好ましくは、装置が空である時にトリガーを閉鎖位置に固定する。ロックアウト機構はまた、いくつの外科用締結具が分配されたか及び/又はいくつの外科用締結具が利用可能なままであるかを表示する、機械的又は電子的カウンターを含み得る。
【0044】
一実施形態において、細長いシャフトの遠位端部などのアプリケータ器具の遠位端部は、方向付けのための1つ又は複数のマーキングを含む。細長いシャフトの遠位端部はまた、装置の位置付けを補助する及び/又は1つ又は複数のメッシュストランドを捕捉するために、遠位先端部上に提供された1つ又は複数の特徴を含み得る。一実施形態において、アプリケータ器具は、1つ又は複数のメッシュのストランドを捕捉するための1つ又は複数の突起部を含む。
【0045】
一実施形態において、外科用締結具は、第1脚部であって、遠位端部、近位端部、及び第1脚部の遠位端部における第1挿入先端部を有する、第1脚部を備える。外科用締結具は好ましくは、第2脚部であって、遠位端部、近位端部、及び第2脚部の遠位端部における第2挿入先端部を有する、第2脚部を備える。ブリッジは、外科用締結具の閉鎖端部を形成するために、第1及び第2脚部の近位端部を接続することが望ましい。第1挿入先端部は好ましくは、第1挿入ツール座部表面を含み、第2挿入先端部は好ましくは、第2挿入ツール座部表面を含む。
【0046】
一実施形態において、第1脚部及び第2脚部はそれぞれの長手方向軸に沿って延在し、第1挿入先端部及び第2挿入先端部は、第1脚部及び第2脚部のそれぞれの長手方向軸に対して外側に傾斜するか又は角度を有する。結果として、一実施形態において、挿入先端部間の間隔は、第1脚部と第2脚部との間の間隔よりも大きく、これは脚部間におけるストランド又は繊維の捕捉を向上させ得る。一実施形態において、第1挿入先端部及び第2挿入先端部の少なくとも一方は、鈍い遠位貫通点を有する。一実施形態において、第1挿入先端部及び第2挿入先端部の両方は、鈍い遠位貫通点を含む。
【0047】
一実施形態において、第1挿入先端部は、第1挿入ツール座部表面を有する近位端部を含み、第2挿入先端部は、第2挿入ツール座部表面を含む近位端部を含む。一実施形態において、第1挿入ツール座部表面は、第1脚部の近位端部よりも第1脚部の遠位端部に近く、第2挿入ツール座部表面は、第2脚部の近位端部よりも第2脚部の遠位端部に近い。第1挿入ツール座部表面及び第2挿入ツール座部表面は好ましくは、各第1脚部及び第2脚部の近位端部の方を向き、歯又は挿入フォークの遠位端部などの、挿入ツールの遠位端部に係合するように適合される。
【0048】
一実施形態において、第1挿入ツール座部表面は、第1脚部の近位端部の方を向く開口部を含み、第2挿入ツール座部表面は、第2脚部の近位端部の方を向く第2開口部を含む。挿入ツール座部表面の開口部は、一端が(例えば、遠位端部において)閉鎖している盲導通孔であり得る。一実施形態において、第1挿入ツール座部表面は、第1挿入先端部を通って完全に延びる第1穴を含み、第2挿入ツール座部表面は、第2挿入先端部を通って完全に延びる第2穴を含む。
【0049】
一実施形態において、外科用締結具の第1脚部は好ましくは、第1脚部の近位端部と第1挿入ツール座部表面との間に延びる第1位置合わせ案内部を含み、第2脚部は好ましくは、第2脚部の近位端部と第2挿入ツール座部表面との間に延びる第2位置合わせ案内部を含む。第1脚部上の第1位置合わせ案内部は好ましくは、第1挿入ツール座部表面と実質的に位置合わせされ、第2脚部上の第2位置合わせ案内部は好ましくは、第2挿入ツール座部表面と実質的に位置合わせされる。第1位置合わせ案内部及び第2位置合わせ案内部は、脚部の遠位端部と近位端部との間に延びるリブ、脚部の遠位端部と近位端部との間に延びる溝、又はリブ及び溝の組み合わせを含み得る。
【0050】
一実施形態において、第1挿入先端部及び第2挿入先端部は、互いにずらして配置された遠位端部を有し、これは外科用締結具を組織内に固定するために必要とされる力の量を低減し得る。一実施形態において、外科用締結具の近位端部に隣接するブリッジは、挿入ツールの表面と係合可能な第3挿入ツール座部表面を画定する。
【0051】
一実施形態において、外科用締結具の第1脚部は、第1脚部の近位端部の方に突出する第1返し部を備え、外科用締結具の第2脚部は、第2脚部の近位端部の方に突出する第2返し部を備え、第1折り返し部及び第2返し部は、互いにずらして配置される。一実施形態において、各第1脚部及び第2脚部上の第1返し部及び第2返し部は、互いにから離れて外側に向かって突出する。別の実施形態において、各第1脚部及び第2脚部上の第1返し部及び第2返し部は、互いに内側に向かって突出する。
【0052】
一実施形態において、プロテーゼ装置を組織に固定するための外科用締結具は、第1脚部であって、遠位端部、近位端部、第1脚部の遠位端部と近位端部との間に延びる第1位置合わせ案内部、及び第1脚部の第1遠位端部における第1挿入先端部を含む、第1脚部を備える。外科用締結具は望ましくは、第2脚部であって、遠位端部、近位端部、第2脚部の遠位端部と近位端部との間に延びる第2位置合わせ案内部、及び第2脚部の遠位端部における第2挿入先端部を含む、第2脚部を備える。外科用締結具は好ましくは、外科用締結具の閉鎖端部を形成するために、第1脚部及び第2脚部の近位端部を接続するブリッジを含む。
【0053】
一実施形態において、第1挿入先端部は、第1挿入ツール座部表面を備える近位端部を有し、第2挿入先端部は、第2挿入ツール座部表面を備える近位端部を有する。第1挿入ツール座部表面及び第2挿入ツール座部表面は、第1脚部及び第2脚部の近位端部の方を向く凸状表面、第1脚部及び第2脚部の近位端部の方を向く凹状表面、第1脚部及び第2脚部の近位端部の方を向く開口部、第1脚部及び第2脚部の近位端部の方を向く盲導通孔、並びに/又は第1挿入先端部及び第2挿入先端部を通って延びる穴を含み得る。
【0054】
一実施形態において、第1位置合わせ案内部及び第2位置合わせ案内部は、脚部の遠位端部と近位端部との間に延びるリブ、及び脚部の遠位端部と近位端部との間に延びる溝を含む位置合わせ案内部の群から選択される。第1位置合わせ案内部及び第2位置合わせ案内部は、各第1挿入ツール座部表面及び第2挿入ツール座部表面と実質的に位置合わせされる。一実施形態において、第1座部表面及び第2座部表面は望ましくは、外科用締結具の近位端部よりも外科用締結具の遠位端部に近い。
【0055】
一実施形態では、外科用締結具を分配するためのアプリケータ器具は、ハウジングと、ハウジングから延在する細長いシャフトと、を含み、細長いシャフトは、近位端部と、遠位端部と、近位端部と遠位端部との間を延在する長手方向軸と、を含む。アプリケータ器具は望ましくは、細長いシャフトの内部に配置され、後退位置と延びた位置との間の第1平面内で可動である、発射ロッドを含む。細長いシャフトは好ましくは、細長いシャフトの内部に配置され、後退位置と延びた位置との間の第2平面内で可動である、アドバンサを含む。アプリケータ器具は好ましくは、細長いシャフトの遠位端部に隣接して位置し、外科用締結具を発射ロッドの遠位端部と位置合わせするように適合された、段階アセンブリを含む。段階アセンブリは好ましくは、アドバンサが延びた位置にある時に、アドバンサによって第2平面下に保持され、段階アセンブリは好ましくは、アドバンサが後退位置に向かって移動しているか又は後退位置にある時に、発射ロッドの遠位端部と少なくとも部分的に位置合わせされるように移動するよう適合される。
【0056】
アプリケータ器具は好ましくは、細長いシャフト内に配置される複数の外科用締結具を含み、アドバンサは、アドバンサが後退位置から延びた位置へと移動する度に、外科用締結具を細長いシャフトの遠位端部の方に1位置移動させるように適合される。一実施形態において、複数の外科用締結具は望ましくは、細長いシャフトの遠位端部に隣接して位置する先頭外科用締結具と、先頭外科用締結具と細長いシャフトの近位端部との間に位置する一連の後続外科用締結具と、を含む。
【0057】
一実施形態において、アドバンサは複数のアドバンサタブを含み、各アドバンサタブは好ましくは、アドバンサが後退位置から延びた位置へと移動する際に、外科用締結具を細長いシャフトの遠位端部の方に推進するために、外科用締結具の1つと係合するように適合される。一実施形態において、アドバンサタブは細長いシャフトの遠位端部の方に突出する。一実施形態において、アドバンサは、先頭外科用締結具を段階アセンブリと接触させるために、延びた位置へと可動である。
【0058】
一施形態において、細長いシャフトの床部は、複数の後退防止タブを含み、後退防止タブは、細長いシャフト内の外科用締結具が細長いシャフトの近位端部の方に移動することを防ぐように適合される。一実施形態において、後退防止タブは、細長いシャフトの遠位端部の方に突出する。
【0059】
一実施形態において、アドバンサは、先頭外科用締結具を段階アセンブリと接触するように推進し、段階アセンブリは、アドバンサが後退位置に戻る時に、先頭外科用締結具を発射ロッドの遠位端部と実質的に位置合わせするように持ち上げるように適合される。
【0060】
一実施形態において、細長いシャフトは、発射ロッドの遠位方向及び近位方向の移動を案内するために、発射ロッドに係合する及び/又は接触するように適合される、少なくとも1つの案内表面を含む。一実施形態において、少なくとも1つの案内表面は、発射ロッドの遠位方向及び近位方向の移動を案内するために、発射ロッドの相対する側部と係合するように適合される、一対の対向する案内フランジを含む。
【0061】
一実施形態において、発射ロッドの遠位端部は、第1挿入ツール座部表面と係合するように適合される遠位端部を有する、第1の歯と、第2挿入ツール座部表面と係合するように適合される遠位端部を有する、第2の歯と、を有する、挿入フォークなどの挿入ツールを含む。一実施形態において、外科用締結具のブリッジは、第3挿入ツール座部表面を画定する近位表面を有し、挿入ツールは、第3挿入ツール座部表面と係合するように適合される、第1の歯の近位端部と第2の歯の近位端部との間に延びる遠位表面を含む。
【0062】
一実施形態において、外科用締結具を分配するためのアプリケータ器具は、ハウジングと、ハウジングから延びる細長いシャフトであって、細長いシャフトは、近位端部及び近位端部から離れた遠位端部を含む、細長いシャフトと、細長いシャフトの遠位端部から分配するために、細長いシャフト内に配置される、複数の外科用締結具と、を含む。アプリケータ器具は好ましくは、細長いシャフトの近位端部と遠位端部との間で可動の細長いシャフトの内部に配置されるアドバンサを含み、アドバンサは、アドバンサが遠位方向に移動する度に、外科用締結具を細長いシャフトの遠位端部に1位置近く移動させるように適合される。アプリケータ器具は好ましくは、細長いシャフトの内部に配置され、アドバンサに重なる発射ロッドであって、発射ロッドは細長いシャフトの近位端部と遠位端部との間で可動である、発射ロッドを含む。アプリケータ器具は望ましくは、細長いシャフトの遠位端部に隣接して位置し、アドバンサが遠位方向に移動すると、アドバンサから外科用締結具の先頭の1つを受容し、アドバンサが近位方向に移動する時に、受容した先頭の外科用締結具を、発射ロッドの遠位端部と実質的に位置合わせするように移動させるように適合された、段階アセンブリを含む。
【0063】
一実施形態において、発射ロッドの遠位端部は、先頭外科用締結具と係合するために、第1速度で遠位方向に移動し、その後、先頭外科用締結具を細長いシャフトの遠位端部から分配するために、第1速度よりも速い第2速度で遠位方向に移動するように適合される。
【0064】
一実施形態において、外科用締結具の第1脚部は、第1脚部の近位端部と第1挿入ツール座部表面との間に延びる第1位置合わせ案内部を含み、外科用締結具の第2脚部は、第2脚部の近位端部と第2挿入ツール座部表面との間に延びる第2位置合わせ案内部を含む。第1脚部上の第1位置合わせ案内部は好ましくは、第1挿入ツール座部表面と実質的に位置合わせされ、第2脚部上の第2位置合わせ案内部は好ましくは、第2挿入ツール座部表面と実質的に位置合わせされている。一実施形態において、第1位置合わせ案内部は、第1脚部の遠位端部と近位端部との間に延びる第1リブを含み、第2位置合わせ案内部は、第2脚部の遠位端部と近位端部との間に延びる第2リブを含み、発射ロッドの遠位端部の第1の歯及び第2の歯は、外科用締結具と挿入ツールを係合させるために、各第1脚部及び第2脚部上の第1リブ及び第2リブと係合するように適合される、対向する溝を有する、対向する内側面を有する。
【0065】
一実施形態において、外科用締結具を分配する方法は、ハウジングと、ハウジングから延びる細長いシャフトと、を有する、アプリケータ器具を提供する工程であって、細長いシャフトは、近位端部及び近位端部から離れた遠位端部を含む、工程と、細長いシャフトの遠位端部から一度に1つ分配するために、細長いシャフト内に外科用締結具を提供する工程と、を含む。本方法は好ましくは、第1平面内の外科用締結具を細長いシャフトの遠位端部の方に前進させる工程を含む。外科用締結具の先頭の1つを細長いシャフトの遠位端部に隣接する位置へと前進させた後、先頭の外科用締結具は好ましくは、第1平面から第2平面に移動され、第2平面で先頭外科用締結具は発射ロッドの遠位端部と実質的に位置合わせされる。発射ロッドはその後望ましくは、先頭外科用締結具を発射ロッドと係合させ、先頭外科用締結具を細長いシャフトの遠位端部から分配するために、遠位方向に移動される。
【0066】
一実施形態において、方法は、外科用締結具を細長いシャフト内に装填する工程を含む。一実施形態において、発射ロッドを遠位方向に移動させる工程は、発射ロッドが、先頭外科用締結具と係合するために、第1速度で遠位方向に移動する、第1遠位方向移動段階と、発射ロッドが、先頭外科用締結具を細長いシャフトの遠位端部から分配するために、第2速度で遠位方向に移動し、第2速度が第1速度よりも速い、第1遠位方向移動段階に続く第2遠位方向移動段階と、を含む。
【0067】
一実施形態において、前進工程の後で、かつ発射ロッドを細長いシャフトの遠位端部の方に移動しないように拘束している間に、エネルギーが発射システム内に保存される。発射ロッドは後に拘束を解かれるか又は解放されてもよく、それによって発射ロッドは、遠位方向に移動することができ、保存されたエネルギーは、第1外科用締結具を細長いシャフトの遠位端部から分配するために、発射ロッドを第1速度よりも速い第2速度で遠位方向に駆動するために、発射ロッドに移送され得る。
【0068】
一実施形態において発射システムは、発射ロッドと連結された圧縮可能な発射ばねなどのエネルギー保存要素と、発射システム内にエネルギーを保存するために発射ばねを選択的に圧縮するための、発射ばねと連結された作動装置とを含む。
【0069】
一実施形態において、プロテーゼを組織に固定する方法は、外科用締結具を分配するためのアプリケータ器具であって、ハウジングと、ハウジングから延びる細長いシャフトであって、細長いシャフトは、ハウジングと連結された近位端部及び近位端部から離れた遠位端部を有する、細長いシャフトと、外科用締結具を細長いシャフトの遠位端部から分配するための発射システムと、を含む、アプリケータ器具、を提供する工程を含む。発射システムは好ましくは、細長いシャフト内に配置される発射ロッドを含み、発射システムは、発射ロッドを細長いシャフトの遠位端部の方へと第1速度で前進させるための第1段階、及び発射ロッドを細長いシャフトの遠位端部の方に第1速度よりも速い第2速度で前進させるための第2段階、を有する発射周期を有する。本方法は好ましくは、外科用メッシュなどのプロテーゼを組織の上に位置付ける工程と、プロテーゼを組織に取り付けるために外科用締結具の少なくとも1つを細長いシャフトの遠位端部から分配するために、アプリケータ器具を操作する工程と、を含む。一実施形態において、組織にプロテーゼを取り付けるために複数の外科用締結具が分配され得る。
【0070】
一実施形態において、外科用締結具を分配するように適合されたアプリケータ器具のための発射システムは、ハウジングと、ハウジングから延びる細長いシャフトと、細長いシャフト内に配置される発射ロッドと、発射周期の少なくとも一段階中において、発射ロッドの遠位方向の移動を防ぐために発射ロッドと係合可能な発射ロッド解放器と、ハウジングに取り付けられるトリガーと、発射ロッドと接続された第1端部、及び発射周期中において、トリガーと順次連結し、分離するように適合された第2端部を有する発射ばねと、を含む。一実施形態において、発射周期は望ましくは、トリガーが開放し、発射ばねから分離し、発射ばねが少なくとも部分的に圧縮される、初期段階と、発射ロッド解放器が、発射ロッドの遠位方向の移動を可能にするために発射ロッドから係合離脱する、先導段階と、を含む。トリガーは好ましくは、少なくとも部分的に圧縮された発射ばねを遠位方向に移動させ、ひいてはこれが発射ロッドをトリガーの移動と比例する第1速度で遠位方向に移動させるように、トリガーを発射ばねと連結するために、第1距離だけ圧迫可能である。一実施形態において、空気式装置又は水力式装置などのエネルギー保存要素が、発射ばねの代わりに又はこれと組み合わせて使用され得る。
【0071】
一実施形態において、発射周期は、先導段階の後に、発射ロッド解放器が、発射ロッドの遠位方向の移動を防ぐために発射ロッドと係合し、トリガーが、発射ばねを更に圧迫して発射ばねの内部にエネルギーを保存するために第2距離だけ更に可動である、エネルギー保存段階を含む。発射周期は好ましくは、発射ロッド解放器が発射ロッドから係合離脱し、それによって発射ロッドが細長いシャフトの遠位端部の方に自由に移動し、発射ばねは、発射ロッドを細長いシャフトの遠位端部の方に第1速度及びトリガーの移動の両方より速い第2速度で迅速に前進させるために、発射ばね内部に保存されたエネルギーを発射ロッドに移送する、発射段階を含む。
【0072】
一実施形態において、発射周期は、トリガーを発射ばねから分離し、この際、発射ロッドが細長いシャフトの近位端部の方に自由に移動するように、トリガーが第3距離だけ更に圧迫可能である、分離段階を含む。
【0073】
一実施形態において、発射システムは、細長いシャフト内に配置され、細長いシャフトに沿って近位方向及び遠位方向に可動であるアドバンサを含む。発射周期は好ましくは、発射段階の後に、外科用締結具を細長いシャフトの遠位端部の方に移動させるように、アドバンサを細長いシャフトの遠位端部の方に移動させるために、トリガーが第4距離だけ更に圧迫可能である、外科用締結具前進段階を含む。
【0074】
一実施形態において、発射周期は好ましくは、外科用締結具前進段階の後に、トリガーが、アドバンサを近位方向に移動するために圧迫された位置から初期段階の開放位置に移動する、後退段階を含む。
【0075】
一実施形態において、発射システムは好ましくは、ハウジング内に配置され、発射ばねの近位端部と係合可能なばねブロックを含む。ばねブロックは好ましくは、細長いシャフトによって画定される長手方向軸に沿って近位方向及び遠位方向に移動するように適合されている。一実施形態において、エネルギー保存段階中において、トリガーは、ばねブロックを遠位方向に移動し、これがひいては発射ばねを更に圧縮するように、ばねブロックと連結される。
【0076】
一実施形態において、発射システムはトリガーと連結される主要ラッチを含む。主要ラッチは好ましくは、先導段階、エネルギー保存段階、及び発射段階中において、トリガーをばねブロックと連結し、分離段階、外科用締結具前進段階、及び後退段階中において、トリガーをばねブロックから分離するように適合される。一実施形態において、発射段階の開始時において、ばねブロックは、発射ロッドが遠位方向に移動し得るように、発射ロッド解放器を発射ロッドから係合離脱させるために、発射ロッドと接触する。
【0077】
一実施形態において、外科用締結具アプリケータ器具のための発射システムは、ハウジング及びハウジングから延びる細長いシャフトを含む。発射システムは望ましくは、細長いシャフト内に配置され、長手方向軸に沿って近位方向及び遠位方向に可動である、発射ロッドと、ハウジング内に配置され、長手方向軸に沿って近位方向及び遠位方向に移動するように適合された発射ばねブロックと、発射ロッドと連結される遠位端部、及び発射ばねブロックと係合可能な近位端部を有する発射ばねと、を含む。発射システムは好ましくは、発射システムを駆動するためにハウジングに取り付けられたトリガーであって、このトリガーは、発射周期中において、トリガーを発射ばねブロックと順次連結及び分離するための主要ラッチを含む、トリガーを含む。
【0078】
一実施形態において、発射周期は好ましくは、トリガーが開放し、トリガーが発射ばねブロックから分離され、発射ばねが少なくとも部分的に圧縮される、初期段階を含む。発射システムは好ましくは、発射ロッドが遠位方向に自由に移動し、少なくとも部分的に圧縮された発射ばねを遠位方向に移動させ、これがひいては発射ロッドをトリガーの移動と比例する第1速度で遠位方向に移動させるように、トリガーを発射ばねブロックと連結するために、第1距離だけ圧迫可能である、先導段階を含む。一実施形態において、発射ばねの圧縮レベルは、先導段階中において不変のままである。一実施形態において、発射ばねは、先導段階中に圧縮され得る。
【0079】
一実施形態において、発射周期は、先導段階の後に、発射ばねを更に圧縮する及び/又は発射ばね内部にエネルギーを保存するために、トリガーが第2距離だけ更に圧迫可能であり、一方で発射ロッド解放器は、発射ロッドの遠位方向の移動を防ぐために発射ロッドと係合する、エネルギー保存段階を含む。
【0080】
発射周期は好ましくは、エネルギー保存段階の後に、発射ロッド解放器が発射ロッドから係合離脱し、それによって発射ロッドが細長いシャフトの遠位端部の方に自由に移動し、発射ばねは、発射ロッドを細長いシャフトの遠位端部の方に第1速度より速い第2速度で迅速に前進させるために、発射ばね内部に保存されたエネルギーを発射ロッドに移送する、発射段階を含む。
【0081】
発射周期は好ましくは、発射段階の後に、発射ロッドが近位方向に移動し得るように、トリガーを発射ばね及び発射ロッドから分離するために、トリガーが第3距離だけ更に圧迫可能である、分離段階を含む。
【0082】
一実施形態において、発射システムは細長いシャフト内に配置されるアドバンサを含む。アドバンサは好ましくは、外科用締結具を細長いシャフトの遠位端部の方に移動させるために、細長いシャフトの近位端部と遠位端部との間で可動である。発射周期は、発射段階の後に、アドバンサを細長いシャフトの遠位端部の方に移動させるように、ひいては外科用締結具を細長いシャフトの遠位端部の方に移動させるように、トリガーが第4距離だけ更に圧迫可能である、外科用締結具前進段階を含み得る。
【0083】
一実施形態において、発射システムは好ましくは、ハウジン内に配置されるばねブロックを含む。ばねブロックは好ましくは、長手方向軸に沿って近位方向及び遠位方向に移動するように適合される。ばねブロックは好ましくは、発射ばねと係合し、エネルギー保存段階中において、トリガーは、ばねブロックを遠位方向に移動し、これがひいては発射ばねを圧縮するように、ばねブロックと連結される。発射システムはまた、トリガーと連結される主要ラッチを含み得る。主要ラッチは好ましくは、先導段階、エネルギー保存段階、及び発射段階において、トリガーをばねブロックと連結し、分離段階、外科用締結具前進段階、及び後退段階中において、トリガーをばねブロックから分離するように適合される。
【0084】
一実施形態において、外科用締結具をアプリケータ器具から分配する方法は、ハウジング、ハウジングから延びる細いシャフト、外科用締結具を細長いシャフトの遠位端部から分配するために近位方向及び遠位方向に可動である、細長いシャフト内に配置される発射ロッド、アプリケータ器具を操作するためのトリガー、並びにトリガーと発射ロッドとの間に配置されるエネルギー保存要素を提供する工程を含む。本方法は好ましくは、発射ロッドを細長いシャフトの遠位端部の方に第1速度で導くためにトリガーを圧迫する工程と、発射ロッドを導いた後に、発射ロッドが遠位方向に移動するのを防ぐと同時にエネルギー保存要素内にエネルギーを保存するためにトリガーを更に圧迫する工程と、を含む。本方法は好ましくは、遠位方向の移動のために発射ロッドを解放する工程と、エネルギー保存要素内に保存されたエネルギーを、発射ロッドを細長いシャフトの遠位端部の方に第1速度よりも速い第2速度移動させるために、発射ロッドに移送する工程と、を含む。一実施形態において、先導段階中、発射ロッドは、トリガーの移動と比例する第1速度で遠位方向に移動する。
【0085】
一実施形態において、エネルギー保存要素は、トリガーと発射ロッドとの間に配置される発射ばねである。一実施形態において、発射ばねは、発射ロッドを細長いシャフトの遠位端部の方に導く前に少なくとも部分的に圧縮されており、発射ばねは、先導段階中に不変である圧縮レベルを有する。本明細書において記載されるように、エネルギー保存要素はまた、空気式装置、水力式装置、圧縮気体装置、又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0086】
一実施形態において、本方法は、細長いシャフト内に複数の外科用締結具を提供する工程と、細長いシャフト内に配置されるアドバンサを提供する工程と、を含む。アドバンサは好ましくはトリガーと連結され、トリガーが圧迫された時に、細長いシャフトの遠位端部の方に移動し、トリガーが開放された時に、細長いシャフトの近位端部の方に移動するように適合される。本方法は好ましくは、アドバンサを細長いシャフトの遠位端部の方に移動させるためにトリガーを圧迫する工程であって、これによって遠位方向に移動するアドバンサは、外科用締結具のそれぞれを細長いシャフトの遠位端部に1位置近づける、工程を含む。一実施形態において、トリガーは、これが閉鎖位置へと完全に圧迫されるまで、開放位置に戻らない場合がある。
【0087】
アプリケータ器具は、様々な長さ及び直径で作製され得る。より短い長さは、開放式外科手術にとってより好適であり得る。一実施形態では、アプリケータ器具のシャフト直径は、好ましくは約3〜10mm、より好ましくは約3〜5mmである。一実施形態では、アプリケータ器具は2個以上の外科用締結具を含み、かつ10、25、100、又はそれ以上の外科用締結具などの複数の締結具を予備装填され得る。一実施形態において、アプリケータ器具は開放式手術のために、10個の外科用締結具を予備装填されている。一実施形態において、アプリケータ器具は標準的な腹腔鏡手術のために、30個の外科用締結具を予備装填されている。一実施形態において、外科用締結具は容易な装填及び/又は再装填のために、カートリッジ内に収容され得る。いくつかの実施形態において、アプリケータ器具は、ハンドルの一部として支持縫合糸装置を、又はトロカール創傷閉鎖での使用のために、商標Dermabond(商標)で販売される組織接着剤などの皮膚接着剤を分配する装置/ハンドルを含み得る。
【0088】
一実施形態において、外科用締結具は好ましくは、非常に小さい外形を有し、半剛性であり得、かつ完全に吸収性であり得る。外科用締結具の吸収性特性は好ましくは、恒久的な固定により生じる慢性疼痛を低減する。加えて、低背の外科用締結具は、内蔵の癒着を低減する。当業者によって既知であるように、再手術の間に恒久的なタッカーによって生じる過剰な接着が見られることは非常に一般的である。
【0089】
一実施形態において、外科用締結具は、より広い領域にわたって組織保持力を拡げるために、それらの間に接続後部架橋部が延びている2つの固定点を提供する。2つの固定点の間の架橋部は、メッシュの縁部にわたってタックを行きわたらせることを可能にし、これは、組織炎症の原因となり得るメッシュ端部への組織の暴露を最小限にする。
【0090】
一実施形態において、アプリケータ器具は1個又は複数の軟組織外科用締結具を展開する。外科用締結具は、プロテーゼ材料の人体への低い外形の軟組織の固定を提供する。一実施形態において、アプリケータ器具は、メッシュを使用する張力のない腹腔鏡ヘルニア治療を提供する。一実施形態において、プロテーゼメッシュは腹部欠損部上に配置され、恒久的又は吸収性外科用締結具のいずれかにより組織に取り付けられる。一実施形態において、外科用締結具はプラスチック又は吸収性ポリマーなどの比較的柔軟な材料で作製される。
【0091】
本発明は多くの利益を提供する。一実施形態において、外科用締結具の雄型機構が挿入装置の雌型機構と係合し、これは外科用締結具の成形の費用を低減する。一実施形態において、挿入装置のピン又は歯は、外科用締結具の挿入中に剛性を提供し、タックシステム及び剛化のために挿入ピン又は歯を使用しない方法に比べて、組織内により少ない吸収性質量を残す。
【0092】
一実施形態において、外科用締結具は丸い近位端部を有する。特に、各外科用締結具は外科用締結具の近位端部に接続ブリッジ又は後部架橋部を有し、これは丸く、結果として組織への挿入後に非常に低い外形が得られる。外科用締結具の低い外形の設計及び小さい直径は、一旦外科用締結具が埋め込まれると、縫合の外観を有する、外科用締結具を生じる。より低い外形はまた、好ましくは身体内で癒着が形成される可能性を低減する。
【0093】
一実施形態において、外科用締結具は、外科用締結具の各挿入先端部の近位に形成される挿入ピンホール又は陥没部を有する。挿入ピンホール又は陥没部は好ましくは、各挿入先端部の中心の真上に位置する。結果として、挿入ピンホール又は陥没部は、挿入先端部と実質的に位置合わせされて、先端部の屈曲を避け、各貫通挿入先端部の真後ろに挿入するために力を方向付ける。
【0094】
単一のヘッドを有する従来技術の締結具では、単一のヘッドがプロテーゼメッシュの大きな孔を通って下降し得る。一実施形態において、本発明の外科用締結具は2つの挿入先端部の間に接続後部架橋部又はブリッジを有する。接続後部架橋部又はブリッジは、外科用締結具を、大きな孔の外科用プロテーゼメッシュとの使用により適合するものにする。
【0095】
一実施形態において、外科用締結具は、適用中に金属挿入器、プローブ又は歯によって充填される盲導通孔を有する。金属挿入器は好ましくは挿入中に外科用締結具に剛性を提供し、外科用締結具自体が吸収性ポリマーなどのより柔軟な材料によって作製されることを可能にする。別の実施形態において、剛性挿入物、プローブ又は歯は、組織への固定中に外科用締結具の先端部及び/又は脚部を支持する。
【0096】
一実施形態において、外科用締結具は、盲導通孔又はツール座部表面と位置合わせされる導入チャネルを有する。導入チャネルは少なくとも一方の側で軸方向に開き、これはより少ない材料を使用して外科用締結具を形成することを可能にし、かつこれは組織内成長の空間を提供し、固定強度を最大化する。
【0097】
一実施形態において、外科用締結具はずらして配置した先端部を有し、これは好ましくは、挿入中に生じるピーク力をずらすことによって必要な貫通力を低減する。一実施形態において、外科用締結具は、より大きな引き出し力を要求することにより組織中の固定を改善する、ずらして配置した返し部を有する。
【0098】
一実施形態において、外科用締結具は、互いから面外に設置される返し部を有し、これは外科用締結具の引き出しに必要な力を増大させる。一実施形態において、外科用締結具は、内部を通じて延びる貫通孔を備える挿入先端部を有する。貫通孔は好ましくは、針補助式挿入のための1つ又は複数の針を受容するように適合される。
【0099】
一実施形態において、外科用締結具は「リビングヒンジ」機構を有する1つ又は複数の返し部を有する。リビングヒンジは、返し部が挿入中に容易に折り畳まれるが、外科用締結具を取り除こうとする間に外側に広がることを可能にする。
【0100】
一実施形態において、外科用締結具の尖った挿入先端部は、切断されているか、画定されたチズルポイントを有し、これは挿入先端部が挿入中に切断することを可能にし、それによって外科用締結具の、GORE(登録商標)二重メッシュなどの困難な材料を貫通する能力を改善する。より強い、更により短い先端部設計を可能にするため、複合的な切断部又は切削角度を有する挿入先端部がまた使用され得る。
【0101】
一実施形態において、外科用締結具は円錐形の挿入先端部を有してもよく、これは切断部ではなく穿刺部を形成し、これによって保持力を改善する。本発明は動作のいかなる特定の理論によっても制限されないが、円錐形の挿入先端部は単一の圧力集中点のみを生じ、それによって外科用締結具のそれに続く部分が孔を半径方向に広げなくてはならない。これは外科用締結具の残りの部分が孔を通過することをより困難にし得るが、孔をより狭くすることによって保持力を潜在的に増大させ得るものと考えられる。
【0102】
一実施形態において、外科用締結具は内側に面する返し部を有する一対の離間した挿入点を含む。内側に面する返し部は、望ましくは返し部を外力から保護し、返し部を損傷することなく外科用締結具を複数送達することを容易にする。これらの実施形態は、真っ直ぐな側壁及び後部架橋部を有する場合があり、これらは外科用締結具が腹腔鏡管内で適切に位置合わせされた状態にしておくのを可能にする。
【0103】
一実施形態において、外科用締結具は、抗菌物質及び抗接着物質などの活性物質を組み込む場合がある。一実施形態において、外科用締結具は、外科用締結具がX線画像化機器において可視となることを可能にするX線不透過性を組み込んでもよい。
【0104】
一実施形態において、リブが外科用締結具の各脚部の外側に形成され、挿入フォークは各リブに跨る係合チャネルを有する。各フォークの歯の端部は、外科用締結具の挿入先端部内に形成される陥没部又は座部の底部に達する。この上記の設計は、陥没部の製造の複雑性を外科用締結具から挿入ツールの歯へと移す。この特徴は、アプリケータ器具が好ましくは多数の外科用締結具(1つのみの挿入フォークに対し)を分配するために、特に重要である。
【0105】
一実施形態において、挿入ツールはフォークの歯の近位端部の間に延びるブリッジを含む。挿入ツールのブリッジの形状は、外科用締結具の近位端部のブリッジの近位面に実質的にぴったりと一致し得る。一実施形態において、挿入フォークは、各フォークの遠位端部が外科用締結具の挿入先端部内に形成される座部表面の底部に達する若しくは係合する時に、又はその直前に、挿入フォークのブリッジ要素が外科用締結具の近位端部と接触するように設計される。一実施形態において、挿入フォークのブリッジは、ブリッジ及び遠位フォーク端部と外科用締結具のほぼ同時の接触を確実にするために必要な、要求される寸法的正確性を低減するために、より柔軟な(挿入フォークの残部のジュロ硬度に対し)エラストマー材料を含み得る。この構成は好ましくは、挿入ツールと外科用締結具との間に生じる圧力を低減するために、外科用締結具の後ろの駆動力が外科用締結具のより大きな表面積に沿って分布するのを可能にする。
【0106】
本発明のこれら及びその他の好ましい実施形態は、下記に詳しく記述される。
【図面の簡単な説明】
【0107】
図1A】本発明の一実施形態による、外科用締結具を分配するためのアプリケータ器具の斜視図を示す。
図1B図1Aに示されるアプリケータ器具の左側面図を示す。
図1C図1Aに示されるアプリケータ器具の右側面図を示す。
図2】本発明の一実施形態による、図1A〜1Cに示されるアプリケータ器具の近位端部の断面図を示す。
図3A】本発明の一実施形態による、図1A〜1Cに示されるアプリケータ器具の遠位端部の分解斜視図を示す。
図3B図3Aに示されるアプリケータ器具の遠位端部の分解左側面図を示す。
図4A】本発明の一実施形態による、図1A〜1Cに示されるアプリケータ器具の段階板(staging leaf)アセンブリを示す。
図4B】本発明の一実施形態による、図1A〜1Cに示されるアプリケータ器具の段階板(staging leaf)アセンブリを示す。
図4C】本発明の一実施形態による、図1A〜1Cに示されるアプリケータ器具の段階板(staging leaf)アセンブリを示す。
図4D】本発明の一実施形態による、図1A〜1Cに示されるアプリケータ器具の段階板(staging leaf)アセンブリを示す。
図4E】本発明の一実施形態による、図1A〜1Cに示されるアプリケータ器具の段階板(staging leaf)アセンブリを示す。
図5A】本発明の一実施形態による、外科用締結具を分配するためのアプリケータ器具の遠位端部の斜視図を示す。
図5B図5Aに示されるアプリケータ器具の遠位端部の側面図を示す。
図5C図5A及び図5Bに示されるアプリケータ器具の遠位端部の平面図を示す。
図6】本発明の一実施形態による、アプリケータ器具の遠位端部の斜視図を示す。
図7A】本発明の一実施形態による、外側管を含むアプリケータ器具の遠位端部を示す。
図7B】外側管が取り除かれた図7Aのアプリケータ器具の遠位端部を示す。
図8A】本発明の一実施形態による、外科用器具の斜視図を示す。
図8B図8Aに示される外科用締結具の正面図を示す。
図8C】挿入先端部を含む、図8Aに示される外科用締結具の左側面図を示す。
図8C-1】図8Cに示される挿入先端部の拡大図を示す。
図8D図8Aに示される外科用締結具の右側面図を示す。
図8E図8Aに示される外科用締結具の遠位端部面図を示す。
図8F図8Aに示される外科用締結具の近位端部面図を示す。
図8G図8Fに示される外科用締結具の脚部のうちの1つの断面図を示す。
図9A】本発明の一実施形態による、外科用締結具と位置合わせされる挿入フォークの斜視図を示す。
図9B図9Aに示される挿入フォーク及び外科用締結具の平面図を示す。
図10A】本発明の一実施形態による、外科用締結具を分配するためのアプリケータ器具の遠位端部を示す。
図10B図10Aに示されるアプリケータ器具の遠位端部の側面図を示す。
図10C図10A及び図10Bに示されるアプリケータ器具の遠位端部の平面図を示す。
図11A】本発明の一実施形態による、発射周期の段階中におけるアプリケータ器具の近位端部の断面図を示す。
図11B】本発明の一実施形態による、発射周期の段階中におけるアプリケータ器具の近位端部の断面図を示す。
図11C】本発明の一実施形態による、発射周期の段階中におけるアプリケータ器具の近位端部の断面図を示す。
図11D】本発明の一実施形態による、発射周期の段階中におけるアプリケータ器具の近位端部の断面図を示す。
図11E】本発明の一実施形態による、発射周期の段階中におけるアプリケータ器具の近位端部の断面図を示す。
図11F】本発明の一実施形態による、発射周期の段階中におけるアプリケータ器具の近位端部の断面図を示す。
図11G】本発明の一実施形態による、発射周期の段階中におけるアプリケータ器具の近位端部の断面図を示す。
図11H】本発明の一実施形態による、発射周期の段階中におけるアプリケータ器具の近位端部の断面図を示す。
図11I】本発明の一実施形態による、発射周期の段階中におけるアプリケータ器具の近位端部の断面図を示す。
図11J】本発明の一実施形態による、発射周期の段階中におけるアプリケータ器具の近位端部の断面図を示す。
図11K】本発明の一実施形態による、発射周期の段階中におけるアプリケータ器具の近位端部の断面図を示す。
図11L】本発明の一実施形態による、発射周期の段階中におけるアプリケータ器具の近位端部の断面図を示す。
図11M】本発明の一実施形態による、発射周期の段階中におけるアプリケータ器具の近位端部の断面図を示す。
図11N】本発明の一実施形態による、発射周期の段階中におけるアプリケータ器具の近位端部の断面図を示す。
図11A-1】各図11A図11Nに示される発射周期の段階中におけるアプリケータ器具の遠位端部の側断面図を示す。
図11B-1】各図11A図11Nに示される発射周期の段階中におけるアプリケータ器具の遠位端部の側断面図を示す。
図11C-1】各図11A図11Nに示される発射周期の段階中におけるアプリケータ器具の遠位端部の側断面図を示す。
図11D-1】各図11A図11Nに示される発射周期の段階中におけるアプリケータ器具の遠位端部の側断面図を示す。
図11E-1】各図11A図11Nに示される発射周期の段階中におけるアプリケータ器具の遠位端部の側断面図を示す。
図11F-1】各図11A図11Nに示される発射周期の段階中におけるアプリケータ器具の遠位端部の側断面図を示す。
図11G-1】各図11A図11Nに示される発射周期の段階中におけるアプリケータ器具の遠位端部の側断面図を示す。
図11H-1】各図11A図11Nに示される発射周期の段階中におけるアプリケータ器具の遠位端部の側断面図を示す。
図11I-1】各図11A図11Nに示される発射周期の段階中におけるアプリケータ器具の遠位端部の側断面図を示す。
図11J-1】各図11A図11Nに示される発射周期の段階中におけるアプリケータ器具の遠位端部の側断面図を示す。
図11K-1】各図11A図11Nに示される発射周期の段階中におけるアプリケータ器具の遠位端部の側断面図を示す。
図11L-1】各図11A図11Nに示される発射周期の段階中におけるアプリケータ器具の遠位端部の側断面図を示す。
図11M-1】各図11A図11Nに示される発射周期の段階中におけるアプリケータ器具の遠位端部の側断面図を示す。
図11N-1】各図11A図11Nに示される発射周期の段階中におけるアプリケータ器具の遠位端部の側断面図を示す。
図12A】本発明の一実施形態による、プロテーゼ装置を組織に固定するための外科用締結具を分配するためのアプリケータ器具を使用する方法を示す。
図12B】本発明の一実施形態による、プロテーゼ装置を組織に固定するための外科用締結具を分配するためのアプリケータ器具を使用する方法を示す。
図12C】本発明の一実施形態による、プロテーゼ装置を組織に固定するための外科用締結具を分配するためのアプリケータ器具を使用する方法を示す。
図12D】本発明の一実施形態による、プロテーゼ装置を組織に固定するための外科用締結具を分配するためのアプリケータ器具を使用する方法を示す。
図12E】本発明の一実施形態による、プロテーゼ装置を組織に固定するための外科用締結具を分配するためのアプリケータ器具を使用する方法を示す。
図13A】本発明の一実施形態による、アプリケータ器具のロックアウトシステムの斜視図を示す。
図13B図13Aに示されるロックアウトシステムの側面図を示す。
図14A】本発明の一実施形態による、図13A及び図13Bのロックアウトシステムの平面図を示す。
図14B】本発明の一実施形態による、図13A及び図13Bのロックアウトシステムの平面図を示す。
図14C】本発明の一実施形態による、図13A及び図13Bのロックアウトシステムの平面図を示す。
図14D】本発明の一実施形態による、図13A及び図13Bのロックアウトシステムの平面図を示す。
図14E】本発明の一実施形態による、図13A及び図13Bのロックアウトシステムの平面図を示す。
図15A】本発明の一実施形態による、図13A〜13B及び14A〜14Eに示されるロックアウトシステムの他の斜視図を示す。
図15B】本発明の一実施形態による、図13A〜13B及び14A〜14Eに示されるロックアウトシステムの他の斜視図を示す。
図15C】本発明の一実施形態による、図13A〜13B及び14A〜14Eに示されるロックアウトシステムの他の斜視図を示す。
図15D】本発明の一実施形態による、図13A〜13B及び14A〜14Eに示されるロックアウトシステムの他の斜視図を示す。
図15E】本発明の一実施形態による、図13A〜13B及び14A〜14Eに示されるロックアウトシステムの他の斜視図を示す。
図16A】本発明の一実施形態による外科用締結具を示す。
図16B】本発明の一実施形態による外科用締結具を示す。
図17A】本発明の一実施形態による、挿入先端部を使用する外科用締結具を分配する方法を示す。
図17B】本発明の一実施形態による、挿入先端部を使用する外科用締結具を分配する方法を示す。
図17C】本発明の一実施形態による、挿入先端部を使用する外科用締結具を分配する方法を示す。
図18A】本発明の一実施形態による外科用締結具を示す。
図18B】本発明の一実施形態による外科用締結具を示す。
図19A】本発明の一実施形態による、図18A〜18Bの外科用締結具を埋め込むための挿入ツールの遠位端部を示す。
図19B】本発明の一実施形態による、図18A〜18Bの外科用締結具を埋め込むための挿入ツールの遠位端部を示す。
図19C】本発明の一実施形態による、図18A〜18Bの外科用締結具を埋め込むための挿入ツールの遠位端部を示す。
図20A】本発明の一実施形態による、図19A〜19Cの挿入ツールを使用する、図18A〜18Bの外科用締結具の埋め込み方法を示す。
図20B】本発明の一実施形態による、図19A〜19Cの挿入ツールを使用する、図18A〜18Bの外科用締結具の埋め込み方法を示す。
図20C】本発明の一実施形態による、図19A〜19Cの挿入ツールを使用する、図18A〜18Bの外科用締結具の埋め込み方法を示す。
図20B-1】図20Bに示される挿入ツールの外科用締結具及び遠位端部の分解図を示す。
図21A】本発明の一実施形態による外科用締結具を示す。
図21B】本発明の一実施形態による外科用締結具を示す。
図22A】本発明の実施形態による、図21A〜21Bの外科用締結具を埋め込むための挿入ツールを示す。
図22B】本発明の実施形態による、図21A〜21Bの外科用締結具を埋め込むための挿入ツールを示す。
図22C】本発明の実施形態による、図21A〜21Bの外科用締結具を埋め込むための挿入ツールを示す。
図23】本発明の一実施形態による、面外返し部を有する外科用締結具の斜視図を示す。
図24】本発明の一実施形態による外科用締結具を示す。
図25A】本発明の一実施形態による外科用器具の斜視図を示す。
図25B】本発明の一実施形態による、図25Aの外科用締結具を展開するための挿入ツールを示す。
図26】本発明の一実施形態による外科用締結具の正面図を示す。
図27】本発明の一実施形態による、外科用締結具を分配するためのアプリケータ器具の遠位端部を示す。
図28A】一実施形態による、外科用器具を分配するための図27に示されるアプリケータ器具を使用する方法を示す。
図28B】一実施形態による、外科用器具を分配するための図27に示されるアプリケータ器具を使用する方法を示す。
図29】本発明の一実施形態による、外科用締結具を分配するためのアプリケータ器具の遠位端部を示す。
図30A】関節接合部を有する、本発明の一実施形態による外科用締結具を示す。
図30B】関節接合部を有する、本発明の一実施形態による外科用締結具を示す。
図30C】関節接合部を有する、本発明の一実施形態による外科用締結具を示す。
図30D】関節接合部を有する、本発明の一実施形態による外科用締結具を示す。
図31A】関節接合部を有する、本発明の別の実施形態による外科用締結具を示す。
図31B】関節接合部を有する、本発明の別の実施形態による外科用締結具を示す。
図31C】関節接合部を有する、本発明の別の実施形態による外科用締結具を示す。
図31D】関節接合部を有する、本発明の別の実施形態による外科用締結具を示す。
図32A】関節接合部を有する、本発明の更に別の実施形態による外科用締結具を示す。
図32B】関節接合部を有する、本発明の更に別の実施形態による外科用締結具を示す。
図32C】関節接合部を有する、本発明の更に別の実施形態による外科用締結具を示す。
図32D】関節接合部を有する、本発明の更に別の実施形態による外科用締結具を示す。
図33】関節接合部を有する、本発明の別の実施形態による外科用締結具を示す。
図34】テンション要素を有する、本発明の一実施形態による外科用締結具を示す。
図35】テンション要素を有する、本発明の別の実施形態による外科用締結具を示す。
【発明を実施するための形態】
【0108】
図1A〜1Cを参照し、一実施形態において、外科用締結具を分配するためのアプリケータ器具100は、近位端部102及び遠位端部104を有する。アプリケータ器具100は、外科用締結具を展開するための発射システムを収容するハウジング106を含む。ハウジング106は左カバー108及び右カバー110を有する。左カバー108及び右カバー110は、手把持部112を形成する下方端部を有する。アプリケータ器具100は好ましくは、器具の遠位端部104から外科用締結具を分配するために圧迫され得るトリガー114を含む。一実施形態において、アプリケータ器具100は複数の外科用締結具を保持し、それによって単一の外科用締結具が、トリガー114が圧迫される度にアプリケータ器具の遠位端部104から分配される。一実施形態において、アプリケータ器具は複数の外科用締結具を保持し、これらはトリガー114が圧迫される度に外側管116の遠位端部に向かって前進させられる、外科用締結具は好ましくは、トリガーが圧迫される度に1位置だけ前進する。
【0109】
一実施形態において、アプリケータ器具100は望ましくは、ハウジング106の遠位端部に連結された近位端部118及び外科用締結具を分配するように適合された遠位端部120を有する、細長い外側シャフト又は管116を含む。細長い外側管116の最遠位端部には、好ましくは、端部キャップ122が固定されている。アプリケータ器具は好ましくは、その近位端部102と遠位端部104との間に延びる、A−Aとして指定される長手方向軸を有する。外側管116は望ましくは長手方向軸A−Aに沿って延びる。
【0110】
図1Aに戻り、一実施形態において、ハウジング106は、ロックアウトインジケータへの視覚的アクセスを提供するロックアウトインジケータ開口部124を含み得る。一実施形態において、アプリケータ器具は、外側管116の遠位端部120から分配される複数の外科用締結具を最初に保持する。ロックアウトインジケータは好ましくは、全ての外科用締結具が分配された後に生じるロックアウト状態の方へと移動する。ロックアウトインジケータ開口部124は、どれだけの数の外科用締結具が分配されたか、どれだけの外科用締結具がアプリケータ器具内に残っているか、及び/又はいつロックアウト状態に到達するかの指標を提供し得る。
【0111】
図2を参照し、一実施形態において、ハウジング106は好ましくは、器具の遠位端部から1個又は複数の外科用締結具を分配するための発射システムを収容する。以下でより詳細に記載されるように、発射システムの構成要素の多くは、器具の近位端部と遠位端部との間の長手方向軸A−Aに沿って移動する。構成要素は一般的に、トリガー114が引かれるか又は圧迫される際に遠位端部104の方に移動し、トリガーが解放される際に方向を逆転して近位端部の方に移動する。
【0112】
図2では、発射システムの構成要素の少なくともいくつかが見えるように、ハウジング106の左カバー108(図1A)が取り外されている。一実施形態において、発射システムは、トリガーギア126が連結されたトリガー114を含む。トリガーギア126は好ましくは、トリガー案内経路129内を移動するように適合されたトリガー戻し突起部128を含む。トリガー戻し突出部128は、望ましくはトリガー戻しばね130の上方端部と連結される。一実施形態において、トリガー戻しばね130は、トリガー戻しばねにエネルギーを保存するために、トリガー114が圧迫される際に伸張する。トリガーが開放位置に戻るべく自由である時、トリガー戻しばね130は好ましくは、トリガー戻し突起部128を図2に示される最初の位置へと引く。発射システムは好ましくは、トリガー戻し突起部128がトリガー案内経路129の端部に近付く際のトリガー114の緩衝移動のため、トリガー戻し突起部128と連結するトリガー緩衝要素132を含む。トリガー緩衝要素132は、ポリマー又はゴムなどの柔軟な材料から作製され得る。
【0113】
トリガーギア126は、駆動ギア136に提供される第1の組の歯(図示せず)と係合するように適合されるトリガーギア歯134を含む。駆動ギア136は、ヨーク142の下面に提供される歯140と係合するように適合された第2の組の歯138を含む。駆動ギア136は、トリガーギア126によって駆動される。トリガー114が圧迫されると、トリガーギア126は駆動ギア136を反時計方向に回転させる。トリガー114が開放すると、トリガーギア126は駆動ギア136を時計方向に回転させる。
【0114】
一実施形態において、発射システムは、アプリケータ器具の長手方向軸A−Aに沿って遠位方向及び近位方向に移動するように適合されたヨーク142を含む。一実施形態において、ヨーク142はトリガーギア126及び駆動ギア136を通じてトリガー114に直接連結されている。トリガー114が閉鎖トリガー位置へと圧迫されると、トリガーギア126及び駆動ギア136はヨーク142を遠位方向に(図2の左側に)動かす。トリガー114が開放トリガー位置に戻ると、トリガー126及び駆動ギア136がヨーク142を近位方向に(図2の右側に)動かす。
【0115】
一実施形態において、発射システムは好ましくは、ヨーク142の下面の爪と係合するラチェット爪突起部145を有するラチェット爪144を含む。ラチェット爪は望ましくは、ラチェット爪ねじりばね146と連結される。以下でより詳細に記載されるように、発射周期の少なくとも一段階中において、ラチェット爪144は、トリガー114が完全に閉鎖するか完全に開放するまで、ヨーク142が方向を変えないように拘束する。一実施形態において、トリガー114が引かれると、ヨーク142は、ヨークが方向を変えて近位方向に移動することができる前に、ラチェット爪144の突起部145を超えて遠位方向に移動することを必要とされる。
【0116】
発射システムは好ましくは、ヨーク142の遠位端部から突出する主要ラッチ150を含む。主要ラッチ150はヨーク142に接続され、ヨークと同時に遠位方向及び近位方向に移動する。一実施形態において、以下でより詳細に記載されるように、主要ラッチ150は、ヨーク142を発射システムの別の構成要素と組織的に連結及び分離するために、ハウジング106内に形成される主要ラッチレーストラック152の周囲を移動するように適合される。一実施形態において、ヨーク142が遠位方向に移動すると、主要ラッチ150は好ましくは、主要レーストラック152の上を移動する。ヨーク142が近位方向に移動すると、主要ラッチ150は好ましくは、主要ラッチレーストラック152の下を移動する。
【0117】
発射システムは好ましくは、アプリケータ器具の長手方向軸A−Aに沿って遠位方向及び近位方向に移動するように適合される割送り器154を含む。割送り器154はヨーク142の側部から延びるボス158(以降、ヨークボス158と称される)と連絡する下方スロット156を含む。ヨークボス158は、割送り器154の下方スロット156内で摺動するように適合される。一実施形態において、ヨークボス158が割送り器の下方スロット156の遠位端部160に到達する際、ヨークボス158は割送り器154を、アプリケータ器具100の遠位端部に向かって動くように推進する。以下でより詳細に記載されるように、割送り器154は、ロックアウトインジケータシステムと連結した上方スロット162を含む。
【0118】
一実施形態において、割送り器154は、外科用締結具をアプリケータ器具の遠位端部の方に前進させるように適合されたアドバンサ166に直接連結されている。割送り器154が遠位方向に移動すると、アドバンサ166は割送り器と同時にアプリケータ器具の遠位端部の方に移動する。割送り器が近位方向に移動すると、アドバンサ166は割送り器と同時にアプリケータ器具の近位端部の方に移動する。一実施形態において、アドバンサ166は、外科用締結具が器具の遠位端部から分配され得るように、アプリケータ器具の遠位端部に向かって外科用締結具を移動させるように適合される。一実施形態において、外科用締結具は、アドバンサが近位端部に移動する度に、1位置前進する。
【0119】
一実施形態において、発射システムは望ましくは、主要ラッチ150を通じてヨーク142と選択的に連結されるばねブロック170を含む。ばねブロックは好ましくは、A−Aと指定された長手方向軸に沿って近位方向及び遠位方向に移動するように構成される。一実施形態では、主要ラッチ150がばねブロックと連結する時、ヨーク及びばねブロックが一体で互いに同時に移動するのが好ましい。主要ラッチ150がばねブロック170から分離される時、ヨーク142及びばねブロックは好ましくは、互いに別個に移動する。
【0120】
一実施形態において、発射システムはまた、好ましくは、ばねブロック170内に配置される発射ばね172を含む。ばねブロック内で予備圧縮された発射ばね172は望ましくは、発射ロッド174と連結される遠位端部及びばねブロックの近位端部壁171と係合する近位端部を有する。一実施形態において、発射ロッド174の近位端部は、発射ばね172の遠位端部と接続される十字形の連結部176を有する。1つ又は複数の発射ロッド緩衝器178は、発射ロッドがその移動経路の遠位及び/又は近位端部に到達する際の発射ロッド174の緩衝移動のため、十字形連結部176と接続され得る。
【0121】
一実施形態において、発射システムは、発射ロッドの遠位移動を拘束する発射ばね解放ラッチ180を含む。発射周期の一段階中において、発射ばね解放ラッチは、エネルギーが発射ばね172中に保存される際に、発射ロッドの遠位方向の移動を拘束する。発射周期の後の段階中において、発射ばね解放ラッチが遠位方向の移動のために発射ロッド174を解放する。以下でより詳細に記載されるように、一実施形態において、発射ラッチ180は好ましくは、ばねブロック170の外側表面と係合する。ばねブロックの外側表面は好ましくは、遠位方向の移動のために発射ロッド174を解放するため、発射ラッチを解放位置に推進する。
【0122】
一実施形態において、発射システムは望ましくは発射ロッド戻しばね184を含み、この発射ロッド戻しばね184は、ばねブロック170を図2に示される最初の近位に戻すために、ばねブロック170と係合する。ばねブロック170が遠位方向(左側に)移動する際、エネルギーが発射ロッド戻しばね184内に保存される。エネルギーはその後、ばねブロックを近位方向に移動させるために解放される。この段階において、発射ロッドはばねブロックと共に近位方向に移動し得る。発射システムはまた、望ましくは1つ又は複数の緩衝ばね186を含み、これら緩衝ばね186は、移動範囲の端部の方への構成要素の移動を緩衝するために、発射システムの1つ又は複数の構成要素に係合するように適合される。緩衝ばねは好ましくは、発射周期中にノイズ、振動、激しい移動などを最小化する。
【0123】
図3Aを参照し、一実施形態において、アプリケータ器具100の遠位端部104は、外科用締結具232を送達するように適合される。図3Aに示される構成要素を通常囲む外側管(図1A)は、内側構成要素をより明確に示すために取り除かれている。図3Aに示される特定の実施形態において、アプリケータ器具100の遠位端部104における内側構成要素は、アプリケータ器具の部品及び動作をより明確に示すために分解されている。
【0124】
図3Aを参照し、一実施形態において、アプリケータ器具100は、長さに沿って提供される1つ又は複数の天井部打抜きばねタブ202を有する、天井部スタンピング200を含む。天井部スタンピング200は好ましくは、アプリケータ器具のアセンブリを容易にするために、その側壁内に形成された1つ又は複数の天井部スタンピングアセンブリノッチ204を含む。以下でより詳細に記載されるように、天井部スタンピング200は好ましくは、発射ロッドの遠位方向及び近位方向の移動を案内するように適合された一対の対向する位置合わせ案内部206を含む。
【0125】
アプリケータ器具はまた、好ましくは、天井部スタンピング200と組み合わされる後退防止スタンピング208を含む。後退防止スタンピング208は、そこからアセンブリタブ210が突出している側壁を含む。アセンブリタブ210は、天井部スタンピングと後退防止スタンピングの適切な位置合わせ及び組み立てを促進するために、天井部スタンピング200上のアセンブリ溝204と位置合わせされるように適合されている。後退防止スタンピング208は望ましくは、その長さに沿って提供される後退防止タブ212を含む。後退防止タブは好ましくは、アプリケータ器具の遠位端部の方に突出し、外科用締結具が一方向、すなわち遠位方向にのみ移動することを可能にする。後退防止タブ212は望ましくは、外科用締結具の、アプリケータ器具の近位端部の方への移動を拘束する。
【0126】
図3Aを参照し、後退防止スタンピング208は好ましくは、後退防止スタンピング208の遠位端部に隣接して提供される段階板開口部214、及び望ましくは段階板アセンブリを後退防止スタンピング208へと固定するために使用される、段階板開口部214の近位の穴216を含む(以下でより詳細に記載される)。
【0127】
アプリケータ器具は好ましくは、その遠位端部に挿入フォーク220を有する発射ロッド174を含む。挿入フォーク220は、発射ロッド174の主要区分の遠位端部と連結された近位端部222、外科用締結具と係合するように適合された遠位端部224を有する。適用器具の遠位端部はまた、好ましくは、段階板支持体226及び段階板228を含む、段階板アセンブリを含む。各段階板支持体226及び段階板228の近位端部は、後退防止スタンピング208の穴216と位置合わせされている。
【0128】
アプリケータ器具はまた、好ましくはアドバンサ166を含み、これは外科用締結具を器具の遠位端部の方に前進させるように適合される。アドバンサは望ましくは、外科用締結器具を適用器具の遠位端部の方に推進するため、外科用締結具に係合するように適合されたアドバンサタブ230を有する。一実施形態において、アドバンサ166は、トリガーが圧迫されて閉鎖する度に、外科用締結具をアプリケータ器具の遠位端部の方に1位置だけ前進させる。
【0129】
図3Bは、アプリケータ器具100の遠位端部104の分解側面図を示す。天井部スタンピング200は、後退防止スタンピング208と組み合わせるように適合されている。天井部スタンピング200のアセンブリ溝204は好ましくは、後退防止スタンプ208のアセンブリタブ210と位置合わせされている。挿入フォーク220を含む発射ロッド174、アドバンサ166、段階板支持体226及び段階板ばね228は、好ましくは、天井部スタンピング200と後退防止スタンピング208との間に少なくとも部分的に配置される。図3Bに示される構成要素が互いに組み合わされた後、構成要素は望ましくは、図1A〜1Cに示される外側管116内に配置される。一実施形態において、端部キャップ122は望ましくは、外側管116、天井部スタンピング200及び後退防止スタンピング208の最遠位端部と組み合わされる。一実施形態において、天井部スタンピングばねタブ202は好ましくは、外側管内の内側構成要素の移動を最小限にするために、外側チューブの内側面を圧迫する。
【0130】
図3Bを参照し、一実施形態において、アドバンサ166は、アドバンサの下面から突出する一連のアドバンサタブ230を含む。アドバンサタブ230は好ましくは、アドバンサ166の遠位端部の方に突出する。アドバンサタブ230は望ましくは、外科用締結具をアプリケータ器具の遠位端部の方に推進するために、外側管内に配置される外科用締結具232と係合する。一実施形態において、複数の外科用締結具232A〜232Dは、望ましくはアプリケータ器具内に提供される。トリガーが圧迫される度に、アドバンサタブ230は、器具の遠位端部から分配するために、外科用締結具232A〜232Dを器具の遠位端部の方に推進する。後続外科用締結具(例えば、232Bと指定される締結具)が、先頭外科用締結具(例えば、232Aと指定される先頭締結具)となるために十分に前進した時、これは、先頭外科用締結具232Aを挿入フォーク220の遠位端部の歯と位置合わせするように移動させるように適合された、段階板228と接触するように前進する。
【0131】
図4A〜4Eを参照し、一実施形態において、アプリケータ器具は後退防止スタンピング208の遠位端部と隣接して位置する段階板アセンブリを含む。図4Aを参照し、一実施形態において、後退防止スタンピング208は、後退防止スタンピング208の遠位端部の方に突出する後退防止タブ212を含む。後退防止スタンピング208は、好ましくは最終後退防止タブ212Aと後退防止スタンピング208の遠位端部との間に配置される段階板開口部214を含む。後退防止スタンピング208はまた、好ましくは段階板開口部214の近位の開口部216を含む。穴は好ましくは、段階板支持体226及び段階板228の近位端部と位置合わせされるように適合される。
【0132】
図4Aを参照すると、上記のように、段階板アセンブリは好ましくは、段階板支持体226及び段階板228を含む。段階板支持体226は、その近位端部に開口部227を有し、この開口部227は望ましくは、後退防止スタンピング208内の開口部216と位置合わせされる。段階板228は望ましくは、段階板タブ229を有する遠位端部及び開口部231を含む近位端部を含み、開口部231は、後退防止スタンピングの開口部216及び段階板支持体の開口部227と位置合わせされるように適合される。段階板228はまた、段階板228の遠位端部の方に突出する段階板後退防止タブ233を含む。
【0133】
図4B〜4Eは、段階板支持体226及び段階板228が、どのように後退防止スタンピング208と組み立てられるかを示す。図4B及び図4Cに示されるように、一実施形態において、段階板228は段階板支持体226の上に位置付けられ、組み立てられた構成要素の近位端部は段階板開口部214を通過し、その結果、段階板支持体226及び段階板228の近位端部における開口部227、231は、後退防止スタンピング208の開口部216と位置合わせされる。
【0134】
図4D及び図4Eを参照し、段階板228及び段階板支持体226の近位端部は、後退防止スタンピング208の底面の下に位置し、好ましくは後退防止スタンピングの下面に恒久的に接続される。接続は、ねじなどの締結具又は溶接などの他の周知の接続手段を使用して作製され得る。図4D及び図4Eに示されるように、段階板228及び段階板支持体226の遠位端部は段階板開口部214を通って延び、段階板タブ229は、後退防止スタンピング208の上に垂直に突出する。
【0135】
本発明は動作のいずれの特定の理論にも制限されないが、段階板アセンブリは、先頭外科用締結具を挿入フォークの遠位端部における歯と位置合わせさせるように推進及び/又は移動するため、後退防止スタンピングの遠位端部にばね様の装置を提供するものと考えられる。段階板アセンブリは、アドバンサ及び挿入フォークの構成要素がアプリケータ器具の遠位端部の方に延びる場合に、これらの遠位端部によって下方に偏向され得る。しかしながら、挿入フォーク及びアドバンサが、段階板アセンブリの近位に後退する時、段階アセンブリは望ましくは図4B〜4Eに示される位置へとばねで上方に上がる。段階板アセンブリがばねで上方に上がると、段階板アセンブリの上に位置付けられた先頭外科用締結具が、挿入フォークの遠位端部と位置合わせするように移動される。一実施形態において、挿入フォークが前進して先頭外科用締結具を固定すると、段階板タブ229及び段階板後退防止タブ233は、先頭外科用締結具を安定化し、先頭外科用締結具を適所に保持する。
【0136】
図5A〜5Cを参照し、一実施形態において、天井部スタンピング200は後退防止スタンピング208と組み立てられる。天井部スタンピング200は、スタンピング200、208の互いの適切な位置合わせを確実にするため、後退防止スタンピング208上の少なくとも1つのアセンブリタブ210と位置合わせされる少なくとも1つのアセンブリ溝204を含む。天井部スタンピング200及び後退防止スタンピング208の最遠位端部は、好ましくは端部キャップ122によって互いに保持される。一実施形態において、天井部スタンピングは、好ましくは、アプリケータ器具の安定性を向上し、天井部スタンピング及び後退防止スタンピングが外側管に対して動くのを防ぐために、外側管の内側面(図示されない)と係合する天井部スタンピングばねタブ202を有する。一実施形態において、端部キャップ122、並びに天井部スタンピング及び後退防止スタンピングの最遠位端部は、端部キャップ122と天井部スタンピング200及び後退防止スタンピング208を組み付けるための、1つ又は複数の舌及び溝構造を有する。
【0137】
図6を参照し、一実施形態において、天井部スタンピング200及び後退防止スタンピング208の最遠位端部は、端部キャップ122によって互いに保持される。一実施形態において、天井部スタンピング200は、一対の案内フランジ206を含む場合があり、案内フランジ206は好ましくは、発射ロッドが遠位方向及び近位方向に移動する際に、挿入フォーク220の側壁にぴったりと一致する。一実施形態において、案内フランジ206は好ましくは、挿入フォークの歯と先頭外科用締結具232Aの適切な位置合わせを確実にするため、挿入フォーク220の遠位方向及び近位方向の移動を案内する。アプリケータ器具100は望ましくは、段階板支持体226及び段階板228を含む段階板アセンブリを含む。上記のように、段階板支持体226及び段階板228の近位端部は望ましくは、後退防止スタンピング208と連結される。一実施形態において、アドバンサ166は、望ましくは段階板アセンブリと挿入フォーク220との間に位置付けられる。アドバンサ166は、アプリケータ器具100の遠位端部104の方に外科用締結具を前進させるために外科用締結具232に係合するアドバンサタブ230を含む。アドバンサが遠位方向に移動する度、アドバンサタブは好ましくは、外科用締結具をアプリケータ器具の遠位端部の方に1位置前進させる。
【0138】
図7Aを参照し、一実施形態において、外側管116は、天井部スタンピング200及び後退防止スタンピング208の周囲に配置される。図7Aにおいて、外側管116は、天井部スタンピング及び後退防止スタンピングが可視であるように、透明である。端部キャップ122は外側管116の遠位端部上に固定され、外側管116と、天井部スタンピング及び後退防止スタンピングとの間に配置されるアセンブリフランジを含む。端部キャップ122は好ましくは、アプリケータ器具100の遠位端部における安定性を提供するため、天井部スタンピング200及び後退防止スタンピング208と係合する。一実施形態において、端部キャップ122は好ましくは、その遠位端部面に形成された溝242を含む。溝242は、アプリケータ器具の遠位端部が対向する表面に対して摺動又は移動するのを防ぐため、表面(例えば、メッシュ)と係合するように適合される。溝242はまた、アプリケータ器具の遠位端部と、プロテーゼメッシュなどのプロテーゼ装置の位置合わせのために使用され得る。一実施形態において、溝は、アプリケータ器具の遠位端部とプロテーゼ装置上の1つ又は複数のストランドを位置合わせするために使用され得る。
【0139】
図7Bは、外側管240が取り除かれた、図7Aのアプリケータ器具の遠位端部を示す。端部キャップ122は、天井部スタンピング200と係合する上部アセンブリフランジ244、及び後退防止スタンピング208と係合する下部アセンブリフランジ246を含む。上部アセンブリフランジ244及び下部アセンブリフランジ246は好ましくは、アプリケータ器具の遠位端部を安定化させるために、天井部スタンピング及び後退防止スタンピングの遠位端部を保持する。端部キャップ122の内面は好ましくは、天井部スタンピングと後退防止スタンピングとの間に配置される一対の側部アセンブリタブ248A、248Bを含む。側部アセンブリタブ248A、248Bはまた、アプリケータ器具の遠位端部の安定性を向上させ得る。
【0140】
図8A〜8Fを参照し、一実施形態において、アプリケータ器具はその遠位端部から外科用締結具を分配する。図8A及び図8Bを参照し、一実施形態において、外科用締結具232は望ましくは遠位端部250及び近位端部252を含む。外科用締結具232は好ましくは、その遠位端部に提供される第1先端部256を有する第1脚部254、及びその遠位端部に提供される第2先端部260を有する第2脚部258を備える。一実施形態において、脚部の近位端部から遠位端部にかけて各第1脚部及び第2脚部の断面寸法が減少する。外科用締結具232は、第1及び第2脚部262、252の近位端部と接続する外科用締結具の近位端部254に隣接するブリッジ258を含むことが好ましい。一実施形態において、ブリッジは、これが第1脚部及び第2脚部を相互接続する限りにおいて、外科用締結具の近位端部と遠位端部との間に位置付けられ得る。外科用締結具232は、第1先端部から後方に突出する少なくとも1つの第1返し部264と、第2先端部260から後方に突出する少なくとも1つの第2返し部266と、を備えることが好ましい。各脚部には返し部が1つのみ示されているが、他の外科用締結具は各脚部又は先端部に複数の返し部を有してもよい。第1先端部256及び第2先端部260は円錐の形状であり得る。それぞれの先端部は鋭い先端で形成されてもよく、又はより鈍くてもよい。
【0141】
一実施形態において、第1先端部256及び第2先端部260は、傾斜した遠位貫通先端部又は挿入先端部を有し、これらは第1脚部254及び第2脚部258それぞれの長手方向軸に対して傾斜している。一実施形態では、遠位貫通先端部は第1及び第2脚部の長手方向軸に対して外側に傾斜している。一実施形態において、プロテーゼ装置の繊維が脚部の間に捕捉される可能性を増加させるため、先端部の間の距離は、脚部の間の距離よりも大きい。一実施形態において、第1先端部256及び第2先端部260は、鈍い遠位貫通点を有する。鈍い点は、外科用締結具が組織を貫通できるようにする一方で、操作者の手への望ましくない貫通を最小化することを可能にする。
【0142】
図8Bに関し、一実施形態において、ブリッジ262は好ましくは、外科用締結具232の遠位端部250の方を向く凹状内側面268及び外科用締結具の近位端部252の方を向く凸状外側表面270を含む。第1脚部254は、第1脚部の長手方向軸Aに沿って延在する第1リブ272を有する外壁を有する。第2脚部258は、第2脚部の長手方向軸Aに沿って延在する第2リブ274を有する外壁を有する。一実施形態では、第1及び第2挿入先端部256、260の遠位端部にある貫通点間の距離Dは、第1及び第2脚部254、256の対向する表面の間の距離Dよりも大きいことが好ましい。第1先端部256の遠位貫通点と第2先端部260の遠位貫通点との間のより広い相対距離は好ましくは、外科用締結具が、外科用メッシュのストランドなどの、多孔質プロテーゼ装置のストランドと係合することを確実にする。一実施形態では、外側に傾斜した遠位貫通先端部は、外科用メッシュ繊維を捕捉する改善された能力を提供し、ここでメッシュ繊維は各脚部間の架橋部を広げる必要なく互いから分離される。
【0143】
図8Cを参照すると、一実施形態では、第1脚部254は、第1脚部の長手方向軸Aに沿って延在する第1リブ272を有する。図8Cに示されるように側方から観察すると、第1リブ272は好ましくは、第1貫通先端部256と実質的に位置合わせされている。
【0144】
図8C−1は、鈍い貫通点257を含む、第1貫通又は挿入先端部256の拡大図を示す。一実施形態において、鈍い貫通点257は、外科用締結具の遠位端部が組織を貫通できるようにする一方で、操作者の手への望ましくない貫通を最小化する。
【0145】
図8Dを参照すると、一実施形態では、第2脚部258は、第2脚部の長手方向軸Aに沿って延在する第2リブ274を有する。図8Dに示されように側方から観察される場合、第2リブ274は好ましくは、第2先端部260の遠位点と位置合わせされている。
【0146】
図8Eを参照し、一実施形態において、第1貫通先端部256及び第2貫通先端部260は好ましくは、外科用締結具232の中央から外側に傾斜している。一実施形態において、第1貫通先端部256及び第2貫通先端部260は好ましくは非対称であり、外科用締結具232の中央から外側に延びるように構成されている。
【0147】
図8Fを参照し、一実施形態において、第1挿入先端部256の後面は、挿入フォークの第1の歯の遠位端部を受容するように構成された第1座部表面280を含む。第2先端部260の後面は好ましくは、挿入フォークの第2の歯の遠位端部を受容するように適合された第2座部表面282を含む。一実施形態において、凸状表面280、282は好ましくは、第1貫通先端部256及び第2貫通先端部260の遠位貫通点と実質的に位置合わせされている。挿入フォークの歯の遠位端部は、それぞれの座部表面280、282にぴったりと一致する表面を有し得る。
【0148】
図8Gを参照し、一実施形態において、第1脚部254は丸い内面及び四角くされた外面を有する。本発明は、動作のいずれの特定の理論にも限定されないが、そのような構造は望ましくは、区分弾性率を増加させることによって外科用締結具の強度を増加させるものと考えられる。内側に丸みを付けた表面及び外側を四角くした表面を備える断面を有する脚部を提供することはまた、好ましくは、外科用締結具を組織外に引くために必要な力を増加させる。
【0149】
一実施形態において、外科用締結具は、吸収性及び/又は非吸収性材料から作製され得る。好適な吸収性材料としては、PDS、PDS/ラクチド−グリコリドブレンド、PLAなどが挙げられる。一実施形態では、各外科用締結具は外径5mmの管の内部にフィットする大きさである(一般的にはトロカール・カニューレの寸法)。外科用締結具は成形によって製作されるが、僅かな修正を加えて、キャスト、スタンピング及び機械加工などの他のプロセスが使用され得る。一実施形態において、外科用締結具は、一般的な形状に押し出されて、その後形成され得る。
【0150】
図9A及び図9Bを参照し、一実施形態において、外科用締結具232は、アプリケータ器具の遠位端部から分配するために、発射ロッドの遠位端部において、挿入フォーク220と位置合わせされる。挿入フォーク220は、発射ロッド(図示されない)の主要区分の遠位端部との接続に適合される近位端部222、及び外科用締結具232の1つ又は複数の表面と係合するように適合される遠位端部224を含む。一実施形態において、挿入フォーク220の遠位端部224は、内部に形成される第1内側溝292を有する第1の歯290、及び内部に形成される第2内側溝296を有する第2の歯294を含む。一実施形態において、内側溝292、296は好ましくは互いに対向し、アプリケータ器具の長手方向軸A−Aと平行な軸に沿って延びる。動作中、対向する第1の歯290の内側溝292及び第2の歯294の内側溝296は好ましくは、外科用締結具の第1脚部254及び第2脚部258のリブ272、274の上を摺動するように適合される。内側溝292、296とリブ272、274の係合は好ましくは、外科用締結具要素232と挿入フォーク220の遠位端部224を位置合わせし、組織への埋め込み中に外科用締結具を安定化させる。一実施形態において、第1の歯290及び第2の歯294の最遠位先端部は、これらが第1先端部256及び第2先端部260の遠位表面に提供される凸状座部表面280、282に対して当接するまで前進させられる。
【0151】
本発明の動作のいずれの特定の理論にも制限されないが、外科用締結具の脚部の外側表面上のリブと係合する溝付きの歯を有する挿入フォークを提供することは、アプリケータ器具の遠位端部から外科用締結具を分配する際に、外科用締結具の安定性及び制御を向上させるものと考えられる。加えて、挿入力は、従来技術システムにおけるように外科用締結具の近位端部のみではなく、外科用締結具の遠位端部のより近くに提供される。この特徴は(すなわち、締結具の遠位端部の近くで外科用締結具に挿入力を提供すること)は、より小さい及び/又は低い外形の外科用締結具が使用されることを可能にし得る。
【0152】
図10Aを参照し、一実施形態において、段階板アセンブリは、先頭外科用締結具232Aを、挿入フォーク220の遠位端部224の歯と位置合わせするように持ち上げるように適合される、段階板支持体226及び段階板228を含む。段階板228は好ましくは、外科用締結具232のブリッジ262の内面と係合し得る段階板タブ229を含む。外科用締結具の脚部のリブは好ましくは、挿入フォーク220の対向する歯290、294の対向する内側溝292、296と位置合わせされる。
【0153】
図10Bを参照し、一実施形態において、段階板228は、外科用締結具232のリブ272、274を挿入フォーク220の歯290、294の内側溝と位置合わせさせる。段階板タブ229は好ましくは、歯290、294がリブ272、274上を摺動する際に、外科用締結具232を安定化させるために、外科用締結具232のブリッジ262に係合する。
【0154】
図10Cは、アプリケータ器具の平面図を示し、第1の歯290の内側溝292が外科用締結具232の第1脚部254上のリブ272と位置合わせされ、第2の歯294の内側溝296が外科用締結具の第2脚部258上の第2リブ274と位置合わせされる。外科用締結具が段階板228によって静的に保持されると、挿入フォーク220を含む発射ロッドが、歯290、294の最遠位端部が第1先端部256及び第2先端部260の後ろに位置する凸状座部に対して位置するまで、外科用締結具の方に前進する。歯290、294が凸状座部表面に対して位置した後、挿入フォーク220は、アプリケータ器具から外科用締結具232を分配するため、アプリケータ器具の遠位端部の方への更なる前進に備える。
【0155】
図11A〜11Nは、発射周期の様々な段階中におけるアプリケータ器具の発射システムを示す。図11A−1から11N−1は、各図11A〜11Nに示される同じ段階中におけるアプリケータ器具の遠位端部を示す。例えば、図11Aは、発射周期の開始における発射システムを示し、トリガー114は完全に開放し、発射ロッド174は完全に後退している。図11A−1は、図11Aに示されるものと同じ段階におけるアプリケータ器具の遠位端部を示す。図11B〜11N及び図11B−1〜11N−1は同じパターンに従う。
【0156】
図11Aを参照し、一実施形態において、第1発射周期の第1段階において、トリガー114は完全に開放し、トリガーギア突起部128は、トリガー案内部129の下端にある。ヨーク142、割送り器154、アドバンサ166、ばねブロック170、及び発射ロッド174は、アプリケータ器具の近位端部の方に完全に後退する。図11Aに示される発射周期の第1段階において、主要ラッチ150は中立位置にあり、ばねブロック170から分離されている。発射ばね172は、ばねブロック170の近位端部と発射ロッド174の近位端部における十字形連結部176との間に配置されている。ばねブロック170と発射ロッド174との間に延びる発射ばね172は、望ましくは予備圧縮され、それによって、発射ロッド174に初期の遠位方向の力(左側への)が存在する。発射ロッド174及びアドバンサ166は、ハウジング106の遠位端部から突出し、アプリケータ器具100の遠位端部の方に延びる。
【0157】
図11A−1は、図11Aに示される発射周期の第1段階におけるアプリケータ器具100の遠位端部104を示す。外側管、天井部スタンピング、及び後退防止スタンピングが図面から取り除かれ、アプリケータ器具の遠位端部に配置される他の内部構成要素をより明確に示している。図11A−1を参照し、段階板支持体226及び段階板228は望ましくは、先頭外科用締結具232Aを保持し、それによって外科用締結具の外側側壁上のリブ272、274が、挿入フォーク220の遠位端部224における歯290、294に形成される内側溝と位置合わせされている。段階板タブ129は好ましくは、先頭外科用締結具232Aを更なる遠位方向の移動に対して安定化させる。追加的な後続外科用締結具232B、232C、232Dは、外科用締結具232Aの後ろに位置付けられる。図10A−1には、4つの外科用締結具232A〜232Dのみが示されるが、アプリケータ器具は、10、25、100、又はそれ以上の外科用器具など、追加的な外科用器具を保持し得る。アドバンサ166は、アプリケータ器具100の遠位端部104における段階板アセンブリの方に各外科用締結具232B〜232Dを押すように適合されたアドバンサタブ230を含む。アドバンサ166が左側に動く度に、外科用締結具はアプリケータ器具100の遠位端部104の方に1位置前進する。
【0158】
図11Bは発射周期の後の段階を示し、この段階の間に、挿入フォークの遠位端部における歯が先頭外科用締結具の脚部上のリブと係合するように導かれる。発射周期のこの段階中に、トリガー114は、トリガーギア126及びトリガーギア突起部128をトリガーギア案内部129の上方端部の方に移動させるために、把持部112の方に部分的に圧迫される。トリガー114が引かれると、トリガーギア突起部128と接続されるトリガー戻しばね130は、ばねに位置エネルギーを保存するために伸張される。トリガーギア126が上方、反時計方向に枢動すると、トリガーギア126の歯は駆動ギア136を反時計方向に回転させる。駆動ギア136の外側周辺部の第2の組のギアの歯138は、ヨーク142をアプリケータ器具の遠位端部の方に(左側に)移動させるために、ヨーク142の底面に沿って延びる歯140と係合している。ヨーク142がアプリケータ器具の遠位端部の方に移動すると、主要ラッチ150は、ヨークとばねブロックを連結するために主要ラッチ経路152の上面上を摺動する。発射ばね172は、ばねブロックの内部で予備圧縮されているため、発射ロッドは、ヨーク、ばねブロック及び発射ロッドが一体となって遠位方向に移動する際に遠位方向に移動する。この段階において、発射ロッドは、トリガーの移動と比例する速度で遠位方向に移動する。
【0159】
図11Bを参照すると、ヨーク142は、ハウジング106内を、A−Aと指定されるアプリケータ器具の長手方向軸に沿って遠位及び近位方向に摺動するように構成される。ヨーク142が遠位に移動すると、ヨークボス158は割送り器154の下方スロット156の遠位端部160に向かって、遠位方向に摺動する。以下でより詳細に記載されるように、ヨークボス158が割送り器154の下方スロット156の遠位端部160に対して当接する時、ヨークボス158は、割送り器154が遠位方向に移動するように推進する。
【0160】
図11B−1は、図11Bに示される発射周期の段階中における、アプリケータ器具100の遠位端部104を示す。挿入フォーク220の遠位端部224の突起部290、294は、先頭外科用締結具232Aの脚部と係合するように導かれる。挿入フォーク220は好ましくは、トリガー圧迫の速度と比例する速度で遠位方向に移動する。段階板タブ229及び段階板228は好ましくは、フォーク歯290、294が先頭外科用締結具のリブと係合するように導かれる際に、先頭外科用締結具232Aを安定化させる。段階板タブ229は、外側管の内面と係合して安定性を提供し得る。
【0161】
図11Cは、挿入フォークが外科用締結具の脚部上に導かれた後の発射システムを示す。図11Cにおいて、発射システムの遠位端部は右側であり、発射システムの近位端部は左側である。先頭外科用締結具との係合のために、挿入フォークが遠位方向に導かれるとほぼ同時に、又はその後に、発射ばねラッチ180は発射ロッド174の十字形端部176と係合する。係合の際に、発射ばねラッチ180は発射ロッド174の更なる遠位方向の移動を防ぐ。この時点までに、ばねブロック内の発射ばねへの事前荷重により、発射ロッドはばねブロック170と一体で移動している。発射ばねラッチ180が十字形端部176と係合すると、発射ロッドは遠位方向に移動し続けることができない。ユーザーがトリガー114を圧迫し続けると、発射ロッド174は更に遠位方向に移動することができず、発射ばねは圧縮される。
【0162】
図11C−1は、図11Cに示される段階中における、アプリケータ器具100の遠位端部104を示す。挿入フォーク220の遠位端部が前進して先頭外科用締結具232Aと接触した後、発射ばねラッチ180は発射ロッド174を、遠位方向に更に移動しないように保持する。したがって、挿入フォークの遠位端部が先頭外科用締結具と接触するように導かれた後、及びアプリケータ器具が遠位端部から外科用締結具を「発射」するまで、発射ばねに位置エネルギーを保存するために、発射ロッドは、トリガーが完全な閉鎖位置まで引かれ続ける際に更なる遠位方向の移動を有さない。
【0163】
図11Dは、図11Cに示される発射周期の同じ段階中における、発射システムの一部の平面断面図を示す。発射システムは、発射ロッド174、発射ロッド174の近位端部における十字形構造176、発射ばね172、及び発射ばね172を含むばねブロック170を含む。図11Dにおいて、アプリケータ器具の遠位端部は左側であり、アプリケータ器具の近位端部は右側である。図11Dに示されるように、トリガーが引かれると、主要ラッチ(図示されない)によってばねブロック172がアプリケータ器具の遠位端部の方へと推進される。ばねブロック170の遠位方向の移動は、発射ロッド174の近位端部における十字形構造176とばねブロック170の近位端部との間の発射ばね172を圧縮する。上記のように、この段階中、発射ロッド174は、発射ロッド174の十字形構造176と係合する発射ばねラッチ180により、更なる遠位方向の移動を拘束される。図11D−1は、図11Dに示される段階中におけるアプリケータ器具の遠位端部104を示している。上記のように、挿入フォーク220の歯は、先頭外科用締結具232Aの側部周辺に導かれているが、発射ばねラッチは発射ロッド174及び挿入フォーク220の更なる遠位方向の移動を防ぐ。
【0164】
図11Eは発射周期の後の段階における発射システムを示す。ユーザーは好ましくは、閉鎖位置の方にトリガー114を圧迫し続ける。この段階中において、ヨーク142は、ヨークボス158が割送り器154の下方スロット156の遠位端部160に係合するまで、遠位方向に更に移動する。ヨークボス158が下方スロット156の遠位端部160に接触すると、ヨーク142の更なる遠位方向の移動が、割送り器154を遠位方向に推進し、これがひいては、外科用締結具を前進させるためにアドバンサ166を遠位方向に移動するように推進する。割送り器及びアドバンサは好ましくは一体で共に移動する。
【0165】
ユーザーがトリガー114を圧迫し続けると、ヨーク142は遠位方向に移動し続け、主要ラッチ150とばねブロック170の連結により、ばねブロック170を遠位方向へと共に運ぶ。発射ロッド174は、発射ロッドラッチ(図11D)により、更に遠位方向に移動しないように、後方に保持され続ける。ばねブロック170が遠位方向に移動すると、追加的なエネルギーが、ばねブロック内に配置される発射ばね172内に保存される。発射ばねが圧縮されていたため、ばねはその元の長さよりも短く、その右側はばねブロック170の近位端部の内側に配置されている。ばねブロック170が遠位方向(左側に)移動すると、ばねブロック戻しばね184が圧縮される。一実施形態において、ばねブロック170から延びるフランジは、ばねブロック戻しばね内にエネルギーを保存するために、ばねブロック戻しばね184と係合する。
【0166】
図11E−1は、図11Eに示される段階中における、アプリケータ器具100の遠位端部104を示す。割送り器154(図11E)がヨークボス158によって遠位方向に移動すると、割送り器154はアドバンサ166を遠位方向に移動するように推進し、これが後続外科用締結具232B、232C及び232Dを、アプリケータ器具の遠位端部の方へと前進させる。この段階において、先頭外科用締結具232Aの更なる遠位方向の移動は存在しない。
【0167】
図11Fは、発射ロッド174が解放される直前に生じる発射周期の後の段階における発射システムの平面断面図を示す。一実施形態において、ばねブロック170は、その表面から突出する発射ばね解放傾斜面175を含む。発射ばね解放傾斜面175は好ましくは、発射ばね解放ラッチ180と位置合わせされている。ばねブロック170がアプリケータ器具の遠位端部の方(左側)に移動すると、傾斜面175は、発射ロッド174の近位端部における十字形端部176から解放ラッチ180を分離するために、発射ばね解放ラッチ180と係合する。解放ラッチが発射ロッドの十字形端部176から分離されると、発射ロッド174は自由に遠位方向に移動する。発射ばね172に保存されたエネルギーはここで、発射ロッド174に向けて解放される。
【0168】
図11F−1は、図11Fに示される発射周期の段階中における、アプリケータ器具100の遠位端部104を示す。この段階中において、発射ばね解放ラッチ180は、発射ロッドの十字形端部176との係合から解放されようとしている。アドバンサ166は、後続外科用締結具232B〜232Dをアプリケータ器具100の遠位端部104の方に前進させるために、遠位方向に移動している。
【0169】
図11Gは発射周期の後の段階を示し、この間に、挿入フォークをアプリケータ器具の遠位端部の方に迅速に前進させるために、発射ロッドが解放される。この段階中において、発射ばね解放傾斜面175は、発射ばね解放ラッチ180を押して、十字形構造176との係合から解放して離す。遠位方向の移動に拘束されない発射ロッド174は、発射ばね172によってアプリケータ器具の遠位端部の方に迅速に前進する。発射ばね172は発射ロッド174を、発射ロッド緩衝パッド178がハウジング内の停止壁部SWと係合するまで遠位方向に移動させる。発射ロッド緩衝パッド178は、十字形構造176上の能動停止部179が、発射ロッドのあらゆる更なる遠位方向の移動を停止するために、停止壁部SWと係合するまで、僅かに圧迫され得る。本発明は、動作のいずれかの特定の理論によって制限されないが、発射ロッド緩衝パッド176は、長い時間にわたって発射ロッドを停止させるために、発射ロッド174の減速の時間を長くするものと考えられる。発射ロッドの減速時間の長期化は好ましくは、ユーザーに伝達される衝撃力を低減し、また好ましくは騒音を低減する。
【0170】
図11G−1は、図11Gに示される発射周期の段階中における、アプリケータ器具の遠位端部104を示す。発射ロッド174及び挿入フォーク220は、発射ばねによって遠位方向(左側)に迅速に前進している。先頭外科用締結具232Aは、プロテーゼ装置(例えば、メッシュ)を組織に固定するために、アプリケータ器具100の遠位端部104から発射される。図11G−1に示されるように、最も遠位側の位置において、挿入フォーク220の遠位端部224は、端部キャップ122の遠位端部を超えて前進している。
【0171】
図11G及び図11G−1を参照すると、能動停止部179と停止壁部SW(図11G)の係合が、挿入フォーク220の更なる遠位方向の移動を制限する。したがって、発射ロッド緩衝パッド178、能動停止部179及び停止壁部SWの組み合わせが、アプリケータ器具からの先頭外科用締結具232A及び挿入フォークの最大排出を制限する。アプリケータ器具の遠位端部からの外科用締結具及び/又は挿入フォークの過剰な排出は、プロテーゼ装置を損傷するか、組織を傷つけ得ることが観察されている。一実施形態において、図11G及び図11G−1に示される発射周期の段階中において、後続外科用締結具232B〜232Dは遠位方向に移動しない。
【0172】
図11Hを参照し、一実施形態において、先頭外科用締結具232Aが分配された後、発射周期は完了しておらず、トリガーは、図11Aに示される完全な開放位置に戻り得ない。一実施形態において、発射周期のこの段階中において、ヨーク142をアプリケータ器具の遠位端部の方に更に前進させるために、トリガー114は更に圧迫されなくてはならない。一実施形態において、ヨーク142の下面の歯と係合するラチェット爪144は、ラチェット爪144の突起部145がヨーク142の近位端部を通り過ぎるまで、ヨーク142が方向を変えて近位方向に移動することを防ぐ。ラチェット爪144の突起部145がヨーク142の近位端部を通り過ぎる前に、操作者がトリガーを引くのを停止した場合、トリガー114は適所で停止し、完全な開放位置まで戻ることはない。したがって、操作者はトリガーを引き続けなくてはならず、これはアプリケータ器具の遠位端部の方にヨークを移動し続ける。ヨーク142が遠位方向に移動し続けると、ヨークボス158は割送り器154を遠位方向に移動し、これは外科用締結具を前進させるための、アドバンサ166の遠位方向の移動を生じる。以下により詳細に記載されるように、割送り器が遠位方向に移動すると、割送り器154の上方スロット162もまた好ましくは、ロックアウトインジケータを少なくとも部分的に回転させるために、ロックアウトカウンター164上のタブ163と係合する。
【0173】
図11Hを参照し、ヨーク142が遠位方向に移動すると、主要ラッチ150は、主要ラッチ経路152の遠位開口部に接近する。主要ラッチ150が主要経路152の遠位開口部に達すると、主要ラッチ150は、ヨーク142をばねブロック170から分離するために自由に下降する。分離の後、ばねブロック170はヨークと別個に自由に移動する。一実施形態において、分離したばねブロックは、ばねブロック戻しばね184により提供される力に反応して、アプリケータ器具の近位端部の方に移動する。
【0174】
図11H−1は、図11Hに示される発射周期の段階中における、アプリケータ器具100の遠位端部104を示す。挿入フォーク220は、発射ロッドの十字形端部上の能動停止部と係合するハンドル内の停止壁部SWにより、更に遠位方向に移動することはできない。しかしながら、ヨーク142の更なる遠位方向の移動は、割送り器154を左側に移動させ続け、これはひいては、アプリケータ器具100の遠位端部104の方に後続外科用締結具232B、232C及び232Dを前進させるために、アドバンサ166を遠位方向に移動させる。
【0175】
図11Iは、主要ラッチレーストラック152の遠位開口部に到達した後の、主要ラッチ150を示す。主要ラッチ150が遠位開口部に達すると、主要ラッチ150は、ヨーク152をばねブロック170から分離するために自由に下降する。主要ラッチ150がヨーク142をばねブロック170から分離すると、ばねブロック170及びヨーク152は互いに別々に移動する。図11Iを参照し、上記のように、ヨーク152は、ラチェット爪146の突起部145がヨーク152の右端を通り過ぎるまで、近位方向に移動しないように拘束される。
【0176】
図11I−1は、主要ラッチ150がばねブロック170から分離された後の、アプリケータ器具100の遠位端部104を示す。トリガーが圧迫され続けると、アドバンサ166は、外科用締結具232B、232C及び232Dを遠位方向に前進させるために、遠位方向に移動し続ける。
【0177】
図11Jを参照し、トリガー114が圧迫され続けると、ヨーク142は割送り器154を遠位方向に前進させ続ける。割送り器154の更なる遠位の移動は、アドバンサ166を遠位方向に移動させ、ロックアウトカウンター164のタブ163を遠位方向に移動させる。ロックアウトカウンター164のタブ163は、好ましくは割送り器154の上方スロット162と摩擦係合する。図11J−1は、図11Jに示される発射周期の段階中における、アプリケータ器具100の遠位端部104を示す。
【0178】
図11Kを参照すると、一実施形態において、主要ラッチ150がばねブロックから分離された後、ばねブロック戻しばね184はばねブロック170を近位方向に移動するように推進する。ばねブロック170が右側に移動すると、ばねブロック170は発射ロッド174をアプリケータ器具100の近位端部の方に引く。したがって、ばねブロック170及び発射ロッド174はアプリケータ器具の近位端部の方に一体で移動し、一方でヨーク142はトリガー114の力により器具の遠位端部の方に移動させ続ける。一実施形態において、ヨークボス158は、緩衝ばね186を圧縮するために、割送り器154を遠位方向に移動し続ける。一実施形態において、緩衝ばね186は望ましくは、割送り器154がこれに接触する際に、ユーザーのトリガーの圧迫を段階的に遅くする。
【0179】
図11K−1は、図11Kに示される段階中における、アプリケータ器具100の遠位端部104を示す。主要ラッチがばねブロックをヨークから解放した後、ばねブロックは右側に移動し、それによって発射ロッド174及び挿入フォーク220を後退させる。図11K−1に示されるように、先頭外科用締結具232Aは組織に埋め込まれたままであり、一方で歯290、294は先頭外科用締結具のリブ272、274から後退している。
【0180】
図11Lを参照し、一旦トリガー114が完全に圧迫されると、ヨーク142の右端が、ラチェット爪144を通過する。結果として、ヨーク142は近位方向に自由に移動する。トリガー114が完全に圧迫された時、ヨークボス158は好ましくは、割送り器154を最も遠位側の位置へと推進する。ひいては、割送り器の上方スロット162は好ましくは、ロックアウトカウンター164を1/2周期だけ前進させる。トリガーが完全に圧迫された位置にある時、トリガー緩衝パッド132はトリガーの減速を緩衝するために、トリガー案内部129の端壁に係合する。
【0181】
図11L−1は、図11Lに示される発射周期の段階中における、アプリケータ器具100の遠位端部104を示す。割送り器の遠位方向の移動は、アドバンサ166の遠位方向の移動を生じさせる。一実施形態において、トリガーが完全な閉鎖位置まで圧迫されると、第2外科用締結具232Bが先頭外科用締結具位置まで前進させられ、第3外科用締結具232Cが第1後続位置まで前進させられ、第4外科用締結具232Dが第2後続位置まで前進させられる。図11L−1に示される発射周期の段階において、段階板228は好ましくは、延びている挿入フォーク220及び延びているアドバンサ166によって下方に偏向している。トリガーが圧迫されていない開放位置へと動き始める時、アドバンサ166及び挿入フォーク220は後退し、これは先頭外科用締結具232Bが段階板228によって移動されて、挿入フォークの歯と位置合わせされることを可能にする。
【0182】
図11Mを参照し、一実施形態において、トリガー114が解放された、圧迫されていない位置へと回転して戻ると、ヨーク142は近位方向に移動する。この段階において、ラチェット爪144は、ヨークが完全に後退した位置に到達するまで、ヨーク142が方向を変えることを防ぐ。ヨーク142が近位方向に移動すると、主要ラッチ150は主要ラッチレーストラック152の下を移動する。
【0183】
図11M−1は、図11Mに示される発射周期の段階中における、アプリケータ器具100の遠位端部104を示す。新しい先頭外科用締結具232Bは、延びているアドバンサ166及び部分的に延びている挿入フォーク220の下に位置する。段階板228及び段階板支持体226は、延びているアドバンサ及び延びている挿入フォークによって下方に偏向したままである。段階板228は、アドバンサ166及び挿入フォーク220によって遮蔽されることにより、直立位置へとばね運動しないように拘束される。
【0184】
図11Nを参照すると、一実施形態において、ばねブロック戻しばね184は、ばねブロック170をその最初の近位位置へと戻す。ひいては、ばねブロック150の近位方向の移動は、アプリケータ器具の遠位端部において、発射ロッド174及び挿入フォークを後退させる。トリガーが完全な開放位置へと移動すると、ヨーク142もまた最も近位側の位置に到達する。ヨーク142がその範囲の近位端部に到達すると、近位ラッチ150は、ハウジング106の近位端部に隣接するように位置する近位ラッチ傾斜面155によって上方に推進される。ヨーク142が後退した位置にある状態で、ラチェット爪144はヨーク142の下の中立位置へと動く。この段階において、ヨーク142は遠位方向に自由に動き、ラチェット爪144により、遠位方向に移動しないように拘束される。
【0185】
図11N−1は、図11Nに示される発射周期の最終段階中における、アプリケータ器具の遠位端部104を示す。図11N−1に図示されるように、アドバンサ166及び挿入フォーク220は完全に後退しており、これによって段階板228が、先頭外科用締結具232Bと挿入フォーク220の歯を位置合わせするために、上方に偏向することを可能にする。
【0186】
一実施形態において、本発明のアプリケータ器具は、鼠径床などの鼠経組織中に位置する、鼠経ヘルニアなどの欠損部を修復するために使用され得る。一般的に、鼠経ヘルニアは、腸骨筋を通じてアクセスされ得る。よく理解され得るように、典型的な鼠経ヘルニアの領域中には血管の網状組織及び神経が存在し、これは外科医が高度な技術及び注意をもってヘルニア修復を行うことを必要とする。例えば、横方向腹部腱膜においては内部輪が、胃の血管及び輸精管がこれを通じて鼠径靭帯の縁部にわたって延びることを可能にする。大腿管はクーパー靭帯の近くに位置し、外腸骨血管及び下腹壁血管を収容している。
【0187】
多くの場合において、鼠経靭帯の縁部及びクーバー靭帯は、解剖学的標識及び、上記のものなどの外科用締結具を支持するための支持構造として機能する。外腸骨血管及び輸精管を収容している領域は、一般的に「運命の三角形」として外科医に知られている場合がある。したがって、この領域内の切開、縫合又は締結を行う際は、注意を払わなくてはならない。
【0188】
プロテーゼ又はメッシュパッチが、鼠経ヘルニアの上に配置され得る。メッシュパッチは、任意の所望の構成、構造又は材料を有し得る。一実施形態では、メッシュパッチはPROLENE(商標)(周知される繊維製ポリマー)で作られてもよく、また、好ましくは、メッシュとして構成されてもよい。
【0189】
メッシュパッチは、そうでなければ鼠経ヘルニア通じて突出し、患者に激しい疼痛及び不快感を与える傾向にある腹部の内臓(図示されない)に対して十分なバリアを提供するために、鼠経ヘルニア上に配置され得る。メッシュパッチが鼠径床上に配置された後、メッシュパッチは鼠径床の取り付けに備える。
【0190】
図12A〜12Dを参照すると、一実施形態では、メッシュパッチなどのプロテーゼ装置を組織Tに固定するために、アプリケータ器具100の遠位端部104がプロテーゼ装置270上に配置される。プロテーゼ装置は、外科用メッシュを通って延在するストランド272を有する外科用メッシュであり得る。各外科用締結具の先端部は好ましくは、互いに離間し、外科用締結具がストランド272の少なくとも1つと係合する可能性を増加させる。器具100の遠位端部104は好ましくは、器具をプロテーゼ装置270上の適所に保持することを容易にする溝242を有する端部キャップ122を含む。
【0191】
図12Aを参照し、アプリケータ器具100は好ましくは、天井部スタンピング200及び後退防止スタンピング208を囲む外側管116を含む。端部キャップ122は、外側管116、天井部スタンピング200及び後退防止スタンピング208と連結される。天井部スタンピングは望ましくは、内側スタンピング200、208と外側管116との間のぴったりとしたフィットを提供するために、外側管116の内側面を圧迫するための1つ又は複数の天井部スタンピングばねタブ202を有する。アプリケータ器具は、その遠位端部から突出する歯を有する挿入フォーク220を含む。歯294の1つは、外科用締結具の脚部上のリブと係合するために、アプリケータ器具の長手方向軸A−Aに沿って延びる内側溝296を有する。アプリケータ器具は、挿入フォーク220の歯294と位置合わせされた外科用締結具を保持するための、段階板支持体226及び段階板228を含む段階板アセンブリを含む。
【0192】
アドバンサ166は好ましくは、挿入フォークと後退防止スタンピングとの間に配置される。アドバンサ166は、外科用締結具をアプリケータ器具の遠位端部の方に推進するためのアドバンサタブ230を含む。後退防止スタンピングは、外科用締結具が近位方向に移動するのを防ぐ、後退防止タブ212を有する。
【0193】
図12Aにおいて、発射システムが発射周期の第1段階に位置付けられる。挿入フォーク220及びアドバンサ166が後退して、段階板アセンブリが、外科用締結具232Aを、挿入フォーク220の少なくとも1つの歯294と位置合わせされた状態に保持する。
【0194】
図12Bは、挿入フォークの少なくとも1つの歯294が、先端外科用締結具232A上のリブと係合するように遠位方向に導かれた際の、発射周期の後の段階を示す。導く間、挿入フォーク220は、トリガーが圧迫される速度と比例する速度で遠位方向に移動する。先導の間、段階板タブ229及び段階板228は先頭外科用締結具232Aを、更に遠位方向に移動しないように安定化及び保持する。
【0195】
図12Cにおいて、位置エネルギーが発射ばね内に保存された後、先頭外科用締結具232Aをアプリケータ器具100から分配するために、発射ロッド174が解放される。発射ロッドは挿入フォーク220を駆動させ、続いて挿入フォーク220は、組織Tにプロテーゼ装置を固定するために組織T内の外科用締結具の先端部を導入するために、プロテーゼ装置を介して先頭外科用締結具232Aを駆動させる。組織内に導入する間、先頭外科用締結具が曲がる又は捻れるのを防ぐために、挿入フォークの歯が先頭外科用締結具232Aを支持することが好ましい。挿入フォーク220及び発射ロッド174が先頭外科用締結具232Aをプロテーゼ装置及び組織T内に駆動する際、後続外科用締結具232Bは好ましくは静的なままに留まる。
【0196】
図12Dを参照し、一実施形態において、発射周期の後の段階において、アドバンサ166をアプリケータ器具100の遠位端部の方に前進させるために、トリガーが更に引かれる。アドバンサ166上のアドバンサタブ230は好ましくは、後続外科用締結具232Bを遠位方向に移動させるために、後続外科用締結具232Bと係合する。段階中、発射ロッドはヨークから分離し、それによって挿入フォーク220が自由に後退し、分配された外科用締結具232Aから係合離脱する。
【0197】
図12Eを参照し、トリガーが完全に閉鎖すると、後続外科用締結具232Bは、アドバンサ166によって段階位置へと前進している。段階板アセンブリは、第2外科用締結具232Bを挿入フォーク220の端部の歯と位置合わせした状態に移動しないように拘束されるが、これは段階板アセンブリが、延びているアドバンサ166及び少なくとも部分的に延びている挿入フォーク220によりそのような移動を阻害されるためである。
【0198】
図12Eに示されない後の段階中において、トリガーは開放位置へと戻り、アドバンサ及び挿入フォークが図12Aに示される位置へと近位方向に移動する。アドバンサ166及び挿入フォーク220が図12Aに示される初期位置へと後退する際、段階板アセンブリは第2外科用締結具232Bを自由に移動させて、挿入フォーク220の少なくとも1つの歯294と位置合わせする。アプリケータ器具はそのとき、第2発射周期の開始に備えており、第2発射周期中において第2外科用締結具232Bは、プロテーゼ装置270及び組織T内に埋め込まれるために、アプリケータ器具から分配される。
【0199】
一実施形態において、アプリケータ器具は、全ての外科用締結具が分配された後に外科用締結具が更に展開しないようにアプリケータ器具を固定する、ロックアウトインジケータシステムを含む。図13Aを参照し、一実施形態において、ロックアウトインジケータシステムは好ましくは、ロックアウトカウンターボス365を有するロックアウトカウンター364を含む。ロックアウトカウンターは好ましくは、アプリケータ器具の長手方向軸A−Aに沿って、遠位方向及び近位方向に移動する。ロックアウトカウンターボス365は好ましくは、割送り器354の上方スロット362と位置合わせされ、それによって上方スロット362はロックアウトカウンターボス365の上を摺動することができる。一実施形態において、ロックアウトカウンターボス365は、割送り器154の上方スロット362内で摺動するように適合された外側寸法を有するが、ロックアウトカウンターボスが上方スロット362を通って移動する際に、ロックアウトカウンターボス365と上方スロット362との間に摩擦接触が存在するのが好ましい。
【0200】
一実施形態において、アプリケータ器具のトリガーが引かれると、ヨークは遠位方向に移動し、これはひいては、割送り器354を遠位方向(左側に)移動させる。図13Bを参照すると、割送り器354が遠位方向に移動すると、割送り器354の上方スロット362が、ロックアウトカウンター364のロックアウトカウンターボス365の上を摺動する。上方スロット362とロックアウトカウンターボス365との間の摩擦係合はロックアウトカウンター364を遠位方向に移動させ、これがひいてはロックアウトインジケータ375を反時計方向に回転させる。
【0201】
図14A〜Eは、本発明の実施形態による、ロックアウトインジケータシステムを示す。ロックアウトインジケータシステムを囲む構成要素は、実施形態の記載を単純化するために取り除かれている。図14Aを参照し、ロックアウトインジケータシステムは望ましくは、ロックアウトカウンターボス365を有するロックアウトカウンター364を含む。ロックアウトカウンター364は、ロックアウトカウンターの近位端部に隣接する第1の歯380及びロックアウトカウンターの先導部に隣接する第2の歯382を含む。本明細書で述べたように、ロックアウトカウンター364は、アプリケータ器具の長方向軸A−Aに沿って遠位方向及び近位方向に移動するように構成される。
【0202】
ロックアウトインジケータシステムは、位置合わせノッチ386及びロックアウトノッチ388を備える主要レッジ384を有するロックアウトインジケータ375を含む。位置合わせノッチ386は望ましくは、ロックアウトインジケータシステムを最初に組み合せる間に、ロックアウトインジケータ375を適切に位置合わせするために使用され得る。ロックアウトノッチ388は、発射システムを固定するためにロックアウトピンが内部に下降することを可能にする、より大きな開口部を主要レッジ384内に提供する。
【0203】
一実施形態において、ロックアウトインジケータシステムは、ロックアウトインジケータの主要レッジ384と係合するロックアウトフランジ392を有するロックプットピン390、及び一旦ロックアウトフランジ392がロックアウトスロット388と位置合わせされると、ロックアウトピン390を下方に推進するロックアプトピンばね394を含む。
【0204】
図14Bを参照し、割送り器354がアプリケータ器具の遠位端部の方に(図14Bの左側に)移動すると、上方スロット362はロックアウトカウンターボス365を遠位方向に移動させ、これはひいてはロックアウトカウンター364を遠位方向に移動させる。ロックアウトカウンター364が遠位方向に移動すると、ロックアウトカウンター364の近位端部に隣接する第1の歯380は、ロックアウトインジケータ375の下面の歯と係合する。ロックアウトカウンター364の第1の歯380とロックアウトインジケータ375の下面の歯との係合が、ロックアウトインジケータをRと指定される反時計回り方向に回転させる。ロックアウトインジケータ375が反時計方向に回転すると、ロックアウトフランジ392はロックアウトカウンター375の主要レッジ384の上を摺動する。ロックアウトフランジ292が主要レッジ384と接触している限り、ロックアウトピンは下降し得ない。
【0205】
図14Cを参照し、割送り器354は、トリガーが完全に圧迫されるまで、遠位方向に移動し続ける。割送り器354がその最も遠位側の位置に移動すると、上方スロット362はロックアウトカウンターボスが遠位方向に移動するように推進し続ける。割送り器354がその最も遠位側の位置に前進した時(図14C)、割送り器154はトリガーが開くにつれて近位方向に(右側に)移動し得る。割送り器354が近位方向に移動すると、割送り器は、ひいてはロックアウトカウンター364を近位方向に移動させ、それによってロックアウトカウンター上の第2の歯382はロックアウトインジケータ375の下面上の歯と係合する。ロックアウトカウンター上の第2の歯382が、ロックアウトカウンター375をRと指定される反時計回り方向に更に回転させることが好ましい。
【0206】
一実施形態において、1回の完全な発射周期は、ロックアウトカウンター364の、遠位方向及び次いで近位方向への移動を生じさせる。ロックアウトカウンターがその最も遠位側の位置へと遠位方向に移動すると、ロックアウトカウンター364はロックアウトインジケータ375を更に約1/58回転だけ回転させる。ロックアウトカウンター364がその最も近位側の位置へと移動すると、ロックアウトカウンターは再度、ロックアウトインジケータ375を約1/58回転だけ回転させる。したがって、各完全な発射周期は、ロックアウトインジケータ375の約1/29回転の回転を生じさせる。最終的に、ロックアウトインジケータ375は完全に回転し、それによってロックアウトフランジ392は、ロックアウトインジケータの主要レッジ384内に形成されるロックアウトスロット388と位置合わせされる。他の実施形態において、ロックアウトインジケータは、以下に提供される実施例よりも多く又は少なく回転し得る。
【0207】
図14Dは、発射システムが更に発射しないように固定される直前のインジケータシステムを示す。ロックアウト状態は、全ての締結具が分配された後に生じ得る。図14Dにおいて、ロックアウトインジケータ375は、ロックアウトフランジ394がロックアウトスロット388の縁部と隣接するように回転している。
【0208】
図14Eを参照し、一実施形態において、トリガー圧迫の終わりにおいて割送り器354が近位方向に移動すると、ロックアウトカウンター364はインジケータ375を反時計方向に回転させ、それによってロックアウトフランジ392がロックアウトスロット388と位置合わせされる。ロックアウトフランジ392がロックアウトスロット388と位置合わせされると、発射システムを固定するために、ロックアウトピン390がロックアウトスロット内に下降する。ロックアウトピン390はロックアウトピンばね394によって下降するように推進され得る。
【0209】
図15Aを参照し、一実施形態において、全ての外科用締結具が分配された後、ロックアウトインジケータ375が回転して、ロックアウトフランジ392がロックアウトスロット388と位置合わせされている。この段階において、ロックアウトピンばね394はロックアウトピン390を下降させ、それによってロックアウトピン390の下端の留め具396が、ヨーク342上のフランジ345と位置合わせされる。
【0210】
図15Bを参照し、一実施形態において、次の発射周期の間、ヨーク342が遠位方向に移動し、それによってヨークフランジ345がロックアウトピン390の留め具396の近位端部に係合する。図15Cを参照し、一実施形態において、ヨークが遠位方向に移動すると、ヨークフランジ345はロックアウトピン390の下端の留め具396を、ヨーク342が遠位方向に移動するに伴って上方に移動するように推進する。
【0211】
図15Dを参照し、一実施形態において、後の段階中において、ヨークフランジ345は留め具396の遠位端部を移動させる。図15Eにおいて、ヨーク342は留め具396により、近位方向に移動しないように拘束される。この段階において、トリガーは好ましくは完全に閉鎖し、留め具396とヨークフランジ345の係合によって開放トリガー位置への回転を防がれる。
【0212】
図16Aを参照し、一実施形態において、外科用締結具432は遠位端部450及び近位端部452を有する。外科用締結具432は、遠位端部450に隣接する第1先端部456を有する第1脚部454を備える。外科用締結具は好ましくは、遠位端部450に隣接する第2先端部460を有する第2脚部458を備える。外科用締結具432の近位端部452は、第1脚部454と第2脚部458を接続するブリッジ462を備える。ブリッジは、凹状内側面465及び凸状外側表面467を含み得る。
【0213】
図16B及び図16Cを参照し、第1脚部454は望ましくは第1盲導通孔480で終わり、第2脚部458は望ましくは第2導通孔482で終わる。各盲導通孔480、482は、先端部の牽引面内に形成されてもよく、かつ好ましくは、各先端部456、460の真上に位置する。盲導通孔480、482は好ましくは、先端部の遠位端部と実質的に位置合わせされて、先端部の屈曲を避け及び/又は各貫通遠位点のすぐ後ろに挿入するために力を方向付ける。
【0214】
図17A〜17Cを参照し、一実施形態において、外科用締結具532は第1脚部554及び第2脚部558の外側表面上に提供されるリブ572を含む。外科用締結具532は、第1突起部590及び第2突起部594を備える遠位端部524を有する挿入フォーク520によって展開される。第1突起部590は第1リブ572上を摺動する内側溝592を含む。第2突起部594は好ましくは、第2脚部558上の第2リブ(図示されない)上を摺動するように適合された第2内側溝596を含む。
【0215】
図17Bは、外科用締結具532の第1脚部及び第2脚部のリブ上を摺動する挿入フォーク520の第1突起部590及び第2突起部594を示す。図17Cは、外科用締結具532の第1脚部554及び第2脚部558上に完全に位置する突起部590、594を示す。挿入フォーク520は望ましくは、組織への外科用締結具の埋め込み中に、外科用締結具532に剛性を提供する。一実施形態において、第1突起部590及び第2突起部594の遠位端部が、外科用締結具の遠位端部における第1先端部556及び第2先端部560と軸方向に位置合わせされる。挿入力は好ましくは、歯590、594の遠位端部によって、及び挿入フォーク520の凹状座部525によって、外科用締結具532に伝達される。
【0216】
図18A及び図18Bを参照すると、一実施形態において、外科用締結具632は、第1先端部656を有する第1脚部654及び第2先端部660を有する第2脚部658を備える。第1脚部654は、近位端部652から外科用締結具632の遠位端部650の方に延びる第1の溝672を含む。第2脚部658は第1の溝672と同様に形成される第2の溝674を有する。図18Bに示されるように、第1の尖った先端部656は、第2の尖った先端部660からずらして配置されている。ずらして配置された先端部は望ましくは、挿入中に生じるピーク力をずらすことによって、挿入力を低減させる。外科用締結具はまた、望ましくは、第2脚部674の少なくとも1つの返し部666からずらして配置された、第1脚部672上の少なくとも1つの返し部664を含む。
【0217】
図19A〜19Cを参照し、一実施形態において、図18A及び18Bの外科用締結具632は、ずらして配置された突起部690A、690Bを有する挿入ツール620を使用して埋め込まれる。外科用締結具は好ましくは、尖った先端部656、660と位置合わせされた盲導通孔680、682を含む。挿入ツール620のずらして配置された突起部690A、690Bは尖った先端部656、660の後ろに位置する盲導通孔680、682内に挿入可能である。突起部は、締結具が埋め込まれる際に外科用締結具のための支持を提供し、外科用締結具の近位端部の遠位の外科用締結具に適用される挿入力を提供する。
【0218】
図20A〜20Cは、図19A〜19Cの挿入ツール620を使用して埋め込まれる、図18A〜18Bの外科用締結具632を示す。図20Aを参照すると、一実施形態では、アプリケータ器具の遠位端部は、組織Tに重なるプロテーゼ装置670と当接する。第1及び第2の尖った先端部656、660がプロテーゼ装置に隣接するように、挿入ツール620をアプリケータ器具600の遠位端部へと前進させる。図20Aに示されるように、第2の尖った先端部660は、第1の尖った先端部656の前にプロテーゼ装置に係合し、それによって埋め込み中に生じるピーク力をずらす。図20B及び20B−1は、プロテーゼ装置を通って組織内へと押される外科用締結具632の尖った先端部656、660を示す。挿入ツール620の遠位端部においてずらして配置された歯690A、690Bは、外科用締結具の尖った先端部656、660を支持し、かつ好ましくは外科用締結具の挿入中に、プロテーゼ装置を通って組織内に延びる。図20Cは、挿入ツールが後退した後に、プロテーゼ装置670を組織に対して保持するために、適所にある外科用締結具632を示す。外科用締結具のブリッジ662は好ましくは、第1脚部654と第2脚部658との間にストランドを捕捉するために、プロテーゼ装置の1つ又は複数のストランドに重なる。
【0219】
図21A及び図21Bを参照し、一実施形態において、外科用締結具732は、内側に面する返し部764、766を備える。図21Bを参照し、一実施形態において、返し部は好ましくは、外科用締結具の遠位端部からずらして配置されている。埋め込み後、内側に面する返し部764、766は望ましくは脚部の内部の組織を圧迫し、それによって必要とされる引き出し力を増加させる。外科用締結具は望ましくは、実質的に平坦な内側面を有するブリッジ762を備え、これはプロテーゼ装置のより多くの捕捉を可能にし、外科用締結具が挿入管の遠位端部の方に前進する際にその位置合わせを更に補助する。
【0220】
本発明は動作のいかなる特定の理論によっても制限されないが、内側に面する返し部は、所与の外科用要素幅のより大きな点間距離を提供し、それによって開放孔メッシュを固定する際に外科用締結具がストランドを捕捉しない可能性を低減するものと考えられる。内側に面する返し部は、脚部754、758の外側表面が真っ直ぐであることを可能にし、それによって外科用締結具を管内に送達するのを促進する。
【0221】
図21A及び図21Bを参照し、一実施形態において、外科用締結具732の脚部754、758は、対向する内側溝772、774を有する。溝772、774は望ましくは、外科用締結具の近位端部でかつ外科用締結具のブリッジ762の隣接部でアクセス可能である。第1脚部754及び第2脚部758内に形成される内側溝は好ましくは、挿入ツールの案内歯を、脚部754、758の遠位端部における盲導通孔に案内する。円錐形の先端部756、760は切削された先端部と比較して挿入力を増加させ、かつ円錐形の先端部は経路を切断せず、むしろ円錐形の先端部によって作られる孔を伸張することによって引き出し力を増加させ得るものと考えられる。図22A〜22Cは、内側溝772、774内へと前進可能な遠位歯790A、790Bを有する挿入ツール720を示す。歯の遠位端部は好ましくは、先端部756、760に隣接して終わる、盲導通孔680、682と当接する。
【0222】
図23を参照し、一実施形態において、外科用締結具832は、面外に設置される返し部864、866を有する。面外返し部は好ましくは、組織内への埋め込み後に保持力を向上させる。図24を参照し、一実施形態において、外科用締結具932にはピンが無く、望ましくはプロテーゼ装置、メッシュ又は組織内への展開中に、近位端部から押し出される。
【0223】
図25A及び図25Bを参照し、一実施形態において、外科用締結具1032は針補助式挿入を用いて展開される。外科用締結具1032は、貫通孔を有する返し先端部1056、1060を有する。一実施形態において、外科用締結具1032は比較的柔軟な材料で作製されるが、先端部1056、1060の貫通孔を通過可能な針先端部1090A、1090Bを有する針補助式挿入ツール1020を使用して、硬いプロテーゼ装置、メッシュ及び組織を通って更に挿入され得る。
【0224】
図26を参照し、一実施形態において、外科用締結具1132は一方向返し部を有する。各返し部1164、1166は好ましくはノッチ1165、1167を有し、これらは返し部が、挿入中に内側に及び後退中に外側に撓むことを可能にし、それによって外科用締結具の後退中にプロテーゼ装置、メッシュ及び/又は組織から返し部を取り除き難くする。
【0225】
図27を参照し、一実施形態において、アプリケータ器具1200はその遠位1204端部に位置合わせノッチ1225を有する。図28A及び図28Bに示されるように、一実施形態において、位置合わせノッチ1225は好ましくは、プロテーゼ装置のストランド1270上の器具の位置合わせを容易にし、アプリケータ器具から展開される際に外科用締結具1232の脚部1254と1258との間にストランドが捕捉されることを確実にする。
【0226】
図29を参照し、一実施形態において、アプリケータ器具1200は、遠位端部1204から外側に向かって、及び外側管1216の外側表面に沿って延びる、1つ又は複数の位置合わせマーキング1290を有する外側管1216を有する。位置合わせマーキング1290は好ましくは、プロテーゼ装置のストランド1270上の器具の位置合わせのために、位置合わせ基準マーキングを提供するため、器具の長手方向軸A−Aに沿って延びる。
【0227】
図30A〜30Bを参照すると、一実施形態では、外科用締結具1332は望ましくは、遠位端部1350及び近位端部1352を含む。外科用締結具1332は、第1脚部の遠位端部に設けられた遠位点1357を備える第1挿入先端部1356を有する第1脚部1354と、第2脚部の遠位端部に設けられた遠位点1361を備える第2挿入先端部1360を有する第2脚部1358と、を備えることが好ましい。それぞれの遠位点1357、1361は、鋭い先端であっても、又はより鈍くてもよい。一実施形態では、第1及び第2挿入先端部1356、1360は、鈍い遠位貫通点1357、1361をそれぞれ有する。鈍い点は、外科用締結具が組織を貫通できるようにする一方で、外科医などの操作者の手への望ましくない貫通を最小化することを可能にする。
【0228】
一実施形態では、外科用締結具1332は、第1及び第2脚部1354、1358の近位端部と接続する外科用締結具の近位端部1352に隣接するブリッジ1362を含むことが好ましい。外科用締結具1332は、第1挿入先端部1356から後方に突出する少なくとも1つの第1返し部1364と、第2挿入先端部1360から後方に突出する少なくとも1つの第2返し部1366と、を備えることが好ましい。各脚部には返し部が1つのみ示されているが、他の外科用締結具は各脚部又は挿入先端部に複数の返し部を有してもよい。一実施形態では、第1及び第2挿入先端部1356、1360は円錐形状であってもよい。
【0229】
一実施形態では、第1及び第2挿入先端部1356、1360は、それぞれの第1及び第2脚部1354、1358の長手方向軸に対して外側に傾斜している。一実施形態では、第1及び第2挿入先端部1356、1360は、好ましくは外科用締結具1332の中央から外側に傾斜している。一実施形態では、第1及び第2挿入先端部1356、1360は、好ましくは非対称であり、外科用締結具1332の中央から外側に延伸するように構成されている。
【0230】
一実施形態では、それぞれの第1及び第2先端部1356、1360の最遠位端部における遠位貫通点1357、1361間の距離は、第1及び第2脚部1354、1356の対向面間の距離よりも大きいことが好ましい。第1先端部1356の遠位貫通点と第2先端部1360の遠位貫通点との間のより広い相対距離によって、外科用締結具が、外科用メッシュのストランドなどの、多孔質プロテーゼ装置のより多くのストランドを確実に捕捉することが好ましい。一実施形態では、外側に傾斜した遠位先端部1357、1361は、外科用メッシュ繊維を捕捉する改善された能力を提供し、ここでメッシュ繊維は各脚部間の架橋部を広げる必要なしに互いから分離される。
【0231】
一実施形態では、ブリッジ1362は、外科用締結具1332の遠位端部1350に面する凹状内側表面1368、及び外科用締結具の近位端部1352に面する凸状外側表面1370を含むことが好ましい。一実施形態では、第1脚部1354は、第1脚部の長手方向軸に沿って延在する第1リブ1372を有する外壁を有する。一実施形態では、第1リブ1372は第1挿入先端部1356の遠位点1357と実質的に位置合わせされている。一実施形態では、第2脚部1358は、第2脚部の長手方向軸に沿って延在する第2リブ1374を有する外壁を含む。一実施形態では、第2リブ1374は第2挿入先端部1360の遠位点1361と実質的に位置合わせされていることが好ましい。
【0232】
一実施形態では、第1挿入先端部1356の近位面は、挿入フォークの第1の歯の遠位端部を受容するように構成された第1挿入ツール座部表面1380を含む。第2挿入先端部1360の近位面は、挿入フォークの第2の歯の遠位端部を受容するように構成された第2挿入ツール座部表面1382を含むことが好ましい。一実施形態では、凸状挿入ツール座部表面1380、1382は、第1及び第2挿入先端部1356、1360の遠位貫通点1357、1361と実質的に位置合わせされていることが好ましい。挿入フォークの歯の遠位端部は、対応する挿入ツール座部表面1380、1382に適合する表面(例えば、凹状)を有し得る。
【0233】
一実施形態では、外科用締結具1332の第1脚部1354は、第1脚部を近位セグメント1386と第1挿入先端部1356を含む遠位セグメント1388とに分割する第1関節接合部1384、第1遠位点1357、第1返し部1364、及び第1挿入ツール座部表面1380を有する。第1関節接合部1384は好ましくは、第1脚部1354の遠位セグメント1388が第1脚部の近位セグメント1386に対して偏向することを可能にする。一実施形態では、第1脚部の近位セグメント1386、第1関節接合部1384、及び第1脚部の遠位セグメント1388のすべてが、ポリマー材料などの同じ材料から作られる。
【0234】
一実施形態では、外科用締結具1332の第2脚部1358は、第2脚部を近位セグメント1392と第2挿入先端部1360を含む遠位セグメント1394とに分割する第2関節接合部1390、第2遠位点1361、第2返し部1366、及び第2挿入ツール座部表面1382を有する。第2関節接合部1390は好ましくは、第2脚部1358の遠位セグメント1394が第2脚部の近位セグメント1392に対して偏向することを可能にする。一実施形態では、第2脚部の近位セグメント1392、第2関節接合部1390、及び第1脚部の遠位セグメント1394のすべてが、ポリマー材料などの同じ材料から作られる。
【0235】
インプラント(例えば、外科用メッシュ)を組織に対して固定するために外科用締結具(例えば、ステープル、タックなど)を組織内に配置することにより、締結具の先端部が組織内に存在する血管又は神経に衝突するために、患者に痛み及び/又は不快感が生じ得ることが観察された。そのため、血管及び/又は神経に先端部が衝突する可能性を最小化する、改善された外科用締結具への必要性が存在する。本発明は特定の操作方法に限定されてはいないが、関節接合部1384、1390を外科用締結具の対応する第1及び第2脚部に提供することで、挿入先端部1356、1360を有する脚部の遠位セグメント1388、1394が、必要であればそれぞれ偏向して、組織内に存在する血管及び/又は神経に挿入先端部が衝突することを制限することを可能にすると考えられている。言い換えれば、挿入先端部1356、1360が血管及び/又は神経と接触する場合、関節接合部1384、1390によって、対応する挿入先端部1356、1360を血管及び/又は神経から偏向させ、衝突の度合いを低下させ、患者の不快感及び/又は痛みを最小化することが可能となる。
【0236】
一実施形態では、外科用締結具の脚部のうちの1つのみが、関節接合部を有し得る。一実施形態では、外科用締結具の脚部のうちの1つ又は複数が、2つ以上の関節接合部を有し得る。一実施形態では、関節接合部は、挿入先端部を脚部の近位セグメントに対して全方向に偏向させることを可能にする、全方向式の接合部であり得る。
【0237】
一実施形態では、外科用締結具1332は吸収性及び/又は非吸収性材料から作製され得る。好適な吸収性材料としては、PDS、PDS/ラクチド−グリコリドブレンド、PLAなどが挙げられる。一実施形態では、各外科用締結具は外径約5mmの管の内部にフィットする大きさである(一般的にはトロカール・カニューレの寸法)。一実施形態では、外科用締結具は成形によって製作されるが、僅かな修正を加えたキャスティング、スタンピング及び機械加工などの他のプロセスが使用され得る。一実施形態において、外科用締結具は、一般的な形状に押し出されて、その後形成され得る。
【0238】
図30Cを参照すると、一実施形態では、外科用締結具1332を組織内に挿入するために挿入フォーク1396が使用される。挿入フォーク1396は、本明細書に開示されるアプリケータ器具の発射ロッドの遠位端部に提供されることが好ましい。一実施形態では、挿入フォーク1396は、外科用締結具1332の1つ又は複数の表面に係合するように構成された遠位端部を有する。一実施形態では、挿入フォーク1396の遠位端部は、内部に形成される第1内側溝を有する第1の歯1398A及び内部に形成される第2内側溝を有する第2の歯1398Bを含む。上述の通り、操作中、第1及び第2の歯1398A、1398Bの対向する内側溝は、外科用締結具の第1脚部1354及び第2脚部1358上に提供されたリブ1372、1374(図30A)の上を摺動するように構成されることが好ましい。内側溝とリブとの係合によって、外科用締結具要素1332と挿入フォーク1396の遠位端部が位置合わせされ、組織への埋め込み中に外科用締結具を安定化させることが好ましい。一実施形態では、第1及び第2の歯1398A、1398Bの最遠位先端部は、これらが第1及び第2挿入先端部1356、1360の近位端部に提供される挿入ツール座部表面1380、1382に対して当接するまで前進させられる。
【0239】
本発明は、いかなる操作方法にも制限されないが、外科用締結具の脚部の外側表面上のリブと係合する溝付き歯を有する挿入フォーク1396を提供することは、アプリケータ器具の遠位端部から外科用締結具を分配する際に外科用締結具の安定性及び操作性を向上させるものと考えられる。加えて、挿入力は、従来技術システムにおけるように外科用締結具の近位端部のみではなく、外科用締結具の遠位端部のより近くに提供される。この特徴は(すなわち、締結具の遠位端部の近くで外科用締結具に挿入力を提供すること)は、より小さい及び/又は低い外形の外科用締結具が使用されることを可能にし得る。
【0240】
図30Cを参照すると、アプリケータ器具が発射される時、挿入フォーク1396が遠位に前進して、外科用締結具1332の挿入先端部1356、1360を組織内へと押し進める。組織内に運ばれる時、挿入フォーク1396の歯1398A、1398Bによってもたらされる剛性のために、また挿入フォークによって脚部の挿入先端部1356、1360にもたらされる圧縮力のために、外科用締結具の第1及び第2脚部1354、1358は依然として剛性のままである。
【0241】
図30Dを参照すると、一実施形態では、外科用締結具は組織内に挿入され、続いて挿入フォークが後退させられた後では、対応する第1及び第2脚部1354、1358の遠位セグメント1388、1394は可撓性であり、また脚部の関節接合部1384、1390の存在のために偏向可能である。関節接合部1384、1390は、組織内に存在する血管及び/又は神経への衝突を制限し、患者の不快感及び/又は痛みを最小化するために、必要に応じて、脚部の遠位セグメント1388、1394、及び遠位セグメントに設けられた挿入先端部1356、1360の偏向を可能にする。一実施形態では、第1及び第2脚部1354、1358の遠位セグメント1388、1394に存在するばね様の特性によって、外科用締結具が様々な組織の厚さに合わせて自動的に適合することが可能となり得る。一実施形態では、挿入先端部1356、1360が偏向すると、挿入先端部は1356A、1360Aと指定される第1の偏向されていない位置から、1356B、1360Bと指定される第2の偏向された位置へと移動し、返し部1364、1366は偏向された第1及び第2挿入先端部1356、1360に合わせて、1364A、1366Aと指定される第1の偏向されていない位置から、1364B、1366Bと指定される第2の偏向された位置へと移動する。
【0242】
図31A及び31Bを参照すると、一実施形態では、外科用締結具1432は、リブ1472を備える第1脚部1454、及び第1脚部を近位セグメント1486と遠位セグメント1488とに分離する第1関節接合部1484を有する。第1脚部の遠位セグメントは、第1遠位点1457を有する第1挿入先端部1456を含む。外科用締結具1432は、リブ1474を備える第2脚部1458、及び第2脚部を近位セグメント1492と遠位セグメント1494とに分割する第2関節接合部1490を有する。第2脚部の遠位セグメントは、第2遠位点1461を有する第2挿入先端部1460を含む。
【0243】
一実施形態では、第1及び第2関節接合部1484、1490が、対応する第1及び第2脚部の薄い区画を画定し、薄い区画が第1及び第2脚部の各々の近位セグメントと遠位セグメントとの間に可撓性を提供する。第1及び第2関節接合部1484、1490は、成形又は整形プロセスの間といった、第1及び第2脚部の形成中に作られ得、又は、第1及び第2脚部から材料を取り除いて関節接合部1484、1490を作ることで形成され得る。図31A及び31Bに示す実施形態では、第1及び第2関節接合部1484、1490は、互いから離れる方を向くC形状の断面を有する。
【0244】
第1関節接合部1484は、好ましくは、遠位セグメント1488及び第1脚部1454の第1挿入先端部1456が、第1脚部の近位セグメント1486に対して偏向することを可能にする。一実施形態では、第1脚部の近位セグメント1486、第1関節接合部1484、及び第1脚部の遠位セグメント1488のすべてが、ポリマー材料などの同じ材料から作られる。
【0245】
第2関節接合部1490は、好ましくは、第2脚部1458の遠位セグメント1494及び第2挿入先端部1360が、第2脚部の近位セグメント1492に対して偏向することを可能にする。一実施形態では、第2脚部の近位セグメント1486、第2関節接合部1484、及び第1脚部の遠位セグメント1488のすべてが、ポリマー材料などの同じ材料から作られる。
【0246】
図30Cを参照すると、一実施形態では、外科用締結具1432を組織内に挿入するために挿入フォーク1496が使用される。一実施形態では、挿入フォーク1496の遠位端部は、内部に形成される第1内側溝を有する第1の歯1498A及び内部に形成される第2内側溝を有する第2の歯1498Bを含む。上述の通り、操作中、第1の歯1498A及び第2の歯1498Bの対向する内側溝は、外科用締結具の第1脚部1354及び第2脚部1358上に提供されたリブ1472、1474(図31A)の上を摺動するように構成されることが好ましい。内側溝とリブとの係合によって、外科用締結具1432と挿入フォーク1496の遠位端部が位置合わせされ、組織に埋め込み中の外科用締結具を安定化させることが好ましい。一実施形態では、第1及び第2の歯1498A、1498Bの最遠位先端部は、これらが対応する第1及び第2挿入先端部1456、1460の近位端部に提供される挿入ツール座部表面1480、1482に対して当接するまで前進させられる。
【0247】
図31Cを参照すると、アプリケータ器具が発射される時、挿入フォーク1496が遠位に前進して、外科用締結具1432の挿入先端部1456、1460を組織内へと押し進める。組織内に運ばれた時、挿入フォーク1496の歯1498A、1498Bによってもたらされる剛性のために、また挿入フォークによって第1及び第2脚部1454、1458の第1及び第2挿入先端部1456、1460にそれぞれもたらされる圧縮力のために、外科用締結具の第1及び第2脚部1454、1458は依然として剛性のままである。
【0248】
図31Dを参照すると、一実施形態では、外科用締結具が組織内に挿入され、続いて挿入フォークが後退させられた後では、第1及び第2脚部の対応する遠位セグメント1488、1494は、脚部の関節接合部1484、1490の存在のために可撓性である。関節接合部1484、1490は、組織内に存在する血管及び/又は神経への衝突を制限し、患者の不快感及び/又は痛みを最小化するために、必要に応じて、脚部の遠位セグメント1488、1494、及び遠位セグメントに設けられた挿入先端部1456、1460の偏向を可能にする。一実施形態では、第1及び第2脚部1454、1458の遠位セグメント1488、1494に存在するばね様の特性によって、外科用締結具が様々な組織の厚さに合わせて自動的に適合することが可能となり得る。一実施形態では、挿入先端部1456、1460が偏向すると、挿入先端部は、1456A、1460Aと指定される第1の偏向されていない位置から、1456B、1460Bと指定される第2の偏向された位置へと移動し、また返し部1464、1466が第1の偏向されていない位置1464A、1466Aから第2の偏向された位置1464B、1466Bへと偏向されると、これらは第1及び第2挿入先端部1456、1460に合わせて移動する。
【0249】
図32A及び図32Bを参照すると、一実施形態では、外科用締結具1532は望ましくは、遠位端部1550及び近位端部1552を含む。外科用締結具1532は、第1脚部の遠位端部に提供される第1挿入先端部1556を有する第1脚部1554、及び第2脚部の遠位端部に提供される第2挿入先端部1560を有する第2脚部1558を備えることが好ましい。外科用締結具1532は、第1及び第2脚部1554、1558の近位端部を接続する外科用締結具の近位端部1552に隣接するブリッジ1562を含むことが好ましい。外科用締結具1532は、第1挿入先端部1556から後方に突出する少なくとも1つの第1返し部1564と、第2挿入先端部1560から後方に突出する少なくとも1つの第2返し部1566と、を備えることが好ましい。
【0250】
一実施形態では、第1及び第2挿入先端部1556、1560は、それぞれの第1及び第2脚部1554、1558の長手方向軸に対して外側に傾斜している。一実施形態では、第1及び第2挿入先端部1556、1560は、遠位点1557、1561をそれぞれ有する。遠位点1557、1561は鋭くても、鈍くてもよい。一実施形態では、遠位点1557、1561は、外科用締結具1532が外科医などの操作者の手への望ましくない貫通の可能性を最小化する一方で、組織を貫通することを可能にするように鈍い。
【0251】
一実施形態では、第1脚部1554は、第1脚部の長手方向軸に沿って延在する第1リブ1572を有する。一実施形態では、第1リブ1572は、第1挿入先端部1556の遠位点1557と実質的に位置合わせされていることが好ましい。
【0252】
一実施形態では、第2脚部1558は、第2脚部1558の長手方向軸に沿って延在する第2リブ1574を有する。一実施形態では、第2リブ1574は、第2挿入先端部1560の遠位点1561と実質的に位置合わせされていることが好ましい。
【0253】
一実施形態では、第1及び第2挿入先端部1556、1560は、好ましくは外科用締結具1532の中央から外側に傾斜している。一実施形態では、第1及び第2挿入先端部1556、1560は好ましくは非対称であり、外科用締結具1532の中央から外側に延伸するように構成されている。
【0254】
一実施形態では、第1挿入先端部1556の近位面は、挿入フォークの第1の歯の遠位端部を受容するように構成された第1挿入ツール座部表面1580を含む。第2挿入先端部1560の近位面は、挿入フォークの第2の歯の遠位端部を受容するように構成された第2挿入ツール座部表面1582を含むことが好ましい。一実施形態では、凸状座部表面1580、1582は、対応する第1及び第2挿入先端部1556、1560の遠位点1557、1561と実質的に位置合わせされていることが好ましい。一実施形態では、挿入フォークの歯の遠位端部は、対応する凸状挿入ツール座部表面1580、1582と適合する表面を有し得る(例えば、凹状表面)。
【0255】
一実施形態では、第1挿入先端部1556は、その内部に第1関節接合部1584を、第1挿入ツール座部表面1580と遠位点1557との間に配置して組み込んでいる。第1関節接合部1584は、第1挿入先端部1556の遠位点1557が、第1関節接合部1584の近位にある第1脚部1554の残部に対して偏向する及び/又は曲がるのを可能にすることが好ましい。
【0256】
一実施形態では、第2挿入先端部1560は、第2挿入ツール座部表面1582と第2遠位点1561との間に配置された第2関節接合部1590を有する。第2関節接合部1590は、第2挿入先端部1560の第2遠位点1561が、第2関節接合部1590の近位にある第2脚部1558の残部に対して偏向する及び/又は曲がるのを可能にすることが好ましい。
【0257】
図32A及び32Cを参照すると、一実施形態では、挿入先端部が挿入フォーク(図示せず)によって組織内に運ばれる時、挿入先端部及びこれらに付随した対応する関節接合部は圧縮されて、一部には挿入フォークの歯(例えば、図31Cを参照のこと)によってもたらされた圧縮力のために挿入中に偏向する又は曲がることのない、固体構造体を形成する。図32Cは、挿入フォークによって組織内に運ばれる時の、第2挿入先端部1560及び第2遠位点1561を示す。第2挿入先端部1560及びこれに付随した第2関節接合部1590は圧縮されて、組織への挿入中に偏向する又は曲がることのない、固体構造体を形成する。
【0258】
図32Dを参照すると、一実施形態では、外科用締結具1532が組織内に挿入され、続いて挿入フォークが引っ込められた後で、第1及び第2挿入先端部1556、1560の対応する遠位点1557、1561は、対応する挿入先端部の関節接合部1584、1590の存在のために可撓性である。関節接合部1584、1590は、組織内に存在する血管及び/又は神経への衝突を制限し、患者の不快感及び/又は痛みを最小化するために、必要に応じて、遠位先端部1557、1561の偏向を可能にする。一実施形態では、遠位先端部1557、1561に存在するばね様の特性によって、外科用締結具1532が様々な組織の厚さに合わせて自動的に適合することが可能となり得る。一実施形態では、遠位点1457、1461が、衝突する血管及び/又は神経に応答して偏向すると、遠位点は、1457A、1461Aと指定される第1の偏向されていない位置から、1357B、1361Bと指定される第2の偏向された位置へと移動するが、一方で遠位点に結合される返し部1364、1366は、組織内で静止したままで移動しない。
【0259】
図33を参照すると、一実施形態では、外科用締結具1632は、第1関節接合部1684を備える第1脚部1654、及び第2関節接合部1690を備える第2脚部1658を有し得る。外科用締結具は、一般には上記の図31A〜31Dに示されかつ説明された外科用締結具と同様の構造である。しかしながら、図33の実施形態では、第1及び第2関節接合部1684、1690は、図31A〜31Dの実施形態で示された関節接合部の方向に対して約90度回転される。一実施形態では、第1及び第2脚部の関節接合部の配向及び/又は配置は、特定の方向への挿入先端部の偏向を促進し、脚部の偏向範囲を修正し、及び/又は脚部の可撓性を修正するために、修正されてもよい。
【0260】
図34を参照すると、一実施形態では、外科用締結具1732は、第1脚部1754と、第2脚部1758と、第1及び第2脚部の近位端部間を延在するブリッジ1762と、を有する。一実施形態では、外科用締結具1732は、ブリッジ1762に対して遠位であり、かつ第1及び第2脚部1754、1758の内面間を延在する、テンション要素1800を備えることが好ましい。一実施形態では、テンション要素1800は、テンションプレート1802及び、テンションプレート1802とブリッジ1762とを接続する圧縮可能なばね1804を含む。一実施形態では、テンション要素1800は、テンションプレート1802によって張力を維持することにより、外科用締結具1732が様々な厚みの組織上で効果的に使用されることを可能にする。一実施形態では、プロテーゼ装置(例えば、外科用メッシュ)を組織に固定するために外科用締結具1732を組織内に挿入した後で、外科用締結具のブリッジ1762とプロテーゼ装置との間に依然として間隙が残っている場合は、組織にプロテーゼ装置を効果的に固定するために、テンション要素1800が間隙を埋めて、プロテーゼ装置及び組織の外側表面上に張力を提供する。
【0261】
図35を参照すると、一実施形態では、外科用締結具1832は、第1脚部1854と、第2脚部1858と、第1及び第2脚部の近位端部間を延在するブリッジ1862と、を有する。一実施形態では、外科用締結具1832は、ブリッジ1862に対して遠位であり、かつ第1及び第2脚部1854、1858の近位端部間を延在する、テンションストラップ1900を含むことが好ましい。一実施形態では、テンションストラップ1900は、外科用締結具1832の遠位端部1850に面した凸面を備えた円弧状形状を有する。一実施形態では、テンションストラップ1900は、テンションプストラップ1900によって組織上の張力を維持することにより、科用締結具1832が様々な厚みを有する組織上で効果的に使用されることを可能にする。一実施形態では、プロテーゼ装置(例えば、外科用メッシュ)を組織に固定するために外科用締結具1832を組織内に挿入した後で、ブリッジ1862とプロテーゼ装置との間に依然として間隙が残っている場合は、組織にプロテーゼ装置を効果的に固定するために、テンションストラップ1900が間隙を埋めて、プロテーゼ装置及び組織の外側表面上に張力を提供する。
【0262】
本明細書に使用される項目は整理目的のものであり、本明細書又は請求項の範囲を制限することを意図したものではない。本願の全体を通じて使用される時、「してもよい(may)」という語は、義務の意味(すなわち、必須を意味する)ではなく、許可の意味で使用されている(すなわち、あることを行う可能性を有することを意味する)。同様に、「含む(include、including、及びincludes)」は、それらを含むが限定されないことを意味する。理解を容易にするために、各図に共通する同様の要素を示すために、可能な限り、同様の参照符号が使用されている。
【0263】
前述の事項は、本発明の実施形態に向けられているが、本発明の基本的範囲から逸脱することなく、本発明の他の実施形態、及び更なる実施形態を考案することができる。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲に明記されるようにのみ限定される。
【0264】
〔実施の態様〕
(1) 外科用締結具であって、
第1脚部であって、近位端部、遠位端部、前記第1脚部の前記遠位端部における第1挿入先端部、及び前記第1脚部を近位セグメントと前記第1脚部の前記近位セグメントに対して偏向可能な遠位セグメントとに分離させる第1関節接合部を含む、第1脚部と、
第2脚部であって、近位端部、遠位端部、前記第2脚部の前記遠位端部における第2挿入先端部、及び前記第2脚部を近位セグメントと前記第2脚部の前記近位セグメントに対して偏向可能な遠位セグメントとに分離させる第2関節接合部を含む、第2脚部と、
前記外科用締結具の閉鎖端部を形成するために、前記第1及び第2脚部の前記近位端部を接続するブリッジと、を備える、外科用締結具。
(2) 前記第1挿入先端部が前記第1脚部の最遠位端部に第1遠位点を有し、前記第2挿入先端部が前記第2脚部の最遠位端部に第2遠位点を有する、実施態様1に記載の外科用締結具。
(3) 前記第1脚部及び前記第2脚部がそれぞれ反対の方向に互いから離れる方を向く外壁を有し、前記第1及び第2遠位点間の距離が、それぞれ反対の方向に互いから離れる方を向く前記第1及び第2脚部の前記外壁間の距離よりも大きい、実施態様2に記載の外科用締結具。
(4) 前記第1脚部及び前記第2脚部が、それぞれの長手方向軸に沿って延在し、前記第1挿入先端部及び前記第2挿入先端部が、前記それぞれの長手方向軸に対して外側に傾斜する、実施態様1に記載の外科用締結具。
(5) 前記第1挿入先端部が、前記第1脚部の前記近位端部よりも前記第1脚部の前記遠位端部に近い第1挿入ツール座部表面を含む近位端部を含み、前記第2挿入先端部が、前記第2脚部の前記近位端部よりも前記第2脚部の前記遠位端部に近い第2挿入ツール座部表面を含む近位端部を含む、実施態様2に記載の外科用締結具。
【0265】
(6) 前記第1関節接合部が前記第1挿入ツール座部表面と前記第1脚部の前記近位端部との間に配置され、前記第2関節接合部が前記第2挿入ツール座部表面と前記第2脚部の前記近位端部との間に配置される、実施態様5に記載の外科用締結具。
(7) 前記第1関節接合部が前記第1挿入ツール座部表面と前記第1脚部の前記最遠位端部における前記第1遠位点との間に配置され、前記第2関節接合部が前記第2挿入ツール座部表面と前記第2脚部の前記最遠位端部における前記第2遠位点との間に配置される、実施態様5に記載の外科用締結具。
(8) 前記第1挿入ツール座部表面が、前記第1脚部の前記近位端部の方を向き、前記第2挿入ツール座部表面が、前記第2脚部の前記近位端部の方を向く、実施態様5に記載の外科用締結具。
(9) 前記第1脚部が、前記第1脚部の前記近位端部と前記第1挿入ツール座部表面との間に延びる第1位置合わせ案内部を含み、前記第2脚部が、前記第2脚部の前記近位端部と前記第2挿入ツール座部表面との間に延びる第2位置合わせ案内部を含む、実施態様5に記載の外科用締結具。
(10) 前記第1脚部上の前記第1位置合わせ案内部が、前記第1挿入ツール座部表面で終端し、かつ前記第1挿入ツール座部表面と実質的に位置合わせされた遠位端部を有し、前記第2脚部上の前記第2位置合わせ案内部が、前記第2挿入ツール座部表面で終端し、かつ前記第2挿入ツール座部表面と実質的に位置合わせされた遠位端部を有する、実施態様9に記載の外科用締結具。
【0266】
(11) 前記第1位置合わせ案内部が前記第1関節接合部を通って延在し、前記第2位置合わせ案内部が前記第2関節接合部を通って延在する、実施態様9に記載の外科用締結具。
(12) 前記第1脚部が前記第1脚部の前記近位端部に向かって突出する第1返し部を備え、前記第2脚部が前記第2脚部の前記近位端部に向かって突出する第2返し部を備え、前記第1及び第2返し部が互いから離れて外側に向かって突出する、実施態様1に記載の外科用締結具。
(13) 前記第1及び第2脚部の前記近位端部間を延在し、前記ブリッジの遠位面から離間されたテンション要素を更に備える、実施態様1に記載の外科用締結具。
(14) 医療用装置を組織に固定するための外科用締結具であって、
第1脚部であって、近位端部、遠位端部、前記第1脚部の前記近位端部と前記遠位端部との間を延在する第1位置合わせ案内部、及び前記第1脚部の前記遠位端部における第1挿入先端部、を有する、第1脚部と、
第2脚部であって、近位端部、遠位端部、前記第2脚部の前記近位端部と前記遠位端部との間を延在する第2位置合わせ案内部、及び前記第2脚部の前記遠位端部における第2挿入先端部、を有する、第2脚部と、を備え、
前記脚部のうち少なくとも一方が、その前記近位端部と前記遠位端部との間に配置された関節接合部を有し、前記関節接合部は、前記脚部のうち前記少なくとも一方に結合される前記挿入先端部がその前記近位端部に対して偏向することを可能にし、
前記外科用締結具の閉鎖端部を形成するために、前記第1及び第2脚部の前記近位端部を接続するブリッジ、を備える、外科用締結具。
(15) 前記第1脚部を近位セグメントと前記近位セグメントに対して偏向可能な遠位セグメントとに分離させる、前記第1脚部の前記近位端部と前記遠位端部との間に配置された第1関節接合部と、
前記第2脚部を近位セグメントと前記近位セグメントに対して偏向可能な遠位セグメントとに分離させる、前記第2脚部の前記近位端部と前記遠位端部との間に配置された第2関節接合部と、を更に含む、実施態様14に記載の外科用締結具。
【0267】
(16) 第1挿入ツール座部表面を有する近位端部及び第1遠位点を含む遠位端部を含む前記第1挿入先端部であって、前記第1関節接合部が前記第1挿入ツール座部表面と前記第1遠位点との間に配置される、前記第1挿入先端部と、
第2挿入ツール座部表面を含む近位端部及び第2遠位点を含む遠位端部を含む前記第2挿入先端部であって、前記第2関節接合部が前記第2挿入ツール座部表面と前記第2遠位点との間に配置される、前記第2挿入先端部と、を更に含む、実施態様15に記載の外科用締結具。
(17) 前記第1脚部の前記近位端部に向かって突出する第1返し部を有する前記第1脚部であって、前記第1遠位点が前記第1関節接合部によって前記第1返し部に対して偏向可能である、前記第1脚部と、
前記第1返し部から離れるように、かつ前記第2脚部の前記近位端部に向かって突出する第2返し部を有する前記第2脚部であって、前記第2遠位先端部が前記第2関節接合部によって前記第2返し部に対して偏向可能である、前記第2脚部と、を更に含む、実施態様16に記載の外科用締結具。
(18) 前記第1関節接合部が前記第1脚部の減少した断面直径区画を含み、前記第2関節接合部が前記第2脚部の減少した断面直径区画を含む、実施態様15に記載の外科用締結具。
(19) 医療用装置を組織に固定するための外科用締結具であって、
第1脚部であって、近位端部、遠位端部、前記第1脚部の前記遠位端部における第1挿入先端部、及び前記第1挿入先端部が前記第1脚部の前記近位端部に対して偏向することを可能にする第1関節接合部を有する、第1脚部と、
第2脚部であって、近位端部、遠位端部、前記第2脚部の前記遠位端部における第2挿入先端部、及び前記第2挿入先端部が前記第2脚部の前記近位端部に対して偏向することを可能にする第2関節接合部を有する、第2脚部と、
前記外科用締結具の閉鎖端部を形成するために、前記第1及び第2脚部の前記近位端部を接続するブリッジと、を備える、外科用締結具。
(20) 前記第1挿入先端部が湾曲形状を有する第1挿入ツール座部表面を有し、前記第2挿入先端部が湾曲形状を有する第2挿入ツール座部表面を有し、前記第1及び第2挿入先端部の各々が前記挿入先端部の最遠位端部を画定する遠位貫通点を有し、前記遠位貫通点間の距離が、それぞれ反対の方向に互いから離れる方を向く、前記それぞれの第1及び第2脚部の外壁間の距離よりも大きい、実施態様19に記載の外科用締結具。
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B
図5C
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図8C-1】
図8D
図8E
図8F
図8G
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図11A
図11A-1】
図11B
図11B-1】
図11C
図11C-1】
図11D
図11D-1】
図11E
図11E-1】
図11F
図11F-1】
図11G
図11G-1】
図11H
図11H-1】
図11I
図11I-1】
図11J
図11J-1】
図11K
図11K-1】
図11L
図11L-1】
図11M
図11M-1】
図11N
図11N-1】
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図13A
図13B
図14A
図14B
図14C
図14D
図14E
図15A
図15B
図15C
図15D
図15E
図16A
図16B
図17A
図17B
図17C
図18A
図18B
図19A
図19B
図19C
図20A
図20B
図20B-1】
図20C
図21A
図21B
図22A
図22B
図22C
図23
図24
図25A
図25B
図26
図27
図28A
図28B
図29
図30A
図30B
図30C
図30D
図31A
図31B
図31C
図31D
図32A
図32B
図32C
図32D
図33
図34
図35