特許第6392259号(P6392259)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6392259
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】平面アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/12 20060101AFI20180910BHJP
   H01Q 1/08 20060101ALI20180910BHJP
   H01Q 3/02 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
   H01Q1/12 E
   H01Q1/08
   H01Q3/02
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-17549(P2016-17549)
(22)【出願日】2016年2月1日
(65)【公開番号】特開2017-139534(P2017-139534A)
(43)【公開日】2017年8月10日
【審査請求日】2017年8月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中本 正樹
(72)【発明者】
【氏名】向井 敏幸
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 典晋
【審査官】 佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−333234(JP,A)
【文献】 特開平06−252625(JP,A)
【文献】 特開平08−065040(JP,A)
【文献】 特開昭63−302606(JP,A)
【文献】 特開2015−130572(JP,A)
【文献】 特開平01−259606(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2001/0046258(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0248498(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0245196(US,A1)
【文献】 特開2008−277984(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/08
H01Q 1/12
H01Q 3/02
H01Q 19/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部本体と前記支持部本体から延出する3以上の支持脚とを有する支持部と、
前記支持部に対して第一の軸線の周りに回転可能に支持された第一可動部と、
前記第一可動部に対して前記第一可動部の主面に沿って延びる第二の軸線の周りに回転可能に支持された第二可動部と、
前記第二可動部に対して前記第二可動部の厚さ方向に沿って延びる第三の軸線の周りに回転可能に支持された第三可動部と、
前記第三可動部に支持されたアンテナ部と、
前記第一可動部と前記第三可動部とを電気的に接続する接続用配線と、を備え、
前記アンテナ部の仰角を最少使用角度としたときに、前記支持部と前記第一可動部と前記第二可動部と前記第三可動部と前記アンテナ部と前記接続用配線とを含む全体の重心は、水平面に垂直に見て、前記3以上の支持脚の接地箇所を結ぶ多角形の重心と一致する平面アンテナ装置。
【請求項2】
前記支持脚のうち少なくとも2つは、前記支持部本体に対して前記第一の軸線に平行な回転軸の周りに回転可能に支持され、前記第一の軸線に平行に見たときに前記支持部本体から突出する突出位置と前記支持部本体の輪郭内に配置される収納位置とに切替え可能である、請求項1に記載の平面アンテナ装置。
【請求項3】
前記支持脚と前記支持部本体は、前記支持脚を前記突出位置に維持する突出維持機構と、前記支持脚を前記収納位置に維持する収納維持機構と、を備える請求項2に記載の平面アンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、平面アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通信衛星を介して通信する通信システムは、地震等の災害の影響を受けにくい。このため、この通信システムは災害時にも利用可能であることから様々な検討が行われている。この種の通信システムとしては、例えばVSAT(Very Small Aperture Terminal)システムがある。
VSATシステムにおいて、通信衛星と通信制御を行う平面アンテナ装置は、例えば設置面に置かれる支持部と、互いに回動可能な第一〜第三可動部と、第三可動部に支持されたアンテナ部とを有する。アンテナ部は、第一〜第三可動部の回動により姿勢を調整することができる。
平面アンテナ装置は、屋外で使用されるため、風等の影響により傾くことがなく安定に設置できることが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−277984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、安定に設置することができる平面アンテナ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の平面アンテナ装置は、支持部と、第一可動部と、第二可動部と、第三可動部と、アンテナ部と、接続ケーブルとを持つ。支持部は、支持部本体と前記支持部本体から延出する3以上の支持脚とを持つ。第一可動部は、前記支持部に対して第一の軸線の周りに回転可能に支持されている。第二可動部は、前記第一可動部に対して前記第一可動部の主面に沿って延びる第二の軸線の周りに回転可能に支持されている。第三可動部は、前記第二可動部に対して前記第二可動部の厚さ方向に沿って延びる第三の軸線の周りに回転可能に支持されている。アンテナ部は、前記第三可動部に支持されている。接続用配線は、前記第一可動部と前記第三可動部とを電気的に接続する。前記アンテナ部の仰角を最少使用角度としたときに、前記支持部と前記第一可動部と前記第二可動部と前記第三可動部と前記アンテナ部と前記接続用配線とを含む全体の重心は、水平面に垂直に見て、前記3以上の支持脚の接地箇所を結ぶ多角形の重心と一致する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】一実施形態の平面アンテナ装置を背面側から見た斜視図。
図2】一実施形態の平面アンテナ装置の一部を示す側面図。
図3】一実施形態の平面アンテナ装置を、アンテナ部等の部材を外した状態で前面側から見た斜視図。
図4】一実施形態の平面アンテナ装置において、支持脚を突出させた状態の支持部を示す平面図。
図5】一実施形態の平面アンテナ装置において、支持脚を突出させた状態の支持部の内部構造を示す斜視図。
図6】一実施形態の平面アンテナ装置の係止機構の構造を示す平面図。
図7】一実施形態の平面アンテナ装置において、支持脚を突出させた状態を示す平面図。
図8】一実施形態の平面アンテナ装置において、支持脚を収納した状態を示す側面図。
図9】一実施形態の平面アンテナ装置において、支持脚を収納した状態を示す平面図。
図10】一実施形態の平面アンテナ装置において、支持脚を収納した状態の支持部の内部構造を示す斜視図。
図11】一実施形態の平面アンテナ装置の第一の接続部の平面図。
図12】一実施形態の平面アンテナ装置の接続ケーブルの断面図。
図13】一実施形態の平面アンテナ装置を畳んだ状態の斜視図。
図14】一実施形態の平面アンテナ装置を設置した状態の図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の平面アンテナ装置を、図面を参照して説明する。
【0008】
図1は、本実施形態の平面アンテナ装置1を背面側から見た斜視図である。図2は、平面アンテナ装置1の一部を示す側面図である。
図1および図2に示すように、平面アンテナ装置1は、支持部10と、第一可動部30と、第二可動部40と、第三可動部65と、アンテナ部70と、接続ケーブル80(接続用配線)と、を備えている。
【0009】
図2および図4に示すように、支持部10は、支持部本体11と、3つの支持脚12(12A〜12C)と、仮支持凸部13と、を有している。
支持部本体11は、基台部14と、基台部14から間隔をおいて設けられた対板部15と、を備えている。
基台部14は、第一可動部30に取り付けられた円柱状の基部16と、基部16に連設された円柱状の主台部17とを備えている。主台部17の中心軸の方向は基部16の中心軸の方向と一致している。主台部17の外径は基部16の外径より大きい。主台部17の中心軸の方向は主台部17の厚さ方向と同じである。
【0010】
図5は、対板部15を取り外した状態の支持部10を示す斜視図である。
図5に示すように、主台部17の外面17aには、第一および第二回動軸部18A,18Bが、主台部17の厚さ方向に突出して設けられている。
第一回動軸部18Aは、第一回動支持脚12Aの脚部材19Aの基端部19A1を回転可能に支持する。第二回動軸部18Bは、第二回動支持脚12Bの脚部材19Bの基端部19B1を回転可能に支持する。
第一および第二回動軸部18A,18Bの先端部は、それぞれ固定部20A,20Bにおいて対板部15に固定されている(図4参照)。
【0011】
主台部17の外面17aには、第一外側規制突起21Aと、第一内側規制突起22Aと、第二外側規制突起21Bと、第二内側規制突起22Bとが、主台部17の厚さ方向に突出して設けられている。第一外側規制突起21A、第一内側規制突起22A、第二外側規制突起21B、および第二内側規制突起22Bは、板状に形成されている。
【0012】
図6に示すように、第一外側規制突起21Aの内面21Aaには、第一回動支持脚12Aの脚部材19Aに設けられた外側係止用突起26Aを受け入れる受容凹部21Cが形成されている。受容凹部21C内には、外側係止用突起26Aの先端部の係止凸部26Aa(係止部)が係脱自在に係止する、弾性変形可能な係止片21Ca(係止受け部)が形成されている。
外側係止用突起26Aと係止片21Caとは、第一回動支持脚12Aを突出位置P1に維持する第1突出維持機構を構成する。
【0013】
図5に示すように、第一内側規制突起22Aの内面22Aaには、第一回動支持脚12Aの脚部材19Aに設けられた内側係止用突起26Bを受け入れる受容凹部27Bが形成されている。受容凹部27B内には、内側係止用突起26Bの先端部の係止凸部26Ba(係止部)が係脱自在に係止する、弾性変形可能な係止片(係止受け部)(図示略)が形成されている。
内側係止用突起26Bと受容凹部27B内の係止片とは、第一回動支持脚12Aを収納位置P2に維持する第1収納維持機構を構成する。
【0014】
第二外側規制突起21Bの内面21Baには、第一外側規制突起21Aと同様に、第二回動支持脚12Bの脚部材19Bに設けられた外側係止用突起(図示略)を受け入れる受容凹部(図示略)が形成されている。この受容凹部内には、第二回動支持脚12Bの外側係止用突起の先端部の係止凸部(係止部)が係脱自在に係止する、弾性変形可能な係止片(係止受け部)が形成されている。
この外側係止用突起と係止片とは、第二回動支持脚12Bを突出位置P1に維持する第2突出維持機構を構成する。
【0015】
第二内側規制突起22Bの内面21Baには、第一内側規制突起22Aと同様に、第二回動支持脚12Bの脚部材19Bに設けられた内側係止用突起(図示略)を受け入れる受容凹部(図示略)が形成されている。この受容凹部内には、第二回動支持脚12Bの内側係止用突起の先端部の係止凸部(係止部)が係脱自在に係止する、弾性変形可能な係止片(係止受け部)(図示略)が形成されている。
この内側係止用突起と係止片とは、第二回動支持脚12Bを収納位置P2に維持する第2収納維持機構を構成する。
【0016】
図4に示すように、対板部15は円板状とされている。対板部15の中心軸は主台部17の中心軸と一致している。対板部15の外径は主台部17の外径より小さい。対板部15は、主台部17から主台部17の厚さ方向に間隔をおいて設けられている。対板部15は、主台部17の外面17aに対面する位置にある。
対板部15には、第一回動軸部18Aを中心とする円弧に沿うスリット状の第一ガイド穴28Aと、第二回動軸部18Bを中心とする円弧に沿うスリット状の第二ガイド穴28Bとが形成されている。
【0017】
第一ガイド穴28Aは、第一回動支持脚12Aの脚部材19Aに設けられた第一ガイド突起29Aが入り込むことができるように形成されている。
第一ガイド穴28Aの一端である外端28Aaは、第一回動支持脚12Aが突出位置P1(図1図5参照)にあるときに第一ガイド突起29Aが当接し、第一回動支持脚12Aの開方向(図4における第一回動軸部18A周りの左回り方向)の移動を規制することができる。
第一ガイド穴28Aの他端である内端28Abは、第一回動支持脚12Aが収納位置P2(図8図10参照)にあるときに第一ガイド突起29Aが当接し、第一回動支持脚12Aの閉方向(図4における第一回動軸部18A周りの右回り方向)の移動を規制することができる。
【0018】
第二ガイド穴28Bは、第二回動支持脚12Bの脚部材19Bに設けられた第二ガイド突起29Bが入り込むことができるように形成されている。
第二ガイド穴28Bの一端である外端28Baは、第二回動支持脚12Bが突出位置P1にあるときに第二ガイド突起29Bが当接し、第二回動支持脚12Bの開方向(図4における第二回動軸部18B周りの右回り方向)の移動を規制することができる。
第二ガイド穴28Bの他端である内端28Bbは、第二回動支持脚12Bが収納位置P2にあるときに第二ガイド突起29Bが当接し、第二回動支持脚12Bの閉方向(図4における第二回動軸部18B周りの左回り方向)の移動を規制することができる。
【0019】
図2および図7に示すように、3つの支持脚12は、支持部本体11から、主台部17の外面17aと平行に延出している。
3つの支持脚12のうち、第一回動支持脚12Aは、直線状に延出する脚部材19Aと、脚部材19Aの先端部19A2に設けられた接地部材38とを備えている。第二回動支持脚12Bは、直線状に延出する脚部材19Bと、脚部材19Bの先端部19B2に設けられた接地部材38とを備えている。固定支持脚12Cは、直線状に延出する脚部材19Cと、脚部材19Cの先端部19C2に設けられた接地部材38とを備えている。
【0020】
脚部材19A,19B,19Cは、例えば金属(アルミニウム合金など)、樹脂などから構成される。脚部材19A,19B,19Cの長さ方向に直交する断面の形状は例えば矩形である。
図2に示すように、接地部材38は、脚部材19A〜19Cの厚さ方向(図2における上下方向)に沿うシャフト38aと、シャフト38aの一端部(図2における下端部)に設けられた接地体38bとを備えている。接地体38bは、例えば軟質樹脂で形成することができる。
図2における接地体38bの下面は、平面アンテナ装置1が設置される設置面39に当接する接地箇所である。
【0021】
図5に示すように、固定支持脚12Cは、固定具18C、18Dによって主台部17に取り付けられている。
図6に示すように、第一回動支持脚12Aの脚部材19Aの外面19Aaおよび内面19Abには、それぞれ外側係止用突起26Aおよび内側係止用突起26Bが形成されている。
図5に示すように、第二回動支持脚12Bの脚部材19Bの外面19Baおよび内面19Bbには、第一回動支持脚12Aと同様に、それぞれ外側係止用突起(図示略)および内側係止用突起(図示略)が設けられている。
【0022】
支持部10に対する第一可動部30の回転の軸線である第一の軸線C1は、主台部17の中心軸の方向と平行である。第一の軸線C1は、支持部10(支持部本体11)の厚さ方向に延びる。
なお、支持脚12の数は、3以上の任意の数とすることができる。よって、支持脚12の数は3でもよいし、4以上でもよい。
【0023】
図2に示すように、仮支持凸部13は、例えば円柱状とされ、主台部17の外面17aの中央に、主台部17の厚さ方向に突出して設けられている。仮支持凸部13は、凸部本体13aと、凸部本体13aの先端部に設けられた接地体13bとを有する。接地体13bは、例えば軟質樹脂で形成することができる。
【0024】
平面アンテナ装置1は、第一の軸線C1に平行に見たときに、支持脚12が第一可動部30から突出する突出位置P1(図1図5参照)と、支持脚12が、第一可動部30の輪郭内に配置される収納位置P2(図8図10参照)とを切替え可能である。
【0025】
図2図4に示すように、突出位置P1では、第一の軸線C1に平行に見たときに、第一回動支持脚12Aおよび第二回動支持脚12Bが第一可動部30から突出するため、平面アンテナ装置1が側方(幅方向Y1)に傾くのを抑えることができる。
【0026】
図4に示すように、突出位置P1では、第一回動支持脚12Aおよび第二回動支持脚12Bは、それぞれ第一ガイド穴28Aおよび第二ガイド穴28Bの外端28Aa,28Baによって開方向の移動が規制されている。
図5および図6に示すように、外側係止用突起26Aの係止凸部26Aaが第一外側規制突起21Aの係止片21Caに係止するため、第一回動支持脚12Aは、閉方向の移動が規制される。同様に、第二回動支持脚12Bについても、外側係止用突起の係止凸部が第二外側規制突起21Bの係止片に係止するため、閉方向の移動が規制される。そのため、第一回動支持脚12Aおよび第二回動支持脚12Bの姿勢は維持される。
【0027】
図8図10に示すように、収納位置P2では、第一回動支持脚12Aおよび第二回動支持脚12Bは固定支持脚12Cと平行になり、第一の軸線C1に平行に見たときに、いずれの支持脚12も第一可動部30の輪郭内に配置されるため、全体のサイズを小さくできる。また、平面アンテナ装置1を、突出物が少なく取扱いやすい形態とすることができる。
図2に示すように、支持脚12が収納位置P2にあると、すべての支持脚12の接地部材38が長手方向X1の一端側に集まることになるが、平面アンテナ装置1は、支持部10が仮支持凸部13を有するため、設置面39に仮置きする場合に仮支持凸部13を設置面39に当接させることができる。そのため、支持部本体11に過大な力が加えられるのを回避し、破損を防ぐことができる。
【0028】
図9に示すように、収納位置P2では、第一回動支持脚12Aおよび第二回動支持脚12Bは、それぞれ第一ガイド穴28Aおよび第二ガイド穴28Bの内端28Ab,28Bbによって閉方向の移動が規制されている。
内側係止用突起26Bの係止凸部26Ba(図5および図6参照)は、第一内側規制突起22Aの係止片に係止するため、第一回動支持脚12Aは、開方向の移動が規制される。同様に、第二回動支持脚12Bについても、内側係止用突起の係止凸部が、第二内側規制突起22Bの係止片に係止するため、開方向の移動が規制される。そのため、第一回動支持脚12Aおよび第二回動支持脚12Bの姿勢は維持される。
【0029】
図1および図2に示すように、第一可動部30は、扁平な箱状の筐体31と、筐体31の表面に設けられた案内部32と、を有する。
第一可動部30は、第三可動部65から送られた信号(例えば高周波信号)を必要に応じて変換し、その信号をコンピュータ等に送る機能、および、コンピュータ等から送られた信号を必要に応じて変換し、その信号(例えば高周波信号)を第三可動部65に送る機能を有する。第一可動部30は、筐体31内に、例えばIF回路部、変復調部などを有する。第一可動部30は、いわゆるIDU(In Door Unit)部である。
【0030】
筐体31は、底板31aと、側板31b,31bと、端板31c,31cと、天板31dとを有する直方体である。底板31aは長方形である。側板31b,31bは、底板31aの長辺である側縁に立設されている。端板31c,31cは、底板31aの短辺である端縁に立設されている。天板31dは底板31aと同じ形状とされている。
筐体31の厚さ方向は第一の軸線C1と平行とされている。X1は底板31aおよび天板31dの長手方向である。Y1は底板31aおよび天板31dに沿う面内(例えば表面31d1に沿う面内)にあって長手方向X1に直交する幅方向である。
【0031】
筐体31は、支持部10に対して第一の軸線C1の周りに回転可能に支持されている。筐体31を第一の軸線C1に平行に見たときに、支持部10は底板31aの長手方向X1の中央よりも第一の端部31a1寄りに位置する。
【0032】
図3は、平面アンテナ装置1を、アンテナ部70等の部材を外した状態で前面側から見た斜視図である。
図3に示すように、底板31aの長手方向X1の第一の端部31a1に設けられた端板31c(端板31c1)には、接続ケーブル80が挿通する挿通孔35が形成されている。
挿通孔35は、端板31c1の幅方向Y1の中央よりも第一の端部31e1寄りの位置に形成されている。
端板31c1の外面には、挿通孔35を通る接続ケーブル80が挿通するL字筒状の屈曲管36(規制部材)が設けられている。接続ケーブル80が屈曲管36に挿通されることによって、接続ケーブル80を、幅方向Y1に沿って第二の端部31e2に近づく方向に向けることができる。
【0033】
図1に戻り、底板31aの長手方向X1の第二の端部31a2に設けられた端板31c(端板31c2)には、入出力用の端子部25が設けられている。端子部25は、ケーブルD1を介して図示しないコンピュータに接続される。平面アンテナ装置1は、このコンピュータにより制御される。
天板31dの表面31d1には、端板31c2に近い位置に、表示部24が設けられている。表示部24は、電界強度の測定結果等を表示する。
筐体31は密閉可能な構造とすることができる。これによって、第一可動部30に防水性を与えることができる。
【0034】
図11は、平面アンテナ装置1の第一の接続部の平面図である。
図11に示すように、支持部10と第一可動部30とは、例えば、第一の接続部(接続部)37により接続されている。第一の接続部37は、例えば支持部10の支持部本体11に取付けられた円筒状の内筒37aと、第一可動部30に取付けられた円筒状の外筒37bとを有している。外筒37bは、内筒37aと同軸であり、内筒37aを囲んでいる。第一の接続部37は、第一の軸線C1上に設けられている。公知のベアリング機構等により、外筒37bは、内筒37aに対して内筒37aの周方向にのみ移動可能である。
【0035】
図1および図2に示すように、案内部32は、台部33と、一対のレール部34とを有する。台部33は、天板31dの長手方向X1に沿う長方形の板状体であり、天板31dの表面31d1(主面)に設けられている。レール部34は、台部33の表面に長手方向X1に沿って設けられている。一対のレール部34は、幅方向Y1に間隔をおいて設けられている。
【0036】
第二可動部40は、概略、板状に形成された可動部本体41と、送風部42とを有する。
可動部本体41は、主板部41aと、主板部41aの幅方向の側縁に、主板部41aの内面41a1側に突出して設けられた側板41b,41bとを有している。
主板部41aは、矩形状(詳しくは長方形)に形成されている。
側板41bには、長手方向の第一の端部41b1よりも第二の端部41b2側に離れた位置に、貫通孔41cが形成されている。
【0037】
側板41bの第一の端部41b1は、第一可動部30の台部33の第一の端部33aに対して、軸部材43を介して回転可能に連結されている。これによって、第二可動部40は、第一可動部30に対して、筐体31の天板31dの表面31d1に平行な第二の軸線C2の周りに回転可能となる。第二の軸線C2は、幅方向Y1に沿って延びる。
X2は主板部41aおよび側板41bの長手方向である。長手方向X2は、第二可動部40(詳しくは可動部本体41)が第二の軸線C2から第二の接続部60(後述)に向けて延出する方向と同じ方向である。Y2は主板部41aに沿う面内にあって長手方向X2に直交する幅方向である。
【0038】
第二可動部40の側板41bの貫通孔41cには、リンク部材45の第一の端部45aが回動可能に接続されている。リンク部材45の第二の端部45bは、第一可動部30のレール部34上の走行体46に回動可能に接続されている。
走行体46は、第一可動部30のレール部34に沿って走行可能であり、レール部34の長さ方向の任意の位置でレール部34に対して位置決めすることができる。
【0039】
このように構成された第一可動部30、第二可動部40、リンク部材45、および走行体46は、レール部34に沿って走行体46を移動させることで、第一可動部30に対する第二可動部40の第二の軸線C2の周りの角度である支持角度θを調節することができる。
第二の軸線C2は、軸部材43の中心軸線となる。なお、第二の軸線C2は、筐体31の天板31dの表面31d1に沿って延びる。
【0040】
第一可動部30および走行体46には、仰角調節部50が係合している。
仰角調節部50は、調節部本体51と、雄ネジ部を有する軸状部材52と、軸状部材52の端部に設けられたハンドル55とを備えている。
調節部本体51は、台部33の長手方向X1の任意の位置で台部33に対して位置決め可能である。軸状部材52の雄ネジ部は、調節部本体51に形成された挿通孔51aに形成された雌ネジに螺合する。
【0041】
ハンドル55を軸状部材52の軸線の周りに回転させることで、軸状部材52は、調節部本体51に対して軸状部材52の長手方向に移動する。軸状部材52の長手方向の位置を変化させると、その位置に応じて走行体46の長手方向X1の位置を調整することができる。そのため、前述の支持角度θを任意の角度に調節することができる。
【0042】
第二可動部40と第三可動部65とは、前述の第一の接続部37と同様に構成された第二の接続部(接続部)60により接続されている。第二の接続部60は、第二可動部40の厚さ方向に平行な第三の軸線C3上に設けられている。これにより、第三可動部65は、第二可動部40に対して第三の軸線C3の周りに回転可能となる。
【0043】
第三可動部65は、扁平な箱状の筐体66を有する。
第三可動部65は、アンテナ部70から送られた信号を必要に応じて変換し、その信号(例えば高周波信号)を第一可動部30に送る機能、および、第一可動部30から送られた信号(例えば高周波信号)を必要に応じて変換し、その信号をアンテナ部70に送る機能を有する。第三可動部65は、筐体66内に、例えばRF回路部などを有する。第三可動部65は、いわゆるODU(Out Door Unit)部である。
【0044】
図2および図3に示すように、筐体66は、底板66aと、側板66b,66bと、端板66c,66cと、天板66dとを有する。底板66aは長方形である。側板66bは、底板66aの長辺である側縁に立設されている。端板66cは、底板66aの短辺である端縁に立設されている。
筐体66の厚さ方向は第三の軸線C3と平行とされている。X3は底板66aおよび天板66dの長手方向である。Y3は底板66aに沿う面内にあって長手方向X3に直交する幅方向である。
第二可動部40は、筐体66の天板66dの表面66d1に接続されている。なお、第三の軸線C3は、第二可動部40の厚さ方向に延びる。
【0045】
筐体66の天板66dには、第一の端部66e1を含む部分に、通過凹部67が形成されている。通過凹部67は、筐体66の厚さ方向に凹状に形成されている。通過凹部67の深さは、接続ケーブル80の少なくとも一部が通過可能となるように定められている。通過凹部67の深さは、例えば接続ケーブル80の外径と同じまたはこれより深くすることができる。通過凹部67の深さは、接続ケーブル80の外径より小さくてもよい。
【0046】
筐体66の一方の側板66bには、接続ケーブル80が挿通する挿通孔68が形成されている。側板66bの外面には、挿通孔68を通る接続ケーブル80が挿通するL字筒状の屈曲管81(規制部材)が設けられている(図3参照)。接続ケーブル80が屈曲管81に挿通されることによって、接続ケーブル80を長手方向X3に向けることができる。
一方の側板66bの長手方向X3の中央付近には、接続ケーブル80を把持するクランプ部82が設けられている。クランプ部82は、一対の把持体82a,82aによって接続ケーブル80を挟み込んで把持することができる。
【0047】
図12は、接続ケーブル80の断面図である。
図12に示すように、接続ケーブル80は、例えば配線88と、配線88を収容する保護チューブ83とを備えた構成とすることができる。配線88は、例えば同軸ケーブルである。配線88は、高周波信号を伝送可能であることが好ましい。保護チューブ83は、例えばコルゲートチューブである。
【0048】
図3に示すように、接続ケーブル80は、第一可動部30と第三可動部65とを電気的に接続する。接続ケーブル80の一端部は、第一可動部30の内部に達している。接続ケーブル80は、挿通孔35を通って第一可動部30の筐体31の外に導出され、屈曲管36に挿通している。接続ケーブル80は、第三可動部65に設けられたクランプ部82を経て屈曲管81に挿通し、挿通孔68を通って筐体66の内部に達している。
【0049】
図1および図13に示すように、一対のアンテナ部70,70は板状に形成され、図示しない基板を用いて電磁波の送信と受信を行うことができる。
第三可動部65の筐体66と一対のアンテナ部70とは、トルクヒンジ71を介して接続されている。トルクヒンジ71としては、例えば筐体66とアンテナ部70との間に発生するトルクを調節することで、一対のアンテナ部70の位置を同一平面上に配置された状態(開いた状態)に仮に保持することができる。
一対のアンテナ部70は、主面70aが対向するように配置された閉状態と、図1に示すように互いの主面70aが同一面上に配置されて広げられた開状態とに切替え可能である。
各アンテナ部70は、補助配線部72により第三可動部65に接続されている。
【0050】
図2に示すように、アンテナ部70の仰角(EL)αは、通信衛星の位置等に基づいて定められる。通常、仰角αは90°より小さい角度であり、例えば、20〜70°である。アンテナ部70は、仰角αをこの範囲の任意の値に設定できるように構成されている。
ここで、本実施形態では、当該平面アンテナ装置が使用可能な仰角の最小値(ここでは、20°)を「最少使用角度」とし、当該平面アンテナ装置が使用可能な仰角の最大値(ここでは70°)を「最大使用角度」として説明するものとする。
第一可動部30に対する第二可動部40の角度(例えば天板31dの表面31d1に対する主板部41aの角度)である支持角度θは、仰角αと同じ角度、例えば20〜70°である。
【0051】
図7に示すように、アンテナ部70の仰角α(図2参照)を最少使用角度である20°としたときの平面アンテナ装置1の全体の重心G1は、水平面に垂直に見て、3つの支持脚12の接地部材38の中心を結ぶ三角形T1の重心G2と一致するのが望ましい。ここで、平面アンテナを倒れにくくするためには、支持脚12の接地部材38の角度が正三角形となるようにするとなお望ましい。
図2に示すアンテナ部70の仰角αは、水平面H1に対して、アンテナ部70の主面70aと垂直な線がなす角度である。このため、仰角αが最少使用角度の20°のときは平面アンテナ部70の角度は70°(90°−20°)となり設置した時の風の影響を受けやすい。逆に、仰角αが最大使用角度の70°の場合はアンテナ部の角度は20°(90°−70°)となり比較的水平に近くなるため、風の影響を受けにくい。このため、本実施形態の平面アンテナ装置1では、屋外に設置した時にもっと風を受けやすい条件である最少使用角度の場合の装置全体の重心G1が、支持脚12の接地部材38の中心を結ぶ三角形T1の重心G2と一致するとようにするのが望ましい。
なお、支持脚12の数が4以上である場合には、平面アンテナ装置の全体の重心は、水平面に垂直に見て、支持脚の接地部材(接地箇所)を結ぶ、多角形(四角形以上)の重心と一致する。
【0052】
平面アンテナ装置1の全体の重心G1が、水平面に垂直に見て三角形T1の重心G2と一致するとは、例えば次のように説明できる。三角形T1(支持脚の接地箇所を結ぶ多角形)の重心G2と同じ重心を有し、三角形T1と相似であって相似比が十分の一である基準多角形T2を想定する。水平面に垂直に見て、重心G1が基準多角形T2の範囲にある場合に、重心G1,G2が一致すると考えることができる。
【0053】
平面アンテナ装置1は、アンテナ部70の仰角αを20°としたときの重心G1が、水平面に垂直に見て、3つの支持脚12の接地部材38を結ぶ三角形T1の重心G2と一致するため、屋外で使用される場合でも、風等の影響により傾くことがなく安定に設置できる。
【0054】
次に、以上のように平面アンテナ装置1を設定する手順について説明する。
図14は、平面アンテナ装置1を設置した状態の図である。
図14に示すように、例えば被災地等の目的地D10に、天面が水平になるように支持台D12を設置する。一対の支持脚12を突出させ、支持台D12の天面に平面アンテナ装置1の支持部10を置く。
目的地D10の緯度及び経度、目的とする通信衛星D20の位置等から、方位角(AZ)、仰角(EL)、及び偏波角(POL)を求めておく。
【0055】
仰角を概略設定し、一対のアンテナ部70を閉状態から開状態にする。一対のアンテナ部70と第三可動部65の筐体66とはトルクヒンジ71を介して接続されているため、各アンテナ部70が開状態で仮保持される。
【0056】
例えば、方位磁石等を用いて東南の方向を検出し、平面アンテナ装置1を東南の方向に向ける。コンピュータと平面アンテナ装置1とをケーブルD1を介して接続する。平面アンテナ装置1を起動する。
コンピュータを操作して、一対のアンテナ部70で受信した電波の、第一可動部30で測定された電界強度を表示部24に表示する。表示部24に表示される電界強度を確認しながら、支持部10に対する第一可動部30の第一の軸線C1の周りの角度、すなわち方位角を、電界強度が高くなるように調節する。
【0057】
第二可動部40に対して第三可動部65を第三の軸線C3の周りに回転させ、偏波角を調節する。
このように設定した平面アンテナ装置1を用いて、通信衛星D20と通信する。
【0058】
本実施形態の平面アンテナ装置1によれば、支持部10に対して第一可動部30が回転可能であり、第一可動部30に対して第二可動部40が回転可能であり、第二可動部40に対して第三可動部65が回転可能である。さらに、一対のアンテナ部70は閉状態と開状態とに切替え可能である。
畳んだ状態の平面アンテナ装置1は設定した状態の平面アンテナ装置1に比べて外形が小さいため、平面アンテナ装置1を容易に持ち運ぶことができる。
畳んだ状態の平面アンテナ装置1を展開するとともに方位角、仰角、及び偏波角を調節することで、平面アンテナ装置1を組み立てる必要がなく、平面アンテナ装置1を容易に設定することができる。
【0059】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、アンテナ部70の仰角αを20°としたときの平面アンテナ装置1の重心G1が、水平面に垂直に見て、3つの支持脚12の接地部材38を結ぶ三角形T1の重心G2と一致するため、屋外で使用される場合でも、風等の影響により傾くことがなく安定に設置できる。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0061】
1…平面アンテナ装置、10…支持部、30…第一可動部、31d1…表面(主面)、40…第二可動部、65…第三可動部、70…アンテナ部、80…接続ケーブル(接続用配線)、C1…第一の軸線、C2…第二の軸線、C3…第三の軸線、G1…平面アンテナ装置の全体の重心、G2…支持脚の接地部材を結ぶ三角形の重心(支持脚の接地箇所を結ぶ多角形の重心)、P1…突出位置、P2…収納位置、α…仰角
図1
図2
図3
図4
図5
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図11
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図14