(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6392333
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】可変後縁内側半径を有するタービンベーン
(51)【国際特許分類】
F01D 9/02 20060101AFI20180910BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
F01D9/02 101
F02C7/00 F
【請求項の数】20
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-518333(P2016-518333)
(86)(22)【出願日】2014年5月20日
(65)【公表番号】特表2016-524072(P2016-524072A)
(43)【公表日】2016年8月12日
(86)【国際出願番号】US2014038748
(87)【国際公開番号】WO2014200673
(87)【国際公開日】20141218
【審査請求日】2015年12月8日
【審判番号】不服2017-13973(P2017-13973/J1)
【審判請求日】2017年9月21日
(31)【優先権主張番号】61/835,015
(32)【優先日】2013年6月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005449
【氏名又は名称】ユナイテッド テクノロジーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】UNITED TECHNOLOGIES CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】ポーター,スティーヴン,ディー.
(72)【発明者】
【氏名】オルス,ジョン,ティー.
【合議体】
【審判長】
松下 聡
【審判官】
鈴木 充
【審判官】
粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2011/0008163(US,A1)
【文献】
特表2012−507657(JP,A)
【文献】
米国特許第8424313(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 1/00-11/24
F02C 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側プラットフォームと外側プラットフォームとの間に延在するエアフォイルであって、中空であり、かつ、前記エアフォイル内の中空部が内側前縁と内側後縁との間に延在する、エアフォイルと、
前記内側後縁に画定され、かつ、前記内側前縁から前記内側後縁へと延在する2つの壁の間においてタービンの円周方向に沿って測定された内側半径と、
を備え、前記内側半径は、前記内側プラットフォームにおける第1の内側半径と、前記外側プラットフォームにおける第2の内側半径と、前記内側プラットフォームと前記外側プラットフォームとの間に画定される前記タービンの半径方向長さに沿って変化する、第3の内側半径と、を備え、
前記第1の内側半径及び前記第2の内側半径は、前記第3の内側半径よりも大きいことを特徴とする、タービンベーン。
【請求項2】
前記第3の内側半径が、前記内側プラットフォーム及び前記外側プラットフォームの両方における前記内側半径よりも小さい、略一定の内側半径を含み、前記一定の内側半径は、前記内側後縁における、前記タービンの半径方向長さの大部分に沿って使用される、請求項1に記載のタービンベーン。
【請求項3】
前記内側プラットフォームにおける前記第1の内側半径及び前記外側プラットフォームにおける前記第2の内側半径の少なくとも一方における前記内側半径の、前記第3の内側半径に対する比が、1.1〜6.1である、請求項1に記載のタービンベーン。
【請求項4】
前記内側プラットフォーム及び前記外側プラットフォームの少なくとも一方において、前記内側後縁よりも後方の位置に、シールに対応するシール領域が形成されている、請求項1に記載のタービンベーン。
【請求項5】
前記内側プラットフォーム及び前記外側プラットフォームの少なくとも一方において、前記内側後縁よりも後方の位置にリブが形成されている、請求項1に記載のタービンベーン。
【請求項6】
前記エアフォイルの外側前縁及び内側前縁が前記内側プラットフォームと前記外側プラットフォームとの間を非垂直角度で延在するように、前記ベーンが傾斜する、請求項1に記載のタービンベーン。
【請求項7】
前記内側プラットフォームと前記外側プラットフォームとの間に複数の異なる内側半径が存在する、請求項1に記載のタービンベーン。
【請求項8】
内側プラットフォーム及び外側プラットフォームを含み、かつ前記内側プラットフォームと前記外側プラットフォームとの間に延在するエアフォイルを各々が有する、複数個のベーンを備えており、
前記エアフォイルは中空であり、前記エアフォイル内の中空部が内側前縁と内側後縁との間に延在し、前記内側後縁に画定され、かつ、前記内側前縁から前記内側後縁へと延在する2つの壁の間においてタービンの円周方向に沿って測定された内側半径を備え、前記内側半径は、前記内側プラットフォームにおける第1の内側半径と、前記外側プラットフォームにおける第2の内側半径と、前記内側プラットフォームと前記外側プラットフォームとの間に画定された前記タービンの半径方向長さに沿って変化する、第3の内側半径と、を備え、
前記第1の内側半径及び前記第2の内側半径は、前記第3の内側半径よりも大きいことを特徴とする、ガスタービンエンジン用の中間タービンフレーム。
【請求項9】
前記第3の内側半径が、前記内側プラットフォーム及び前記外側プラットフォームの両方における前記内側半径よりも小さい、略一定の内側半径を含み、前記一定の内側半径は、前記内側後縁における、前記タービンの半径方向長さの大部分に沿って使用される、請求項8に記載のガスタービンエンジン用の中間タービンフレーム。
【請求項10】
前記内側プラットフォームにおける前記第1の内側半径及び前記外側プラットフォームにおける前記第2の内側半径の少なくとも一方における前記内側半径の、前記第3の内側半径に対する比が、1.1〜6.1である、請求項8に記載のガスタービンエンジン用の中間タービンフレーム。
【請求項11】
前記内側プラットフォーム及び前記外側プラットフォームの少なくとも一方において、前記内側後縁よりも後方の位置に、シールに対応するシール領域が形成されている、請求項8に記載のガスタービンエンジン用の中間タービンフレーム。
【請求項12】
前記内側プラットフォーム及び前記外側プラットフォームの少なくとも一方において、前記内側後縁よりも後方の位置にリブが形成されている、請求項8に記載のガスタービンエンジン用の中間タービンフレーム。
【請求項13】
前記エアフォイルの外側前縁及び内側前縁が前記内側プラットフォームと前記外側プラットフォームとの間を非垂直角度で延在するように、前記ベーンが傾斜する、請求項8に記載の中間タービンフレーム。
【請求項14】
前記内側プラットフォームと前記外側プラットフォームとの間に複数の異なる内側半径が存在する、請求項8に記載の中間タービンフレーム。
【請求項15】
より高圧のタービンロータと、より低圧のタービンロータと、前記より高圧のタービンロータと前記より低圧のタービンロータとの間に位置付けられるとともにベアリングを支持する中間タービンフレームと、を備えたガスタービンエンジンであって、
前記中間タービンフレームが、内側プラットフォームと、外側プラットフォームと、前記内側プラットフォームと前記外側プラットフォームとの間に延在するエアフォイルを各々が含む複数個のベーンと、を含み、
前記エアフォイルは中空であり、前記エアフォイル内の中空部が内側前縁と内側後縁との間に延在し、前記内側後縁に画定され、かつ、前記内側前縁から前記内側後縁へと延在する2つの壁の間においてタービンの円周方向に沿って測定された内側半径を備え、前記内側半径は、前記内側プラットフォームにおける第1の内側半径と、前記外側プラットフォームにおける第2の内側半径と、前記内側プラットフォームと前記外側プラットフォームとの間に画定された前記タービンの半径方向長さに沿って変化する、第3の内側半径と、を備え、
前記第1の内側半径及び前記第2の内側半径は、前記第3の内側半径よりも大きいことを特徴とする、ガスタービンエンジン。
【請求項16】
前記第3の内側半径が、前記内側プラットフォーム及び前記外側プラットフォームの両方における前記内側半径よりも小さい、略一定の内側半径を含み、前記一定の内側半径は、前記内側後縁における、前記タービンの半径方向長さの大部分に沿って使用される、請求項15に記載のガスタービンエンジン。
【請求項17】
前記内側プラットフォームにおける前記第1の内側半径及び前記外側プラットフォームにおける前記第2の内側半径の少なくとも一方における前記内側半径の、前記第3の内側半径に対する比が、1.1〜6.1である、請求項15に記載のガスタービンエンジン。
【請求項18】
前記内側プラットフォーム及び前記外側プラットフォームの少なくとも一方において、前記内側後縁よりも後方の位置に、シールに対応するシール領域が形成されている、請求項15に記載のガスタービンエンジン。
【請求項19】
前記エアフォイルの外側前縁及び内側前縁が前記内側プラットフォームと前記外側プラットフォームとの間を非垂直角度で延在するように、前記ベーンが傾斜する、請求項15に記載のガスタービンエンジン。
【請求項20】
前記内側プラットフォームと前記外側プラットフォームとの間に複数の異なる内側半径が存在する、請求項15に記載のガスタービンエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本出願は、2013年6月14日に出願された米国仮出願第61/835015号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、内側半径が半径方向に沿って変化するタービンベーンに関する。
【背景技術】
【0003】
ガスタービンエンジンは公知であり、これは一般に、圧縮空気を、燃料と混合して点火する燃焼セクション内に圧縮空気を供給するための圧縮機を含む。この燃焼生成物は、タービンロータを通して下流へと移動して、それらを回転させる。タービンロータは静止ベーンと交互に配置され、これらのベーンは、燃焼生成物が下流側のタービンロータに到達するときに燃焼生成物の流れを所望の状況になるよう適切に導くように使用される。
【0004】
ベーンが用いられる一つの位置として、より高圧のタービンロータとより低圧のタービンロータとの間に位置付けられた中間タービンフレーム内が挙げられる。ベーンは、一般に、エアフォイル外周部を含み、中空である。エアフォイルの後縁の内側半径(inner radius)は、通常、ベーンの半径寸法に沿って一定であってきた。この内側半径は、円周方向において画定されるものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
特徴的な実施形態では、タービンベーンは、内側プラットフォームと外側プラットフォームとの間に延在するエアフォイルを有する。エアフォイルは中空である。エアフォイル内部の中空部は、内側前縁と内側後縁との間に延在する。内側半径(inner radius)は、内側後縁において円周方向に画定され、内側前縁から内側後縁に延在する2つの壁の間において測定される。内側半径は、内側プラットフォームと外側プラットフォームとの間に画定された半径方向の全長に沿って変化する。
【0006】
先の実施形態に従う別の実施形態では、内側半径は、内側及び外側プラットフォームの少なくとも一方における内側半径のほうが、内側プラットフォームと外側プラットフォームとの間の半径方向に画定された領域内に配置されたより小さい半径位置における内側半径よりも大きい。
【0007】
先の実施形態のいずれかに従う別の実施形態では、内側半径は、内側及び外側プラットフォームの両方における内側半径のほうが、より小さい半径位置における内側半径よりも大きい。
【0008】
先の実施形態のいずれかに従う別の実施形態では、より小さい半径位置は、内側及び外側プラットフォームの少なくとも一方における内側半径よりも小さい、略一定の内側半径を含み、内側後縁の半径方向長さの大部分に沿って使用される。
【0009】
先の実施形態のいずれかに従う別の実施形態では、内側及び外側プラットフォームの少なくとも一方における内側半径の、より小さい半径位置における内側半径に対する比は、1.1〜6.1である。
【0010】
先の実施形態のいずれかに従う別の実施形態では、シール領域が、内側及び外側プラットフォームの少なくとも一方における後縁を越えた位置に形成される。
【0011】
先の実施形態のいずれかに従う別の実施形態では、リブが、内側及び外側プラットフォームの少なくとも一方における内側後縁を越えた位置に形成される。
【0012】
先の実施形態のいずれかに従う別の実施形態では、エアフォイルの外側前縁及び内側前縁が内側プラットフォームと外側プラットフォームとの間を非垂直角度で延在するように、ベーンが傾斜する。
【0013】
先の実施形態のいずれかに従う別の実施形態では、内側プラットフォームと外側プラットフォームとの間に複数個の長さが異なる内側半径が存在する。
【0014】
別の特徴的な実施形態では、ガスタービンエンジンに使用される中間タービンフレームが、内側プラットフォーム及び外側プラットフォームを含む複数個のベーンを有する。各ベーンは、内側プラットフォームと外側プラットフォームとの間に延在するエアフォイルを有する。エアフォイルは中空であり、エアフォイル内部の中空部は、内側前縁と内側後縁との間に延在する。内側半径は、内側後縁において円周方向に画定され、中空部を画定する円周方向の壁の間において測定される。内側半径は、内側プラットフォームと外側プラットフォームとの間に画定された半径方向長さに沿って変化する。
【0015】
先の実施形態に従う別の実施形態では、内側半径は、内側及び外側プラットフォームの少なくとも一方における内側半径のほうが、内側プラットフォームと外側プラットフォームとの間の半径方向に画定された領域内に配置されたより小さい半径位置における内側半径よりも大きい。
【0016】
先の実施形態のいずれかに従う別の実施形態では、内側半径は、内側及び外側プラットフォームの両方における半径のほうが、内側プラットフォームと外側プラットフォームとの間の半径方向におけるより小さい半径位置の内側半径よりも長い。
【0017】
先の実施形態のいずれかに従う別の実施形態では、より小さい半径位置は、内側及び外側プラットフォームの少なくとも一方における内側半径よりも小さい、略一定の内側半径を含み、その略一定の内側半径は、内側後縁の半径方向長さの大部分に沿って使用される。
【0018】
先の実施形態のいずれかに従う別の実施形態では、内側及び外側プラットフォームの少なくとも一方における内側半径の、より小さい半径位置における内側半径に対する比は、1.1〜6.1である。
【0019】
先の実施形態のいずれかに従う別の実施形態では、シール領域が、内側及び外側プラットフォームの少なくとも一方における後縁を越えた位置に形成される。
【0020】
先の実施形態のいずれかに従う別の実施形態では、リブが、内側及び外側プラットフォームの少なくとも一方における内側後縁を越えた位置に形成される。
【0021】
先の実施形態のいずれかに従う別の実施形態では、エアフォイルの外側前縁及び内側前縁が内側プラットフォームと外側プラットフォームとの間を非垂直角度で延在するように、ベーンが傾斜する。
【0022】
先の実施形態のいずれかに従う別の実施形態では、内側プラットフォームと外側プラットフォームとの間に複数個の長さが異なる内側半径が存在する。
【0023】
別の特徴的な実施形態では、ガスタービンエンジンは、より高圧のタービンロータと、より低圧のタービンロータと、より高圧のタービンロータおよびより低圧のタービンロータの間に位置付けられるとともに、ベアリングを支持する中間タービンフレームと、を有する。中間タービンフレームは、内側プラットフォーム及び外側プラットフォームと、内側プラットフォームと外側プラットフォームとの間に延在するエアフォイルを各々が含む複数個のベーンとを含む。エアフォイルは中空であり、エアフォイル内部の中空部は、内側前縁と内側後縁との間に延在する。内側プラットフォーム及び外側プラットフォームの少なくとも一方における内側前縁の第一の位置は、内側後縁の半径方向中間の第二の位置よりも、エアフォイルの外側前縁からより長い距離をあけて離間される。
【0024】
先の実施形態に従う別の実施形態では、内側半径が、内側後縁において円周方向に画定され、中空部を画定する円周方向の壁の間において測定される。内側半径は、内側プラットフォームと外側プラットフォームとの間に画定された半径方向長さに沿って変化し、第一の位置と第二の位置とにおいて異なる距離を提供する。
【0025】
先の実施形態のいずれかに従う別の実施形態では、内側半径は、内側及び外側プラットフォームの少なくとも一方における内側半径のほうが、内側プラットフォームと外側プラットフォームとの間の半径方向における領域内に配置されたより小さい半径位置における内側半径よりも大きい。
【0026】
先の実施形態のいずれかに従う別の実施形態では、内側半径は、内側及び外側プラットフォームの両方における内側半径のほうが、内側プラットフォームと外側プラットフォームとの間の半径方向におけるより小さい半径位置における内側半径よりも大きい。
【0027】
先の実施形態のいずれかに従う別の実施形態では、より小さい半径位置は、内側及び外側プラットフォームの少なくとも一方における内側半径よりも小さい、略一定の内側半径を含み、その略一定の内側半径は、内側後縁の半径方向長さの大部分に沿って使用される。
【0028】
先の実施形態のいずれかに従う別の実施形態では、内側及び外側プラットフォームの少なくとも一方における内側半径の、より小さい半径位置における内側半径に対する比は、1.1〜6.1である。
【0029】
先の実施形態のいずれかに従う別の実施形態では、シール領域が、内側及び外側プラットフォームの少なくとも一方における後縁を越えて画定された領域内の位置に形成される。
【0030】
先の実施形態のいずれかに従う別の実施形態では、エアフォイルの外側前縁及び内側前縁が内側プラットフォームと外側プラットフォームとの間を非垂直角度で延在するように、ベーンが傾斜する。
【0031】
先の実施形態のいずれかに従う別の実施形態では、内側プラットフォームと外側プラットフォームとの間に複数個の長さが異なる内側半径が存在する。
【0032】
前の段落、特許請求の範囲または以下の記述及び図面の実施形態、実施例及び代替案は、任意のそれらのさまざまな態様または個々の特徴を含み、独立して用いられてもよいし、任意の組み合わせにおいて用いられてもよい。一実施形態に関連して記述された特徴は、そのような特徴が互いに矛盾しない限り、すべての実施形態に応用できる。
【0033】
これらの及び他の特徴は、以下の図面及び明細書から最もよく理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1B】
図1Aのガスタービンエンジンに組み込まれる中間タービンフレームを示す図である。
【
図2A】第一の実行可能な後縁内側半径を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1Aは、ガスタービンエンジン20を概略的に図示する。ガスタービンエンジン20は、2スプールターボファンとして本明細書に開示され、通常、ファンセクション22、圧縮機セクション24、燃焼器セクション26、及びタービンセクション28を組み込む。代替的なエンジンは、他のシステムまたは特徴の中でも、オーグメンタセクション(図示せず)を含んでもよい。ファンセクション22が、ナセル15内に画定されたバイパスダクト内のバイパス流路Bに沿って空気を吹き流し、さらに、圧縮機セクション24が、圧縮のためにコア流路Cに沿って空気を吹き流し、この空気は、燃焼器セクション26へと連絡し、その後、タービンセクション28を通して膨張する。開示した限定されない実施形態では、2スプールターボファンガスタービンエンジンとして描写したが、本明細書に記述した概念が2スプールターボファンの使用に限定されず、本教示が3スプール構成を含む他のタイプのタービンエンジンにも応用できることが理解されるはずである。
【0036】
例示のエンジン20は、通常、低速スプール30及び高速スプール32を含み、これらのスプールは、いくつかのベアリングシステム38によって、エンジン静止構造体36に対してエンジンの中心長手方向軸Aを中心に回転するように取り付けられている。さまざまな位置におけるさまざまなベアリングシステム38を、代替的または追加的に提供することができ、ベアリングシステム38の位置を、用途に適切なように変えることができることが理解されるはずである。
【0037】
低速スプール30は、通常、ファン42、低圧圧縮機44及び低圧タービン46を相互接続する内側シャフト40を含む。内側シャフト40は、変速機構を通じてファン42に接続されており、例示のガスタービンエンジン20では、ギア付き構造体48として図示され、低速スプール30よりも低速でファン42を駆動する。高速スプール32は、高圧圧縮機52と高圧タービン54とを相互接続する外側シャフト50を含む。燃焼器56が、例示のガスタービン20では、高圧圧縮機52と高圧タービン54との間に配置されている。エンジン静止構造体36の中間タービンフレーム57が、通常、高圧タービン54と低圧タービン46との間に配置されている。中間タービンフレーム57は、さらに、ベアリングシステム38をタービンセクション28内において支持する。内側シャフト40と外側シャフト50とは同軸に配置されており、ベアリングシステム38によって、それらの長手方向軸と同一直線上にあるエンジンの中心長手方向軸Aを中心に回転する。
図1Aに示さない、3スプールを備えたエンジン20の実施形態では、複数の中間タービンフレーム57が、例えば、高スプールと中間スプールとの間、及び中間スプールと低スプールとの間に存在してもよい。当業者は、本明細書に開示されたさまざまな実施形態を、さまざまな構成のエンジン20において見られる複数のそのようなスプール間位置に適用することができる。
【0038】
コア空気流が、低圧圧縮機44、その後、高圧圧縮機52によって圧縮され、燃焼器56内で混合されて燃料とともに燃焼される。その後、高圧タービン54及び低圧タービン46にわたる間に膨張される。中間タービンフレーム57は、コア空気流路C内にエアフォイル59を含む。タービン46、54は、それぞれ、膨張に反応して、低速スプール30及び高速スプール32を回転させる。ファンセクション22、圧縮機セクション24、燃焼器セクション26、タービンセクション28及びファン駆動歯車装置48の各々の位置を変えることができることが認識される。例えば、歯車装置48は、燃焼器セクション26の後方、さらにはタービンセクション28の後方に位置してもよく、ファンセクション22は、歯車装置48の位置の前方に位置付けられてもよいし、後方に位置付けられてもよい。
【0039】
一実施例のエンジン20は、高バイパスギア付き航空機エンジンである。さらなる実施例では、エンジン20のバイパス比は、約6(6)よりも大きく、実施例の実施形態では、約10(10)よりも大きい。そして、ギア付き構造体48は、遊星歯車装置などの遊星歯車列またはギア減速比が約2.3よりも大きい他の歯車装置であり、低圧タービン46は、約5よりも大きい圧力比を有する。開示した一実施形態では、エンジン20のバイパス比は、約10(10:1)よりも大きく、ファンの直径が、低圧圧縮機44の直径よりもかなり大きく、そして低圧タービン46の圧力比が、約5(5:1)よりも大きい。低圧タービン46の圧力比は、排気ノズルの前方の低圧タービン46の出口における圧力に対する、低圧タービン46の入口の前方で測定された圧力である。ギア付き構造体48は、遊星歯車装置などの遊星歯車列またはギア減速比が約2.3:1よりも大きい他の歯車装置であってもよい。しかしながら、前述のパラメータが、ギア付き構造体エンジンの一実施形態の単なる例示であり、本発明を、直接駆動ターボファンを含む他のガスタービンエンジンにも応用できることが理解されるはずである。
【0040】
高バイパス比に起因するバイパス流路Bによってかなりの量の推力がもたらされる。エンジン20のファンセクション22は、特定の飛行条件、一般の巡航であれば、約0.8マッハ及び約35000フィート用に設計されている。この0.8マッハ及び35000フィートの飛行条件は、エンジンの燃費が最良であり、「バケット巡航推力当たり燃料消費率(「TSFC」)」としても公知であり、燃焼される燃料のlbmをその最小点でエンジンが発生する推力のlbfで割った業界標準パラメータである。「低ファン圧力比」は、ファン出口ガイドベーン(「FEGV」)装置を含まない、ファンブレードのみにわたる圧力比である。限定されない一実施形態に従う、本明細書に開示されるような低ファン圧力比は、約1.45未満である。「低修正ファン先端速度」は、実際のファン先端速度(ft/秒)を業界標準温度補正値[(Tram°R)/(518.7°R)]
0.5で割ったものである。限定されない一実施形態に従う、本明細書に開示されるような「低修正ファン先端速度」は、約1150ft/秒よりも遅い。
【0041】
図1Bは、ガスタービンエンジン20に組み込むことができる中間タービンフレーム80を図示する。換言すれば、中間タービンフレーム80は、中間タービンフレーム57の位置に使用し、ベアリング38を支持することができる。外側プラットフォーム82が、内側プラットフォーム84と間隔をあけて位置する。エアフォイル86が、内側プラットフォーム84と外側プラットフォーム82との間に延在する。エアフォイル86は、中空状と見ることができる。
【0042】
図1Cは、ベーン200の詳細を示す。ベーン200は、エアフォイル86並びにプラットフォーム82及び84の一部分を含むように画定される。
図1Cに示すように、ベーン200は分割される。
図1Cには、共に接続されて繰り返しユニットをもたらす二つのベーン200を示すが、他の実施形態では、単一の繰り返しユニット内に存在するベーン200の数は、一つでもよいし、複数であってもよい。繰り返しユニットは、エンジン20の中心線を中心にして軸方向に組み立てられて、略円周方向の構造体を形成する。このように、一つ以上のベーン200を含む複数の繰り返しユニットを共に結合することによって、
図1Bに示すような中間タービンフレーム80が形成される。他方で、開示した実施形態では、中間タービンフレーム80は、単一パートとして鋳造される。
【0043】
図2Aに示すように、後縁90における内側半径89は、比較的小さい。代替的に、
図2Bは、より大きい後縁半径190を示す。
【0044】
図2Cは、
図2Bの半径190と
図2Aの半径89との間の材料の量の差異を示す。
【0045】
図2Dは、プラットフォームにおける半径が過度に小さいことに関連して懸念が生じる別のベーンの実施形態486を概略的に示す。ベーン486は傾斜しており、これは、490における前縁の外端が内端491よりもさらに前方に離間されていることを意味する。この結果、外側後縁492も、内側後縁494に対して前方に離間される。別の言い方をすれば、前縁及び後縁は、非垂直角度でプラットフォームから延在する。
【0046】
シール500(概略的に示す)が、プラットフォーム82及び84の両方に位置付けられる。シール500は、エアフォイル486内部の中空部を封鎖してはならない。いくぶん概略的に示すように、半径190ではなく、
図2Cに図示するような半径89を使用すると、後部の半径方向内端におけるシール500が中空の部分を封鎖する可能性がある。これは望ましくはない。これにより、プラットフォームの一つにより大きい半径を有することは有益であり得るという別の理由となる。
【0047】
図3Aは、後縁内側半径190の終端が後縁内側半径89の終端よりも前に位置することを示す。仮に、内側プラットフォーム84において後縁内側半径89を使用すると、それがシール領域94を横切って延在する。それ故に、内側プラットフォーム84においてはより大きい半径190であることが望ましい。
【0048】
同様に、
図3Bに示すリブ98が外側プラットフォーム82に形成され、後縁のより大きい内側半径190は、リブ98を横切る手前で終端する。
【0049】
しかしながら、
図2Cから認識できるように、より大きい半径190を使用する結果として、追加の材料が必要となる。追加の材料は、必ずしも、プラットフォーム82とプラットフォーム84との間のベーン86内の半径方向の全長に沿わなくてもよい。
【0050】
それ故に、
図4Aは、後縁90の内面100の半径方向に沿った可変半径(variable radius)を示す。半径R
1が、外側プラットフォーム82において使用され、後縁面100の半径方向の全長の大部分に延在する半径R
2へと合流する。遷移半径R
3が、内側プラットフォーム84に延在する半径R
4に遷移するように使用できる。R
1〜R
4が、
図4の平面内に画定されることが理解されるはずである。換言すれば、R
1〜R
4は、
図2Cに示すような、略円周方向かつベーン86の壁102と壁104との間において測定される。
【0051】
図4Aは、エアフォイル86の外側後縁における外壁101を示す。
図4から認識できるように、この外面は、内面100よりも一定である。他方で、外面は、変化させてもよい。
【0052】
実施形態では、R
1及びR
4は、R
2よりもかなり大きくてもよい。実施例として、R
1及びR
4は、0.156インチ(約0.2286センチメートル)であり、一方で、R
2は、0.030インチ(約0.1016センチメートル)であってもよい。実施形態では、R
1またはR
4の、R
2に対する比は、1.1〜6.1であってもよい。ここでもまた、R
2は、面100の半径方向の全長の大部分に延在してもよい。
【0053】
実施形態では、任意の数の変化する半径を使用することができる。実施例として、小さい遷移半径と、その後に大きい内径半径(inner diameter radius)と、を持つ小半径(small radius)を外径(outer diameter)に使用することができる。さらに、前に開示したように、外側半径(outer radius)が大きく、内半径(internal radius)が小さく、そして内側半径が大きくてもよい。さらに、外側半径が大きく、内半径が大きく、そして内側半径が小さくてもよい。特定の用途に適切に、いくつかの半径の任意の数の組み合わせを使用することができる。
【0054】
図4Aに示すように、プラットフォーム82及び84における面100の地点300及び302は、符号301に示すような中間部よりも、流れ方向Dにおけるさらなる上流側に離間されてもよい。別の言い方をすれば、半径方向中間部301は、外側部300及び302よりも、外壁101に近くてもよい。
【0055】
図4Aは、開示した特徴の実行力を示す実施例であり、さまざまな可能性を図示する。実施例として、半径方向中央突出部304の半径は、部分301よりも大きい。
【0056】
実際に、
図4Bは、さらに想定され得る実施形態290を示し、半径方向外側部により大きい半径R
0が存在し、遷移半径Tが一定半径Cと融合し、別の遷移半径Tに合流して、最終的に内端におけるより大きい半径R
Iに合流する。一定半径Cは、ベーン290の半径方向の全長の大部分に延在してもよい。
【0057】
全長に沿って可変の半径を使用することにより、材料を除去し、それ故に、応力及び前述のような他の物理的な問題になおも対処しつつ、軽量化をもたらす。一実施例では、可変半径の使用によって、1ポンドほども軽量化を達成することができる。
【0058】
本発明の実施形態を開示したが、当業者は、特定の変更が本開示の範囲内に収まることを認識する。その理由のために、以下の特許請求の範囲が、本開示の真の範囲及び内容を決定するように考慮されるはずである。