【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の根底にある目的は、ポリマーが経済的条件下でもはや溶融加工性でない温度までT
mを大幅に上昇させず、特にフィルム又は物品の結晶化度を著しく低下させず(許容できる熱機械的特性を達成するために)、また好ましくは分解温度も著しく低下させずに、対応するベースポリエステルより高いT
gを有するコポリエステルから製造されたコポリエステル物品(特にフィルム)を提供することである。
したがって、本発明の目的は、改善された耐熱性及び熱機械的安定性を示すポリエステルを提供することである。本発明のさらなる目的は、高い又は上昇したT
gを有するが、ポリマーが経済的条件下でもはや溶融加工性でない温度までT
mを上昇させずに(すなわち、ポリマーは、約320℃未満、好ましくは約300℃未満で溶融加工性のままであるべきである)熱可塑性ポリマーを提供することである。本発明のさらなる目的は、高いT
g並びに高いT
mを示す半結晶性ポリエステルを提供することである。本発明のさらなる目的は、そのT
m及び/又はその結晶化度を著しく低下させず、また好ましくはその分解温度を著しく低下させずに、ポリエステルのT
gを上昇させることである。
【0005】
本明細書で用いるように、「T
mを著しく低下させずに」という用語は、T
mが10%以下、好ましくは5%以下低下することを意味する。
本明細書で用いるように、「結晶化度を著しく低下させずに」という用語は、ポリエステルが、好ましくは約10%〜約60%、好ましくは約20〜約50%の範囲の商業的に有用な結晶化度を保持していることを意味する。
本発明のさらなる目的は、そのT
m及び/又はその結晶化度を著しく低下させず、また好ましくはその分解温度を著しく低下させずに、対応するベースポリエステルより高いT
gを有するコポリエステルを提供することである。
【0006】
本発明のさらなる目的は、そのT
m及び/又はその結晶化度を著しく低下させず、また好ましくはその分解温度を著しく低下させずに従来のポリエステルのT
gを上昇させる前記ポリエステルにおけるモノマーの部分置換に適するコモノマーの使用を提供することである。
本発明の目的は、T
mの上昇を排除しないが、T
mの上昇は、溶融加工が非経済的になり、T
m及び分解温度が収束するほど大きくてはならない。
【0007】
本明細書で用いるように、「コポリエステル」という用語は、エステル結合を含み、3種類以上のコモノマーに由来するポリマーを意味する。本明細書で用いるように、「対応するベースポリエステル」という用語は、エステル結合を含み、エステル形成官能基を含む2種類のコモノマーに由来し、対応するベースポリエステルのコモノマーを含むコモノマーに由来するコポリエステルのコンパレーターとしての役割を果たすポリマーを意味する。エステル形成官能基を含むコモノマーは、好ましくは2つのエステル形成官能基を有する。
本明細書で用いるように、「半結晶性」という用語は、本明細書に記載する試験に従って測定した少なくとも約5%、好ましくは少なくとも約10%、好ましくは少なくとも約15%、好ましくは少なくとも約20%の結晶化度を意味する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本発明は、脂肪族グリコール、芳香族ジカルボン酸(好ましくはテレフタル酸及びナフタレンジカルボンから選択される)及び式(I)
【化1】
(I)
(式中、
n=2、3又は4、好ましくはn=2であり、
Zは、C=Oである)
のモノマーに由来する反復単位を含むコポリエステルを含む二軸配向フィルムであっって、コモノマー(I)が、コポリエステルのグリコール部分の一部を構成し、コポリエステルのグリコール部分の少なくとも約4mol%の量で存在する、フィルムを提供する。
【0009】
式(I)のモノマーは、本明細書でN,N’−ビス−(ヒドロキシアルキル)−ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸ジイミド(BTDI)と呼ぶ。n=2である場合、モノマーは、以下の式(II)を有する。
【化2】
(II)
【0010】
驚くべきことに、本発明者らは、ポリエステルに特定のコモノマー(I)を組み込むことによって、T
gを実質的に上昇させるだけでなく、それから製造されるフィルム又は物品の結晶度に著しい害も及ばないことを今回発見した。これは、T
mを著しく上昇させることなく達成される。本明細書に記載されるコポリエステルは、熱可塑性である。本明細書に記載されるようなコポリエステル及びそれから製造されるフィルム又は物品は、半結晶の特性を示す。本明細書に記載されるコポリエステルは、高分子量で容易に得ることができる。本明細書に記載されるコポリエステルは、320℃未満(好ましくは300℃未満)で強靭で、高い強度のフィルム又は物品に溶融加工することができる。コポリエステルは、本明細書でコ(ポリエステル−イミド)とも呼ぶ。
【0011】
コモノマー(I)は、コポリエステルのグリコール部分の一部を構成する。好ましい実施形態において、コモノマー(I)は、コポリエステルのグリコール部分の約50mol%以下、好ましくは約40mol%以下、好ましくは約30mol%以下、好ましくは約20mol%以下、1つの実施形態において約15mol%以下、さらなる実施形態において約10mol%以下の量で存在する。コモノマーは、コポリエステルのグリコール部分の少なくとも約4mol%(すなわち、4mol%又は4mol%より多い)、好ましくは少なくとも約5mol%(すなわち、5mol%又は5mol%より多い)の量で存在する。
芳香族酸がテレフタル酸である場合、コモノマー(I)は、好ましくはコポリエステルのグリコール部分の約18mol%以下、好ましくは約17mol%以下、好ましくは約16mol%以下の量で存在する。
【0012】
芳香族酸がナフタレンジカルボン酸である場合、コモノマー(I)は、好ましくはコポリエステルのグリコール部分の約14mol%以下、好ましくは約13mol%以下、好ましくは約12mol%以下、1つの実施形態において約11mol%以下の量で存在する。
発明者らは、コモノマー(I)の低いモル分率においてさえも、T
gの小さいが、有益な上昇が認められることを観測した。例えば、n=2であるわずか5mol%のコモノマー(I)を含むコポリエステルは、良好な結晶化度を保持しながらTgの著しい上昇を示す。
芳香族ジカルボン酸は、好ましくはテレフタル酸及びナフタレンジカルボン酸から選択される。本発明に用いることができる他の芳香族ジカルボン酸は、イソフタル酸及びフタル酸である。ナフタレンジカルボン酸は、2,5−、2,6−又は2,7−ナフタレンジカルボン酸から選択することができ、好ましくは2,6−ナフタレンジカルボン酸である。
【0013】
脂肪族グリコールは、好ましくはC
2、C
3又はC
4脂肪族ジオールから、より好ましくはエチレングリコール、1,3−プロパンジオール及び1,4−ブタンジオールから、より好ましくはエチレングリコール及び1,4−ブタンジオールから選択され、最も好ましくはエチレングリコールである。脂肪族グリコールにおける炭素原子の数は、コモノマー(I)における数(n)と同じ又は異なっていてもよいが、結晶度を保持するために、特にコモノマーの量を増加させるとともに結晶度を保持するために最も好ましくは同じである。したがって、脂肪族グリコールは、好ましくはm=nである式HO(CH
2)
mOHを有する。
1つの実施形態において、脂肪族グリコールは、1,4−ブタンジオールであり、n=4である。好ましい実施形態において、脂肪族グリコールは、エチレングリコールであり、n=2である。
【0014】
酸成分が2,6−ナフタレンジカルボン酸から選択されるコポリエステルは、以下の式(III)により記述することができる。
【化3】
(III)
(式中、
n及びZは、式(I)について定義した通りであり、
基Xは、前記脂肪族グリコールの炭素鎖であり、
p及びqは、上文で定義した(すなわち、qは好ましくは50以下であり、p=100−qである)ように、それぞれ、脂肪族グリコール含有反復エステル単位及びモノマー(I)含有反復エステル単位のモル分率である)
【0015】
酸成分がテレフタル酸から選択されるコポリエステルは、以下の式(IV)により記述することができる。
【化4】
(IV)
(式中、n、Z、X、p及びqは、上述した通りである)
【0016】
コポリエステルは、複数の種類の前述の脂肪族グリコール及び/又は複数の種類の式(I)のモノマー(すなわち、異なる値のnを有する複数の種類のモノマー)を含み得る。しかし、好ましくは、コポリエステルは、単一の種類の前述の脂肪族グリコールを含む。好ましくは、コポリエステルは、単一の種類の式(I)のモノマーを含む。好ましくは、コポリエステルは、単一の種類の前述の脂肪族グリコール及び単一の種類の式(I)のモノマーを含む。コポリエステルが複数の種類の前記脂肪族グリコールを含む場合、好ましくはコポリエステルは、単一の種類の前記脂肪族グリコールの主要な脂肪族グリコール部分、及び1つ又は複数の異なる種類の前記脂肪族グリコールの副次的な脂肪族グリコール部分を含み、前記1つ又は複数の異なる種類の前記脂肪族グリコールは、全グリコール部分の10mol%以下、好ましくは5mol%以下、好ましくは1mol%以下を構成する。同様に、コポリエステルが複数の種類の式(I)の前記モノマーを含む場合、好ましくはコポリエステルは、単一の種類の式(I)の前記モノマーの主要な部分、及び1つ又は複数の異なる種類の式(I)の前記モノマーの副次的な部分を含み、1つ又は複数の異なる種類の式(I)のモノマーの前記副次的な部分は、全モノマー(I)部分の10mol%以下、好ましくは5mol%以下、好ましくは1mol%以下を構成する。コポリエステルは、少量の他のグリコールを含んでいてもよく、好ましい実施形態において、そのような他のグリコールは、全グリコール部分の10mol%以下、好ましくは5mol%以下、好ましくは1mol%以下を構成するが、性能を最大限にするために、グリコール部分がコモノマー(I)及び上述の前記脂肪族グリコールからなることが好ましい。
【0017】
本明細書に記載するコポリエステルは、複数の種類のカルボン酸を含み得る。この実施形態において、コポリエステルは、上文で記載したように、好ましくはテレフタル酸又はナフタレンジカルボン酸である、第1の芳香族ジカルボン酸、及び1つ又は複数のさらなるカルボン酸を含む。さらなるカルボン酸(単数又は複数)は、少量(全酸部分の好ましくは10mol%以下、好ましくは5mol%以下、好ましくは1mol%以下)で存在し、前記第1の芳香族カルボン酸と異なる。さらなるカルボン酸(単数又は複数)は、好ましくは、ジカルボン酸から、好ましくは、例えば、テレフタル酸(第1の芳香族ジカルボン酸がナフタレンジカルボン酸である場合)、ナフタレンジカルボン酸(第1の芳香族ジカルボン酸がテレフタル酸である場合)、イソフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸及び4,4’−ジフェニルジカルボン酸を含む芳香族ジカルボン酸から選択される。この実施形態において、第1の芳香族ジカルボン酸は、ナフタレンジカルボン酸の1つの異性体であり得、さらなるカルボン酸(単数又は複数)は、ナフタレンジカルボン酸の他の異性体(単数又は複数)から選択することができる。
【0018】
しかし、好ましくは、酸部分は、上文に記載した単一芳香族ジカルボン酸からなる。
したがって、本明細書に記載するコポリエステルは、好ましくは脂肪族グリコール、芳香族ジカルボン酸(好ましくはテレフタル酸又はナフタレンジカルボン酸)及び上文で定義した式(I)のモノマーのみを含む。
【0019】
本明細書に記載するコポリエステルは、典型的には約310℃までの温度で、縮合又はエステル交換によるポリエステル材料の製造のための従来の技術により合成することができる。重縮合は、固相重合段階(SSP)を含み得る。固相重合は、例えば、窒素により流動化する、流動層(fluidised bed)内で、又は回転式真空乾燥機を用いる、真空流動層内で行うことができる。適切な固相重合法は、例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、欧州特許出願公開第0419400号に開示されている。したがって、SSPは、典型的にはポリマーの結晶融点(T
m)より10〜50℃低いが、ガラス転移温度(T
g)より高い温度で行う。分解を防ぐために乾燥窒素の不活性化雰囲気又は真空を用いる。1つの実施形態において、コポリエステルは、触媒残留物、望ましくない無機沈着物及びポリマーの製造の他の副産物などの低いレベルの汚染物質を有するポリマー材料をもたらすゲルマニウムベースの触媒を用いて調製する。したがって、さらなる態様において、本明細書で定義したコポリエステルを調製する方法であって、
(i)前記脂肪族グリコールを前記芳香族ジカルボン酸と反応させて、前記芳香族ジカルボン酸のビス(ヒドロキシアルキル)エステルを生成するステップと、
(ii)前記芳香族ジカルボン酸の前記ビス(ヒドロキシアルキル)エステルを触媒の存在下で高い温度及び圧力の条件下でモノマー(I)と反応させるステップと
を含む、方法が提供される。
【0020】
1つの実施形態において、下文におけるスキーム(1)に例示するように、脂肪族グリコールをナフタレンジカルボン酸と反応させて、ビス(ヒドロキシアルキル)ナフタレートを生成し、次いで、これを触媒の存在下で高い温度及び圧力の条件下で所望のモル比でモノマー(I)と反応させる。さらなる実施形態において、下文におけるスキーム(2)に例示するように、脂肪族グリコールをテレフタル酸と反応させて、ビス(ヒドロキシアルキル)テレフタレートを生成し、次いで、これを触媒の存在下で高い温度及び圧力の条件下で所望のモル比でモノマー(I)と反応させる。
上文に記載した方法は、有利なことに高選択性及び高収率でのコポリエステルの調製を可能にする。該方法は、有利なことに安定で、比較的迅速な反応も提供し、信頼でき、再現性のある重合を促進し、安全且つ経済的に規模拡大を可能にし、生成物の均一性も改善する。
【0021】
本明細書に記載するコポリエステルは、高温への曝露を伴う応用分野及び高い熱機械的性能を要求される応用分野に用いるのに特に適している。PEEKに比べて本明細書に記載するコポリエステルの1つの利点は、それらがPEEKの値に近いT
g値を示すが、それより著しくより低いT
mを有する点である。
驚くべきことに、本発明者らは、芳香族ポリエステル(好ましくはテレフタレート又はナフタレートポリエステル)に特定のコモノマー(I)を組み込むことによって、T
gを実質的に上昇させるだけでなく、それから製造されるフィルム又は物品の結晶度に著しい害も及ばないことを発見した。これは、T
mを著しく上昇させることなく達成される。本明細書に記載するコポリエステルから製造されるフィルム又は物品は、予想外に優れた半結晶の特性を示す。
【0022】
本発明の半結晶性フィルムは、本明細書に記載する密度法により測定される、少なくとも約5%、好ましくは少なくとも約10%、好ましくは少なくとも約15%、好ましくは少なくとも約20%、好ましくは少なくとも約25%、好ましくは少なくとも約30%、好ましくは少なくとも約35%、好ましくは少なくとも約40%の結晶化度を示す。したがって、本発明は、芳香族ジカルボン酸(又は本明細書で定義した第1のジカルボン酸)がナフタレンジカルボン酸であり、フィルムの結晶化度がフィルム密度から、0%結晶性ポリエチレンナフタレート(PEN)の密度が1.325g/cm
3であり、100%結晶性PENの密度が1.407g/cm
3であることに基づいて計算されて、少なくとも約5%(好ましくは10%、好ましくは15%、好ましくは20%、好ましくは25%、好ましくは30%、好ましくは35%、好ましくは40%)であるフィルムを提供し、芳香族ジカルボン酸(又は本明細書で定義した第1のジカルボン酸)がテレフタル酸であり、フィルムの結晶化度がフィルム密度から、0%結晶性ポリエチレンテレフタレート(PET)の密度が1.335g/cm
3であり、100%結晶性PETの密度が1.455g/cm
3であることに基づいて計算されて、少なくとも約5%(好ましくは10%、好ましくは15%、好ましくは20%、好ましくは25%)であるフィルムをさらに提供する。
【0023】
本発明の二軸配向フィルムは、磁気記録媒体、特に、狭いが、安定なトラックピッチを可能にし、より高い密度又は容量の情報を記録するためにトラック外れ(track deviation)の減少を示すことを要求される磁気記録媒体、例えば、LTO(リニアテープオープン)方式などのサーバーバックアップ/データ保存として適する磁気記録媒体用のベースフィルムとして有用である。本発明の二軸配向フィルムはまた、熱機械的に安定なバックプレーンが、最終製品の製造中、例えば、電子発光(EL)表示装置(特に、有機発光表示(OLED)装置)、電気泳動表示(e−ペーパー)、光起電力(PV)電池及び半導体素子(一般的に有機電界効果トランジスタ、薄膜トランジスタ及び集積回路など)、特に柔軟なそのような装置の製造において重要である、電子及び光電子素子(特に、フィルムが柔軟であることが要求される)に用いるのに適している。
【0024】
上文で定義した脂肪族グリコール、芳香族ジカルボン酸及び式(I)のモノマーに由来する反復単位を含むコポリエステルは、好ましくはフィルムの主要成分であり、好ましくはフィルムの総質量の少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも65質量%、好ましくは少なくとも80質量%、好ましくは少なくとも90質量%、好ましくは少なくとも95質量%を占める。前記コポリエステルは、適切にはフィルムに用いられるポリエステルのみである。
【0025】
フィルムの形成は、当技術分野で周知の従来の押出技術により実施することができる。大まかに言えば、方法は、適切な温度範囲内、例えば、約280〜約300℃の範囲の温度で溶融ポリマーの層を押出すステップと、押出物をクエンチするステップと、クエンチされた押出物を配向させるステップとを含む。配向は、配向フィルムを製造するための当技術分野で公知の方法、例えば、管状又はフラットフィルム法により実施することができる。二軸配向は、機械的及び物理的特性の満足のいく組合せを達成するようにフィルムの面内で互いに垂直な方向に延伸することによって達成される。管状法では、同時二軸配向は、熱可塑性ポリエステル管を押出し、これをその後クエンチし、再加熱し、次いで内部のガス圧力により拡張して、横の配向を生じさせ、縦の配向を生じさせる速度で引き伸ばすことにより達成することができる。好ましいフラットフィルム法では、フィルム形成ポリエステルをスロットダイを通して押出し、冷却キャスティングドラム上で急速にクエンチして、ポリエステルが非晶質状態にクエンチされることを保証する。配向は、クエンチされた押出物をポリエステルのガラス転移温度より高い温度で少なくとも一方向に伸張することによって達成される。逐次配向は、平らな、クエンチされた押出物を最初に一方向、通常、縦方向に、すなわち、フィルム伸張機を通して前方向に、次いで、横方向に伸張することによって達成することができる。押出物の前方伸張は、1組の回転ロール上又は2対のニップロール間で好都合に達成され、次いで、横方向伸張は、テンター装置で達成される。伸張は、配向フィルムの寸法が伸張の各方向にその最初の寸法の2〜5、より好ましくは2.5〜4.5倍になるように一般的に実施される。典型的には、伸張は、ポリエステルのT
gより高い、好ましくはT
gより約15℃高い温度で実施される。機械及び横方向に等しく伸張することは、バランスのとれた特性が望ましい場合にはこれが好ましいが、必須でない。
【0026】
伸張フィルムは、ポリエステルの所望の結晶化をもたらすために、ポリエステルのガラス転移温度より高いが、その融解温度より低い温度での寸法支持のもとでの熱硬化により寸法を安定化させることができ、且つ好ましい。熱硬化時に、少量の寸法緩和を「トーイン(toe−in)」として公知の手順により横方向(TD)に行うことができる。トーインは、2〜4%程度の寸法の収縮を伴い得るが、工程又は機械方向(MD)の類似の寸法緩和は、達成することが困難である。その理由は、低い線張力を必要とし、フィルムの制御及び巻取りが問題となるからである。実際の熱硬化温度及び時間は、フィルムの組成及びその所望の最終熱収縮によって異なるが、引き裂き抵抗などのフィルムの靭性を実質的に劣化させるように選択すべきでない。これらの制約内で、約150〜245℃(典型的には少なくとも180℃)の熱硬化温度が一般的に望ましい。ポリエステルの所望の結晶度をもたらすために、熱硬化後にフィルムを典型的には急速にクエンチする。
【0027】
1つの実施形態において、フィルムは、インライン緩和段階を用いることによりさらに安定化させることができる。或いは、緩和処理をオフラインで実施することができる。この追加のステップにおいて、フィルムを熱硬化段階の温度より低い温度で、非常に低いMD及びTD張力で加熱する。フィルムにより経験される張力は、低い張力であり、典型的には5kg/m未満、好ましくは3.5kg/m未満、より好ましくは1〜約2.5kg/mの範囲、典型的には1.5〜2kg/mフィルム幅の範囲にある。フィルムの速度を制御する緩和法については、フィルム速度の低下(及びしたがって、ひずみ緩和)は、典型的には0〜2.5%、好ましくは0.5〜2.0%の範囲にある。熱安定化ステップ中にフィルムの横寸法の増加はない。熱安定化ステップに用いる温度は、最終フィルムの特性の所望の組合せによって異なる可能性があり、温度が高いほど、より良好、すなわち、より低い残留収縮特性が得られる。135〜250℃、好ましくは150〜230℃、より好ましくは170〜200℃の温度が一般的に望ましい。加熱の持続時間は、用いられる温度に依存するが、典型的には10〜40秒の範囲にあり、20〜30秒の持続時間が好ましい。この熱安定化工程は、平面及び垂直構成並びに別個の工程ステップとしての「オフライン」又はフィルム製造工程の継続としての「インライン」を含む、様々な方法により実施することができる。そのように処理したフィルムは、そのような熱硬化後緩和の非存在下で製造されたものより小さい熱収縮を示す。
【0028】
フィルムは、ポリエステルフィルムの製造において通常用いられる他の添加剤をさらに含み得る。したがって、抗酸化剤、UV吸収剤、加水分解安定剤、架橋剤、色素、充填剤、顔料、ボイディング剤(voiding agent)、滑沢剤、ラジカルスカベンジャー、熱安定剤、難燃剤及び火炎抑制剤、粘着防止剤、界面活性剤、滑り助剤、光沢改良剤、分解促進剤(prodegradent)、粘度調整剤及び分散安定剤などの薬剤を適宜組み込むことができる。そのような成分は、通常の方法でポリマーに導入することができる。例えば、フィルム形成ポリマーが得られるモノマー反応物と混合することにより、又は成分を、転動又は乾式混合又は押出機中での配合によりポリマーと混合した後、冷却し、通常、粒剤又はチップに粉砕することができる。マスターバッチ技術も用いることができる。フィルムは、特に、製造中の取扱性及び巻取り性を改善することができ、光学特性を調整するために用いることができる粒子状充填剤を含み得る。粒子状充填剤は、例えば、粒子状無機充填剤(例えば、アルミナ、チタニア、タルク及びシリカ(特に沈殿又は珪藻類シリカ及びシリカゲル)、焼成陶土などの金属又はメタロイド酸化物並びにカルシウム及びバリウムの炭酸塩及び硫酸塩)であり得る。
【0029】
フィルムの厚さは、約1〜500μmの範囲、典型的には約250μm以下、典型的には約150μm以下であり得る。特に、本発明のフィルムが磁気記録媒体用である場合、多層フィルムの厚さは、適切には、約1〜約10μm、より好ましくは約2〜約10μm、より好ましくは約2〜約7μm、より好ましくは約3〜約7μm、1つの実施形態において約4〜約6μmの範囲にある。フィルムを本明細書に記載したような電子及び表示装置における層として用いる場合、多層フィルムの厚さは、典型的には約5〜約350μmの範囲、好ましくは約250μm以下、1つの実施形態において約100μm以下、さらなる実施形態において約50μm以下、典型的には少なくとも12μm、より典型的には少なくとも約20μmである。
【0030】
本発明のさらなる態様によれば、本明細書に記載する二軸配向フィルムを含む電子及び光電子素子、特に、電子発光(EL)表示装置(特に、有機発光表示(OLED)装置)、電気泳動表示(eペーパー)、光起電力(PV)電池及び半導体素子(一般的に有機電界効果トランジスタ、薄膜トランジスタ及び集積回路など)、特に柔軟なそのような装置などの電子及び光電子素子が提供される。
【0031】
本発明のさらなる態様によれば、本明細書に記載する二軸配向フィルムをベースフィルムとして含み、その1つの表面上に磁気層をさらに含む磁気記録媒体が提供される。磁気記録媒体は、例えば、さらにより高い容量のタイプのリニアトラックシステムデータ保存テープ、例えば、QIC又はDLT及びSDLT又はLTOを含む。温度/湿度変化に起因するベースフィルムの寸法変化は、小さく、したがって、テープの高容量を保証するためにトラックピッチが狭い場合でさえ、より少ないトラック外れをもたらす高密度及び高容量に適する磁気記録媒体を提供することができる。
【0032】
本発明のさらなる態様によれば、脂肪族グリコール、芳香族ジカルボン酸及び式(I)のモノマーに由来する反復単位を含むコポリエステルであって、コモノマー(I)が、コポリエステルのグリコール部分の一部を構成し、コポリエステルのグリコール部分の約1〜約50mol%の範囲で存在し、芳香族ジカルボン酸が、ナフタレンジカルボンから選択される、コポリエステルが提供される。コポリエステルの上文における一般的及び個別的説明は、本発明のこの態様のコポリエステルに同等に適用される。好ましくは、コモノマーは、ポリエステルのグリコール部分の少なくとも約4mol%、好ましくは少なくとも約5mol%、好ましくは20mol%以下、好ましくは15mol%以下の量で存在する。
【0033】
本発明のさらなる態様によれば、脂肪族グリコール、芳香族ジカルボン酸及び式(I)のモノマーに由来する反復単位を含むコポリエステルであって、コモノマー(I)が、コポリエステルのグリコール部分の一部を構成し、コポリエステルのグリコール部分の約1〜約50mol%の範囲で存在し、前記コポリエステルが、半結晶性である、コポリエステルが提供される。コポリエステルの上文における一般的及び個別的説明は、本発明のこの態様のコポリエステルに同等に適用される。本発明の半結晶性コポリエステルは、好ましくは、ポリエステルのグリコール部分の少なくとも約4mol%、好ましくは少なくとも約5mol%、好ましくは20mol%以下、好ましくは15mol%以下の量で存在するコモノマー(I)を含む。本発明の半結晶性コポリエステルは、本明細書に記載する標準DSC法により測定される少なくとも約5%、好ましくは少なくとも約10%、好ましくは少なくとも約15%、好ましくは少なくとも約20%の結晶化度を示す。結晶化度は、アニーリング又はSSP技術により増加させることができる。アニーリングは、ポリマーの結晶融点(T
m)より低く且つガラス転移温度(Tg)より高い温度で、好ましくはT
mより20〜80℃低い温度で、好ましくは約160〜約230℃で行う。芳香族カルボン酸(又は第1のジカルボン酸)がテレフタル酸であるコポリエステルについては、好ましいアニーリング温度は、約160〜約220℃の範囲にある。カルボン酸(又は第1のジカルボン酸)がナフタレンジカルボン酸であるコポリエステルについては、好ましいアニーリング温度は、約180〜約230℃の範囲にある。アニーリング時間は、好ましくは約30分〜約4時間、好ましくは約1〜約3時間、好ましくは約2時間である。アニーリングは、不活性雰囲気下、好ましくは乾燥窒素雰囲気下で行う。
【0034】
本明細書に記載するコポリエステルは、機械部品(ベアリング、ピストン部品、ポンプ及びコンプレッサープレートバルブなど);ケーブル絶縁体;超高真空用途の部品;先進生体材料(医療用インプラントを含む);並びに航空宇宙、自動車、テレトロニック(teletronic)及び化学プロセス産業における他の用途を含む、PEEKが使用されている用途における品目を製造するためにも用いることができる。本明細書に記載するコポリエステル、特にPETベースのコポリエステルは、ビン、特に滅菌可能且つ再使用可能なビンを製造するためにも用いることができる。したがって、本発明のさらなる態様によれば、上文で定義した脂肪族グリコール、芳香族ジカルボン酸及び式(I)のモノマーに由来する反復単位を含むコポリエステルを含む繊維又は成形用組成物又は成形品を提供する。繊維、成形用組成物又は成形品は、当技術分野における従来の技術により製造することができる。本明細書で用いるように、「成形品」は、ビンを含む。