【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、下記化学式1で示される化合物を、下記化学式2で示される化合物またはその薬学的に許容される塩と反応させ、下記化学式3で示される化合物またはその薬学的に許容される塩を製造する方法を提供する。
【0012】
[化学式1]
【0013】
【化1】
【0014】
[化学式2]
【0015】
【化2】
【0016】
[化学式3]
【0017】
【化3】
【0018】
本発明の前記方法は、化学式3で示される化合物であるN−[[1−{3−(1,2,3−トリアゾール−1−イル)プロピル}ピペリジン−4−イル]メチル]−4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシベンズアミドまたはその薬学的に許容される塩の製造の際に類縁物質の発生を最小化することができる。よって、多数の精製段階を行う必要がなくて工程を単純化することができるため、量産に容易に適用することができる。
また、本発明の前記方法によれば、従来の公知の方法と比較して高い純度および収率で、化学式3で示される化合物であるN−[[1−{3−(1,2,3−トリアゾール−1−イル)プロピル}ピペリジン−4−イル]メチル]−4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシベンズアミドまたはその薬学的に許容される塩を得ることができ、反応工程を単純化し、反応時間を減らすことができる。
【0019】
本発明において、前記化学式1で表わされる化合物と、前記化学式2で示される化合物またはその薬学的に許容される塩との反応は、反応式1で表示できる。
【0020】
[反応式1]
【0021】
【化4】
【0022】
前記反応式1の反応によれば、前記化学式3で示される化合物またはその薬学的に許容される塩は、化学式1で示される化合物と前記化学式2で示される化合物またはその薬学的に許容される塩とがペプチド結合を形成して製造することができる。
【0023】
前記化学式1で示される化合物は、公知の方法によって合成するか、或いは商業的に購入して使用することができる。
【0024】
本発明において、化学式1で示される化合物と化学式2で示される化合物またはその薬学的に許容される塩との反応は、クロロギ酸イソブチル、クロロギ酸エチル、カルボニルジイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、またはこれらの混合物の存在下で行うことができる。
【0025】
本発明において、化学式1で示される化合物と化学式2で示される化合物またはその薬学的に許容される塩との反応は、塩基の存在下で行うことができる。前記塩基は第3級アミンであってもよい。前記第3級アミンは、その種類が特に制限されず、N−メチルモルホリン、イソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、ピリジンまたはこれらの混合物であってもよい。
【0026】
本発明において、前記化学式1で示される化合物と化学式2で示される化合物またはその薬学的に許容される塩との反応は、好ましくは、クロロギ酸イソブチル、クロロギ酸エチル、カルボジイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールまたはこれらの混合物、および塩基の存在の下で行うことができる。例えば、クロロギ酸イソブチル、クロロギ酸エチル、カルボジイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールおよびこれらの混合物の中から選ばれたいずれか一つと、N−メチルモルホリン、イソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、ピリジンおよびこれらの混合物の中から選ばれた塩基の存在下で行うことができる。
【0027】
本発明において、化学式1で示される化合物と化学式2で示される化合物またはその薬学的に許容される塩との反応の際に、溶媒は、反応を阻害しない限り、その種類は特に制限されず、アセトニトリル、アセトン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミドまたはこれらの混合物であり得る。
【0028】
本発明において、化学式1で示される化合物と化学式2で示される化合物またはその薬学的に許容される塩との反応は、約−20℃乃至還流温度以下の温度で行うことができ、好ましくは約−20℃〜約120℃の温度範囲、より好ましくは約20℃〜約90℃の温度範囲で行うことができる。
【0029】
本発明において、前記薬学的に許容される塩は、特にその種類が制限されないが、遊離酸(free acid)によって形成された酸付加塩であり、前記遊離酸は無機酸または有機酸であり得る。前記無機酸は塩酸、臭素酸、硫酸またはリン酸であり、前記有機酸はシュウ酸、アジピン酸、クエン酸、ジ−p−トルオイル−L−酒石酸、ジ−p−トルオイル−D−酒石酸、クエン酸、乳酸、マレイン酸、フマル酸、グルコン酸、メタンスルホン酸、酢酸、グリコール酸、コハク酸、L−またはD−酒石酸、酒石酸、4−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ガラクツロン酸、エンボン酸、グルタミン酸またはアスパラギン酸であり得る。
【0030】
本発明において、化学式2で示される化合物の薬学的に許容される塩は、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、シュウ酸塩、アジピン酸塩、クエン酸塩、ジ−p−トルオイル−L−酒石酸塩、ジ−p−トルオイル−D−酒石酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、メタンスルホン酸塩、酢酸塩、グリコール酸塩、コハク酸塩、L−またはD−酒石酸塩、酒石酸塩、4−トルエンスルホン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、ガラクツロン酸塩、エンボン酸塩、グルタミン酸塩またはアスパラギン酸塩であり得る。前記化学式2で示される化合物の薬学的に許容される塩は、好ましくは、シュウ酸塩、コハク酸塩、アジピン酸塩、酒石酸塩、L−酒石酸塩、D−酒石酸塩、マレイン酸塩、または塩酸塩である。
【0031】
本発明において、化学式3で示される化合物の薬学的に許容される塩は、好ましくは無機酸塩であり、より好ましくは塩酸塩である。
【0032】
本発明において、化学式3で示される化合物の薬学的に許容される塩は、化学式3で示される化合物を酸と反応させて製造することができる。前記酸は、特にその種類が制限されないが、好ましくは塩酸である。
【0033】
本発明において、化学式3で示される化合物の塩の製造は、アルコール、ケトン、エーテルまたはこれらの混合物を溶媒として使用することができ、好ましくは、C1〜C5のアルコール、C3〜C10のケトン、C2〜C10のエーテルまたはこれらの混合物を溶媒として使用することができる。
【0034】
本発明において、化学式3で示される化合物の塩酸塩の製造は、約−20℃乃至還流温度以下の温度で行うことができ、好ましくは約−20℃〜約50℃の温度範囲で行うことができ、より好ましくは約10℃〜約30℃の温度範囲で行うことができる。
【0035】
前記化学式3で示される化合物の塩酸塩は、−20℃乃至還流温度以下の温度範囲でアルコール、アルコールとケトンとの混合物、またはアルコールとエーテルとの混合物を溶媒として用いて、化学式3で示される化合物に無水塩酸または濃い塩酸を添加することにより製造することができる。
【0036】
前記化学式3で示される化合物の塩酸塩は、−20℃〜還流温度以下の温度範囲でアルコール、アルコールとケトンとの混合物またはアルコールとエーテルとの混合物を溶媒として用いて、化学式3で示される化合物に無水塩酸または濃い塩酸を添加し、乾燥させて1次酸付加塩を得た後、前記酸付加塩をアルコールの下で還流して製造することができる。
【0037】
本発明において、化学式2で示される化合物またはその薬学的に許容される塩の製造方法は、
【0038】
下記化学式4で示される化合物と下記化学式5で示される化合物とを反応させ、下記化学式6で示される化合物を製造する段階と、
【0039】
前記化学式6で示される化合物からアミンの保護基を離脱させる段階とを含むことができる。
【0040】
[化学式4]
【0041】
【化5】
【0042】
[化学式5]
【0043】
【化6】
【0044】
[化学式6]
【0045】
【化7】
【0046】
前記化学式4〜6において、
前記Xはアミンの保護基であり、前記YはCl−、Br−、I−、4−トルエンスルホネート(トシラート、CH
3C
6H
4SO
2O−、OTs)、またはメタンスルホネート(メシラート、CH
3SO
2O−、OMs)である。
【0047】
前記化学式2で示される化合物またはその薬学的に許容される塩の製造は、下記反応式2で表示できる。
【0048】
[反応式2]
【0049】
【化8】
【0050】
前記反応式2において、XおよびYは前記化学式4〜6で定義したとおりである。
【0051】
前記化学式4で示される化合物および化学式5で示される化合物は、公知の方法によって合成するか、或いは商業的に購入して使用することができる。
【0052】
本発明において、前記Xは、化学式6で示される化合物の製造の際に、化学式5で示される化合物が化学式4で示される化合物のピペリジン環に含まれている−Nと選択的に反応することができるように、アミン基を保護する役割を果たす。前記Xは、化学式4で示される化合物と化学式5で示される化合物との反応の際にアミン基を保護することが可能な物質であれば、その種類が特に制限されず、ブトキシカルボニル(Boc)、またはベンジルオキシカルボニル(Cbz)、ベンジル、9−フルオレニルメチルカルボニル(Fmoc)であってもよい。
【0053】
本発明において、前記YはCl、Br、I、4−トルエンスルホネート(トシラート、CH
3C
6H
4SO
2O、OTs)、またはメタンスルホネート(メシラート、CH
3SO
2O、OMs)であり、好ましくはCl、4−トルエンスルホネートまたはメタンスルホネートである。
【0054】
本発明において、化学式4で示される化合物と化学式5で示される化合物との反応は、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、またはこれらの混合物の存在下で行うことができる。
【0055】
本発明において、化学式4で示される化合物と化学式5で示される化合物との反応は、塩基の存在下で行うことができる。前記塩基は、化学式4で示される化合物と化学式5で示される化合物との反応を阻害しない限り、その種類が特に制限されず、無機塩基、有機塩基などを使用することができ、前記有機塩基は第3級アミンであり得る。たとえば、前記塩基は炭酸ナトリウム、炭酸水素化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素化カリウム、N−メチルモルホリン、イソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、またはこれらの混合物であってもよい。
【0056】
本発明において、化学式4で示される化合物と化学式5で示される化合物との反応は、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウムまたはこれらの混合物、および塩基の存在下で行うことができる。
【0057】
本発明において、化学式4で示される化合物と化学式5で示される化合物との反応の際に、溶媒は、反応を阻害しない限り、その種類は特に制限されず、アセトニトリル、アセトン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミドまたはこれらの混合物であってもよい。
【0058】
本発明において、化学式4で示される化合物と化学式5で示される化合物との反応は、約−20℃乃至還流温度以下の温度で行うことができ、好ましくは約−20℃〜約120℃の温度範囲で行うことができ、さらに好ましくは約20℃〜約90℃の温度範囲で行うことができる。
【0059】
本発明において、化学式6からアミンの保護基たるXを離脱させ、化学式2またはその薬学的に許容される塩で表示される化合物が製造できる。すなわち、化学式6で示される化合物のアミン保護基Xを水素で置換することにより、化学式2で示される化合物またはその薬学的に許容される塩が製造できる。
【0060】
本発明において、前記反応は、約−20℃乃至還流温度以下の温度で行うことができ、好ましくは約−20℃〜約90℃の温度範囲、さらに好ましくは約0℃〜約50℃の温度範囲で行うことができる。
【0061】
本発明において、前記化学式6からアミン保護基Xを離脱させる反応は、化学式6で示される化合物を酸と反応させて行うことができる。前記酸は、前記アミン保護基を効果的に離脱させることができる限り、その種類が特に制限されず、トリフルオロ酢酸、塩酸、塩化アセチル、塩化トリメチルシリル、硫酸またはこれらの混合物であってもよい。
【0062】
前記化学式6で示される化合物と酸とを反応させて前記Xを離脱させる場合、溶媒はジクロロメタン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、C1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルコールまたはこれらの混合物であってもよい。
【0063】
例えば、前記Xがブトキシカルボニル(Boc)である場合、前記酸/溶媒は、トリフルオロ酢酸/ジクロロメタン、塩酸/酢酸エチル、塩酸/ジエチルエーテル、塩酸/ジクロロメタンまたは塩酸/メタノールであり得る。前記溶媒と前記酸との組み合わせを用いて、前記化学式6からブトキシカルボニルを離脱させ、前記化学式2で示される化合物またはその薬学的に許容される塩が製造できる。
【0064】
本発明において、前記化学式6からアミン保護基Xを離脱させる反応は、化学式6で示される化合物の水素化反応によって行うことができる。すなわち、化学式6で示される化合物を金属触媒の下で水素化反応させてアミン保護基たるXを水素で置換することができる。
【0065】
例えば、前記Xがベンジルオキシカルボニル(Cbz)である場合は、パラジウム/カーボンの存在下で、化学式6で示される化合物の水素化反応を介してアミン保護基たるベンジルオキシカルボニルを水素で置換し、下記化学式2で示される化合物またはその薬学的に許容される塩を製造することができる。
【0066】
本発明において、前記Xがベンジルオキシカルボニル(Cbz)である場合、反応時の溶媒は、反応を阻害しない限り、その種類は特に制限されず、酢酸エチル、ジクロロメタン、C1〜C4のアルコールまたはこれらの混合物であってもよい。
【0067】
本発明において、化学式2で示される化合物の薬学的に許容される塩は、特にその種類が限定されず、その例は前述したとおりである。
【0068】
本発明において、化学式2で示される化合物の薬学的に許容される塩は、遊離塩基の塩を製造する一般な方法を適用して行うことができる。化学式2で示される化合物の薬学的に許容される塩は、適切な溶媒中に、化学式2で示される化合物を酸と混合し、蒸発によって塩を生成するか、或いは貧溶媒(antisolvent)を加えて塩を沈殿させる方法で製造できる。例えば、化学式2で示される化合物と反応しない不活性溶媒中に、化学式2で示される化合物を添加して溶液または懸濁液を製造した後、所望の酸を添加し、減圧下で濃縮するか、或いは結晶化またはその他の標準となる化学的操作によって塩を生成することができる。一例として、化学式2の化合物で示される化合物をアセトンに溶解させ、シュウ酸を添加した後、室温で撹拌させることにより、化学式2で示される化合物のシュウ酸塩を製造することができる。
【0069】
本発明において、化学式5で示される化合物は、
【0070】
下記化学式7で示される化合物をアジド化合物と反応させ、化学式8で示される化合物を製造する段階と、
【0071】
前記化学式8で示される化合物のアジド基を環化する段階とを含む方法によって製造できる。
【0072】
[化学式7]
【0073】
【化9】
【0074】
[化学式8]
【0075】
【化10】
【0076】
前記化学式7および8において、
前記Y
1およびZは独立してCl−、Br−、I−、OH−である。
本発明において、Y
1およびZは、同じでも互いに異なってもよく、好ましくは、前記Y
1はCl−、OH−であり、前記ZはBrである。
【0077】
本発明において、化学式5で示される化合物は、下記反応式3で示される反応によって製造できる。
【0078】
[反応式3]
【0079】
【化11】
【0080】
本発明において、化学式7で示される化合物がアジド化合物と反応し、化学式7で示されるハロゲン基のいずれか一つがアジド基で置換され、化学式8で示される化合物が製造できる。例えば、前記化学式7で示される化合物において、YがClであり、ZがBrまたはIである場合、アジド化合物との反応の際に、化学式7で示される化合物のBrまたはIがアジド基で置換され、化学式8で示される化合物が製造できる。或いは、前記化学式7で示される化合物においてY
1がOHであり、ZがBrまたはIである場合、アジド化合物との反応の際に、化学式7で示される化合物のBrまたはIがアジド基で置換され、化学式8で示される化合物が製造できる。
【0081】
前記反応式3において、前記化学式7および8のY
1と化学式5のYとは互いに同じでも異なってもよい。化学式7および8のY
1がCl−、Br−またはI−である場合、前記Yも同様にCl−、Br−またはI−であってもよい。化学式7および8のY
1がOHである場合、前記Yは4−トルエンスルホネート(トシラート、CH
3C
6H
4SO
2O、OTs)、またはメタンスルホネート(メシラート、CH
3SO
2O、OMs)であり得る。
前記アジド化合物は、アジ化ナトリウムまたはアジ化カリウムであり、好ましくはアジ化ナトリウムである。
【0082】
本発明において、化学式7で示される化合物がアジド化合物と反応するとき、溶媒は、反応を阻害しない限りその種類は特に制限されず、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、アセトン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミドまたはこれらの混合物であってもよい。
【0083】
本発明において、化学式7で示される化合物がアジド化合物と反応するときの温度は、約−20℃乃至還流温度以下の温度である。前記反応は、好ましくは約−20℃〜約80℃の温度範囲、さらに好ましくは約0℃〜約30℃の温度範囲で行うことができる。
【0084】
本発明において、前記化学式8で示される化合物を環化する反応は、触媒の下で、前記化学式8で示される化合物をカーバイド化合物と反応させることにより行うことができる。
【0085】
前記触媒は、アスコルビン酸ナトリウムとヨウ化銅であってもよい。
【0086】
前記カーバイド化合物は炭化カルシウムであってもよい。
【0087】
本発明において、前記化学式8で示される化合物の環化反応の際に、溶媒は、反応を阻害しない限りその種類は特に制限されず、ジメチルスルホキシド、水、アセトニトリル、アセトン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミドまたはこれらの混合物であってもよい。
【0088】
本発明において、前記化学式8で示される化合物の環化反応の際に、温度は約−20℃乃至還流温度以下の温度であり、好ましくは約−20℃〜約50℃の温度範囲、さらに好ましくは約0℃〜約20℃の温度範囲である。
【0089】
本発明において、前記化学式7および8のY
1と化学式5のYとは互いに同じでも異なってもよい。
【0090】
化学式7および8のY
1がCl−、Br−またはI−である場合、前記Yも同様にCl−、Br−またはI−であってもよい。この場合、化学式8の環化反応によって前記化学式5の化合物が製造できる。
【0091】
化学式7および8のY
1がOHである場合、前記Yは4−トルエンスルホネート(トシラート、CH
3C
6H
4SO
2O、OTs)またはメタンスルホネート(メシラート、CH
3SO
2O、OMs)であり得る。たとえば、前記Y
1がOHである場合、化学式8で示される化合物から環化反応を介して、化学式5−1で示される化合物を製造し、前記化学式5−1で示される化合物の−OHのHを4−トルエンスルホニル(トシル、CH
3C
6H
4SO
2、−Ts)またはメタンスルホニル(メシル、CH
3SO
2、−Ms)で置換することにより、前記化学式5で示される化合物が製造できる。
【0092】
化学式[5−1]
【0093】
【化12】
【0094】
この場合、前記化学式5で示される化合物は、下記反応式3−1で示される反応によって製造できる。
【0095】
[反応式3−1]
【0096】
【化13】
【0097】
前記反応式3−1において、Yは4−トルエンスルホネート(トシラート、CH
3C
6H
4SO
2O、OTs)またはメタンスルホネート(メシラート、CH
3SO
2O、OMs)であり得る。
【0098】
本発明の製造方法によれば、前記化学式3で示される化合物またはその薬学的に許容される塩は、低価格の試薬を使用するにも拘わらず、従来の方法に比べて必要な工程段階を経て著しく減らすことができるため、コストを減少させることができる。これと共に、類縁物質の発生および残存を最小化することができるため、精製段階を最小化することができる。また、工程を単純化したにも拘わらず、化学式3で示される化合物またはその薬学的に許容される塩が高い純度および収率で製造できる。
【0099】
本発明は、下記化学式6で示される化合物、下記化学式2で示される化合物またはこれらの薬学的に許容される塩を提供する。
【0100】
[化学式6]
【0101】
【化14】
【0102】
[化学式2]
【0103】
【化15】
【0104】
前記化学式において、
Xは、アミン基を保護することが可能な作用基であれば特にその種類が制限されず、ブトキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、ベンジル、または9−フルオレニルメチルカルボニル(Fmoc)であり得る。
化学式6で示される化合物、化学式2で示される化合物またはこれらの薬学的に許容される塩は、化学式3で示される化合物またはこれらの薬学的に許容される塩の製造に中間体として使用できる。
【0105】
[化学式3]
【0106】
【化16】
【0107】
化学式6で示される化合物、化学式2で示される化合物またはこれらの薬学的に許容される塩を中間体として用いて、化学式3で示される化合物またはその薬学的に許容される塩を製造すると、高い収率および純度で、化学式3で示される化合物またはその薬学的に許容される塩を得ることができる。
【0108】
また、類縁物質の発生を減少させて精製段階を最小化することができ、低価格の試薬を使用するにも拘わらず、行うべき反応段階を減少させることができて経済的であり、量産に適する。
【0109】
前記化学式6で示される化合物からアミン保護基Xを離脱させると、前記化学式2で示される化合物またはこれらの薬学的に許容される塩を製造することができる。前記反応についての詳細な内容は前述したとおりである。
【0110】
本発明において、薬学的に許容される塩は、特にその種類が制限されず、遊離酸を付加して製造された酸付加塩であり得る。前記塩の製造において、遊離酸(free acid)によって形成された酸付加塩であり、前記遊離酸は無機酸または有機酸である。前記無機酸は塩酸、臭素酸、硫酸またはリン酸であり、前記有機酸はシュウ酸、アジピン酸、クエン酸、ジ−p−トルオイル−L−酒石酸、ジ−p−トルオイル−D−酒石酸、クエン酸、乳酸、マレイン酸、フマル酸、グルコン酸、メタンスルホン酸、酢酸、グリコール酸、コハク酸、L−またはD−酒石酸、酒石酸、4−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ガラクツロン酸、エンボン酸、グルタミン酸またはアスパラギン酸であり得る。好ましくは、前記酸は塩酸、シュウ酸、アジピン酸、クエン酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、L−またはD−酒石酸、または酒石酸である。
【0111】
前記化学式6で示される化合物、前記化学式2で示される化合物、またはこれらの薬学的に許容される塩は、次のとおりである。
tert−ブチル[[1−{3−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)プロピル}ピペリジン−4−イル]メチル]カルバメート;
ベンジル[[1−{3−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)プロピル}ピペリジン−4−イル]メチル]カルバメート;
1−[{3−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)プロピル}ピペリジン−4−イル]メタンアミン塩酸塩;
1−[{3−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)プロピル}ピペリジン−4−イル]メタンアミン;
1−[{3−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)プロピル}ピペリジン−4−イル]メタンアミンシュウ酸塩;
1−[{3−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)プロピル}ピペリジン−4−イル]メタンアミンコハク酸塩;
1−[{3−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)プロピル}ピペリジン−4−イル]メタンアミンアジピン酸塩;
1−[{3−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)プロピル}ピペリジン−4−イル]メタンアミンクエン酸塩;
1−[{3−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)プロピル}ピペリジン−4−イル]メタンアミンL−酒石酸塩;
1−[{3−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)プロピル}ピペリジン−4−イル]メタンアミンD−酒石酸塩;
1−[{3−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)プロピル}ピペリジン−4−イル]メタンアミンフマル酸塩;
1−[{3−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)プロピル}ピペリジン−4−イル]メタンアミンマレイン酸塩。
【0112】
化学式6で示される化合物、化学式2で示される化合物またはこれらの薬学的に許容される塩の製造方法は、前述したとおりである。