(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記駆動回路は、前記第2トランジスタの制御端子に対して、デッドタイムを有しながら前記パルス幅変調信号に対して相補的に変化する信号を出力することを特徴とする、請求項11または12に記載の電源回路。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、高耐圧のノーマリーオン型トランジスタと低耐圧のノーマリーオフ型トランジスタとを直列接続したスイッチング回路には、ターンオフ時に大きな過渡電流が流れるという問題がある。以下、
図4に示すスイッチング回路について、この問題を説明する。
【0006】
図4において、トランジスタT11は高耐圧のノーマリーオン型トランジスタであり、トランジスタT12は低耐圧のノーマリーオフ型トランジスタであり、ダイオードD11はトランジスタT12の内蔵ダイオードである。トランジスタT12がオフ状態でノードN13からノードN11へ電流が流れているときに、電流が停止し、ノードN11の電位が上昇する場合を考える。ノードN11の電位が上昇し始めた後もしばらくの間、トランジスタT11はオン状態を保ち、ノードN12の電位はノードN11の電位と共に上昇する。トランジスタT11は、ゲート−ソース間電圧が閾値電圧未満になるとオフする。
【0007】
ノードN11の電位が上昇したときにトランジスタT11が直ちにオフすれば、ターンオフ時の過渡電流の容量起因成分には、トランジスタT11のソース−ドレイン間容量とトランジスタT12のソース−ドレイン間容量との合成容量を充電する電流だけが含まれる。しかしながら実際には、ノードN11の電位が上昇した後に、トランジスタT11がオン状態である期間が存在する。このため、ターンオフ時の過渡電流の容量起因成分には、オン状態のトランジスタT11を経由してトランジスタT12のソース−ドレイン間容量だけを充電する電流が含まれる。したがって、
図4に示すスイッチング回路では、ターンオフ時の過渡電流が多くなり、これに伴いスイッチング損失やノイズが大きくなる。
【0008】
それ故に、本発明は、直列接続されたトランジスタを含み、ターンオフ時の過渡電流を削減したスイッチング回路、および、これを備えた電源回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の局面は、スイッチング回路であって、
第1ノードに接続された第1導通端子と第2ノードに接続された第2導通端子とを有する第1トランジスタと、
前記第2ノードに接続された第1導通端子と第3ノードに接続された第2導通端子とを有する第2トランジスタと、
前記第2および第3ノードを結ぶ第1経路上に前記第2トランジスタと逆並列に設けられた第1ダイオードと、
前記第2および第3ノードを結ぶ第2経路上に前記第2トランジスタと逆並列に設けられた第2ダイオードと、
前記第2トランジスタの制御端子に対して制御信号を出力する駆動回路とを備え、
前記第1トランジスタの制御端子は、直接、または、受動素子もしくは電源回路を介して前記第3ノードに接続されており、
前記第1トランジスタの耐圧電圧は前記第2トランジスタの耐圧電圧よりも高く、
前記第2ダイオードの順方向電圧は前記第1ダイオードの順方向電圧よりも低く、
前記第2経路のインダクタンス成分は前記第1経路のインダクタンス成分よりも大きく、
前記第3ノードから前記第1ノードへ
電流が流れてから、過渡電流が流れるときにおいて、前記駆動回路によって前記第2トランジスタをオフ状態にして前記第3ノードから前記第1ノードへ電流を流してから、前記第3ノードから前記第1ノードへ流れる電流が減少する過程で、前記第2経路のインダクタンス成分によって逆起電力が発生することにより、前記第2ノードの電位が上昇して、前記第1トランジスタがオフ状態に近づき、前記第1トランジスタがオフ状態に近づいた後に、前記
過渡電流
が流れることを特徴とする。
本発明の第2の局面は、本発明の第1の局面において、
前記第2経路のインダクタンス成分の少なくとも一部は、フェライトビーズにより構成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の第
3の局面は、本発明の第1の局面において、
前記第1トランジスタはノーマリーオン型であり、
前記第2トランジスタはノーマリーオフ型であり、
前記第1トランジスタの制御端子は、前記第3ノードに直接、または、前記受動素子を介して接続されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の第
4の局面は、本発明の第1の局面において、
前記第1および第2トランジスタはノーマリーオフ型であり、
前記第1トランジスタの制御端子は、前記電源回路を介して前記第3ノードに接続されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の第
5の局面は、本発明の第1の局面において、
前記第2および第3ノードを結ぶ第3経路上に前記第2トランジスタと逆並列に設けられた保護用ダイオードをさらに備え、
前記保護用ダイオードの順方向電圧は前記第2ダイオードの順方向電圧よりも高いことを特徴とする。
【0013】
本発明の第
6の局面は、本発明の第
5の局面において、
前記第3経路のインダクタンス成分は前記第2経路のインダクタンス成分よりも小さいことを特徴とする。
【0014】
本発明の第
7の局面は、本発明の第1の局面において、
前記第1ダイオードは、前記第2トランジスタの内蔵ダイオードであることを特徴とする。
【0015】
本発明の第
8の局面は、本発明の第1の局面において、
前記第2経路の配線長は前記第1経路の配線長よりも長いことを特徴とする。
【0017】
本発明の第9の局面は、電源回路であって、
上側アームに設けられた上側スイッチング回路と、
下側アームに設けられた下側スイッチング回路と、
一方の端子がアーム接続点に接続されたコイルとを備え、
前記上側および下側スイッチング回路の少なくとも一方が、
第1ノードに接続された第1導通端子と第2ノードに接続された第2導通端子とを有する第1トランジスタと、
前記第2ノードに接続された第1導通端子と第3ノードに接続された第2導通端子とを有する第2トランジスタと、
前記第2および第3ノードを結ぶ第1経路上に前記第2トランジスタと逆並列に設けられた第1ダイオードと、
前記第2および第3ノードを結ぶ第2経路上に前記第2トランジスタと逆並列に設けられた第2ダイオードと、
前記第2トランジスタの制御端子に対して制御信号を出力する駆動回路とを含むスイッチング回路であり、
前記第1トランジスタの制御端子は、直接、または、受動素子もしくは電源回路を介して前記第3ノードに接続されており、
前記第1トランジスタの耐圧電圧は前記第2トランジスタの耐圧電圧よりも高く、
前記第2ダイオードの順方向電圧は前記第1ダイオードの順方向電圧よりも低く、
前記第2経路のインダクタンス成分は前記第1経路のインダクタンス成分よりも大きく、
前記第3ノードから前記第1ノードへ
電流が流れてから、過渡電流が流れるときにおいて、前記駆動回路によって前記第2トランジスタをオフ状態にして前記第3ノードから前記第1ノードへ電流を流してから、前記第3ノードから前記第1ノードへ流れる電流が減少する過程で、前記第2経路のインダクタンス成分によって逆起電力が発生することにより、前記第2ノードの電位が上昇して、前記第1トランジスタがオフ状態に近づき、前記第1トランジスタがオフ状態に近づいた後に、前記
過渡電流
が流れることを特徴とする。
本発明の第10の局面は、本発明の第9の局面において、
前記第2経路のインダクタンス成分の少なくとも一部は、フェライトビーズにより構成されていることを特徴とする。
【0018】
本発明の第1
1の局面は、本発明の第9の局面において、
前記上側スイッチング回路は前記スイッチング回路であり、
前記下側スイッチング回路は、第3トランジスタと、前記第3トランジスタの制御端子に対してパルス幅変調信号を出力する第2駆動回路とを含むことを特徴とする。
【0019】
本発明の第1
2の局面は、本発明の第9の局面において、
前記下側スイッチング回路は前記スイッチング回路であり、
前記上側スイッチング回路は、第3トランジスタと、前記第3トランジスタの制御端子に対してパルス幅変調信号を出力する第2駆動回路とを含むことを特徴とする。
【0020】
本発明の第1
3の局面は、本発明の第1
1または第1
2の局面において、
前記駆動回路は、前記第2トランジスタの制御端子に対して、デッドタイムを有しながら前記パルス幅変調信号に対して相補的に変化する信号を出力することを特徴とする。
【0021】
本発明の第1
4の局面は、本発明の第9の局面において、
前記上側および下側スイッチング回路は前記スイッチング回路であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明の第1の局面によれば、第2トランジスタがオフ状態である間に第3ノードから第1ノードに電流が流れるときには、電流は第3ノードと第2ノードの間では主に第2経路を流れる。このため、この電流が減少すると、第2経路のインダクタンス成分によって逆起電力が発生し、第2ノードの電位は第1トランジスタがオフ状態に近づくように変化する。したがって、電流が停止した後に、第1トランジスタは速やかにオフする。よって、ターンオフ時の過渡電流を削減することができる。
本発明の第2の局面によれば、スイッチング回路を小型化することができる。
【0024】
本発明の第
3の局面によれば、直列接続されたノーマリーオン型トランジスタとノーマリーオフ型トランジスタとを備えたスイッチング回路について、ターンオフ時の過渡電流を削減することができる。
【0025】
本発明の第
4の局面によれば、直列接続された2個のノーマリーオフ型トランジスタを備えたスイッチング回路について、ターンオフ時の過渡電流を削減することができる。
【0026】
本発明の第
5の局面によれば、第2トランジスタと逆並列に保護用ダイオードを設けることにより、過剰な電圧の印加による第2トランジスタの破壊を防止することができる。
【0027】
本発明の第
6の局面によれば、第2トランジスタの第1および第2導通端子間に発生したサージなどを速やかに防止することができる。
【0028】
本発明の第
7の局面によれば、第2トランジスタが有する内蔵ダイオードを用いて、第3ノードから第1ノードへの通流開始時におけるサージ発生を抑制したスイッチング回路を構成することができる。
【0029】
本発明の第
8の局面によれば、第2経路の配線長を長くすることにより、第2経路を流れる電流が減少したときに逆起電力を発生させるインダクタンス成分を第2経路に持たせることができる。
【0031】
本発明の第9の局面によれば、ターンオフ時の過渡電流を削減したスイッチング回路を用いて、スイッチング損失を低減した電源回路を構成することができる。
本発明の第10の局面によれば、電源回路を小型化することができる。
【0032】
本発明の第1
1の局面によれば、上側アームにターンオフ時の過渡電流を削減したスイッチング回路を設け、下側アームに設けた第3トランジスタをパルス幅変調することにより、スイッチング損失を低減した昇圧チョッパ回路を構成することができる。
【0033】
本発明の第1
2の局面によれば、下側アームにターンオフ時の過渡電流を削減したスイッチング回路を設け、上側アームに設けた第3トランジスタをパルス幅変調することにより、スイッチング損失を低減した降圧チョッパ回路を構成することができる。
【0034】
本発明の第1
3の局面によれば、第3トランジスタがオフ状態である間に第2トランジスタを一時的にオンさせることにより、第2トランジスタのチャネルに電流を流し、第1および第2ダイオードを電流が通過する際の電圧降下を防止して、導通損失を低減することができる。
【0035】
本発明の第1
4の局面によれば、ターンオフ時の過渡電流を削減したスイッチング回路を上側アームと下側アームに設けることにより、スイッチング損失を低減した双方向チョッパ回路やインバータを構成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るスイッチング回路および電源回路について説明する。以下の説明では、接合ダイオードにおける逆回復電流を含め、スイッチング回路がオフするときにスイッチング回路内のダイオードに逆方向に流れる電流を「ターンオフ時の過渡電流」という。
【0039】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るスイッチング回路の回路図である。
図1に示すスイッチング回路10は、トランジスタT1、T2、ダイオードD1、D2、および、ゲート駆動回路11を備えている。スイッチング回路10は、直列接続された高耐圧のノーマリーオン型トランジスタと低耐圧のノーマリーオフ型トランジスタとを有する。
【0040】
図1において、トランジスタT1は、Nチャネル型で、高耐圧のノーマリーオン型トランジスタである。トランジスタT2は、Nチャネル型で、低耐圧のノーマリーオフ型トランジスタである。ダイオードD1は、PN接合型ダイオードである。ダイオードD1には、例えば、トランジスタT2の内蔵ダイオード(寄生ダイオードとも呼ばれる)が使用される。ダイオードD2は、ダイオードD1よりも順方向電圧が低いダイオードである。ダイオードD2には、例えば、ショットキーバリアダイオードが使用される。このようにスイッチング回路10では、トランジスタT1の耐圧電圧はトランジスタT2の耐圧電圧よりも高く、ダイオードD2の順方向電圧はダイオードD1の順方向電圧よりも低い。
【0041】
トランジスタT1のソース端子は、トランジスタT2のドレイン端子に接続される。ダイオードD1、D2は、トランジスタT2と逆並列に設けられる。ダイオードD1、D2のカソード端子は、トランジスタT1のソース端子とトランジスタT2のドレイン端子に接続される。ダイオードD1、D2のアノード端子とトランジスタT1のゲート端子は、トランジスタT2のソース端子に接続される。トランジスタT2のゲート端子は、ゲート駆動回路11の出力端子に接続される。以下、トランジスタT1のドレイン端子が接続されたノードをN1、トランジスタT2のドレイン端子が接続されたノードをN2、トランジスタT2のソース端子が接続されたノードをN3という。また、トランジスタT1の閾値電圧を(−Vth)、ダイオードD2の順方向電圧をVfとする(ただし、Vth>0、Vf>0)。
【0042】
ノードN2とノードN3の間には3つの電流経路、すなわち、トランジスタT2のチャネルを経由する経路、ダイオードD1を経由する経路(以下、第1経路という)、および、ダイオードD2を経由する経路(以下、第2経路という)が存在する。スイッチング回路10は、第2経路のインダクタンス成分が第1経路のインダクタンス成分よりも大きくなるように構成される。この特徴を示すために、図面の第2経路にはインダクタンス成分L1が記載されている。
【0043】
第2経路のインダクタンス成分を第1経路のインダクタンス成分よりも大きくするために、例えば、第2経路の配線長を第1経路の配線長よりも長くする。具体的には、目標となるインダクタンス成分の範囲を決定し、範囲内のインダクタンス成分が得られるように第2経路の配線をレイアウトすればよい。目標となるインダクタンス成分の範囲は、例えば10nH〜200nHに決定される。これにより、後述する効果(ターンオフ時の過渡電流を削減する)を得ながら、サージによる素子破壊を防止することができる。
【0044】
第2経路にインダクタンス成分を持たせる方法としては、プリント基板上の配線レイアウトを工夫してインダクタンス成分を形成する方法以外にも、ダイオードD2としてリード線タイプのダイオードを使用し、ダイオードD2のリード線をインダクタンス成分として用いる方法がある。この場合、基板面から部品までのリード線の長さを変えることにより、インダクタンス成分の大きさを調整することができる。この方法によれば、基板面積を縮小し、電源回路を小型化することができる。また、フェライト材料をドーナツ状に加工したフェライトビーズをダイオードD2のリード線に挿入するなどして、第2経路にフェライトビーズを設置する方法がある。この方法によれば、リード線を短くしても所望のインダクタンス成分が得られるので、電源回路をさらに小型化することができる。
【0045】
インダクタンス成分L1は、第2経路上にダイオードD2と直列に設けられる。
図1では、インダクタンス成分L1はダイオードD2のカソード端子側に設けられている。これに代えて、インダクタンス成分L1をダイオードD2のアノード端子側に設けてもよく、ダイオードD2のアノード端子側とカソード端子側の両方に設けてもよい。また、トランジスタT1、T2のゲート配線にはそれぞれ、必要に応じてゲート抵抗を設けてもよい。このようにトランジスタT1のゲート端子は、抵抗素子などの受動素子を介してノードN3に接続されていてもよい。
【0046】
図2および
図3を参照して、スイッチング回路10の動作を説明する。まず、ノードN1からノードN3へ電流を流す場合について説明する(
図2を参照)。この場合、ゲート駆動回路11はオン信号(トランジスタT2がオンする信号)を出力する。このためトランジスタT2はオンし、ノードN2の電位とノードN3の電位はほぼ等しくなるので、トランジスタT1のゲート−ソース間電圧はほぼ0Vになる。したがって、ノーマリーオン型のトランジスタT1はオンし、ノードN1からノードN3へ電流が流れる。
【0047】
ノードN1からノードN3へ流れる電流を停止するときには、ゲート駆動回路11はオフ信号(トランジスタT2がオフする信号)を出力する。このため、トランジスタT2はオフする。誘導性負荷が存在する場合には、ノードN1の電位はノードN3の電位に対して上昇する(以下、ノードN3の電位を基準電位とする)。トランジスタT2がオフした後も、しばらくの間、トランジスタT1はオン状態を保ち、ノードN2の電位はノードN1の電位と共に上昇する。トランジスタT1のゲート−ソース間電圧が(−Vth)に到達すると、トランジスタT1はオフし、ノードN1からノードN3へ流れる電流は停止する。トランジスタT2のチャネルを経由する経路のインダクタンス成分は小さいので、ターンオフ時のサージが小さい良好なスイッチングを行うことができる。
【0048】
次に、トランジスタT2がオフ状態である間に、ノードN3からノードN1へ電流を流す場合について説明する(
図3を参照)。トランジスタT2がオフ状態である間、電流はトランジスタT2のチャネルにはほとんど流れない。一方、ダイオードD1、D2は、ノードN3からノードN2へ電流を流しうる。特にダイオードD1を経由する第1経路は、インダクタンス成分が小さいので、電流が急激に流れ始める場合でも大きなサージを発生させることなく速やかに電流を流すことができる。このとき、ダイオードD1のカソード電位はアノード電位よりも順方向電圧だけ低くなるので、トランジスタT1のゲート−ソース間電圧は若干の正電圧となり、ノーマリーオン型のトランジスタT1はオンし、電流はノードN2とノードN1の間ではトランジスタT1のチャネルを流れ始める。ここで、ダイオードD2の順方向電圧はダイオードD1の順方向電圧よりも低いので、定常的な電流はダイオードD1よりもダイオードD2に流れやすい。したがって、ノードN3からノードN2へ流れる電流は、通流開始時には主にダイオードD1を経由する第1経路を流れる場合であっても、ダイオードD1よりも順方向電圧が低いダイオードD2を経由する第2経路へ移行し、通流開始後は主に第2経路(ダイオードD2を経由する経路)を流れるようになる。このときも、ダイオードD2のカソード電位はアノード電位よりも順方向電圧Vfだけ低いので、トランジスタT1のゲート−ソース間電圧はVfになる。この電圧は正であるので、ノーマリーオン型のトランジスタT1はオンしており、電流はノードN2とノードN1の間ではトランジスタT1のチャネルを流れる(
図3)。
【0049】
次に、トランジスタT2がオフ状態である間に、ノードN3からノードN1へ流れる電流が停止し、ノードN1の電位がノードN3の電位に対して上昇する場合を考える。上述したように、電流はノードN3とノードN2の間では主に第2経路を流れている。この電流が減少する過程で、インダクタンス成分L1によって逆起電力が発生し、ノードN2の電位はノードN3の電位よりも高くなる。トランジスタT1のゲート端子はノードN3に接続されているので、ノードN2の電位が高くなるとトランジスタT1はオフ状態に近づく。
【0050】
このようにスイッチング回路10では、ノードN3からノードN1へ流れる電流が完全に停止した後ではなく、この電流が減少する過程でトランジスタT1はオフ状態に近づく。このため、電流が停止した後に、トランジスタT1は速やかにオフする。したがって、スイッチング回路10によれば、ターンオフ時の過渡電流を削減することができる。
【0051】
以下、
図4に示すスイッチング回路(以下、比較例に係るスイッチング回路という)と対比して、本実施形態に係るスイッチング回路10の効果を説明する。比較例に係るスイッチング回路は、スイッチング回路10と比べて、ダイオードD2、インダクタンス成分L1、および、第2経路に対応する構成要素を有していない。
【0052】
比較例に係るスイッチング回路において、トランジスタT12がオフ状態である間に、ノードN13からノードN11へ流れる電流が停止する場合を考える。比較例に係るスイッチング回路では、ダイオードD11に順方向バイアスが掛からない限り、電流はノードN13からノードN11へ流れない。このため、ノードN12の電位が上昇し始めるのは、ノードN13からノードN11へ流れる電流が停止した後である。したがって、トランジスタT11は、スイッチング回路10内のトランジスタT1よりも遅れてオフする。
【0053】
ノードN11〜N13間に電位差が印加されるとき、トランジスタT11、T12のソース−ドレイン間容量を充電する電流が過渡電流として流れる。比較例に係るスイッチング回路では、トランジスタT11がオン状態である期間において、トランジスタT12のソース−ドレイン間容量を充電する電流(第1の要因による過渡電流)が流れる。その後、ノードN12の電位がさらに上昇し、トランジスタT11はオフする。トランジスタT11がオフした後は、トランジスタT11のソース−ドレイン間容量とトランジスタT12のソース−ドレイン間容量との合成容量を充電する電流(第2要因による過渡電流)が流れる。比較例に係るスイッチング回路では、ターンオフ時に第1の要因による過渡電流と第2の要因による過渡電流とが流れる。
【0054】
また、比較例に係るスイッチング回路では、トランジスタT11のゲート端子とノードN13を接続する配線のインピーダンスによって、ノードN12の電位が上昇してからトランジスタT11がオフするまでに遅延が発生することがある。この遅延が大きい場合には、トランジスタT11がオフする前にノードN12の電位が過度に上昇し、トランジスタT12が破壊されることがある。
【0055】
これに対して、本実施形態に係るスイッチング回路10では、ターンオフ時にトランジスタT1は速やかにオフする。したがって、ターンオフ時の第1の要因による過渡電流を削減することができる。また、トランジスタT1がオフする前にノードN2の電位が過度に上昇することを防止し、トランジスタT2の破壊を防止することができる。
【0056】
以上に示すように、本実施形態に係るスイッチング回路10は、第1ノードN1に接続された第1導通端子(ドレイン端子)と第2ノードN2に接続された第2導通端子(ソース端子)とを有する第1トランジスタT1と、第2ノードに接続された第1導通端子と第3ノードN3に接続された第2導通端子とを有する第2トランジスタT2と、第2および第3ノードを結ぶ第1経路上に第2トランジスタと逆並列に設けられた第1ダイオードD1と、第2および第3ノードを結ぶ第2経路上に第2トランジスタと逆並列に設けられた第2ダイオードD2と、第2トランジスタの制御端子(ゲート端子)に対して制御信号を出力する駆動回路(ゲート駆動回路11)とを備えている。第1トランジスタの制御端子は第3ノードに直接接続されており、第1トランジスタの耐圧電圧は第2トランジスタの耐圧電圧よりも高く、第2ダイオードの順方向電圧は第1ダイオードの順方向電圧よりも低く、第2経路のインダクタンス成分は第1経路のインダクタンス成分よりも大きい。
【0057】
したがって、第2トランジスタがオフ状態である間に第3ノードから第1ノードに電流が流れるときには、電流は通流開始時には小さいインダクタンス成分を有する第1経路を流れるので、電流が急激に増加するときでもサージの発生を抑制することができる。また通流開始後には、電流は第3ノードと第2ノードの間では主に第2経路を流れる。このため、この電流が減少すると、第2経路のインダクタンス成分によって逆起電力が発生し、第2ノードの電位は第1トランジスタがオフ状態に近づくように変化する。したがって、電流が停止した後に、第1トランジスタは速やかにオフする。よって、直列接続されたノーマリーオン型トランジスタとノーマリーオフ型トランジスタとを備えたスイッチング回路について、ターンオフ時の過渡電流を削減することができる。
【0058】
また、第1ダイオードD1として第2トランジスタT2の内蔵ダイオードを用いることにより、第2トランジスタが有する内蔵ダイオードを用いて、上述したように、第3ノードから第1ノードへの通流開始時におけるサージ発生を抑制したスイッチング回路を構成することができる。また、第2経路(ダイオードD2を経由する経路)の配線長を第1経路(ダイオードD1を経由する経路)の配線長よりも長くすることにより、第2経路を流れる電流が減少したときに逆起電力を発生させるインダクタンス成分L1を第2経路に持たせることができる。
【0059】
なお、本実施形態に係るスイッチング回路10については、以下の変形例を構成することができる。スイッチング回路10は、トランジスタT2を保護するために、ノードN2とノードN3を結ぶ第3経路上に、トランジスタT2と逆並列に保護用ダイオードをさらに備えていてもよい。保護用ダイオードには、例えば、ダイオードD2よりも高い順方向電圧を有するツェナーダイオードが使用される。ツェナーダイオードのアノード端子はノードN3に接続され、ツェナーダイオードのカソード端子はノードN2に接続される。これにより、過剰な電圧の印加によるトランジスタT2の破壊を防止することができる。また、トランジスタT2がオフ状態である間にノードN3からノードN2へ流れる電流は、順方向電圧の低いダイオードD2を経由する第2経路に流れやすい。したがって、上述したように、電流停止時にトランジスタT1を速やかにオフすることができる。
【0060】
この場合、第3経路(保護用ダイオードを経由してノードN2とノードN3を結ぶ経路)のインダクタンス成分は、第2経路のインダクタンス成分よりも小さくなるように設計することが好ましい。これにより、トランジスタT2のドレイン−ソース間にサージなどが発生した場合でも、小さいインダクタンス成分を有する第3経路上に設けられた保護用ダイオードの作用により、サージなどを速やかに除去することができる。
【0061】
また、スイッチング回路10は、ダイオードD2と並列にコンデンサをさらに備えていてもよい。コンデンサの一方の電極はダイオードD2のカソード端子に接続され、コンデンサの他方の電極はダイオードD2のアノード端子に接続される。コンデンサを設けることにより、スイッチング回路10のスイッチング時に、ダイオードD2の容量成分とスイッチング回路10内の第2経路のインダクタンス成分L1とによる高周波発振を防止し、スイッチング回路10を安定的に動作させることができる。
【0062】
(第2の実施形態)
図5は、本発明の第2の実施形態に係るスイッチング回路の回路図である。
図5に示すスイッチング回路20は、トランジスタT2、T4、ダイオードD1、D2、D4、D5、ゲート駆動回路11、および、ゲート電源回路21を備えている。スイッチング回路20は、直列接続された2個のノーマリーオフ型トランジスタを有する。以下の説明では、各実施形態の構成要素のうち先に述べた実施形態と同一の要素については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0063】
図5において、トランジスタT4は、Nチャネル型で、高耐圧のノーマリーオフ型MOSFETである。ダイオードD4は、トランジスタT4の内蔵ダイオードである。ダイオードD5は、トランジスタT2を保護するために設けられたツェナーダイオードである。ダイオードD2には、ダイオードD1、D5よりも低い順方向電圧を有するダイオードが使用される。なお、スイッチング回路20は、ダイオードD5を備えていなくてもよい。このようにスイッチング回路20では、トランジスタT4の耐圧電圧はトランジスタT2の耐圧電圧よりも高く、ダイオードD2の順方向電圧はダイオードD1、D5の順方向電圧よりも低い。
【0064】
本実施形態では、トランジスタT4のドレイン端子が接続されたノードをN1という。トランジスタT4のソース端子は、トランジスタT2のドレイン端子に接続される。ダイオードD1、D2、D5はトランジスタT2と逆並列に設けられ、ダイオードD4はトランジスタT4と逆並列に設けられる。トランジスタT4のドレイン端子とダイオードD4のカソード端子は、ノードN1に接続される。トランジスタT4のソース端子、トランジスタT2のドレイン端子、ダイオードD1、D2、D5のカソード端子、および、ダイオードD4のアノード端子は、ノードN2に接続される。トランジスタT2のソース端子、および、ダイオードD1、D2、D5のアノード端子は、ノードN3に接続される。
【0065】
トランジスタT2のゲート端子は、ゲート駆動回路11の出力端子に接続される。トランジスタT4のゲート端子は、ゲート電源回路21を介してノードN3に接続される。ゲート電源回路21は、トランジスタT4のゲート端子に対して、ノードN3の電位よりもトランジスタT4の閾値電圧以上高い電圧を印加する。したがって、ノードN2の電位がノードN3の電位に等しいときには、トランジスタT4はオンする。なお、ゲート電源回路21としては、例えば、電源が並列に接続されたコンデンサなどを用いることができる。このようなゲート電源回路21によれば、簡単な構成で、ノードN3とトランジスタT4のゲート端子の間に常に所定の電圧を印加することができる。なお、トランジスタT2、T4のゲート配線にはそれぞれ、必要に応じてゲート抵抗を設けてもよい。
【0066】
ノードN2とノードN3の間には4つの電流経路、すなわち、トランジスタT2のチャネルを経由する経路、ダイオードD1を経由する第1経路、ダイオードD2を経由する第2経路、および、ダイオードD5を経由する経路(以下、第3経路という)が存在する。スイッチング回路20は、第2経路のインダクタンス成分が第1経路のインダクタンス成分および第3経路のインダクタンス成分よりも大きくなるように構成される。この特徴を示すために、図面の第2経路にはインダクタンス成分L1が記載されている。第1の実施形態と同様に、第2経路にインダクタンス成分を持たせる方法としては、プリント基板上の配線レイアウトを工夫する方法、ダイオードD2のリード線を用いる方法、第2経路に適宜フェライトビーズを設置する方法などがある。
【0067】
以下、スイッチング回路20の動作を説明する。まず、ノードN1からノードN3へ電流を流す場合について説明する。この場合、ゲート駆動回路11はオン信号を出力する。このためトランジスタT2はオンし、ノードN2の電位とノードN3の電位はほぼ等しくなる。ゲート電源回路21の作用により、トランジスタT4のゲート−ソース間には閾値電圧以上の電圧が印加される。したがって、ノーマリーオフ型のトランジスタT4はオンし、ノードN1からノードN3へ電流が流れる。
【0068】
ノードN1からノードN3へ流れる電流を停止するときには、ゲート駆動回路11はオフ信号(トランジスタT2がオフする信号)を出力する。このため、トランジスタT2はオフする。誘導性負荷が存在する場合には、ノードN1の電位はノードN3の電位に対して上昇する。トランジスタT2がオフした後も、しばらくの間、トランジスタT4はオン状態を保ち、ノードN2の電位はノードN1の電位と共に上昇する。トランジスタT4のゲート−ソース間電圧がトランジスタT4の閾値電圧付近に到達すると、トランジスタT4はオフし、ノードN1からノードN3へ流れる電流は停止する。トランジスタT2のチャネルを経由する経路のインダクタンス成分は小さいので、ターンオフ時のサージが小さい良好なスイッチングを行うことができる。
【0069】
次に、トランジスタT2がオフ状態である間に、ノードN3からノードN1へ電流を流す場合について説明する。トランジスタT2がオフ状態である間、電流はトランジスタT2のチャネルにはほとんど流れない。一方、ダイオードD1、D2、D5は、ノードN3からノードN2へ電流を流しうる。特にダイオードD1を経由する第1経路は、インダクタンス成分が小さいので、電流が急激に流れ始める場合でも大きなサージを発生させることなく速やかに電流を流すことができる。このとき、ダイオードD1の導通によってノードN2の電位はノードN3の電位とほぼ同じになり(厳密には、ダイオードD1の順方向電圧分だけ低い)、トランジスタT4のゲート−ソース間には、ゲート電源回路21の作用によってトランジスタT4の閾値電圧以上の正電圧が印加される。これにより、トランジスタT4がオンし、電流はノードN2とノードN1の間ではトランジスタT4のチャネルを流れ始める。ここで、ダイオードD2の順方向電圧はダイオードD1、D5の順方向電圧よりも低いので、定常的な電流はダイオードD1、D5よりもダイオードD2に流れやすい。したがって、ノードN3からノードN2へ流れる電流は、通流開始直後には主にダイオードD1を経由する第1経路に流れる場合であっても、ダイオードD1、D5よりも順方向電圧が低いダイオードD2を経由する第2経路へ移行し、通流開始後は主に第2経路(ダイオードD2を経由する経路)を流れるようになる。このとき、ダイオードD2のカソード電位はアノード電位よりも順方向電圧Vfだけ低い。この電圧は正の電圧であるので、ゲート電源回路21の作用により、トランジスタT4のゲート−ソース間には閾値電圧以上の電圧が印加される。したがって、トランジスタT4はオンし、ノードN3からノードN1へ電流が流れる。このときノードN1とノードN2の間では、電流は主にトランジスタT4のチャネルを流れる。
【0070】
次に、トランジスタT2がオフ状態である間に、ノードN3からノードN1へ流れる電流が停止し、ノードN1の電位がノードN3の電位に対して上昇する場合を考える。この場合、ノードN2の電位は、ノードN1の電位と共に上昇する。ノードN2の電圧が上昇すると、トランジスタT4のゲート−ソース間電圧は低下する。トランジスタT4のゲート−ソース間電圧が閾値電圧より低くなると、トランジスタT4はオフする。したがって、スイッチング回路20は、トランジスタT2がオフ状態である間、ノードN3からノードN1へ電流を流し、ノードN1からノードN3へ電流を流さない高耐圧な整流回路として機能する。
【0071】
トランジスタT4としてスーパージャンクションMOSFETなどを用いた場合、内蔵ダイオードD4のリカバリー特性は悪くなる。このため、整流時に内蔵ダイオードD4に電流を流すと、整流停止時に多くの逆回復電流が流れて、スイッチング損失が増大し、場合によっては他の素子が破壊されることがある。スイッチング回路20では、ノードN3からノードN1へ電流を流すときに、電流は内蔵ダイオードD4ではなくトランジスタT4のチャネルに流れる。したがって、整流停止時の逆回復電流を削減することができる。
【0072】
また、スイッチング回路20は、ノードN2、N3間にトランジスタT2と逆並列にダイオードD2を備えている。上述したように、トランジスタT2がオフ状態である間に、ノードN3からノードN1へ電流が流れる場合、電流はノードN3とノードN2の間では主に第2経路を流れる。この電流が減少する過程で、インダクタンス成分L1によって逆起電力が発生し、ノードN2の電位はノードN3の電位よりも高くなる。ノードN2の電位が高くなると、トランジスタT4はオフ状態に近づく。このため、電流が停止した後に、トランジスタT4は速やかにオフする。したがって、スイッチング回路20によれば、第1の実施形態に係るスイッチング回路10と同様に、ターンオフ時の過渡電流を削減することができる。
【0073】
また、スイッチング回路20では、トランジスタT4のソース−ドレイン間容量が大きくなる場合が多い。トランジスタT4のソース−ドレイン間容量が大きい場合、逆バイアスを印加したときに、容量結合によってノードN2の電位がトランジスタT2の耐圧電圧を超え、トランジスタT2が破壊されることがある。そこで、スイッチング回路20は、トランジスタT2と逆並列にダイオードD5を備えている。トランジスタT2のドレイン−ソース間電圧がダイオードD5のツェナー電圧を超えると、ダイオードD5に電流が流れる。これにより、過剰な電圧の印加によるトランジスタT2の破壊を防止することができる。
【0074】
以下、
図6に示すスイッチング回路(以下、比較例に係るスイッチング回路という)と対比して、本実施形態に係るスイッチング回路20の効果を説明する。比較例に係るスイッチング回路は、スイッチング回路20と比べて、ダイオードD2、インダクタンス成分L1、および、第2経路に対応する構成要素を有していない。
【0075】
比較例に係るスイッチング回路において、トランジスタT12がオフ状態である間に、ノードN13からノードN11へ流れる電流が停止する場合を考える。この場合、この電流が停止した後に、ノードN11の電位が上昇する。しかし、このときトランジスタT14はオン状態であるので、ノードN12の電位はノードN11の電位と共に上昇する。ノードN12の電位が上昇すると、トランジスタT14のゲート−ソース間電圧は低下する。トランジスタT14のゲート−ソース間電圧が閾値電圧より低くなると、トランジスタT14はオフする。その後さらにノードN11の電位が上昇すると、ノードN12の電位は、トランジスタT14のソース−ドレイン間容量結合によって引き上げられ、トランジスタT12のソース−ドレイン間の電圧が上昇を続け、ツェナーダイオードD15の降伏電圧に達したところで、ノードN12の電位がツェナーダイオードD15によってクランプされる。この後、ノードN11の電位上昇に伴うトランジスタT14のソース−ドレイン間容量充電電流は、ツェナーダイオードD15を経由してノードN13へ流れる。ここで特に、トランジスタT14として低抵抗なスーパージャンクションMOSFETを用いた場合には、ソース−ドレイン間電圧が小さいときにソース−ドレイン間容量が特に大きいので、ノードN11の電位上昇に伴うトランジスタT14のソース−ドレイン間容量充電電流も大きくなる。
【0076】
比較例に係るスイッチング回路では、ノードN11の電位が上昇してからしばらくの間、トランジスタT14はオン状態である。トランジスタT14がオン状態である期間が長いほど、スイッチング時の過渡電流は多くなる。また、トランジスタT14のゲート端子とノードN13を接続する配線のインピーダンスによって、ノードN12の電位が上昇してからトランジスタT14がオフするまでに遅延が発生することがある。この遅延が大きい場合には、トランジスタT14がオフする前に、トランジスタT12のドレイン−ソース間電圧がダイオードD15のツェナー電圧に到達することがある。この場合、ノードN11からトランジスタT14のチャネルを介して、ダイオードD15に電流が流れる。このため、ダイオードD15における発熱量が増大し、スイッチング損失が増大する。
【0077】
これに対して、本実施形態に係るスイッチング回路20では、ターンオフ時にトランジスタT4は速やかにオフする。したがって、ターンオフ時の過渡電流を削減することができる。また、ダイオードD5における発熱量を削減し、スイッチング損失を抑制することができる。
【0078】
以上に示すように、本実施形態に係るスイッチング回路20では、第1トランジスタT4と第2トランジスタT2はノーマリーオフ型であり、第1トランジスタの制御端子(ゲート端子)は電源回路(ゲート電源回路21)を介して第3ノードN3に接続されている。したがって、直列接続された2個のノーマリーオフ型トランジスタを備えたスイッチング回路について、ターンオフ時の過渡電流を削減することができる。
【0079】
また、スイッチング回路20は、第2ノードN2と第3ノードを結ぶ第3の経路上に第2トランジスタと逆並列に設けられた保護用ダイオードD5を備えている。これにより、過剰な電圧の印加による第2トランジスタの破壊を防止することができる。
【0080】
なお、スイッチング回路20は、ダイオードD2と並列にコンデンサをさらに備えていてもよい。コンデンサの一方の電極はダイオードD2のカソード端子に接続され、コンデンサの他方の電極はダイオードD2のアノード端子に接続される。コンデンサを設けることにより、スイッチング回路20のスイッチング時に、ダイオードD2の容量成分とスイッチング回路20内の第2経路のインダクタンス成分L1とによる高周波発振を防止し、スイッチング回路20を安定的に動作させることができる。
【0081】
(第3の実施形態)
図7は、本発明の第3の実施形態に係る電源回路の回路図である。
図7に示す電源回路30は、スイッチング回路10、トランジスタT3、ダイオードD3、ゲート駆動回路31、コイルL0、および、コンデンサC1、C2を備えた昇圧チョッパ回路である。
図7では、電源回路30は、電源1と負荷R1とに接続されている。コンデンサC1は電源1と並列に設けられ、コンデンサC2は
負荷R1と並列に設けられる。なお、電源回路30は、コンデンサC1、C2を備えていなくてもよい。
【0082】
スイッチング回路10は、第1の実施形態で説明した回路である。トランジスタT3は、Nチャネル型で、ノーマリーオフ型のトランジスタである。ダイオードD3は、トランジスタT3と逆並列に設けられる。ダイオードD3のカソード端子はトランジスタT3のドレイン端子に接続され、ダイオードD3のアノード端子はトランジスタT3のソース端子に接続される。ダイオードD3には、例えば、トランジスタT3の内蔵ダイオードが使用される。トランジスタT3のゲート端子は、ゲート駆動回路31の出力端子に接続される。なお、電源回路30は、ダイオードD3を備えていなくてもよい。
【0083】
コイルL0の一方の端子(
図7では右側の端子)は、トランジスタT2のソース端子とトランジスタT3のドレイン端子に接続される。コイルL0の他方の端子は、電源1の正極に接続される。トランジスタT1のドレイン端子は、負荷R1のハイ側端子に接続される。トランジスタT3のソース端子は、電源1の負極と負荷R1のロー側端子に接続される。スイッチング回路10は、上側アームに設けられた上側スイッチング回路として機能する。トランジスタT3、ダイオードD3、および、ゲート駆動回路31は、下側アームに設けられた下側スイッチング回路として機能する。コイルL0の一方の端子はアーム接続点に接続される。
【0084】
ゲート駆動回路31は、トランジスタT3のゲート端子に対して、所定のデューティー比を有するPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)信号を出力する。ゲート駆動回路11は、トランジスタT2のゲート端子に対して、デッドタイムを有しながら上記PWM信号に対して相補的に変化する信号を出力する。なお、デッドタイムとは、トランジスタT2、T3が共にオフする期間、すなわち、ゲート駆動回路11、31が共にオフ信号を出力する期間をいう。ゲート駆動回路11は、ゲート駆動回路31がオフ信号を出力している期間の一部でオン信号を出力する。ゲート駆動回路31は、ゲート駆動回路11がオフ信号を出力している期間の一部でオン信号を出力する。
【0085】
上側アームに設けられたスイッチング回路10は、アーム接続点から負荷R1のハイ側端子に向かう方向(
図7では上向き)に電流を流す整流回路として機能する。このため、下側アームに設けられたトランジスタT3のゲート端子にPWM信号を与えることにより、電源1から供給される電源電圧を昇圧し、電源電圧よりも高い電圧を負荷R1に印加することができる。また、上側アームにスイッチング回路10を設けることにより、整流停止時にトランジスタT1を速やかにオフさせ、ターンオフ時の過渡電流を削減することができる。
【0086】
また、トランジスタT2のゲート端子には、トランジスタT3のゲート端子に印加されるPWM信号に対して、デッドタイムを有しながら相補的に変化する信号が印加される。このようにトランジスタT3がオフ状態である間にトランジスタT2を一時的にオンさせることにより、トランジスタT2の低抵抗なチャネルに電流を流し、ダイオードD1、D2を電流が通過する際の電圧降下を防止して、導通損失を低減することができる。
【0087】
また、トランジスタT3がオンする前の好適なタイミングでトランジスタT2をオフさせることにより、トランジスタT2のチャネルを流れていた電流は、低い順方向電圧を有するダイオードD2を経由して流れる。また、トランジスタT3がオンするときに、トランジスタT1は速やかにオフする。したがって、トランジスタT3がオンし、スイッチング回路10がオフするときのスイッチング損失を低減することができる。
【0088】
より詳細には、トランジスタT2がオフした後、トランジスタT3がオンするまでのデッドタイム期間において、電流は、まずインダクタンス成分の小さいダイオードD1を経由する経路を流れ、その後、低い順方向電圧を有するダイオードD2を経由する第2経路に移行する。このため、電流の少なくとも一部がダイオードD2を経由する経路に移行した後にトランジスタT3がオンするように、デッドタイムを設けることが好ましい。一方、デッドタイムを過度に長くすると、電流がトランジスタT2の低抵抗なチャネルに流れる期間が短くなり、電流がダイオードD1、D2に流れる期間が長くなるため、ダイオード通過損失が大きくなる。したがって、デッドタイムは200n秒〜5μ秒の範囲内に設定することが好ましい。
【0089】
以上に示すように、本実施形態に係る電源回路30は、上側スイッチング回路としてスイッチング回路10を備え、下側スイッチング回路として第3トランジスタT3と、第3トランジスタの制御端子(ゲート端子)に対してパルス幅変調信号を出力する第2駆動回路(ゲート駆動回路31)とを備え、一方の端子がアーム接続点に接続されたコイルL0を備えている。このように上側アームにターンオフ時の過渡電流を削減したスイッチング回路10を設け、下側アームに設けた第3トランジスタT3をパルス幅変調することにより、スイッチング損失を低減した昇圧チョッパ回路を構成することができる。
【0090】
また、スイッチング回路10に含まれる駆動回路(ゲート駆動回路11)は、第2トランジスタT2の制御端子に対して、パルス幅変調信号に対してデッドタイムを設けて相補的に変化する信号を出力する。したがって、上述したように、ダイオードD1、D2による電圧降下を防止して、導電損失を低減することができる。
【0091】
(第4の実施形態)
図8は、本発明の第4の実施形態に係る電源回路の回路図である。
図8に示す電源回路40は、スイッチング回路10、トランジスタT3、ダイオードD3、ゲート駆動回路31、コイルL0、および、コンデンサC1、C2を備えた降圧チョッパ回路である。
図8では、電源回路40は、電源1と負荷R1とに接続されている。コンデンサC1、C2の接続形態は、第3の実施形態と同じである。
【0092】
スイッチング回路10は、第1の実施形態で説明した回路である。トランジスタT3、ダイオードD3、および、ゲート駆動回路31の接続形態は、第3の実施形態と同じである。コイルL0の一方の端子(
図8では左側の端子)は、トランジスタT3のソース端子とトランジスタT1のドレイン端子に接続される。コイルL0の他方の端子は、負荷R1のハイ側端子に接続される。トランジスタT3のドレイン端子は、電源1の正極に接続される。トランジスタT2のソース端子は、電源1の負極と負荷R1のロー側端子に接続される。スイッチング回路10は、下側アームに設けられた下側スイッチング回路として機能する。トランジスタT3、ダイオードD3、および、ゲート駆動回路31は、上側アームに設けられた上側スイッチング回路として機能する。コイルL0の一方の端子はアーム接続点に接続される。
【0093】
ゲート駆動回路31は、トランジスタT3のゲート端子に対して、所定のデューティー比を有するPWM信号を出力する。ゲート駆動回路11は、トランジスタT2のゲート端子に対して、デッドタイムを有しながら上記PWM信号に対して相補的に変化する信号を出力する。
【0094】
下側アームに設けられたスイッチング回路10は、電源1の負極からアーム接続点に向かう方向(
図8では上向き)に電流を流す整流回路として機能する。このため、上側アームに設けられたトランジスタT3のゲート端子にPWM信号を与えることにより、電源1から供給される電源電圧を降圧し、電源電圧よりも低い電圧を
負荷R1に印加することができる。また、下側アームにスイッチング回路10を用いることにより、整流停止時にトランジスタT1を速やかにオフさせ、ターンオフ時の過渡電流を削減することができる。
【0095】
また、トランジスタT2のゲート端子には、トランジスタT3のゲート端子に印加されるPWM信号に対して、デッドタイムを有しながら相補的に変化する信号が印加される。このようにトランジスタT3がオフ状態である間にトランジスタT2を一時的にオンさせることにより、トランジスタT2の低抵抗なチャネルに電流を流し、ダイオードD1、D2による電圧降下を防止して、通電損失を低減することができる。
【0096】
また、トランジスタT3がオンする前の好適なタイミングでトランジスタT2をオフさせることにより、トランジスタT2のチャネルを流れていた電流は、低い順方向電圧を有するダイオードD2を経由して流れる。また、トランジスタT3がオンするときに、トランジスタT1は速やかにオフする。したがって、スイッチング回路10がオフするときのスイッチング損失を低減することができる。
【0097】
以上に示すように、本実施形態に係る電源回路40は、下側スイッチング回路としてスイッチング回路10を備え、上側スイッチング回路として第3トランジスタT3と、第3トランジスタの制御端子(ゲート端子)に対してパルス幅変調信号を出力する第2駆動回路(ゲート駆動回路31)とを備え、一方の端子がアーム接続点に接続されたコイルL0を備えている。このように下側アームにターンオフ時の過渡電流を削減したスイッチング回路10を設け、上側アームに設けた第3トランジスタT3をパルス幅変調することにより、スイッチング損失を低減した降圧チョッパ回路を構成することができる。
【0098】
また、スイッチング回路10に含まれる駆動回路(ゲート駆動回路11)は、第2トランジスタT2の制御端子に対して、パルス幅変調信号に対してデッドタイムを設けて相補的に変化する信号を出力する。したがって、上述したように、ダイオードD1、D2による電圧降下を防止して、導通損失を低減することができる。
【0099】
(第5の実施形態)
図9は、本発明の第5の実施形態に係る電源回路の回路図である。
図9に示す電源回路50は、スイッチング回路10a、10b、コイルL0、および、コンデンサC1、C2を備えている。電源回路50は、双方向チョッパ回路あるいはインバータとして機能する。
図9では、電源回路50は、電源1、2に接続されている。以下、電源1から供給される電源電圧は、電源2から供給される電源電圧よりも低いとする。コンデンサC1は電源1と並列に設けられ、コンデンサC2は電源2と並列に設けられる。
【0100】
スイッチング回路10a、10bは、第1の実施形態で説明した回路である。スイッチング回路10aは、トランジスタT1a、T2a、ダイオードD1a、D2a、および、ゲート駆動回路11aを含んでいる。スイッチング回路10bは、トランジスタT1b、T2b、ダイオードD1b、D2b、および、ゲート駆動回路11bを含んでいる。なお、第2経路のインダクタンス成分が第1経路のインダクタンス成分よりも大きいことを示すために、図面にはスイッチング回路10a、10b内の第2経路にそれぞれインダクタンス成分L1a、L1bが記載されている。
【0101】
コイルL0の一方の端子(
図9では右側の端子)は、トランジスタT2aのソース端子とトランジスタT1bのドレイン端子に接続される。コイルL0の他方の端子は、電源1の正極に接続される。トランジスタT1aのドレイン端子は、電源2の正極に接続される。トランジスタT2bのソース端子は、電源1、2の負極に接続される。スイッチング回路10aは、上側アームに設けられた上側スイッチング回路として機能する。スイッチング回路10bは、下側アームに設けられた下側スイッチング回路として機能する。コイルL0の一方の端子はアーム接続点に接続される。
【0102】
以下、電源回路50を双方向チョッパ回路として用いる場合について説明する。低電圧側の電源1から高電圧側の電源2へ電力を転送する場合には、ゲート駆動回路11aはトランジスタT2aのゲート端子に対してオフ信号を出力する。これにより、スイッチング回路10aは、アーム接続点から電源2の正極に向かう方向(
図9では上向き)にダイオードD2aとトランジスタT1aを経由して電流を流す整流回路として機能する。ゲート駆動回路11bは、トランジスタT2bのゲート端子に対してPWM信号を出力する。このように上側アームに設けたスイッチング回路10aを整流回路として動作させ、下側アームに設けたトランジスタT2bをパルス幅変調することにより、電源回路50を低電圧側の電源1から高電圧側の電源2へ電力を転送する昇圧チョッパ回路として動作させることができる。
【0103】
なお、ゲート駆動回路11aは、第3の実施形態と同様に、トランジスタT2aのゲート端子に対して、ゲート駆動回路11bから出力されるPWM信号に対してデッドタイムを有しながら相補的に変化する信号を出力してもよい。このように上側アームの通電期間中にトランジスタT2aを一時的にオンさせることにより、トランジスタT2aの低抵抗なチャネルに電流を流し、ダイオードD2aを通過する際の電圧降下による損失を抑えることができる。
【0104】
高電圧側の電源2から低電圧側の電源1へ電力を転送する場合には、ゲート駆動回路11bはトランジスタT2bのゲート端子に対してオフ信号を出力する。これにより、スイッチング回路10bは、電源2の負極からアーム接続点に向かう方向(
図9では上向き)にダイオードD2bとトランジスタT1bを経由して電流を流す整流回路として機能する。ゲート駆動回路11aは、トランジスタT2aのゲート端子に対してPWM信号を出力する。このように下側アームに設けたスイッチング回路10bを整流回路として動作させ、上側アームに設けたトランジスタT2aをパルス幅変調することにより、電源回路50を高電圧側の電源2から低電圧側の電源1へ電力を転送する降圧チョッパ回路として動作させることができる。
【0105】
なお、ゲート駆動回路11bは、第4の実施形態と同様に、トランジスタT2bのゲート端子に対して、ゲート駆動回路11aから出力されるPWM信号に対してデッドタイムを有しながら相補的に変化する信号を出力してもよい。このように下側アームの通電期間中にトランジスタT2bを一時的にオンさせることにより、トランジスタT2bの低抵抗なチャネルに電流を流し、ダイオードD2bを通過する際の電圧降下による損失を抑えることができる。
【0106】
電源回路50は、上側アームにスイッチング回路10aを備え、下側アームにスイッチング回路10bを備えている。スイッチング回路10a、10bでは、整流停止時に高耐圧のトランジスタT1a、T1bが速やかにオフすることにより、ターンオフ時の過渡電流を削減することができる。このため、昇圧動作を行うときには、整流停止時にトランジスタT1aが速やかにオフし、このときの過渡電流を削減することにより、スイッチング損失を低減することができる。降圧動作を行うときには、整流停止時にトランジスタT1bが速やかにオフし、このときの過渡電流を削減することにより、スイッチング損失を低減することができる。また、スイッチング側アームでは、電流はインダクタンス成分を有する経路にはほとんど流れず、インダクタンス成分の小さい経路を流れるので、サージの発生を防止することができる。
【0107】
以上に示すように、本実施形態に係る電源回路50によれば、ターンオフ時の過渡電流を削減したスイッチング回路を上側アームと下側アームに設けることにより、スイッチング損失を低減した双方向チョッパ回路やインバータを構成することができる。
【0108】
(第6の実施形態)
図10は、本発明の第6の実施形態に係る電源回路の回路図である。
図10に示す電源回路60は、第5の実施形態に係る電源回路50においてスイッチング回路10a、10bを、それぞれ、スイッチング回路61a、61bに置換したものである。スイッチング回路61aは、第5の実施形態で説明したスイッチング回路10aに対してコンデンサC3aを追加したものである。コンデンサC3aは、ダイオードD2aと並列に設けられる。コンデンサC3aの一方の電極(
図10では上側の電極)はダイオードD2aのカソード端子に接続され、コンデンサC3aの他方の電極はダイオードD2aのアノード端子に接続される。スイッチング回路61bは、第5の実施形態で説明したスイッチング回路10bに対してコンデンサC3bを同様の方法で追加したものである。コンデンサC3a、C3bには、例えば、10pF〜1nF程度の容量を有するものが用いられる。
【0109】
コンデンサC3aを設けることにより、スイッチング回路10aのスイッチング時に、ダイオードD2aの容量成分とスイッチング回路10a内の第2経路のインダクタンス成分L1aとによる高周波発振を防止することができる。また、コンデンサC3bを設けることにより、スイッチング回路10bのスイッチング時に、ダイオードD2bの容量成分とスイッチング回路10b内の第2経路のインダクタンス成分L1bとによる高周波発振を防止することができる。
【0110】
なお、ダイオードの中には、部品として10pF〜1nF程度の寄生容量を有するものがある。ダイオードD2a、D2bとして、必要な量の寄生容量を有するダイオードを用いることにより、コンデンサC3a、C3bを部品として追加した場合と同じ効果を得ることができる。この方法によれば、コンデンサC3a、C3bを部品として追加する必要がなくなる。
【0111】
また、フェライトビーズの中には、周波数帯域に応じてインダクタンス成分とレジスタンス成分の混合率が異なる性質を有するものがある。そこで、第2経路のインダクタンス成分L1a、L1bの一部としてフェライトビーズを用いる場合に、ある周波数帯域以下(例えば、1MHz以下)では主にインダクタンスとして機能し、当該周波数帯域以上(例えば、1MHz以上)では主にレジスタンスとして機能するビーズ部品を用いる方法がある。このビーズ部品は、周波数の低い整流電流に対しては主にインダクタンスとして機能し、スイッチングノイズに起因する高周波発振成分に対しては主に抵抗として機能する。この方法によれば、ダイオードD2a、D2bに並列に接続されるコンデンサC3a、C3bの容量を削減することができる。
【0112】
以上に示すように、本実施形態に係る電源回路60では、スイッチング回路61a、61bは、それぞれ、第2ダイオードD2a、D2bと並列に設けられたコンデンサC3a、C3bを含んでいる。したがって、スイッチング時にダイオードD2a、D2bの容量成分と第2経路のインダクタンス成分L1a、L1bとによる高周波発振を防止し、電源回路60を安定的に動作させることができる。
【0113】
なお、以上に示す各実施形態については、各種の変形例を構成することができる。例えば、第3〜第6の実施形態に係る電源回路30、40、50、60は、第1の実施形態に係るスイッチング回路10に代えて、第2の実施形態に係るスイッチング回路20を備えていてもよい。この場合、スイッチング回路20は、ダイオードD5を含んでいなくてもよい。また、第3の実施形態に係る電源回路30と同様に、第4〜第6の実施形態に係る電源回路40、50、60は、コンデンサC1、C2を備えていなくてもよい。また、第6の実施形態に係る電源回路60に含まれるスイッチング回路61a、61bと同様に、第3および第4の実施形態に係る電源回路30、40に含まれるスイッチング回路10は、第2ダイオードD2と並列にコンデンサを含んでいてもよい。また、以上に示す各実施形態の特徴を、その性質に反しない限り任意に組み合わせて、複数の実施形態の特徴を合わせ持つスイッチング回路および電源回路を構成することができる。