(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6392355
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】ペレット包含錠剤
(51)【国際特許分類】
A61K 9/26 20060101AFI20180910BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20180910BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20180910BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20180910BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20180910BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20180910BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20180910BHJP
【FI】
A61K9/26
A61K47/10
A61K47/38
A61K47/32
A61K47/26
A61K47/36
A61K47/44
【請求項の数】19
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-542807(P2016-542807)
(86)(22)【出願日】2014年9月12日
(65)【公表番号】特表2016-530329(P2016-530329A)
(43)【公表日】2016年9月29日
(86)【国際出願番号】US2014055319
(87)【国際公開番号】WO2015038854
(87)【国際公開日】20150319
【審査請求日】2017年7月19日
(31)【優先権主張番号】61/877,786
(32)【優先日】2013年9月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515135228
【氏名又は名称】アール.ピー.シェーラー テクノロジーズ、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】ココラス、ハリー ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ホリス、クリスタン ピー.
【審査官】
横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2005/097041(WO,A1)
【文献】
特開昭53−142520(JP,A)
【文献】
特開2012−206978(JP,A)
【文献】
国際公開第2003/026560(WO,A1)
【文献】
国際公開第2011/071139(WO,A1)
【文献】
国際公開第2012/018056(WO,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第01834634(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K47/00−47/69
A61K9/00−9/72
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性医薬成分のためのペレット包含錠剤であって、
ペレットコーティングで被覆された少なくとも一つの活性医薬成分を含む複数の被覆ペレットを含有する内核と、
前記内核を取り囲む賦形剤層と
を有し、前記賦形剤層は、前記賦形剤層の全重量を基にして、ポリヒドロキシル化合物から選択される約1重量%〜約20重量%の少なくとも一つの緩衝剤を含み、
前記内核は前記少なくとも一つの緩衝剤を実質的に含まない、ペレット包含錠剤。
【請求項2】
請求項1記載のペレット包含錠剤において、前記内核は、2またはそれ以上の異なる被覆ペレットを有する、ペレット包含錠剤。
【請求項3】
請求項2記載のペレット包含錠剤において、前記2またはそれ以上の異なる被覆ペレットは、異なる活性医薬成分の放出プロフィールを前記被覆ペレットに提供する異なるペレットコーティングを有する、ペレット包含錠剤。
【請求項4】
請求項2記載のペレット包含錠剤において、前記2またはそれ以上の異なる型の被覆ペレットは、異なる活性医薬成分を有するペレットを有する、ペレット包含錠剤。
【請求項5】
請求項1記載のペレット包含錠剤において、前記ペレットコーティングは、味マスキング、臭マスキング、前記活性医薬成分の安定化、前記活性医薬成分の加工性の向上、前記活性医薬成分の流挙動の向上、前記活性医薬成分の吸湿性の低減、前記活性医薬成分の化学的および/または機械的安定性の保証および向上、前記被覆ペレットからの前記活性医薬成分の放出調節、前記活性医薬成分の生物学的利用能の調節、および着色から成る群から選択される少なくとも一つの機能を有する、ペレット包含錠剤。
【請求項6】
請求項1記載のペレット包含錠剤において、前記少なくとも一つの緩衝剤は、前記賦形剤層の約2重量%〜約18重量%を有する、ペレット包含錠剤。
【請求項7】
請求項1記載のペレット包含錠剤において、前記少なくとも一つの緩衝剤は、前記賦形剤層の約4重量%〜約18重量%を有する、ペレット包含錠剤。
【請求項8】
請求項1記載のペレット包含錠剤において、前記少なくとも一つの緩衝剤は、前記賦形剤層の約5重量%〜約15重量%、または約7重量%〜約12重量%、または約4重量%〜約11重量%を有する、ペレット包含錠剤。
【請求項9】
請求項1記載のペレット包含錠剤において、前記賦形剤層は、ポリヒドロキシル化合物から選択される少なくとも一つの緩衝剤を有する、ペレット包含錠剤。
【請求項10】
請求項1記載のペレット包含錠剤において、前記少なくとも一つの緩衝剤は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリブタジエンジオールおよびトリオール、低分子量水酸基含有ポリエステル、水酸基含有ポリエステルアミド、ポリアルキレンエーテルグリコール化合物、水酸基含有油から選択される、ペレット包含錠剤。
【請求項11】
請求項1記載のペレット包含錠剤において、前記少なくとも一つの緩衝剤は、ポリエチレングリコールを有する、ペレット包含錠剤。
【請求項12】
請求項1記載のペレット包含錠剤において、前記賦形剤層は、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、メタクリル酸およびメタクリル酸エステルのポリマー、微結晶性セルロース、ラクトースなどの多糖類、およびそれらの組み合わせから選択されるポリマーを有する、ペレット包含錠剤。
【請求項13】
請求項1記載のペレット包含錠剤において、前記賦形剤層は、崩壊剤、膨張剤、希釈剤、潤滑剤、帯電防止剤または流動促進剤、透過剤、甘味剤、矯味剤、および着色剤から成る群から選択される一つまたはそれ以上の賦形剤を有する、ペレット包含錠剤。
【請求項14】
請求項1記載のペレット包含錠剤において、前記内核は、ポリヒドロキシル化合物から選択される少なくとも一つの緩衝剤を有する、ペレット包含錠剤。
【請求項15】
請求項14記載のペレット包含錠剤において、前記ペレットコーティング中の前記少なくとも一つの緩衝剤は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリブタジエンジオールおよびトリオール、低分子量水酸基含有ポリエステル、水酸基含有ポリエステルアミド、ポリアルキレンエーテルグリコール化合物、水酸基含有油から選択される緩衝剤を有する、ペレット包含錠剤。
【請求項16】
請求項14記載のペレット包含錠剤において、前記ペレットコーティング中の前記少なくとも一つの緩衝剤は、ポリエチレングリコールを有する、ペレット包含錠剤。
【請求項17】
請求項1記載のペレット包含錠剤において、前記内核2中の前記少なくとも一つの緩衝剤は、前記ペレットコーティングの約1%〜約20%、または約2%〜約18%、または約4%〜約18%、または5%〜約15%、または7%〜約12%、または4%〜約11%の重量パーセントを有する、ペレット包含錠剤。
【請求項18】
ペレット包含錠剤を製造する方法であって、
(i)賦形剤成分の第一の層を成形するために、賦形剤成分を約0.1kN〜3kNの圧縮力で圧縮する工程と、
(ii)前記第一の層の上に内核を成形するために、前記第一の層の上に活性医薬成分を含む複数の被覆ペレットを約0.1kN〜3kNの圧縮力で圧縮する工程と、
(iii)追加の賦形剤成分を2kN〜20kNの圧縮力で前記内核の露出部分の周囲に圧縮する工程であって、それによって前記内核を賦形剤成分で包含する、前記圧縮する工程と
を有する、方法。
【請求項19】
請求項18記載の方法において、工程(iii)の圧縮力は、約4kN〜約15kN、または約5kN〜約12kN、または約7kN〜10kNである、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はペレット包含錠剤に関するものである。特に、本発明は複数の被覆ペレットを有する内核を包含した外層を有するペレット包含錠剤、およびこのようなペレット包含錠剤の作成方法に向けられたものである。
【背景技術】
【0002】
放出制御医薬投与製剤への関心は、ペレット、被覆された微粉粒子およびマイクロカプセルのような複数の被覆された粒子を用いる送達システムに注目を集めており、この粒子の被覆は活性医薬成分(active pharmaceutical ingredient:API)の放出制御に使用されることが可能である。放出制御には遅延放出、持続放出、または反復放出を含む。カプセルはこれらの被覆ペレットまたはマイクロカプセルの経口投与のための送達基盤として用いられることが出来る。最近では、このような被覆ペレットを錠剤中に組み込む手法に関する知見に関心が集まっている。ペレット包含経口錠剤の利点は、(i)コスト削減および生産の高速化、(ii)毒物混入に対する脆弱性の低減、(iii)カプセルに比べて食道輸送における困難軽減、および(iv)飲み込み易さを含む。
【0003】
このような錠剤は少なくとも一つのAPIを含むペレットを含んでもよい。前記ペレットはそれぞれAPIの放出プロフィールおよび/または放出速度を変化させるポリマーフィルムによって個々に被覆されている。この被覆ペレットはその後賦形剤と共に、複数の前記被覆ペレットを圧縮する事によって錠剤に成形される。一つの方法では、前記被覆ペレットは前記賦形剤と混合され、この混合物はその後錠剤に圧縮されてペレット包含錠剤を提供するがここで前記被覆ペレットは前記賦形剤のマトリックス中で十分均一に分散している。
【0004】
起こり得る一つの問題として前記錠剤を成形するために用いられる圧縮工程が前記被覆ペレットを比較的大きな圧縮力にさらすことである。このペレットコーティングはこれにより大きな圧力を受け、しばしばヒビや割れを前記ペレットコーティングに起こし、前記APIの放出プロフィールおよび/または放出速度を変化させてしまう。このような錠剤はよって前記被覆ペレットの放出制御特性の少なくとも一定の利点を消失させてしまう可能性がある。したがって、ペレット包含錠剤製造において錠剤圧縮中、前記ペレットコーティングを保存する必要がある。
【0005】
前記ペレットコーティングが錠剤圧縮の大きな力に損傷なく耐える手助けをする一つの方法が、前記ペレットコーティングの増強である。例えば、英国特許出願公開第1598458号明細書はマイクロカプセル化された物質または脆性被覆を有する物質、および水溶性で、少なくとも融点が30℃の天然または合成ロウであるキャリアを前記マイクロカプセルまたは脆性被覆を有する物質の重量を基にして2%重量/重量以上かつ20%重量/重量以下で有する、錠剤を開示している。ポリエチレングリコール(Polyethylene glycol:PEG)が水溶性ロウの例として言及されている。他のキャリアには微結晶性セルロースおよびラクトースを含む。この特許の実施例2は940mgのKClマイクロカプセル、94mgの微結晶性セルロース、および94mgのPEG 1000を他の成分と共に混合し、この混合物を錠剤に圧縮する、錠剤を製造している。前記KClはカプセル内に封入されその後このKClマイクロカプセルは前記錠剤内で前記キャリアのマトリックス内で分散される。前記錠剤内の微結晶性セルロースとPEGの重量比は1:1である。
【0006】
国際公開第2000/50010号は薬剤、塩酸ブプロピオンの放出制御投与製剤を開示している。この投与製剤は、(a)塩酸ブプロピオンおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースの核を持つ第一のペレットであって、前記核がヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびPEGの混合物によって被覆され、当該被覆された核がさらにアクリル樹脂および水溶性ポリマーの混合物によって被覆されている、前記第一のペレット、並びに(b)第一のペレットをさらにヒドロキシプロピルメチルセルロースによって、その後、腸溶性被膜によって被覆することにより形成される第二のペレットを有する。この腸溶性被膜には、酢酸フタル酸セルロースまたはメタクリル酸共重合体のようなポリマーを含むことが出来る。前記第一のペレットおよび第二のペレットはその後、クロスポビドンXL−10および微結晶性セルロースPH102などの賦形剤と混合され、そしてこの混合物が錠剤に圧縮される。
【0007】
欧州特許出願公開第0620002号明細書は摩耗を低減すため薬学的に許容されるポリアルキレングリコールによってAPIの核が被覆されている固形医薬投与製剤を開示している。この開示されているポリアルキレンにはポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリブチレンを含む。このAPIの核は被覆中に錠剤表面の粗面化や浸食が起こるといった種類の摩耗性を有する錠剤でもよい。このような錠剤をPEGを有する被覆材料で被覆することで前記被覆工程中の摩耗を低減させると言われている。
【0008】
米国特許出願公開第2005/0152976号明細書は少なくとも一つのセルロース系ポリマーと可塑剤を含む被膜によって被覆されたAPIおよび結合剤を有する核を有する持続放出製剤粒子を開示している。前記可塑剤は、ポリエチレングリコールや他の多くの可塑剤であってもよい。前記持続放出製剤粒子は崩壊剤および/または膨張剤、少なくとも一つの希釈剤、潤滑剤、および選択的に帯電防止剤、透過剤、甘味剤、矯味剤、および着色剤などの賦形剤の組み合わせと、混合されてもよい。この混合物はその後錠剤成形のため圧縮される。
【0009】
米国特許第6923984号明細書は微結晶性炭化水素ロウまたは天然ロウの主成分から成る少なくとも一つの圧縮可能な緩衝成分を有する生物学的に不活性な緩衝ビーズを開示しており、ここで前記ロウは重量で前記生物学的に不活性な緩衝ビーズの少なくとも30%である。前記生物学的に不活性な緩衝ビーズは生物活性成分を含有するビーズと混合して、この混合物を個体成形品を成形するよう圧縮することによって個体成形品(例えば、錠剤)を製造するのに用いることが可能である。前記生物活性成分を含有するビーズはポリマーおよび可塑剤によって被覆されることが出来、そのような可塑剤の中にPEGがある。
【0010】
欧州特許出願公開第2510950号明細書は内核の周りを覆う外層を持つ圧縮被覆口腔内崩壊錠を開示している。前記内核は成形性の低い粉末または顆粒材料を含有し活性成分を含む。前記外層は、(a)微結晶性セルロース、(b)糖または糖アルコール、および(c)クロスポビドン、デンプン類、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、およびカルメロースから選択される一種またはそれ以上の成分、を有する。前記内核はこの錠剤全体の30〜80%の範囲の厚さを有する。
【0011】
米国特許第7581941号明細書は内核およびこの内核の周りを覆う外層を持つ錠剤を製造する装置を開示している。この装置は、中心杵および中心杵の外周を取り巻く外杵を有し、このどちらもが先導可能であってかつ圧縮可能である。この装置はまた前記中心杵と外杵との相対位置を制限する相対位置制限手段を含む。この相対位置制限手段は前記中心杵の杵先が、前記外杵の杵先より突出する第一位置を制限し、前記中心杵の杵先が前記外杵の杵先とほぼ一致する第二位置とを制限することが出来ると共に前記中心杵の杵先が前記外杵の杵先内に退避する第三位置を制限しないよう設計されている。
【0012】
Nicklasson et al. ("Modulation of the tabletting behaviour of microcrystalline cellulose pellets by the incorporation of polyethylene glycol," European Journal of Pharmaceutical Sciences, vol. 9, pages 57−65, 1999)は、微結晶性セルロースおよびPEGを重量比50:50で湿式造粒、そして球形に成形することにより作製されるペレットを教えている。このペレットはその後、圧縮され錠剤に成形される。
【0013】
本発明は錠剤圧縮が前記ペレットコーティングに与える衝撃を軽減させる一方で、同時に特定の用途に合わせて望ましいAPI放出特性を提供するペレット包含錠剤を提供する。このようなペレット包含錠剤は、錠剤圧縮時の前記ペレットコーティングのひび割れを従来のペレット包含錠剤と比較して顕著に低減させることが出来るものである。したがって、前記ペレット包含錠剤は前記被覆ペレット自体と同様の薬剤放出プロフィールを有するよう作製されることが出来るのである。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、以下のものがある(国際出願日以降国際段階で引用された文献及び他国に国内移行した際に引用された文献を含む)。
(先行技術文献)
(特許文献)
(特許文献1) 米国特許第6,599,284号明細書
(特許文献2) 米国特許出願公開第2009/0232885号明細書
(特許文献3) 米国特許出願公開第2010/0209506号明細書
(特許文献4) 米国特許出願公開第2010/0092549号明細書
(特許文献5) 米国特許第5,288,501号明細書
(特許文献6) 米国特許出願公開第2009/0068263号明細書
(特許文献7) 国際公開第2004/091582号
(特許文献8) 米国特許第5,780,055号明細書
(特許文献9) 米国特許第6,923,984号明細書
(特許文献10) 米国特許第7,581,941号明細書
(特許文献11) 米国特許出願公開第2005/0152976号明細書
(特許文献12) 米国特許出願公開第2011/0165238号明細書
(特許文献13) 米国特許出願公開第2011/0177165号明細書
(特許文献14) 欧州特許出願公開第0355247号明細書
(特許文献15) 欧州特許出願公開第0620002号明細書
(特許文献16) 欧州特許出願公開第2510950号明細書
(特許文献17) 英国特許第1598458号明細書
(特許文献18) 国際公開第1997/025029号
(特許文献19) 国際公開第2000/050010号
(特許文献20) 国際公開第2006/127637号
(特許文献21) 国際公開第2008/115979号
(特許文献22) 国際公開第2010/064100号
(特許文献23) 欧州特許出願公開第1302304号明細書
(特許文献24) 欧州特許出願公開第1437116号明細書
(特許文献25) 米国特許出願公開第2011/195121号明細書
(特許文献26) 欧州特許出願公開第1834634号明細書
(非特許文献)
(非特許文献1) International Search Report; Mailed 2014−12−23 for corresponding PCT Application No.PCT/US2014/055319
(非特許文献2) Dwibhashyam,V.,et al.,"Key Formulation Variables In Tableting Of Coated Pallets,"Indian Journal of Pharmaceutical Sciences,2008,Vol.70,No.5,pp.555−564.
(非特許文献3) Hosseini,A.,et al.,"Direct Compression of Cushion−Layered Ethyl Cellulose−Coated Extended Release Pellets Into Rapidly Disintegrating Tablets Without Changes in the Release Profile,"International Journal of Pharmaceuticals,25 July 2013,Vol.457,pp.503−509.
(非特許文献4) Torrado,J.J.,et al.,"Effect of Different Excipients On the Tableting of Coated Particle,"International Journal of Pharmaceutics,106(1994)149−155.
(非特許文献5) Nicklasson,F.,et al.,"Modulation of the tabletting behaviour of microcrystalline cellulose pellets by the incorporation of polyethylene glycol,"European Journal of Pharmaceutical Sciences 9(1999)57−65.
(非特許文献6) Ando,M.,et al.,"Development and evaluation of a novel dry−coated tablet technology for pellets as a substitute for the conventional encapsulation technology,"International Journal of Pharmaceutics; 336(2007)99−107.
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
1つの観点によれば、本発明はAPIを含むペレット包含錠剤に向けられたものであり、(a)各自がペレットコーティングにより被覆された前記APIを有する、被覆ペレットを複数含む内核、および(b)この内核の外表面に成形される賦形剤層を有する、ペレット包含錠剤に向けられたものである。前記賦形剤層はこの賦形剤層の重量を基にして、約1重量%〜約20重量%のポリヒドロキシル化合物から選択される少なくとも一つの緩衝剤を有する。
【0015】
別の観点によれば、本発明の前記ペレット包含錠剤は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリブタジエンジオールおよびトリオール、低分子量水酸基含有ポリエステル、水酸基含有ポリエステルアミド、ポリアルキレンエーテルグリコール化合物、水酸基含有油およびそれらの混合物から選択される少なくとも一つの緩衝剤を含む賦形剤層を有する。
【0016】
さらに別の観点によれば、本発明は、ペレット包含錠剤を製造する方法であって、(i)第一の層を成形するために、約0.1kN〜3kNの圧縮力で賦形剤材料を圧縮する工程と、(ii)内核を成形するために、APIを含有する複数の被覆ペレットを約0.1kN〜3kNの圧縮力で圧縮する工程と、(iii)追加の賦形剤成分を2kN〜20kNの圧縮力で前記内核上に圧縮する工程であって、それによって前記内核を賦形剤材料で包含する、前記圧縮する工程とを有する、方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に従うペレット包含錠剤の図式表現である。
【
図2】
図2は、実施例1の方法で作製されたペレット包含錠剤の0.1N HCl中における経時的な放出プロフィールの棒グラフである。
【
図3】
図3は、実施例2で作製されたペレット包含錠剤の0.1N HCl中における経時的な放出プロフィールの棒グラフである。
【
図4】
図4は、実施例3で作製されたペレット包含錠剤の、酸性(0.1N HCl)および緩衝(pH 5.5)段階両方における、経時的な放出プロフィールの散布図である。
【
図5】
図5は、Microcellac(登録商標)100、PEG6000、デンプングリコール酸ナトリウムを外側の賦形剤層に使用した本発明の実施例に従ったペレット包含錠剤の図式表現である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
説明の目的のため、以下本発明の原理がさまざまな例示的な実施形態を参照して解説される。本発明の特定の実施形態がここで具体的に述べられているが、当業者であれば同じ原理が他のシステムおよび方法に同様に応用可能であり、使用できることが容易に認識出来るはずである。本発明について開示する実施形態を詳細に説明する前に、示されているどの特定の実施形態の詳細にも本発明の利用を限定しないことが理解されるべきである。さらに、ここで用いられる用語は説明のためのものであり限定のためのものではない。また、ここで示される特定の順序の工程に触れているいくつかの手法については、多くの場合、これらの工程が当業者によって認識されるようなどの順序によってでも実行可能なものであり、よって本新規手法はここに開示される特定の工程順序に限定されるものではない。
【0019】
ここおよび特許請求の範囲にて用いられる、単数形の「a」、「an」、および「the」は文脈から明らかにそうでない限り、複数の対象を含むものとする。さらに、「a」、 (または「an」)、「one or more」および「at least one」の表現は互換可能に用いられる。「comprising」、「including」、「having」および「constructed from」などの表現もまた互換可能に用いられるものとする。
【0020】
一つの観点によれば、本発明は賦形剤層1によって包含された内核2を有するペレット包含錠剤を提供する。前記内核2は被覆ペレット3を複数含み、これらは少なくとも一つのAPIを含むペレット4、およびペレットコーティング5を有する。ペレット4は、Vuppala, et al., "Application of Powder−Layering Technology and Film Coating for Manufacture of Sustained−Release Pellets Using a Rotary Fluid Bed Processor," Drug Development and Industrial Pharmacy, volume 23, pages 687−694, 1997に記載されるよう、糖で出来た球状核の上にスプレーされるか、またはDukic−Ott et al., "Production of pellets via extrusion−spheronisation without the incorporation of microcrystalline cellulose: A critical review," European Journal of Pharmaceutics and Biopharmaceutics,volume 71, pages 38−46,2009に記載されるよう、押出により球体成形される、少なくとも一つのAPIを有する。
【0021】
前記内核2は粒子形態でAPIを含む複数の被覆ペレット3を有する。前記APIは経口投与に向くどのようなAPIでもよい。前記APIは、これらに限らないが、整腸剤、制酸剤、鎮痛剤、抗炎症剤、冠状血管拡張剤、末梢血管および脳血管拡張剤、抗感染剤、抗生剤、抗ウイルス剤、抗寄生虫剤、抗癌剤、抗不安薬、神経弛緩剤、中枢神経刺激薬、抗鬱剤、抗ヒスタミン剤、下痢止め剤、便秘薬、栄養補助食品、免疫抑制剤、コレステロール降下剤、ホルモン、酵素、鎮痙剤、抗狭心症薬、心拍数に影響を与える医薬品、動脈性高血圧症の治療に用いられる医薬品、抗片頭痛薬、血液凝固に影響を与える医薬品、抗てんかん薬、筋弛緩薬、糖尿病の治療に用いられる医薬品、甲状腺機障害に用いられる医薬品、利尿剤、摂食抑制剤、抗ぜんそく薬、去痰剤、鎮咳剤、粘液制御剤、鼻詰まり薬、催眠薬、吐き気止め、造血剤、尿酸排泄促進薬、植物抽出物および造影剤から選択されてもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、内核2は2つまたはそれ以上の異なる種類の被覆ペレット3を有し、これらのそれぞれが個別にかつ独立に同じペレットコーティング5または異なるペレットコーティング5によって被覆されてもよい。一つの実施形態では、内核2は同じAPIを含むが、異なるペレットコーティング5を有する結果、異なる放出特性を有する、少なくとも二つの異なる種類の被覆ペレット3を有する。ある種類の被覆ペレットはAPIが、例えば、APIの放出を遅らせるフィルムによって被覆されており、一方別の種類の被覆ペレットは前記活性成分を比較的迅速に放出するコーティングを有していることがある。よって、内核2内で2つまたはそれ以上の種類の被覆ペレット3の特定の組み合わせを用いることによって、前記ペレット包含錠剤に放出特性を調整する能力を提供する。これによりこれらの実施形態のペレット包含錠剤が有効な時間および/または持続を持つAPI放出を作り出すことが可能である。
【0023】
別の実施形態では、内核2は一番目のAPIを含む第一の種類の被覆ペレット3および、2番目の異なるAPIを含む第2の種類の被覆ペレット3を有する。この実施形態では、被覆ペレット3の各種類が同じまたは異なるペレットコーティング5を有してもよい。好適なペレットコーティング5を選択することによって、この方法でなければ互いに親和性のないAPIを一つの錠剤中で組み合わせることが出来、1度の単位用量形態で複数の異なるAPIの投与を可能にする。さらに、各APIの前記放出特性はペレットコーティング5の選択によって個別に調製することが可能である。
【0024】
いくつかの実施形態では、内核2はまた、緩衝材、崩壊剤、可塑剤、結合剤、希釈剤、そして帯電防止剤から選択される一つまたは複数の追加の成分を有することが出来る。これらの実施形態では、被覆ペレット3は内核2に圧縮成形される前に、前記追加の成分と混合されることが出来る。
【0025】
前記内核2の崩壊剤はデンプングリコール酸ナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン(クロスポビドン)、架橋カルボキシメチルスターチナトリウムおよび架橋カルボキシメチルセルロース(クロスカルメロース)ナトリウム、およびそれらの組み合わせから選択されることが出来る。前記崩壊剤は前記内核2内で従来の量、例えば、前記内核2の全重量を基にして0.5重量%〜15重量%で用いられることが出来る。
【0026】
いくつかの実施形態では、内核2はまた重量パーセントで内核2の全重量を基にして、約1%〜約20%、または約2%〜約18%、または4%〜約18%、または5%〜約15%、または7%〜約12%、または4%〜約11%の少なくとも一つの緩衝剤を有する。
【0027】
内核2中の前記緩衝剤は、存在すれば、賦形剤層1内の緩衝剤と同じまたは異なってもよい。前記緩衝剤は、モノマー中に少なくとも2つの水酸基を含有するポリオキシアルキレン化合物を含むポリヒドロキシル化合物から選択されることが出来る。好適な緩衝剤の例には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリブタジエンジオールおよびトリオール、低分子量水酸基含有ポリエステル、水酸基含有ポリエステルアミド、ポリアルキレンエーテルグリコール化合物、タングオイル(tongue oil)を含む水酸基含有油、およびそれらのアルキル変性体を含む。一つの実施形態では、内核2および賦形剤層1の両方の緩衝剤がポリエチレングリコールである。
【0028】
前記内核2に用いる結合剤はセルロース系ポリマー、アクリル系ポリマー、ポビドン、コポビドン、ポリビニルアルコール、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、デンプン、α化デンプン、糖およびそれらの誘導体、グアーガムおよびポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アカシア、グルコース、およびそれらの組み合わせから選択されてもよい。セルロース系ポリマーの例にはエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。アクリル系ポリマーの例には、アンモニオメタクリレートコポリマー、アクリル酸およびメタクリル酸系ポリマーおよびコポリマー、ポリアクリル酸塩およびポリメタクリル酸塩を含む。
【0029】
前記内核2内で用いる希釈剤は微結晶性セルロースなどのセルロース誘導体から選択されることが出来、そして好ましくは微結晶性セルロース、デンプン、ラクトース、その他の糖およびその誘導体、ポリオールおよびこれらの組み合わせから選択される。
【0030】
前記内核2に用いる帯電防止剤はコロイダルシリカ(Aerosil(登録商標)の商標名の下販売されている商品など)、沈降シリカ(Syloid(登録商標) FP244の商標名の下販売されている商品など)、微粒子化されたまたは微粒子化されていないタルク、そしてそれらの組み合わせから選択されてもよい。
【0031】
前記ペレットコーティング5はどのような好適な、特定のAPIに求められる放出特性を提供する従来のペレットコーティング材料から作製されてもよい。一つの実施形態では、ペレットコーティング5は腸溶性被膜である。ペレットコーティング5は一つまたはそれ以上の従来の賦形剤を含むことが出来る。例えば、ペレットコーティングはセルロース系ポリマーを有することが出来る。セルロース系ポリマーの例にはエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、メタクリル酸およびメタクリル酸エステルのポリマー、例えばEudragit(登録商標)、およびポリビニル誘導体がある。前記ペレットコーティングのためのコーティングポリマーはFelton et al., "An update on pharmaceutical film coating for drug delivery," Expert Opinion on Drug Delivery, volume 10, pages 421−435, 2013; Dashevsky et al., "Compression of pellets coated with various aqueous polymer dispersions," International Journal of Pharmaceutics, volume 279, pages 19−26, 2004; and Shukla et al., "Carbohydrate polymers: Applications and recent advances in delivering drugs to the colon," Carbohydrate Polymers, volume 88, pages 399−416, 2012;にも説明されており、これらは引用されることによってその内容が本明細書に含まれるものとする。
【0032】
前記ペレットコーティング5は、例えば、味マスキング、臭マスキング、前記APIの安定化、加工性の向上、流挙動の向上、吸湿性の低減、前記APIの科学的および/または機械的安定性の保証および向上、前記ペレットからの前記API放出の調整、前記API生物学的利用能の調整、および着色などの、異なる機能を有することが出来る。前記API放出の調整は、例えば、均一で持続する活性成分放出促進、API放出の延長、API放出の遅延、API放出の反復、APIの段階的放出およびそれらのあらゆる組み合わせを有することが可能である。
【0033】
選択的に、前記ペレットコーティング5はまた可塑剤も有する。好適な可塑剤の例には、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、トリアセチン、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、ポリエチレングリコール、アセチルクエン酸トリエチル、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジブチル、グリセリン、ポリソルベート、並びにモノおよびジアセチルグリセリドを含む。前記可塑剤は、例えば、前記ペレットコーティング5のガラス転移温度を低減し前記ペレットコーティング5の機械的特性を向上させるために用いられることが出来る。
【0034】
図1に関して、賦形剤層1は内核2を取り囲むまたは完全に取り囲むまたは包含する層である。賦形剤層1は、例えば、微結晶性セルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトースなどの多糖類、酢酸フタル酸セルロース、例えばEudragit(登録商標)メタクリル酸およびメタクリル酸エステルのポリマー、およびそれらの組み合わせから選択されるポリマーを有してもよい。一つの実施形態では、前記賦形剤層は微結晶性セルロース、ラクトース、崩壊剤、および緩衝剤の混合物を有する。前記賦形剤層のコーティングポリマーはまたFelton et al., "An update on pharmaceutical film coating for drug delivery," Expert Opinion On Drug Delivery volume 10, pages 421−435, 2013; Dashevsky et al., "Compression of pellets coated with various aqueous polymer dispersions," International Journal of Pharmaceutics, volume 279, pages 19−26, 2004; and Shukla et al., "Carbohydrate polymers: Applications and recent advances in delivering drugs to the colon," Carbohydrate Polymers, volume 88, pages: 399−416, 2012におも説明されており、これらは引用されることによってその内容が本明細書に含まれるものとする。
【0035】
前記賦形剤層1に含まれるポリマーの量はこの賦形剤層全重量を基として、約5重量%〜約99重量%、または約10重量%〜約95重量%、または約20重量%〜約80重量%の範囲でもよい。
【0036】
賦形剤層1はまた少なくとも一つの緩衝剤を、この賦形剤層1全重量を基として重量パーセントで約1重量%〜約20重量%、または約2%〜約18%、または4%〜約18%、 または5%〜約15%、または約7%〜約12%、または約4%〜約11%、有してもよい。
【0037】
前記緩衝剤は前記被覆ペレット3に緩衝効果を提供し、被覆ペレット3および特にペレットコーティング層5への圧縮による衝撃を低減させる。前記緩衝剤は、モノマーにつき少なくとも二つの水酸基を含有するポリオキシアルキレン化合物を含むポリヒドロキシル化合物より選択されてもよい。好適な緩衝剤の例には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリブタジエンジオールおよびトリオール、低分子量水酸基含有ポリエステル、水酸基含有ポリエステルアミド、ポリアルキレンエーテルグリコール化合物、タングオイルを含む水酸基含有油、およびそれらのアルキル変性体を含む。前記緩衝剤に好適な分子量は300g/mol〜20、000g/molの間である。
【0038】
前記賦形剤層1は、結合剤、崩壊剤、膨張剤、希釈剤、潤滑剤、帯電防止剤または流動促進剤、透過剤、甘味剤、矯味剤、および着色剤から選択される一つまたはそれ以上の追加の賦形剤を有してもよい。
【0039】
前記賦形剤層1内に用いる結合剤はセルロース系ポリマー、アクリル系ポリマー、ポビドン、コポビドン、ポリビニルアルコール、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、デンプン、α化デンプン、糖およびそれらの誘導体、グアーガムおよびポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アカシア、グルコース、およびそれらの組み合わせから選択されてもよい。セルロース系ポリマーの例にはエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。アクリル系ポリマーの例にはアンモニオメタクリレートコポリマー、アクリル酸およびメタクリル酸ポリマーおよびコポリマー、ポリアクリル酸塩およびポリメタクリル酸塩を含む。
【0040】
前記賦形剤層1の崩壊剤はデンプングリコール酸ナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン(クロスポビドン)、架橋カルボキシメチルスターチナトリウムおよび架橋カルボキシメチルセルロース(クロスカルメロース)ナトリウム、およびそれらの組み合わせから選択されることが出来る。前記崩壊剤は従来用いられる量、例えば、前記賦形剤層1の全重量を基にして、約0.5重量%〜約20重量%、または約1重量%〜約10重量%、または約4重量%〜約15重量%、または約3重量%〜約11重量%で使用されるが出来る。
【0041】
前記賦形剤層1の膨張剤は微結晶性セルロース、デンプン、加工デンプン、およびそれらの混合物から選択されることが出来る。
【0042】
前記賦形剤層1の希釈剤は微結晶性セルロースなどのセルロース誘導体、デンプン、ラクトース、他の糖およびそれらの誘導体、ポリオール、およびそれらの組み合わせから選択されることが出来る。
【0043】
いくつかの実施形態では、前記希釈剤は13炭素原子以下かつ平均粒子直径が約100〜約500μmの直接圧縮可能な製品の形状、または平均粒子直径約100μm以下の粉末形状のポリオールから選択される。いくつかの実施形態では、これらのポリオールはマンニトール、キシリトール、ソルビトールおよびマルチトールから選択され、直接圧縮可能な製品形状で用いられる。少なくとも二つの可溶性希釈剤が用いられるいくつかの実施形態では、一つが直接圧縮可能な形状でもう一方が粉末状で存在する。直接圧縮可能な希釈剤と希釈剤粉末の割合は約99:1〜約20:80でもよく、好ましくは約80:20〜約20:80である。
【0044】
前記賦形剤層1の潤滑剤はステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム、ポリオキシエチレングリコール(例えば、微粉化したMacrogol 6000(商標))、安息香酸ナトリウム、タルク、ベヘン酸グリセロール、およびそれらの組み合わせから選択されてもよい。
【0045】
前記賦形剤層1の帯電防止剤はコロイダルシリカ(Aerosil(登録商標)の商標名の下販売されている商品など)、沈降シリカ(Syloid(登録商標)FP244の商標名の下販売されている商品など)、微粉化されたまたは微粉化されていないタルク、およびそれらの組み合わせから選択されてもよい。
【0046】
前記賦形剤層1の透過剤は沈降シリカ(Syloid(登録商標)の商標名の下販売されている商品など)、マルトデキストリンおよびβ−シクロデキストリン、およびそれらの組み合わせから選択されてもよい。
【0047】
前記賦形剤層1の甘味剤はアスパルテーム、アセスルファムカリウム、サッカリンナトリウム、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、スクラロース、グリチルリン酸一アンモニウム、およびそれらの組み合わせから成る。
【0048】
前記賦形剤層1に好適な矯味剤および着色剤は通常錠剤作製のための医薬投与製剤に用いられるものが使用される。
【0049】
前記賦形剤層1は、最大で前記ペレット包含錠剤の全重量を基にして、約30重量%〜約99重量%、または約40重量%〜約90重量%、または約35重量%〜約85重量%を占めてもよい。前記賦形剤層の重量パーセントおよび/または厚さは、前記錠剤のAPI放出特性に合わせてさらに変えてもよい。
【0050】
内核2の充填重量もまた前記API放出特性に合わせて変更を加えることが出来る。例えば、賦形剤層1が一定の厚さを維持しながら内核2の充填重量を増やすことは、前記ペレット包含錠剤からのAPIのパーセント放出を増加させる。一つの実施形態では、充填重量は求められる用量、APIの種類、手法および他の知られている要素によって変更することが出来る。
【0051】
賦形剤層1および/または内核2中で緩衝剤を用いることによって、錠剤製造時の圧縮による前記ペレットコーティング5への損傷を低減することが出来、前記ペレットコーティング5の完全性が錠剤圧縮時に保たれる。本発明の前記ペレット包含錠剤はよってカプセル化された被覆ペレット3の制御放出、徐放、持続放出、反復放出、または遅延放出特性などと同じまたは同様のAPI放出特性を維持することが可能となる。
【0052】
一つの実施形態では、内核2および/または賦形剤層1中の緩衝剤の量は前記ペレット包含錠剤に特定の求められるAPI放出特性を提供するよう選択される。この放出プロフィールは、本発明を用いたどのような求められる態様に調整されてもよい。例えば、前記放出プロフィールは消化器官内のどこでAPI放出が起こるかを特定するのを助けるため酸性の段階および/または緩衝の段階で調整されることも出来る。一つの実施形態では、内核2および/または賦形剤層1内の緩衝剤の量は酸性条件下において前記APIのパーセント放出を抑制するように調整されることが出来、これは特に前記APIを含む腸溶的に被覆されたペレットに有用でまた別の種類の放出を制御する被覆をされたペレットにも重要である。
【0053】
賦形剤層1への前記緩衝剤の組み込みは、前記内核2への前記緩衝剤の組み込みと比較して、前記酸性条件下でのAPIのパーセント放出により大きな影響を与えることが分かってきた。場合によって、内核2および賦形剤層1の両方に緩衝剤を組み込むことにより酸性条件下でのAPIパーセント放出の抑制に相加効果をもたらすことも可能である。
【0054】
前記緩衝の段階でのパーセント放出は前記酸性の段階においてと同様の傾向に示す。前記緩衝剤の緩衝効果は前記緩衝の段階でより顕著であり、その結果、前記酸性の段階で前記API放出特性を調整するときよりも前記緩衝の段階で前記API放出特性を調整するときの方がより少ない量の緩衝剤が必要となるかもしれない。
【0055】
別の観点によれば、本発明はここに説明される前記ペレット包含錠剤を作製する方法を提供する。前記方法は、例えば、米国特許第7581941号明細書に説明されたような装置を使ってもよい。とりわけこの方法は、
(i)賦形剤成分を第一の層に圧縮する工程と、
(ii)前記第一の層の上に内核を成形するために被覆ペレット3を前記第一の層に圧縮する工程と、
(iii)追加の賦形剤成分を前記内核の露出されている部分の周囲に2kN〜20kNの圧縮力で圧縮する工程であって、これにより、前記内核を賦形剤材料で包含する、前記圧縮する工程と
を有する。この最後の圧縮工程(iii)は内核2を賦形剤層1で取り囲む工程を完了させるものである。
【0056】
前記ペレット包含錠剤作製に用いられる圧縮力は始めの2つの層には約0.1kN〜約3kN、そして最後の層には約2kN〜約20kN、または約4kN〜約15kN、または約5kN〜約12kN、または約7kN〜約10kNである。本発明の方法によって作製されるペレット包含錠剤の組成は上に説明している。
【0057】
いくつかの実施形態では、前記方法における工程(ii)は、被覆ペレット3と一つまたはそれ以上の緩衝剤、崩壊剤、可塑剤、結合剤、希釈剤、および帯電防止剤とを混合する工程と、前記内核2に成形するために、当該混合物を圧縮する工程とを有する。
【0058】
前記方法で用いられる前記緩衝剤は、モノマー分子につき少なくとも二つの水酸基を含有するポリオキシアルキレン化合物を含む、ヒドロキシル化合物から選択される。緩衝剤の例としてポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリブタジエンジオールおよびトリオール、低分子量水酸基含有ポリエステル、水酸基含有ポリエステルアミド、ポリアルキレンエーテルグリコール化合物、タングオイルを含む水酸基含有油、およびそれらのアルキル変性体がある。
【実施例1】
【0059】
本発明に基づくペレット包含錠剤をOSDrC(登録商標)Optidose(商標)技術を用いて作製した。この工程には、手動的に前記錠剤を製造するためCarver圧縮機を用いた。カスタマイズされたOSDrC(登録商標)円形杵の内側および外側の直径は少なくとも2mmの差を有するよう設定した。前記賦形剤層1はMicrocellac(登録商標) 100(25重量%微結晶性セルロース/75重量%ラクトース一水和物)、ポリエチレングリコール(PEG 6000)、およびデンプングリコール酸ナトリウムを含んでいた(
図5)。前記内核におけるAPIの量は100mgであった。前記緩衝剤はPEG 6000であり、表1に示される量で、前記内核2および/または賦形剤層1に添加した。これらの錠剤を製造するために用いられた錠剤圧縮力を表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
錠剤に圧縮されていない、被覆ペレット(手動でカプセル化されたペレット)を、放出解析のコントロールとして用いた(
図2において「カプセル化」と表示)。
図2において「許容値」のデータは、米国薬局方(United States Pharmacopeia:USP)の公式モノグラフに示される、%API放出の最大量を、つまり8%を示す。
【0062】
前記API放出解析は米国薬局方および国民医薬品集(United States Pharmacopeia and The National Formulary:USP−NF)のガイドラインに基づいて行った。前記酸性(0.1Nの塩酸)の段階におけるAPI放出の百分率をこの製造した錠剤およびコントロールで0.5、1および1.5時間の時点においてそれぞれ記録した(
図2)。
図2において、「外」という用語はPEG緩衝剤を前記賦形剤層に添加したことを示し、そして「内」という用語は前記PEG緩衝剤を前記内核2に添加したことを示す。
【0063】
コントロールでは、前記手動でカプセル化されたペレットは約2%の前記APIを30 分、1時間、そして1.5時間において放出した。前記PEGを含まない錠剤(圧縮力2.5kN、錠剤1)は酸性溶液中で著しく多いAPIを放出し、例えば、30分で約5.8% 、1時間で約7.6%、および1.5時間で約8.4%であった。PEGなしで作製された、別の錠剤(圧縮力5kN、錠剤2)もまた、コントロールと比較して酸性溶液中に多くのAPIを放出し、例えば、30分で約2.6%、1時間で約4.1%、そして1.5時間で約4.5%であった。これら2つの錠剤における結果は、前記錠剤圧縮力が、たとえ2.5kNと小さかった時にも、ペレットコーティング5に損傷を与える可能性がありよって最初の1.5時間における前記APIのパーセント放出を増加させることを表している。
【0064】
賦形剤層1にPEG緩衝剤を添加した錠剤においては、賦形剤層1への5重量%PEGの添加は30分および1時間において、APIの放出量を、例えば約2%など、コントロールと同様のレベルまで減少させ、前記放出速度は1.5時間で約2.6%までの微増に留まった。前記放出速度は5重量%および10重量%PEG緩衝剤を含む賦形剤層1の間に顕著な差は見られなかった。
【0065】
図2は賦形剤層1へのPEG緩衝剤の添加は内核2へのPEGの添加よりもAPI放出をより効率的に低減させることを示す。内核2のみへのPEGの添加はAPIの放出パーセントを大きく低減させるに至らなかった。5重量%のPEGを賦形剤層1と内核2の両方に添加し、5kNで圧縮することにより錠剤を作製した時には、PEG緩衝剤を賦形剤層1のみに添加した時と比較しても追加の影響は見られなかった。
【0066】
この実施例は、前記賦形剤層の全量を基にして5重量%〜10重量%で賦形剤層1へPEG緩衝剤を添加することは、前記酸性の段階でのAPI放出を低減させることを表す。前記賦形剤層1にPEGを添加することによる緩衝効果の他に、PEGはまた透過性を低減させ溶解液が前記賦形剤層1を貫通しにくくさせている。
【実施例2】
【0067】
この実施例の本発明に従うペレット包含錠剤もまたOSDrC(登録商標) Optidose(商標)技術を用いて作製した。前記カスタマイズされたOSDrC(登録商標)円形杵の内および外径は少なくとも2mmの差を有するよう設定した。手動的に前記錠剤を製造するためCarver圧縮機を用いた。賦形剤層1はMicrocellac(登録商標) 100(25重量%微結晶性セルロース/75重量%ラクトース一水和物)、ポリエチレングリコール(PEG 6000)、およびデンプングリコール酸ナトリウムを含んでいた(
図5)。前記内核中のAPIの量は100mgであった。前記PEG緩衝剤は賦形剤層1にのみ表2に示している量を添加した。前記ペレットコーティングにはPEGを添加しなかった。前記錠剤を製造するときの錠剤圧縮力は、表2に示すよう様々であった。
【0068】
【表2】
【0069】
錠剤に圧縮されていない、被覆ペレット(手動でカプセル化されたペレット)を、放出解析のコントロールとして用いた(
図3において「カプセル化」と表示)。「許容値」のデータは、USPの公式モノグラフで示される、%API放出の最大量、つまり8%を示す。
【0070】
前記API放出解析は実施例1と同様の手法に従って行った。
図3では、「外」は前記PEG緩衝剤が賦形剤層1に添加されたこと意味する。
【0071】
前記放出解析の結果を
図3に示す。PEGを添加したかに関わらず、このAPIのパーセント放出は前記圧縮力が増加するに従って低下した(
図3参照)。前記錠剤および被覆ペレットをより大きな力を用いて圧縮するにつれて、このペレットは、より一つに凝集し易くなり、前記錠剤はより硬くなり、よって前記放出解析における溶解液にさらされる表面積を最小化した。
【0072】
この特定の実施例において、圧縮力5〜10kNにおいて前記錠剤は望ましい硬さを有しているようであった。圧縮力15kNでは、錠剤硬度は高すぎであった(前記錠剤は1 %のみの前記API放出に留まり、これは前記コントロールによって放出された量の約半分であった)。
【実施例3】
【0073】
本発明の一つの目的は前記被覆ペレット(コントロール)と似たAPIのパーセント放出を、前記酸性および緩衝の段階両方において、提供することである。
【0074】
本発明に従うペレット包含錠剤を前記OSDrC(登録商標)Optidose(商標)技術を用いて作製した。手動的に前記錠剤を製造するためCarver圧縮機を用いた。前記カスタマイズされたOSDrC(登録商標)円形杵の内および外径は少なくとも2mmの差を有するよう設定した。賦形剤層1はMicrocellac(登録商標) 100(25重量%微結晶性セルロース/75重量%ラクトース一水和物)、ポリエチレングリコール(PEG 6000)、およびデンプングリコール酸ナトリウムを含んでいた(
図5)。前記内核中のAPIの量は150mgであった。前記PEG緩衝剤は内核2および/または賦形剤層1に表3に示している量を添加した。これらの錠剤を製造するために用いられた錠剤圧縮力もまた表3に示す。
【0075】
【表3】
【0076】
錠剤に圧縮されていない、緩く被覆ペレットを放出解析のコントロールとして使用した(
図4において「緩いペレット」と表示)。
【0077】
前記API放出解析を0.1N HCl中で120分、その後pH5.5緩衝液中に移動してさらに60分、合計180分の溶解時間で行った。用語「外」は前記PEG緩衝剤を賦形剤層1に添加したことを示し、そして用語「内」は前記PEGを前記内核2に添加したことを示す。
【0078】
酸性の段階(
図4の左隅の挿入図に表示)において、前記緩いペレットは120分で1%未満のAPIの放出に留まった。PEGの添加なしで、前記錠剤は平均で、60分で前記APIの約2.1%、そして120分で前記APIの約2.7%放出した。前記賦形剤層1にPEGを添加して製造した錠剤もまた同様の放出プロフィールを有していた。
【0079】
5kNの圧縮力において、PEGを賦形剤層1、または内核2、または賦形剤層1および内核2の両方を添加し、製造した錠剤は同様の放出プロフィールを持ち、そしてこれらの錠剤は120分で前記APIを1.9%〜2.7%の間で放出した。
【0080】
前記錠剤のAPI放出はUSPの公式モノグラフに示されているパーセントAPI放出の最大量(許容値)、つまりAPIの8%よりまだ少ないが、前記酸性の段階においてはこれより大きなAPIの放出は安定性試験中の成績を損なう可能性がある。前記緩衝剤、PEGの添加は、前記酸性の段階におけるAPI放出を低下させることが示されており、よって安定性試験で得られる結果もまた改善させると予想される。
【0081】
また、前記緩衝の段階においてAPIが前記コントロールと同じように放出されることが重量である。
【0082】
前記緩衝の段階(
図4の「緩衝」部分を参照)において前記内核2内のPEGなしおよび10重量%PEG緩衝剤あり、で製造された錠剤の放出プロフィールは、ほぼ同一であった。溶解時間130および180分では、前記賦形剤層1内に10%PEG緩衝剤を入れて製造した錠剤の放出プロフィールは、賦形剤層1と内核2の両方にPEGを添加して作製した錠剤と同様の放出プロフィールを示した。
【0083】
前記緩衝の段階(
図4)における放出プロフィールは、実施例2および
図2と同様であることを観察した。
図4は前記賦形剤層1へのPEG緩衝剤の添加が前記内核2へのPEGの添加に比べてAPI放出をより効率的に低減させる傾向があることを表している。前記内核2のみへのPEGの添加は前記APIのパーセント放出を有意に低減させなかった。前記賦形剤層1および前記内核2両方に10重量%のPEGを添加して5kNにおける圧縮で錠剤を製造したときには、前記賦形剤層1のみへのPEG緩衝剤の添加と比較して更なる効果は見られなかった。
【0084】
両方の溶解段階を移動させる実験(cross-over dissolution study)では、前記緩衝の段階で破裂効果は見られなかった。よって、これらのデータは前記圧縮工程中、前記ペレットはしっかりと保護されかつ前記コーティングへの損傷は最小限に抑えられたあったことを示唆している。
【0085】
本発明の多くの特徴および利点を、本発明の構造および機能の詳細と共に上述の説明で明らかにしてきたが、本開示は例示に留まり特に要素の形状、サイズおよび配置などの態様については、本発明の原理の枠内かつ添付の特許請求の範囲で用いられる言葉がとりうる意味を最大限に用いて変更が加えられることが可能である。