特許第6392356号(P6392356)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6392356レチクル形状修正装置及びこれを用いたフォトリソグラフィー・ツール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6392356
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】レチクル形状修正装置及びこれを用いたフォトリソグラフィー・ツール
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20180910BHJP
   G03F 1/66 20120101ALI20180910BHJP
   G03F 7/213 20060101ALI20180910BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20180910BHJP
   B65G 49/06 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
   G03F7/20 501
   G03F1/66
   G03F7/213 H
   H01L21/68 C
   B65G49/06 Z
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-543692(P2016-543692)
(86)(22)【出願日】2014年11月28日
(65)【公表番号】特表2017-503207(P2017-503207A)
(43)【公表日】2017年1月26日
(86)【国際出願番号】CN2014092425
(87)【国際公開番号】WO2015101121
(87)【国際公開日】20150709
【審査請求日】2016年8月26日
(31)【優先権主張番号】201310752194.6
(32)【優先日】2013年12月31日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】309012351
【氏名又は名称】シャンハイ マイクロ エレクトロニクス イクイプメント(グループ)カンパニー リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】リー リンユゥ
(72)【発明者】
【氏名】リー ユゥロン
【審査官】 植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−249169(JP,A)
【文献】 特開2004−038130(JP,A)
【文献】 特開2003−167355(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0290517(US,A1)
【文献】 特開平08−055778(JP,A)
【文献】 特開2013−236094(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 9/00
G03F 7/20
H01L 21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
視野ステッチング(field of view stitching)フォトリソグラフィー・ツールとして採用される装置であって、
複数の吸盤、吸盤取付フレーム、及び、空気制御システムを備え、
前記吸盤取付フレームはレチクルの上に配置され、
複数の前記吸盤は、互いに離間して、吸盤取付フレームの底に取り付けられており、
前記空気制御システムは、吸引によって前記レチクルを保持するか、前記レチクルを離すように複数の前記吸盤を制御し、
前記レチクルの上の複数の前記吸盤の垂直投影は、前記レチクルの露光視野の外側であり、
前記空気制御システムは、
対応する複数の前記吸盤の1つにそれぞれ連結された複数の空気チャンネルと、
切換弁及び圧力センサーであり、複数の前記空気チャンネルのそれぞれに配列された圧力安全弁と、
を備える、
レチクル形状修正装置。
【請求項2】
複数の前記吸盤は、調整ねじボルト又は着脱可能ファスナーにより前記吸盤取付フレームの底に取り付けられる、請求項1に記載のレチクル形状修正装置。
【請求項3】
複数の前記吸盤は、非接触の態様で吸引によって前記レチクルを保持する、請求項1に記載のレチクル形状修正装置。
【請求項4】
複数の前記吸盤のそれぞれは、対応する前記圧力センサーでリアルタイムにモニターでき、対応する前記圧力安全弁と対応する前記切換弁により制御可能及び調節可能である吸引力を提供する、請求項1に記載のレチクル形状修正装置。
【請求項5】
複数の前記吸盤の底面から前記レチクルまでの距離を調整するための取付プレートを更に備える、請求項1に記載のレチクル形状修正装置。
【請求項6】
前記レチクルは、920mm×800mm以上のサイズを有する、請求項1に記載のレチクル形状修正装置。
【請求項7】
光源、照明系、レチクルステージ、対物系アセンブリ(objective assembly)、及び、ウエハステージを備える視野ステッチング(field of view stitching)フォトリソグラフィー・ツールであって、
前記レチクルステージは、レチクルを移動させ、及び支持するように構成され、
前記照明系は、前記レチクルの面における1以上の照射視野を定めるように構成され、
前記フォトリソグラフィー・ツールは、レチクル形状修正装置を更に備え、
前記レチクル形状修正装置は、
前記レチクルステージの上に配置された吸盤取付フレームと、
前記吸盤取付フレームの底に配列された複数の吸盤と、
吸引によって前記レチクルを保持するか、前記レチクルを離すように複数の前記吸盤を制御する空気制御システムと、
を備え、
前記レチクルの面の上の複数の吸盤の垂直投影は、1以上の照射視野と重複せず、
複数の前記吸盤は、非接触の態様で吸引によって前記レチクルを保持し、
前記空気制御システムは、
複数の前記吸盤が吸引によって前記レチクルを保持するように前記レチクルの上の複数の前記吸盤を制御するように、及び、
前記レチクルが前記レチクルの重力と実質的にバランスをとる吸引力の影響を受けるように、レチクルを保持する複数の吸盤のそれぞれにより提供される吸引力を制御するように、
構成され、
前記空気制御システムは、
対応する複数の前記吸盤の1つにそれぞれ連結された複数の空気チャンネルと、
切換弁及び圧力センサーであり、複数の前記空気チャンネルのそれぞれに配列された圧力安全弁と、
を備える、
フォトリソグラフィー・ツール。
【請求項8】
複数の前記吸盤は複数の列に配列され、前記複数の列の中央の列はレチクルのストロークの長さより長く、前記中央の列の両側に配列される前記複数の列の残りの列は、前記レチクルのストロークの長さより短い、請求項7に記載のフォトリソグラフィー・ツール。
【請求項9】
前記複数の列のそれぞれは、前記複数の列の隣接した1つの列から離間している、請求項8に記載のフォトリソグラフィー・ツール。
【請求項10】
前記レチクルを保持する複数の前記吸盤のそれぞれにより提供される吸引力は、対応する前記圧力センサーでモニターでき、対応する前記圧力安全弁で調節可能である、請求項7に記載のフォトリソグラフィー・ツール。
【請求項11】
前記吸盤取付フレームは、前記光源、前記照明系、前記レチクルステージ、前記対物系、及び、前記ウエハステージの何れにも連結されていない、請求項7に記載のフォトリソグラフィー・ツール。
【請求項12】
前記レチクルは、920mm×800mm以上のサイズを有する、請求項7に記載のフォトリソグラフィー・ツール。
【請求項13】
複数の前記吸盤は、調整ねじボルト又は着脱可能ファスナーにより前記吸盤取付フレームの底に取り付けられる、請求項7に記載のフォトリソグラフィー・ツール。
【請求項14】
複数の前記吸盤の底面から前記レチクルまでの距離を調整するための取付プレートを更に備える、請求項7に記載のフォトリソグラフィー・ツール。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、集積回路(IC)の製作分野に関し、より具体的には、レチクル形状修正装置に関する。また、本発明は、当該装置を用いたフォトリソグラフィー・ツールに関する。
【0002】
薄膜トランジスタ(TFT)基板の拡大の増加に応じて、TFTの製造のためのフォトリソグラフィー・ツール装置に用いられるレチクルのサイズも、5.5th世代(G5.5)フォトリソグラフィー装置のための最初の6インチ、920mm×800mmから、8.5th世代(G8.5)レチクルのための1320mm×1108mmまでに増加している。そのような巨大なレチクルが吸引によってレチクルステージで保持されるとき、その重力による下方への屈曲は、回避不能である。そして、それは40μm以上までに達する場合がある。5.5th以上の最近の世代のTFT製造フォトリソグラフィー装置のために、視野(FOV)ステッチング又は超巨大FOV技術の使用は、避けられない傾向になった。しかし、特に、対物系の焦点深度範囲における露光精度のレチクルの反りの大きな影響は、画質保証に対して大きな難問を生じさせる。
【0003】
レチクルの反り修正のための1つの方法は、対物系に対物面調整メカニズムを導入することである。そして、それは重力が原因のレチクル変形に適合することを可能にする。しかし、これは対物系の構造を複雑にし、かなりの数の追加の可動部材の増加につながる。そして、それはフォトリソグラフィー装置の信頼性の助けにならない。
【0004】
レチクル、レチクルステージ、及び、ガラス基板が、空気制御装置の空気排出通路と空気導入通路とを連絡する空間を区切るように、ガラス基板がレチクルと照明系との間に搭載された真空封止技術を用いる他の方法がある。当該空間の圧力は、レチクルの重力と等しい上方への力を発生するように調整され、レチクルの重力と反対の方向にレチクルを曲げ、これにより、レチクルの重力による反りを相殺する。しかし、レチクルを露光する際に、ガラス基板の存在が照明系の性能に影響を及ぼす。さらに、また、ガラス基板自体がそれ自身の重力に起因して変形する。そして、それは露光性能をさらに悪化させる。さらに、レチクル、ガラス基板、及び、空気制御装置は、同じフレームに配置されるため、振動とレチクルの重量負荷を増加させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、レチクルの形状を修正する装置を示すことによって、先行技術の重力が原因のレチクル変形問題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の問題は本発明に係る装置によって解決される。本発明に係る装置は、複数の吸盤、吸盤取付フレーム、及び、空気制御システムを備える。吸盤取付フレームは、レチクルの上に配置され、複数の吸盤は、互いに離間して、吸盤取付フレームの底に取り付けられている。空気制御システムは、吸引によってレチクルを保持するか、レチクルを離すように複数の吸盤を制御する。
【0007】
好ましくは、複数の吸盤は、調整ねじボルト又は着脱可能ファスナーにより吸盤取付フレームの底に取り付けられる。
【0008】
好ましくは、レチクルの上の複数の吸盤の垂直投影は、レチクルの上の台形の露光視野の外側である。
【0009】
好ましくは、複数の吸盤は、非接触の態様で吸引によってレチクルを保持する。
【0010】
好ましくは、空気制御システムは、対応する複数の前記吸盤の1つにそれぞれ連結された複数の空気チャンネルと、切換弁及び圧力センサーであり、複数の前記空気チャンネルのそれぞれに配列された圧力安全弁と、を備える。
【0011】
好ましくは、複数の吸盤のそれぞれは、対応する圧力センサーでリアルタイムにモニターでき、対応する圧力安全弁と対応する切換弁で制御可能及び調節可能である吸引力を提供する。
【0012】
好ましくは、装置は、複数の吸盤の底面からレチクルまでの距離を調整するための取付プレートを更に備える。
【0013】
好ましくは、レチクルは、920mm×800mm以上のサイズを有する。すなわち、当該レチクルは、TFT製造のための5.5th以上の最近世代のフォトリソグラフィー装置において使われるレチクルである。
【0014】
上記の問題は、光源、照明系、レチクルステージ、対物系、及び、ウエハステージを備えるフォトリソグラフィー・ツールでも解決される。レチクルステージはレチクルを移動させ、支持するように構成され、照明系はレチクルの面における1以上の照射視野を定めるように構成される。フォトリソグラフィー・ツールは、レチクル形状修正装置を更に備える。レチクル形状修正装置は、レチクルステージの上に配置された吸盤取付フレームと、吸盤取付フレームの底に配列された複数の吸盤と、吸引によってレチクルを保持するか、レチクルを離すように複数の吸盤を制御する空気制御システムと、を備える。レチクルの面の上の複数の吸盤の垂直投影は、1以上の照射視野と重複せず、複数の吸盤は、非接触の態様で吸引によってレチクルを保持する。
【0015】
好ましくは、複数の前記吸盤は複数の列に配列され、前記複数の列の中央の列はレチクルのストロークの長さより長く、前記中央の列の両側に配列される前記複数の列の残りの列は、前記レチクルのストロークの長さより短い。
【0016】
好ましくは、複数の列のそれぞれは、複数の列の隣接した1つの列から離間している。
【0017】
好ましくは、空気制御システムは、複数の前記吸盤が吸引によって前記レチクルを保持するように前記レチクルの上の複数の前記吸盤を制御するように、及び、前記レチクルが前記レチクルの重力と実質的にバランスをとる吸引力の影響を受けるように、レチクルを保持する複数の吸盤のそれぞれにより提供される吸引力を制御するように、構成される。
【0018】
好ましくは、空気制御システムは、対応する複数の前記吸盤の1つにそれぞれ連結された複数の空気チャンネルと、切換弁及び圧力センサーであり、複数の前記空気チャンネルのそれぞれに配列された圧力安全弁と、を備える。
【0019】
好ましくは、レチクルを保持する複数の吸盤のそれぞれにより提供される吸引力は、対応する圧力センサーでモニターでき、対応する圧力安全弁で調節可能である。
【0020】
好ましくは、吸盤取付フレームは、光源、照明系、レチクルステージ、対物系、及び、ウエハステージの何れにも連結されていない。
【0021】
好ましくは、レチクルは、920mm×800mm以上のサイズを有する。
【0022】
好ましくは、複数の吸盤は、調整ねじボルト又は着脱可能ファスナーにより吸盤取付フレームの底に取り付けられる。
【0023】
好ましくは、装置は、吸盤の底面からレチクルまでの距離を調整するための取付プレートを更に備える。
【0024】
本発明は、先行技術に比べて有利な以下の利点を提供する。
吸盤はレチクルの上で台形の露光視野をブロックしない。これにより、レチクルの上に光線を完全に(100%)入射させることができる。よって、改善された露光効率を得ることができる。
吸盤により提供される吸引力は、効果的にレチクルの重量負荷を減らすことができ、これにより、その重力変形を防ぐことができる。
装置は、フォトリソグラフィー・ツールに配置される、抗原、照明系、レチクルステージ、対物系、及び、ウエハステージの何れにも連結されていなく、独立している。これにより、更なる外的振動をツールに与えない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明の具体的な実施形態に係るフォトリソグラフィー・ツールの略図である。
図2図2は、本発明の具体的な実施形態に係るレチクル形状修正装置の上面図を表す。
図3図3は、本発明の具体的な実施形態に係るレチクル形状修正装置の部分概略図である。
図4図4は、本発明の具体的な実施形態に係る吸盤がどのように動くかについて示す。
図5図5は、本発明の具体的な実施形態に係るレチクル形状修正装置がどのように動くかについて示す。
図6図6は、本発明の具体的な実施形態に係る吸盤の配置を表している図である。
図7図7は、本発明の具体的な実施形態に係る吸盤の配置を表している図である。
図8図8は、本発明の具体的な実施形態に係る吸盤により提供される力の分配を表している図である。
図9a図9aは、本発明の具体的な実施形態に係るシミュレーションされたレチクル形状の修正結果を表している図である。
図9b図9bは、本発明の具体的な実施形態に係るシミュレーションされたレチクル形状の修正結果を表している図である。
【0026】
これらの図において:10−レチクル形状修正装置、100−吸盤、200−吸盤取付フレーム、300−調整ねじボルト、400−空気口、500−取付プレート、600−レチクル、610−台形の露光視野、700−レチクルステージ。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の上記の目的、特徴、及び、長所は、添付の図面とともに、本発明のいくつかの具体的な実施形態の以下の説明によって、より明らかになるであろう。なお、図面は、実施形態の説明における簡便さ及び明確さのために、寸法を提示する必要のない非常に単純化された形式で提供されたものである。
【0028】
図1〜3で示すように、本発明に係るレチクル形状修正装置10は、吸盤100、吸盤取付フレーム200、及び、空気制御システム(不図示)を備える。吸盤取付フレーム200は、レチクルステージ700の上に配置され、吸盤100は、レチクル600の上の台形の露光視野(FOV)610(図6及び図7)の外側の領域に一致するように、互いに離間して、吸盤取付フレーム200の底に取り付けられる。空気制御システムは、レチクル600を保持し、離す吸盤100の動作を制御する。特に、照明光はランプチャンバから出射され、順番にレンズ、勾配減衰器、レチクルステージ700の上のレチクル600、及び、対物レンズアセンブリを通過し、これにより、ウエハ及びウエハステージの上にイメージを形成する。当然のことながら、照明系には複数の照明光路とそれに応じた複数の対物系があり、本発明の実施は、特定の数の照明光路によって制限されない。吸盤100は、レチクル600と照明系の間に搭載される。吸盤100は、レチクル600の上の露光FOV(図6及び図7参照)に影響を与えないように配置されるので、照明系においてレチクル600の露光品質に影響を及ぼさない。好ましくは、吸盤100は、調整ねじボルト300により吸盤取付フレーム200の底に取り付けられる。
【0029】
さらに、それぞれの吸盤100は、空気口400を有し、空気口400を介して空気チャンネルに接続している。また、それぞれの吸盤100は、空気チャンネルを通して対応する空気制御システムの1つに接続している。それぞれの空気制御システムは、対応する吸盤100が作る圧力をリアルタイムで調整するための、圧力安全弁、圧力センサー、及び、切換弁を備える。空気制御システムは、陽圧ガスを対応する空気チャンネルに供給するための駆動力を提供するために、圧縮パワーシステム、すなわち、圧縮ポンプ、を更に備える。切換弁は、吸盤100を起動又は停止するように構成され、圧力安全弁は望ましい安定した値に吸盤100の圧力を設定するように構成される。圧力センサーは圧力を測るのに役立ち、これにより、吸盤100のリアルタイム制御を成し遂げる。なお、吸盤100のための空気制御システムのすべては同一であるが、レチクル600の形状修正の間、吸盤100の全てが運転中であるというわけではない。したがって、それぞれの吸盤100のリアルタイム制御を達成するために、空気制御システムは、自動的に、又は、手動で制御されてもよい。
【0030】
好ましくは、吸盤100は、非接触吸盤(non−contact sucker)、すなわち、レチクル600と接触しない吸盤100、である。特に、図4で示すように、本発明に係るそれぞれの非接触吸盤は、底面において、環状排出口(annular outlet)を定義する。環状排出口を介して、ガスが放射状に排出されて、吸盤100の底面の中心の周りに陰圧が発生し、これによりレチクル600が保持される。図5で示すように、ベルヌーイの原理で定められるように、非接触吸盤は非接触輸送と好適な保持の機能を実行する。レチクル600の上に配置される複数の非接触吸盤は、吸盤100とレチクル600との間に、負のリフト力(F1、F2、F3、・・・、Fn)を発生させることができ、レチクル600の重力(G)と効率的にバランスをとって、その重力落下を防止することによって、レチクル600を保持する。
【0031】
好ましくは、取付プレート500は、吸盤100の底面からレチクル600までの距離を制御するためにさらに提供される。取付プレート500が、吸盤100のアセンブリ及び搭載の間に使用され、吸盤100とレチクル600との間の距離を均質化するために機能する。取付プレート500は、ツーリング・プレートとして実施されてもよい。当該使用は、吸盤100の下の場所のレチクル600の上において取付プレート500を動かなく保つこと、全ての搭載された吸盤100がレチクル600の上で同じレベルに位置するように、参照としての取付プレート500のレベルでそれぞれの吸盤100をアセンブリ及び搭載すること、を含む。
【0032】
好ましい具体化において、吸盤100は、図6および図7に示す1つのレイアウト、すなわち、3本の列、に配置される。レチクルパターンを露光させるプロセスの間、レチクル600に固定されたパターンを定義するマスクによって、及び、調整ねじボルト300で吸盤取付フレーム200に取り付けられる吸盤100によって、台形の露光FOV610は妨げられない。吸盤100の底面からレチクル600までの距離は調節可能であり、例えば、2μmの許容範囲を有する2mmに設定されてもよい。吸盤100と空気制御システムの間の機械式インターフェースは、管状糸の形状である。それぞれの吸盤100によって振るわれる力は、それぞれの空気制御システムによって制御されて、維持される。
【0033】
吸盤100の配置の設計において、パターンの露光が吸盤100の位置によって影響を受けないこと確実にするために、レチクルのストロークの全てにおける台形の露光FOV610は、第一に考慮される。その後、吸盤100の数は実際的なニーズによって増減され、使用される吸盤100の数がより少ない場合に、図6の配置が使われてもよい。図6の配置において、吸盤100により提供される力の分配を図8に示す。1つの吸盤によって振るわれる力は、以下のファクターによって決定されてもよい。(1)隣接する吸盤の数。(2)吸盤が作用するレチクルの位置。(3)レチクルが走査される全てのストロークに沿った動作条件。一つの実施態様において、吸盤100の力は、シミュレーション結果の実験的な確認と較正に基づいて決定される。したがって、本発明に係る吸盤100の分布の原則は、どんなサイズのレチクルの形状修正にでも適用できる。吸盤100の数に制限がない場合、互いにずらして配置された3列の吸盤100がレチクルの上に配列された、図7の配置が使われてもよい。本発明の装置は、±1μmの範囲の中で制御された非平坦度で、良いレチクル形状の修正効果を成し遂げることができる。当然のことながら、大きなレチクルの形状修正のために使われるとして装置10は上記で説明されたが、本発明は、レチクル600のどんな特定のサイズにも限定されず、どんなサイズのレチクル600の形でも修正するのに用いることができる。
【0034】
好ましくは、シミュレーション分析に基づいて吸盤100を制御することによって、レチクル600の形状修正は、達成されてもよい。一つの実施例では、レチクル600は、750mm×650mmの効果的パターン領域、及び、280mm×650mmの露光FOVの領域において、920mm×800mmの大きさに設定される。
【0035】
具体的には、まず、図6の吸盤100は、左から右に向かって、以下のように番号が付けられる。
列1:101、102、103;
列2:201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214;
列3:301、302、303。
表1に、番号が付けられた吸盤100の定められたリフト力をまとめる。
【表1】
【0036】
シミュレーション分析がレチクルのストロークの全てを考慮したので、レチクルはストロークにおける対応する位置において異なる吸盤100によってリフト力が与えられた。ストロークにおけるレチクルのアドバンスメントの間、いくつかの吸盤100は、レチクルの端に部分的に重なった。そのような部分的な重なり合うケースでは、シミュレーション分析を実行したソフトウェアに、吸盤100の実際に測定されたリフト力は、フィードバックされた。すべてのレチクルの走査プロセスの訂正結果を、表2、図9a及び図9bに示す。表2において、シミュレーション識別子は、使用されたシミュレーション・モデルの名称であり、特別な意味を持たない。mmで測られたX−位置は、長さ1200mmである全てのレチクル走査ストロークにおける位置を表す。吸盤が対称に配置されているため、ストロークの2分の1だけ、すなわち600mm、を考慮することができ、残りの600mmは同じ結果を生む。したがって、正確に、X−位置は長さ600mmの走査ストローク部分に沿った位置である。最低及び最大の下方移動量、μmで測られる、は、X−位置で測定され、それぞれの正の値は過大補正(excessive compensation)を示し、それぞれの負の値は不十分な補正(insufficient compensation)を示す。
【0037】
上記の説明から明らかであるように、吸盤100による保持は、レチクル600の下方移動量を、全ての走査/露光ストロークにおける位置の間で最悪の補正結果となる位置に一致する、−3.6から0.35μmの範囲と、−0.5から2.2μmの範囲とに制御することができる。これらの位置の一方において、レチクルは−3.6μmの最大の下方移動量と0.35μmの最小の下方移動量(過大補正)を経験し、他方の位置において、レチクルは−0.5μmの最大の下方移動量と2.2μmの最小の下方移動量を経験した。垂直方向のウエハステージのクローズド−ループ・サーボ制御を考慮されたならば、露光FOVのレチクルの重力に起因する下方移動量は±2μmの範囲でコントロールされるであろう。
【表2】
【0038】
要約すると、本発明は、大きなレチクルのレチクル形状修正装置に関し、レチクル形状修正装置は、吸盤100、吸盤取付フレーム200、及び、空気制御システムを備え、吸盤取付フレーム200は、レチクルステージ700の上に配置され、吸盤100は、互いに離間して、吸盤取付フレーム200の底に取り付けられ、空気制御システムは、吸引によってレチクルを保持し、離す吸盤100の動作を制御するように構成されている。先行技術と比較して、本発明は、以下の利点を提供する。
1.吸盤100はレチクル600の台形の露光FOV610を妨げず、これにより、レチクルの上への光線の完全な(100%)入射を可能にし、改善された露光効率を得ることができる。
2.複数の吸盤100は、それぞれの空気制御システムによって互いに独立して制御され、レチクルの反りの修正を助ける。
3.レチクル形状修正装置は、当該レチクル形状修正装置が用いられるフォトリソグラフィー・ツールとは別に、搭載され、レチクルへの重量負荷を低減できる。
4.レチクル形状周世装置は、フォトリソグラフィー・ツールに配置されている何れの構成要素とも接触しておらず、更なる外部振動をフォトリソグラフィー・ツールにもたらさない。
5.吸盤100によって発生されるガスの流れは、水銀灯の光の照射のためにレチクル面で発生する熱を放散させ、レチクルの熱変形を低減し、これにより、イメージング品質の改善を達成できる。
6.ガスの流れはレチクルから可能性がある小片又は他の障害物を除去し、それによって露光精度を向上する。
【0039】
当業者が発明の思想と範囲から逸脱することなく本発明に様々な修正変更をすることができることは、明らかである。したがって、本発明が添付の請求項とその等価物の範囲内のものとしてすべてのそのような修正変更を包含することが意図されている。
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9a
図9b