特許第6392362号(P6392362)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6392362
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】靴下等の着用補助具
(51)【国際特許分類】
   A47G 25/90 20060101AFI20180910BHJP
【FI】
   A47G25/90
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-546200(P2016-546200)
(86)(22)【出願日】2014年9月1日
(86)【国際出願番号】JP2014072887
(87)【国際公開番号】WO2016035115
(87)【国際公開日】20160310
【審査請求日】2017年6月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000129297
【氏名又は名称】株式会社キザキ
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木崎 満男
(72)【発明者】
【氏名】丸山 三徳
【審査官】 山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−61259(JP,A)
【文献】 米国特許第2828057(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 25/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の基柱が上部にアーチ状の連結材を備えて一体に形成された基体部と、前記基体部の一方の側に設けられる枠体部と、前記基体部の他方の側に設けられる操作部とを備える靴下等の着用補助具であって、
前記枠体部は、前記両基柱に固定される固定枠と、前記基柱を挿通する回動軸に羽根体を設けた一対の回動枠とからなり、
前記操作部は、前記回動軸を回動するハンドルと、前記回動を停止するための固定手段を備えていることを特徴とする靴下等の着用補助具。
【請求項2】
前記固定枠が、一本の棒材をアーチ状に湾曲して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の靴下等の着用補助具。
【請求項3】
前記固定枠が、前記回動軸の先端部を回動可能に軸支する軸受を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の靴下等の着用補助具。
【請求項4】
前記両回動枠が、前記羽根体を前記固定枠の中央部に位置させる閉の状態と、前記羽根体を上方に向けて位置させる開の状態との間で、前記羽根体を内側に向けて回動することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の靴下等の着用補助具。
【請求項5】
前記羽根体の設けられる位置が、前記回動軸の略全長の間に留まらず、前記軸受よりも先端側に突出していることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の靴下等の着用補助具。
【請求項6】
前記羽根体の回動半径が、根元部で大きく、先端部で小さく形成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の靴下等の着用補助具。
【請求項7】
前記固定手段が、ラチェット及び解除レバーを備えるものであることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の靴下等の着用補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は靴下等の着用補助具に関し、特に、下肢の静脈環流障害やリンパ環流障害などの疾患者が用いる医療用靴下を着用するための着用補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、図9に示すように、高齢者や身体障害者などのために、独りでも楽に靴下を履くことができる靴下等の着用補助具110が提案されている。この靴下等の着用補助具110は、使用者の手前側から奥に向かって、左右対称の棒状基部121を突出させて、その先端に円弧状の拡開部123を設けたものである。使用者は、靴下の口部を拡開部123に係止させておくことにより、腰を屈めたり、下肢を曲げたりすることなく、自分で靴下を履くことができる。
【0003】
特許文献2には、静脈環流障害やリンパ環流障害により太くなった下肢を改善するために着用する医療用のストッキングが記載されている。すなわち、このストッキングは、下肢を周囲から強く圧迫するものであり、特に、足首に近い方を最も強く圧迫し、大腿部に向かって段階的に圧迫力が弱くなるように設計されている。そして、このストッキングを着用することにより静脈やリンパの還流を促進することができる。
しかし、このようなストッキングは、下肢を強く圧迫するために、非常に強い弾性力を備えて収縮した状態で形成されている。このため、着用するには、強い力で拡開することが必要であり、女性や高齢者には大きな苦痛となっている。
【0004】
特許文献3には、このような医療用のストッキングの着用を補助する着用補助具が記載されている。図10に示すように、この着用補助具210は、次第に直径が変化する筒状の枠体221が二分割可能に形成され、大径側の端部には鍔部223が形成されている。また、この着用補助具210に、ストッキングを装着するために、装着装置が別途用意されており、梃子の原理を応用して小さな力でも装着することができる。
【0005】
ストキングは、着用補助具210の小径側の端部から枠体221全体を覆うように装着され、大径側の鍔部223にストッキングの口部を係止して固定することができる。
使用者は、大径側の端部から足先を挿入して、枠体221から少しずつストッキングを外しながら、着用補助具210を徐々に脚部に引き上げて、着用することができる。着用した後、着用補助具210を、二分割して外すことが記載されている。このようにして、着用に強い力を必要とする医療用のストッキングを、女性や高齢者でも、容易に着用することができる。
【0006】
しかしながら、靴下等を着用するために、着用補助具210とともに装着装置を使用しなければならないので、全体として高額の費用が必要となる。また、装着装置の操作は、着用補助具210を装着装置にセットし、次に、ストッキングをガイドに装着し、次に、レバーを操作してガイドを拡開し、次に、ストッキングをガイドから着用補助具210に移動させるなど、非常に複雑な工程となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−105292号公報
【特許文献2】実開平3−85025号公報
【特許文献3】特開2011−4875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、医療用の靴下等を、女性や高齢者でも容易に着用することができる、靴下等の着用補助具を提供することにある。また、他の器具を使用することなく、力の弱い人でも容易に拡開可能であり、簡単な構造で手軽に用いることができる靴下等の着用補助具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に係る靴下等の着用補助具は、一対の基柱が上部にアーチ状の連結材を備えて一体に形成された基体部と、前記基体部の一方の側に設けられる枠体部と、前記基体部の他方の側に設けられる操作部とを備える靴下等の着用補助具であって、前記枠体部は、前記両基柱に固定される固定枠と、前記基柱を挿通する回動軸に羽根体を設けた一対の回動枠とからなり、前記操作部は、前記回動軸を回動するハンドルと、前記回動を停止するための固定手段を備えている手段を採用している。
【0010】
また、本発明の請求項2に係る靴下等の着用補助具は、請求項1に係る靴下等の着用補助具であって、前記固定枠が、一本の棒材をアーチ状に湾曲して形成されている手段を採用している。
また、本発明の請求項3に係る靴下等の着用補助具は、請求項1又は2に係る靴下等の着用補助具であって、前記固定枠が、前記回動軸の先端部を回動可能に軸支する軸受を備えている手段を採用している。
【0011】
また、本発明の請求項4に係る靴下等の着用補助具は、請求項1乃至3の何れか1項に係る靴下等の着用補助具であって、前記両回動枠が、前記羽根体を前記固定枠の中央部に位置させる閉の状態と、前記羽根体を上方に向けて位置させる開の状態との間で、前記羽根体を内側に向けて回動する手段を採用している。
また、本発明の請求項5に係る靴下等の着用補助具は、請求項1乃至4の何れか1項に係る靴下等の着用補助具であって、前記羽根体の設けられる位置が、前記回動軸の略全長の間に留まらず、前記軸受よりも先端側に突出している手段を採用している。
【0012】
また、本発明の請求項6に係る靴下等の着用補助具は、請求項1乃至5の何れか1項に係る靴下等の着用補助具であって、前記羽根体の回動半径が、根元部で大きく、先端部で小さく形成されている手段を採用している。
また、本発明の請求項7に係る靴下等の着用補助具は、請求項1乃至6の何れか1項に係る靴下等の着用補助具であって、前記固定手段が、ラチェット及び解除レバーを備えるものである手段を採用している。
【発明の効果】
【0013】
本発明の靴下等の着用補助具を使用することにより、医療用の靴下等を、女性や高齢者でも容易に着用することができる。そして、他の器具を必要とすることなく、力の弱い人でも容易に拡開可能であり、簡単な構造で手軽に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の靴下等の着用補助具を示す斜視図であって、回動枠を閉じた状態を示している。
図2】本発明の靴下等の着用補助具を示す斜視図であって、回動枠を開いた状態を示している。
図3】固定枠を示す概略図であって、平面、正面、側面を示している。
図4】回動枠を示す概略図であって、閉じた状態における平面、正面、側面を示している。
図5】回動枠を示す概略図であって、開いた状態における平面、正面、側面を示している。
図6】操作部を示す概略図であって、ハンドル及び回動枠の開閉を示している。
図7】靴下等を装着した状態を示す概略図であって、閉じた状態から開いた状態への変化を示す。
図8】開いた状態における着用補助具の概略平面図を示す。
図9】従来の靴下等の着用補助具の一例を示す概略図である。
図10】従来の靴下等の着用補助具の他の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1及び図2により、本発明の靴下等の着用補助具10の概要を説明する。
靴下等の着用補助具10は、基体部20と、基体部20の一方の側に設けられる枠体部30と、基体部20の他方の側に設けられる操作部50とを備えている。基体部20は、一対の基柱21が、その上部にアーチ状の連結材25を備えて一体に形成されている。靴下等を着用する際には、基体部20を膝に位置させるので、両基柱21の間は膝が収まる寸法としている。また、靴下等の弾力性によって両基柱21の間には強い力が働くので、アーチ状の連結材25には、変形しないように剛性の高い素材を用いる。
【0016】
枠体部30は、両基柱21に固定される固定枠31と、基柱21を挿通する回動軸45に羽根体46を設けた一対の回動枠41とからなっている。操作部50は、回動軸45を回動するハンドル51と、回動を停止させるための固定手段60を備えている。ハンドル51を操作することによって回動枠41が回動する。すなわち、回動軸45を中心として羽根体46が回動する。
図1は、羽根体46を固定枠31の中央部に位置させた「閉の状態」を示し、図2は、羽根体46を上に向けて位置させた「開の状態」を示している。「閉の状態」は、靴下等を枠体部30に装着するときの状態であり、「開の状態」は、使用者が靴下等を着用するときの状態である。
【0017】
図3により、固定枠31について説明する。
固定枠31は、一本の棒材をアーチ状に湾曲して形成され、両端部がそれぞれ、基柱21に固定されている。固定枠31の形状は、単に平面的に湾曲するだけでも形成することができるが、上下方向の湾曲を加えて複雑に形成されている。
【0018】
先端の湾曲部37は、アーチ状であるとともに下に向けて少し湾曲している。これは、着用の際に足を載せて安定した姿勢とするためである。また、足先に着用した後に、踵を滑らせて、湾曲部37の上を足が通過し易い形状としているためである。
基柱21の近くも下向きに湾曲されて、湾曲部38が形成されている。これは、靴下等を装着する際に、靴下等の口部近傍を係止させるためである。
なお、固定枠31には、回動軸45の先端部を回動可能に軸支するために、一対の軸受35が設けられている。
【0019】
図4及び図5により、回動枠41について説明する。
一対の回動枠41は、回動軸45に羽根体46を設けて形成されている。図4は、一対の羽根体46を相互に近接させた「閉の状態」を示し、図5は、両羽根体46を上に向けた「開の状態」を示している。
【0020】
回動軸45は、基柱21に設けられた図示しない軸孔に挿通され、固定枠31に沿って位置するとともに、先端部が固定枠31に設けられた筒状の軸受35によって回動可能に軸支されている。そして、操作部50のハンドル51等を操作することによって回動するようになっている。
【0021】
羽根体46は、2本の棒材を用いて形成された主羽根47及び補助羽根48からなっている。主羽根47及び補助羽根48は、それぞれの両端部が回動軸45に固定されるとともに、接続部49において相互に接続されている。そして、羽根体46は、回動軸45に対して回動半径の小さい先端部42と、回動半径の大きい根本部43とを備えている。補助羽根48は、主羽根47とともに根本部43を構成している。回動半径の小さい先端部42は、靴下等において弾力性が最も強い足首部を拡開する部分であり、回動半径の大きい根本部43は、靴下等の直径が最も大きくなる大腿部等を拡開する部分となる。
【0022】
先端部42において、主羽根47は軸受35よりも先端側に突出して設けられ、固定枠31と同程度の長さに形成されている。これによって、羽根体46の設けられる位置が、前記回動軸45の略全長の間に留まらず、軸受け35よりも先端側に突出して設けられることになる。先端部42は、固定枠31の湾曲部37とともに、靴下等の足首部を拡開する。
主羽根47及び補助羽根48によって形成される根本部43は、開の状態としたとき、円弧状をなして靴下等の最も太い部分を大きく拡開するようになっている。根本端部44は、靴下等の口部を係止する部分となる。
【0023】
図6には、操作部50を閉の状態で示すとともに、ハンドル51及び回動枠41の動きを矢印で示し、開の状態を鎖線で示している。基柱21を挿通する一対の回動軸45は、端部にハンドル51が取り付けられている。ハンドル51を矢印の方向に回動すると、ハンドル51及び回動枠41が鎖線で示す位置まで回動する。すなわち、閉の状態から開の状態とすることができる。
【0024】
しかし、靴下等を装着した状態では、靴下等の弾性力によって圧迫されるので、開の状態に留めておくことが困難であり、逆転して閉の状態に戻ろうとする。
そこで、逆転を防止して開の状態を保持するための装置が必要であり、固定手段60を設けている。固定手段60としては、開の状態を保持することが可能であれば、如何なる装置でも用いることができる。例えば、基柱21に爪などの係止部を設けて、開の状態でハンドル51の一部を係止させることができれば、これは固定手段60となる。
【0025】
ここでは、固定手段60としてラチェット機構を使用した場合を示している。ラチェット機構は、機械工学における一般的な機械要素であるから、これについて説明する必要はないであろう。この固定手段60は、箱体の中につめ車、つめ、スプリング等を組み込ませたものであり、図の矢印の方向には回動させることができるが、短いピッチで逆転を防止することができる。そして、解除レバー61を操作することによって、元の位置に戻すことができる。ラチェット機構を使用することにより操作が単純になり、左右のハンドル51を同時に開くことが可能であり、靴下等の着用を楽に行うことができる。
【0026】
なお、ラチェット機構を備える固定手段60とは別に、ハンドル51の可動範囲は適宜ピン等によって制限されていることが好ましい。
また、ハンドル51は、柄の長さを伸縮可能に形成して、普段はコンパクトに収納した状態とし、使用するときのみ伸ばした状態とすることが好ましい。図6において、破線で示したハンドル51は伸ばした状態である。
【0027】
図7は、靴下等の着用補助具10に、靴下を装着した状態を示している。靴下等の着用補助具10は、閉の状態(上図)では、枠体部30が非常にコンパクトになるので、女性や老人でも比較的容易に靴下を装着することができる。靴下の口部に、固定枠31の湾曲部37及び回動枠41の先端部42を差し込み、基体部20に接触するまで滑らせると、靴下の上半部が固定枠31の湾曲部38によってソフトに係止されるとともに、靴下の口部を根元端部44に係止することができる。
【0028】
ハンドル51を回動して、開の状態(下図)とすることによって、小さな力で、靴下を大きく拡開することができる。このとき、靴下等の着用補助具10は、図2又は図8に示すような状態であり、靴下の左右は固定枠31及び回動枠41によって大きく拡開され、トンネル状の空間が形成されることになる。したがって、使用者は、両手でハンドル51を握り、容易に下肢を靴下の中に差し入れることができる。
【0029】
使用者は、靴下が装着された靴下等の着用補助具10に下肢を差し入れ、固定枠31の湾曲部37に足を載せて、靴下を足先部に着用する。次に、湾曲部37の上を乗り越えるようにして足を突き出し、足全体への着用を行う。図8から理解できるように、下肢の動きに対して制限となるのは、両サイドの部材を除けば、手前の連結材25と先端の湾曲部37のみである。そして、両サイド間の距離に対して、連結材25と湾曲部37との距離は2倍以上となっているので、容易に下肢を挿入することができる。
【0030】
足全体への着用は、靴下等の着用補助具10を下腿から上腿に向けて少しずつ引き上げて行き、引き上げるにしたがって、連結材25を下肢から遠ざけて行くことになる。着用が終わった時点で、靴下等の着用補助具10の下側から上側に向けて、大腿部を差し込んだ状態となっている。したがって、靴下等の着用補助具10から下肢を引き抜くことによって、着用作業が終了することになる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の靴下等の着用補助具10は、従来は着用することが難しかった医療用の靴下等を容易に着用することが可能であり、特に女性や老人などのように力の弱い人でも、楽に着用することができる。また、医療用の靴下等に限らず、通常の靴下等を身体障害者などが着用するような場合にも着用が楽になるので、幅広く使用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10