特許第6392377号(P6392377)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ インテル コーポレイションの特許一覧

特許6392377干渉キャンセレーション及び抑制受信機を利用したCSIエンハンスメントのためのユーザ装置及び方法
<>
  • 特許6392377-干渉キャンセレーション及び抑制受信機を利用したCSIエンハンスメントのためのユーザ装置及び方法 図000003
  • 特許6392377-干渉キャンセレーション及び抑制受信機を利用したCSIエンハンスメントのためのユーザ装置及び方法 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6392377
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】干渉キャンセレーション及び抑制受信機を利用したCSIエンハンスメントのためのユーザ装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 88/02 20090101AFI20180910BHJP
   H04W 24/10 20090101ALI20180910BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20180910BHJP
【FI】
   H04W88/02 151
   H04W24/10
   H04W72/04 136
【請求項の数】17
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-572688(P2016-572688)
(86)(22)【出願日】2015年5月27日
(65)【公表番号】特表2017-521925(P2017-521925A)
(43)【公表日】2017年8月3日
(86)【国際出願番号】US2015032534
(87)【国際公開番号】WO2015199869
(87)【国際公開日】20151230
【審査請求日】2016年12月12日
(31)【優先権主張番号】62/015,903
(32)【優先日】2014年6月23日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/573,164
(32)【優先日】2014年12月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】593096712
【氏名又は名称】インテル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィドフ,アレクセイ
(72)【発明者】
【氏名】チェ,キ ワン
(72)【発明者】
【氏名】モロゾフ,グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】セルゲイエフ,ヴァディム
(72)【発明者】
【氏名】ボロティン,イリヤ
【審査官】 望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−517741(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0003267(US,A1)
【文献】 Intel Corporation,Discussion on CQI enhancement for NAICS,3GPP TSG-RAN WG1 #77 R1-142015,2014年 5月10日
【文献】 Nokia Corporation, NSN,Discussion on higher layer signalling and blind detection in NAICS,3GPP TSG-RAN WG4 #71 R4-143342,2014年 5月12日
【文献】 LG Electronics,Link performance for NAICS receiver with blind detection under DMRS based transmission mode,3GPP TSG-RAN WG4 #70b R4-141832,2014年 4月 9日
【文献】 Ericsson,NAICS functionality, robustness, and configurability,3GPP TSG-RAN WG1 #77 R1-142322,2014年 5月10日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W4/00−H04W99/00
H04B7/24−H04B7/26
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ装置(UE)であって、
eNB(進化型Node B)と通信するための無線送受信機と、
処理回路と、
を有し、
前記処理回路は、
前記eNBから受信されるPDSCH(Physical Downlink Shared Channel)を復調
前記eNBから受信されるリファレンス信号に基づきチャネル品質インジケータ(CQI)を計算
前記eNBから受信されるネットワーク支援干渉キャンセレーション(NAICS)シグナリングを利用して、PDSCHの復調中に干渉を推定することによって前記CQIを修正し、
前記PDSCHのリソース割当てを含むよう拡張されるCSIリファレンスリソースの定義により前記修正されたCQIを含むCSI(Channel State Information)レポートを前記eNBに送信するよう前記送受信機を設定するUE。
【請求項2】
前記処理回路は、干渉信号のパラメータに関連する近傍セルからの上位レイヤシグナリング支援を利用し、最も受信した確率が高いパラメータを決定するために可能なパラメータをスキャンすることによって、前記PDSCHの割当てに存在するリファレンス信号から干渉有効チャネルを推定し、前記PDSCH内の干渉信号パラメータを推定することによって、PDSCHの復調中に実行される干渉推定に基づき前記CQIを修正する、請求項1記載のUE。
【請求項3】
前記処理回路は、前記eNBにより規定されるCSIリファレンスリソースが前記PDSCHのリソース割当てと時間及び周波数において完全に重複する場合、前記修正されたCQIを含むCSIレポートを前記eNBに送信するよう前記送受信機を設定する、請求項1記載のUE。
【請求項4】
前記処理回路は、前記eNBにより規定されるCSIリファレンスリソースが前記PDSCHのリソース割当てと完全には重複しない場合、無修正のCSIによるCSIレポートを前記eNBに送信するよう前記送受信機を設定する、請求項記載のUE。
【請求項5】
前記CSIリファレンスリソースにスケジューリングされたPDSCHがない場合、前記処理回路は、前記修正されたCQIを含まないCSIレポートを前記eNBに送信するよう前記送受信機を設定する、請求項記載のUE。
【請求項6】
前記処理回路は、前記PDSCHのリソース割当てに限定されるCSIリファレンスリソースの定義により前記修正されたCQIを含むCSIレポートを前記eNBに送信するよう前記送受信機を設定する、請求項1記載のUE。
【請求項7】
前記処理回路は、前記PDSCHのリソース割当てに拡張されたCSIリファレンスリソースの定義により前記修正されたCQIを含むCSIレポートを前記eNBに送信するよう前記送受信機を設定し、前記CSIレポートは、ターゲットBLER(Block Error Rate)を充足するため、前記UEにおいて推定される最も高いMCSと実際に割り当てられたMCSとの間の差を示すデルタMCS(Modulation and Coding Scheme)として前記修正されたCQIを含む、請求項1記載のUE。
【請求項8】
ユーザ装置(UE)の動作方法であって、
eNBから受信されるPDSCH(Physical Downlink Shared Channel)を復調
前記eNBから受信されるリファレンス信号に基づきチャネル品質インジケータ(CQI)を計算
前記eNBから受信されるネットワーク支援干渉キャンセレーション(NAICS)シグナリングを利用して、PDSCHの復調中に干渉を推定することによって前記CQIを修正し、
前記PDSCHのリソース割当てを含むよう拡張されるCSIリファレンスリソースの定義により前記修正されたCQIを含むCSI(Channel State Information)レポートを前記eNBに送信する、
ことを含む方法。
【請求項9】
干渉信号のパラメータに関連する近傍セルからの上位レイヤシグナリング支援を利用し、最も受信した確率が高いパラメータを決定するために可能なパラメータをスキャンすることによって、前記PDSCHの割当てに存在するリファレンス信号から干渉有効チャネルを推定し、前記PDSCH内の干渉信号パラメータを推定することによって、PDSCHの復調中に実行される干渉推定に基づき前記CQIを修正することを更に有する、請求項記載の方法。
【請求項10】
前記eNBにより規定されるCSIリファレンスリソースが前記PDSCHのリソース割当てと時間及び周波数において完全に重複する場合、前記修正されたCQIを含むCSIレポートを前記eNBに送信することを更に有する、請求項記載の方法。
【請求項11】
前記eNBにより規定されるCSIリファレンスリソースが前記PDSCHのリソース割当てと完全には重複しない場合、無修正のCSIによるCSIレポートを前記eNBに送信することを更に有する、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記CSIリファレンスリソースにスケジューリングされたPDSCHがない場合、前記修正されたCQIを含まないCSIレポートを前記eNBに送信することを更に有する、請求項記載の方法。
【請求項13】
前記PDSCHのリソース割当てに限定されるCSIリファレンスリソースの定義により前記修正されたCQIを含むCSIレポートを前記eNBに送信することを更に有する、請求項記載の方法。
【請求項14】
前記PDSCHのリソース割当てに拡張されたCSIリファレンスリソースの定義により前記修正されたCQIを含むCSIレポートを前記eNBに送信することを更に有し、前記CSIレポートは、ターゲットBLER(Block Error Rate)を充足するため、前記UEにおいて推定される最も高いMCSと実際に割り当てられたMCSとの間の差を示すデルタMCS(Modulation and Coding Scheme)として前記修正されたCQIを含む、請求項記載の方法。
【請求項15】
ユーザ装置(UE)のプロセッサに、
近傍セルからのネットワーク支援干渉キャンセレーション抑制(NAICS)の上位レイヤシグナリング支援を利用して、eNBから受信されるPDSCH(Physical Downlink Shared Channel)の復調中に干渉を推定させ
前記eNBから受信されるリファレンス信号に基づきチャネル品質インジケータ(CQI)を計算させ、前記CQIは前記推定された干渉に従って修正され
前記PDSCHのリソース割当てを含むよう拡張されるCSIリファレンスリソースの定義により前記修正されたCQIを含むCSI(Channel State Information)レポートを前記eNBに送信させるプログラム。
【請求項16】
前記プロセッサに更に、最も受信した確率が高いパラメータを決定することによって可能なパラメータをスキャンすることによって前記PDSCHの割当てに存在するリファレンス信号から干渉有効チャネルを推定し、前記PDSCH内の干渉信号パラメータを推定することによって、PDSCHの復調中に実行される干渉推定に基づき前記CQIを修正させる、請求項15記載のプログラム。
【請求項17】
請求項15又は16記載のプログラムを記憶するコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、それぞれが参照することによってその全体がここに援用される、2014年12月17日に出願された米国特許出願第14/573,164号に対する優先権の利益を主張し、2014年6月23日に出願された米国仮特許出願第62/015,903号に対する優先権の利益を主張する。
【0002】
実施例は無線通信に関する。一部の実施例は、3GPP LTE及びLTE−A規格に従って動作するネットワークを含むセルラネットワークに関する。一部の実施例は、スモールセル配置に関する。一部の実施例は、5Gセルラネットワークに関する。
【背景技術】
【0003】
LTE(ロングタームエボリューション−アドバンスト、すなわち、LTE−Aを含むロングタームエボリューション)では、基地局(LTEの用語では進化型Node B、すなわち、eNB)は、送信電力及び変調符号化方式(MCS)などの端末(LTEの用語ではユーザ装置、すなわち、UE)にデータを送信するのに利用される送信パラメータが動的に調整されるチャネルに依存したスケジューリング及びリンクアダプテーションを実行する。このため、UEは、CSIレポートの形式でチャネル状態情報(CSI)をeNBに提供する。UEによるCSIの正確な報告は、ダウンリンクの有効なリンクアダプテーションにとって不可欠である。本開示の主な関心は、CSI報告がNAICS(Network Assisted Interference Cancellation and Suppression)受信機を備えたUEによってどのように実行されるかである。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1図1は、一部の実施例によるLTEシステムにおけるコンポーネントの具体例を示す。
図2図2は、一部の実施例によるチャネル品質インジケータを導出するNAICS能力を備えたUEが従う手順の具体例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0005】
以下の説明及び図面は、当業者が実施することを可能にするのに十分に特定の実施例を示す。他の実施例は、構造的、論理的、電気的処理及び他の変更を含むものであってもよい。一部の実施例の部分及び特徴は、他の実施例のものに含まれてもよいし、あるいは、置換されてもよい。請求項に与えられる実施例は、これらの請求項の全ての利用可能な均等を網羅する。
【0006】
LTEネットワークのキャパシティを向上させるため、セル分割ゲイン及びMU−MIMO(Multi−User Multi−Input Multi−Output)技術を実現するためのヘテロジーニアスネットワークが利用されてきた。双方のシナリオにおいて、セル間又は一緒にスケジューリングされたセル内ユーザの何れかからの同一チャネル干渉は、より高いネットワークキャパシティを実現する際の支配的な限定要因でありうる。従来のリリース11のシステムでは、端末(LTEの用語ではユーザ装置又はUEとして参照される)における干渉は、送信側の基地局(すなわち、LTEの用語では進化型Node B又はeNB)における協調多地点技術(CoMP)を利用することによって軽減される。しかしながら、干渉の空間的性質を考慮することによるUEにおける干渉軽減がまたスペクトル効率のゲインを提供しうることが示された。具体例は、いわゆる、MMSE−IRC(Minimum Mean Squared Error Interference Rejection)受信機である。
【0007】
受信機側における干渉軽減のための更なるエンハンスメントは、より先進的な受信アルゴリズムを利用することによって実現されてもよく、干渉構造に関する更なる情報を利用してもよい。例えば、受信機は、最尤(ML)又はシンボルレベル干渉キャンセレーション(SLIC)技術を利用した先進的な干渉キャンセレーション及び抑制を実行するため、送信モード、干渉の有無及び変調符号化方式(MCS)などの干渉パラメータを推定してもよい。このような受信機の処理を実行するため、干渉信号のパラメータ(例えば、近傍セルにおいて用いられる電力オフセットのサブセット、送信モードセット、リソース割当て及びプリコーディング粒度など)に関する上位レイヤのシグナリング支援が、eNBによってUEに提供されてもよい。このような受信機は、干渉認識(IA)受信機又は(NAICS)受信機として参照されてもよい。
【0008】
動的なチャネルに依存したスケジューリング及びリンクアダプテーションのため、UEは、CSIレポートの形式でチャネル状態情報(CSI)をeNBに提供する。NAICS受信機を備えたUEによるより正確なCSI報告を可能にするための手段が後述される。
【0009】
図1は、UE100とUE100のためのダウンリンク(DL)及びアップリンク(UL)リソース割当てを提供するサービングeNB200とから構成されるLTEネットワークのコンポーネントの具体例を示す。UE100は、LTEインタフェースを提供するための無線周波数(RF)送受信機102に接続される処理回路101を有する。サービングeNB200は、LTEインタフェースを提供するためRF送受信機202に接続される処理回路201を有する。デバイスにおける各送受信機はアンテナ50に接続される。各デバイスにおける処理回路は、RF送受信機を利用して、無線媒体と媒体へのアクセスを制御するための媒体アクセス制御(MAC)レイヤとを介し信号を送受信する物理レイヤを実現してもよい。UEの処理回路はNAICS受信機を実現してもよい。UEの処理回路は、ここに説明される処理を実行するようUEの各種要素を設定するよう構成されるメモリを有してもよい。
【0010】
地理的に近傍のセルにサービス提供する近傍eNB300がまた図1に示される。サービングeNB200及び近傍eNB300は、X2インタフェースを介し通信し、各自のダウンリンク送信を時間同期させてもよい。近傍eNB300のダウンリンク送信がサービングeNB200のUE100へのダウンリンク送信と干渉しうる状況が図に示される。UE100の処理回路101は、NAICS能力を備えて構成され、後述されるNAICS能力を考慮してCSIを導出するよう更に構成されてもよい。
【0011】
LTEダウンリンク送信方式は、単一の広帯域周波数選択チャネルを複数の周波数フラットサブチャネルに変換する直交周波数分割多重接続(OFDMA)に基づく。LTEは、特定のマルチアンテナ送信方式がデータ変調の出力からアンテナポートセットへのマッピングとして説明されうるダウンリンク送信のために複数のアンテナを利用する。アンテナマッピングへの入力は、送信時間間隔(TTI)の1つ又は2つのトランスポートブロックに対応する変調シンボル(例えば、QPSK、16QAM、64QAM)から構成され、ここで、トランスポートブロックは、LTE無線アクセスプロトコルスタックの媒体アクセス制御(MAC)と物理レイヤとの間のトランスポートチャネルにデータがどのように編成されるかを参照する。アンテナマッピングの出力は、各アンテナポートのシンボルセットである。これらのシンボルは、OFDM変調器に以降に適用され、当該アンテナポートに対応するOFDM時間周波数グリッドのリソースエレメント(RE)にマッピングされる。REは、何れのダウンリンクリソースがeNBによってUEに割り当てられるかに関してリソースブロック(RB)に編成される。
【0012】
LTEにおいて利用される異なるマルチアンテナ送信方式は、現在10個定義される異なる送信モードに対応する。これらの送信モードは、TM1〜TM10として示され、アンテナマッピングの特定の構成に関して、また何れのリファレンス信号が復調用に利用されると仮定され、CSIがどのようにUEにより取得され、eNBにフィードバックされるかに関して異なる。
【0013】
UEは、ダウンリンクリファレンス信号がダウンリンク時間周波数グリッド内の特定のリソースエレメントを占有する所定の信号である場合、eNBに送信するためのCSI情報を取得するため、ダウンリンクリファレンス信号(RS)を利用する。LTE仕様は、それらが送信され、利用が意図される方法において異なる複数のタイプのダインリンクリファレンス信号を含む。LTEにおいて利用される1つのRSフレームワークはセルに固有のRS(CRS)に基づき、ここで、CRSシーケンスは、全送信帯域幅及びサブフレーム期間にわたって拡散されるサービングセルのセルIDにより決定されるリソースの全てのサブフレーム上で送信される。CRSは、ダウンリンク物理チャネルの復調と共にCSI推定及びフィードバックのために利用されることが意図される。リリース10において導入された他のRSフレームワークは、CSI推定及びフィードバックのための別のCSI−RSと、復調のための復調RS(DM−RS)とを提供する。CSI−RSは、帯域幅全体において設定可能な周期により比較的低い密度で送信され、DM−RSは、特定のUEに割り当てられたリソースブロック(RB)においてのみより高い密度により送信される。リリース11は更に、CSI−IM(CSI−干渉管理)リソースと呼ばれる干渉のより良好な測定のためのCSI−RSフレームワークにおけるツールを導入する。このようなCSI−IMリソースは、eNBによってゼロパワーにより送信されるCSI−RSを含むものであってもよい。
【0014】
UEは、eNBのリクエストで非定期的及び定期的に送信されうるCSIレポートの形式によりそれのサービングeNBにCSI情報を送信する。CSIレポートはチャネル品質インジケーションを含み、ここで、CQIは10%のBLER(Block Error Rate)によりPDSCH(Physical Data Shared Channel)のトランスポートブロック送信を生じさせる最も高いCQIインデックスになるようにLTE仕様によって定義される。TS36.213のSection7.2.3で述べられているように、
【0015】
【表1】
上記のCQIの定義は、報告されたCQIインデックスが、CSIリファレンスリソースに対する干渉をキャンセル及び抑制するためのNAICS能力を含む、全てのUE受信機の処理能力を含むべきであることを意味する。セル内干渉(SU−MIMO)について、NAICSのためのCQI要求はUEによる干渉信号パラメータの知識により容易に実行可能であり、NAICS受信機によるセル間干渉のためのCQIの正確な報告はより問題である。NAICS能力を備えたUEによるCSIのより正確な報告を提供するため取られうる手段が後述される。
【0016】
典型的なUEの実現形態では、CQIのためのセル間干渉は、CSIリファレンスリソースのサービングセルのCRS又はCSI−IM REに対して測定される。原理的には、当該アプローチはNAICS受信機について利用可能である。しかしながら、NAICS受信機のパラメータ推定のためのパラメータ推定信頼性要求はより厳格であり、PRBペア内の利用可能なREの欠落は、NAICSのためのセル間干渉信号パラメータ(例えば、変調オーダ、プリコーディングマトリクスインジケータ、送信電力)の信頼できる推定をより問題にしうる。例えば、TM1−9では、パラメータ推定のための利用可能なREは、PRBペア毎に12REに限定され、TM10について、PRBペア毎に4REに限定される。可能性としては、干渉推定のためのREの個数は増加しうるものであり、このようなエンハンスメント(追加的なオーバヘッドによる有意なパフォーマンスの損失なく)は、CSI−IMベースアプローチについて実現可能でないかもしれない。一実施例では、CSI−IMの利用はTM1〜9に拡張され、1つのCSI−IMリソース毎のより多数のRE(例えば、8,12,16など)が利用される。NAICS処理について好ましい特定のCRSコンフィギュレーション(例えば、サービング及び干渉セルの衝突したCRS)では、サービングセルのCRS REに対して測定される干渉サンプルは、PDSCH上で観察される実際の干渉状態を反映することが留意されるべきである。
【0017】
他の実施例では、UEは、それのNAICS受信能力を利用して、CQIを計算するため干渉を測定する。NAICS受信機は、近傍eNBからの上位レイヤシグナリングを介し受信される信号のパラメータ、干渉有効チャネル、及びシンボルアルファベット、変調オーダ及び送信電力などの受信信号自体から検出される干渉信号に関連する信号パラメータを含みうる、それに利用可能な情報を利用することによってダウンリンク干渉を軽減する。PDSCH復調の間、上位レイヤシグナリングを用いたUEは、CRS(近傍セル上のTM1〜6)及び/又はDM−RS(近傍セル上のTM7〜10)などの近傍セルのリファレンス信号から干渉有効チャネルを推定してもよい。これらのリファレンス信号を復調することによって、UEは、近傍セルにより送信される干渉信号に対応するチャネルを推定してもよい。推定のためUEによって利用されるべきリファレンス信号CRS又はDM−RSは、PDSCHの復調中に決定されてもよい。例えば、各PRBペアについて、UEはまず近傍セルのDM−RSの有無を検出し、DM−RSが存在しない場合にCRSを利用することを試みてもよい。干渉信号パラメータを推定するため、UEは、PDSCHの復調中に以下の手順を実行してもよい。スケジューリングされたPDSCHのRB上で、UEは、有用な信号(サービングセルの制御シグナリングからの既知のパラメータによる)と干渉信号(未知のパラメータによる)との混合を観察する。各RBについて、UEは、干渉セル信号において利用されうる可能なパラメータ(例えば、変調方式)をスキャンし、特定のメトリック(例えば、尤度関数)を最大化する最も可能性のあるものを検出することを試みる。RBがスケジューリングされたPDSCHリソース割当ての外部であるとき、UEは干渉セルとサービングセルとの双方からの信号のパラメータを知らないため、推定は正確でないかもしれない。
【0018】
一実施例では、UEはまず、従来方式において送信されるリファレンス信号からCQIを計算するため干渉を測定する。すなわち、干渉は、適切なリソースエレメントにおいて受信信号からリファレンス信号を差し引いた後の残余を計算することによって、リファレンス信号(例えば、送信モードに依存してCRS又はCSI−RS)に対するノイズとして測定される。UEはまた、この最初の干渉測定の間はTM10により動作する場合、CSI−IMリソースを利用してもよい。その後、干渉測定(又は計算されたCQI)は、以前のパラグラフにおいて説明されるようなPDSCH復調中の干渉有効チャネルと干渉信号パラメータとを決定することによって、UEのNAICS受信能力に従って修正される。
【0019】
他の実施例では、CSIリファレンスリソースの定義は、UEのスケジューリングされたPDSCHリソース割当て(例えば、C−RNTI、すなわち、セル無線ネットワーク一時的識別子に対応する)に拡張される。このようなCSIリファレンスリソースのCSI報告(CQIを含む)は、このとき受信PDSCH及びNAICS受信能力から推定される干渉信号パラメータに従って計算される。CSIリファレンスリソース上にPDSCHがスケジューリングされていない場合、UEは、MMSE−IRC受信能力(すなわち、UEはCQI計算においてNAICS受信機のための上位レイヤシグナリングの支援を利用することが期待されていない)に従うなど、修正されない方式でCQIを報告してもよい。これは、干渉をキャンセル及び抑制するため、実際の干渉状態及び受信処理能力に従って受信機のCQIレポートを実行する。
【0020】
他の実施例では、NAICS受信機を備えたUEによるCQI計算のためのCSIリファレンスリソースの定義は、スケジューリングされたPDSCHにより占有されるリソース割当てのみに拡張される。このとき、PDSCHの復調中、NAICS受信機は、干渉信号のパラメータを推定し、PDSCHリソース割当てに関連するCSIリファレンスリソースの10%のターゲットBLERを導きうる適切なMCSを計算する。PDSCHリソースがCSIリファレンスリソースについて利用可能でない場合、UEにおけるCSI計算は従来のCSI−IM又はCRSベース手順にフォールバックしてもよい。この場合、UEは、NAICS処理を可能にするため提供される上位レイヤシグナリングを考慮することなく、従来のMMSE−IRC受信機を参照してCQIを計算してもよい。すなわち、UEは、CSIリファレンスリソースがスケジューリングされたPDSCHと時間及び周波数において完全には重複しない場合、CQI計算のためのNAICS上位レイヤシグナリングを利用することを期待されないであろう。CSIリファレンスリソースは、CSIリファレンスリソースの時間周波数リソースがPDSCHに割り当てられたリソースのサブセットである場合、PDSCHと完全にオーバラップする。
【0021】
他の実施例では、CSIリファレンスリソースの定義は、スケジューリングされたPDSCHのリソース割当てに限定される。この場合、UEは、このようなCSIリファレンスリソースのCSIレポートを提供する。他の実施例では、CSIリファレンスリソースの定義は、スケジューリングされたPDSCHのリソース割当てに拡張され、UEはδMCSレポートを提供する。δMCSレポートは、ターゲットトランスポートブロックエラーレート(BLER)が10%を超過しないことを充足するため、UEにおいて推定される最も高いMCSと実際に割り当てられたMCSとの間の差を示す。
【0022】
図2は、定期的に又はサービングeNBからのリクエストに応答して生成されるCSIレポートに含めるためのCQIを導出するNAICS能力を備えたUEが従う手順の具体例を示す。ステージS1において、UEは、eNBから受信されるリファレンス信号に基づきCQIを導出する。ステージS2において、UEは、PDSCH割当てがCSIリファレンスリソースに含まれるか判断する。含まれない場合、UEは、ステージS3において、導出されたCQIを含むCSIレポートを送信する。含まれる場合、UEは、ステージS4において、干渉信号のパラメータ及び/又は干渉チャネルに関連するPDSCH復調中に導出される情報によって導出されたCQIを変更する。ステージS5において、変更されたCQIを含むCSIレポートがeNBに送信される。
【0023】
具体的な実施例
具体例1において、ユーザ装置(UE)の動作方法であって、eNBから受信されるPDSCH(Physical Downlink Shared Channel)を復調するステップと、eNBから受信されるリファレンス信号に基づきチャネル品質インジケータ(CQI)を計算するステップと、eNBから受信されるネットワーク支援干渉キャンセレーション(NAICS)シグナリングを利用して、PDSCHの復調中に干渉を推定することによってCQIを修正するステップとを有する方法。
【0024】
具体例2において、具体例1の主題は、任意的には、干渉信号のパラメータに関連する近傍セルからの上位レイヤシグナリング支援を利用し、最も受信した確率が高いパラメータを決定するために可能なパラメータをスキャンすることによって、PDSCHの割当てに存在するリファレンス信号から干渉有効チャネルを推定し、PDSCH内の干渉信号パラメータを推定することによって、PDSCHの復調中に実行される干渉推定に基づきCQIを修正するステップを有してもよい。
【0025】
具体例3において、上記具体例の何れかの主題は、任意的には、修正されたCQIを含むCSI(Channel State Information)レポートをeNBに送信するステップを有してもよい。
【0026】
具体例4において、上記具体例の何れかの主題は、任意的には、eNBにより規定されるCSIリファレンスリソースがPDSCHのリソース割当てと時間及び周波数において完全に重複する場合、修正されたCQIを含むCSIレポートをeNBに送信するステップを有してもよい。
【0027】
具体例5において、上記具体例の何れかの主題は、任意的には、eNBにより規定されるCSIリファレンスリソースがPDSCHのリソース割当てと完全には重複しない場合、修正されたCSIを含まないCSIレポートをeNBに送信するステップを有してもよい。
【0028】
具体例6において、上記具体例の何れかの主題は、任意的には、PDSCHのリソース割当てを含むよう拡張されるCSIリファレンスリソースの定義により修正されたCQIを含むCSIレポートをeNBに送信するステップを有してもよい。
【0029】
具体例7において、上記具体例の何れかの主題は、任意的には、CSIリファレンスリソースにスケジューリングされたPDSCHがない場合、無修正のCQIによるCSIレポートをeNBに送信するステップを有してもよい。
【0030】
具体例8において、上記具体例の何れかの主題は、任意的には、PDSCHのリソース割当てに限定されるCSIリファレンスリソースの定義により修正されたCQIを含むCSIレポートをeNBに送信するステップを有してもよい。
【0031】
具体例9において、上記具体例の何れかの主題は、任意的には、PDSCHのリソース割当てに拡張されたCSIリファレンスリソースの定義により修正されたCQIを含むCSIレポートをeNBに送信するステップを有してもよく、CSIレポートは、10%のターゲットBLER(Block Error Rate)を充足するため、UEにおいて推定される最も高いMCSと実際に割り当てられたMCSとの間の差を示すデルタMCS(Modulation and Coding Scheme)として修正されたCQIを含む。
【0032】
具体例10において、UEは、eNB(進化型Node B)と通信するための無線送受信機と、具体例1〜9に記載された方法の何れかを実行する処理回路とを有する。
【0033】
具体例11において、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、UEに具体例1〜9に記載される方法の何れかを実行するよう設定するための処理を実行するためUEの1つ以上のプロセッサによる実行用の命令を含む。
【0034】
上記の詳細な説明は、詳細な説明の一部を構成する添付図面の参照を含む。図面は、例示のため、実施可能な特定の実施例を示す。これらの実施例はまた、“具体例”としてここでは参照される。このような具体例は、図示又は説明されたものに加えて要素を含むものであってもよい。しかしながら、図示又は説明された要素を含む具体例がまた想定される。さらに、特定の具体例(又は1つ以上のそれの態様)に関して、又はここに図示又は説明される他の具体例(又は1つ以上のそれの態様)に関して、図示又は説明されるこれらの要素(又は1つ以上のそれの態様)の何れかの組み合わせ又は並び替えを利用した具体例が想定される。
【0035】
本文書において参照される刊行物、特許及び特許文献は、あたかも参照することによって個別に援用されるように、参照することによってその全体がここに援用される。本文書と参照することにより援用される文献との間の整合しない利用の場合、援用されるリファレンスにおける利用は、本文書のものに補完的であり、相容れない不整合について、本文書における使用は制御する。
【0036】
本文書において、“ある”という用語は、“少なくとも1つ”又は“1つ以上”の他の何れかの具体例又は利用から独立して、1つ以上を含むよう特許文献において通常通り利用される。本文書では、“又は”という用語は、特段の断りがない場合、“A又はB”が“BではなくA”、“AではなくB”及び“A及びB”を含むように、非排他的であることを意味するよう利用される。添付した請求項では、“含む”及び“ここで”という用語は、“有する”及び“ここで”という各用語の平易な英語の等価として利用される。また、以下の請求項では、“含む”及び“有する”という用語はオープンエンドであり、すなわち、請求項における当該用語の後に列記されるものに加えて要素を含むシステム、装置、物又は方法が、当該請求項の範囲内に依然として属するものとされる。さらに、以下の請求項において、“第1”、“第2”、“第3”などの用語は、単なるラベルとして利用され、それらの対象の数値の順序を示唆することは意図していない。
【0037】
一部の実施例では、UEは、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、無線通信機能を備えたラップトップ若しくはポータブルコンピュータ、ウェブタブレット、無線電話、スマートフォン、無線ヘッドセット、ページャ、インスタントメッセージングデバイス、デジタルカメラ、アクセスポイント、テレビ、移動装置(例えば、心拍モニタ、血圧モニタなど)、ウェアラブルデバイス又は情報を無線送受信する他の装置など、ポータブル無線通信装置の一部であってもよい。一部の実施例では、モバイルデバイスは、キーボード、ディスプレイ、不揮発性メモリポート、複数のアンテナ、グラフィクスプロセッサ、アプリケーションプロセッサ、スピーカ及び他のモバイルデバイスの要素の1つ以上を含むものであってもよい。ディスプレイは、タッチ画面を含むLCD画面であってもよい。
【0038】
アンテナは、例えば、ダイポールアンテナ、モノポールアンテナ、パッチアンテナ、ループアンテナ、マイクロストリップアンテナ又はRF信号の送信に適した他のタイプのアンテナなどを含む1つ以上の指向性又は全方向性アンテナを有してもよい。一部の複数入力複数出力(MIMO)の実施例では、アンテナは、空間ダイバーシチ及び結果としての異なるチャネル特性を利用するため効果的に分離されてもよい。
【0039】
UE又はeNBの機能要素の1つ以上は組み合わされてもよく、デジタル信号プロセッサ(DSP)及び/又は他のハードウェア要素を含む処理要素などのソフトウェアにより設定された要素の組み合わせによって実現されてもよい。例えば、一部の要素は、1つ以上のマイクロプロセッサ、DSP、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、無線周波数集積回路(RFIC)及びここに説明される機能を少なくとも実行する各種ハードウェア及び論理回路の組み合わせを有してもよい。一部の実施例では、機能要素は1つ以上の処理要素上で実行される1つ以上のプロセスを表すものであってもよい。
【0040】
実施例は、ハードウェア、ファームウェア及びソフトウェアの1つ又は組み合わせにより実現されてもよい。実施例はまた、ここに説明される処理を実行するため少なくとも1つのプロセッサにより読み込まれて実行されるコンピュータ可読記憶媒体に記憶された命令として実現されてもよい。コンピュータ可読記憶媒体は、マシーン(例えば、コンピュータ)により可読な形態において情報を記憶するための何れかの非一時的な機構を含むものであってもよい。例えば、コンピュータ可読記憶媒体は、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス及び他の記憶装置及び媒体を含んでもよい。これらの実施例では、1つ以上のプロセッサは、ここに説明される処理を実行するための命令により設定されてもよい。
【0041】
一部の実施例では、UE又はeNB(図1)は、直交周波数分割多重接続(OFDMA)技術に従ってマルチキャリア通信チャネルを介し直交周波数分割多重(OFDM)された通信信号を送信及び/又は受信するよう構成されてもよい。OFDM信号は、複数の直交サブキャリアを有してもよい。一部の広帯域マルチキャリアの実施例では、UE及びeNBは、本発明の範囲はこれに限定されないが、第三世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)のUTRAN(Universal Terrestrial Radio Access Network)のロングタームエボリューション(LTE)又はLTE通信ネットワークなど、セルラブロードバンドワイヤレスアクセス(BWA)ネットワーク通信ネットワークの一部であってもよい。
【0042】
他の一部の実施例では、UE又はeNBは、本発明の範囲はこれに限定されないが、拡散スペクトル変調(例えば、DS−CDMA(Direct Sequence−Code Division Multiple Access)及び/又はFH−CDMA(Frequency Hopping−Code Division Multiple Access))、時分割多重(TDM)変調及び/又は周波数分割多重(FDM)変調などの1つ以上の他の変調技術を利用して送信された信号を受信するよう構成されてもよい。
【0043】
上記説明は例示的であり、限定的であることを意図していない。例えば、上述した具体例(又は1つ以上のそれの態様)は、他と組み合わせて利用されてもよい。他の実施例が、上記説明を参照して当業者などによって利用されてもよい。要約は読者が、例えば、米国における37C.F.R.§1.72(b)に従うため、技術的開示の性質を迅速に確認することを可能にするためのものである。それは、請求項の範囲又は意味を解釈又は限定するのに使用されないという理解により提出されている。また、上記の詳細な説明では、各種特徴は開示を簡略化するため一緒にグループ化されてもよい。しかしながら、請求項は、実施例が当該特徴の一部を対象とするとき、ここに開示された全ての特徴を提供しなくてもよい。さらに、実施例は、特定の具体例において開示されたものより少ない特徴を有してもよい。従って、以下の請求項は、それ自体を別々の実施例としてすることによって詳細な説明に援用される。ここに開示された実施例の範囲は、請求項が権利化される均等の全範囲と共に、添付した請求項を参照して決定されるべきである。
図1
図2