(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
デジタル送信機の変調回路であって、当該変調回路が、第1の同期回路及びデジタル変調器を含み、前記第1の同期回路が、第1の同期ユニット及び第2の同期ユニットを含み、
前記第1の同期ユニットが、第1のデジタルベースバンド信号及び第1のローカル周波数信号を別々に受信し、前記第1のローカル周波数信号に対して位相遅延を実行して第1の遅延信号を取得するとともに、前記第1の遅延信号を使用することによって前記第1のデジタルベースバンド信号に対して位相調整を実行して、第1の調整された信号を生成し、それによって、前記第1の調整された信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジが共に、前記第1のローカル周波数信号のローレベル範囲内に入るように構成されており、
前記第2の同期ユニットが、前記第1のデジタルベースバンド信号及び第2のローカル周波数信号を別々に受信し、前記第2のローカル周波数信号に対して位相遅延を実行して第2の遅延信号を取得するとともに、前記第2の遅延信号を使用することによって前記第1のデジタルベースバンド信号に対して位相調整を実行して、第2の調整された信号を生成し、それによって、前記第2の調整された信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジが、前記第2のローカル周波数信号のローレベル範囲内に入り、前記第1のローカル周波数信号及び前記第2のローカル周波数信号が差動信号であり、前記第1の遅延信号及び前記第2の遅延信号の位相遅延が同じであるように構成されており、
前記デジタル変調器が、別々に、前記第1のローカル周波数信号を使用することによって前記第1の調整された信号を変調して、第1の無線周波数信号を生成するとともに、前記第2のローカル周波数信号を使用することによって前記第2の調整された信号を変調して、第2の無線周波数信号を生成するように構成されており、
当該変調回路が、第2の同期回路を更に含み、前記第2の同期回路が、第3の同期ユニット及び第4の同期ユニットを含み、
前記第3の同期ユニットが、第2のデジタルベースバンド信号及び前記第1のローカル周波数信号を別々に受信し、前記第1のローカル周波数信号に対して位相遅延を実行して第3の遅延信号を取得するとともに、前記第3の遅延信号を使用することによって前記第2のデジタルベースバンド信号に対して位相調整を実行して、第3の調整された信号を生成し、それによって、前記第3の調整された信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジが共に、前記第1のローカル周波数信号の前記ローレベル範囲内に入るように構成されており、
前記第4の同期ユニットが、前記第2のデジタルベースバンド信号及び前記第2のローカル周波数信号を別々に受信し、前記第2のローカル周波数信号に対して位相遅延を実行して第4の遅延信号を取得するとともに、前記第4の遅延信号を使用することによって前記第2のデジタルベースバンド信号に対して位相調整を実行して、第4の調整された信号を生成し、それによって、前記第4の調整された信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジが共に、前記第2のローカル周波数信号の前記ローレベル範囲内に入り、前記第1のデジタルベースバンド信号及び前記第2のデジタルベースバンド信号が差動信号であり、前記第3の遅延信号及び前記第4の遅延信号の位相遅延が同じであるように構成されており、
前記デジタル変調器が、別々に、前記第1のローカル周波数信号を使用することによって前記第3の調整された信号を変調して、第3の無線周波数信号を生成するとともに、前記第2のローカル周波数信号を使用することによって前記第4の調整された信号を変調して、第4の無線周波数信号を生成し、それから、前記第1の無線周波数信号及び前記第4の無線周波数信号を重ねて、第1の無線周波数出力信号を取得するとともに、前記第2の無線周波数信号及び前記第3の無線周波数信号を重ねて、第2の無線周波数出力信号を取得するように更に構成されている、変調回路。
【発明の概要】
【0006】
これを考慮して、本発明の実施形態は、デジタル送信機の変調回路、デジタル送信機、及び信号変調方法を提供し、これらは、変調された無線周波数信号が、不必要な高周波高調波成分を生成することを防止することができ、デジタルベースバンド信号から生じる位相ノイズを効果的に抑制することができる。
【0007】
第1の態様によれば、本発明の一実施形態は、デジタル送信機の変調回路を提供し、変調回路は、第1の同期回路及びデジタル変調器を含み、第1の同期回路は、第1の同期ユニット及び第2の同期ユニットを含み、
第1の同期ユニットは、第1のデジタルベースバンド信号及び第1のローカル周波数信号を別々に受信し、第1のローカル周波数信号に対して位相遅延を実行して第1の遅延信号を取得するとともに、第1の遅延信号を使用することによって
第1のデジタルベースバンド信号に対して位相調整を実行して、第1の調整された信号を生成し、それによって、第1の調整された信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジが
共に、第1のローカル周波数信号のローレベル範囲内に入るように構成されており、
第2の同期ユニットは、第1のデジタルベースバンド信号及び第2のローカル周波数信号を別々に受信し、第2のローカル周波数信号に対して位相遅延を実行して第2の遅延信号を取得するとともに、第2の遅延信号を使用することによって
第1のデジタルベースバンド信号に対して位相調整を実行して、第2の調整された信号を生成し、それによって、第2の調整された信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジ
が、第2のローカル周波数信号のローレベル範囲内に入り、第1のローカル周波数信号及び第2のローカル周波数信号が差動信号であり、第1の遅延信号及び第2の遅延信号の位相遅延が同じであるように構成されており、
デジタル変調器は、別々に、第1のローカル周波数信号を使用することによって第1の調整された信号を変調して、第1の無線周波数信号を生成するとともに、第2のローカル周波数信号を使用することによって第2の調整された信号を変調して、第2の無線周波数信号を生成するように構成されている。
【0008】
第1の可能な実施様式においては、第1の同期ユニットは、第1の遅延器及び第1のDフリップフロップを含み、
第1の遅延器は、第1のローカル周波数信号に対して位相遅延を実行して第1の遅延信号を取得するとともに、第1の遅延信号を第1のクロック信号として第1のDフリップフロップに入力するように構成されており、
第1のDフリップフロップは、第1のクロック信号のトリガリングに従って第1のデジタルベースバンド信号に対して位相調整を実行して第1の調整された信号を出力し、
第2の同期ユニットは、第2の遅延器及び第2のDフリップフロップを含み、
第2の遅延器は、第2のローカル周波数信号に対して位相遅延を実行して第2の遅延信号を取得するとともに、第2の遅延信号を第2のクロック信号として
第2のDフリップフロップに入力するように構成されており、
第2のDフリップフロップは、第2のクロック信号のトリガリングに従って第1のデジタルベースバンド信号に対して位相調整を実行して第2の調整された信号を出力する。
【0009】
第1の態様、又は第1の態様の第1の可能な実施様式に関連して、第2の可能な実施様式においては、デジタル変調器は、第1のデジタル変調ユニット及び第2のデジタル変調ユニットを含み、
第1のデジタル変調ユニットは、第1のローカル周波数信号及び第1の調整された信号を受信し、第1のローカル周波数信号及び第1の調整された信号に対して論理AND演算を実行して第1の無線周波数信号を出力するように構成されており、
第2のデジタル変調ユニットは、第2のローカル周波数信号及び第2の調整された信号を受信し、第2のローカル周波数信号及び第2の調整された信号に対して論理AND演算を実行して第2の無線周波数信号を出力するように構成されている。
【0010】
第3の可能な実施様式においては、変調回路は、第2の同期回路を更に含み、第2の同期回路は、第3の同期ユニット及び第4の同期ユニットを含み、
第3の同期ユニットは、第2のデジタルベースバンド信号及び第1のローカル周波数信号を別々に受信し、第1のローカル周波数信号に対して位相遅延を実行して第3の遅延信号を取得するとともに、第3の遅延信号を使用することによって第2のデジタルベースバンド信号に対して位相調整を実行して、第3の調整された信号を生成し、それによって、第3の調整された信号の立ち上がりエッジ及び
立ち下がりエッジ
が、第1のローカル周波数信号のローレベル範囲内に入るように構成されており、
第4の同期ユニットは、第2のデジタルベースバンド信号及び第2のローカル周波数信号を別々に受信し、第2のローカル周波数信号に対して位相遅延を実行して第4の遅延信号を取得するとともに、第4の遅延信号を使用することによってデジタルベースバンド信号に対して位相調整を実行して、第4の調整された信号を生成し、それによって、第4の調整された信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジ
が、第2のローカル周波数信号のローレベル範囲内に入り、第1のデジタルベースバンド信号及び第2のデジタルベースバンド信号が差動信号であり、第3の遅延信号及び第4の遅延信号の位相遅延が同じであるように構成されており、
デジタル変調器は、別々に、第1のローカル周波数信号を使用することによって第3の調整された信号を変調して、第3の無線周波数信号を生成するとともに、第2のローカル周波数信号を使用することによって第4の調整された信号を変調して、第4の無線周波数信号を生成し、それから、第1の無線周波数信号及び第4の無線周波数信号を重ねて、第1の無線周波数出力信号を取得するとともに、第2の無線周波数信号及び第3の無線周波数信号を重ねて、第2の無線周波数出力信号を取得するように更に構成されている。
【0011】
第1の態様の第3の可能な実施様式に関連して、第4の可能な実施様式においては、
第3の同期ユニットは、第3の遅延器及び第3のDフリップフロップを含み、
第3の遅延器は、第1のローカル周波数信号に対して位相遅延を実行して第
3の遅延信号を取得するとともに、第
3の遅延信号を第3のクロック信号として第3のDフリップフロップに入力するように構成されており、
第3のDフリップフロップは、第3のクロック信号のトリガリングに従って第2のデジタルベースバンド信号に対して位相調整を実行して、第3の調整された信号を出力するように構成されており、
第4の同期ユニットは、第4の遅延器及び第4のDフリップフロップを含み、
第4の遅延器は、第2のローカル周波数信号に対して位相遅延を実行して第
4の遅延信号を取得するとともに、第
4の遅延信号を第4のクロック信号として第4のDフリップフロップに入力するように構成されており、
第4のDフリップフロップは、第4のクロック信号のトリガリングに従って第2のデジタルベースバンド信号に対して位相調整を実行して、第4の調整された信号を出力するように構成されている。
【0012】
第1の態様の第3及び第4の可能な実施様式に関連して、第5の可能な実施様式においては、デジタル変調器は、第3のデジタル変調ユニット及び第4のデジタル変調ユニットを含み、
第3のデジタル変調ユニットは、第1のAND論理ユニット、第2のAND論理ユニット、及び第1のOR論理ユニットを含み、第1のAND論理ユニットは、入力される第1のローカル周波数信号及び第1の調整された信号に対して論理AND演算を実行して、第1の無線周波数信号を生成するように構成されており、第2のAND論理ユニットは、
入力される第2のローカル周波数信号及び第4の調整された信号に対して論理AND演算を実行して、第4の無線周波数信号を生成するように構成されており、第1のOR論理ユニットは、第1の無線周波数信号及び第4の無線周波数信号に対して論理OR演算を実行して、第1の無線周波数出力信号を出力するように構成されており、
第4のデジタル変調ユニットは、第3のAND論理ユニット、第4のAND論理ユニット、及び第2のOR論理ユニットを含み、第3のAND論理ユニットは、入力される第1のローカル周波数信号及び第3の調整された信号に対して論理AND演算を実行して、第2の無線周波数信号を生成するように構成されており、第4のAND論理ユニットは、入力される第2のローカル周波数信号及び第2の調整された信号に対して論理AND演算を実行して、第3の無線周波数信号を生成するように構成されており、第2のOR論理ユニットは、第2の無線周波数信号及び第3の無線周波数信号に対して論理OR演算を実行して、第2の無線周波数出力信号を出力するように構成されている。
【0013】
第1の態様の第1又は第4の可能な実施様式に関連して、第6の可能な実施様式においては、Dフリップフロップのうちのいずれか1つは、クロック信号立ち上がりエッジによってトリガーされるDフリップフロップである。
【0014】
第2の態様によれば、本発明の一実施形態は、
2つの入力直交信号に対して振幅位相分離を実行して、振幅変調AM信号及び位相変調PM信号を生成するように構成されている振幅位相分離モジュールと、
AM信号を処理して、デジタルベースバンド信号を生成するように構成されているAM信号処理モジュールと、
PM信号を変調して、第1のローカル周波数信号及び第2のローカル周波数信号を生成するように構成されているデジタル位相同期ループであって、第1のローカル周波数信号及び第2のローカル周波数信号が差動信号である、デジタル位相同期ループと、
前述の第1の態様において説明されているデジタル送信機の変調回路であって、第1のデジタルベースバンド信号、第1のローカル周波数信号、及び第2のローカル周波数信号に従って第1の無線周波数信号及び第2の無線周波数信号を生成するように構成されている、変調回路と、
差動的に入力される第1の無線周波数信号及び第2の無線周波数信号を受信して、第1の無線周波数信号及び第2の無線周波数信号を出力用のアナログ信号に変換する
ように構成されているデジタル/アナログ変換回路とを含む、デジタル送信機を提供する。
【0015】
第3の態様によれば、本発明の一実施形態は、
差動的に入力される第1の入力信号を受信し、第1のデジタルベースバンド信号及び第2のデジタルベースバンド信号を生成するように構成されている第1のデジタルシグナルプロセッサと、
差動的に入力される第2の入力信号を受信し、第3のデジタルベースバンド信号及び第4のデジタルベースバンド信号を生成するように構成されている第2のデジタルシグナルプロセッサであって、第1の入力信号及び第2の入力信号が同相及び直交信号である、第2のデジタルシグナルプロセッサと、
ローカル周波数信号の第1のグループ及びローカル周波数信号の第2のグループを生成するように構成されているデジタル位相同期ループであって、ローカル周波数信号の第1のグループが、ローカル周波数信号の第2のグループに直交しており、ローカル周波数信号の第1のグループが、互いに差動的である第1のローカル周波数信号及び第2のローカル周波数信号を含み、ローカル周波数信号の第2のグループが、互いに差動的である第3のローカル周波数信号及び第4のローカル周波数信号を含む、デジタル位相同期ループと、
第1のデジタルベースバンド信号、第2のデジタルベースバンド信号、第1のローカル周波数信号、及び第2のローカル周波数信号を受信し、第1のローカル周波数信号に対して位相遅延を実行し、次いで第1のデジタルベースバンド信号に対して位相調整を実行して、第1の調整された信号を生成し、それによって、第1の調整された信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジ
が、第1のローカル周波数信号のローレベル範囲内に入り、第2のローカル周波数信号に対して位相遅延を実行し、次いで第1のデジタルベースバンド信号に対して位相調整を実行して、第2の調整された信号を生成し、それによって、第2の調整された信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジ
が、第2のローカル周波数信号のローレベル範囲内に入り、第1のローカル周波数信号に対して位相遅延を実行し、次いで第2のデジタルベースバンド信号に対して位相調整を実行して、第3の調整された信号を生成し、それによって、第3の調整された信号の立ち上がりエッジ及び
立ち下がりエッジ
が、第1のローカル周波数信号のローレベル範囲内に入り、第2のローカル周波数信号に対して位相遅延を実行し、次いで第2のデジタルベースバンド信号に対して位相調整を実行して、第4の調整された信号を生成し、それによって、第4の調整された信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジ
が、第2のローカル周波数信号のローレベル範囲内に入り、第1のローカル周波数信号を使用することによって第1の調整された信号を変調して、第1の無線周波数信号を生成し、第2のローカル周波数信号を使用することによって第2の調整された信号を変調して、第2の無線周波数信号を生成し、第1のローカル周波数信号を使用することによって第3の調整された信号を変調して、第3の無線周波数信号を生成し、第2のローカル周波数信号を使用することによって第4の調整された信号を変調して、第4の無線周波数信号を生成し、第1の無線周波数信号及び第4の無線周波数信号を重ねて、第1の無線周波数出力信号を取得するとともに、第2の無線周波数信号及び第3の無線周波数信号を重ねて、第2の無線周波数出力信号を取得するように構成されている第1の変調回路と、
第3のデジタルベースバンド信号、第4のデジタルベースバンド信号、第3のローカル周波数信号、及び第4のローカル周波数信号を受信し、第3のローカル周波数信号に対して位相遅延を実行し、次いで第3のデジタルベースバンド信号に対して位相調整を実行して、第5の調整された信号を生成し、それによって、第5の調整された信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジ
が、第3のローカル周波数信号のローレベル範囲内に入り、第4のローカル周波数信号に対して位相遅延を実行し、次いで第3のデジタルベースバンド信号に対して位相調整を実行して、第6の調整された信号を生成し、それによって、第6の調整された信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジ
が、第4のローカル周波数信号のローレベル範囲内に入り、第3のローカル周波数信号に対して位相遅延を実行し、次いで第4のデジタルベースバンド信号に対して位相調整を実行して、第7の調整された信号を生成し、それによって、第7の調整された信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジ
が、第3のローカル周波数信号のローレベル範囲内に入り、第4のローカル周波数信号に対して位相遅延を実行し、次いで第4のデジタルベースバンド信号に対して位相調整を実行して、第8の調整された信号を生成し、それによって、第8の調整された信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジ
が、第4のローカル周波数信号のローレベル範囲内に入り、第3のローカル周波数信号を使用することによって第5の調整された信号を変調して、第5の無線周波数信号を生成し、第4のローカル周波数信号を使用することによって第6の調整された信号を変調して、第6の無線周波数信号を生成し、第3のローカル周波数信号を使用することによって第7の調整された信号を変調して、第7の無線周波数信号を生成し、第4のローカル周波数信号を使用することによって第8の調整された信号を変調して、第8の無線周波数信号を生成し、第5の無線周波数信号及び第8の無線周波数信号を重ねて、第3の無線周波数出力信号を取得するとともに、第6の無線周波数信号及び第7の無線周波数信号を重ねて、第4の無線周波数出力信号を取得するように構成されている第2の変調回路と、
第1の無線周波数出力信号及び第2の無線周波数出力信号を出力用の第1のアナログ信号に変換する
ように構成されている第1の無線周波数デジタル/アナログコンバータと、
第3の無線周波数出力信号及び第4の無線周波数出力信号を出力用の第2のアナログ信号に変換する
ように構成されている第2の無線周波数デジタル/アナログコンバータとを含む、デジタル送信機を提供する。
【0016】
第4の態様によれば、本発明の一実施形態は、
第1のデジタルベースバンド信号及び第1のローカル周波数信号を受信し、第1のローカル周波数信号に対して位相遅延を実行して第1の遅延信号を取得するとともに、第1の遅延信号を使用することによってデジタルベースバンド信号に対して位相調整を実行して、第1の調整された信号を生成し、それによって、第1の調整された信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジ
が、第1のローカル周波数信号のローレベル範囲内に入るステップと、
第1のデジタルベースバンド信号及び第2のローカル周波数信号を受信し、第2のローカル周波数信号に対して位相遅延を実行して第2の遅延信号を取得するとともに、第2の遅延信号を使用することによってデジタルベースバンド信号に対して位相調整を実行して、第2の調整された信号を生成し、それによって、第2の調整された信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジ
が、第2のローカル周波数信号のローレベル範囲内に入るステップであって、第1のローカル周波数信号及び第2のローカル周波数信号が差動信号であり、第1の遅延信号及び第2の遅延信号の位相遅延が同じである、ステップと、
第1のローカル周波数信号を使用することによって第1の調整された信号を変調して、第1の無線周波数信号を生成し、第2のローカル周波数信号を使用することによって第2の調整された信号を変調して、第2の無線周波数信号を生成するステップとを含む、信号変調方法を提供する。
【0017】
第1の可能な実施様式においては、方法は、
第2のデジタルベースバンド信号及び第1のローカル周波数信号を受信し、第1のローカル周波数信号に対して位相遅延を実行して第3の遅延信号を取得するとともに、第3の遅延信号を使用することによって第2のデジタルベースバンド信号に対して位相調整を実行して、第3の調整された信号を生成し、それによって、第3の調整された信号の立ち上がりエッジ及び
立ち下がりエッジ
が、第1のローカル周波数信号のローレベル範囲内に入るステップと、
第2のデジタルベースバンド信号及び第2のローカル周波数信号を受信し、第2のローカル周波数信号に対して位相遅延を実行して第4の遅延信号を取得するとともに、第4の遅延信号を使用することによって第2のデジタルベースバンド信号に対して位相調整を実行して、第4の調整された信号を生成し、それによって、第4の調整された信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジ
が、第2のローカル周波数信号のローレベル範囲内に入るステップであって、第1のデジタルベースバンド信号及び第2のデジタルベースバンド信号が差動信号であり、第3の遅延信号及び第4の遅延信号の位相遅延が同じである、ステップと、
第1のローカル周波数信号を使用することによって第3の調整された信号を変調して、第3の無線周波数信号を生成し、第2のローカル周波数信号を使用することによって第4の調整された信号を変調して、第4の無線周波数信号を生成し、第1の無線周波数信号及び第4の無線周波数信号を重ねて、第1の無線周波数出力信号を取得するとともに、第2の無線周波数信号及び第3の無線周波数信号を重ねて、第2の無線周波数出力信号を取得するステップとを更に含む。
【0018】
本発明の実施形態によって提供されるデジタル送信機の変調回路においては、第1の同期ユニットが、第1のローカル周波数信号に対して位相遅延を実行し、第1のデジタルベースバンド信号の位相を調整し、それによって、生成された第1の調整された信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジ
が、第1のローカル周波数信号のローレベル範囲内に入り、第2の同期ユニットが、第2のローカル周波数信号に対して位相遅延を実行し、第1のデジタルベースバンド信号の位相を調整し、それによって、生成された第2の調整された信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジ
が、第2のローカル周波数信号のローレベル範囲内に入り、次いでデジタル変調器が、第1のローカル周波数信号を使用することによって第1の調整された信号を変調して、第1の無線周波数信号を生成し、第2のローカル周波数信号を使用することによって第2の調整された信号を変調して、第2の無線周波数信号を生成する。本発明によって提供されるデジタル送信機の変調回路は、変調された無線周波数信号が、不必要な高周波高調波成分を生成することを防止することができ、デジタルベースバンド信号から生じる位相ノイズを効果的に抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の目的、技術的解決策、及び利点をより明確にするために、以降ではさらに、添付の図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。明らかに、説明されている実施形態は、本発明の実施形態のうちの一部にすぎず、すべてではない。当技術分野における標準的な技術者によって本発明の実施形態に基づいて創造的な取り組みを伴わずに取得されるその他のすべての実施形態は、本発明の保護範囲内に収まるものとする。
【0021】
以降では、本発明の実施形態1によって提供されるデジタル送信機の変調回路を詳細に説明するために一例として
図3を使用する。
図3は、本発明の実施形態1によるデジタル送信機の変調回路の概略構造図である。
図3において示されているように、この実施形態によって提供されるデジタル送信機の変調回路は、第1の同期回路110及びデジタル変調器120を含む。
【0022】
第1の同期回路110は、第1の同期ユニット111及び第2の同期ユニット112を含む。第1の同期ユニット111の第1の入力端が、デジタルベースバンド信号BBを受信するように構成されており、第1の同期ユニット111の第2の入力端が、第1のローカル周波数信号LO+を受信するように構成されており、第1の同期ユニット111の出力端が、デジタル変調器120の第1の入力端に接続されている。第2の同期ユニット112の第1の入力端が、デジタルベースバンド信号BBを受信するように構成されており、第2の同期ユニット112の第2の入力端が、第2のローカル周波数信号LO−を受信するように構成されており、第2の同期ユニット112の出力端が、デジタル変調器120の第2の入力端に接続されている。
【0023】
デジタル変調器120の第3の入力端が、第1のローカル周波数信号LO+を受信するように構成されており、デジタル変調器120の第4の入力端が、第2のローカル周波数信号LO−を受信するように構成されている。
【0024】
第1のローカル周波数信号LO+及び第2のローカル周波数信号LO−は、差動信号である。
【0025】
特に、第1の同期ユニット111は、デジタルベースバンド信号BB及び第1のローカル周波数信号LO+を別々に受信し、第1のローカル周波数信号LO+に対して位相遅延を実行し、次いでデジタルベースバンド信号BBの位相を調整し、それによって、第1の同期ユニット111によって生成された第1の調整された信号BB1の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジ
が、第1のローカル周波数信号LO+のローレベル範囲内に入るように構成されており、
第2の同期ユニット112は、デジタルベースバンド信号BB及び第2のローカル周波数信号LO−を別々に受信し、第2のローカル周波数信号LO−に対して位相遅延を実行し、次いでデジタルベースバンド信号BBの位相を調整し、それによって、第2の同期ユニット112によって生成された第2の調整された信号BB2の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジ
が、第2のローカル周波数信号LO−のローレベル範囲内に入るように構成されている。
【0026】
デジタル変調器120は、第1の調整された信号BB1及び第2の調整された信号BB2を受信し、第1のローカル周波数信号LO+を使用することによって第1の調整された信号BB1を変調して、第1の無線周波数信号LO+*BB1を出力し、第2のローカル周波数信号LO−を使用することによって第2の調整された信号BB2を変調して、第2の無線周波数信号LO−*BB2を出力するように構成されている。
【0027】
さらに、
図4において示されているように、第1の同期ユニット111は、第1のDフリップフロップDFF1及び第1の遅延回路1111を含む。第1の遅延回路1111は、第1のローカル周波数信号LO+を受信し、第1のローカル周波数信号LO+に対して位相遅延調整を実行する。第1のDフリップフロップDFF1のd入力端が、デジタルベースバンド信号BBを受信し、第1のDフリップフロップDFF1のクロック入力端が、第1の遅延回路1111によって出力されるとともに、第1のローカル周波数信号LO+に対して遅延調整が実行された後に取得される信号D_LO+を受信し、信号D_LO+のハイレベルに従って、第1のDフリップフロップDFF1の出力端が第1の調整された信号BB1を出力するようにトリガーする。
【0028】
第2の同期ユニット112は、第2のDフリップフロップDFF2及び第2の遅延回路1121を含む。第2の遅延回路1121は、第2のローカル周波数信号LO−を受信し、第2のローカル周波数信号LO−に対して遅延調整を実行するように構成されている。第2のDフリップフロップDFF2のd入力端が、デジタルベースバンド信号BBを受信するように構成されており、第2のDフリップフロップDFF2のクロック入力端が、第2の遅延回路1121によって出力されるとともに、第2のローカル周波数信号LO−に対して遅延調整が実行された後に取得される信号D_LO−を受信し、信号D_LO−のハイレベルに従って、第2のDフリップフロップDFF2の出力端が第2の調整された信号BB2を出力するようにトリガーするように構成されている。
【0029】
前述の第1の遅延回路1111及び第2の遅延回路1121は、特に遅延器であることが可能である。
【0030】
デジタル変調器120は、第1のデジタル変調ユニット121及び第2のデジタル変調ユニット122を含み、第1のデジタル変調ユニット121は、第1のローカル周波数信号LO+及び第1の調整された信号BB1を受信し、第1のローカル周波数信号LO+及び第1の調整された信号BB1に対して論理AND演算を実行し、次いで第1の無線周波数信号LO+*BB1を出力するように構成されており、第2のデジタル変調ユニット122は、第2のローカル周波数信号LO−及び第2の調整された信号BB2を受信し、第2のローカル周波数信号LO−及び第2の調整された信号BB2に対して論理AND演算を実行し、次いで第2の無線周波数信号LO−*BB2を出力するように構成されている。
【0031】
第1のデジタル変調ユニット121
及び第2のデジタル変調ユニット122は、さまざまな特定の様式で論理AND演算を実施することができる。たとえば、論理AND演算は、ANDゲートを使用することによって別々に実施されることが可能であるか、又はNANDゲート及び位相インバータユニットを使用することによって実施されることが可能であって、位相インバータユニットがデジタル回路におけるNOTゲートに相当するとともに、1つの位相インバータ、若しくは複数の位相インバータを含む位相インバータチェーンであることが可能であるか、又はNORゲート及び排他的ORゲートなどの基本的な論理ゲートどうしを組み合わせることによって実施されることが可能である。この実施形態においては、第1のデジタル変調ユニット121
及び第2のデジタル変調ユニット122は別々に、一例としてNANDゲート及び1つの位相インバータの実施様式を使用することによって詳細に説明されている。
【0032】
第1のデジタル変調ユニット121は、第1のNANDゲートNAND1及び第1の位相インバータNOT1を特に含み、第2のデジタル変調ユニット122は、第2のNANDゲートNAND2及び第2の位相インバータNOT2を特に含む。
【0033】
第1のNANDゲートNAND1の第1の受信端が、第1の調整された信号BB1を受信し、第1のNANDゲートNAND1の第2の受信端が、第1のローカル周波数信号LO+を受信するように構成されており、第1のNANDゲートNAND1の出力端が、第1の位相インバータNOT1の入力端に接続されている。第1のNANDゲートNAND1は、入力される第1のローカル周波数信号LO+及び第1の調整された信号BB1に対してNAND演算を実行する。第1の位相
インバータNOT1は、第1のローカル周波数信号LO+及び第1の調整された信号BB1のNAND演算結果に対して反転演算を実行し、第1の無線周波数信号LO+*BB1を出力して、第1のローカル周波数信号LO+のローレベルを使用することによって第1の調整された信号BB1の位相ノイズを抑制するように構成されている。
【0034】
第2のNANDゲートNAND2の第1の受信端が、第2の調整された信号BB2を受信し、第2のNANDゲートNAND2の第2の受信端が、第2のローカル周波数信号LO−を受信するように構成されており、第2のNANDゲートNAND2の出力端が、第2の位相インバータNOT2の入力端に接続されている。第2のNANDゲートNAND2は、入力される第2のローカル周波数信号LO−及び第2の調整された信号BB2に対してNAND演算を実行する。第2の位相
インバータNOT2は、第2のローカル周波数信号LO−及び第2の調整された信号BB2のNAND演算結果に対して反転演算を実行し、次いで第2の無線周波数信号LO−*BB2を出力して、第2のローカル周波数信号LO−のローレベルを使用することによって第2の調整された信号BB2の位相ノイズを抑制するように構成されている。
【0035】
第1の同期ユニット111の第1のDフリップフロップDFF1の制御クロック
信号は、遅延回路1111が第1のローカル周波数信号LO+を遅延させた後に取得されるD_LO+である。したがって、第1の調整された信号BB1の位相がフレキシブルに制御されることが可能である。第2の同期ユニット112の機能原理は、第1の同期ユニット111の機能原理と同じである。したがって、第2の調整された信号BB2の位相がフレキシブルに制御されることも可能である。デジタル変調器120は、NAND論理ゲート及び位相インバータを接続することによって実装され、位相インバータの数は、後段駆動能力に従って特定される。この方法においては、第1の無線周波数信号LO+*BB1及び第2の無線周波数信号LO−*BB2の論理式は、下記のように表現されることが可能である。
LO+*BB1=(LO+)∩BB1 (式1)
LO−*BB2=(LO−)∩BB2 (式2)
【0036】
図5は、さまざまな時点に対応する
図4における信号の波形図を示している。デジタルベースバンド信号BBが同期
回路110によって調整された後に、第1の調整された信号BB1及び第2の調整された信号BB2が出力され、第1の調整された信号BB1及び第2の調整された信号BB2は、最初のデジタルベースバンド信号BBとは位相遅延において異なるだけであり、第1の調整された信号BB1の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジは両方とも、第1のローカル周波数信号LO+のローレベル範囲内に入り、第2の調整された信号BB2の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジは両方とも、第2のローカル周波数信号LO−のローレベル範囲内に入るということが
図5から見て取られることが可能である。次いで、第1の調整された信号BB1及び第2の調整された信号BB2は、第1のローカル周波数信号LO+及び第2のローカル周波数信号LO−という差動信号を使用することによってデジタル変調器120において別々に変調されて、高周波高調波成分を生成しない、第1の無線周波数信号LO+*BB1及び第2の無線周波数信号LO−*BB2を取得する。
【0037】
50%のデューティーサイクルを伴うローカル周波数信号に関しては、第1のローカル周波数信号LO+及び第2のローカル周波数信号LO−がローレベル範囲にある期間は、信号周期の半分である。エッジとエッジの位置合わせの従来の同期化処理様式と比較すると、この実施形態において提供されるエッジレベルの位置合わせ様式のデジタル同期回路は、入力信号に関する時間シーケンス要件を大幅に低減する。たとえば、2GHzのローカル周波数信号に関しては、周期の半分の期間は250psであり、同期回路によって出力される第1の調整された信号BB1及び第2の調整された信号BB2のエッジは、最終的に出力波形に影響を与えることなく、250psの範囲内でジッタすることが可能である。したがって、第1の調整された信号BB1のエッジが第1のローカル周波数信号LO+のローレベル範囲内に入るということ、及び第2の調整された信号BB2のエッジが第2のローカル周波数信号LO−のローレベル範囲内に入るということが保証される限り、デジタルベースバンド信号から生じる位相ノイズが抑制されることが可能である。既存のサブマイクロCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor、相補型金属酸化膜半導体)技術においては、Dフリップフロップの遅延、技術の不確実性、温度の影響などが考えられる場合でさえ、前述の時間シーケンス要件は、依然として容易に達成されることが可能であり、遅延回路は、デジタルベースバンド信号BBに対する位相遅延をフレキシブルに制御するために使用されることが可能である。
【0038】
本発明の実施形態1によって提供されるデジタル送信機の変調回路においては、第1のローカル周波数信号LO+及び第2のローカル周波数信号LO−を使用することによってデジタルベースバンド信号BBの位相が調整されて、第1のローカル周波数信号LO+のローレベル範囲内に入る信号エッジを伴う第1の調整された信号BB+、及び第2のローカル周波数信号LO−のローレベル範囲内に入る信号エッジを伴う第2の調整された信号BB−を別々に取得する。次いで、第1の調整された信号BB+が、第1のローカル周波数信号LO+を使用することによって変調され、そして第2の調整された信号BB−が、第2のローカル周波数信号LO−を使用することによって変調され、第1の無線周波数信号LO+*BB1及び第2の無線周波数信号LO−*BB2を取得する。本発明によって提供されるデジタル送信機の変調回路は、変調された無線周波数信号が、不必要な高周波高調波成分を生成することを防止することができ、デジタルベースバンド信号から生じる位相ノイズを効果的に抑制することができる。
【0039】
以降では、本発明の実施形態2によって提供されるデジタル送信機の別の変調回路を詳細に説明するために一例として
図6を使用する。
図6は、本発明の実施形態2による、差動入力をサポートするデジタル送信機の変調回路の概略構造図である。
図6において示されているように、差動入力をサポートするデジタル送信機の変調回路は、第1の同期回路210、第2の同期回路220、及びデジタル変調器230を含む。
【0040】
第1の同期回路210は、第1の同期ユニット211及び第2の同期ユニット212を含む。第1の同期ユニット211の第1の入力端が、第1のデジタルベースバンド信号BB+を受信し、第1の同期ユニット211の第2の入力端が、第1のローカル周波数信号LO+を受信し、第1の同期ユニット211の出力端が、デジタル変調器230の第1の入力端に接続されている。第2の同期ユニット212の第1の入力端が、第1のデジタルベースバンド信号BB+を受信し、第2の同期ユニット212の第2の入力端が、第2のローカル周波数信号LO−を受信し、第2の同期ユニット212の出力端が、デジタル変調器230の第2の入力端に接続されている。
【0041】
第2の同期回路220は、第3の同期ユニット221及び第4の同期ユニット222を含む。第3の同期ユニット221の第1の入力端が、第2のデジタルベースバンド信号BB−を受信し、第3の同期ユニット221の第2の入力端が、第1のローカル周波数信号LO+を受信し、第3の同期ユニット221の出力端が、デジタル変調器230の第3の入力端に接続されている。第4の同期ユニット222の第1の入力端が、第2のデジタルベースバンド信号BB−を受信し、第4の同期ユニット222の第2の入力端が、第2のローカル周波数信号LO−を受信し、第4の同期ユニット222の出力端が、デジタル変調器230の第4の入力端に接続されている。
【0042】
第1のデジタルベースバンド信号BB+及び第2のデジタルベースバンド信号BB−は、差動信号であり、第1のローカル周波数信号LO+及び第2のローカル周波数信号LO−は、差動信号である。
【0043】
特に、第1の同期ユニット211は、第1のデジタルベースバンド信号BB+及び第1のローカル周波数信号LO+を受信し、第1のローカル周波数信号LO+に対して位相遅延調整を実行し、次いで第1のデジタルベースバンド信号BB+の位相を調整し、それによって、第1の同期ユニット211によって出力される第1の調整された信号BB1+の両方のエッジ(立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジ)が、第1のローカル周波数信号LO+のローレベル範囲内に入る。
【0044】
第2の同期ユニット212は、第1のデジタルベースバンド信号BB+及び第2のローカル周波数信号LO−を受信し、第2のローカル周波数信号LO−に対して位相遅延調整を実行し、次いで第1のデジタルベースバンド信号BB+の位相を調整し、それによって、第2の同期ユニット212によって出力される第2の調整された信号BB2+の両方のエッジ(立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジ)が、第2のローカル周波数信号LO−のローレベル範囲内に入る。
【0045】
第3の同期ユニット221は、第2のデジタルベースバンド信号BB−及び第1のローカル周波数信号LO+を受信し、第1のローカル周波数信号LO+に対して位相遅延調整を実行し、次いで第2のデジタルベースバンド信号BB−の位相を調整し、それによって、第3の同期ユニット221によって出力される第3の調整された信号BB1−の両方のエッジが、第1のローカル周波数信号LO+のローレベル範囲内に入る。
【0046】
第4の同期ユニット222は、第2のデジタルベースバンド信号BB−及び第2のローカル周波数信号LO−を受信し、第2のローカル周波数信号LO−に対して位相遅延調整を実行し、次いで第2のデジタルベースバンド信号BB−の位相を調整し、それによって、第4の同期ユニット222によって出力される第4の調整された信号BB2−の両方のエッジが、第2のローカル周波数信号LO−のローレベル範囲内に入る。
【0047】
デジタル変調器230は、第3のデジタル変調ユニット231及び第4のデジタル変調ユニット232を含む。第3のデジタル変調ユニット231は、入力される第1の調整された信号BB1+、第1のローカル周波数信号LO+、第4の調整された信号BB2−、及び第2のローカル周波数信号LO−を処理して、第1の無線周波数出力信号RF_data+を生成し、第4のデジタル変調ユニット232は、入力される第2の調整された信号BB2+、第2のローカル周波数信号LO−、第3の調整された信号BB1−、及び第1のローカル周波数信号LO+を処理して、第2の無線周波数出力信号RF_data−を生成する。具体的な処理プロセスが、以降で詳細に説明される。
【0048】
さらに、
図7において示されているように、第1の同期ユニット211は、第1のDフリップフロップDFF1及び第1の遅延回路2111を含む。第1の遅延回路2111は、第1のローカル周波数信号LO+を受信し、第1のローカル周波数信号LO+に対して位相遅延調整を実行する。第1のDフリップフロップDFF1のd入力端が、第1のデジタルベースバンド信号BB+を受信し、第1のDフリップフロップDFF1のクロック入力端が、第1の遅延回路2111によって出力されるとともに、第1のローカル周波数信号LO+に対して遅延調整が実行された後に取得される信号D_LO+を受信し、第1のDフリップフロップDFF1の出力端が、第1の調整された信号BB1+を出力する。
【0049】
第2の同期ユニット212は、第2のDフリップフロップDFF2及び第2の遅延回路2121を含む。第2の遅延回路2121は、第2のローカル周波数信号LO−を受信し、第2のローカル周波数信号LO−に対して位相遅延調整を実行する。第2のDフリップフロップDFF2のd入力端が、第1のデジタルベースバンド信号BB+を受信し、第2のDフリップフロップDFF2のクロック入力端が、第2の遅延回路2121によって出力されるとともに、第2のローカル周波数信号LO−に対して遅延調整が実行された後に取得される信号D_LO−を受信し、第2のDフリップフロップDFF2の出力端が、第2の調整された信号BB2+を出力する。
【0050】
第3の同期ユニット221は、第3のDフリップフロップDFF3及び第3の遅延回路2211を含む。第3の遅延回路2211は、第1のローカル周波数信号LO+を受信し、第1のローカル周波数信号LO+に対して位相遅延調整を実行する。第3のDフリップフロップDFF3のd入力端が、第2のデジタルベースバンド信号BB−を受信し、第3のDフリップフロップDFF3のクロック入力端が、第3の遅延回路2211によって出力されるとともに、第1のローカル周波数信号LO+に対して遅延調整が実行された後に取得される信号D_LO+を受信し、第3のDフリップフロップDFF3の出力端が、第3の調整された信号BB1−を出力する。
【0051】
第4の同期ユニット222は、第4のDフリップフロップDFF4及び第4の遅延回路2221を含む。第4の遅延回路2221は、第2のローカル周波数信号LO−を受信し、第2のローカル周波数信号LO−に対して位相遅延調整を実行する。第4のDフリップフロップDFF4のd入力端が、第2のデジタルベースバンド信号BB−を受信し、第4のDフリップフロップDFF4のクロック入力端が、第4の遅延回路2221によって出力されるとともに、第2のローカル周波数信号LO−に対して遅延調整が実行された後に取得される信号D_LO−を受信するように構成されており、第4のDフリップフロップDFF4の出力端が、第4の調整された信号BB2−を出力する。
【0052】
この実施形態においては、第3のデジタル変調ユニットは、第1のAND論理ユニット2311、第2のAND論理ユニット2312、及び第1のOR論理ユニット2313を含む。第1のAND論理ユニット2311は、入力される第1のローカル周波数信号LO+及び第1の調整された信号BB1+に対して論理AND演算を実行して、第1の無線周波数信号LO+*BB1+を生成するように構成されており、第2のAND論理ユニット2312は、入力される第2のローカル周波数信号LO−及び第4の調整された信号BB2−に対して論理AND演算を実行して、第4の無線周波数信号LO−*BB2−を生成するように構成されており、第1のOR論理ユニット2313は、第1の無線周波数信号LO+*BB1+及び第4の無線周波数信号LO−*BB2−に対して論理OR演算を実行して、第1の無線周波数出力信号RF_data+を出力するように構成されている。第4のデジタル変調ユニットは、第3のAND論理ユニット2321、第4のAND論理ユニット2322、及び第2のOR論理ユニット2323を含む。第3のAND論理ユニット2321は、入力される第1のローカル周波数信号LO+及び第3の調整された信号BB1−に対して論理AND演算を実行して、第2の無線周波数信号LO+*BB1−を生成するように構成されており、第4のAND論理ユニット2322は、入力される第2のローカル周波数信号LO−及び第2の調整された信号BB2+に対して論理AND演算を実行して、第3の無線周波数信号LO−*BB2+を生成するように構成されており、第2のOR論理ユニット2323は、第2の無線周波数信号LO+*BB1−及び第3の無線周波数信号LO−*BB2+に対して論理OR演算を実行して、第2の無線周波数出力信号RF_data−を出力するように構成されている。
【0053】
前述のAND論理ユニット2311、2312、2321、及び2322は、さまざまな特定の様式で実装されることが可能であり、ANDゲートを使用することによって別々に実装されることが可能であるか、又はNANDゲート及び位相インバータユニットを使用することによって実装されることが可能であって、位相インバータユニットがデジタル回路におけるNOTゲートに相当するとともに、1つの位相インバータ、若しくは複数の位相インバータを含む位相インバータチェーンであることが可能であるか、又はNORゲート及び排他的ORゲートなどの基本的な論理ゲートどうしを組み合わせることによって実装されることが可能である。この実施形態においては、前述のAND論理ユニット2311、2312、2321、及び2322は別々に、一例としてNANDゲート及び1つの位相インバータの実施様式を使用することによって詳細に説明されている。
【0054】
前述の第1のOR論理ユニット2313又は第2のOR論理ユニット2323は、ORゲートを使用することによって実装されることも可能であるか、又はNORゲート及び位相インバータユニットなどを使用することによって実装されることが可能であって、位相インバータユニットがデジタル回路におけるNOTゲートに相当するとともに、1つの位相インバータ、若しくは複数の位相インバータを含む位相インバータチェーンであることが可能であるか、又はNORゲート及び排他的ORゲートなどの基本的な論理ゲートどうしを組み合わせることによって実装されることが可能である。この実施形態においては、第1のOR論理ユニット2313及び第2のOR論理ユニット2323は別々に、一例としてNORゲート及び1つの位相インバータの実施様式を使用することによって詳細に説明されている。
【0055】
第1のAND論理ユニット2311は、第1のNANDゲートNAND1及び第1の位相インバータNOT1を含み、第2のAND論理ユニット2312は、第2のNANDゲートNAND2及び第2の位相インバータNOT2を含み、第3のAND論理ユニット2321は、第3のNANDゲートNAND3及び第3の位相インバータNOT3を含み、第4のAND論理ユニット2322は、第4のNANDゲートNAND4及び第4の位相インバータNOT4を含み、第1のOR論理ユニット2313は、第1のNORゲートNOR1及び第5の位相インバータNOT5を含み、第2のOR論理ユニット2323は、第2のNORゲートNOR2及び第6の位相インバータNOT6を含む。第1のNANDゲートNAND1の第1の受信端が、第1の調整された信号BB1+を受信し、第1のNANDゲートNAND1の第2の受信端が、第1のローカル周波数信号LO+を受信し、第1のNANDゲートNAND1の出力端が、第1の位相インバータNOT1の入力端に接続されており、第1の位相インバータNOT1の出力端が、第1の無線周波数信号LO+*BB1+を出力し、第1のNORゲートNOR1の第1の入力端に接続されている。第2のNANDゲートNAND2の第1の受信端が、第2の調整された信号BB2+を受信し、第2のNANDゲートNAND2の第2の受信端が、第2のローカル周波数信号LO−を受信し、第2のNANDゲートNAND2の出力端が、第2の位相インバータNOT2の入力端に接続されており、第2の位相インバータNOT2の出力端が、第2の無線周波数信号LO−*BB2+を出力し、第2のNORゲートNOR2の第1の入力端に接続されている。第3のNANDゲートNAND3の第1の受信端が、第3の調整された信号BB1−を受信し、第3のNANDゲートNAND3の第2の受信端が、第1のローカル周波数信号LO+を受信し、第3のNANDゲートNAND3の出力端が、第3の位相インバータNOT3の入力端に接続されており、第3の位相インバータNOT3の出力端が、第3の無線周波数信号LO+*BB1−を出力し、第2のNORゲートNOR2の第2の入力端に接続されている。第4のNANDゲートNAND4の第1の受信端が、第4の調整された信号BB2−を受信し、第4のNANDゲートNAND4の第2の受信端が、第2のローカル周波数信号LO−を受信し、第4のNANDゲートNAND4の出力端が、第4の位相インバータNOT4の入力端に接続されており、第4の位相インバータNOT4の出力端が、第4の無線周波数信号LO−*BB2−を出力し、第1のNORゲートNOR1の第2の入力端に接続されている。第1のNORゲートNOR1の出力端が、第5の位相インバータNOT5の入力端に接続されており、第5の位相インバータNOT5の出力端が、第1の無線周波数出力信号RF_data+を出力する。第2のNORゲートNOR2の出力端が、第6の位相インバータNOT6の入力端に接続されており、第6の位相インバータNOT6の出力端が、第2の無線周波数出力信号RF_data−を出力する。
【0056】
差動的なデジタルベースバンド信号(すなわち、第1のデジタルベースバンド信号BB+及び第2のデジタルベースバンド信号BB−)に対して2つの同期回路210及び220を使用することによって別々に位相調整が実行された後に、それぞれの信号は、別々の位相遅延を伴う2つのデジタルベースバンド信号、すなわち、第1の調整された信号BB1+及び第2の調整された信号BB2+、並びに第3の調整された信号BB1−及び第4の調整された信号BB2−に分割される。次いで、デジタル変調器230は、差動的なローカル周波数信号(すなわち、第1のローカル周波数信号LO+又は第2のローカル周波数信号LO−)を使用することによって、第1の調整された信号BB1+、第2の調整された信号BB2+、第3の調整された信号BB1−、及び第4の調整された信号BB2−を別々に変調し、最後に差動的な無線周波数出力信号(すなわち、第1の無線周波数出力信号RF_data+及び第2の無線周波数出力信号RF_data−)を生成する。前述の実施形態におけるシングルエンドの入力送信機とは異なり、この実施形態におけ
る差動入力をサポートする送信機は、NANDゲート、NORゲート、及び位相インバータの接続を使用することによって差動信号の処理を実施する。差動的な無線周波数出力信号(すなわち、第1の無線周波数出力信号RF_data+及び第2の無線周波数出力信号RF_data−)の論理式は別々に、下記のとおりである。
(RF_data+)=((LO+)∩(BB1+))∪((LO−)∩(BB2−)) (式3)
(RF_data−)=((LO−)∩(BB2+))∪((LO+)∩(BB1−)) (式4)
【0057】
図8は、さまざまな時点に対応する
図7における信号の波形図を示している。第1の同期回路210によって第1のデジタルベースバンド信号BB+が調整された後に、第1の調整された信号BB1+及び第2の調整された信号BB2+が出力されるということが、
図8を参照すれば見て取られることが可能である。第1の調整された信号BB1+及び第2の調整された信号BB2+は、第1のデジタルベースバンド信号BB+とは位相遅延において異なるだけであり、第1の調整された信号BB1+のエッジは、第1のローカル周波数信号LO+のローレベル範囲内に入り、第2の調整された信号BB2+のエッジは、第2のローカル周波数信号LO−のローレベル範囲内に入る。同様に、第2の同期回路220によって第2のデジタルベースバンド信号BB−が調整された後に、第3の調整された信号BB1−及び第4の調整された信号BB2−が出力される。第3の調整された信号BB1−及び第4の調整された信号BB2−は、第2のデジタルベースバンド信号BB−とは位相遅延において異なるだけであり、第3の調整された信号BB1−のエッジは、第1のローカル周波数信号LO+のローレベル範囲内に入り、第4の調整された信号BB2−のエッジは、第2のローカル周波数信号LO−のローレベル範囲内に入る。次いで、第1の調整された信号BB1+、第2の調整された信号BB2+、第3の調整された信号BB1−、及び第4の調整された信号BB2−は別々に、差動的なローカル周波数信号LO(すなわち、第1のローカル周波数信号LO+又は第2のローカル周波数信号LO−)を使用することによってデジタル変調器230において変調され、
変調を通じて出力されるすべての2つ
の信号に対して論理OR演算が実行された後に、高周波高調波成分を抑制する差動的な無線周波数出力信号(すなわち、第1の無線周波数出力信号RF_data+及び第2の無線周波数出力信号RF_data−)が取得される。
【0058】
50%のデューティーサイクルを伴うローカル周波数信号に関しては、第1のローカル周波数信号LO+及び第2のローカル周波数信号LO−がローレベル範囲にある期間は、信号周期の半分である。エッジとエッジの位置合わせの従来の同期化処理様式と比較すると、この実施形態において提供されるエッジレベルの位置合わせ様式のデジタル同期回路は、入力信号に関する時間シーケンス要件を大幅に低減する。たとえば、2GHzのローカル周波数信号に関しては、周期の半分の期間は250psであり、第1の同期回路210によって出力される第1の調整された信号BB1+及び第2の調整された信号BB2+、並びに第2の同期回路220によって出力される第3の調整された信号BB1−及び第4の調整された信号BB2−のエッジは、最終的に出力波形に影響を与えることなく、250psの範囲内でジッタすることが可能である。したがって、それぞれの変調された信号のエッジが、対応するローカル周波数信号のローレベル範囲内に入るということが保証される限り、デジタルベースバンド信号から生じる位相ノイズが抑制されることが可能である。既存のサブマイクロCMOS技術においては、Dフリップフロップの遅延、技術の不確実性、温度の影響などが考えられる場合でさえ、前述の時間シーケンス要件は、依然として容易に達成されることが可能であり、遅延回路は、デジタルベースバンド信号に対する位相遅延をフレキシブルに制御するために使用されることが可能である。
【0059】
本発明の実施形態2によって提供されるデジタル送信機の変調回路においては、差動的に入力されるデジタルベースバンド信号(すなわち、第1のデジタルベースバンド信号BB+及び第2のデジタルベースバンド信号BB−)の位相が、第1のローカル周波数信号LO+及び第2のローカル周波数信号LO−を使用することによって調整されて、第1のローカル周波数信号LO+のローレベル範囲内に入る信号エッジを伴う第1の調整された信号BB1+、第2のローカル周波数信号LO−のローレベル範囲内に入る信号エッジを伴う第2の調整された信号BB2+、第1のローカル周波数信号LO+のローレベル範囲内に入る信号エッジを伴う第3の調整された信号BB1−、及び第2のローカル周波数信号LO−のローレベル範囲内に入る信号エッジを伴う第4の調整された信号BB2−を別々に取得する。次いで、別々に、第1の調整された信号BB1+が、第1のローカル周波数信号LO+を使用することによって変調され、第4の調整された信号BB2−が、第2のローカル周波数信号LO−を使用することによって変調され、第2の調整された信号BB2+が、第2のローカル周波数信号LO−を使用することによって変調されるとともに、第3の調整された信号BB1−が、第1のローカル周波数信号LO+を使用することによって変調され、それから、変調後に出力されるすべての2つの無線周波数信号に対して論理OR演算が実行されて、差動的な無線周波数出力信号(第1の無線周波数出力信号RF_data+及び第2の無線周波数出力信号RF_data−)を取得する。本発明によって提供されるデジタル送信機の変調回路は、変調された無線周波数信号が、不必要な高周波高調波成分を生成することを防止することができ、デジタルベースバンド信号から生じる位相ノイズを効果的に抑制することができる。
【0060】
以降では、本発明の実施形態3によって提供されるデジタル送信機を詳細に説明するために一例として
図9を使用する。
図9は、本発明の実施形態3によるデジタル送信機の概略構造図である。
【0061】
図9において示されているように、デジタル送信機は、振幅位相分離モジュール310、AM(振幅変調)信号処理モジュール320、デジタル位相同期ループ330、変調回路340、及びデジタル/アナログ変換回路350を含む。
【0062】
変調回路340は、本発明の実施形態1において提供されている変調回路である。
【0063】
振幅位相分離モジュール310は、デジタルベースバンド直交信号IQ(同相−直交信号)に対して振幅位相分離を実行し、振幅変調信号AMが、デジタル補間、アップサンプリング、及びデジタルフィルタリングなどの処理のためにAM信号処理モジュール320に入り、次いで高速のシングルエンドのデジタルベースバンド信号BBに変換され、デジタル位相同期ループ330によって変調された後に、位相変調信号PMが、差動的なローカル周波数信号LO+及びLO−の様式で出力される。シングルエンドのデジタルベースバンド信号BB並びに差動的なローカル周波数信号LO+及びLO−は、変調回路340によって処理され、次いで無線周波数信号LO+*BB1及びLO−*BB2が生成される。デジタル/アナログ変換回路350は、無線周波数信号LO+*BB1及びLO−*BB2を受信し、無線周波数信号LO+*BB1及びLO−*BB2を出力用のアナログ信号に変換する。
【0064】
前述のデジタル/アナログ変換回路350は、特にデジタル電力増幅器又は無線周波数デジタル/アナログコンバータであることが可能であるということに留意されたい。
【0065】
本発明の実施形態によって提供されるデジタル送信機を使用することによって、デジタルベースバンド信号及びローカル周波数信号の位相の問題によってもたらされる高周波高調波成分が効果的に回避されることが可能であり、デジタルベースバンド信号のノイズが抑制され、それによって、高次高調波を抑制する能力、及びデジタル変調器システムの帯域外ノイズを抑制する能力の両方が改善される。
【0066】
以降では、本発明の実施形態4によって提供される別のデジタル送信機システムを詳細に説明するために一例として
図10を使用する。
図10は、本発明の実施形態4による別のデジタル送信機システムの概略構造図である。
【0067】
図10において示されているように、デジタル送信機は、振幅位相分離モジュール410、AM信号処理モジュール420、デジタル位相同期ループ430、変調回路440、及びデジタル/アナログ変換回路450を含む。
【0068】
変調回路440は、本発明の実施形態2において提供されている変調回路である。
【0069】
振幅位相分離モジュール410は、デジタルベースバンド直交信号IQに対して振幅位相分離を実行し、振幅変調信号AMが、デジタル補間、アップサンプリング、及びデジタルフィルタリングなどの処理のためにAM信号処理モジュール420に入り、次いで高速の差動的なデジタルベースバンド信号BB+及びBB−に変換され、デジタル位相同期ループ430によって変調された後に、位相変調信号PMが、差動的なローカル周波数信号LO+及びLO−の様式で出力される。差動的なデジタルベースバンド信号BB+及びBB−並びに差動的なローカル周波数信号LO+及びLO−は、変調回路440によって処理され、次いで無線周波数信号RF_data+及びRF_data−が生成される。デジタル/アナログ変換回路450は、無線周波数信号RF_data+及びRF_data−を受信し、無線周波数信号RF_data+及びRF_data−を出力用のアナログ信号に変換する。
【0070】
前述のデジタル/アナログ変換回路450は、特にデジタル電力増幅器又は無線周波数デジタル/アナログコンバータであることが可能であるということに留意されたい。
【0071】
本発明の実施形態によって提供されるデジタル送信機を使用することによって、デジタルベースバンド信号及びローカル周波数信号の位相の問題によってもたらされる高周波高調波成分が効果的に回避されることが可能であり、デジタルベースバンド信号のノイズが抑制され、それによって、高次高調波を抑制する能力、及びデジタル変調器システムの帯域外ノイズを抑制する能力の両方が改善される。
【0072】
以降では、本発明の実施形態5によって提供される更に別のデジタル送信機を詳細に説明するために一例として
図11を使用する。
図11は、本発明の実施形態5による更に別のデジタル送信機の概略構造図である。
【0073】
図11において示されているように、デジタル送信機は、第1のデジタルシグナルプロセッサ510、第2のデジタルシグナルプロセッサ520、デジタル位相同期ループ530、第1の変調回路540、第2の変調回路550、第1の無線周波数デジタル/アナログコンバータ560、及び第2の無線周波数デジタル/アナログコンバータ570を含む。
【0074】
第1の変調回路540及び第2の変調回路550のそれぞれは、本発明の実施形態2において提供されている変調回路である。
【0075】
第1のデジタルシグナルプロセッサ510は、差動的に入力される第1の入力信号I+及びI−を受信し、第1のデジタルベースバンド信号BBI+及び第2のデジタルベースバンド信号BBI−を生成するように構成されている。
【0076】
第2のデジタルシグナルプロセッサ520は、差動的に入力される第2の入力信号Q+及びQ−を受信し、第3のデジタルベースバンド信号BBQ+及び第4のデジタルベースバンド信号BBQ−を生成するように構成されており、第1の入力信号及び第2の入力信号は、同相及び直交信号である。
【0077】
デジタル位相同期ループ530は、ローカル周波数信号の第1のグループ及びローカル周波数信号の第2のグループを生成するように構成されており、ローカル周波数信号の第1のグループは、ローカル周波数信号の第2のグループに直交しており、ローカル周波数信号の第1のグループは、互いに差動的である第1のローカル周波数信号LOI+及び第2のローカル周波数信号LOI−を含み、ローカル周波数信号の第2のグループは、互いに差動的である第3のローカル周波数信号LOQ+及び第4のローカル周波数信号LOQ−を含む。
【0078】
第1の変調回路540は、第1のデジタルベースバンド信号BBI+、第2のデジタルベースバンド信号BBI−、第1のローカル周波数信号LOI+、及び第2のローカル周波数信号LOI−を受信し、第1のローカル周波数信号LOI+に対して位相遅延を実行し、次いで第1のデジタルベースバンド信号BBI+に対して位相調整を実行して、第1の調整された信号を生成し、それによって、第1の調整された信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジ
が、第1のローカル周波数信号LOI+のローレベル範囲内に入り、第2のローカル周波数信号LOI−に対して位相遅延を実行し、次いで第1のデジタルベースバンド信号BBI+に対して位相調整を実行して、第2の調整された信号を生成し、それによって、第2の調整された信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジ
が、第2のローカル周波数信号LOI−のローレベル範囲内に入り、第1のローカル周波数信号LOI+に対して位相遅延を実行し、次いで第2のデジタルベースバンド信号BBI−に対して位相調整を実行して、第3の調整された信号を生成し、それによって、第3の調整された信号の立ち上がりエッジ及び
立ち下がりエッジ
が、第1のローカル周波数信号LOI+のローレベル範囲内に入り、第2のローカル周波数信号LOI−に対して位相遅延を実行し、次いで第2のデジタルベースバンド信号BBI−に対して位相調整を実行して、第4の調整された信号を生成し、それによって、第4の調整された信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジ
が、第2のローカル周波数信号LOI−のローレベル範囲内に入り、第1のローカル周波数信号LOI+を使用することによって第1の調整された信号を変調して、第1の無線周波数信号を生成し、第2のローカル周波数信号LOI−を使用することによって第2の調整された信号を変調して、第2の無線周波数信号を生成し、第1のローカル周波数信号LOI+を使用することによって第3の調整された信号を変調して、第3の無線周波数信号を生成し、第2のローカル周波数信号LOI−を使用することによって第4の調整された信号を変調して、第4の無線周波数信号を生成し、第1の無線周波数信号及び第4の無線周波数信号を重ねて、第1の無線周波数出力信号I_RF_data+を取得するとともに、第2の無線周波数信号及び第3の無線周波数信号を重ねて、第2の無線周波数出力信号I_RF_data−を取得するように構成されている。
【0079】
第2の変調回路550は、第3のデジタルベースバンド信号BBQ+、第4のデジタルベースバンド信号BBQ−、第3のローカル周波数信号LOQ+、及び第4のローカル周波数信号LOQ−を受信し、第3のローカル周波数信号LOQ+に対して位相遅延を実行し、次いで第3のデジタルベースバンド信号BBQ+に対して位相調整を実行して、第5の調整された信号を生成し、それによって、第5の調整された信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジ
が、第3のローカル周波数信号LOQ+のローレベル範囲内に入り、第4のローカル周波数信号LOQ−に対して位相遅延を実行し、次いで第3のデジタルベースバンド信号BBQ+に対して位相調整を実行して、第6の調整された信号を生成し、それによって、第6の調整された信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジ
が、第4のローカル周波数信号LOQ−のローレベル範囲内に入り、第3のローカル周波数信号LOQ+に対して位相遅延を実行し、次いで第4のデジタルベースバンド信号BBQ−に対して位相調整を実行して、第7の調整された信号を生成し、それによって、第7の調整された信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジ
が、第3のローカル周波数信号LOQ+のローレベル範囲内に入り、第4のローカル周波数信号LOQ−に対して位相遅延を実行し、次いで第4のデジタルベースバンド信号BBQ−に対して位相調整を実行して、第8の調整された信号を生成し、それによって、第8の調整された信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジ
が、第4のローカル周波数信号LOQ−のローレベル範囲内に入り、第3のローカル周波数信号LOQ+を使用することによって第5の調整された信号を変調して、第5の無線周波数信号を生成し、第4のローカル周波数信号LOQ−を使用することによって第6の調整された信号を変調して、第6の無線周波数信号を生成し、第3のローカル周波数信号LOQ+を使用することによって第7の調整された信号を変調して、第7の無線周波数信号を生成し、第4のローカル周波数信号LOQ−を使用することによって第8の調整された信号を変調して、第8の無線周波数信号を生成し、第5の無線周波数信号及び第8の無線周波数信号を重ねて、第3の無線周波数出力信号Q_RF_data+を取得するとともに、第6の無線周波数信号及び第7の無線周波数信号を重ねて、第4の無線周波数出力信号Q_RF_data−を取得するように構成されている。
【0080】
第1の無線周波数デジタル/アナログコンバータ560は、第1の無線周波数出力信号I_RF_data
+及び第2の無線周波数出力信号I_RF_data−を出力用の第1のアナログ信号に変換する。
【0081】
第2の無線周波数デジタル/アナログコンバータ570は、第3の無線周波数出力信号Q_RF_data+及び第4の無線周波数出力信号
Q_RF_data−を出力用の第2のアナログ信号に変換する。本発明の実施形態によって提供されるデジタル送信機を使用することによって、デジタルベースバンド信号及びローカル周波数信号の位相の問題によってもたらされる高周波高調波成分が効果的に回避されることが可能であり、デジタルベースバンド信号のノイズが抑制され、それによって、高次高調波を抑制する能力、及びデジタル変調器システムの帯域外ノイズを抑制する能力の両方が改善される。
【0082】
それに対応して、本発明の一実施形態は、信号変調方法を更に提供する。
図12において示されているように、方法は、下記のステップを含む。
【0083】
ステップ1210:第1のデジタルベースバンド信号及び第1のローカル周波数信号を受信し、第1のローカル周波数信号に対して位相遅延を実行して第1の遅延信号を取得するとともに、第1の遅延信号を使用することによって
第1のデジタルベースバンド信号に対して位相調整を実行して、第1の調整された信号を生成し、それによって、第1の調整された信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジ
が、第1のローカル周波数信号のローレベル範囲内に入る。
【0084】
ステップ1220:第1のデジタルベースバンド信号及び第2のローカル周波数信号を受信し、第2のローカル周波数信号に対して位相遅延を実行して第2の遅延信号を取得するとともに、第2の遅延信号を使用することによって
第1のデジタルベースバンド信号に対して位相調整を実行して、第2の調整された信号を生成し、それによって、第2の調整された信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジ
が、第2のローカル周波数信号のローレベル範囲内に入る。
【0085】
第1のローカル周波数信号及び第2のローカル周波数信号は、差動信号であり、第1の遅延信号及び第2の遅延信号の位相遅延は同じである。
【0086】
ステップ1230:第1のローカル周波数信号を使用することによって第1の調整された信号を変調して、第1の無線周波数信号を生成し、第2のローカル周波数信号を使用することによって第2の調整された信号を変調して、第2の無線周波数信号を生成する。
【0087】
前述のステップ1210及びステップ1220は、前述のシーケンスで実行されることが可能であるか、又は同時に実行されることが可能であるか、又はステップ1220が最初に実行されることが可能であり、次いでステップ1210が実行される。
【0088】
任意選択で、方法は、下記を更に含む。
【0089】
ステップ1240:第2のデジタルベースバンド信号及び第1のローカル周波数信号を受信し、第1のローカル周波数信号に対して位相遅延を実行して第3の遅延信号を取得するとともに、第3の遅延信号を使用することによって第2のデジタルベースバンド信号に対して位相調整を実行して、第3の調整された信号を生成し、それによって、第3の調整された信号の立ち上がりエッジ及び
立ち下がりエッジ
が、第1のローカル周波数信号のローレベル範囲内に入る。
【0090】
ステップ1250:第2のデジタルベースバンド信号及び第2のローカル周波数信号を受信し、第2のローカル周波数信号に対して位相遅延を実行して第4の遅延信号を取得するとともに、第4の遅延信号を使用することによって
第2のデジタルベースバンド信号に対して位相調整を実行して、第4の調整された信号を生成し、それによって、第4の調整された信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジ
が、第2のローカル周波数信号のローレベル範囲内に入る。
【0091】
第1のデジタルベースバンド信号及び第2のデジタルベースバンド信号は、差動信号であり、第3の遅延信号及び第4の遅延信号の位相遅延は同じである。
【0092】
ステップ1260:第1のローカル周波数信号を使用することによって第3の調整された信号を変調して、第3の無線周波数信号を生成し、第2のローカル周波数信号を使用することによって第4の調整された信号を変調して、第4の無線周波数信号を生成する。
【0093】
前述のステップ1240〜ステップ1260は、ステップ1210〜ステップ1230と並列に実行されることが可能である。
【0094】
ステップ1270:第1の無線周波数信号及び第4の無線周波数信号を重ねて、第1の無線周波数出力信号を取得するとともに、第2の無線周波数信号及び第3の無線周波数信号を重ねて、第2の無線周波数出力信号を取得する。
【0095】
本発明の実施形態によって提供される信号変調方法によれば、デジタルベースバンド信号及びローカル周波数信号の位相の問題によってもたらされる高周波高調波成分が効果的に回避されることが可能であり、デジタルベースバンド信号のノイズが抑制され、それによって、高次高調波を抑制する能力、及びデジタル変調器システムの帯域外ノイズを抑制する能力の両方が改善される。
【0096】
本明細書において開示されている実施形態において説明されている例と組み合わせて、ユニット及びアルゴリズムステップが、電子的ハードウェア、コンピュータソフトウェア、又はそれらの組合せによって実施されることが可能であるということに当業者なら更に気づくことができる。ハードウェアとソフトウェアとの間における互換性を明確に説明するために、上記は、それぞれの例の構成及びステップが機能に従って一般的に説明されている。機能がハードウェアによって実行されるか、又はソフトウェアによって実行されるかは、特定の用途、及び技術的解決策の設計制約条件に依存する。当業者なら、説明されている機能をそれぞれの特定の用途に関して実施するためにさまざまな方法を使用することができるが、その実施は本発明の範囲を超えているとみなされるべきではない。
【0097】
前述の特定の実施様式においては、本発明の目的、技術的解決策、及び利点が詳細に更に説明されている。前述の説明は、本発明の特定の実施様式にすぎず、本発明の保護範囲を限定することを意図されているものではないということを理解されたい。本発明の趣旨及び原理から逸脱することなく作成されるいかなる修正形態、均等な代替形態、及び改良形態も、本発明の保護範囲内に収まるものとする。