(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6392392
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】配車システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20180910BHJP
【FI】
G08G1/00 X
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-50012(P2017-50012)
(22)【出願日】2017年3月15日
【審査請求日】2017年3月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】三菱ロジスネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 絢介
【審査官】
上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−117965(JP,A)
【文献】
特開2003−195941(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0325563(US,A1)
【文献】
特開2017−121865(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00−99/00
B65G 1/00−1/133
1/14−1/20
B66F 9/00−11/04
G05D 1/00−1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有人運転モードと無人運転モードとを切り替え可能な有人無人兼用車と、
所定の配車要求場所を撮影するように設けられ、当該配車要求場所を撮影して画像データを生成するカメラと、
前記画像データに基づいて、利用者の存在を認識するとともに当該利用者の動作を検知し、当該動作が予め定められた特定挙動であるか否かを判定するとともに、前記利用者が予め定められた適格者であるか否かを認証する画像解析装置と、
前記画像解析装置によって検知された前記動作が前記特定挙動であると判定され、かつ、前記画像解析装置によって前記利用者が前記適格者であると認証されたとき、当該利用者に対して前記有人無人兼用車を配車する配車装置とを備える
ことを特徴とする配車システム。
【請求項2】
前記画像解析装置は、
前記画像データから前記利用者の顔に係る顔データを抽出する顔データ抽出部と、
前記適格者の顔に係る特定顔データを記憶している特定顔データ記憶部と、
前記顔データと前記特定顔データとの比較を行って前記利用者が前記適格者であることを認証する認証部とを備える
ことを特徴とする請求項1に記載の配車システム。
【請求項3】
前記画像解析装置は、
前記画像データから前記利用者の上肢の少なくとも一部の動作を検知する上肢動作検知部と、
検知された前記動作が手または腕を上げる挙手動作であるとき、当該動作を前記特定挙動として判定する特定挙動判定部とを備える
ことを特徴とする請求項1または2に記載の配車システム。
【請求項4】
有人運転モードと無人運転モードとを切り替え可能な有人無人兼用車と、
所定の配車要求場所を撮影するように設けられ、当該配車要求場所を撮影して画像データを生成するカメラと、
前記画像データに基づいて、利用者の存在を認識するとともに当該利用者の動作を検知し、当該動作が予め定められた特定挙動であるか否かを判定する画像解析装置と、
前記画像解析装置によって検知された前記動作が前記特定挙動であると判定されたとき、前記利用者に対して前記有人無人兼用車を配車する配車装置とを備え、
前記配車装置は、
前記有人無人兼用車が荷物の搬送中であるか否かの情報を含む車情報を記憶している車情報記憶部と、
前記車情報に基づき、複数の前記有人無人兼用車から前記利用者に対して配車される特定車を選択する特定車選択部と、
前記特定車に前記利用者の元へ移動させるための配車信号を送信する配車信号送信部とを備える
ことを特徴とする配車システム。
【請求項5】
前記特定車に前記配車信号を無線で送信する無線通信装置をさらに備える
ことを特徴とする請求項4に記載の配車システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者の元へ有人無人兼用車を配車する配車システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
利用者の手動操作により動作する有人運転モードと、利用者の手動操作によらず自律して動作する無人運転モードとを切り替え可能な有人無人兼用車が知られている(例えば特許文献1参照)。有人無人兼用車に利用者が搭乗する際には、利便性の観点から、その利用者による配車の要求に応じて、無人運転モードで動作している有人無人兼用車が利用者の元へ移動してくることが好ましい。
【0003】
利用者が配車を要求する構成としては、例えば特許文献2に記載されるように、利用者が携帯端末を操作することで、その携帯端末から車または配車管理センターに配車を要求し、携帯端末から配車要求を直接受け付けた車、または配車管理サーバから配車の指示を受け付けた車が、自律走行して利用者の元へ移動する構成を採用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−222108号公報
【特許文献2】特開2016−210417号公報
【発明の概要】
【0005】
しかしながら、利用者が携帯端末を操作して配車を要求する構成では、携帯端末を操作することが煩わしいという問題や、利用者が携帯端末を紛失した場合には配車を要求することができないという問題がある。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、利用者が有人無人兼用車の配車を簡単に要求することができる配車システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明の配車システムは、有人運転モードと無人運転モードとを切り替え可能な有人無人兼用車と、所定の配車要求場所を撮影するように設けられ、当該配車要求場所を撮影して画像データを生成するカメラと、前記画像データに基づいて、利用者の存在を認識するとともに当該利用者の動作を検知し、当該動作が予め定められた特定挙動であるか否かを判定する
とともに、前記利用者が予め定められた適格者であるか否かを認証する画像解析装置と、前記画像解析装置によって検知された前記動作が前記特定挙動であると判定され
、かつ、前記画像解析装置によって前記利用者が前記適格者であると認証されたとき、当該利用者に対して前記有人無人兼用車を配車する配車装置とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、
請求項2に記載の配車システムは、
請求項1に記載の配車システムにおいて、前記画像解析装置は、前記画像データから前記利用者の顔に係る顔データを抽出する顔データ抽出部と、前記適格者の顔に係る特定顔データを記憶している特定顔データ記憶部と、前記顔データと前記特定顔データとの比較を行って前記利用者が前記適格者であることを認証する認証部とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、
請求項3に記載の配車システムは、
請求項1または2に記載の配車システムにおいて、前記画像解析装置は、前記画像データから前記利用者の上肢の少なくとも一部の動作を検知する上肢動作検知部と、検知された前記動作が手または腕を上げる挙手動作であるとき、当該動作を前記特定挙動として判定する特定挙動判定部とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、
請求項4に記載の配車システムは、
有人運転モードと無人運転モードとを切り替え可能な有人無人兼用車と、所定の配車要求場所を撮影するように設けられ、当該配車要求場所を撮影して画像データを生成するカメラと、前記画像データに基づいて、利用者の存在を認識するとともに当該利用者の動作を検知し、当該動作が予め定められた特定挙動であるか否かを判定する画像解析装置と、前記画像解析装置によって検知された前記動作が前記特定挙動であると判定されたとき、前記利用者に対して前記有人無人兼用車を配車する配車装置とを備え、前記配車装置は、前記有人無人兼用車が荷物の搬送中であるか否かの情報を含む車情報を記憶している車情報記憶部と、前記車情報に基づき、複数の前記有人無人兼用車から前記利用者に対して配車される特定車を選択する特定車選択部と、前記特定車に前記利用者の元へ移動させるための配車信号を送信する配車信号送信部とを備えることを特徴とする。
【0012】
また、
請求項5に記載の配車システムは、
請求項4に記載の配車システムにおいて、前記特定車に前記配車信号を無線で送信する無線通信装置をさらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、利用者が有人無人兼用車の配車を簡単に要求することができる配車システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る配車システムの概要図である。
【
図2】同実施形態に係る配車システムの概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
図1に示すように、配車システムSは、複数のフォークリフト1と、カメラ2と、画像解析装置3と、配車装置4と、無線通信装置5と、報知装置6とを備えている。配車システムSは、所定の配車要求場所Pに居る利用者Hに対してフォークリフト1を配車する。
【0016】
フォークリフト1は、搭乗者(すなわちフォークリフト1に搭乗している利用者)の手動操作により動作する有人運転モードと、手動操作によらずに自律して動作する無人運転モードとを切り替え可能な有人無人兼用車である。配車装置4から配車信号を受信したフォークリフト1は、荷役作業中であれば当該作業終了後に、荷役作業中でなければ直ちに、利用者Hの迎車のために利用者Hの元(利用者H近傍の迎車位置Q)へ移動する。
【0017】
カメラ2は、配車要求場所Pを撮影するように建屋の天井に設けられており、配車要求場所Pを撮影して画像データを生成する。カメラ2は、配車要求場所Pに存在する利用者Hを撮影することで、利用者Hの画像データを生成する。
【0018】
画像解析装置3は、カメラ2で生成された画像データに基づいて、利用者Hの存在を認識するとともに利用者Hの動作を検知し、検知した動作が予め定められた特定挙動であるか否かを判定する。また、画像解析装置3は、検知した動作が特定挙動であると判定したとき、特定挙動を行った利用者Hが予め定められた適格者(配車を要求することを許可された者)であるか否かを認証する。
【0019】
配車装置4は、画像解析装置3によって検知された利用者Hの動作が特定挙動であると判定され、かつ、画像解析装置3によって利用者Hが適格者であると認証されたとき、利用者Hに対してフォークリフト1を配車する。すなわち、配車装置4は、利用者Hが特定挙動を行っていない場合、および、利用者Hが適格者であると認証されなかった場合には、フォークリフト1を配車しない。配車装置4は、フォークリフト1を配車する際に、複数のフォークリフト1から利用者Hの元へ速やかに移動させることが可能な1台のフォークリフト1(以下「特定車」という)を選択し、その特定車に配車信号を送信する。
【0020】
無線通信装置5は、フォークリフト1と無線通信可能な場所に設けられており、配車装置4とフォークリフト1との通信を中継することで、配車装置4から送信された配車信号を特定車に無線で送信する。
【0021】
報知装置6は、配車要求場所Pの近傍に設けられており、配車装置4がフォークリフト1を配車するとき、配車の要求を受け付けたことを視覚的手段または聴覚的手段により利用者Hに報知する。
【0022】
図2は、画像解析装置3および配車装置4の機能ブロック図を示している。
図2に示すように、画像解析装置3は、上肢動作検知部31と、特定挙動判定部32と、顔データ抽出部33と、特定顔データ記憶部34と、認証部35とを備えている。また、配車装置4は、車情報記憶部41と、特定車選択部42と、配車信号送信部43とを備えている。
【0023】
上肢動作検知部31は、画像データから利用者Hの上肢の少なくとも一部の動作を検知する。特定挙動判定部32は、上肢動作検知部31によって検知された動作が手または腕を継続して頭よりも高く上げる挙手動作であるとき、その動作を配車要求のための特定挙動として判定する。
【0024】
顔データ抽出部33は、カメラ2で生成された画像データから利用者Hの顔に係る顔データを抽出する。特定顔データ記憶部34は、適格者の顔に係る特定顔データを記憶している。認証部35は、顔データ抽出部33で抽出された顔データと、特定顔データ記憶部34に記憶されている特定顔データとの比較を行って、各データの一致度が高ければ利用者Hが適格者であることを認証する。
【0025】
車情報記憶部41は、各フォークリフト1が荷物Nの搬送中であるか否かの情報、および、各フォークリフト1から迎車位置Qまでの距離に係る情報を含む車情報を記憶している。特定車選択部42は、特定挙動判定部32によって利用者Hの動作が特定挙動として判定され、かつ、認証部35によって利用者Hが適格者であると認証されたとき、車情報記憶部41に記憶されている車情報に基づき、複数のフォークリフト1から利用者Hに対して配車される特定車を選択する。具体的には、特定車選択部42は、荷物Nの搬送中ではなく迎車位置Qまでの距離が短いフォークリフト1を特定車として選択する。また、全てのフォークリフト1が荷物Nの搬送中であれば、迎車位置Qまでの距離が最も短いフォークリフト1を特定車として選択する。配車信号送信部43は、特定車選択部42で選択された特定車に、利用者Hの元(迎車位置Q)へ移動させるための配車信号を送信する。
【0026】
以上のように構成された配車システムSにおいては、配車を要求することが許可された適格者である利用者Hが配車要求場所Pで手または腕を上げると、迎車位置Qに最も早く到着する蓋然性の高いフォークリフト1が利用者Hに対して配車される。そして、利用者Hは、迎車位置Qに到着したフォークリフト1に搭乗し、無人運転モードから有人運転モードに切り替えることによって、フォークリフト1を操作して荷役作業を行うことが可能である。
【0027】
上記実施形態では以下の効果が得られる。
(1)画像解析装置3によって検知された利用者Hの動作が、手または腕を上げる特定挙動であると判定されたとき、利用者Hに対してフォークリフト1が配車される。このため、利用者Hは、携帯端末等を操作することなく、配車要求場所Pで手または腕を上げるだけで配車を要求することができる。したがって、本発明の配車システムSにおいては、利用者Hがフォークリフト1の配車を簡単に要求することができる。
【0028】
(2)利用者Hの動作が手または腕を上げる特定挙動であると判定され、かつ、利用者Hが適格者であると認証されたとき、利用者Hに対してフォークリフト1が配車される。このため、配車を要求することを許可された適格者でない者が手または腕を上げた場合には、フォークリフト1を配車しないようにすることができる。すなわち、関係者以外の者の配車の要求を受け付けないようにすることができる。
【0029】
(3)利用者Hの顔データと適格者の特定顔データとの比較を行って利用者Hが適格者であることが認証される。このため、利用者Hが適格者であるか否かの認証を詳細に行うことができる。
【0030】
(4)利用者Hの動作が手または腕を上げる挙手動作であるとき、その動作が配車要求のための特定挙動として判定される。このため、利用者Hが配車要求のための動作を行っていることを容易に検出することができる。
【0031】
(5)フォークリフト1が荷物Nの搬送中であるか否かの情報を含む車情報に基づき、複数のフォークリフト1から利用者Hに対して配車される特定車が選択される。このため、利用者Hに対して、荷物Nを搬送していないフォークリフト1を速やかに配車することができる。
【0032】
(6)配車システムSは、特定車に配車信号を無線で送信する無線通信装置5を備えている。このため、無人運転モードで動作しているフォークリフト1に対して配車を容易に指示することができる。
【0033】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記構成を適宜変更することもできる。例えば、上記実施形態を、以下のように変更して実施してもよく、以下の変更を組み合わせて実施してもよい。
【0034】
・
図3に示すように、配車システムSが、それぞれ異なる場所を撮影するように設けられた複数のカメラ2を備えていてもよい。
図3に示す構成においては、配車要求場所P1を撮影するカメラ2で生成された画像データに基づいて、利用者Hの動作が特定挙動であると判定され、かつ、利用者Hが適格者であると認証されたとき、配車装置4は、配車要求場所P1に対応する迎車位置Q1にフォークリフト1を配車する。また、配車要求場所P2を撮影するカメラ2で生成された画像データに基づいて、利用者Hの動作が特定挙動であると判定され、かつ、利用者Hが適格者であると認証されたとき、配車装置4は、配車要求場所P2に対応する迎車位置Q2にフォークリフト1を配車する。この場合、特定車に送信される配車信号には、配車先の位置(すなわち迎車位置Q1または迎車位置Q2)に係る情報が含まれ、配車信号を受信したフォークリフト1は、配車信号に含まれる情報に基づいて迎車位置Q1または迎車位置Q2へ移動する。
【0035】
・フォークリフト1が荷物Nの搬送中であるか否かの情報に基づかずに、利用者Hに対して配車される特定車を選択することもできる。すなわち、利用者Hに対して配車されるフォークリフト1を予め設定しておくこともできる。
【0036】
・配車要求のための特定挙動として判定される動作は、手または腕を上げる動作に限定されない。例えば、利用者Hが手を叩く動作や、利用者Hが手または腕を振る動作を、配車要求のための特定挙動として判定することもできる。
【0037】
・顔データと特定顔データとを比較することなく、利用者Hが適格者であることを認証することもできる。例えば、利用者Hの服装の色、帽子の色、ヘルメットの色、または、これらの組み合わせを識別することで、利用者Hが適格者であることを認証することもできる。
【0038】
・配車装置4は、画像解析装置3によって検知された動作が特定挙動であると判定されたとき、利用者Hが適格者であるか否かを認証することなく、利用者Hに対してフォークリフト1を配車してもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 フォークリフト(有人無人兼用車)
2 カメラ
3 画像解析装置
4 配車装置
5 無線通信装置
6 報知装置
31 上腕動作検知部
32 特定挙動判定部
33 顔データ抽出部
34 特定顔データ記憶部
35 認証部
41 車情報記憶部
42 特定車選択部
43 配車信号送信部
H 利用者
P,P1,P2 配車要求場所
Q,Q1,Q2 迎車位置
S 配車システム
【要約】
【課題】利用者が有人無人兼用車の配車を簡単に要求することができる配車システムを提供する。
【解決手段】配車システムSは、有人運転モードと無人運転モードとを切り替え可能なフォークリフト1と、所定の配車要求場所Pを撮影するように設けられ、配車要求場所Pを撮影して画像データを生成するカメラ2と、画像データに基づいて、利用者Hの存在を認識するとともに当該利用者Hの動作を検知し、その動作が予め定められた特定挙動であるか否かを判定する画像解析装置3と、画像解析装置3によって検知された動作が特定挙動であると判定されたとき、利用者Hに対してフォークリフト1を配車する配車装置4とを備える。
【選択図】
図1