特許第6392395号(P6392395)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6392395
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】平面度測定方法及びピン高さ調整方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 5/28 20060101AFI20180910BHJP
   G01C 9/00 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
   G01B5/28 101
   G01C9/00 Z
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-60268(P2017-60268)
(22)【出願日】2017年3月26日
【審査請求日】2018年6月29日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】300091670
【氏名又は名称】株式会社アドテックエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100097548
【弁理士】
【氏名又は名称】保立 浩一
(72)【発明者】
【氏名】金内 伸朗
【審査官】 櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−234427(JP,A)
【文献】 特開平4−372342(JP,A)
【文献】 特開昭59−116501(JP,A)
【文献】 実開昭63−174013(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 5/00− 5/30
G01B 21/00−21/32
G01C 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向の配置が既知であって垂直に延びる多数のピンの上端の高さ方向の位置の相違を当該多数のピンの先端が成す仮想面の平面度として測定する平面度測定方法であって、
平坦な上面及び下面を有し均一な厚さの測定板と、測定板の上に取り付けられた水準器とから成る測定ユニットを使用する方法であり、
多数のピンのうちの隣り合う三本のピンを選択し、選択された三本のピンの上に測定ユニットを載せた状態で、直交する二つの水平方向における測定板の傾きを水準器により測定する三点測定ステップを含む方法であって、
三点測定ステップを各三本のピンに対して順次行うことで平面度を測定する方法であり、
二回目以降の三点測定ステップは、それまでに選択されたピンのうちの一本を重ねて選択して測定を行うステップであり、
三点測定ステップを順次行うことで全てのピンについて水準器により測定板の傾きを測定する方法であり、
各三点測定ステップにおける前記二つの水平方向の測定板の傾きから、上端が最も高い位置にあるピンと上端が最も低い位置にあるピンとの当該高さの差違を算出するステップを含むことを特徴とする平面度測定方法。
【請求項2】
水平方向の配置が既知である多数の測定点マークを備えた物体の上面の水平方向での平面度を測定する平面度測定方法であって、
平坦な上面を有する測定板と、測定板の上に取り付けられた水準器と、測定板の下面から下方に垂直に延び、測定板の上面からの長さが均一である三本の足ピンとを備えた測定ユニットを使用する方法であり、
多数の測定点マークの配置は、隣り合ういずれの三個の測定点マークを選択した場合でも測定ユニットの三本の足ピンの配置と同じになる配置であり、
多数の測定点マークのうち隣り合う三個の測定点マークを選択し、選択された三個の測定点マークの上に測定ユニットの足ピンがそれぞれ載る状態で、直交する二つの水平方向における測定板の傾きを水準器により測定する三点測定ステップを含む方法であって、
三点測定ステップを、各三個の測定点マークに対して順次行うことで平面度を測定する方法であり、
二回目以降の三点測定ステップは、それまでに選択された測定点マークのうちの一個を重ねて選択して測定を行うステップであり、
三点測定ステップを順次行うことで全ての測定点マークについて水準器による測定板の上面の傾きを測定する方法であり、
各三点測定ステップにおける前記二つの水平方向の測定板の上面の傾きから、最も高い位置にある測定点マークと最も低い位置にある測定点マークの高さの差違を算出するステップを含むことを特徴とする平面度測定方法。
【請求項3】
ベース盤と、ベース盤の上面に取り付けられて垂直上方に延びる多数のピンとを備え、各ピンの突出高さが調整可能であるピンユニットにおいて、各ピンのベース盤からの突出高さを調整するピン高さ調整方法であって、
多数のピンの上端の高さ方向の位置の相違を当該多数のピンの先端が成す仮想面の平面度として測定する平面度測定工程と、
平面度測定工程における平面度の測定結果に従って各ピンの突出高さを調整する調整工程とを有しており、
平面度測定工程は、平坦な上面及び下面を有し均一な厚さの測定板と、測定板の上に取り付けられた水準器とから成る測定ユニットを使用する工程であって、多数のピンのうちの隣り合う三本のピンを選択し、選択された三本のピンの上に測定ユニットを載せた状態で、直交する二つの水平方向における測定板の傾きを水準器により測定する三点測定ステップを含む工程であり、
平面度測定工程は、三点測定ステップを、各三本のピンに対して順次行うことで平面度を測定する工程であり、
二回目以降の三点測定ステップは、それまでに選択されたピンのうちの一本を重ねて選択して測定を行うステップであり、
平面度測定工程は、三点測定ステップを順次行うことで全てのピンについて水準器により測定板の傾きを測定する工程であり、
平面度測定工程は、各三点測定ステップにおける前記二つの水平方向の測定板の傾きから、上端が最も高い位置にあるピンと上端が最も低い位置にあるピンとの当該高さの差違を算出するステップを含んでり、
調整工程は、平面度測定工程で測定された高さの差異を小さくするよう各ピンの突出高さを調整する方法であることを特徴とするピン高さ調整方法。
【請求項4】
前記調整工程は、前記ベース盤と前記ピンとの間にシムを介在させる工程であり、前記平面度測定工程における測定結果に従ってシムの厚さを選択する工程であることを特徴とする請求項3記載のピン高さ調整方法。
【請求項5】
前記調整工程を行った後、前記平面度測定工程を再度行い、各ピンの上端の高さの差異が一定の範囲内に入っているか判断し、入っていなければ、前記調整工程を再度行うことを特徴とする請求項3又は4記載のピン高さ調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願の発明は、多数のピンの上端が成す仮想面等の面の平面度を求める技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ある面が高い精度で平面であることは、製品の性能としてしばしば要求される。この場合のある面とは、仮想的な面(仮想面)の場合もあるし、実際の部材の表面の場合もある。
多数のピンの上端が成す仮想面が高い平面度を有していることは、例えばそのようなピンを用いて対象物を保持しながら対象物を取り扱う装置において必要になる。より具体的な例を示すと、各種電子製品や各種ディスプレイ製品の製造では、基板の表面に微細形状を造り込むため、フォトリソグラフィが行われる。フォトリソグラフィでは、基板を水平に保持しつつ所定のパターンの光を基板に照射する露光工程が存在している。露光工程では、基板に対する接触面積をなるべく小さくする等の要請から、垂直な姿勢の多数のピンによって基板を保持する構造が採用される場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−18927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような露光装置では、精度の高い露光パターンを得る観点から、基板は高い精度で水平姿勢を保っている必要がある。このことは、基板を多数のピンで保持する構造の場合、それらピンの上端で形成される仮想面が高い精度の平面度を有する必要があることを意味する。
しかしながら、発明者が調査したところでは、このような多数のピンの上端が成す仮想面の平面度を簡便に測定できる実用的な技術は、今のところ存在していない。
本願の発明は、この点を考慮して為されたものであり、多数のピンの上端が成す仮想面のような面の平面度を簡便に測定できる実用的な技術を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、この出願の請求項1記載の発明は、水平方向の配置が既知であって垂直に延びる多数のピンの上端の高さ方向の位置の相違を当該多数のピンの先端が成す仮想面の平面度として測定する平面度測定方法であって、
平坦な上面及び下面を有し均一な厚さの測定板と、測定板の上に取り付けられた水準器とから成る測定ユニットを使用する方法であり、
多数のピンのうちの隣り合う三本のピンを選択し、選択された三本のピンの上に測定ユニットを載せた状態で、直交する二つの水平方向における測定板の傾きを水準器により測定する三点測定ステップを含む方法であって、
三点測定ステップを各三本のピンに対して順次行うことで平面度を測定する方法であり、
二回目以降の三点測定ステップは、それまでに選択されたピンのうちの一本を重ねて選択して測定を行うステップであり、
三点測定ステップを順次行うことで全てのピンについて水準器により測定板の傾きを測定する方法であり、
各三点測定ステップにおける前記二つの水平方向の測定板の傾きから、上端が最も高い位置にあるピンと上端が最も低い位置にあるピンとの当該高さの差違を算出するステップを含むという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項2記載の発明は、水平方向の配置が既知である多数の測定点マークを備えた物体の上面の水平方向での平面度を測定する平面度測定方法であって、
平坦な上面を有する測定板と、測定板の上に取り付けられた水準器と、測定板の下面から下方に垂直に延び、測定板の上面からの長さが均一である三本の足ピンとを備えた測定ユニットを使用する方法であり、
多数の測定点マークの配置は、隣り合ういずれの三個の測定点マークを選択した場合でも測定ユニットの三本の足ピンの配置と同じになる配置であり、
多数の測定点マークのうち隣り合う三個の測定点マークを選択し、選択された三個の測定点マークの上に測定ユニットの足ピンがそれぞれ載る状態で、直交する二つの水平方向における測定板の傾きを水準器により測定する三点測定ステップを含む方法であって、
三点測定ステップを、各三個の測定点マークに対して順次行うことで平面度を測定する方法であり、
二回目以降の三点測定ステップは、それまでに選択された三個の測定点マークのうちの一個を重ねて選択して測定を行うステップであり、
三点測定ステップを順次行うことで全ての測定点マークについて水準器により測定板の上面の傾きを測定する方法であり、
各三点測定ステップにおける前記二つの水平方向の測定板の上面の傾きから、最も高い位置にある測定点マークと最も低い位置にある測定点マークとの高さの差違を算出するステップを含むという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項3記載の発明は、ベース盤と、ベース盤の上面に取り付けられて垂直上方に延びる多数のピンとを備え、各ピンの突出高さが調整可能であるピンユニットにおいて、各ピンのベース盤からの突出高さを調整するピン高さ調整方法であって、
多数のピンの上端の高さ方向の位置の相違を当該多数のピンの先端が成す仮想面の平面度として測定する平面度測定工程と、
平面度測定工程における平面度の測定結果に従って各ピンの突出高さを調整する調整工程とを有しており、
平面度測定工程は、平坦な上面及び下面を有し均一な厚さの測定板と、測定板の上に取り付けられた水準器とから成る測定ユニットを使用する工程であって、多数のピンのうちの隣り合う三本のピンを選択し、選択された三本のピンの上に測定ユニットを載せた状態で、直交する二つの水平方向における測定板の傾きを水準器により測定する三点測定ステップを含む工程であり、
平面度測定工程は、三点測定ステップを、各三本のピンに対して順次行うことで平面度を測定する工程であり、
二回目以降の三点測定ステップは、それまでに選択された三本のうちの一本を重ねて選択して測定を行うステップであり、
平面度測定工程は、三点測定ステップを順次行うことで全てのピンについて水準器により測定板の傾きを測定する工程であり、
平面度測定工程は、各三点測定ステップにおける前記二つの水平方向の測定板の傾きから、上端が最も高い位置にあるピンと上端が最も低い位置にあるピンとの当該高さの差違を算出するステップを含んでり、
調整工程は、平面度測定工程で測定された高さの差異を小さくするよう各ピンの突出高さを調整する方法であるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項4記載の発明は、前記請求項3の構成において、前記調整工程は、前記ベース盤と前記ピンとの間にシムを介在させる工程であり、前記平面度測定工程における測定結果に従ってシムの厚さを選択する工程であるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項5記載の発明は、前記請求項3又は4の構成において、前記調整工程を行った後、前記平面度測定工程を再度行い、各ピンの上端の高さの差異が一定の範囲内に入っているか判断し、入っていなければ、前記調整工程を再度行うという構成を有する。
【発明の効果】
【0006】
以下に説明する通り、この出願の請求項1記載の発明によれば、多数のピンの上端が成す仮想面の平面度を簡便に測定することができる。測定に使用するツールについても、水準器と測定板を組み合わせたシンプルなものであるので、低コストで実現することができる。このため、極めて実用的な測定方法となる。
また、請求項2記載の発明によれば、物体の上面の平面度を簡便に測定することができる。測定に使用するツールについても、水準器と測定板と足ピンとを組み合わせたシンプルなものであるので、低コストで実現することができる。このため、極めて実用的な測定方法となる。
また、請求項3記載の発明によれば、測定ユニットを使用して測定ステップを繰り返すことで平面度を測定し、これに基づいてピン高さを調整するので、簡便な手順で測定結果を得て調整を行うことができる。このため、測定と調整を繰り返す場合でも、手間がかからず、煩雑にならない。
また、請求項4記載の発明によれば、上記効果に加え、シムを使用するので、各ピンの突出高さの調整が簡便で確実に行える。
また、請求項5記載の発明によれば、上記効果に加え、特に高い平面度が要求される場合に好適な方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第一の実施形態の平面度測定方法が実施されるピンユニットの斜視概略図である。
図2】第一の実施形態の方法に使用される測定ユニットの斜視概略図である。
図3】第一の実施形態の平面度測定方法を示した平面概略図である。
図4】第一の実施形態の平面度測定方法を示した平面概略図である。
図5】実施形態の平面度測定方法において、各測定データから平面度を算出する演算処理の要部について示した斜視概略図である。
図6】表計算ソフトによる演算処理ステップの実行例を概略的に示した図である。
図7】実施形態に係るピン高さ調整方法を示した正面概略図である。
図8】第二の実施形態の平面度測定方法の概略を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、この出願の発明を実施するための形態(以下、実施形態)について説明する。
この出願の発明は、ある面の平面度を測定する方法であるが、その実施形態は、垂直に延びる多数のピンの上端が成す仮想面についてその平面度を測定する方法と、ある部材の上面についてその平面度を測定する方法とに大別される。
以下、第一の実施形態として、多数のピンの上端が成す仮想面の平面度を測定する方法について説明する。図1は、第一の実施形態の平面度測定方法が実施されるピンユニットの斜視概略図である。
【0009】
実施形態の平面度測定方法が実施されるピンユニット1は、ベース盤2と、ベース盤2の上面に取り付けられた多数のピン3とを備えている。多数のピン3は、図1に示すように、垂直に立てて取り付けられている。ベース盤2の上面は、必要な精度の水平で平坦な面となっている。各ピン3は、ベース盤2の上面からの突出高さが一定になるように取り付けられている。例えば各ピン3は皆同じ長さのもので、ネジ込みにより取り付けられている。したがって、各ピン3の上端は、理論的には同一の仮想の水平面上に位置する筈である。しかしながら、各ピン3の寸法精度、取り付け精度(ネジ込み深さ等)、ベース盤2の上面の平面精度等の各要因が影響し合う結果、各ピン3の上端は、同じ高さの位置に必要な精度で位置することは少ない。即ち、各ピン3の上端が成す仮想面は、必要な平面度を有していない場合があり得る。実施形態の方法は、測定によってこれを検出するものとなっている。
尚、図1に示すように、各ピン3は、碁盤の目上(直角格子の各交点上)の位置に配置されている。隣り合うピン3の間隔は皆同じである。
【0010】
図2は、第一の実施形態の方法に使用される測定ユニット4の斜視概略図である。図2に示す測定ユニット4は、測定板5と、測定板5の上に取り付けられた水準器6とを備えている。
測定板5は、測定対象である各ピン3と水準器6との間に位置するため、必要な平坦性を有するものとなっている。即ち、測定板5は、十分に平坦な上面及び下面を有する一定の厚みの板となっている。測定板5の材質には特に制限はないが、ステンレスやアルミといった金属の場合が多い。測定板5は、図2に示すように、面取りされた直角二等辺三角形の形状である。
【0011】
水準器6としては、この実施形態では、デジタル式の二軸水準器が使用されている。即ち、水準器6は、直交する二つの水平方向における測定板5の傾きを測定することが可能なものとなっている。
この実施形態では、水準器6は、無線通信によりデータを送るものとなっている。水準器6は、内蔵された送信部61と、送信部61から送信された測定データを受信する受信部62とを備えている。受信部62は、水準器6を制御するリモートコントローラとして機能するものである。送信部61及び受信部62は、特定小電力無線、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)といった適宜の規格により無線通信するものとなっている。このような水準器6としては、例えば坂本電機製作所製のSEL−121BMを使用することができる。
【0012】
尚、測定ユニット4は、平面度の測定のための演算処理を行う演算処理ユニット7とともに使用される。演算処理ユニット7としては、各種の構成が想定できるが、この実施形態では、デスクトップパソコンのような汎用コンピュータが使用されている。水準器6の受信部62と演算処理ユニット7としての汎用コンピュータとは、USBのような汎用インターフェースのケーブル71を介して接続されている。演算処理ユニット7には、水準器6から出力される測定データを処理して平面度を算出するプログラムが実装されている。
【0013】
次に、測定ユニット4を使用した平面度測定方法について、図3及び図4を使用して説明する。図3及び図4は、第一の実施形態の平面度測定方法を示した平面概略図である。
実施形態の平面度測定方法は、直交する二つの水平方向における測定板5の傾きを測定することができるように、多数のピン3のうちの隣り合う三本のピン3を選択し、選択された三本のピン3の上に測定ユニット4を載せた状態で水準器6により測定板5の傾きを測定するステップ(以下、三点測定ステップという)を順次行う方法である。「順次行う」とは、各三本のピン3に対して順次行うということである。二回目以降の三点測定ステップは、それまでに選択された三本ピン3のうちの一本を重ねて(共通して)選択する測定を行うステップである。
【0014】
図3において、各ピンの配列方向をX方向、Y方向とする。ピンは、X方向にm本、Y方向にn本であるとする。また、説明を簡単にするため、水準器6の測定方向(二軸の方向)は、X方向及びY方向に等しいとする。したがって、ベース盤2は、予めピンの配列方向が水準器6の測定方向に一致するよう精度良く配置される(位置決めされる)。
図3に示すピンの配列において、各ピンを識別するため、左下のピンをP11とし、右上のピンをPmnとする。そして、一番下の列をP11,P21,・・・Pm1とし、その上の列を、P12,P22,・・・Pm2とする。同様にして、最も上の列をP1n,P2n,・・・Pmnとする。
【0015】
実施形態の平面度測定方法では、一本のピン3を重複して選択しながら、隣り合う三本のピン3を順次選択して測定板5の傾きを測定するが、この際に重要なことは、選択された三本のピン3が特定できるようにすることである。この方法としては、ソフトウェア的に実現することも可能であるが、この実施形態では、三本のピン3を選択する順番を決め、この順番を間違わないようにすることで行う。
【0016】
より具体的な一例を説明すると、図3(1)に示すように、最初の三点測定ステップでは、左下の三本のピン、即ちP11,P21,P12を選択して三点測定ステップを行う。P11,P12,P21に対してそれらをまたがるようにして測定ユニット4を載せ、水準器6を動作させて測定板5の傾斜を測定させる。測定データは、XY方向の測定板5の傾きであり、このデータは、送信部61から受信部62に送信され、受信部62から演算処理ユニット7に送られる。これで、最初の回の三点測定ステップは終了である。
【0017】
次に、図3(2)に示すように、右隣りの組の三本のピンを選択する。即ち、P21,P31,P22を選択して同様に三点測定ステップを行う。この場合、ピンP21がそれまでの三点測定ステップにおけるものと重複することになる。同様にしてさらに右隣りの組の三本のピンP31,P41,P32を選択し、三点測定ステップを行う。同様の動作を繰り返し、P(m−1)1,Pm1,P(m−1)2に対して三点測定ステップを行うと、一番下の列のピン3に対する三点測定ステップは終了である。
【0018】
次に、下から二番目の列のピンに対して三点測定ステップを行う。即ち、図4(1)に示すように、測定ユニット4をそのまま上にずらし、P(m−1)2,Pm2,P(m−1)3に対して三点測定ステップを行う。この場合は、P(m−1)2が前回の三点測定ステップにおけるものと重複したピンということになる。
そして、その左側の三本のピンP(m−2)2,P(m−1)2,P(m−2)3に対して三点測定ステップを行い、以後、順次側にシフトさせながら、三点測定ステップを行う。最も左側の三本のピンP12,P22,P13に対して三点測定ステップを行うと、二列目のピンに対する各三点測定ステップは終了である。
その後、測定ユニット4をそのままの姿勢で上にずらし、すぐ上側の三本のピンP13,P23,P14に対して三点測定ステップを行う。そして、今度は順次右側にシフトさせながら、各三本のピンに対して三点測定ステップを行う。
【0019】
このようにして、図4(2)に矢印で示すように列が変わるたびに向きを変えながら(ジグザグ状に)各三本のピンに対して三点測定ステップを行う。そして、最も上の列の端(この例では右端)まで三点測定ステップを行った後、図4(3)に示すように、測定板5の向きを180度変えて三点測定ステップを行う。これは、最も上の列の端にあるピン(この例ではピンPmn)について測定を行うためである。これが最後の三点測定ステップであり、これで、測定データの取得は、全体として終了である。尚、最後の三点測定ステップでは、その直前の回の三点測定ステップに対して、P(m−1)nとピンPm(n−1)の二本のピンが重複している。したがって、最後の三点測定ステップでは、その前の回の三点測定ステップに対して二本のピンが重複していることになる。
【0020】
このようにして全てのピンに対して、隣接する三本のピンずつ選択しながら三点測定ステップを行い、各測定データを得る。そして、得られた測定データに対して適宜の演算処理を適用する演算処理ステップを行うことで、目的とする平面度が得られる。次に、この点について説明する。
【0021】
図5は、実施形態の平面度測定方法において、各測定データから平面度を算出する演算処理の要部について示した斜視概略図である。図5では、最初の三点測定ステップにおいて得られた測定データの処理について示されている。
図5において、各ピンP11,P21,P12の上端の高さをH11,H21,H12とする。高さは、基準となる水平面が必要であるが、例えばベース盤2の上面とし得る。図5では、ピンP12の高さH12が最も高く、ピンP21の高さが最も低くなっているが、これは測定結果の一例である。
【0022】
いま、ピンP11の高さH11を基準とし、それより高い場合の高さの差異を正、それより低い場合の高さの差異を負とする。この場合、ピンP21はピンP11に対してX方向の同一直線上にあり、ピンP12はピンP11に対してY方向の同一直線上にあるので、各差異は以下の式1、式2で表される。
【数1】
【0023】
式1において、dHは、H11に対するH21の差異、dHはH11に対するH21の差異である。θX1はX方向の傾き角、θY1はY方向の傾き角であり、それぞれ当該三点測定ステップにおける測定データである。wは、各ピンのXY方向の離間間隔である。
傾き角の正負について説明すると、図5において、ピンP11を原点とし、図3の紙面上右側に向かうX方向を+側とし、これを基準とした反時計回りの向きをX方向の傾き角における正の角度とする。Y方向についても、ピンP11を原点とし、図3の紙面上斜め上側に向かう+側とし、これを基準にした反時計回りの向きY方向の傾き角における正の角度とする。
このようにして、高さH11に対する高さH21の差異、高さH12の差異がそれぞれ算出される。
【0024】
次に、その隣りの三本のピンP21,P31,P22の測定データについて検討する。この場合も、高さH21に対する高さH31の差異、高さH21に対する高さH22の差異が式3、式4によりそれぞれ算出される。
【数2】

式3、式4において、dHはH21に対するH31の差異、dHはH21に対するH22の差異である。同様に、θX2はX方向の傾き角の測定データ、θY2はY方向の傾き角の測定データである。式3、式4に対して、式1、式2の算出結果を代入すると、2回目の三点測定ステップで測定した二本のピンP31,P22の高さH31,H22の高さH11に対する差異が求められる。
【0025】
以後、説明は省略するが、三回目の三点測定ステップでの測定データによりピンP41,ピンP32の高さの高さH11に対する差異が求められ、四回目の三点測定ステップでの測定データによりピンP51,ピンP42の高さの高さH11に対する差異が求められる。
このようにして、算出結果を次の三点測定ステップでの測定データに代入して適用することで、全てのピンの高さについて、左下のピンP11の高さH11に対する差異が求められることになる。
【0026】
そうすると、全てのピンの中から、上端の位置が最も高いピンと、最も低いピンとが特定できることになり、両者の高さの差異をもって、平面度の測定結果とすることができる。
尚、上記各測定データの処理において、最後の三点測定ステップでの測定データについては、測定ユニット4の向きを逆にして測定しているので、X方向、Y方向それぞれについて正負を逆にして傾き角の正負を判断する。
【0027】
演算処理ステップについて、より具体的な例を説明すると、上述したような演算は、いわゆる表計算ソフトを使用することで簡便に行える。この点について、図6を使用して一例を説明する。図6は、表計算ソフトによる演算処理ステップの実行例を概略的に示した図である。
図6において、あるセル列Aには、三点測定ステップの番号が入力され、あるセル列Bには、対応する三点測定ステップの測定データのうち、X方向の傾き角が入力され、別のセル列Cには、Y方方向の傾き角が入力される。
【0028】
そして、さらに別のセル列D〜Fには、当該三点測定ステップでの測定データに従って算出された各ピン高さ(厳密には高さの差異)が入力される。図6では、各三点測定ステップにおいて直角二等辺三角形における頂角(90度の角)に位置したピンを「三角原点ピン」と呼んでおり、セル列Dはそのピンの上端の高さが入力される。また、三角原点ピンに対してX方向に位置しているピンを「X方向ピン」と呼んでおり、セル列Eには、そのピンの上端の高さが入力される。さらに、三角原点ピンに対してY方向に位置しているピンを「Y方向ピン」と呼んでおり、セル列Fにはそのピンの上端の高さが入力される。
より具体的には、図6の例では、セルD2にピンP11の高さ(=0)が入力され、セルE2にはピンP21の高さが入力され、セルF2にはピンP12の高さが入力される。セルE2はセルB2の測定データを式1に適用して計算した値(埋め込み計算の結果)であり、セルF2は、セルC2の測定データを式2に適用して計算した値である。このような計算が自動的にされるよう、セルE2,F2には、計算式が予め入力される。
【0029】
3番のセル行には、2回目の三点測定ステップでの測定データが入力されて計算される。この場合、セルD3にピンP21の高さが入力されるから、セルE2の値が計算式ごとそのままコピーされるようセルのリンクが設定される。セルE3にはピンP31の高さが入力され、セルF3にはピンP22の高さが入力される。セルE3はセルB3の測定データを式1に適用して計算した値(埋め込み計算の結果)であり、セルF3は、セルC3の測定データを式2に適用して計算した値である。このような計算が自動的にされるよう、リンクや計算式が予め設定される。尚、図6は、各ピン3の離間距離wが100mmの場合の例にしている。
【0030】
以後、説明は省略するが、各行のセルについて、同様にリンクや計算式が予め設定されており、セル列Bとセル列Cに測定データが入力されると、セル列D〜Fの各セルのリンクや計算が更新され、各ピン高さの差異が自動計算される。
尚、最後の三点測定ステップでの測定データにおいて、ピンPmnの高さの算出については、ピンPm(n−1)の高さを基準として算出しても良いし、ピンP(m−1)nの高さを基準として算出しても良く、いずれかを予め設定しておく。
【0031】
このように表計算ソフトを使用した演算処理において、各セルに対してリンクや計算式を適宜設定しておくことで、全てのピン3の上端の高さが左下のピンP11を基準にして求められ、上端の最高値と最低値との差が平面度として求められる。
尚、測定データは、水準器6の受信部からUSBを介して演算処理ユニット7に送られるが、セル列Bとセル列Cに順次測定データが入力されるよう表計算ソフトにおいてマクロプログラムが適宜設けられると好適である。つまり、測定データを受信するとX方向の傾き角をセル列Bのアクティブなセルに入力し、Y方向の傾き角をセル列Cのアクティブなセルに入力した後、一つ下の行のセル列Bとセル列Cとをアクティブにするようなマクロプログラムが設けられる。
【0032】
上述した実施形態の平面度測定方法によれば、多数のピン3の上端が成す仮想面の平面度を簡便に測定することができる。測定に使用するツールについても、水準器6と測定板5を組み合わせたシンプルなものであるので、低コストで実現することができる。このため、極めて実用的な測定方法となる。
上記実施形態の平面度測定方法において、各三本のピン3を選択していく順序については、上述した以外の場合もあり得る。一番下の列に対して測定を行った後、下から二列目については左端に戻って同じ向きで順次測定ユニット4をずらしていっても良い。したがって、重複したピンが直前の三点測定ステップで選択したピンでないこともある。重要なことは、どの三本のピン3の組についての測定であるか間違わないようにすることであり、予め決めた順番で各三本のピン3の組を選択して全てピン3について測定を行うことである。
【0033】
上記の観点では、常に二本のピン3が重複して選択されるようにすることも可能であるが、演算が複雑になり易いので、重複する本数が一本のみである三点測定ステップをなるべく多くするパターンにする方が好ましい。尚、上記の例では、重複して上端の高さの計算が行われるピン3が相当数あるが、上書きして計算しても良いし、最初の計算結果を保持するようにしても良い。
上記説明では、測定ユニット4を作業者が手で持って各位置に配置するように説明したが、ロボット等で自動化する場合もあり得る。例えば、測定ユニット4の配置の位置及びそのルーチンをロボットに対してティーチングして行わせる場合もあり得る。
【0034】
また、測定ユニット4については、二軸式の水準器が好ましいが、一軸式でも実施は可能である。一軸式の場合には、水準器6を測定板5上で90度向きを変更できるよう構成する。そして、各三本のピン3に対して水準器6の向きを90度変更した二回の測定を行うことになる。尚、演算処理ユニット7は、水準器6が内蔵していたり、水準器6に付設されていたりする構造も考えられ、演算処理ユニット7は、水準器6とは別に設けられていない場合もあり得る。さらに、演算処理ユニット7が、露光装置のような基板処理装置の一部として設けられる場合もある。
【0035】
測定板5の形状としては、三角形以外にもL字等の他の形状も考えられる。但し、水準器6を固定するスペースが必要なこと、測定板5の重心位置に水準器6が固定されないと、測定板5の浮き(いずれかのピン3の上端から離れてしまうこと)が生じ易いこと等から、三角形が好ましい。
また、四本のピン3に対して測定ユニット4が載る状態として測定することも考えられ、理論的には平面度の算出も可能であるが、測定板5が四本のピン3の上端すべてに接触した状態とするのは難しいことや演算処理が複雑になることから、三本のピン3に測定ユニット4が載る構造の方が好ましい。
尚、上記説明では、水準器6における二軸とピン3の配列方向のXYは一致していると説明したが、一致していなくてもそのずれが既知であれば測定は可能である。水準器6における測定方向とピン3の配列方向のずれ角に応じて平面視での補正をした上で上記演算処理を適用すれば良い。但し、水準器6における二軸とピン3の配列方向が一致した方が演算処理は簡易となる。
【0036】
次に、ピン高さ調整方法の発明の実施形態について説明する。図7は、実施形態に係るピン高さ調整方法を示した正面概略図である。
実施形態のピン高さ調整方法は、上述した実施形態の平面度測定方法を利用したものである。即ち、上述したように平面度を測定した後、測定結果に応じて各ピン3の突出高さを調整することで各ピン3の上端の高さの差異を一定の範囲内に抑え込んでいくものである。
【0037】
この実施形態では、各ピン3の突出高さの調整のため、シム(精密スペーサ)8を使用する。シム8は、厚さが高い精度で既知である例えば円環状の部材である。前述したように、各ピン3はベース盤2に対してねじ込みにより固定されているが、各ピン3の下端のねじ切り部は、シム8の中央開口より細く、ねじ切り部より上側の胴部は、シム8の中央開口より小さい。したがって、各ピン3はシム8を挟み込んだ状態でベース盤2に対してねじ込むことができる。シム8の種類(厚さ)及び枚数を適宜選択することで、ベース盤2からのピン3の突出高さが調整される。
【0038】
実施形態のピン高さ調整方法では、上述した平面度測定方法を実施し、特定のピン3(上記の例ではピンP11)を基準として上端の高さの差異を測定する。次に、最も上端の高さが高いピン3を基準として差異を計算し直す。差異は、全て負の値となるから、それに応じて(差がゼロになるように)、シム8の種類及び枚数を選択する。この際、差異にぴったり合うシム8の組み合わせがない場合が多く、その場合は最も近い(近似する)シム8の組み合わせを選択する。
【0039】
例えば、あるピン3の高さの差異が−69μmで、厚さ10μmのシム8と厚さ50μmのシム8がある場合で、10μmのシム8を2枚、50μmのシム8を1枚用意し、それらを重ね挟み込みながら、当該ピン3をベース盤2にねじ込む。このようにして最も高いピン3に上端の位置が合うように、他の全てのピン3について差異の分のシム8を挟み込みながらピン3をねじ込み直す。
【0040】
実施形態の方法では、このようにして高さを調整した後、平面度をもう一度測定する。即ち、測定ユニット4を各三本のピン3の上に順次載置して、各三点測定ステップを行う。そして、得られた測定結果、即ち各ピン3の上端の高さの差異を確認する。この場合、高さの差異が一定の範囲に入っていれば、それで調整は終了であるが、多くの場合、一定の範囲に入っていない。一定の範囲とは、平面度の要求精度であり、ピン3の上端の高さの差異がどの程度まで許容されるかということである。一定の範囲に入らない理由は、最初の測定の際の誤差、近似するシム8の選択による影響、シム8の厚さの僅かなばらつき、調整後にねじ込む際のねじ込み深さのバラツキ等である。これらが作用し合って結果的に上端の高さがばらついてしまうことが多い。
【0041】
いずれにしても、一定の範囲に入っていなければ、再度調整をする。再度の調整では、シム8を取り除いたり追加したりして、必要最小限の調整とすることが好ましい。即ち、各ピン3の上端の高さの平均値を算出し、それを基準にしてプラスマイナスの調整量を算出する。そして、プラスの調整量であれば、それに最も近似するシム8の種類と枚数を判断して追加する。マイナスの調整量であれば、それに最も近似する種類の枚数のシム8を取り除く。
そして、もう一度平坦度を測定し、一定の範囲に入っていれば、調整終了とする。入っていなければ、再度、シム8の抜き差しをして調整し、一定の範囲に入るまで測定と調整を繰り返す。通常は、2〜3回程度の測定と抜き差しで調整は完了する。
【0042】
実施形態のピン高さ調整方法によれば、測定ユニット4を使用して三点測定ステップを繰り返すことで平面度を測定し、これに基づいてピン高さを調整するので、簡便な手順で測定結果を得て調整を行うことができる。このため、測定と調整を繰り返す場合でも、手間がかからず、煩雑にならない。
また、シム8を使用するので、各ピン3の突出高さが簡便で確実に行える。他の方法として、各ピン3のネジ込み深さを調整しても良い。
尚、測定と調整を繰り返す上記実施形態の方法は、特に高い平面度が要求される場合に好適に採用される。
【0043】
次に、第二の実施形態の平面度測定方法について説明する。図8は、第二の実施形態の平面度測定の概略を示した斜視図である。
第一の実施形態は、多数のピン3の上端が成す仮想面の平面度を測定する方法であったたが、第二の実施形態は、物体の表面(実際の面)の平面度を測定する方法となっている。この方法は、例えば前述したベース盤2のような機械構造的に基準となる水平面を提供する部材の上面の平面度を測定する際に好適に行われる。
【0044】
第二の実施形態で使用される測定ユニット4は、第一の実施形態と少し異なっている。即ち、この方法で使用される測定ユニット4は、図8に示すように、測定板5の上面に水準器6が固定され、測定板5の下面から三本の足ピン51が垂直に下方に延びた構成となっている。
測定板5は、少なくとも上面が平坦な面となっている。平坦性は、測定する平面度の精度との関係で規定される。
【0045】
測定板5は、同様に三角形状(ここでは直角二等辺三角形状)であり、水準器6は、測定板5の中央に固定されている。水準器6としては、同様にデジタル無線式の二軸水準器が好適に使用される。
下方に延びる三本の足ピン51は、少なくとも測定板5の上面からの長さが均一であることが必要である。典型的は、測定板5の下面を上面と同様に平坦な面とし、測定板5の厚さを均一なものとするとともに、足ピン51の長さを全て同じにすることで達成される。
【0046】
一方、測定対象である物体は、表面に測定点マークを備えている。実施形態の方法は測定ユニット4を物体の上面に載せて測定するが、測定点マークはその際の目印である。マークを物体の上面に直接設けることが難しい場合が多いため、この実施形態では、測定シート9を物体の上面に被せるようにし、測定シート9に測定点マーク91を設けている。
測定シート9は、フィルム状又は薄い板状であり、フレキシブルなものでない場合もあり得る。測定点マーク91は、この例では測定シート9に設けた凹部となっている。例えば、薄い金属の板を精度良く切削加工し、測定点マーク91としての凹部を形成することが考えられる。
【0047】
測定点マーク91は、その上に測定ユニット4の各足ピン51が載る位置として設けられている。したがって、測定点マーク91は、三本の足ピン51の配置間隔と同じ間隔で多数設けられている。図8の例では、三本の足ピン51は、直角二等辺三角形の頂点に相当する位置に設けられているので、測定点マーク91は、直角格子の交点に相当する位置に各々設けられている。各測定点マーク91の縦横の離間距離(凹部の中心間の距離)は、三本の足ピン51の配置間隔と同じである。
各測定点マーク91としての凹部の深さは、精度良く均一なものとなっている。凹部の開口は、足ピン51の太さより少し大きい程度である。尚、各足ピン51の下端を円錐状とし、各測定点マーク91をピボット状(すり鉢状)とする場合がある。
【0048】
物体の平面度を測定する手順としては、基本的に第一の実施形態と同様である。例えば、最初に左下の三個の測定点マーク91に足ピン51の下端が入り込むようにして測定ユニット4を物体の上面に載置する。この状態で三点測定ステップを行う。即ち、水準器6を動作させ、その測定データを無線経由で演算処理ユニット7に送る。次に、一つ右側の三個の測定点マーク91に足ピン51の下端が入り込むようにして測定ユニット4を載置し、同様に測定する。以後、図4に示すのと同様にジグザグ状に測定点ユニットをシフトさせる向きを変えながら、全ての測定点マーク91について測定を行う。そして、右上の測定点マーク91については、測定ユニット4の向きを180度変えて測定を行う。
【0049】
このようにして各三点測定ステップで得られた測定データを演算処理し、物体の上面の平面度を算出する。演算処理についても、基本的に第一の実施形態と同様である。この実施形態では、測定点マーク91の配置間隔(即ち足ピン51の配置間隔)が定数(既知の値)とされ、それを組み込んだ形で演算処理がされて平面度が測定される。
尚、この実施形態における平面度は、各測定点マーク91の直下の地点の高さの差異として表され、表面粗さと同趣旨であるとも言える。
【0050】
この実施形態の平面度測定方法は、例えば、ベース盤2を製作した際、その上面の粗さをチェックする際に好適に行われる。また、ベース盤2に対して機構部分を組み上げて何らかの装置を構成し、ある程度の期間使用すると、ベース盤2が劣化して上面に湾曲等が生じることがあるが、このようなベース盤2の劣化をチェックする際にも好適に行われる。
【0051】
この実施形態において、「足ピン」の用語は広く解釈される。足ピン51は、測定板5の上面に対して一定の距離を確保するためのものであるから、必ずしも「ピン」と呼び得るものである必要はなく、例えば半球状のような突起であっても良い。
また、測定点マークは、必ずしも凹部である必要はなく、印刷等の方法で形成された単なるマークであっても良い。但し、凹部に足ピン51を嵌め込む構造の方が、測定ユニット4を精度良く配置するのが容易であるので、好適である。尚、測定点マークが物体の上面に直接設けられる場合もある。
さらに、各三点測定ステップの測定結果から平面度を算出する演算処理については、ソフトウェアにより又はハードウェアにより自動的に行われる場合だけではなく、作業者が手計算で行う場合もあり得る。ピンの数が少ない場合には、その方が簡便なこともあり得る。
【0052】
尚、上記各方法において、ピン3や測定点マーク91の配置は既知であれば足り、碁盤の目状でなくも良い。例えば、X方向とY方向とで離間距離が異なっていても良い。この場合、X方向の離間距離w1とY方向の離間距離w2が異なる定数として与えられるのみであり、他は同様に行える。さらに、直角格子の交点でない場合であってもよく、例えば菱形の格子状であっても良い。この場合は、その格子の角度が定数として与えられ、水準器6の測定方向に対する角度で補正をした上で演算処理がされ、平面度が測定される。
また、各方法が適用される装置としては、前述した露光装置の他、光配向装置のような他の装置もあり得る。
【符号の説明】
【0053】
1 ピンユニット
2 ベース盤
3 ピン
4 測定ユニット
5 測定板
51 足ピン
6 水準器
61 送信部
62 受信部
7 演算処理ユニット
8 シム
9 測定シート
91 測定点マーク
【要約】      (修正有)
【課題】多数のピンの上端が成す仮想面のような面の平面度を簡便に測定できる実用的な技術を提供する。
【解決手段】平坦な上面及び下面を有し均一な厚さの測定板の上に水準器6が取り付けられた測定ユニット4を、多数のピンのうちの隣り合う三本のピンの上に載せた状態で、直交する二つの水平方向における測定板5の傾きを水準器6により測定し、このステップを各三本のピンに対して順次行う。二回目以降のステップでは、それまでに選択されたピンのうちの一本を重ねて選択しつつ全てのピンについて測定板5の傾きを選択する。測定板5の傾きから、上端が最も高い位置にあるピンと上端が最も低い位置にあるピンとの高さの差違が平面度として算出される。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8