(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
多くの人々は睡眠中呼吸障害に苦しんでいる。
【0003】
睡眠時無呼吸は、世界中で何百万人もの人々が患っているこのような睡眠中呼吸障害の一般的な例である。ある種の睡眠時無呼吸は閉塞型睡眠時無呼吸(OSA)であり、気道、通常は上気道又は咽頭領域の閉塞に起因する呼吸不能により睡眠が繰り返し中断される状態である。気道の閉塞は、通常、少なくとも部分的に、上気道セグメントを固定する筋肉の一般的弛緩により、組織が気道に落ちることに起因すると信じられている。別の種類の睡眠時無呼吸症候群は、中枢性無呼吸であり、脳の呼吸中枢からの呼吸信号が無いことに起因する呼吸停止である。無呼吸状態は、OSA、中枢性又はOSAと中枢性との混合であるかに拘わらず、例えばピーク呼吸気流量の90%以上の呼吸の完全停止又はほぼ停止として定められる。
【0004】
睡眠時無呼吸を患っている人々は、睡眠の断片化、及び場合によっては深刻な程度の酸素ヘモグロビン不飽和化を伴う睡眠中の断続的な完全な又はほぼ完全な換気停止を経験する。これらの症状は、臨床的に、日中の極端な眠気、心不整脈、肺動脈高血圧、鬱血性心不全、及び/又は認知機能障害に形を変え得る。睡眠時無呼吸の他の結果は、右心室機能障害、覚醒状態中及び睡眠中の二酸化炭素の停滞、並びに動脈酸素圧の連続的な低下を含む。睡眠時無呼吸患者は、これらの要因から、及び運転中及び/又は潜在的に危険な機器の操作中の事故の危険が上昇することにより、過剰な死亡率の危険に晒され得る。
【0005】
患者が完全な又はほぼ完全な気道障害に苦しんでいない場合でも、部分的気道障害しかないときに睡眠からの覚醒のような悪影響が生じ得ることも知られている。部分的気道障害は、通常、呼吸低下と称される浅い呼吸を生じる。呼吸低下は、通常、ピーク呼吸器流量の50%以上の低下と定められる。他の種類の睡眠時呼吸障害は、上気道抵抗症候群(UARS)、及び一般的にいびきと称される咽頭壁の振動のような気道の振動を含むが、これらに限定されない。このように、OSA、中枢性無呼吸又はUARSを有する患者を診断するとき、患者の無呼吸及び呼吸低下の存在を正確に検出することが重要である。
【0006】
気道陽圧(PAP)を患者の気道に印加することにより、睡眠時呼吸障害を治療することが良く知られている。この気道陽圧は、効果的に気道に「添え木を当て」ることにより、肺への開かれた通路を維持する。ある種のPAP治療では、持続気道陽圧(CPAP)として知られるように、患者へ分配されるガスの圧力は、患者の呼吸周期を通じて一定である。患者へ分配されるガスの圧力が患者の呼吸周期と共に変化し、又は患者の努力で変化し、患者の快適さを向上させる陽圧治療を提供することも知られている。この圧補助技術は、2レベル圧補助と称され、患者へ分配される吸気気道陽圧(IPAP)が呼気気道陽圧(EPAP)よりも高い。
【0007】
PAP装置により生成される比較的乾いた圧縮空気を加湿するために、PAP装置とユーザインタフェースとの間に又はPAP装置に統合されて加湿器が設けられる場合が多い。通常、加湿器は、通過式か非通過式に分類できる。通過式加湿器では、加熱される又は加熱されない容器内に水が含まれる。水は容器内に水蒸気を生成するために蒸発させられ、呼吸ガスは水の表面を通過する。容器内の水蒸気が増える程、ユーザへ分配されるガスにより多くの湿度を提供する能力も増大する。非通過式加湿器では、水が、噴霧、微粒化、蒸発又はこれらの組合せを介してガスストリームに供給される。使用される加湿の種類と独立に、現在の気道陽圧補助システムでは、加湿の制御は、湿気の出力が比較的一定であるか又はユーザの要求に基づきオンオフされる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本願明細書で用いられるように、単数を表す語(「a」、「an」及び「the」)は、特に文脈上明示されない限り、複数への参照も含む。本願明細書で用いられるように、2以上の部分又は構成要素が共に「結合される」という記載は、直接的に又はリンクが生じている限り間接的に、つまり1若しくは複数の中間部分若しくは構成要素を通じて該部分が接合される又は一緒に動作することを意味する。本願明細書で用いられるように、「直接結合される」は、2つの要素が互いに直接接触していることを意味する。本願明細書で用いられるように、「固定して結合される」は、2つの要素が互いに対して一定の方向を維持しながら動くよう結合されることを意味する。
本願明細書で用いられるように、用語「単位」は、構成要素が単一の一部又はユニットとして作成されることを意味する。つまり、別個に作成されて次にユニットとして互いに結合された一部を含む構成要素は、「単位」構成要素又は本体ではない。本願明細書で用いられるように、2以上の部分又は構成要素が互いに「係合する」という記載は、直接に又は1若しくは複数の中間部分若しくは構成要素を通じて該部分が他方に対して力を及ぼすことを意味する。本願明細書で用いられるように、用語「数」は、1又は1より大きい整数(つまり、複数)を意味する。
【0014】
例えば次の語に限定されないが、最上部、最下部、左、右、上、下、前、後及びこれらの派生語のような、本願明細書で用いられる方向を示す語は、図中に示された要素の方位に関連し、請求の範囲で明示的に記載されない限り、請求の範囲を制限しない。
【0015】
図1は、本発明の種々の実施形態のうち本発明が実施され得るある特定の非限定的な実施形態による、圧補助システム50の概略図である。
図1を参照すると、圧補助システム50は、従来のCPAP又は2レベル圧補助装置で用いられる送風機のようなガス流生成器52を有する。ガス流生成器52は、概して矢印Cにより示される呼吸ガスを適切なソース、例えば酸素又は空気、環境大気若しくはこれらの組合せの加圧タンクから受ける。ガス流生成器52は、相対的に高い圧力及び低い圧力、つまり通常、環境大気圧に等しいか又はそれより高い圧力で患者54の気道へ分配するために、空気、酸素又はそれらの組合せのような呼吸ガス流を生成する。
【0016】
例示的な実施形態では、ガス流生成器52は、3−30cmH
2Oの圧力範囲の呼吸ガス流を供給できる。加圧呼吸ガス流は、概してガス流生成器52からの矢印Dにより示され、分配導管56を介して、呼吸マスク又は患者インタフェース58へ分配される。患者インタフェース58は、いかなる知られた構成でもよく、通常、患者54により装着されるか又は患者54に取り付けられ、呼吸ガス流を患者54の気道へ伝達する。分配導管56及び患者インタフェース58は、通常、纏めて患者回路と表される。
【0017】
図1に示した圧補助システム50は、一肢システムとして知られる。一肢システムは、患者回路が患者54を圧補助システム50に結合する分配導管56のみを有することを意味する。また、排気口57は、矢印Eにより示されたようなシステムからの呼気ガスを換気するために分配導管56内に設けられる。留意すべき点は、排気口57が、患者インタフェース装置58内のような分配導管56内に加えて又はその代わりに設けることもできることである。理解されるべき点は、排気口57は、ガスが圧補助システム50から排出される所望の方法に依存して広範な種々の構成を有し得ることである。
【0018】
本発明は、圧補助システム50が、患者54に結合された分配導管と排気導管とを有する2肢システムであることも包含する。2肢システム(デュアルリムシステムとも表す)では、排気導管は、患者54からの排気ガスを運び、患者54から遠端において排気弁を有する。このような実施形態における排気弁は、通常、システムにおける所望のレベル又は圧を維持するために、能動的に制御される。これは、一般的に、呼吸終末陽圧(PEEP)として知られている。
【0019】
さらに、
図1に示された例示的な実施形態では、患者インタフェース58は鼻及び口のマスクである。しかしながら、理解されるべき点は、患者インタフェース58が、鼻マスク、鼻枕、気管チューブ、気管内チューブ、又は適切なガス流伝達機能を提供するいかなる他の装置を含み得ることである。また、本発明の目的のため、用語「患者インタフェース」は、分配導管56及び加圧呼吸ガスソースを患者54へ結合するいかなる他の構造も含み得る。
【0020】
図示した実施形態では、圧補助システム50は、分配導管56内に設けられた弁60の形式の圧制御部を有する。弁60は、患者54へ分配されるフロー生成器52からの呼吸ガス流の圧力を制御する。この目的のため、フロー生成器52及び弁60は、患者54へ分配されるガスの圧及び/又はフローを制御するために一斉に動作するので、集合的に圧力生成システムと称される。しかしながら、独立に又は圧制御弁と組合せて、フロー生成器52の送風機速度を変化させるような患者54へ分配されるガスの圧を制御する他の技術が、本発明に包含されることが理解される。したがって、弁60は、患者54へ分配される呼吸ガス流の圧力を制御するために用いられる技術に依存して任意である。弁60が削除される場合、圧力生成システムは、単にフロー生成器52に対応し、例えばフロー生成器52のモータ速度を制御することにより患者回路内のガス圧が制御される。
【0021】
圧補助システム50は、分配導管56内の呼吸ガス流を測定するフローセンサ62を更に有する。
図1に示した特定の実施形態では、フローセンサ62は、分配導管56に沿って、最も好適には弁の下流に間に入る。フローセンサ62は、フロー信号Q
measuredを生成する。フロー信号Q
measuredは、制御部64に供給され、制御部64により患者54におけるガス流(Q
patient)を決定するために用いられる。
【0022】
Q
measuredに基づきQ
patientを計算する技術は良く知られており、患者回路の圧力低下、システムからの既知の漏れ、つまり
図1中の矢印Eにより示される回路からのガスの意図的な排気、及びマスク/患者インタフェースにおける漏れのようなシステムからの未知の漏れを考慮に入れる。本発明は、漏れフローQ
leakを計算するいかなる知られた又は将来開発される技術を用いること、及びこの決定をQ
measuredに基づくQ
patientの計算で用いることも包含する。このような技術の例は、米国特許第5,148,802、5,313,937、5,433,193、5,632,269、5,803,065、6,029,664、6,539,940、6,626,175、及び7,011,091により教示されている。これらの各特許の内容は、参照されることにより本願明細書に組み込まれる。
【0023】
勿論、患者54における若しくは分配導管56に沿った他の場所におけるフローを直接測定する、フロー生成器52の動作に基づき患者のフローを測定する、及び弁60の上流にあるフローセンサを用いて患者のフローを測定するような、患者54の呼吸フローを測定する他の技術が本発明に包含される。
【0024】
上述のようなQ
patientは、実際に患者54により受けられる呼吸ガスの流速であり、患者54の呼吸要求に関係するパラメータの一例である。本発明で用いられ得る他の患者の呼吸要求パラメータは、以下に更に詳細に記載されるように、1回換気量及び呼吸速度を含むが、これらに限定されない。従来知られているように、1回換気量は、呼吸周期の一部を通じて流速を積分することにより決定できる。
【0025】
図示した実施形態では、圧補助システム50は、分配導管56に動作可能に結合され圧補助システム50により出力されるガスストリームの温度を検出する温度センサ65、及び分配導管56に動作可能に結合され圧補助システム50により出力されるガスストリームの湿度を検出する湿度センサ67も有する。温度センサ65及び湿度センサ67は、それぞれ制御部64に動作可能に結合される。示した実施形態では、温度センサ65及び湿度センサ67は、圧補助システム50の主要筐体内に設けられる。代替として、温度センサ65及び湿度センサ67の一方又は両方は、患者回路内に設けられるか又はそれに結合される。
【0026】
制御部64は、例えばマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ若しくは特定の他の適切な処理装置であり得る処理部、及び処理部の内部にあるか若しくは処理部に動作可能に結合され、本願明細書で更に詳細に説明されるような湿度自動制御を含む圧補助システム50の動作を制御するために処理部により実行可能なデータ及びソフトウェアのための記憶媒体を設け得るメモリ部を有する。
【0027】
入力/出力装置66は、圧補助システム50により用いられる種々のパラメータを設定するため、及び臨床士若しくは介護者のようなユーザに情報及びデータを表示及び出力するために設けられる。入力/出力装置66は、設定した/所望の加湿レベルを確立するために、圧補助システム50のユーザにより用いられ得る。この重要性は、本願明細書の他の場所で説明する。
【0028】
図示した実施形態では、圧補助システム50は、圧補助システム50の主要筐体内に設けられた加湿器68も有する。代替として、加湿器68は、主要筐体と別個であり、主要筐体の外部に置かれてもよい。加湿器68は、制御部64により制御される。加湿器68は、更に、供給ガスに蒸気を供給することにより快適さを向上させる。例示的な実施形態では、加湿器68は、通過式加湿器である。米国特許出願第2007/0169776号は、参照されることにより全体が本願明細書に組み込まれる。該特許出願は、本発明で用いるのに適した例示的な加湿器を開示している。噴霧、微粒化、蒸発又はそれらの組合せを利用する非通過式加湿器のような別のデザインを有する加湿器装置も用いることができる。
【0029】
示した非限定的な本発明の実施形態では、圧補助システム50は、基本的にCPAP圧補助システムとして機能し、したがって患者54に適切なCPAP圧レベルを提供するためにこのようなシステムで必要な全ての機能を含む。これは、入力コマンド、信号、命令又は他の情報を介して、最大及び最小CPAP圧設定のような適切なCPAP圧を提供するために必要なパラメータを受信することを含む。理解されるべき点は、これが、例示のみを意味すること、CiPAP、AutoSV、AVAPS、Auto CPAP、及びBiPAP Autoを含むがこれらに限定されない他の圧補助方法が本発明の範囲内にあることである。
【0030】
最後に、図示した実施形態では、圧補助システム50は、周囲温度センサ76及び周囲湿度センサ78も有する。周囲温度センサ76及び周囲湿度センサ78の両方は、制御部64に動作可能に結合される。周囲温度センサ76は、圧補助システム50の周りの周囲温度、したがって圧補助システム50に入るガスの温度を測定し、その情報を制御部64に供給する。周囲湿度センサ78は、圧補助システム50の周りの周囲湿度、したがって圧補助システム50に入るガスの湿度を測定し、その情報を制御部64に供給する。示した実施形態では、周囲温度センサ76及び周囲湿度センサ78は、ガス流生成器52の吸気口に隣接して配置される。
【0031】
本願明細書の他の場所に記されるように、(圧補助システム50を制御するために制御部64により実行可能なソフトウェアで実施される)本発明の方法によると、圧補助システム50は、(i)ユーザにより指定された設定/所望の加湿レベル(このレベルは、例えば60%又は80%のような特定の相対湿度として表現されるか、又は低、中、高若しくは1、2、3、4のような尺度で表現され得る)、及び(ii)本願明細書で更に詳細に説明される1又は複数の他のパラメータ、に基づき患者回路へ分配される呼吸ガスの湿度レベルを自動制御する。より具体的には、他のパラメータは、(i)周囲温度、周囲湿度及び/又は気圧のような、しかしこれらに限定されない圧補助システム50の周りの特定の測定された又は推定された環境条件、(ii)圧補助システム50により出力されるガスストリームの温度及び/又は湿度のような、しかしこれらに限定されない特定の測定された又は推定されたガスストリーム条件、(iii)流速、1回換気量及び/又は呼吸速度のような、特定の測定された又は推定されたユーザの呼吸要求パラメータ、(iv)フロー生成器52を含む圧生成システムにより生成される呼吸ガスの圧力レベルのような、圧補助システム50により出力される呼吸ガスの流速に影響を与える圧補助システム50の特定の動作パラメータ、のうちのいかなるものを単独で又は組合せて有し得る。これらのパラメータが変化すると、ガスストリームに分配される湿気量は、ユーザに実際に分配されるガス中の湿度を一定量に維持しようとするために、増加又は減少する。
【0032】
以下に更に詳細に記載するように、周囲温度は、(
図1に示した実施形態におけるような)周囲温度センサ74により直接測定できる。代替として、周囲温度は、圧補助システム50により得られた他のデータに基づき推定又は引き出されてもよい。同様に、周囲湿度は、(
図1に示した実施形態におけるような)周囲湿度センサ76により直接測定できる。代替として、周囲湿度は、圧補助システム50により得られた他のデータに基づき推定又は引き出されてもよい。同様に、ガスストリームの温度は、(
図1に示した実施形態におけるような)温度センサ65により直接測定されてもよい。代替として、ガスストリームの温度は、圧補助システム50により得られた他のデータに基づき推定又は引き出されてもよい。圧補助システム50により出力されるガスストリームの湿度は、(
図1に示した実施形態におけるような)湿度センサ67により直接測定されてもよい。代替として、ガスストリームの湿度は、圧補助システム50により得られた他のデータに基づき推定又は引き出されてもよい。
【0033】
図2は、本発明のある特定の非限定的な実施形態による患者回路へ分配される呼吸ガスの湿度レベルを自動制御する方法を示すフローチャートである。
図2に示す方法は、制御部64の適切なプログラミングを通じて、
図1に示した例示的な圧補助システム50に(又は別の適切な圧補助システムに)実施されてもよい。説明を目的として、本方法は、圧補助システム50に実装されるとして説明する。さらに、
図2に示した湿度レベルを制御する方法は、治療の開始時に実行されてもよい。また、本方法は、特定の所望の湿度更新レートで治療セッションを通じて周期的に実行されてもよいことが理解される。
【0034】
方法はステップ100で開始する。ステップ100で、制御部64は設定加湿レベルを受信する。本願明細書の他の場所で議論されるように、これは、ユーザにより例えば入力/出力装置66を用いて入力され得る。次に、ステップ105で、圧補助システム50の周りの周囲温度及び周囲湿度のような1又は複数の環境条件が決定される。例示的な実施形態では、周囲温度は周囲温度センサ74により測定され、周囲湿度は周囲湿度センサ76により測定される。代替として、周囲温度センサ74及び周囲湿度センサ76は省略されてもよく、周囲温度及び周囲湿度は、圧補助システム50の動作パラメータ(例えば、圧力レベル)から、及び/又は(温度センサ65及び湿度センサ67により測定されるような温度及び湿度のような、しかしこれらに限定されない)圧補助システム50により測定/検知されたデータから、多数の知られている逆推定/導出方法のうちのいかなるものを用いて推定又は引き出されてもよい。
【0035】
次に、ステップ110で、圧補助システム50により出力され分配導管56に入るガスに関係する、温度及び湿度のような特定のガスストリーム条件が決定される。例示的な実施形態では、ガスストリームの温度は温度センサ65により測定され、ガスストリームの湿度は湿度センサ67により測定される。代替として、温度センサ65及び湿度センサ67は省略されてもよく、ガスストリームの温度及びガスストリームの湿度は、圧補助システム50の動作パラメータ、及び周囲温度センサ76により測定された周囲温度、及び/又は周囲湿度センサ78により測定されたような周囲湿度から、多数の知られている前方推定/導出方法のうちのいかなるものを用いて推定又は引き出されてもよい。このような適切な方法の1つは、米国特許出願第2008/0308100号に開示されている。該特許出願の開示は参照されることにより本願明細書に組み込まれる。
【0036】
次に、ステップ115で、流速、1回換気量及び/又は呼吸速度のような特定のユーザ呼吸要求パラメータが測定又は導出/推定される。例えば、患者の流速(Q
patient)は、本願明細書の他の場所に記載される方法で、フローセンサ62の出力(Q
measured)に基づき、制御部64により決定され得る。患者54の1回換気量は、流速を時間に渡り積分することにより、制御部64により決定され得る。流速及び/又は1回換気量を決定する他の方法も、本発明の範囲に包含される。
【0037】
次に、示した実施形態ではステップ120で、加湿器68の加湿レベルが、(i)ユーザにより指定された設定/所望の加湿レベル、(ii)圧補助システム50の周りの決定された環境条件、(iii)決定されたガスストリーム条件、(iv)決定されたユーザの呼吸要求パラメータ、及び(v)圧補助システム50により出力される呼吸ガスの流速に影響を与える圧補助システム50の特定の動作パラメータ、に基づき決定される。例示的な実施形態では、決定され/計算された加湿器68の加湿レベルは、最終的に患者54の気道に分配されるガスの湿度レベルを設定加湿レベル(ステップ100)に実質的に等しくする加湿器68の出力におけるガスの湿度レベルである。言い換えると、制御部64は、加湿器68を制御して、呼吸ガスにより多くの又はより少ない蒸気を追加し、上述のパラメータ/変数(ii)−(v)の各々を考慮に入れて、設定加湿レベルが実際に患者54に分配されるようにする。
【0038】
空気及び水の特性を知り、及び上述の(i)−(v)のデータを用いて、加湿レベルは、(過度な実験を有しないで)当業者の範囲内にある多数の異なる方法で決定/計算され得る。したがって、このような方法は、本願明細書で詳細に議論されない。
【0039】
ある例示的な方法では、加湿レベルは、以下の方法で決定/計算され得る。先ず、所望の加湿レベル、患者回路の特性、環境条件及び患者に分配される流速(患者の要求)に基づき、最終的に患者54の気道へ分配されるガスの湿度レベルが所望の加湿レベルになるように加湿器68により出力されなければならない湿度レベルは、知られている方法を用いて決定され得る。次に、この湿度レベルに基づき、システムは、以下のように、加湿器68における出力レベルを達成するよう制御され得る。既知の環境温度及び
図1のガスストリームCの絶対及び/又は相対湿度で開始し、ガスがガス流生成器52により圧縮されるとき、温度が決定可能な量を上げることが分かる。さらに、既知のエネルギ量は、加湿器68に選択的に供給されてもよい。したがって、加湿器68の効率と共に、加湿器68に供給される温度及び絶対及び/又は相対湿度が分かると、加湿器68の所定の湿度出力レベルを達成するために加湿器68に供給されなければならないエネルギ量が決定され、このエネルギレベルは加湿器68に適用され得る。
【0040】
ステップ120の次に、方法はステップ125へ進み、加湿器68は、制御部64により、決定された加湿レベルに基づき制御される。例示的な実施形態では、加湿器68は通過式加湿器であり、制御部64は、加湿器68の温度を、決定された加湿レベルを達成するレベルに設定する。噴霧/微粒化加湿器のような別の種類の加湿器が用いられる場合、制御部64は、決定された加湿レベルを達成するために、噴霧/微粒化を通じて加えられる蒸気量を制御する。次に、ステップ130で、治療が完了したか否かに関して決定が行われる。答えがYesの場合、方法は終了する。答えがNoの場合、方法はステップ100に戻り繰り返す。
【0041】
どのように加湿レベルを決定するか(ステップ120)の多数の変形が可能である。例えば、パラメータ/変数(ii)−(v)の内の1又は複数の種々の組合せが用いられてもよい。ある特定の代替の実施形態では、加湿レベルは、単に設定/所望の加湿レベル、並びに流速、1回換気量及び/又は呼吸速度のような特定の決定されたユーザの呼吸要求パラメータ、に基づき決定される。ユーザの要求が変化すると、ガスストリームに分配される湿度量も、リアルタイムに変化及び制御される。ある特定の代替の実施形態では、加湿レベルは、単に設定/所望の加湿レベル、流速、1回換気量及び/又は呼吸速度のような特定の決定されたユーザの呼吸要求パラメータ、並びに圧力レベルのような圧補助システム50により出力される呼吸ガスの流速に影響を与える圧補助システム50の特定の動作パラメータに基づき決定される。この実施形態では、ユーザの要求及び/又はシステムの動作パラメータが変化すると、ガスストリームに分配される湿度量も、リアルタイムに変化及び制御される。更に他の変形が本発明の範囲内で可能であり、これらは当業者に明らかである。
【0042】
ある特定の実施形態では、ガスストリームに分配される湿度量のリアルタイム制御及び変化は、呼吸毎に行われる。代替として、複数の呼吸に関するデータは、時間に渡り平均化され、ガスストリームに分配される湿度量のリアルタイム制御及び変化は、それに基づいてもよい。
【0043】
さらに、加湿の予測と共に加湿負荷の傾きが本発明を用いて達成できる。より具体的には、患者の流速、1回換気量及び/又は呼吸速度は、睡眠の種々の段階中に及び/又は処方されている治療中に/その治療の種類に基づき、変化させることができる(例えば、特定種類の治療では、圧力は自動的に上下に調整される)。現在の睡眠の段階を監視する/知ることにより、処方されている治療及び/又は患者の呼吸動作が、並びに過去の加湿データを検討することにより、患者の所望の加湿レベルが予測/予想でき、圧補助システム50はそのレベルに行くよう制御できる。
【0044】
したがって、本発明は、一貫した量の加湿をガスストリームに及びユーザに供給する、自動及び可変加湿システム及び方法を提供する。本発明のシステム及び方法の1つの利点は、所望の加湿レベル及び1又は複数のユーザ要求、環境条件、ガスストリーム条件及び圧補助システムの現在の動作パラメータに依存して、ガスストリーム内の加湿量を最適化することである。ガスストリーム内の加湿量を最適化することにより、加湿に用いられる水が節約される。さらに、患者回路内で圧縮できるガスストリーム内の不要な水蒸気量を削減及び/又は除去できる。
【0045】
本発明は、現在最も実用的であると考えられる事項及び好適な実施形態に基づいて、説明を目的として詳細に記載されたが、このような詳細は単に説明を目的としていること、本発明は開示された実施形態に限定されないこと、むしろ本発明は添付の請求の範囲の精神及び範囲に含まれる変更及び等価な構成も包含することが理解されるべきである。例えば、本発明は、可能な範囲で、任意の実施形態の1又は複数の特徴が任意の他の実施形態の1又は複数の特徴と結合できることを想定していることが理解されるべきである。
【実施例】
【0046】
本願は、米国仮特許出願番号61/351,324、出願日2010年6月4日の35U.S.C.§119(e)に基づく利益を主張する。該米国仮特許出願は参照されることにより本願明細書に組み込まれる。