(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
排熱を利用して温冷熱を供給する排熱利用熱源設備を含む熱源設備を最適に運転するための運転計画を立案する排熱利用システムにおける熱源設備の運転計画立案装置であって、
排熱利用熱源設備に対する排温水の使用量に応じて変動するエネルギー消費特性に基づいて排熱利用熱源設備の運転計画を演算する、排熱利用システムにおける熱源設備の運転計画立案装置において、
前記エネルギー消費特性から得られる排温水消費量が最大値をとる負荷率を用いて前記排熱利用熱源設備の運転計画を演算することを特徴とする、排熱利用システムにおける熱源設備の運転計画立案装置。
排熱を利用して温冷熱を供給する排熱利用熱源設備を含む熱源設備を最適に運転するための運転計画を立案する排熱利用システムにおける熱源設備の運転計画立案方法であって、
排熱利用熱源設備に対する排温水の使用量に応じて変動するエネルギー消費特性に基づいて排熱利用熱源設備の運転計画を演算する、排熱利用システムにおける熱源設備の運転計画立案方法において、
前記エネルギー消費特性から得られる排温水消費量が最大値をとる負荷率を用いて前記排熱利用熱源設備の運転計画を演算することを特徴とする、排熱利用システムにおける熱源設備の運転計画立案方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る排熱利用システムにおける熱源設備の運転計画立案装置及び運転計画立案方法の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
<実施形態1>
図1は、本発明に係る熱源設備の運転制御システム(運転計画立案装置)の実施形態1の全体構成を示したものである。
【0016】
図1に示す熱源設備の運転制御システム(運転計画立案装置)101は、排熱利用熱源設備の排熱使用を前提としてその排熱利用熱源設備が排熱を優先的に利用して運転するものとしない排熱利用システムにおいて、排熱利用熱源設備の排温水使用量に応じて変動するエネルギー消費特性を考慮した熱源設備の運転計画を立案するものである。この熱源設備の運転制御システム101は、主に、最適演算用データ作成部104と、熱源設備最適演算用モデル作成部102と、排熱利用熱源設備最適演算用モデル作成部103と、最適演算部105とを備えている。
【0017】
最適演算用データ作成部104は、気温や気象情報等を含む気温等外部データ106と熱源設備パラメータ107とを用いて、最適演算の対象でない設備(例えば、冷却水の供給源である冷却塔、自然エネルギーを使用(利用)する太陽光発電パネル、その他運転計画が予め定められている設備等であって、運転計画を立案する際の情報としてその出力情報等が必要な設備)の熱出力等を求め、その演算結果を熱源設備最適演算用モデル作成部102や最適演算部105に送信する。
【0018】
熱源設備最適演算用モデル作成部102は、最適演算用データ作成部104の演算結果と気温等外部データ106と熱源設備パラメータ107とを用いて、最適演算に用いる従来の熱源設備(排熱利用熱源設備以外の熱源設備)に対する熱源設備最適演算用モデルを作成し、その作成結果を最適演算部105に送信する。
【0019】
一方、排熱利用熱源設備最適演算用モデル作成部103は、気温等外部データ106と排熱利用熱源設備特性データ108を用いて、最適演算の対象となる排熱利用熱源設備のエネルギー消費特性を規定する排熱利用熱源設備最適演算用モデルを作成し、その作成結果を最適演算部105に送信する。
【0020】
最適演算部105は、最適演算用データ作成部104から送信された演算結果(熱出力等)と、熱源設備最適演算用モデル作成部102から送信された作成結果(熱源設備最適演算用モデル)と、排熱利用熱源設備最適演算用モデル作成部103から送信された作成結果(排熱利用熱源設備最適演算用モデル)と、予測熱需要109と、ユーザ等による目的関数の指定指示110とに基づき、例えば混合整数計画法などの最適化手法を用いて熱源設備の運転計画を作成し、その作成結果(運転計画111)を例えば熱需要家等に配設された表示パネル等に出力する。
【0021】
なお、上記した気温等外部データ106や熱源設備パラメータ107、排熱利用熱源設備特性データ108、予測熱需要109は、予め運転制御システム101内に設けられた記憶部(不図示)等に記憶されている。
【0022】
図2は、
図1に示す熱源設備の運転制御システム101の処理フローを説明したものである。なお、この処理フローは、所定の時間毎に定期的に実行されている。
【0023】
図2に示すように、本実施形態1の熱源設備の運転制御システム101では、まず、最適演算用データ作成部104により、気温等外部データ106と熱源設備パラメータ107を利用して、熱源設備最適演算用モデルに寄与する冷却塔の冷却水温度や最適演算の対象外の設備の熱出力等を生成する(S201)。なお、このような最適演算の対象外の設備としては、例えば、予め定められたスケジュールで運転して電熱を出力する場合のコジェネレーションシステム、外気湿球温度によって決定される温度の冷却水を出力する冷却塔、再生可能エネルギーを使用する太陽光発電パネル、太陽熱集熱器などが挙げられる。また、コジェネレーションシステムは、最適演算の対象となる熱源設備に含めることもできる。
【0024】
次いで、熱源設備最適演算用モデル作成部102により、気温等外部データ106や熱源設備パラメータ107等に基づいて最適演算に用いる従来の熱源設備(排熱利用熱源設備以外の熱源設備)の熱源設備最適演算用モデルを作成する(S202)。なお、これら従来の熱源設備(排熱利用熱源設備以外の熱源設備)は、上記した外部条件のデータが定まれば負荷率に対してそのエネルギー消費量(蒸気・電気・ガス等の消費量)が一意に決定される設備である。
【0025】
次に、排熱利用熱源設備最適演算用モデル作成部103により、排熱利用熱源設備特性データ108と気温等外部データ106を用いて最適演算で用いる排熱利用熱源設備最適演算用モデルを作成する(S203)。
【0026】
次に、最適演算部105により、熱源設備最適演算用モデル作成部102と排熱利用熱源設備最適演算用モデル作成部103により作成された熱源設備最適演算用モデルと排熱利用熱源設備最適演算用モデルの情報を使用し、予測熱需要109等の外部条件を制約としてユーザによって指定される目的関数に沿った運転計画の最適化を行い、作成された運転計画を外部(例えば熱需要家等に配設された表示パネル等)へ出力する(S204)。
【0027】
なお、最適演算部105は、ユーザ等により熱源設備パラメータの変更が実施されたか否かを判定し(S205)、熱源設備パラメータの変更が実施されたと判定した場合には、熱源設備パラメータを更新した後(S206)、再度運転計画の最適化を実施する。
【0028】
ここで、排熱利用熱源設備最適演算用モデル作成部103による排熱利用熱源設備最適演算用モデルの作成時に考慮する排熱利用熱源設備のエネルギー消費特性(負荷率に対するエネルギー消費量)について、
図3及び
図4を参照して説明する。
【0029】
図3は、排熱利用熱源設備の排温水のエネルギー消費特性の一例を示したものである。なお、
図3では、冷却水入口温度と冷水出口温度が異なる各条件下において排熱利用熱源設備が十分にその排熱(排温水)を使用することができる、すなわち、排熱利用熱源設備の排熱(排温水)使用量が最大である場合を示している。
【0030】
図示するように、排温水を利用する排熱利用熱源設備の排温水消費量は、一般に、ある負荷率(運転出力(実出力)/定格出力)を境に増加から減少に転換する。すなわち、排熱利用熱源設備の排温水消費特性は、ある負荷率を境に折れ線形状となる特性を有している。この排温水消費特性において排温水消費量が極値(最大値)をとる負荷率(本明細書においては、排温水負荷率区分点として記載)は、排熱利用熱源設備が使用する冷却水の温度(冷却水入口温度)と、出力となる冷水の出口側温度(冷水出口温度)とに依存して変化する。排温水を十分に使用する場合、その時のエネルギー消費特性は一意に決定されるものの、排温水を十分に使用しない場合には、排温水負荷率区分点は低下する。すなわち、排温水を十分に使用できない場合、排熱利用熱源設備のエネルギー消費特性は、冷却水入口温度と冷水出口温度の変化に対するエネルギー消費特性の変化と同様に変動する。なお、通常運転を行うことのできる負荷の最小値である最低負荷率以下では出力と停止を繰り返す発停運転を行う場合があり、
図3にはその際の特性も併せて示している。
【0031】
また、
図4は、排熱利用熱源設備の蒸気またはガスのエネルギー消費特性の一例を示したものである。なお、
図4でも、
図3と同様、冷却水入口温度と冷水出口温度が異なる各条件下において排熱利用熱源設備が十分にその排熱(排温水)を使用することができる、すなわち、排熱利用熱源設備の排熱(排温水)使用量が最大である場合を示している。
【0032】
排熱利用熱源設備において、蒸気またはガスは、上記した排温水のみで熱需要を賄いきれない不足分を補うために消費されるため、そのエネルギー消費量は、
図4に示すように、上記した排温水負荷率区分点から増加する。すなわち、そのエネルギー消費特性は、排熱利用熱源設備が使用する冷却水の温度(冷却水入口温度)と出力となる冷水の出口側温度(冷水出口温度)とに依存して変化する排温水負荷率区分点から、負荷率に対して増加する特性を有している。排温水を十分に使用するとした場合、その時のエネルギー消費特性は一意に決定されるものの、排温水が十分に使用できない場合には、
図3に示す排温水のエネルギー消費特性と同様、冷却水入口温度と冷水出口温度の変化に対するエネルギー消費特性の変化と同様に変動する(
図4において、縦軸方向に平行移動するように変動する)。
【0033】
図3及び
図4に基づき説明した排熱利用熱源設備のエネルギー消費特性を加味して、
図2に示した熱源設備の運転制御システム101の処理フローをより詳細に説明すると、まず、最適演算用データ作成部104により、最適演算の対象外の設備の熱出力等を生成する(S201)。
【0034】
次いで、熱源設備最適演算用モデル作成部102により、気温等外部データ106や熱源設備パラメータ107等を用いて排熱利用熱源設備以外の熱源設備の熱源設備最適演算用モデルを作成する(S202)。
【0035】
例えば、
図5は、排熱利用熱源設備以外の熱源設備であるスクリュ冷凍機の電力消費特性の一例を示したものであり、
図6は、熱源設備最適演算用モデルの区分線形近似を模式的に説明したものである。
【0036】
図5に示す最低負荷率は設備毎にその値が規定されており、この最低負荷率を下回る場合、スクリュ冷凍機は運転と停止を繰り返す発停運転を行う。このような最低負荷率を下回る領域でスクリュ冷凍機を運転することがある場合には、熱源設備最適演算用モデル作成部102は、その特性を近似した曲線を熱源設備最適演算用モデルに入力する。一方で、最低負荷率を下回る領域でスクリュ冷凍機を運転することを考慮しない場合には、熱源設備最適演算用モデル作成部102は、その特性を熱源設備最適演算用モデルに入力しない。
【0037】
また、熱源設備最適演算用モデル作成部102は、最低負荷率を上回る領域では、
図6に示すような区分線形近似を行って各熱源設備最適演算用モデルを作成し、各モデルの比例係数と切片を最適演算部105へ出力する。なお、最適演算部105が例えば線形混合整数計画法を用いることなく非線形最適化が可能である場合には、
図5に示す曲線の式を表す係数をそのまま最適演算部105へ出力してもよい。
【0038】
なお、蒸気吸収冷凍機やガス焚吸収冷温水機等の熱源設備についても、
図5及び
図6に示す曲線と同様の形式の曲線(その場合には、縦軸が蒸気消費量あるいはガス消費量)でそのエネルギー消費特性を表すことができる。
【0039】
次に、排熱利用熱源設備最適演算用モデル作成部103により、
図3、4に示す排熱利用熱源設備のエネルギー消費特性を利用した排熱利用熱源設備最適演算用モデルを作成する(S203)。排熱利用熱源設備特性データ108はそのための情報を含んでおり、排熱利用熱源設備特性データ108に含まれる情報のうち、
図3に示すエネルギー消費特性をモデル化するためのパラメータとしては、排温水負荷率区分点の冷水出口温度や冷却水入口温度による変動を表す以下の式(1)を定めるパラメータや、排温水負荷率区分点以下あるいは以上の場合の排温水消費量の傾きに関するパラメータ、発停運転時の排温水の消費特性に関するパラメータ等が挙げられる。なお、より詳細にエネルギー消費特性をモデル化するために、排温水のエネルギー消費特性を直線ではなく曲線近似し、その曲線に関するパラメータを排熱利用熱源設備最適演算用モデル作成部103に入力してもよい。
【0041】
なお、式(1)において、tは時間、x
M_mh_maxは排温水負荷率区分点、T
cは冷水出口温度、T
clは冷却水入口温度を表している。
【0042】
また、
図4に示すエネルギー消費特性をモデル化するためのパラメータとしては、基本的に負荷率によって変動し、かつ冷水出口温度や冷却水入口温度によって変動する蒸気またはガスの消費量を示す以下の式(2)を定めるパラメータが挙げられる。
【0044】
なお、式(2)において、GorSはガスまたは蒸気の消費量、xは負荷率を表している。
【0045】
排熱利用熱源設備最適演算用モデル作成部103は、これら排熱利用熱源設備特性データ108等に含まれる情報を用いて
図3、4に示す特性曲線を生成した後、最適演算部105においてその特性曲線を運転計画の演算に使用するための所定の処理を実行する。
【0046】
具体的には、最適演算部105が運転計画を作成する際に非線形計画法を用いる場合には、排熱利用熱源設備最適演算用モデル作成部103は、得られた特性曲線をそのまま使用する。一方で、最適演算部105が運転計画を作成する際に線形計画法を用いる場合には、排熱利用熱源設備最適演算用モデル作成部103は、得られた特性曲線から作成したモデルの線形化処理を実行する。
【0047】
例えば、
図4では、排温水を十分に使用する場合の冷水出口温度と冷却水入口温度で決定される曲線を示しているが、排熱が十分に使用できない場合の特性曲線は、排熱を十分に使用する場合の特性曲線を近似した曲線を縦軸方向に平行移動した曲線とほぼ等しくなることを利用すると、その蒸気消費量は以下の式(3)に示すように記述することができる。この例においては、負荷率に対して消費量の式を二次関数で近似している。
【0049】
ここで、式(3)において、αは冷水出口温度によって変化する曲線の変化を考慮するための係数である。また、A
1、A
2は基本となる曲線形状を定めるための係数であって、αが1の時(定格時の冷水出口温度の時)の場合の基本となる曲線形状を定めるための係数である。また、βは排温水負荷率区分点の変化による縦軸方向の移動を表す定数であり、蒸気消費量がゼロとなる排温水負荷率区分点x
mhを用いて以下の式(4)で表記される。
【0051】
排熱利用熱源設備最適演算用モデル作成部103は、これらの係数を排熱利用熱源設備特性データ108として受け取り、ここで得られた特性曲線を用いて
図6と同様に区分線形近似を行い、その係数を最適演算部105に送信する。なお、上記したS202と同様、最適演算部105が例えば線形混合整数計画法を用いることなく非線形最適化が可能である場合には、この曲線の式を表す係数をそのまま最適演算部105へ出力してもよい。これにより、排熱(排温水)使用量に応じて変化する排熱消費特性を考慮した熱源設備最適演算用モデルを利用することができる。
【0052】
そして、最適演算部105により、一般に使用される混合整数線形計画法等を用いて運転計画の最適化演算を行う(S204)。ただし、最適演算部105による運転計画の演算方法は、これに限定されず、例えば非線形最適化やヒューリスティック等を用いて運転計画の最適化演算を行ってもよい。
【0053】
具体的には、最適演算部105は、例えばコストやCO
2排出量などの目的関数(ユーザによって指定)を最小化するように、用役の需要と供給の同一条件や、熱源設備最適演算用モデル作成部102と排熱利用熱源設備最適演算用モデル作成部103により作成された設備モデルにより規定される制約式等に基づいて運転計画の最適化演算を行う。例えば、最適演算部105は、混合整数線形計画法で解を求めるに当たり、排熱利用熱源設備最適演算用モデル作成部103により作成されたモデルに対して以下の式(5)に示すように負荷率を二つに分けて演算を行うことで、その最適化を行うことができる。
【0055】
なお、式(5)において、x
mhは上記式(4)と同様に排温水負荷率区分点、x
stは残りの負荷率を表している。
【0056】
排温水の使用量が少ない場合、排温水負荷率区分点x
mhの移動によって排熱利用熱源設備のエネルギー消費特性の変化を模擬することができるため、これに基づく制約式を用いることにより排熱利用熱源設備のエネルギー消費特性を詳細に考慮した運転計画を立案することができる。これにより、本実施形態1によれば、排熱を使用する熱源設備を含む全ての熱源設備に対して、排熱利用熱源設備の排温水使用量に応じて変動する複雑なエネルギー消費特性を考慮に入れた熱源設備の運転計画を立案することが可能となる。そのため、排熱を使用する熱源設備を含む全ての熱源設備を高効率で運転することができ、省エネやCO
2排出量の削減を実現することができる。例えば、熱源プラントにおける排熱量が少なく、排熱利用熱源設備を使用すると蒸気又はガスによる追焚きで効率が悪化する場合に、効率の良い電動の設備を追加で立ち上げる、あるいはそれのみで運転することで消費エネルギーを削減するような運転計画を作成できる。また、複数の排熱利用熱源設備があり、その全てに十分な量の排熱がない場合に、各熱源設備に分配するべき排熱量を精緻に決定できる。
【0057】
<実施形態2>
図7は、本発明に係る熱源設備の運転制御システム(運転計画立案装置)の実施形態2の全体構成を示したものである。
図7に示す実施形態2の運転制御システムは、
図1に示す実施形態1の運転制御システムに対して、熱源設備特性データ演算部701Aや排熱利用熱源設備特性データ演算部703Aを利用して熱源設備パラメータ107Aや排熱利用熱源設備特性データ108Aを更新する構成が相違しており、その他の構成は実施形態1の運転制御システムと同様である。したがって、実施形態1と同様の構成には同様の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0058】
図示するように、本実施形態2では、熱源設備の運転制御システム(運転計画立案装置)101Aの最適演算部105Aにより演算された運転計画111Aで運転される熱源プラント705Aの各熱源設備702Aが、熱源設備特性データ演算部701Aや排熱利用熱源設備特性データ演算部703Aと通信可能に接続されている。
【0059】
熱源設備特性データ演算部701Aや排熱利用熱源設備特性データ演算部703Aは、排熱利用熱源設備を含む各熱源設備702Aの運転実績データを収集し、その収集した運転実績データに基づいて熱源設備パラメータ107Aと排熱利用熱源設備特性データ108Aを定期的に更新する。
【0060】
これにより、本実施形態2によれば、例えば、経年変化(経年劣化)などにより熱源プラント705Aの各熱源設備702Aのエネルギー消費特性が変化した場合であっても、その特性データを随時更新して排熱利用熱源設備最適演算用モデルを作成し、そのような熱源設備の経年変化を考慮した排熱利用熱源設備最適演算用モデルを熱源設備の運転計画の演算に利用することができるため、より精緻な熱源設備の運転計画を立案することが可能となる。
【0061】
<実施形態3>
図8は、本発明に係る熱源設備の運転制御システム(運転計画立案装置)の実施形態3の全体構成を示したものである。
図8に示す実施形態3の運転制御システムは、
図1に示す実施形態1の運転制御システムに対して、熱源設備運転信号出力部801Bを利用して熱源プラント805Bの各熱源設備802Bの運転状態を自動制御する構成が相違しており、その他の構成は実施形態1の運転制御システムと同様である。したがって、実施形態1と同様の構成には同様の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0062】
図示するように、本実施形態3では、熱源プラント805Bの各熱源設備802Bが熱源設備運転信号出力部801Bと通信可能に接続されている。熱源設備の運転制御システム101Bの最適演算部105Bにより演算された運転計画111Bは前記熱源設備運転信号出力部801Bに送信され、該熱源設備運転信号出力部801Bから熱源プラント805Bの各熱源設備802Bに対して各熱源設備802Bの運転状態を指示する運転信号が出力される。排熱利用熱源設備を含む熱源プラント805Bの各熱源設備802Bは、熱源設備運転信号出力部801Bから送信された運転信号に基づいて運転されることで、最適演算部105Bにより演算された運転計画111Bに従った運転が自動的に行われる。
【0063】
これにより、本実施形態3によれば、熱源設備の運転制御システム101Bにおいて最適化された運転計画111Bを立案するのみならず、その運転計画111Bに基づいて排熱利用熱源設備を含む複数台の熱源設備802Bの運転状態を自動的に制御することが可能となる。
【0064】
なお、本発明は上記した実施形態1〜3に限定されるものではなく、様々な変形形態が含まれる。例えば、上記した実施形態1〜3は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0065】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0066】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。