特許第6392561号(P6392561)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6392561はんだ付け用フラックス組成物、それを用いた太陽電池モジュールの製造方法および電子基板の製造方法
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  • 特許6392561-はんだ付け用フラックス組成物、それを用いた太陽電池モジュールの製造方法および電子基板の製造方法 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6392561
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】はんだ付け用フラックス組成物、それを用いた太陽電池モジュールの製造方法および電子基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 35/363 20060101AFI20180910BHJP
   B23K 35/26 20060101ALN20180910BHJP
   C22C 13/00 20060101ALN20180910BHJP
【FI】
   B23K35/363 D
   !B23K35/26 310A
   !C22C13/00
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-126122(P2014-126122)
(22)【出願日】2014年6月19日
(65)【公開番号】特開2016-2584(P2016-2584A)
(43)【公開日】2016年1月12日
【審査請求日】2017年6月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005223
【氏名又は名称】株式会社タムラ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 泰貴
(72)【発明者】
【氏名】熊倉 市朗
【審査官】 神野 将志
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第1404959(CN,A)
【文献】 特開平11−267884(JP,A)
【文献】 特開2000−202684(JP,A)
【文献】 特開平07−144292(JP,A)
【文献】 特開平08−057685(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 35/363、35/26
C22C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)溶剤と、(B)活性剤とを含有し、
前記(A)成分は、(A1)炭素数2〜8のジカルボン酸と炭素数1〜7のアルコールからなるジカルボン酸エステル、(A2)炭素数2〜7のモノカルボン酸と炭素数1〜7のアルコールからなるモノカルボン酸エステル、および(A3)アルコール系溶剤を含有し、
前記(B)成分は、炭素数2〜5のジカルボン酸であり、
前記(B)成分の配合量が、前記(A1)成分100質量部に対して、30質量部以上450質量部以下であり、
前記(A3)成分の配合量が、当該フラックス組成物100質量%に対して、75質量%以上95質量%以下である
ことを特徴とするはんだ付け用フラックス組成物。
【請求項2】
請求項1に記載のはんだ付け用フラックス組成物において、
前記(B)成分の配合量が、当該フラックス組成物100質量%に対して、0.1質量%以上5質量%以下である
ことを特徴とするはんだ付け用フラックス組成物。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のはんだ付け用フラックス組成物において、
当該フラックス組成物100質量%に対する、
前記(A1)成分の配合量が、0.05質量%以上5質量%以下であり、
前記(A2)成分の配合量が、1質量%以上20質量%以下である
ことを特徴とするはんだ付け用フラックス組成物。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のはんだ付け用フラックス組成物において、
ロジンを含有していない
ことを特徴とするはんだ付け用フラックス組成物。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のはんだ付け用フラックス組成物を用いて太陽電池モジュールを作製することを特徴とする太陽電池モジュールの製造方法
【請求項6】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のはんだ付け用フラックス組成物を用いて電子基板を作製することを特徴とする電子基板の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、はんだ付け用フラックス組成物、太陽電池モジュールの製造方法および電子基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
はんだ付けによる接合については、電子基板と電子部品との接合などに広く利用されている。そして、例えば太陽電池モジュールにおいても、太陽電池セル上のバスバー電極とタブ線とをはんだ付けにより接合している。ここで、はんだ付けの際にはフラックス組成物を使用するが、従来は特許文献1に記載のようなロジン系フラックス組成物が使用されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−243787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のようなロジン系フラックス組成物を用いて太陽電池モジュールを作製した場合、はんだ付け後の残さが太陽電池セル上に残り、太陽光の変換効率や後工程で樹脂封止後の膨れといった問題が生ずる場合がある。一方で、単純に固形分(ロジン系樹脂、活性剤、添加剤など)の配合量を減らして残さ量を少なくする方法では、はんだ付け性が低下し、はんだ接合強度が低下するという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、はんだ付け後の残さが極めて少ないにも拘わらず、はんだ付け性に優れるはんだ付け用フラックス組成物、並びに、それを用いた太陽電池モジュールの製造方法および電子基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決すべく、本発明は、以下のようなはんだ付け用フラックス組成物、太陽電池モジュールの製造方法および電子基板の製造方法を提供するものである。
すなわち、本発明のはんだ付け用フラックス組成物は、(A)溶剤と、(B)活性剤とを含有し、前記(A)成分は、(A1)炭素数2〜8のジカルボン酸と炭素数1〜7のアルコールからなるジカルボン酸エステル、(A2)炭素数2〜7のモノカルボン酸と炭素数1〜7のアルコールからなるモノカルボン酸エステル、および(A3)アルコール系溶剤を含有し、前記(B)成分は、炭素数2〜5のジカルボン酸であり、前記(B)成分の配合量が、前記(A1)成分100質量部に対して、30質量部以上450質量部以下であり、前記(A3)成分の配合量が、当該フラックス組成物100質量%に対して、75質量%以上95質量%以下であることを特徴とするものである。
【0007】
本発明のはんだ付け用フラックス組成物においては、前記(B)成分の配合量が、当該フラックス組成物100質量%に対して、0.1質量%以上5質量%以下であることが好ましい。
本発明のはんだ付け用フラックス組成物においては、当該フラックス組成物100質量%に対する、前記(A1)成分の配合量が、0.05質量%以上5質量%以下であり、前記(A2)成分の配合量が、1質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
本発明のはんだ付け用フラックス組成物においては、ロジンを含有していないことが好ましい。
本発明の太陽電池モジュールの製造方法は、前記はんだ付け用フラックス組成物を用いて太陽電池モジュールを作製することを特徴とする方法である。
本発明の電子基板の製造方法は、前記はんだ付け用フラックス組成物を用いて電子基板を作製することを特徴とする方法である。
【0008】
なお、本発明のはんだ付け用フラックス組成物が、はんだ付け後の残さが極めて少ないにも拘わらず、はんだ付け性に優れる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。
すなわち、本発明のはんだ付け用フラックス組成物においては、フラックス残さの主要因であるロジンを含有していないため、はんだ付け後の残さを極めて少なくできる。一方で、ロジンを含有していないために、通常はロジンが担っている作用(はんだ表面の再酸化を抑制することや、熱媒体として活性剤の熱劣化を抑制すること)を他の成分で補うことが必要となる。これに対し、(B)成分と(A1)成分とを所定比率で組み合わせて用いた場合、はんだ表面の再酸化を抑制でき、(B)成分である活性剤の熱劣化を抑制できるという知見を本発明者らは見出し、このような構成を採用した。そして、(B)成分と(A1)成分に、更に(A2)成分を組み合わせることにより、はんだ付け時におけるフラックスの表面張力がより高まるため、はんだや接合対象の金属へのぬれ性を向上でき、金属に対し選択的にフラックス作用を及ぼすことができる。この理由については、電極などの金属は基材などと比較して表面張力が高いため、液体が金属部分に集まりやすいが、表面張力が高く、基材などにはじかれ易い液体の方が金属部分により集まりやすくなるためと推察される。以上のようなメカニズムにより、本発明のはんだ付け用フラックス組成物は、はんだ付け後の残さが極めて少ないにも拘わらず、はんだ付け性に優れるものと本発明者らは推察する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、はんだ付け後の残さが極めて少ないにも拘わらず、はんだ付け性に優れるはんだ付け用フラックス組成物、並びに、それを用いた太陽電池モジュールの製造方法および電子基板の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】太陽電池モジュールの作製方法の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のはんだ付け用フラックス組成物は、以下説明する(A)溶剤および(B)活性剤を含有するものである。
【0012】
[(A)成分]
本発明に用いる(A)溶媒は、以下説明する(A1)成分、(A2)成分および(A3)成分を含有するものである。
【0013】
前記(A1)成分は、炭素数2〜8のジカルボン酸と炭素数1〜7のアルコールからなるジカルボン酸エステルであり、市販品を入手可能である。この(A1)成分の原料となるジカルボン酸およびアルコールの炭素数が前記範囲内であれば、はんだ付け性の向上に寄与できる。また、(A1)成分は、ジカルボン酸モノエステルであっても、ジカルボン酸ジエステルであってもよいが、残さの抑制の観点からは、ジカルボン酸ジエステルであることが好ましい。
ジカルボン酸の炭素数は、はんだ付け性の観点から、3〜6であることが好ましく、4〜6であることがより好ましく、6であることが特に好ましい。ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、フタル酸などが挙げられる。
アルコールの炭素数は、はんだ付け性の観点から、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、フェノールなどが挙げられる。
また、この(A1)成分は、760mmHgにおける沸点が150℃以上300℃以下であることが好ましい。
【0014】
前記(A1)成分の配合量は、前記フラックス組成物100質量%に対して、0.05質量%以上5質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上3質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上2質量%以下であることが特に好ましい。
【0015】
前記(A2)成分は、炭素数2〜7のモノカルボン酸と炭素数1〜7のアルコールからなるモノカルボン酸エステルであり、市販品を入手可能である。この(A2)成分の原料となるモノカルボン酸およびアルコールの炭素数が前記範囲内であれば、はんだ付け性の向上に寄与できる。
モノカルボン酸の炭素数は、はんだ付け性の観点から、2〜4であることが好ましく、2〜3であることがより好ましく、2であることが特に好ましい。モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、安息香酸などが挙げられる。
アルコールの炭素数は、はんだ付け性の観点から、1〜5であることが好ましく3〜5であることがより好ましく、4であることが特に好ましい。アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、フェノールなどが挙げられる。
また、この(A2)成分は、760mmHgにおける沸点が50℃以上200℃以下であることが好ましい。
【0016】
前記(A2)成分の配合量は、はんだ付け性の観点から、前記フラックス組成物100質量%に対して、1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、3質量%以上15質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上10質量%以下であることが特に好ましい。
また、前記(A1)成分および前記(A2)成分の合計配合量は、フラックス組成物の金属へのぬれ性を向上するという観点から、当該フラックス組成物100質量%に対して、5質量%以上25質量%以下であることが好ましい。
【0017】
前記(A3)成分は、アルコール系溶剤であり、市販品を入手可能である。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどが挙げられる。これらの中でも、メタノール、エタノール、イソプロパノールが好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
また、この(A3)成分は、760mmHgにおける沸点が100℃以下であることが好ましい。
【0018】
前記(A3)成分の配合量は、前記フラックス組成物100質量%に対して、75質量%以上95質量%以下であることが好ましく、80質量%以上95質量%以下であることがより好ましく、90質量%以上95質量%以下であることが特に好ましい。
【0019】
前記(A)成分は、前記(A1)成分〜前記(A3)成分の他に、(A4)その他の有機溶剤を含有していてもよい。
この(A4)成分としては、グリコール系溶剤、炭化水素系溶剤、(A1)成分および(A2)成分以外のエステル系溶剤などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0020】
前記(A)成分の合計配合量は、フラックス組成物100質量%に対して、80質量%以上99.9質量%以下であることが好ましく、90質量%以上99.8質量%以下であることがより好ましく、95質量%以上99.8質量%以下であることが特に好ましい。配合量が前記範囲内であれば、フラックス組成物の塗布性を適宜調整できる。
【0021】
[(B)成分]
本発明に用いる(B)活性剤は、炭素数2〜5のジカルボン酸である。そして、本発明においては、この(B)成分の配合量が、前記(A3)成分100質量部に対して、30質量部以上450質量部以下であることが必要である。(B)成分の配合量が前記範囲内であれば、はんだ表面の再酸化を抑制することや、熱媒体として活性剤の熱劣化を抑制することができる。また、同様の観点から、(B)成分の配合量が、前記(A3)成分100質量部に対して、40質量部以上400質量部以下であることがより好ましく、50質量部以上300質量部以下であることが特に好ましい。
また、この(B)成分は、760mmHgにおける沸点が320℃以下であることが好ましい。
この(B)成分としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸などが挙げられる。これらの中でも、はんだ付け性とフラックス残さとのバランスの観点から、マロン酸、コハク酸、グルタル酸が好ましく、コハク酸が特に好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0022】
前記(B)成分の配合量としては、フラックス組成物100質量%に対して、0.1質量%以上5質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以上3質量%以下であることがより好ましく、0.2質量%以上0.5質量%以下であることが特に好ましい。(B)成分の配合量が前記下限未満では、はんだ付け性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、フラックス残さが残りやすくなり、金属などの腐食が懸念される傾向にある。
【0023】
本発明のフラックス組成物には、前記(A)成分および前記(B)成分の他に、必要に応じて、前記(B)成分以外の活性剤(非解離型活性剤、アミン系活性剤など)、チクソ剤、酸化防止剤、消泡剤、防錆剤、界面活性剤などの添加剤を含有していてもよい。これらの添加剤の配合量としては、前記フラックス組成物100質量%に対して、0.01質量%以上5質量%以下であることが好ましい。なお、これらの添加剤としては、フラックス残さの要因となりにくい成分を選択することが好ましい。
【0024】
[太陽電池モジュールおよび電子基板]
次に、本発明の太陽電池モジュールおよび電子基板について説明する。本発明の太陽電池モジュールは、以上説明したフラックス組成物を用いて、例えばタブ線を太陽電池セルのバスバー電極に接合することで作製できる太陽電池モジュールである。また、本発明の電子基板は、以上説明したフラックス組成物を用いて、例えば電子部品をプリント配線基板などに実装することで作製できる電子基板である。なお、前記本発明のフラックス組成物は、太陽電池モジュール用のフラックス組成物として好適なものであるので、ここでは、太陽電池モジュールを作製する方法を例に挙げて、図面に基づいて説明する。
【0025】
図1は、太陽電池モジュールの作製方法の一例を示す説明図である。
本発明の太陽電池モジュールは、図1に示すように、太陽電池セル1のバスバー電極11と、タブ線2とを、フラックス組成物3を用いてはんだ接合することで作製できる。具体的には、以下説明する塗布工程、配置工程およびはんだ接合工程により、太陽電池モジュールを作製できる。
太陽電池セル1は、図1(A)に示すように、バスバー電極11と、フィンガー電極12を備える。太陽電池セル1は、単結晶セル、多結晶セルなどの結晶性セルであってもよく、アモルファスセルであってもよい。また、バスバー電極11およびフィンガー電極12の金属としては、例えば、銀などを用いることができる。
タブ線2は、バー状の金属の表面にはんだメッキ処理が施されたものである。このタブ線2により、複数の太陽電池セル1を連結させることができる。タブ線2の材質は、金属であればよく特に限定されないが、例えば、銅などを用いることができる。また、はんだメッキ処理におけるはんだ組成としては、例えば、Snメッキ、Sn/Pbメッキ、Sn/Agメッキなどが挙げられる。
フラックス組成物3としては、前記本発明のフラックス組成物を用いる。
【0026】
塗布工程においては、図1(B)に示すように、太陽電池セル1のバスバー電極11にフラックス組成物3を塗布する。
ここで用いる塗布装置としては、ディスペンサー、ジェットディスペンサーなどが挙げられる。
配置工程においては、図1(C)に示すように、フラックス組成物3と、タブ線2とが接するように、太陽電池セル1にタブ線2を配置する。
【0027】
はんだ接合工程においては、図1(C)に示すように、太陽電池セル1上のバスバー電極11にタブ線2をはんだ接合できる。そして、図1(D)に示すように、このタブ線2により太陽電池セル1の表面と別の太陽電池セル1の裏面とを接合させて、複数の太陽電池セル1を連結させることができる。なお、太陽電池セル1の表面と別の太陽電池セル1の表面とを接合させてよい。
このはんだ接合工程においてはんだ接合の方式としては、熱圧着方式、パルスヒート方式などが採用できる。
例えば、熱圧着方式を採用し、タブ線2のメッキがSn/Pb共晶はんだである場合、熱圧着時の温度は、190℃以上250℃以下であることが好ましく、210℃以上230℃以下であることがより好ましい。熱圧着時の温度が前記下限未満では、太陽電池セル1のバスバー電極11とタブ線2とのはんだ接合が不十分となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、太陽電池セル1などが熱により変形しやすくなる傾向にある。
熱圧着時の圧力は、0.3MPa以下であることが好ましく、0.2MPa以下であることがより好ましい。
熱圧着時の加圧時間は、3秒間以上15秒間以下であることが好ましく、5秒間以上10秒間以下であることがより好ましい。
【実施例】
【0028】
次に、本発明を実施例および比較例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例および比較例にて用いた材料を以下に示す。
((A1)成分)
ジカルボン酸エステルA:アジピン酸ジメチル(沸点:230℃)
ジカルボン酸エステルB:アジピン酸モノメチル(沸点:292℃)
((A2)成分)
モノカルボン酸エステル:酢酸ブチル(沸点:99℃)
((A3)成分)
アルコール系溶剤A:エタノール(沸点:78℃)
アルコール系溶剤B:イソプロパノール(沸点:82℃)
アルコール系溶剤C:メタノール(沸点:64℃)
((B)成分)
活性剤A:コハク酸(沸点:235℃)
(他の成分)
活性剤B:アジピン酸(沸点:300℃以上)
【0029】
[実施例1]
ジカルボン酸エステルA0.4質量%、モノカルボン酸エステル7質量%、アルコール系溶剤A74.8質量%、アルコール系溶剤B16質量%、アルコール系溶剤C1.6質量%および活性剤A0.2質量%を容器に投入し、混合してフラックス組成物を得た。
【0030】
[実施例2〜7]
表1に示す組成に従い各材料を配合した以外は実施例1と同様にして、フラックス組成物を得た。
[比較例1〜5]
表2に示す組成に従い各材料を配合した以外は実施例1と同様にして、フラックス組成物を得た。
【0031】
<フラックス組成物の評価>
フラックス組成物の特性(はんだ付け後の残さ、はんだ付け性、銅板腐食性、接合強度)を以下のような方法で評価した。実施例について得られた結果を表1に示し、比較例について得られた結果を表2に示す。
(試験基板作製条件)
基板:FR−4(大きさ:150mm×100mm、厚み:1.6mm、はんだ付けポイント数:576箇所)
はんだの合金組成:Sn/0.3Ag/0.7Cu
はんだ付け装置:タムラ製作所社製の「HC33−36NF」
フラックス塗布装置:スプレーフラクサー(タムラ製作所社製の「TAF33−12PV」)
フラックス塗布量:100〜130mL/m
プリヒート温度:100℃
(1)はんだ付け後の残さ
フローはんだ付後のフラックス残さの状態を目視により評価した。そして、下記の基準に従って、はんだ付け後の残さを評価した。
◎:残さ量が少なく均一である。
○:残さ量は少ないが、若干不均一である。
×:残さ量が多い。
(2)はんだ付け性
はんだ付け後の基板におけるツララ箇所を測定した。そして、下記の基準に従って、はんだ付け性を評価した。
○:基板1枚あたりのツララ発生数が、10箇所以下である。
△:基板1枚あたりのツララ発生数が、11箇所以上20箇所以下である。
×:基板1枚あたりのツララ発生数が、21箇所以上である。
(3)銅板腐食性
JIS Z 3197に記載の方法により、下記の基準に従って、銅板腐食性を評価した。
○:合格
×:不合格
(4)接合強度
太陽電池セル(大きさ:125mm×125mm、バスバー電極幅:1.5mm)とタブ線(タブ線幅:1.5mm、メッキのはんだ組成:Sn/90Ag)とを、フラックス組成物を用いて接合したものを試料とした。そして、引張試験機を用いて、その試料のタブ線を太陽電池セルに対して180°方向に線圧1N/mmの条件で引張った場合の引張強度を測定し、下記の基準に従って、接合強度を評価した。
○:引張強度が1.5N以上である。
×:引張強度が1.5N未満である。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
表1および表2に示す結果からも明らかなように、本発明のフラックス組成物を用いた場合(実施例1〜7)には、はんだ付け後の残さ、はんだ付け性、銅板腐食性および接合強度の全てが良好であることが分かった。従って、はんだ付け後の残さが極めて少ないにも拘わらず、はんだ付け性に優れることが確認された。
これに対し、(A1)成分に対する(B)成分の配合量が前記範囲外の場合(比較例1〜4)には、はんだ付け後の残さ、はんだ付け性、銅板腐食性および接合強度のうちのいずれか1つ以上が不十分となることが確認された。また、活性剤として(B)成分以外のものを用いた場合(比較例5)には、銅板腐食性が劣り、例えば太陽電池モジュールでのはんだ付けの際には、太陽電池セルのフィンガー電極やタブ線などが腐食するといった問題があることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明のはんだ付け用フラックス組成物は、太陽電池モジュール用のフラックス組成物として特に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0036】
1…太陽電池セル
11…バスバー電極
12…フィンガー電極
2…タブ線
3…フラックス組成物
図1