(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
成分(A)及び(B)の合計質量と、成分(C)の質量割合((A)+(B))/(C)が、0.1〜40である請求項1〜5のいずれか1項記載の油中水型乳化化粧料。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明で用いる成分(A)のカルボシロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系重合体において、カルボシロキサンデンドリマー構造としては、次式(1)で表される基が好ましい。
【0010】
式中、Zは2価の有機基であり、pは0又は1であり、R
1は炭素原子数1〜10のアルキル基又はアリール基である。X
1はi=1とした場合の次式で示されるシリルアルキル基である。
【0012】
式中、R
1は前記と同じであり、R
2は炭素原子数2〜10のアルキレン基であり、R
3は炭素原子数1〜10のアルキル基であり、X
i+1は水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、アリール基及び上記シリルアルキル基からなる群から選択される基である。iは該シリルアルキル基の階層を示している1〜10の整数であり、a
iは0〜3の整数である。
【0013】
式(1)中、Zは2価の有機基であり、アルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基、エステル含有2価有機基、エーテル含有2価有機基、ケトン含有2価有機基、アミド基含有2価有機基が例示される。これらの中でも、次式で示される有機基が好ましい。
【0015】
式中、R
9は炭素原子数1〜10のアルキレン基であり、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が例示される。これらの中でもエチレン基、プロピレン基が好ましい。R
10は炭素原子数1〜10のアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が例示される。これらの中でもメチル基が好ましい。R
11は炭素原子数1〜10のアルキレン基であり、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等のアルキレン基が例示される。これらの中でもエチレン基が好ましい。dは0〜4の整数であり、eは0又は1である。
【0016】
また、式(1)中、R
1は炭素原子数1〜10のアルキル基又はアリール基であり、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が例示され、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基が例示される。これらの中でもメチル基、フェニル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
X
1はi=1とした場合の次式で示されるシリルアルキル基である。
【0018】
式中、R
1は前記と同じである。R
2は炭素原子数2〜10のアルキレン基であり、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基などの直鎖状アルキレン基;メチルメチレン基、メチルエチレン基、1−メチルペンチレン基、1,4−ジメチルブチレン基等の分岐状アルキレン基が例示される。これらの中でも、エチレン基、メチルエチレン基、ヘキシレン基、1−メチルペンチレン基、1,4−ジメチルブチレン基が好ましい。R
3は炭素原子数1〜10のアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基が例示される。X
i+1は水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、アリール基および上記シリルアルキル基からなる群から選択される基である。a
iは0〜3の整数である。iは1〜10の整数であり、これは該シリルアルキル基の階層数、即ち、該シリルアルキル基の繰り返し数を示している。
【0019】
成分(A)のビニル系重合体としては、(A1)(A2)以外のビニル系単量体 0〜99.9質量部と、(A2)一般式(2):
【0021】
(式中、Yはラジカル重合可能な有機基であり、R
1及びX
1は前記と同じである。)
で表されるラジカル重合可能な有機基を有するカルボシロキサンデンドリマー 100〜0.1質量部とを(共)重合させてなるカルボシロキサンデンドリマー構造を含有するビニル系重合体が好ましい。
【0022】
上記式中、Yはラジカル重合可能な有機基であり、R
1は炭素原子数1〜10のアルキル基もしくはアリール基である。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が例示される。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基が例示される。これらの中でもメチル基,フェニル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0023】
このビニル系重合体において、(A1)成分のビニル系単量体は、ラジカル重合性のビニル基を有するものであれば良く、その種類等については特に限定されない。かかるビニル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の低級アルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の高級アルキル(メタ)アクリレート;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の脂肪酸ビニルエステル;スチレン、ビニルトルエン、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香族含有単量体;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメトキシ(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド等のアミド基含有ビニル型単量体;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、グリセリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルアクリルアミド等の水酸基含有ビニル型単量体;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸等のカルボン酸含有ビニル型単量体及びそれらの塩;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、2ーエチルヘキシルビニルエーテル等のエーテル結合含有ビニル型単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アリルグリシジルエーテル、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の反応性基含有モノマー;片末端に(メタ)アクリル基を含有したポリジメチルシロキサン、片末端にスチリル基を含有するポリジメチルシロキサンなどのマクロモノマー類;ブタジエン;塩化ビニル;塩化ビニリデン;(メタ)アクリロニトリル;フマル酸ジブチル;無水マレイン酸;スチレンスルホン酸、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のようなスルホン酸基を有するラジカル重合性不飽和単量体、およびそれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩;2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドのような(メタ)アクリル酸から誘導される4級アンモニウム塩;メタクリル酸ジエチルアミノエチルのような3級アミノ基を有するアルコールのメタクリル酸エステル、ビニルピリジンおよびそれらの4級アンモニウム塩などが例示される。
【0024】
また、多官能ビニル系単量体も使用可能であり、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、スチリル基封鎖ポリジメチルシロキサンなどの不飽和基含有シリコ−ン化合物等が例示される。
【0025】
成分(A2)のカルボシロキサンデンドリマーは、一般式(2)で表されるラジカル重合可能な有機基を有するものであれば良く、その種類等については特に限定されない。一般式(2)中、Yはラジカル重合可能な有機基であり、ラジカル反応可能な有機基であればよいが、具体的には、下記一般式で表される(メタ)アクリロキシ基含有有機基、(メタ)アクリルアミド基含有有機基、スチリル基含有有機基、炭素原子数2〜10のアルケニル基等が挙げられる。
【0027】
(式中、R
4及びR
6は水素原子又はメチル基であり、R
5及びR
8は炭素原子数1〜10のアルキレン基であり、R
7は炭素原子数1〜10のアルキル基である。bは0〜4の整数であり、cは0または1である。)
【0028】
このようなラジカル重合可能な有機基としては、例えば、2−アクリロイルオキシエチル基、3−アクリロイルオキシプロピル基、2−メタクリロイルオキシエチル基、3−メタクリロイルオキシプロピル基、4−ビニルフェニル基、3−ビニルフェニル基、4−(2−プロペニル)フェニル基、3−(2−プロペニル)フェニル基、2−(4−ビニルフェニル)エチル基、2−(3−ビニルフェニル)エチル基、ビニル基、アリル基、メタリル基、5−ヘキセニル基が挙げられる。
【0029】
一般式(2)において、i=1、すなわちシリルアルキル基の階層数が1である場合、(A2)成分のカルボシロキサンデンドリマーは、一般式:
【0031】
(式中、Y,R
1,R
2およびR
3は前記と同じであり、R
12は水素原子または前記R
1と同じである。a
1は前記a
iと同じであるが、1分子中のa
1の平均合計数は0〜7である。)で表される。
このようなラジカル重合可能な有機基を含有するカルボキシデンドリマー(A2)としては、下記平均組成式で示されるカルボシロキサンデンドリマーが例示される。
【0034】
このようなカルボシロキサンデンドリマーは、例えば、特開平11―1530号公報、特開2000−63225号公報等に記載された製造方法に従って製造することができる。
【0035】
本発明で用いられるデンドリマー構造を含有するビニル系重合体において、上記(A1)成分と(A2)成分の質量割合は、(A1):(A2)=0:100〜99.9:0.1が好ましく、5:95〜90:10がより好ましく、更に10:90〜80:20となる範囲であるのが好ましい。
【0036】
本発明で用いられる成分(A)のカルボシロキサンデンドリマー構造を有するビニル系重合体の数平均分子量は、化粧品原料としての配合のしやすさから、好ましくは、3,000〜2,000,000であり、さらに好ましくは、5,000〜800,000である。また、その性状は、25℃で液状、ガム状、ペースト状、固体状などのいずれでも良いが、得られる化粧皮膜の持続性の観点から、固体状のものが好ましい。また、配合性の観点からは、溶媒によって希釈された溶液や分散液であることが好ましい。なかでも、化粧料中への分散性、作業性の点から、液状油によって希釈された分散液として用いるのが好ましく、シリコーン油、炭化水素油を用いるのが好ましく、ジメチルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、イソドデカンを用いるのがより好ましい。
【0037】
カルボシロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系重合体としては、シリコーンデンドリマー・アクリル共重合体が好ましく、FA4001CM(デカメチルシクロペンタシロキサン溶液)、FA4002ID(イソドデカン溶液)(以上、東レ・ダウコーニング社製)等の市販品を用いることができる。
【0038】
成分(A)は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、化粧料の肌への密着性に優れる点から、全組成中に0.1質量%以上であり、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、20質量%以下であり、8質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましい。また、成分(A)の含有量は、全組成中に0.1〜20質量%であり、0.5〜8質量%が好ましく、1〜4質量%がより好ましい。
【0039】
本発明で用いる成分(B)のフッ素変性シリコーン樹脂は、前記一般式(3)で表される構造を有するものである。
フッ素変性シリコーン樹脂は、皮膚や粉体に対する付着性の点から、分子内にシラノール基を有し、シラノール基中のOH基の割合が、樹脂質量に対して0.1〜5質量%であるのが好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。
【0040】
また、フッ素変性シリコーン樹脂は、25℃で固体のものである。このため、環状シリコーン、ジメチルポリシロキサン等に溶解して使用するのが好ましい。環状シリコーンとしては、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)及びデカメチルシクロペンタシロキサン(D5)から選ばれる1種以上に溶解して用いるのが好ましい。
【0041】
このようなフッ素変性シリコーン樹脂としては、INCI名「トリフルオロプロピルジメチル/トリメチルシロキシシリケート(Trifluoropropyldimethyl/Trimethylsiloxysilicate)」である、XS66−B8226、XS66−C1191、XS66−B8636(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)等の市販品を用いることができる。
【0042】
成分(B)は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、化粧料を肌に均一に付着させ、密着性を向上させる点から、含有量は、全組成中に0.01質量%以上であり、0.5質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、3質量%以上がさらに好ましく、20質量%以下であり、8質量%以下が好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。また、成分(B)の含有量は、全組成中に0.01〜20質量%であり、0.5〜8質量%が好ましく、2〜5質量%がより好ましく、3〜5質量%がさらに好ましい。
【0043】
本発明において、成分(A)及び(B)の質量割合(A)/(B)は、塗布中の化粧料の筋ムラの発生を抑制し、塗布直後のダマの発生、ごわつき感を抑制し、ファンデーションを重ね付けして使用した時に、スポンジのひっかかりが抑制され、化粧よれや仕上がりの粉吹きの目立ちを抑え、肌に化粧料を塗り広げるときに、肌の同じ部分を何度も塗り直すことなく、ひと塗りで仕上げることができる点から、0.08以上であり、0.1以上が好ましく、0.2以上がより好ましく、0.3以上がさらに好ましく、10以下であり、5以下が好ましく、1以下がより好ましく、0.7以下がさらに好ましい。また、成分(A)及び(B)の質量割合(A)/(B)は、0.08〜10であり、0.1〜5が好ましく、0.2〜1がより好ましく、0.3〜0.7がさらに好ましい。
【0044】
成分(C)は、25℃で液状のエステル油である。ここで、液状とは流動性を有するもので、ペースト状のものも含まれる。また、成分(C)のエステル油の分子量は、カルボシロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系重合体と相溶し、粘着性に優れ、成分(A)及び成分(B)と併用することで、べたつきを抑制し、皮膜性に優れる点から、250〜2000が好ましく、300〜1000がより好ましく、350〜800がさらに好ましい。
【0045】
成分(C)の25℃で液状のエステル油としては、モノエステル、ジエステルが好ましく、具体的には、例えば、イソノナン酸イソトリデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、ミリスチン酸イソステアリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジイソステアリン酸ジグリセリル、モノイソステアリン酸モノミリスチン酸グリセリル、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、酢酸トコフェロール、モノイソステアリン酸ジグリセリル等が挙げられる。
これらのうち、モノエステルがより好ましく、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソステアリル、モノイソステアリン酸モノミリスチン酸グリセリル、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、酢酸トコフェロールがさらに好ましく、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、酢酸トコフェロールがよりさらに好ましい。
【0046】
成分(C)は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、べたつきを抑制し、皮膜性に優れる点から、含有量は、全組成中に0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、0.4質量%以上がさらに好ましく、1質量%以上がよりさらに好ましく、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましく、7質量%以下がよりさらに好ましい。また、成分(C)の含有量は、全組成中に0.1〜30質量%が好ましく、0.2〜20質量%がより好ましく、0.4〜10質量%がさらに好ましく、1〜7質量%がよりさらに好ましい。
【0047】
本発明において、成分(A)及び(B)の合計質量と、成分(C)の質量割合((A)+(B))/(C)は、塗布中の化粧料の筋ムラの発生を抑制し、塗布直後のダマの発生、ごわつき感を抑制し、ファンデーションを重ね付けして使用した時に、スポンジのひっかかりが抑制され、化粧よれや仕上がりの粉吹きの目立ちを抑え、肌に化粧料を塗り広げる時に、肌の同じ部分を何度も塗り直すことなく、ひと塗りで仕上げることができる点から、0.1以上が好ましく、0.2以上がより好ましく、0.5以上がさらに好ましく、40以下が好ましく、20以下がより好ましく、10以下がさらに好ましく、8以下がよりさらに好ましい。また、成分(A)及び(B)の合計質量と、成分(C)の質量割合((A)+(B))/(C)は、0.1〜40が好ましく、0.2〜20がより好ましく、0.5〜10がさらに好ましく、0.5〜8がよりさらに好ましい。
【0048】
本発明の油中水型乳化化粧料は、さらに、(D)25℃で液状のフッ素変性シリコーンを含有することができ、より優れた化粧持続性を得ることができる。ここで、液状とは流動性を有するもので、ペースト状のものも含まれる。
かかるフッ素変性シリコーンとしては、下記一般式(4)及び(5)
【0050】
(式中、Rfは炭素数6の直鎖又は分岐鎖のパーフルオロアルキル基を示し、R
31、R
32及びR
33は、同一又は異なって、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、mは2〜6の数を示し、nは1〜6の数を示し、pは3〜50の数を示し、sは1〜5の数を示し、p及びsの割合が、0.66≦p/(p+s)≦0.9である)
で表されるポリシロキサン単位を有するフッ素変性シリコーンが好ましい。
【0051】
式中、R
31、R
32及びR
33 で示されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の直鎖アルキル基;イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ネオペンチル基、1−エチルプロピル基等の分岐鎖アルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル等の環状アルキル基などが挙げられる。
【0052】
また、mは2〜6の数を示し、好ましくは2〜5、より好ましくは3である。nは1〜6の数を示し、好ましくは1〜4、より好ましくは2である。
pは3〜50の数を示し、好ましくは3〜10、より好ましくは3〜6である。sは1〜5の数を示し、好ましくは1〜3、より好ましくは1である。
【0053】
また、p及びsの割合、すなわち、一般式(4)で表されるポリシロキサン単位pの、一般式(4)及び(5)で表されるポリシロキサン単位の合計p+sに対する変性率は、使用感や化粧持ちに優れ、外観のムラが起こりにくく、化粧料を塗布した後の塗布ムラを起こりにくくする点から、0.66≦p/(p+s)≦0.9であり、0.75≦p/(p+s)≦0.83が好ましい。
【0054】
成分(D)のフッ素変性シリコーンは、例えば、特開平6−184312号公報に記載の方法に従って、製造することができる。
成分(D)のフッ素変性シリコーンとしては、次の一般式(6)で表されるものが好ましい。
【0056】
(式中、p及びsは、前記と同じ意味を示し、qは5の数を示す)
【0057】
成分(D)は、1種又は2種以上を用いることができ、化粧持続性に優れ、化粧よれや仕上がりの粉吹きの目立ちを抑える点から、含有量は、全組成中に0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.2質量%以上が更に好ましく、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、15質量%以下が更に好ましい。また、成分(D)の含有量は、全組成中に0.01〜50質量%が好ましく、0.1〜30質量%がより好ましく、0.2〜15質量%が更に好ましい。
【0058】
本発明において、水の含有量は、全組成中に10質量%以上が好ましく、12質量%以上がより好ましく、14質量%以上がさらに好ましく、70質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましい。
【0059】
本発明の油中水型乳化化粧料は、前記成分以外に、通常化粧料に用いられる成分、例えば、前記以外の油性成分、前記以外の紫外線吸収剤、界面活性剤、顔料、水溶性高分子、酸化防止剤、香料、色素、防腐剤、増粘剤、pH調整剤、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤、保湿剤、清涼剤等を含有することができる。
【0060】
本発明の油中水型乳化化粧料は、通常の方法に従って製造することができ、液状、乳液液、ペースト状、クリーム状、ジェル状等の剤型にすることができ、乳液状、クリーム状が好ましい。
また、本発明の油中水型乳化化粧料は、化粧下地、ファンデーション、コンシーラー;ほお紅、アイシャドウ、マスカラ、アイライナー、アイブロウ、オーバーコート剤、口紅等のメイクアップ化粧料;日やけ止め乳液、日焼け止めクリーム等の紫外線防御化粧料などとして適用することができる。なかでも、化粧下地、リキッドファンデーション、コンシーラーがより好ましい。
本発明の油中水型乳化化粧料は、単品のみの使用においても、リキッドファンデーションやパウダーファンデーション・白粉等の粉体化粧料の重ね付けにおいても使用することができる。
【0061】
本発明の油中水型乳化化粧料は、展延性に優れ、肌への密着性に優れる点から、25℃における製造直後の粘度が500〜15000mPa・sであるのが好ましく、1000〜12000mPa・sがより好ましく、3000〜7000mPa・sがさらに好ましい。
本発明において、粘度は、25℃において、粘度計(東機産業社製、VISCOMETER TVB-10形粘度計、回転数6r/min,ローターNo.3、1min)により測定する。
上述した実施形態に関し、本発明は、更に以下の組成物を開示する。
【0062】
<1>次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)カルボシロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系重合体 0.1〜20質量%、
(B)下記一般式(3)
R
21gSiO
(4-g)/2 (3)
(式中、R
21は炭素数1〜8の炭化水素基、フェニル基、水酸基又は一般式−R
22−Rf(R
22は炭素数2〜6の2価のアルキレン基を示し、Rfは炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基を示す)であって、水酸基及び一般式−R
22−Rfを必須とする官能基から任意に選ばれ、gは平均数で1.0≦g≦1.8である)
で表される構造を有し、25℃で固体であるフッ素変性シリコーン樹脂 0.01〜20質量%、
(C)25℃で液状のエステル油
を含有し、成分(A)と成分(B)の質量割合(A)/(B)が、0.08〜10である油中水型乳化化粧料。
【0063】
<2>成分(A)において、カルボシロキサンデンドリマー構造が、次式(1)
【0065】
{式中、Zは2価の有機基であり、pは0又は1であり、R
1は炭素原子数1〜10のアルキル基又はアリール基である。X
1はi=1とした場合の次式で示されるシリルアルキル基である。
【0067】
(式中、R
1は前記と同じであり、R
2は炭素原子数2〜10のアルキレン基であり、R
3は炭素原子数1〜10のアルキル基であり、X
i+1は水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、アリール基及び上記シリルアルキル基からなる群から選択される基である。iは該シリルアルキル基の階層を示している1〜10の整数であり、a
iは0〜3の整数である。)}
で表される基である前記<1>記載の油中水型乳化化粧料。
<3>成分(A)のビニル系重合体が、(A1)ビニル系単量体 0〜99.9質量部と、(A2)一般式:
【0069】
{式中、Yはラジカル重合可能な有機基であり、R
1は炭素原子数1〜10のアルキル基又はアリール基であり、X
1はi=1とした場合の次式で示されるシリルアルキル基である。
【0071】
(式中、R
1は前記と同じであり、R
2は炭素原子数2〜10のアルキレン基であり、R
3は炭素原子数1〜10のアルキル基であり、X
i+1は水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、アリール基及び上記シリルアルキル基からなる群から選択される基である。iは該シリルアルキル基の階層を示している1〜10の整数であり、a
iは0〜3の整数である。)}
で表されるラジカル重合可能な有機基を有するカルボシロキサンデンドリマー 100〜0.1質量部とを重合させてなるものである前記<1>又は<2>記載の油中水型乳化化粧料。
<4>(A2)中のラジカル重合可能な有機基Yが、一般式
【0073】
(式中、R
4は水素原子又はメチル基であり、R
5は炭素原子数1〜10のアルキレン基である。)
で表されるアクリル基又はメタクリル基含有有機基、一般式:
【0075】
(式中、R
6は水素原子又はメチル基であり、R
7は炭素原子数1〜10のアルキル基であり、R
8は炭素原子数1〜10のアルキレン基であり、bは0〜4の整数であり、cは0又は1である。)
で表されるスチリル基含有有機基及び炭素原子数2〜10のアルケニル基からなる群から選択される基である前記<3>記載の油中水型乳化化粧料。
<5>成分(A)の含有量が、好ましくは、全組成中に0.5質量%以上であって、1質量%以上がより好ましく、8質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましい前記<1>〜<4>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
【0076】
<6>成分(B)のフッ素変性シリコーン樹脂が、好ましくは、トリフルオロプロピルジメチル/トリメチルシロキシシリケート(Trifluoropropyldimethyl/Trimethylsiloxysilicate)である前記<1>〜<5>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<7>成分(B)の含有量が、好ましくは、全組成中に0.5質量%以上であって、2質量%以上がより好ましく、3質量%以上がさらに好ましく、8質量%以下が好ましく、5質量%以下がさらに好ましい前記<1>〜<6>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<8>成分(A)及び(B)の質量割合(A)/(B)が、好ましくは、0.1以上であって、0.2以上がより好ましく、0.3以上がさらに好ましく、5以下が好ましく、1以下がより好ましく、0.7以下がさらに好ましい前記<1>〜<7>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
【0077】
<9>成分(C)の分子量が、好ましくは、250〜2000であって、300〜1000がより好ましく、350〜800がさらに好ましい前記<1>〜<8>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<10>成分(C)のエステル油が、好ましくは、モノエステル、ジエステルであって、モノエステルがより好ましく、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソステアリル、モノイソステアリン酸モノミリスチン酸グリセリル、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、酢酸トコフェロールがさらに好ましく、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、酢酸トコフェロールがよりさらに好ましい前記<1>〜<8>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<11>成分(C)の含有量が、好ましくは、全組成中に0.1質量%以上であって、0.2質量%以上がより好ましく、0.4質量%以上がさらに好ましく、1質量%以上がよりさらに好ましく、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましく、7質量%以下がよりさらに好ましい前記<1>〜<10>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
【0078】
<12>成分(A)及び(B)の合計質量と、成分(C)の質量割合((A)+(B))/(C)が、好ましくは、0.1以上であって、0.2以上がより好ましく、0.5以上がさらに好ましく、40以下が好ましく、20以下がより好ましく、10以下がさらに好ましく、8以下がよりさらに好ましい前記<1>〜<11>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<13>さらに、(D)25℃で液状のフッ素変性シリコーンを含有する前記<1>〜<12>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<14>成分(D)が、好ましくは、下記一般式(4)及び(5)
【0080】
(式中、Rfは炭素数6の直鎖又は分岐鎖のパーフルオロアルキル基を示し、R
31、R
32及びR
33は、同一又は異なって、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、mは2〜6の数を示し、nは1〜6の数を示し、pは3〜50の数を示し、sは1〜5の数を示し、p及びsの割合が、0.66≦p/(p+s)≦0.9である)
で表されるポリシロキサン単位を有するフッ素変性シリコーンであって、一般式(6)で表されるものがより好ましい前記<13>記載の油中水型乳化化粧料。
【0082】
(式中、p及びsは、前記と同じ意味を示し、qは5の数を示す)
【0083】
<15>成分(D)の含有量が、好ましくは、全組成中に0.01質量%以上であって、0.1質量%以上がより好ましく、0.2質量%以上が更に好ましく、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、15質量%以下が更に好ましい前記<13>又は<14>記載の油中水型乳化化粧料。
<16>水の含有量が、好ましくは、全組成中に10質量%以上であって、12質量%以上がより好ましく、14質量%以上がさらに好ましく、70質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましい前記<1>〜<15>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<17>25℃における製造直後の粘度が、好ましくは、500〜15000mPa・sであって、1000〜12000mPa・sがより好ましく、3000〜7000mPa・sがさらに好ましい前記<1>〜<16>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
【実施例】
【0084】
合成例1(フッ素変性シリコーンの合成)
【化20】
【0085】
C
6F
13−CH
2CH
2−O−CH
2CH=CH
2 の合成:
温度計、冷却管を備えた2Lの四つ口フラスコに、FA-6 (ユニマッテク社製)800g(2.2mol)と粒状NaOH(和光純薬社製)175.78g(4.4mol)を加えた。窒素雰囲気下で、テフロン(登録商標)製12cm三日月攪拌翼にて200rpmにて攪拌しながら、加熱し、フラスコ内温度を60℃とした。そこへ臭化アリル(和光純薬社製)398.73g(3.3mol)を2時間かけて滴下した。滴下終了後70℃で1時間、80℃で1時間撹拌した。その後130℃に昇温し、過剰の臭化アリルを除去した。60℃まで冷却後、イオン交換水800gを入れ、30分間攪拌、その後静置して分層させた。上層の水層を抜き出し、さらにイオン交換水800gを入れ、再度攪拌、静置、水層除去を行った。60℃/5KPaにて脱水し、100℃/2KPaにて蒸留し、留分として、C
6F
13−CH
2CH
2−O−CH
2CH=CH
2 774.9gを得た(収率88%)。
【0086】
温度計を備えた300mLの四つ口フラスコに、下式で表されるハイドロジェンポリシロキサン(信越化学社製)52.89g(111mmol)を加え、窒素雰囲気下、テフロン(登録商標)製8cm三日月翼にて200rpmで攪拌し、2質量%塩化白金酸6水和物/イソプロピルアルコール0.66gを加え、110℃に昇温した。
【0087】
【化21】
【0088】
C
6F
13−CH
2CH
2−O−CH
2CH=CH
2 197.11g(488mmol)を2時間で滴下した。滴下終了後、110℃で2時間撹拌した。その後、70℃まで下げた。0.1%NaOH溶液25.07gを加え、2時間攪拌した。60℃/5KPaにて脱水し、脱水終了後、同温度にてカルボラフィン3(日本エンバイロケミカルズ社製)2.51gを加え、2時間攪拌した。0.1μm PTFEメンブランフィルターにてろ過し、ろ液を100℃/5KPa、水62.5gを用いて水蒸気蒸留し、目的化合物(化合物D1)206.3gを得た(収率89%)。
【0089】
実施例1〜9及び比較例1〜4
表1に示す組成の油中水型乳化化粧料を製造し、ひと塗りで仕上げられる、塗布直後のダマになりにくさ、塗布中のすべりやすさ、塗布直後のごわつき感のなさ、パウダーファンデーション塗布初期のスポンジのひっかかりのなさ、パウダーファンデーション塗布6時間経過後の化粧よれのなさ及びパウダーファンデーション塗布6時間経過後の粉ふきのなさを評価した。結果を表1に併せて示す。
【0090】
(製法)
粉体相成分を混合粉砕し、別途混合した油相成分に添加してディスパーで分散した。その後、水相成分を添加し、ディスパーで分散後、ホモミキサーで撹拌することにより、油中水型乳化化粧料を得た。
【0091】
(評価方法)
(I)各油中水型乳化化粧料を肌に塗り広げるときに、肌の同じ部分を何度も塗り直すことなく、化粧料を塗り上げることができるか「ひと塗りで仕上げられる」という見方で評価した。なお、表中の評価結果は、専門評価者10人が下記の5段階で官能評価し、10人の合計点で示した。
5;塗布中に塗り直しがなく、ひと塗りで素早く仕上げている。
4;塗布中に塗り直しがほとんどなく、ひと塗りで仕上げている。
3;塗布中に部分的な塗り直しをしながら、仕上げている。
2;塗布中に塗り直しをしながら、塗布時間、回数をかけて仕上げている。
1;うまく塗布することができず、塗布時間、回数が非常に長い。
【0092】
(II)各油中水型乳化化粧料を塗布した直後のダマになりにくさ、塗布中のすべりやすさ、塗布直後のごわつき感のなさを評価した。なお、表中の評価結果は、専門評価者10人が下記の5段階で官能評価し、10人の合計点で示した。
【0093】
(1)塗布直後のダマになりにくさ:
5;ダマが見られない。
4;ダマがわずかに見られる。
3;ダマがやや目立つ。
2;ダマが目立つ。
1;ダマがかなり目立つ。
【0094】
(2)塗布中のすべりやすさ:
5;塗布中のすべりがかなり良い。
4;塗布中のすべりが良い。
3;塗布中のすべりがやや良い。
2;塗布中のすべりが悪い。
1;塗布中のすべりがかなり悪い。
【0095】
(3)塗布直後のごわつき感のなさ:
5;塗布直後にごわつき感がないと感じる。
4;塗布直後にごわつき感が殆どないと感じる。
3;塗布直後にごわつき感をやや感じる。
2;塗布直後にごわつき感を感じる。
1;塗布直後にごわつき感を非常に感じる。
【0096】
(III)各油中水型乳化化粧料を塗布した後にパウダーファンデーション(エスト パウダーメイクアップ アクティブオーラ)を重ねて仕上げたとき、パウダーファンデーション塗布初期のスポンジのひっかかりのなさ、パウダーファンデーション塗布6時間経過後の化粧よれのなさ及び粉ふきのなさを評価した。なお、表中の評価結果は、専門評価者10人が下記の5段階で官能評価し、10人の合計点で示した。
【0097】
(4)パウダーファンデーション塗布初期のスポンジのひっかかりのなさ:
5;塗布初期のひっかかり感を感じない。
4;塗布初期のひっかかり感をほとんど感じない。
3;塗布初期のひっかかり感を少し感じる。
2;塗布初期のひっかかり感を感じる。
1;塗布初期のひっかかり感をかなり感じる。
【0098】
(5)パウダーファンデーション塗布6時間経過後の化粧よれのなさ
5;化粧よれがない。
4;化粧よれがほとんどない。
3;化粧よれが少しある。
2;化粧よれがある。
1;化粧よれが著しい。
【0099】
(6)パウダーファンデーション塗布6時間経過後の粉ふきのなさ:
5;粉ふきが見られない。
4;粉ふきがわずかに見られる。
3;粉ふきがやや目立つ。
2;粉ふきが目立つ。
1;粉ふきがかなり目立つ。
【0100】
【表1】