(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被写体に光を照射し、前記被写体により反射された第1の分光特性を有する光に基づいて第1の画像を表す第1の画像データを生成すると共に、前記被写体により反射された前記第1の分光特性と異なる第2の分光特性を有する光に基づいて第2の画像を表す第2の画像データを生成する画像取得手段を備える撮像システムにおいて、前記第1及び第2の画像に画像処理を施す画像処理装置であって、
前記第1の画像と前記第2の画像との相関の度合いを判定する演算部と、
前記画像取得手段に対し、設定されたフレームレートで前記第1の画像データを生成させると共に、前記相関の度合いの判定結果に基づいて、前記第1の画像データの代わりに前記第2の画像データを生成させるタイミングを制御する制御部と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
前記制御部は、前記画像取得手段に対し、前記第1の分光特性と異なり、且つ分光特性が互いに異なる複数種類の光にそれぞれ基づいて前記第2の画像データを複数回生成する動作を1つのセット動作として実行させる、ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像処理装置。
前記セット動作は、前記第2の画像データを複数回生成する合間に、前記第1の画像データを生成する動作を少なくとも1回挿入する、ことを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置。
画面内の第1の領域に前記第1の画像を表示すると共に、前記画面内の前記第1の領域以外の領域に、少なくとも1つの前記第2の画像をそれぞれ縮小した少なくとも1つの縮小画像を表示する表示部をさらに備える、ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の画像処理装置。
前記第1の画像を表示すると共に、前記領域記憶部に記憶された前記注目領域に対応する前記第1の画像内の領域を強調して表示する表示部をさらに備える、ことを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
前記第1の画像を表示すると共に、前記領域記憶部に記憶された前記注目領域の画像を前記第1の画像に重畳して表示する表示部をさらに備える、ことを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1、2においては、通常光と特殊光とを交互に切り替えているため、動画表示を行う場合、通常光画像のフレームレートが半分になってしまい、通常光画像を動画表示する際に画質の低下を招いてしまう。
【0009】
この点、上記特許文献3においては、通常光撮像と特殊光撮像とを必ずしも同じ比率で実行しているわけではなく、通常光撮像のフレームレートが特殊光撮像のフレームレートよりも大きくなるように設定することができる。
【0010】
しかしながら、特殊光撮像を実行する比率が大きすぎると、通常光画像を再生した際の画質が低下してしまう。反対に、特殊光撮像を実行する比率が小さすぎると、病変等の特徴領域が視界に入ったときなど、特殊光画像が必要なタイミングで特殊光撮像が実行されなくなるおそれがある。この場合、特殊光撮像により強調可能な病変領域等を見落としてしまう可能性がある。
【0011】
本発明は、上記に鑑みて為されたものであって、通常光画像を再生した際の画質を低下させることなく、且つ、必要なタイミングで特殊光画像を取得することができる画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム、及び内視鏡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る画像処理装置は、被写体に光を照射し、前記被写体により反射された第1の分光特性を有する光に基づいて第1の画像を表す第1の画像データを生成すると共に、前記被写体により反射された前記第1の分光特性と異なる第2の分光特性を有する光に基づいて第2の画像を表す第2の画像データを生成する画像取得手段を備える撮像システムにおいて、前記第1及び第2の画像に画像処理を施す画像処理装置であって、前記第1の画像と前記第2の画像との相関の度合いを判定する演算部と、前記画像取得手段に対し、設定されたフレームレートで前記第1の画像データを生成させると共に、前記相関の度合いの判定結果に基づいて、前記第1の画像データの代わりに前記第2の画像データを生成させるタイミングを制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
上記画像処理装置において、前記第2の分光特性を有する光は、前記第1の分光特性を有する光に対して波長帯域が制限されている、ことを特徴とする。
【0014】
上記画像処理装置において、前記演算部は、前記第1の画像と前記第2の画像との間の前記相関の度合いを示すパラメータを算出する相関演算部と、前記パラメータを閾値と比較することにより、前記第1の画像と前記第2の画像との間に相関があるか否かを判定する相関判定部と、を備え、前記制御部は、前記第1の画像と前記第2の画像との間に相関がないと判定された場合に、前記画像取得手段に前記第2の画像データを生成させる、ことを特徴とする。
【0015】
上記画像処理装置において、前記演算部は、前記第2の画像から注目領域を抽出する領域抽出部と、前記第1の画像において前記第2の画像から抽出された前記注目領域を追従できるか否かを判定する追従判定部と、を備え、前記制御部は、さらに、前記第1の画像において前記注目領域を追従できない場合に、前記画像取得手段に前記第2の画像データを生成させる、ことを特徴とする。
【0016】
上記画像処理装置において、前記演算部は、前記注目領域を記憶する領域記憶部と、前記第1の画像において前記注目領域を追従できると判定された場合に、前記注目領域を前記第1の画像において対応する領域に合わせて変形する領域変形処理部と、をさらに備え、前記領域記憶部は、前記領域変形処理部により変形された前記注目領域を順次更新して記憶し、前記追従判定部は、前記第1の画像において前記領域記憶部に記憶された前記注目領域を追従できるか否かを判定する、ことを特徴とする。
【0017】
上記画像処理装置において、前記制御部は、さらに、前記第1の画像データが連続して所定回数以上生成された場合に、前記画像取得手段に前記第2の画像データを生成させる、ことを特徴とする。
【0018】
上記画像処理装置は、外部からの操作に応じた指示信号を前記制御部に入力する入力部をさらに備え、前記制御部はさらに、前記入力部から前記指示信号が入力された場合に、前記画像取得手段に前記第2の画像データを生成させる、ことを特徴とする。
【0019】
上記画像処理装置において、前記制御部は、前記画像取得手段に対し、前記第1の分光特性と異なり、且つ分光特性が互いに異なる複数種類の光にそれぞれ基づいて前記第2の画像データを複数回生成する動作を1つのセット動作として実行させる、ことを特徴とする。
【0020】
上記画像処理装置において、前記セット動作は、前記第2の画像データを複数回生成する合間に、前記第1の画像データを生成する動作を少なくとも1回挿入する、ことを特徴とする。
【0021】
上記画像処理装置は、前記第1の画像及び前記第2の画像を並べて表示する表示部をさらに備える、ことを特徴とする。
【0022】
上記画像処理装置は、画面内の第1の領域に前記第1の画像を表示すると共に、前記画面内の前記第1の領域以外の領域に、少なくとも1つの前記第2の画像をそれぞれ縮小した少なくとも1つの縮小画像を表示する表示部をさらに備える、ことを特徴とする。
【0023】
上記画像処理装置は、前記第1の画像を表示すると共に、前記領域記憶部に記憶された前記注目領域に対応する前記第1の画像内の領域を強調して表示する表示部をさらに備える、ことを特徴とする。
【0024】
上記画像処理装置は、前記第1の画像を表示すると共に、前記領域記憶部に記憶された前記注目領域の画像を前記第1の画像に重畳して表示する表示部をさらに備える、ことを特徴とする。
【0025】
本発明に係る内視鏡システムは、前記画像処理装置と、前記画像取得手段と、を備えることを特徴とする。
【0026】
上記内視鏡システムにおいて、前記画像取得手段は、白色光を発生する光源と、前記被写体により反射された光を受光して撮像信号を生成する撮像素子と、前記光源と前記被写体との間に配置される波長選択手段と、を備えることを特徴とする。
【0027】
上記内視鏡システムにおいて、前記画像取得手段は、前記第1の分光特性を有する光を発生する第1の光源と、前記第2の分光特性を有する光を発生する第2の光源と、前記被写体により反射された光を受光して撮像信号を生成する撮像素子と、を備えることを特徴とする。
【0028】
上記内視鏡システムにおいて、前記画像取得手段は、白色光を発生する光源と、前記被写体により反射された光を受光して撮像信号を生成する撮像素子と、前記被写体と前記撮像素子との間に配置される波長選択手段と、を備えることを特徴とする。
【0029】
本発明に係る画像処理方法は、被写体に光を照射し、前記被写体により反射された第1の分光特性を有する光に基づいて、第1の画像を表す画像データを生成する第1画像データ生成ステップと、前記被写体に光を照射し、前記被写体により反射された前記第1の分光特性と異なる第2の分光特性を有する光に基づいて、第2の画像を表す画像データを生成する第2画像データ生成ステップと、前記第1の画像と前記第2の画像との相関の度合いを判定する演算ステップと、設定されたフレームレートで前記第1の画像データ生成ステップを実行させると共に、前記相関の度合いの判定結果に基づいて、前記第1の画像データ生成ステップの代わりに前記第2の画像データ生成ステップを実行させるタイミングを制御する制御ステップと、を含むことを特徴とする。
【0030】
本発明に係る画像処理プログラムは、被写体に光を照射し、前記被写体により反射された第1の分光特性を有する光に基づいて、第1の画像を表す画像データを生成する第1画像データ生成ステップと、前記被写体に光を照射し、前記被写体により反射された前記第1の分光特性と異なる第2の分光特性を有する光に基づいて、第2の画像を表す画像データを生成する第2画像データ生成ステップと、前記第1の画像と前記第2の画像との相関の度合いを判定する演算ステップと、設定されたフレームレートで前記第1の画像データ生成ステップを実行させると共に、前記相関の度合いの判定結果に基づいて、前記第1の画像データ生成ステップの代わりに前記第2の画像データ生成ステップを実行させるタイミングを制御する制御ステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、第1の分光特性を有する光(通常光)に基づいて第1の画像を表す第1の画像データを設定されたフレームレートで生成すると共に、第2の分光特性を有する光(特殊光)に基づく第2の画像を表す第2の画像データを第1の画像データの代わりに生成するタイミングを、第1の画像と第2の画像との相関の度合いの判定結果に基づいて制御するので、第1の画像の撮像フレームレートを大幅に低下させることなく、第2の画像を適宜生成することができる。従って、第1の画像を再生した際の画質を低下させることなく、必要なタイミングで第2の画像を漏れなく取得することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態に係る画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム、及び内視鏡システムについて、図面を参照しながら説明する。なお、これら実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、各図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示している。
【0034】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る画像処理装置を備える撮像システムを示すブロック図である。
図1に示す撮像システム1は、通常光を被写体に照射し、被写体により反射された通常光(第1の分光特性を有する光)に基づいて通常光画像(第1の画像)を表す画像データを生成する通常光撮像と、通常光に対して帯域が制限された特殊光(第2の分光特性を有する光)に基づいて特殊光画像(第2の画像)を表す画像データを生成する特殊光撮像とを実行し、それぞれの撮像により生成された画像データに基づいて画像を表示するシステムである。このような撮像システム1は、例えば、生体の管腔内を撮像して管腔内画像を表示する内視鏡システムに適用される。
【0035】
撮像システム1は、画像処理装置10と、該画像処理装置10の制御の下で被写体を撮像して画像データを生成する撮像部11と、画像処理装置10の制御の下で被写体に照射する光を発生する光源部12と、画像処理装置10により画像処理が施された画像を表示する表示部13とを備える。このうち、撮像部11及び光源部12は、通常光撮像及び特殊光撮像を行う画像取得手段を構成する。
【0036】
撮像部11は、受光した光を光電変換することにより撮像信号を生成して出力するCCD等の撮像素子と、被写体により反射された光(被写体像)を撮像素子の受光面に結像する光学系とを備える。撮像部11は、後述する制御部140の制御の下、設定されたフレームレートで動作する。
【0037】
光源部12は、例えば、白色LEDやキセノンランプ等の同時式の白色光源と、該白色光源から出射する白色光の光路に挿脱可能に配設され、白色光のうち特定の分光特性を有する成分(特殊光)を通過させる波長選択手段としてのフィルタと、制御部140の制御の下で白色光の光路における該フィルタの挿脱を切り替える切替部とを備える。
【0038】
フィルタが白色光の光路上に挿入されている間、被写体に特殊光が照射され、この間に撮像を行うことにより生成された画像は特殊光画像となる。一方、フィルタが白色光の光路から抜去されている間、被写体に通常光が照射され、この間に撮像を行うことにより生成された画像は通常光画像となる。
【0039】
なお、白色光の光路にフィルタを挿脱する代わりに、液晶チューナブルフィルタや音響光学チューナブルフィルタ等を該光路に配置し、電気的な制御により、白色光(通常光)と特殊光とを切り替えることとしても良い。
【0040】
表示部13は、LCDやELディスプレイ等の表示装置によって構成され、制御部140の制御の下で、被写体の画像を所定の形式で表示する。
【0041】
画像処理装置10は、画像データや各種プログラム等を記憶する記憶部110と、記憶部110に記憶された画像データに基づいて所定の演算処理を行う演算部120と、記憶部110に記憶された画像データに基づいて画像を生成する画像生成部130と、撮像システム1全体の動作を制御する制御部140と、外部からの操作に応じた信号を制御部140に入力する入力部150とを備える。
【0042】
記憶部110は、更新記録可能なフラッシュメモリ等のROMやRAMといった各種ICメモリ、内蔵若しくはデータ通信端子で接続されたハードディスク、又は、CD−ROM等の情報記録装置及びその読取装置等によって構成される。記憶部110は、撮像部11が生成した画像データを取り込んで記憶する画像データ記憶部111と、種々のプログラムを記憶するプログラム記憶部112とを備える。プログラム記憶部112は、具体的には、設定されたフレームレートで通常光撮像を行うと共に、所定の条件を満たす場合に、通常光撮像の代わりに特殊光撮像を行うという一連の撮像を撮像システム1に実行させるプログラムを格納する。
【0043】
演算部120は、通常光撮像が連続して所定回数以上実行されたか否かを判定する撮像回数判定部121と、通常光画像と特殊光画像との相関の度合いを表すパラメータである相関値を算出する相関演算部122と、該相関値に基づいて通常光画像と特殊光画像との間に相関があるか否かを判定する相関判定部123とを備える。
【0044】
画像生成部130は、画像データ記憶部111に記憶された画像データに基づいて、通常光画像及び特殊光画像を生成する。詳細には、画像生成部130は、画像データ記憶部111に記憶された画像データに対して例えばホワイトバランス(WB)調整処理、ゲイン調整処理、γ補正処理、D/A変換処理、フォーマット変更処理等を行うことにより表示用の画像を生成する。
【0045】
制御部140は、CPU等のハードウェアによって実現され、プログラム記憶部112に記録された各種プログラムを読み込むことにより、撮像部11から入力される画像データや入力部150から入力される各種信号等に従って、撮像システム1を構成する各部への指示やデータの転送等を行い、撮像システム1全体の動作を統括的に制御する。
【0046】
詳細には、制御部140は、撮像制御部141、光源制御部142、及び表示制御部143を備える。撮像制御部141は、設定されたフレームレートで撮像部11に撮像を実行させる。光源制御部142は、光源部12に対し、被写体を照射する通常光を連続的、又は上記フレームレートと同期して間欠的に発生させると共に、特定のタイミングで通常光の代わりに特殊光を発生させる。表示制御部143は、通常光画像及び特殊光画像を所定の形式で表示部13に表示させる。
【0047】
入力部150は、例えばキーボードやマウス、タッチパネル、各種スイッチ等の入力デバイスによって構成され、これらの入力デバイスに対する外部からの操作に応じて発生させた入力信号を制御部140に出力する。
【0048】
次に、撮像システム1の動作を説明する。
図2は、撮像システム1の動作を示すフローチャートである。また、
図3は、撮像システム1により順次生成される画像列を示す模式図である。なお、
図3においては、特殊光画像(特殊光(1)、(2)、(3))に網掛けを附している。
【0049】
まず、ステップS100において、制御部140は、病変領域抽出モードが選択されたか否かを判定する。ここで、病変領域抽出モードとは、通常光撮像の合間に特殊光撮像を行うことにより、血管や特定の構造物(腫瘍等)が強調された特殊光画像を取得するモードのことである。病変領域抽出モードは、入力部150に対する所定の入力操作に応じて選択される。
【0050】
病変領域抽出モードが選択されない場合(ステップS100:No)、光源制御部142は、光源部12に通常光を発生するよう設定を行う(ステップS101)。
【0051】
続くステップS102において、撮像制御部141は、撮像部11に撮像(通常光撮像)を実行させる。これにより生成された画像データが、撮像部11から画像処理装置10に入力され、画像データ記憶部111に記憶される。これに応じて、画像生成部130は、画像データを読み出して通常光画像を生成し、表示部13に出力する。表示部13は、表示制御部143の制御の下で、通常光画像を表示する。
【0052】
ステップS103において、制御部140は、入力部150から終了を指示する信号が入力されたか否かを判定する。終了を指示する信号が入力された場合(ステップS103:Yes)、撮像システム1は動作を終了する。
【0053】
一方、終了を指示する信号が入力されない場合(ステップS103:No)、制御部140は、入力部150からモード変更を指示する信号が入力されたか否かを判定する(ステップS104)。モードを変更する信号が入力された場合(ステップS104:Yes)、撮像システム1の動作はステップS100に戻る。一方、モードを変更する信号が入力されない場合(ステップS104:No)、撮像システム1の動作はステップS101に戻る。
【0054】
制御部140は、撮像システム1の各部に対し、このような一連のステップS101〜S104を設定されたフレームレートで実行させる。それにより、表示部13に、通常光画像が動画形式で順次表示される。なお、このフレームレートは、当該撮像システム1に予め設定されている固定値であっても良いし、入力部150を用いた操作によりユーザが所望の値を設定できることとしても良い。
【0055】
ステップS100において、病変領域抽出モードが選択された場合(ステップS100:Yes)、光源制御部142は、まず、光源部12に通常光を発生するよう設定を行う(ステップS111)。
【0056】
続くステップS112において、撮像制御部141は、撮像部11に撮像(通常光撮像)を実行させる。これにより生成された画像データが、撮像部11から画像処理装置10に入力され、画像データ記憶部111に記憶される。これに応じて、演算部120は、通常光撮像が連続して実行された回数をカウントする。また、画像生成部130は、画像データを読み出して通常光画像を生成し、表示部13に出力する。表示部13は、表示制御部143の制御の下で、通常光画像を表示する。
【0057】
ステップS113において、撮像回数判定部121は、通常光撮像の連続実行回数が一定値以上であるか否かを判定する。連続実行回数が一定値以上である場合(ステップS113:Yes)、光源制御部142は、光源部12に特殊光を発生するよう設定を行う(ステップS114)。
【0058】
続くステップS115において、撮像制御部141は、撮像部11に撮像(特殊光撮像)を実行させる。これにより生成された画像データが、撮像部11から画像処理装置10に入力され、画像データ記憶部111に記憶される。これに応じて、画像生成部130は、画像データを読み出して特殊光画像を生成する。
図3は、第1フレームで通常光画像が生成された後、次の第2フレームで特殊光画像(特殊光(1))が生成されたことを示している。また、表示部13は、表示制御部143の制御の下で、生成された特殊光画像を表示する。特殊光画像の表示態様については後述する。
【0059】
続くステップS118において、制御部140は、入力部150から終了を指示する信号が入力されたか否かを判定する(ステップS118)。終了を指示する信号が入力された場合(ステップS118:Yes)、撮像システム1は動作を終了する。
【0060】
一方、終了を指示する信号が入力されない場合(ステップS118:No)、制御部140は、入力部150からモード変更を指示する信号が入力されたか否かを判定する(ステップS119)。モードを変更する信号が入力された場合(ステップS119:Yes)、撮像システム1の動作はステップS100に戻る。一方、モードを変更する信号が入力されない場合(ステップS119:No)、撮像システム1の動作はステップS111に戻る。
【0061】
また、通常光撮像の連続実行回数が一定値未満である場合(ステップS113:No)、相関演算部122は、ステップS112における通常光撮像により生成された最新の通常光画像と、この段階で最後に生成された特殊光画像との相関演算を行い、両画像間の相関値を算出する(ステップS116)。例えば、第3フレームで通常光画像が生成されたときには、第2フレームで生成された特殊光画像(特殊光(1))との相関演算が実行される。
【0062】
ステップS116における相関演算の手法は特に限定されず、相関の度合いを表すパラメータを算出することができれば、公知の種々の演算方法を適用することができる。本実施の形態1においては、相関が強いほど相関値が高くなる演算を行う。具体的には、テンプレートマッチングによる正規化相互相関(NCC:Normalized Cross-Correlation)を相関値として算出する。NCCは、画像間の相関が強いほど値が大きくなる。
【0063】
ステップS117において、相関判定部123は、判定対象の画像間に相関があるか否を判定する。本実施の形態1においては、ステップS116において算出された相関値が閾値以上である場合、判定対象の画像間に相関があると判定する。
【0064】
判定対象の画像間に相関があると判定された場合(ステップS117:Yes)、先に特殊光撮像を行ったフレームからの撮像部11の視野の変化は小さいと考えられる。この場合、撮像システム1の動作はステップS118に移行し、撮像の終了指示やモード変更の指示が入力されないときには(ステップS118、S119参照)、通常光撮像を繰り返す(ステップS111参照)。例えば第3フレームで通常光画像が生成された場合、第2フレームで生成された特殊光画像(特殊光(1))との相関があると判定されると、次の第4フレームでは通常光撮像が実行される。
【0065】
一方、判定対象の画像間に相関がないと判定された場合(ステップS117:No)、先に特殊光撮像を行ったフレームからの撮像部11の視野の変化が大きいと考えられる。この場合、撮像システム1の動作はステップS114に移行し、特殊光撮像を実行する。例えば第6フレームで通常光画像が生成された場合、第2フレームで生成された特殊光画像(特殊光(1))との相関がないと判定されると、次の第7フレームでは特殊光撮像が実行される。
【0066】
このように、病変領域抽出モードにおいては、ステップS113及びS117における判定結果に従い、通常光撮像の合間に特殊光撮像が行われる。その結果、
図3に示すように、通常光画像又は特殊光画像が、設定されたフレームレートで取得される。
【0067】
図4は、病変領域抽出モードにおける通常光画像及び特殊光画像の表示例を示す模式図である。
図4に示すように、表示部13の画面131には、通常光画像表示領域132及び特殊光画像表示領域133が設けられている。通常光画像表示領域132には、ステップS112において生成された通常光画像が動画形式で表示される。一方、特殊光画像表示領域133には、ステップS115において生成された特殊光画像が、順次切り替えて表示される。
【0068】
図5は、病変領域抽出モードにおける通常光画像及び特殊光画像の別の表示例を示す模式図である。
図5に示すように、表示部13の画面131には、通常光画像表示領域134及びサムネイル領域135が設けられている。通常光画像表示領域134には、ステップS112において生成された通常光画像が動画形式で表示される。一方、サムネイル領域135には、ステップS115において生成された特殊光画像が縮小され、静止画として一覧表示される。なお、
図5においては、特殊光画像の縮小画像を通常光画像表示領域134の下方に一列に並べる例を示しているが、縮小画像の配置はこれに限定されず、例えば、通常光画像表示領域134の周囲を囲むように縮小画像を配置しても良い。
【0069】
以上説明したように、本発明の実施の形態1によれば、設定されたフレームレートで通常光撮像を行い、通常光撮像が一定回数以上連続して実行されたときや、通常光画像と特殊光画像との相関がなくなったときに、通常光撮像の代わりに特殊光撮像を実行するので、通常光撮像のフレームレートの低下を抑制し、画質の良い動画再生を行うことができると共に、視野の変化が大きいときなど必要なタイミングで特殊光画像を漏れなく生成することができる。また、実施の形態1によれば、通常光画像と共に特殊光画像も画面に表示するので、ユーザは、通常光画像を参照しながら、特殊光画像において強調される特徴的な領域を観察することが可能となる。
【0070】
(変形例1−1)
次に、本発明の実施の形態1の変形例1−1について説明する。
上記実施の形態1においては、相関演算部122が、通常光画像と特殊光画像との相関値としてNCCを算出することとしたが、これ以外にも公知のパラメータを相関値として算出することができる。具体的には、SSD(Sum of Squared Difference)、SAD(Sum of Absolute Difference)が挙げられる。SSD及びSADは、画像間の相関が強いほど値が小さくなる。従ってこの場合、ステップS117において、SSD又はSADが閾値より大きいときには相関がないと判定され、次のフレームで特殊光撮像が行われる(ステップS114、S115参照)。反対に、SSD又はSADが閾値以下であるときには相関があると判定され、次のフレームで通常光撮像が行われる(ステップS111、S112参照)。
【0071】
或いは、通常光画像と特殊光画像との相関を表すパラメータとして、両画像間における対応点を抽出し、これらの対応点の移動量を算出しても良い。この場合、移動量が閾値よりも大きいときには相関がないと判定され、次のフレームで特殊光撮像が行われる。反対に、移動量が閾値以下のときには相関があると判定され、次のフレームで通常光撮像が行われる。
【0072】
また、通常光画像と特殊光画像との相関を表すパラメータとして、両画像間における対応点を抽出し、この対応点における明るさや色の変動量を算出しても良い。この場合、変動量が閾値よりも大きいときには相関がないと判定され、次のフレームで特殊光撮像が行われる。反対に、変動量が閾値以下のときには相関があると判定され、次のフレームで通常光撮像が行われる。
【0073】
(変形例1−2)
次に、本発明の実施の形態1の変形例1−2について説明する。
上記実施の形態1においては、光源部12の構成として、光源から出射する白色光の光路にフィルタを挿脱することにより、通常光と特殊光とを切り替えることとしたが、光源部12の構成はこれに限定されない。例えば、白色光を発生する白色光源と、特殊光を発生するLED等の特殊光源とを設け、被写体に照射する光の出射口までの光路を白色光源と特殊光源とのいずれかに接続することにより、通常光と特殊光とを切り替えても良い。
【0074】
(変形例1−3)
次に、本発明の実施の形態1の変形例1−3について説明する。
上記実施の形態1においては、通常光撮像を連続して実行した回数、及び最新の通常光画像と最後に生成された特殊光画像との相関に基づき、通常光撮像の代わりに特殊光撮像を実行するタイミングを制御したが、これに加えて、ユーザ所望のタイミングで特殊光撮像を実行する構成としても良い。
【0075】
図6は、本変形例1−3において順次生成される画像列を示す模式図である。なお、
図6においては、特殊光画像(特殊光(1)、(2)、(3)、(4))に網掛けを附している。
【0076】
本変形例1−3においても、基本的には実施の形態1と同様に、通常光撮像が連続して所定回数以上実行されたとき、及び、最新の通常光画像と最後に生成された特殊光画像との相関がなくなったときに、特殊光撮像が実行される。例えば
図6に示すように、第3フレームで通常光画像が生成された場合、この通常光画像と第2フレームで生成された特殊光画像(特殊光(1))との相関が判定される。そして、相関があると判定されると、次の第4フレームで通常光撮像が実行される。
【0077】
通常光撮像の実行中に、入力部150から特殊光撮像を実行するリクエスト信号が入力された場合、次のフレームでは特殊光撮像が実行される。例えば、第4フレームにおける通常光撮像の実行中にリクエスト信号が入力されると、次の第5フレームで特殊光撮像が実行される。この場合、さらに次の第6フレームでは通常光撮像が実行され、それによって生成された通常光画像は、この段階で最後に生成されたリクエストによる特殊光画像(特殊光(2))との相関が判定される。
【0078】
(変形例1−4)
次に、本発明の実施の形態1の変形例1−4について説明する。
上記実施の形態1においては、被写体に照射する光の分光特性を制御することにより通常光撮像と特殊光撮像とを切り替えたが、被写体により反射され、撮像素子に入射する光の分光特性を制御することとしても良い。
【0079】
図7は、本変形例1−4に係る撮像システムの構成を示すブロック図である。
図7に示すように、本変形例1−4に係る撮像システム2は、画像処理装置20と、撮像部21と、光源部22と、表示部13と、画像処理装置20とを備える。このうち、撮像部21及び光源部22が画像取得手段を構成する。また、表示部13の構成及び動作は、実施の形態1と同様である。
【0080】
撮像部21は、受光した光を光電変換することにより撮像信号を生成して出力するCCDやCMOS等の撮像素子と、該撮像素子に入射する光の光路に挿脱可能に配設され、特定の分光特性を有する成分(特殊光)を通過させる波長選択手段としてのフィルタと、制御部210の制御の下で撮像素子への入射光の光路における該フィルタの挿脱を切り替える切替部とを備える。
【0081】
光源部22は、白色光(通常光)を発生する光源であり、制御部210の制御の下で動作し、被写体に通常光を照射する。
【0082】
フィルタが入射光の光路上に挿入されている間、被写体により反射された通常光に含まれる特殊光成分が撮像素子に入射し、この間に撮像を行うことにより生成された画像は特殊光画像となる。一方、フィルタが入射光の光路から抜去されている間、被写体により反射された通常光が撮像素子に入射し、この間に撮像を行うことにより生成された画像は通常光画像となる。
【0083】
画像処理装置20は、
図1に示す制御部140の代わりに、撮像制御部211、光源制御部212、及び表示制御部143を有する制御部210を備える。撮像制御部211は、設定されたフレームレートで撮像部11に撮像を実行させると共に、撮像部11が備える切替部に対する制御により、通常光を受光して通常光画像を表す画像データを生成する通常光撮像と、特殊光を受光して特殊光画像を表す画像データを生成する特殊光撮像とを切り替える。光源制御部212は、光源部22による通常光の発生動作を制御する。表示制御部143の動作は、実施の形態1と同様である。
【0084】
(変形例1−5)
次に、本発明の実施の形態1の変形例1−5について説明する。
上記変形例1−4において、撮像素子に入射する光(通常光又は特殊光)を切り替える手段としては、フィルタ及び切替部の他にも種々の構成を適用することができる。例えば、撮像素子に入射する光の光路に液晶チューナブルフィルタや音響光学チューナブルフィルタ(AOTF)等の波長選択手段を設置し、電気的な制御により、撮像素子に入射する光の光学特性を制御することとしても良い。
【0085】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
図8は、本発明の実施の形態2に係る画像処理装置を備える撮像システムの構成を示すブロック図である。
図8に示すように、本実施の形態2に係る撮像システム3は、
図1に示す画像処理装置10の代わりに、画像処理装置30を備える。なお、撮像部11、光源部12、及び表示部13の構成は、実施の形態1と同様である(
図1参照)。或いは、変形例1−4と同様に、撮像部21、光源部22、及び表示部13を設けることとしても良い(
図7参照)。
【0086】
画像処理装置30は、
図1に示す演算部120の代わりに、演算部310を備える。演算部310は、撮像回数判定部121〜相関判定部123に加え、特殊光画像から病変等の特徴的な領域を注目領域として抽出する領域抽出部311と、最新の通常光画像において注目領域を追従できるか否かを判定する追従判定部312と、追従判定部312の判定結果に応じて注目領域の形状を変形する領域変形処理部313と、変形された注目領域を最新の注目領域として設定する領域設定部314と、該最新の注目領域を通常光画像に重畳して表示する領域を算出する重畳領域算出部315と、最新の注目領域を記憶する領域記憶部316とを備える。なお、撮像回数判定部121〜相関判定部123の動作は実施の形態1と同様である。また、演算部310以外の画像処理装置30の構成及び動作は、実施の形態1と同様である。
【0087】
次に、撮像システム3の動作について説明する。
図9は、撮像システム3の動作を示すフローチャートである。また、
図10は、撮像システム3により順次生成される画像列を示す模式図である。
図10においては、特殊光画像(特殊光(1)、(2)、(3))に網掛けを附している。
【0088】
図9に示すステップS100〜S104、S111〜S115、及びS116、S117の動作は、実施の形態1と同様である。
ステップS115に続くステップS120において、領域抽出部311は、画像データ記憶部111に記憶された特殊光画像の画像データに基づき、画素値を閾値処理するなどの公知の手法により、特殊光画像から病変等の特徴的な領域を注目領域として抽出し、抽出した注目領域を最新の注目領域として領域記憶部316に更新記憶させる。その後、撮像システム3の動作は、ステップS118に移行する。ステップS118、S119の動作は、実施の形態1と同様である。
【0089】
また、ステップS117において、通常光画像と特殊光画像との間に相関があると判定された場合(ステップS117:Yes)、追従判定部312は、領域記憶部316に記憶されている注目領域に対し、ステップS112において生成された通常光画像の追従演算を実行する(ステップS121)。追従演算としては、例えばテンプレートマッチング等の手法を適用することができる。
【0090】
続くステップS122において、追従判定部312は、ステップS121における追従演算の結果に基づき、通常光画像において注目領域を追従できるか否かを判定する。注目領域を追従できると判定された場合(ステップS122:Yes)、領域変形処理部313は、当該注目領域を、通常光画像内の対応する領域の形状に合わせて変形する(ステップS123)。
【0091】
ステップS124において、領域設定部314は、ステップS123において変形された注目領域を最新の注目領域として設定し、領域記憶部316に更新して記憶させる。
【0092】
ステップS125において、重畳領域算出部315は、領域記憶部316に記憶された注目領域に対応する最新の通常光画像内の領域を算出し、該領域の位置に合わせて、注目領域を通常光画像に重畳して表示する。通常光画像への注目領域の重畳表示については、後述する。続くステップS118、S119の動作は、実施の形態1と同様である。
【0093】
例えば、第3フレームで通常光画像m22が生成された場合(ステップS112参照)、通常光画像m22とこの段階で最後に生成された特殊光画像(特殊光(1))m21との相関があり、且つ、通常光画像m22において特殊光画像m21から抽出された注目領域を追従できるとき、特殊光画像m21から抽出された注目領域は、通常光画像m22内の対応する領域の形状に合わせて変形され、変形後の注目領域が領域記憶部316に記憶される。そして、この通常光画像m22に対し、変形された注目領域が重畳表示される。
【0094】
また、次の第4フレームで通常光画像m23が生成された場合(ステップS112参照)、通常光画像m23とこの段階で最後に生成された特殊光画像(特殊光(1))m21との相関があり、且つ、通常光画像m23において領域記憶部316に記憶された注目領域を追従できるとき、該注目領域はさらに、通常光画像m23内の対応する領域の形状に合わせて変形され、変形後の注目領域が領域記憶部316に記憶される。そして、この通常光画像m23に対し、変形された注目領域が重畳表示される。
【0095】
一方、ステップS122において、通常光画像において注目領域を追従できないと判定された場合(ステップS122:No)、新たに注目領域を設定する必要がある。そこで、撮像システム3の動作はステップS114に移行し、特殊光撮像を実行する。
【0096】
例えば、第6フレームで通常光画像m24が生成された場合(ステップS112参照)、通常光画像m24とこの段階で最後に生成された特殊光画像m21(特殊光(1))との相関はあるが、通常光画像m24において領域記憶部316に記憶された注目領域を追従できないとき、次の第7フレームでは特殊光撮像が実行される。この場合、領域記憶部316には、特殊光画像m25から抽出された注目領域が更新記憶される。
【0097】
図11は、病変領域抽出モードにおける通常光画像及び特殊光画像の表示例を示す模式図である。
図11に示すように、表示部13の画面131には、画像表示領域136が設けられている。画像表示領域136には、ステップS112において生成された通常光画像が動画形式で表示されると共に、領域記憶部316に記憶されている注目領域に対応する領域を囲む枠137が重畳して表示される。または、枠137の代わりに、注目領域に対応する通常光画像内の領域の輝度を高くする、該領域を特定の色で塗りつぶす、或いは、該領域の輪郭を囲む、といった強調表示を行っても良い。さらには、通常光画像に対し、領域記憶部315に記憶されている注目領域の画像を重畳して表示しても良い。このように、通常光画像と注目領域とを関連付けて表示することで、ユーザは、重点的に観察すべき領域を瞬時に把握することが可能となる。
【0098】
なお、このような画像表示領域136に対し、実施の形態1と同様に、特殊光画像を並べて表示する(
図4参照)、或いは、特殊光画像の縮小画像をサムネイルとして並べて表示する(
図5参照)などしても良い。また、ステップS117において判定対象の画像間に相関がないと判定された際には、枠137などの強調表示を消去しても良い。
【0099】
図12は、病変領域抽出モードにおける通常光画像及び特殊光画像の別の表示例を示す模式図である。
図12に示すように、表示部13の画面131には、通常光画像表示領域138及び注目領域表示領域139が設けられている。通常光画像表示領域138には、ステップS112において生成された通常光画像が動画形式で表示される。一方、注目領域表示領域139には、領域記憶部316に記憶されている注目領域が、順次更新表示される。または、注目領域表示領域139に、注目領域の輪郭のみを表示する、或いは、注目領域を特定の色で塗りつぶして強調表示するなどしても良い。
【0100】
以上説明したように、本発明の実施の形態2によれば、設定されたフレームレートで通常光撮像を行い、通常光撮像が一定回数以上連続して実行されたとき、最新の通常光画像と最後に生成された特殊光画像との相関がなくなったとき、或いは、最新の通常光画像において注目領域を追従できなくなったときに、通常光撮像の代わりに特殊光撮像を実行するので、通常光撮像におけるフレームレート低下を抑制し、画質の良い動画再生を行うことができると共に、視野の変化が大きいときや病変等の特徴的な領域が視界に入ったときなど必要なタイミングで特殊光画像を漏れなく生成することができる。また、実施の形態2によれば、特殊光画像から抽出された注目領域を、通常光画像内の対応する領域に合わせて変形するので、通常光画像に対して注目領域を良好に重畳することができ、ユーザは、通常光画像における注目領域の位置を正確に把握することが可能になる。
【0101】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について説明する。
特殊光撮像の実行タイミングの制御方法は、実施の形態1、2に限定されず、種々の方法により制御することができる。例えば、通常光撮像と特殊光撮像を実行する比率を固定すると共に、ユーザの指示に基づいて特殊光撮像を随時実行することとしても良い。なお、本実施の形態3に係る撮像システムの構成は、実施の形態2と同様である(
図8参照)。
【0102】
図13は、本発明の実施の形態3において順次生成される画像列を示す模式図である。
図13においては、特殊光画像に網掛けを附している。また、実施の形態3においては、通常光撮像を10回実行するごとに特殊光撮像を1回実行する設定がなされているものとする。
【0103】
この場合、基本的には、第1フレームにおいて特殊光撮像により特殊光画像が生成された後、通常光撮像が連続して10回実行され、その後の第12フレームで再び特殊光撮像が実行されて特殊光画像が生成される。この間、入力部150から、特殊光撮像の実行を指示する指示信号が入力された場合、制御部140は撮像部11及び光源部12に対し、指示信号が入力されたタイミングの次のフレームで特殊光撮像を実行させる。例えば
図13の場合、第3フレームの間に指示信号が入力されているため、次の第4フレームで特殊光撮像が実行される。また、第8、第9フレームにおいても指示信号が入力され続けているため、第9、第10フレームで特殊光撮像が実行される。第12フレームにおいては、当初の予定通り、特殊光撮像が実行される。
【0104】
なお、本実施の形態3において特殊光撮像が実行されたときには、実施の形態2と同様に、演算部310が特殊光画像から注目領域を抽出し、該注目領域を最新の通常光画像内の対応する領域に合わせて変形して領域記憶部316に更新記憶させても良い。この場合、表示部13は、通常光画像に注目領域或いは該注目領域を表す枠やマークを重畳して表示する。或いは、実施の形態1と同様に、注目領域の抽出を行うことなく、単に通常光画像と特殊光画像とを並べて表示しても良い。
【0105】
本発明の実施の形態3によれば、通常光撮像に対して特殊光撮像を実行する比率を低減することで、通常光撮像のフレームレートの低下を抑制することができ、画質の良い動画再生を行うことができる。また、ユーザの指示に応じて特殊光撮像を随時実行するので、必要に応じて更新された特殊光画像を通常光画像と並べて表示、或いはそのような特殊光画像から抽出された注目領域を通常光画像に重畳して表示することができる。従って、ユーザは、通常光画像を参照しながら、特殊光画像において強調される注目領域を観察することが可能となる。
【0106】
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4について説明する。
上記実施の形態1〜3においては、1種類の特殊光を用いて特殊光撮像を行うこととしたが、通常光と異なる分光特性を有し、且つ、分光特性が互いに異なる複数種類の特殊光をそれぞれ用いて特殊光撮像を行うこととしても良い。
【0107】
複数種類の特殊光を用いた特殊光撮像を行う場合、
図1に示す光源部12において、分光特性が互いに異なる複数種類のフィルタを光源から出射する光の光路に順次挿入し、撮像を行えば良い。または、互いに異なる分光特性を有する光を発生する複数種類のLED光源を光源部12に設け、これらの光源を順次動作させて撮像を行っても良い。或いは、
図7に示す撮像部21において、分光特性が互いに異なる複数種類のフィルタを、撮像素子に入射する光の光路に順次挿入して撮像を行っても良い。さらには、複数種類のフィルタの代わりに、電気的な制御により光学特性が変化する波長選択手段を該光路に挿入しても良い。
【0108】
図14は、本発明の実施の形態4において順次生成される画像列を示す模式図である。
図14においては、特殊光画像に網掛けを附している。
【0109】
図15は、本実施の形態4における撮像の際に用いられる光の分光特性の例を示すグラフである。このうち、
図15(a)は、通常光の分光特性(波長帯域)を示し、
図15(b)は、特殊光(特殊光R1、G1、B1)の分光特性(波長帯域)を示している。
【0110】
このように、複数種類の特殊光を用いて特殊光撮像を実行する場合、各特殊光R1、G1、B1を用いた特殊光撮像の頻度を均等にすることが好ましい。そこで、本実施の形態4においては、特殊光R1、G1、B1をそれぞれ用いた特殊光撮像の合間に通常光撮像を所定回数(
図14においては2回ずつ)挿入する計8回の撮像を1つのセット動作(撮像セットM1)として、撮像を実行する。このような撮像セットM1を、実施の形態1〜3において説明した1回の特殊光撮像の代わりに実行する。より詳細には、撮像セットM1を実行した後、通常光撮像が所定回数だけ連続して実行された場合や、最新の通常光画像と特殊光画像との相関がなくなった場合、或いは、相関はあるものの、最新の通常光画像において領域記憶部316に記憶された注目領域を追従できなくなった場合に、再び撮像セットM1が実行される。
【0111】
ここで、特殊光画像との相関判定を行う場合、最新の通常光画像の生成段階で最後に実行された撮像セットM1により取得された特殊光R1の画像、特殊光G1の画像、特殊光B1の画像のそれぞれとの相関を判定する。そして、これらの3つの画像のいずれかとの相関がある場合、最新の通常光画像は撮像セットM1と相関があると判定する。
【0112】
また、注目領域の追従判定を行う場合、特殊光R1、G1、B1の各画像から抽出された注目領域を特殊光の分光特性ごとに領域記憶部316に記憶させる。そして、最新の通常光画像において領域記憶部316に記憶された注目領域のいずれかを追従できる場合、撮像セットM1から抽出された注目領域を追従できると判定する。
【0113】
本発明の実施の形態4によれば、分光特性が互いに異なる複数種類の特殊光を用いる場合であっても、通常光撮像に対して特殊光撮像を実行する比率を低減することができ、通常光撮像のフレームレートの低下を抑制することができ、画質の良い動画再生を行うことが可能となる。また、分光特性が互いに異なる複数種類の特殊光を用いることで、分光特性に応じた注目領域を抽出し、表示することが可能となる。
【0114】
なお、複数種類の特殊光R1、G1、B1を用いて撮像を行うセット動作としては、
図15に示す撮像セットM1に限定されない。例えば、
図16に示す撮像セットM2のように、特殊光R1、G1、B1をそれぞれ用いた撮像を連続して行っても良いし、
図17に示す撮像セットM3のように、特殊光R1、G1、B1の各々を用いた撮像と通常光を用いた撮像とを交互に行っても良い。また、1つのセット動作において用いられる特殊光の種類は3種類に限定されず、2種類であっても良いし、4種類以上であっても良い。
【0115】
(実施の形態5)
次に、本発明の実施の形態5について説明する。
図18は、本発明の実施の形態5に係る内視鏡システムの概略構成を示す模式図である。
図18に示す内視鏡システム4は、
図1に示す撮像システム1の一態様であり、画像処理装置10と、被写体の管腔内に先端部を挿入することによって被写体の体内を撮像した画像を生成する内視鏡5と、内視鏡5の先端から出射する照明光を発生する光源部12と、画像処理装置10が画像処理を施した体内画像を表示する表示部13とを備える。画像処理装置10は、内視鏡5が生成した画像に所定の画像処理を施すとともに、内視鏡システム4全体の動作を統括的に制御する。なお、実施の形態1に係る画像処理装置10の代わりに、変形例1−4に係る画像処理装置20や、実施の形態2に係る画像処理装置30を適用しても良い。
【0116】
内視鏡5は、可撓性を有する細長形状をなす挿入部51と、挿入部51の基端側に接続され、各種の操作信号の入力を受け付ける操作部52と、操作部52から挿入部51が延びる方向と異なる方向に延び、画像処理装置10及び光源部12と接続する各種ケーブルを内蔵するユニバーサルコード53とを備える。
【0117】
挿入部51は、先端部54と、複数の湾曲駒によって構成された湾曲自在な湾曲部55と、湾曲部55の基端側に接続され、可撓性を有する長尺状の可撓針管56とを有する。この挿入部51の先端部54に、撮像部11(
図1参照)が設けられている。
【0118】
操作部52と先端部54との間には、画像処理装置10との間で電気信号の送受信を行う複数の信号線が束ねられた集合ケーブルが接続されている。複数の信号線には、撮像素子が出力した映像信号を画像処理装置10へ伝送する信号線及び画像処理装置10が出力する制御信号を撮像素子へ伝送する信号線等が含まれる。
【0119】
操作部52は、湾曲部55を上下方向及び左右方向に湾曲させる湾曲ノブ521と、生検針、生体鉗子、レーザメス、及び検査プローブ等の処置具を挿入する処置具挿入部522と、画像処理装置10、光源部12に加えて、送気手段、送水手段、送ガス手段等の周辺機器の操作指示信号を入力する操作入力部である複数のスイッチ523と、を有する。
【0120】
ユニバーサルコード53は、ライトガイド及び集合ケーブルを少なくとも内蔵している。また、ユニバーサルコード53の操作部52に連なる側と異なる側の端部には、光源部12に着脱自在なコネクタ部57と、コイル状をなすコイルケーブル570を介してコネクタ部57と電気的に接続され、画像処理装置10と着脱自在な電気コネクタ部58とが設けられている。
【0121】
画像処理装置10は、先端部54に設けられた撮像部11から出力された画像データをもとに、表示部13が表示する画像を生成する。光源部12は、光源制御部142の制御の下、通常光又は特殊光を所定のタイミングで発生する。光源部12が発生した光は、ライトガイドを経由して先端部54の先端から照射される。
【0122】
上記実施の形態5においては、
図1に示す撮像システムを生体用の内視鏡システムに適用する例を説明したが、工業用の内視鏡システム適用しても良い。或いは、上記撮像システムを、生体内に導入されて該生体内を移動しつつ撮像を行うカプセル型内視鏡に適用しても良い。
【0123】
また、上記実施の形態1〜5においては、同時式の白色光源により通常光を発生することしたが、面順次式の光源により通常光を発生することとしても良い。
【0124】
以上説明した本発明は、実施の形態1〜5並びに変形例に限定されるものではなく、各実施の形態1〜5や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明を形成できる。例えば、各実施の形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を除外して形成しても良いし、異なる実施の形態や変形例に示した構成要素を適宜組み合わせて形成しても良い。