(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を用いてこの発明をさらに詳述する。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、この発明を限定するものと解されるべきではない。
【0015】
(実施形態1)
<マルチディスプレイシステム1の構成>
この発明の実施形態1に係るマルチディスプレイシステム1について説明する。
マルチディスプレイシステム1は、複数のディスプレイを縦および/または横方向に並べて配置することによって複数の画面からなる1つの大画面(マルチディスプレイ)を構成し、マルチディスプレイ全体に映像を表示させることによって大画面表示を実現するシステムである。
【0016】
ここで、「大画面」は、複数の表示装置(ディスプレイ)を縦横に並べた全体を一つの画面と見なしたときの表現であり、小画面は大画面を構成する一以上の画面を一つの画面と見なしたときの表現である。小画面は大画面を構成する一以上のディスプレイに大画面と独立した内容を表示するものである。よって、小画面が表示されているときは、小画面と重複する位置に大画面の内容は表示されない。
【0017】
以下、
図1〜
図3に基づき、この発明のマルチディスプレイシステム1の構成を説明する。
図1は、この発明のマルチディスプレイシステム1の概略構成を示すブロック図である。
図2は、
図1のマルチディスプレイを構成する複数のディスプレイのデイジーチェーン接続の一例を示す説明図である。
図3は、
図1のマルチディスプレイシステム1の構成の一部を示すブロック図である。
【0018】
図1に示すように、この発明のマルチディスプレイシステム1は、マルチディスプレイ10、タッチパネル制御機能付き映像出力装置(以下、映像出力装置20)、およびタッチペン30を備える。
【0019】
実施形態1において、この発明の「タッチ入力許可部」は、ディスプレイ制御部100および、通信部103またはタッチ操作検出部1071の協働によって実現し、また、この発明の「入力画像出力部」は、ディスプレイ制御部100、タッチパネル107、タッチパネル通信部106または通信部103、および映像出力装置20の協働によって実現し、また、この発明の「表示決定部」は、ディスプレイ制御部100、表示部102、および映像入出力部105の協働によって実現し、また、この発明の「制御部」は、ディスプレイ制御部100およびタッチパネル制御部200の協働によって実現する。
【0020】
実施形態1に係るマルチディスプレイ10は、横方向に3つ、縦方向に3つの計9つのディスプレイ11〜19から構成される。
マルチディスプレイ10を構成する9つのディスプレイ11〜19のうち3つは、タッチパネル付きディスプレイ11〜13であってマルチディスプレイ10の最下段を構成し、残りの6つは、タッチパネルなしディスプレイ14〜19であってマルチディスプレイ10の中段および最上段を構成する。
【0021】
マルチディスプレイ10と映像出力装置20とは、座標データ通信ケーブル41およびDVIケーブルなどの映像出力ケーブル42を介して接続されている。映像出力装置20から出力された出力映像2000は、マルチディスプレイ10の大画面全体に画像1000として大画面の全体に表示される。
【0022】
ここで、
図1の画像1000に示すように、映像出力装置20から出力された画像2000を複数のディスプレイ11〜19から構成されるマルチディスプレイ10の「大画面」全体に表示することを「エンラージ(enlarge)表示」と呼ぶことにする。
【0023】
また、
図10(C)の画像1001に示すように、ディスプレイ11〜19のいずれかについて、「大画面」全体への画像1000の表示をやめて、「小画面」に画像1001を表示させることを、そのディスプレイ11〜19についての「エンラージ表示の解除」と呼ぶことにする。
【0024】
図2に示すように、ディスプレイ11〜19は、座標データ通信ケーブル41および映像出力ケーブル42をデイジーチェーン方式で接続することによって互いに接続されている。
【0025】
映像出力装置20は、座標データ通信ケーブル41を通じて、タッチパネル付きディスプレイ11〜13から入力されたタッチ操作検出時のタッチ座標データを取得し、映像出力ケーブル42を通じて、ディスプレイ11〜19に映像信号を出力する。
【0026】
タッチペン30は、操作ボタン301および図示しない無線送信部302を備え、ペン先をタッチパネル付きディスプレイ11〜13にタッチして、アイコンの選択による指示や描画等を行う。
タッチペン30の操作ボタン301が押されたとき、タッチパネル付きディスプレイ11〜13に対し、無線送信部302を介してタッチパネル付きディスプレイ11〜13の通信部103に予め定められた信号を送信する。
【0027】
図3は、
図1に示すマルチディスプレイシステム1のうち、マルチディスプレイ10の最左列部分(タッチパネル付きディスプレイ11、タッチパネルなしディスプレイ14および17)と映像出力装置20とを示す。
【0028】
図3に示すように、タッチパネル付きディスプレイ11は、ディスプレイ制御部100、記憶部101、表示部102、通信部103、操作部104、映像入出力部105、タッチパネル通信部106およびタッチパネル107を備える。
タッチパネル107は、タッチ操作検出部1071、タッチ座標データ取得部1072およびタッチ座標データ出力部1073を備える。
その他のタッチパネル付きディスプレイ12および13も、タッチパネル付きディスプレイ11と同様の構成を有する。
【0029】
タッチパネルなしディスプレイ14は、ディスプレイ制御部100、記憶部101、表示部102、通信部103、操作部104および映像入出力部105を備える。
その他のタッチパネルなしディスプレイ15〜19も、タッチパネルなしディスプレイ14と同様の構成を有する。
【0030】
映像出力装置20は、タッチパネル制御部200および映像出力部201を備える。
タッチパネル制御部200は、座標データ通信ケーブル41を通じて、タッチパネル付きディスプレイ11に直接接続される。
映像出力部201は、映像出力ケーブル42を通じて、タッチパネル付きディスプレイ11に直接接続される。
【0031】
タッチパネル付きディスプレイ11は、通信部103を介して、他のタッチパネル付きディスプレイ12、13およびタッチパネルなしディスプレイ12〜19と座標データ通信ケーブル41をデイジーチェーン接続する。
また、タッチパネル付きディスプレイ11は、タッチパネル通信部106を介して、他のタッチパネル付きディスプレイ12、13およびタッチパネルなしディスプレイ12〜19と映像出力ケーブル42をデイジーチェーン接続する。
【0032】
次に、
図3に示す各構成要素を説明する。
【0033】
ディスプレイ制御部100は、マイクロプロセッサ(Microprocessor)を主体とする回路であり、ディスプレイの各種装置の制御処理やオペレーティングシステム、アプリケーションソフトウェアなどの処理を行う演算装置である。また、周辺回路として、特定の用途のために設計、製造される集積回路であるASIC(Application Specific Integrated Circuit)、その他の演算機能を有する回路を含んでいてもよい。
また、ディスプレイ制御部100は、他のディスプレイ制御部100と協働して、マルチディスプレイ10全体の制御を行う。
【0034】
記憶部101は、制御プログラムやログ情報、ユーザー設定情報、システム情報用の固定テキストなど、ディスプレイ11〜19の各種機能を実現するために必要な情報を格納する部分である。記憶部101としては、例えば、RAMやROM等の半導体素子、ハードディスク、フラッシュメモリー等の記憶媒体が用いられる。
【0035】
表示部102は、入力された映像信号の表示を行う部分である。表示部102は、例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、ELディスプレイなどで構成され、オペレーティングシステムやアプリケーションソフトウェアが処理状態などの電子的なデータを表示するためのモニタなどの表示装置である。
【0036】
通信部103は、座標データ通信ケーブル41を通じてディスプレイ11〜19間で相互に通信を行い、情報データおよび制御コマンドの送受信を可能とする部分である。
また、タッチペン30の無線送信部302から送信された無線信号を受信する部分である。
例えば、双方向での通信が可能なRS−232C、USB、LANなどが用いられる。
【0037】
操作部104は、ディスプレイ11〜19を操作するためのインターフェースである。ユーザーは、リモコンやディスプレイ本体のキー操作を通じて、ディスプレイ11〜19に対する指示を実行する。
また、タッチパネル付きディスプレイ11〜13の場合、表示部102へのタッチ操作やタッチペン30の操作ボタン301を通じて操作を行うものであってもよい。
【0038】
映像入出力部105は、映像出力ケーブル42を介して映像出力装置20から入力された映像信号をディスプレイ11〜19に入力する部分である。
また、映像出力ケーブル42をディスプレイ11〜19間でデイジーチェーン接続することによって、映像信号の入出力を行う。
【0039】
タッチパネル通信部106は、座標データ通信ケーブル41を通じてディスプレイ11〜19のタッチ位置情報を映像出力装置20のタッチパネル制御部200に出力する部分である。
映像出力装置20に直接接続されていないディスプレイ12〜19がタッチ位置情報を取得した場合は、ディスプレイ制御部100にタッチ位置情報を出力し、通信部103を介して、映像出力装置20に直接接続されたタッチパネル付きディスプレイ11のタッチパネル通信部106にタッチ位置情報を送信する。
【0040】
タッチパネル107は、表示部102の表示面に設けられ、タッチペン30のペン先やユーザーの指先等のタッチ操作を検出し、タッチ座標データを取得して出力する部分である。
【0041】
タッチ操作検出部1071は、タッチパネル107へのタッチ操作を検出する部分である。
【0042】
タッチ操作の検知方式としては、電圧を検知する抵抗膜方式、静電容量の変化を検知する静電容量方式、赤外光を遮断して検知する光学方式、超音波を検知する超音波方式、電子ペンを指示体として用いる電磁誘導方式などのいずれの方式であってもよい。また、赤外線等を用いて指先等の位置を非接触で感知できる方式であってもよい。
【0043】
タッチ座標データ取得部1072は、タッチ操作検出部1071が検出したタッチペン30等のタッチ位置のタッチ座標データを通信可能なタッチ座標データとして取得する部分である。
タッチ座標データの取得のタイミングとしては、例えば、500ms間隔で行われる。
【0044】
タッチ座標データ出力部1073は、タッチ座標データ取得部1072が取得したタッチ座標データを映像出力装置20のタッチパネル制御部200に出力する部分である。
タッチ座標データ出力部1073からタッチパネル制御部200へのタッチ座標データの出力方法としては、タッチ操作を検出したタッチパネル付きディスプレイ11〜13が映像出力装置20に接続されている場合は、タッチパネル通信部106から直接映像出力装置20にタッチ座標データを出力する。
【0045】
一方、タッチ操作を検出したタッチパネル付きディスプレイ11〜13が映像出力装置20に接続されていない場合は、タッチパネル通信部106から通信部103を経て、別のタッチパネル付きディスプレイ11〜13のタッチパネル通信部106から映像出力装置20にタッチ座標データを出力する。
【0046】
タッチパネル制御部200は、タッチパネル付きディスプレイ11〜13から受信したタッチ座標データに基づく画像を映像出力部201からの出力される入力画像に反映させる部分である。
具体的には、指定されたタッチパネル付きディスプレイ11〜13がタッチ座標データを検出した後、座標データ通信ケーブル41を介してタッチ座標データを映像出力装置20に送信させ、映像出力部201にタッチ座標データに対応する入力画像の座標位置に画像を描写させる。
例えば、タッチパネル付きディスプレイ11〜13にタッチペン30で「S」の文字を書いた場合、タッチパネル制御部200は、当該タッチパネル付きディスプレイ11〜13のタッチ座標データに基づき、「S」の画像を映像出力部201から出力される画像に反映させる。
【0047】
映像出力部201は、動画や静止画などの画像に係る信号を出力してディスプレイ11〜19に入力する部分である。
【0048】
<タッチパネル付きディスプレイ11〜13の処理の流れ>
次に、
図4〜
図6に基づき、タッチパネル付きディスプレイ11〜13の処理の流れについて説明する。
図4〜
図6は、この発明のタッチパネル付きディスプレイ11〜13の処理を示すフローチャートである。
【0049】
図4のステップS1において、ディスプレイ制御部100は、別のタッチパネル付きディスプレイ11〜13からのタッチ位置のタッチ座標データを受信したか否かを判定する(ステップS1)。
【0050】
ステップS1において、別のタッチパネル付きディスプレイ11〜13からのタッチ座標データを受信した場合(ステップS1の判定がYesの場合)、ディスプレイ制御部100は、ステップS2において、別のディスプレイからのタッチ座標データ受信時の処理を行う(ステップS12)。その後、ディスプレイ制御部100は、ステップS3の処理を行う。
【0051】
別のディスプレイからのタッチ座標データ受信時の処理は、別のタッチパネル付きディスプレイ11〜13が取得したタッチ座標データを映像出力装置20のタッチパネル制御部200に出力する処理である。別のディスプレイからのタッチ座標データ受信時の処理の詳細については後述する。
【0052】
一方、ステップS1において、別のタッチパネル付きディスプレイ11〜13からのタッチ座標データを受信していない場合(ステップS1の判定がNoの場合)、ディスプレイ制御部100は、ステップS3の処理を行う。
【0053】
次に、ステップS3において、開始操作通知を受信したか否かを判定する(ステップS3)。
ステップS3において、開始操作通知を受信した場合(ステップS3の判定がYesの場合)、ディスプレイ制御部100は、ステップS4の処理を行う(ステップS4)。
一方、開始操作通知を受信していない場合(ステップS3の判定がNoの場合)、ディスプレイ制御部100は、ステップS1の判定を繰り返す(ステップS1)。
【0054】
このように、別のタッチパネル付きディスプレイ11〜13からのタッチ座標データの受信処理を可能にしておくことで、ディスプレイ制御部100は、開始操作通知の受信待機中に、別のタッチパネル付きディスプレイ11〜13が取得したタッチ座標データを映像出力装置20のタッチパネル制御部200に出力することができる。
【0055】
次に、ステップS4において、タッチパネル付きディスプレイ11〜13のディスプレイ制御部100は、通信部103が別のディスプレイからのタッチ座標データを受信したか否かを判定する(ステップS4)。
【0056】
ステップS4において、別のディスプレイからのタッチ座標データを受信した場合(ステップS4の判定がYesの場合)、ディスプレイ制御部100は、ステップS5において、別のディスプレイからのタッチ座標データ受信時の処理を行う(ステップS5)。
その後、ディスプレイ制御部100は、ステップS6の処理を行う。
【0057】
一方、ステップS4において、別のディスプレイからのタッチ座標データを受信していない場合(ステップS4の判定がNoの場合)、ディスプレイ制御部100は、ステップS6の判定を行う(ステップS6)。
【0058】
次に、ステップS6において、ディスプレイ制御部100は、終了操作通知を受信したか否かを判定する(ステップS16)。
【0059】
ステップS6において、終了操作通知を受信した場合(ステップS6の判定がYesの場合)、ディスプレイ制御部100は、タッチパネル付きディスプレイ11〜13の処理を終了させる。
一方、終了操作通知を受信していない場合(ステップS6の判定がNoの場合)、ディスプレイ制御部100は、
図5のステップS7の判定を行う(ステップS7)。
【0060】
このように、開始操作通知受信後のタッチ操作待機状態においても、別のタッチパネル付きディスプレイ11〜13からのタッチ座標データの受信処理を可能にしておく。
【0061】
次に、
図5のステップS7において、ディスプレイ制御部100は、タッチパネル107のタッチ操作検出部1071がタッチペン30等によるタッチ操作を検出したか否かを判定する(ステップS7)。
タッチパネル107のタッチ操作検出部1071がタッチペン30等によるタッチ操作を検出した場合(ステップS7の判定がYesの場合)、ディスプレイ制御部100は、ステップS8において、タッチ操作を検出したディスプレイについて、エンラージ表示を解除する(ステップS8)。
【0062】
一方、タッチパネル107のタッチ操作検出部1071がタッチペン30等によるタッチ操作を検出していない場合(ステップS7の判定がNoの場合)、ディスプレイ制御部100は、ステップS4の判定を行う(ステップS4)。
【0063】
続いて、ステップS9において、ディスプレイ制御部100は、タッチ座標データ出力部1073にタッチ操作検出時のタッチ座標データの出力を有効にさせる(ステップS9)。
【0064】
次に、ステップS10において、ディスプレイ制御部100は、通信部103が別のタッチパネルディスプレイ11〜13からのタッチ座標データを受信したか否かを判定する(ステップS10)。
別のタッチパネル付きディスプレイ11〜13からのタッチ座標データを受信した場合(ステップS10の判定がYesの場合)、ディスプレイ制御部100は、ステップS11において別のディスプレイからのタッチ座標データ受信時の処理を行う(ステップS21)。
その後、ディスプレイ制御部100は、
図6のステップS12の判定を行う(ステップS12)。
【0065】
一方、ステップS10において、別のタッチパネル付きディスプレイ11〜13からのタッチ座標データを受信していない場合(ステップS10の判定がNoの場合)、ディスプレイ制御部100は、
図6のステップS12の判定を行う(ステップS12)。
【0066】
次に、
図6のステップS12において、ディスプレイ制御部100は、通信部103が予め定められた終了操作通知を受信したか否かを判定する(ステップS12)。
【0067】
次に、ステップS12において、通信部103が終了操作通知を受信した場合(ステップS12の判定がYesの場合)、ディスプレイ制御部100は、ステップS13において、タッチ座標データ出力部1073にタッチ操作検出時のタッチ座標データの出力を無効にさせる(ステップS13)。
その後、ディスプレイ制御部100は、ステップS14においてエンラージ機能を解除し(ステップS14)、タッチパネル付きディスプレイ11〜13の処理を終了させる。
【0068】
一方、ステップS12において、通信部103が終了操作通知を受信していない場合(ステップS12の判定がNoの場合)、ディスプレイ制御部100は、ステップS15において、タッチ機能使用中の処理を行う(ステップS15)。
なお、タッチ機能使用中の処理の詳細については後述する。
その後、ディスプレイ制御部100は、ステップS10の判定を行う(ステップS10)。
【0069】
<タッチパネルなしディスプレイ14〜19の処理の流れ>
次に、
図7に基づき、タッチパネルなしディスプレイ14〜19の処理の流れについて説明する。
図7は、この発明のタッチパネルなしディスプレイ14〜19の処理を示すフローチャートである。
【0070】
図7のステップS21において、タッチパネルなしディスプレイ14〜19のディスプレイ制御部100は、通信部103が別のディスプレイ11〜19からのタッチ座標データを受信したか否かを判定する(ステップS21)。
【0071】
ステップS21において、別のディスプレイ11〜19からのタッチ座標データを受信した場合(ステップS21の判定がYesの場合)、ディスプレイ制御部100は、ステップS22において別のディスプレイからのタッチ座標データ受信時の処理を行う(ステップS22)。
その後、ディスプレイ制御部100は、ステップS21の判定を繰り返す(ステップS21)。
【0072】
一方、ステップS21において、別のディスプレイ11〜19からのタッチ座標データを受信していない場合(ステップS21の判定がNoの場合)、ディスプレイ制御部100は、ステップS21の判定を繰り返す(ステップS21)。
【0073】
このように、タッチパネルなしディスプレイ14〜19は、別のディスプレイ11〜19からのタッチ座標データを受信したとき、タッチ座標データ受信時の処理を行う。
【0074】
<別のディスプレイ11〜19からのタッチ座標データ受信時の処理>
次に、
図8に基づき、別のディスプレイ11〜19からのタッチ座標データ受信時の処理について説明する。
図8は、別のディスプレイ11〜19からのタッチ座標データ受信時の処理を示すフローチャートである。
【0075】
図8のステップS31において、ディスプレイ制御部100は、タッチ座標データを受信したディスプレイ11〜19が、映像出力装置20と直接接続されているか否かを判定する(ステップS31)。
映像出力装置20と直接接続されているか否かの判定方法としては、例えば、座標データ通信ケーブル41を通じて、映像出力装置20のタッチパネル制御部200から送信された所定の信号をタッチパネル通信部106が受信したか否かによって判定する。
【0076】
タッチ座標データを受信したディスプレイ11〜19が、映像出力装置20と直接接続されている場合(ステップS31の判定がYesの場合)、ディスプレイ制御部100は、ステップS32において、映像出力装置20にタッチ座標データを送信する(ステップS32)。
その後、ディスプレイ制御部100は、別のディスプレイ11〜19からのタッチ座標データ受信時の処理を終了させる。
【0077】
一方、タッチ座標データを受信したディスプレイ11〜19が、映像出力装置20と直接接続されていない場合(ステップS31の判定がNoの場合)、ディスプレイ制御部100は、ステップS33の判定を行う(ステップS33)。
【0078】
次に、ステップS33において、ディスプレイ制御部100は、直接接続された別のディスプレイ11〜19のうち、タッチ座標データが未受信のもの(以下、座標データ未受信ディスプレイ)が存在するか否かを判定する(ステップS33)。
【0079】
ここで、座標データ未受信ディスプレイが存在するか否かの判定方法としては、はじめに、通信部103がタッチ座標データを受信したとき、受信フラグを1に設定し、通信部103がタッチ座標データを受信していないとき、受信フラグを0に設定する。
そして、ディスプレイ制御部100は、直接接続されたディスプレイ11〜19に受信フラグの送信を要求し、当該ディスプレイ11〜19の受信フラグが0か1かを読み取ることによって、当該ディスプレイ11〜19が座標データ未受信ディスプレイであるか否かを判定する。
【0080】
ステップS33において、座標データ未受信ディスプレイが存在する場合(ステップS33の判定がYesの場合)、ディスプレイ制御部100は、ステップS34において、通信部103を制御して全ての座標データ未受信ディスプレイにタッチ座標データを送信させ(ステップS34)、その後、別のディスプレイ11〜19からのタッチ座標データ受信時の処理を終了させる。
【0081】
一方、座標データ未受信ディスプレイが存在しない場合(ステップS33の判定がNoの場合)、ディスプレイ制御部100は、ステップS35において、タッチ座標データを破棄し、(ステップS35)、その後、別のディスプレイ11〜19からのタッチ座標データ受信時の処理を終了させる。
【0082】
次に、
図2に基づき、タッチ座標データの送信処理の一例を示す。
図2に示すように、ディスプレイ11〜19がデイジーチェーン接続されている場合を想定する。
タッチペン30でタッチパネル付きディスプレイ13をタッチしたとき、タッチパネル付きディスプレイ13から見た座標データ未受信ディスプレイは、デイジーチェーン接続によりタッチパネル付きディスプレイ13に直接接続されたディスプレイ12および16となる。
それゆえ、タッチパネル付きディスプレイ13は、ディスプレイ12および16の両方にタッチ座標データを送信する。
【0083】
次に、タッチパネルなしディスプレイ16から見た座標データ未受信ディスプレイは、デイジーチェーン接続によりタッチパネルなしディスプレイ16に直接接続された2つのディスプレイ13および19のうち、タッチ座標データを未だ受信していないタッチパネルなしディスプレイ19となる。
それゆえ、タッチパネルなしディスプレイ16は、タッチパネルなしディスプレイ19のみにタッチ座標データを送信する。
【0084】
その後、タッチ座標データがタッチパネルなしディスプレイ18を経てタッチパネルなしディスプレイ15まで送信された場合を想定する。
このとき、デイジーチェーン接続によりタッチパネルなしディスプレイ15に唯一直接接続されたタッチパネルなしディスプレイ18は、タッチ座標データをすでに受信済みであるため、タッチパネルなしディスプレイ15から見た座標データ未受信ディスプレイは存在しない。
それゆえ、タッチパネルなしディスプレイ15は、タッチ座標データを送信せずに破棄する。
【0085】
また、タッチ座標データがタッチパネル付きディスプレイ12を経てタッチパネル付きディスプレイ11まで送信された場合を想定する。
このとき、タッチパネル付きディスプレイ11は、映像出力装置20に直接接続されているため、映像出力装置20にタッチ座標データを送信した後、処理を終了する。
それゆえ、デイジーチェーン接続によりタッチパネル付きディスプレイ11に直接接続されたタッチパネルなしディスプレイ14にはタッチ座標データは送信されない。
【0086】
このように、各ディスプレイ11〜19は、別のディスプレイ11〜19からタッチ座標データ受信したとき、デイジーチェーン接続を通じて映像出力装置20にタッチ座標データを送信することができる。
【0087】
<タッチ機能使用中の処理>
次に、
図9に基づき、タッチパネル付きディスプレイ11〜13のタッチ機能使用中の処理について説明する。
図9は、この発明のタッチパネル付きディスプレイ11〜13のタッチ機能使用中の処理を示すフローチャートである。
【0088】
図9のステップS41において、タッチパネル付きディスプレイ11〜13のディスプレイ制御部100は、タッチ操作を検出したか否かを判定する(ステップS41)。
タッチ操作を検出した場合(ステップS41の判定がYesの場合)、ディスプレイ制御部100は、ステップS42の判定を行う(ステップS42)。
一方、タッチ操作を検出していない場合(ステップS41の判定がNoの場合)、ディスプレイ制御部100は、タッチ操作を検出するまでステップS41の判定を繰り返す(ステップS41)。
【0089】
次に、ステップS42において、ディスプレイ制御部100は、タッチパネル付きディスプレイ11〜13が映像出力装置20と直接接続されているか否かを判定する(ステップS42)。
タッチパネル付きディスプレイ11〜13が映像出力装置20と直接接続されている場合(ステップS42の判定がYesの場合)、ディスプレイ制御部100は、ステップS43において、タッチ座標データを映像出力装置20に送信する(ステップS43)。その後、ディスプレイ制御部100は、タッチ機能使用中の処理を終了させる。
一方、タッチパネル付きディスプレイ11〜13が映像出力装置20と直接接続されていない場合(ステップS42の判定がNoの場合)、ディスプレイ制御部100は、ステップS44の判定を行う(ステップS44)。
【0090】
次に、ステップS44において、ディスプレイ制御部100は、タッチパネル付きディスプレイ11〜13に座標データ未受信ディスプレイが存在するか否かを判定する(ステップS44)。
タッチパネル付きディスプレイ11〜13に座標データ未受信ディスプレイが存在する場合(ステップS44の判定がYesの場合)、ディスプレイ制御部100は、ステップS45において、タッチ座標データを全ての座標データ未受信ディスプレイに送信する(ステップS45)。その後、ディスプレイ制御部100は、タッチ機能使用中の処理を終了させる。
一方、タッチパネル付きディスプレイ11〜13に座標データ未受信ディスプレイが存在しない場合(ステップS44の判定がNoの場合)、ディスプレイ制御部100は、タッチ機能使用中の処理を終了させる。
【0091】
このように、タッチパネル付きディスプレイ11〜13は、タッチ操作を検出したとき、デイジーチェーン接続を通じて映像出力装置20にタッチ座標データを送信することができる。
【0092】
<マルチディスプレイシステム1の動作の一例>
次に、
図10〜
図13に基づき、この発明のマルチディスプレイシステム1の動作の一例について説明する。
図10〜
図13は、この発明のマルチディスプレイシステム1の動作の一例を示す説明図である。
【0093】
最初に、
図10(A)に示すように、ユーザーはタッチペン30の操作ボタン301を押すことによって開始操作通知を送信する。通信部103が開始操作通知を受信したとき、タッチパネル付きディスプレイ11〜13のディスプレイ制御部100は、選択待ち状態に移行する。
【0094】
次に、
図10(B)に示すように、ユーザーは、タッチペン30をタッチすることによって、選択待ち状態のタッチパネル付きディスプレイ11〜13のうち1のタッチパネル付きディスプレイ13を選択する。このとき、タッチパネル付きディスプレイ13は、タッチ機能有効ディスプレイとして確定し、タッチパネル付きディスプレイ13のエンラージ機能を解除する。
【0095】
次に、
図10(C)に示すように、タッチパネル付きディスプレイ13のエンラージ機能が解除されると、タッチパネル付きディスプレイ13において、大画面全体にエンラージ表示されていた出力画像1000が解除され、エンラージ表示されていない画像1001がタッチパネル付きディスプレイ13の小画面に表示される。
【0096】
一方、タッチペン30により選択されなかったタッチパネル付きディスプレイ11および12は、タッチパネル付きディスプレイ13がタッチ機能有効ディスプレイとして確定した後も、選択待ち状態を保持する。
【0097】
なお、タッチ機能有効ディスプレイの選択方法としては、タッチペン30による選択操作に限定されない。例えば、指先のタッチやリモコン操作など、タッチパネル付きディスプレイを特定可能な方法であれば、他の選択方法を用いてもよい。
【0098】
次に、
図11(A)に示すように、タッチ機能有効ディスプレイとして確定したタッチパネル付きディスプレイ11が映像出力装置20と直接接続されている場合、ディスプレイ制御部100は、タッチパネル付きディスプレイ11が取得したタッチ座標データを、座標データ通信ケーブル41を介して映像出力装置20に送信する。
【0099】
一方、
図11(B)に示すように、タッチ機能有効ディスプレイとして確定したタッチパネル付きディスプレイ13が映像出力装置20と直接接続されていない場合、ディスプレイ制御部100は、デイジーチェーン接続を介して、
図11(B)の矢印の経路に沿って、タッチパネルなしディスプレイ16、19、18および15の順、ならびに、タッチパネル付きディスプレイ12および11の順に、全ての座標データ未受信ディスプレイにタッチ座標データを送信する。
【0100】
そして、映像出力装置20と直接接続されたタッチパネル付きディスプレイ11がタッチ座標データを受信すると、ディスプレイ制御部100は、座標データ通信ケーブル41を介して映像出力装置20にタッチ座標データを送信する。
【0101】
次に、
図12(A)に示すように、映像出力装置20がタッチ座標データを受信すると、タッチパネル付きディスプレイ13のタッチペン30で新たに描かれた追加画像1002が映像出力装置20から出力される画像2000に追加画像2001として反映される。
【0102】
続いて、
図12(B)に示すように、映像出力装置20のタッチパネル制御部200は、映像出力ケーブル42を介して映像出力装置20から出力される画像2000をマルチディスプレイ10に出力する。
その結果、タッチパネル付きディスプレイ13の追加画像1002を反映した追加画像1003が、マルチディスプレイ10の大画面全体に表示される。
【0103】
次に、
図13(A)に示すように、ユーザーがタッチパネル付きディスプレイ13にタッチペン30で追加画像1004(「Smile!」)を書き込むと、座標データ通信ケーブル41を介して映像出力装置20から出力される画像2000に追加画像2002として反映され、さらに映像出力ケーブル42を介してマルチディスプレイ10の表示画像に追加画像1005として反映される。
【0104】
続いて、ユーザーがタッチペン30の操作ボタン301を押して終了操作通知を送信すると、終了操作通知を受信したタッチパネル付きディスプレイ11〜13のディスプレイ制御部100は、終了動作を行う。
その結果、
図13(B)に示すように、タッチパネル付きディスプレイ13のエンラージ機能が解除されて、マルチディスプレイ10の大画面全体に出力画像1000および追加画像1005が表示される。
【0105】
このようにして、タッチペン30で追加画像を描く際に、タッチパネル付きディスプレイ11〜13のいずれかを選択してエンラージ機能を解除し、小画面に表示された出力画像1001上でタッチ操作を行うことによって、ユーザーは、マルチディスプレイ10を構成する小画面の間の額縁に制限されることなくタッチ操作を行うことが可能となる。
【0106】
(実施形態2)
次に、
図14〜
図16に基づき、この発明の実際形態2に係るマルチディスプレイシステム1の処理の流れについて説明する。
図14は、この発明の実施形態2に係るタッチパネル付きディスプレイ11〜13の処理を示すフローチャートである。
図15は、タッチ機能有効状態変化通知処理を示すフローチャートである。
図16は、この発明の実施形態2に係る別のディスプレイ11〜19からのタッチ座標データ受信時の処理を示すフローチャートである。
【0107】
この発明の実施形態2に係るマルチディスプレイシステム1の処理は、この発明の実施形態1に係るマルチディスプレイシステム1の処理と一部のステップが異なる以外は、全て共通する。
ここでは、この発明の実施形態1に係るマルチディスプレイシステム1の処理と共通のステップについては省略し、異なるステップのみについて説明する。
図14のステップS51およびS53〜S56はそれぞれ、
図5のステップS7〜S11に対応する。それゆえ、
図5に記載のないステップS52およびS57について説明する。
【0108】
図14のステップS51において、タッチパネル107のタッチ操作検出部1071がタッチペン30等によるタッチ操作を検出した場合(ステップS51の判定がYesの場合)、ディスプレイ制御部100は、ステップS52において、タッチ機能有効状態変化通知処理を行う(ステップS52)。
タッチ機能有効状態変化通知処理の詳細については後述する。
【0109】
また、ステップS56において、別のディスプレイからのタッチ座標データ受信時の処理をおこなった後、ディスプレイ制御部100は、ステップS57において、エンラージ機能が解除済みであり、かつ、タッチ検出時のタッチ座標データの出力が無効であるか否かを判定する(ステップS57)。
【0110】
ステップS57において、エンラージ機能が解除済みであり、かつ、タッチ検出時のタッチ座標データの出力が無効である場合(ステップS57の判定がYesの場合)、ディスプレイ制御部100は、
図4のステップS4の判定を行う(ステップS4)。
一方、エンラージ機能が解除済みであり、かつ、タッチ検出時のタッチ座標データの出力が無効でない場合(ステップS57の判定がNoの場合)、ディスプレイ制御部100は、
図6のステップS12の判定を行う(ステップS12)。
【0111】
<タッチ機能有効状態変化通知処理>
次に、
図15に基づき、タッチパネル付きディスプレイ11〜13のタッチ機能有効状態変化通知処理について説明する。
図15は、この発明のタッチ機能有効状態変化通知処理を示すフローチャートである。
【0112】
図15のステップS61において、タッチパネル付きディスプレイ11〜13のディスプレイ制御部100は、直接接続された別のディスプレイ11〜19のうち、タッチ機能有効状態変化通知が未受信のもの(以下、情報未受信ディスプレイ)が存在するか否かを判定する(ステップS61)。
【0113】
情報未受信ディスプレイが存在する場合(ステップS61の判定がYesの場合)、ディスプレイ制御部100は、ステップS62において、タッチ機能有効状態変化通知を全ての情報未受信ディスプレイに送信する(ステップS62)。
一方、情報未受信ディスプレイが存在しない場合(ステップS61の判定がNoの場合)、ディスプレイ制御部100は、タッチ機能有効状態変化通知処理を終了させる。
【0114】
<タッチパネル付きディスプレイ11〜13の別のディスプレイ11〜19からのタッチ座標データ受信時の処理>
次に、
図16に基づき、タッチパネル付きディスプレイ11〜13の別のディスプレイ11〜19からのタッチ座標データ受信時の処理について説明する。
図16は、タッチパネル付きディスプレイ11〜13の別のディスプレイ11〜19からのタッチ座標データ受信時の処理を示すフローチャートである。
【0115】
この発明の実施形態2に係るタッチパネル付きディスプレイ11〜13の別のディスプレイ11〜13からのタッチ座標データ受信時の処理は、この発明の実施形態1に係る別のディスプレイ11〜19からのタッチ座標データ受信時の処理と一部のステップが異なる以外は、全て共通する。
ここでは、この発明の実施形態1に係る別のディスプレイ11〜19からのタッチ座標データ受信時の処理と共通のステップについては省略し、異なるステップのみについて説明する。
図16のステップS72〜S76はそれぞれ、
図8のステップS31〜S35に対応する。それゆえ、
図8に記載のないステップS71およびS77〜79について説明する。
【0116】
図16のステップS71において、タッチパネル付きディスプレイ11〜13のディスプレイ制御部100は、通信部103が受信したデータがタッチ座標データであるか否かを判定する(ステップS71)。
通信部103が受信したデータがタッチ座標データである場合(ステップS71の判定がYesの場合)、ディスプレイ制御部100は、ステップS72の判定を行う(ステップS72)。
一方、通信部103が受信したデータがタッチ座標データでない場合(ステップS71の判定がNoの場合)、ディスプレイ制御部100は、タッチ機能有効状態変化通知を受信したものとして、ステップS77の判定を行う(ステップS77)。
【0117】
次に、ステップS77において、ディスプレイ制御部100は、タッチパネル付きディスプレイ11〜13がタッチ機能有効ディスプレイであるか否かを判定する(ステップS77)。
タッチパネル付きディスプレイ11〜13がタッチ機能有効ディスプレイである場合(ステップS77の判定がYesの場合)、ディスプレイ制御部100は、ステップS78において、タッチ検出時のタッチ座標データの出力を無効にする(ステップS78)。
【0118】
続いて、ステップS79において、ディスプレイ制御部100は、エンラージ機能を解除する(ステップS79)。
その後、ディスプレイ制御部100は、別のディスプレイからの情報受信時の処理を終了させる。
【0119】
一方、タッチパネル付きディスプレイ11〜13がタッチ機能有効ディスプレイでない場合(ステップS77の判定がNoの場合)、ディスプレイ制御部100は、ステップS74の判定を行う(ステップS74)。
【0120】
このように、ステップS71、S77〜S79の処理を追加することによって、別の選択待ち状態のタッチパネル付きディスプレイ11〜13がタッチ操作を検出すると、タッチ機能有効ディスプレイを切り替えることが可能になる。
【0121】
<タッチ機能有効ディスプレイの切り替え動作の一例>
最後に、
図17に基づき、タッチ機能有効ディスプレイの切り替え動作の一例について説明する。
図17は、タッチ機能有効ディスプレイの切り替え動作の一例を示す説明図である。
【0122】
図17(A)において、3つのタッチパネル付きディスプレイ11〜13のうち、タッチパネル付きディスプレイ11および12が選択待ち状態にあり、タッチパネル付きディスプレイ13がタッチ機能有効状態として確定している場合を想定する。
【0123】
ここで、
図17(B)に示すように、ユーザーが、選択待ち状態のタッチパネル付きディスプレイ11および12のうちタッチパネル付きディスプレイ12にタッチペン30でタッチしたものとする。
このとき、
図17(C)に示すように、タッチ操作を検出した選択待ち状態のディスプレイ12が新たなタッチ機能有効ディスプレイとして確定するため、タッチパネル付きディスプレイ12のエンラージ機能が解除され、画像1001が小画面上に表示される。また、タッチ座標データの出力も有効になるため、ユーザーがタッチペン30で描いた追加画像1004も、映像出力装置20の追加画像2002として反映される。
【0124】
一方、もともとタッチ機能有効ディスプレイとして確定していたタッチパネル付きディスプレイ13は、選択待ち状態に移行するため、タッチ検出による座標データの出力が無効になる。また、エンラージ機能が有効になるため、タッチパネル付きディスプレイ13の小画面上の画像1001の表示からマルチディスプレイ10の大画面全体の画像1000の表示に切り替わる。
【0125】
このように、ユーザーは、選択待ち状態の別のタッチパネル付きディスプレイ11〜13にタッチ操作するだけで、タッチ機能有効ディスプレイの切り替えが容易に実現できる。
【0126】
(その他の実施形態)
1.実施形態1において、2以上のタッチパネル付きディスプレイ11〜13を同時にタッチ機能有効ディスプレイとして確定するようにしてもよい。(実施形態3)
【0127】
このようにすれば、2以上のタッチパネル付きディスプレイ11〜13をタッチ操作することができるので、複数のユーザーが別々のディスプレイ11〜13に同時に描き込みすることが可能になる。
【0128】
2.実施形態1の
図10(A)の選択操作待機状態において、タッチパネル付きディスプレイ11〜13本体の図示しないLEDを点滅させる等の処理を行うことによって、ユーザーに選択待ち状態を報知するようにしてもよい。(実施形態4)
【0129】
このようにすれば、ユーザーは、どのタッチパネル付きディスプレイ11〜13が選択状態であるか容易に知ることができる。
【0130】
3.実施形態1の
図8のステップS33の処理の代わりに、映像出力装置20に直接接続されたディスプレイ11〜19に識別用のIDを付すことにより、当該ディスプレイ11〜19に直接タッチ座標データを送信できるようにしてもよい。(実施形態5)
【0131】
このようにすれば、全ての座標データ未受信ディスプレイに次々とタッチ座標データを送信しなくとも、映像出力装置20に直接接続されたディスプレイ11〜19に直接タッチ座標データを送信することが可能となる。
【0132】
以上に述べたように、
(i)この発明のマルチディスプレイシステムは、複数のディスプレイを縦横に並べて複数の小画面からなる1の大画面を構成し、入力画像を前記大画面の全体に表示するマルチディスプレイ表示機能を有し、前記複数のディスプレイのうち1以上のディスプレイがタッチパネルを備えたタッチディスプレイであり、指定された前記タッチディスプレイのタッチ入力の受け付けを許可するタッチ入力許可部と、前記タッチ入力の結果に応じた前記入力画像を前記複数のディスプレイに出力する入力画像出力部と、前記複数のディスプレイのそれぞれについて、前記入力画像を前記小画面の全体に表示する通常表示を行うべきか、または前記入力画像を前記大画面の全体に表示するマルチディスプレイ表示を行うべきかを決定する表示決定部と、前記タッチ入力許可部、前記入力画像出力部および前記表示決定部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記タッチディスプレイが指定されたとき、前記タッチディスプレイが前記マルチディスプレイ表示に係る前記入力画像を表示していた場合は、前記表示決定部を制御して前記タッチディスプレイに前記通常表示に係る前記入力画像を表示させ、前記タッチ入力許可部に前記タッチディスプレイのタッチ入力の受け付けを許可させ、前記入力画像出力部に前記タッチ入力の結果に応じた前記入力画像を前記複数のディスプレイに出力させることを特徴とする。
【0133】
この発明において、「大画面」は、複数の表示装置(ディスプレイ)を縦横に並べた全体を一つの画面と見なしたときの表現であり、「小画面」は「大画面」を構成する一以上の画面を一つの画面と見なしたときの表現である。「小画面」は「大画面」を構成する一以上のディスプレイに「大画面」と独立した内容を表示するものである。よって、「小画面」が表示されているときは、「小画面」と重複する位置に「大画面」の内容は表示されない。
「入力画像」は、複数のディスプレイに入力される動画や静止画等の画像である。
なお、入力画像は、複数のディスプレイに別々に入力する他、デイジーチェーン接続によって複数のディスプレイに順次入力するものであってもよい。
「タッチ入力許可部」は、指定されたタッチパネル付きディスプレイのタッチ入力を有効にすべきか、または無効にすべきかを決定する部分である。
具体的な指定方法としては、例えば、タッチパネル付きディスプレイの画面をタッチペン等でタッチした場合があげられる。また、リモコン等の操作によって指定してもよい。
「入力画像出力部」は、マルチディスプレイを構成する複数のディスプレイに入力画像を出力する部分である。また、タッチ入力の結果に応じた入力画像を出力する。
「タッチ入力の結果に応じた入力画像」は、例えば、タッチペンやユーザーの指先等でタッチパネルに描かれた画像またはタッチペン等により消去された画像を反映した入力画像や、タッチペン等により指定または移動したポインタ等の画像を反映した入力画像や、タッチペン等によるアイコンの操作結果を反映した入力画像などである。
「表示決定部」は、マルチディスプレイを構成するディスプレイのそれぞれについて、入力画像を小画面の全体に表示すべきか、大画面の全体に表示すべきかを決定する部分である。
【0134】
さらに、この発明の好ましい態様について説明する。
(ii)この発明によるマルチディスプレイシステムにおいて、予め定められたタッチ入力終了指令を受け付ける入力部をさらに備え、前記制御部は、前記タッチ入力終了指令を受け付けたとき、前記タッチ入力許可部にタッチ入力の受け付けを終了させ、前記表示決定部を制御して前記タッチディスプレイに前記マルチディスプレイ表示に係る前記入力画像を表示させるものであってもよい。
【0135】
このようにすれば、予め定められたタッチ入力終了指令により、タッチ入力の結果を確定し、かつ、タッチ入力の結果を反映した入力画像の小画面の全体への表示を解除し、大画面の全体への表示にもどすマルチディスプレイシステムを実現できる。
【0136】
「入力部」は、ユーザーからの指令を受け付ける部分である。例えば、タッチペン等のボタンを操作することによって発信された無線信号を受信することによって指令を受け付ける。
また、リモコンやディスプレイの操作部の操作による指令を受け付けるものであってもよい。
また、ユーザーからの指令に限らず、予め定められた時間を経過したときに終了指令を受け付けるようにしてもよい。
【0137】
(iii)この発明によるマルチディスプレイシステムにおいて、前記複数のディスプレイのうち2以上のディスプレイがタッチディスプレイである場合において、前記タッチ入力許可部が前記タッチディスプレイのタッチ入力の受け付けを許可した後、別の前記タッチディスプレイが新たに指定されたとき、前記制御部は、前記タッチ入力許可部を制御して、前記タッチ入力の受け付けを許可した前記タッチディスプレイのタッチ入力の受け付けを終了させ、新たに指定された前記タッチディスプレイのタッチ入力の受け付けを許可させるものであってもよい。
【0138】
このようにすれば、タッチ入力が有効なタッチパネル付きディスプレイを指定によって手軽に切り替えることができるマルチディスプレイシステムを実現することができる。
【0139】
(iv)この発明によるマルチディスプレイシステムにおいて、前記タッチ入力の受け付けが可能な前記タッチディスプレイを報知する報知部をさらに備えたものであってもよい。
【0140】
このようにすれば、マルチディスプレイを構成するディスプレイのうち、どのディスプレイがタッチ入力の受け付け可能なタッチパネル付きディスプレイか把握できるマルチディスプレイシステムを実現できる。
【0141】
「報知部」は、タッチ入力の受け付けが可能なタッチパネル付きディスプレイをユーザーに報知する部分である。例えば、ディスプレイ本体をLED等で点滅したり、予め定められた画像情報をOSD表示(On-Screen Display)したりすることによって、タッチ入力の受付が可能なタッチパネル付きディスプレイをユーザーに報知する。また、ディスプレイ画面上への画像情報の表示に限定されず、音声による報知であってもよい。
また、予め定められた開始信号を受信したときに、タッチ入力の受け付けが可能なタッチパネル付きディスプレイをユーザーに報知するようにしてもよい。
【0142】
(v)前記マルチディスプレイを構成するディスプレイであってもよい。
【0143】
このようにすれば、マルチディスプレイを構成したときに、タッチ入力時に指定したタッチパネル付きディスプレイのマルチディスプレイ表示を解除してタッチ入力し、タッチ入力後にマルチディスプレイ表示に戻すことによって、マルチディスプレイを構成する小画面でのタッチ入力を可能にしつつ、マルチディスプレイの大画面にタッチ入力結果を反映させるディスプレイを実現できる。
【0144】
この発明の好ましい態様は、上述した複数の態様のうちの何れかを組み合わせたものも含む。
前述した実施形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、この発明の範囲に属さないと解されるべきものではない。この発明には、請求の範囲と均等の意味及び前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。