(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6392581
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】工作機械とともに使用されるロボットのロボット制御装置、及び加工システム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20180910BHJP
B25J 13/00 20060101ALI20180910BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20180910BHJP
【FI】
G05B19/418 B
B25J13/00 Z
G06Q50/04
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-167625(P2014-167625)
(22)【出願日】2014年8月20日
(65)【公開番号】特開2016-45571(P2016-45571A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2017年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100159684
【弁理士】
【氏名又は名称】田原 正宏
(72)【発明者】
【氏名】西 浩次
【審査官】
加藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】
特開平04−217008(JP,A)
【文献】
特開平11−198074(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
B25J 13/00
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの数値制御工作機械と、工作機械の生産管理情報を管理する上位コンピュータと、前記数値制御工作機械に対して被加工物の供給および排出を行うロボットとを有するシステムにおいて、前記ロボットを制御するロボット制御装置であって、
前記数値制御工作機械から前記ロボット制御装置への加工開始通知の送信時、及び前記数値制御工作機械から前記ロボット制御装置へのワーク交換要求の送信時の少なくとも一方において、前記数値制御工作機械の生産管理情報の少なくとも一部が前記ロボット制御装置に送信され、
前記ロボット制御装置は、前記ロボット制御装置が前記数値制御工作機械から取得した生産管理情報と、前記ロボットに関連する生産管理情報とを集約した生産管理情報を前記上位コンピュータに送信する、ロボット制御装置。
【請求項2】
少なくとも1つの数値制御工作機械と、工作機械の生産管理情報を管理する上位コンピュータと、前記数値制御工作機械に対して被加工物の供給および排出を行うロボットと、前記ロボットを制御するロボット制御装置とを有する加工システムであって、
前記数値制御工作機械から前記ロボット制御装置への加工開始通知の送信時、及び前記数値制御工作機械から前記ロボット制御装置へのワーク交換要求の送信時の少なくとも一方において、前記数値制御工作機械の生産管理情報の少なくとも一部が前記ロボット制御装置に送信され、
前記ロボット制御装置は、前記ロボット制御装置が前記数値制御工作機械から取得した生産管理情報と、前記ロボットに関連する生産管理情報とを集約した生産管理情報を前記上位コンピュータに送信する、加工システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械において加工されるワークの供給と排出を行うロボットを制御するロボット制御装置に関し、さらに、該工作機械、該ロボット及び該ロボット制御装置を含む加工システムに関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械を使って機械加工を行う際、加工品質を維持するため、工作機械に関する生産管理情報を上位コンピュータによって管理するのが一般的である。詳細には、工作機械と上位コンピュータとをネットワークで接続し、工作機械から上位コンピュータに対して加工実績情報等を定期的に送信し、上位コンピュータで集約する方法が知られている。
【0003】
これに関連する周知技術例として、特許文献1には、作業者が情報を入力するための入力手段と、文字および図形を表示可能な表示手段と、生産管理コンピュータとの間で情報を送受信するための通信手段と、生産管理コンピュータ内の共有ファイルである通知情報ファイルを表示手段に表示する表示制御手段と、通知情報ファイル内に設けられた返信欄に返信情報を書き込んで通知情報に対する返信情報とする返信管理手段とを有する情報送受信機能を備えたNC装置が記載されている。
【0004】
また特許文献2には、同一の又は同種の加工を実施する複数の工作機械でそれぞれ特定部品の加工終了をセンサで感知することにより発生した信号を、計量コントローラに入力し、計量コントローラで累積した複数個で1組の計量信号をシリアルインタフェース上に送り、このシリアル信号をネットワークコントローラに送り込み、Ethernet(登録商標)接続方式によりパソコン等でアクセスして、生産情報をリアルタイムに読み取り可能とした生産管理システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−123630号公報
【特許文献2】特開2006−039946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、工作機械に対する加工前のワークの供給と加工後のワークの排出を、ロボットを使って行うことが増えている。さらに、加工が完了したワークの加工精度の検査をロボットで行ったり、工作機械の加工ツールの交換をロボットで行ったりする場合もある。
【0007】
ロボットを使って工作機械に対してワークの供給と排出を行う場合、ロボット側でしか得られない生産管理情報がある。例えば、ワークの供給場所に未加工ワークがいくつ準備されているか、ワークの排出場所に加工済のワークがいくつ準備されているかを知るために、ロボットに設けた視覚センサ等を使って該供給場所や該排出場所を検出した場合、それらの情報は基本的にはロボット側にしか存在しない情報である。また加工済のワークの加工精度の検査をロボットで行った場合に、良品と不良品の個数がそれぞれいくつであるかも、ロボット側にしかない情報である。さらに、加工ツールの交換をロボットが行う場合、各ワークがどの加工ツールで加工されたかもロボット側にしかない情報である。このように、加工品質を維持するために管理すべき生産管理情報が、工作機械側にはなく、ロボット側にしかない場合がある。
【0008】
上述のように、生産管理情報のうちの一部分は工作機械側にあり、他の部分はロボット側にあるという場合、上位コンピュータは、生産中に工作機械及びロボットの双方から生産管理情報を取得する必要がある。このとき、生産管理情報を取得する時刻が工作機械とロボットとで異なる場合、それらの内容に矛盾が生じることがある。例えば、工作機械において加工したワークの総数と、ロボットがその工作機械に対して供給したワークの総数とが一致しないということが発生し得る。
【0009】
工作機械とロボットとの間は、プログラムの実行やインターロック信号のためのネットワークを設置することが一般的であるが、それとは別に上位コンピュータとの間で生産管理情報を取得するためのネットワークを、工作機械及びロボットにそれぞれ接続する必要がある。つまり、工作機械とロボットとを接続するためのネットワークと、上位コンピュータと工作機械及びロボットとの間で生産管理情報をやり取りするためのネットワークという2系統のネットワークを設ける必要がある。
【0010】
また工作機械では、切屑の清掃や、加工ツールの交換等の保守作業(メンテナンス)を行うことが多く、その間は工作機械の電源を遮断していることが多い。工作機械の電源遮断中は、上位コンピュータは、工作機械から生産管理情報を取得することができない。
【0011】
そこで本発明は、工作機械の生産管理情報をロボット側で管理し、上位コンピュータに送信できるようにしたロボット制御装置、並びに該工作機械、該ロボット及び該ロボット制御装置を含む加工システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本願第1の発明は、少なくとも1
つの数値制御工作機械と、工作機械の生産管理情報を管理する上位コンピュータと、前記数値制御工作機械に対して被加工物の供給および排出を行うロボットとを有するシステムにおいて、前記ロボットを制御するロボット制御装置であって、
前記数値制御工作機械から前記ロボット制御装置への加工開始通知の送信時、及び前記数値制御工作機械から前記ロボット制御装置へのワーク交換要求の送信時の少なくとも一方において、前記数値制御工作機械の生産管理情報の少なくとも一部が前記ロボット制御装置に送信され、前記ロボット制御装置は、前記ロボット制御装置が前記数値制御工作機械から取得した生産管理情報と、前記ロボットに関連する生産管理情報とを集約した生産管理情報を前記上位コンピュータに送信する、ロボット制御装置を提供する。
【0014】
第
2の発明は、少なくとも1
つの数値制御工作機械と、工作機械の生産管理情報を管理する上位コンピュータと、前記数値制御工作機械に対して被加工物の供給および排出を行うロボットと、前記ロボットを制御するロボット制御装置とを有する加工システムであって、
前記数値制御工作機械から前記ロボット制御装置への加工開始通知の送信時、及び前記数値制御工作機械から前記ロボット制御装置へのワーク交換要求の送信時の少なくとも一方において、前記数値制御工作機械の生産管理情報の少なくとも一部が前記ロボット制御装置に送信され、前記ロボット制御装置は、前記ロボット制御装置が前記数値制御工作機械から取得した生産管理情報と、前記ロボットに関連する生産管理情報とを集約した生産管理情報を前記上位コンピュータに送信する、加工システムを提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ロボット制御装置に工作機械の生産管理情報を統合・集約することで、上位コンピュータはロボット制御装置から、ロボットの生産管理情報と工作機械の生産管理情報をまとめて取得することができ、生産管理情報に矛盾が生じることがなく、加工品質の維持・改良に寄与する。また、上位コンピュータと工作機械との間のネットワークを設置する必要がない。さらに、工作機械のメンテナンス等のために工作機械の電源が遮断されていても、工作機械の生産管理情報を上位コンピュータに送ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係るロボット制御装置を含む加工システムの一構成例を示す図である。
【
図2】
図1の加工システムに含まれるロボット及び工作機械における処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の好適な実施形態に係るロボット制御装置を含む加工システム(生産システム)の一構成例を示す図である。加工システム10は、数値制御工作機械(NC工作機械)12と、工作機械12の生産情報を管理する上位コンピュータ(ホストコンピュータ)14と、工作機械12に対してワークの供給及び排出を行うロボット16と、ロボット16を制御するロボット制御装置18と、ロボット制御装置18に接続された画像処理装置20とを有する。
【0018】
工作機械12において加工すべきワーク(被加工物)は、種類別にパレット上にバラ積み又は整列配置されおり、図示例では2種類の未加工ワークW1及びW2が、それぞれパレットP1及びP2上に複数個配置されている。
【0019】
ロボット16は、例えば6軸の多関節ロボットであり、ロボットアーム22と、ロボットアーム22の先端に取り付けた作業ツール24と、作業ツール24又はアーム22の先端に取り付けたカメラ26とを有する。カメラ26は、仮置き台28上に載置された加工済みワークの画像を取得できるように構成されており、カメラ26で得られた画像は、画像処理装置20にて処理される。制御装置18は、画像処理装置20での画像処理結果に基づいて加工済みワークの加工品質(良品であるか不良品であるか)を判断することができる。ロボット16は、良品と判断された加工済みワークをパレットP3上に搬送し、不良品と判断された加工済みワークをパレットP4上に搬送するように構成されている。
【0020】
ロボット16は、走行軸29によって所定の範囲に亘って移動可能となっている。
図1の例では、ロボット16は略左右方向に直線的に往復動可能であり、上述のパレットP1又はP2から作業ツール24を用いて加工前のワークW1又はW2を把持して工作機械12に供給し、工作機械12で加工されたワークを、画像処理結果に基づいてパレットP3又はP4上に搬送・載置するように構成されている。
【0021】
工作機械12とロボット制御装置18は第1のネットワーク(ケーブル)30で接続されており、ロボット制御装置18と上位コンピュータ14は第2のネットワーク(ケーブル)32で接続されている。これらのネットワークにより、後述する生産管理情報等のデータを工作機械12とロボット制御装置18との間、及びロボット制御装置18と上位コンピュータ14との間で通信することができる。なお図示例では、工作機械12と上位コンピュータ14との間も第3のネットワーク(ケーブル)34で接続されているが、これは必須ではない。
【0022】
次に、ロボット16及び工作機械12における処理(ここでは複数のワークの連続的な加工)を、
図2のフローチャートを参照しつつ説明する。先ず、作業者がロボット制御装置18及び工作機械12に対してサイクル開始操作を行うと、工作機械12がロボット制御装置18に対して加工開始通知(信号)を送信し(ステップS21)、ロボット制御装置18がこれを受信する(ステップS11)。
【0023】
ロボット制御装置18は、加工開始信号を受信したら、次に加工するワークの準備をロボット16に行わせる(ステップS12)。加工するワークの準備とは具体的には、例えば以下のような処理をいう。先ず複数の未加工ワークW1が載置されているパレットP1をカメラ26で撮像し、画像処理装置20を使ってカメラ26が撮像した画像を処理する。この画像処理によって、パレットP1上のワークW1の個数の検出と、そのうちの1つの取り出すべきワークW1aの選択と、選択されたワークW1aのパレットP1上での位置の検出とを行う。ロボット16は、走行軸29を使ってパレットP1に接近し(矢印A1)、作業ツール24を使ってワークW1aに接近してこれを把持し(矢印A2〜A4)、パレットP1からワークW1aを持ち上げる(矢印A5、A6)。
【0024】
ロボット16は、次に加工するワークの準備が完了すると、走行軸29を使ってワーク交換位置(図示例では工作機械12の自動ドア36の前)に移動する(ステップS13、矢印A7)。
【0025】
工作機械12は、ロボット制御装置18に加工開始信号を送信した後に、工作機械12にセットされているワークの加工を行い(ステップS22)、当該加工が完了したら(ステップS23)、自動ドア36を開けて、ロボット制御装置18に対してワーク交換要求(信号)を送信する(ステップS24)。
【0026】
ロボット制御装置18は、工作機械12からワーク交換要求を受信したら(ステップS14)、ロボット16に対し、自動ドア36から工作機械12の内部に進入し、加工済みワークと、未加工のワークとを交換する旨の指令を送り、ロボット16はこれに従った動作を行う(ステップS15、矢印A8)。ロボット制御装置18は、ロボット16によるワークの交換が完了したら、ロボット16を工作機械12の内部から退避させ(矢印A9)、工作機械12にワーク交換完了通知(信号)を送信する(ステップS16)。
【0027】
工作機械12は、ワーク交換完了信号をロボット制御装置18から受信したら(ステップS25)、再度加工開始信号をロボット制御装置18に送り(ステップS21)、新たなワークの加工を開始する。なおロボット制御装置18は、工作機械12からワークの交換要求を受信したときに、工作機械12に関する生産管理情報をアップデートすることが好ましい。
【0028】
ロボット制御装置18は、工作機械12が次のワークの加工が開始された旨の通知(信号)を受信したら(ステップS17)、加工済みワークの加工品質の検査を行う(ステップS18)。具体的には、ロボット16が、ステップS15で交換・把持した加工済みワークを仮置き台28の所定位置に搬送・配置し(矢印A10、A11)、仮置き台28の位置決め用治具38を閉じてワークを正確に位置決めする。次に、カメラ26で仮置き台28上の加工済みワークを撮像し、得られた画像を画像処理装置20で画像処理することによって、加工済みワークが良品(合格)か不良品(不合格)かを判断する。
【0029】
次に、ロボット16は加工済みワークの排出を行う(ステップS19)。具体的には、良品と判断された加工済みワークはパレットP3上に搬送され、不良品と判断された加工済みワークはパレットP4上に搬送される。加工済みワークの排出が完了したら、ロボット16(制御装置18)の処理はステップS12に戻り、次に加工するワークの準備を行う。
【0030】
以上の処理は、作業者がロボット制御装置18及び工作機械12に対してサイクル停止の操作を行うまで、繰り返される。
【0031】
本発明では、上述のステップS21おける加工開始通知(信号)の送信時、及びステップS24におけるワーク交換要求(信号)の送信時の少なくとも一方において、工作機械12が持つ生産管理情報の少なくとも一部(好ましくは全て)が、上述の第1のネットワーク30を介してロボット制御装置18に送信される。ロボット制御装置18は、工作機械12から生産管理情報を受信したら、ロボット制御装置18が持つ生産管理情報と工作機械12の生産管理情報を結合(集約)して、1つの生産管理情報とし、ロボット制御装置18の内部(制御装置18が有するメモリ等)に記憶する。
【0032】
そして、上位コンピュータ14から、ロボット制御装置18又は工作機械12に対して生産管理情報の要求があった場合は、ロボット制御装置18が記憶している生産管理情報が、上述の第2のネットワーク32を介して上位コンピュータ14に送信される。なお上位コンピュータ14から生産管理情報の要求がなくても、予め定められた時間が経過するたびに、ロボット制御装置18から上位コンピュータ14に対して、ロボット制御装置18が記憶している生産管理情報を送信するようにしてもよい。
【0033】
上位コンピュータ14に送信される生産管理情報は、以下のグループA〜Gに分けて考えることができる。
A:工作機械の状態(停止中、加工中、待機中)
B:工作機械の通電時間、運転時間、切削時間、加工部品総数、アラーム発生数
C:ワークの加工総数
D:ワークの検査合格総数、検査不合格総数
E:ワーク加工開始時刻、ワーク加工終了時刻
F:加工ツール毎の加工時間、残寿命時間、未使用工具数
G:未加工ワークの総数
【0034】
生産管理情報Aは、工作機械12からの加工開始通知及び交換要求の受信状態によって、判断することができる。つまり、工作機械12の電源を投入してから、加工開始通知をロボット制御装置18が受信するまでが停止中、加工開始通知を受信してから交換要求を受信するまでが加工中、交換要求を受信してから次の加工開始通知を受信するまでが待機中である。
【0035】
生産管理情報Bは、工作機械12が備えている情報である。ロボット制御装置18は、加工開始通知及び交換要求を受信するときに、工作機械12が備えている生産管理情報Bも同時に取得することができる。
【0036】
生産管理情報C及びEは、工作機械12、ロボット16(制御装置18)の双方が持つことができる情報である。ロボット制御装置18は、工作機械12から加工開始通知及び交換要求を受信するたびに、生産管理情報C及びEを取得し、ロボット制御装置18が既に保持している生産管理情報C及びEと一致しているか否かを照合し、照合していれば、上位コンピュータ14に一致していることを照合済みの生産管理情報として送信する。一方、照合していない(時刻ずれがある等)場合は、工作機械12及びロボット制御装置18のいずれの情報を優先するか等のアルゴリズムを予め定めておき、当該アルゴリズムに従ってロボット制御装置18が処理したものが照合済みの生産管理情報として上位コンピュータ14に送られる。
【0037】
生産管理情報D及びGはロボット16(制御装置18)のみが持つ生産管理情報である。
【0038】
生産管理情報Fは、工作機械12がツールチェンジャ等を使ってツール交換を行う場合は工作機械12が持つ生産管理情報であり、ロボット16が、ツールストッカ等にある加工ツールを工作機械12の加工ツールと交換する場合は、ロボット制御装置18が持つ生産管理情報となる。本発明では、上位コンピュータ14は、生産管理情報Fが工作機械12か、ロボット制御装置18のいずれからの情報であるかに関わらず、生産管理情報Fを取扱うことが可能になる。このように、上位コンピュータ14は、工作機械12とロボット制御装置18のそれぞれの生産管理情報を一括で受け取ることができ、さらに加工(生産)開始又は終了のタイミングで工作機械12からロボット制御装置18に生産管理情報が通知され、ロボット制御装置18が保持している生産管理情報と結合(統合)される。従って、工作機械12及びロボット制御装置18から別々に上位コンピュータ14に生産管理情報が送られた場合に生じ得る時刻ずれ等が発生することがなく、上位コンピュータ14は矛盾のない正確な生産管理情報を取得することができる。
【0039】
上述のように、本発明では、工作機械12と上位コンピュータ14とが第3のネットワーク34等で直接接続されることを必要とせず、工作機械12及びロボット16に関する生産情報はロボット制御装置18がまとめて管理する。具体的には、工作機械12の生産管理情報の少なくとも一部(特に上述のグループC及びEに属する情報)が第1のネットワーク30を介して、プログラムの実行やインターロックに関する信号等とともに、ロボット制御装置18に送られ、ロボット制御装置18は、自らが保有している生産管理情報と工作機械12からの生産管理情報とを統合・集約した後、上位コンピュータ14は、ロボット制御装置18からネットワーク32を介して、工作機械12及びロボット16の双方に関する生産管理情報を取得することができる。
【0040】
また工作機械12では、切屑の洗浄や、加工ツールの交換等の保守作業のために、工作機械12の電源が一定時間遮断されることがあるが、本発明ではそのような保守作業の間でも、上位コンピュータ14は工作機械12の生産管理情報をロボット制御装置18から取得することができる。
【符号の説明】
【0041】
10 加工システム
12 工作機械
14 上位コンピュータ
16 ロボット
18 ロボット制御装置
20 画像処理装置
22 ロボットアーム
24 作業ツール
26 カメラ
28 仮置き台
29 走行軸
30、32、34 ネットワーク(ケーブル)
36 自動ドア
38 位置決め用治具
P1〜P4 パレット
W1、W2 ワーク