特許第6392612号(P6392612)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6392612
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】静電チャック
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20180910BHJP
   H02N 13/00 20060101ALI20180910BHJP
   B23Q 3/15 20060101ALN20180910BHJP
【FI】
   H01L21/68 R
   H02N13/00 D
   !B23Q3/15 D
【請求項の数】7
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-201489(P2014-201489)
(22)【出願日】2014年9月30日
(65)【公開番号】特開2016-72477(P2016-72477A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2017年8月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】三輪 要
(72)【発明者】
【氏名】長原 充幸
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】村上 伸悟
【審査官】 中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−177285(JP,A)
【文献】 特表2013−511162(JP,A)
【文献】 特開2007−300057(JP,A)
【文献】 特表2007−507104(JP,A)
【文献】 特開2010−123809(JP,A)
【文献】 特開2003−234397(JP,A)
【文献】 特開2013−172013(JP,A)
【文献】 特開2007−129142(JP,A)
【文献】 特開2014−146822(JP,A)
【文献】 特開2005−032858(JP,A)
【文献】 特表2010−506381(JP,A)
【文献】 特開2014−150186(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H02N 13/00
B23Q 3/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース表面及びベース裏面を有する金属ベースと、
該金属ベースの前記ベース表面側に配置され、セラミックからなる本体基板と、
該本体基板に設けられた吸着用電極と、
前記本体基板に設けられたヒータと、
前記金属ベースと前記本体基板との間に配置された接着層と、を備え、
前記本体基板は、前記ヒータよりも前記金属ベース側に配置された断熱層を含んでおり、
該断熱層には、同一平面上において互いに所定の間隔を空けて配置された複数の微小空間が設けられており、
前記ヒータの温度を測定するヒータ用温度センサと、前記接着層の温度を測定する接着層用温度センサと、をさらに備えていることを特徴とする静電チャック。
【請求項2】
ベース表面及びベース裏面を有する金属ベースと、
該金属ベースの前記ベース表面側に配置され、セラミックからなる本体基板と、
該本体基板に設けられた吸着用電極と、
前記本体基板に設けられたヒータと、
前記金属ベースと前記本体基板との間に配置された接着層と、を備え、
前記本体基板の内部には、前記ヒータよりも前記金属ベース側に配置された断熱層を含んでおり、
該断熱層には、同一平面上において互いに所定の間隔を空けて配置された複数の微小空間が設けられていることを特徴とする静電チャック。
【請求項3】
基板表面及び基板裏面を有し、セラミックからなる本体基板と、
該本体基板に設けられた吸着用電極と、
前記本体基板に設けられたヒータと、
前記本体基板に設けられ、前記ヒータよりも前記本体基板の前記基板裏面側に配置された冷却水路と、を備え、
前記本体基板は、前記ヒータと前記冷却水路との間に配置された複数の断熱層を含んでおり、
該断熱層には、同一平面上において互いに所定の間隔を空けて配置された複数の微小空間が設けられていることを特徴とする静電チャック。
【請求項4】
前記本体基板は、前記断熱層を複数含んでいることを特徴とする請求項1または2に記載の静電チャック。
【請求項5】
前記断熱層の前記微小空間は、隣り合う他の前記断熱層の前記微小空間と前記本体基板の厚み方向において重ならない位置に配置されていることを特徴とする請求項3または4に記載の静電チャック。
【請求項6】
前記断熱層の前記微小空間は、隣り合う他の前記断熱層の前記微小空間と前記本体基板の厚み方向において重なる位置に配置されていることを特徴とする請求項3または4に記載の静電チャック。
【請求項7】
前記断熱層の前記微小空間は、隣り合う他の前記断熱層の前記微小空間と前記本体基板の厚み方向において連通していることを特徴とする請求項6に記載の静電チャック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電チャックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウェハの製造に用いられる半導体製造装置では、半導体ウェハ(例えばシリコンウェハ)に対してドライエッチング(例えばプラズマエッチング)等の処理が行われている。このドライエッチング等の加工精度を高めるためには、半導体ウェハを確実に保持しておく必要がある。半導体ウェハを保持する手段としては、静電引力によって半導体ウェハを保持する静電チャックが知られている。
【0003】
静電チャックは、セラミックからなる本体基板と、その本体基板に設けられた吸着用電極とを備えている。静電チャックは、吸着用電極に電圧を印加させた際に生じる静電引力を用いて、半導体ウェハを本体基板の上面(吸着面)に吸着保持する。このような静電チャックにおいて、本体基板の下面には、樹脂等の接着剤からなる接着層を介して、クーリングプレートとして機能する金属ベースが接合されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、半導体ウェハの加工を好適に行うため、本体基板の内部にヒータを設け、そのヒータによって本体基板を加熱することにより、本体基板の上面(吸着面)に吸着保持された半導体ウェハを所望の温度に加熱する静電チャックが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−317772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の静電チャックにおいて、セラミックからなる本体基板と金属ベースとを接合する接着層には、両者の熱膨張差を緩和するような柔軟性のある接着剤が用いられる。しかしながら、半導体ウェハ加工時の温度条件がより高温となり、静電チャック使用時の温度がより高温(例えば接着層の温度が150℃以上)になると、接着層の耐熱性及び耐久性を十分に確保することが困難となる。
【0007】
この問題を解決する方法として、接着層に耐熱性の高い接着剤を用いることが挙げられる。ところが、耐熱性の高い接着剤は、硬質で柔軟性に乏しく、セラミックからなる本体基板と金属ベースとの熱膨張差を十分に緩和できない。そのため、両者の間に熱応力が発生し、接着層の剥がれ、さらには静電チャックの変形等の問題が生じる。
【0008】
別の方法として、そもそも問題となる接着層を備えない、つまり接着層及び金属ベースを備えない構成とすることが挙げられる。この場合、例えば、本体基板を一般的に使用されるアルミナよりも熱伝導率の高い窒化アルミニウムで構成し、その本体基板の内部に温度調整用の冷却水路を設ける。ところが、本体基板の熱伝導率が高くなることで、ヒータの熱が冷却水路に伝達及び拡散されやすくなる。そのため、昇温速度の低下等、加熱性能の低下を招く。
【0009】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、高温で使用する場合であっても十分に適用可能な静電チャックを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様は、表面及び裏面を有する金属ベースと、該金属ベースの前記表面側に配置され、セラミックからなる本体基板と、該本体基板に設けられた吸着用電極と、前記本体基板に設けられたヒータと、前記金属ベースと前記本体基板との間に配置された接着層と、を備え、前記本体基板は、前記ヒータよりも前記金属ベース側に配置された断熱層を含んでおり、該断熱層には、同一平面上において互いに所定の間隔を空けて配置された複数の微小空間が設けられていることを特徴とする静電チャックである。
【0011】
前記静電チャックにおいて、本体基板には、ヒータよりも金属ベース側に配置された断熱層を含んでいる。すなわち、断熱層は、ヒータと接着層との間に配置されている。そして、断熱層には、同一平面上において互いに所定の間隔を空けて配置された複数の微小空間が設けられている。そのため、断熱層に設けた複数の微小空間によってヒータと接着層との間の断熱性を高め、ヒータから接着層への熱の伝達を抑制できる。
【0012】
これにより、静電チャックを高温で使用する場合であっても、使用時における接着層の温度上昇を抑制できる。すなわち、使用時における接着層の温度を低減できる。よって、例えば、接着層として、従来と同様の接着剤、つまりセラミックからなる本体基板と金属ベースとの熱膨張差を緩和するような柔軟性のある接着剤を用いても、接着層の耐熱性及び耐久性を十分に確保できる。
【0013】
また、ヒータと接着層との間の断熱性を高め、ヒータから接着層への熱の伝達を抑制できるため、ヒータの昇温速度を向上させることができる。これにより、ヒータによって加熱される本体基板及びその本体基板に吸着保持される半導体ウェハ等の昇温性を高めることができる。また、従来よりも小さい電力量でヒータを効率良く発熱させることが可能となる。
【0014】
本発明の第2の態様は、表面及び裏面を有し、セラミックからなる本体基板と、該本体基板に設けられた吸着用電極と、前記本体基板に設けられたヒータと、前記本体基板に設けられ、前記ヒータよりも前記本体基板の裏面側に配置された冷却水路と、を備え、前記本体基板は、前記ヒータと前記冷却水路との間に配置された断熱層を含んでおり、該断熱層には、同一平面上において互いに所定の間隔を空けて配置された複数の微小空間が設けられていることを特徴とする静電チャックである。
【0015】
前記静電チャックにおいて、本体基板は、ヒータと冷却水路との間に配置された断熱層を含んでいる。そして、断熱層には、同一平面上において互いに所定の間隔を空けて配置された複数の微小空間が設けられている。そのため、断熱層に設けた複数の微小空間によってヒータと冷却水路との間の断熱性を高め、ヒータから冷却水路への熱の伝達及び拡散を抑制できる。
【0016】
これにより、ヒータの昇温速度を向上させ、ヒータによって加熱される本体基板及びその本体基板に吸着保持される半導体ウェハ等の昇温性を高めることができる。よって、従来と異なり、接着層及び金属ベースを備えない構成としても、ヒータによる加熱性能を十分に発揮でき、静電チャックを高温で使用することが可能となる。
【0017】
また、ヒータと冷却水路との間の断熱性を高め、ヒータから冷却水路への熱の伝達を抑制できるため、従来よりも小さい電力量でヒータを効率良く発熱させることが可能となる。例えば、ヒータと冷却水路との間に所定の温度差をつけることが従来よりも小さい電力量で可能となる。
【0018】
このように、本発明によれば、高温で使用する場合であっても十分に適用可能な静電チャックを提供することができる。つまり、本発明の静電チャックは、使用時の温度(例えばヒータの発熱温度や本体基板の加熱温度)が従来に比べて高温になっても十分適用可能である。
【0019】
前記第1の態様の静電チャックは、前記ヒータの温度を測定するヒータ用温度センサと、前記接着層の温度を測定する接着層用温度センサと、をさらに備えていてもよい。この場合には、ヒータ及び接着層の温度を監視し、その情報をフィードバックしてヒータの発熱温度を制御することができる。これにより、例えば、接着層の温度が耐熱温度を超えないようにヒータの発熱温度を制御することができる。よって、接着層の耐熱性及び耐久性を十分に確保できる。なお、ここでのヒータの温度や接着層の温度とは、ヒータ近傍部分の温度や接着層近傍部分の温度も含む。
【0020】
前記第1及び第2の態様の静電チャックにおいて、前記本体基板は、前記断熱層を複数含んでいてもよい。この場合には、断熱層(微小空間)による断熱効果をさらに高めることができる。
【0021】
また、前記断熱層の前記微小空間は、隣り合う他の前記断熱層の前記微小空間と前記本体基板の厚み方向において重ならない位置に配置されていてもよい。この場合には、断熱層(微小空間)による断熱効果のばらつき(本体基板の厚み方向に直交する方向のばらつき)を抑制できる。これにより、断熱層(微小空間)による断熱効果をさらに高めることができる。
【0022】
また、前記断熱層の前記微小空間は、隣り合う他の前記断熱層の前記微小空間と前記本体基板の厚み方向において重なる位置に配置されていてもよい。この場合には、断熱層(微小空間)による断熱効果をさらに高めることができる。
【0023】
また、前記断熱層の前記微小空間は、隣り合う他の前記断熱層の前記微小空間と前記本体基板の厚み方向において連通していてもよい。この場合には、断熱層(微小空間)による断熱効果をさらに高めることができる。
【0024】
前記本体基板は、該本体基板に設けた吸着用電極に対して電圧を印加した際に生じる静電引力を用いて、被吸着物を吸着できるよう構成されている。被吸着物としては、半導体ウェハ、ガラス基板等が挙げられる。
【0025】
前記本体基板は、例えば、積層した複数のセラミック層により構成することができる。このような構成にすると、本体基板の内部に各種の構造(例えば吸着用電極、ヒータ等)を容易に形成することができる。
【0026】
前記本体基板に含まれる前記断熱層は、本体基板を構成するセラミック層の1つであることが好ましい。この場合には、断熱層を本体基板の内部に形成することが容易となる。また、本体基板の内部において、所定の位置に所定の形状の微小空間を形成することが容易となる。例えば、本体基板から露出していない微小空間を本体基板の内部に形成することが容易となる。
【0027】
また、前記断熱層における複数の微小空間は、同一平面上において互いに所定の間隔を空けて配置されている。すなわち、断熱層の微小空間は、多孔体(多孔質材料)の気孔とは異なり、熱抵抗の制御が容易である。多孔体(多孔質材料)の場合、例えば所定の領域だけ気孔径や気孔率を調整して熱抵抗を制御することが困難であるが、断熱層の微小空間の場合、微小空間の形状、大きさ、数、密度等を容易に調整可能であるため、例えば断熱層全体の熱抵抗はもちろんのこと、断熱層の一部の領域の熱抵抗を制御することも可能である。
【0028】
前記第1の態様の静電チャックにおいて、前記金属ベースには、冷却媒体を流通させる冷却水路が設けられていてもよい。また、その他の冷却手段として、空冷用フィン、ペルチェ素子等を用いることもできる。
【0029】
前記本体基板を構成するセラミック材料としては、例えば、アルミナ、イットリア、窒化アルミニウム、炭化ケイ素等を主成分とする焼結体を用いることができる。
前記金属ベースを構成する金属材料としては、チタン(Ti)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、これらの合金等を用いることができる。
【0030】
前記接着層を構成する材料としては、ヤング率が10MPa以下(より好ましくは3MPa以下、さらに好ましくは0.3MPa以下)や、ショアAの硬度が70以下の樹脂材料が好ましい。例えば、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂等を用いることができる。
【0031】
前記第2の態様の静電チャックにおいて、前記本体基板を構成するセラミック材料としては、例えば、窒化アルミニウム、アルミナ、イットリア、炭化ケイ素等を主成分とする焼結体を用いることができる。
【0032】
前記第1及び第2の態様の静電チャックにおいて、前記吸着用電極及び前記ヒータを構成する導体の材料としては、特に限定されないが、同時焼成法によってこれらの導体及びセラミック部分(本体基板)を形成する場合、導体中の金属粉末は、本体基板の焼成温度よりも高融点である必要がある。導体中の金属粉末として、例えば、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、これらの合金等を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】実施形態1の静電チャックの構造を示す断面説明図である。
図2】静電チャックの一部を拡大した断面説明図である。
図3】(A)は吸着用電極示す平面図であり、(B)は吸着用電極に接続されるビアを示す平面図である。
図4】(A)はヒータを示す平面図であり、(B)はヒータに接続されるビアを示す平面図であり、(C)はドライバ(内部導電層)を示す平面図であり、(D)はドライバに接続されるビアを示す平面図である。
図5】冷却水路を示す平面図である。
図6】断熱層における微小空間の配置を示す断面説明図である。
図7】実施形態2の静電チャックの構造を示す断面説明図である。
図8】静電チャックの一部を拡大した断面説明図である。
図9】実施形態3の静電チャックにおける、本体基板の一部を拡大した断面説明図である。
図10】実施形態4の静電チャックにおける、本体基板の一部を拡大した断面説明図である。
図11】(A)は第1断熱層における微小空間の配置を示す断面説明図であり、(B)は第2断熱層における微小空間の配置を示す断面説明図である。
図12】実施形態4の別例の静電チャックにおける、本体基板の一部を拡大した断面説明図である。
図13】実施形態5の静電チャックにおける、本体基板の一部を拡大した断面説明図である。
図14】(A)は第1断熱層における微小空間の配置を示す断面説明図であり、(B)は第2断熱層における微小空間の配置を示す断面説明図である。
図15】実施形態6の静電チャックにおける、本体基板の一部を拡大した断面説明図である。
図16】(A)は第1断熱層における微小空間の配置を示す断面説明図であり、(B)は第2断熱層における微小空間の配置を示す断面説明図である。
図17】その他の実施形態の静電チャックにおける、(A)は第1断熱層における微小空間の配置を示す断面説明図であり、(B)は第2断熱層における微小空間の配置を示す断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(実施形態1)
本発明の第1の態様である静電チャックの実施形態について説明する。
【0035】
図1図6に示すように、本実施形態の静電チャック1は、ベース表面121及びベース裏面122を有する金属ベース12と、金属ベース12のベース表面121側に配置され、セラミックからなる本体基板11と、本体基板11に設けられた吸着用電極21と、本体基板11に設けられたヒータ41と、金属ベース12と本体基板11との間に配置された接着層13と、を備えている。
【0036】
同図に示すように、本体基板11は、ヒータ41よりも金属ベース12側に配置された断熱層51を含んでいる。断熱層51には、同一平面上において互いに所定の間隔を空けて配置された複数の微小空間511が設けられている。以下、この静電チャック1について詳細に説明する。
【0037】
図1図2に示すように、静電チャック1は、被吸着物である半導体ウェハ8を吸着保持する装置である。静電チャック1は、本体基板11、金属ベース12、接着層13等を備えている。本体基板11と金属ベース12とは、両者の間に配置された接着層13を介して接合されている。
【0038】
本実施形態では、本体基板11側を上側、金属ベース12側を下側とする。上下方向とは、本体基板11と金属ベース12との積層方向であり、本体基板11及び金属ベース12の厚み方向である。上下方向(厚み方向)に直交する方向とは、静電チャック1が平面的に広がる方向(平面方向、面方向)である。
【0039】
同図に示すように、本体基板11は、半導体ウェハ8を吸着保持する部材である。本体基板11は、基板表面111及び基板裏面112を有し、円板状に形成されている。本体基板11の基板表面111は、半導体ウェハ8を吸着する吸着面である。本体基板11は、複数のセラミック層(図示略)を積層して構成されている。各セラミック層は、アルミナを主成分とするアルミナ質焼結体からなる。
【0040】
本体基板11の内部には、吸着用電極21及びヒータ(発熱体)41が配置されている。吸着用電極21は、本体基板11の内部において、略同一平面上に配置されている。吸着用電極21は、直流高電圧を印加することにより静電引力を発生する。この静電引力により、半導体ウェハ8を本体基板11の基板表面(吸着面)111に吸着して保持する。吸着用電極21は、タングステンからなる。
【0041】
ヒータ41は、本体基板11の内部において、吸着用電極21よりも下方側に配置されている。ヒータ41は、本体基板11の内部において、略同一平面上に配置されている。ヒータ41は、タングステンからなる。吸着用電極21及びヒータ41を構成する材料としては、前述のタングステンの他、モリブデン、これらの合金等を用いることができる。
【0042】
同図に示すように、金属ベース12は、チタンからなる金属製の冷却用部材(クーリングプレート)である。金属ベース12は、ベース表面121及びベース裏面122を有し、円板状に形成されている。金属ベース12は、本体基板11の下方側に配置されている。金属ベース12の内部には、冷却媒体(例えば、フッ素化液、純水等)を流通させる冷却水路61が設けられている。
【0043】
同図に示すように、接着層13は、本体基板11と金属ベース12との間に配置されている。接着層13は、セラミックからなる本体基板11と金属ベース12との熱膨張差を緩和するような柔軟性のあるシリコーン樹脂製の接着剤により構成されている。本体基板11と金属ベース12とは、接着層13を介して接合されている。
【0044】
図3(A)に示すように、吸着用電極21は、前述のとおり、本体基板11の内部において、略同一平面上に配置されている。吸着用電極21は、平面視で円形状に形成されている。
【0045】
図3(B)に示すように、吸着用電極21の下方側には、ビア22が配置されている。ビア22は、本体基板11の中心軸に沿って上下方向に形成されている。ビア22は、吸着用電極21に接続されている。
【0046】
図1に示すように、静電チャック1の内部には、金属ベース12のベース裏面122から本体基板11側に向かって上下方向に形成された内部穴31が設けられている。内部穴31には、筒状の絶縁部材311が嵌め込まれている。内部穴31の底面には、メタライズ層23が設けられている。メタライズ層23は、ビア22に接続されている。すなわち、吸着用電極21は、ビア22を介して、メタライズ層23に接続されている。
【0047】
メタライズ層23には、接続端子312が設けられている。接続端子312には、端子金具313が取り付けられている。端子金具313は、電源回路(図示略)に接続されている。吸着用電極21には、接続端子312等を介して、静電引力を発生させるための電力が供給される。
【0048】
図4(A)に示すように、ヒータ(発熱体)41は、前述のとおり、本体基板11の内部において、略同一平面上に配置されている。長尺状の1本のヒータ41は、何度も折り返して略同心円状に配置されている。
【0049】
図4(B)に示すように、ヒータ41の下方側には、一対のビア42、43が配置されている。一対のビア42、43は、ヒータ41の一対の端子部411、412にそれぞれ接続されている。
【0050】
図4(C)に示すように、一対のビア42、43の下方側には、一対のドライバ(内部導電層)44、45が配置されている。一対のドライバ44、45は、一対のビア42、43にそれぞれ接続されている。各ドライバ44、45は、平面視で略半円形状に形成されている。
【0051】
図4(D)に示すように、一対のドライバ44、45の下方側には、一対のビア46、47が配置されている。一対のビア46、47は、一対のドライバ44、45にそれぞれ接続されている。
【0052】
なお、本体基板11の厚み方向に上から順に配置された一対のビア42、43、一対のドライバ44、45、一対のビア46、47は、図1図2において、その図示を省略している。これらは、本体基板11の内部におけるヒータ41よりも下方側に設けられている。
【0053】
図1に示すように、静電チャック1の内部には、金属ベース12のベース裏面122から本体基板11側に向かって上下方向に形成された内部穴32が設けられている。内部穴32には、筒状の絶縁部材321が嵌め込まれている。内部穴32の底面には、一対のメタライズ層48が設けられている(図1では一方のみを示す)。一対のメタライズ層48は、一対のビア46、47にそれぞれ接続されている。すなわち、ヒータ41(端子部411、412)は、ビア42、43、ドライバ44、45及びビア46、47を介して、メタライズ層48に接続されている。
【0054】
メタライズ層48には、接続端子322が設けられている。接続端子322には、端子金具323が取り付けられている。端子金具323は、電源回路(図示略)に接続されている。ヒータ41には、接続端子322等を介して、ヒータ41を発熱させるための電力が供給される。
【0055】
図5に示すように、冷却水路61は、金属ベース12の内部において、略同一平面上に配置されている。冷却水路61は、平面視で渦巻き状に形成されている。冷却水路61は、その一端から冷却媒体を導入し、その他端から冷却媒体を排出するよう構成されている。
【0056】
図1図2に示すように、静電チャック1の内部には、金属ベース12のベース裏面122から本体基板11側に向かって上下方向に形成された2つの内部穴33、34が設けられている。一方の内部穴33は、接着層13の上面(本体基板11の基板裏面112)の位置まで形成されている。内部穴33には、接着層13の温度を測定する接着層用温度センサ(熱電対)331が配置されている。他方の内部穴34は、ヒータ41近傍まで形成されている。内部穴34には、ヒータ41の温度を測定するヒータ用温度センサ(熱電対)341が配置されている。
【0057】
また、図示を省略したが、静電チャック1の内部には、半導体ウェハ8を冷却するヘリウム等の冷却用ガスの供給通路となる冷却用ガス供給路が設けられている。本体基板11の基板表面(吸着面)111には、冷却用ガス供給路が開口して形成された複数の冷却用開口部(図示略)及びその冷却用開口部から供給された冷却用ガスが本体基板11の基板表面(吸着面)111全体に広がるように形成された環状の冷却用溝部(図示略)が設けられている。
【0058】
そして、このような構成の静電チャック1において、図1図2に示すように、本体基板11には、断熱層51が含まれている。断熱層51は、ヒータ41よりも下方側(金属ベース12側)に配置されている。断熱層51は、本体基板11を構成する複数のセラミック層のうちの1層である。断熱層51の厚みは、例えば、0.3〜0.65mmとすることができる。断熱層51には、同一平面上において互いに所定の間隔を空けて配置された複数の微小空間511が設けられている。
【0059】
図6に示すように、各微小空間511は、円柱形状の空隙であり、形状や大きさが同一である。各微小空間511は、断熱層51を厚み方向に貫通して形成されている。本実施形態において、複数の微小空間511は、規則的に配置されている。複数の微小空間511は、四角形格子状に配置されている(微小空間511の中心が四角形の格子点の位置に配置されている)。微小空間511の径は、例えば0.5〜2mmとすることができる。微小空間511同士の間隔は、例えば、0.3〜2mmとすることができる。
【0060】
次に、静電チャック1の製造方法について説明する。
まず、従来公知の方法により、アルミナを主成分とするセラミックグリーンシートを作製する。本実施形態では、本体基板11となる複数のセラミックグリーンシートを作製する。複数のセラミックグリーンシートには、断熱層51となる1枚のセラミックグリーンシートが含まれている。
【0061】
次いで、複数のセラミックグリーンシートに対して、内部穴31、32、34となる空間、冷却用ガス供給路等の冷却ガスの流路となる空間、ビア22、42、43、46、47となるスルーホール等を必要箇所に形成する。また、断熱層51となる1枚のセラミックグリーンシートに、微小空間511となる複数の貫通孔をパンチングにより形成する。なお、微小空間511となる複数の貫通孔を形成する方法は、パンチングの他に、レーザー加工等の方法を用いてもよい。
【0062】
次いで、複数のセラミックグリーンシートにおいて、ビア22、42、43、46、47となる位置に形成したスルーホール内に、メタライズインクを充填する。また、複数のセラミックグリーンシートにおいて、吸着用電極21、ヒータ41、ドライバ44、45を形成する位置に、スクリーン印刷等の方法により、メタライズインクを塗布する。なお、メタライズインクは、アルミナを主成分とするセラミックグリーンシート用の原料粉末にタングステン粉末を混合してスラリー状としたものである。
【0063】
次いで、複数のセラミックグリーンシートを互いに位置合わせして積層、熱圧着し、積層体を得る。そして、積層体を所定の形状にカットする。その後、積層体を還元雰囲気中、1400〜1600℃の温度で焼成する。これにより、吸着用電極21、ヒータ41等が設けられ、かつ断熱層51を含む本体基板11を得る。
【0064】
次いで、本体基板11の必要な箇所に、メタライズ層23、48等を形成する。その後、シリコーン樹脂製の接着剤を用いて、本体基板11と金属ベース12とを接合する。なお、金属ベース12に対して、予め内部穴31、32、33、34となる空間等を必要箇所に形成しておく。これにより、本体基板11と金属ベース12とが接着層13により接合された静電チャック1を得る。
【0065】
次に、本実施形態の静電チャック1の作用効果について説明する。
本実施形態の静電チャック1において、本体基板11には、ヒータ41よりも金属ベース12側に配置された断熱層51を含んでいる。すなわち、断熱層51は、ヒータ41と接着層13との間に配置されている。そして、断熱層51には、同一平面上において互いに所定の間隔を空けて配置された複数の微小空間511が設けられている。そのため、断熱層51に設けた複数の微小空間511によって、ヒータ41と接着層13との間の断熱性を高め、ヒータ41から接着層13への熱の伝達を抑制できる。
【0066】
これにより、静電チャック1を高温で使用する場合であっても、使用時における接着層13の温度上昇を抑制できる。つまり、使用時における接着層13の温度を低減できる。よって、例えば、接着層13として、従来と同様の接着剤、つまりセラミックからなる本体基板11と金属ベース12との熱膨張差を緩和するような柔軟性のある接着剤(本実施形態のシリコーン樹脂製の接着剤)を用いても、接着層13の耐熱性及び耐久性を十分に確保できる。
【0067】
また、ヒータ41と接着層13との間の断熱性を高め、ヒータ41から接着層13への熱の伝達を抑制できるため、ヒータ41の昇温速度を向上させることができる。これにより、ヒータ41によって加熱される本体基板11及びその本体基板11に吸着保持される半導体ウェハ8の昇温性を高めることができる。また、従来よりも小さい電力量でヒータ41を効率良く発熱させることが可能となる。例えば、ヒータ41と冷却水路61との間に所定の温度差をつけることが従来よりも小さい電力量で可能となる。
【0068】
また、本実施形態において、静電チャック1は、ヒータ41の温度を測定するヒータ用温度センサ341と、接着層13の温度を測定する接着層用温度センサ331と、をさらに備えている。そのため、ヒータ41及び接着層13の温度を監視し、その情報をフィードバックしてヒータ41の発熱温度を制御することができる。これにより、例えば、接着層13の温度が耐熱温度を超えないようにヒータ41の発熱温度を制御することができる。よって、接着層13の耐熱性及び耐久性を十分に確保できる。
【0069】
また、断熱層51の複数の微小空間511は、規則的に配置されている。複数の微小空間511は、四角形格子状に配置されている(微小空間511の中心が四角形の格子点の位置に配置されている)。そのため、断熱層51(微小空間511)による断熱効果のばらつき(本体基板11の厚み方向に直交する方向のばらつき)を抑制できる。これにより、断熱層51(微小空間511)による断熱効果をさらに高めることができる。
【0070】
このように、本実施形態によれば、高温で使用する場合であっても十分に適用可能な静電チャック1を提供することができる。つまり、本実施形態の静電チャック1は、使用時の温度(例えばヒータ41の発熱温度や本体基板11の加熱温度)が従来に比べて高温になっても十分適用可能である。
【0071】
(実施形態2)
本発明の第2の態様である静電チャックの実施形態について説明する。
図7図8に示すように、本実施形態の静電チャック1は、基板表面111及び基板裏面112を有し、セラミックからなる本体基板11と、本体基板11に設けられた吸着用電極21と、本体基板11に設けられたヒータ41と、本体基板11に設けられ、ヒータ41よりも本体基板11の基板裏面112側に配置された冷却水路61と、を備えている。
【0072】
同図に示すように、本体基板11は、ヒータ41と冷却水路61との間に配置された断熱層51を含んでいる。断熱層51には、同一平面上において互いに所定の間隔を空けて配置された複数の微小空間511が設けられている。以下、この静電チャック1について、実施形態1と異なる部分を中心に説明する。実施形態1と同様の構成については説明を省略する。
【0073】
図7図8に示すように、静電チャック1は、本体基板11等を備えている。ただし、実施形態1とは異なり、接着層13及び金属ベース12(図1参照)を備えていない。本実施形態では、本体基板11の基板表面111側を上側、基板裏面112側を下側とする。上下方向とは、本体基板11の厚み方向である。上下方向(厚み方向)に直交する方向とは、静電チャック1が平面的に広がる方向(平面方向、面方向)である。
【0074】
同図に示すように、本体基板11は、複数のセラミック層(図示略)を積層して構成されている。各セラミック層は、窒化アルミニウムを主成分とする窒化アルミニウム質焼結体からなる。本体基板11の内部には、吸着用電極21及びヒータ(発熱体)41に加えて、冷却水路61が設けられている。
【0075】
図7に示すように、静電チャック1の内部には、本体基板11の基板裏面112から基板表面111側に向かって上下方向に形成された2つの内部穴31、32が設けられている。内部穴31、32内の構成は、実施形態1と同様である。また、実施形態1とは異なり、内部穴33、34(図1参照)が設けられていない。
【0076】
そして、このような構成の静電チャック1において、図7図8に示すように、本体基板11には、断熱層51が含まれている。断熱層51は、ヒータ41よりも下方側に配置され、冷却水路61よりも上方側に配置されている。すなわち、断熱層51は、ヒータ41と冷却水路61との間に配置されている。断熱層51には、同一平面上において互いに所定の間隔を空けて配置された複数の微小空間511が設けられている。微小空間511の構成は、実施形態1と同様である(図6参照)。
【0077】
次に、静電チャック1の製造方法について説明する。本体基板11となる複数のセラミックグリーンシートに対して、冷却水路61となる空間を必要箇所に形成しておくこと以外は、基本的に実施形態1と同様である。
【0078】
次に、本実施形態の静電チャック1の作用効果について説明する。
本実施形態の静電チャック1において、本体基板11は、ヒータ41と冷却水路61との間に配置された断熱層51を含んでいる。そして、断熱層51には、同一平面上において互いに所定の間隔を空けて配置された複数の微小空間511が設けられている。そのため、断熱層51に設けた複数の微小空間511によって、ヒータ41と冷却水路61との間の断熱性を高め、ヒータ41から冷却水路61への熱の伝達及び拡散を抑制できる。
【0079】
これにより、ヒータ41の昇温速度を向上させ、ヒータ41によって加熱される本体基板11及びその本体基板11に吸着保持される半導体ウェハ8の昇温性を高めることができる。よって、従来と異なり、接着層13及び金属ベース12(図1参照)を備えない構成としても、ヒータ41による加熱性能を十分に発揮でき、静電チャック1を高温で使用することが可能となる。
【0080】
また、ヒータ41と冷却水路61との間の断熱性を高め、ヒータ41から冷却水路61への熱の伝達を抑制できるため、従来よりも小さい電力量でヒータ41を効率良く発熱させることが可能となる。例えば、ヒータ41と冷却水路61との間に所定の温度差をつけることが従来よりも小さい電力量で可能となる。
【0081】
また、本実施形態において、断熱層51の複数の微小空間511は、規則的に配置されている。複数の微小空間511は、四角形格子状に配置されている(微小空間511の中心が四角形の格子点の位置に配置されている)。そのため、断熱層51(微小空間511)による断熱効果のばらつき(本体基板11の厚み方向に直交する方向のばらつき)を抑制できる。これにより、断熱層51(微小空間511)による断熱効果をさらに高めることができる。
【0082】
このように、本実施形態によれば、高温で使用する場合であっても十分に適用可能な静電チャック1を提供することができる。つまり、本実施形態の静電チャック1は、使用時の温度(例えばヒータ41の発熱温度や本体基板11の加熱温度)が従来に比べて高温になっても十分適用可能である。
【0083】
(実施形態3)
本実施形態は、図9に示すように、前述の実施形態1、2の静電チャック1において、断熱層51の構成を変更した例である。なお、実施形態1、2と同様の構成及び作用効果については説明を省略する。
【0084】
同図に示すように、本体基板11は、複数の断熱層51を含んでいる。本実施形態において、本体基板11には、2つの断熱層51(第1断熱層51a、第2断熱層51b)が含まれている。第1断熱層51a及び第2断熱層51bは、それぞれ本体基板11を構成する1層のセラミック層である。第1断熱層51aと第2断熱層51bとは、1層のセラミック層を挟んで本体基板11の厚み方向に所定の間隔を空けて配置されている。
【0085】
第1断熱層51a及び第2断熱層51bには、それぞれ複数の微小空間511(511a、511b)が設けられている。第1断熱層51aの微小空間511a及び第2断熱層51bの微小空間511bは、本体基板11の厚み方向から見た場合に、同じ位置に配置されている(図6参照)。すなわち、第1断熱層51aの微小空間511aと第2断熱層51bの微小空間511bとは、本体基板11の厚み方向において重なる位置に配置されている。
【0086】
本実施形態の場合、本体基板11は、断熱層51を複数含んでいる。断熱層51(51a)の微小空間511(511a)は、隣り合う他の断熱層51(51b)の微小空間511(511b)と本体基板11の厚み方向において重なる位置に配置されている。そのため、断熱層51(微小空間511)による断熱効果をさらに高めることができる。
【0087】
(実施形態4)
本実施形態は、図10図11に示すように、前述の実施形態3の静電チャック1において、断熱層51の微小空間511の構成を変更した例である。なお、実施形態3と同様の構成及び作用効果については説明を省略する。
【0088】
同図に示すように、第1断熱層51aの微小空間511a及び第2断熱層51bの微小空間511bは、本体基板11の厚み方向から見た場合に、異なる位置に配置されている。すなわち、第1断熱層51aの微小空間511aと第2断熱層51bの微小空間511bとは、本体基板11の厚み方向において重ならない位置に配置されている。
【0089】
具体的に、図11(A)に示すように、第1断熱層51aの各微小空間511aは、その全体が第2断熱層51bの微小空間511bと重ならない位置に配置されている。また、図11(B)に示すように、第2断熱層51bの各微小空間511bは、その全体が第1断熱層51aの微小空間511aと重ならない位置に配置されている。
【0090】
本実施形態の場合、断熱層51(51a)の微小空間511(511a)は、隣り合う他の断熱層51(51b)の微小空間511(511b)と本体基板11の厚み方向において重ならない位置に配置されている。そのため、断熱層51(微小空間511)による断熱効果のばらつき(本体基板11の厚み方向に直交する方向のばらつき)を抑制できる。これにより、断熱層51(微小空間511)による断熱効果をさらに高めることができる。
【0091】
なお、本実施形態において、第1断熱層51aと第2断熱層51bとは、1層のセラミック層を挟んで本体基板11の厚み方向に所定の間隔を空けて配置されているが、例えば、図12に示すように、第1断熱層51aと第2断熱層51bとの間にセラミック層を挟まず、第1断熱層51aと第2断熱層51bとが直接接する位置(隣接する位置)に配置されていてもよい。
【0092】
(実施形態5)
本実施形態は、図13図14に示すように、前述の実施形態3の静電チャック1において、断熱層51の微小空間511の構成を変更した例である。なお、実施形態3と同様の構成及び作用効果については説明を省略する。
【0093】
同図に示すように、第1断熱層51aと第2断熱層51bとは、両者の間にセラミック層を挟まず、直接接する位置(隣接する位置)に配置されている。第1断熱層51aの微小空間511aと第2断熱層51bの微小空間511bとは、本体基板11の厚み方向において重なる位置に配置されている。第1断熱層51aの微小空間511aと第2断熱層51bの微小空間511bとは、互いに重なる位置において連通している(空間同士がつながっている)。
【0094】
具体的に、図14(A)に示すように、第1断熱層51aの各微小空間511aは、その一部が第2断熱層51bの微小空間511bと重なる位置に配置されている。各微小空間511aは、4箇所においてそれぞれ別の微小空間511bと重なっており、かつ、これら4つの微小空間511bと本体基板11の厚み方向において連通している。
【0095】
第1断熱層51aの各微小空間511aは、平面視で見た場合、第2断熱層51bの微小空間511bと連通する部分の面積(微小空間511bと連通する連通部512aの合計面積)が連通しない部分の面積よりも小さい。各微小空間511aの径は、前述の実施形態3の微小空間511aの径よりも大きい。
【0096】
また、図14(B)に示すように、第2断熱層51bの各微小空間511bは、その一部が第1断熱層51aの微小空間511aと重なる位置に配置されている。各微小空間511bは、4箇所においてそれぞれ別の微小空間511aと重なっており、かつ、これら4つの微小空間511aと本体基板11の厚み方向において連通している。
【0097】
第2断熱層51bの各微小空間511bは、平面視で見た場合、第1断熱層51aの微小空間511aと連通する部分の面積(微小空間511aと連通する連通部512bの合計面積)が連通しない部分の面積よりも小さい。各微小空間511bの径は、前述の実施形態3の微小空間511bの径よりも大きい。
【0098】
本実施形態の場合、断熱層51(51a)の微小空間511(511a)は、隣り合う他の断熱層51(51b)の微小空間511(511b)と本体基板11の厚み方向において連通している。そのため、断熱層51(微小空間511)による断熱効果をさらに高めることができる。
【0099】
(実施形態6)
本実施形態は、図15図16に示すように、前述の実施形態5の静電チャック1において、断熱層51の微小空間511の構成を変更した例である。なお、実施形態5と同様の構成及び作用効果については説明を省略する。
【0100】
図16(A)に示すように、第1断熱層51aの各微小空間511aは、平面視で見た場合、第2断熱層51bの微小空間511bと連通する部分の面積(微小空間511bと連通する連通部512aの合計面積)が連通しない部分の面積よりも大きい。各微小空間511aの径は、前述の実施形態5の微小空間511aの径よりも大きい。
【0101】
図16(B)に示すように、第2断熱層51bの各微小空間511bは、平面視で見た場合、第1断熱層51aの微小空間511aと連通する部分の面積(微小空間511aと連通する連通部512bの合計面積)が連通しない部分の面積よりも大きい。各微小空間511bの径は、前述の実施形態5の微小空間511bの径よりも大きい。
【0102】
本実施形態の場合、第1断熱層51aの微小空間511aと第2断熱層51bの微小空間511bとが連通する部分を増やすことにより、断熱層51(微小空間511)による断熱効果をより一層高めることができる。
【0103】
(その他の実施形態)
本発明は、前述の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
【0104】
(1)前述の実施形態では、本体基板11に1つの断熱層51又は2つの断熱層51(51a、51b)を設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、本体基板11に3つ以上の断熱層51を設けてもよい。
【0105】
(2)前述の実施形態では、断熱層51(51a、51b)の微小空間511(511a、511b)を同一平面上において四角形格子状に配置したが、これに限定されるものではなく、例えば、図17に示すように、断熱層51の微小空間511を同一平面上において三角形格子状に配置してもよい。
【0106】
(3)断熱層51の微小空間511の形状、大きさ(径、高さ)、数、配置、配置の規則性、間隔等は、前述の実施形態に限定されるものではなく、種々様々に変更することができる。
【0107】
(4)前述の実施形態では、本体基板11における断熱層51とそれ以外の部分とを同時焼成により形成したが、例えば、断熱層51とそれ以外の部分とをそれぞれ別々に焼成し、それぞれの焼結体を拡散接合等により接合してもよい。この場合、断熱層51とそれ以外の部分とを熱膨張係数が同じ材料(好ましくは同素材)で構成し、互いに耐熱性がある接合界面を有していれば、高温使用時にクラックや剥がれ等の不具合が発生しにくくなる。
【符号の説明】
【0108】
1…静電チャック
11…本体基板
111…基板表面
112…基板裏面
12…金属ベース
121…ベース表面
122…ベース裏面
13…接着層
21…吸着用電極
41…ヒータ
51…断熱層
511…微小空間
61…冷却水路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17