(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
中央部に配設される上記直円錐、直角錐、直円錐台又は直角錐台状の凸部と、この凸部の周囲に配設され、表面が上記光放射面を形成する光放射板とを有する基材をさらに備え、
上記フレキシブルプリント配線板が少なくとも上記基材の凸部の表面に配設されている請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のLEDモジュール。
上記直円錐、直角錐、直円錐台又は直角錐台の底面中心を原点、かつ中心軸頂点方向を基準とし、この基準方向から左右に−90°から90°の範囲における光度が最大となる方向の基準方向からのなす角度の絶対値が40°以上80°以下である請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のLEDモジュール。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[本発明の実施形態の説明]
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様に係るLEDモジュールは、複数の発光ダイオードを備えるLEDモジュールであって、上記複数の発光ダイオードが直円錐、直角錐、直円錐台又は直角錐台の側面上のみに配設され、上記直円錐、直角錐、直円錐台又は直角錐台の底面の全周から一定長さ延出し、上記発光ダイオードの発する光の少なくとも一部を反射又は散乱する光放射面を有する。
【0015】
当該LEDモジュールは、複数の発光ダイオードを直錐体(直円錐、直角錐、直円錐台又は直角錐台)の側面上のみに配設することで、上記直錐体の底面中央を中心とする頂点側の半球状の全方位(LEDモジュールの正面側)において、光度の均一性を格段に向上することができ、配光分布(配光角)を大きくできる。さらに、当該LEDモジュールは、上記発光ダイオードから発せられる光が光放射面により反射又は散乱され、反射又は散乱した光が上記配光分布に組み入れられることにより、特定方向、特に浅い角度方向の光度を大きくできる。つまり、当該LEDモジュールは、レンズやプリズム等の部材を設けることなく、低コストで特定方向の光度を大きくできる。
【0016】
上記底面と光放射面とのなす平均角度としては、0°以上30°未満が好ましい。このように上記底面と光放射面とのなす平均角度を上記範囲内とすることで、配光角を著しく低下させず、かつ特定方向の光度を大きくできる。
【0017】
上記直円錐、直角錐、直円錐台又は直角錐台の中心軸を含む面において、上記発光ダイオードの中心及び上記光放射面の端部を結ぶ直線と上記中心軸とのなす平均角度としては、45°以上120°以下が好ましい。このように上記平均角度を上記範囲内とすることで、特定方向の光度を大きくしつつ、配光角をさらに大きくできる。ここで、「発光ダイオードの中心」とは、1つの側面に配設される発光ダイオードの発光面の幾何学的重心位置を指し、1つの側面に複数の発光ダイオードが配設されている場合は、それら全体の幾何学的重心位置を指す。
【0018】
上記光放射面の平均延出長さとしては、3mm以上150mm以下が好ましい。このように上記光放射面の平均延出長さを上記範囲内とすることで、反射又は散乱された光の光度を確保し易い。ここで、「光放射面の平均延出長さ」とは、直円錐、直角錐、直円錐台又は直角錐台の底面の外周(光放射面の内周)と光放射面の外周との最短距離の平均を指す。
【0019】
上記光放射面の反射率としては、50%以上が好ましい。このように上記光放射面の反射率を上記下限以上とすることで、特定方向、特に浅い角度方向の光度を強め易い。ここで「反射率」とは、境界面に入射角θで入射する光束(入射光)に対し反射角θで反射する光束(反射光)の割合を指す。
【0020】
上記光放射面の放射光全体に対する散乱光の割合としては、0%以上50%以下が好ましい。このように上記光放射面の放射光全体に対する散乱光の割合を上記範囲内とすることで、特定方向の光度が過度に強くなることを防止できる。ここで「散乱光」とは、放射光のうち反射光を除く成分を指す。
【0021】
中央部に配設される上記直円錐、直角錐、直円錐台又は直角錐台状の凸部と、この凸部の周囲に配設され、表面が上記光放射面を形成する光放射板とを有する基材をさらに備え、上記複数の発光ダイオードがフレキシブルプリント配線板に実装され、このフレキシブルプリント配線板が少なくとも上記基材の凸部に沿って配設されているとよい。このように凸部を有する基材に、発光ダイオードを実装したフレキシブルプリント配線板を凸部に沿って配設することで、容易かつ確実に直錐体の側面に発光ダイオードを配設することができる。また、上記基材が光放射板を有することで、上記発光ダイオードと光放射板との位置決めが容易となるため、好適な配光分布を有する光放射面を容易かつ確実に形成できる。その結果、当該LEDモジュールの製造コストをより低減することができる。
【0022】
上記凸部と光放射板とが一体成形されているとよい。このように上記凸部と光放射板とを一体成形することで、上記凸部に配設される発光ダイオードと光放射板との位置ずれ等が発生し難いため、容易かつ確実に好適な配光分布が得られる。
【0023】
上記凸部と光放射板とが着脱可能であるとよい。このように上記凸部と光放射板とを着脱可能とすることで、光放射板を取り替えることができ、例えば光放射板の放射光全体に対する散乱光の割合を容易に変えることができる。従って、使用条件に合わせて容易に好適な配光分布が得られる。
【0024】
上記光放射板の光放射面が取替可能に形成されているとよい。このように光放射面を取替可能とすることで、光放射板の配光特性を容易に変更することができるので、使用条件に合わせて容易に好適な配光分布が得られる。
【0025】
上記光放射板が金属製であるとよい。このように上記光放射板を金属製とすることで、光放射板の材料コストが低く、かつ加工が容易となるため、製造コストを削減できる。また、金属はその表面を鏡面とし易いため、表面を鏡面とすることで容易に光放射板の反射率を高めることができる。
【0026】
上記フレキシブルプリント配線板が、ベースフィルムと、このベースフィルムの表面側に積層され、かつ1又は複数のランド部及びこのランド部に接続する配線部を含む導電パターンと、上記導電パターンの表面に積層され、上記1又は複数のランド部に対応する位置に開口が形成されたカバーレイとを有し、上記フレキシブルプリント配線板の裏面のうち、上記発光ダイオードが実装される1又は複数のランド部の投影領域の少なくとも一部に導電パターン裏面に至る凹部を有し、この凹部に充填される熱伝導性接着剤をさらに備えるとよい。このように導電パターン裏面に至る凹部に熱伝導性接着剤を充填することで、導電パターンと基材とが熱伝導性接着剤を介して接続されるため、発光ダイオードの放熱効果を著しく促進することができる。
【0027】
ここで「ランド部」とは、導電パターンにおいて配線回路の途中にチップ部品を実装するための半田接続を行うために、半田接続ができるサイズにまで配線を拡大した部分のことをいう。通常はカバーレイのこの部分に相当する位置に開口部を形成して、半田接続用の導電部を露出させる。なお、この開口部がランド部の大きさに対し相対的に小さい場合、開口部内は全面が回路面(導電部)となる。逆に、開口部がランド部の大きさに対し相対的に大きい場合、開口部内にはランド部に相当するパッド形状の回路面とそれに接続する配線部とが存在してもよい。
【0028】
上記側面の上記底面に対する傾斜角としては、55°以上82°以下が好ましい。このように上記側面の上記底面に対する傾斜角を上記範囲内とすることで、配光角をさらに大きくできる。
【0029】
上記直円錐、直角錐、直円錐台又は直角錐台の底面中心を原点、かつ中心軸頂点方向を基準とし、この基準方向から左右に−90°から90°の範囲における光度が最大となる方向の基準方向からのなす角度の絶対値としては、40°以上80°以下が好ましい。このように上記光度が最大値となる角度の絶対値を上記範囲内とすることで、複数のLEDモジュールを用いた場合の空間全体の照度を均一に保ち易い。ここで、「光度」とは、JIS−C7801(2009)に準拠して測定される値である。
【0030】
上記基準方向の光度に対する上記範囲における光度の最大値の比としては、1以上3以下が好ましい。このように上記光度の最大値の比を上記範囲内とすることで、複数のLEDモジュールを用いた場合の空間全体の照度の均一性がさらに向上する。
【0031】
上記課題を解決するためになされた本発明の別の態様に係るLED照明器具は、当該LEDモジュールを備えるLED照明器具である。
【0032】
当該LED照明器具は、当該LEDモジュールを備えるため、低コストで特定方向の光度を大きくでき、複数のLED照明器具を用いた場合の空間全体の照度を均一に保つことができる。
【0033】
従って、当該LED照明器具は、特に電球として好適に用いることができる。
【0034】
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明に係るLEDモジュール及びLED照明器具の実施形態について図面を参照しつつ詳説する。なお、LEDモジュールの実施形態における「表裏」は、フレキシブルプリント配線板のベースフィルムの厚さ方向のうち、発光ダイオード積層側を表、発光ダイオード積層側と反対側を裏とする方向を意味し、当該LEDモジュールの使用状態における表裏を意味するものではない。
【0035】
図1、
図2及び
図3に示すLEDモジュール1は、直角錐台部2の側面上にのみ配設される複数の発光ダイオード3と、上記直角錐台部2の底面の全周から一定長さ延出し、上記発光ダイオード3の発する光の少なくとも一部を反射及び散乱する光放射面4aとを主に備える。具体的には、当該LEDモジュール1は、上記複数の発光ダイオード3と、直角錐台部2と略同形状の凸部及び上記凸部の周囲に配設され表面が上記光放射面4aを形成する光放射板4を有する基材5と、上記基材5の表面側に凸部に沿うように積層されたフレキシブルプリント配線板6と、上記基材5の裏面側に積層されたヒートシンク7とを備える。
【0036】
直角錐台部2は、フレキシブルプリント配線板6の基材5の凸部に沿って積層された部分で構成されており、底面(直角錐台部2の高さ方向に対向する2面のうち、面積の大きい面)が基材5側となり、かつ底面及び上面(底面との対向面)が基材5の表面と略平行となるように形成されている。また、上記複数の発光ダイオード3は、フレキシブルプリント配線板6の表面における直角錐台部2の側面を形成する領域にのみ配設されている。なお、「略平行」とは、一の面の法線と他の面とのなす角度が90±5°以内であることを意味する。
【0037】
<基材>
基材5は、バルク状又は板状の部材であり、中央部に配設される凸部及びその周囲に配設される光放射板4を備える。この凸部は、直角錐台部2と略同形状であり、この凸部に沿ってフレキシブルプリント配線板6を積層することで直角錐台部2が形成されている。また、光放射板4は、上記基材5の一部として形成されている。すなわち、上記基材5の凸部の周囲の表面が上記発光ダイオード3の発する光の少なくとも一部を反射及び散乱により放射する光放射面4aである。さらに、上記凸部と光放射板4とは一体成形されている。
【0038】
基材5の材質(光放射板4の材質)としては、表面が光を反射又は散乱する限り特に限定されないが、例えば金属、セラミック、ガラス等を挙げることができる。中でも放熱性の観点から基材5は金属製又はセラミックス製であることが好ましく、材料コストが低く、表面の鏡面加工が容易である点から金属製であることがさらに好ましい。
【0039】
基材5の金属としては、例えばアルミニウム、マグネシウム、銅、鉄、ニッケル、モリブデン、タングステン等を用いることができる。これらの中でも伝熱性、加工性及び軽量性に優れ、鏡面状の表面が得易いアルミニウムが特に好ましい。
【0040】
基材5の平均厚さについてバルク材や凸部をプレス成形によって形成しない板材の場合には制限はない。凸部をプレス成形によって形成する板材の場合における平均厚さの下限としては、0.3mmが好ましく、0.5mmがより好ましい。一方、基材5の平均厚さの上限としては、4mmが好ましく、3mmがより好ましい。基材5の平均厚さが上記下限未満である場合、基材5の強度が不十分となるおそれがある。一方、基材5の平均厚さが上記上限を超える場合、プレス成型による凸部の形成が困難になるおそれがあるほか、当該LEDモジュール1の重量や体積が不要に大きくなるおそれがある。
【0041】
基材5の凸部の形成方法は特に限定されないが、ダイカスト、冷間鍛造、切削加工、又はプレス成型によって容易かつ確実に形成することができる。例えばプレス成形の場合には、凸部形状を有する金型を金属平板に対向させてプレスすることで凸部を有する基材5を形成することができる。
【0042】
また、基材5は、当該LEDモジュール1に電力を供給する電源回路とフレキシブルプリント配線板6の導電パターンとを接続するためのリード線を挿通させる貫通孔5aを有している。
図1及び
図2では、この貫通孔5aは、上記凸部の上面に計2つ設けられているが、貫通孔5aの形成位置はこれに限定されず、後述するコネクタ8とリード線との接続が容易となる位置であって、光放射板4による光放射を妨げ難い位置に貫通孔5aを形成すればよい。
【0043】
(光放射面)
上述のように光放射面4aは、当該LEDモジュール1の基材5の凸部の周囲の表面に形成されている。
【0044】
図1の当該LEDモジュール1の光放射面4aは上記直角錐台部2の底面に対して平行であるが、
図3に示すように光放射面4aは上記直角錐台部2の底面に対して傾斜していてもよい。上記直角錐台部2の底面と光放射面4aとのなす平均角度(
図3中のα)の下限としては、0°が好ましく、5°がより好ましい。また、上記底面と光放射面4aとのなす平均角度としては、30°未満が好ましく、20°未満がより好ましい。上記底面と光放射面4aとのなす平均角度が上記下限未満である場合、光度が強くなる角度が浅くなり過ぎ、空間全体の照度が不十分となるおそれがある。一方、上記底面と光放射面4aとのなす平均角度が上記上限を超える場合、反射光が直角錐台部2の底面中央を中心軸Mとする頂点方向(以下、「頂点方向」ともいう)へ向かう傾向が強まり、配光角が小さくなるおそれがある。
【0045】
上記直角錐台部2の中心軸Mを含む面において、上記発光ダイオード3の中心及び上記光放射面4aの端部を結ぶ直線と上記中心軸Mとのなす底面側からの平均角度(光放射面4aの平均角度)(
図3中のβ)としては、45°が好ましく、60°がより好ましく、80°がさらに好ましい。また、上記光放射面4aの平均角度の上限としては、120°が好ましく、90°がより好ましい。上記光放射面4aの平均角度が上記下限未満である場合、発光ダイオード3の発光面の法線方向に対して光放射面4aの角度が浅くなり過ぎ、発光ダイオード3の発する光の放射が不足するおそれがある。一方、上記光放射面4aの平均角度が上記上限を超える場合、発光ダイオード3から浅い角度方向へ発せられた光が光放射板4の反射により遮蔽され、配光角が小さくなるおそれがある。
【0046】
光放射面4aの外形(基材5の平面視形状)としては、特に限定されないが、円形状又は上記底面の形状と相似する形状が好ましい。このように光放射板4の外形を上記形状とすることにより、照度分布が異方性を持ち難いので、空間全体の照度の均一性を向上できる。
【0047】
光放射面4aの平均延出長さの下限としては、3mmが好ましく、5mmがより好ましい。また、光放射面4aの平均延出長さの上限としては、150mmが好ましく、100mmがより好ましい。上記光放射面4aの平均延出長さが上記下限未満である場合、反射光の光度が不足するおそれがある。一方、光放射面4aの平均延出長さが上記上限を超える場合、当該LEDモジュール1を用いたLED照明器具の占有面積が大きくなり過ぎ、取り扱いが困難となるおそれがある。
【0048】
光放射面4aは、反射性又は光散乱性を有する。光放射面4aが反射性を有する場合、発光ダイオード3から発せられ光放射面4aに到達した光は、光放射面4aにより入射角と等しい反射角で反射され、発光ダイオード3から光放射面4aに反射されることなく直接放出される直接光と一緒になって放射される。このため、上記反射角方向の光度が強められる。光放射面4aは直角錐台部2の底面側に配設されているため、上記反射角方向は浅い角度方向となり、特に浅い角度の光度を強めることができる。
【0049】
上記光放射面4aの反射率の下限としては、50%が好ましく、60%がより好ましい。また、上記反射率の上限としては、特に限定されないが、例えば100%とすることができる。上記反射率が上記下限未満である場合、浅い角度方向の光度を十分に強くできず、空間全体の照度分布の均一化が不十分となるおそれがある。
【0050】
なお、光放射面4aに反射性を付与し、反射率を高めるためには、光放射板4の表面を鏡面状とするとよい。鏡面状の表面を得るためには、例えば金属板の切削加工による方法や、上記切削加工後に研磨を行う方法、金属を蒸着する方法等を挙げることができる。
【0051】
また、光放射板4が光散乱性を有する場合、光放射板4に入射した光はランバート散乱によりランバート分布に従う。そのため、頂点方向の光度が強められる傾向となる。このように光放射板4が光散乱性を有することで、特定方向、特に浅い角度方向の光度が過度に強くなることで空間全体の照度分布の均一性が低下することを防止できる。
【0052】
光放射板4の放射光全体に対する散乱光の割合の上限としては、50%が好ましく、40%がより好ましい。また、光放射板4の放射光全体に対する散乱光の割合の下限としては、特に限定されず、0%であってもよい。光放射板4の放射光全体に対する散乱光の割合を上記範囲内とすることで、
図4A及び
図4Bに示すように浅い角度方向の光度が強くなると共に、頂点方向へ向かう光度も適度に保持できる。これに対し、光放射板4の放射光全体に対する散乱光の割合が上記上限を超える場合、
図4Cに示すように浅い角度方向の光度が弱まり、法線方向の光度が相対的に強くなりすぎるおそれがある。なお、上記散乱光の割合は、光放射板4の材質や鏡面の粗さの変更等により変更することができる。
【0053】
なお、
図4A、
図4B及び
図4Cは、LEDモジュール1において、散乱光の割合を
図4Aでは0%、
図4Bでは50%、
図4Cでは100%とし、光度をシミュレーションにより算出した結果を極座標系で相対的に表したグラフである。上記LEDモジュール1の発光ダイオードは、高さ10mm、後述する底面に対する側面の傾斜角度69°の正六角錐台の各側面に1個ずつ計6個を発光ダイオードの中心の正六角錐台の底面からの高さが5mmとなるように配設した。また、光放射面は、平均延出長さを15mm、正六角錐台の底面と光放射面との平均角度を0°とした。各図中のグラフは、基準方向から左右に−90°から90°の範囲の光度を直角錐台の中心軸の全周囲で平均した値を示している。このグラフの同心円は光度の相対的強さを10%ごとに区切った目盛であり、外側に行くほど光度が強いことを示す。
【0054】
<フレキシブルプリント配線板>
フレキシブルプリント配線板6は、
図5A及び
図6Aに示すように可撓性及び絶縁性を有するベースフィルム6aと、ベースフィルム6aの表面側に積層される導電パターン6bと、ベースフィルム6a及び導電パターン6bの表面に積層されるカバーレイ6eとを主に有する。この導電パターン6bは、複数のランド部6cと、このランド部6cに接続される配線部6dとを有し、このランド部6cには発光ダイオード3が半田3aを介して電気的に接続されるように配設(実装)されている。また、カバーレイ6eには複数のランド部6cに対応する位置に開口が形成されている。なお、
図5Aはフレキシブルプリント配線板6を基材5の凸部に沿って積層する前の平面状の展開図を示している。また、見易くするために
図5Aではカバーレイ6eを省略している。
【0055】
(ベースフィルム)
上記フレキシブルプリント配線板6を構成するベースフィルム6aは、絶縁性及び可撓性を有するシート状部材で構成されている。このベースフィルム6aを構成するシート状部材としては、具体的には樹脂フィルムを採用可能である。この樹脂フィルムの主成分としては、例えばポリイミド、ポリエチレンテレフタレート等が好適に用いられる。なお、ベースフィルム6aは、充填材、添加剤等を含んでもよい。ここで、「主成分」とは、50質量%以上含有される成分を意味する。
【0056】
ベースフィルム6aは、
図5Aに示すように、同一形状の複数の台形が、正多角形の各辺と上辺が共有されるように接合された平面形状を有し、上記複数の台形部分のみに発光ダイオード3が実装される。ベースフィルム6aは、基材5の凸部に沿うように正多角形と各台形との接続辺で折り曲げられ、基材5の凸部の上面に正多角形部分が積層され、凸部の側面に各台形部分が積層される。また、ベースフィルム6aの上面に後述するコネクタ8が実装される。さらに、ベースフィルム6aは、基材5の凸部の貫通孔5aと対応する位置にリード線を挿通させる貫通孔9を有している。
【0057】
なお、ベースフィルム6aは、基材5の凸部に沿って配設された際に、隣接する台形部分の斜辺同士が当接するような形状を有することが好ましい。このようにベースフィルム6aを台形部分の斜辺同士が当接するような形状とすることで、直角錐台部2において基材5の表面が表出することを防いで、当該LEDモジュール1の光度の均一性及び意匠性を高めることができる。
【0058】
上記ベースフィルム6aの平均厚さの下限としては、9μmが好ましく、12μmがより好ましい。また、ベースフィルム6aの平均厚さの上限としては、50μmが好ましく、38μmがより好ましい。ベースフィルム6aの平均厚さが上記下限未満である場合、ベースフィルム6aの強度が不十分となるおそれがある。一方、ベースフィルム6aの平均厚さが上記上限を超える場合、ベースフィルム6aを凸部に沿って直錐体状に折り曲げることが困難になるおそれがある。
【0059】
(導電パターン)
導電パターン6bは、複数のランド部6c及びこのランド部6cに接続する配線部6dを有しており、ベースフィルム6aの表面に積層された金属層をエッチングすることによって所望の平面形状(パターン)に形成されている。ランド部6cは、ベースフィルム6aの各台形部分に1組(1の発光ダイオード3が実装可能な単位)ずつ設けられ、発光ダイオード3がそれぞれのランド部6cに実装されている。配線部6dは、これらの複数のランド部6c及びコネクタ8を直列に接続するように形成されている。
【0060】
上記導電パターン6bは、導電性を有する材料で形成可能であるが、一般的には例えば銅によって形成される。
【0061】
上記導電パターン6bの平均厚さの下限としては、5μmが好ましく、8μmがより好ましい。また、導電パターン6bの平均厚さの上限としては、75μmが好ましく、50μmがより好ましい。導電パターン6bの平均厚さが上記下限未満である場合、導通性が不十分となるおそれがある。一方、導電パターン6bの平均厚さが上記上限を超える場合、フレキシブルプリント配線板6のフレキシブル性を損なうおそれがある。
【0062】
(接着剤層)
上記フレキシブルプリント配線板6は、ベースフィルム6aの裏面に積層される接着剤層6hをさらに有し、この接着剤層6hにより基材5に接着される。この接着剤層6hは、ベースフィルム6aを基材5に接着可能な接着剤を主成分とする層である。この接着剤としては特に限定されず、例えばエポキシ系接着剤、シリコーン系接着剤、アクリル系接着剤等の熱硬化性接着剤を用いることができる。接着剤層6hには、必要に応じて添加剤を含有させることができる。ただし、当該LEDモジュール1は後述する熱伝導性接着剤層11a、11bを備えるため、接着剤層6hに熱伝導性を付与する必要はない。
【0063】
上記接着剤層6hの平均厚さの下限としては、5μmが好ましく、10μmがより好ましい。また、接着剤層6hの平均厚さの上限としては、50μmが好ましく、25μmがより好ましい。接着剤層6hの平均厚さが上記下限未満である場合、フレキシブルプリント配線板6と基材5との接着強度が不十分となるおそれがある。一方、接着剤層6hの平均厚さが上記上限を超える場合、当該LEDモジュール1が不要に厚くなるおそれや、導電パターン6bと基材5との距離が大きくなる結果、フレキシブルプリント配線板6の放熱性が不十分となるおそれがある。
【0064】
接着剤層6hには、後述する熱伝導性接着剤層11a、11bが充填される凹部10の裏側部分を画定する開口が形成されている。この裏側部分、つまり接着剤層6hにおける凹部10の裏側部分の開口の大きさは、凹部10の表側部分、つまり後述のベースフィルム6aにおける凹部10の開口の大きさよりも大きい。このように接着剤層6hにおける凹部10の開口を大きくすることによって、熱伝導性接着剤層11a、11bの充填作業を容易化することができる。また、ベースフィルム6aを除去して凹部10の表側部分を形成してから凹部10の裏側部分を画定する開口を形成した接着剤層6hを積層する場合、これらの位置合わせが容易となる。
【0065】
(凹部)
当該LEDモジュール1は、上記フレキシブルプリント配線板6の裏面のうち、1の発光ダイオード3が実装される複数のランド部6cの投影領域の少なくとも一部に導電パターン6b裏面に至る凹部10を有する。また、
図6Bに示すように、この凹部10内で、上記フレキシブルプリント配線板6の表面に略垂直な平面視で上記複数のランド部6cにおける配線部6dとの接続縁L1と対向する周縁L2を含む残存領域Pにベースフィルム6aが残存している。この残存領域Pは、1対のランド部6cの間の領域でもある。このようにベースフィルム6aを残存させることで、フレキシブルプリント配線板6を基材5に貼り付ける際に、ランド部6cの配線部6dとの接続縁L1と対向する周縁L2が押圧でフレキシブルプリント配線板6の裏面側に落ち込んでも残存領域Pのベースフィルム6aによってランド部6cと基材5との短絡を防止することができる。なお、
図6Bではカバーレイ6eの図示を省略している。また「配線部との接続縁」とは、配線部とランド部との境界線を意味し、「配線部との接続縁と対向する周縁」とは、ランド部の周縁のうち、接続縁上の点とランド部の幾何学的重心とを通る仮想直線が交差する部分を意味する。
【0066】
凹部10は、その底面に位置するランド部6cに実装される発光ダイオード3の投影領域と重複する領域に形成されている。つまり、凹部10の表側部分は、発光ダイオード3の投影領域を覆う領域のベースフィルム6aを上記残存領域P以外で除去して形成されている。また、凹部10の裏側部分は、表側部分の投影領域を覆う領域に形成されている。これによって、凹部10の開口は、上述のように、裏側の接着剤層6hの位置(裏側部分)で大きく、表側のベースフィルム6aの位置(表側部分)で小さくなるよう厚さ方向で段階的に拡径されている。
【0067】
なお、
図5A及び
図6Aのフレキシブルプリント配線板6では、複数のランド部6cの投影領域が全てベースフィルム6aでの凹部10の開口領域(表側部分、残存領域Pを含む)と平面視で重複しているが、本発明の熱伝達促進効果を奏する範囲であれば、ランド部6cの投影領域の一部がベースフィルム6aでの凹部10の開口領域と重複しなくてもよい。ベースフィルム6aでの凹部10とランド部6cとの重複面積(残存領域Pを除く)のランド部6cの総面積に対する割合の下限としては、80%が好ましく、90%がより好ましく、95%がさらに好ましい。上記面積割合が上記下限未満である場合、当該LEDモジュール1の熱伝達効果が不十分となるおそれがある。
【0068】
また、
図6Aのフレキシブルプリント配線板6では、凹部10の少なくとも表側部分が、複数のランド部6cに対応する位置に設けられたカバーレイ6eの開口部Hの投影領域を少なくとも覆う領域に形成されている。さらに、凹部10の少なくとも表側部分は、発光ダイオード3の投影領域を少なくとも覆う領域に形成されており、フレキシブルプリント配線板6の表面に略垂直な平面視で複数のランド部6c間にはカバーレイ6eが存在する。なお、
図6Aのフレキシブルプリント配線板6のカバーレイ6eの開口部Hの投影領域は、
図6Cに示すようにランド部6cの投影領域よりも小さく、ランド部6cの投影領域内に存在する。つまり、ランド部6cは、開口部Hによりその一部が表出している。
【0069】
ベースフィルム6aでの凹部10の開口面積の上限としては、発光ダイオード3の投影面積の2倍が好ましく、1.8倍がより好ましく、1.5倍がさらに好ましい。ベースフィルム6aでの凹部10の開口面積が上記上限を超える場合、ベースフィルム6aの除去領域が大きくなり、フレキシブルプリント配線板6を屈曲した場合等の絶縁信頼性が不十分となるおそれがある。なお、「凹部の開口面積」とは、凹部の底面(導電パターン又はカバーレイの表出裏面)の面積を意味し、残存領域Pの面積は含まない。
【0070】
ベースフィルム6aにおける凹部10の開口径(表側部分の径)と接着剤層6hにおける凹部10の開口径(裏側部分の径)との差の下限としては、2μmが好ましく、40μmがより好ましく、100μmがさらに好ましい。また、ベースフィルム6aにおける凹部10の開口径と接着剤層6hにおける凹部10の開口径との差の上限としては、1000μmが好ましく、600μmがより好ましく、200μmがさらに好ましい。ベースフィルム6aにおける凹部10の開口径と接着剤層6hにおける凹部10の開口径との差が上記下限未満である場合、熱伝導性接着剤層11a、11bの充填作業の容易化が不十分となるおそれがある。一方、ベースフィルム6aにおける凹部10の開口径と接着剤層6hにおける凹部10の開口径との差が上記上限を超える場合、熱伝導性接着剤層11a、11bの充填量が増加し、当該LEDモジュール1のコストが不要に大きくなるおそれや、基材5への接着強度が低下するおそれがある。なお、「開口径」とは開口と等面積の真円の直径を意味する。
【0071】
ベースフィルム6aの残存部の投影領域(残存領域P)と上記1のランド部6c(
図6A中の左側又は右側のランド部6cの一方)の投影領域との平均重複幅Wの下限としては、10μmが好ましく、30μmがより好ましく、50μmがさらに好ましい。また、上記平均重複幅Wの上限としては、500μmが好ましく、300μmがより好ましく、100μmがさらに好ましい。上記平均重複幅Wが上記下限未満である場合、ランド部6cと基材5との短絡防止効果が不十分となるおそれがある。一方、上記平均重複幅Wが上記上限を超える場合、凹部10と熱伝導性接着剤層11a、11bとによる放熱効果が不十分となるおそれがある。なお、「平均重複幅」とは、ランド部6cの投影領域における周縁のうち、ベースフィルム6aの残存部の投影領域と重複する部分の長さでランド部6cとベースフィルム6aの残存部との投影領域の重複部分の面積を除した値を意味する。
【0072】
(熱伝導性接着剤層)
当該LEDモジュール1は、熱伝導性接着剤層11a、11bを備える。熱伝導性接着剤層11a、11bは、凹部10に充填され、導電パターン6bと基材5とを接着する。具体的には、この熱伝導性接着剤層11a、11bは、導電パターン6bの裏面に積層され、凹部10の表面側に充填される第一熱伝導性接着剤層11aと、この第一熱伝導性接着剤層11aの裏面に積層され、凹部10の裏面側に充填される第二熱伝導性接着剤層11bとからなる。このように熱伝導性接着剤層11a、11bを2層に分けて形成することで、1層目(第一熱伝導性接着剤層11a)の形成後、ボイドの有無を確認してから2層目(第二熱伝導性接着剤層11b)を形成できるため、接着剤の充填を確実にすることで熱伝導性及び接着力の低下を防止することができる。
【0073】
熱伝導性接着剤層11a、11bは、それぞれ接着性樹脂成分と熱伝導性フィラーとを含有する。
【0074】
接着性樹脂成分としては、例えばポリイミド、エポキシ、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、酢酸ビニル樹脂、シリコーン樹脂、ゴム等が使用できる。接着性樹脂成分としてアクリル樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等を主成分とする粘着剤を用いれば、フレキシブルプリント配線板6を基材5に容易かつ確実に貼着できる。
【0075】
上記熱伝導性フィラーとしては、例えば金属酸化物、金属窒化物等を挙げることができる。上記金属酸化物としては、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ベリリウム、酸化マグネシウム等を用いることができる。これらの中でも、電気絶縁性、熱伝導性、価格等の観点から酸化アルミニウムが好ましい。また、上記金属窒化物としては、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素等を用いることができる。これらの中でも、電気絶縁性、熱伝導性及び低誘電率の観点から窒化ホウ素が好ましい。なお、上記金属酸化物及び金属窒化物は、2種以上を混合して用いることができる。
【0076】
熱伝導性接着剤層11a、11bにおける熱伝導性フィラーの含有量の下限としては、40体積%が好ましく、45体積%がより好ましい。また、熱伝導性フィラーの含有量の上限としては、85体積%が好ましく、80体積%がより好ましい。熱伝導性フィラーの含有量が上記下限未満である場合、熱伝導性接着剤層11a、11bの熱伝導性が不十分となるおそれがある。一方、熱伝導性フィラーの含有量が上記上限を超える場合、上記接着性樹脂成分と熱伝導性フィラーとの混合時に気泡が入り易くなり、耐電圧性が低下するおそれがある。なお、熱伝導性接着剤層11a、11bは、熱伝導性フィラー以外に硬化剤等の添加剤を含有してもよい。
【0077】
熱伝導性接着剤層11a、11bの熱伝導率の下限としては、1W/mKが好ましく、1.5W/mKがより好ましい。また、熱伝導性接着剤層11a、11bの熱伝導率の上限としては、20W/mKが好ましい。熱伝導性接着剤層11a、11bの熱伝導率が上記下限未満である場合、当該LEDモジュール1の放熱効果が不十分となるおそれがある。一方、熱伝導性接着剤層11a、11bの熱伝導率が上記上限を超える場合、熱伝導性フィラーの含有量が過多となり、上記接着性樹脂成分と熱伝導性フィラーとの混合時に気泡が入り易くなって耐電圧性が低下するおそれや、コストが過大となるおそれがある。
【0078】
第二熱伝導性接着剤層11bの熱伝導率は、第一熱伝導性接着剤層11aの熱伝導率よりも小さいことが好ましい。つまり、第二熱伝導性接着剤層11bの熱伝導性フィラーの含有量は、第一熱伝導性接着剤層11aの熱伝導性フィラーの含有量よりも小さいことが好ましい。このように第一熱伝導性接着剤層11aの熱伝導性フィラー含有量を大きくすると共に、第二熱伝導性接着剤層11bの熱伝導性フィラー含有量を小さくすることで、熱伝導性接着剤層全体での放熱効果を維持しつつ基材5との接着力を高められる。
【0079】
また、第一熱伝導性接着剤層11aを形成する接着剤のチキソ性(チキソトロピー)は、第二熱伝導性接着剤層11bを形成する接着剤のチキソ性よりも高いことが好ましい。第一熱伝導性接着剤層11aの接着剤のチキソ性を第二熱伝導性接着剤層11bよりも高めることで、凹部10への接着剤の充填性を高めて、より容易かつ確実に第一熱伝導性接着剤層11aを形成することができる。なお、チキソ性とは、一定の力を加えると粘度が低下し、静置すると元の粘度に回復する性質の指標であり、例えば低せん断速度での粘度を高せん断速度での粘度で割った比で表される。
【0080】
熱伝導性接着剤層11a、11bは高絶縁性であることが好ましい。具体的には、熱伝導性接着剤層11a、11bの体積抵抗率の下限としては、1×10
8Ωcmが好ましく、1×10
10Ωcmがより好ましい。熱伝導性接着剤層11a、11bの体積抵抗率が上記下限未満である場合、熱伝導性接着剤層11a、11bの絶縁性が低下し、導電パターン6bがベースフィルム6aの裏面側に積層される基材5と導通してしまうおそれがある。なお、体積抵抗率とは、JIS−C2139(2008)に準拠して測定される値である。
【0081】
熱伝導性接着剤層11a、11b全体の平均厚さ(第二熱伝導性接着剤層11bの裏面から導電パターン6bの裏面までの平均距離)は、ベースフィルム6aの平均厚さと接着剤層6hの平均厚さとの合計よりも大きいことが好ましい。具体的には、熱伝導性接着剤層11a、11b全体の平均厚さの下限としては、5μmが好ましく、10μmがより好ましい。また、熱伝導性接着剤層11a、11b全体の平均厚さの上限としては、100μmが好ましく、50μmがより好ましい。熱伝導性接着剤層11a、11b全体の平均厚さが上記下限未満である場合、熱伝導性接着剤層11a、11bがベースフィルム6aの裏面側に積層される基材5と十分に接触せず、熱伝達効果が不十分となるおそれがある。一方、熱伝導性接着剤層11a、11b全体の平均厚さが上記上限を超える場合、熱伝導性接着剤層11a、11bの充填量が増加しコストが嵩むおそれや、当該LEDモジュール1が不要に厚くなるおそれがある。
【0082】
第一熱伝導性接着剤層11aの平均厚さに対する第二熱伝導性接着剤層11bの平均厚さの比の下限としては、0.1が好ましく、0.2がより好ましい。また、第一熱伝導性接着剤層11aの平均厚さに対する第二熱伝導性接着剤層11bの平均厚さの比の上限としては、2が好ましく、1.5がより好ましい。第一熱伝導性接着剤層11aの平均厚さに対する第二熱伝導性接着剤層11bの平均厚さの比が上記下限未満である場合、接着性向上効果が不十分となるおそれがある。一方、第一熱伝導性接着剤層11aの平均厚さに対する第二熱伝導性接着剤層11bの平均厚さの比が上記上限を超える場合、放熱効果が不十分となるおそれがある。
【0083】
(カバーレイ)
フレキシブルプリント配線板6の表面の発光ダイオード3が実装される部分(ランド部6c)を除いた部分には、カバーレイ6eが積層される。このカバーレイ6eは絶縁機能及び接着機能を有し、ベースフィルム6a及び導電パターン6bの表面に接着される。カバーレイ6eが
図6Aに示すように絶縁層6fと接着層6gとを有する場合、絶縁層6fとしては、ベースフィルム6aと同じ材質を用いることができ、平均厚さもベースフィルム6aと同様とすることができる。また、カバーレイ6eの接着層6gを構成する接着剤としては、例えばエポキシ系接着剤等が好適に用いられる。接着層6gの平均厚さとしては、特に限定されるものではないが、12.5μm以上25μm以下が好ましい。
【0084】
上記カバーレイ6eの表面は、白色に着色されることが好ましい。カバーレイ6eの表面に白色層を形成することで、発光ダイオード3からの出射光が反射又は散乱されてフレキシブルプリント配線板6側へ戻ってきた光をさらに反射又は散乱するため、光線の利用効率を高めることができる。また、当該LEDモジュール1の意匠性を高めることができる。この白色層は、例えば白色顔料含有塗料の塗工等により形成することができる。
【0085】
(コネクタ)
導電パターン6bの両端にはコネクタ8が接続されている。このコネクタ8は、複数の発光ダイオード3を当該LEDモジュール1に電力を供給する電源回路と電気的に接続するための部材であり、導電パターン6bのランド部6cに実装されている。このコネクタ8には、貫通孔5aを貫通したリード線が接続され、発光ダイオード3に点灯用の電力を供給する。
【0086】
<直角錐台部>
直角錐台部2は、底面が正多角形の直角錐台状の部位である。直角錐台部2の側面の底面に対する傾斜角(
図3中のθ)の下限としては、55°が好ましく、60°がより好ましく、65°がさらに好ましく、68°が特に好ましい。また、直角錐台部2の側面の底面に対する傾斜角の上限としては、82°が好ましく、80°がより好ましく、75°がさらに好ましく、74°が特に好ましい。上記傾斜角が上記下限未満である場合、フレキシブルプリント配線板6の表面側(直角錐台部2の突出側)において、浅い角度方向の光度が頂点方向の光度に対して大きく低減し、照度分布の均一化が不十分となるおそれがある。上記傾斜角が上記上限を超える場合、フレキシブルプリント配線板6の表面側において、頂点方向の光度が浅い角度方向の光度に対して大きく低減し、照度分布の均一化が不十分となるおそれがある。
【0087】
直角錐台部2の底面は、
図1及び
図2では正六角形であるが、当該LEDモジュール1の直角錐台部2の底面の形状は正六角形に限定されない。ただし、直角錐台部2の底面は、正多角形とすることが好ましく、さらに底面の角数は奇数が好ましい。上記底面の角数が奇数の場合、より効果的に光度の均一性を向上することができる。
【0088】
上記底面の正多角形の角数の下限としては、5角が好ましく、7角がより好ましい。また、上記底面の正多角形の角数の上限としては、特に限定されないが、50角が好ましい。上記底面の正多角形の角数が上記下限未満である場合、照度分布の均一化が不十分となるおそれがある。一方、上記底面の正多角形の角数が上記上限を超える場合、直角錐台部2の側面積が小さくなって発光ダイオード3の配設が困難になるおそれがある。
【0089】
また、直角錐台部2の底面の形状としては、各辺の長さが異なる五角形等を採用することも可能である。光度の変動を効果的に抑制するには、直角錐台部2の底面の形状は正多角形とすることが好ましいが、各辺の長さが異なる多角形でも効果を得ることはできる。
【0090】
直角錐台部2の寸法は特に限定されず、当該LEDモジュール1を使用する照明器具の照度、大きさ等に合わせて適宜設計することができる。直角錐台部2の底面の外接円の直径としては、例えば10mm以上300mm以下とすることができる。直角錐台部2の上面の外接円の直径としては、例えば1mm以上30mm以下とすることができる。直角錐台部2の高さとしては、例えば5mm以上40mm以下とすることができる。
【0091】
<発光ダイオード>
発光ダイオード3は、フレキシブルプリント配線板6のランド部6cに半田3aを介して実装されている。この発光ダイオード3としては、多色発光タイプ又は単色発光タイプで、チップ型又は合成樹脂等でパッケージされた表面実装型の発光ダイオードを用いることができる。また、本発明の効果を高める観点から、レンズを備えていない発光ダイオードを用いることが好ましい。つまり、当該LEDモジュール1では、光度分布がランバート分布を示す発光ダイオードを用いることが好ましい。発光ダイオード3のランド部6cへの接続方法としては、半田に限らず、例えば導電性ペーストを用いたダイボンディング、金属線を用いたワイヤボンディング等を用いることもできる。
【0092】
複数の発光ダイオード3は、直角錐台部2の側面上にのみ配設され、直角錐台部2の上面には配設されていない。また、複数の発光ダイオード3は、発光面が直角錐台部2の側面と略平行となるように配設されている。
【0093】
隣接する発光ダイオード3の発光面の法線の直角錐台部2の底面への投影線のなす角(隣接する発光ダイオード3間の角度)は全て等しいことが好ましく、その角度の上限としては72°が好ましい。このように隣接する発光ダイオード3間の角度が異なる場合又はその角度が上記上限を超える場合、照度分布が異方性を持ち、均一性が不十分となるおそれがある。
【0094】
直角錐台部2の各側面における発光ダイオード3の配設数は
図1〜4では1としているが、発光ダイオード3の配設数は、当該LEDモジュール1を使用する照明器具の照度、大きさ等に合わせて適宜設計することができ、2以上としてもよい。なお、各側面における発光ダイオード3の配設数は、照度分布の異方性が抑えられるように同一とすることが好ましい。
【0095】
また、発光ダイオード3は直角錐台部2の各側面において同じ位置に配設することが好ましい。このように発光ダイオード3を各側面において同じ位置に配設することで、周回方向に発光ダイオード3を等間隔で配設できるため、照度分布の異方性が抑えられる。
【0096】
<ヒートシンク>
ヒートシンク7は、基材5の裏面側に積層される放熱部材である。ヒートシンク7は、中空又は中実の柱状の部材であり、基材5の平面形状と同様の底面を有する。
【0097】
ヒートシンク7の材質としては、伝熱性の高いものであれば特に限定されないが、軽量性及び加工性の観点からアルミニウムを好適に用いることができる。また、ヒートシンク7は金属板又は金属ブロックを機械加工して製造できるが、コストの観点からは金属板を用いることが好ましい。
【0098】
なお、基材5自体もある程度の放熱機能を有するため、ヒートシンク7は省略することもできる。
【0099】
ヒートシンク7の平均厚さの下限としては、0.3mmが好ましく、0.5mmがより好ましい。また、ヒートシンク7の平均厚さの上限としては、10mmが好ましく、8mmがより好ましい。ヒートシンク7の平均厚さが上記下限未満である場合、放熱効果が不十分となるおそれがある。一方、ヒートシンク7の平均厚さが上記上限を超える場合、当該LEDモジュール1の重量や体積が不要に大きくなるおそれがある。
【0100】
<LEDモジュールの指向性>
上記直角錐台部2の底面中心を原点、かつ中心軸頂点方向を基準とし、この基準方向から左右に−90°から90°の範囲における光度が最大となる方向の基準方向からのなす角度の絶対値(最大光度方向)の下限としては、40°が好ましく、45°がより好ましい。また、上記最大光度方向の上限としては、80°が好ましく、75°がより好ましい。上記最大光度方向が上記下限未満である場合、反射光が頂点方向へ向かう傾向が強まり、配光角が小さくなるおそれがある。一方、上記最大光度方向が上記上限を超える場合、光度が強くなる角度が浅くなり過ぎ、全体の照度が不十分となるおそれがある。
【0101】
上記基準方向の光度に対する上記範囲における光度の最大値の比(最大光度比)の下限としては、1が好ましい。また、上記最大光度比の上限としては、3が好ましく、2がより好ましい。上記最大光度比が上記下限未満である場合、最大光度方向の光の強度の強さが相対的に不足するため、浅い角度方向に最大光度方向を有する複数のLEDモジュールを用いた場合、空間全体の照度分布の均一化が不十分となるおそれがある。一方、上記最大光度比が上記上限を超える場合、光度のアンバランスにより照度分布の均一化が不十分となるおそれがある。
【0102】
<LEDモジュールの製造方法>
当該LEDモジュール1は、例えば
図7に示すように、基材5の凸部の周囲の表面に発光ダイオード3の光を反射又は散乱する光放射面4aを形成する工程と、基材5の表面側に凸部に沿うようにフレキシブルプリント配線板6を積層する工程と、基材5の裏面側にヒートシンク7を積層する工程とを備える製造方法によって製造することができる。なお、フレキシブルプリント配線板6の積層工程と、ヒートシンク7の積層工程とはどちらを先に行ってもよく、また同時に行ってもよい。
【0103】
基材5の凸部の周囲の表面に光放射面4aを形成する方法としては、例えば基材5に金属板を用いる場合、切削加工することにより鏡面状の表面を得る方法が挙げられる。さらに切削加工後に研磨を行ってもよい。
【0104】
フレキシブルプリント配線板6の基材5への積層方法としては、例えば次の各工程を有する方法を用いることができる。まず、凹部10の表側部分を画定する孔をベースフィルム6aに形成し、このベースフィルム6aの裏面に凹部10の裏側部分を画定する孔を有する接着剤シートを積層する。次に、凹部10に熱伝導性接着剤を充填する。その後、フレキシブルプリント配線板6を基材5の表面に積層してこれらを接着させる。
【0105】
ヒートシンク7の基材5への積層方法としては、例えばネジによって両者を固定する方法や、接着剤によって両者を接着する方法等を挙げることができるが、伝熱性を確保する観点からネジによって固定する方法が好ましい。
【0106】
<利点>
当該LEDモジュール1は、複数の発光ダイオード3を直角錐台部2の側面上のみに配設することで、上記直角錐台部2の底面中央を中心とする頂点側の半球状の全方位(LEDモジュール1の正面側)において、光度の均一性を格段に向上することができ、配光分布(配光角)を大きくできる。さらに、当該LEDモジュール1は、上記発光ダイオード3から発せられる光が光放射板4により反射又は散乱され、反射又は散乱した光が上記配光分布に組み入れられることにより、特定方向、特に浅い角度方向の光度を大きくできる。つまり、当該LEDモジュール1は、レンズやプリズム等の部材を設けることなく、低コストで特定方向の光度を大きくできる。
【0107】
また、凸部を有する基材5に、発光ダイオード3を実装したフレキシブルプリント配線板6を凸部に沿って配設することで、容易かつ確実に直角錐台部2の側面に発光ダイオード3を配設することができる。また、上記基材5が光放射板4を有することで、上記発光ダイオード3と光放射板4との位置決めが行い易く、好適な配光分布を有する光放射面4aが容易かつ確実に形成できる。その結果、当該LEDモジュール1の製造コストをより低減することができる。
【0108】
さらに、当該LEDモジュール1は、導電パターン6b裏面に至る凹部10に熱伝導性接着剤を充填することで、導電パターン6bと基材5とが熱伝導性接着剤を介して接続されるため、発光ダイオード3の放熱効果を著しく促進することができる。
【0109】
[LED照明器具]
次に、当該LEDモジュール1を用いたLED照明器具について説明する。
図8のLED照明器具は、例えば体育館や工場の高位置の天井に設置して用いる高出力のLED照明器具である。当該LED照明器具は、当該LEDモジュール1と、放熱スペース21と、筐体22と、口金23とを主に備える。
図8のLED照明器具は、例えば天井に発光ダイオード実装面が下向きになるように設置する場合の向きを示しており、当該LEDモジュール1を最下部に備え、発光ダイオード3が下方に、ヒートシンク7が上方になるように配設されている。このヒートシンク7は、放熱性を向上させるためにフィンを形成して表面積を大きくするとよい。
【0110】
放熱スペース21は、当該LEDモジュール1のヒートシンク7の上側に位置し、ヒートシンク7からの熱を排出し、筐体22側に熱を伝えないためのスペースである。筐体22側にさらに熱を伝え難くするため、この放熱スペース21に、例えば円板状の複数の放熱板を重ねて配設するとよい。
【0111】
筐体22は、放熱スペース21の上側に位置し、電源回路とその制御回路とが収納されている。安定動作の観点から、この電源回路は温度上昇を避ける必要があるため、発光ダイオード3から伝導する熱及び電源回路自体が発する熱を放散させるため、筐体22にスリットを入れたり、送風により放熱させるためのファンを筐体22に備えたりすることが好ましい。
【0112】
口金23は、筐体22の上側に位置し、当該LEDモジュール1及び筐体22の重量を支えると共に、商用の100V電源と接続される。この口金23の形状としては、公知のE39型がよい。口金23をE39型とすることで、商用の100V電源に接続される電球用ソケットに容易に着脱できる。
【0113】
当該LEDモジュール1のフレキシブルプリント配線板の端部のコネクタは、電気配線により放熱スペース21を介して筐体22内の制御回路及び電源回路と接続される。さらに、電源回路は、その上部にある口金23と電気配線により接続される。これらの接続により口金から供給される電力を複数の発光ダイオード3に供給し、これらを点灯させる。
【0114】
発光ダイオード3の総出力(LED照明器具のLEDモジュール出力の合計)としては、設置するLED照明器具の設置数等から決定されるが、例えば60W以上200W以下とできる。上記発光ダイオード3の総出力が上記下限未満である場合、LED照明器具の照度が不十分となるおそれがある。一方、上記発光ダイオード3の総出力が上記上限を超える場合、LED照明器具の照度は大きくなるが、LED照明器具の発熱量が増え、その放熱のためLED照明器具が大型化することで取り扱いが困難になるおそれがある。
【0115】
LED照明器具の光束としては、設置するLED照明器具の設置数等から決定されるが、例えば8000lm以上20000lm以下とできる。上記LED照明器具の光束が上記下限未満である場合、LED照明器具の照度が不十分となるおそれがある。一方、上記LED照明器具の光束が上記上限を超える場合、LED照明器具の照度は大きくなるが、LED照明器具の発熱量が増え、その放熱のためLED照明器具が大型化することで取り扱いが困難になるおそれがある。
【0116】
<利点>
当該LED照明器具は、当該LEDモジュール1を備えるため、低コストで特定方向の光度を大きくでき、LED照明器具の設置密度が低い場合でも、空間全体の照度を均一に保つことができる。
【0117】
[その他の実施形態]
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0118】
上記実施形態では、LEDモジュールの基材の凸部と光放射板とが一体成形されている場合を説明したが、上記凸部と光放射板とは一体成形されていなくともよく、例えば光放射板を基材に接着剤等を用いて貼り付けた構成であってもよい。
【0119】
また、上記凸部と光放射板とを着脱可能としてもよい。このように上記凸部と光放射板とを着脱可能とすることで、光放射板を取り替えることができ、例えば光放射板4の放射光全体に対する散乱光の割合を容易に変えることができる。従って、使用条件に合わせて容易に好適な配光分布が得られる。
【0120】
上記光放射板の光放射面が取替可能に形成されてもよい。このように光放射面を取替可能とすることで、光放射板の配光特性を容易に変更することができるので、使用条件に合わせて容易に好適な配光分布が得られる。
【0121】
さらに、上記実施形態では、1の直角錐台の側面に発光ダイオードを備えるLEDモジュールを示したが、その中心軸が略一致するように積層され、その側面に発光ダイオードを備える2又はそれ以上の直角錐台を有してもよい。例えば
図9A及び
図9Bは2の直角錐台を有するLEDモジュール101を示す。このLEDモジュール101は、正二十角錐台2aの上面に正十角錐台2bがその中心軸が略一致するように2段に積層されており、正二十角錐台2aの側面と正十角錐台2bの側面とに発光ダイオード3を備える。また、正十角錐台2bの底面は、正二十角錐台2aの上面よりも小さく、LEDモジュール101は、正二十角錐台2a及び正十角錐台2bの底面の全周から一定長さ延出する光放射面4a、4bを有する。このような構成においても、特定方向、特に浅い角度方向の光度が大きくできる。
【0122】
上記正二十角錐台2aの光放射面4aとしては、正二十角錐台2aの側面の発光ダイオード3の発する光を好適に放射できれば特に限定されず、例えば上記実施形態と同様の延出長さ、反射率、散乱光の割合等とすることができる。上記正十角錐台2bの光放射面4bとしても同様に正十角錐台2bの側面の発光ダイオード3の発する光を好適に放射できれば特に限定されないが、正二十角錐台2aの上面に形成するとよい。このように上記正十角錐台2bの光放射面4bを正二十角錐台2aの上面に形成することで、正二十角錐台2aの側面の発光ダイオード3が発する光の一部又は全部を正十角錐台2bの光放射面4bが遮蔽することを防止できる。
【0123】
上記実施形態では、当該LEDモジュールが基材とフレキシブルプリント配線板との積層体を備え、フレキシブルプリント配線板に発光ダイオードが実装されていたが、本発明はフレキシブルプリント配線板に発光ダイオードを実装したものに限定されない。例えば、複数のリジッドのプリント配線板を金属基材の凸部の側面にそれぞれ積層してその上に発光ダイオードを実装してもよい。また、凸部を有さない平板状の基材の上にプリント配線板で中空の直錐体を形成してもよいし、樹脂等で基材の上に凸部を形成し、この凸部を被覆するようにプリント配線板を配設して直錐体を形成してもよい。
【0124】
また、直錐体としては直円錐又は直円錐台を用いることも可能である。
【0125】
また、光放射面は曲面であってもよい。曲面の形状は特に限定されないが、例えば光放射面の内周から外周に向けて角錐体(又は角錐台)の底面と光放射面とのなす角度が徐々に大きくなる湾曲形状とすることができる。
【0126】
さらに、上記実施形態では、フレキシブルプリント配線板の裏面側に凹部を設け、熱伝導性接着剤層を充填する構成としたが、凹部は本発明の必須の構成要素ではなく、フレキシブルプリント配線板のベースフィルムの裏面全体に通常の接着剤層又は熱伝導性接着剤層を積層してもよい。
【0127】
また、上記凹部を設ける場合、熱伝導性接着剤層を2層に分けることなく、1種の熱伝導性接着剤の充填により熱伝導性接着剤層を設けてもよい。また、ベースフィルムは平面視でランド部における配線部との接続縁を含む領域に残存させてもよい。このように残存領域を設けても、ランド部の裏面側(基材側)への落ち込みによる基材との短絡を抑制することができる。
【0128】
さらに、
図6Dに示すように凹部を設ける場合にベースフィルムを残存させないLEDモジュールも本発明の意図する範囲内である。このLEDモジュールでは、凹部10の少なくとも表側部分が、複数のランド部6cに対応する位置に設けられたカバーレイ6eの開口部の投影領域及び発光ダイオード3の投影領域を少なくとも覆う領域に形成されている。さらに、フレキシブルプリント配線板6の表面に略垂直な平面視で複数のランド部6c間にはカバーレイ6eが存在する。
図6DのLEDモジュールのベースフィルム6aでの凹部10の開口面積の上限及び下限は、上記
図6AのLEDモジュールと同様とすることができる。
【0129】
また、
図6EのLEDモジュールのように、フレキシブルプリント配線板6が複数のランド部6cの投影領域に貫通孔12を有してもよい。この貫通孔12は、複数のランド部6cの投影領域内に形成され、フレキシブルプリント配線板6の導電パターン6b及びカバーレイ6eを貫通している。この貫通孔12内と、その裏面側及び上部とにも熱伝導性接着剤を充填することで、発光ダイオード3の裏面に熱伝導性接着剤が当接し、発光ダイオード3の放熱効果をさらに促進することができる。また、熱伝導性接着剤充填時に熱伝導性接着剤が凹部10以外に漏出することを防止することができる。
【0130】
上記貫通孔12の平均面積の下限としては、0.005mm
2が好ましく、0.01mm
2がより好ましい。一方、貫通孔12の平均面積の上限としては、1mm
2が好ましく、0.5mm
2がより好ましい。貫通孔12の平均面積が上記下限未満の場合、熱伝導性接着剤の漏出防止効果や、放熱効果の促進が不十分となるおそれがある。逆に、貫通孔12の平均面積が上記上限を超える場合、フレキシブルプリント配線板6の強度が低下するおそれがある。
【0131】
上記貫通孔12は、凹部10を形成する前又は後、或いは凹部10と同時に形成することができる。貫通孔12の形成方法としては、凹部10の表側部分の形成方法と同様の方法を用いることができる。なお、複数の貫通孔12を1の凹部10内に形成してもよい。
【0132】
また、上記実施形態では、凹部を1の発光ダイオードが接続される複数のランド部の投影領域を含むように形成したが、1の発光ダイオードが接続される1のランド部の投影領域と、他の発光ダイオードが接続される1のランド部の投影領域とを含むように複数の発光ダイオード間を跨るように凹部を形成してもよい。
【0133】
さらに、上記各実施形態では凹部を複数のランド部の投影領域を包含する領域に形成したが、凹部を1のランド部の投影領域を含むように形成してもよい。加えて、凹部の形成領域は発光ダイオード及びランド部の投影領域と重複しない領域を含んでもよい。
【0134】
なお、当該LED照明器具は、商用の100V電源に接続される電球用ソケットに接続する形態以外の形態の照明器具に適用することも可能である。
【0135】
また、上記実施形態では、高出力のLED照明器具の場合を説明したが、例えば60W以下の低出力の照明器具に適用することも可能である。
【実施例】
【0136】
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0137】
図9A及び
図9Bに示すLEDモジュール101において、アルミニウム製の基材5及び直角錐台としてアルミニウム製の正二十角錐台2aと正十角錐台2bとを用意した。これらの直角錐台の側面の底面に対する傾斜角はそれぞれ69°である。基材5の凸部の周囲の表面及び正二十角錐台2aの正十角錐台2bの周囲の上面を研磨により鏡面とし、光放射面を形成した。なお、基材5の凸部の周囲の表面(光放射面4a)と正二十角錐台2aの底面とのなす平均角度及び正二十角錐台2aの正十角錐台2bの周囲の上面(光放射面4b)と正十角錐台2bの底面とのなす平均角度は、いずれも0°である。また、光放射面の平均延出長さは、いずれも15mmである。
【0138】
次に、正二十角錐台2aの側面に沿うことができる20の台形部分を有するフレキシブルプリント配線板と、正十角錐台2bの側面に沿うことができる10の台形部分を有するフレキシブルプリント配線板とを準備した。この2枚のフレキシブルプリント配線板の各台形部分に、中心にレンズを有さない1の発光ダイオード3を実装した。また、それぞれのフレキシブルプリント配線板に実装した複数の発光ダイオード3が導電パターンによって接続され、その配線の端部がコネクタとなるよう上記2枚のフレキシブルプリント配線板を構成した。上記各フレキシブルプリント配線板は、その裏面の発光ダイオード3が実装される領域に凹部を有しており、その凹部には高熱伝導性の樹脂を充填した。さらに、上記各フレキシブルプリント配線板の発光ダイオード3以外の領域(カバーレイ表面)は、白色とした。そして、この2枚のフレキシブルプリント配線板をそれぞれ正二十角錐台2aの側面と正十角錐台2bの側面とに配設した。
【0139】
上記正二十角錐台2aと正十角錐台2bとを重ね合わせネジで固定した。さらに放熱に十分な面積のフィンを有するアルミニウム製のヒートシンク7を基材の裏面に固定し、その表面には放射による高放熱性を有する塗料を塗布した。このようにして、LEDモジュールを得た。
【0140】
上記LEDモジュールを用い、
図8と同様の構成のLED照明器具を組み立てた。このLED照明器具は、30個の発光ダイオードを備え、発光ダイオードの総出力100Wで、光束10000lmの電源内蔵型の高出力照明とした。
【0141】
上記LEDモジュールを発光ダイオード3が下方に向くように商用の100V電源に接続される電球用ソケットに接続し点灯させ、配光特性を測定した。
【0142】
得られた配光特性より鉛直下向きから絶対値で70°の角度方向に最も強い光度を確認した。また、配光角は、189°であった。平面的に複数の発光ダイオードが並置した従来の高出力照明機器(配光角約120°)に比べ、はるかに広い範囲が明るく照らされていることを確認した。
【0143】
また、長時間(6時間以上)点灯後のLED温度は98℃であり、定格(120℃)以下となっており、LED照明器具が十分な放熱性を有していることを確認した。
【0144】
以上から、LEDモジュールが光放射面を有することで、特定方向、特に浅い角度方向の光度が大きくでき、広い空間で照度を高く保つことができることが分かる。