特許第6392672号(P6392672)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6392672
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】除湿機の排水タンク
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/26 20060101AFI20180910BHJP
   F24F 1/02 20110101ALI20180910BHJP
   F24F 13/22 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
   B01D53/26 100
   F24F1/02 451
   F24F1/02 371J
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-2850(P2015-2850)
(22)【出願日】2015年1月9日
(65)【公開番号】特開2016-128141(P2016-128141A)
(43)【公開日】2016年7月14日
【審査請求日】2017年6月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】樋渡 義一
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 貢也
【審査官】 田中 則充
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−226592(JP,A)
【文献】 特開2008−200596(JP,A)
【文献】 特開2006−043523(JP,A)
【文献】 特開2004−060172(JP,A)
【文献】 特開平09−278034(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D53/26−53/28
B65D43/00
F24F 1/02
F24F13/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
除湿機本体内に着脱可能に設けた排水タンクにおいて
上方に開口部を備え、この開口部を形成するタンク側壁上端の一辺に排水側上端と、他の三辺に係合側上端とを設けたタンクケースと、
前記開口部に蓋を設け、この蓋は軟質プラスチック材料で形成されると共に、
前記タンクケースの前記タンク側壁上端に嵌合又は係止により取り付けられる係合部と
前記排水タンクに溜まった水を捨てるときに排水を行う排水部を設け、
前記排水部は、
前記係合部の内側に係合部と略並行に肉薄状の第1ヒンジ部と、
前記第1ヒンジ部の角から前記排水側上端側のタンク側壁に向かって延びる肉薄状の第2ヒンジ部と、
前記第1ヒンジ部と前記第2ヒンジ部とで区画され、前記蓋の面を形成する摺動面とを有していると共に、
前記摺動面の前記排水側上端側の端部と、前記排水側上端側のタンク側壁との間に隙間を備え、
前記摺動面は前記第1ヒンジ部と前記第2ヒンジ部で上下に凹凸可能とし、
前記摺動面に上向きに突起を備え、
前記突起を引き上げたときに、上に凸となった前記摺動面の端部と前記排水側上端の間に排水口を形成することを特徴とする除湿機のタンク。
【請求項2】
前記第2ヒンジ部は、第1ヒンジ部の角から延びて前記排水側上端側のタンク側壁の幅方向の略中央で接する2本の直線状とし、
前記摺動面の前記排水側上端側の端部における前記第1ヒンジ部から2本の前記第2ヒンジ部の接点を介して前記第1ヒンジ部にいたる直線寸法(a+b)は、前記摺動面の幅方向の前記第1ヒンジ部間の直線距離cよりも長くしたことを特徴とする請求項1記載の除湿機のタンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、除湿機から発生するドレン水を集めて貯水し、満水時には本体から引き出して運搬し、排水をする除湿機の排水タンクの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種のものに於いては、除湿機の枠体下部に排水タンクを備え、除湿運転で発生したドレン水を貯水し、この排水タンクが満水になることで運転を停止する。排水タンク内に貯水したドレン水を捨てるには排水タンクを除湿機側面より引き出す必要があり、この引き出し時に排水タンク後方にドレン水がこぼれたり、排水タンク運搬時に水跳ねで床面を汚す危険があった。これを防止するために、排水タンク上面に上下方向に取り外す蓋構造部材が取り付けられているものが多かった。(例えば、特許文献1参照)
また、前記蓋の角部のみを肉薄のヒンジを利用して部分的に折り曲げて部分的に排水口を形成するものが有った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001―65919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この従来例ように、満水の水捨てによる排水作業では、蓋全体又は一部を取り外す場合、プラスチック材料は経年変化による変形や硬化によってタンクケースへの着脱がスムーズに行うことができなくなり、着脱に手間がかかったり、正確に取り付けなかった場合には、除湿機への排水タンク着脱時に引っかかり等によって排水タンクが正常に装着できない問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明はこの点に着目し上記欠点を解決する為、特にその構成を、除湿機本体内に着脱可能に設けた排水タンクにおいて、上方に開口部を備え、この開口部を形成するタンク側壁上端の一辺に排水側上端と、他の三辺に係合側上端とを設けたタンクケースと、前記開口部に蓋を設け、この蓋は軟質プラスチック材料で形成されると共に、前記タンクケースの前記タンク側壁上端に嵌合又は係止により取り付けられる係合部と、前記排水タンクに溜まった水を捨てるときに排水を行う排水部を設け、前記排水部は、前記係合部の内側に係合部と略並行に肉薄状の第1ヒンジ部と、前記第1ヒンジ部の角から前記排水側上端側のタンク側壁に向かって延びる肉薄状の第2ヒンジ部と、前記第1ヒンジ部と前記第2ヒンジ部とで区画され、前記蓋の面を形成する摺動面とを有していると共に、前記摺動面の前記排水側上端側の端部と、前記排水側上端側のタンク側壁との間に隙間を備え、前記摺動面は前記第1ヒンジ部と前記第2ヒンジ部で上下に凹凸可能とし、前記摺動面に上向きに突起を備え、前記突起を引き上げたときに、上に凸となった前記摺動面の端部と前記排水側上端の間に排水口を形成するものである。
【発明の効果】
【0006】
この発明によれば、摺動面のたわみによる上下動によって排水口を形成するので、蓋の取り外しを行う必要が無く、摺動面のたわみの作用で摺動面は排水口を形成する最上部と、結露水を集める最下部の2つの位置を形成するのみなので、水捨て作業を簡単にし、構造が単純なのでコストダウンができる。
また、プラスチック材料は経年変化による変形や硬化によって、除湿機への排水タンク着脱時に引っかかり排水タンクが正常に装着できないと言うような問題も解消できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】この発明一実施例の背面側の斜視図。
図2】同側面の断面図。
図3】同通常時の拡大斜視図。
図4】同水捨て時の拡大斜視図。
図5】同水捨て作業の説明図。
図6】同摺動面のたわみ状態の説明断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次にこの発明に係る除湿機を図面に示された一実施例で説明する。
1は除湿機の枠体で底板2上に前方の前ケース3と後方の後ケース4と上面を覆う天板5を設けて本体の外郭を構成している。
6は前記枠体1背面に形成された吸込口で、前記後ケース4に横長のスリットを多数備えた開口が設けられている。
【0009】
前記吸込口6の内側には樹脂製の網や不織布から成り吸入空気に混入するホコリを取り除くフィルタ7を備えている。このフィルタ7の内側にはフィンチューブ式の熱交換器からなる蒸発器8を備え、吸込空気を冷却することにより空気中の水分を結露させ除湿を行う。
【0010】
前記蒸発器8の更に下流には蒸発器8と同じくフィンチューブ式の熱交換器からなる凝縮器9を備え、蒸発器8にて冷却された空気の加熱を行う。
前記凝縮器9下流にはシロッコファン型の送風ファン10及びこのファン10を駆動するファンモータ11を設けている。
【0011】
前記送風ファン10の風下側の真上にはシーズヒータから成るヒーター12を設け、このヒーター12は衣類乾燥時や冬期間に室温が低くなり除湿の効率が低下する事を防止するものであり、消費電力は約400〜500W程である。
【0012】
前記前ケース3の内側でファンモータ11との間には送風ファン10を包囲して前記吹出口13側へ送風を導くファンケーシング14を備え、このファンケーシング14の中央からやや右側上部にはスタビライザ(図示せず)を設け、上方向の前記ヒーター12及び吹出口13へ向かって送風するものである。
【0013】
前記天板5は略平面の上面部15と、この上面部15の略中央から背面上部にわたって前記吹出口13を形成し、この吹出口13内で前記上面部15の略中央部分に水平ルーバー16を設けている、この水平ルーバー16は回転軸17を中心に回動自在であり、回動によって真上方から真後ろ側(背面側)水平方向の間(約90度)の風向を変化し、除湿機の運転停止時には自動で、後ろ側水平方向吹出位置にて上面部15に収納される。
【0014】
前記送風ファン10からの送風は前面側から上面中央の水平ルーバー16に向けて送風され、水平ルーバー16が開いた状態では、乾燥空気を真上方向に送風することで除湿機の上方に位置する洗濯物の乾燥が効率よく行われる。また、水平ルーバー16が閉じた状態(上面部に収納された状態)では、乾燥空気を真後ろの背面側に送風することで室内全体の除湿や押し入れ等の部分的な除湿運転に適するものである。
【0015】
前記吸込口6と蒸発器8、凝縮器9、送風ファン10、吹出口13を連通して送風経路18を形成している。
【0016】
19は取手で、転倒時には天板5の吹出口13左右に形成された溝20によって、中央から後ろ側にかけて収納され、起立時には天板5の略中央の溝20に設けられた取手用軸(図示せず)を中心として回動して上面中央上方に位置するものであり、回動自在でコの字型に形成され、使用時には回動して吹出口7上方に位置し除湿機運搬に使用する。
【0017】
21は前記天板5の前側端部に設けられた操作部で、運転スイッチやタイマースイッチ等のスイッチ類(図示せず)や運転ランプ等の表示部(図示せず)を備え、この操作部21の裏面であり、下方にはスイッチやランプが固定され、回路構成を備えた操作部基盤22が設けられている。
【0018】
前記蒸発器8の下方には結露水を受けるドレン皿23を設けている。24は一方をこのドレン皿23の底面に接続し、他方を排水タンク25の上部に位置させた排水路で、前記ドレン皿23で集めた結露水を前記排水タンク25へ導くものである。
【0019】
26は透明なプラスチック材料で形成されたタンクケースで、上方には開口部27を備え、この開口部27を形成する側壁上端の一部(一辺)に排水側上端28を設け、他の三辺に係合側上端29を設けている。
【0020】
30は前記開口部27に取り付ける蓋で、ポリエチレンやポリプロピレン等の軟質プラスチック材料で形成され、前記タンクケース26の係合側上端29に嵌合又は係止により取り付けられる係合部31と、排水側上端28を含むタンク側壁32との間に隙間33を設けて上下に摺動する排水部34を備えている。前記係合部31の内側10〜20mmに係合部31と略平行に肉薄状の第1ヒンジ部35を設け、この第1ヒンジ部35の角部36から排水部34の略中央に向かって第2ヒンジ部37を設け、第1ヒンジ部35と排水部34で囲まれた柔軟な摺動面38を形成している。また、蓋30の材質は上下動によって摺動面38が程よくたわんで上下方向の摺動が可能で、上方向に吐出した状態では形状を安定して維持できる最低限の硬度は必要なものである。
【0021】
39は前記摺動面38の排水部34近傍に上向きに設けた突起で、摺動面38を上下動させる時(特に摺動面38が下側に凹んでいる時に引き上げる)に使用する摘みの役割をするものである。40は前記突起39を引き上げて最上部の位置にしたときに排水側上端28を越えて形成される排水口である。41はタンクケース26の前面上部に備えたタンク取手で、排水タンク25を除湿機の下部に横方向に抜き差しするためにしようする。また、排水タンク25内には満水を検知するためのフロート(図示せず)や排水タンク25の近傍には、満水時の前記フロートの動きを検出して除湿機の運転を停止すると共にランプ等で表示する満水検知装置(図示せず)を備えている。
【0022】
結露水の流れと排水処理の手順について説明すれば、除湿機の運転により蒸発器8で発生した結露水はドレン皿23で集められ排水路24を通って排水タンク25の上面(摺動面38)に流れ、除湿機にセットした状態では摺動面38は下側に下り勾配であるので、摺動面38をつたわって排水タンク25に貯水される。水位が徐々に上昇して満水を検知すれば除湿機は停止して満水の表示を行う。使用者は除湿機から排水タンク25を抜いて、洗面所等まで排水タンク25を持ち運び、突起39を上方向に引き上げることで、摺動面38がたわんだのち上方向に突出し、排水部34の先端が排水側上端28を越えて三角形型に排水口40が形成され、排水タンク25を傾け排水口40から結露水を流して捨てる。次に、空になった排水タンク25の突起39を下方に押し下げれば摺動面38が下方に凹ませて通常の状態に戻し、除湿機に差し入れてセットすれば除湿機の再運転を行うことができるものである。
【0023】
また、図6のように摺動面38の寸法はa+b>cであり、突起39を上方向に引き上げる時に摺動面38の柔軟性で変形して図4の状態になるもので、cの寸法を一定とした場合、a+bの寸法が大きくなれば摺動面38はより大きな柔軟性を必要とするものである。
【0024】
このように、摺動面38のたわみによる上下動によって排水口40を形成するので、蓋30の取り外しを行う必要が無く、摺動面38のたわみの作用で摺動面38は排水口40を形成する最上部と、結露水を集める最下部の2つの位置を形成するのみなので、水捨て作業を簡単にし、構造が単純なのでコストダウンができるものである。また、プラスチック材料は経年変化による変形や硬化によって、除湿機への排水タンク着脱時に引っかかり等によって排水タンクが正常に装着できないと言うような問題も無いものである。また、蓋30の排水部40とタンク側壁32の間の隙間33は摺動面38が上下できるだけの、小さな隙間なので、水捨て時の排水タンク25から水が溢れるようなことは極めて少ないものである。
【符号の説明】
【0025】
25 排水タンク
26 タンクケース
27 開口部
30 蓋
31 係合部
34 排水部
35 第1ヒンジ部
37 第2ヒンジ部
38 摺動面
39 突起
40 排水口
図1
図2
図3
図4
図5
図6