特許第6392688号(P6392688)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6392688
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】燃料電池スタック
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/2465 20160101AFI20180910BHJP
   H01M 8/2432 20160101ALI20180910BHJP
   H01M 8/12 20160101ALI20180910BHJP
【FI】
   H01M8/2465
   H01M8/2432
   H01M8/12 101
   H01M8/12 102A
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-46180(P2015-46180)
(22)【出願日】2015年3月9日
(65)【公開番号】特開2016-167372(P2016-167372A)
(43)【公開日】2016年9月15日
【審査請求日】2017年9月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】堀田 信行
(72)【発明者】
【氏名】八木 宏明
(72)【発明者】
【氏名】森川 哲也
【審査官】 太田 一平
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06001502(US,A)
【文献】 特許第3841347(JP,B2)
【文献】 特表2002−527875(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/020664(WO,A1)
【文献】 国際公開第2005/006472(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0077496(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00 − 8/0297
H01M 8/08 − 8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料極と空気極と固体電解質とを有する燃料電池単セルを備えた発電単位と、
前記燃料電池単セルによって発電された電力を集電体を介して集電する集電板と、
を備え、
前記発電単位が複数個連続して配置され、且つ、前記発電単位が連続する第1方向に前記集電板が配置された燃料電池スタックにおいて、
前記燃料電池スタックは、固体酸化物形燃料電池スタックであり、
前記第1方向から見た場合に、
前記集電板は、前記発電単位が重なり合う領域に配置された集電部と、前記集電部から突出する突出部と、を備えており、
前記集電部は、前記集電体が配置された集電エリアと、隣り合う第1貫通孔及び第2貫通孔を含む複数の貫通孔と、を有し、
前記突出部は、前記燃料電池スタックで発電した電気を該燃料電池スタック外部に出力する板状の出力端子が電気的に接続されている接続領域を有し、
前記接続領域は、面積を有する前記第1貫通孔の図心と前記第2貫通孔の図心とを結ぶ線分に垂直に交差し前記第1貫通孔の外周に接する第1の接する線と、前記線分に垂直に交差し前記第2貫通孔の外周に接する第2の接する線と、の間に存在し、
前記突出部と前記出力端子とは、重ね合った状態で、前記接続領域である面で接触していることを特徴とする燃料電池スタック。
【請求項2】
前記出力端子は、前記集電板よりも電気抵抗の小さい部材で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池スタック。
【請求項3】
前記第1方向から見た場合に、前記接続領域の全体が、前記第1の接する線と前記第2の接する線との間に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池スタック。
【請求項4】
前記第1方向から見た場合に、前記突出部は、突出方向の先端側より根元側の幅が大きいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池スタック。
【請求項5】
前記第1方向から見た場合に、前記突出部の幅は、前記根元側に向かって漸次広がっていることを特徴とする請求項4に記載の燃料電池スタック。
【請求項6】
前記集電エリアと前記接続領域との間において、前記第1の接する線と前記第2の接する線との間に、貫通孔を有しないことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の燃料電池スタック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体電解質に空気極及び燃料極を有する燃料電池単セルを複数備えた燃料電池スタックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料電池として、例えば固体電解質(固体酸化物)を用いた固体酸化物形燃料電池(SOFC)が知られている。
この固体酸化物形燃料電池では、例えば平板状の固体電解質の一方の側に燃料ガスに接する平板状の燃料極を設けるとともに、他方の側に酸化剤ガス(例えば空気)と接する平板状の酸化剤極(空気極)を設けた平板型の燃料電池単セルが使用されている。
【0003】
更に、近年では、所望の電圧を得るために、複数の燃料電池単セルを、インターコネクタ及び集電体を介して積層した燃料電池スタックが開発されている。
この種の燃料電池スタックでは、燃料電池単セルの積層方向における両端に、導電性を有するエンドプレートを配置し、これらのエンドプレートを燃料電池スタックの正極と負極として電力を取り出す構造が提案されている。
【0004】
このような燃料電池スタックの電力取り出し構造として、燃料電池スタックを構成する各部材を締結する締結ボルトによって出力部材を面接触させて電力を取り出すこと、締結ボルトの位置において、エンドプレートと一体化された出力部材によって電力を取り出すことが開示されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、これとは別に、燃料電池スタックと各種の補助器(BOP)との間のショートを防止するために、燃料電池単セル等の積層部分(スタック本体)とエンドプレートとを電気的に絶縁する技術が提案されている(特許文献2参照)。
【0006】
この技術では、スタック本体とエンドプレートとの間に、マイカ等からなる絶縁プレートを配置して、電気的に絶縁するようにしている。また、スタック本体から電力を取り出すために、絶縁プレートの内側(スタック本体側)に、集電板を配置している。更に、この集電板には、外部の出力端子と接続するために、燃料電池スタックの側面より外周側に突出する突出部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−76890号公報
【特許文献2】国際公開第2006/009277号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した従来技術では、出力部材の構成についての検討が十分ではなく、電力を外部に取り出す際に電圧ロスが発生することがあった。
つまり、出力部材の配置や形状等の構成によっては、電圧ロスが大きくなることがあり、その場合には、燃料電池スタックの性能が低下するという問題があった。
【0009】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、燃料電池スタックにおける電力取り出し構造において、電圧ロスを低減して、燃料電池スタックの性能を高めることができる燃料電池スタックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明の第1態様は、燃料極と空気極と固体電解質とを有する燃料電池単セルを備えた発電単位と、前記燃料電池単セルによって発電された電力を集電体を介して集電する集電板と、を備え、前記発電単位が複数個連続して配置され、且つ、前記発電単位が連続する第1方向に前記集電板が配置された燃料電池スタックにおいて、前記燃料電池スタックは、固体酸化物形燃料電池スタックであり、前記第1方向から見た場合に、前記集電板は、前記発電単位が重なり合う領域に配置された集電部と、前記集電部から突出する突出部と、を備えており、前記集電部は、前記集電体が配置された集電エリアと、隣り合う第1貫通孔及び第2貫通孔を含む複数の貫通孔と、を有し、前記突出部は、前記燃料電池スタックで発電した電気を該燃料電池スタック外部に出力する板状の出力端子が電気的に接続されている接続領域を有し、前記接続領域は、面積を有する前記第1貫通孔の図心と前記第2貫通孔の図心とを結ぶ線分に垂直に交差し前記第1貫通孔の外周に接する第1の接する線と、前記線分に垂直に交差し前記第2貫通孔の外周に接する第2の接する線と、の間に存在し、前記突出部と前記出力端子とは、重ね合った状態で、前記接続領域である面で接触している。
【0011】
本第1態様では、集電板の集電部は、集電体が配置された集電エリアと、隣り合う第1貫通孔及び第2貫通孔を含む複数の貫通孔とを有している。また、突出部は、燃料電池スタックで発電した電気を燃料電池スタック外部に出力する出力端子が電気的に接続されている接続領域を有している。
【0012】
この接続領域は、第1貫通孔の図心と第2貫通孔の図心とを結ぶ線分に垂直に交差し第1貫通孔の外周に接する第1の接する線と、前記線分に垂直に交差し第2貫通孔の外周に接する第2の接する線との間に存在し、突出部と出力端子とは、接続領域である面で接触している。
【0013】
つまり、本第1態様では、突出部と出力端子とが電気的に接続される接続領域は、第1貫通孔の外周に接する第1の接する線と、第2貫通孔の外周に接する第2の接する線との間の範囲(即ち後述する接続可能範囲)内に形成されている。すなわち、接続領域は、集電エリアと接続領域との間の電流の流れが、貫通孔によって妨げられにくいように設定されている。
【0014】
このように、本第1態様では、燃料電池スタックにて発電された電力(従って電流)は、貫通孔によってその流れが妨げられにくいので、集電板の集電部から効率よく出力端子に供給される。よって、電圧ロスが少なく、燃料電池スタックの性能を向上することができるという顕著な効果を奏する。
【0015】
また、上述のように設定された接続領域を有する突出部は、コンパクトに構成できるので、発電単位が連続して配置された部分(例えばスタック本体)からの熱引きを抑制できるという利点がある。
【0016】
(2)本発明の第2態様では、前記出力端子は、前記集電板よりも電気抵抗の小さい部材で形成されている。
集電板より低抵抗の出力端子が接続されている場合には、その接続箇所に向かって電流が流れる。本第2態様では、出力端子の電気抵抗が集電板の電気抵抗よりも小さい(電気抵抗が低い)ので、電圧ロスが少なく、燃料電池スタックの性能が向上する。
【0017】
(3)本発明の第3態様では、前記第1方向から見た場合に、前記接続領域の全体が、前記第1の接する線と前記第2の接する線との間に配置されている。
本第3態様では、接続領域の全体が、第1の接する線と第2の接する線との間に配置されているので、より集電部から出力端子に電流が流れ易い。よって、電圧ロスが少なく、燃料電池スタックの性能を向上することができる。
【0018】
(4)本発明の第4態様では、前記第1方向から見た場合に、前記突出部は、突出方向の先端側より根元側の幅が大きい。
本第4態様では、突出部は、突出方向の先端側より根元側の幅が大きいので、集電部から突出部に電流が流れ易い。ひいては、出力端子に電流が流れ易い。また、突出部の根元側の強度が大きく、破損しにくいという利点がある。
【0019】
(5)本発明の第5態様では、前記第1方向から見た場合に、前記突出部の幅は、前記根元側に向かって漸次広がっている。
本第5態様では、突出部は、突出部の幅は、根元側に向かって漸次広がっているので、集電部から突出部に電流が流れ易い。ひいては、出力端子に電流が流れ易い。また、突出部の根元側の強度がより大きく、一層破損しにくいという利点がある。
(6)本発明の第6態様では、前記集電エリアと前記接続領域との間において、前記第1の接する線と前記第2の接する線との間に、貫通孔を有しない。
【0020】
<次に、本発明の燃料電池スタックの各構成について説明する>
・前記図心とは、平面図形における重心(面積中心)を意味する。
・集電板の材料としては、ステンレス、ニッケル、ニッケル合金等を採用できる。
【0021】
・出力端子の材料としては、ステンレス、ニッケル、ニッケル合金等を採用できる。
・燃料電池単セル及び発電単位としては、平板形状、扁平形状など、スタック化できるもの(即ち重ね合わせるように配置できるもの)であれば、特に限定はない。
【0022】
・発電単位は、燃料電池単セルを用いて発電を行う基本単位である。この発電単位としては、燃料電池単セルに加え、燃料電池単セルから電力を取り出す構成(例えば空気極集電体、燃料極集電体、インターコネクタ等)や、酸化剤ガス及び燃料ガスの流路を規定する部材などを備えたものが挙げられる。
【0023】
・集電エリアとしては、集電体が単体である場合には、第1方向から見た場合の集電体の投影領域が挙げられる。また、集電体が複数である場合には、第1方向から見た場合の各集電体の投影領域の外周を繋げるように囲む範囲が挙げられる。例えば、全ての集電体の投影領域を外周から紐で括ったような範囲が挙げられる。
【0024】
・貫通孔が配置される範囲としては、集電エリアの外周を、例えば環状に囲む範囲(即ち集電板の枠状の外周縁部)が挙げられる。
・接続領域における出力端子の先端部分の形状(第1方向から見た形状:平面視)としては、長方形の短辺側のような多角形の形状や、滑らかな円形等の形状が挙げられる。
【0025】
・突出部と出力端子とを電気的に接続する方法としては、突出部と出力端子とをボルト及びナット等による固定部材によって接続する方法や、突出部と出力端子とを溶接等により接合して接続する方法が挙げられる。
【0026】
・燃料電池スタックによって発電を行う場合の原料としては、燃料ガスや酸化剤ガスが挙げられる。燃料ガスとは、燃料となる還元剤(例えば水素)を含むガスを示し、酸化剤ガスとは、酸化剤(例えば酸素)を含むガス(例えば空気)を示している。
【0027】
・燃料電池スタックを用いて発電を行う場合、燃料極側に燃料ガスを導入し、空気極側に酸化剤ガスを導入する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】実施例1の燃料電池スタックの斜視図である。
図2】実施例1の燃料電池スタックの一部を分解し、積層方向に破断して模式的に示す断面図である。
図3】実施例1の燃料電池スタックの発電単位を分解して示す斜視図である。
図4】実施例1のインターコネクタの空気極集電体が形成された表面を示す平面図である。
図5】実施例1の燃料極集電体とその要部を拡大して示す斜視図である。
図6】(a)は実施例1の集電板を示す平面図、(b)はその集電板に第2出力端子が接続された状態を示す説明図である。
図7】実施例1の燃料電池スタックの一部において、集電板の突出部に第2出力端子が接続された状態を示す正面図である。
図8】実施例1の集電板の一部において、接続領域等の範囲を平面視で示す説明図である。
図9】(a)は実施例2の集電板の一部を示す平面図、(b)はその変形例の一部を示す平面図、(c)は実施例3の集電板に接続される第2出力端子の一部を示す平面図、(d)はその変形例の一部を示す平面図である。
図10】(a)は実施例4の集電板の一部を示す平面図、(b)はその変形例の一部を示す平面図である。
図11】実施例5の燃料電池スタックの一部を分解し、積層方向に破断して模式的に示す断面図である。
図12】実施例6の燃料電池スタックの一部において、集電板の突出部に第2出力端子が接続された状態を示す正面図である。
図13】その他の燃料電池スタックの一部を分解し、模式的に示す斜視図である。
図14】更に他の燃料電池スタックの集電板に第2出力端子が接続された状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明が適用された燃料電池スタックとして、固体酸化物形燃料電池スタックを例に挙げて説明する。
【実施例1】
【0030】
a)まず、本実施例1の燃料電池スタックの概略構成について説明する。
図1に示すように、本実施例1の固体酸化物形燃料電池スタック(以下、単に「燃料電池スタック」と称する)1は、燃料ガス(例えば水素)と酸化剤ガス(例えば空気、詳しくは空気中の酸素)との供給を受けて発電を行う装置である。
【0031】
なお、図面においては、酸化剤ガスは「O」で示し、燃料ガスは「F」で示す。また、「IN」はガスが導入されることを示し、「OUT」はガスが排出されることを示す。なお、燃料電池スタック1において上下とは、便宜上、図1及び図2における上下方向を示すものであり、燃料電池スタック1の方向性を決めるものではない。
【0032】
本実施例1における燃料電池スタック1は、図1の上下方向(積層方向:第1方向)の両端(即ち上下両端)に配置された第1エンドプレート3及び第2エンドプレート5と、その間に配置された平板状の複数(例えば20段)の発電単位7と、後述する集電板9などが積層された燃料電池スタックである。
【0033】
上下両端のエンドプレート3、5と各発電単位7と集電板9等には、それらを積層方向に貫く複数(例えば8個)の貫通孔10が設けられている。その貫通孔10に配置された各ボルト11a、11b、11c、11d、11e、11f、11g、11h(11と総称する)と各ボルト11に螺合する各ナット12とによって、両エンドプレート3、5と各発電単位7と集電板9等とが、絶縁体8(図7参照)を介して一体に固定されている。
【0034】
また、ボルト11のうちの特定(4本)のボルト11b、11d、11f、11hには、軸方向(図1の上下方向)に沿って、酸化剤ガス又は燃料ガスが流れる内部流路14が形成されている。なお、ボルト11bは燃料ガスの排出に用いられ、ボルト11dは酸化剤ガスの排出に用いられ、ボルト11fは燃料ガスの導入に用いられ、ボルト11hは酸化剤ガスの導入に用いられる。
【0035】
そして、燃料電池スタック1から電力を取り出すために、後に詳述するように、上方の第1エンドプレート3には、第1出力端子13が接続され、下方の集電板9には、第2出力端子15が接続されている。
【0036】
なお、以下では、発電単位7が積層された部分を、スタック本体20と称する。
b)次に、発電単位7等の構成について、詳しく説明する。
なお、図2図5においては、燃料電池スタック1の構成が分かりやすいように、縦・横の寸法は適宜設定してあり、各部材の個数等も適宜設定してある。
【0037】
図2及び図3に模式的に示すように、発電単位7とは、燃料電池単セル17の厚み方向(図2の上下方向)の両側に、インターコネクタ19a、19b(19と総称する)等を備えたものである。なお、燃料電池スタック1の第2エンドプレート5側(図2の下端側)の発電単位7の構成は、他の発電単位7とは多少異なるので、後に詳細に説明する。
【0038】
詳しくは、(下端以外の)各発電単位7は、金属製のインターコネクタ19aと、空気極絶縁フレーム23と、金属製のセパレータ25と、金属製の燃料極フレーム27と、金属製のインターコネクタ19b等が積層されたものである。なお、燃料電池スタック1においては、隣接する発電単位7同士では、間に配置されたインターコネクタ19を共用している。また、積層された各部材19、23〜27には、各ボルト11が挿通される各貫通孔10が形成されている。
【0039】
このうち、セパレータ25には、後述するように、燃料電池単セル17が接合されている。空気極絶縁フレーム23の枠内の流路(酸化剤ガスが流れる空気流路)31には、インターコネクタ19と一体の凸状の空気極集電体33(図2参照)が配置されている。燃料極フレーム27の枠内の流路(燃料ガスが流れる燃料流路)35には、燃料極集電体37が配置されている。
【0040】
なお、燃料電池スタック1においては、隣接する発電単位7は間のインターコネクタ19を共用している。
以下、各構成について、更に詳しく説明する。
【0041】
<インターコネクタ19>
インターコネクタ19は、導電性を有する板材(例えばSUS430等のステンレス鋼等の金属板)からなる。このインターコネクタ19は、燃料電池単セル17間の導通を確保し、且つ、燃料電池単セル17間(従って発電単位7間)でのガスの混合を防止するものである。なお、インターコネクタ19は、隣接する燃料電池単セル17間に配置される場合は、1枚配置されていればよい。
【0042】
このインターコネクタ19は、図4に示すように、方形の板材である板状部41と、板状部41の一方の面、詳しくは空気極55(図2参照)に対向する面に形成された多数の空気極集電体33とを備えている。
【0043】
この空気極集電体33は、ブロック状(直方体形状)であり、板状部41から空気極55に向かって突出するように、格子状に縦・横に複数列配置されている。
<空気極絶縁フレーム23>
図3に戻り、空気極絶縁フレーム23は、電気絶縁性を有する四角枠状の板材であり、軟質マイカからなるマイカフレームである。この空気極絶縁フレーム23には、(厚み方向から見た平面視で)その中央部に、空気流路31を構成する方形の開口部23aが形成されている。
【0044】
また、空気極絶縁フレーム23において、対向する一対の貫通孔10(10d、10h)が設けられた各辺の枠部分には、各貫通孔10と連通するように、それぞれ長尺の連通孔43d、43hが設けられている。更に、空気極絶縁フレーム23には、各連通孔45d、45hと開口部23aとを連通するように、空気が通過する部分(連通部)として、複数の溝47d、47hが設けられている。
【0045】
<セパレータ25>
セパレータ25は、四角枠状の導電性を有する板材(例えばSUS430等のステンレス鋼等の金属板)である。このセパレータ25には、その中央部の方形の開口部25aに沿った内周縁部(下面側)に、燃料電池単セル17の外周縁部(上面側)がろう付け接合されている。つまり、燃料電池単セル17は、セパレータ25の開口部25aを閉塞するように接合されている。
【0046】
<燃料極フレーム27>
燃料極フレーム27は、導電性を有する例えばSUS430等のステンレスなどからなる四角枠状の板材である。この燃料極フレーム27には、(平面視で)その中央部に、燃料流路35を構成する方形の開口部27aが形成されている。
【0047】
また、燃料極フレーム27において、対向する一対の貫通孔10(10b、10f)は長孔とされており、この長孔と開口部27aを連通するように、各連通孔57b、57fが設けられている。
【0048】
<燃料極集電体37>
燃料極集電体37は、図5に示すように、マイカ製の芯材であるスペーサ61と導電部材である金属製の導電板(例えばニッケル製の平板形状の箔)63とが組み合わされた公知の格子状の部材(例えば特開2013−55042号公報に記載の集電部材19参照)である。
【0049】
詳しくは、燃料極集電体37は、多数の長孔61aが平行に開けられたスペーサ(梯子マイカ)61と、スペーサ61に導電板63自身の各接合片63aが折り曲げて取り付けられた導電板63とから構成されている。
【0050】
<燃料電池単セル17>
図2に戻り、燃料電池単セル17は、いわゆる燃料極支持膜形タイプの構造を有しており、薄膜の固体電解質(固体電解質層)51と、その一方の側(図2の下方)に形成された燃料極(アノード)53と、他方の側(図2の上方)に形成された薄膜の空気極(カソード)55とが一体に積層されたものである。
【0051】
また、セパレータ25は、固体電解質層51の外周縁部の上面に接合されているので、このセパレータ25により、発電単位7の内部において、酸化剤ガスと燃料ガスとが混合しないように、空気流路31と燃料流路35とが分離されている。
【0052】
なお、燃料電池単セル17の空気極55側に空気流路31が設けられ、燃料極53側に燃料流路35が設けられており、空気流路31における空気の流れる方向は、図2の左右方向であり、燃料流路35における燃料ガスの流れる方向は、紙面と垂直方向である。
【0053】
ここで、燃料電池単セル17の構造について、更に詳しく説明する。
空気極55は酸化剤ガスが通過できる多孔質の層である。
この空気極55を構成する材料としては、金属、金属の酸化物、金属の複合酸化物を挙げることができる。金属としては、Pt、Au、Ag、Pd、Ir、Ru等の金属やそれらの合金が挙げられる。金属の酸化物としては、La、Sr、Ce、Co、Mn、Fe等の酸化物、例えばLa、SrO、Ce、Co、MnO、FeOが挙げられる。
【0054】
複合酸化物としては、La、Pr、Sm、Sr、Ba、Co、Fe、Mn等を含有する複合酸化物(La1−xSrCoO系複合酸化物、La1−xSrFeO系複合酸化物、La1−xSrCo1−yFe系複合酸化物、La1−xSrMnO系複合酸化物、Pr1−xBaCoO系複合酸化物、Sm1−xSrCoO系複合酸化物)などを使用できる。
【0055】
固体電解質層51は固体酸化物からなる緻密な層であり、燃料電池スタック1の運転時(発電時)に、空気極55に導入される酸化剤ガス(酸素)をイオンとして移動させることができるイオン伝導性を有する。
【0056】
固体電解質層51を構成する材料としては、例えば、ジルコニア系、セリア系、ペロブスカイト系の電解質材料が挙げられる。ジルコニア系材料では、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、スカンジア安定化ジルコニア(ScSZ)、及びカルシア安定化ジルコニア(CaSZ)を挙げることができ、一般的には、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)が使用される例が多い。セリア系材料では、いわゆる希土類元素添加セリアが、ペロブスカイト系材料では、ランタン元素を含有するペロブスカイト型複酸化物が使われる。
【0057】
燃料極53は燃料ガスが通過できる多孔質の層である。
この燃料極53を構成する材料としては、例えば、Ni及びFe等の金属と、Sc、Y等の希土類元素のうちの少なくとも1種により安定化されたジルコニア等のZrO系セラミック、CeO系セラミックなどのセラミックとの混合物が挙げられる。また、Ni等の金属、或いは、Niと前記セラミックとのサーメットやNi基合金を使用できる。
【0058】
c)次に、燃料電池スタック1の積層方向の端部において、燃料電池スタック1から電力を取り出すための構成について説明する。
<第1エンドプレート3側の構成>
図2に示すように、燃料電池スタック1の最上段の発電単位7においては、その上部のインターコネクタ19aの上面には、平面視でインターコネクタ19aと外周形状が同様な平面形状の板材である第1エンドプレート3が配置されている。なお、第1エンドプレート3は、インターコネクタ19と同様な材料からなる。
【0059】
そして、前記図1に示すように、第1エンドプレート3の上面には、第1出力端子(+電極の出力端子)13が、ボルト60によって固定されている。
詳しくは、第1出力端子13は、先端部13aと延出部13bとが垂直に曲げられたL字状の板材であり、その先端部13aがボルト60によって第1エンドプレート3に固定されている。
【0060】
この第1出力端子13は、インターコネクタ19a及び第1エンドプレート3より低抵抗な材料、例えばニッケル又はニッケル合金からなる。
これによって、上端のインターコネクタ19a及び第1エンドプレート3と第1出力端子13とが電気的に接続されている。
【0061】
<第2エンドプレート5側の構成>
図2に示すように、燃料電池スタック1の最下段の発電単位7においては、燃料極フレーム27及び燃料極集電体37の下面に接するように、上述したインターコネクタ19bに代えて、集電板9が配置されている。
【0062】
また、集電板9の下方には、端部絶縁プレート64が積層され、端部絶縁プレート64の下方には、第2エンドプレート5が積層されている。
このうち、端部絶縁プレート64は、空気極絶縁フレーム23と同様なマイカからなり、平面視でインターコネクタ19と外周形状が同様な平面形状の板材である。また、第2エンドプレート5は、第1エンドプレート3と同様な材料からなる同様な平面形状の部材である。
【0063】
また、上述した集電板9は、図6(a)に示すように、スタック本体20の平面形状と同形状(方形)の集電部65と、集電部65の外周(従って平面視でスタック本体20の外周)より外側に突出する突出部67とを備えている。なお、集電板9は、インターコネクタ19と同様な材料からなる。
【0064】
この集電部65のうち、外周を構成する四角枠状の縁部69には、他の燃料極フレーム27等と同様に、前記ボルト11が挿通される貫通孔10が、等間隔で8箇所(即ち縁部69の四隅と各辺の中点に対応する位置)に形成されている。
【0065】
つまり、集電部65は、平面視で、発電単位7が重なり合う領域に配置されており、集電部65の縁部69の内側には、燃料極集電体37が配置された方形の集電エリア70(図6の斜線部分)が形成されている。
【0066】
また、図6(b)に示すように、突出部67は、縁部69の1つの辺(右辺)に対応する部分において、隣接する一対の貫通孔10(例えば貫通孔10c、10d)が配置された縁部69の外周から外側に突出するように形成されている。即ち、突出部67は、貫通孔10c、10dの間の縁部69の外周の右辺から、右辺に対して垂直に外側に突出するように形成されている。なお、突出部67の先端側には、突出部貫通孔71が形成されている。
【0067】
更に、図7に示すように、突出部67と第2出力端子15とは、ボルト75及びナット77によって接続されている。
この第2出力端子15は、先端部15aと延出部15bとが垂直に曲げられたL字状の板材であり、先端部15aには、突出部貫通孔71と同形状の端子貫通孔73が開けられている。なお、第2出力端子15は、例えばステンレス等の導電材料からなる。この第2出力端子15の材料としては、集電板9よりも電気抵抗の低い材料(例えばニッケル又はニッケル合金)を用いてもよい。
【0068】
そして、突出部67の上に第2出力端子15の先端部15aが重ね合わされ、端子貫通孔73と突出部貫通孔71にボルト75の軸部75aが通され、この軸部75aに螺合するようにナット77が取り付けられている。ことによって、突出部67と第2出力端子15とが一体に固定されて、集電板9と第2出力端子15とが電気的に接続されている。
【0069】
特に本実施例1では、図8に示すように、突出部67と第2出力端子15の先端部15aとが重ね合わされる範囲等が設定されている。
詳しくは、突出部67と第2出力端子15とが接触して電気的接続を行う部分(突出部貫通孔71と端子貫通孔73を含む)が、接続領域SR(図8の斜線部分)として設定されている。
【0070】
この接続領域SRは、一方の貫通孔10cの図心と他方の貫通孔10dの図心とを結ぶ線分SBに垂直に交差し一方の貫通孔10cの外周に接する第1の接する線L1と、前記線分SBに垂直に交差し他方の貫通孔10dの外周に接する第2の接する線L2との間に存在するように設定されている。
【0071】
つまり、突出部67と第2出力端子15とが電気的に接続される接続領域SRは、一方の貫通孔10cの外周に接する第1の接する線L1と、他方の貫通孔10dの外周に接する第2の接する線L2との間の帯状の範囲、即ち、平行な線L1、L2の間の接続可能範囲SKH内に形成されている。
【0072】
また、第2出力端子15の短辺のうち少なくとも一辺(ここでは、長方形の短辺である先端部15aの先端の辺)が、接続可能範囲SKH内に配置されている。
更に、接続領域SRの全体が、接続可能範囲SKH内に配置されている。
【0073】
その上、突出部67は、平面視で、突出方向の先端側より根元側の幅が徐々に大きくなっている。つまり、突出部67の根本側の幅が先端側の幅より大きくなるように、根本側の幅方向における両側は、円弧を描くように緩やかに湾曲して広がっている。ここで幅方向とは、第1方向から見た場合の、突出部67が突出する方向と垂直な方向である。
【0074】
d)次に、燃料電池スタック1の製造方法について、簡単に説明する。
[各部材の製造工程]
まず、例えばSUS430からなる各板材(即ち必要な厚みの各板材)を打ち抜いて、両エンドプレート3、5、集電板9、インターコネクタ19、燃料極フレーム27、セパレータ25、燃料極集電体37の導電板63を作製した。
【0075】
なお、インターコネクタ19の一方の表面には、切削加工によって、空気極集電体33を形成した。
また、マイカシートに対して、パンチング加工などによって、空気極絶縁フレーム23や端部絶縁プレート64を作製した。
【0076】
更に、マイカシートに対して、パンチング加工によって、スペーサ61を作製し、導電板63に切り込みを入れ、この導電板63をスペーサ61に取り付けて、燃料極集電体37を作製した。
【0077】
[燃料電池単セル17の製造工程]
燃料電池単セル17を、定法に従って製造した。
具体的には、まず、燃料極53を形成するために、例えば、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)粉末と酸化ニッケル粉末とバインダー溶液とからなる材料を用いて、燃料極ペーストを作製した。そして、この燃料極ペーストを用いて、周知のドクターブレード法によって燃料極グリーンシートを作製した。
【0078】
また、固体電解質層51を作製するために、例えば、YSZ粉末とバインダー溶液とからなる材料を用いて、固体電解質ペーストを作製した。そして、この固体電解質ペーストを用いて、ドクターブレード法によって固体電解質グリーンシートを作製した。
【0079】
次に、燃料極グリーンシート上に、固体電解質グリーンシートを積層した。そして、その積層体を、所定温度で加熱して焼結させて、焼結積層体を形成した。
また、空気極55を形成するために、例えば、La1−xSrCo1−yFe粉末とバインダー溶液とからなる材料を用いて、空気極ペーストを作製した。
【0080】
次に、前記焼結積層体における固体電解質層51の表面に、空気極ペーストを印刷した。そして、その印刷した空気極ペーストを、焼成によって緻密とならないように、所定温度にて焼成して、空気極55を形成した。
【0081】
これにより燃料電池単セル17が完成した。なお、燃料電池単セル17には、セパレータ25にろう付けして固定した。
[燃料電池スタック1の製造工程]
次に、上述した各部材を、前記図2に示す順に組み合わせて、積層体を構成し、この積層体の貫通孔10にボルト11を嵌め込むとともに、各ボルト11にナット12を螺合させて締め付けて、積層体を押圧して一体化して固定した。
【0082】
これによって、本実施例1の燃料電池スタック1が完成した。
e)次に、本実施例1の効果について説明する。
本実施例1では、集電板9の突出部67と第2出力端子15とが電気的に接続される接続領域SRは、一方の貫通孔10cの外周に接する第1の接する線L1と、他方の貫通孔10dの外周に接する第2の接する線L2との間の帯状の範囲(即ち接続可能範囲SKH)内に形成されている。
【0083】
従って、燃料電池スタック1にて発電された電力(電流)は、貫通孔10によってその流れが妨げられにくいので(即ち電気抵抗が低いので)、集電板9の集電部65から突出部67を介して第2出力端子15に供給され易い。よって、電圧ロスが少なく、燃料電池スタック1の性能を向上することができるという顕著な効果を奏する。
【0084】
しかも、上述のように設定された接続領域SRを有する突出部67は、コンパクトに構成できるので、発電単位7が積層されたスタック本体20からの熱引きを抑制できるという利点がある。
【0085】
また、本実施例1では、第2出力端子15の先端の短辺が、接続可能範囲SKH内に配置されているので、集電部65から突出部67を介して第2出力端子15の短辺の周囲に(従って第2出力端子15自身)に電流が流れ易い。よって、電圧ロスが少なく、燃料電池スタック1の性能を向上することができる。
【0086】
更に、本実施例1では、接続領域SRの全体が、接続可能範囲SKH内に配置されているので、この点からも、集電部65から突出部67の接続領域SRに電流が流れ易い。よって、電圧ロスが少なく、燃料電池スタック1の性能を向上することができる。
【0087】
その上、本実施例1では、突出部67は、平面視で、突出方向の先端側より根元側の幅が徐々に大きくなっているので、一層、集電部65から突出部67に電流が流れ易い。また、突出部67の根元側の強度がより大きく、破損しにくいという利点がある。
【実施例2】
【0088】
次に、実施例2について説明するが、前記実施例1と同様な内容の説明は省略する。
本実施例2では、集電板の構成が実施例1と異なるので、異なる点を説明する。なお、実施例1と同様な部材の番号は同じ番号を使用する(以下同様)。
【0089】
具体的には、本実施例2では、図9(a)に示すように、集電板81は、集電部83と突出部85とを備えており、そのうち、突出部85の平面形状は台形である。つまり、突出部85は、先端側より根本側の幅が徐々に広くなっている。
【0090】
本実施例2においても、前記実施例1と同様な効果を奏する。
また、この変形例として、図9(b)に示すように、突出部87の平面形状を、先端側から根本側にかけて一定の幅の長方形としてもよい。
【実施例3】
【0091】
次に、実施例3について説明するが、前記実施例1と同様な内容の説明は省略する。
本実施例3では、第2出力端子の構成が実施例1と異なるので、異なる点を説明する。
具体的には、本実施例3では、図9(c)に示すように、第2出力端子91の先端が台形である。
【0092】
本実施例3においても、前記実施例1と同様な効果を奏する。
また、この変形例として、図9(d)に示すように、第2出力端子93の先端を半円形等の曲線としてもよい。
【実施例4】
【0093】
次に、実施例4について説明するが、前記実施例1と同様な内容の説明は省略する。
本実施例4では、貫通孔の平面形状が実施例1と異なるので、異なる点を説明する。
具体的には、本実施例4では、図10(a)に示すように、貫通孔101の平面形状が方形(正方形)である。
【0094】
この正方形の貫通孔101の場合でも、前記実施例1と同様に、第1の接する線L1と第2の接する線L1とから、帯状の接続可能範囲SKHを設定することができる。
また、この変形例として、図10(b)に示すように、貫通孔111の平面形状を他の多角形(例えば六角形)としてもよい。
【0095】
なお、図示しないが、貫通孔が曲線の内周を有する貫通孔であっても、同様にして、接続可能範囲SKHを設定することができる。
【実施例5】
【0096】
次に、実施例5について説明するが、前記実施例1と同様な内容の説明は省略する。
本実施例5では、実施例1の第1エンドプレート側の構成を、第2エンドプレート側と同様な構成としたものである。
【0097】
具体的には、本実施例5では、図11に示すように、燃料電池スタック121の最上段の発電単位7においては、上部のインターコネクタ19aの上面に、実施例1と同様な集電板123が積層されている。
【0098】
更に、集電板123の上面には、実施例1と同様な端部絶縁プレート125が積層され、端部絶縁プレート125の上面には、実施例1と同様な第1エンドプレート127が積層されている。
【0099】
このうち、集電板123は、実施例1と同様に、(平面視で)方形の集電部129の外周から突出部131が突出したものである。
なお、図示しないが、この突出部131に、第2出力端子15と同様にして第1出力端子13が接続される。
【実施例6】
【0100】
次に、実施例6について説明するが、前記実施例1と同様な内容の説明は省略する。
本実施例6では、燃料電池スタックの積層方向における端部の構成が実施例1と異なるので、異なる点を説明する。
【0101】
具体的には、本実施例6では、図12に示すように、燃料電池スタック141の下端側において、実施例1の第2エンドプレートを省略し、集電板143を第2エンドプレートとして用いる。
【0102】
この場合は、集電板143の厚みを、第2エンドプレートとして十分な強度を有する厚み(例えば第2エンドプレートの厚み以上)とすることが好ましい。
なお、ここでは、実施例1と同様に、絶縁体8を介して、ボルト11及びナット12によって、集電板143が直接に締め付けられる。
【0103】
また、本実施例6の変形例として、実施例1の第1エンドプレートを省略してもよい。つまり、図2の上端に位置する発電単位7の上部のインターコネクタ19aを、第1エンドプレートとして用いて、そのインターコネクタ19aに第1出力端子13を取り付けてもよい。その場合は、インターコネクタ19aの厚みを、十分な強度を有する厚み(例えば第1エンドプレートの厚み以上)とすることが好ましい。
【0104】
同様に、前記実施例5において、第1エンドプレート及び端部絶縁プレートを省略し、上端のインターコネクタを第1エンドプレートとして用いてもよい。
以上、本発明の実施例などについて説明したが、本発明は、前記実施例などに限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。
【0105】
(1)例えば、本発明は、前記各実施例のような板状の発電単位ではなく、図13に示すように、内部にガス流路151が設けられた扁平筒形状の発電単位153を複数配列した燃料電池スタック155などにも適用できる。
【0106】
具体的には、扁平筒形状の複数の発電単位153を、その厚み方向に並べて配置し、その配置方向の両端に、集電板を兼ねるエンドプレート157を配置した燃料電池スタック155が挙げられる。この場合には、エンドプレート157に、前記各実施例と同様に、集電部159より(貫通孔161の間の位置にて)外周側に突出する突出部163を設ければよい。
【0107】
(2)また、図14に示すように、平面視で、集電板171に、実施例1の突出部67より幅(図14の上下方向の寸法)の広い突出部173を設けてもよい。例えば、突出部173の幅として、集電板171の幅よりも狭く集電エリア70の幅よりも広い寸法に設定してもよい。
【0108】
(3)また、突出部は、その全体が接続可能範囲にあることが好ましいが、一部が接続可能範囲外にあってもよい。例えば、突出部の根元側の幅が広い場合には、根元側の一部が接続可能範囲外に広がっていてもよい。
【0109】
(4)前記各実施例では、インターコネクタと空気極集電体は一体の構成であるが、インターコネクタと空気極集電体とを別体の部材で構成し、それらをろう材等によって接合してもよい。例えば平板状のインターコネクタの一方の表面に、ブロック状や長尺の集電体を接合してよい。
【0110】
(5)燃料極集電体としては、前記各実施例の構成以外に、座屈しない多孔質金属等の材料など既知の集電体を用いてもよい。
(6)なお、各実施例の構成を、適宜他の実施例に適用して組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0111】
1、121、141、155…燃料電池スタック
3、5、127、157…エンドプレート
7、153…発電単位
9、81、123、143、171…集電板
10、10c、10d、101、111、161…貫通孔
17…燃料電池単セル
13、15、91、93…出力端子
19、19a、19b、125…インターコネクタ
33…空気極集電体
37…燃料極集電体
51…固体電解質層
53…燃料極
55…空気極
65、83、129、159…集電部
67、85、87、131、163、173…突出部
70…集電エリア
SR…接続領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
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