【実施例1】
【0030】
a)まず、本実施例1の燃料電池スタックの概略構成について説明する。
図1に示すように、本実施例1の固体酸化物形燃料電池スタック(以下、単に「燃料電池スタック」と称する)1は、燃料ガス(例えば水素)と酸化剤ガス(例えば空気、詳しくは空気中の酸素)との供給を受けて発電を行う装置である。
【0031】
なお、図面においては、酸化剤ガスは「O」で示し、燃料ガスは「F」で示す。また、「IN」はガスが導入されることを示し、「OUT」はガスが排出されることを示す。なお、燃料電池スタック1において上下とは、便宜上、
図1及び
図2における上下方向を示すものであり、燃料電池スタック1の方向性を決めるものではない。
【0032】
本実施例1における燃料電池スタック1は、
図1の上下方向(積層方向:第1方向)の両端(即ち上下両端)に配置された第1エンドプレート3及び第2エンドプレート5と、その間に配置された平板状の複数(例えば20段)の発電単位7と、後述する集電板9などが積層された燃料電池スタックである。
【0033】
上下両端のエンドプレート3、5と各発電単位7と集電板9等には、それらを積層方向に貫く複数(例えば8個)の貫通孔10が設けられている。その貫通孔10に配置された各ボルト11a、11b、11c、11d、11e、11f、11g、11h(11と総称する)と各ボルト11に螺合する各ナット12とによって、両エンドプレート3、5と各発電単位7と集電板9等とが、絶縁体8(
図7参照)を介して一体に固定されている。
【0034】
また、ボルト11のうちの特定(4本)のボルト11b、11d、11f、11hには、軸方向(
図1の上下方向)に沿って、酸化剤ガス又は燃料ガスが流れる内部流路14が形成されている。なお、ボルト11bは燃料ガスの排出に用いられ、ボルト11dは酸化剤ガスの排出に用いられ、ボルト11fは燃料ガスの導入に用いられ、ボルト11hは酸化剤ガスの導入に用いられる。
【0035】
そして、燃料電池スタック1から電力を取り出すために、後に詳述するように、上方の第1エンドプレート3には、第1出力端子13が接続され、下方の集電板9には、第2出力端子15が接続されている。
【0036】
なお、以下では、発電単位7が積層された部分を、スタック本体20と称する。
b)次に、発電単位7等の構成について、詳しく説明する。
なお、
図2〜
図5においては、燃料電池スタック1の構成が分かりやすいように、縦・横の寸法は適宜設定してあり、各部材の個数等も適宜設定してある。
【0037】
図2及び
図3に模式的に示すように、発電単位7とは、燃料電池単セル17の厚み方向(
図2の上下方向)の両側に、インターコネクタ19a、19b(19と総称する)等を備えたものである。なお、燃料電池スタック1の第2エンドプレート5側(
図2の下端側)の発電単位7の構成は、他の発電単位7とは多少異なるので、後に詳細に説明する。
【0038】
詳しくは、(下端以外の)各発電単位7は、金属製のインターコネクタ19aと、空気極絶縁フレーム23と、金属製のセパレータ25と、金属製の燃料極フレーム27と、金属製のインターコネクタ19b等が積層されたものである。なお、燃料電池スタック1においては、隣接する発電単位7同士では、間に配置されたインターコネクタ19を共用している。また、積層された各部材19、23〜27には、各ボルト11が挿通される各貫通孔10が形成されている。
【0039】
このうち、セパレータ25には、後述するように、燃料電池単セル17が接合されている。空気極絶縁フレーム23の枠内の流路(酸化剤ガスが流れる空気流路)31には、インターコネクタ19と一体の凸状の空気極集電体33(
図2参照)が配置されている。燃料極フレーム27の枠内の流路(燃料ガスが流れる燃料流路)35には、燃料極集電体37が配置されている。
【0040】
なお、燃料電池スタック1においては、隣接する発電単位7は間のインターコネクタ19を共用している。
以下、各構成について、更に詳しく説明する。
【0041】
<インターコネクタ19>
インターコネクタ19は、導電性を有する板材(例えばSUS430等のステンレス鋼等の金属板)からなる。このインターコネクタ19は、燃料電池単セル17間の導通を確保し、且つ、燃料電池単セル17間(従って発電単位7間)でのガスの混合を防止するものである。なお、インターコネクタ19は、隣接する燃料電池単セル17間に配置される場合は、1枚配置されていればよい。
【0042】
このインターコネクタ19は、
図4に示すように、方形の板材である板状部41と、板状部41の一方の面、詳しくは空気極55(
図2参照)に対向する面に形成された多数の空気極集電体33とを備えている。
【0043】
この空気極集電体33は、ブロック状(直方体形状)であり、板状部41から空気極55に向かって突出するように、格子状に縦・横に複数列配置されている。
<空気極絶縁フレーム23>
図3に戻り、空気極絶縁フレーム23は、電気絶縁性を有する四角枠状の板材であり、軟質マイカからなるマイカフレームである。この空気極絶縁フレーム23には、(厚み方向から見た平面視で)その中央部に、空気流路31を構成する方形の開口部23aが形成されている。
【0044】
また、空気極絶縁フレーム23において、対向する一対の貫通孔10(10d、10h)が設けられた各辺の枠部分には、各貫通孔10と連通するように、それぞれ長尺の連通孔43d、43hが設けられている。更に、空気極絶縁フレーム23には、各連通孔45d、45hと開口部23aとを連通するように、空気が通過する部分(連通部)として、複数の溝47d、47hが設けられている。
【0045】
<セパレータ25>
セパレータ25は、四角枠状の導電性を有する板材(例えばSUS430等のステンレス鋼等の金属板)である。このセパレータ25には、その中央部の方形の開口部25aに沿った内周縁部(下面側)に、燃料電池単セル17の外周縁部(上面側)がろう付け接合されている。つまり、燃料電池単セル17は、セパレータ25の開口部25aを閉塞するように接合されている。
【0046】
<燃料極フレーム27>
燃料極フレーム27は、導電性を有する例えばSUS430等のステンレスなどからなる四角枠状の板材である。この燃料極フレーム27には、(平面視で)その中央部に、燃料流路35を構成する方形の開口部27aが形成されている。
【0047】
また、燃料極フレーム27において、対向する一対の貫通孔10(10b、10f)は長孔とされており、この長孔と開口部27aを連通するように、各連通孔57b、57fが設けられている。
【0048】
<燃料極集電体37>
燃料極集電体37は、
図5に示すように、マイカ製の芯材であるスペーサ61と導電部材である金属製の導電板(例えばニッケル製の平板形状の箔)63とが組み合わされた公知の格子状の部材(例えば特開2013−55042号公報に記載の集電部材19参照)である。
【0049】
詳しくは、燃料極集電体37は、多数の長孔61aが平行に開けられたスペーサ(梯子マイカ)61と、スペーサ61に導電板63自身の各接合片63aが折り曲げて取り付けられた導電板63とから構成されている。
【0050】
<燃料電池単セル17>
図2に戻り、燃料電池単セル17は、いわゆる燃料極支持膜形タイプの構造を有しており、薄膜の固体電解質(固体電解質層)51と、その一方の側(
図2の下方)に形成された燃料極(アノード)53と、他方の側(
図2の上方)に形成された薄膜の空気極(カソード)55とが一体に積層されたものである。
【0051】
また、セパレータ25は、固体電解質層51の外周縁部の上面に接合されているので、このセパレータ25により、発電単位7の内部において、酸化剤ガスと燃料ガスとが混合しないように、空気流路31と燃料流路35とが分離されている。
【0052】
なお、燃料電池単セル17の空気極55側に空気流路31が設けられ、燃料極53側に燃料流路35が設けられており、空気流路31における空気の流れる方向は、
図2の左右方向であり、燃料流路35における燃料ガスの流れる方向は、紙面と垂直方向である。
【0053】
ここで、燃料電池単セル17の構造について、更に詳しく説明する。
空気極55は酸化剤ガスが通過できる多孔質の層である。
この空気極55を構成する材料としては、金属、金属の酸化物、金属の複合酸化物を挙げることができる。金属としては、Pt、Au、Ag、Pd、Ir、Ru等の金属やそれらの合金が挙げられる。金属の酸化物としては、La、Sr、Ce、Co、Mn、Fe等の酸化物、例えばLa
2O
3、SrO、Ce
2O
3、Co
2O
3、MnO
2、FeOが挙げられる。
【0054】
複合酸化物としては、La、Pr、Sm、Sr、Ba、Co、Fe、Mn等を含有する複合酸化物(La
1−xSr
xCoO
3系複合酸化物、La
1−xSr
xFeO
3系複合酸化物、La
1−xSr
xCo
1−yFe
yO
3系複合酸化物、La
1−xSr
xMnO
3系複合酸化物、Pr
1−xBa
xCoO
3系複合酸化物、Sm
1−xSr
xCoO
3系複合酸化物)などを使用できる。
【0055】
固体電解質層51は固体酸化物からなる緻密な層であり、燃料電池スタック1の運転時(発電時)に、空気極55に導入される酸化剤ガス(酸素)をイオンとして移動させることができるイオン伝導性を有する。
【0056】
固体電解質層51を構成する材料としては、例えば、ジルコニア系、セリア系、ペロブスカイト系の電解質材料が挙げられる。ジルコニア系材料では、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、スカンジア安定化ジルコニア(ScSZ)、及びカルシア安定化ジルコニア(CaSZ)を挙げることができ、一般的には、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)が使用される例が多い。セリア系材料では、いわゆる希土類元素添加セリアが、ペロブスカイト系材料では、ランタン元素を含有するペロブスカイト型複酸化物が使われる。
【0057】
燃料極53は燃料ガスが通過できる多孔質の層である。
この燃料極53を構成する材料としては、例えば、Ni及びFe等の金属と、Sc、Y等の希土類元素のうちの少なくとも1種により安定化されたジルコニア等のZrO
2系セラミック、CeO系セラミックなどのセラミックとの混合物が挙げられる。また、Ni等の金属、或いは、Niと前記セラミックとのサーメットやNi基合金を使用できる。
【0058】
c)次に、燃料電池スタック1の積層方向の端部において、燃料電池スタック1から電力を取り出すための構成について説明する。
<第1エンドプレート3側の構成>
図2に示すように、燃料電池スタック1の最上段の発電単位7においては、その上部のインターコネクタ19aの上面には、平面視でインターコネクタ19aと外周形状が同様な平面形状の板材である第1エンドプレート3が配置されている。なお、第1エンドプレート3は、インターコネクタ19と同様な材料からなる。
【0059】
そして、前記
図1に示すように、第1エンドプレート3の上面には、第1出力端子(+電極の出力端子)13が、ボルト60によって固定されている。
詳しくは、第1出力端子13は、先端部13aと延出部13bとが垂直に曲げられたL字状の板材であり、その先端部13aがボルト60によって第1エンドプレート3に固定されている。
【0060】
この第1出力端子13は、インターコネクタ19a及び第1エンドプレート3より低抵抗な材料、例えばニッケル又はニッケル合金からなる。
これによって、上端のインターコネクタ19a及び第1エンドプレート3と第1出力端子13とが電気的に接続されている。
【0061】
<第2エンドプレート5側の構成>
図2に示すように、燃料電池スタック1の最下段の発電単位7においては、燃料極フレーム27及び燃料極集電体37の下面に接するように、上述したインターコネクタ19bに代えて、集電板9が配置されている。
【0062】
また、集電板9の下方には、端部絶縁プレート64が積層され、端部絶縁プレート64の下方には、第2エンドプレート5が積層されている。
このうち、端部絶縁プレート64は、空気極絶縁フレーム23と同様なマイカからなり、平面視でインターコネクタ19と外周形状が同様な平面形状の板材である。また、第2エンドプレート5は、第1エンドプレート3と同様な材料からなる同様な平面形状の部材である。
【0063】
また、上述した集電板9は、
図6(a)に示すように、スタック本体20の平面形状と同形状(方形)の集電部65と、集電部65の外周(従って平面視でスタック本体20の外周)より外側に突出する突出部67とを備えている。なお、集電板9は、インターコネクタ19と同様な材料からなる。
【0064】
この集電部65のうち、外周を構成する四角枠状の縁部69には、他の燃料極フレーム27等と同様に、前記ボルト11が挿通される貫通孔10が、等間隔で8箇所(即ち縁部69の四隅と各辺の中点に対応する位置)に形成されている。
【0065】
つまり、集電部65は、平面視で、発電単位7が重なり合う領域に配置されており、集電部65の縁部69の内側には、燃料極集電体37が配置された方形の集電エリア70(
図6の斜線部分)が形成されている。
【0066】
また、
図6(b)に示すように、突出部67は、縁部69の1つの辺(右辺)に対応する部分において、隣接する一対の貫通孔10(例えば貫通孔10c、10d)が配置された縁部69の外周から外側に突出するように形成されている。即ち、突出部67は、貫通孔10c、10dの間の縁部69の外周の右辺から、右辺に対して垂直に外側に突出するように形成されている。なお、突出部67の先端側には、突出部貫通孔71が形成されている。
【0067】
更に、
図7に示すように、突出部67と第2出力端子15とは、ボルト75及びナット77によって接続されている。
この第2出力端子15は、先端部15aと延出部15bとが垂直に曲げられたL字状の板材であり、先端部15aには、突出部貫通孔71と同形状の端子貫通孔73が開けられている。なお、第2出力端子15は、例えばステンレス等の導電材料からなる。この第2出力端子15の材料としては、集電板9よりも電気抵抗の低い材料(例えばニッケル又はニッケル合金)を用いてもよい。
【0068】
そして、突出部67の上に第2出力端子15の先端部15aが重ね合わされ、端子貫通孔73と突出部貫通孔71にボルト75の軸部75aが通され、この軸部75aに螺合するようにナット77が取り付けられている。ことによって、突出部67と第2出力端子15とが一体に固定されて、集電板9と第2出力端子15とが電気的に接続されている。
【0069】
特に本実施例1では、
図8に示すように、突出部67と第2出力端子15の先端部15aとが重ね合わされる範囲等が設定されている。
詳しくは、突出部67と第2出力端子15とが接触して電気的接続を行う部分(突出部貫通孔71と端子貫通孔73を含む)が、接続領域SR(
図8の斜線部分)として設定されている。
【0070】
この接続領域SRは、一方の貫通孔10cの図心と他方の貫通孔10dの図心とを結ぶ線分SBに垂直に交差し一方の貫通孔10cの外周に接する第1の接する線L1と、前記線分SBに垂直に交差し他方の貫通孔10dの外周に接する第2の接する線L2との間に存在するように設定されている。
【0071】
つまり、突出部67と第2出力端子15とが電気的に接続される接続領域SRは、一方の貫通孔10cの外周に接する第1の接する線L1と、他方の貫通孔10dの外周に接する第2の接する線L2との間の帯状の範囲、即ち、平行な線L1、L2の間の接続可能範囲SKH内に形成されている。
【0072】
また、第2出力端子15の短辺のうち少なくとも一辺(ここでは、長方形の短辺である先端部15aの先端の辺)が、接続可能範囲SKH内に配置されている。
更に、接続領域SRの全体が、接続可能範囲SKH内に配置されている。
【0073】
その上、突出部67は、平面視で、突出方向の先端側より根元側の幅が徐々に大きくなっている。つまり、突出部67の根本側の幅が先端側の幅より大きくなるように、根本側の幅方向における両側は、円弧を描くように緩やかに湾曲して広がっている。ここで幅方向とは、第1方向から見た場合の、突出部67が突出する方向と垂直な方向である。
【0074】
d)次に、燃料電池スタック1の製造方法について、簡単に説明する。
[各部材の製造工程]
まず、例えばSUS430からなる各板材(即ち必要な厚みの各板材)を打ち抜いて、両エンドプレート3、5、集電板9、インターコネクタ19、燃料極フレーム27、セパレータ25、燃料極集電体37の導電板63を作製した。
【0075】
なお、インターコネクタ19の一方の表面には、切削加工によって、空気極集電体33を形成した。
また、マイカシートに対して、パンチング加工などによって、空気極絶縁フレーム23や端部絶縁プレート64を作製した。
【0076】
更に、マイカシートに対して、パンチング加工によって、スペーサ61を作製し、導電板63に切り込みを入れ、この導電板63をスペーサ61に取り付けて、燃料極集電体37を作製した。
【0077】
[燃料電池単セル17の製造工程]
燃料電池単セル17を、定法に従って製造した。
具体的には、まず、燃料極53を形成するために、例えば、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)粉末と酸化ニッケル粉末とバインダー溶液とからなる材料を用いて、燃料極ペーストを作製した。そして、この燃料極ペーストを用いて、周知のドクターブレード法によって燃料極グリーンシートを作製した。
【0078】
また、固体電解質層51を作製するために、例えば、YSZ粉末とバインダー溶液とからなる材料を用いて、固体電解質ペーストを作製した。そして、この固体電解質ペーストを用いて、ドクターブレード法によって固体電解質グリーンシートを作製した。
【0079】
次に、燃料極グリーンシート上に、固体電解質グリーンシートを積層した。そして、その積層体を、所定温度で加熱して焼結させて、焼結積層体を形成した。
また、空気極55を形成するために、例えば、La
1−xSr
xCo
1−yFe
yO
3粉末とバインダー溶液とからなる材料を用いて、空気極ペーストを作製した。
【0080】
次に、前記焼結積層体における固体電解質層51の表面に、空気極ペーストを印刷した。そして、その印刷した空気極ペーストを、焼成によって緻密とならないように、所定温度にて焼成して、空気極55を形成した。
【0081】
これにより燃料電池単セル17が完成した。なお、燃料電池単セル17には、セパレータ25にろう付けして固定した。
[燃料電池スタック1の製造工程]
次に、上述した各部材を、前記
図2に示す順に組み合わせて、積層体を構成し、この積層体の貫通孔10にボルト11を嵌め込むとともに、各ボルト11にナット12を螺合させて締め付けて、積層体を押圧して一体化して固定した。
【0082】
これによって、本実施例1の燃料電池スタック1が完成した。
e)次に、本実施例1の効果について説明する。
本実施例1では、集電板9の突出部67と第2出力端子15とが電気的に接続される接続領域SRは、一方の貫通孔10cの外周に接する第1の接する線L1と、他方の貫通孔10dの外周に接する第2の接する線L2との間の帯状の範囲(即ち接続可能範囲SKH)内に形成されている。
【0083】
従って、燃料電池スタック1にて発電された電力(電流)は、貫通孔10によってその流れが妨げられにくいので(即ち電気抵抗が低いので)、集電板9の集電部65から突出部67を介して第2出力端子15に供給され易い。よって、電圧ロスが少なく、燃料電池スタック1の性能を向上することができるという顕著な効果を奏する。
【0084】
しかも、上述のように設定された接続領域SRを有する突出部67は、コンパクトに構成できるので、発電単位7が積層されたスタック本体20からの熱引きを抑制できるという利点がある。
【0085】
また、本実施例1では、第2出力端子15の先端の短辺が、接続可能範囲SKH内に配置されているので、集電部65から突出部67を介して第2出力端子15の短辺の周囲に(従って第2出力端子15自身)に電流が流れ易い。よって、電圧ロスが少なく、燃料電池スタック1の性能を向上することができる。
【0086】
更に、本実施例1では、接続領域SRの全体が、接続可能範囲SKH内に配置されているので、この点からも、集電部65から突出部67の接続領域SRに電流が流れ易い。よって、電圧ロスが少なく、燃料電池スタック1の性能を向上することができる。
【0087】
その上、本実施例1では、突出部67は、平面視で、突出方向の先端側より根元側の幅が徐々に大きくなっているので、一層、集電部65から突出部67に電流が流れ易い。また、突出部67の根元側の強度がより大きく、破損しにくいという利点がある。
【実施例6】
【0100】
次に、実施例6について説明するが、前記実施例1と同様な内容の説明は省略する。
本実施例6では、燃料電池スタックの積層方向における端部の構成が実施例1と異なるので、異なる点を説明する。
【0101】
具体的には、本実施例6では、
図12に示すように、燃料電池スタック141の下端側において、実施例1の第2エンドプレートを省略し、集電板143を第2エンドプレートとして用いる。
【0102】
この場合は、集電板143の厚みを、第2エンドプレートとして十分な強度を有する厚み(例えば第2エンドプレートの厚み以上)とすることが好ましい。
なお、ここでは、実施例1と同様に、絶縁体8を介して、ボルト11及びナット12によって、集電板143が直接に締め付けられる。
【0103】
また、本実施例6の変形例として、実施例1の第1エンドプレートを省略してもよい。つまり、
図2の上端に位置する発電単位7の上部のインターコネクタ19aを、第1エンドプレートとして用いて、そのインターコネクタ19aに第1出力端子13を取り付けてもよい。その場合は、インターコネクタ19aの厚みを、十分な強度を有する厚み(例えば第1エンドプレートの厚み以上)とすることが好ましい。
【0104】
同様に、前記実施例5において、第1エンドプレート及び端部絶縁プレートを省略し、上端のインターコネクタを第1エンドプレートとして用いてもよい。
以上、本発明の実施例などについて説明したが、本発明は、前記実施例などに限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。
【0105】
(1)例えば、本発明は、前記各実施例のような板状の発電単位ではなく、
図13に示すように、内部にガス流路151が設けられた扁平筒形状の発電単位153を複数配列した燃料電池スタック155などにも適用できる。
【0106】
具体的には、扁平筒形状の複数の発電単位153を、その厚み方向に並べて配置し、その配置方向の両端に、集電板を兼ねるエンドプレート157を配置した燃料電池スタック155が挙げられる。この場合には、エンドプレート157に、前記各実施例と同様に、集電部159より(貫通孔161の間の位置にて)外周側に突出する突出部163を設ければよい。
【0107】
(2)また、
図14に示すように、平面視で、集電板171に、実施例1の突出部67より幅(
図14の上下方向の寸法)の広い突出部173を設けてもよい。例えば、突出部173の幅として、集電板171の幅よりも狭く集電エリア70の幅よりも広い寸法に設定してもよい。
【0108】
(3)また、突出部は、その全体が接続可能範囲にあることが好ましいが、一部が接続可能範囲外にあってもよい。例えば、突出部の根元側の幅が広い場合には、根元側の一部が接続可能範囲外に広がっていてもよい。
【0109】
(4)前記各実施例では、インターコネクタと空気極集電体は一体の構成であるが、インターコネクタと空気極集電体とを別体の部材で構成し、それらをろう材等によって接合してもよい。例えば平板状のインターコネクタの一方の表面に、ブロック状や長尺の集電体を接合してよい。
【0110】
(5)燃料極集電体としては、前記各実施例の構成以外に、座屈しない多孔質金属等の材料など既知の集電体を用いてもよい。
(6)なお、各実施例の構成を、適宜他の実施例に適用して組み合わせてもよい。