(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記羽根部の回転速度を一定に維持しつつ前記第2搬送部による単位時間当たりの前記固形燃料の搬送量を変更することを特徴とする請求項1に記載の固形燃料供給装置。
前記第2搬送部が、固形燃料が通過する搬送通路が内部に形成された通路部と、前記第2搬送部の前記搬送通路内において回転することにより当該搬送通路に沿って前記固形燃料を送り出す羽根部とを有しており、
前記第2搬送部の前記羽根部の回転速度を、前記第2搬送部による単位時間当たりの前記固形燃料の搬送量が前記所定の範囲内となるように変更することを特徴とする請求項1又は2に記載の固形燃料供給装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態に係るボイラー1(燃焼装置)及び燃料供給装置100(固形燃料供給装置)について
図1〜
図5を参照しつつ説明する。ボイラー1は、
図1及び
図2に示すように、内部に空間が形成された外壁2と、外壁2内の空間を上下方向に関して区画する隔壁6、7及び8とを有している。外壁2内の空間は、隔壁6、7及び8によって、上から順に排気室3、加熱室4、燃焼室5及び給気室151に区画されている。燃焼室5は固形燃料が燃焼する空間である。ボイラー1において、燃焼室5が形成された下半分は、固形燃料の燃焼により熱を発生させる燃焼部である。給気室151は燃焼室5へと供給される空気が流入する空間である。燃焼室5及び給気室151の詳細については後述する。
【0013】
一方、加熱室4が内部に形成されたボイラー1の上半分は、外部から供給された水を加熱する加熱部である。加熱室4内には複数本の通気管11が設けられている。通気管11は、熱伝導性の高い材料、例えば金属材料によって形成されている。通気管11は加熱室4を上下方向に貫通している。通気管11の上端部及び下端部は隔壁6及び7をそれぞれ貫通して燃焼室5及び排気室3内に突出している。通気管11の上端及び下端は開口している。燃料の燃焼によって高温になった燃焼室5内の空気は、下端の開口から通気管11に流入し、通気管11内を通って上方に向かい、上端の開口から排気室3へと流出する。加熱室4には導水管12及び13が設けられている。導水管12に外部から水(冷水)を流入させることで加熱室4内を水で満たすと、燃焼室5からの高温の空気が通気管11内を通過する際に、高温の空気から通気管11を通じて水に熱伝達することで、加熱室4内の水が加熱される。加熱されて高温になった水は、導水管13から外部へと取り出すことができる。排気室3には排気管14が設けられている。排気管14は排気部21と連通している。排気部21には空気を吸引する吸引手段が設けられている。通気管11を通じて排気室3に流入した燃焼室5からの空気は、排気部21に設けられた吸引手段によって排気管14を通じて排気室3から吸引される。吸引された空気は、排気部21において煤の排除等の浄化処理が適宜施された上で大気中へと排出される。
【0014】
燃焼室5は、外壁2内に形成された円筒形の概略形状を有する内壁面2a、隔壁7の下面及び隔壁8の上面によって画定された空間である。ボイラー1には、燃焼室5へと燃焼用の空気を供給する空気供給部150が設けられている。空気供給部150は、給気室151と、給気室151から燃焼室5へと上方に延びた給気管152及び153と、燃焼室5の底部に設けられた給気部155と、給気部155から上方へと延びた給気管156と、通気管158を介して給気室151へと空気を送り込む送風機157とを有している。
【0015】
給気室151は、外壁2内の最下部に形成され、隔壁8によって燃焼室5と隔てられた空間である。給気室151には給気管152の下端部が開口している。給気管152は、
図1に示すように、隔壁8を貫通して燃焼室5内へと向かっている。給気管152の上端部は、燃焼室5の底部付近において上方に開口している。送風機157によって給気室151内に供給された空気は、給気管152を通じて燃焼室5へと流入する。燃焼室5の底部には蓋状の形状を有する給気部155が給気管152の上端開口に被さるように固定されている。給気部155と隔壁8との間には給気室155aが形成されている。給気部155の天井板には、
図2に示すように、複数個の貫通孔155bが形成されている。
【0016】
また、
図1に示すように、給気室155aには給気管156の下端部が開口している。給気管156は、給気部155の天井板を貫通して上方へと延びている。給気管156は、
図2に示すように、平面視において燃焼室5の中心を囲むように5本配置されている。給気管156には、空気の流出口である複数個の貫通孔が形成されている。給気室155a内の空気は貫通孔155bを通じて給気部155の上方へと供給されると共に、給気管156を通り、給気管156に形成された流出口を通じて給気部155の上方へと供給される。なお、給気部155及び給気管156は、いずれも、後述の通り、円筒隔壁161内の内側空間5aに配置されている。したがって、給気部155から供給される空気は、主に、内側空間5a内での燃焼に用いられる。
【0017】
また、給気室151には、給気管153の下端部が開口している。給気管153は、
図1及び
図2に示すように、燃焼室5の内壁面2aに設けられた凹部2b内に部分的に埋め込まれるように3本設けられている。各給気管153は、給気室151から隔壁8を貫通し、凹部2bに沿って鉛直上方へと延びている。給気室151内の空気は給気管153内を上方へと流れる。3本の給気管153は、
図2に示すように、内壁面2aに沿った方向に関して等間隔に配置されている。給気管153には、
図1に示すように、上下方向に沿って配列された複数個の貫通孔153aが形成されている。各貫通孔153aの開口(流出口)は、給気管153内を流れる空気が
図2のA1〜A3方向へと貫通孔153aを通じて給気管153から流出するように形成されている。A1〜A3方向のいずれも、
図2に示すように、平面視において、給気管153から燃焼室5の中心に向かう方向に対して直交する方向成分を有している。また、当該成分は、A1〜A3方向のいずれについても、平面視において、燃焼室5の中心の周りを反時計回りで回る成分に相当する。これにより、燃焼室5内には、
図2のB方向に向かう旋回気流が発生する。旋回気流は、燃焼室5の中心の周りを旋回するように流れる気流である。この旋回気流は、燃焼室5の内壁面2aと後述の円筒隔壁161の外表面との間に形成される。
【0018】
燃焼室5内には内部燃焼部160が設けられている。内部燃焼部160の全体は金属材料で構成されているが、陶製など、耐熱性の高い他の材料製であってもよい。また、これら複数種類の材料から構成されてもよい。内部燃焼部160は、
図1〜
図3に示すように、円筒の概略形状を有する円筒隔壁161と、円筒隔壁161に固定された4本の柱部材162と、円盤型の蓋部120とを有している。柱部材162は鉛直方向に延びている。蓋部120は、柱部材162の上端に支持されている。蓋部120は、平面視において、円筒隔壁161より一回り大きく形成されている(
図2参照)。円筒隔壁161は、
図3に示すように、複数の貫通孔161aがパンチングなどによって形成された金属平板を円筒状に成形することによって作製されている。各貫通孔161aが延びる方向は、平面視において、円筒隔壁161の厚み方向と直交する方向成分を含んでいる。この方向成分は、円筒隔壁161内から各貫通孔161aに沿って円筒隔壁161外へと向かう場合に、平面視において、円筒隔壁161の中心に関する回転方向について反時計回りの成分である。このように、各貫通孔161aは、円筒隔壁161の厚み方向に対して斜めの方向(例えば、
図3のF1〜F3方向)に沿っている。
【0019】
内部燃焼部160は、5本の給気管156及び全ての貫通孔155bが平面視において円筒隔壁161内に配置される(
図2参照)ように燃焼室5の底面(隔壁8の上面)上に載置されている。円筒隔壁161は、燃焼室5内の空間を、
図1に示すように、水平方向に関して円筒隔壁161より内側の空間である内側空間5aと、水平方向に関して円筒隔壁161より外側の空間である外側空間5bとに区画している。これにより、給気部155は、内側空間5aの底壁を構成することになる。外側空間5bは、燃焼室5の内壁面2aと円筒隔壁161とに水平方向に挟まれた空間でもある。内側空間5aと外側空間5bとは、円筒隔壁161に形成された各貫通孔161aによって互いに連通している。内部燃焼部160は、円筒隔壁161の貫通孔161aに沿ったF1〜F3方向に対して内側空間5aと外側空間5bとが
図3に示す位置関係となるように配置されている。
【0020】
外側空間5bには、各給気管153の各貫通孔153aから空気が供給されることによって、上記の通り、
図2のB方向に向かう旋回気流が発生する。この旋回気流は、
図2に示すように、燃焼室5の内壁面2aと円筒隔壁161の外表面とに水平方向に挟まれた空間に形成される。本実施形態では、このように限定された空間に気流を発生させるため、円筒隔壁161の周りを旋回する気流を確実に発生させることができる。そして、この旋回気流は、
図2及び
図3に示すように、円筒隔壁161の外表面に沿って流れる。円筒隔壁161の外表面に沿って旋回気流が流れる際に、内側空間5aから貫通孔161aを通じて外側空間5bへと空気を吸引する作用が発生する。かかる作用によって、円筒隔壁161内の空気は、
図3のF1〜F3方向等に沿って円筒隔壁161外へと流出する。
【0021】
燃焼室5の底面には、
図1及び
図2に示すように、受け皿15が設けられている。受け皿15には灯油が注入される。受け皿15に注入された灯油に点火することで固形燃料の燃焼を開始させる。
【0022】
燃料供給装置100は、ホッパー22内に貯留された固形燃料をボイラー1の燃焼室5内に供給する装置である。本実施形態の固形燃料は、いわゆる発泡スチロール(ポリスチレン)の廃材がペレット状に成形されたものからなる。なお、ポリスチレンの他、ポリエチレンやポリプロピレンの発泡材の廃材がペレット状に成形されたものが固形燃料として用いられてもよい。また、原料が発泡材でなくてもよい。さらに、ペレット化されていない、例えば廃材が細かく破砕されただけのものが固形燃料とされてもよい。
【0023】
燃料供給装置100は、
図1及び
図4に示すように、搬送部110及び130(第1搬送部及び第2搬送部)、冷却水供給部140(液体供給部)、並びに、制御部145を備えている。このうち、搬送部110は、
図4に示すように、固形燃料が通過する通路部111と、通路部111内に設けられたスクリュー112と、スクリュー112を回転させるモータ113とを有している。
【0024】
通路部111は、軸方向が水平に沿うように配置された円筒形の概略形状を有している。通路部111は、ボイラー1の外部から、ボイラー1の外壁2の内壁面2aを跨いで燃焼室5内へと延びており、さらに内部燃焼部160内まで到達している。通路部111の先端119は、内部燃焼部160の内部に配置されている。通路部111内には円柱形の概略形状を有する空間である搬送通路111aが形成されている。搬送通路111aの左端は通路部111の先端119において、
図4の左方に向かって開口している。搬送通路110aの右端付近には、固形燃料の供給部114が形成されている。供給部114内には固形燃料の供給通路114aが上下方向に沿って形成されている。供給通路114aの上端は上方に開口しており、下端は搬送通路111aの右端部と連通している。
【0025】
搬送通路111aを画定する通路部111の外壁は、
図5(a)〜
図5(c)に示すように、外層121及び内層122の2層を有している。外層121及び内層122は、それぞれ円筒形の概略形状を有している。外層121及び内層122は、互いに中心軸が一致するように配置されている。
【0026】
外層121と内層122の間には円筒状の空間が形成されている。外層121及び内層122同士は、隔壁123及び124によって水平方向に連結されている。隔壁123及び124は、上下方向に関して通路部111の中央に配置されている。隔壁123及び124は、
図4における外層121及び内層122の右端から左端付近まで延びている。これにより、隔壁123及び124は、外層121と内層122の間に形成された上記円筒状の空間を上部空間120a及び下部空間120bの2つに隔てている。上部空間120aは、通路部111の上半分の内部に形成された空間である。下部空間120bは、通路部111の下半分の内部に形成された空間である。隔壁123及び124は、
図5(a)に示すように、通路部111の左端付近で途切れている。これによって、通路部111の左端付近に、上部空間120aと下部空間120bとを上下方向に連通する連通孔125a及び125b(連通部)が形成されている。
【0027】
外層121及び内層122の右端付近には、
図4、
図5(b)及び
図5(c)に示すように、冷却水の流入口126及び流出口127が形成されている。流入口126は、外層121の下端部を貫通するように設けられている。これにより、流入口126は、下部空間120bと通路部111の外部とを連通させている。流出口127は、外層121の上端部を貫通するように設けられている。これにより、流出口127は、上部空間120aと通路部111の外部とを連通させている。
【0028】
スクリュー112は、
図4に示すように、円柱状の軸112aと、軸112aの外周面にらせん状に形成された羽根部112bとを有している。軸112aはモータ113と接続されている。モータ113は軸112aを回転させる。モータ113が軸112aを回転させる速度は、後述の制御部145によって制御される。モータ113が軸112aを回転させると、羽根部112bが搬送通路111a内で回転する。
図4において、羽根部112bが回転すると、供給部114から搬送通路111aの右端部に供給された固形燃料が羽根部112bの表面によって搬送通路111aに沿って押し出される。これによって固形燃料は、搬送通路111a内を左方へと順に送り出される。そして、固形燃料が通路部111の先端119まで到達すると、先端119から通路部111外へと落下する。羽根部112bの回転速度が大きくなるほど、搬送部110が単位時間当たりに搬送できる固形燃料の量も多くなる。搬送部110が単位時間当たりに搬送する固形燃料の量とは、搬送部110における搬送経路上のいずれかの地点を単位時間(例えば、1秒、1分等)当たりに通過する固形燃料の量である。例えば、通路部111の先端119から燃焼室5内に落下する単位時間当たりの固形燃料の量である。
【0029】
搬送部130は、
図4に示すように、固形燃料が通過する通路部131と、通路部131内に設けられたスクリュー132と、スクリュー132を回転させるモータ133とを有している。通路部131は、軸方向が水平方向及び鉛直方向のいずれに対しても斜めになるように配置された円筒形の概略形状を有している。通路部131の上端部は、搬送部110の供給部114の上方に配置されている。通路部131の上端部は後述のガイド管134の上部と接続されている。通路部131の下端部は、ホッパー22の下部と接続されている。通路部131内には円柱形の概略形状を有する空間である搬送通路131aが形成されている。ホッパー22内に十分な量の固形燃料が貯留されている場合、ホッパー22に貯留された固形燃料は、通路部111の下部から搬送通路111a内に連続的に(切れ目なく)供給される。
【0030】
スクリュー132は、円柱状の軸132aと、軸132aの外周面にらせん状に形成された羽根部132bとを有している。軸132aはモータ133と接続されている。モータ133は軸132aを回転させる。モータ133が軸132aを回転させる速度は後述の制御部145によって制御される。モータ133が軸132aを回転させると、羽根部132bが搬送通路131a内で回転する。
図4において、羽根部132bが回転すると、ホッパー22から搬送通路131aの下端部に供給された固形燃料が羽根部132bの表面によって搬送通路131aに沿って押し出される。これによって固形燃料は、搬送通路131a内を左斜め上方へと順に送り出される。そして、固形燃料が通路部131の上端部まで到達すると、その上端部からガイド管134内へと落下する。羽根部132bの回転速度が大きくなるほど、搬送部130が単位時間当たりに搬送できる固形燃料の量も多くなる。搬送部130が単位時間当たりに搬送する固形燃料の量とは、搬送部130における搬送経路上のいずれかの地点を単位時間(例えば、1秒、1分等)当たりに通過する固形燃料の量である。例えば、通路部131の上端部からガイド管134内へと落下する単位時間当たりの固形燃料の量である。
【0031】
ガイド管134は、搬送部130によって搬送された固形燃料を、フランジ部135を通じて搬送部110の供給部114へと落下させる。ガイド管134内にはガイド通路134aが、フランジ部135内にはガイド通路135aがそれぞれ形成されている。固形燃料は、ガイド通路134a及び135aを通過して供給部114へと向かう。フランジ部135に、ガイド通路135aを開閉可能なシャッターが設けられていてもよい。例えば、当該シャッターが、ガイド通路135aを遮断した位置とガイド通路135aから退避した位置との間で手動又は自動で位置を切り替え可能に構成されているとよい。これにより、仮に搬送部110の搬送通路において固形燃料が発火しても、シャッターによってガイド通路135aを遮断することで、搬送部130まで燃焼が伝わらないようにすることができる。
【0032】
冷却水供給部140は、冷却用の水を貯留する冷却水貯留部141と、冷却水貯留部141と接続されたポンプ142とを有している。ポンプ142はさらに、搬送部110の流入口126とホース等で接続されている。冷却水貯留部141と搬送部110の流出口127とはホース等で接続されている。ポンプ142は、冷却水貯留部141内に貯留された水を、流入口126を通じて下部空間120bへと流入させる。下部空間120b内に流入した水は、下部空間120b内を満たしていく。下部空間120b内に水が完全に満たされると、連通孔125a及び125b(
図5参照)を通じて下部空間120b内の水が上部空間120aへと流入する。上部空間120a内に流入した水は、さらに、上部空間120a内を満たしていく。上部空間120aに水が完全に満たされると、流出口127を通じて上部空間120a内の水が冷却水貯留部141に戻っていく。その後、冷却水貯留部141から流入口126を通じて下部空間120bへと水を流入させ続ける。これにより、冷却水貯留部141から、流入口126、下部空間120b、連通孔125a及び125b、上部空間120a並びに流出口127を経て冷却水貯留部141に戻る冷却水の循環経路が形成される。
【0033】
流入口126は、連通孔125a及び125bから
図4の右方に向かって離隔している。具体的には、流入口126が、
図4に示すように下部空間120bの右端付近にあり、これに対して連通孔125a及び125bが、
図5(a)に示すように通路部111の左端付近、つまり、下部空間120bの左端付近にある。したがって、下部空間120bの右端付近に流入した冷却水は、通路部111の長さ方向(
図4の左右方向)に沿って反対側の左端付近まで流れる。同様に、流出口127は
図4の右方に向かって連通孔125a及び125bから離隔している。具体的には、流出口127が、
図4に示すように上部空間120aの右端付近にあり、これに対して連通孔125a及び125bが、
図5(a)に示すように通路部111の左端付近、つまり、上部空間120aの左端付近にある。したがって、上部空間120aの左端付近に流入した冷却水は、通路部111の長さ方向(
図4の左右方向)に沿って反対側の右端付近まで流れる。このように、冷却水が下部空間120bを右端付近から左端付近まで流れると共に、上部空間120aを左端付近から右端付近まで流れる。よって、通路部111の長さ方向に亘って通路部111が全体的に冷却されやすい。
【0034】
制御部145は、モータ113及び133を制御するための各種の電気回路を有している。制御部145はスイッチ146と接続されている。スイッチ146は、ロータリースイッチ型のスイッチである。スイッチ146のつまみを回転させることでスイッチ146の状態を変更できる。つまみの回転には2点の限界位置がある。つまり、つまみはこの2点の限界位置の間で回転させることができる。制御部145は、スイッチ146の状態に基づいてモータ133を制御する。スイッチ146のつまみの回転位置は、固形燃料の搬送量と関連付けられている。制御部145は、搬送部130による固形燃料の単位時間当たりの搬送量が、スイッチ146のつまみの位置に応じたものとなるように、モータ133を制御して、軸132aの回転速度を調整する。例えばユーザーが、スイッチ146を操作することにより、固形燃料の搬送量を大きくするようにスイッチ146の状態を変更したとする。制御部145は、これに応じ、軸132aの回転速度を大きくするようにモータ133を制御する。なお、スイッチ146の代わりにその他の形式のスイッチやレバー等が用いられてもよい。
【0035】
制御部145がモータ133に変更させる軸132aの回転速度には範囲、つまり、上限及び下限が設定されている。この上限及び下限は、スイッチ146のつまみの回転における2点の限界位置と対応している。上限及び下限は、スクリュー132の重量やモータ133の能力等に応じて設定されている。軸132aの回転速度は、搬送部130が単位時間当たりに搬送できる固形燃料の単位時間当たりの量に対応する。したがって、軸132aの回転速度が上記下限から上限までの範囲内で変更されることは、搬送部130による固形燃料の単位時間当たりの搬送量が、回転速度の範囲に対応する所定の範囲で変更可能であることに相当する。
【0036】
一方、制御部145は、搬送部110に対しては、スイッチ146の状態に関わらず、軸112aの回転速度を一定の大きさに維持するようにモータ113を制御する。一定の大きさとは、かかる一定の大きさの回転速度で軸112aを回転させた場合に搬送部110が単位時間当たりに搬送することができる固形燃料の最大量が、上記所定の範囲の上限以上となるような回転速度の大きさである。最大量とは、搬送部110に固形燃料が最大まで供給された場合に搬送部110が単位時間当たりに搬送できる量である。つまり、搬送部130による搬送量の上限以上の量の固形燃料を搬送できるように軸112aが高速に回転する。したがって、搬送部110は、搬送部130における単位時間当たりの搬送量がどれだけ多くても、搬送されてきた固形燃料を滞らせることなく且つ高速に燃焼室5内へと搬送する。
【0037】
以上の構成において、受け皿15内の灯油に着火後、燃料供給装置100が固形燃料を燃焼室5に供給すると共に空気供給部150が空気を燃焼室5に供給することで、燃焼室5内で固形燃料が燃焼する。燃料供給装置100からの固形燃料は内側空間5a内を落下する。このため、まず、内側空間5a内において固形燃料が燃焼する。燃焼用の空気は、空気供給部150における給気部155及び給気管156から供給される。固形燃料はポリスチレン(又は、ポリエチレンやポリプロピレン等)からなるため、燃焼によって高温になった内側空間5a内を落下する際、固形燃料から可燃性ガスが発生する。かかる可燃性ガスは給気部155及び給気管156から供給される空気と混合しつつ燃焼する。内部燃焼部160の上部には蓋部120が設置されている。このため、内側空間5aにおいて発生した可燃性ガスが内部燃焼部160の上方に流出するのが抑制されている。
【0038】
内側空間5aにおいて固形燃料が燃焼する際に、不純物などが燃え残ったり、固形燃料の一部が炭化したりすることで、燃え滓が発生することがある。そして、このような燃え滓が給気部155上に積み重なり、給気部155の貫通孔155bの開口を塞ぐおそれがある。しかしながら、仮に、固形燃料の燃え滓等によって給気部155の貫通孔155bが塞がれたとしても、給気部155よりも上方に延びた給気管156の流出口は燃え滓等によって塞がれたりしにくい。したがって、仮に貫通孔155bが塞がれても、燃焼用の空気は給気管156の流出口から供給される。
【0039】
一方、上記の通り、内側空間5aの空気は、外側空間5bに発生する旋回気流によって、円筒隔壁161の貫通孔161aを通じて外側空間5bへと吸引される。これにより、内側空間5aにおいて燃焼せずに残った可燃性のガスが内側空間5aから外側空間5bへと流出する。流出した可燃性のガスは、外側空間5bにおいて旋回気流に合流すると共に、旋回気流中の空気と適切に混合されつつ燃焼する。外側空間5bでは旋回気流の形成によって、燃焼に十分な量の空気と可燃性のガスとが混合する。したがって、可燃性のガスが内側空間5aにおいて燃え残ったとしても、外側空間5bにおいて確実に燃焼する。
【0040】
以上説明した本実施形態に係る燃料供給装置100によると、搬送部110の通路部111が燃焼室5外から内壁面2aを跨いで燃焼室5内まで延びている。具体的には、通路部111の終端である先端119が内壁面2aを超え、さらに奥の内部燃焼部160の内部に配置されている。したがって、搬送部110によって固形燃料が内部燃焼部160内へと適切に搬送される。また、スイッチ146を操作することで搬送部130における固形燃料の単位時間当たりの搬送量を変更できる。このため、ボイラー1における燃焼の強弱に応じて燃料の供給量を変更できる。
【0041】
一方、上記のように搬送部110を構成すると以下の問題が生じるおそれがあることを、本発明者は知見した。上記構成によると、搬送部110の通路部111の一部が燃焼室5内に配置されることになる。このため、燃焼室5内で固形燃料が燃焼すると、通路部111における燃焼室5内に配置された部分の固形燃料は、燃焼室5外にある固形燃料と比べて発火するおそれが高まる。また、本実施形態の固形燃料は発泡スチロールの廃材からなる。発泡スチロールを構成するポリスチレンの溶融温度は80〜90℃である。このため、燃焼室5内の温度は固形燃料の溶融温度を大きく上回ることになる。よって、通路部111における燃焼室5内に配置された部分の固形燃料は、燃焼室5外にある固形燃料と比べて溶融しやすくなる。固形燃料が溶融した場合、溶融した固形燃料がスクリュー112の羽根部112bに付着することで、固形燃料が通路部111内に残存するおそれがある。
【0042】
このような問題を生じにくくするため、本実施形態においては、搬送部130において固形燃料の搬送量をスイッチ146の操作によって変更できる一方で、搬送部110における軸112aの回転を高速に維持することとした。具体的には、軸112aの回転速度を、その回転速度によって搬送部110が単位時間当たりに搬送できる固形燃料の最大量が搬送部130による単位時間当たりの搬送量の上限以上となる一定の大きさに維持することとした。これにより、搬送部130における固形燃料の搬送量に関わらず、搬送部110において固形燃料が高速に搬送される。このため、搬送部110の通路部111外(内部燃焼部160内)へと固形燃料が速やかに排出される。したがって、通路部111内で固形燃料が発火したり固形燃料が溶融して通路部111内に残存したりしにくくなる。一方、搬送部110において軸112aの回転を上記の通り高速にしても、実際に搬送部110から燃焼室5内に供給される固形燃料の単位時間当たりの供給量(搬送量)は、搬送部130から搬送部110へと搬送される単位時間当たりの搬送量に依存する。したがって、搬送部130における搬送量を調整することにより、燃焼室5内への最終的な供給量を調整できる。
【0043】
また、本実施形態においては、冷却水供給部140が通路部111内に形成された上部空間120a及び下部空間120b内に冷却水を供給する。これによって通路部111が冷却されるので、通路部111内で固形燃料が発火したり溶融したりするのがさらに抑制される。
【0044】
また、本実施形態では、外側空間5bにおいて円筒隔壁161と燃焼室5の内壁面2aとに水平方向に挟まれた領域に旋回気流を発生させる。かかる限定された領域に旋回気流を発生させるため、旋回気流が確実に形成されやすい。また、外側空間5bに形成される旋回気流により、内側空間5aに供給された固形燃料から発生した可燃性ガスが、各貫通孔161aを通じて、円筒隔壁161と燃焼室5の内壁面2aとに挟まれた上記領域に流出する。つまり、内側空間5aにおいて固形燃料から発生した可燃性ガスのうちの未燃焼のものが、各貫通孔161aに向かって外側に流れると共に、そのまま各貫通孔161aを通じて円筒隔壁161の外側の旋回気流へと合流しやすい。したがって、内側空間5aにおいて未燃焼であった可燃性ガスが、外側空間5bの限定された領域に適切に形成された旋回気流に巻き込まれつつ、効率よく燃焼する。
【0045】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能である。
【0046】
例えば、上述の実施形態では、搬送部130においても搬送部110と同様、スクリューを用いて固形燃料を搬送する搬送方式が採用されている。しかし、搬送部130においてはスクリュー以外の搬送方式が採用されてもよい。また、搬送部110及び130のいずれのスクリューにおいても羽根部が軸に固定されている。しかし、軸を有しない羽根部のみのスクリューが用いられてもよい。
【0047】
また、上述の実施形態では、軸112aの回転速度が制御部145によって一定の大きさに保たれている。しかし、搬送部110が単位時間当たりに搬送することができる固形燃料の最大量が搬送部130による搬送量の上限以上となる範囲であれば、軸112aの回転速度が変動してもよい。なお、軸112aの回転速度が上記の範囲に維持されるのは、燃焼室5内の温度が十分に上昇し、安定的に固形燃料を燃焼し続ける高温運転時のみであってよい。例えば、燃焼室5内の燃焼が開始したばかりで未だ十分に燃焼室5内の温度が上昇していない期間には、軸112aの回転速度がある程度低く抑えられてもよい。未だ十分に燃焼室5内の温度が上昇していないので、搬送部110の搬送量が抑えられていても、通路部111内の固形燃料が発火したり溶融したりするおそれが低いためである。
【0048】
また、上述の実施形態においては、スイッチ146のつまみの回転位置に応じて搬送部130における搬送量を制御部145が制御する。スイッチ146のつまみはユーザーが手動で操作する。つまり、搬送部130の搬送量は手動で調整される。しかし、制御部145が、あらかじめプログラムされた内容に基づき、搬送部130における搬送量を自動制御してもよい。この場合においても、搬送部130における搬送量の範囲として上限及び下限が設定されると共に、搬送部110が単位時間当たりに搬送することができる固形燃料の最大量が上記上限以上となる範囲に軸112aの回転速度が維持される。
【0049】
また、上述の実施形態においては、通路部131の軸方向が水平方向及び鉛直方向のいずれに対しても斜めになるように搬送部130が配置されている。したがって、固形燃料は、搬送通路131a内を
図4の左斜め上方に搬送される。これに対し、通路部131の軸方向が水平に配置されてもよい。この場合、固形燃料は、通路部131に沿って水平に搬送される。
【0050】
また、上述の実施形態は、本発明がボイラーに適用されたものである。しかし、本発明がボイラー以外の燃焼装置に適用されてもよい。例えば、燃焼室5内の燃焼熱によって高温になった空気を利用した暖房装置や、燃焼室5内の燃焼熱によって水を蒸発させて得た水蒸気の圧力を利用した発電装置等、燃焼熱をさまざまに利用する燃焼装置に適用されてよい。