(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近時では、先行車に追従して走行する先行車追従機能、路面上の車線に沿って走行する車線維持機能などの運転アシスト機能を備えた自動車が出現している。このような先行車追従機能や車線維持機能は、道路環境に大きく依存しており、道路環境によっては、これらの機能を利用することができなくなる。例えば、交通量の多い道路や急なカーブの多い道路では先行車追従機能の利用は困難であり、車線が劣化している道路では車線維持機能の利用は困難である。
【0005】
一方、近時の車両では、ナビゲーションシステムによって目的地までの最適な経路を求めることができる。しかしながら、ナビゲーションシステムによって求まる走行経路は、目的地までの距離、所要時間等に基づいて設定されるため、運転アシスト機能の利用に適さないルートが含まれると、運転アシスト機能を十分に利用することができなくなる。従って、ドライバーにとって、どのルートを通れば先行車追従機能や車線維持機能をできるだけ多くして使用して、安全で快適な運転ができるかを認識できない問題があった。
【0006】
上記特許文献に記載された技術は、通信ネットワークを介してセンタから位置・経路情報を受信するものであるが、運転アシスト機能の利用については何ら考慮するものではない。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、運転アシスト機能を最適に利用することのできる走行経路を設定することが可能な、新規かつ改良された情報処理装置、車両の情報処理装置、情報処理方法及び車両の情報処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、走行アシスト機能を有する複数の車両から、走行中の運転アシスト機能の利用情報を取得する利用情報取得部と、前記利用情報に基づいて、運転アシスト機能の利用可能性を示す情報を算出する利用可能性情報算出部と、前記利用可能性を示す前記情報を、運転アシスト機能を有する任意の車両が経路検索を行う際に利用させるため、当該任意の車両に送信する送信部と、を備え、前記利用可能性情報算出部は、
運転アシスト機能の使用率と、走行時間と、運転アシスト機能に関するドライバーの操作状況に応じた補正係数と、に基づいて、前記利用可能性を示す前記情報を算出する、情報処理装置が提供される。
【0009】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、運転アシスト機能を有する複数の車両から、走行中の運転アシスト機能の利用情報を取得する利用情報取得部と、前記利用情報に基づいて、運転アシスト機能の利用可能性を示す情報を算出する利用可能性情報算出部と、運転アシスト機能を有する任意の車両から、当該車両の現在地及び目的地に関する位置情報を取得する位置情報取得部と、前記利用可能性を示す前記情報と現在地及び目的地に関する前記位置情報とに基づいて、現在地から目的地までの走行経路を検索する経路検索部と、前記経路を前記任意の車両に送信する送信部と、を備え、前記利用可能性情報算出部は、
運転アシスト機能の使用率と、走行時間と、運転アシスト機能に関するドライバーの操作状況に応じた補正係数と、に基づいて、前記利用可能性を示す前記情報を算出することを特徴とする情報処理装置が提供される。
【0010】
また、前記利用可能性情報算出部は、前記利用可能性を示す前記情報として、運転アシスト機能の使用率を算出するものであっても良い。
【0011】
また、前記利用可能性情報算出部は、運転アシスト機能の使用率と走行時間に基づいて前記利用可能性を示す前記情報を算出するものであっても良い。
【0012】
また、前記利用可能性情報算出部は、前記使用率と前記走行時間に加えて、運転アシスト機能に関するドライバーの操作状況に応じた補正係数に基づいて、前記利用可能性を示す前記情報を算出するものであっても良い。
【0013】
また、前記利用可能性情報算出部は、走行経路を一般道路、高速道路の少なくともいずれかを含む複数の区間に分割し、分割した前記区間毎に前記利用可能性を示す前記情報を算出するものであっても良い。
【0014】
また、前記経路検索部は、現在地から目的地までの複数の走行経路の候補を抽出し、前記候補の中から、前記利用可能性情報算出部が算出した前記利用可能性を示す前記情報に基づいて、最も前記運転アシスト機能の利用可能性が高い走行経路を検索するものであっても良い。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、自車両の走行中に運転アシスト機能の利用情報を取得する利用情報取得部と、前記利用情報をサーバに送信する送信部と、複数の車両から得られた前記利用情報に基づいて前記サーバが算出した運転アシスト機能の利用可能性を示す情報を前記サーバから取得する利用可能性情報取得部と、前記利用可能性を示す情報に基づいて、現在地から目的地までの走行経路を検索する経路検索部と、を備え、前記利用可能性情報取得部は、
運転アシスト機能の使用率と、走行時間と、運転アシスト機能に関するドライバーの操作状況に応じた補正係数と、に基づいて算出された前記利用可能性を示す前記情報を取得する車両の情報処理装置が提供される。
【0016】
また、前記経路検索部は、現在地から目的地までの複数の走行経路の候補を抽出し、前記候補の中から、前記利用可能性を示す情報に基づいて、最も前記運転アシスト機能の利用可能性が高い走行経路を検索するものであっても良い。
【0017】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、自車両の走行中に運転アシスト機能の利用情報を取得する利用情報取得部と、前記利用情報に基づいて前記サーバが算出した前記運転アシスト機能の利用可能性を示す情報と現在地及び目的地に関する情報をサーバに送信する送信部と、複数の車両から得られた前記利用情報と、現在地及び目的地に関する前記情報とに基づいて前記サーバが検索した現在地から目的地までの走行経路を、前記サーバから受信する受信部と、を備え、前記利用可能性を示す前記情報は、
運転アシスト機能の使用率と、走行時間と、運転アシスト機能に関するドライバーの操作状況に応じた補正係数と、に基づいて算出される、車両の情報処理装置が提供される。
【0018】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、走行アシスト機能を有する複数の車両から、走行中の運転アシスト機能の利用情報を取得するステップと、前記利用情報に基づいて、運転アシスト機能の利用可能性を示す情報を算出するステップと、前記利用可能性を示す前記情報を、運転アシスト機能を有する任意の車両が経路検索を行う際に利用させるため、当該任意の車両に送信するステップと、を備え、
運転アシスト機能の使用率と、走行時間と、運転アシスト機能に関するドライバーの操作状況に応じた補正係数と、に基づいて、前記利用可能性を示す前記情報を算出する情報処理方法が提供される。
【0019】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、自車両の走行中に運転アシスト機能の利用情報を取得するステップと、前記利用情報をサーバに送信するステップと、複数の車両から得られた前記利用情報に基づいて前記サーバが算出した運転アシスト機能の利用可能性を示す情報を前記サーバから受信するステップと、前記利用可能性を示す情報に基づいて、現在地から目的地までの走行経路を検索するステップと、を備え、前記利用可能性を示す前記情報は、
運転アシスト機能の使用率と、走行時間と、運転アシスト機能に関するドライバーの操作状況に応じた補正係数と、に基づいて、算出される。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように本発明によれば、運転アシスト機能を最適に利用することのできる走行経路を設定することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0023】
まず、
図1を参照して、本発明の一実施形態に係る車両の制御システム1000の構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る車両の制御システム1000の構成を説明するための模式図である。
図1に示すように、このシステム1000では、車両100と、サーバ200(管理装置)とが通信可能に構成されている。車両100とサーバ200とは、インターネット等のネットワーク500、携帯電話網、PHS網、無線LAN、WiMAX、衛星電話、ビーコン等を介して通信可能に接続されている。例えば、車両100とサーバ200のそれぞれが携帯電話網、PHS網、無線LAN、WiMAX、衛星電話、ビーコン等を介して基地局に接続され、基地局同士がネットワーク500を介して接続されるものであっても良い。
【0024】
車両100は、制御部110、車両データ等を格納するメモリ130、サーバ200との間で情報の送受信を行う通信部(通信モジュール)140、カメラ150、車外センサ160、表示装置170、音声発生装置175、ナビゲーションシステム180、GPS185、運転アシストシステム190、操作入力部195を有して構成されている。制御部110は、例えばECU(Electronic Control Unit)から構成され、サーバ200との通信のための処理を行う通信処理部111、カメラ150が撮像して得られた画像情報に基づいて車線の位置や先行車までの距離を解析する画像分析部112、先行車に車両100を追従させるための処理を行う先行車追従機能処理部113、車線維持機能のための処理を行う車線維持機能処理部114、自車両の運転アシスト機能の利用情報を取得する利用情報取得部115、サーバ200から運転アシスト機能の利用可能性を示す情報を取得する利用可能性情報取得部116、経路検索部117を有している。制御部110の各構成要素は、CPUなどの中央演算処理装置と、これを機能させるためのプログラム(ソフトウェア)から構成されることができる。
【0025】
車両100が備えるカメラ150は、車両外部を撮像し、車両外部の画像情報、特に車両前方の路面、走行レーンを示す車線、先行車、信号機、各種標識類の画像情報を取得する。より好適には、カメラ150はステレオカメラから構成される。この場合、カメラ150は、CCDセンサ、CMOSセンサ等の撮像素子を有する左右1対のカメラを有して構成され、車両外の外部環境を撮像し、撮像した画像情報を制御部110の画像分析部112へ送る。
【0026】
画像分析部112は、カメラ150の左右1対のカメラによって自車両進行方向を撮像して得られた左右1組のステレオ画像対に対し、対応する位置のずれ量から三角測量の原理によって対象物(先行車など)までの距離情報を生成して取得することができる。また、画像分析部112は、三角測量の原理によって生成した距離情報に対して、周知のグルーピング処理を行い、グルーピング処理した距離情報を予め設定しておいた三次元的な立体物データ等と比較することにより、立体物データや白線データ等を検出することができる。これにより、画像分析部112は、走行レーンを示す車線、一時停止の標識、停止線、ETCゲートなどを認識することもできる。
【0027】
また、画像分析部112は、三角測量の原理によって生成した先行車との距離情報(車間距離L)を用いて、車間距離Lの変化量、先行車との相対速度Vを算出することができる。車間距離Lの変化量は、単位時間ごとに検知されるフレーム画像間の車間距離Lを積算することにより求めることができる。また、相対速度Vは、単位時間ごとに検知される車間距離を当該単位時間で割ることにより求めることができる。
【0028】
車外センサ160は、レーダセンサ、温度センサ等を含み、車外の環境情報を取得する。表示装置170は、車両100内のインパネの近傍に配置され、ナビゲーションシステム180から取得した地図情報を表示するとともに、GPS185が取得した現在位置、目的地までの走行経路などを地図情報に重畳表示する。また、表示装置170は、サーバ200から得られた各種情報等を表示する。音声発生装置175は、ナビゲーションシステム180の音声や警告情報などを発音する。ナビゲーションシステム180は、地図情報を有し、目的地までの走行経路を検索し、地図情報とともに表示装置170に表示させる。また、ナビゲーションシステム180は、地図情報に基づいて、現在地から目的地までの距離、所要時間、高速道路の利用料金等を算出し、表示装置170表示させる。GPS185は、現在位置に関する情報を取得する。GPS185が取得した現在位置に関する情報は、通信部140からサーバ200へ送られる。
【0029】
操作入力部195には、ドライバーによる操作情報が入力される。例えば、運転アシスト機能を使用する状態に設定(セット)する際の操作情報、先行車追従機能を利用する際の速度情報、先行車との車間距離情報、目的地の位置情報などが操作入力部195に入力される。ドライバーによる操作情報は、通信部140からサーバ200へ送られる。
【0030】
本実施形態に係る車両100,300,400・・・は、カメラ150により検出した画像情報に基づいて、先行車追従機能(以下、追従機能とも称する)、車線維持機能などの運転アシストを行う機能を有している。追従機能は、先行車との距離を検出し、先行車との距離が一定となるように車両を走行させる機能である。車線維持機能は、道路上の車線(白線など)を検出し、車線に沿って車両100を走行させるための機能であり、車両100が車線に沿って走行してい
るか否かを示す情報をドライバーに通知する機能を含む。また、車線維持機能は、操舵の制御、または後輪のトルクベクタリング制御等により、車線に沿って車両100を走行させるための機能を含む。なお、本明細書では、先行車追従機能、車線維持機能などのドライバーの運転をアシストする機能を総称して運転アシスト機能と称する。
【0031】
運転アシストシステム190は、運転アシスト機能を行う構成要素である。運転アシストシステム190は、制御部110の先行車追従機能処理部113、車線維持機能処理部114の制御によりドライバーの運転アシストを行う。車両100を先行車に追従して走行させる場合、先行車追従機能処理部113は、画像分析部112から先行車との車間距離Lを取得し、車間距離Lが一定となるように車両100を駆動するエンジン、モータを制御し、また車両100のブレーキを制御する。また、車両100を車線に沿って走行させる場合、車線維持機能処理部114は、画像分析部112から車線の位置に関する情報を取得し、車線に沿って車両100が走行するように転舵装置や後輪のモータのトルクベクタリング制御を行う。また、車線維持機能処理部114は、画像分析部112から車両前方の車線の位置に関する情報を取得し、車両100が車線から逸脱した場合は、表示装置170に警告を表示させ、また音声発生装置175に警報音を発生させる。なお、これらの先行車両追従機能、車線維持機能は、既存の技術を用いることができる。
【0032】
制御部110の利用情報取得部115は、運転アシスト機能の利用状況に関する利用情報を取得する。具体的には、利用情報取得部115は、運転アシスト機能の使用率を取得する。この利用情報は、通信処理部111の処理によって通信部140からサーバ200へ送信される。
【0033】
サーバ200には、他の車両300,400・・・が車両100と同様にして接続されている。他の車両300,400・・・の構成は、車両100と同様である。つまり、サーバ200には、運転アシスト機能のシステムが搭載された複数の車両が接続される。サーバ200は、制御部210とデータベース220を有して構成される。制御部210は、CPUなどの中央演算処理装置と、これを機能させるためのプログラム(ソフトウェア)から構成されることができる。制御部210は、車両100,300,400・・・との間で情報の送受信を行う通信部212、運転アシスト機能を有する車両100,300,400・・・から、走行中の運転アシスト機能の利用情報を取得する利用情報取得部214と、運転アシスト機能の利用情報に基づいて、運転アシスト機能の利用可能性を示す情報を算出する利用可能性情報算出部216と、車両100,300,400・・・から送られた現在地及び目的地に関する位置情報を取得する位置情報取得部217、を有して構成されている。
【0034】
前述したように、追従機能や車線維持機能などの運転アシスト機能は、道路環境に大きく依存している。ナビゲーションシステム180で目的地までの最短ルートを検索した場合、細い道路や車線が十分に認識できるように引かれていない道路が経路として選択されると、運転アシスト機能が使用できなくなり、これらの機能を十分に発揮できなくなる。
【0035】
本実施形態では、追従機能の継続使用率、車線維持機能の継続使用率、一時停止率(HALT)等から、最も追従機能や車線維持機能を活用して通行できるルートをナビゲーションシステム180の推奨ルートとしてドライバーに提示する。このため、各車両から取得した運転アシスト機能の利用情報に基づいて、一定区間毎の運転アシスト機能の使用率(平均継続使用率)を算出し、ある地点からある地点までのルート検索結果に基づいて、各ルートの使用可能性率を求め、ルート検索結果に反映させる。使用可能性率は、一定区間毎に算出された、運転アシスト機能を使用する可能性を示す情報である。使用可能性率は、他車を含めた大量のデータから算出してもよいし、自車の走行履歴から算出してもよい。他車を含めたデータと自車の走行履歴の双方を使用する場合、自車の走行履歴の重み付けを高くすることが望ましい。ドライバーは運転アシスト機能をできるだけ使用することによって、疲労が少なく快適に移動することができる。
【0036】
以下では、
図2に示すように、X市(現在地)からY市(目的地)へ走行する場合に、Aルート、Bルート、Cルートの3つのルートがナビゲーションシステム180によって検索された場合について説明する。通常のナビゲーションシステムでは、走行距離、所要時間、有料道路の料金等に基づいて最適なルートを検索するが、本実施形態のシステム1000では、運転アシスト機能の利用可能性を示す情報に基づいて最適なルートを検索する。
【0037】
図3は、サーバ200側で行われる処理を示すフローチャートであって、サーバ200が経路毎(一定区間毎)に運転アシスト機能の使用率を求めてデータベース220に蓄積する処理を示している。
【0038】
先ず、ステップS10では、サーバ200と接続された各車両100,300,400・・・について、カメラ150の電源がオンとなっており、カメラ150の画像情報に基づく運転アシスト機能を使用する状態に設定(セット)されているか否かを判定する。次のステップS12では、各車両100,300,400・・・の走行区間と運転アシスト機能の使用率を収集する。一例として、使用率は、先行車追従機能、または車線
維持機能をセットしてから解除されるまでの時間に対して、セットした状態が継続している時間の割合である。そして、一定区間毎に複数の車両から使用率を取得することで、一定区間毎の平均継続使用率を求める。平均継続使用率は、先行車追従機能、または車線
維持機能をセットしてから解除されるまでの時間に対して、セットした状態が継続している時間の割合の平均値である。なお、ある区間を走行した複数の車両についての平均値ではなく、50%tile値を用いても良い。
【0039】
運転アシスト機能を使用して運転している最中に、アクセル操作をしたり、操作入力部195から操作を行うことにより、ドライバーが追従機能の設定速度を変更したり、先行車との車間距離の設定を変更する場合がある。このような操作が発生した場合、運転アシスト機能の使用率が低下する。このため、ステップS14では、運転アシスト機能の使用が設定されている最中にドライバーの操作があったか否かを判定し、ドライバーの操作があった場合はステップS16へ進む。
【0040】
ステップS16では、運転アシスト機能の使用が設定されている最中におけるドライバーのアクセル操作や設定速度の変更操作の頻度等に応じて、補正係数αを求め、係数αを平均継続使用率に乗算する。補正係数αの算出方法として、例えば、一定区間において、設定速度の変更10回以上が10データ以上あった場合、使用率を0.8倍(α=0.8)とする。また、例えば、一定区間において、アクセル操作20回以上が10データ以上あった場合、0.9倍とする。これにより、
運転アシスト機能のセットが継続していたとしても、ドライバの操作が多い場合は、推奨度を下げることができる。
【0041】
なお、使用率データを蓄積する際に補正係数αを平均継続使用率に乗算しても良いし、推奨ルート算出時に補正係数αを乗算しても良い。ステップS16の後はステップS18へ進み、運転アシスト機能の平均継続使用率データをデータベース220に蓄積する。
【0042】
図4は、車両100の制御
部110で行われる処理を示すフローチャートである。車両1
00の制御
部110は、利用情報をサーバ200へ送信し、
運転アシスト機能の利用可能性を示す情報をサーバ200から受け取り、利用可能性を示す情報に基づいて経路検索を行う。先ず、ステップS20では、ドライバーがナビゲーションシステム180に目的地の設定をしたか否かを判定し、目的地の設定をした場合はステップS22へ進む。一方、目的地設定をしていない場合は、ステップS20で待機する。
【0043】
ステップS22では、複数の車両100,300,400・・・の運転アシスト機能の使用率データを蓄積しているサーバ200にアクセスし、運転アシスト機能の利用可能性に関する情報をサーバ200から取得する。より具体的には、
図3のステップS18でデータベース220に蓄積された、走行区間毎の運転アシスト機能の平均継続使用率を取得する。次のステップS24では、ナビゲーションシステム180が提示した目的地までの複数ルートに対して、サーバ200から収集した運転アシスト機能の平均継続使用率に基づいて、各ルートにおける
運転アシスト機能の使用可能性率を算出する。
【0044】
次のステップS26では、運転アシスト機能の使用可能性率の高いルートを推奨ルートとして、表示装置170に表示する。
【0045】
図5〜
図7は、
図3のステップS18で蓄積した走行区間と運転アシスト機能の平均継続使用率に基づいて、使用可能性率を算出する方法を説明するための模式図である。
図5〜
図7は、
図2に示すようなAルート、Bルート、Cルートの3ルートがナビゲーションシステム180によって提示された場合の使用可能性率の算出例を示している。なお、ルート内の区間分けは、さらに詳細にしてもよい。
【0046】
図5に示すように、Aルートでは、区間(1)が一般道(一車線の狭い道)であり、区間(2)が都市間高速道路であり、区間(3)が一般道(交通量の多い道)である。区間(1)の運転アシスト機能の平均継続使用率は30%であり、区間(2)の運転アシスト機能の平均継続使用率は60%であり、区間(3)の運転アシスト機能の平均継続使用率は20%である。
【0047】
区間(1)、区間(2)、区間(3)の距離はそれぞれ15km、45km、35kmであり、各区間の推定車速から各区間の推定走行時間(分)が求まる。例えば、一般道では40km/h、都市間高速では80km/h、都市高速では60km/hとすることができる。また、推定走行時間として、複数の車両から実際に収集したデータを用いても良い。
【0048】
区間(1)の推定走行時間は23分であり、区間(2)の推定走行時間は34分であり、区間(3)の推定走行時間は53分である。そして、推定走行時間から各区間の時間割合が求まる。区間(1)の時間割合は0.21であり、区間(2)の時間割合は0.31であり、区間(3)の時間割合は0.48である。
【0049】
使用可能性率は、以下の式から算出される。補正係数αの値は通常は1.0であるが、交通量が多い区間等では運転アシスト機能の利用が低下することから、上述のように1以下の値(0.8〜0.9程度)に設定される。
使用可能性率=平均継続使用率×時間割合×補正係数
【0050】
以上のようにしてAルートの区間(1)、区間(2)、区間(3)のぞれぞれで使用可能性率が求まると、Aルートの使用可能性率の合計(=31.6)が求まる。Bルート、Cルートについても同様に使用可能性率を求め、ルート選定の基準とする。
図6に示すようにBルートの使用可能性率の合計は51.6であり、
図7に示すようにCルートの使用可能性率の合計は39.0である。
【0051】
図5〜
図7において、距離と時間を優先した場合は、Cルートが最短距離であり、推定走行時間も最短であることから、検索結果を表示する際にはCルートが最も上位に表示される。また、通行料金を優先した場合は、Aルートの高速道路の走行距離が最も短いため、Aルートが最も上位に表示される。通常のナビゲーションシステムでは、目的地までの距離、時間、通行料金を考慮してルートの選定が行われる。
【0052】
一方、本実施形態では、運転アシスト機能の使用可能性率に基づいてルートの選定が行われる。一例として、
図5〜
図7に示す(a)平均継続使用率と(f)補正係数は、サーバ200の制御部210の利用可能性情報算出部216が算出し、その他の情報は車両100側のナビゲーションシステム180が算出する。(a)平均継続使用率と(f)補正係数は、サーバ200の通信部212によって車両100側へ送られる。
【0053】
この場合、車両100の制御部110の利用可能性情報取得部116は、サーバ200側から利用可能性を示す情報として、(a)平均継続使用率と(f)補正係数を取得する。制御部110の経路検索部117は、ナビゲーションシステム180から得られた複数の候補ルート(Aルート、Bルート、Cルート)について、使用可能性率に基づいて走行経路を検索する。具体的には、経路検索部117は、ナビゲーションシステム180から取得した(d)時間割合と、サーバ200から受信した(a)平均継続使用率及び(f)補正係数を乗算することで、使用可能性率を算出し、算出した使用可能性率が最も大きい走行経路を検索結果として出力する。出力された検索結果は、表示装置170に表示される。なお、(d)時間割合は、区間毎の(c)推定走行時間の割合であり、ナビゲーションシステム180側で算出できる。
【0054】
また、サーバ200側で(e)の使用可能性率まで算出しても良い。この場合、サーバ200は、現在地と目的地の位置情報に基づいて、利用可能性情報算出部216が(a)平均継続使用率と(d)時間割合及び(f)補正係数を乗算することで、(e)使用可能性率を算出する。制御部110の利用可能性情報取得部116は、サーバ200側から利用可能性を示す情報として、(e)の使用可能性率を取得する。経路検索部117は、ナビゲーションシステム180から取得した複数の候補ルート(Aルート、Bルート、Cルート)について、利用可能性情報取得部116が取得した(e)の使用可能性率に基づいて、使用可能性率が最も大きい走行経路を検索結果として出力する。
【0055】
このように、本実施形態では、運転アシスト機能の使用を優先した場合ルート選定を行うことができる。
図5〜
図7において、使用可能性率の合計値が最も大きいルートはBルートである。従って、制御部110の経路検索部117は、ドライバーが運転アシスト機能の使用を優先してルート検索を行った場合、検索結果としてBルートを最も上位に抽出する。Bルートを選択した場合は、目的地に至るまでの間、運転アシスト機能を最も多く利用できる。従って、運転アシスト機能をより多く使用することによって、ドライバーの疲労が低減され、快適に移動することができる。
【0056】
上述した例では、車両100の利用可能性情報取得部116がサーバ200から利用可能性を示す情報(使用可能性率)を取得し、経路検索部117が経路検索を行うこととしたが、サーバ200側で経路検索まで一括して行うこともできる。この場合、
図1に示したように、サーバ200の制御部210は、経路検索部218を更に備える。また、サーバ200のデータベース220には、地図情報が格納される。経路検索部218は、先ず、位置情報取得部217が取得した現在地と目的地に関する位置情報に基づいて、ナビゲーションシステム180と同様に複数のルートを抽出する。そして、経路検索部218は、利用可能性
情報算出部216が算出した利用可能性を示す情報(使用可能性率)に基づいて、複数のルートの中から最も使用可能性率が
高い走行経路を検索する。通信部212は、経路検索部218が検索した走行経路を車両100側に送信する。経路検索部218が検索した走行経路を受信した車両100の制御部110は、検索結果を表示装置170に表示させる。このような構成によれば、サーバ200側で経路検索まで一括して行うことができるため、車両100側の処理をより簡素にすることができる。
【0057】
以上説明したように本実施形態によれば、複数の車両100,300,400・・・の運転アシスト機能の利用情報に基づいて、サーバ200側で運転アシスト機能の利用可能性を示す情報を算出するようにしたため、運転アシスト機能の利用可能性を示す情報
に基づいて、最も運転アシスト機能を利用できる走行経路を検索することが可能となる。これにより、ドライバーは運転アシスト機能をできるだけ多く使用することによって、疲労が少なく快適な運転を行うことができる。
【0058】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。