特許第6392735号(P6392735)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6392735情報処理装置、情報処理方法、車両の制御装置及び車両の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6392735
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、車両の制御装置及び車両の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20180910BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20180910BHJP
   B60R 21/00 20060101ALI20180910BHJP
   B60W 30/12 20060101ALI20180910BHJP
   B60W 50/14 20120101ALI20180910BHJP
【FI】
   G08G1/09 C
   G08G1/16 A
   B60R21/00 992
   B60W30/12
   B60W50/14
【請求項の数】17
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-233450(P2015-233450)
(22)【出願日】2015年11月30日
(65)【公開番号】特開2017-102556(P2017-102556A)
(43)【公開日】2017年6月8日
【審査請求日】2016年9月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100095957
【弁理士】
【氏名又は名称】亀谷 美明
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100128587
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 一騎
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 武史
【審査官】 上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−092320(JP,A)
【文献】 特開2015−141050(JP,A)
【文献】 特開2015−141101(JP,A)
【文献】 特開2004−126888(JP,A)
【文献】 特開2014−186398(JP,A)
【文献】 特開2012−027760(JP,A)
【文献】 特開2017−049755(JP,A)
【文献】 特開2015−175825(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00−99/00
G01C 21/00−21/36
23/00−25/00
B60R 21/00−21/13
21/34−21/38
B60W 10/00
10/02
10/04−10/06
10/08
10/10
10/101−10/18
10/184−10/26
10/28
10/30
30/00−50/16
B62D 6/00−6/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車線に沿って走行させる車線維持機能を有する複数の車両から、走行中の前記車線維持機能の利用情報を取得する利用情報取得部と、
前記利用情報に基づいて、前記車線維持機能の一時停止発生率が高い領域を抽出する領域抽出部と、
前記一時停止発生率に基づく通知情報を、前記車線維持機能を有する任意の車両に送信する送信部と、
を備え
前記送信部は、前記一時停止発生率が第1のしきい値以上の場合は、前記車線維持機能を停止させるための前記通知情報を送信し、前記一時停止発生率が第1のしきい値未満であり第2のしきい値よりも大きい場合は、前記車線維持機能が停止する可能性を示す警告情報を前記通知情報として送信することを特徴とする、情報処理装置。
【請求項2】
前記車線維持機能を有する任意の車両の位置情報を取得する位置情報取得部を備え、
前記送信部は、前記領域の手前を走行する車両に対して前記通知情報を送信することを特徴とする、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記送信部は、前記通知情報として前記車線維持機能の停止を指示する情報を送信することを特徴とする、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記送信部は、前記通知情報として前記車線維持機能が一時停止する可能性を示す警告情報を送信することを特徴とする、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記送信部は、前記任意の車両がナビゲーションシステムの地図情報に反映させるため前記通知情報を送信することを特徴とする、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記利用情報に基づいて前記一時停止発生率を算出する一時停止発生率算出部を備えることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記複数の車両から車外の環境を示す環境情報を取得する環境情報取得部を備え、
前記一時停止発生率算出部は、前記領域毎に前記環境情報に応じて前記一時停止発生率を算出し、
前記送信部は、前記一時停止発生率及び前記環境情報に基づいて生成された前記通知情報を送信することを特徴とする、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記環境情報は、前記車線維持機能の一時停止が発生した時刻、前記車線維持機能の一時停止が発生した際の前記車両のワイパーの作動状況を示す情報、又は前記車線維持機能の一時停止が発生した際の前記車両のライトの作動状況を示す情報であることを特徴とする、請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記一時停止発生率に基づいて前記通知情報を生成する通知情報生成部を備えることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項10】
車線に沿って走行させる車線維持機能を有する複数の車両から、走行中の前記車線維持機能の利用情報を取得するステップと、
前記利用情報に基づいて、前記車線維持機能の一時停止発生率が高い領域を抽出するステップと、
前記一時停止発生率に基づく通知情報を、前記車線維持機能を有する任意の車両に送信するステップと、
を備え、
前記送信するステップにおいて、前記一時停止発生率が第1のしきい値以上の場合は、前記車線維持機能を停止させるための前記通知情報を送信し、前記一時停止発生率が第1のしきい値未満であり第2のしきい値よりも大きい場合は、前記車線維持機能が停止する可能性を示す警告情報を前記通知情報として送信することを特徴とする、情報処理方法。
【請求項11】
車線に沿って走行させる車線維持機能の利用情報を取得する利用情報取得部と、
前記利用情報をサーバへ送信する送信部と、
複数の車両から得られた前記利用情報に基づいて前記サーバが算出した前記車線維持機能の一時停止発生率が高い領域に関し、前記サーバから前記一時停止発生率に基づく通知情報を受信する受信部と、
前記通知情報に基づいて前記車線維持機能に関する処理を行う車線維持機能処理部と、
を備え、
前記受信部は、前記一時停止発生率が第1のしきい値以上の場合は、前記車線維持機能を停止させるための前記通知情報を受信し、前記一時停止発生率が第1のしきい値未満であり第2のしきい値よりも大きい場合は、前記車線維持機能が停止する可能性を示す警告情報を前記通知情報として受信することを特徴とする、車両の制御装置。
【請求項12】
前記車線維持機能処理部は、前記通知情報に基づいて前記車線維持機能を停止させることを特徴とする、請求項11に記載の車両の制御装置。
【請求項13】
前記車線維持機能処理部は、前記通知情報に基づいて前記車線維持機能が一時停止する可能性のある警告を発生させることを特徴とする、請求項11に記載の車両の制御装置。
【請求項14】
前記通知情報に基づいて、ナビゲーションシステムの地図情報を変更する地図情報変更部を更に備えることを特徴とする、請求項11〜13のいずれかに記載の車両の制御装置。
【請求項15】
環境情報を取得する環境情報取得部を備え、
前記送信部は、前記利用情報とともに環境情報を送信し、
前記受信部は、前記領域において前記環境情報に応じて前記サーバが算出した前記一時停止発生率に基づく前記通知情報を受信することを特徴とする、請求項11〜14のいずれかに記載の車両の制御装置。
【請求項16】
前記環境情報は、前記車線維持機能の一時停止が発生した時刻、前記車線維持機能の一時停止が発生した際のワイパーの作動状況を示す情報、又は前記車線維持機能の一時停止が発生した際のライトの作動状況を示す情報であることを特徴とする、請求項15に記載の車両の制御装置。
【請求項17】
車線に沿って走行させる車線維持機能の利用情報を取得するステップと、
前記利用情報をサーバへ送信するステップと、
複数の車両から得られた前記利用情報に基づいて前記サーバが算出した前記車線維持機能の一時停止発生率が高い領域に関し、前記サーバから前記一時停止発生率に基づく通知情報を受信するステップと、
前記通知情報に基づいて前記車線維持機能に関する処理を行うステップと、
を備え、
前記受信するステップにおいて、前記一時停止発生率が第1のしきい値以上の場合は、前記車線維持機能を停止させるための前記通知情報を受信し、前記一時停止発生率が第1のしきい値未満であり第2のしきい値よりも大きい場合は、前記車線維持機能が停止する可能性を示す警告情報を前記通知情報として受信することを特徴とする、車両の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、車両の制御装置及び車両の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近時においては、車載カメラ等により走行レーンを示す車線を検出し、車線に沿って車両を走行させる車線維持機能を備えた車両が出現している。例えば下記の特許文献1には、レーンキープを含む自動制御運転が不可の区間において、前もって不可であることを乗員に報知し、自動制御を解除する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−118603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような車線維持機能を行う場合において、カメラにより白線を画像認識させた場合、車線がかすれていたり、汚れていたり、悪天候によって一時的に車線が見えにくくなることによって、車線維持機能が発揮できないことがある。このような場合従来の技術では、車線が認識しにくくなった場合は、その段階で、突然、車線維持機能を一時的に停止せざるを得ないという問題があった。
【0005】
上記特許文献に記載された技術では、レーンキープを含む自動制御運転が不可であることの判断は、地図データによるものであるため、地図データが作成された後に車線が劣化した場合などにおいては、ドライバーに通知することは困難である。また、地図データが作成された後に劣化していた車線が改修された場合、依然として車線維持機能が不可であることがドライバーに通知されてしまう問題がある。更に、悪天候によって車線が認識し難くなった場合に、車線維持機能の利用が不可であることを通知することは困難である。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、リアルタイムな車線維持機能の利用情報に基づいて、車両のドライバーに車線維持機能の利用の可否を通知することが可能な、新規かつ改良された情報処理装置、情報処理方法、車両の制御装置及び車両の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、車線に沿って走行させる車線維持機能を有する複数の車両から、走行中の前記車線維持機能の利用情報を取得する利用情報取得部と、前記利用情報に基づいて、前記車線維持機能の一時停止発生率が高い領域を抽出する領域抽出部と、前記一時停止発生率に基づく通知情報を、前記車線維持機能を有する任意の車両に送信する送信部と、を備え
前記送信部は、前記一時停止発生率が第1のしきい値以上の場合は、前記車線維持機能を停止させるための前記通知情報を送信し、前記一時停止発生率が第1のしきい値未満であり第2のしきい値よりも大きい場合は、前記車線維持機能が停止する可能性を示す警告情報を前記通知情報として送信する情報処理装置が提供される。
【0008】
前記車線維持機能を有する任意の車両の位置情報を取得する位置情報取得部を備え、前記送信部は、前記領域の手前を走行する車両に対して前記通知情報を送信するものであっても良い。
【0009】
また、前記送信部は、前記通知情報として前記車線維持機能の停止を指示する情報を送信するものであっても良い。
【0010】
また、前記送信部は、前記通知情報として前記車線維持機能が一時停止する可能性を示す警告情報を送信するものであっても良い。
【0011】
また、前記送信部は、前記任意の車両がナビゲーションシステムの地図情報に反映させるため前記通知情報を送信するものであっても良い。
【0012】
また、前記利用情報に基づいて前記一時停止発生率を算出する一時停止発生率算出部を備えるものであっても良い。
【0013】
また、前記複数の車両から車外の環境を示す環境情報を取得する環境情報取得部を備え、前記一時停止発生率算出部は、前記領域毎に前記環境情報に応じて前記一時停止発生率を算出し、前記送信部は、前記一時停止発生率及び前記環境情報に基づいて生成された前記通知情報を送信するものであっても良い。
【0014】
また、前記環境情報は、前記車線維持機能の一時停止が発生した時刻、前記車線維持機能の一時停止が発生した際の前記車両のワイパーの作動状況を示す情報、又は前記車線維持機能の一時停止が発生した際の前記車両のライトの作動状況を示す情報であっても良い。
【0015】
また、前記送信部は、前記一時停止発生率が第1のしきい値以上の場合は、前記車線維持機能を停止させるための前記通知情報を送信するものであっても良い。
【0016】
また、前記送信部は、前記一時停止発生率が前記第1のしきい値未満であり第2のしきい値よりも大きい場合は、前記車線維持機能が停止する可能性を示す警告情報を前記通知情報として送信するものであっても良い。
【0017】
また、前記一時停止発生率に基づいて前記通知情報を生成する通知情報生成部を備えるものであっても良い。
【0018】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、車線に沿って走行させる車線維持機能を有する複数の車両から、走行中の前記車線維持機能の利用情報を取得するステップと、前記利用情報に基づいて、前記車線維持機能の一時停止発生率が高い領域を抽出するステップと、前記一時停止発生率に基づく通知情報を、前記車線維持機能を有する任意の車両に送信するステップと、を備え
前記送信するステップにおいて、前記一時停止発生率が第1のしきい値以上の場合は、前記車線維持機能を停止させるための前記通知情報を送信し、前記一時停止発生率が第1のしきい値未満であり第2のしきい値よりも大きい場合は、前記車線維持機能が停止する可能性を示す警告情報を前記通知情報として送信する情報処理方法が提供される。
【0019】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、車線に沿って走行させる車線維持機能の利用情報を取得する利用情報取得部と、前記利用情報をサーバへ送信する送信部と、複数の車両から得られた前記利用情報に基づいて前記サーバが算出した前記車線維持機能の一時停止発生率が高い領域に関し、前記サーバから前記一時停止発生率に基づく通知情報を受信する受信部と、前記通知情報に基づいて前記車線維持機能に関する処理を行う車線維持機能処理部と、を備え、前記受信部は、前記一時停止発生率が第1のしきい値以上の場合は、前記車線維持機能を停止させるための前記通知情報を受信し、前記一時停止発生率が第1のしきい値未満であり第2のしきい値よりも大きい場合は、前記車線維持機能が停止する可能性を示す警告情報を前記通知情報として受信する車両の制御装置が提供される。
【0020】
前記車線維持機能処理部は、前記通知情報に基づいて前記車線維持機能を停止させるものであっても良い。
【0021】
また、前記車線維持機能処理部は、前記通知情報に基づいて前記車線維持機能が一時停止する可能性のある警告を発生させるものであっても良い。
【0022】
また、前記通知情報に基づいて、ナビゲーションシステムの地図情報を変更する地図情報変更部を更に備えるものであっても良い。
【0023】
また、環境情報を取得する環境情報取得部を備え、前記送信部は、前記利用情報とともに環境情報を送信し、前記受信部は、前記領域において前記環境情報に応じて前記サーバが算出した前記一時停止発生率に基づく前記通知情報を受信するものであっても良い。
【0024】
また、前記環境情報は、前記車線維持機能の一時停止が発生した時刻、前記車線維持機能の一時停止が発生した際の前記車両のワイパーの作動状況を示す情報、又は前記車線維持機能の一時停止が発生した際の前記車両のライトの作動状況を示す情報であっても良い。
【0025】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、車線に沿って走行させる車線維持機能の利用情報を取得するステップと、前記利用情報をサーバへ送信するステップと、複数の車両から得られた前記利用情報に基づいて前記サーバが算出した前記車線維持機能の一時停止発生率が高い領域に関し、前記サーバから前記一時停止発生率に基づく通知情報を受信するステップと、前記通知情報に基づいて前記車線維持機能に関する処理を行うステップと、を備え、前記受信するステップにおいて、前記一時停止発生率が第1のしきい値以上の場合は、前記車線維持機能を停止させるための前記通知情報を受信し、前記一時停止発生率が第1のしきい値未満であり第2のしきい値よりも大きい場合は、前記車線維持機能が停止する可能性を示す警告情報を前記通知情報として受信する車両の制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように本発明によれば、リアルタイムな車線維持機能の利用情報に基づいて、車両のドライバーに車線維持機能の利用の可否を通知することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施形態に係る車両の制御システムの構成を示す模式図である。
図2】車両が走行するルートを示す模式図である。
図3】サーバ側で行われる処理を示すフローチャートである。
図4図3のステップS16,S18で作成された、区間Aの各分類における一時停止発生率P1を示す模式図である。
図5図3のステップS16,S18で作成された、区間Bの各分類における一時停止発生率P1を示す模式図である。
図6図3のステップS16,S18で作成された、区間Cの各分類における一時停止発生率P1を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0029】
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態に係る車両の制御システム1000の構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る車両の制御システム1000の構成を説明するための模式図である。図1に示すように、この制御システム1000では、車両100と、サーバ(管理装置)200とが通信可能に構成されている。車両100とサーバ200とは、インターネット等のネットワーク500、携帯電話網、PHS網、無線LAN、WiMAX、衛星電話、ビーコン等を介して通信可能に接続されている。例えば、車両100とサーバ200のそれぞれが携帯電話網、PHS網、無線LAN、WiMAX、衛星電話、ビーコン等を介して基地局に接続され、基地局同士がネットワーク500を介して接続されるものであっても良い。
【0030】
サーバ200には、他の車両300,400・・・が車両100と同様にして接続されている。本実施形態に係る車両100,300,400・・・は、車線維持機能を有している。車線維持機能は、道路上の車線(白線など)を検出し、車線に沿って車両100を走行させるための機能であり、車両100が車線に沿って走行しているか否かをドライバーに通知する機能(車線逸脱警報)を含む。また、車線維持機能は、操舵の制御、または後輪のトルクベクタリング制御等により、車線に沿って車両100を走行させるための機能(車線逸脱抑制機能)を含む。
【0031】
車両100は、制御部110、車両データ等を格納するメモリ130、サーバ200との間で情報の送受信を行う通信部(通信モジュール)140、カメラ150、車外センサ160、表示装置170、音声発生装置175、ナビゲーションシステム180、GPS185、車線維持システム190を有して構成されている。制御部110は、例えばECU(Electronic Control Unit)から構成され、サーバ200との通信のための処理を行う通信処理部111、画像分析部112、車線維持機能の利用情報を取得する利用情報取得部114、車線維持機能のための処理を行う車線維持機能処理部116、地図情報を変更する地図情報変更部117、ワイパーの作動状況などの環境情報を取得する環境情報取得部118を有している。制御部110は、CPUなどの中央演算処理装置と、これを機能させるためのプログラム(ソフトウェア)から構成されることができる。
【0032】
車両100が備えるカメラ150は、車両外部を撮像し、車両外部の画像情報、特に車両前方の路面、走行レーンを示す車線、先行車、信号機、各種標識類の画像情報を取得する。より好適には、カメラ150はステレオカメラから構成される。この場合、カメラ150は、CCDセンサ、CMOSセンサ等の撮像素子を有する左右1対のカメラを有して構成され、車両外の外部環境を撮像し、撮像した画像情報を制御部110の画像分析部112へ送る。
【0033】
画像分析部112は、左右1対のカメラによって自車両進行方向を撮像して得られた左右1組のステレオ画像対に対し、対応する位置のずれ量から三角測量の原理によって対象物(先行車など)までの距離情報を生成して取得することができる。また、画像分析部112は、三角測量の原理によって生成した距離情報に対して、周知のグルーピング処理を行い、グルーピング処理した距離情報を予め設定しておいた三次元的な立体物データ等と比較することにより、立体物データや白線データ等を検出することができる。これにより、画像分析部112は、走行レーンを示す車線、一時停止の標識、停止線、ETCゲートなどを認識することもできる。
【0034】
また、画像分析部112は、三角測量の原理によって生成した先行車との距離情報(車間距離L)を用いて、車間距離Lの変化量、先行車との相対速度Vを算出することができる。車間距離Lの変化量は、単位時間ごとに検知されるフレーム画像間の車間距離Lを積算することにより求めることができる。また、相対速度Vは、単位時間ごとに検知される車間距離を当該単位時間で割ることにより求めることができる。
【0035】
車外センサ160は、レーダセンサ、温度センサ等を含み、車外の環境情報を取得する。表示装置170は、車両100内のインパネの近傍に配置され、ナビゲーションシステム180から取得した地図情報を表示するとともに、GPS185が取得した現在位置、目的地までの走行経路などを地図情報に重畳表示する。また、表示装置170は、サーバ200から得られた各種情報等を表示する。音声発生装置175は、ナビゲーションシステム180の音声や警告情報などを発生する。ナビゲーションシステム180は、地図情報を有し、目的地までの走行経路を検索し、地図情報とともに表示装置170に表示させる。また、ナビゲーションシステム180は、地図情報に基づいて、現在地から目的地までの経路、所要時間、高速道路の利用料金等を算出し、表示装置170表示させる。GPS185は、現在位置に関する情報を取得する。GPS185が取得した現在位置に関する情報は、通信部140からサーバ200へ送られる。
【0036】
車線維持システム190は、制御部110の車線維持機能処理部116によって制御され、車両100の転舵装置、車両100の後輪のトルクベクタリング制御を行うモータ等から構成される。車両100を車線に沿って走行させる場合、制御部110の車線維持機能処理部116は、画像分析部112から車線の位置に関する情報を取得し、車線に沿って車両100が走行するように車線維持システム190を制御し、転舵や後輪のモータのトルクベクタリング制御を行う。また、制御部110の車線維持機能処理部116は、画像分析部112から車線の位置に関する情報を取得し、車両100が車線から逸脱した場合は、表示装置170に警告を表示させ、また音声発生装置175に音声や警告情報などを発生させる。このような車線維持機能としては、既存の技術を用いることができる。また、車線維持システム190は、特にその構成が限定されるものではない。
【0037】
制御部110の車線維持機能処理部116は、カメラ150による車線の認識が困難となった場合は、車線維持機能を一時停止させる機能を有する。また、車線維持機能処理部116は、カメラ150による車線の認識が困難な状況から、車線認識が可能な状況に遷移した場合は、車線維持機能を再開させる機能を有する。
【0038】
更に、車線維持機能処理部116は、サーバ200から車線維持機能の一時停止を指示する通知情報を受け取った場合は、車線維持機能を一時停止させる。また、車線維持機能処理部116は、サーバ200から車線維持機能が一時停止する可能性を示す通知情報を受け取った場合は、表示装置170に警告表示をし、音声発生装置175から音声や警告情報などを発生させる。
【0039】
制御部110の利用情報取得部114は、車線維持機能の利用状況に関する利用情報を取得し、車線維持機能が正常に利用されているか、またはカメラ150による車線の認識が困難となって車線維持機能が一時停止したか等の情報を取得する。この利用情報は、通信処理部111の処理によって通信部140からサーバ200へ送信される。
【0040】
制御部110の地図情報変更部117は、サーバ200から地図情報を変更する旨の通知情報を受け取った場合に、ナビゲーションシステム180の地図情報を変更する。
【0041】
制御部110の環境情報取得部118は、車両100のワイパーの作動状況、ライトの作動状況、車線維持機能の一時停止が発生した時刻等の情報を環境情報として取得する。環境情報取得部118は、例えばフロントガラス上部にあるレインセンサやオートライトセンサの情報に基づいて、ワイパーの作動状況、ライトの作動状況を取得するものであっても良い。この環境情報は、通信処理部111の処理によって通信部140からサーバ200へ送信される。
【0042】
サーバ200に接続された他の車両300,400・・・の構成は、車両100と同様である。このようにして、サーバ200には、車線維持機能のシステムが搭載された多数の車両が通信可能に接続される。サーバ200は、制御部210とデータベース220を有して構成される。制御部210は、CPUなどの中央演算処理装置と、これを機能させるためのプログラム(ソフトウェア)から構成されることができる。
【0043】
サーバ200の制御部210は、車両100,300,400・・・との間で情報の送受信を行う通信部212、車線維持機能を有する車両100,300,400・・・から、走行中の車線維持機能の利用情報を取得する利用情報取得部214と、車線維持機能の利用情報に基づいて、車線維持機能の利用率(一時停止発生率)を算出する利用率算出部215と、利用率が低い領域(区間)を抽出する領域抽出部216と、車両100,300,400・・・から環境情報を取得する環境情報取得部217と、車両100,300,400・・・の位置情報を取得する位置情報取得部218と、利用率に基づいて車両100,300,400・・・に送信する通知情報を生成する通知情報生成部219と、を有して構成されている。通信部212は、利用率に基づく通知情報を、車線維持機能を有する任意の車両に送信する。なお、サーバ200は、制御部110と別に通信モジュールを備えていても良く、通信部212の処理に応じて通信モジュールが車両100,300,400・・・との間で情報の送受信を行っても良い。
【0044】
前述したように、カメラ150により車線を画像認識させた場合に、車線がかすれていたり、車線が汚れていたりする場合は、車線が見えにくくなる場合がある。カメラ150による車線の認識のし易さは、車線自体の状態(劣化度合い)などに起因する他、天候によっても左右される。例えば、雨天時に路面に水溜りが発生すると、車線の画像分析に難しくなる。このような場合、制御110が車線を正しく認識できなくなるため、車両100の車線維持機能が十分に発揮できないことが想定される。
【0045】
車線維持機能によって車両100が車線を追従して走行している最中に、車線の認識が困難になると、車線維持機能の一時停止が行われる。具体的には、画像分析部112が車線を認識できなくなると、車線維持機能が自動的に一時停止される。その後、再び車線が認識できるようになると、車線維持機能の利用が再開される。車線追従機能を一時停止した際には、その旨を示す表示が表示装置170に表示される。
【0046】
一方、車両100を運転するドライバーにとっては、なるべく車線維持機能を継続して利用できる状況で運転できることが望ましい。また、車線維持機能の一時停止が発生する場合、事前に通知されていれば、車線維持機能の一時停止に対する準備ができ、車線維持機能が一時停止した際に違和感なく通常運転に移行することが可能である。
【0047】
このため、本実施形態では、車線維持機能が一時停止する可能性がある場合は、ドライバーに対し予めその旨を通知する。この際、車線維持機能の一時停止に関する情報(利用情報)は、サーバ200が複数の車両から収集することで、より精度の高い情報となり、信頼性の高いものとなる。例えば、特定の道路の特定の区間で車線が劣化している場合、その区間を通過する車両の車線維持機能が一時停止する確率は高くなる。サーバ200は、その区間を走行する車両から車線維持機能の一時停止に関する情報を収集し、これに基づいて一時停止が発生する確率(一時停止発生率)を求める。一時停止発生率は車線維持機能の利用率を表すパラメータであり、一時停止発生率が高い場合は、その区間で車線維持機能が十分に利用されておらず、これから通過する車両の車線維持機能が一時停止する可能性がある。このため、一時停止発生率に応じた通知情報を生成し、その区間をこれから通過しようとする車両に対してサーバ200から事前に通知情報を送ることで、車線維持機能が一時停止する可能性を通知する。これにより、通知を受けた車両のドライバーは、車線維持機能の一時停止が発生する確率が高いことを予め認識することができ、車線維持機能が一時停止した際に最適に車両を運転することができる。
【0048】
また、一時停止発生率が相当程度に大きい場合は、車線維持機能の自動停止を行うための通知情報を生成し、サーバ200から車両へ送信する。これにより、通知情報を受けた車両は、車線維持機能の一時停止が発生する可能性が高い区間では、予め車線維持機能を一時停止することができる。
【0049】
また、一時停止発生率に基づいて、車線維持機能の利用率が低い領域については、サーバ200から車両へ地図情報を変更するための通知情報を送信する。これにより、車両側のナビゲーションシステム180の地図情報が、制御部110の地図情報変更部117によって変更される。従って、ドライバーは、変更された地図情報に基づいて、車線維持機能の一時停止が発生し易い領域を予め認識することができる。更に、車線維持機能の一時停止発生率が比較的高い場合に、その旨を地図情報で補完することで、車線維持機能を一時停止させずに維持することも考えられる。これにより、新たなセンサや大容量の地図データを利用することなく、簡便にシステムを構成することができる。
【0050】
以上のように本実施形態では、複数の車両から得られた車線維持機能の一時停止情報をサーバ200が解析し、車線維持機能の一時停止が発生する確率に関する情報を求め、この情報に基づいて、ドライバーへ事前に通知したり、車両のナビゲーションシステム180の地図情報に反映させる。
【0051】
更に、車線維持機能の一時停止が作動する可能性がある状況を、時間や天候などの環境情報に応じて確率で算出し、環境情報に応じた一時停止率に基づいて車両に通知情報を送ることで、状況に応じて、ドライバーに一時停止する可能性があることを段階的に知らせる。この際、数値に基づいて一時停止する可能性を数量的に通知しても良い。ドライバーは、事前に一時停止することが分かるため、一時停止に急に対応をする必要がなく、安心して運転を行うことができる。
【0052】
以下では、図2に示すようなルート10を車両が走行する際に、ルート10上の3つの区間A、区間B、区間Cで車線維持機能の一時停止が行われる確率をサーバ200が収集する例を説明する。一例として、区間A,B,Cは、一時停止がX[m]以内でN回以上発生した走行場所によって、区間分けされている。なお、予め地図データを用いて定めた細分化されたエリアを用い、各エリア毎に一時停止が行われる確率を定めても良い。
【0053】
図3は、サーバ200側で行われる処理を示すフローチャートである。先ず、ステップS10では、サーバ200と接続されている複数の車両の制御装置100,300,400・・・と通信を行い、各車両のそれぞれにおいて、車線維持機能の一時停止が発生したか否かを判定する。一時停止が発生した場合は、ステップS12へ進む。ステップS12では、車線維持機能を一時停止した車両から、一時停止した際のワイパーの作動状況、ライトの作動状況、一時停止した時刻などの環境情報と、一時停止したエリアの位置情報(GPS情報)を収集する。一方、車線維持機能が一時停止しなかった場合は、処理を終了する(END)。このステップS12では、サーバ200と通信可能に接続している全ての車両から、現在までに発生した車線維持機能の一時停止に関して情報を全て取得する。
【0054】
ステップS12の後はステップS13へ進む。ステップS13では、位置情報に基づいて、あるエリア(ここでは、一例として距離X[m]以内の区間とする)において一時停止がN回以上発生したか否かを判定し、一時停止がN回以上発生した場合はステップS14に進む。図2に示す例では、区間A,B,Cのそれぞれで一時停止がX[m]以内でN回以上発生している。従って、区間A,B,Cは、ステップS13の条件を満たすことになる。なお、一時停止情報がN以上のみのデータに基づいて、一時停止の事前通知を行っても良い。
【0055】
ステップS14では、一時停止がN回以上発生した各エリア(区間A,B,C)において、サーバ200と通信可能な車両の全てから、車線維持機能の利用状況(作動状況)に関する利用情報を収集する。また、ここで収集する情報には、一時停止の発生の有無に関する情報の他、一時停止が発生した時刻、ワイパーの作動状況、ライトの作動状況、などの環境情報が含まれる。
【0056】
次のステップS16では、各区間A,B,Cにおいて、一時停止が発生した際のワイパーの作動状況、ライトの作動状況、一時停止が発生した時刻、などの環境情報を考慮して分類を作成する。ここで、一時停止が発生した際のワイパーの作動状態に応じて、一時停止が発生した際の天候を推定することができ、一時停止が発生した際にワイパーが作動している場合は、天候が雨であったと推定できる。また、一時停止が発生した時刻、一時停止が発生した際のライトの作動状態に応じて、一時停止が発生した時間帯、すなわち一時停止が昼間に発生したのか夜間に発生したのかを推定できる。このように、一時停止が発生した時刻、ワイパーの作動状況、ライトの作動状況、などの情報に基づいて、一時停止が発生した際の時間帯、天候などの環境情報を得ることができ、各区間A,B,Cにおいて収集された情報を、環境情報に応じて分類することができる。次のステップS18では、各区間A,B,Cの各分類において、サーバ200と通信可能な車両の総走行台数に対する、一時停止が発生した車の台数の割合P1(一時停止発生率P1)を算出する。
【0057】
図4図6は、図3のステップS16,S18で作成された、各区間A,B,Cの各分類における一時停止発生率P1をそれぞれ示す模式図である。なお、図4図6に示した各区間A,B,Cの各分類における一時停止発生率P1は、サーバ200の利用率算出部215によって算出され、データベース220に格納される。
【0058】
図4に示すように、区間Aでは、全ての時間帯(昼間、夜間)、全ての天候(晴れ、曇り、雨)を含めた全体の一時停止発生率P1が80%である。また、昼間(日中)で天候が晴れ又は曇りの場合の一時停止発生率P1は80%であり、昼間で天候が雨の場合の一時停止発生率P1は70%である。また、夜間で天候が晴れ又は曇りの場合の一時停止発生率P1は90%であり、夜間で天候が雨の場合の一時停止発生率P1は80%である。なお、時間帯は、昼間と夜間の12時間毎の分類としているが、6時間毎の分類など、より細かい分類としても良い。
【0059】
また、図に示すように、区間Bでは、全体の一時停止率P1が47%である。また、昼間(日中)で天候が晴れ又は曇りの場合の一時停止発生率P1は1%であり、昼間で天候が雨の場合の一時停止発生率P1は90%である。また、夜間で天候が晴れ又は曇りの場合の一時停止発生率P1は2%であり、夜間で天候が雨の場合の一時停止発生率P1は95%である。
【0060】
また、図に示すように、区間Cでは、全体の一時停止率P1が50%である。また、昼間(日中)で天候が晴れ又は曇りの場合の一時停止発生率P1は45%であり、昼間で天候が雨の場合の一時停止発生率P1は55%である。また、夜間で天候が晴れ又は曇りの場合の一時停止発生率P1は40%であり、夜間で天候が雨の場合の一時停止発生率P1は60%である。
【0061】
図3のステップS20以降の処理では、一時停止発生率P1に基づいて車両100への通知を行う。ステップS20では、各区間A,B,Cの各分類において、一時停止発生率P1と所定のしきい値αとを比較し、P1≧αであるか否かを判定する。αの値は、一例として70%である。そして、P1≧αの場合はステップS22へ進む。ステップS22では、当該エリアのY[m]手前を走行している車両に対し、車線維持機能の一時停止が発生することをドライバーに予め通知する。なお、一例としてY=100[m]とする。
【0062】
図4に示すように、区間Aにおいては、全ての条件で一時停止発生率P1が70%以上であることから、時間帯、天候を問わず全ての条件において、一時停止が発生するか否かの判定は「高」となる。このため、サーバ200は、時間帯、天候を問わず、全ての条件で区間Aの100m手前を走行する車両に対して、車線維持機能の一時停止が発生することを示す通知情報を生成して送信することでドライバーに予め通知するとともに、車線維持機能を強制的に自動停止させるための通知情報を生成して送信する。通知情報を受信した車両は、ドライバーに警告を発するとともに、車線維持機能を停止させる。なお、区間Aの100m手前で通知を受けた車両は、先ずドライバーに警告を発し、その後に車線維持機能を停止させるようにする。これにより、ドライバーは車線維持機能を利用した運転から通常の運転へスムーズに切り換えることができる。
【0063】
また、区間Aでは、時間帯、天候を問わず、全ての条件で一時停止発生率P1が70%以上であることから、一時停止の発生原因として道路形状の影響が大きいと推定し、ナビゲーションシステム180の地図情報に反映させための通知情報を生成してサーバ200から各車両へ送る。各車両では、区間Aでは道路形状に起因して車線維持機能の一時停止が発生し易いことを地図情報に反映し、表示装置170に表示する。これにより、地図情報に基づいて、区間Aでは車線維持機能の一時停止が発生し易いことをドライバーに注意喚起できる。
【0064】
また、図5に示すように、区間Bにおいては、雨天時のみ一時停止発生率P1が70%以上に高くなっていることから、雨天時において、一時停止が発生するか否かの判定は「高」となる。このため、サーバ200の制御部210は、雨天時に区間Bの100m手前を走行する車両に対して、車線維持機能の一時停止が発生することを示す通知情報を生成して送信することで、ドライバーに予め通知する。また、サーバ200の制御部210は、車線維持機能を強制的に自動停止させるための通知情報を生成して送信する。通知情報を受信した車両は、ドライバーに警告を発するとともに、車線維持機能を停止させる。なお、サーバ200側では、各車両の環境情報を受信することで、ワイパーの作動状況から雨天時を走行しているか否かが判るため、雨天時を走行している車両にのみ通知情報を送ることができる。また、サーバ200から、区間Bの100m手前を走行する全ての車両に対して、雨天時のみ車線維持機能を一時停止させる旨の通知情報を生成して送信しても良い。この場合、車両側でワイパーの作動状況に基づいて雨天時を走行しているか否かを判断し、雨天時を走行している場合のみドライバーに対して警告を発し、車線維持機能の一時停止を行う。
【0065】
また、区間Bでは、雨天時のみ一時停止発生率P1が70%以上に高くなっていることから、冠水し易い区間であると推定し、ナビゲーションシステム180の地図情報に反映させための通知情報を生成してサーバ200から各車両へ送る。各車両では、区間Bでは冠水し易いことを地図情報に反映し、表示装置170に表示する。これにより、地図情報に基づいて、区間Bでは車線維持機能の一時停止が発生し易いことをドライバーに注意喚起できる。
【0066】
一方、図3のステップS20でP1≦αの場合はステップS24へ進む。ステップS24では、P1と所定のしきい値α,βとを比較し、α>P1>βであるか否かを判定する。βの値は、一例として30%である。そして、α>P1>βの場合はステップS26へ進み、車線維持機能の一時停止が発生する可能性があることをドライバーに予め通知する。また、ステップS22,S26の後は処理を終了する。
【0067】
図6に示すように、区間Cにおいては、全ての条件で一時停止発生率P1が30%以上70%未満であることから、時間帯、天候を問わず全ての条件において、一時停止が発生するか否かの判定は「中」となる。この場合、区間Cを走行する車両は、車線維持機能を一時停止せずに走行できることも考えられるため、全ての条件で区間Cの100m手前を走行する車両に対して、ドライバーへの注意喚起を促すための通知情報を生成して送信する。この通知情報を受信した車両は、車線維持機能の一時停止が発生する可能性がある旨の注意喚起をドライバーへ促す。注意喚起の方法としては、表示装置170への表示、音声発生装置175による警告音の発生等が挙げられる。
【0068】
また、ステップS24でα>P1>βではない場合は、処理を終了する。従って、P1≦βの場合はサーバ200から車両へ情報の送信は行われない。
【0069】
以上説明したように本実施形態によれば、サーバ200側で車線維持機能の一時停止に関する情報を収集し、一時停止が発生する確率が高い区間では、その区間の手前を走行する車両に対して通知情報を送信することができる。通知情報を受信した車両は、通知情報に基づいて、車線維持機能を予め自動停止したり、ドライバーへ警告を発するなどの適切な処置を行うことが可能となる。
【0070】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0071】
100 車両
110 制御部
111 通信処理部
114 利用情報取得部
116 車線維持機能処理部
117 地図情報変更部
118 環境情報取得部
140 通信部
200 サーバ
212 通信部
214 利用情報取得部
215 利用率算出部
216 領域抽出部
217 環境情報取得部
218 位置情報取得部
219 通知情報生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6