特許第6392748号(P6392748)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6392748-乗用車用空気入りラジアルタイヤ 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6392748
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】乗用車用空気入りラジアルタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/00 20060101AFI20180910BHJP
   B60C 3/04 20060101ALI20180910BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20180910BHJP
   C08L 21/00 20060101ALI20180910BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
   B60C11/00 D
   B60C3/04 Z
   B60C1/00 A
   C08L21/00
   C08K3/36
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-514749(P2015-514749)
(86)(22)【出願日】2014年4月21日
(86)【国際出願番号】JP2014002242
(87)【国際公開番号】WO2014178174
(87)【国際公開日】20141106
【審査請求日】2016年12月19日
(31)【優先権主張番号】特願2013-95138(P2013-95138)
(32)【優先日】2013年4月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100119530
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 和幸
(74)【代理人】
【識別番号】100179866
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 正樹
(72)【発明者】
【氏名】山本 淳
(72)【発明者】
【氏名】三舛 洋平
【審査官】 鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−63765(JP,A)
【文献】 特開2000−80205(JP,A)
【文献】 特開2003−246885(JP,A)
【文献】 特開2008−143485(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 1/00−19/12
C08K 3/36
C08L 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のビード部間でトロイダル状に跨るラジアル配列コードのカーカスプライからなるカーカスと、当該カーカスのタイヤ半径方向外側に設けられたトレッドゴムとを備えた乗用車用空気入りラジアルタイヤであって、
前記タイヤをリムに組み込み、内圧を250kPa以上とした際に、
前記タイヤの断面幅SWが165(mm)未満である場合は、前記タイヤの断面幅SWと外径OD(mm)との比SW/ODが0.26以下であり、
前記タイヤの断面幅SWが165(mm)以上である場合は、前記タイヤの断面幅SWおよび外径OD(mm)が、関係式、
2.135×SW+282.3≦OD
を満たし、
前記トレッドゴムを形成するゴム組成物が、少なくともゴム成分と充填剤とを含み、
前記ゴム組成物において、前記ゴム成分100質量部に対して、前記充填剤が、55〜85質量部含まれており、
前記トレッドゴムの30℃における動的貯蔵弾性率E’が、8.5〜11.0MPaであり、
前記トレッドゴムの60℃における損失正接tanδが、0.05〜0.18であり、
前記トレッドゴムの0℃における損失正接tanδが、0.50〜0.80であることを特徴とする、乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
【請求項2】
前記充填剤がシリカを含み、当該シリカが、前記ゴム成分100質量部に対して、25〜100質量部含まれていることを特徴とする、請求項に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用車用空気入りラジアルタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
西暦1960年頃までの車両は、車両の重量が軽く、車両に要求される巡航速度も遅かったため、タイヤへの負担が軽く、タイヤの断面幅が狭いバイアスタイヤが用いられていたが、現在、車両の重量化、高速化に伴いタイヤのラジアル化、幅広化が進められている(例えば、特許文献1)。
【0003】
しかし、タイヤの幅広化は、車両スペースを圧迫し、居住性を低下させる。また、空気抵抗が増大するため、燃費が悪くなるという問題がある。
近年、環境問題への関心の高まりにより、低燃費性への要求が厳しくなってきている。斯かる低燃費性は、転がり抵抗(RR)によって評価することができ、低転がり抵抗であるほど、低燃費となることが知られている。
【0004】
ここで、低燃費性を向上させるためにタイヤの転がり抵抗値を低減するには、タイヤを大径化、幅広化することが有効であることが知られているが、タイヤを大径化、幅広化すると、タイヤ重量および空気抵抗が増大するため、車両抵抗が増大し、また、タイヤの負荷能力も過剰となってしまうという問題がある。
【0005】
この問題に対して、本出願人は、タイヤの内圧と断面幅(SW)とタイヤの外径(OD)とが、特定の関係を満たす、いわば、幅狭(狭いタイヤ幅)、大径(大きなタイヤ外径)の乗用車用空気入りラジアルタイヤに係る技術を提案している(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−40706号公報
【特許文献2】国際公開第2012/176476号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
斯かる幅狭、大径のラジアルタイヤについては、湿潤路面での制動性能に関する指標であるウェット性能の検討の余地がある。
このため、斯かる幅狭、大径のラジアルタイヤにおいて、ウェット性能を向上させることが重要となる。
【0008】
本発明は、幅狭、大径のラジアルタイヤにおいて、ウェット性能を向上させた乗用車用空気入りラジアルタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る乗用車用空気入りラジアルタイヤは、一対のビード部間でトロイダル状に跨るラジアル配列コードのカーカスプライからなるカーカスと、当該カーカスのタイヤ半径方向外側に設けられたトレッドゴムとを備えた乗用車用空気入りラジアルタイヤであって、前記タイヤをリムに組み込み、内圧を250kPa以上とした際に、前記タイヤの断面幅SWが165(mm)未満である場合は、前記タイヤの断面幅SWと外径OD(mm)との比SW/ODが0.26以下であり、前記タイヤの断面幅SWが165(mm)以上である場合は、前記タイヤの断面幅SWおよび外径OD(mm)が、関係式、2.135×SW+282.3≦ODを満たし、前記トレッドゴムの30℃における動的貯蔵弾性率E’が、6.0〜12.0MPaであることを特徴とする。
トレッドゴムの30℃における動的貯蔵弾性率E’が、上記特定範囲であることにより、幅狭、大径のラジアルタイヤにおいて、ウェット性能を向上させることができる。
【0010】
本発明において、タイヤの断面幅SWおよび外径ODは、それぞれ、タイヤをリムに装着し、内圧を250kPa以上とした場合におけるJIS D 4202−1994に規定の断面幅、外径をいう。
本発明において、動的貯蔵弾性率E’(MPa)および損失正接tanδ(動的損失弾性率(E”)と動的貯蔵弾性率(E’)との比(E”/E’))とは、加硫ゴムに関し、厚さ:2mm、幅:5mm、長さ:20mmの試験片に初期荷重:160gを与え、初期歪み:1%、振動数50Hzの条件で測定した値をいい、動的貯蔵弾性率E’は、別段の記載がない限り、温度30℃で測定した値であり(以下、30℃における動的貯蔵弾性率E’を単に「E’」ということがある)、損失正接tanδは、別段の記載がない限り、温度60℃で測定した値である(以下、60℃における損失正接tanδを単に「tanδ」ということがある)。
本発明において、トレッドゴムとは、トレッド部に任意に含まれるベルト等の部材を含まないゴムを意味する。
本発明において、リムは、タイヤのビード幅に対応した幅のリムをいう。
本明細書において、「phr」は、ゴム成分100質量部に対する各種成分の配合量(質量部)をいう。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、幅狭、大径のラジアルタイヤにおいて、ウェット性能を向上させた乗用車用空気入りラジアルタイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る乗用車用空気入りラジアルタイヤのタイヤ幅方向左半断面を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、図面を参照しながら本発明の一実施形態に係る乗用車用空気入りラジアルタイヤ(以下、単に「タイヤ」ということがある)について、詳細に例示説明する。なお、以下の記載および図面は、本発明に係るタイヤを説明するための一例であり、本発明は記載および図示された形態に何ら限定されない。
【0014】
本発明に係るタイヤは、例えば、図1のタイヤ幅方向左断面図に示すように、一対のビード部3間でトロイダル状に跨るラジアル配列コードのカーカスプライからなるカーカス4と、当該カーカス4のタイヤ半径方向外側に設けられたトレッドゴム8とを少なくとも備えている。
より具体的には、トレッド部1と、トレッド部1の側部に連続して半径方向内側に延びる一対のサイドウォール部2と、各サイドウォール部2の半径方向の内端に連続するビード部3とを備えるとともに、一方のビード部3から他方のビード部までトロイダル状に延びて上記各部を補強する1枚以上のカーカスプライからなるカーカス4を備える。ビード部3にはビードコア5が埋設されている。そしてさらに、上記ビード部3の補強部材として、ビード部3の外側面にゴムチェーファー6を備え、カーカス4のクラウン部に1枚以上のベルトプライからなるベルト7を備えている。また、カーカス4のクラウン部のタイヤ半径方向外側にはトレッドゴム8が設けられている。
【0015】
本発明に係る乗用車用空気入りラジアルタイヤは、一対のビード部間でトロイダル状に跨るラジアル配列コードのカーカスプライからなるカーカスと、当該カーカスのタイヤ半径方向外側に設けられたトレッドゴムとを備えた乗用車用空気入りラジアルタイヤであって、前記タイヤをリムに組み込み、内圧を250kPa以上とした際に、前記タイヤの断面幅SWが165(mm)未満である場合は、前記タイヤの断面幅SWと外径OD(mm)との比SW/ODが0.26以下であり、前記タイヤの断面幅SWが165(mm)以上である場合は、前記タイヤの断面幅SWおよび外径OD(mm)が、関係式、2.135×SW+282.3≦ODを満たし、前記トレッドゴムの30℃における動的貯蔵弾性率E’が、6.0〜12.0MPaであることを特徴とする。
トレッドゴムの30℃における動的貯蔵弾性率E’が、上記特定範囲であることにより、幅狭、大径のラジアルタイヤにおいて、ウェット性能を向上させることができる。
【0016】
本発明のタイヤは、当該タイヤをリムに組み込み、内圧を250kPa以上とした際に、前記タイヤの断面幅SWが165(mm)未満である場合は、前記タイヤの断面幅SWと外径OD(mm)との比SW/ODが0.26以下であり、前記タイヤの断面幅SWが165(mm)以上である場合は、前記タイヤの断面幅SWおよび外径OD(mm)が、関係式、2.135×SW+282.3≦ODを満たす。斯かる断面幅SWと外径ODとの関係であることにより、タイヤの転がり抵抗値を低減し、かつ、タイヤを軽量化することができる。
本発明において、タイヤの内圧は、250kPa以上であることが好ましく、250〜350kPaであることがより好ましい。
本発明において、タイヤの転がり抵抗値を低減し、かつ、タイヤを軽量化する観点から、タイヤの内圧が、250kPa以上の場合に、タイヤの断面幅SWと外径ODは、−0.0187×SW2+9.15×SW−380≦ODであることが好ましい。
【0017】
(トレッドゴムのゴム組成物)
本発明に係るタイヤのトレッドゴムは、従来公知のゴム成分に加えて、任意に従来公知の充填剤、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤、プロセス油、スコーチ防止剤、亜鉛華、ステアリン酸等を含むゴム組成物を、常法に従い混練、加硫することによって形成することができる。
混練の条件としては、特に制限はなく、バンバリーミキサー、ロール、インターナルミキサー等を用いて、配合処方、混練装置への投入体積等に応じて、適宜、ローターの回転速度、ラム圧、混練温度、混練時間を調節すればよい。
また、ゴム組成物を加硫する際の条件としては、加硫温度は、例えば、100〜190℃とすることができる。加硫時間は、例えば、5〜80分とすることができる。
【0018】
<ゴム成分>
ゴム成分としては、例えば、変性または未変性の、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレンゴム(IR)、イソブチレンイソプレンゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム、スチレン−イソプレン共重合体ゴム(SIR)、クロロプレンゴム(CR)等の合成ゴム、および天然ゴム(NR)等が挙げられる。
SBR、BR、などの共役ジエン重合体を変性する方法は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができ、例えば、国際公開第2008/050845号に記載の方法(共役ジエン系重合体の活性末端に、変性剤を反応させ、チタン系縮合促進剤の存在下、当該変性剤が関与する縮合反応を行う方法)等を用いることができる。
前記共役ジエン系重合体としては、例えば、1,3−ブタジエンとスチレンとの共重合体が好適に挙げられる。
前記変性剤としては、例えば、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、1−トリメチルシリル−2−エトキシ−2−メチル−1−アザ−2−シラシクロペンタンが好適に挙げられる。
前記チタン系縮合促進剤としては、例えば、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタン、チタンジ−n−ブトキサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)が好適に挙げられる。
上述したゴム成分を1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0019】
<充填剤>
充填剤としては、例えば、従来公知のカーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、クレイ等が挙げられる。斯かる充填剤を1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に係るタイヤは、前記トレッドゴムを形成するゴム組成物が、少なくともゴム成分と充填剤とを含み、前記ゴム組成物において、前記ゴム成分100質量部に対して、前記充填剤が、50〜100質量部含まれていることが好ましい。これにより、耐摩耗性と加工性に優れるという利点がある。耐摩耗性と加工性の観点から、前記ゴム成分100質量部に対して、前記充填剤が、55〜85質量部含まれていることがより好ましく、75〜85質量部含まれていることがさらに好ましい。また、ジエン系ポリマー(ジエン系ゴム)100質量部に対して、前記充填剤が、50〜90質量部含まれていることがより好ましい。
【0020】
本発明に係るタイヤは、前記充填剤がシリカを含み、当該シリカが、前記ゴム成分100質量部に対して、25〜100質量部含まれていることが好ましい。これにより、ウェット性能に優れるという利点がある。また、ウェット性能の観点から、前記シリカが、前記ゴム成分100質量部に対して、50〜75質量部含まれていることがより好ましく、60〜75質量部含まれていることがさらに好ましい。
充填剤としてシリカを用いる場合は、シリカをシランカップリング剤で処理してもよい。
【0021】
前記トレッドゴムのE’は、6.0〜12.0MPaである。上記特定の断面幅SWおよび外径ODの関係の場合に、このE’の範囲外では、十分なウェット性能の向上効果が得られない。前記E’は、7.9〜12.0MPaであることが好ましく、8.5〜11.0MPaであることがより好ましい。この範囲とすることにより、ウェット性能をさらに向上させることができる。
前記E’を6.0〜12.0MPaとするためには、例えば、配合をジエン系ポリマー100phrのうち、変性S−SBRを20〜70phrの範囲、かつ、充填剤50〜80phrのうち、シリカを30〜80phrの範囲で適宜変更すればよい。
【0022】
本発明に係るタイヤは、前記トレッドゴムの60℃における損失正接tanδが、0.05〜0.18であることが好ましい。これにより、さらに転がり抵抗性が低減される。前記tanδを0.05〜0.18とするためには、例えば、配合をジエン系ポリマー100phrのうち、NRを0〜20phrの範囲、変性S−SBRを20〜70phrの範囲、かつ、充填剤50〜80phrのうち、シリカを30〜80phrの範囲で適宜変更すればよい。
【実施例】
【0023】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0024】
実施例4〜6、参考例1〜3、7〜9および比較例1〜12
表1に示す配合処方のゴム組成物からなるトレッドゴムを備える幅狭、大径のラジアルタイヤと、当該トレッドゴムを備える従来のラジアルタイヤを作製した。幅狭、大径のラジアルタイヤ(表2中、「本発明形状1」という)のサイズは、断面幅SWを155mm、外径ODを653.1mmとし、本発明形状2のサイズは、断面幅SWを165mm、外径ODを697.1mmとした。従来のラジアルタイヤ(表2中、「従来形状」という)のサイズは、断面幅SWを195mm、外径ODを634.5mmとした。また、各タイヤの内圧を表2に示す。
そして、以下のようにトレッドゴムの30℃における動的貯蔵弾性率E’、0℃および60℃における損失正接tanδ、ウェット性能ならびに転がり抵抗を評価した。その結果を表2に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
(動的貯蔵弾性率E’および損失正接tanδ)
動的貯蔵弾性率E’および損失正接tanδは、株式会社東洋精機製作所製のスペクトロメータを用いて、厚さ:2mm、幅:5mm、長さ:20mmの試験片に初期荷重:160gを与え、初期歪み:1%、振動数50Hzの条件で測定し、ここで、動的貯蔵弾性率E’は、30℃で測定し、損失正接tanδは、0℃および60℃で測定した。
【0027】
(ウェット性能)
ウェット性能は、EU 規則 Wet Gripグレーディング試験法(案)(TEST METHOD FOR TYRE WET GRIP GRADING (C1 TYRES))に準拠して行い、比較例2のウェット性能を100として、その他のタイヤのウェット性能を指数で表した。指数値が大きいほど、ウェット性能に優れる。
【0028】
(転がり抵抗値(RR値))
上記各タイヤをタイヤのビード幅に対応した幅のリムに装着して、タイヤ・リム組立体とし、タイヤを装着する車両毎に規定される最大荷重を負荷し、ドラム回転速度100km/hの条件にて転がり抵抗を測定した。比較例2の転がり抵抗値を100とし、その他のタイヤの転がり抵抗値を指数で表した。指数値が大きいほど、転がり抵抗に優れる。
【0029】
【表2】
【0030】
表2より、E’が6.0〜12.0の範囲外の比較例10〜12では、本発明形状であってもウェット性能が、従来形状より劣る結果となった。これに対して、E’を6.0〜12.0の範囲内とすることにより、従来形状と同等以上のウェット性能を得ることができた。
特に、E’が、7.9〜12.0の実施例4〜6、参考例3、7では、従来形状の比較例4〜8に比べてウェット性能を大きく向上させることができ、従来形状のタイヤでは、E’が7.9(比較例4)でウェット性能のピークとなり、それよりもE’が大きくなるとウェット性能が低下している(比較例5〜8)が、本発明形状のタイヤでは、実施例4のようにE’が7.9を超えてもさらにウェット性能を高めることができた。
【符号の説明】
【0031】
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス
5 ビードコア
6 ゴムチェーファー
7 ベルト
8 トレッドゴム
図1