特許第6392764号(P6392764)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6392764
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】ピロロベンゾジアゼピン−抗体結合体
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/28 20060101AFI20180910BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20180910BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20180910BHJP
   A61K 47/65 20170101ALI20180910BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20180910BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
   C07K16/28ZNA
   A61K39/395 L
   A61K39/395 N
   A61K45/00
   A61K47/65
   A61K47/68
   A61P35/00
【請求項の数】18
【全頁数】159
(21)【出願番号】特願2015-536165(P2015-536165)
(86)(22)【出願日】2013年10月11日
(65)【公表番号】特表2015-534579(P2015-534579A)
(43)【公表日】2015年12月3日
(86)【国際出願番号】EP2013071349
(87)【国際公開番号】WO2014057119
(87)【国際公開日】20140417
【審査請求日】2016年10月11日
(31)【優先権主張番号】61/712,924
(32)【優先日】2012年10月12日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/712,928
(32)【優先日】2012年10月12日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/798,106
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/798,037
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/798,072
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515100846
【氏名又は名称】エイディーシー・セラピューティクス・エス・アー
【氏名又は名称原語表記】ADC THERAPEUTICS SA
(73)【特許権者】
【識別番号】508098350
【氏名又は名称】メドイミューン・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MedImmune Limited
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】パトリシウス・ヘンドリクス・コーネリス・ヴァン・バーケル
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・ウィルソン・ハワード
【審査官】 小林 薫
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/130616(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/130613(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/130598(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/043880(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 1/00−19/00
A61K 31/00−31/327
A61K 39/00−39/44;49/00−51/12
A61P 1/00−43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式ConjA、ConjB、ConjC、ConJD又はConjEの結合体:
ConjA
【化1】

ConjB
【化2】

ConjC:
【化3】

ConjD
【化4】
又はConjE:
【化5】
(式中、AbはCD25に結合する抗体であり、該抗体は、配列番号3のアミノ酸配列を有するVH CDR1、配列番号4のアミノ酸配列を有するVH CDR及び配列番号5のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含むVHドメインと、配列番号6のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号7のアミノ酸配列を有するVL CDR2及び配列番号8のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含むVLドメインとを含み、抗体(Ab)に対する薬剤(D)の薬剤負荷(p)は1〜8である。)。
【請求項2】
前記抗体が配列番号1の配列を有するVHドメインを有する、請求項1に記載の結合体。
【請求項3】
前記抗体が配列番号2の配列を有するVLドメインを有する、請求項1又は2に記載の結合体。
【請求項4】
前記抗体がそのままの抗体である、請求項1〜のいずれかに記載の結合体。
【請求項5】
前記抗体がヒト化、脱免疫化又は再表面化されている、請求項1〜のいずれかに記載の結合体。
【請求項6】
前記抗体が完全ヒトモノクローナル抗体IgG1である、請求項1〜のいずれかに記載の結合体。
【請求項7】
pが1、2、3又は4である、請求項1〜のいずれかに記載の結合体。
【請求項8】
治療に使用するための、請求項1〜のいずれかに記載の結合体。
【請求項9】
被験体における増殖性疾患の治療に使用するための、請求項1〜のいずれかに記載の結合体。
【請求項10】
前記疾患が癌である、請求項に記載の結合体。
【請求項11】
請求項1に記載の式ConjA、ConjB、ConjC、ConjD又はConjEの抗体−薬剤結合体化合物の混合物を含み、前記抗体−薬剤結合体化合物の混合物中における抗体当たりの平均薬剤負荷が2〜5である、抗体−薬剤結合体化合物の混合物
【請求項12】
治療に使用するための、請求項11に記載の抗体−薬剤結合体化合物の混合物。
【請求項13】
被験体における増殖性疾患の治療に使用するための、請求項11に記載の抗体−薬剤結合体化合物の混合物。
【請求項14】
前記疾患が癌である、請求項13に記載の抗体−薬剤結合体化合物の混合物。
【請求項15】
請求項1〜10のいずれかに記載の結合体又は請求項11〜14のいずれかに記載の抗体−薬剤結合体化合物の混合物と、薬学的に許容される希釈剤、キャリア又は賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項16】
化学療法剤の治療有効量をさらに含む、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
請求項1〜10のいずれかに記載の結合体又は請求項11〜14のいずれかに記載の抗体−薬剤結合体化合物の混合物の、被験体における増殖性疾患の治療に使用するための薬剤の製造における使用。
【請求項18】
請求項15又は16に記載の医薬組成物の、被験体における癌の治療に使用するための医薬品の製造における使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗体に対するリンカーの形態の、不安定C2又はN10保護基を有するピロロベンゾジアゼピン(PBD)に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
いくつかのピロロベンゾジアゼピン(PBD)には、DNAの特定の配列を認識して結合する能力がある。好ましい配列はPuGPuである。最初のPBD抗腫瘍抗生物質であるアントラマイシンは、1965年に発見された(Leimgruber,外,J.Am.Chem.Soc.,87,5793−5795(1965);Leimgruber,外,J.Am.Chem.Soc.,87,5791−5793(1965))。それ以来、天然に存在する多数のPBDが報告されており、10を超える合成経路が様々なアナログに対して開発されている(Thurston,外,Chem.Rev.1994,433−465(1994);Antonow,D.及びThurston,D.E.,Chem.Rev.2011 111(4),2815−2864)。ファミリー化合物としては、アブベイマイシン(Hochlowski外,J.Antibiotics,40,145−148(1987))、キカマイシン(Konishi外,J.Antibiotics,37,200−206(1984))、DC−81(特開昭58−180487号公報;Thurston外,Chem.Brit.,26,767−772(1990);Bose外,Tetrahedron,48,751−758(1992))、マゼトラマイシン(Kuminoto外,J.Antibiotics,33,665−667(1980))、ネオトラマイシンA及びB(Takeuchi外,J.Antibiotics,29,93−96(1976))、ポロトラマイシン(Tsunakawa,外,J.Antibiotics,41,1366−1373(1988))、プロトラカルシン(Shimizu外,J.Antibiotics,29,2492−2503(1982);Langley及びThurston,J.Org.Chem.,52,91−97(1987))、シバノミシン(DC−102)(Hara外,J.Antibiotics,41,702−704(1988);Itoh外,J.Antibiotics,41,1281−1284(1988))、シビロマイシン(Leber外,J.Am.Chem.Soc.,110,2992−2993(1988))及びトママイシン(Arima外,J.Antibiotics,25,437−444(1972))が挙げられる。PBDは次の一般構造のものである:
【化1】
これらのものは、それらの芳香族A環及びピロロC環の両方における置換基の数、種類及び位置、並びにC環の飽和度が相違する。B環中には、DNAのアルキル化を担当する求電子性中心であるN10−C11位にイミン(N=C)、カルビノールアミン(NH−CH(OH))、又はカルビノールアミンメチルエーテル(NH−CH(OMe))のいずれかが存在する。既知の天然物の全ては、キラルC11a位に(S)−配置を有し、これはC環からA環の方に見て右回りのねじれを与える。これは、それらにB型DNAの副溝とのイソヘリシティーのために好適な三次元形状を与え、これにより結合部位にぴたりと嵌ることになる(Kohn,In Antibiotics III.Springer−Verlag,New York,pp.3−11(1975);Hurley及びNeedham−VanDevanter,Acc.Chem.Res.,19,230−237(1986))。副溝に付加物を形成する能力は、それらがDNAプロセシングを妨害すること、すなわちそれらを抗腫瘍剤として使用することを可能にする。
【0003】
特に有利なピロロベンゾジアゼピン化合物は、化合物1としてGregson外(Chem.Commun.1999,797−798)及び化合物4aとしてGregson外(J.Med.Chem.2001,44,1161−1174)に記載されている。SG2000としても知られているこの化合物を以下に示す:
【化2】
【0004】
WO2007/085930には、抗体などの細胞結合剤への結合のためのリンカー基を有する二量体PBD化合物の調製が記載されている。リンカーは、二量体の単量体PBD単位を結合させる架橋部分に存在する。
【0005】
本発明者は、WO2011/130613及びWO2011/130616において、抗体などの細胞結合剤への結合のためのリンカー基を有する二量体PBD化合物を記載した。これらの化合物におけるリンカーは、C2位置を介してPBDコアに結合し、そして一般的にはリンカー基への酵素の作用によって切断される。 WO2011/130598では、これらの化合物におけるリンカーは、PBDコア上における利用可能なN10位置の1つに結合され、そして一般的にはリンカー基への酵素の作用によって切断される。
【0006】
抗体−薬剤結合体
癌、免疫疾患及び血管新生障害を有する患者の標的治療のために抗体療法が確立されてきている(Carter,P.(2006)Nature Reviews Immunology 6:343−357)。細胞毒性又は細胞増殖抑制剤、すなわち癌治療において腫瘍細胞を死滅させる又は阻害する薬剤の局所送達のための抗体−薬剤結合体(ADC)、すなわち免疫結合体の使用は、腫瘍への薬剤成分の送達及び細胞内蓄積を標的とするのに対し、これらの非結合薬剤の全身投与は、正常細胞に許容できないレベル毒性をもたらす場合がある(Xie外(2006)Expert.Opin.Biol.Ther.6(3):281−291;Kovtun外(2006)Cancer Res.66(6):3214−3121;Law外(2006)Cancer Res.66(4):2328−2337;Wu外(2005)Nature Biotech.23(9):1137−1145;Lambert J.(2005)Current Opin.in Pharmacol.5:543−549;Hamann P.(2005)Expert Opin.Ther.Patents 15(9):1087−1103;Payne,G.(2003)Cancer Cell 3:207−212;Trail外(2003)Cancer Immunol.Immunother.52:328−337;Syrigos及びEpenetos(1999)Anticancer Research 19:605−614)。
【0007】
それによって最小限の毒性で最大の効果が求められている。ADCを設計し、洗練するための努力は、モノクローナル抗体(mAb)の選択性並びに薬剤の作用機序、薬剤結合、薬物/抗体比(負荷)及び薬物放出特性に焦点が当てられてきた(Junutula外,2008b Nature Biotech.,26(8):925−932;Dornan外(2009)Blood 114(13):2721−2729;米国特許第7521541号;米国特許第7723485号;WO2009/052249;McDonagh(2006)Protein Eng.Design & Sel.19(7):299−307;Doronina外(2006)Bioconj.Chem.17:114−124;Erickson外(2006)Cancer Res.66(8):1−8;Sanderson外(2005)Clin.Cancer Res.11:843−852;Jeffrey外(2005)J.Med.Chem.48:1344−1358;Hamblett外(2004)Clin.Cancer Res.10:7063−7070)。薬剤部分は、チューブリン結合、DNA結合、プロテアソーム及び/又はトポイソメラーゼ阻害を含めた機構によってそれらの細胞毒性及び細胞増殖抑制効果を付与することができる。いくつかの細胞毒性薬剤は、大きな抗体又はタンパク質受容体リガンドに結合すると不活性又は低活性になる傾向がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者は、特定のPBD二量体抗体結合体を開発した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の開示
本発明の第1の態様は、式L−(DLpの結合体を含み、ここで、DLは、次式I又はIIである:
【化3】
式中:
Lは以下に定義される抗体(Ab)であり;
C2’とC3’との間に二重結合が存在する場合には、R12は次のものよりなる群から選択され:
(ia)ハロ、ニトロ、シアノ、エーテル、カルボキシ、エステル、C1〜7アルキル、C3〜7ヘテロシクリル及びビス−オキシ−C1〜3アルキレンよりなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてよいC5〜10アリール基;
(ib)C1〜5飽和脂肪族アルキル基;
(ic)C3〜6飽和シクロアルキル;
(id)
【化4】
ここで、R21、R22及びR23のそれぞれは、独立して、H、C1〜3飽和アルキル、C2〜3アルケニル、C2〜3アルキニル及びシクロプロピルから選択されここで、R12基中の炭素原子の合計数は5を超えない;
(ie)
【化5】
ここで、R25a及びR25bの一方はHであり、他方はハロ、メチル、メトキシで置換されていてよいフェニル;ピリジル;及びチオフェニルから選択され;及び
(if)
【化6】
ここで、R24は、H;C1〜3飽和アルキル;C2〜3アルケニル;C2〜3アルキニル;シクロプロピル;ハロ、メチル、メトキシから選択される基で置換されていてよいフェニル;ピリジル;及びチオフェニルから選択され;
C2’とC3’との間に単結合が存在する場合には、
12
【化7】
であり、ここで、R26a及びR26bは、独立して、H、F、C1〜4飽和アルキル及びC2〜3アルケニルから選択され、該アルキル及びアルケニル基は、C1〜4アルキルアミド及びC1〜4アルキルエステルから選択される基で置換されていてよく、又は、R26a及びR26bの一方がHである場合には、他方は、ニトリル及びC1〜4アルキルエステルから選択され;
6及びR9は、独立して、H、R、OH、OR、SH、SR、NH2、NHR、NRR’、ニトロ、Me3Sn及びハロから選択され;
ここで、R及びR’は、独立して、置換されていてよいC1〜12アルキル、C3〜20ヘテロシクリル及びC5〜20アリール基から選択され;
7’は、H、R、OH、OR、SH、SR、NH2、NHR、NHRR’、ニトロ、Me3Sn及びハロから選択され;
R”は、鎖が1個以上のヘテロ原子、例えばO、S、NRN2(ここでRN2は、H又はC1〜4アルキルである)及び/又は芳香環、例えばベンゼン又はピリジンによって中断されていてよいC3〜12アルキレン基であり;
Y及びY’は、O、S、又はNHから選択され;
6’、R7’、R9’は、それぞれR6、R7及びR9と同じ基から選択され;
[式I]
L1’は、抗体(Ab)への結合のためのリンカーであり;
11aは、OH、ORA(ここで、RAは、C1〜4アルキルである。)及びSOzM(ここで、zは2又は3であり、Mは一価の薬学的に許容される陽イオンである。)から選択され;
20及びR21は、一緒になって、これらが結合している窒素原子と炭素原子の間に二重結合を形成し;
20はH及びRCから選択され、ここで、RCはキャッピング基であり;
21はOH、ORA及びSOzMから選択され;
C2とC3との間に二重結合が存在する場合には、R2は、次のものよりなる群から選択され:
(ia)ハロ、ニトロ、シアノ、エーテル、カルボキシ、エステル、C1〜7アルキル、C3〜7ヘテロシクリル及びビス−オキシ−C1〜3アルキレンよりなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてよいC5〜10アリール基;
(ib)C1〜5飽和脂肪族アルキル基;
(ic)C3〜6飽和シクロアルキル;
(id)
【化8】
ここで、R11、R12及びR13のそれぞれは、独立して、H、C1〜3飽和アルキル、C2〜3アルケニル、C2〜3アルキニル及びシクロプロピルから選択され、ここで、R2基中における炭素原子の総数は5を超えず;
(ie)
【化9】
ここで、R15a及びR15bの一方はHであり、他方はハロ、メチル、メトキシから選ばれる基で置換されていてよいフェニル;ピリジル;及びチオフェニルから選択され;及び
(if)
【化10】
ここで、R14は、H;C1〜3飽和アルキル;C2〜3アルケニル;C2〜3アルキニル;シクロプロピル;ハロ、メチル、メトキシから選択される基で置換されていてよいフェニル;ピリジル;及びチオフェニルから選択され;
C2とC3との間に単結合が存在する場合には、
2
【化11】
であり、ここで、R16a及びR16bは、独立して、H、F、C1〜4飽和アルキル、C2〜3アルケニルから選択され、該アルキル基及びアルケニル基は、C1〜4アルキルアミド及びC1〜4アルキルエステルから選択される基で置換されていてよく、又は、R16a及びR16bの一方がHである場合には、他方はニトリル及びC1〜4アルキルエステルから選択され;
[式II]
22は、次式IIIa、次式IIIb又は次式IIIcであり:
(a)
【化12】
ここで、AはC5〜7アリール基であり、また
(i)Q1は単結合であり、Q2は単結合及び−Z−(CH2n−から選択され、ここで、Zは単結合、O、S及びNHから選択され、nは1〜3であり;又は
(ii)Q1は−CH=CH−であり、Q2は単結合である;
(b)
【化13】
ここで、
C1、RC2及びRC3は、独立して、H及び非置換C1〜2アルキルから選択され;
(c)
【化14】
Q’はO−RL2’、S−RL2’及びNRN−RL2’から選択され、及びRNはH、メチル及びエチルから選択され
Xは次のものよりなる群から選択され:O−RL2’、S−RL2’、CO2−RL2’、CO−RL2’、NH−C(=O)−RL2’、NHNH−RL2’、CONHNH−RL2’
【化15】

【化16】
NRNL2’、ここで、RNはH及びC1〜4アルキルよりなる群から選択され;
L2’は抗体(Ab)への結合のためのリンカーであり;
10及びR11は、一緒になって、それらが結合している窒素原子と炭素原子間に二重結合を形成し;又は
10はHであり、R11はOH、ORA及びSOzMから選択され;
30及びR31は、一緒になって、それらが結合している窒素原子と炭素原子の間に二重結合を形成し;
30はHであり、R31はOH、ORA及びSOzMから選択される。
【0010】
いくつかの実施形態では、結合体は次のものではない:
ConjA
【化17】

ConjB
【化18】

ConjC:
【化19】

ConjD
【化20】
又はConjE:
【化21】
【0011】
他の実施形態では、結合体は、式ConjA、ConjB、ConjC、ConjD及びConjEの結合体から選択されることが好ましい場合がある。
【0012】
式Iにおける下付き文字pは1〜20の整数である。したがって、結合体は、リンカー単位によって少なくとも一つの薬剤単位に共有結合された以下に定義される抗体(Ab)を含む。以下でより詳細に説明するリガンド単位は、標的部分に特異的に結合する標的化剤である。したがって、本発明は、例えば、様々な癌及び自己免疫疾患の治療方法も提供する。薬剤負荷は、p、すなわち抗体当たりの薬剤分子の数で表される。薬剤負荷は、抗体当たり1〜20個の薬剤単位(DL)の範囲であることができる。組成物に関して、pは、該組成物中における結合体の平均薬剤負荷を表し、pは1〜20を範囲とする。
【0013】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様の結合体の製造方法であって、次式IL又はIILの化合物:
【化22】
を以下で定義されるような抗体(Ab)に結合させることを含み、式中:
L1は、抗体(Ab)への結合に好適なリンカーであり;
22Lは、次の式IIIaL、式IIIbL又は式IIIcLのものであり;
(a)
【化23】

(b)
【化24】
(c)
【化25】
ここで、QLはO−RL2、S−RL2及びNRN−RL2から選択され、RNはH、メチル及びエチルから選択され
Lは、次のものよりなる群から選択され:O−RL2、S−RL2、CO2−RL2、CO−RL2、N=C=O−RL2、NHNH−RL2、CONHNH−RL2
【化26】
【化27】
NRNL、ここで、RNはH及びC1〜4アルキルよりなる群から選択され;
L2は、抗体(Ab)への結合に好適なリンカーであり;
残りの全て基は、第1の態様において定義したとおりである。
【0014】
したがって、第2の態様では、本発明は、次のA〜Eからそれぞれ選択される化合物を以下で定義される抗体に結合させることを含む、ConjA、ConjB、ConjC、ConjD及びConjEよりなる群から選択される結合体を作製する方法を提供することが好ましい場合がある:
A:
【化28】
B:
【化29】
C:
【化30】
D:
【化31】
及びE:
【化32】
【0015】
WO2011/130615には、化合物26が開示されている:
【化33】
このものは、Aの親化合物である。化合物Aは、このPBDを、細胞結合剤への結合のためのリンカーと共に含む。細胞結合剤は、多数のエチレングリコール部分を与えて結合体の合成に有用な溶解性を与える。
【0016】
WO2010/043380及びWO2011/130613には、化合物30が開示されている:
【化34】
【0017】
また、WO2011/130613には、化合物51が開示されている:
【化35】
化合物Bは、PBD部分間に(CH25鎖の代わりに(CH23鎖を有する点でのみ化合物30とは相違し、これにより脱離したPBD二量体の親油性が減少する。結合基は、メタ位ではなくパラ位でC2−フェニル基に結合する。
【0018】
WO2011/130613には、化合物93が開示されている:
【化36】
化合物Cは、2つの点でこれとは相違する。細胞結合剤は、結合体の合成に有用な溶解性を提供する増加した数のエチレングリコール部分を与え、フェニル置換基は、1個ではなく2個の酸素原子を与え、これは溶解性にも役立つ。 また、化合物C’の構造とは、このものが副溝により強く結合することを意味する場合もある。
【0019】
化合物A、B及びCは、それぞれのC環に2個のsp2中心を有するところ、これは、それぞれのC環に1個のみのsp2中心を有する化合物の場合よりも強くDNAの副溝に結合するのを可能にすることができる。
【0020】
WO2011/130598には、化合物80が開示されている:
【化37】
化合物Dは、細胞結合剤への結合のためのヨードアセトアミド基を有する点でこれとは異なる。この基には、細胞結合剤に結合したときのその安定性に関して化合物80を超える利点を提供することができる(下記参照)。化合物80中のマレイミド基は、レトロ−マイケル反応を受け、細胞結合剤から非結合状態になるため、アルブミン及びグルタチオンなどの生体分子を含む他のチオールによる捕捉に脆弱な場合がある。このような非結合が化合物Aで生じることはない。また、ヨードアセトアミド基は、他の望ましくない副反応を回避することができる。
【0021】
化合物Eは、より小さく親油性の少ないC2置換基、例えば、4F−フェニル、プロピレンを有する点で、C2−3末端二重結合を有する薬剤リンカーを持つ以前に開示されたPBD二量体とは異なる。このように、化合物Bの結合体(下記参照)は、いったん合成されたら凝集する可能性は低い。このような結合体の凝集は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により測定できる。
【0022】
両方の化合物D及びEは、それぞれのC環に2個のsp2中心を有するが、これは、それぞれのC環に1個のみのsp2中心を有する化合物の場合よりも強くDNAの副溝に結合することを可能にすることができる。
【0023】
WO2010/043880、WO2011/130613、2011/130598及びWO2011/130616に開示された薬剤リンカーを本発明で使用することができ、これらは引用により本明細書で援用する。ここに記載する薬剤リンカーは、これらの文献に記載されたとおりに合成できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、HuMax−TAC−Aの試験管内での有効性を示す。
図2図2は、HuMax−TAC−Aの試験管内での有効性を示す。
図3A図3Aは、HUMAX−TAC−ADC結合体に対する薬剤リンカーの選択を示す。
図3B図3Bは、HUMAX−TAC−ADC結合体に対する薬剤リンカーの選択を示す。
図3C図3Cは、HUMAX−TAC−ADC結合体に対する薬剤リンカーの選択を示す。
図4図4は、Karpas299異種移植片モデルにおけるHuMax−TAC−ADCに対する薬剤リンカー選択を示す。
図5図5は体重測定を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
発明の詳細な説明
本発明は、被験体における好ましい部位にPBD化合物を与えるのに使用するために好適である。この結合体は、リンカーの任意の部宇分を保持していない活性なPBDの化合物の放出を可能にする。PBDの化合物の反応性に影響を与える可能性がある断片は存在しない。したがってConjAは、次の化合物RelAを放出するであろう:
【化38】
ConjBは、次の化合物RelBを放出するであろう:
【化39】
ConjCは、次の化合物RelCを放出するであろう:
【化40】
ConjDは、次の化合物RelDを放出するであろう:
【化41】
そして、ConjEは、次の化合物RelEを放出するであろう:
【化42】
【0026】
本発明においてPBD二量体と抗体との間にある特定の結合は、好ましくは細胞外で安定である。細胞への輸送又は送達前に、抗体−薬剤結合体(ADC)は、好ましくは安定であり、かつ、そのままの状態を保持する、すなわち、抗体は、薬剤部分に結合されたままである。リンカーは、標的細胞の外部では安定であり、かつ、細胞内では有効な速度で切断され得る。効果的なリンカーは、(i)抗体の特異的結合特性を維持し、(ii)結合体又は薬剤部分の細胞内送達を可能にし、(iii)安定でかつそのままの状態を保持し、すなわち、結合体がその標的部位に送達又は輸送されるまで切断されない状態を保持し、及び(iv)PBD薬剤部分の細胞傷害性の殺細胞効果又は細胞増殖抑制効果を維持する。ADCの安定性は、質量分析、HPLC及び分離/分析技術LC/MSなどの標準的な分析技術によって測定できる。
【0027】
式RelA、RelB、RelC、RelD又はRelEの化合物の送達は、式ConjA、ConjB、ConjC、ConjD又はConjEの結合体の所望の活性化部位で、結合基、特にバリン−アラニンジペプチド部分へのカテプシンなどの酵素の作用によって達成される。
【0028】
抗体
一態様では、抗体は、CD25に結合する抗体であり、該抗体は、配列番号3のアミノ酸配列を有するVH CDR1、配列番号4のアミノ酸配列を有するVH CDR2及び配列番号5のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含むVHドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号1に従う配列を有するVHドメインを含む。
【0029】
抗体は、配列番号6のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号7のアミノ酸配列を有するVL CDR2及び配列番号8のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含むVLドメインをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号2に従う配列を有するVLドメインをさらに含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、抗体は、VHドメイン及びVLドメインを含み、このVH及びVLドメインは、配列番号2と対になった配列番号1の配列を有する。
【0031】
VH及びVLドメインは、CD25を結合する抗体抗原結合部位を形成するように対になることができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、抗体は、VHドメイン及びVLドメインを含むそのままの抗体であり、このVH及びVLドメインは、配列番号1及び配列番号2の配列を有する。
【0033】
いくつかの実施形態では、抗体は、完全ヒトモノクローナルIgG1、好ましくはIgG1,κ抗体である。
【0034】
いくつかの態様では、抗体は、WO2004/045512(Genmab A/S)に記載されたAB12抗体である。
【0035】
態様では、抗体は、以下で説明されるように変性(又はさらに変性)された、ここで説明する抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、ここで開示される抗体のヒト化、脱免疫化又は再表面化変種である。
【0036】
用語
ここで、用語「抗体」は、最も広い意味で使用され、かつ、所望の生物学的活性、例えばCD25結合能を示す限りにおいて、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、二量体、多量体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、そのままの抗体及び抗体断片をカバーする(Miller外(2003)Jour.of Immunology 170:4854−4861)。抗体は、マウス、ヒト、ヒト化、キメラ、又は他の種に由来することができる。抗体とは、特定の抗原を認識し、そしてそれに結合することのできる免疫系によって生成されるタンパク質のことである。(Janeway,C.、Travers,P.、Walport,M.、Shlomchik(2001)Immuno Biology,第5版,Garland Publishing,New York)。標的抗原は、一般に、複数の抗体上のCDRによって認識される多数の結合部位(エピトープとも呼ばれる)を有する。異なるエピトープに特異的に結合するそれぞれの抗体は異なる構造を有する。したがって、一つの抗原は、複数の対応する抗体を有することができる。抗体は、全長免疫グロブリン分子又は全長免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、すなわち、標的の抗原又はその部分に免疫特異的に結合する抗原結合部位を含む分子を含み、このような標的としては、自己免疫疾患に関連する自己免疫抗体を産生する1種以上の癌細胞細胞が挙げられるが、これらに限定されない。免疫グロブリンは、免疫グロブリン分子の任意の型(例えばIgG、IgE、IgM、IgD及びIgA)、クラス(例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)若しくはサブクラス、又はアロタイプ(例えば、ヒトG1m1、G1m2、G1m3、非G1m1[すなわちG1m1以外の任意のアロタイプ]、G1m17、G2m23、G3m21、G3m28、G3m11、G3m5、G3m13、G3m14、G3m10、G3m15、G3m16、G3m6、G3m24、G3m26、G3m27、A2m1、A2m2、Km1、Km2及びKm3)のものであることができる。免疫グロブリンは、ヒト、マウス、又はウサギ起源を含めて任意の種に由来できる。
【0037】
本明細書で使用するときに、「CD25と結合する」は、抗体がウシ血清アルブミンなどの非特異的な相手よりも高い親和性でCD25と結合することを意味するために使用される(BSA、GenBankアクセッション番号CAA76847、バージョン番号CAA76847.1GI:3336842、記録更新日:2011年1月7日2時30分PM)。いくつかの実施形態では、抗体は、生理的条件で測定されたときに、BSAに対する抗体の結合定数(Ka)よりも少なくとも2、3、4、5、10、20、50、100、200、500、1000、2000、5000、104、105又は106倍高い会合定数でCD25と結合する。本発明の抗体は、高い親和性でCD25と結合することができる。例えば、いくつかの実施形態では、抗体は、約10-6M以下、例えば1×10-6、10-7、10-8、10-9、10-10、10-11、10-12、10-13又は10-14のKDでCD25と結合することができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、CD25ポリペプチドは、Genbankアクセッション番号NP_000408、バージョン番号NP_000408.1 GI:4557667、記録更新日:2012年9月9日4時59分PMに相当する。一実施形態では、CD25ポリペプチドをコードする核酸は、Genbankアクセッション番号NM_000417、バージョン番号NM_000417.2 GI:269973860、記録更新日:2012年9月9日4時59分PMに相当する。
【0039】
「抗体断片」は、全長抗体の一部、一般にはその抗原結合領域又は可変領域を含む。 抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2及びscFv断片;二重特異性抗体;直鎖抗体;Fab発現ライブラリーによって産生される断片、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、CDR(相補性決定領域)、及び癌細胞抗原、ウイルス抗原又は微生物抗原、単鎖抗体分子に免疫特異的に結合する上記のいずれかのエピトープ結合断片;及び抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体が挙げられる。
【0040】
ここで使用するときに、用語「モノクローナル抗体」とは、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体をいう、すなわち、その集団を構成する個々の抗体は、少量で存在し得る、自然に生じる場合がある突然変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は、単一の抗原部位に対して向けられる非常に特異的なものである。さらに、異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対するものである。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、他の抗体によって汚染されずに合成できるという点で有利である。修飾語「モノクローナル」は、実質的に均一な抗体集団から得られるときの抗体の特徴を示すが、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とするものと解釈されるべきではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、Kohler外(1975)Nature 256:495で最初に記載されたハイブリドーマ法によって作製でき、又は組換えDNA法(米国特許第4816567号を参照)によって作製できる。また、モノクローナル抗体は、例えばClackson外(1991)Nature,352:624−628;Marks外(1991)J.Mol.Biol,222:581−597に記載された技術を使用してファージ抗体ライブラリーから単離でき、又は完全ヒト免疫グロブリン系を運ぶトランスジェニックマウス(Lonberg(2008)Curr. Opinion 20(4):450−459)から単離できる。
【0041】
ここで、モノクローナル抗体は特に、重鎖及び/又は軽鎖の一部が特定の種に由来する又は特定の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体の対応配列と同一又は相同である一方で、鎖の残りが別の種に由来する又は別の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体の対応配列と同一又は相同である「キメラ」抗体、並びに所望の生物学的活性を示す限りにおいてこのような抗体の断片が挙げられる(米国特許第4816567号;及びMorrison外(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851−6855)。キメラ抗体としては、非ヒト霊長類(例えば旧世界ザル又は類人猿)及びヒトの定常領域配列に由来する可変ドメイン抗原結合配列を含む「霊長類化」抗体が挙げられる。
【0042】
ここで、「そのままの抗体」とは、VL及びVHドメイン並びに軽鎖定常ドメイン(CL)及び重鎖定常ドメイン、CH1、CH2及びCH3を含むもののことである。定常ドメインは、天然配列定常ドメイン(例えば、ヒト天然配列定常ドメイン)又はそのアミノ酸配列変異体とすることができる。そのままの抗体は、抗体のFc領域(天然配列Fc領域又はアミノ酸配列変異体Fc領域)に起因する生物学的活性を指す1以上の「エフェクター機能」を有することができる。抗体エフェクター機能の例としては、C1q結合;補体依存性細胞傷害;Fc受容体結合;抗体依存性細胞仲介性細胞傷害(ADCC);食作用;B細胞受容体及びBCRなどの細胞表面受容体の下方調節が挙げられる。
【0043】
そのままの抗体は、それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、異なる「クラス」に割り当てることができる。そのままの抗体の5種の主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMが存在し、これらのいくつかは、「サブクラス」(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA及びIgA2にさらに分類できる。異なる抗体のクラスに相当する重鎖定常ドメインは、それぞれ、α、δ、ε、γ及びμと呼ばれる。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造及び三次元立体配置はよく知られている。
【0044】
抗体の修飾
ここで開示される抗体を修飾して、例えば、これらをヒト被験体に対して免疫原性を少なくすることができる。これは、当業者によく知られた技術のいずれかを使用して達成できる。これらの技術のいくつかは、以下でより詳細に説明する。
【0045】
ヒト化
非ヒト抗体又は抗体フラグメントの生体内免疫原性を低減させるための技術としては、「ヒト化」と呼ばれるものが挙げられる。
【0046】
「ヒト化抗体」とは、可変領域の一部、好ましくはそのままのヒト可変ドメインよりも実質的に少ない部分が非ヒト種由来の対応配列によって置換され、しかも修飾された可変領域が別のタンパク質、好ましくはヒト抗体の定常領域の少なくとも別の部分に結合しているヒト抗体の修飾された可変領域の一部を少なくとも含むポリペプチドを意味する。表現「ヒト化抗体」には、1個以上の相補性決定領域(「CDR」)アミノ酸残基及び/又は1個以上のフレームワーク領域(「FW」又は「FR」)アミノ酸残基がげっ歯類又は他の非ヒト抗体における類似部位由来のアミノ酸残基によって置換されたヒト抗体が含まれる。また、表現「ヒト化抗体」には、実質的にヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有するFRと、実質的に非ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有するCDRとを含む免疫グロブリンアミノ酸配列変異体又はその断片も含まれる。
【0047】
非ヒト(例えば、マウス)抗体の「ヒト化」型は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むキメラ抗体である。あるいは、別の見方をすると、ヒト化抗体は、ヒト配列の代わりに非ヒト(例えばマウス)抗体から選択された配列も含むヒト抗体である。ヒト化抗体は、その結合及び/又は生物学的活性を有意に変化させない同一の又は異なる種からの保存的アミノ酸置換又は非天然残基を含むことができる。このような抗体は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むキメラ抗体である。
【0048】
「CDR移植」、「誘導選択」、「脱免疫化」、「表面再生」(「ベニアリング」としても知られている)、「複合抗体」、「ヒトストリング内容最適化」及びフレームワークシャッフリングを含めて、様々なヒト化技術が存在する。
【0049】
CDRグラフティング
この技術では、ヒト化抗体は、レシピエント抗体の相補性決定領域(CDR)からの残基が、所望の特性を有するマウス、ラット、ラクダ、ウシ、ヤギ又はウサギなどの非ヒト種のCDR(ドナー抗体)からの残基によって置換されたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である(実際には、非ヒトCDRは、ヒトフレームワーク上に「グラフト」される)。いくつかの例では、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基で置換されている(これは、例えば、特定のFR残基が抗原結合に有意な効果を及ぼす場合に生じる可能性がある)。
【0050】
さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも、移入されたCDR又はフレームワーク配列にも見出されない残基を含むことができる。これらの修飾は、抗体の特性をさらに洗練しかつ最大限にするために行われる。したがって、一般に、ヒト化抗体は、超可変ループの全て又は実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンのそれに対応し、かつ、FR領域の全て又は実質的に全てがヒト免疫グロブリン配列のそれである、少なくとも1個、一態様では2個の可変ドメインの全てを含む。ヒト化抗体は、任意に、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部又はヒト免疫グロブリンのそれを含むであろう。
【0051】
誘導選択
この方法は、特定のエピトープに特異的な所定の非ヒト抗体のVH又はVLドメインとヒトVH又はVLライブラリーとを組み合わせることからなり、特異的ヒトVドメインは、目的の抗原に対して選択される。その後、この選択されたヒトVHをVLライブラリーと組み合わせて、完全にヒトのVHxVLの組み合わせを生成する。この方法は、Nature Biotechnology(N.Y.)12,(1994)899−903に記載されている。
【0052】
複合抗体
この方法では、ヒト抗体のアミノ酸配列の2以上のセグメントを最終抗体分子内で組み合わせる。 これらは、複数のヒトVH及びVL配列セグメントを、最終複合抗体のV領域中におけるヒトT細胞エピトープを制限又は回避する組み合わせで組み合わせることによって構築される。必要な場合には、T細胞エピトープは、T細胞エピトープに貢献する又はこれをコードするV領域セグメントを、T細胞エピトープを回避する別のセグメントに置換することによって制限又は回避される。この方法は、US2008/0206239 A1に記載されている。
【0053】
脱免疫化
この方法は、治療用抗体(又は他の分子)のV領域からヒト(又は他の第2種)T細胞エピトープを除去することを含む。 治療用抗体V領域配列は、例えば、MHC結合モチーフのデータベースとの比較により、MHCクラスII−結合モチーフの存在について分析される(例えばwww.wehi.edu.auでホストされる「モチーフ」データベース)。あるいは、MHCクラスII−結合モチーフは、Altuvia外(J.Mol.Biol.249 244−250(1995))によって考案されたような 計算スレッド化手法を使用して同定できる;これらの方法では、V領域配列からの連続重複ペプチドを、MHCクラスIIタンパク質への結合エネルギーについて試験する。このデータを、両親媒性、ロスバードモチーフ及びカテプシンBの切断部位並びに他のプロセシング酵素などの正常に提示されるペプチドに関連する他の配列の特徴に関する情報と組み合わせることができる。
【0054】
潜在的な第2種(例えば、ヒト)のT細胞エピトープが同定されたら、これらを1以上のアミノ酸の変更によって除去する。修飾アミノ酸は、通常、T細胞エピトープ自体の内部にあるが、タンパク質の一次又は二次構造の点でエピトープに隣接していてもよい(すなわち、一次構造においては隣接していなくてもよい)。最も典型的には、変更は、置換によるものであるが、いくつかの状況では、アミノ酸の付加又は欠失がより適切であろう。
【0055】
全ての変更は、組換えDNA技術によって達成でき、その結果、最終分子は、部位特異的突然変異誘発などのよく確立された方法を使用して、組換え宿主からの発現により調製できる。しかし、タンパク質化学又は分子変更の任意の他の手段を使用することも可能である。
【0056】
再表面化
この方法は、次のことを含む:
(a)非ヒト抗体可変領域の三次元モデルを構築することによって非ヒト(例えば齧歯類)抗体(又はその断片)の可変領域の立体配座構造を決定すること;
(b)重鎖及び軽鎖フレームワーク位置のセットを与えるように十分な数の非ヒト及びヒト抗体可変領域重鎖及び軽鎖のX線結晶構造からの相対アクセシビリティ分布を使用して配列アラインメントを生成し、その際、アラインメント位置は、該十分な数の非ヒト抗体重鎖及び軽鎖の98%で同一である;
(c)ヒト化される非ヒト抗体について、工程(b)で生成されたフレームワーク位置のセットを使用して重鎖及び軽鎖表面露出アミノ酸残基のセットを定義する;
(d)ヒト抗体アミノ酸配列から、工程(c)で定義された表面露出アミノ酸残基のセットと最も同一性の高い重鎖及び軽鎖の表面露出アミノ酸残基のセットを同定し、ここで、このヒト抗体からの重鎖及び軽鎖は、対になる又は自然には対にならない;
(e)ヒト化される非ヒト抗体のアミノ酸配列において、工程(c)で定義された重鎖及び軽鎖表面露出アミノ酸残基のセットを工程(d)で定義された重鎖及び軽鎖の表面露出アミノ酸残基のセットで置換すること;
(f)工程(e)で特定された置換により得られた非ヒト抗体の可変領域の三次元モデルを構築すること;
(g)工程(a)及び(F)で構築された三次元モデルを比較することにより、ヒト化される非ヒト抗体の相補性決定領域の任意の残基の任意の原子の5Å内にある工程(c)又は(d)で同定されたセットから任意のアミノ酸残基を同定すること;及び
(h)工程(g)で同定された任意の残基をヒトから元の非ヒトアミノ酸残基に変更して、それによって表面露出アミノ酸残基の非ヒト抗体ヒト化セットを定義すること;
ただし工程(a)を最初に実施する必要はないが、工程(g)の前に実施しなければならないことを条件とする。
【0057】
超ヒト化
この方法は、非ヒト配列と機能的ヒト生殖系列遺伝子レパートリーとを比較する。非ヒト配列と同一又は密接に関連する正準構造をコードするヒト遺伝子が選択される。CDR内において最も高い相同性を有する選択されたヒトの遺伝子をFRドナーとして選択する。最後に、非ヒトCDRはこれらのヒトFRにグラフトされる。この方法は、WO2005/079479 A2号に記載されている。
【0058】
ヒトストリングコンテント最適化
この方法は、非ヒト(例えばマウス)の配列とヒト生殖細胞系列遺伝子のレパートリーとを比較し、それらの差異を、潜在的MHC/T細胞エピトープのレベルで配列を定量するヒトストリングコンテント(HSC)として記録する。標的配列を、グローバルな同一性指標を使用するのではなく、そのHSCを最大化することによってヒト化して複数の多様なヒト化変異体を生成する(Molecular Immunology,44,(2007)1986−1998に記載されている)。
【0059】
フレームワークシャフリング
非ヒト抗体のCDRは、全ての既知の重鎖及び軽鎖ヒト生殖細胞系遺伝子フレームワークを包含するcDNAプールにインフレームで融合される。その後、ヒト化抗体は、例えばファージ表示抗体ライブラリーのパニングによって選択される。これは、この方法は、Methods 36,43−60(2005)に記載されている。
【0060】
定義
薬学的に許容できる陽イオン
薬学的に許容できる1価又は2価の陽イオンの例は、Berge外,J.Pharm.Sci.,66,1−19(1977)に記載されている。この文献を引用によりここに含める。
【0061】
薬学的に許容できる陽イオンは、無機又は有機であることができる。
【0062】
薬学的に許容できる1価の無機陽イオンの例としては、Na+及びK+などのアルカリ金属イオンが挙げられるが、これらに限定されない。薬学的に許容できる2価の無機陽イオンの例としては、Ca2+及びMg2+などのアルカリ土類陽イオンが挙げられるが、これらに限定されない。薬学的に許容できる有機陽イオンの例としては、アンモニウムイオン(すなわちNH4+)及び置換アンモニウムイオン(例えばNH3+、NH22+、NHR3+、NR4+)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの好適な置換アンモニウムイオンの例は、次のものから誘導されるものである:エチルアミン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン、ベンジルアミン、フェニルベンジルアミン、コリン、メグルミン及びトロメタミン、並びにリジン及びアルギニンなどのアミノ酸。一般的な第四級アンモニウムイオンの例はN(CH34+である。
【0063】
置換基
本明細書で使用するときに、「置換されていてよい」という語句は、非置換であってもよく又は置換されていてもよい親基に関連する。
【0064】
特に断らない限り、本発明で使用する「置換された」という用語は、1個以上の置換基を有する親基に関する。用語「置換基」は、ここでは従来の意味で使用され、共有結合している化学的部分又は適切な場合には、親基に融合された化学的部分を意味する。多種多様な置換基がよく知られており、様々な親基へのそれらの形成及び導入方法もよく知られている。
【0065】
置換基の例を以下で詳しく説明する。
【0066】
1〜12アルキル:本明細書で使用される用語「C1〜12アルキル」とは、脂肪族又は脂環式であってよくかつ飽和又は不飽和であってもよい(例えば、部分的に不飽和、完全に不飽和)、1〜12個の炭素原子を有する炭化水素化合物の炭素原子から水素原子を除去することにより得られる1価部分をいう。ここで使用するときに、用語「C1〜4アルキル」とは、脂肪族又は芳香族であってよく、かつ、飽和又は不飽和(例えば部分不飽和、完全に不飽和)であってよい、1〜4個の炭素原子を有する炭化水素化合物の炭素原子から1個の水素原子を除去することによって得られる1価部分をいう。したがって、用語「アルキル」には、以下に説明するサブクラスのアルケニル、アルキニル、シクロアルキルなどが含まれる。
【0067】
飽和アルキル基の例としては、メチル(C1)、エチル(C2)、プロピル(C3)、ブチル(C4)、ペンチル(C5)、ヘキシル(C6)及びヘプチル(C7)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
飽和直鎖アルキル基の例としては、メチル(C1)、エチル(C2)、n−プロピル(C3)、n−ブチル(C4)、n−ペンチル(アミル)(C5)、n型ヘキシル(C6)及びn−ヘプチル(C7)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
飽和分岐アルキル基の例としては、イソプロピル(C3)、イソブチル(C4)、s−ブチル(C4)、t−ブチル(C4)、イソペンチル(C5)、及びネオペンチル(C5)が挙げられる。
【0070】
2〜12アルケニル:ここで使用するときに、用語「C2〜12アルケニル」とは、1個以上の炭素−炭素二重結合を有するアルキル基をいう。
【0071】
不飽和アルケニル基の例としては、エチニル(ビニル、−CH=CH2)、1−プロペニル(−CH=CH−CH3)、2−プロペニル(アリル、−CH−CH=CH2)、イソプロペニル(1−メチルビニル、−C(CH3)=CH2)、ブテニル(C4)、ペンテニル(C5)及びヘキセニル(C6)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
2〜12アルキニル:本明細書で使用する用語「C2〜12アルキニル」は、1個以上の炭素−炭素三重結合を有するアルキル基を意味する。
【0073】
不飽和アルキニル基の例としては、エチニル(−C≡CH)及び2−プロピニル(プロパルギル、−CH2−C≡CH)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
3〜12シクロアルキル:ここで使用するときに、用語「C3〜12シクロアルキル」とは、シクリル基でもあるアルキル基をいう;すなわち、環状炭化水素(炭素環式)化合物の脂環式環原子から水素原子を除去することによって得られる1価の部分であって、該部分が3〜7個の環原子を含めて3〜7個の炭素原子を有するものである。
【0075】
シクロアルキル基の例としては、次のものから誘導されるものが挙げられるが、これらに限定されない:
飽和単環式炭化水素化合物:
シクロプロパン(C3)、シクロブタン(C4)、シクロペンタン(C5)、シクロヘキサン(C6)、シクロヘプタン(C7)、メチルシクロプロパン(C4)、ジメチルシクロプロパン(C5)、メチルシクロブタン(C5)、ジメチルシクロブタン(C6)、メチルシクロペンタン(C6)ジメチルシクロペンタン(C7)、メチルシクロヘキサン(C7);不飽和単環式炭化水素化合物:
シクロプロペン(C3)、シクロブテン(C4)、シクロペンテン(C5)、シクロヘキセン(C6)、メチルシクロプロペン(C4)、ジメチルシクロプロペン(C5)、メチルシクロブテン(C5)、ジメチルシクロブテン(C6)、メチルシクロペンテン(C6)、ジメチルシクロペンテン(C7)及びメチルシクロヘキセン(C7);及び
飽和多環式炭化水素化合物:
ノルカラン(C7)、ノルピナン(C7)、ノルボルナン(C7)。
【0076】
3〜20ヘテロシクリル:本明細書で使用するときに、用語「C3〜20ヘテロシクリル」とは、複素環式化合物の環原子から水素原子を除去することにより得られる1価部分であって、その部分が3〜20個の環原子を有し、そのうち1〜10個が環ヘテロ原子であるものをいう。好ましくは、各環は3〜7個の環原子を有し、そのうちの1〜4個は環ヘテロ原子である。
【0077】
本明細書において、接頭辞(例えばC3〜20、C3〜7、C5〜6など)は、炭素原子かヘテロ原子かどうかを問わず、環原子の数又は環原子の数の範囲を示す。例えば、本明細書で使用する用語「C5〜6ヘテロシクリル」とは、5又は6個の環原子を有するヘテロシクリル基をいう。
【0078】
単環式ヘテロシクリル基の例としては、次のものから誘導されるものが挙げられるが、これらに限定されない:
1:アジリジン(C3)、アゼチジン(C4)、ピロリジン(テトラヒドロピロール)(C5)、ピロリン(例えば、3−ピロリン、2,5−ジヒドロピロール)(C5)、2H−ピロール又は3H−ピロール(イソピロール、イソアゾール)(C5)、ピペリジン(C6)、ジヒドロピリジン(C6)、テトラヒドロピリジン(C6)、アゼピン(C7);
1:オキシラン(C3)、オキセタン(C4)、オキソラン(テトラヒドロフラン)(C5)、オキソール(ジヒドロフラン)(C5)、オキサン(テトラヒドロピラン)(C6)、ジヒドロピラン(C6)、ピラン(C6)、オキセピン(C7);
1:チイラン(C3)、チエタン(C4)、チオラン(テトラヒドロチオフェン)(C5)、チアン(テトラヒドロチオピラン)(C6)、チエパン(C7);
2:ジオキソラン(C5)、ジオキサン(C6)、及びジオキセパン(C7);
3:トリオキサン(C6);
2:イミダゾリジン(C5)、ピラゾリジン(ジアゾリジン)(C5)、イミダゾリン(C5)、ピラゾリン(ジヒドロピラゾール)(C5)、ピペラジン(C6);
11:ヒドロオキサゾール(C5)、ジヒドロオキサゾール(C5)、テトラヒドロイソオキサゾール(C5)、ジヒドロイソオキサゾール(C5)、モルホリン(C6)、テトラヒドロオキサジン(C6)、ジヒドロオキサジン(C6)、オキサジン(C6);
11:チアゾリン(C5)、チアゾリジン(C5)、チオモルホリン(C6);
21:オキサジアジン(C6);
11:オキサチオール(C5)及びオキサチアン(チオキサン)(C6);並びに
111:オキサチアジン(C6)。
【0079】
置換単環式ヘテロシクリル基の例としては、環状の形態の糖類から誘導されるものが挙げられる。例えば、アラビノフラノース、リキソフラノース、リボフラノース及びキシロフラノースなどのフラノース(C5)並びにアロピラノース、アルトロピラノース、グルコピラノース、マンノピラノース、ガラクトピラノース、イドピラノース、ガラクトピラノース及びタロピラノースなどのピラノース(C6)。
【0080】
5〜20アリール:本明細書で使用するときに、用語「C5〜20アリール」とは、芳香族化合物の芳香環原子から水素原子を除去することにより得られる1価部分であって、その部分が3〜20個の環原子を有するものを意味する。ここで使用するときに、用語「C5〜7アリール」とは、芳香族化合物の芳香環原子から水素原子を除去することによって得られる1価部分であって、該部分が5〜7個の環原子を有するものをいい、ここで使用するときに、用語「C5〜10アリール」とは、芳香族化合物の芳香環原子から水素原子を除去することによって得られる1価部分であって、該部分が5〜10個の環原子を有するものをいう。好ましくは、各環は5〜7個の環原子を有する。
【0081】
この文脈において、接頭辞(例えばC3〜20、C5〜7、C5〜6、C5〜10など)は、環原子(炭素原子であるかヘテロ原子であるかを問わない)の数又は環原子数の範囲を意味する。例えば、本明細書で使用する用語「C5〜6アリール」とは、5又は6個の環原子を有するアリール基をいう。
【0082】
環原子は、「カルボアリール基」のように、全て炭素原子である。
カルボアリール基の例としては、ベンゼン(すなわちフェニル)(C6)、ナフタレン(C10)、アズレン(C10)、アントラセン(C14)、フェナントレン(C14)、ナフタセン(C18)及びピレン(C16)から誘導されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0083】
複数の縮合環であってそのうちの少なくとも一つが芳香環であるものを有するアリール基の例としては、次のものから誘導される基が挙げられるが、これらに限定されない:インダン(例:2,3−ジヒドロ−1H−インデン)(C9)、インデン(C9)、イソインデン(C9)、テトラリン(1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン(C10)、アセナフテン(C12)、フルオレン(C13)、フェナレン(C13)、アセフェナントレン(C15)及びアセアントレン(C16)。
【0084】
あるいは、環原子は、「ヘテロアリール基」のように、1個以上のヘテロ原子を含むことができる。単環式ヘテロアリール基の例としては、次のものから誘導されるものが挙げられるが、これらに限定されない:
1:ピロール(アゾール)(C5)、ピリジン(アジン)(C6);
1:フラン(オキソール)(C5);
1:チオフェン(チオール)(C5);
11:オキサゾール(C5)、イソオキサゾール(C5)、イソオキサジン(C6);
21:オキサジアゾール(フラザン)(C5);
31:オキサトリアゾール(C5);
11:チアゾール(C5)、イソチアゾール(C5);
2:イミダゾール(1,3−ジアゾール)(C5)、ピラゾール(1,2−ジアゾール)(C5)、ピリダジン(1,2−ジアジン)(C6)、ピリミジン(1,3−ジアジン)(C6)(例えば、シトシン、チミン、ウラシル)、ピラジン(1,4−ジアジン)(C6);
3:トリアゾール(C5)、トリアジン(C6);及び
4:テトラゾール(C5)。
【0085】
縮合環を含むヘテロアリールの例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:
次のものから誘導されるC9(2個の縮合環を有する):ベンゾフラン(O1)、イソベンゾフラン(O1)、インドール(N1)、イソインドール(N1)、インドリジン(N1)、インドリン(N1)、イソインドリン(N1)、プリン(N4)(例えば、アデニン、グアニン)ベンズイミダゾール(N2)、インダゾール(N2)、ベンゾオキサゾール(N11)、ベンズイソオキサゾール(N11)、ベンゾジオキソール(O2)、ベンゾフラザン(N21)、ベンゾトリアゾール(N3)、ベンゾチオフラン(S1)、ベンゾチアゾール(N11)、ベンゾチアジアゾール(N2S);
次のものから誘導されるC10(2個の縮合環を有する):クロメン(O1)、イソクロメン(O1)、クロマン(O1)、イソクロマン(O1)、ベンゾジオキサン(O2)、キノリン(N1)、イソキノリン(N1)、キノリジン(N1)、ベンゾオキサジン(N11)、ベンゾジアジン(N2)、ピリドピリジン(N2)、キノキサリン(N2)、キナゾリン(N2)、シンノリン(N2)、フタラジン(N2)、ナフチリジン(N2)、プテリジン(N4);
ベンゾジアゼピン(N2)から誘導されるC11(2個の縮合環を有する);
カルバゾール(N1)、ジベンゾフラン(O1)、ジベンゾチオフェン(S1)、カルボリン(N2)、ペリミジン(N2)、ピリドインドール(N2)から誘導されるC13(3個の縮合環を有する);及び
次のものから誘導されるC14(3個の縮合環を有する):アクリジン(N1)、キサンテン(O1)、チオキサンテン(S1)、オキサントレン(O2)、フェノキサチイン(O11)、フェナジン(N2)、フェノキサジン(N11)、フェノチアジン(N11)、チアントレン(S2)、フェナントリジン(N1)フェナントロリン(N2)、フェナジン(N2)。
【0086】
上記の基は、単独か別の置換基の一部かどうかを問わず、それら自体がそれら自体及び以下に示す追加の置換基から選択される1個以上の基で随意に置換されていてもよい。
【0087】
ハロ:−F、−Cl、−Br及び−I。
【0088】
ヒドロキシ:−OH。
【0089】
エーテル:−OR、ここで、Rは、エーテル置換基、例えば、C1〜7アルキル基(以下に述べるC1〜7アルコキシ基ともいう)、C3〜20ヘテロシクリル基(C3〜20ヘテロシクリルオキシ基ともいう)又はC5〜20アリール基(C5〜20アリールオキシ基ともいう)であり、好ましくはC1〜7アルキル基である。
【0090】
アルコキシ:−OR、ここで、Rは、アルキル基、例えばC1〜7アルキル基である。C1〜7アルコキシ基の例としては、−OMe(メトキシ)、−OEt(エトキシ)、−O(nPr)(n−プロポキシ)、−O(iPr)(イソプロポキシ)、−O(nBu)(n−ブトキシ)、−O(sBu)(s−ブトキシ)、−O(iBu)(イソブトキシ)及び−O(tBu)(t−ブトキシ)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0091】
アセタール:−CH(OR1)(OR2)、式中:R1及びR2は、独立して、アセタール置換基は、例えば、C1〜7アルキル基、C3〜20ヘテロシクリル基又はC5〜20アリール基、好ましくはC1〜7アルキル基であり、或いは、「環状」アセタール基の場合には、R1及びR2は、それらが結合している2個の酸素原子及びそれらが結合している炭素原子と一緒になって、4〜8個の環原子を有する複素環を形成する。アセタール基の例としては、−CH(OMe)2、−CH(OEt)2及び−CH(OMe)(OEt)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0092】
ヘミアセタール:−CH(OH)(OR1)、式中:R1は、ヘミアセタールの置換基、例えば、C1〜7アルキル基、C3〜20ヘテロシクリル基又はC5〜20アリール基、好ましくはC1〜7アルキル基である。ヘミアセタール基の例としては、−CH(OH)(OMe)及び−CH(OH)(OEt)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0093】
ケタール:−CR(OR1)(OR2)、ここで、R1及びR2は、アセタールについて定義したとおりのものであり、Rは水素以外のケタールの置換基であり、例えば、C1〜7アルキル基、C3〜20ヘテロシクリル基又はC5〜20アリール基、好ましくはC1〜7アルキル基である。ケタールとしては次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−C(Me)(OMe)2、−C(Me)(OEt)2、−C(Me)(OMe)(OEt)、−C(Et)(OMe)2、−C(Et)(OEt)2、及び−C(Et)(OMe)(OEt)。
【0094】
ヘミケタール:−CR(OH)(OR1)、ここで、R1はヘミアセタールについて定義したとおりのものであり、Rは水素以外のヘミケタールの置換基であり、例えば、C1〜7アルキル基、C3〜20ヘテロシクリル基又はC5〜20アリール基、好ましくはC1〜7アルキル基である。ヘミアセタール基の例としては、−C(Me)(OH)(OMe)、−C(Et)(OH)(OMe)、−C(Me)(OH)(OEt)、及び−C(Et)(OH)(OEt)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0095】
オキソ(ケト、−オン):=O。
【0096】
チオン(チオケトン):=S。
【0097】
イミノ(イミン):=NR、ここで、Rはイミノ置換基、例えば、水素、C1〜7アルキル基、C3〜20ヘテロシクリル基又はC5〜20アリール基、好ましくは水素又はC1〜7アルキル基である。エステル基の例としては、=NH、=NMe、=NEt及び=NPhが挙げられるが、これらに限定されない。
【0098】
ホルミル(カルボアルデヒド、カルボキシアルデヒド):−C(=O)H。
【0099】
アシル(ケト):−C(=O)R、式中:Rは、アシルの置換基であり、例えば、C1〜7アルキル基(C1〜7アルキルアシル若しくはC1〜7アルカノイルともいう)、C3〜20ヘテロシクリル基(C3〜20ヘテロシクリルともいう)又はC5〜20アリール基(C5〜20アリールアシルともいう)、好ましくは、C1〜7アルキル基である。アシル基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−C(=O)CH3(アセチル)、−C(=O)CH2CH3(プロピオニル)、−C(=O)C(CH33(t−ブチリル)及び−C(=O)Ph(ベンゾイル、フェノン)。
【0100】
カルボキシ(カルボン酸):−C(=O)OH。
【0101】
チオカルボキシ(チオカルボン酸):−C(=S)SH。
【0102】
チオロカルボキシ(チオロカルボン酸):−C(=O)SH。
【0103】
チオノカルボキシ(チオノカルボン酸):−C(=S)OH。
【0104】
イミド酸:−C(=NH)OH。
【0105】
ヒドロキサム酸:−C(=NOH)OH。
【0106】
エステル(カルボキシレート、カルボン酸エステル、オキシカルボニル):−C(=O)OR、ここで、Rはエステルの置換基であり、例えば、C1〜7アルキル基、C3〜20ヘテロシクリル基又はC5〜20アリール基、好ましくはC1〜7アルキル基である。エステル基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−C(=O)OCH3、−C(=O)OCH2CH3、−C(=O)OC(CH33、及び−C(=O)OPh。
【0107】
アシルオキシ(逆エステル):−OC(=O)R、ここで、Rはアシルオキシの置換基であり、例えば、C1〜7アルキル基、C3〜20ヘテロシクリル基又はC5〜20アリール基、好ましくはC1〜7アルキル基である。アシルオキシ基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−OC(=O)CH3(アセトキシ)、−OC(=O)CH2CH3、−OC(=O)C(CH33、−OC(=O)Ph、及び−OC(=O)CH2Ph。
【0108】
オキシカルボイルオキシ:−OC(=O)OR、ここで、Rはエステルの置換基であり、例えば、C1〜7アルキル基、C3〜20ヘテロシクリル基又はC5〜20アリール基、好ましくはC1〜7アルキル基である。エステル基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−OC(=O)OCH3、−OC(=O)OCH2CH3、−OC(=O)OC(CH33、及び−OC(=O)OPh。
【0109】
アミノ:−NR12、ここで、R1及びR2は独立してアミノ置換基であり、例えば、水素、C1〜7アルキル基(C1〜7アルキルアミノ若しくはジ−C1〜7アルキルアミノともいう)、C3〜20ヘテロシクリル基、若しくはC5〜20アリール基、好ましくはH若しくはC1〜7アルキル基、又は、「環状」アミノ基の場合には、R1とR2は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、4〜8個の環原子を有する複素環を形成する。アミノ基は、第一級(−NH2)、第二級(−NHR1)又は第三級(−NHR12)であることができ、また、陽イオン形態では、第四級(−+NR123)であることができる。アミノ基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−NH2、−NHCH3、−NHC(CH32、−N(CH32、−N(CH2CH32、及び−NHPh。環状アミノ基の例としては、アジリジノ、アゼチジノ、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、及びチオモルホリノが挙げられるが、これらに限定されない。
【0110】
アミド(カルバモイル、カルバミル、アミノカルボニル、カルボキシアミド):−C(=O)NR12、ここで、R1及びR2は、独立して、アミノ基について定義したアミノ置換基である。アミノ基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−C(=O)NH2、−C(=O)NHCH3、−C(=O)N(CH32、−C(=O)NHCH2CH3、及び−C(=O)N(CH2CH32、並びにR1及びR2が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、例えば、ピペリジノカルボニル、モルホリノカルボニル、チオモルホリノカルボニル及びピペラジノカルボニルのような複素環構造を形成するアミド基。
【0111】
チオアミド(チオカルバミル):−C(=S)NR12、ここで、R1及びR2は、独立して、アミノ基について定義したアミノ置換基である。アミノ基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−C(=S)NH2、−C(=S)NHCH3、−C(=S)N(CH32、及び−C(=S)NHCH2CH3
【0112】
アシルアミド(アシルアミノ):−NR1C(=O)R2、式中:R1はアミドの置換基であり、例えば、水素、C1〜7アルキル基、C3〜20ヘテロシクリル基、又はC5〜20アリール基、好ましくは水素又はC1〜7アルキル基であり、R2は、アシルの置換基であり、例えば、C1〜7アルキル基、C3〜20ヘテロシクリル基又はC5〜20アリール基、好ましくは水素又はC1〜7アルキル基である。アシルアミド基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−NHC(=O)CH3、−NHC(=O)CH2CH3、及び−NHC(=O)Ph。R1及びR2は一緒になって、例えば、スクシンイミジル、マレイミジル、及びフタルイミジルのように環状構造を形成してもよい:
【化43】
【0113】
アミノカルボニル:−OC(=O)NR12、ここで、R1及びR2は、独立して、アミノ基について定義したアミノ置換基である。アミノカルボニルオキシ基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−OC(=O)NH2、−OC(=O)NHMe、−OC(=O)NMe2、及び−OC(=O)NEt2
【0114】
ウレイド:−N(R1)CONR23、ここで、R2及びR3は、独立に、アミノ基について定義したとおりのアミノの置換基であり、R1は、ウレイドの置換基であり、例えば、水素、C1〜7アルキル基、C3〜20ヘテロシクリル基、又はC5〜20アリール基、好ましくは水素又はC1〜7アルキル基である。ウレイド基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−NHCONH2、−NHCONHMe、−NHCONHEt、−NHCONMe2、−NHCONEt2、−NMeCONH2、−NMeCONHMe、−NMeCONHEt、−NMeCONMe2、及び−NMeCONEt2
【0115】
グアニジノ:−NH−C(=NH)NH2
【0116】
テトラゾリル:4個の窒素原子及び1個の炭素原子を有する芳香族5員環:
【化44】
【0117】
イミノ:=NR、ここで、Rは、イミノの置換基であり、例えば水素、C1〜7アルキル基、C3〜20ヘテロシクリル基、又はC5〜20アリール基、好ましくはH又はC1〜7アルキル基である。イミノ基の例としては、=NH、=NMe及び=NEtが挙げられるが、これらに限定されない。
【0118】
アミジン(アミジノ):−C(=NR)NR2、ここで、各Rはアミジンの置換基であり、例えば、水素、C1〜7アルキル基、C3〜20ヘテロシクリル基、又はC5〜20アリール基、好ましくはH又はC1〜7アルキル基である。アミジン基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−C(=NH)NH2、−C(=NH)NMe2、及び−C(=NMe)NMe2
【0119】
ニトロ:−NO2
【0120】
ニトロソ:−NO。
【0121】
アジド:−N3
【0122】
シアノ(ニトリル、カルバニトリル):−CN。
【0123】
イソシアノ:−NC。
シアナト:-OCN。
【0124】
イソシアナト:−NCO。
【0125】
チオシアノ(チオシアナト):−SCN。
【0126】
イソチオシアノ(イソチオシアナト):−NCS。
【0127】
スルフヒドリル(チオール、メルカプト):−SH。
【0128】
チオエーテル(スルフィド):−SR、ここで、Rはチオエーテルの置換基であり、例えば、C1〜7アルキル基(C1〜7アルキルチオ基ともいう)、C3〜20ヘテロシクリル基、又はC5〜20アリール基、好ましくはC1〜7アルキル基である。C1〜7アルキルチオ基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−SCH3及び−SCH2CH3
【0129】
ジスルフィド:−SS−R、ここで、Rは、ジスルフィドの置換基であり、例えば、C1〜7アルキル基、C3〜20ヘテロシクリル基、又はC5〜20アリール基、好ましくはC1〜7アルキル基(ここでは、C1〜7アルキルジスルフィドともいう)である。C1〜7アルキルジスルフィド基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−SSCH3及び−SSCH2CH3
【0130】
スルフィン(スルフィニル、スルホキシド):−S(=O)R、ここで、Rは、スルフィンの置換基であり、例えば、C1〜7アルキル基、C3〜20ヘテロシクリル基又はC5〜20アリール基、好ましくはC1〜7アルキル基である。スルフィン置換基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−S(=O)CH3及び−S(=O)CH2CH3
【0131】
スルホン(スルホニル):−S(=O)2R、ここで、Rは、スルホンの置換基であり、例えば、C1〜7アルキル基、C3〜20ヘテロシクリル基、又はC5〜20アリール基、好ましくは、フッ素化又は過フッ素化C1〜7アルキル基を含めてC1〜7アルキル基である。スルホン基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−S(=O)2CH3(メタンスルホニル、メシル)、−S(=O)2CF3(トリフリル)、−S(=O)2CH2CH3(エシル)、−S(=O)249(ノナフリル)、−S(=O)2CH2CF3(トレシル)、−S(=O)2CH2CH2NH2(タウリル)、−S(=O)2Ph(フェニルスルホニル、ベシル)、4−メチルフェニルスルホニル(トシル)、4−クロロフェニルスルホニル(クロシル)、4−ブロモフェニル(ブロシル)、4−ニトロフェニル(ノシル)、2−ナフタレン(ナプシル)及び5−ジメチルアミノナフタレン−1−イルスルホネート(ダンシル)。
【0132】
スルフィン酸(スルフィノ):−S(=O)OH、−SO2H。
【0133】
スルホン酸(スルホ):−S(=O)2OH、−SO3H。
【0134】
スルフィネート(スルフィン酸エステル):−S(=O)OR;ここで、Rは、スルフィネートの置換基であり、例えば、C1〜7アルキル基、C3〜20ヘテロシクリル基又はC5〜20アリール基、好ましくはC1〜7アルキル基である。スルフィネート基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−S(=O)OCH3(メトキシスルフィニル;スルフィン酸メチル)及び−S(=O)OCH2CH3(エトキシスルフィニル、スルフィン酸エチル)。
【0135】
スルホネート(スルホン酸エステル):−S(=O)2OR、ここで、Rは、スルホネート置換基であり、例えば、C1〜7アルキル基、C3〜20ヘテロシクリル基又はC5〜20アリール基、好ましくはC1〜7アルキル基である。スルホネート基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−S(=O)2OCH3(メトキシスルホニル;スルホン酸メチル)及び−S(=O)2OCH2CH3(エトキシスルホニル;スルホン酸エチル)。
【0136】
スルフィニルオキシ:−OS(=O)R、ここで、Rは、スルフィニルオキシ置換基であり、例えば、C1〜7アルキル基、C3〜20ヘテロシクリル基又はC5〜20アリール基、好ましくはC1〜7アルキル基である。スルフィニル基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−OS(=O)CH3及び−OS(=O)CH2CH3
【0137】
スルホニルオキシ:−OS(=O)2R、ここで、Rは、スルホニルオキシの置換基であり、例えば、C1〜7アルキル基、C3〜20ヘテロシクリル基又はC5〜20アリール基、好ましくはC1〜7アルキル基である。スルホニルオキシ基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−OS(=O)2CH3(メシレート)及び−OS(=O)2CH2CH3(エシレート)。
【0138】
スルフェート:−OS(=O)2OR;ここで、Rは、スルフェートの置換基であり、例えば、C1〜7アルキル基、C3〜20ヘテロシクリル基又はC5〜20アリール基、好ましくはC1〜7アルキル基である。スルフェート基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−OS(=O)2OCH3及び−SO(=O)2OCH2CH3
【0139】
スルファミル(スルファモイル;スルフィン酸アミド、スルフィンアミド):−S(=O)NR12、ここで、R1及びR2は、独立して、アミノ基について定義したアミノ置換基である。スルファミル基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−S(=O)NH2、−S(=O)NH(CH3)、−S(=O)N(CH32、−S(=O)NH(CH2CH3)、−S(=O)N(CH2CH32、及び−S(=O)NHPh。
【0140】
スルホンアミド(スルフィナモイル;スルホン酸アミド;スルホンアミド):−S(=O)2NR12、ここで、R1及びR2は、独立して、アミノ基について定義したアミノ置換基である。スルホンアミド基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−S(=O)2NH2、−S(=O)2NH(CH3)、−S(=O)2N(CH32、−S(=O)2NH(CH2CH3)、−S(=O)2N(CH2CH32、及び−S(=O)2NHPh。
【0141】
スルファミノ:−NR1S(=O)2OH、ここで、R1は、アミノ基について定義したとおりのアミノ置換基である。スルファミノ基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−NHS(=O)2OH及び−N(CH3)S(=O)2OH。
【0142】
スルホンアミノ:−NR1S(=O)2R、ここで、R1は、アミノ基について定義したとおりのアミノ置換基であり、Rは、スルホンアミノ置換基であり、例えば、C1〜7アルキル基、C3〜20ヘテロシクリル基又はC5〜20アリール基、好ましくはC1〜7アルキル基である。スルホンアミノ基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−NHS(=O)2CH3及び−N(CH3)S(=O)265
【0143】
スルフィンアミノ:−NR1S(=O)R、ここで、R1は、アミノ基について定義したとおりのアミノ置換基であり、Rはスルフィンアミノ置換基であり、例えば、C1〜7アルキル基、C3〜20ヘテロシクリル基又はC5〜20アリール基、好ましくはC1〜7アルキル基である。スルフィンアミノ基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−NHS(=O)CH3及び−N(CH3)S(=O)C65
【0144】
ホスフィノ(ホスフィン):−PR2、ここで、Rは、ホスフィノ置換基であり、例えば、−H、C1〜7アルキル基、C3〜20ヘテロシクリル基、又はC5〜20アリール基、好ましくは−H、C1〜7アルキル基又はC5〜20アリール基である。ホスフィノ基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−PH2、−P(CH32、−P(CH2CH32、−P(t−Bu)2、及び−P(Ph)2
【0145】
ホスホ:−P(=O)2
【0146】
ホスフィニル(ホスフィンオキシド):−P(=O)R2、ここで、Rはホスフィニル置換基であり、例えば、C1〜7アルキル基、C3〜20ヘテロシクリル基、又はC5〜20アリール基、好ましくはC1〜7アルキル基又はC5〜20アリール基である。ホスフィニル基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−P(=O)(CH32、−P(=O)(CH2CH32、−P(=O)(t−Bu)2、及び−P(=O)(Ph)2
【0147】
ホスホン酸(ホスホノ):−P(=O)(OH)2
【0148】
ホスホネート(ホスホノエステル):−P(=O)(OR)2、ここで、Rは、ホスホネートの置換基であり、例えば、−H、C1〜7アルキル基、C3〜20ヘテロシクリル基、又はC5〜20アリール基、好ましくは−H、C1〜7アルキル基又はC5〜20アリール基である。ホスホネート基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−P(=O)(OCH32、−P(=O)(OCH2CH32、−P(=O)(O−t−Bu)2、及び−P(=O)(OPh)2
【0149】
リン酸(ホスホノオキシ):−OP(=O)(OH)2
【0150】
ホスフェート(ホスホノオキシエステル):−OP(=O)(OR)2、ここで、Rは、ホスフェートの置換基であり、例えば、−H、C1〜7アルキル基、C3〜20ヘテロシクリル基、又はC5〜20アリール基、好ましくは−H、C1〜7アルキル基又はC5〜20アリール基である。ホスフェート基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−OP(=O)(OCH32、−OP(=O)(OCH2CH32、−OP(=O)(O−t−Bu)2、及び−OP(=O)(OPh)2
【0151】
亜リン酸:−OP(OH)2
【0152】
ホスファイト:−OP(OR)2、ここで、Rはホスファイトの置換基であり、例えば、−H、C1〜7アルキル基、C3〜20ヘテロシクリル基、又はC5〜20アリール基、好ましくは−H、C1〜7アルキル基又はC5〜20アリール基である。ホスファイト基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−OP(OCH32、−OP(OCH2CH32、−OP(O−t−Bu)2、及び−OP(OPh)2
【0153】
ホスホラミダイト:−OP(OR1)−NR22、ここで、R1及びR2は、ホスホラミダイトの置換基であり、例えば、−H、(随意に置換された)C1〜7アルキル基、C3〜20ヘテロシクリル基、又はC5〜20アリール基、好ましくは−H、C1〜7アルキル基又はC5〜20アリール基である。ホスホラミダイト基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−OP(OCH2CH3)−N(CH32、−OP(OCH2CH3)−N(i−Pr)2、及び−OP(OCH2CH2CN)−N(i−Pr)2
【0154】
ホスホラミデート:−OP(=O)(OR1)−NR22、ここで、R1及びR2は、ホスホラミデートの置換基であり、例えば、−H、(随意に置換された)C1〜7アルキル基、C3〜20ヘテロシクリル基、又はC5〜20アリール基、好ましくは−H、C1〜7アルキル基又はC5〜20アリール基である。ホスホラミデート基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−OP(=O)(OCH2CH3)−N(CH32、−OP(=O)(OCH2CH3)−N(i−Pr)2、及び−OP(=O)(OCH2CH2CN)−N(i−Pr)2
【0155】
アルキレン
3〜12アルキレン:ここで使用するときに、用語「C3〜12アルキレン」とは、脂肪族又は脂環式であることができ、かつ、飽和、部分的に不飽和又は完全に不飽和であることができる3〜12個の炭素原子を有する炭化水素化合物(特に断らない限り)の2個の水素原子(両方とも同じ炭素原子からのもの又は2個の異なる炭素原子のいずれかからのもの)を除去することにより得られる二座部分をいう。したがって、「アルキレン」という用語には、以下に説明するサブクラスのアルケニレン、アルキニレン、シクロアルキレンなどが含まれる。
【0156】
直鎖飽和C3〜12アルキレン基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−(CH2n−(ここで、nは3〜12の整数である)、例えば、−CH2CH2CH2−(プロピレン)、−CH2CH2CH2CH2−(ブチレン)、−CH2CH2CH2CH2CH2−(ペンチレン)及び−CH2CH2CH2CH−2CH2CH2CH2−(ヘプチレン)。
【0157】
分岐飽和C3〜12アルキレン基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−CH(CH3)CH2−、−CH(CH3)CH2CH2−、−CH(CH3)CH2CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2−、−CH2CH(CH3)CH2CH2−、−CH(CH2CH3)−、−CH(CH2CH3)CH2−、及び−CH2CH(CH2CH3)CH2−。
【0158】
直鎖部分不飽和C3〜12アルキレン基(C3〜12アルケニレン及びアルキニレン基)の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−CH=CH−CH2−、−CH2−CH=CH2−、−CH=CH−CH2−CH2−、−CH=CH−CH2−CH2−CH2−、−CH=CH−CH=CH−、−CH=CH−CH=CH−CH2−、−CH=CH−CH=CH−CH2−CH2−、−CH=CH−CH2−CH=CH−、−CH=CH−CH2−CH2−CH=CH−、及び−CH2−C≡C−CH2−。
【0159】
分岐部分不飽和C3〜12アルキレン基(C3〜12アルケニレン及びアルキニレン基)の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−C(CH3)=CH−、−C(CH3)=CH−CH2−、−CH=CH−CH(CH3)−及び−C≡C−CH(CH3)−。
【0160】
脂環式飽和C3〜12アルキレン基(C3〜12シクロアルキレン)の例としては、シクロペンチレン(例えば、1,3−シクロペンチレン)及びシクロヘキシレン(例えば1,4−シクロヘキシレン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0161】
脂環式部分不飽和C3〜12アルキレン基(C3〜12シクロアルキレン)の例としては、シクロペンテニレン(例えば、4−シクロペンテン−1,3−イレン)、シクロヘキセニレン(例えば、2−シクロヘキセン−1,4−イレン;3−シクロヘキセン−1,2−イレン;2,5−シクロヘキサジエン−1,4−イレン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0162】
カルバメート窒素保護基:用語「カルバメート窒素保護基」とは、イミン結合における窒素をマスクする部分をいい、これらは、当該分野において周知である。これらの基は、次の構造を有する:
【化45】
式中、R’10は、上で定義したRである。多数の好適な基が、グリーン,TW及びウッツ,GM.,Protective Groups in Organic Synthesis,第3版,ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社,1999年の503〜549頁に記載されている。この文献を参照により本明細書に含める。
【0163】
ヘミアミナール窒素保護基:用語「ヘミアミナール窒素保護基」とは、以下の構造を有する基を意味する:
【化46】
式中:R’10は、上で定義したRである。アミド保護基として多数の好適な基がグリーン,T.W及びウッツ,G.M.,Protective Groups in Organic Synthesis,第3版,ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社,1999年の633〜647頁に記載されている。この文献を参照により本明細書に含める。
【0164】
カルバメート窒素保護基及びヘミアミナール窒素保護基は、併せて「合成のための窒素保護基」と呼ばれる場合がある。
【0165】
結合体
本発明は、リンカー単位を介して抗体に結合されたPBD化合物を含む結合体を提供する。
【0166】
一実施形態では、結合体は、スペーサー結合基に結合された抗体を含み、該スペーサーはトリガーに結合し、該トリガーは自壊性リンカーに結合し、該自壊性リンカーはPBD化合物のN10位に結合している:
【化47】
ここで、Abは上で定義された抗体であり、PBDは、ここで記載されるようなピロロベンゾジアゼピン化合物(D)である。この例示は、本発明の特定の実施形態ではRL’、A、L1及びL2に相当する部分を示す。RL’はRL1’又はRL2’のいずれかとすることができる。DはDLでありRL1’又はRL2’が除去されている。
【0167】
本発明は、被験体における好ましい部位にPBD化合物を与える際に使用するのに好適である。好ましい実施形態では、結合体は、リンカーの任意の部分を保持しない活性PBD化合物の放出を可能にする。PBD化合物の反応性に影響を与える可能性のあるスタブは存在しない。
【0168】
リンカーは、共有結合を介してPBD薬剤部分Dに抗体を結合させる。リンカーは、二官能性又は多官能性部分であり、これを使用して、1個以上の薬物部分(D)と抗体単位(Ab)とを結合させて抗体−薬剤結合体(ADC)を形成させることができる。リンカー(RL’)は、細胞の外側、すなわち細胞外に安定である場合があり、或いは酵素活性、加水分解又は他の代謝条件により切断可能である。抗体−薬剤結合体(ADC)は、好都合には、薬剤部分及び抗体への結合のための反応性官能基を有するリンカーを使用して調製できる。システインチオール又はアミン、例えば抗体(Ab)のリジンなどのN末端又はアミノ酸側鎖は、リンカー又はスペーサー試薬、PBD薬剤部分(D)又は薬物−リンカー試薬(DL、D−RL)(ここで、RLはRL1又はRL2であることができる。)の官能基との結合を形成することができる。
【0169】
好ましくは、ADCのリンカーは、ADC分子の凝集を防止し、かつ、ADCを水性媒体及び単量体状態に溶けやすい状態を保持する。
【0170】
ADCのリンカーは、好ましくは細胞外で安定である。細胞への輸送又は送達前に、抗体−薬剤結合体(ADC)は、好ましくは安定であり、かつ、そのままの状態を保持する、すなわち、抗体は、薬剤部分に結合されたままである。リンカーは、標的細胞の外部では安定であり、かつ、細胞内では有効な速度で切断され得る。効果的なリンカーは、(i)抗体の特異的結合特性を維持し、(ii)結合体又は薬剤部分の細胞内送達を可能にし、(iii)安定でかつそのままの状態を保持し、すなわち、結合体がその標的部位に送達又は輸送されるまで切断されない状態を保持し、及び(iv)PBD薬剤部分の細胞傷害性の殺細胞効果又は細胞増殖抑制効果を維持する。ADCの安定性は、質量分析、HPLC及び分離/分析技術LC/MSなどの標準的な分析技術によって測定できる。
【0171】
抗体と薬剤部分との共有結合は、リンカーが2個の反応性官能基、すなわち反応性の意味では二価を有することが必要である。ペプチド、核酸、薬剤、毒素、抗体、ハプテン及びレポーター基などの2以上の機能又は生物学的に活性な部分を結合させるのに有用な二価リンカー試薬が知られており、結合体を生じさせる方法が記載されている(Hermanson,G.T.(1996)Bioconjugate Techniques;Academic Press:New York,p234−242)。
【0172】
別の実施形態では、リンカーは、凝集、溶解性又は反応性を調節する基で置換されていてよい。例えば、スルホネート置換基は、試薬の水溶性を増大させ、かつ、リンカー試薬と抗体又は薬剤部分とのカップリング反応を促進し、又はADCを調製するために使用される合成経路に応じて、Ab−LとDL若しくはDL−LとAbとのカップリング反応を促進することができる。
【0173】
一実施形態では、L−RL’は次の基である:
【化48】
アスタリスクは、薬剤単位(D)への結合点を示し、Abは抗体(L)であり、L1はリンカーであり、Aは、L1を抗体に結合させる結合基であり、L2は、共有結合又はOC(=O)と共に自壊性リンカーを形成し、L1又はL2は切断可能なリンカーである。
【0174】
1は、好ましくは切断可能なリンカーであり、切断のためのリンカー活性化の引き金と呼ぶことができる。
【0175】
1及びL2の性質は、存在する場合には、広く変化できる。これらの基は、それらの切断特性に基づいて選択され、これらの特性は、結合体が送達される部位の状況によって決定できる。酵素の作用によって切断されるリンカーが好ましいが、pHの変化(例えば、酸又は塩基に不安定)、温度の変化又は照射(例えば、光不安定)によって切断可能なリンカーを使用してもよい。また、還元又は酸化条件下で切断可能なリンカーも本発明で使用することができる。
【0176】
1は、アミノ酸の連続配列を含むことができる。アミノ酸配列は、酵素的切断のための標的基質であることができ、それによってN10位からL−RL’を放出することを可能にする。
【0177】
一実施形態では、L1は、酵素の作用により切断可能である。一実施形態では、酵素は、エステラーゼ又はペプチダーゼである。
【0178】
一実施形態では、L2が存在し、−C(=O)O−と一緒になって自壊性リンカーを形成する。一実施形態では、L2は酵素活性のための基質であり、これによりN10位からL−RL’を放出することを可能にする。
【0179】
一実施形態では、L1が酵素の作用により切断可能であり、L2が存在する場合には、酵素がL1とL2との間の結合を切断する。
【0180】
1及びL2は、存在する場合には、次のものから選択される結合によって結合できる:
−C(=O)NH−、
−C(=O)O−、
−NHC(=O)−、
−OC(=O)−、
−OC(=O)O−、
−NHC(=O)O−、
−OC(=O)NH−、及び
−NHC(=O)NH。
【0181】
2に結合するL1のアミノ基は、アミノ酸のN−末端であることができ、又は、アミノ酸側鎖、例えば、リジンアミノ酸側鎖のアミノ基から誘導できる。
【0182】
2に結合するL1のカルボキシル基は、アミノ酸のC末端であることができ、又は、例えば、アミノ酸側鎖、グルタミン酸アミノ酸側鎖のカルボキシル基から誘導できる。
【0183】
2に結合するL1のヒドロキシ基は、アミノ酸側鎖、例えば、セリンアミノ酸側鎖のヒドロキシル基から誘導できる。
【0184】
用語「アミノ酸側鎖」としては、次に見られる群が挙げられる:(i)アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン及びバリンなどの天然アミノ酸;(ii)オルニチン及びシトルリンなどの微量アミノ酸;(iii)非天然アミノ酸、β−アミノ酸、合成アナログ及び天然アミノ酸の誘導体;並びに(iv)全ての鏡像異性体、ジアステレオマー、異性体的に濃縮された形態、同位体標識(例えば2H、3H、14C、15N)された形態、保護形態及びそれらのラセミ混合物。
【0185】
一実施形態では、−C(=O)O−及びL2は、一緒になって次の基を形成する:
【化49】
ここで、アスタリスクは、N10位への結合点を示し、波線はリンカーL1への結合点を示し、Yは−N(H)−、−O−、−C(=O)N(H)−又は−C(=O)O−であり、nは0〜3である。フェニレン環は、ここで記載される1、2又は3個の置換基で置換されていてよい。一実施形態では、フェニレン基は、ハロ、NO2、R又はORで置換されていてよい。
【0186】
一実施形態では、YはNHである。
【0187】
一実施形態では、nは0又は1であり、好ましくは、nは0である。
【0188】
YがNHであり、nが0である場合には、自壊性基をp−アミノベンジルカルボニルリンカー(PABC)と呼ぶことができる。
【0189】
自壊性基は、リモート部位が活性化され、以下に示す線に沿って進む(n=0のため)ときに、保護基の放出を可能にする:
【化50】
ここで、L*は、リンカーの残りの部分の活性化形態である。これらの基は、保護される化合物から活性化部位を分離するという利点を有する。上記のように、フェニレン基は置換されていてよい。
【0190】
ここで説明する一実施形態では、基L*は、ジペプチド基を含むことができる、ここで説明するリンカーL1である。
【0191】
別の実施形態では、−C(=O)O−及びL2は、一緒になって次のものから選択される基を形成する:
【化51】
ここで、アスタリスク、波線、Y、及びnは、上で定義したとおりのものである。各フェニレン環は、ここで記載した1個、2個又は3個の置換基で置換されていていよい。一実施形態では、Y置換基を有するフェニレン環は、随意に置換されており、Y置換基を有しないフェニレン環は置換されていない。一実施形態では、Y置換基を有するフェニレン環は置換されておらず、Y置換基を有しないフェニレン環は置換されていてよい。
【0192】
別の実施形態では、−C(=O)O−及びL2は、一緒になって次のものから選択される基を形成する:
【化52】
ここで、アスタリスク、波線、Y及びnは上で定義したとおりであり、EはO、S又はNRであり、DはN、CH又はCRであり、FはN、CH又はCRである。
【0193】
一実施形態では、DはNである。
一実施形態では、DはCHである。
一実施形態では、EはO又はSである。
一実施形態では、FはCHである。
【0194】
好ましい実施形態では、リンカーは、カテプシン不安定リンカーである。
【0195】
一実施形態では、L1は、ジペプチドを含む。ジペプチドは、−NH−X1−X2−CO−として表すことができ、ここで、−NH−及び−CO−は、それぞれアミノ酸基X1及びX2のN末端及びC末端を表す。ジペプチド中のアミノ酸は、天然アミノ酸及び非天然アミノ酸の任意の組合せとすることができる。いくつかの実施形態では、ジペプチドは、天然アミノ酸を含む。リンカーがカテプシン不安定リンカーである場合には、ジペプチドは、カテプシン仲介切断のための作用部位である。この場合、ジペプチドは、カテプシンのための認識部位である。
【0196】
さらに、カルボキシル又はアミノ側鎖官能基を有するアミノ酸基について、例えばそれぞれGlu及びLysについて、CO及びNHは、その側鎖官能基を表すことができる。
【0197】
一実施形態では、ジペプチド−NH−X1−X2−CO−中の基−X1−X2−は、次のものから選択される:
−Phe−Lys−、
−Val−Ala−、
−Val−Lys−、
−Ala−Lys−、
−Val−Cit−、
−Phe−Cit−、
−Leu−Cit−、
−Ile−Cit−、
−Phe−Arg−、
−Trp−Cit−;
ここで、Citはシトルリンである。
【0198】
好ましくは、ジペプチド−NH−X1−X2−CO−中の基−X1−X2−は、次のものから選択される:
−Phe−Lys−、
−Val−Ala−、
−Val−Lys−、
−Ala−Lys−、
−Val−Cit−。
【0199】
最も好ましくは、ジペプチド−NH−X1−X2−CO−中における基−X1−X2−は、−Phe−Lys−又は−Val−Ala−である。
【0200】
Dubowchik外、Bioconjugate Chemistry,2002,13,855−869(参照によりここに含める)により記載されたものを含めて、他のジペプチドの組み合わせを使用することができる。
【0201】
一実施形態では、適切な場合にはアミノ酸側鎖が誘導体化される。例えば、アミノ酸側鎖のアミノ基又はカルボキシ基が誘導体化できる。
一実施形態では、リジンなどの側鎖アミノ酸のアミノ基NH2は、NHR及びNRR’よりなる群から選択される誘導体化された形態である。
一実施形態では、アスパラギン酸などの側鎖アミノ酸のカルボキシ基COOHは、COOR、CONH2、CONHR及びCONRR’よりなる群から選択される誘導体化された形態である。
【0202】
一実施形態では、アミノ酸側鎖は、適宜化学的に保護される。この側鎖保護基は、RLに関連して以下で説明するような基であることができる。本発明者は、保護されたアミノ酸配列が酵素によって切断可能であることを証明した。例えば、Bocで側鎖保護されたLys残基を含むジペプチド配列がカテプシンにより切断可能であることが証明された。
【0203】
アミノ酸の側鎖のための保護基は、当技術分野で周知であり、Novabiochem社のカタログに記載されている。追加の保護基戦略が、グリーン及びウッツのOrganic SynthesisにおけるProtective groupsに記載されている。
【0204】
可能な側鎖保護基を、反応性側鎖官能基を有するアミノ酸について以下に示す:
Arg:Z、Mtr、Tos;
Asn:Trt、Xan;
Asp:Bzl、t−Bu;
Cys:Acm、Bzl、Bzl−OMe、Bzl−Me、Trt;
Glu:Bzl、t−Bu;
Gln:Trt、Xan;
His:Boc、Dnp、Tos、Trt;
Lys:Boc、Z−Cl、Fmoc、Z、Alloc;
Ser:Bzl、TBDMS、TBDPS;
Thr:Bz;
Trp:Boc;
Tyr:Bzl、Z、Z−Br。
【0205】
一実施形態では、側鎖保護は、存在する場合には、キャッピング基として又はその一部として与えられる基に対して直交的となるように選択される。このように、側鎖保護基の除去は、キャッピング基又はキャッピング基の一部である任意の保護基の官能基を除去しない。
【0206】
本発明の他の実施形態では、選択されたアミノ酸は、反応性側鎖官能基を有さないものである。例えば、アミノ酸は、Ala、Gly、Ile、Leu、Met、Phe、Pro及びValから選択できる。一実施形態では、ジペプチドは、自壊性基と組み合わせて使用される。自壊性基は、−X2−に結合できる。
【0207】
自壊性基が存在する場合には、−X2−は自壊性基に直接結合している。好ましくは、基−X2−CO−はYに結合し、ここで、YはNHであり、それによって基−X2−CO−NH−を形成する。
【0208】
NH−X1−はAに直接結合している。Aは官能基COを含み、それにより−X1−と共にアミド結合を形成することができる。
【0209】
一実施形態では、L1及びL2は、−OC(=O)−と共に、基NH−X1−X2−PABC−を含む。PABC基はN10位に直接結合する。好ましくは、自壊基及びジペプチドは、一緒になって以下に示す基−NH−Phe−Lys−CO−NH−PABC−を形成する:
【化53】
ここで、アスタリスクはN10位への結合点を示し、波線はリンカーL1の残りの部分への結合点又はA1への結合点を示す。好ましくは、波線はA1への結合点を示す。Lysアミノ酸の側鎖は、例えば、上記のようにBoc、Fmoc又はAllocで保護できる。
【0210】
或いは、自壊性リンカー及びジペプチドは一緒になって以下に例示する基−NH−Val−Ala−CO−NH−PABC−を形成する。
【化54】
ここで、アスタリスク及び波線は上で定義したとおりである。
【0211】
あるいは、自壊性リンカー及びジペプチドは、一緒になって、以下に示される基−NH−Val−Cit−CO−NH−PABCを形成する:
【化55】
ここで、アスタリスク及び波線は上で定義したとおりである。
【0212】
一実施形態では、Aは共有結合である。したがって、L1と抗体とは直接結合する。例えば、L1が連続したアミノ酸配列を含む場合には、その配列のN末端は、抗体に直接結合できる。
【0213】
したがって、Aが共有結合である場合には、抗体とL1との間の結合は、以下から選択できる:
−C(=O)NH−、
−C(=O)O−、
−NHC(=O)−、
−OC(=O)−、
−OC(=O)O−、
−NHC(=O)O−、
−OC(=O)NH−、
−NHC(=O)NH−、
−C(=O)NHC(=O)−、
−S−、
−S−S−、
−CH2C(=O)−及び
=N−NH−。
【0214】
抗体に結合するL1のアミノ基は、アミノ酸のN末端であることができ、又はアミノ酸側鎖、例えばリジンアミノ酸側鎖のアミノ基から誘導できる。抗体に結合するL1のカルボキシル基は、アミノ酸のC末端であることができ、又はアミノ酸側鎖、例えばグルタミン酸アミノ酸側鎖のカルボキシル基から誘導できる。抗体に結合するL1のヒドロキシル基は、アミノ酸側鎖、例えばセリンアミノ酸側鎖のヒドロキシル基から誘導できる。抗体に結合するL1のチオール基は、アミノ酸側鎖、例えばセリンアミノ酸側鎖のチオール基から誘導できる。
【0215】
また、L1のアミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル及びチオール基の関係で上記したコメントは、抗体にも当てはまる。
【0216】
一実施形態では、L2は、−O−C(=O)と共に次のものを表す:
【化56】
ここで、アスタリスクはN10の位置への結合点を示し、波線はL1への結合点を示し、nは0〜3であり、Yは共有結合又は官能基であり、Eは、例えば酵素作用又は光によって活性化可能な基であり、それによって自壊性単位を生成する。フェニレン環は、ここで記載されるような1個、2個又は3個の置換基でさらに置換されていてよい。一実施形態では、フェニレン基は、ハロ、NO2、R又はORで置換されていてよい。好ましくは、nは0又は1、最も好ましくは0である。
【0217】
Eは、この基が例えば光又は酵素作用による活性化に影響を受けやすいように選択される。Eは−NO2又はグルクロン酸であることができる。前者はニトロレダクターゼの作用に影響を受けやすく、後者はβ−グルクロニダーゼの作用に影響を受けやすい場合がある。
【0218】
この実施形態では、自壊性リンカーは、Eが活性化され、以下に示す線に沿って進行するときに保護化合物の脱離を可能にする(n=0の場合):
【化57】
ここで、アスタリスクは、N10位への結合点を示す。E*は、Eの活性化形態であり、Yは上記のとおりである。これらの基は、保護される化合物から活性化部位を分離するという利点を有する。上述のように、フェニレン基は、さらに置換されていてよい。
【0219】
基Yは、L1への共有結合であることができる。
基Yは、次のものから選択される官能基であることができる:
−C(=O)−、
−NH−、
−O−、
−C(=O)NH−、
−C(=O)O−、
−NHC(=O)−、
−OC(=O)−、
−OC(=O)O−、
−NHC(=O)O−、
−OC(=O)NH−、
−NHC(=O)NH−、
−NHC(=O)NH、
−C(=O)NHC(=O)−及び
−S−。
【0220】
1がジペプチドである場合には、YはNH又はC(=O)であることが好ましく、これによりL1とYとの間にアミド結合を形成する。本実施形態では、ジペプチド配列は、酵素活性のための基質である必要はない。
【0221】
別の実施形態では、Aはスペーサー基である。このようにしてL1と抗体とが間接的に結合する。
【0222】
1とAとは、次から選択される結合によって結合できる:
−C(=O)NH−、
−C(=O)O−、
−NHC(=O)−、
−OC(=O)−、
−OC(=O)O−、
−NHC(=O)O−,
−OC(=O)NH−及び
−NHC(=O)NH−。
【0223】
一実施形態では、基Aは次のとおりである:
【化58】
ここで、アスタリスクはL1への結合点を示し、波線は抗体への結合点を示し、そしてnは0〜6である。一実施形態では、nは5である。
【0224】
一実施形態では、基Aは次のとおりである:
【化59】
ここで、アスタリスクはL1への結合点を示し、波線は抗体への結合点を示し、そしてnは0〜6である。一実施形態では、nは5である。
【0225】
一実施形態では、基Aは次のとおりである:
【化60】
ここで、アスタリスクはL1への結合点を示し、波線は抗体への結合点を示し、nは0又は1であり、そしてmは0〜30である。好ましい実施形態では、nは1であり、mは0〜10、1〜8、好ましくは4〜8、最も好ましくは4又は8である。別の実施形態では、mは10〜30、好ましくは20〜30である。あるいは、mは0〜50である。この実施形態では、mは好ましくは10〜40であり、nは1である。
【0226】
一実施形態では、基Aは次のとおりである:
【化61】
ここで、アスタリスクはL1への結合点を示し、波線は抗体への結合点を示し、nは0又は1であり、そしてmは0〜30である。好ましい実施形態では、nは1であり、mは0〜10、1〜8、好ましくは4〜8、最も好ましくは4又は8である。別の実施形態では、mは10〜30、好ましくは20〜30である。あるいは、mは0〜50である。この実施形態では、mは好ましくは10〜40であり、nは1である。
【0227】
一実施形態では、抗体とAとの結合は、抗体のチオール残基及びAのマレイミド基を介する。
【0228】
一実施形態では、抗体とAとの間の結合は、次のとおりである:
【化62】
ここで、アスタリスクは、Aの残りの部分への結合点を示し、そして、波線はこの抗体の残りの部分への結合点を示す。この実施形態では、S原子は、典型的にはリガンド単位に由来する。
【0229】
上記各実施形態では、別の官能基を以下に示すマレイミド誘導基の代わりに使用できる:
【化63】
ここで、波線は、前述のように抗体への結合点を示し、そして、アスタリスクはA基の残りの部分への結合を示す。
【0230】
一実施形態では、マレイミド誘導基は、次の基で置換される:
【化64】
ここで、波線は抗体への結合点を示し、そしてアスタリスクはA基の残りの部分への結合を示す。
【0231】
一実施形態では、マレイミド誘導基は、任意に抗体と共に次のものから選択される基で置換される:
−C(=O)NH−、
−C(=O)O−、
−NHC(=O)−、
−OC(=O)−、
−OC(=O)O−、
−NHC(=O)O−、
−OC(=O)NH−、
−NHC(=O)NH−、
−NHC(=O)NH、
−C(=O)NHC(=O)−、
−S−、
−S−S−、
−CH2C(=O)−、
−C(=O)CH2−、
=N−NH−及び
−NH−N=。
【0232】
一実施形態では、マレイミド誘導基は、適宜抗体と共に、次のものから選択される基で置換される:
【化65】
ここで、波線は、抗体への結合点又はA基の残りの部分への結合のいずれかを示し、そして、アスタリスクは、抗体への結合点又はA基の残りの部分への結合の他方のものを示す。
【0233】
1を抗体に結合させるのに好適な他の基は、WO2005/082023に記載されている。
【0234】
一実施形態では、結合基Aが存在し、トリガーL1が存在し、そして自壊性リンカーL2は存在しない。したがって、L1と薬剤単位とは、結合により直接連結している。同様に、この実施形態では、L2は結合である。これは、DLが式IIのものである場合には特に関連性のある場合がある。
【0235】
1及びDは、以下から選択される結合によって結合できる:
−C(=O)N<、
−C(=O)O−、
−NHC(=O)−、
−OC(=O)−、
−OC(=O)O−、
−NHC(=O)O−、
−OC(=O)N<及び
−NHC(=O)N<、
ここで、N<又はO−はDの一部である。
【0236】
一実施形態では、L1とDは、好ましくは以下から選択される結合によって結合する:
−C(=O)N<及び
−NHC(=O)−。
【0237】
一実施形態では、L1はジペプチドを含み、このジペプチドの一方の末端がDに結合する。上記のように、ジペプチド中のアミノ酸は、天然アミノ酸及び非天然アミノ酸の任意の組合せとすることができる。いくつかの実施形態では、ジペプチドは、天然アミノ酸を含む。リンカーがカテプシン不安定リンカーである場合には、ジペプチドは、カテプシン仲介切断のための作用部位である。この場合、ジペプチドは、カテプシンのための認識部位である。
【0238】
一実施形態では、ジペプチド−NH−X1−X2−CO−中の基−X1−X2−は、次のものから選択される:
−Phe−Lys−、
−Val−Ala−、
−Val−Lys−、
−Ala−Lys−、
−Val−Cit−、
−Phe−Cit−、
−Leu−Cit−、
−Ile−Cit−、
−Phe−Arg−及び
−Trp−Cit−;
ここで、Citはシトルリンである。このようなジペプチドにおいて、−NH−はX1のアミノ基であり、COはX2のカルボニル基である。
【0239】
好ましくは、ジペプチド−NH−X1−X2−CO−中の基−X1−X2−は、次のものから選択される:
−Phe−Lys−、
−Val−Ala−、
−Val−Lys−、
−Ala−Lys−及び
−Val−Cit−。
【0240】
最も好ましくは、ジペプチド−NH−X1−X2−CO−における基−X1−X2−は、−Phe−Lys−又は−Val−Ala−である。
【0241】
関心のある他のジペプチドとしては、次のものが挙げられる:
−Gly−Gly−、
−Pro−Pro−及び
−Val−Glu−。
【0242】
上記のものを含めて、他のジペプチドの組み合わせを使用することができる。
【0243】
一実施形態では、L1−Dは次のとおりである:
【化66】
ここで、−NH−X1−X2−COはジペプチドであり、−N<は薬剤単位の一部であり、アスタリスクは、薬剤単位の残部への結合点を示し、そして、波線は、L1の残りの部分への結合点又はAへの結合点を示す。好ましくは、波線はAへの結合点を示す。
【0244】
一実施形態では、ジペプチドはバリン−アラニンであり、そしてL1−Dは次のとおりである:
【化67】
ここで、アスタリスク、−N<及び波線は上で定義したとおりである。
【0245】
一実施形態では、ジペプチドはフェニルアラニン−リジンであり、そしてL1−Dは次のとおりである:
【化68】
ここで、アスタリスク、−N<及び波線は上で定義したとおりである。
【0246】
一実施形態では、ジペプチドはバリン−シトルリンである。
【0247】
一実施形態では、基A−L1は以下のとおりである:
【化69】
ここで、アスタリスクは、L2又はDへの結合点を示し、波線は、リガンド単位への結合点を示し、そしてnは0〜6である。一実施形態では、nは5である。
【0248】
一実施形態では、基A−L1は以下のとおりである:
【化70】
ここで、アスタリスクは、L2又はDへの結合点を示し、波線は、リガンド単位への結合点を示し、そしてnは0〜6である。一実施形態では、nは5である。
【0249】
一実施形態では、基A−L1は以下のとおりである:
【化71】
ここで、アスタリスクは、L2又はDへの結合点を示し、波線は、リガンド単位への結合点を示し、nは0又は1であり、そしてmは0〜30である。好ましい実施形態では、nは1であり、mは0〜10、1〜8、好ましくは4〜8、最も好ましくは4又は8である。
【0250】
一実施形態では、基A−L1は以下のとおりである:
【化72】
ここで、アスタリスクは、L2又はDへの結合点を示し、波線は、リガンド単位への結合点を示し、nは0又は1であり、そしてmは0〜30である。好ましい実施形態では、nは1であり、そして、mは0〜10、1〜7、好ましくは3〜7、最も好ましくは3又は7である。
【0251】
一実施形態では、基A−L1は以下のとおりである:
【化73】
ここで、アスタリスクは、L2又はDへの結合点を示し、波線は、リガンド単位への結合点を示し、そしてnは0〜6である。一実施形態では、nは5である。
【0252】
一実施形態では、基A−L1は以下のとおりである:
【化74】
ここで、アスタリスクは、L2又はDへの結合点を示し、波線は、リガンド単位への結合点を示し、そしてnは0〜6である。一実施形態では、nは5である。
【0253】
一実施形態では、基A−L1は以下のとおりである:
【化75】
ここで、アスタリスクは、L2又はDへの結合点を示し、波線は、リガンド単位への結合点を示し、nは0又は1であり、そしてmは0〜30である。好ましい実施形態では、nは1であり、mは0〜10、1〜8、好ましくは4〜8、最も好ましくは4又は8である。
【0254】
一実施形態では、基A−L1は次のとおりである:
【化76】
ここで、アスタリスクは、L2又はDへの結合点を示し、波線は、リガンド単位への結合点を示し、nは0又は1であり、そしてmは0〜30である。好ましい実施形態では、nは1であり、mは0〜10、1〜8、好ましくは4〜8、最も好ましくは4又は8である。
【0255】
一実施形態では、基A−L1は次のとおりである:
【化77】
ここで、アスタリスクは、L2又はDへの結合点を示し、Sはリガンド単位の硫黄基であり、波線はリガンド単位の残りの部分への結合点を示し、そしてnは0〜6である。一実施形態では、nは5である。
【0256】
一実施形態では、基A−L1は次のとおりである:
【化78】
ここで、アスタリスクは、L2又はDへの結合点を示し、Sはリガンド単位の硫黄基であり、波線はリガンド単位の残部への結合点を示し、そしてnは0〜6である。一実施形態では、nは5である。
【0257】
一実施形態では、基A−L1は次のとおりである:
【化79】
ここで、アスタリスクは、L2又はDへの結合点を示し、Sはリガンド単位の硫黄基であり、波線はリガンド単位の残部への結合点を示し、nは0又は1であり、そしてmは0〜30である。好ましい実施形態では、nは1であり、mは0〜10、1〜8、好ましくは4〜8、最も好ましくは4又は8である。
【0258】
一実施形態では、基A−L1は次のとおりである:
【化80】
ここで、アスタリスクは、L2又はDへの結合点を示し、波線は、リガンド単位への結合点を示し、nは0又は1であり、そしてmは0〜30である。好ましい実施形態では、nは1であり、mは0〜10、1〜7、好ましくは4〜8、最も好ましくは4又は8である。
【0259】
一実施形態では、基A1−L1は次のとおりである:
【化81】
ここで、アスタリスクは、L2又はDへの結合点を示し、波線はリガンド単位の残部への結合点を示し、そしてnは0〜6である。一実施形態では、nは5である。
【0260】
一実施形態では、基A1−L1は次のとおりである:
【化82】
ここで、アスタリスクは、L2又はDへの結合点を示し、波線はリガンド単位の残部への結合点を示し、そしてnは0〜6である。一実施形態では、nは5である。
【0261】
一実施形態では、基A−L1は次のとおりである:
【化83】
ここで、アスタリスクは、L2又はDへの結合点を示し、波線はリガンド単位の残部への結合点を示し、nは0又は1であり、そしてmは0〜30である。好ましい実施形態では、nは1であり、mは0〜10、1〜8、好ましくは4〜8、最も好ましくは4又は8である。
【0262】
一実施形態では、基A1−L1は次のとおりである:
【化84】
ここで、アスタリスクは、L2又はDへの結合点を示し、波線はリガンド単位の残部への結合点を示し、nは0又は1であり、そしてmは0〜30である。好ましい実施形態では、nは1であり、mは0〜10、1〜8、好ましくは4〜8、最も好ましくは4又は8である。
【0263】
基RL’は、基RLから誘導できる。基RLは、RLの官能基への抗体の結合によって基RL’に変換できる。他の工程は実施してRLをRL’に変換することができる。これらの工程は、存在する場合には保護基の除去又は適切な官能基の導入を含むことができる。
【0264】
L
リンカーは、1以上のアミノ酸単位を含むプロテアーゼ切断可能ペプチド部分を含むことができる。ペプチドリンカー試薬は、T−BOC化学(Geiser外「Automation of solid−phase peptide synthesis」,Macromolecular Sequencing and Synthesis,Alan R.Liss,Inc.,1988,pp.199−218)及びFmoc/ HBTU化学(Fields,G.及びNoble,R.(1990)「Solid phase peptide synthesis utilizing 9−fluoroenylmethoxycarbonyl amino acids」,Int.J.Peptide Protein Res.35:161−214)を含め、ペプチド化学の分野で知られている固相又は液相合成法(E.Schroder及びK. Lubke,The Peptides,第1巻,pp76−136(1965)Academic Press)によって、レイニンシンフォニーペプチド合成機(米国アリゾナ州ツーソンのプロテイン・テクノロジーズ社)又はモデル433(米国カリフォルニア州フォスターシティーのアプライド・バイオシステムズ社)などの自動合成機で調製できる。
【0265】
例示のアミノ酸リンカーとしては、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド又はペンタペプチドが挙げられる。例示のジペプチドとしては、バリン−シトルリン(vc又はval−cit)、アラニン−フェニルアラニン(af又はala−phe)が挙げられる。例示のトリペプチドとしては、グリシン−バリン−シトルリン(gly−val−cit)及びグリシン−グリシン−グリシン(gly−gly−gly)が挙げられる。アミノ酸リンカー成分を含むアミノ酸残基としては、天然に存在するもの並びに微量アミノ酸及び非天然アミノ酸アナログ、例えばシトルリンなどが挙げられる。アミノ酸リンカー成分を、特定の酵素、例えば腫瘍関連プロテアーゼ、カテプシンB、C及びD、又はプラスミンプロテアーゼによる酵素的切断の選択性について設計及び最適化することができる。
【0266】
アミノ酸側鎖としては、天然に存在するもの並びに微量アミノ酸及び非天然アミノ酸アナログ、例えばシトルリンが挙げられる。アミノ酸側鎖としては、水素、メチル、イソプロピル、イソブチル、s−ブチル、ベンジル、p−ヒドロキシベンジル、−CH2OH、−CH(OH)CH3、−CH2CH2SCH3、−CH2CONH2、−CH2COOH、−CH2CH2CONH2、−CH2CH2COOH、−(CH23NHC(=NH)NH2、−(CH23NH2、−(CH23NHCOCH3、−(CH23NHCHO、−(CH24NHC(=NH)NH2、−(CH24NH2、−(CH24NHCOCH3、−(CH24NHCHO、−(CH23NHCONH2、−(CH24NHCONH2、−CH2CH2CH(OH)CH2NH2、2−ピリジルメチル−、3−ピリジルメチル− 、4−ピリジルメチル、フェニル、シクロヘキシル並びに次の構造が挙げられる:
【化85】
【0267】
アミノ酸側鎖が水素(グリシン)以外のものを含む場合には、アミノ酸側鎖が結合している炭素原子はキラルである。アミノ酸側鎖が結合している各炭素原子は、独立して(S)又は(R)配置又はラセミ混合物の状態である。このように、薬剤−リンカー試薬は、鏡像異性的に純粋なラセミ体又はジアステレオマーであってもよい。
【0268】
例示的な実施形態では、アミノ酸側鎖は、天然及び非天然のアミノ酸、例えば、アラニン、2−アミノ−2−シクロヘキシル酢酸、2−アミノ−2−フェニル酢酸、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、ノルロイシン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、γ−アミノ酪酸、α,α−ジメチルγ−アミノ酪酸、β,β−ジメチルγ−アミノ酪酸、オルニチン及びシトルリン(Cit)から選択される。
【0269】
パラ−アミノベンジルカルバモイル(PAB)自壊性スペーサーを有する、抗体への結合のための中間リンカー・PBD薬剤部分を構築するのに有用な例示バリン−シトルリン(val−cit又はvc)ジペプチドリンカー試薬は、次の構造を有する:
【化86】
ここで、QはC1〜C8アルキル、−O−(C1〜C8アルキル)、−ハロゲン、−NO2又は−CNであり;mは0〜4の範囲の整数である。
【0270】
p−アミノベンジル基を有する例示Phe−Lys(Mtr)ジペプチドリンカー試薬は、Dubowchik外,(1997)Tetrahedron Letters,38:5257−60に従って調製でき、かつ、次の構造を有する:
【化87】
ここで、Mtrはモノ−4−メトキシトリチルであり、QはC1〜C8アルキル、−O−(C1〜C8アルキル)、−ハロゲン、−NO2又は−CNであり;mは0〜4の範囲の整数である。
【0271】
「自壊性リンカー」PAB(パラ−アミノベンジル)は、抗体薬剤結合体において薬剤部分を抗体に結合させる(Carl外(1981)J.Med.Chem.24:479−480;Chakravarty外(1983)J.Med.Chem.26:638−644;US6214345;US20030130189、US20030096743、US6759509、US20040052793、US6218519;US6835807;US6268488;US20040018194;WO98/13059;US20040052793;US6677435;US5621002;US20040121940;WO2004/032828)。
【0272】
PAB以外の自壊性スペーサーの他の例としては、(i)PAB基に電気的類似する芳香族化合物、例えば2−アミノイミダゾール−5−メタノール誘導体(Hay外(1999)Bioorg.Med.Chem.Lett.9:2237)、チアゾール(US7375078)、複数の延長PAB単位(de Groot外(2001)J.Org.Chem.66:8815−8830)及びオルト又はパラ−アミノベンジルアセタール;及び(ii)同族体化スチリルPABアナログ(US7223837)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0273】
アミド結合加水分解に基づく環化を受けるスペーサー、例えば、置換及び非置換の4−アミノ酪酸アミド(Rodrigues外(1995)Chemistry Biology 2:223)、適切に置換されたビシクロ[2.2.1]及びビシクロ[2.2.2]環系(Storm外(1972)J.Amer.Chem.Soc.94:5815)及び2−アミノフェニルプロピオン酸アミド(Amsberry外(1990)J.Org.Chem.55:5867)を使用することができる。また、グリシンで置換されているアミン含有薬剤の除去(Kingsbury外(1984)J.Med.Chem.27:1447)も、ADCにおいて有用な自壊性スペーサーの例である。
【0274】
一実施形態では、バリン−シトルリンジペプチドPABアナログ試薬は、2,6−ジメチルフェニル基を有し、かつ、次の構造を有する:
【化88】
【0275】
本発明の抗体薬剤結合体に有用なリンカー試薬としては、限定されないが:BMPEO、BMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC−SMCC、MBS、MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、スルホ−EMCS、スルホGMBS、スルホKMUS、スルホMBS、スルホSIAB、スルホSMCC及びスルホSMPB、及びSVSB(スクシンイミジル(4−ビニルスルホン)ベンゾエート)、並びにビスマレイミド試薬:DTME、BMB、BMDB、BMH、BMOE、1,8−ビスマレイミドジエチレングリコール(BM(PEO)2)、及び1,11−ビスマレイミドトリエチレングリコール(BM(PEO)3)が挙げられ、これらは、米国イリノイ州ロックフォードのPierce Biotechnology社、ThermoScientific社及び他の試薬供給業者から市販されている。
【0276】
ビスマレイミド試薬は、逐次又は同時の態様で、抗体のシステイン残基の遊離チオール基をチオール含有薬剤部分、標識又はリンカー中間体に結合させる。抗体、PBD薬物部分又はリンカー中間体のチオール基と反応性であるマレイミド以外の他の官能基としては、ヨードアセトアミド、ブロモアセトアミド、ビニルピリジン、ジスルフィド、ピリジルジスルフィド、イソシアネート及びイソチオシアネートが挙げられる。
【化89】
【0277】
リンカー試薬の他の実施形態は、N−スクシンイミジル−4−(2−ピリジルチオ)ペンタノエート(SPP)、Nは、スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP,Carlsson外(1978)Biochem.J.173:723−737)、スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(例えばジメチルアジピミデートHCl)、活性エステル(ジスクシンイミジルスベレート等)、アルデヒド(グルタルアルデヒドなど)、ビスアジド化合物(ビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビスジアゾニウム誘導体(例えば、ビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)エチレンジアミン)、ジイソシアネート(トルエン−2,6−ジイソシアネートなど)及びビス−活性フッ素化合物(例えば、1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼンなど)である。また、有用なリンカー試薬は、Molecular Biosciences社(米国コロラド州ボルダー)などの他の市販の供給源により取得でき、又はToki外(2002)J.Org.Chem.67:1866−1872;US6214345;WO02/088172;US2003130189;US2003096743;WO03/026577;WO03/043583;及びWO04/032828に記載された手順に従って合成できる。
【0278】
リンカーは、分岐多官能性リンカー部分により複数の薬剤部分を抗体に共有結合させるための樹状タイプのリンカーとすることができる(US2006/116422;US2005/271615;de Groot外(2003)Angew.Chem.Int.Ed.42:4490−4494;Amir外(2003)Angew.Chem.Int.Ed.42:4494−4499;Shamis外(2004)J.Am.Chem.Soc.126:1726−1731;Sun外(2002)Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters12:2213−2215;Sun外(2003)Bioorganic & Medicinal Chemistry11:1761−1768;King外(2002)Tetrahedron Letters43:1987−1990)。樹状リンカーは、ADCの効力に関連する、薬剤対抗体のモル比、すなわち負荷を増大させることができる。したがって、抗体が1個のみの反応性システインチオール基を有する場合には、多数の薬物部分が樹状又は分岐リンカーを介して結合できる。
【0279】
樹状型リンカーの例示的な一実施形態は、次の構造を有する:
【化90】
ここで、アスタリスクはPBD部分のN10位への結合点を示す。
【0280】
cキャッピング基
本発明の第1態様の結合体は、N10位にキャッピング基RCを有することができる。化合物Eは、キャッピング基RCを有することができる。
【0281】
一実施形態では、結合体が二量体であり各単量体が式(A)のものである場合には、単量体単位の1つにおける基R10は、キャッピング基RC又は基R10がある。
【0282】
一実施形態では、結合体が二量体であり各単量体が式(A)のものである場合には、単量体単位の1つにおける基R10はキャッピング基RCである。
【0283】
一実施形態では、化合物Eが二量体であり各単量体が式(E)のものである場合には、単量体単位の1つにおける基RLは、キャッピング基RC又は抗体への結合のためのリンカーである。
【0284】
一実施形態では、化合物Eが二量体であり各単量体が式(E)のものである場合には、単量体単位の1つにおける基RLはキャッピング基RCである。
【0285】
基RCは、PBD部分のN10位から除去してN10−C11イミン結合、カルビノールアミン、置換カルビノールアミン、QR11がOSO3Mの場合には、亜硫酸水素塩付加物、チオカルビノールアミン、置換チオカルビノールアミン又は置換カルビノールアミンを残すことができる。
【0286】
一実施形態では、RCは、N10−C11イミン結合、カルビノールアミン、置換カルビノールアミン又はQR11がOSO3Mの場合には、亜硫酸水素塩付加物を残すように除去可能な保護基であることができる。一実施形態では、RCはN10−C11イミン結合を残して除去可能な保護基である。
【0287】
基RCは、R10基を除去して例えばN10−C11イミン結合、カルビノールアミンなどを生じさせるのに必要な条件と同一の条件下で除去可能であることが意図される。キャッピング基は、N10位での目的の官能基のための保護基として作用する。キャッピング基は、抗体に対して反応性ではないことが意図される。例えば、RCはRLと同一ではない。
【0288】
キャッピング基を有する化合物は、イミン単量体を有する二量体の合成における中間体として使用できる。あるいは、キャッピング基を有する化合物は、結合体として使用でき、その際、キャッピング基は、イミン、カルビノールアミン、置換カルビノールアミンなどを得るために、目標位置で除去される。したがって、この実施形態では、キャッピング基を、本発明者の先の出願WO00/12507号で定義されるように、治療上除去可能な窒素保護基と呼ぶことができる。
【0289】
一実施形態では、基RCは、基R10のリンカーRLを切断する条件下で除去可能である。したがって、一実施形態では、キャッピング基は、酵素の作用により切断可能である。
【0290】
別の実施形態では、キャッピング基は、リンカーRLの抗体への結合前に除去可能である。この実施形態では、キャッピング基は、リンカーRLを切断しない条件下で除去可能である。
【0291】
化合物が抗体への結合を形成するための官能基G1を含む場合には、キャッピング基は、G1の付加又は脱マスキングの前に除去可能である。
【0292】
キャッピング基は、二量体中の単量体単位の一つのみが抗体に結合することを確保するように保護基戦略の一部として使用できる。
【0293】
キャッピング基は、N10−C11イミン結合のためのマスクとして使用できる。キャッピング基は、イミン官能性が化合物に必要とされるような時に除去できる。また、キャッピング基は、上記のように、カルビノールアミン、置換カルビノールアミン及び亜硫酸水素塩付加物のためのマスクでもある。
【0294】
Cは、本発明者の先の出願WO00/12507号に記載されているようなN10の保護基であることができる。一実施形態では、RCは、本発明者の先の出願WO00/12507号で定義されるような治療上除去可能な窒素保護基である。
【0295】
一実施形態では、RCは、カルバメート保護基である。
【0296】
一実施形態では、カルバメート保護基は、Alloc、Fmoc、Boc、Troc、Teoc、Psec、Cbz及びPNZから選択される。任意に、カルバメート保護基は、さらにMocから選択される。
【0297】
一実施形態では、RCは、抗体への結合のための官能基を欠くリンカー基RLである。
【0298】
本願は、カルバメートであるRC基に特に関係する。
【0299】
一実施形態では、RCは次の基である:
【化91】
ここで、アスタリスクはN10位への結合点を示し、G2は末端基であり、L3は共有結合又は切断可能なリンカーL1であり、L2は共有結合であり又はOC(=O)と共に自壊性リンカーを形成する。
【0300】
3及びL2が両方とも共有結合である場合には、G2及びOC(=O)は、一緒になって上で定義したカルバメート保護基を形成する。
【0301】
1は、R10に関連して上で定義した通りである。L2は、R10に関連して上で定義した通りである。
【0302】
様々な末端基を、よく知られた保護基に基づくものを含めて以下に記載する。
【0303】
一実施形態では、L3は切断可能なリンカーL1であり、L2は、OC(=O)と共に自壊性リンカーを形成する。この実施形態では、G2は、AC(アセチル)若しくはMoc又は次のカルバメート保護基から選択される:Alloc、Fmoc、Boc、Troc、Teoc、Psec、Cbz及びPNZ。任意に、カルバメート保護基は、さらにMocから選択される。
【0304】
別の実施形態では、G2はアシル基−C(=O)G3であり、ここで、G3は、アルキル(シクロアルキル、アルケニル及びアルキニルを含む)、ヘテロアルキル、ヘテロシクリル及びアリール(ヘテロアリール及びカルボアリールを含む)から選択される。これらの基は置換されていてもよい。アシル基は、適切な場合には、L3又はL2のアミノ基と共にアミド結合を形成することができる。アシル基は、適切な場合には、L3又はL2のヒドロキシ基と共にエステル結合を形成することができる。
【0305】
一実施形態では、G3はヘテロアルキルである。ヘテロアルキル基は、ポリエチレングリコールを含むことができる。ヘテロアルキル基は、アシル基に隣接するO又はNなどのヘテロ原子を有することができ、それによって、適宜基L3又はL2中に存在するヘテロ原子を有するカルバメート又はカーボネート基を適宜形成することができる。
【0306】
一実施形態では、G3はNH2、NHR及びNRR’から選択される。好ましくは、G3はNRR’である。
【0307】
一実施形態では、G2は次の基である:
【化92】
ここで、アスタリスクはL3との結合点を示し、nは0〜6であり、G4はOH、OR、SH、SR、COOR、CONH2、CONHR、CONRR’、NH2、NHR、NRR’、NO2及びハロから選択される。基OH、SH、NH2及びNHRは保護されている。一実施形態では、nは1〜6であり、好ましくはnは5である。一実施形態では、G4はOR、SR、COOR、CONH2、CONHR、CONRR’及びNRR’である。一実施形態では、G4はOR、SR及びNRR’である。好ましくは、G4はOR及びNRR’から選択され、最も好ましくは、G4はORである。最も好ましくは、G4はOMeである。
【0308】
一実施形態では、基G2は次のものである:
【化93】
ここで、アスタリスクはL3への結合点を示し、n及びG4は上で定義した通りである。
【0309】
一実施形態では、基G2は次のものである:
【化94】
ここで、アスタリスクはL3への結合点を示し、nは0又は1であり、mは0〜50であり、G4は、OH、OR、SH、SR、COOR、CONH2、CONHR、CONRR’、NH2、NHR、NRR’、NO2、及びハロから選択される。好ましい実施形態では、nは1であり、mは0〜10、1〜2、好ましくは4〜8、最も好ましくは4又は8である。別の実施形態では、nは1であり、mは10〜50、好ましくは20〜40である。基OH、SH、NH2及びNHRは保護されている。一実施形態では、G4はOR、SR、COOR、CONH2、CONHR、CONRR’、及びNRR’である。一実施形態では、G4はOR、SR、及びNRR’である。好ましくは、G4はOR及びNRR’から選択される、最も好ましくは、G4はORである。好ましくは、G4はOMeである。
【0310】
一実施形態では、基G2は次のものである:
【化95】
ここで、アスタリスクはL3への結合点を示し、n、m及びG4は上で定義した通りである。
【0311】
一実施形態では、基G2は次のものである:
【化96】
ここで、nは1〜20であり、mは0〜6であり、G4はOH、OR、SH、SR、COOR、CONH2、CONHR、CONRR’、NH2、NHR、NRR’、NO2、及びハロから選択される。一実施形態では、nは1〜10である。別の実施形態では、nは10〜50、好ましくは20〜40である。一実施形態では、nは1である。一実施形態では、mは1である。基OH、SH、NH2及びNHRは保護されている。一実施形態では、G4はOR、SR、COOR、CONH2、CONHR、CONRR’、及びNRR’である。一実施形態では、G4はOR、SR、及びNRR’である。好ましくは、G4はOR及びNRR’から選択され、最も好ましくはG4はORである。好ましくは、G4はOMeである。
【0312】
一実施形態では、基G2は次のものである:
【化97】
ここで、アスタリスクはL3への結合点を示し、n、m及びG4は上で定義した通りである。
【0313】
各実施の形態では、上記G4はOH、SH、NH2及びNHRであることができる。これらの基は、好ましくは保護されている。一実施形態では、OHは、Bzl、TBDMS又はTBDPSで保護されている。一実施形態では、SHは、Acm、Bzl、Bzl−OMe、Bzl−Me又はTrtで保護されている。一実施形態では、NH2又はNHRは、Boc、Moc、Z−Cl、Fmoc、Z又はAllocで保護されている。
【0314】
一実施形態では、基G2は、ジペプチドである基L3と共に存在する。
【0315】
キャッピング基は、抗体への結合のためのものではない。したがって、二量体中に存在する他の単量体は、リンカーを介した抗体への結合点として機能する。したがって、キャッピング基に存在する官能基は、抗体との反応に利用可能でないことが好ましい。このように、OH、SH、NH2、COOHなどの反応性官能基は、好ましくは回避される。しかしながら、上記のように、このような官能基は、保護される場合にはキャッピング基に存在していてもよい。
【0316】
実施形態
本発明の実施形態は、ConjA(ここで抗体は上で定義した通りである)を含む。
【0317】
本発明の実施形態は、ConjB(ここで、抗体は上で定義した通りである)を含む。
【0318】
本発明の実施形態は、ConjC(ここで、抗体は上で定義した通りである)を含む。
【0319】
本発明の実施形態は、ConjD(ここで、抗体は上で定義した通りである)を含む。
【0320】
本発明の実施形態は、ConjE(ここで、抗体は上で定義した通りである)を含む。
【0321】
上述のように、本発明のいくつかの実施形態はConjA、ConjB、ConjC、ConjD及びConjEを除外する。
【0322】
薬剤負荷
薬剤負荷は、抗体当たりPBD薬剤の数平均である。本発明の化合物がシステインに結合している場合には、薬剤負荷は、抗体当たり1〜8の薬剤(DL)の範囲であることができ、すなわち、この場合、1、2、3、4、5、6、7、及び8個の薬剤部分が抗体に共有結合している。結合体の組成物は、1〜8の薬剤の範囲と結合した抗体のコレクションを含む。本発明の化合物がリジンに結合している場合には、薬剤負荷は抗体当たり1〜80薬剤(DL)の範囲であることができるが、40、20、10又は8の上限がが好ましい場合がある。結合体の組成物は、1〜80、1〜40、1〜20、1〜10又は1〜8の範囲の薬剤と結合した抗体のコレクションを含む。
【0323】
結合反応によるADCの調製の際における抗体当たりの薬剤の平均数は、UV、逆相HPLC、HIC、質量分析、ELISAアッセイ、電気泳動などの従来の手段によって特徴付けることができる。また、pの観点でのADCの定量的分布も決定することができる。ELISAにより、ADCの特定の調製物におけるpの平均値を決定することができる(Hamblett外(2004)Clin.Cancer Res.10:7063−7070;Sanderson外(2005)Clin.Cancer Res.11:843−852)。ただし、p(薬剤)値の分布は、抗体−抗原結合及びELISAの検出限界によって識別可能ではない。また、抗体−薬剤結合体の検出のためのELISAアッセイは、薬剤部分が重鎖や軽鎖断片などの抗体に結合する場所又は特定のアミノ酸残基を判定しない。いくつかの例では、pが他の薬剤負荷を有するADCからの所定値である場合に、均一なADCの分離、精製及び特性評価は、逆相HPLC又は電気泳動などの手段によって達成できる。また、このような技術は、他のタイプの結合体にも適用可能である。
【0324】
いくつかの抗体−薬剤結合体について、pは、抗体上の結合部位の数により制限されることがある。例えば、抗体は、1個のみ若しくは数個のシステインチオール基を有することができ、又は1個のみ若しくは数個の十分に反応性のチオール基を有することができ、これらを介してリンカーを結合させることができる。より高い薬剤負荷、例えばp>5は、所定の抗体−薬剤結合体の凝集、不溶性、毒性又は細胞透過性の損失を引き起こす可能性がある。
【0325】
典型的には、薬剤部分の理論最大値未満が結合反応中に抗体に結合する。抗体は、例えば、薬剤−リンカー中間体(D−L)又はリンカー試薬とは反応しない多くのリジン残基を含むことができる。最も反応性のあるリシン基のみがアミン反応性リンカー試薬と反応することができる。また、最も反応性のあるシステインチオール基のみがチオール反応性リンカー試薬と反応することができる。一般に、抗体は、たとえあったとしても、薬剤部分に結合することのできる多くの遊離及び反応性システインチオール基を含まない。化合物の抗体における大部分のシステインチオール残基は、ジスルフィド架橋として存在し、かつ、部分的又は全体的な還元条件下でジチオスレイトール(DTT)又はTCEPなどの還元剤で還元されなければならない。ADCの負荷(薬剤/抗体比)は、いくつかの異なる方法で制御することができ、これらの方法としては、(i)抗体に対する薬剤−リンカー中間体(D−L)又はリンカー試薬のモル過剰を制限すること:(ii)結合反応の時間又は温度を制限すること、及び(iii)システインチオール修飾についての部分的又は制限還元条件が挙げられる。
【0326】
所定の抗体は、還元可能な鎖間ジスルフィド、すなわちシステイン架橋を有する。抗体は、DTT(ジチオスレイトール)などの還元剤で処理することにより、リンカー試薬との結合について反応性となる場合がある。したがって、それぞれのシステイン架橋は、理論的には、2個の反応性のチオール求核基を形成することになる。追加の求核基を、アミンをチオールに転化させるリシンと2−イミノチオラン(トラウトの試薬)との反応により抗体に導入することができる。反応性のチオール基は、1、3、3、4個以上のシステイン残基を設計することにより抗体(又はその断片)に導入できる(例えば、1個以上の非天然システインアミノ酸残基を含む変異抗体を調製する)。US7521541には、反応性システインアミノ酸の導入による設計抗体が教示されている。
【0327】
システインアミノ酸は、抗体中にありかつ鎖内又は分子間ジスルフィド結合を形成しない反応性部位で操作できる(Junutula外,2008b Nature Biotech.,26(8):925−932;Dornan外(2009)Blood 114(13):2721−2729;US7521541;US7723485;WO2009/052249)。操作されたシステインチオールは、マレイミドやα−ハロアミドなどのチオール反応性求電子基を有するリンカー試薬又は本発明の薬剤−リンカー試薬と反応してシステイン設計抗体及びPBD薬剤部分を有するADCを形成することができる。このように、薬剤部分の位置を設計し、制御し、そして知ることができる。薬剤負荷は制御できる。というのは、設計システインチオール基は、典型的には、チオール反応性リンカー試薬又は薬剤−リンカー試薬と高い収率で反応するからである。重鎖又は軽鎖上の単一部位での置換によりシステインアミノ酸を導入するようにIgG抗体を設計すると、対称の抗体上に2つの新たなシステインが得られる。2付近の薬剤負荷は、結合体製品ADCのほぼ均一性により達成できる。
【0328】
あるいは、部位特異的結合体は、Axup外((2012),Proc Natl Acad Sci U S A. 109(40):16101−16116)によって記載されているように、それらの重鎖及び/又は軽鎖に非天然アミノ酸を含むように抗体を設計することによって達成できる。これらの非天然アミノ酸は、直交化学がリンカー試薬及び薬剤を結合させるように設計できるというさらなる利点を与える。
【0329】
抗体の複数の求核性又は求電子基が薬剤−リンカー中間体又はリンカー試薬、続いて薬剤部分試薬と反応する場合には、得られる生成物は、ADC化合物と、抗体に結合した薬剤部分の分布、例えば1、2、3などとの混合物である。ポリマー逆相(PLRP)及び疎水性相互作用(HIC)などの液体クロマトグラフィー法は、薬剤負荷値によって混合物中の化合物を分離することができる。単一の薬剤負荷値(P)を有するADCの調製物は単離できるが、これらの単一負荷値ADCは、依然として不均一な混合物であることができる。というのは、薬剤部分は、抗体上の異なる部位でリンカーを介して結合できるからである。
【0330】
したがって、本発明の抗体−薬剤結合体組成物は、抗体−薬剤結合体化合物の混合物を含み、その際、その抗体は1個以上のPBDの薬剤部分を有し、しかもその薬剤部分は様々なアミノ酸残基で抗体に結合できる。
【0331】
一実施形態では、抗体当たりのピロロベンゾジアゼピン二量体基の平均数は、1〜20の範囲にある。いくつかの実施形態では、この範囲は、1〜8、2〜8、2〜6、2〜4及び4〜8から選択される。
【0332】
いくつかの実施形態では、抗体当たり1個の二量体ピロロベンゾジアゼピン基が存在する。
【0333】
他の形態の包含
特に断らない限り、上に含まれるのは、これらの置換基の周知のイオン、塩、溶媒和物及び保護された形態である。例えば、カルボン酸(−COOH)への言及には、陰イオン性(カルボキシレート)型(−COO-)、その塩又は溶媒和物のみならず、通常の保護された形態が含まれる。同様に、アミノ基に対する言及には、アミノ基のプロトン化形態(−N+HR12)、塩又は溶媒和物、例えば、塩酸塩のみならず、アミノ基の通常の保護形態が含まれる。同様に、ヒドロキシル基に対する言及には、陰イオン形態(−O-)、塩又は溶媒和物のみならず、従来の保護形態が含まれる。
【0334】

活性化合物の対応する塩、例えば、薬学的に許容される塩を調製し、精製し及び/又は取り扱うことが便利又は望ましい場合がある。薬学的に許容される塩の例は、Berge外,J.Pharm.Sci.,66,1−19(1977)で議論されている。
【0335】
例えば、化合物が陰イオン性である又は陰イオン性であることができる官能基を有する場合(例えば、−COOHは、−COO-であることができる)、好適な陽イオンで塩が形成され得る。好適な無機陽イオンの例としては、Na+及びK+などのアルカリ金属イオン、Ca2+及びMg2+などのアルカリ土類陽イオン、及びAl+などの他の陽イオンが挙げられるが、これらに限定されない。好適な有機陽イオンの例としては、アンモニウムイオン(すなわちNH4+)及び置換アンモニウムイオン(例えばNH3+、NH22+、NHR3+、NR4+)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの好適な置換アンモニウムイオンの例は、次のものから誘導されるものである:エチルアミン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン、ベンジルアミン、フェニルベンジルアミン、コリン、メグルミン及びトロメタミン、並びにリジン及びアルギニンなどのアミノ酸。一般的な第四級アンモニウムイオンの例はN(CH34+である。
【0336】
化合物が陽イオン性である又は陽イオン性であることのできる官能基を有する場合(例えば−NH2は−NH3+であることができる)、好適な陰イオンで塩を形成させることができる。好適な無機陰イオンの例としては、以下の無機酸から誘導されるものが挙げられるが、これらに限定されない:塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、リン酸、及び亜リン酸。
【0337】
好適な有機陰イオンの例としては、次の有機酸から誘導されるものが挙げられるが、これらに限定されない:2−アセトキシ安息香酸、酢酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、桂皮酸、クエン酸、エデト酸、エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヒドロキシマレイン酸、ヒドロキシナフタレンカルボン酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、粘液酸、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、フェニルスルホン酸、プロピオン酸、ピルビン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、酒石酸、トルエンスルホン酸、及び吉草酸。好適な高分子有機陰イオンの例としては、以下のポリマー酸から誘導されるものが挙げられるが、これらに限定されない:タンニン酸、カルボキシメチルセルロース。
【0338】
溶媒和物
活性化合物の対応する溶媒和物を調製、精製、及び/又は処理することが好都合又は望ましい場合がある。用語「溶媒和物」は、ここでは、溶質(例えば、活性化合物、活性化合物の塩)と溶媒との複合体をいうために従来の意味で使用される。溶媒が水である場合、溶媒和物は、簡便には水和物、例えば、一水和物、二水和物、三水和物などと呼ぶことができる。
【0339】
本発明は、溶媒が水又はアルコール(RAOH、ここでRAは、C1〜4アルキルである)である場合に、以下に示されるPBD部分のイミン結合に溶媒が付加する化合物を含む。
【化98】
これらの形態は、PBDのカルビノールアミン及びカルビノールアミンエーテル形態と呼ぶことができる(上記R10に関連する節で説明したように)。これらの平衡のバランスは、化合物が見出される条件のみならず、その部分自体の性質にも依存する。
【0340】
これらの特定の化合物は、例えば凍結乾燥によって固体状態で単離できる。
【0341】
異性体
本発明の所定の化合物は、1種以上の特定の幾何、光学、エナンチオマー、ジアステレオマー、エピマー、アトロプ、立体異性、互変異性、立体配座又はアノマー形態で存在でき、これらのものとしては限定されないが、シス及びトランス型;E−及びZ型;c、t及びr型;エンド及びエキソ型;R、S及びメソ型;D及びL型;d及びl型;(+)及び(−)型;ケト、エノール及びエノラート型;syn型及びアンチ型;向斜及び背斜型;α及びβ型;軸及び赤道型;舟、椅子、ねじれ、エンベロープ及びいす型;並びにこれらの組み合わせが挙げられ、以下、まとめて「異性体」(又は「異性体型」)と呼ぶ。
【0342】
用語「キラル」とは、鏡像相手の重ね合わせ不可能な特性を有する分子をいうのに対し、用語「アキラル」とは、それらの鏡像相手に重ね合わせることができる分子をいう。
【0343】
用語「立体異性体」とは、同一の化学構造を有するが、空間における原子又は基の配置に関して異なる化合物をいう。
【0344】
「ジアステレオマー」とは、2以上のキラル中心を有し、かつ、それらの分子が互いに鏡像でない立体異性体をいう。ジアステレオマーは、様々な物性、例えば、融点、沸点、スペクトル特性及び反応性を有する。ジアステレオマーの混合物は、電気泳動及びクロマトグラフィーなどの高分解能分析手順下で分離できる。
【0345】
「鏡像異性体」とは、互いに重ね合わせることができない鏡像である、化合物の2種の立体異性体をいう。
【0346】
ここで使用される立体化学の定義及び規則は、S.P.Parker著,McGraw−Hill Dictionary of Chemical Terms(1984)McGraw−Hill Book Company,ニューヨーク;並びにEliel,E.及びWilen,S.,「Stereochemistry of Organic Compounds」,John Wiley & Sons社,ニューヨーク,1994に従う。本発明の化合物は、不斉中心又はキラル中心を含むことができるため、様々な立体異性体形で存在することができる。ジアステレオマー、エナンチオマー及びアトロプ異性体並びにラセミ混合物などのそれらの混合物を含めて(これらに限定されない)、本発明の化合物の全ての立体異性体は、本発明の一部をなす。多くの有機化合物は光学的に活性な形態で存在する、すなわち、これらは平面偏光の面を回転させる能力を有する。光学的に活性な化合物を記載する際に、接頭辞D及びL、又はR及びSは、そのキラル中心周辺の分子の絶対配置を示すために使用される。接頭辞D及びL又は(+)及び(−)は、化合物による平面偏光の回転の符号を示すため使用され、(−)又はl、化合物が左旋性であることを意味する。(+)又はdの接頭辞の化合物は右旋性である。所与の化学構造について、これらの立体異性体は、これらが互いに鏡像であることを除き同一である。また、特定の立体異性体は、エナンチオマーと呼ばれることもあり、そのような異性体の混合物はエナンチオマー混合物と呼ばれる場合が多い。エナンチオマーの50:50混合物は、ラセミ混合物又はラセミ体と呼ばれ、これは、化学反応又はプロセスにおいて立体選択性又は立体特異性が存在しなかった場合に生じることがある。用語「ラセミ混合物」及び「ラセミ体」とは、光学活性を欠く2つのエナンチオマー種の等モル混合物をいう。
【0347】
互変異性型について以下で説明される場合を除き、ここで使用するときに用語「異性体」から具体的に除外されるのは、構造異性体(すなわち、単に空間的な原子の位置ではなく原子間の結合が異なる異性体)であることに注意されたい。例えば、メトキシ基−OCH3に対する言及は、その構造異性体、ヒドロキシメチル基CH2OHに対する言及であると解釈すべきではない。同様に、オルト−クロロフェニルに対する言及は、その構造異性体であるメタ−クロロフェニルに対する言及であると解釈すべきではない。しかし、構造の種類に対する言及は、その種類内に入る構造的異性体を含むことができる(例えば、C1〜7アルキルは、n−プロピル及びイソプロピルを含み;ブチルは、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル及びt−ブチルを含み;メトキシフェニルは、オルト−、メタ−及びパラ−メトキシフェニルを含む)。
【0348】
上記の除外は、例えば、次の互変異性体対と同様に、互変異性形態、例えばケト、エノール及びエノラート型には関連しない:ケト/エノール(以下に示す)、イミン/エナミン、アミド/イミノアルコール、アミジン/アミジン、ニトロソ/オキシム、チオケトン/エンチオール、N−ニトロソ/ヒドロキシアゾ及びニトロ/アシ−ニトロ。
【化99】
【0349】
用語「互変異性体」又は「互変異性体」とは、低エネルギー障壁を介して相互に変換可能な様々なエネルギーの構造異性体をいう。例えば、プロトン互変異性体(プロトトロピック互変異性体としても知られている)は、ケト−エノール及びイミン−エナミン異性化などの、プロトンの移動による相互変換を含む。原子価互変異性体は、結合電子のうちのいくつかの再構成による相互変換を含む。
【0350】
用語「異性体」に具体的に含まれるのは、一つ以上の同位体置換を有する化合物であることに留意されたい。例えば、Hは1H、2H(D)及び3H(T)を含めた任意の同位体形態であることができ;Cは12C、13C及び14Cを含めた任意の同位体形態であることができ;Oは16O及び18Oを含めた任意の同位体形態などであることができる。
【0351】
本発明の化合物に導入することができる同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素及び塩素の同位元素、例えば、2H(重水素、D)、3H(トリチウム)、11C、13C、14C、15N、18F、31P、32P、35S、36Cl及び125Iが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の様々な同位体標識化合物、例えば3H、13C及び14Cなどの放射性同位体が導入される。このような同位体標識化合物は、薬剤又は基質組織分布アッセイを含めて、代謝研究、反応速度論研究、検出又は陽電子放出断層撮影(PET)や単一光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)などの画像化技術或いは又は患者の放射線治療に有用な場合がある。本発明の重水素標識又は置換治療化合物は、分布、代謝及び排出(ADME)に関連するDMPK(薬物代謝及び薬物動態)特性を向上させることができる。重水素などのより重い同位体での置換は、より大きな代謝安定性から生じる所定の治療上の利点、例えば生体内半減期の増大又は用量要件の低減を与える。18F標識化合物はPET又はSPECT研究に有用な場合がある。本発明の化合物及びプロドラッグの同位体標識化合物は、一般に、非同位体標識試薬の代わりに容易に入手可能な同位体標識試薬を使用することにより、以下で説明するスキーム又は実施例及び製造例に開示されている手順を実施することによって調製できる。さらに、より重い同位体、特に重水素(すなわち、2H又はD)による置換は、より大きな代謝安定性に起因する所定の治療上の利点、例えば、生体内半減期の延長又は必要用量の減少又は治療指数の改善を与えることができる。この文脈における重水素は置換基とみなされることが分かる。このようなより重い同位体、特に重水素の濃度は、同位体濃縮係数により定義できる。本発明の化合物では、特定の同位体として特に指定されていない任意の原子は、その原子の任意の安定同位体を表すことを意味する。
【0352】
特に明記しない限り、特定の化合物への言及には、そのラセミ体及び他の混合物を含めて(全体的又は部分的に)、そのようなすべての異性体が含まれる。このような異性体形態の調製(例えば不斉合成)及び分離(例えば分別結晶及びクロマトグラフィー手段)のための方法は、当技術分野で知られており、又はここで教示した方法若しくは既知の方法を既知の態様で適合させることによって容易に得られる。
【0353】
生物学的活性
試験管内細胞増殖アッセイ
一般に、抗体−薬剤結合体(ADC)の細胞毒性又は細胞増殖抑制活性は、細胞培養培地中におけるADCの抗体に受容体タンパク質を有する哺乳動物細胞を曝露し;約6時間〜約5日にわたって細胞を培養し;細胞生存率を測定することによって測定される。細胞ベースの試験管内アッセイを使用して、本発明のADCの生存率(増殖)、細胞傷害性及びアポトーシス(カスパーゼ活性化)の誘導を測定する。
【0354】
抗体−薬剤結合体の試験管内での効能を、細胞増殖アッセイによって測定することができる。CellTiter−Glo(登録商標)発光細胞生存率アッセイは、甲虫ルシフェラーゼの組換え体発現に基づく市販(米国ウィスコンシン州マディソンのプロメガ社I)の均一アッセイ法である(米国特許第5583024号;同5674713号及び同5700670号)。この細胞増殖アッセイは、存在するATPの定量化、代謝的に活性な細胞の指標に基づいて培養中の生存細胞の数を決定する(Crouch外(1993)J. Immunol. Meth. 160:81−88;米国特許第6602677号)。CellTiter−Glo(登録商標)アッセイは、自動ハイスループットスクリーニング(HTS)を施すことができる96ウェルの形式で実施される(Cree外(1995)AntiCancer Drugs 6:398−404)。均一アッセイ手順は、血清添加培地で培養した細胞に単一の試薬(CellTiter−Glo(登録商標)試薬)を直接添加することを含む。細胞洗浄、培地の除去及び複数回のピペッティング工程は必要ではない。このシステムは、試薬を添加し混合した後10分以内に384ウェル形式で15個程度の細胞/ウェルを検出する。細胞をADCで連続的に処理することができ、又は細胞を処理し、そしてADCから分離することができる。一般に、簡単にすなわち3時間処理された細胞は、連続的に処理された細胞と同じ効能を示した。
【0355】
均一「添加・混合・測定」形式は、細胞溶解及びATPの存在量に比例する発光シグナルの生成をもたらす。ATPの量は、培養中に存在する細胞の数に正比例する。CellTiter−Glo(登録商標)アッセイは、ルシフェラーゼ反応によって生成される「成長型」発光シグナルを生成し、これは、使用する細胞の種類及び媒体によって一般により5時間を超える半減期を有する。生存細胞は、相対発光単位(RLU)に反映される。基質である甲虫ルシフェリンは、光子のATPからAMPへの付随的変換及び光子の生成で、組換えホタルルシフェラーゼによって酸化的に脱カルボキシル化される。
【0356】
また、抗体−薬剤結合体の試験管内での効能は、細胞傷害性アッセイでも測定できる。培養接着細胞を、PBSで洗浄し、トリプシンで分離させ、10%FCSを含む完全培地で希釈し、遠心分離し、新たな培地に再懸濁、そして血球計数器で計数する。懸濁培養物を直接計数する。計数に好適な単分散細胞懸濁液は、細胞塊を破壊するように吸引を繰り返すことにより懸濁液の攪拌を要する場合がある。
【0357】
細胞懸濁液を所望の接種密度に希釈し、そして黒色の96ウェルプレートに分配する(ウェル当たり100μl)。接着細胞株のプレートを一晩インキュベートして接着させる。懸濁細胞培養物を接種の日に使用することができる。
【0358】
ADC(20μg/ml)のストック溶液(1ml)を、適切な細胞培養培地で作製する。ストックADCの連続10倍希釈を、15ml遠心管内で100μl〜900μLの細胞培養培地を連続的に移すことによって作製する。
【0359】
各ADC希釈液(100μl)4つの反復ウェルを、予め細胞懸濁液(100μl)が入れられた96ウェル黒色プレートに分注し、200μlの最終容量にする。対照ウェルは、細胞培養培地(100μl)を受け入れる。
【0360】
細胞株の世代時間が30時間を超える場合には、ADCのインキュベーションは、5日間にわたるが、それ以外の場合は4日間のインキュベーションを行う。
【0361】
インキュベーション期間の終了時に、細胞生存率を、アラマーブルーアッセイを使用して評価する。アラマーブルー(Invitrogen)をプレート全体にわたってに分注し(ウェル当たり20μl)、4時間インキュベートする。アラマーブルー蛍光を、励起570nm、発光585nmでVarioskanフラッシュプレートリーダーにより測定する。細胞生存率(%)を、対照ウェル中における平均蛍光と比較した、ADC処理ウェル中における平均蛍光から算出する。
【0362】
使用
本発明の結合体は、標的位置にPBDの化合物を与えるために使用される。
【0363】
標的位置は、好ましくは、増殖性の細胞集団である。抗体は、増殖細胞集団上に存在する抗原に対する抗体である。
【0364】
一実施形態では、抗原は、非増殖性細胞集団では存在しない、又は増殖細胞集団、例えば腫瘍細胞集団中に存在する抗原の量と比較して低いレベルで存在する。
【0365】
標的位置では、リンカーは、化合物RelA、RelB、RelC、RelD又はRelEを脱離させるように切断できる。したがって、結合体を使用して、化合物のRelA、RelB、RelC、RelD又はRelEを標的位置に選択的に与えることができる。
【0366】
リンカーは、標的位置に存在する酵素によって切断できる。
【0367】
標的位置は、試験管内、生体内又は生体外であることができる。
【0368】
本発明の抗体−薬剤結合体(ADC)の化合物は、抗癌活性に対して有用性を有するものを含む。特に、化合物は、PBDの薬剤部分、すなわち毒素に結合、すなわちリンカーによって共有結合した抗体を含む。薬剤が抗体に結合していない場合には、PBD薬剤は、細胞毒性効果を有する。すなわち、PBD薬剤部分の生物学的活性は、抗体への結合によって調節される。本発明の抗体−薬剤結合体(ADC)は、腫瘍組織に細胞毒性剤の有効用量を選択的に送達し、それによって、より高い選択性、すなわちより低い有効用量が達成できる。
【0369】
したがって、一態様では、本発明は、治療に使用するためのここに記載される結合体化合物を提供する。
【0370】
さらなる態様では、増殖性疾患の治療に使用するためのここに記載した結合体化合物を提供する。本発明の第2の態様は、増殖性疾患を治療するための医薬の製造における結合体化合物の使用を提供する。
【0371】
当業者であれば、候補結合体が任意の特定の細胞型について増殖性状態を治療するかどうかを容易に決定することができる。例えば、特定の化合物により与えられる活性を評価するために簡便に使用することができるアッセイを、以下の実施例に記載する。
【0372】
用語「増殖性疾患」とは、試験管内であるか生体内であるかを問わず、腫瘍性成長又は過形成性成長といった、望ましくない過剰又は異常細胞の不必要な又は制御されない細胞増殖をいう。
【0373】
増殖性状態の例としては、限定されないが、良性、前悪性及び悪性の細胞増殖、例えば、新生物及び腫瘍(例えば、組織球、神経膠腫、星状細胞腫、骨腫)、癌(例えば、肺癌、小細胞、肺癌、消化器癌、大腸癌、結腸癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、精巣癌、肝臓癌、腎臓癌、膀胱癌、膵臓癌、脳癌、肉腫、骨肉腫、カポジ肉腫、黒色腫)、リンパ腫、白血病、乾癬、骨疾患、線維増殖性障害(例えば結合組織の)及びアテローム性動脈硬化症が挙げられるが、これらに限定されない。特に関心のある癌としては、白血病及び卵巣癌が挙げられるが、これらに限定されない。
【0374】
細胞の任意のタイプを処置することができ、例えば、肺、胃腸(例えば腸、結腸を含む)、乳房(乳腺)、卵巣、前立腺、肝臓(肝)、腎臓(腎)、膀胱、膵臓、脳、及び皮膚が挙げられるが、これらに限定されない。
【0375】
特に関心のある癌としては、乳癌、胃癌又は膀胱癌が挙げられるが、これらに限定されない。
【0376】
本発明の抗体−薬剤結合体(ADC)を使用して、例えば腫瘍抗原の過剰発現によって特徴付けられる様々な疾患又は障害を治療することができると考えられる。代表的な状態又は過剰増殖性疾患としては、良性又は悪性腫瘍;白血病、血液悪性腫瘍及びリンパ性悪性腫瘍が挙げられる。その他のものとしては、神経細胞、グリア、星状細胞、視床下部、腺、マクロファージ、上皮、間質、胞胚腔、炎症、血管新生及び自己免疫疾患を含めて免疫学的なものが挙げられる。
【0377】
一般的に、治療される疾患又は障害は、癌などの過剰増殖性疾患である。ここで治療される癌の例としては、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病又はリンパ性悪性腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。このような癌のより特定の例としては、扁平上皮細胞癌(例えば上皮扁平細胞癌)、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌及び肺の扁平上皮癌を含む肺癌、腹膜の癌、肝細胞癌、胃腸癌などの胃部癌又は胃癌、膵臓癌、神経膠芽細胞腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝細胞癌、乳癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌又は子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌又は腎癌、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、肝癌、肛門癌、陰茎癌並びに頭頸部癌が挙げられる。
【0378】
ADC化合物を治療に使用することができる自己免疫疾患としては、リウマチ性疾患(例えば、関節リウマチ、シェーグレン症候群、強皮症、SLE及びループス腎炎のような狼瘡、多発性筋炎/皮膚筋炎、クリオグロブリン血症、抗リン脂質抗体症候群及び乾癬性関節炎など)、変形性関節症、自己免疫性胃腸及び肝臓障害(例えば、炎症性腸疾患(例えば潰瘍性大腸炎及びクローン病)、自己免疫性胃炎及び悪性貧血、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎及びセリアック病など)、
【0379】
血液学的疾患(例えば、血小板減少性紫斑病、血栓性血小板減少性紫斑病、輸血後紫斑病及び自己免疫性溶血性貧血など)、アテローム性動脈硬化症、ブドウ膜炎、自己免疫性聴覚疾患(例えば、内耳疾患及び聴力低下など)、ベーチェット病、レイノー症候群、臓器移植及び自己免疫内分泌障害(例えば、インスリン依存性糖尿病(IDDM)などの糖尿病関連自己免疫疾患、アジソン病及び自己免疫性甲状腺疾患(例えばグレーブス病及び甲状腺炎)など)が挙げられる。より好ましいこのような疾患としては、例えば、関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、ANCA関連血管炎、狼瘡、多発性硬化症、シェーグレン症候群、グレーブス病、IDDM、悪性貧血、甲状腺炎及び糸球体腎炎が挙げられる。
【0380】
治療方法
本発明の結合体は、治療方法に使用できる。また、提供されるのは、治療を必要とする被験体に、治療に有効な量の本発明の結合体化合物を投与することを含む治療方法である。「治療に有効な量」という用語とは、患者に対して利益を示すのに十分な量のことである。このような利益は少なくとも一つの症状の少なくとも改善であることができる。実際の投与量及び投与の割合と時間経過は、治療されるものの性質及び重症度に依存する。治療の処方、例えば、投与量の決定は、一般開業医及び他の医師の責任の範囲内である。
【0381】
本発明の化合物は、治療される状態に応じて同時に又は連続的に、単独で又は他の治療と組み合わせて投与できる。治療及び療法の例としては、化学療法(例えば化学療法剤などの薬物を含めた活性剤の投与)、手術及び放射線治療が挙げられるが、これらに限定されない。
【0382】
「化学療法剤」は、作用機構にかかわらず癌の治療に有用な化学化合物である。化学療法剤の部類としては、アルキル化剤、代謝拮抗剤、紡錘体毒植物アルカロイド、細胞毒性/抗腫瘍抗生物質、トポイソメラーゼ阻害剤、抗体、光増感剤及びキナーゼ阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。化学療法剤としては、「標的治療」及び従来の化学療法で使用される化合物が挙げられる。
【0383】
化学療法剤の例としては、エルロチニブ(TARCEVA(登録商標)、Genentech/OSI Pharm.)、ドセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、サノフィ・アベンティス)、5−FU(フルオロウラシル、5−フルオロウラシル、CAS番号51−21−8)、ゲムシタビン(GEMZAR(登録商標)、リリー)、 PD−0325901(CAS番号391210−10−9、ファイザー)、シスプラチン(シスジアミン、ジクロロ白金(II)、CAS番号15663−27−1)、カルボプラチン(CAS番号41575−94−4)、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)、ブリストル・マイヤーズスクイブオンコロジー、米国ニュージャージー州プリンストン)、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標)、ジェネンテック)、テモゾロミド(4−メチル−5−オキソ−2,3,4,6,8−ペンタアザビシクロ[4.3.0]ノナ−2,7,9−トリエン−9−カルボキサミド、CAS番号85622−93−1、TEMODAR(登録商標)、TEMODAL(登録商標)、シェリング・プラウ)、タモキシフェン((Z)−2−[4−(1,2−ジフェニル−1−ブテニル)フェノキシ]−N,N−ジメチルエタンアミン、NOLVADEX(登録商標)、ISTUBAL(登録商標)、VALODEX(登録商標 )及びドキソルビシン(ADRIAMYCIN(登録商標))、Akti−1/2、HPPD及びラパマイシンが挙げられる。
【0384】
化学療法剤のさらなる例としては、次のものが挙げられる:オキサリプラチン(ELOXATIN(登録商標)、サノフィ)、ボルテゾミブ(VELCADE(登録商標)、Millennium Pharm.)、スーテント(SUNITINIB(登録商標)、SU11248、ファイザー)、レトロゾール(FEMARA(登録商標)、ノバルティス)、メシル酸イマチニブ(GLEEVEC(登録商標)、ノバルティス)、XL−518(MEK阻害剤、エクセリクシス、WO2007/044515)、ARRY−886(MEK阻害剤、AZD6244、アレイバイオファーマ、アストラゼネカ)、SF−1126(PI3K阻害剤、Semafore Pharmaceuticals)、BEZ−235(PI3K阻害剤、ノバルティス)、XL−147(PI3K阻害剤、エクセリクシス)、PTK787/ZK222584(ノバルティス)、フルベストラント(FASLODEX(登録商標)、アストラゼネカ)、ロイコボリン(フォリン酸)、ラパマイシン(シロリムス、RAPAMUNE(登録商標)、Wyeth社)、ラパチニブ(TYKERB(登録商標)、GSK572016、グラクソスミスクライン)、ロナファルニブ(SARASAR(商標)、SCH66336、シェリング・プラウ)、ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標)、BAY43−9006、バイエル研究所)、ゲフィチニブ(IRESSA(登録商標)、アストラゼネカ)、イリノテカン(CAMPTOSAR(登録商標)、CPT−11、ファイザー)、チピファルニブ(ZARNESTRA(商標)、ジョンソン・エンド・ジョンソン)、ABRAXANE(商標)(クレモフォアを含まない)、パクリタキセルのアルブミン操作ナノ粒子製剤(American Pharmaceutical Partners、米国イリノイ州Schaumberg)、バンデタニブ(rINN、ZD6474、ZACTIMAR、アストラゼネカ)、クロラムブシル、AG1478、AG1571(SU5271;Sugen)、テムシロリムス(TORISEL(登録商標)、Wyeth)、パゾパニブ(グラクソスミスクライン)、カンフォスファミド(TELCYTA(登録商標)、Telik)、チオテパ及びシクロホスファミド(CYTOXAN(登録商標)、NEOSAR(登録商標));ブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファンなどのスルホン酸アルキル;ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ及びウレドーパなどのアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド及びトリメチロメラミンを含むエチレンイミン及びメチルアメラミン;アセトゲニン(特にブラタシン及びブラタシノン);カンプトテシン(合成アナログトポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC−1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン及びビゼレシン合成アナログを含む);クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成アナログのKW−2189及びCB1−TM1を含む);エレウテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチイン;スポンギスタチン;クロラムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベムビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びラニムスチンなどのニトロソ尿素;エンジイン抗生物質などの抗生物質(例えばカリケアマイシン、カリケアマイシンgamma1I、カリケアマイシンomegaI1(Angew Chem.Intl.Ed.Engl.(1994)33:183−186);ダイネミシン、ダイネミシンA;クロドロネートなどのビスホスホネート;エスペラマイシン;並びにネオカルチノスタチン発色団及び関連する色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アントラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、ミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、モルホリノ−ドキソルビシン、シアノモルホリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシン及びデオキシドキソルビシン)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、ネモルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンCなどのマイトマイシン類、ミコフェノール酸、ナガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;メトトレキセート及び5−フルオロウラシル(5−FU)などの抗代謝産物;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキセートなどの葉酸アナログ;フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなどのプリンアナログ;アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジンなどのピリミジンアナログ;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなどのアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなどの抗副腎;フォリン酸などの葉酸補充液;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキセート;デホファミン;デメコルチン;ジアジクオン;エルホルニチン;エリプチニウムアセテート;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダイニン;メイタンシン及びアンサマイトシンなどのメイタンシノイド;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモル;ニトラエリン;ペントスタチン; フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリニン酸;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖類複合体(米国オレゴン州ユージーンのJHS Natural Products);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2”−トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特に、T−2毒素、ベラクリンA、ロリジンA及びアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン; ガシトシン;アラビノシド(「Ara−C」);シクロホスファミド;チオテパ;6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;シスプラチン及びカルボプラチンなどの白金アナログ;ビンブラスチン;エトポシド(VP−16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン(NAVELBINE(登録商標));ノバントロン;テニポシド;エダトレキセート;ダウノマイシン;アミノプテリン;カペシタビン(XELODA(登録商標)、ロシュ)。イバンドロネート;CPT−11;トポイソメラーゼインヒビターRFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸などのレチノイド;並びに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸及び誘導体。
【0385】
また、「化学療法剤」の定義に含まれるのは、次のものである:(i)例えばタモキシフェン(NOLVADEX(登録商標);クエン酸タモキシフェン)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン及びFARESTON(登録商標)(トレミフィンシトレート)を含めて抗エストロゲン及び選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)などの腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するように作用する抗ホルモン剤;(ii)例えば、4(5)−イミダゾール、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)(酢酸メゲストロール)、AROMASIN(登録商標)(エキセメスタン;ファイザー)、ホルメスタニー、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)(ボロゾール)、FEMARA(登録商標)(レトロゾール;ノバルティス)及びARIMIDEX(登録商標)(アナストロゾール;アストラゼネカ)などの副腎でのエストロゲン産生を調節する、酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤;(iii)フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド及びゴセレリンなどの抗アンドロゲン;並びにトロキサシタビン(1,3−ジオキソランヌクレオシドシトシンアナログ);(iv)MEK阻害剤などのプロテインキナーゼ阻害剤(WO2007/044515);(v)脂質キナーゼ阻害剤;(vi)アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に異常な細胞増殖に関与するシグナル伝達経路における遺伝子の発現を阻害するもの、例えばオブリメルセン(GENASENSE(登録商標)、ジェンタ社)などPKC−α、Raf及びH−RAS;(Vii)VEGF発現阻害剤(例えば、ANGIOZYME(登録商標))及びHER2発現阻害剤などのリボザイム;(viii)遺伝子治療ワクチンなどのワクチン、例えば、ALLOVECTIN(登録商標)、LEUVECTIN(登録商標)及びVAXID(登録商標);PROLEUKIN(登録商標)rIL−2;LURTOTECAN(登録商標)などのトポイソメラーゼ1阻害剤;ABARELIX(登録商標)rmRH;(ix)ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標)、Genentech社)などの抗血管新生剤;並びに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸及び誘導体。
【0386】
また、「化学療法剤」の定義に含まれるのは、アレムツズマブ(Campath)、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標)、ジェネンテック社)などの治療用抗体;セツキシマブ(ERBITUX(登録商標)、Imclone社);パニツムマブ(VECTIBIX(登録商標)、アムジェン)、リツキシマブ(RITUXAN(登録商標)、ジェネンテック/バイオジェン・アイデック)、オファツムマブ(ARZERRA(登録商標)、GSK)、ペルツズマブ(PERJETATM、OMNITARG(商標)、2C4、ジェネンテック社)、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標)、ジェネンテック社)、トシツモマブ(Bexxar、Corixia)並びに抗体薬剤結合体、ゲムツズマブオゾガマイシン(Mylotarg(登録商標)、ワイス社)である。
【0387】
本発明の結合体と組み合わせた化学療法剤としての治療可能性を有するヒト化モノクローナル抗体としては、次のものが挙げられる:アレムツズマブ、アポリズマブ、アセリズマブ、アトリズマブ、バピネオズマブ、ベバシズマブ、ビバツズマブメルタンシン、カンツズマブメルタンシン、セデリズマブ、セルトリズマブペゴル、シドフシツズマブ、シドツズマブ、ダクリズマブ、エクリズマブ、エファリズマブ、エプラツズマブ、エルリズマブ、フェルビズマブ、ホントリズマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン、オゾガマイシンイノツズマブ、イピリムマブ、ラベツズマブ、リンツズマブ、マツズマブ、メポリズマブ、モタビズマブ、モトビズマブ、ナタリズマブ、ニモツズマブ、ノロビズマブ、ヌマビズマブ、オクレリズマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パスコリズマブ、ペシフシツズマブ、ペクツズマブ、ペルツズマブ、ペキセリズマブ、ラリビズマブ、ラニビズマブ、レスリビズマブ、レスリズマブ、レシビズマブ、ロベリズマブ、ルプリズマブ、シブロツズマブ、シプリズマブ、ソンツズマブ、タカツズマブテトラキセタン、タドシズマブ、タリズマブ、テフィバズマブ、トシリズマブ、トラリズマブ、トラスツズマブ、ツコツズマブセルモロイキン、ツクシツズマブ、ウマビズマブ、ウルトキサズマブ及びビシリズマブ。
【0388】
本発明に係る医薬組成物及び本発明に従って使用するための医薬組成物は、活性成分、すなわち結合体化合物に加えて、薬学的に許容される賦形剤、担体、緩衝剤、安定剤又は当業者に周知の他の材料を含むことができる。このような材料は、非毒性であるべきであり、活性成分の有効性を妨害してはならない。担体その他の材料の正確な性質は、経口又は注射、例えば、皮膚、皮下又は静脈内であることができる投与経路に依存する。
【0389】
経口投与用の医薬組成物は、錠剤、カプセル、粉末又は液体形態とすることができる。錠剤は、固体キャリア又はアジュバントを含むことができる。液体医薬組成物は、一般に、水、石油、動物油又は植物油、鉱油又は合成油などの液体キャリアを含む。生理食塩溶液、デキストロース又は他の糖類溶液又はエチレングリコール、プロピレングリコール若しくはポリエチレングリコールなどのグリコールを含むことができる。カプセルは、ゼラチンなどの固体キャリアを含むことができる。
【0390】
静脈内、皮膚若しくは皮下注射又は罹患部位での注射について、活性成分は、発熱物質を含まず、かつ、適切なpH、等張性及び安定性を有する非経口的に許容できる水溶液の形態である。当業者は、例えば、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、乳酸リンゲル注射液などの等張性ビヒクル用いて適切な溶液をうまく調製することができる。必要に応じて、保存剤、安定剤、緩衝剤、抗酸化剤及び/又は他の添加剤を含むことができる。
【0391】
処方物
結合体化合物を単独で使用(例えば、投与)することが可能であるが、組成物又は諸方物として与えることが好ましい場合が多い。
【0392】
一実施形態では、組成物は、ここで記載される結合体化合物と、薬学的に許容されるキャリア、希釈剤又は賦形剤とを含む医薬組成物(例えば、諸方物、製剤、薬剤)である。
【0393】
一実施形態では、組成物は、ここで説明する少なくとも1種の結合体化合物と、当業者に知られている1種以上の他の薬学的に許容される成分、例えば、限定されないが、薬学的に許容されるキャリア、希釈剤、賦形剤、アジュバント、充填剤、緩衝剤、防腐剤、抗酸化剤、潤滑剤、安定剤、可溶化剤、界面活性剤(例えば、湿潤剤)、マスキング剤、着色剤、香味剤及び甘味剤とを含む医薬組成物である。
【0394】
一実施形態では、組成物は、他の活性剤、例えば他の治療薬又は予防薬をさらに含む。
【0395】
好適なキャリア、希釈剤、賦形剤などは、標準的な薬学の教科書に見出すことができる。例えば、Handbook of Pharmaceutical Additives、第2版(M.Ash及びI.Ash編),2001(Synapse Information Resources,Inc.米国ニューヨークEndicott)、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第20版、Lippincott,Williams & Wilkins,2000;及びHandbook of Pharmaceutical Excipients,第2版,1994参照。
【0396】
本発明の別の態様は、ここで定義される少なくとも1種の[11C]放射性同位元素標識結合体又は結合体様化合物と、当業者に周知の1種以上の他の薬学的に許容される成分、例えば、キャリア、希釈剤、賦形剤などとを混合させることを含む医薬組成物の製造方法に関する。別個の単位として処方する場合(例えば、錠剤など)には、各単位は、活性化合物の所定量(投与量)を含む。
【0397】
ここで使用するときに、用語「薬学的に許容される」とは、音響医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応又は他の問題若しくは合併症なしに、当該被験者(例えば、ヒト)の組織との接触における使用に好適で、合理的な利益/リスク比に見合った化合物、成分、材料、組成物、剤形などをいう。それぞれのキャリア、希釈剤、賦形剤などは、処方物の他の成分と適合するという意味で「許容可能」でなければならない。
【0398】
処方物は、薬学の分野で周知の任意の方法によって調製できる。このような方法は、活性化合物と、1種以上の補助成分を構成するキャリアとを一緒にする工程を含む。一般に、処方物は、活性化合物とキャリア(例えば、液体キャリア、微粉固体キャリアなど)とを均一かつ密接に混合し、そして必要に応じて、その後、生成物を成形することによって調製される。
【0399】
製剤は、速又は遅放性;即時、遅延、時限又は持続放出性;又はそれらの組み合わせを与えるように調製できる。
【0400】
非経口投与(例えば、注射による)に好適な処方物としては、水性又は非水性の等張性で発熱物質を含まない滅菌液体(例えば、溶液、懸濁液)が挙げられ、そこに、活性成分が溶解、懸濁又はそうでなければ準備されている(例えば、リポソーム又は他の微粒子で)。このような液体は、抗酸化剤、緩衝剤、保存剤、安定剤、静菌剤、懸濁化剤、増粘剤及び処方物を目的のレシピエントの血液(又は他の関連する体液)と等張にする溶質などの薬学的に許容される他の成分をさらに含有することができる。賦形剤の例としては、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセロール、植物油などが挙げられる。このような処方物に使用するのに好適な等張性キャリアの例としては、塩化ナトリウム注射液、リンゲル液又は乳酸加リンゲル注射液が挙げられる。典型的には、液体中における活性成分の濃度は、約1 ng/ml〜約10μg/ml、例えば約10ng/ml〜約1μg/mlである。処方物は、単位用量又は複数用量の密封容器、例えばアンプル及びバイアルで提供でき、そして使用直前に無菌液体キャリア、例えば注射用の水の添加しか必要とされないフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存できる。即席注射溶液及び懸濁液は、滅菌粉末、顆粒及び錠剤から調製できる。
【0401】
用量
結合体化合物及び結合体化合物を含む組成物の適切な投与量は、患者によって変更できることが当業者であれば分かるであろう。最適投与量の決定は、一般に、任意のリスク又は有害な副作用に対して治療効果のレベルのバランスをとることを伴う。選択される用量レベルは、特定の化合物の活性、投与経路、投与時間、化合物の排泄速度、治療期間、併用される他の薬物、化合物及び/又は材料、状態の重症度、並びに患者の種類、性別、年齢、体重、状態、一般的健康状態及び病歴(これらに限定されない)を含め、様々な要因に依存するであろう。化合物の量及び投与経路は、最終的には医師、獣医師、又は臨床医の判断になるが、一般に、用量は、重大な有害又は有毒な副作用を引き起こすことなく所望の効果を実現する作用部位での局所濃度を達成するように選択される。
【0402】
投与は、治療の過程を通して連続的又は断続的に(例えば適切な間隔での分割用量で)単回投与で実施できる。投与の最も有効な手段及び用量を決定する方法は、当業者には周知であり、かつ、治療のために使用される処方物、治療の目的、治療される標的細胞及び治療される対象により変わってくる。単回又は複数回投与は、治療する医師、獣医師、又は臨床医によって選択される用量レベル及びパターンで実施できる。
【0403】
一般に、活性化合物の好適な用量は、1日当たり被験体の体重1キログラム当たり約約100ng〜25mg(より典型的には約1μg〜約10mg)の範囲である。活性化合物が塩、エステル、アミド、プロドラッグ等である場合には、投与量は親化合物に基づいて計算されるため、使用される実際の重量は比例して増加する。
【0404】
一実施形態では、活性化合物は、以下の投与計画に従ってヒト患者に投与される:約100mgを1日3回。
【0405】
一実施形態では、活性化合物は、以下の投与計画に従ってヒト患者に投与される:約150mgを1日2回。
【0406】
一実施形態では、活性化合物は、以下の投与計画に従ってヒト患者に投与される:約200mgを1日2回。
【0407】
しかし、一実施形態では、結合体化合物は、以下の投与計画に従ってヒト患者に投与される:約50又は約75mgを1位日3又は4回。
【0408】
一実施形態では、結合体化合物は、以下の投与計画に従ってヒト患者に投与される:約100又は約125mgを1日2回。
【0409】
上記の投与量は、結合体(PBD部分及び抗体へのリンカーを含む)又は与えられるPBD化合物の有効量、例えばリンカーの切断後に放出可能な化合物の量に適用できる。
【0410】
疾患の予防又は治療について、本発明のADCの適切な投薬量は、上で定義されるように、治療される疾患のタイプ、疾患の重症度及び経過、その分子が予防又は治療目的で投与されるかどうか、以前の治療、患者の病歴及び抗体に対する応答並びに主治医の裁量に依存する。この分子は、患者に一度に又は一連の治療にわたって好適に投与される。疾患のタイプ及び重症度に応じて、1μg/kg〜15mg/kg(例えば0.1〜20mg/kg)の分子は、例えば、1回以上の別個の投与によるか連続注射によるかどうかを問わず、患者への投与のための最初の候補投与量である。
【0411】
典型的な一日用量は、上記の要因に応じて約1μg/kg〜100mg/kg以上の範囲の場合がある。患者に投与されるADCの例示的な用量は、患者の体重の約0.1〜約10mg/kgの範囲にある。数日間以上にわたる反復投与については、状態に応じて、疾患症状の所望の抑制が生じるまで治療を維持する。典型的な投薬計画は、約4mg/kgの初期負荷投与量、その後ADCの毎週、2週間又は3週間の追加投与量を投与する過程を含む。他の投薬計画も有用な場合がある。この治療の進行は、従来の技術及びアッセイによって容易に監視される。
【0412】
治療
症状を治療する文脈においてここで使用される用語「治療」とは、一般に、ヒト又は動物(例えば、獣医学用途における)かどうかを問わず、いくつかの所望の治療効果、例えば状態の進行の阻害が達成される治療及び治療をいい、かつ、進行速度の低下、進行速度の停止、症状の退縮、状態の寛解及び状態の治癒を含む。また、予防手段としての治療(すなわち、予防、防止)も含まれる。
【0413】
ここで使用するときに、用語「治療上有効な量」とは、所望の治療計画に従って投与された場合にいくつかの所望の治療効果を生じさせるのに有効で、合理的な利益/リスク比に見合う活性化合物の量又は活性化合物を含む材料、組成物若しくは投薬の量をいう。
【0414】
同様に、用語「予防上有効な量」とは、所望の治療計画に従って投与された場合にいくつかの所望の予防効果を生じさせるのに有効で、合理的な利益/リスク比に見合う活性化合物の量又は活性化合物を含む材料、組成物若しくは投薬の量をいう。
【0415】
薬剤結合体の調製
抗体薬剤結合体は、抗体の求核基と薬剤−リンカー試薬との反応を含め、当業者に知られている有機化学反応、条件及び試薬を使用していくつかの経路によって調製できる。この方法を使用して本発明の抗体−薬剤結合体を調製することができる。
【0416】
抗体上の求核基としては、側鎖チオール基、例えばシステインが挙げられるが、これらに限定されない。チオール基は求核性であり、本発明のもののように反応してリンカー部分上の求電子基と共有結合を形成することができる。所定の抗体は、還元性鎖間ジスルフィド、すなわちシステイン架橋を有する。抗体は、DTT(クリーランド試薬、ジチオトレイトール)又はTCEP(トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩;Getz外(1999)Anal.Biochem.第273巻:73−80;Soltec Ventures,Beverly,MA)などの還元剤での処理によって、リンカー試薬との結合について反応になることができる。このようにして、それぞれのシステインジスルフィド架橋は、理論的には、2個の反応性チオール求核基を形成することになる。付加的な求核基を、アミンをチオールに転換させるリシンと2−イミノチオラン(トラウト試薬)との反応により抗体に導入することができる。
【0417】
被験体/患者
被験体/患者は、動物、哺乳動物、胎盤哺乳類、有袋類(例えば、カンガルー、ウォンバット)、単孔類(例えば、カモノハシカモノハシ)、げっ歯類(例えば、モルモット、ハムスター、ラット、マウス)、ネズミ科(例えば、マウス)、ウサギ目(例えば、ウサギ)、鳥類(例えば、鳥)、イヌ科(例えば、犬)、ネコ科(例えば、猫)、ウマ科(例えば、馬)、ブタ(例えば、豚)、ヒツジ(例えば、羊)、ウシ属(例えば、雌牛)、霊長類、サル(例えば、猿又は類人猿)、サル(例えば、マーモセット、ヒヒ)、類人猿(例えば、ゴリラ、チンパンジー、オランウータン、テナガザル)又はヒトであることができる。
【0418】
また、被験体/患者は、その発達形態のうち任意のもの、例えば胎児であることができる。好ましい一実施形態では、被験体/患者はヒトである。
【0419】
追加の優先
次の優先は、上記本発明の全ての態様に適用される場合もあり又は単一の態様に関連する場合もある。これらの優先事項を任意の組み合わせで互いに組み合わせることができる。
【0420】
いくつかの実施形態では、R6’、R7’、R9’及びY’は、好ましくは、それぞれR6、R7、R9及びYと同一である。
【0421】
二量体結合
Y及びY’は、好ましくはOである。
【0422】
R”は好ましくは置換基を有しないC3〜7アルキレン基である。より好ましくは、R”は、C3、C5、又はC7アルキレンである。最も好ましくは、R”はC3又はC5アルキレンである。
【0423】
6〜R9
9は、好ましくはHである。
【0424】
6は、好ましくは、H、OH、OR、SH、NH2、ニトロ及びハロから選択され、より好ましくは、H又はハロであり、最も好ましくはHである。
【0425】
7は、好ましくはH、OH、OR、SH、SR、NH2、NHR、NRR’及びハロから選択され、より好ましくは独立して、H、OH及びORから選択され、ここで、Rは、好ましくは、置換されていてよいC1〜7アルキル、C3〜10ヘテロシクリル及びC5〜10アリール基から選択される。Rは、より好ましくは、置換されていても置換されていなくてもよいC1〜4アルキル基であることができる。関心のある置換基は、C5〜6アリール基(例えばフェニル)である。7位での特に好ましい置換基はOMe及びOCH2Phである。特に関心のある他の置換基は、ジメチルアミノ(すなわち、−NMe2);−(OC24qOMe(ここで、qは0〜2である。);モルホリノ、ピペリジニル及びN−メチル−ピペラジニルを含めた窒素含有C6ヘテロシクリルである。
【0426】
これらの優先は、それぞれ、R9’、R6’及びR7’に適用される。
【0427】
12
C2’とC3’との間に二重結合が存在する場合には、R12は次のものから選択される:
(a)ハロ、ニトロ、シアノ、エーテル、C1〜7アルキル、C3〜7ヘテロシクリル及びビスオキシ−C1〜3アルキレンよりなる群から選択される1個以上の置換基により置換されていてよいC5〜10アリール基;
(b)C1〜5飽和脂肪族アルキル;
(c)C3〜6飽和シクロアルキル;
(d)
【化100】
(ここで、R21、R22及びR23のそれぞれは、独立して、H、C1〜3飽和アルキル、C2〜3アルケニル、C2〜3アルキニル及びシクロプロピルから選択され、ここで、R12基における炭素原子の総数は5以下である);
(e)
【化101】
(ここで、R25a及びR25bの一方はHであり、他方はフェニル(該フェニルは、ハロ、メチル、メトキシで置換されていてよい)、ピリジル及びチオフェニルから選択される);及び
(f)
【化102】
(ここで、R24は、H、C1〜3飽和アルキル、C2〜3アルケニル、C2〜3アルキニル、シクロプロピル、フェニル(このフェニルは、ハロ、メチル、メトキシから選択される基により置換されていてよい)、ピリジル及びチオフェニルから選択される)。
【0428】
12がC5〜10のアリール基である場合には、このものはC5〜7アリール基であることができる。C5〜7アリール基は、フェニル基又はC5〜7ヘテロアリール基、例えば、フラニル、チオフェニル及びピリジルであることができる。いくつかの実施形態では、R12は、好ましくはフェニルである。他の実施形態では、R12は、好ましくチオフェニル、例えば、チオフェン−2−イル及びチオフェン−3−イルである。
【0429】
12がC5〜10アリール基の場合には、このものは、C8〜10アリール、例えば、キノリニル又はイソキノリニル基であることができる。キノリニル又はイソキノリニル基は、任意の利用可能な環位置を介してPBDコアに結合できる。例えば、キノリニルは、キノリン−2−イル、キノリン−3−イル、キノリン−4−イル、キノリン−5−イル、キノリン−6−イル、キノリン−7−イル及びキノリン−8−イルであることができる。これらのうち、キノリン−3−イル及びキノリン−6−イルが好ましい場合がある。イソキノリニルは、イソキノリン−1−イル、イソキノリン−3−イル、イソキノリン−4−イル、イソキノリン−5−イル、イソキノリン−6−イル、イソキノリン−7−イル及びイソキノリン−8−イルであることができる。これらのなかでは、イソキノリン−3−イル及びイソキノリン−6−イルが好ましい場合がある。
【0430】
12がC5〜10のアリール基である場合には、このものは任意の数の置換基を有することができる。このものは、好ましくは1〜3個の置換基を保持し、1〜2個がより好ましく、単独で置換された基が最も好ましい。置換基は任意の位置であることができる。
【0431】
12がC5〜7アリール基である場合には、単一の置換基は、好ましくは、化合物の残部への結合に隣接していない環原子上にある、すなわち、このものは、好ましくは、化合物の残部への結合に対してβ又はγである。したがって、C5〜7アリール基がフェニルの場合には、その置換基は、好ましくはメタ又はパラ位にあり、より好ましくはパラ位にある。
【0432】
12がC8〜10アリール基、例えばキノリニル又はイソキノリニルである場合には、このものは、キノリン又はイソキノリン環の任意の位置に任意の数の置換基を保持できる。いくつかの実施形態では、このものは、1個、2個又は3個の置換基を保持し、これらのものは、近位及び遠位の環又は両方(1個以上の置換基の場合)にあることができる。
【0433】
12がC5〜10アリール基である場合のR12置換基
12がC5〜10アリール基であるときのR12の置換基がハロである場合には、これは好ましくはF又はClであり、より好ましくはFである。
【0434】
12がC5〜10のアリール基であるR12上の置換基がエーテルである場合には、このものは、いくつかの実施形態では、アルコキシ基、例えば、C1〜7アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ)であることができ、又はいくつかの実施形態では、C5〜7アリールオキシ基(例えばフェノキシ、ピリジルオキシ、フラニルオキシ)であることができる。アルコキシ基は、例えばアミノ基(例えばジメチルアミノ)によってそれ自体さらに置換されていてもよい。
【0435】
12がC5〜10アリール基である場合のR12上の置換基がC1〜7アルキルである場合には、このものは、好ましくはC1〜4アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル)であることができる。
【0436】
12がC5〜10アリール基であるR12上の置換基がC3〜7ヘテロシクリルである場合には、このものは、いくつかの実施形態ではC6窒素含有ヘテロシクリル基、例えば、モルホリノ、チオモルホリノ、ピペリジニル、ピペラジニルであることができる。これらの基は、窒素原子を介して、PBD部分の残部に結合できる。これらの基は、例えばC1〜4アルキル基によってさらに置換されていてもよい。C6窒素含有ヘテロシクリル基がピペラジニルである場合には、該さらなる置換基は、第2の窒素環原子上にあることができる。
【0437】
12がC5〜10アリール基である場合のR12上の置換基がビスオキシC1〜3アルキレンである場合には、このものは、好ましく、ビスオキシメチレン又はビスオキシエチレンである。
【0438】
12がC5〜10アリール基であるR12上の置換基がエステルである場合には、このものは、好ましくはメチルエステル又はエチルエステルである。
【0439】
12がC5〜10アリール基であるときの特に好ましい置換基としては、メトキシ、エトキシ、フルオロ、クロロ、シアノ、ビスオキシメチレン、メチルピペラジニル、モルホリノ及びメチルチオフェニルが挙げられる。R12についての特に好ましい別の置換基はジメチルアミノプロピル及びカルボキシである。
【0440】
12がC5〜10アリール基であるときの特に好ましい置換R12基としては、4−メトキシフェニル、3−メトキシフェニル、4−エトキシフェニル、3−エトキシフェニル、4−フルオロフェニル、4−クロロフェニル、3,4−ビスオキシメチレンフェニル、4−メチルチオフェニル、4−シアノフェニル、4−フェノキシフェニル、キノリン−3−イル及びキノリン−6−イル、イソキノリン−3−イル及びイソキノリン−6−イル、2−チエニル、2−フラニル、メトキシナフチル及びナフチルが挙げられるが、これらに限定されない。別の可能な置換基R12は、4−ニトロフェニルである。特に興味深いR12基は、4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル及び3,4−ビスオキシメチレンフェニルが挙げられる。
【0441】
12がC1〜5飽和脂肪族アルキルである場合には、このものは、メチル、エチル、プロピル、ブチル又はペンチルであることができる。いくつかの実施形態では、このものは、メチル、エチル又はプロピル(n−ペンチル又はイソプロピル)であることができる。これらの実施形態のいくつかでは、このものはメチルであることができる。他の実施形態では、このものは、直鎖状又は分岐状であることができるブチル又はペンチルであることができる。
【0442】
12がC3〜6飽和シクロアルキルである場合には、これは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシルであることができる。いくつかの実施形態では、これはシクロプロピルであることができる。
【0443】
12
【化103】
の場合には、R21、R22及びR23のそれぞれは、独立して、H、C1〜3飽和アルキル、C2〜3アルケニル、C2〜3アルキニル及びシクロプロピルから選択され、ここで、R12基中における炭素原子の総数は5以下である。いくつかの実施形態では、R12基中の炭素原子の総数は4以下又3以下である。
【0444】
いくつかの実施形態では、R21、R22及びR23の一つはHであり、他の2つの基は、H、C1〜3飽和アルキル、C2〜3アルケニル、C2〜3アルキニル及びシクロプロピルから選択される。
【0445】
他の実施形態では、R21、R22及びR23の二つはHであり、他の基はH、C1〜3飽和アルキル、C2〜3アルケニル、C2〜3アルキニル及びシクロプロピルから選択される。
【0446】
いくつかの実施形態では、Hではない基は、メチル及びエチルから選択される。これらの実施形態のいくつかでは、Hではない基はメチルである。
【0447】
いくつかの実施形態では、R21はHである。
【0448】
いくつかの実施形態では、R22はHである。
【0449】
いくつかの実施形態では、R23はHである。
【0450】
いくつかの実施形態では、R21及びR22はHである。
【0451】
いくつかの実施形態では、R21及びR23はHである。
【0452】
いくつかの実施形態では、R22及びR23はHである。
【0453】
特に関心のあるR12基は次のものである:
【化104】
【0454】
12
【化105】
の場合には、R25a及びR25bの一方はHであり、他方は、ハロ、メチル、メトキシから選択される基により置換されていてよいフェニル;ピリジル;及びチオフェニルから選択される。いくつかの実施形態では、Hでない基は、置換されていてよいフェニルである。任意のフェニル置換基がハロである場合には、これは好ましくはフルオロである。ある種の実施形態では、フェニル基は非置換である。
【0455】
12
【化106】
の場合には、R24は、H;C1〜3飽和アルキル;C2〜3アルケニル;C2〜3アルキニル;シクロプロピル;ハロ、メチル、メトキシから選択される基で置換されていてよいフェニル;ピリジル及びチオフェニルから選択される。任意のフェニル置換基がハロである場合には、これは好ましくはフルオロである。ある種の実施形態では、フェニル基は、非置換である。
いくつかの実施形態では、R24はH、メチル、エチル、エテニル及びエチニルから選択される。これらの実施形態のいくつかでは、R24はH及びメチルから選択される。
【0456】
C2’とC3’との間に単結合が存在する場合には、R12
【化107】
であり、ここで、R26a及びR26bは、独立して、H、F、C1〜4飽和アルキル及びC2〜3アルケニルから選択され、該アルキル及びアルケニル基は、C1〜4アルキルアミド及びC1〜4アルキルエステルから選択される基で置換されていてよく、又は、R26a及びR26bの一方がHである場合には、他方は、ニトリル及びC1〜4アルキルエステルから選択され;他のものはニトリル及びC1〜4アルキルエステルから選択される。
【0457】
いくつかの実施形態では、R26a及びR26bは両方ともHであることが好ましい。
【0458】
他の実施形態では、R26a及びR26bは両方ともメチルであることが好ましい。
【0459】
さらなる実施形態では、R26a及びR26bの一方はHであり、他方はC1〜4飽和アルキル、C2〜3アルケニルから選択されることが好ましく、該アルキル及びアルケニル基は置換されていてよい。これらのさらなる実施形態では、Hでない基は、メチル及びエチルから選択されることがさらに好ましい場合がある。
【0460】
2
いくつかの実施形態では、R22は、式IIaのものである。
【0461】
このものが式IIaであるときのR22におけるAは、フェニル基又はC5〜7ヘテロアリール基、例えばフラニル、チオフェニル及びピリジルとすることができる。いくつかの実施形態では、Aは好ましくはフェニルである。
【0462】
2−Xは、C5〜7アリール基の利用可能な環原子のいずれか上にあることができるが、好ましくは化合物の残部への結合に隣接しない環原子上にあることができる、すなわち、好ましくは化合物の残部への結合に対してβ又はγである。したがって、C5〜7アリール基(A)がフェニルである場合には、置換基(Q2−X)は、メタ位又はパラ位にあることが好ましく、より好ましくはパラ位にある。
【0463】
いくつかの実施形態では、Q1は単結合である。これらの実施形態では、Q2は単結合及び−Z−(CH2n−から選択され、ここで、Zは単結合、O、S及びNHから選択され、nは1〜3である。これらの実施形態のいくつかでは、Q2は単結合である。他の実施形態では、Q2は−Z−(CH2n−である。これらの実施形態では、ZはO又はSであることができ、nは1であることができ、又はnは2であることができる。これらの実施形態の他のものでは、Zは単結合であることができ、nは1であることができる。
【0464】
他の実施形態において、Q1は−CH=CH−である。
【0465】
他の実施形態では、R22は式IIbのものである。これらの実施形態では、RC1、RC2及びRC3は、独立してH及び非置換C1〜2アルキルから選択される。いくつかの好ましい実施形態では、RC1、RC2及びRC3は全てHである。他の実施形態では、RC1、RC2及びRC3は全てメチルである。特定の実施形態では、RC1、RC2及びRC3は、独立してH及びメチルから選択される。
【0466】
Xは、次のものよりなる群から選択される基である:
O−RL2’、S−RL2’、CO2−RL2’、CO−RL2’、NH−C(=O)−RL2’、NHNH−RL2’、CONHNH−RL2’
【化108】
【化109】
NRNL2’
ここで、RNは、H及びC1〜4アルキルよりなる群から選択される。Xは、好ましくはOH、SH、CO2H、−N=C=O又はNHRNであることができ、より好ましくはO−RL2’、S−RL2’、CO2−RL2’、−NH−C(=O)−RL2’又はNH−RL2’であることができる。特に好ましい基としては、O−RL2’、S−RL2’及びNH−RL2’が挙げられ、NH−RL2’が最も好ましい基である。
【0467】
いくつかの実施形態では、R22は式IIcのものである。これらの実施形態では、QはNRN−RL2’であることが好ましい。他の実施形態では、QはO−RL2’である。さらなる実施形態では、QはS−RL2’である。RNは、好ましくはH及びメチルから選択される。いくつかの実施形態では、RNはHである。他の実施形態では、RNはメチルである。
【0468】
いくつかの実施形態では、R22は−A−CH2−X及び−A−Xとすることができる。これらの実施形態では、XはO−RL2’、S−RL2’、CO2−RL2’、CO−RL2’及びNH−RL2’であることができる。特に好ましい実施形態では、XがNH−RL2’とすることができる。
【0469】
10、R11
いくつかの実施形態では、R10及びR11は、一緒になって、それらが結合している窒素と炭素原子と間に二重結合を形成する。
【0470】
いくつかの実施形態では、R11はOHである。
【0471】
いくつかの実施形態では、R11はOMeである。
【0472】
いくつかの実施形態では、R11はSOzMであり、ここで、zは2又は3であり、Mは一価の薬学的に許容される陽イオンである。
【0473】
11a
いくつかの実施形態では、R11aはOHである。
【0474】
いくつかの実施形態では、R11aはOMeである。
【0475】
いくつかの実施形態では、R11aはSOzMであり、ここで、zは2又は3であり、Mは一価の薬学的に許容される陽イオンである。
【0476】
20、R21
いくつかの実施形態では、R20及びR21は、一緒になって、それらが結合している窒素と炭素原子と間に二重結合を形成する。
【0477】
いくつかの実施形態では、R20はHである。
【0478】
いくつかの実施形態では、R20はRCである。
【0479】
いくつかの実施形態では、R21はOHである。
【0480】
いくつかの実施形態では、R21はOMeである。
【0481】
いくつかの実施形態では、R21はSOzMであり、ここで、zは2又は3であり、Mは一価の薬学的に許容される陽イオンである。
【0482】
30、R31
いくつかの実施形態では、R30及びR31は、一緒になって、それらが結合している窒素と炭素原子と間に二重結合を形成する。
【0483】
いくつかの実施形態では、R31はOHである。
【0484】
いくつかの実施形態では、R31はOMeである。
【0485】
いくつかの実施形態では、R31はSOzMであり、ここで、zは2又は3であり、Mは一価の薬学的に許容される陽イオンである。
【0486】
M及びz
Mは、一価の薬学的に許容できる陽イオンであり、好ましくはNa+であることが好ましい。
【0487】
zは、好ましくは3である。
【0488】
本発明の第1の態様の好ましい結合体は、式IaのDLを有することができる:
【化110】
ここで、RL1’、R20及びR21は上で定義した通りであり;
nは1又は3であり;
1aはメチル又はフェニルであり;
12aは次のものから選択される:
(a)
【化111】
及び
(b)
【化112】
(c)
【化113】
(d)
【化114】
(e)
【化115】
(f)
【化116】
(g)
【化117】
及び
(h)
【化118】
【0489】
本発明の第1の態様の好ましい結合体は、次式IbのDLを有することができる:
【化119】
ここで、RL1’、R20及びR21は上で定義した通りであり;
nは1又は3であり;
1aはメチル又はフェニルであり
【0490】
本発明の第1の態様の好ましい結合体は、次式IcのDLを有することができる:
【化120】
ここで、RL2’、R10、R11、R30及びR31は、上で定義した通りであり、
nは1又は3であり、
12aは次のものから選択される:
(a)
【化121】
及び
(b)
【化122】
(c)
【化123】
(d)
【化124】
(e)
【化125】
(f)
【化126】
(g)
【化127】
及び
(h)
【化128】
アミノ基は、フェニル基のメタ位又はパラ位のいずれかにある。
【0491】
本発明の第1の態様の好ましい結合体は、次式IdのDLを有することができる:
【化129】
ここで、RL2’、R10、R11、R30及びR31は、上で定義した通りであり;
nは1又は3であり;
1aはメチル又はフェニルであり;
12aは次のものから選択される:
(a)
【化130】
及び
(b)
【化131】
(c)
【化132】
(d)
【化133】
(e)
【化134】
(f)
【化135】
(g)
【化136】
及び
(h)
【化137】
【0492】
本発明の第1の態様の好ましい結合体は、次式IeのDLを有することができる:
【化138】
ここで、RL2’、R10、R11、R30及びR31は、上で定義した通りであり;
nは1又は3であり;
1aはメチル又はフェニルであり;
12aは次のものから選択される:
(a)
【化139】
及び
(b)
【化140】
(c)
【化141】
(d)
【化142】
(e)
【化143】
(f)
【化144】
(g)
【化145】
及び
(h)
【化146】
【実施例】
【0493】
実施例
一般的な実験方法
旋光度は、ADP220旋光計(ベーリング・スタンリー社)で測定し、濃度(c)はg/100mLで与える。融点はデジタル融点装置(Electrothermal)を用いて測定した。IRスペクトルは、パーキン−エルマー・スペクトラム100FT IR分光計で記録した。1H及び13C NMRスペクトルは、ブルカーアバンスNMR分光計をそれぞれ400及び100MHzで用いて300Kで得た。化学シフトをTMS(δ=0.0ppm)に対して報告し、そしてシグナルを、s(一重項)、d(二重項)、t(三重項)、dt(二重三重項)、dd(二重項の二重項)、ddd(二重項の二重二重項)又はm(多重項)として示し、カップリング定数をヘルツ(Hz)で与える。質量分析(MS)データは、Waters2996PDAを有するWaters2695HPLCに連結されたWaters Micromass ZQ装置を用いて収集した。使用したWaters Micromass ZQパラメーターは、毛細管(kV)、3.38;コーン(V)、35;エクストラクター(V)、3.0;源温度(℃)、100;脱溶媒和温度(℃)、200;コーン流量(L/h)、50;脱溶媒和流量(L/h)、250であった。高分解能質量分析(HRMS)データを、器具にサンプルを導入するために金属被覆されたホウケイ酸ガラスのチップを用いてWaters Micromass QTOFグローバルによりポジティブWモードで記録した。薄層クロマトグラフィー(TLC)をシリカゲルアルミニウムプレート(メルク60、F254)上で実施し、そしてフラッシュクロマトグラフィーは、シリカゲル(メルク60、230〜400メッシュASTM)を用いた。HOBt(NovaBiochem社)及び固体担持試薬(アルゴノート社)を除き、他の全ての化学物質及び溶媒は、Sigma−Aldrich社から購入し、さらに精製することなく供給されたまま使用した。無水溶媒を、適切な乾燥剤の存在下に乾燥窒素雰囲気下で蒸留することによって調製し、4Åモレキュラーシーブ又はナトリウムワイヤを通して保存した。石油エーテルとは、40〜60℃で沸騰する留分をいう。
【0494】
一般的なLC/MS条件:
方法1(特に示さない限りにおいて使用されるデフォルト方法)
HPLC(ウォーターズ・アライアンス2695)を、水(A)(ギ酸0.1%)及びアセトニトリル(B)(ギ酸0.1%)の移動相を用いて行った。勾配:1.0分にわたり初期組成5%Bを保持し、続いて3分かけて5%Bから95%Bに増加させる。この組成を95%Bで0.1分間保持し、次いで0.03分で5%Bに戻し、そしてそこで0.87分間保持した。総勾配実行時間は5分に等しい。
【0495】
方法2
HPLC(ウォーターズ・アライアンス2695)を、水(A)(ギ酸0.1%)及びアセトニトリル(B)(ギ酸0.1%)の移動相を用いて行った。勾配:初期組成5%Bを1.0分にわたって保持し、次いで2.5分かけて5%Bから95%Bまで増加させる。組成を95%Bで0.5分間保持し、次いで0.1分で5%Bに戻し、そこで0.9分間保持した。総勾配実行時間は5分に等しい。
【0496】
両方の方法について
流速は3.0mL/分であり、400μLを、質量分析計に入るゼロのデッドボリュームのティーピースを介して分割した。波長検出範囲:220〜400nm。機能種別:ダイオードアレイ(535スキャン)。カラム:Phenomenex(登録商標)オニキスモノリシックC1850×4.60mm。
【0497】
逆相フラッシュ精製条件は次のとおりであった:フラッシュ精製システム(バリアン971−FP)を、水(A)及びアセトニトリル(B)の移動相を使用して実行した。勾配:初期組成5%Bを20C.V.(カラム体積)にわたって保持し、続いて60C.V.以内に5%Bから70%Bに増加させる。この組成を15C.V.にわたって95%Bで保持し、その後5 C.V.で5%Bに戻し、そして10C.V.にわたって5%Bで保持した。総勾配実行時間は120C.V.に等しい。流速6.0ml/分。波長検出範囲:254 nm。カラム:アジレントAX1372−1 SF10−5.5gC8。
【0498】
分取HPLC:逆相超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)を、次の寸法のPhenomenex Gemini NX5μC−18カラムで実施した:分析について150×4.6mm及び分取作業について150x21.20mm。全てのUPLC実験を勾配条件で実施した。使用した溶離液は、溶媒A(0.1%ギ酸を含むH2O)及び溶媒B(0.1%ギ酸を含むCH3CN)であった。使用した流量は、分析については1.0mm/分、分取HPLCについては20.0ml/分であった。検出は254及び280 nmであった。
【0499】
中間体12の合成
【化147】
【0500】
(a)1’,3’−ビス[2−メトキシ−4−(メトキシカルボニル)フェノキシ]プロパン(3)
ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(71.3mL、73.2g、362ミリモル)を、窒素雰囲気下において0〜5℃(氷/アセトン)で、バニリン酸メチル2(60.0g、329ミリモル)及びPh3P(129.4g、494ミリモル)の無水THF(800mL)へのオーバーヘッド攪拌溶液に60分間かけて滴下して添加した。この反応混合物をさらに1時間にわたって0〜5℃で撹拌し、その時間の後、1,3−プロパンジオール(11.4mL、12.0g、158ミリモル)のTHF溶液(12mL)を20分間かけて滴下添加した。この反応混合物を室温にまで加温し、そして5日間撹拌した。得られた白色沈殿物3を真空濾過により収集し、THFで洗浄し、そして一定重量まで真空デシケーター中で乾燥させた。収量=54.7g(1,3−プロパンジオールに基づいて84%)。LC/MSによる十分な純度(3.20分(ES+)m/z(相対強度)427([M+Na]+.,10);1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.64(dd,2H,J=1.8,8.3Hz),7.54(d,2H,J=1.8Hz),6.93(d,2H,J=8.5Hz),4.30(t,4H,J=6.1Hz),3.90(s,6H),3.89(s,6H),2.40(p,2H,J=6.0Hz)。
【0501】
(b)1’,3’−ビス[2−メトキシ−4−(メトキシカルボニル)−5−ニトロフェノキシ]プロパン(4)
固体のCu(NO32・3H2O(81.5g、337.5ミリモル)を、ビス−エステル3(54.7g、135ミリモル)の無水酢酸(650mL)へのオーバーヘッド攪拌スラリーに0〜5℃でゆっくりと添加した(氷/アセトン)。この反応混合物を0〜5℃で1時間撹拌し、次いで室温にまで加温した。この混合物の増粘を伴う軽度の発熱(約40〜50℃)及びNO2の放出がこの段階で観察された。追加の無水酢酸(300mL)を加え、そして反応混合物を室温で16時間撹拌した。この反応混合物を氷(〜1.5L)上に注ぎ、撹拌し、そして室温に戻した。得られた黄色沈殿物を真空濾過により回収し、デシケーター内で乾燥させて黄色固体として所望のビス−ニトロ化合物4を得た。収量=66.7g(100%)。LC/MSによる十分な純度(3.25 min(ES+)m/z(相対強度)517([M+Na]+.,40);1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.49(s,2H),7.06(s,2H),4.32(t,4H,J=6.0Hz),3.95(s,6H),3.90(s,6H),2.45−2.40(m,2H)。
【0502】
(c)1’,3’−ビス(4−カルボキシ−2−メトキシ−5−ニトロフェノキシ)プロパン(5)
メチルエステル4(66.7g、135ミリモル)のTHF(700mL)へのスラリーを、1NのNaOH(700mL)で処理し、そしてこの反応混合物を室温で激しく撹拌した。4日間攪拌した後、スラリーは暗色溶液になり、この溶液に減圧下で回転蒸発を施してTHFを除去した。得られた水性残渣を濃HClでpH1に酸性化し、無色の沈殿物5を回収し、そして真空オーブン(50℃)内で完全に乾燥させた。収率=54.5g(87%)。LC/MSによる十分な純度(2.65 min(ES+)m/z(相対強度)489([M+Na]+.,30));1H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ7.62(s,2H),7.30(s,2H),4.29(t,4H,J=6.0Hz),3.85(s,6H),2.30−2.26(m,2H)。
【0503】
(d)1,1’−[[(プロパン−1,3−ジイル)ジオキシ]ビス[(5−メトキシ−2−ニトロ−1,4−フェニレン)カルボニル]]ビス[(2S,4R)−メチル−4−ヒドロキシピロリジン−2−カルボキシレート](6)
塩化オキサリル(24.5mL、35.6g、281ミリモル)を、ニトロ安息香酸5(43g、92.3ミリモル)及びDMF(6mL)の無水DCM(600mL)への攪拌懸濁液に添加した。初期の泡立ち後に、反応懸濁液は溶液になり、そしてこの混合物を室温で16時間撹拌した。酸塩化物への転化を、反応混合物のサンプルをMeOHで処理することによって確認し、そして得られたビス−メチルエステルをLC/MSで観察した。溶媒の大部分を減圧下で蒸発させて除去した;得られた濃縮溶液を最小量の乾燥DCMに再溶解させ、そしてジエチルエーテルで粉砕した。得られた黄色沈殿物を濾過により回収し、冷ジエチルエーテルで洗浄し、40℃の真空オーブン内で1時間乾燥させた。固体酸塩化物を(2S,4R)−メチル−4−ヒドロキシピロリジン−2−カルボキシレート塩酸塩(38.1g、210ミリモル)及びTEA(64.5mL、g、463ミリモル)のDCM(400mL)への撹拌懸濁液に−40℃(ドライアイス/CH3CN)で25分間かけて少しずつ加えた。LC/MS(2.47分(ES+)m/z(相対強度)721([M+H]+,100)によって判断されたときに直ちに反応を終了させた。この混合物をDCM(200mL)で希釈し、そして1NのHCl(300mL)、飽和NaHCO3(300mL)、食塩水(400ml)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、そして溶媒を減圧下で蒸発させて、橙色固体として純粋な生成物6を得た(66.7g、100%)。[α]22D=−46.1°(c=0.47,CHCl3);1H NMR(400MHz,CDCl3)(回転異性体)δ7.63(s,2H),6.82(s,2H),4.79−4.72(m,2H),4.49−4.28(m,6H),3.96(s,6H),3.79(s,6H),3.46−3.38(m,2H),3.02(d,2H,J=11.1Hz),2.48−2.30(m,4H),2.29−2.04(m,4H);13C NMR(100MHz,CDCl3)(回転異性体)δ172.4,166.7,154.6,148.4,137.2,127.0,109.7,108.2,69.7,65.1,57.4,57.0,56.7,52.4,37.8,29.0;IR(ATR,CHCl3)3410(br),3010,2953,1741,1622,1577,1519,1455,1429,1334,1274,1211,1177,1072,1050,1008,871cm-1;MS(ES+)m/z(相対強度)721([M+H]+.,47),388(80);HRMS[M+H]+。理論C3136416m/z721.2199,found(ES+)m/z721.2227。
【0504】
(e)1,1’−[[(プロパン−1,3−ジイル)ジオキシ]ビス(11aS,2R)−2−(ヒドロキシ)−7−メトキシ−1,2,3,10,11,11a−ヘキサヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]−ベンゾジアゼピン−5,11−ジオン](7)
方法A:ニトロ−エステル6(44g、61.1ミリモル)のメタノール(2.8L)溶液を、5Lの3ツ口丸底フラスコ中における新たに購入したラネー(登録商標)ニッケル(〜50%のH2Oへのスラリーの〜50g)及び突沸防止顆粒に添加した。この混合物を還流で加熱し、次いでヒドラジン水和物(21.6mL、22.2g、693ミリモル)のMeOH(200mL)溶液で滴下処理し、その時点で激しい泡立ちが観察された。添加を完了したときに(〜45分)、追加のラネー(登録商標)ニッケルを、発泡が停止し、そして反応混合物の最初の黄色が放出されるまで注意深く添加した。この混合物をさらに5分間加熱還流し、その時点で、TLC(90:10v/vのCHCl3/MeOH)及びLC/MS(2.12分(ES+)m/z(相対強度)597([M+H]+,100))によって反応が完了したとみなした。反応混合物を、セライトを含有する焼結漏斗を通して真空吸引により直ちに熱濾過した。濾液を真空中での蒸発により体積減少させ、その時点で、無色の沈殿物が形成され、これを濾過により回収し、真空デシケーター内で乾燥させたて7を得た(31g、85%)。[α]27D=+404°(c=0.10,DMF);1H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ10.2(s,2H,NH),7.26(s,2H),6.73(s,2H),5.11(d,2H,J=3.98Hz,OH),4.32−4.27(m,2H),4.19−4.07(m,6H),3.78(s,6H),3.62(dd,2H,J=12.1,3.60Hz),3.43(dd,2H,J=12.0,4.72Hz),2.67−2.57(m,2H),2.26(p,2H,J=5.90Hz),1.99−1.89(m,2H);13C NMR(100MHz,DMSO−d6)δ169.1,164.0,149.9,144.5,129.8,117.1,111.3,104.5,54.8,54.4,53.1,33.5,27.5;IR(ATR,ニート)3438,1680,1654,1610,1605,1516,1490,1434,1379,1263,1234,1216,1177,1156,1115,1089,1038,1018,952,870cm-1;MS(ES+)m/z(相対強度)619([M+Na]+.,10),597([M+H]+.,52),445(12),326(11);HRMS[M+H]+。理論C2932410m/z597.2191,found(ES+)m/z597.2205。
【0505】
方法B:10%Pd/C(7.5g、10%w/w)のDMF(40mL)への懸濁液を、ニトロ−エステル6(75g、104ミリモル)のDMF(360mL)溶液に添加した。この懸濁液を8時間にわたってParr水素化装置で水素化した。水素の取り込みが停止した後に、反応の進行をLC/MSで監視した。固体Pd/Cを濾過により除去し、そしてろ液を40℃で真空下(10mbar未満)で回転蒸発により濃縮して、微量のDMF及び残留炭を含む暗色のオイルを得た。残留物を水浴(ロータリーエバポレーター浴)上において40℃でエタノール(500mL)中において温浸し、そして得られた懸濁液を、セライトを通して濾過し、エタノール(500mL)で洗浄して透明なろ液を得た。この溶液にヒドラジン水和物(10mL、321ミリモル)を加え、そして反応混合物を加熱還流した。20分後に白色沈殿物の形成が観察され、そして還流をさらに30分間継続した。この混合物を室温にまで冷却し、そして沈殿物を濾過により回収し、ジエチルエーテルで洗浄し(2:1沈殿物の容量)、そして真空デシケーター中で乾燥させて7を得た(50g、81%)。方法Bの分析データ:方法Aについて得られたものと同一(旋光度、1H NMR、LC/MS及びTLC)。
【0506】
(f)1,1’−[[(プロパン−1,3−ジイル)ジオキシ]ビス(11aS,2R)−2−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−7−メトキシ−1,2,3,10,11,11a−ヘキサヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]−ベンゾジアゼピン−5,11−ジオン](8)
TBSCl(27.6g、182.9ミリモル)及びイミダゾール(29.9g、438.8ミリモル)を0℃(氷/アセトン)でテトララクタム7(21.8g、36.6ミリモル)の無水DMF(400 mL)への濁った溶液に添加した。この混合物を3時間にわたって窒素雰囲気下で撹拌させ、その後、LC/MS(3.90分(ES+)m / z(相対強度)825([M+H]+,100)によって判断されるように、反応が完了したとみなした。この反応混合物を氷(〜1.75L)に注ぎ、そして攪拌しながら室温まで加温した。得られた白色沈殿物を真空濾過により集め、H2O、ジエチルエーテルで洗浄し、そして真空デシケーター中で乾燥させて純粋な8を得た(30.1g、99%)。[α]23D=+234°(c=0.41,CHCl3);1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.65(s,2H,NH),7.44(s,2H),6.54(s,2H),4.50(p,2H,J=5.38Hz),4.21−4.10(m,6H),3.87(s,6H),3.73−3.63(m,4H),2.85−2.79(m,2H),2.36−2.29(m,2H),2.07−1.99(m,2H),0.86(s,18H),0.08(s,12H);13C NMR(100MHz,CDCl3)δ170.4,165.7,151.4,146.6,129.7,118.9,112.8,105.3,69.2,65.4,56.3,55.7,54.2,35.2,28.7,25.7,18.0,−4.82及び−4.86;IR(ATR,CHCl3)3235,2955,2926,2855,1698,1695,1603,1518,1491,1446,1380,1356,1251,1220,1120,1099,1033cm-1;MS(ES+)m/z(相対強度)825([M+H]+.,62),721(14),440(38);HRMS[M+H]+。理論C4160410Si2m/z825.3921,found(ES+)m/z825.3948。
【0507】
(g)1,1’−[[(プロパン−1,3−ジイル)ジオキシ]ビス(11aS,2R)−2−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−7−メトキシ−10−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−1,2,3,10,11,11a−ヘキサヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]−ベンゾジアゼピン−5,11−ジオン](9)
n−BuLi(ヘキサン中1.6 M溶液の68.3mL、109ミリモル)の溶液を、−30℃(ドライアイス/エチレングリコール)でテトララクタム8(30.08g、36.4ミリモル)の無水THF(600mL)攪拌懸濁液に窒素雰囲気下で滴下した。反応混合物をこの温度で1時間撹拌し(ここでは赤みを帯びたオレンジ色)、その時点で、SEMCl(19.3mL、18.2g、109ミリモル)の無水THF(120mL)溶液を滴下添加した。この反応混合物を室温までゆっくりと温め、そして窒素雰囲気下で16時間撹拌した。TLC(EtOAc)及びLC/MS(4.77分(ES+)m/z(相対強度)1085([M+H]+,100)によって判断されたときに反応が完了したとみなした。THFを真空中で蒸発させて除去し、そして得られた残渣をEtOAc(750mL)に溶解し、H2O(250mL)、食塩水(250mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、そして真空中で蒸発させて、オイルとしての粗N10−SEM保護テトララクタム9を得た(最大39.5g、100%)。この生成物を精製せずに次の工程でそのまま使用した。[α]23D=+163°(c=0.41,CHCl3);1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.33(s,2H),7.22(s,2H),5.47(d,2H,J=9.98Hz),4.68(d,2H,J=9.99Hz),4.57(p,2H,J=5.77Hz),4.29−4.19(m,6H),3.89(s,6H),3.79−3.51(m,8H),2.87−2.81(m,2H),2.41(p,2H,J=5.81Hz),2.03−1.90(m,2H),1.02−0.81(m,22H),0.09(s,12H),0.01(s,18H);13C NMR(100MHz,CDCl3)δ170.0,165.7,151.2,147.5,133.8,121.8,111.6,106.9,78.1,69.6,67.1,65.5,56.6,56.3,53.7,35.6,30.0,25.8,18.4,18.1,−1.24,−4.73;IR(ATR,CHCl3)2951,1685,1640,1606,1517,1462,1433,1360,1247,1127,1065 cm-1;MS(ES+)m/z(相対強度)1113([M+Na]+.,48),1085([M+H]+.,100),1009(5),813(6);HRMS[M+H]+。理論C5388412Si4m/z1085.5548,found(ES+)m/z1085.5542。
【0508】
(h)1,1’−[[(プロパン−1,3−ジイル)ジオキシ]ビス(11aS,2R)−2−ヒドロキシ−7−メトキシ−10−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−1,2,3,10,11,11a−ヘキサヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]−ベンゾジアゼピン−5,11−ジオン](10)
TBAFの溶液(1.0MのTHF溶液の150mL、150ミリモル)を、粗ビス−シリルエーテル9[84.0g(最大56.8g)、52.4ミリモル]のTHF(800mL)撹拌溶液に室温で添加した。1時間撹拌した後、TLC(95:5v/vのCHCl3/MeOH)による反応混合物の分析から、反応の完了が明らかになった。THFを減圧下における室温での蒸発により除去し、得られた残渣をEtOAc(500mL)に溶解し、NH4Cl(300mL)で洗浄した。一緒にした有機層をブライン(60mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、そして減圧下で蒸発させて粗生成物を得た。フラッシュクロマトグラフィー(勾配溶出:100%CHCl3〜96:4(v /v)のCHCl3/MeOH)による精製で、白色泡状物として純粋なテトララクタム10を得た(36.0g、79%)。LC/MS3.33分(ES+)m/z(相対強度)879([M+Na]+.,100),857([M+H]+.,40);[α]23D=+202°(c=0.34,CHCl3);1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.28(s,2H),7.20(s,2H),5.44(d,2H,J=10.0Hz),4.72(d,2H,J=10.0Hz),4.61−4.58(m,2H),4.25(t,4H,J=5.83Hz),4.20−4.16(m,2H),3.91−3.85(m,8H),3.77−3.54(m,6H),3.01(br s,2H,OH),2.96−2.90(m,2H),2.38(p,2H,J=5.77Hz),2.11−2.05(m,2H),1.00−0.91(m,4H),0.00(s,18H);13C NMR(100MHz,CDCl3)δ169.5,165.9,151.3,147.4,133.7,121.5,111.6,106.9,79.4,69.3,67.2,65.2,56.5,56.2,54.1,35.2,29.1,18.4,−1.23;IR(ATR,CHCl3)2956,1684,1625,1604,1518,1464,1434,1361,1238,1058,1021 cm-1;MS(ES+)m/z(相対強度)885([M+29]+.,70),857([M+H]+.,100),711(8),448(17);HRMS[M+H]+。理論C4160412Si2m/z857.3819,found(ES+)m/z857.3826。
【0509】
(i)1,1’−[[(プロパン−1,3−ジイル)ジオキシ]ビス(11aS)−7−メトキシ−2−オキソ−10−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−1,2,3,10,11,11a−ヘキサヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]−ベンゾジアゼピン−5,11−ジオン](11)
ジオール10(25.6g、30ミリモル、1当量)、NaOAc(6.9g、84ミリモル、2.8当量)及びTEMPO(188mg、1.2ミリモル、0.04当量)をアルゴン下でDCM(326mL)に溶解させた。これを−8℃(内部温度)に冷却し、TCCA(9.7g、42ミリモル、1.4当量)を15分かけて少しずつ加えた。30分後に、TLC(EtOAc)及びLC/MS[3.60分(ES+)m/z(相対強度)854.21([M+H]+,40),(ES−)m/z(相対強度)887.07([M−H+Cl]−,10)]により、反応が完了したことが示された。冷DCM(200mL)を加え、そしてこの混合物をセライトのパッドを通して濾過してから、飽和炭酸水素ナトリウム/チオ硫酸ナトリウム溶液で洗浄した(1:1v/v、200mL×2)。有機層をMgSO4で乾燥させ、濾過し、そして溶媒を減圧下で除去して黄色/オレンジ色のスポンジを得た(25.4g、99%)。LC/MS[3.60分(ES+)m/z(相対強度)854.21([M+H]+.,40);[α]20D=+291°(c=0.26,CHCl3);1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.32(s,2H),7.25(s,2H),5.50(d,2H,J=10.1Hz),4.75(d,2H,J=10.1Hz),4.60(dd,2H,J=9.85,3.07Hz),4.31−4.18(m,6H),3.89−3.84(m,8H),3.78−3.62(m,4H),3.55(dd,2H,J=19.2,2.85Hz),2.76(dd,2H,J=19.2,9.90Hz),2.42(p,2H,J=5.77Hz),0.98−0.91(m,4H),0.00(s,18H);13C NMR(100MHz,CDCl3)δ206.8,168.8,165.9,151.8,148.0,133.9,120.9,111.6,107.2,78.2,67.3,65.6,56.3,54.9,52.4,37.4,29.0,18.4,−1.24;IR(ATR,CHCl3)2957,1763,1685,1644,1606,1516,1457,1434,1360,1247,1209,1098,1066,1023 cm-1;MS(ES+)m/z(相対強度)881([M+29]+.,38),853([M+H]+.,100),707(8),542(12);HRMS[M+H]+。理論C4156412Si2m/z853.3506,found(ES+)m/z853.3502。
【0510】
(j)1,1’−[[(プロパン−1,3−ジイル)ジオキシ]ビス(11aS)−7−メトキシ−2−[[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ]−10−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−1,10,11,11a−テトラヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]−ベンゾジアゼピン−5,11−ジオン](12)
無水2,6−ルチジン(5.15mL、4.74g、44.2ミリモル)を、窒素雰囲気下において−45℃(ドライアイス/アセトニトリル)でビス−ケトン11(6.08g、7.1ミリモル)の乾燥DCM(180mL)への激しく撹拌した溶液に一度に注入した。新たに開かれたアンプルから採取された無水トリフルオロメタンスルホン酸無水物(7.2mL、12.08g、42.8ミリモル)を急速に滴下注入すると共に、−40℃以下の温度を維持した。反応混合物を1時間にわたり−45℃で撹拌し、その時点で、TLC(50/50(v/v)のn−ヘキサン/EtOAc)により、出発物質の完全な消費が明らかになった。冷反応混合物を直ちにDCM(200mL)で希釈し、そして激しく振盪しながら、水(1×100mL)、5%クエン酸溶液(1×200mL)、飽和炭酸水素ナトリウム(200mL)、ブライン(100mL)で洗浄し、乾燥させた(MgSO4)。溶媒を減圧下で濾過し蒸発させて粗生成物を得、これをフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製(勾配溶離:90:10(v/v)のn−ヘキサン/EtOAc〜70:30v/vのn−ヘキサン/EtOAc)して黄色の泡状物としてビス−エノールトリフレート12を得た(5.5g、70%)。LC/MS4.32分(ES+)m/z(相対強度)1139([M+Na]+.,20);[α]24D=+271°(c=0.18,CHCl3);1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.33(s,2H),7.26(s,2H),7.14(t,2H,J=1.97Hz),5.51(d,2H,J=10.1Hz),4.76(d,2H,J=10.1Hz),4.62(dd,2H,J=11.0,3.69Hz),4.32−4.23(m,4H),3.94−3.90(m,8H),3.81−3.64(m,4H),3.16(ddd,2H,J=16.3,11.0,2.36Hz),2.43(p,2H,J=5.85Hz),1.23−0.92(m,4H),0.02(s,18H);13C NMR(100MHz,CDCl3)δ167.1,162.7,151.9,148.0,138.4,133.6,120.2,118.8,111.9,107.4,78.6,67.5,65.6,56.7,56.3,30.8,29.0,18.4,−1.25;IR(ATR,CHCl3)2958,1690,1646,1605,1517,1456,1428,1360,1327,1207,1136,1096,1060,1022,938,913cm-1;MS(ES+)m/z(相対強度)1144([M+28]+.,100),1117([M+H]+.,48),1041(40),578(8);HRMS [M+H]+。理論C4354416Si226m/z1117.2491,found(ES+)m/z1117.2465。
【0511】
例1
【化148】
【0512】
(a)(S)−8−(3−(((S)−2−(4−アミノフェニル)−7−メトキシ−5,11−ジオキソ−10−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−5,10,11,11a−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−8−イル)オキシ)プロポキシ)−7−メトキシ−5,11−ジオキソ−10−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−5,10,11,11a−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−2−イルトリフルオロメタンスルホネート(13)
Pd(PPh3)4(116.9mg、0.101ミリモル)を、ビス−エノールトリフレート12(5.65g、5.06ミリモル)と、4−アミノフェニル酸ピナコールエステル(1g、4.56ミリモル)と、Na2CO3(2.46g、23.2ミリモル)と、MeOH(37mL)と、トルエン(74mL)と、水(37mL)との攪拌混合物に添加した。この反応混合物を24時間にわたって窒素雰囲気下に30℃で撹拌し、その後に、全てのボロン酸エステルが消費された。次いで、この反応混合物を蒸発乾固させてから、残渣をEtOAc(150mL)に溶解させ、そしてH2O(2×100mL)、塩水(150mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、そして減圧下で蒸発させて粗生成物を得た。フラッシュクロマトグラフィーによる精製(勾配溶出:60:40(v/v)のヘキサン/EtOAc〜80:20(v/v)のヘキサン/EtOAc)で、黄色がかった泡状物として生成物13を得た(2.4g、45%)。LC/MS4.02分(ES+)m/z(相対強度)1060.21([M+H]+.,100);1H−NMR:(CDCl3,400 MHz)δ7.40(s,1H),7.33(s,1H),7.27(bs,3H),7.24(d,2H,J=8.5Hz),7.15(t,1H,J=2.0Hz),6.66(d,2H,J=8.5Hz),5.52(d,2H,J=10.0Hz),4.77(d,1H,J=10.0Hz),4.76(d,1H,J=10.0Hz),4.62(dd,1H,J=3.7,11.0Hz),4.58(dd,1H,J=3.4,10.6Hz),4.29(t,4H,J=5.6Hz),4.00−3.85(m,8H),3.80−3.60(m,4H),3.16(ddd,1H,J=2.4,11.0,16.3Hz),3.11(ddd,1H,J=2.2,10.5,16.1Hz),2.43(p,2H,J=5.9Hz),1.1−0.9(m,4H),0.2(s,18H)。13C−NMR:(CDCl3,100MHz)δ169.8,168.3,164.0,162.7,153.3,152.6,149.28,149.0,147.6,139.6,134.8,134.5,127.9,127.5,125.1,123.21,121.5,120.5,120.1,116.4,113.2,108.7,79.8,79.6,68.7,68.5,67.0,66.8,58.8,58.0,57.6,32.8,32.0,30.3,19.7,0.25。
【0513】
(b)(S)−2−(4−アミノフェニル)−8−(3−(((S)−2−シクロプロピル−7−メトキシ−5,11−ジオキソ−10−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−5,10,11,11a−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−8−イル)オキシ)プロポキシ)−7−メトキシ−10−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−5,11(10H,11aH)ジオン(14)
トリフェニルアルシン(0.24g、0.8ミリモル)、酸化銀(I)(1.02g、4.4ミリモル)、シクロプロピルボロン酸(0.47g、5.5ミリモル)及び出発物質13(1.15g、1.1ミリモル)をアルゴン雰囲気下でジオキサン(30mL)に溶解した。リン酸三カリウム(2.8g、13.2ミリモル)を、乳棒及び乳鉢ですり潰し、そしてすぐに反応混合物に添加した。反応混合物を排出し、アルゴンで3回フラッシュし、71℃に加熱した。パラジウム(II)ビス(塩化ベンゾニトリル)(84mg、0.22ミリモル)を添加し、そして反応容器を3回排気し、アルゴンでフラッシュした。10分後、少量のサンプルを、TLC(80:20v/v酢酸エチル/ヘキサン)及びLC/MSによる分析のために採取した。30分後、反応が完了し(LC/MS分析から、出発物質の完全な消費が示された)、そしてこの反応物をセライトを通して濾過し、そしてフィルターパッドを酢酸エチル(400mL)で洗浄した。濾液を水(2×200mL)及びブライン(2×200mL)で洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥させ、濾過し、そして溶媒を真空中で除去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(30:70v/vのヘキサン/酢酸エチル)により精製することで、オレンジ色/黄色の固体として生成物14を得た(0.66g、63%)。方法1、LC/MS(3.85分(ES+)m/z(相対強度)952.17([M+H]+,100)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.36(d,2H,J=8.4Hz),7.30(s,1H),7.25−7.19(m,4H),6.68(s,1H),6.62(d,2H,J=8.4Hz),5.49(dd,2H,J=5.6,10.0Hz),4.73(app. t,2H,J=10.8Hz),4.54(dd,1H,J=3.2,10.4Hz),4.40(dd,1H,J=3.2,10.4Hz),4.29−4.23(m,4H),3.91−3.85(m,7H),3.80−3.71(m,2H),3.70−3.61(m,2H),3.38−3.32(m,1H),3.12−3.01(m,1H),2.50−2.69(m,1H),2.40(q,2H,J=5.6Hz),1.50−1.43(m,1H),0.99−0.71(m,6H),0.54−0.59(m,2H),0.00(s,18H)ppm。
【0514】
(c)(S)−2−(4−アミノフェニル)−8−(3−(((S)−2−シクロプロピル−7−メトキシ−5−オキソ−5,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−8−イル)オキシ)プロポキシ)−7−メトキシ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−5(11aH)−オン(15)
SEMジラクタム14(0.66g、0.69ミリモル)をTHF(23 mL)に溶解し、そしてアルゴン雰囲気下で−78℃に冷却した。Super−Hydride(登録商標)溶液(1.7mL、THF中1M)を5分かけて滴下すると共に、温度を監視した。20分後、少量のサンプルを採取し、そしてLC/MS分析のために水で洗浄した。水(50mL)を加え、そして冷浴を除去した。有機層を抽出し、そしてブライン(60mL)で洗浄した。一緒にした水層をCH2Cl2/MeOH(90/10v/v)(2×50mL)で洗浄した。一緒にした有機層をMgSO4で乾燥させ、濾過し、そして溶媒を真空中で除去した。粗生成物をMeOH(48mL)、塩化メチレン(18mL)及び水(6mL)に溶解させ、そして十分なシリカゲルを添加して濃厚な懸濁液を得た。5日間撹拌した後、懸濁液を、焼結漏斗を通して濾過し、生成物が溶出しなくなるまでCH2Cl2/メタノール(9:1)(〜200mL)で洗浄した。有機層をブライン(2×70mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、そして溶媒を真空中で除去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(100%のCHCl3から96/4(v/v)のCHCl3/MeOH)により精製して、黄色の固体として生成物15を得た(302mg、66%)。方法1、LC/MS(2.42分(ES+)m/z(相対強度)660.74([M+ H]+,30)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.86(d,1H,J=3.6Hz),7.78(d,1H,J=3.6Hz),7.58−7.44(m,3H),7.34−7.20(m,3H),6.88−6.66(m,4H),4.35−4.15(m,6H),3.95−3.75(m,7H),3.39−3.22(m,1H),3.14−3.04(m,1H),2.93−2.85(m,1H),2.46−2.36(m,2H),1.49−1.41(m,1H),0.80−0.72(m,2H),0.58−0.51(app.s,2H)ppm。
【0515】
(d)アリル((2S)−1−(((2S)−1−((4−(8−(3−((2−シクロプロピル−7−メトキシ−5−オキソ−5,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−8−イル)オキシ)プロポキシ)−7−メトキシ−5−オキソ−5,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−2−イル)フェニル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)カルバメート(16)
アルゴンを充填した脱気丸底フラスコ中において、HO−Ala−Val−alloc(149.6mg、0.549ミリモル)及びEEDQ(135.8mg、0.549ミリモル)を、乾燥CH2Cl2/MeOH(5mL)の9:1混合物に溶解させた。フラスコをアルミ箔で包み、そして反応混合物を室温で1時間撹拌してから、出発材料15(302mg、0.457ミリモル)を添加した。この反応混合物を室温でさらに40時間攪拌してから、揮発性物質を減圧下で回転蒸発により除去した(反応をLC/MS、RT出発物質2.32分(ES+660.29([M+ H]+,100)で追跡した)。この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより直接精製(100%のCHCl3〜90/10v/vのCHCl3/MeOH)して純粋な生成物(16)を42%収率(174mg)で得た。方法2、LC/MS(2.70分(ES+)m/z(相対強度)914.73([M+H]+,60),660.43(60),184.31(100))。
【0516】
(e)(2S)−2−アミノ−N−((2S)−1−((4−(8−(3−((2−シクロプロピル−7−メトキシ−5−オキソ−5,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−8−イル)オキシ)プロポキシ)−7−メトキシ−5−オキソ−5,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−2−イル)フェニル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)−3−メチルブタンアミド(17)
出発物質16(170mg、0.185ミリモル)を、アルゴンを充填した丸底フラスコ中の乾燥塩化メチレン(5mL)に溶解させてから、ピロリジン(41μL、0.21mmol)を添加した。フラスコをアルゴンで三回パージ/再充填してから、Pd(PPh34(14mg、0.084ミリモル)を添加し、そしてフラッシュ操作を繰り返した。1時間後、出発物質の完全な消費が観察され(反応をLC/MSで追跡した)、そしてEt2O(50mL)を反応混合物に添加し、これを全ての生成物が溶液から崩れるまで攪拌した。この固体を、焼結漏斗を通して濾過し、Et2O(2×25mL)で2回洗浄した。収集フラスコを交換し、そして単離した固体をCHCl3中に溶解させた(100mL又は全ての生成物が焼結漏斗を通過するまで)。続いて、揮発性物質を減圧下での回転蒸発により除去して粗生成物17を得、このものを次の工程で直接使用した(168mg)。LC/MS方法2(2.70分(ES+)m/z(相対強度)830.27([M+H]+,50),660.13(80),171.15(100))。
【0517】
(f) N−((R)−1−(((S)−1−((4−((S)−8−(3−(((S)−2−シクロプロピル−7−メトキシ−5−オキソ−5,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−8−イル)オキシ)プロポキシ)−7−メトキシ−5−オキソ−5,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−2−イル)フェニル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)−1−(3−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)−3,6,9,12,15,18,21,24−オクタオキサヘプタコサン−27−アミド(18)
出発物質17(154mg、0.185ミリモル)及びEDCI・HCl(110mg、0.185ミリモル)を、パージされかつアルゴンが充填された丸底フラスコ中の乾燥塩化メチレン(5mL)中に溶解させた。この混合物を室温で1時間にわたって攪拌してから、PEG8マレイミド(35.6mg、0.185ミリモル)を添加し、そしてその反応混合物をさらに16時間撹拌した(又は反応が完了するまで、LC/MSによって監視した)。反応溶液を、塩化メチレン(50mL)で希釈し、そして有機物をH2O(50mL)及びブライン(50mL)で洗浄してから、MgSO4で乾燥させ、濾過し、そして溶媒を減圧下での回転蒸発により除去して粗生成物を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(100%のCHCl3〜85/15v/vのCHCl3/MeOH)での精製により、所望の生成物を得た(135mg)が、未反応PEG8マレイミドの微量残留量が認められた(LC/MS、2.21分、方法2により)。自動化逆相シリカゲルクロマトグラフィー(H2O/CH3CN)(条件については一般的な情報を参照)は、不純物を正常に除去し、純粋な最終生成物を得た(出発物質37mg、33%から純粋な生成物18、110mg)。全体の収率=17%。方法2、LC/MS(2.58分(ES+)m/z(相対強度)1404.03([M+H]+,20),702.63(100))。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.91(t,J=3.5Hz,1H),7.80(d,J=4.0Hz,1H),7.75(d,J=8.8Hz,1H),7.69(d,J=8.7Hz,1H),7.54−7.50(m,2H),7.45(s,1H),7.39−7.31(m,2H),6.87(d,J=10.5Hz,2H),6.76(s,1H),6.72−6.68(m,2H),4.74−4.62(m,1H),4.45−4.17(m,7H),3.95(s,3H),3.94(s,3H),3.67−3.58(m,34H),3.54(m,2H),3.42(dd,J=10.2,5.2Hz,2H),3.16−3.07(m,1H),2.92(dd,J=16.1,4.1Hz,1H),2.62−2.49(m,4H),2.48−2.39(m,2H),2.37−2.25(m,1H),1.92(s,1H),1.52−1.44(m,3H),1.10−0.93(m,6H),0.79(dd,J=9.2,5.3Hz,2H),0.57(dd,J=9.2,5.3Hz,2H),NHが観察されなかった。
【0518】
例2
【化149】
【0519】
(a)(R)−2−((R)−2−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)−3−メチルブタンアミド)プロパン酸(20b)
HO−Ala−Val−H 20a(350mg、1.86ミリモル)及びNa2CO3(493mg、4.65ミリモル)を蒸留H2O(15mL)に溶解させ、そして混合物を0℃に冷却してから、ジオキサン(15mL)を添加した(アミノ酸塩の部分的な沈殿が生じた)。Fmoc−Cl(504mg、1.95ミリモル)のジオキサン(15mL)溶液を10分間かけて激しく撹拌しながら滴下添加した。得られた混合物を0℃で2時間攪拌してから、氷浴を除去し、そして撹拌を16時間維持した。溶媒を減圧下での回転蒸発により除去し、そして残渣を水(150mL)に溶解させた。pHを1NのHClで9から2に調整し、その後水層をEtOAc(3×100mL)で抽出した。一緒にして有機物をブライン(100mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、そして揮発性物質を減圧下での回転蒸発により除去して純粋なHO−Ala−Val−Fmoc 20bを得た(746mg、収率97%)。LC/MS2.85分(ES+)m/z(相対強度)410.60;1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ7.79(d,J=7.77Hz,2H),7.60(d,J=7.77Hz,2H),7.43(d,J=7.5Hz,2H),7.34(d,J=7.5Hz,2H),6.30(bs,1H),5.30(bs,1H),4.71−7.56(m,1H),4.54−4.36(m,2H),4.08−3.91(m,1H),2.21−2.07(m,1H),1.50(d,J=7.1Hz,3H),1.06−0.90(m,6H)。
【0520】
(b)(9H−フルオレン−9−イル)メチル((S)−3−メチル−1−オキソ−1−(((S)−1−オキソ−1−((4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)アミノ)プロパン−2−イル)アミノ)ブタン−2−イル)カルバメート(20)
4−アミノフェニルボロン酸ピナコールエステル(146.9mg、0.67ミリモル)を、アルゴンでフラッシュしたフラスコ中において予めで室温で30分間撹拌したHO−Ala−Val−Fmoc 20b(330mg、0.8ミリモル)、DCC(166mg、0.8ミリモル)及びDMAP(5mg、触媒)の乾燥DCM(8mL)溶液に添加した。次いで、反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応をLCMS及びTLCで追跡した。反応混合物をCH2Cl2で希釈し、そして有機層をH2O及びブラインで洗浄してから、MgSO4で乾燥させ、ろ過し、そして溶媒を減圧下での回転蒸発により除去した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーカラムに乾式充填し(ヘキサン/EtOAc、6:4)、そして純粋な生成物20を白色固体として88%収率(360mg)で単離した。
【0521】
(c)8−(3−((2−(4−((S)−2−((S)−2−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)−3−メチルブタンアミド)プロパンアミド)フェニル)−7−メトキシ−5,11−ジオキソ−10−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−5,10,11,11a−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−8−イル)オキシ)プロポキシ)−7−メトキシ−5,11−ジオキソ−10−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−5,10,11,11a−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−2−イルトリフルオロメタンスルホネート(21)
ビス−トリフレート12(2.03g、1.81ミリモル)、ボロン酸ピナコールエステル(1g、1.63ミリモル)及びNa2CO3(881mg、8.31ミリモル)をトルエン/メタノール/H2Oの2:1:1(40mL)混合物に溶解させた。反応フラスコをパージし、アルゴンを3回充填してから、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(41mg、0.035ミリモル)を添加し、そしてこの反応混合物を一晩30℃に加熱した。溶媒を減圧下で除去し、そして残留物をH2O(100mL)に溶解させ、EtOAc(3×100mL)で抽出した。一緒にした有機物をブライン(100mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、ろ過し、そして揮発性物質を減圧下での回転蒸発により除去した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーカラム(ヘキサン/EtOAc、8:2〜25:75)で精製して純粋な21を33%収率(885mg)で得た。LC/MS3.85分(ES+)m/z(相対強度)1452.90;1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.78−7.16(m,17H),7.13(s,1H),6.51−6.24(m,1H),5.51(dd,J=10.0,5.1Hz,2H),5.36−5.11(m,1H),4.74(dd,J=10.1,4.4Hz,2H),4.70−4.53(m,2H),4.47(d,J=6.4Hz,1H),4.37(d,J=7.2Hz,1H),4.27(m,4H),4.20−4.14(m,1H),3.90(s,3H),3.89(s,3H),3.77(ddd,J=16.7,9.0,6.4Hz,3H),3.71−3.61(m,2H),3.24−2.91(m,3H),2.55−2.33(m,2H),2.22−2.07(m,1H),1.52−1.37(m,3H),1.04−0.86(m,10H),0.00(s,18H)。
【0522】
(d)(9H−フルオレン−9−イル)メチル((2S)−1−(((2S)−1−((4−(8−(3−((2−シクロプロピル−7−メトキシ−5,11−ジオキソ−10−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−5,10,11,11a−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−8−イル)オキシ)プロポキシ)−7−メトキシ−5,11−ジオキソ−10−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−5,10,11,11a−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−2−イル)フェニル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)カルバメート(22)
トリフェニルアルシン(42mg、0.137ミリモル)を、乾燥ジオキサン(10mL)中PBD−トリフレート21(250mg、0.172ミリモル)、シクロプロピルボロン酸(73.9mg、0.86ミリモル)、酸化銀(159mg、0.688ミリモル)及びリン酸三カリウムの混合物(438mgの、2.06ミリモル)にアルゴン雰囲気下で添加した。反応をアルゴンで3回フラッシュし、そして塩化ビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)(13.2mg、0.034ミリモル)を添加した。反応をアルゴンで3回以上フラッシュしてから、75℃に温め、そして10分間攪拌した。反応混合物をセライトのパッドを通して濾過し、その後、これを酢酸エチルですすいだ。溶媒を減圧下での回転蒸発により除去した。得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにかけた(シリカゲル;1%メタノール/クロロホルム)。純粋な画分を集め、一緒にし、そして過剰な溶出液を減圧下での回転蒸発により除去して所望の生成物22を得た(132mg、収率50%)。LC/MS3.83分(ES+)m/z(相対強度)1345.91;1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.88−7.14(m,17H),6.69(s,1H),6.45−6.25(m,1H),5.57−5.41(m,2H),5.34−5.14(m,1H),4.78−4.67(m,2H),4.62−4.55(m,1H),4.50−4.45(m,2H),4.51−4.44(m,1H),4.31−4.21(m,4H),4.16(m,1H),3.92(s,3H),3.86(s,3H),3.82−3.71(m,2H),3.66(m,3H),3.40−3.28(m,1H),3.07(m,1H),2.70−2.57(m,1H),2.47−2.36(m,2H),2.15(m,1H),1.51−1.40(m,3H),1.03−0.87(m,11H),0.77−0.71(m,2H),0.60−0.54(m,2H),0.00(t,J=3.0Hz,18H)。
【0523】
(e)(9H−フルオレン−9−イル)メチル((2S)−1−(((2S)−1−((4−(8−(3−((2−シクロプロピル−7−メトキシ−5−オキソ−5,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−8−イル)オキシ)プロポキシ)−7−メトキシ−5−オキソ−5,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−2−イル)フェニル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)カルバメート(23)
Super−Hydride(登録商標)の溶液(0.5mL、THF中1M)を、アルゴン雰囲気下において−78℃でSEMジラクタム22(265mg、0.19ミリモル)のTHF(10mL)溶液に滴下して添加した。この添加を、反応混合物の内部温度を一定に維持するために、5分間かけて完了させた。20分後、アリコートをLC/MS分析のために水でクエンチし、その分析から、反応が完了したことが明らかになった。水(20mL)を反応混合物に添加し、冷浴を除去した。有機層をEtOAcで抽出し(3×30mL)、一緒にした有機物をブライン(50mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、ろ過し、そして溶媒を減圧下での回転蒸発により除去した。粗生成物をMeOH(12mL)、塩化メチレン(6mL)、水(2mL)及び十分なシリカゲルに溶解し、濃厚撹拌懸濁液を形成させた。5日後、懸濁液を焼結漏斗を通して濾過し、そして生成物の溶出が完了するまで塩化メチレン/メタノール(9:1)(200mL)で洗浄した。有機層をブライン(2×70mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、ろ過し、そして溶媒を減圧下での回転蒸発により除去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(100%のCHCl3〜96%のCHCl3/4%のMeOH)により精製して、黄色の固体として生成物23を得た(162mg、78%)。LC/MS3.02分(ES+)m/z(相対強度)1052.37。
【0524】
(f)(2S)−2−アミノ−N−((2S)−1−((4−(8−(3−((2−シクロプロピル−7−メトキシ−5−オキソ−5,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−8−イル)オキシ)プロポキシ)−7−メトキシ−5−オキソ−5,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−2−イル)フェニル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)−3−メチルブタンアミド(17)
過剰のピペリジン(0.2mL、2ミリモル)をSEMジラクタム23(76mg、0.073ミリモル)のDMF(1mL)溶液に加えた。この混合物を室温で20分間攪拌し、その時点で、反応が完了した(LC/MSによって監視)。この反応混合物をCH2Cl2(75mL)で希釈し、そして有機相をピペリジンが完全に除去されるまでH2O(3×75mL)で洗浄した。有機相をMgSO4で乾燥させ、ろ過し、そして過剰の溶媒を減圧下での回転蒸発により除去して粗生成物17を得、これを次の工程でそのまま使用した。LC/MS2.32分(ES+)m/z(相対強度)830.00。
【0525】
(g)N−((2S)−1−(((2S)−1−((4−(8−(3−((2−シクロプロピル−7−メトキシ−5−オキソ−5,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−8−イル)オキシ)プロポキシ)−7−メトキシ−5−オキソ−5,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−2−イル)フェニル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)−1−(3−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)−3,6,9,12,15,18,21,24−オクタオキサヘプタコサン−27−アミド(18)
EDCI塩酸塩(14mg、0.0732ミリモル)をアルゴン雰囲気下でマレイミドPEG8酸(43.4mg、0.0732ミリモル)の乾燥CH2Cl2(5mL)への懸濁液を添加した。この混合物を室温で1時間攪拌してからPBD17(60.7mg、0.0732ミリモル)を加えた。反応が完了するまで(通常は5時間)攪拌を維持した。反応物をCH2Cl2で希釈し、そして有機相をH2O及びブラインで洗浄してから、MgSO4で乾燥させ、ろ過し、そして過剰の溶媒を減圧下での回転蒸発により除去した。生成物を、注意深くシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し(100%のCHCl3から出発して9:1のCHCl3/MeOHまで緩やかな溶出)、その後逆相クロマトグラフィーによって生成して、未反応のマレイミドPEG8酸を除去した。生成物18を17.6%(21.8mg)で単離した。LC/MS2.57分(ES+)m/z(相対強度)1405.30;1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.91(t,J=3.5 Hz,1H),7.80(d,J=4.0 Hz,1H),7.75(d,J=8.8 Hz,1H),7.69(d,J=8.7 Hz,1H),7.54−7.50(m,2H),7.45(s,1H),7.39−7.31(m,2H),6.87(d,J=10.5 Hz,2H),6.76(s,1H),6.72−6.68(m,2H),4.74−4.62(m,1H),4.45−4.17(m,7H),3.95(s,3H),3.94(s,3H),3.67−3.58(m,34H),3.54(m,2H),3.42(dd,J=10.2,5.2 Hz,2H),3.16−3.07(m,1H),2.92(dd,J=16.1,4.1 Hz,1H),2.62−2.49(m,4H),2.48−2.39(m,2H),2.37−2.25(m,1H),1.92(s,1H),1.52−1.44(m,3H),1.10−0.93(m,6H),0.79(dd,J=9.2,5.3 Hz,2H),0.57(dd,J=9.2,5.3 Hz,2H)、NHは観察されなかった。
【0526】
例3
【化150】
【0527】
(a)(S)−7−メトキシ−8−(3−(((S)−7−メトキシ−2−(4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル)−5,11−ジオキソ−10−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−5,10,11,11a−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−8−イル)オキシ)プロポキシ)−5,11−ジオキソ−10−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−5,10,11,11a−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−2−イルトリフルオロメタンスルホネート(24)
Pd(PPh34(20.6mg、0.018ミリモル)を、ビスエノールトリフレート12(500mg、0.44ミリモル)、N−メチルピペラジンボロン酸エステル(100mg、0.4ミリモル)、Na2CO3(218mg、2.05ミリモル)、MeOH(2.5mL)、トルエン(5mL)及び水(2.5mL)の撹拌混合物に添加した。この反応混合物を24時間にわたって窒素雰囲気下に30℃で撹拌し、その時間後、全てのボロン酸エステルが消費された。次いで、反応混合物を蒸発乾固させてから、残留物をEtOAc(100mL)に溶解させ、そしてH2O(2×50mL)、ブライン(50mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、ろ過し、そして減圧下で蒸発させて粗生成物を得た。フラッシュクロマトグラフィー(勾配溶出:80:20(v/v)のヘキサン/ EtOAc〜60:40(v/v)のヘキサン/ EtOAc)で精製して、黄色がかった泡状物として生成物24を得た(122.6mg、25%)。LC/MS3.15分(ES+)m/z(相対強度)1144([M+H]+、20%)。
【0528】
(b)(9H−フルオレン−9−イル)メチル((S)−1−(((S)−1−((4−((S)−7−メトキシ−8−(3−(((S)−7−メトキシ−2−(4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル)−5,11−ジオキソ−10−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−5,10,11,11a−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−8−イル)オキシ)プロポキシ)−5,11−ジオキソ−10−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−5,10,11,11a−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−2−イル)フェニル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)カルバメート(25)
PBD−トリフレート24(359mg、0.314ミリモル)、ボロン酸ピナコールエステル20(250mg、0.408ミリモル)及びトリエチルアミン(0.35mL、2.51ミリモル)をトルエン/メタノール/H2O、2:1:1(3mL)の混合物に溶解した。マイクロ波容器を3回パージし、アルゴンを充填してから、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(21.7mg、0.018ミリモル)を添加し、そして反応混合物を80℃で10分間マイクロ波内に置いた。次に、CH2Cl2(100mL)を加え、そして有機層を水(2×50mL)及びブライン(50mL)で洗浄してから、MgSO4で乾燥させ、ろ過し、揮発性物質を減圧下での回転蒸発により除去した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーカラムにより精製(CHCl3/MeOH、100%〜9:1)して、純粋な25を得た(200mg、43%の収率)。LC/MS3.27分(ES+)m/z(相対強度)1478([M+H]+.,100%)。
【0529】
(c)(9H−フルオレン−9−イル)メチル((S)−1−(((S)−1−((4−((S)−7−メトキシ−8−(3−(((S)−7−メトキシ−2−(4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル)−5−オキソ−5,11a−ジヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−8−イル)オキシ)プロポキシ)−5−オキソ−5,11a−ジヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−2−イル)フェニル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)カルバメート(26)
Super−Hydride(登録商標)(0.34mL、THF中1M)を、アルゴン雰囲気下において−78℃でSEMジラクタム25(200mg、0.135ミリモル)のTHF(5mL)溶液に滴下して添加した。この反応混合物の内部温度を一定に維持するために添加を5分間かけて完了させた。20分後、アリコートをLC/MS分析のために水でクエンチし、この分析からこの反応が完了したことが明らかになった。水(20mL)を反応混合物に添加し、冷浴を除去した。有機層をEtOAc(3×30mL)で抽出し、一緒にした有機物をブライン(50mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、ろ過し、そして溶媒を減圧下での回転蒸発により除去した。粗生成物をMeOH(6mL)、CH2Cl2(3mL)、水(1mL)及び十分なシリカゲルに溶解させて濃厚な撹拌懸濁液を形成さでる。5日後、この懸濁液を、焼結漏斗を通して濾過し、生成物の溶出が完了するまでCH2Cl2/メタノール(9:1)(100mL)で洗浄した。有機層をブライン(2×50mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、ろ過し、そして溶媒を減圧下での回転蒸発により除去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(100%のCHCl3〜96%のCHCl3/4%のMeOH)により精製して、黄色の固体として生成物26を得た(100mg、63%)。LC/MS2.67分(ES+)m/z(相対強度)1186([M+H]+.,5%)。
【0530】
(d)(S)−2−アミノ−N−((S)−1−((4−((R)−7−メトキシ−8−(3−(((R)−7−メトキシ−2−(4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル)−5−オキソ−5,11a−ジヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−8−イル)オキシ)プロポキシ)−5−オキソ−5,11a−ジヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−2−イル)フェニル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)−3−メチルブタンアミド(27)
過剰のピペリジン(0.1mL、1ミリモル)をPBD26(36.4mg、0.03ミリモル)のDMF(0.9mL)溶液に加えた。この混合物を室温で20分間攪拌し、その時点で反応が完了した(LC/MSによって監視)。この反応混合物をCH2Cl2(50mL)で希釈し、ピペリジンが完全に除去されるまで有機相をH2Oで洗浄した(3×50mL)。有機相をMgSO4で乾燥させ、ろ過し、そして過剰の溶媒を減圧下での回転蒸発により除去して粗生成物27を得、これを次の工程でそのまま使用した。LC/MS2.20分(ES+)m/z(相対強度)964([M+H]+.,5%)。
【0531】
(e)6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)−N−((S)−1−(((S)−1−((4−((S)−7−メトキシ−8−(3−(((S)−7−メトキシ−2−(4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル)−5−オキソ−5,11a−ジヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−8−イル)オキシ)プロポキシ)−5−オキソ−5,11a−ジヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−2−イル)フェニル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)ヘキサンアミド(28)
EDCI塩酸塩(4.7mg、0.03ミリモル)をアルゴン雰囲気下で6−マレイミドヘキサン酸(6.5mg、0.03ミリモル)の乾燥CH2Cl2(3mL)への懸濁液に添加した。この混合物を室温で1時間攪拌してから、PBD27(34mg、粗製)を加えた。反応が完了するまで(6時間)攪拌を維持した。反応物をCH2Cl2で希釈し、そして有機相をH2O及びブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、ろ過し、そして過剰の溶媒を減圧下での回転蒸発により除去した。生成物を、注意深くシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し(100%のCHCl3から出発して9:1のCHCl3/MeOHまでの緩やかな溶出)、その後逆相クロマトグラフィーで生成して、未反応のマレイミドPEG8酸を除去した。生成物28を、2工程にわたって41%で単離した(14.6mg)。LC/MS2.40分(ES+)m/z(相対強度)1157([M+H]+.,5%)。
【0532】
例4−化合物25の別の合成
【化151】
【0533】
PBD−トリフレート21(469mg、0.323ミリモル)、ボロン酸ピナコールエステル(146.5mg、0.484ミリモル)及びNa2CO3(157mg、1.48ミリモル)をトルエン/メタノール/H2Oの2:1:1(10mL)混合物に溶解した。反応フラスコをアルゴンで3回パージしてから、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(7.41mg、0.0064ミリモル)を添加し、そしてこの反応混合物を一晩30℃に加熱した。溶媒を減圧下で除去し、残留物をH2O(50mL)に溶解させ、そしてEtOAc(3×50mL)で抽出した。一緒にした有機物をブライン(100mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、ろ過し、そして揮発性物質を減圧下での回転蒸発により除去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して(CHCl3の100%〜CHCl3/MeOHの95%:5%)、純粋な25を33%の収率(885mg)で得た。LC/MS3.27分(ES+)m/z(相対強度)1478([M+H]+.,100%)。
【0534】
例5
【化152】
【0535】
(a)(S)−2−(4−アミノフェニル)−8−(3−(((S)−2−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−7−メトキシ−5,11−ジオキソ−10−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−5,10,11,11a−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−8−イル)オキシ)プロポキシ)−7−メトキシ−10−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−1H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−5,11(10H,11aH)ジオン(29)
3,4−(メチレンジオキシ)フェニルボロン酸(356mg、2.1ミリモル、1.3当量)、TEA(1.8mL、12.9ミリモル、8当量)及びトリフレート/アニリン13(1.75g、1.7ミリモル、1当量)をAr雰囲気下でエタノール(7mL)、トルエン(13mL)及び水(2mL)の混合物に溶解させた。この反応混合物を排出し、アルゴンで3回フラッシュしてから、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(114mg、0.1ミリモル、0.06当量)を添加した。フラスコを再度排気し、そしてArで3回フラッシュし、30秒予備攪拌時間しながら8分間にわたって80℃でマイクロ波加熱した。TLC(80:20v/vの酢酸エチル/ヘキサン)による分析から、出発物質の完全な消費が示された。反応混合物をジクロロメタン(50mL)で希釈し、水(50mL)で洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥させ、ろ過し、そして溶媒を真空中で除去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(60:40〜20:80(v/v)のヘキサン/酢酸エチル)により精製して、黄色固体として生成物29を得た(1.21g、71%)。LC/MS(3.92分(ES+)m/z(相対強度)1032.44([M+H]+.,100)。
【0536】
(b)(S)−2−(4−アミノフェニル)−8−(3−(((S)−2−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−7−メトキシ−5−オキソ−5,11a−ジヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−8−イル)オキシ)プロポキシ)−7−メトキシ−1H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−5(11aH)−オン(30)
SEMジラクタム29(0.25g、0.24ミリモル、1当量)をTHF(8mL)に溶解し、アルゴン雰囲気下で78℃に冷却した。温度を監視しながら、Super−Hydride(登録商標)(0.6mL、THF中1M、2.5当量)を5分間かけて滴下して加えた。20分後、少量のサンプルを採取し、そしてLCMS分析の準備をした。水(50mL)を添加し、冷浴を除去し、そして溶液を酢酸エチル(50mL)で洗浄した。有機層を抽出し、そしてブライン(60mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、ろ過し、そして溶媒を真空中で除去した。粗生成物をEtOH(15mL)、CH2Cl2(7.5mL)及び水(2.5mL)に溶解し、そして濃厚な懸濁液になるまで十分なシリカゲルを添加した。5日間攪拌した後、これを焼結漏斗を通して濾過し、生成物が溶出しなくなるまでCH2Cl2/メタノール(9:1)(100mL)で洗浄した。有機層をブライン(2×50mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、ろ過し、そして溶媒を真空中で除去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(1%〜4%MeOH勾配と共にCHCl3)によって精製して、黄色固体として生成物30を得た(94mg、53%)。LC/MS(2.53分(ES+)m/z(相対強度)739.64([M]+.,70)。
【0537】
(c)アリル((S)−1−(((S)−1−((4−((S)−8−(3−(((S)−2−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−7−メトキシ−5−オキソ−5,11a−ジヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−8−イル)オキシ)プロポキシ)−7−メトキシ−5−オキソ−5,11a−ジヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−2−イル)フェニル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)カルバメート(31)
Ar雰囲気下で、Alanine−Valine−Alloc(180mg、0.66ミリモル、1.2当量)を無水CH2Cl2(21mL)及びメタノール(1mL)中においてEEDQ(163mg、0.66ミリモル、1.2当量)と共に1時間撹拌した。PBD30(407mg、0.55ミリモル、1当量)を無水CH2Cl2(21mL)及びメタノール(1mL)に溶解し、そして反応物に添加した。室温で5日日撹拌した後に、LC/MSは大部分の生成物の形成を示した。溶媒を減圧下で除去してからカラムクロマトグラフィーで精製(1%〜6%MeOH勾配でのCH2Cl2)して、黄色の固体として生成物31を得た(184mg、34%)。LC/MS(2.95分(ES+)m/z(相対強度)994.95([M+H]+.,60)。
【0538】
(d)(S)−2−アミノ−N−((S)−1−((4−((S)−8−(3−(((S)−2−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−7−メトキシ−5−オキソ−5,11a−ジヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−8−イル)オキシ)プロポキシ)−7−メトキシ−5−オキソ−5,11a−ジヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−2−イル)フェニル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)−3−メチルブタンアミド(32)
イミン31(100mg、0.1ミリモル、1当量)をAr雰囲気下で無水DCM(10mL)(溶解を助けるために一滴のメタノールを用いる)に溶解させた。ピロリジン(30μL、0.15ミリモル、1.5当量)を滴下して添加してから、フラスコを排気し、そしてアルゴンで3回フラッシュした。Pd(PPh34(7mg、6μmol、0.06当量)を添加し、フラスコを排気し、そしてアルゴンで3回フラッシュした。1時間後のLC/MS分析から、生成物の形成及び出発物質の完全な消失が示された。Et2O(60mL)を反応混合物に添加し、そして全ての生成物が溶液から崩れるまでこれを攪拌した。沈殿物を焼結漏斗を通して濾過し、Et2O(2×20mL)で2回洗浄した。収集フラスコを交換し、単離した固体を溶解させ、そしてCHCl3(100mL)で焼結体を介して洗浄した。溶媒を減圧下で除去して黄色の固体として粗生成物32を得、これを次の工程で直接使用した。LC/MS(1.14分(ES+)m/z(相対強度)910.40([M+H]+.,67)。
【0539】
(e)N−((S)−1−(((S)−1−((4−((S)−8−(3−(((S)−2−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−7−メトキシ−5−オキソ−5,11a−ジヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−8−イル)オキシ)プロポキシ)−7−メトキシ−5−オキソ−5,11a−ジヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−2−イル)フェニル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)−1−(3−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)−3,6,9,12,15,18,21,24−オクタオキサヘプタコサン−27−アミド(33)
イミン32(92mg、0.1ミリモル、1.1当量)を、溶解を助けるための一滴の無水MeOHと共にCHCl3(6mL)に溶解させた。マレイミドPEG8酸(53mg、0.09ミリモル、1当量)を添加し、その後EEDQ(33mg、0.14ミリモル、1.5当量)を添加した。これを、LC/MS分析により大部分の生成物の形成が示されるまで4日間にわたりアルゴン下において室温で激しく攪拌した。溶媒を真空中で除去し、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(1%〜10%のMeOH勾配を用いたCHCl3)により部分的に生成して33を得た(81mg)。この物質を分取HPLCによってさらに精製して、黄色の固体として33を得た(26.3mg、18%)。急速ギ酸実施:LC/MS(1.39分(ES+)m/z(相対強度)1485.00([M+H]+.,64)。
【0540】
例6
【化153】
【0541】
(a)9H−フルオレン−9−イル)メチル((S)−1−(((S)−1−((4−((S)−8−(3−(((S)−2−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−7−メトキシ−5,11−ジオキソ−10−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−5,10,11,11a−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−8−イル)オキシ)プロポキシ)−7−メトキシ−5,11−ジオキソ−10−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−5,10,11,11a−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−2−イル)フェニル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)カルバメート(34)
トリフレート21(0.5g、0.35ミリモル、1当量)、3,4−(メチレンジオキシ)フェニルボロン酸(75mg、0.45ミリモル、1.3当量)及びNa2CO3(0.17g、1.6ミリモル、4.5当量)をアルゴン雰囲気下でトルエン(11mL)、EtOH(5.5mL)及び水(5.5mL)に溶解させた。フラスコを排気し、そしてアルゴンで3回フラッシュした。Pd(PPh34(24mg、0.02ミリモル、0.06当量)を添加し、再びフラスコを排気し、アルゴンで3回フラッシュした。これを30℃に加熱し、一晩撹拌し続けた。LC/MSによる分析から、出発物質の完全な消失が示された。溶媒を真空中で除去し、残留物を水(60mL)に溶解させてから酢酸エチル(60mL×3)で洗浄した。一緒にした有機層をブライン(50mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、ろ過し、そして溶媒を真空下で除去した。カラムクロマトグラフィー(50:50〜25:75(v/v)のヘキサン/酢酸エチル)により精製して、黄色の固体として生成物34を得た(310mg、64%)。LC/MS(1.44分(ES-)m/z(相対強度)1423.35([M−H]-,79)。
【0542】
(b)(9H−フルオレン−9−イル)メチル((S)−1−(((S)−1−((4−((S)−8−(3−(((S)−2−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−7−メトキシ−5−オキソ−5,11a−ジヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−8−イル)オキシ)プロポキシ)−7−メトキシ−5−オキソ−5,11a−ジヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−2−イル)フェニル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)カルバメート(35)
SEMジラクタム34(0.31g、0.22ミリモル、1当量)をTHF(10mL)に溶解し、そしてアルゴン雰囲気下で78℃に冷却した。Super−Hydride(登録商標)(0.5mL、THF中1M、2.5当量)を、温度を監視しつつ5分間かけてを滴下添加した。30分後、少量のサンプルを採取し、LC/MS分析のための準備をした。水(50mL)を添加し、冷浴を除去し、そして溶液を酢酸エチル(50mL)で洗浄した。有機層を抽出し、そしてブライン(60mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、ろ過し、そして溶媒を真空下で除去した。粗生成物をEtOH(13.2mL)、CH2Cl2(6.6mL)及び水(2.2 mL)に溶解させ、濃厚な懸濁液になるまで十分なシリカゲルを添加した。5日間攪拌した後、これを焼結漏斗を通して濾過し、生成物が溶出しなくなるまでCH2Cl2/メタノール(9:1)(100mL)で洗浄した。有機層をブライン(2×50mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、ろ過し、そして溶媒を真空下で除去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(1%〜4%MeOH勾配を用いたCHCl3)により精製して、黄色の固体として純粋な生成物35を得た(185mg、75%)。LC/MS(1.70分(ES+)m/z(相対強度)1132.85([M+H]+.,60)。
【0543】
(c)(S)−2−アミノ−N−((S)−1−((4−((S)−8−(3−(((S)−2−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−7−メトキシ−5−オキソ−5,11a−ジヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−8−イル)オキシ)プロポキシ)−7−メトキシ−5−オキソ−5,11a−ジヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−2−イル)フェニル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)−3−メチルブタンアミド(32)
イミン35(82mg、0.07ミリモル、1当量)(1mL)をDMFに溶解させてから、ピペリジン(0.2mL、2ミリモル、過剰)をゆっくりと添加した。この溶液をLC/MS分析により出発物質の完全な消費が示されるまで室温で20分間攪拌した。反応混合物をCH2Cl2(50mL)で希釈し、水(50mL×4)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、ろ過し、そして溶媒を真空下で除去した。生成物33を次の工程でさらに精製することなく使用した。LC/MS(1.15分(ES+)m/z(相対強度)910.60([M+H]+.,58)。
【0544】
例7
(i)(S)−(2−アミノ−5−メトキシ−4−((トリイソプロピルシリル)オキシ)フェニル)(2−(((t−ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)−4−メチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)メタノン(49)
【化154】
【0545】
(a)5−メトキシ−2−ニトロ−4−((トリイソプロピルシリル)オキシ)ベンズアルデヒド(42)
ニートのトリイソプロピルシリルクロリド(56.4mL、262ミリモル)イミダゾール(48.7g、715.23ミリモル)と4−ヒドロキシ−5−メトキシ−2−ニトロベンズアルデヒド41(47g、238ミリモル)との混合物(一緒に粉砕)に添加した。この混合物を、フェノール及びイミダゾールが融解し、溶液になるまで加熱した(100℃)。この反応混合物を15分間撹拌した後、冷却させ、それによってフラスコの底部に固形物が形成することが観察された(塩化イミダゾール)。反応混合物を5%EtOAc/ヘキサンで希釈し、シリカゲル上に直接ロードし、そしてパッドを5%EtOAc/ヘキサンで溶出し、その後10%EtOAc/ヘキサンで溶出した(低過剰のため、非常にわずかの未反応TIPSClが生成物中に見出された)。所望の生成物をヘキサン中5%酢酸エチルで溶出した。過剰な溶離液を減圧下での回転蒸発により除去し、その後高真空下で乾燥させて結晶性感光性固体を得た(74.4g、88%)。LC/MS(4.22分(ES+)m/z(相対強度)353.88([M+H]+.,100))による十分な純度;1H NMR(400MHz,CDCl3)δ10.43(s,1H),7.60(s,1H),7.40(s,1H),3.96(s,3H),1.35−1.24(m,3H),1.10(m,18H)。
【0546】
(b)5−メトキシ−2−ニトロ−4−((トリイソプロピルシリル)オキシ)安息香酸(43)
亜塩素酸ナトリウム(47.3g、523ミリモル、80%工業等級)及びリン酸二水素ナトリウム一塩基(35.2g、293ミリモル)(NaH2PO4)の水溶液(800mL)を、室温で化合物2(74g、209ミリモル)のテトラヒドロフラン(500mL)溶液に添加した。過酸化水素(60%w/w、140mL、2.93モル)を激しく撹拌した二相混合物に直ちに添加した。反応混合物はガス(酸素)発生し、出発物質が溶解し、反応混合物の温度が45℃に上昇した。30分後、LC/MSから、反応が完了したことが明らかになった。反応混合物を氷浴で冷却し、塩酸(1M)を添加してpHを3に低下させた(この工程は、多くの場合不必要であることが分かった。というのは、反応終了時のpHは既に酸性だからである;抽出前のpHを確認することが必要である)。次いで、反応混合物を酢酸エチル(1L)及びブライン(2×100mL)で洗浄し、有機相を抽出し、そして硫酸マグネシウムで乾燥させた。有機相を濾過し、過剰の溶媒を減圧下での回転蒸発により除去して生成物43を黄色の固体として定量的収率で得た。LC/MS(3.93分(ES−)m/z(相対強度)367.74([M−H]-.,100));1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.36(s,1H),7.24(s,1H),3.93(s,3H),1.34−1.22(m,3H),1.10(m,18H)。
【0547】
(c)((2S,4R)−2−(((t−ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)−4−ヒドロキシピロリジン−1−イル)(5−メトキシ−2−ニトロ−4−((トリイソプロピルシリル)オキシ)フェニル)メタノン(45)
DCC(29.2g、141ミリモル、1.2当量)を0℃で酸3(43.5g、117.8ミリモル、1当量)及びヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(19.8g、129.6ミリモル、1.1当量)のジクロロメタン溶液(200mL)に添加した。冷浴を除去し、そして反応を室温で30分間進行させ、その時点で、(2S,4R)−2−t−ブチルジメチルシリルオキシ−4−ヒドロキシピロリジン44(30g、129.6ミリモル、1.1当量)及びトリエチルアミン(24.66mL、176ミリモル、1.5当量)のジクロロメタン溶液(100mL)をアルゴン下において−10℃で迅速に添加した(大規模では、添加時間は、反応混合物をさらに冷却することによって短縮できる)。この反応混合物を1時間40分間にわたって室温で撹拌し、そしてLC/MS及びTLC(EtOAc)により監視した。固形物をセライトで濾過により除去し、そして有機相をpHが4又は5と測定されるまで冷水性0.1M HClで洗浄した。次いで、有機相を水で洗浄し、その後飽和重炭酸ナトリウム水溶液及びブラインで洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、そして過剰の溶媒を減圧下での回転蒸発により除去した。残留物にフラッシュカラムクロマトグラフィーを施した(シリカゲル;勾配40/60酢酸エチル/ヘキサン〜80/20酢酸エチル/ヘキサン)。過剰の溶媒を減圧下での回転蒸発により除去して、純粋な生成物45を得た(純粋な生成物66%の45.5g、及びわずかに不純な生成物の17g、合計90%)。LC/MS4.43分(ES+)m/z(相対強度)582.92([M+H]+.,100);1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.66(s,1H),6.74(s,1H),4.54(s,1H),4.40(s,1H),4.13(s,1H),3.86(s,3H),3.77(d,J=9.2Hz,1H),3.36(dd,J=11.3,4.5 Hz,1H),3.14−3.02(m,1H),2.38−2.28(m,1H),2.10(ddd,J=13.3,8.4,2.2 Hz,1H),1.36−1.19(m,3H),1.15−1.05(m,18H),0.91(s,9H),0.17−0.05(m,6H),(回転異性体の存在)。
【0548】
(d)(S)−5−(((t−ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)−1−(5−メトキシ−2−ニトロ−4−((トリイソプロピルシリル)オキシ)ベンゾイル)ピロリジン−3−オン(46)
TCCA(8.82g、40ミリモル、0.7当量)を0℃で45(31.7g、54ミリモル、1当量)及びTEMPO(0.85g、5.4ミリモル、0.1当量)の乾燥ジクロロメタン攪拌溶液(250mL)に添加した。この反応混合物を激しく20分間撹拌し、その時点で、TLC(50/50酢酸エチル/ヘキサン)は出発物質の完全な消費を示した。反応混合物をセライトを通して濾過し、ろ液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)、チオ硫酸ナトリウム(300mL中9g)、ブライン(100mL)で洗浄し、そして硫酸マグネシウム上で乾燥させた。減圧下での回転蒸発により生成物46を定量的収率で得た。LC/MS4.52分(ES+)m/z(相対強度)581.08([M+H]+.,100);1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.78−7.60(m,1H),6.85−6.62(m,1H),4.94(dd,J=30.8,7.8 Hz,1H),4.50−4.16(m,1H),3.99−3.82(m,3H),3.80−3.34(m,3H),2.92−2.17(m,2H),1.40−1.18(m,3H),1.11(t,J=6.2 Hz,18H),0.97−0.75(m,9H),0.15−0.06(m,6H),(回転異性体の存在)。
【0549】
(e)(S)−5−(((t−ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)−1−(5−メトキシ−2−ニトロ−4−((トリイソプロピルシリル)オキシ)ベンゾイル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピロール−3−イルトリフルオロメタンスルホネート(47)
トリフルオロメタンスルホン酸無水物(27.7mL、46.4g、165ミリモル、3当量)を、2,6−ルチジン(25.6mL、23.5g、220ミリモル、4当量、ふるい上で乾燥)の存在下において−50℃(アセトン/ドライアイス浴)で、ケトン46(31.9g、55ミリモル、1当量)の乾燥ジクロロメタン(900mL)への激しく撹拌した懸濁液に注入した(温度を制御)。この反応混合物を1.5時間撹拌し、そのときに、ミニワークアップ(水/ジクロロメタン)後のLC/MSから、反応が完了したことが明らかになった。水をまだ冷たい反応混合物に加え、そして有機層を分離し、飽和重炭酸ナトリウム、ブライン及び硫酸マグネシウムで洗浄した。有機相をろ過し、そして過剰の溶媒を減圧下での回転蒸発により除去した。残留物をカラムフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル;10/90(v/v)酢酸エチル/ヘキサン)に付した後、過剰の溶離液を除去して、生成物47を得た(37.6g、96%)。LC/MS、方法2、 4.32分(ES+)m/z(相対強度)712.89([M+H]+.,100);1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.71(s,1H),6.75(s,1H),6.05(d,J=1.8Hz,1H),4.78(dd,J=9.8,5.5 Hz,1H),4.15−3.75(m,5H),3.17(ddd,J=16.2,10.4,2.3 Hz,1H),2.99(ddd,J=16.3,4.0,1.6 Hz,1H),1.45−1.19(m,3H),1.15−1.08(m,18H),1.05(s,6H),0.95−0.87(m,9H),0.15−0.08(m,6H)。
【0550】
(f)(S)−(2−(((t−ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)−4−メチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)(5−メトキシ−2−ニトロ−4−((トリイソプロピルシリル)オキシ)フェニル)メタノン(48)
トリフェニルアルシン(1.71g、5.60ミリモル、0.4当量)を、アルゴン雰囲気下で、トリフレート47(10.00g、14ミリモル、1当量)、メチルボロン酸(2.94g、49.1ミリモル、3.5当量)、酸化銀(13g、56ミリモル、4当量)及びリン酸カリウム三塩基(17.8g、84ミリモル、6当量)の乾燥ジオキサン(80mL)中の混合物に添加した。反応物をアルゴンで3回フラッシュした後、ビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)クロリド(540mg、1.40ミリモル、0.1当量)を加えた。反応物をアルゴンで3回フラッシュしてから、110℃に瞬時に加温した(drysyn加熱ブロックを、フラスコの追加前に110℃に予め加温しておいた)。10分後、反応物を室温にまで冷却し、セライトパッドを通して濾過した。溶媒を減圧下での回転蒸発により除去した。得られた残留物をカラムフラッシュクロマトグラフィーに付した(シリカゲル;10%酢酸エチル/ヘキサン)。純粋な画分を集めて一緒にし、そして過剰な溶出液を減圧下での回転蒸発により除去して、生成物48を得た(4.5g、55%)。LC/MS,4.27分(ES+)m/z(相対強度)579.18([M+H]+.,100);1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.70(s,1H),6.77(s,1H),5.51(d,J=1.7Hz,1H),4.77−4.59(m,1H),3.89(s,3H),2.92−2.65(m,1H),2.55(d,J=14.8 Hz,1H),1.62(d,J=1.1Hz,3H),1.40−1.18(m,3H),1.11(s,9H),1.10(s,9H),0.90(s,9H),0.11(d,J=2.3Hz,6H)。
【0551】
(g)(S)−(2−アミノ−5−メトキシ−4−((トリイソプロピルシリル)オキシ)フェニル)(2−(((t−ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)−4−メチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)メタノン(49)
亜鉛粉末(28g、430ミリモル、37当量)を、約15℃で、化合物48(6.7g、11.58ミリモル)のエタノール中5%ギ酸v/v溶液(70mL)に添加した。生じた発熱を氷浴を用いて制御して30℃未満の反応混合物の温度を維持した。30分後、反応混合物をセライトのパッドを通して濾過した。ろ液を酢酸エチルで希釈し、そして有機相を水、飽和重炭酸ナトリウム水溶液及びブラインで洗浄した。有機相を、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして過剰の溶媒を減圧下での回転蒸発により除去した。得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにかけた(シリカゲル;ヘキサン中10%酢酸エチル)。純粋な画分を集めて一緒にし、そして過剰の溶媒を減圧下での回転蒸発により除去して、生成物49を得た(5.1g、80%)。LC/MS,4.23分(ES+)m/z(相対強度)550.21([M+H]+.,100);1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.28(s,1H),6.67(s,1H),6.19(s,1H),4.64−4.53(m,J=4.1Hz,1H),4.17(s,1H),3.87(s,1H),3.77−3.69(m,1H),3.66(s,3H),2.71−2.60(m,1H),2.53−2.43(m,1H),2.04−1.97(m,J=11.9Hz,1H),1.62(s,3H),1.26−1.13(m,3H),1.08−0.99(m,18H),0.82(s,9H),0.03−−0.03(m,J=6.2Hz,6H)。
【0552】
(ii)(11S,11aS)−アリル11−((t−ブチルジメチルシリル)オキシ)−8−((5−ヨードペンチル)オキシ)−7−メトキシ−2−メチル−5−オキソ−11,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−10(5H)−カルボキシレート
【化155】
【0553】
(a)(S)−アリル(2−(2−(((t−ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)−4−メチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロール−1−カルボニル)−4−メトキシ−5−((トリイソプロピルシリル)オキシ)フェニル)カルバメート(50)
アリルクロロホルメート(0.30mL、3.00ミリモル、1.1当量)を、−78℃(アセトン/ドライアイス浴)で、乾燥ピリジン(0.48mL、6.00ミリモル、2.2当量)の存在下でのアミン49(1.5g、2.73ミリモル)の乾燥ジクロロメタン溶液(20mL)に添加した。30分後、浴を取り除き、反応混合物を室温にまで加温した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、飽和水性硫酸銅を添加した。次いで、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及びブラインで順次洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、そして過剰の溶媒を減圧下での回転蒸発によって除去して、生成物50を得、これを次の反応に直接使用した。LC/MS,4.45分(ES+)m/z(相対強度)632.91([M+H]+.,100)。
【0554】
(b)(S)−アリル(2−(2−(ヒドロキシメチル)−4−メチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロール−1−カルボニル)−4−メトキシ−5−((トリイソプロピルシリル)オキシ)フェニル)カルバメート(51)
粗生成物50を、酢酸/メタノール/テトラヒドロフラン/水の7:1:1:2混合物(28:4:4:4:8mL)に溶解し、そして室温で撹拌した。3時間後、出発物質の完全な消失をLC/MSで観察した。この反応混合物を酢酸エチルで希釈し、そして水(2×500mL)、飽和水性重炭酸ナトリウム(200mL)及びブラインで順次洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、そして過剰の酢酸エチルを減圧下での回転蒸発により除去した。得られた残留物にフラッシュカラムクロマトグラフィーを行った(シリカゲル、ヘキサン中25%酢酸エチル)。純粋な画分を集めて一緒にし、そして過剰な溶離液を減圧下での回転蒸発により除去して、所望の生成物51を得た(1g、71%)。LC/MS,3.70分(ES+)m/z(相対強度)519.13([M+H]+.,95);1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.34(s,1H),7.69(s,1H),6.78(s,1H),6.15(s,1H),5.95(ddt,J=17.2,10.5,5.7Hz,1H),5.33(dq,J=17.2,1.5Hz,1H),5.23(ddd,J=10.4,2.6,1.3Hz,1H),4.73(tt,J=7.8,4.8Hz,1H),4.63(dt,J=5.7,1.4Hz,2H),4.54(s,1H),3.89−3.70(m,5H),2.87(dd,J=16.5,10.5Hz,1H),2.19(dd,J=16.8,4.6Hz,1H),1.70(d,J=1.3Hz,3H),1.38−1.23(m,3H),1.12(s,10H),1.10(s,8H)。
【0555】
(c)(11S,11aS)−アリル11−ヒドロキシ−7−メトキシ−2−メチル−5−オキソ−8−((トリイソプロピルシリル)オキシ)−11,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−10(5H)−カルボキシレート(52)
ジメチルスルホキシド(0.35mL、4.83ミリモル、2.5当量)をアルゴン雰囲気下において−78℃(ドライアイス/アセトン浴)で塩化オキサリル(0.2mL、2.32ミリモル、1.2当量)の乾燥ジクロロメタン溶液(10mL)に滴下添加した。10分後、51(1g、1.93ミリモル)の乾燥ジクロロメタン溶液(8mL)をなお−78℃の温度でゆっくりと添加した。15分後、トリエチルアミン(1.35mL、4Åモレキュラーシーブ上で乾燥、9.65ミリモル、5当量)を滴下添加し、そしてドライアイス/アセトン浴を除去した。反応混合物を室温に到達させ、そして冷塩酸(0.1M)、飽和重炭酸ナトリウム水溶液及びブラインで抽出した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、そして過剰なジクロロメタンを減圧下での回転蒸発により除去して、生成物52を得た(658mg、66%)。LC/MS,3.52分(ES+)m/z(相対強度)517.14([M+H]+.,100);1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.20(s,1H),6.75−6.63(m,J=8.8,4.0Hz,2H),5.89−5.64(m,J=9.6,4.1Hz,2H),5.23−5.03(m,2H),4.68−4.38(m,2H),3.84(s,3H),3.83−3.77(m,1H),3.40(s,1H),3.05−2.83(m,1H),2.59(d,J=17.1Hz,1H),1.78(d,J=1.3Hz,3H),1.33−1.16(m,3H),1.09(d,J=2.2Hz,9H),1.07(d,J=2.1Hz,9H)。
【0556】
(d)(11S,11aS)−アリル11−((t−ブチルジメチルシリル)オキシ)−7−メトキシ−2−メチル−5−オキソ−8−((トリイソプロピルシリル)オキシ)−11,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−10(5H)−カルボキシレート(53)
t−ブチルジメチルシリルトリフレート(0.70mL、3.00ミリモル、3当量)を、アルゴン下0℃で、化合物52(520mg、1.00ミリモル)及び2,6−ルチジン(0.46mL、4.00ミリモル、4当量)の乾燥ジクロロメタン溶液(40mL)に添加した。10分後、冷浴を除去し、そして反応混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物を水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及びブラインで抽出した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、そして過剰分を減圧下での回転蒸発により除去した。得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにかけた(シリカゲル;勾配、ヘキサン中10%酢酸エチル〜ヘキサン中20%酢酸エチル)。純粋な画分を集めて一緒にし、そして過剰な溶離液を減圧下での回転蒸発により除去して、生成物53を得た(540mg、85%)。LC/MS,4.42分(ES+)m/z(相対強度)653.14([M+Na]+.,100);1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.20(s,1H),6.71−6.64(m,J=5.5Hz,2H),5.83(d,J=9.0Hz,1H),5.80−5.68(m,J=5.9Hz,1H),5.14−5.06(m,2H),4.58(dd,J=13.2,5.2Hz,1H),4.36(dd,J=13.3,5.5Hz,1H),3.84(s,3H),3.71(td,J=10.1,3.8Hz,1H),2.91(dd,J=16.9,10.3Hz,1H),2.36(d,J=16.8Hz,1H),1.75(s,3H),1.31−1.16(m,3H),1.12−1.01(m,J=7.4,2.1Hz,18H),0.89−0.81(m,9H),0.25(s,3H),0.19(s,3H)。
【0557】
(e)(11S,11aS)−アリル11−((t−ブチルジメチルシリル)オキシ)−8−ヒドロキシ−7−メトキシ−2−メチル−5−オキソ−11,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−10(5H)−カルボキシレート(54)
酢酸リチウム(87mg、0.85ミリモル)を化合物53(540mg、0.85ミリモル)の湿潤ジメチルホルムアミド(6mL、50:1DMF/水)溶液に添加した。4時間後、反応が完了し、そして反応混合物を酢酸エチル(25mL)で希釈し、クエン酸水溶液(pH〜3)、水及びブラインで洗浄した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、そして過剰な酢酸エチルを減圧下での回転蒸発により除去した。得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにかけた(シリカゲル;勾配、ヘキサン中25%〜75%の酢酸エチル)。純粋な画分を集めて一緒にし、そして過剰な溶離液を減圧下での回転蒸発により除去して生成物54を得た(400mg、定量的)。LC/MS,(3.33分(ES+)m/z(相対強度)475.26([M+H]+,100)。
【0558】
(f)(11S,11aS)−アリル11−((t−ブチルジメチルシリル)オキシ)−8−((5−ヨードペンチル)オキシ)−7−メトキシ−2−メチル−5−オキソ−11,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−10(5H)−カルボキシレート(55)
ジヨードペンタン(0.63mL、4.21ミリモル、5当量)及び炭酸カリウム(116mg、0.84ミリモル、1当量)をフェノール54(400mg、0.84ミリモル)のアセトン(4mL、モレキュラーシーブ上で乾燥)溶液に添加した。次いで、この反応混合物を60℃に加温し、そして6時間攪拌した。アセトンを減圧下での回転蒸発により除去した。得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにかけた(シリカゲル;50/50v/vのヘキサン/酢酸エチル)。純粋な画分を集めて一緒にし、そして過剰な溶離液を除去して55を90%の収率で得た。LC/MS,3.90分(ES+)m/z(相対強度)670.91([M]+,100)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.23(s,1H),6.69(s,1H),6.60(s,1H),5.87(d,J=8.8Hz,1H),5.83−5.68(m,J=5.6Hz,1H),5.15−5.01(m,2H),4.67−4.58(m,1H),4.45−4.35(m,1H),4.04−3.93(m,2H),3.91(s,3H),3.73(td,J=10.0,3.8Hz,1H),3.25−3.14(m,J=8.5,7.0Hz,2H),2.92(dd,J=16.8,10.3Hz,1H),2.38(d,J=16.8Hz,1H),1.95−1.81(m,4H),1.77(s,3H),1.64−1.49(m,2H),0.88(s,9H),0.25(s,3H),0.23(s,3H)。
【0559】
(iii)(11S,11aS)−4−(2−(1−((1−(アリルオキシ)−4−メチル−1,2−ジオキソペンタン−3−イル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ヒドラジニル)ベンジル11−((t−ブチルジメチルシリル)オキシ)−8−ヒドロキシ−7−メトキシ−2−メチル−5−オキソ−11,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−10(5H)−カルボキシレート(70)
【化156】
【0560】
(a)アリル3−(2−(2−(4−((((2−((S)−2−(((t−ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)−4−メチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロール−1−カルボニル)−4−メトキシ−5−((トリイソプロピルシリル)オキシ)フェニル)カルバモイル)オキシ)メチル)フェニル)ヒドラジニル)プロパンアミド)−4−メチル−2−オキソペンタノエート(56)
トリエチルアミン(2.23mL、18.04ミリモル、2.2当量)を、5℃(氷浴)で、アミン49(4g、8.20ミリモル)及びトリホスゲン(778mg、2.95ミリモル、0.36当量)の乾燥テトラヒドロフラン攪拌溶液(40mL)に加えた。イソシアネート反応の進行を、この反応混合物からアリコートを取り出し、メタノールでクエンチし、そしてLC/MS分析を行うことによって定期的に監視した。イソシアネート形成が完了したら、alloc−Val−Ala−PABOH(4.12g、12.30ミリモル、1.5当量)及びトリエチルアミン(1.52mL、12.30ミリモル、1.5当量)の乾燥テトラヒドロフラン溶液(40mL)を、新たに調製されたイソシアネートに注入により迅速に添加した。反応混合物を4時間にわたって40℃で撹拌した。過剰の溶媒を減圧下での回転蒸発により除去した。得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにかけた(シリカゲル;勾配、ジクロロメタン中1%メタノール〜5%メタノール)。(EtOAc及びヘキサンを使用した別のクロマトグラフィー条件も成功した)。純粋な画分を集めて合わせ、そして過剰な溶離液を減圧下での回転蒸発により除去して生成物56を得た(3.9g、50%)。LC/MS,4.23分(ES+)m/z(相対強度)952.36([M+H]+.,100);1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.62(br s,1H),8.46(s,1H),7.77(br s,1H),7.53(d,J=8.4Hz,2H),7.32(d,J=8.5Hz,2H),6.76(s,1H),6.57(d,J=7.6Hz,1H),6.17(s,1H),6.03−5.83(m,1H),5.26(dd,J=33.8,13.5Hz,3H),5.10(s,2H),4.70−4.60(m,2H),4.58(dd,J=5.7,1.3Hz,2H),4.06−3.99(m,1H),3.92(s,1H),3.82−3.71(m,1H),3.75(s,3H),2.79−2.64(m,1H),2.54(d,J=12.9Hz,1H),2.16(dq,J=13.5,6.7Hz,1H),1.67(s,3H),1.46(d,J=7.0Hz,3H),1.35−1.24(m,3H),1.12(s,9H),1.10(s,9H),0.97(d,J=6.8Hz,3H),0.94(d,J=6.8Hz,3H),0.87(s,9H),0.07−0.02(m,6H)。
【0561】
(b)アリル3−(2−(2−(4−((((2−((S)−2−(ヒドロキシメチル)−4−メチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロール−1−カルボニル)−4−メトキシ−5−((トリイソプロピルシリル)オキシ)フェニル)カルバモイル)オキシ)メチル)フェニル)ヒドラジニル)プロパンアミド)−4−メチル−2−オキソペンタノエート(57)
TBSエーテル56(1.32g、1.38ミリモル)を、酢酸/メタノール/テトラヒドロフラン/水の7:1:1:2の混合物(14:2:2:4mL)に溶解させ、そして室温で撹拌した。3時間後、もはや出発物質はLC/MSでは観察されなかった。反応混合物を酢酸エチル(25mL)で希釈し、そして水、飽和重炭酸ナトリウム水溶液及びブラインで順次洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、そして過剰な酢酸エチルを減圧下での回転蒸発により除去した。得られた残留物にフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン中2%メタノール)を行った。純粋な画分を集めて合わせ、過剰な溶離液を減圧下での回転蒸発により除去して所望の生成物57を得た(920mg、80%)。LC/MS,3.60分(ES+)m/z(相対強度)838.18([M+H]+.,100)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.55(s,1H),8.35(s,1H),7.68(s,1H),7.52(d,J=8.1Hz,2H),7.31(d,J=8.4Hz,2H),6.77(s,1H),6.71(d,J=7.5Hz,1H),6.13(s,1H),5.97−5.82(m,J=5.7Hz,1H),5.41−5.15(m,3H),5.10(d,J=3.5Hz,2H),4.76−4.42(m,5H),4.03(t,J=6.6Hz,1H),3.77(s,5H),2.84(dd,J=16.7,10.4Hz,1H),2.26−2.08(m,2H),1.68(s,3H),1.44(d,J=7.0Hz,3H),1.30(dt,J=14.7,7.4Hz,3H),1.12(s,9H),1.10(s,9H),0.96(d,J=6.8Hz,3H),0.93(d,J=6.8Hz,3H)。
【0562】
(c)(11S,11aS)−4−(2−(1−((1−(アリルオキシ)−4−メチル−1,2−ジオキソペンタン−3−イル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ヒドラジニル)ベンジル11−ヒドロキシ−7−メトキシ−2−メチル−5−オキソ−8−((トリイソプロピルシリル)オキシ)−11,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−10(5H)−カルボキシレート(58)
ジメチルスルホキシド(0.2mL、2.75ミリモル、2.5当量)を、アルゴンの雰囲気下において−78℃(ドライアイス/アセトン浴)で、塩化オキサリル(0.11mL、1.32ミリモル、1.2当量)の乾燥ジクロロメタン溶液(7mL)に滴下して加えた。10分後、57(920mg、1.10ミリモル)の乾燥ジクロロメタン(5mL)溶液を依然として−78℃の温度でゆっくりと添加した。15分後、トリエチルアミン(0.77mL、4Åモレキュラーシーブ上で乾燥、5.50ミリモル、5当量)を滴下添加し、そしてドライアイス/アセトン浴を除去した。反応混合物を室温に到達させ、そして冷塩酸(0.1M)、飽和重炭酸ナトリウム水溶液及びブラインで抽出した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、過剰量のジクロロメタンを減圧下での回転蒸発により除去した。得られた残留物をカラムフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル;勾配ジクロロメタン中2%メタノール〜5%メタノール)にかけた。純粋な画分を回収して一緒にし、そして減圧下での回転蒸発によって過剰な溶離液の除去して、生成物58を得た(550mg、60%)。LC/MS,3.43分(ES+)m/z(相対強度)836.01([M]+.,100)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.39(s,1H),7.52−7.40(m,2H),7.21−7.08(m,J=11.5Hz,2H),6.67(s,1H),6.60−6.47(m,J=7.4Hz,1H),5.97−5.83(m,1H),5.79−5.66(m,1H),5.38−4.90(m,6H),4.68−4.52(m,J=18.4,5.5Hz,4H),4.04−3.94(m,J=6.5Hz,1H),3.87−3.76(m,5H),3.00−2.88(m,1H),2.66−2.49(m,2H),2.21−2.08(m,2H),1.76(s,3H),1.45(d,J=7.0Hz,3H),1.09−0.98(m,J=8.9Hz,18H),0.96(d,J=6.7Hz,3H),0.93(d,J=6.9Hz,3H)。
【0563】
(d)(11S,11aS)−4−(2−(1−((1−(アリルオキシ)−4−メチル−1,2−ジオキソペンタン−3−イル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ヒドラジニル)ベンジル11−((t−ブチルジメチルシリル)オキシ)−7−メトキシ−2−メチル−5−オキソ−8−((トリイソプロピルシリル)オキシ)−11,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−10(5H)−カルボキシレート(59)
t−ブチルジメチルシリルトリフレート(0.38mL、1.62ミリモル、3当量)を、アルゴン下0℃で、化合物58(450mg、0.54 mmol)及び2,6−ルチジン(0.25mL、2.16ミリモル、4当量)の乾燥ジクロロメタン溶液(5mL)に添加した。10分後、冷浴を除去し、そして反応混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物を水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及びブラインで抽出した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、そして過剰の溶媒を減圧下での回転蒸発により除去した。得られた三流物をカラムフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル;50/50v/vのヘキサン/酢酸エチル)にかけた。純粋な画分を回収して一緒にし、そして過剰な溶出液を減圧下での回転蒸発により除去して生成物59を得た(334mg、65%)。LC/MS,4.18分(ES+)m/z(相対強度)950.50([M]+.,100)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.53(s,1H),8.02(s,1H),7.44(d,J=7.6Hz,2H),7.21(s,1H),7.08(d,J=8.2Hz,2H),6.72−6.61(m,J=8.9Hz,2H),6.16(s,1H),5.97−5.79(m,J=24.4,7.5Hz,2H),5.41−5.08(m,5H),4.86(d,J=12.5Hz,1H),4.69−4.60(m,1H),4.57(s,1H),4.03(t,J=6.7Hz,1H),3.87(s,3H),3.74(td,J=9.6,3.6Hz,1H),2.43−2.09(m,J=34.8,19.4,11.7Hz,3H),1.76(s,3H),1.43(d,J=6.9Hz,3H),1.30−1.21(m,3H),0.97(d,J=6.7Hz,3H),0.92(t,J=8.4Hz,3H),0.84(s,9H),0.23(s,3H),0.12(s,3H)。
【0564】
(e)(11S,11aS)−4−(2−(1−((1−(アリルオキシ)−4−メチル−1,2−ジオキソペンタン−3−イル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ヒドラジニル)ベンジル11−((t−ブチルジメチルシリル)オキシ)−8−ヒドロキシ−7−メトキシ−2−メチル−5−オキソ−11,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−10(5H)−カルボキシレート(60)
酢酸リチウム(50mg、0.49ミリモル)を化合物59(470mg、0.49ミリモル)の湿潤ジメチルホルムアミド(4mL、50:1DMF/水)溶液に添加した。4時間後、反応が完了し、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、そしてクエン酸(pH〜3)、水及びブラインで洗浄した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、そして過剰な酢酸エチルを減圧下での回転蒸発により除去した。得られた残留物をカラムフラッシュクロマトグラフィーに付した(シリカゲル;勾配50/50〜25/75(v/v)のヘキサン/酢酸エチル)。純粋な画分を回収して一緒にし、そして過剰な溶出液を減圧下での回転蒸発により除去して生成物60を得た(400mg、定量的)。LC/MS,3.32分(ES+)m/z(相対強度)794.18([M+H]+.,100)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.53(s,1H),8.02(s,1H),7.44(d,J=7.6Hz,2H),7.21(s,1H),7.08(d,J=8.2Hz,2H),6.72−6.61(m,J=8.9Hz,2H),6.16(s,1H),5.97−5.79(m,J=24.4,7.5Hz,2H),5.41−5.08(m,5H),4.86(d,J=12.5Hz,1H),4.69−4.60(m,1H),4.57(s,1H),4.03(t,J=6.7Hz,1H),3.87(s,3H),3.74(td,J=9.6,3.6Hz,1H),2.43−2.09(m,J=34.8,19.4,11.7Hz,3H),1.76(s,3H),1.43(d,J=6.9Hz,3H),1.30−1.21(m,3H),0.97(d,J=6.7Hz,3H),0.92(t,J=8.4Hz,3H),0.84(s,9H),0.23(s,3H),0.12(s,3H)。
【0565】
(iv)(11S,11aS)−4−((2S,5S)−37−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)−5−イソプロピル−2−メチル−4,7,35−トリオキソ−10,13,16,19,22,25,28,31−オクタオキサ−3,6,34−トリアザヘプタトリアコンタンアミド)ベンジル11−ヒドロキシ−7−メトキシ−8−((5−(((S)−7−メトキシ−2−メチル−5−オキソ−5,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−8−イル)オキシ)ペンチル)オキシ)−2−メチル−5−オキソ−11,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−10(5H)−カルボキシレート(64)
【化157】
【0566】
(a)(11S)−アリル8−((5−(((11S)−10−(((4−(2−(1−((1−(アリルオキシ)−4−メチル−1,2−ジオキソペンタン−3−イル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ヒドラジニル)ベンジル)オキシ)カルボニル)−11−((t−ブチルジメチルシリル)オキシ)−7−メトキシ−2−メチル−5−オキソ−5,10,11,11a−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−8−イル)オキシ)ペンチル)オキシ)−11−((t−ブチルジメチルシリル)オキシ)−7−メトキシ−2−メチル−5−オキソ−11,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−10(5H)−カルボキシレート(61)
炭酸カリウム(70mg、0.504ミリモル、1当量)を55(370mg、0.552ミリモル、1.2当量)及びフェノール60(400mg、0.504ミリモル)の乾燥アセトン(25mL)溶液に添加した。反応物を70℃で8時間撹拌した。LC/MSにより、全ての出発物質が消費されなかったことが示されたため、反応物を室温で一晩撹拌し、そして翌日にさらに2時間攪拌した。アセトンを減圧下での回転蒸発により除去した。得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにかけた(シリカゲル;ヘキサン中80%酢酸エチル〜100%酢酸エチル)。純粋な画分を集めて合わせ、そして過剰な溶離液を減圧下での回転蒸発により除去して生成物61を得た(385mg、57%)。LC/MS,4.07分(ES+)m/z(相対強度)1336.55([M+H]+.,50)。
【0567】
(b)(11S)−アリル8−((5−(((11S)−10−(((4−(2−(1−((1−(アリルオキシ)−4−メチル−1,2−ジオキソペンタン−3−イル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ヒドラジニル)ベンジル)オキシ)カルボニル)−11−ヒドロキシ−7−メトキシ−2−メチル−5−オキソ−5,10,11,11a−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−8−イル)オキシ)ペンチル)オキシ)−11−ヒドロキシ−7−メトキシ−2−メチル−5−オキソ−11,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−10(5H)−カルボキシレート(62)
フッ化テトラ−n−ブチルアンモニウム(1M、0.34mL、0.34ミリモル、2当量)を61(230mg、0.172ミリモル)の乾燥テトラヒドロフラン(3mL)溶液に添加した。出発材料は10分後には完全に消費された。反応混合物を酢酸エチル(30mL)で希釈し、そして水及びブラインで順次洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、そして過剰な酢酸エチルを減圧下での回転蒸発により除去した。得られた残留物62を次の反応のための粗混合物として使用した。LC/MS,2.87分(ES+)m/z(相対強度)1108.11([M+H]+.,100)。
【0568】
(c)(11S)−4−(2−(1−((1−アミノ−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ヒドラジニル)ベンジル11−ヒドロキシ−7−メトキシ−8−((5−((7−メトキシ−2−メチル−5−オキソ−5,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−8−イル)オキシ)ペンチル)オキシ)−2−メチル−5−オキソ−11,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−10(5H)−カルボキシレート(63)
テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(12mg、0.01ミリモル、0.06当量)を粗生成物62(0.172ミリモル)及びピロリジン(36μL、0.43ミリモル、2.5当量)の乾燥ジクロロメタン(10mL)溶液に添加した。反応混合物を20分間撹拌し、ジクロロメタンで希釈し、そして飽和塩化アンモニウム水溶液及びブラインで順次洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、そして過剰なジクロロメタンを減圧下での回転蒸発により除去した。得られた残留物63を次の反応のための粗混合物として使用した。LC/MS,2.38分(ES+)m/z(相対強度)922.16([M+H]+ .,40)。
【0569】
(d)(11S,11aS)−4−((2S,5S)−37−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)−5−イソプロピル−2−メチル−4,7,35−トリオキソ−10,13,16,19,22,25,28,31−オクタオキサ−3,6,34−トリアザヘプタトリアコンタンアミド)ベンジル11−ヒドロキシ−7−メトキシ−8−((5−(((S)−7−メトキシ−2−メチル−5−オキソ−5,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−8−イル)オキシ)ペンチル)オキシ)−2−メチル−5−オキソ−11,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−10(5H)−カルボキシレート(64)
1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDCI、33mg、0.172ミリモル)を粗生成63(0.172ミリモル)及びMal−(PEG)8酸(100mg、0.172ミリモル)の乾燥ジクロロメタン(10mL)溶液に添加した。反応物を2時間撹拌し、出発物質の存在はもはやLC/MSでは観察されなかった。反応物をジクロロメタンで希釈し、水及びブラインで順次洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、そして過剰なジクロロメタンを減圧下での回転蒸発により除去した。得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにかけた(シリカゲル;100%クロロホルム〜クロロホルム中10%メタノール)。純粋な画分を回収して一緒にし、そして過剰な溶出液を減圧下での回転蒸発により除去して、64(E)を得た(60mg、3工程で25%)。
【0570】
例8
【化158】
化合物65は、WO2011/130598の化合物79である。
【0571】
(11S)−4−(1−ヨード20−イソプロピル−23−メチル−2,18,21−トリオキソ−6,9,12,15−テトラオキサ−3,19,22−トリアザテトラコサンアミド)ベンジル11−ヒドロキシ−7−メトキシ−8−(3−((7−メトキシ−5−オキソ−2−((E)−1−プロペンー1−イル)−5,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−8−イル)オキシ)プロポキシ)−5−オキソ−2−((E)−1−プロペンー1−イル)−11,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−10(5H)−カルボキシレート(66)
N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC、4.71μL、0.0304ミリモル)をアミン65(0.0276ミリモル)及びヨード−(PEG)4−酸(13.1mg、0.0304ミリモル)の乾燥ジクロロメタン(0.8mL)溶液に添加した。反応物を3時間撹拌し、そして出発物質の存在はもはやLC/MSでは観察されなかった。反応混合物を薄層クロマトグラフィー(TLC)プレート上に直接ロードし、そして分取TLC(クロロホルム中10%メタノール)によって精製した。純粋なバンドをTLCプレートから掻き取り、クロロホルム中10%メタノールに溶解させ、ろ過し、そして過剰の溶離液を減圧下での回転蒸発によって除去して66(D)を得た(20.9mg、56%)。LC/MS、方法2、3.08分(ES+)m/z(相対強度)1361.16([M+H]+,100)。
【0572】
例9のための一般的な実験法
LCMSデータを、エレクトロスプレーイオン化と共にAgilent6110四重極MSを備えたAgilent1200シリーズLC/MSを用いて得た。移動相A−水中0.1%酢酸。移動相B−アセトニトリル中0.1%。1.00mL/分の流量。勾配を3分かけて5%Bから95%Bに上昇させ、1分間にわたって95%Bで保持し、次いで6秒間で5%Bまで落とす。総実行時間は5分である。カラム:フェノメネックスジェミニ−NX3μmC18、30×2.00mm。クロマトグラムは254nmでのUV検出に基づく。質量スペクトルを、MSをポジティブモードで用いて達成した。プロトンNMR化学シフト値を、Bruker AV400を用いて400MHzでデルタスケールで測定した。以下の略語を用いた:sは一重項、dは二重項、tは三重項、qは四重項、mは多重項;brはブロードである。カップリング定数はHzで報告する。特に明記しない限り、(フラッシュ法による)カラムクロマトグラフィーは、Merck Kieselgelシリカ(Art.9385)で行った。質量分析(MS)データは、Waters2795 HPLC分離モジュールに連結されたWatersマイクロマスLCT機器を用いて収集した。薄層クロマトグラフィー(TLC)をシリカゲルアルミニウムプレート(メルク60、F254)で行った。他の全ての化学物質及び溶媒は、シグマ・オルドリッチ社又はフィッシャーサイエンティフィック社から購入し、さらに精製することなく供給されたまま使用した。
【0573】
旋光度は、ADP220旋光計(スタンリー・ベーリング社)で測定し、濃度(c)はg/100mLで与える。融点はデジタル融点装置(電熱)を用いて測定した。IRスペクトルは、パーキン−エルマー・スペクトラム100FT IR分光計で記録した。1H及び13C NMRスペクトルは、ブルカーアバンスNMR分光計をそれぞれ400及び100MHzで用いて300Kで得た。化学シフトをTMS(δ=0.0ppm)に対して報告し、そしてシグナルを、s(一重項)、d(二重項)、t(三重項)、dt(二重三重項)、dd(二重項の二重項)、ddd(二重項の二重二重項)又はm(多重項)として示し、カップリング定数をヘルツ(Hz)で与える。質量分析(MS)データは、Waters2996 PDAを有するWaters2695 HPLCに連結されたWaters Micromass ZQ装置を用いて収集した。使用したWaters Micromass ZQパラメーターは、毛細管(kV)、3.38;コーン(V)、35;エクストラクター(V)、3.0;源温度(℃)、100;脱溶媒和温度(℃)、200;コーン流量(L/h)、50;脱溶媒和流量(L/h)、250であった。高分解能質量分析(HRMS)データを、器具にサンプルを導入するために金属被覆されたホウケイ酸ガラスのチップを用いてWaters Micromass QTOFグローバルによりポジティブWモードで記録した。薄層クロマトグラフィー(TLC)をシリカゲルアルミニウムプレート(メルク60、F254)上で実施し、そしてフラッシュクロマトグラフィーは、シリカゲル(メルク60、230〜400メッシュASTM)を用いた。HOBt(NovaBiochem社)及び固体担持試薬(アルゴノート社)を除き、他の全ての化学物質及び溶媒は、Sigma−Aldrich社から購入し、さらに精製することなく供給されたまま使用した。無水溶媒を、適切な乾燥剤の存在下に乾燥窒素雰囲気下で蒸留することによって調製し、4Åモレキュラーシーブ又はナトリウムワイヤを通して保存した。石油エーテルとは、40〜60℃で沸騰する留分をいう。
【0574】
一般的なLC/MS条件:HPLC(ウォーターズ・アライアンス2695)を、水(A)(ギ酸0.1%)及びアセトニトリル(B)(ギ酸0.1%)の移動相を用いて行った。勾配:1.0分にわたり初期組成5%、続いて3分以内に5%Bから95%B。この組成を95%Bで0.5分間保持し、次いで0.3分で5%Bに戻した。総勾配実行時間は5分に相当する。流速は3.0mL/分であり、400μLを、質量分析計に入るゼロのデッドボリュームのティーピースを介して分割した。波長検出範囲:220〜400nm。機能種別:ダイオードアレイ(535スキャン)。カラム:Phenomenex(登録商標)オニキスモノリシックC1850×4.60mm。
【0575】
例9
(i)重要な中間体
(a)
【化159】
【0576】
(a−i)(S)−2−(アリルオキシカルボニルアミノ)−3−メチルブタン酸(I2)
アリルクロロホルメート(36.2mL、340.59ミリモル、1.2当量)をL−バリン(I1)(33.25g、283.82ミリモル、1.0当量)及び炭酸カリウム(59.27g、425.74ミリモル、1.5当量)の撹拌水(650mL)及びTHF(650mL)溶液に滴下添加した。次いで、反応混合物を18時間室温で攪拌し、その後溶媒を減圧下で濃縮し、そして残った溶液をジエチルエーテル(3×100mL)で抽出した。水性部分を濃塩酸でpH2に酸性化し、そしてDCM(3×100mL)で抽出した。一緒にした有機物をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して、生成物を無色の油状物として得た(57.1g、収率100%と仮定される)。LC/MS(1.966分(ES+)),m/z:202.1 [M+H]+1H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ12.57(br s,1H),7.43(d,1H,J=8.6Hz),5.96−5.86(m,1H),5.30(ddd,1H,J=17.2,3.4,1.7Hz),5.18(ddd,1H,J=10.4,2.9,1.6Hz),4.48(dt,2H,J=5.3,1.5Hz),3.85(dd,1H,J=8.6,6.0Hz),2.03(oct,1H,J=6.6Hz),0.89(d,3H,J=6.4Hz),0.87(d,3H,J=6.5Hz)。
【0577】
(a−ii)(S)−2,5−ジオキソピロリジン−1−イル2−(アリルオキシカルボニルアミノ)−3−メチルブタノエート(I3)
保護酸I2(60.6g、301.16ミリモル、1.0当量)及びN−ヒドロキシスクシンイミド(34.66g、301.16ミリモル、1.0当量)の乾燥THF(800mL)撹拌溶液に、ジシクロヘキシルカルボジイミド(62.14g、301.16ミリモル、1当量)を添加した。反応物を室温で18時間撹拌し、次いでこの反応混合物を濾過し、そして固体をTHFで洗浄し、合わせた濾液を減圧下で濃縮した。残留物をDCMに再溶解させ、そして0℃で30分間放置した。この懸濁液を濾過し、冷DCMで洗浄した。ろ液を減圧下で濃縮して、生成物を粘性の無色のオイルとして得(84.7g、100%の収率と推定)、これをさらに精製することなく次の工程で使用した。LC/MS(2.194分(ES+)),m/z:321.0[M+Na]+1H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ8.0(d,1H,J=8.3Hz),5.97−5.87(m,1H),5.30(ddd,1H,J=17.2,3.0,1.7Hz),5.19(ddd,1H,J=10.4,2.7,1.4Hz),4.52(dt,2H,J=5.3,1.4Hz),4.32(dd,1H,J=8.3,6.6Hz),2.81(m,4H),2.18(oct,1H,J=6.7Hz),1.00(d,6H,J=6.8Hz)。
【0578】
(a−iii)(S)−2−((S)−2−(アリルオキシカルボニルアミノ)−3−メチルブタンアミド)プロパン酸(I4)
スクシンイミドエステルI3(12.99g、43.55ミリモル、1.0当量)のTHF(50mL)溶液を、L−アラニン(4.07g、45.73ミリモル、1.05当量)及びNaHCO3(4.02g、47.90ミリモル、1.1当量)のTHF(100mL)及びH2O(100mL)溶液に添加した。この混合物を72時間室温で撹拌し、そのときにTHFを減圧下で除去した。pHをクエン酸で3〜4に調整して白色のガムを沈殿させた。酢酸エチル(6×150mL)で抽出した後に、合わせた有機物をH2O(200mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、ろ過し、そして減圧下で濃縮した。ジエチルエーテルで粉砕して、生成物を白色粉末として得、これを濾過により回収し、そしてジエチルエーテルで洗浄した(5.78g、49%)。LC/MS(1.925分(ES+)),m/z:273.1[M+H]+1H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ12.47(br s,1H),8.17(d,1H,J=6.8Hz),7.16(d,1H,J=9.0Hz),5.95−5.85(m,1H),5.29(dd,1H,J=17.2,1.7Hz),5.17(dd,1H,J=10.4,1.5Hz),4.46(m,2H),4.18(quin,1H,J=7.2Hz),3.87(dd,1H,J=9.0,7.1Hz),1.95(oct,1H,J=6.8Hz),1.26(d,3H,J=7.3Hz),0.88(d,3H,J=6.8Hz),0.83(d,3H,J=6.8Hz)。
【0579】
(a−iv)アリル(S)−1−((S)−1−(4−(ヒドロキシメチル)フェニルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イルアミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イルカルバメート(I5)
EEDQ(5.51g、22.29ミリモル、1.05当量)を、p−アミノベンジルアルコール(2.74g、22.29ミリモル、1.05当量)及び酸I4(5.78g、21.23ミリモル、1当量)の乾燥THF(100 mL)溶液に添加し、そして72時間室温で撹拌した。次いで、この反応混合物を減圧下で濃縮し、得られた茶色の固体をジエチルエーテルで粉砕し、そしてろ過し、その後過剰のジエチルエーテルで洗浄して、生成物をオフホワイトの固体として得た(7.1g、88%)。LC/MS(1.980分(ES+)),m/z:378.0[M+H]+1H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ9.89(br s,1H),8.13(d,1H,J=7.0Hz),7.52(d,2H,J=8.5Hz),7.26(m,1H),7.23(d,2H,J=8.5Hz),5.91(m,1H),5.30(m,1H),5.17(m,1H),4.46(m,2H),5.09(t,1H,J=5.6Hz),4.48(m,2H),4.42(m,3H),3.89(dd,1H,J=8.6,6.8Hz),1.97(m,1H),1.30(d,3H,J=7.1Hz),0.88(d,3H,J=6.8Hz),0.83(d,3H,J=6.7Hz)。
【0580】
(b)
【化160】
【0581】
1−ヨード−2−オキソ−6,9,12,15−テトラオキサ−3−アザー18−オクタデカン酸(I7)
ヨード酢酸無水物(0.250g、0.706ミリモル、1.1当量)の乾燥DCM(1mL)溶液をDCM(1mL)中アミノ−PEG(4)− 酸I6(0.170g、0.642ミリモル、1.0当量)に添加した。この混合物を室温で一晩暗所で撹拌した。この反応混合物を0.1MのHCl、水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、ろ過し、そして減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、クロロホルム中3%MeOH及び0.1%ギ酸〜クロロホルム中10%MeOH及び0.1%ギ酸)により精製して、生成物をオレンジ色の油状物として得た(0.118g、42%)。LC/MS(1.623分(ES+)),m/z:433.98[M+H]+1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.069(s,1H),7.22(br s,1H),3.79(t,2H,J=5.8Hz),3.74(s,2H),3.72−3.58(m,14H),3.50−3.46(m,2H),2.62(t,2H,J=5.8Hz)。
【0582】
(ii)(11S,11aS)−アリル11−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−8−(3−ヨードプロポキシ)−7−メトキシ−5−オキソ−2−((E)−1−プロペニル)−11,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−10(5H)−カルボキシレート(74)
【化161】
【0583】
(a)(S)−5−((t−ブチルジメチルシリルオキシ)メチル)−1−(5−メトキシ−2−ニトロ−4−(トリイソプロピルシリルオキシ)ベンゾイル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピロール−3−イルトリフルオロメタンスルホネート(47)
トリフルオロメタンスルホン酸無水物(28.4g、100.0ミリモル、3.0当量)を、−50℃で、ケトン46(19.5g、30.0ミリモル、1.0当量)の2,6−ルチジン(14.4g、130.0ミリモル、4.0当量)を含むDCM(550 mL)の激しく撹拌した溶液に、25分かけて滴下添加した。この反応混合物を1.5時間撹拌し、そのときにLC/MSが反応の完了を示した。有機相を水(100mL)、飽和炭酸水素ナトリウム(150mL)、ブライン(50mL)で順次洗浄し、そして有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、90/10(v/v)のn−ヘキサン/酢酸エチル)で精製して、生成物を淡黄色油状物として得た(19.5g、82%)。LC/MS(4.391分(ES+)),m/z:713.25[M+H]+1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.68(s,1H),6.72(s,1H),6.02(t,1H,J=1.9Hz),4.75(m,1H),4.05(m,2H),3.87(s,3H),3.15(ddd,1H,J=16.2,10.3,2.3Hz),2.96(ddd,1H,J=16.2,4.0,1.6Hz),1.28−1.21(m,3H),1.07(d,18H,J=7.2Hz),0.88(s,9H),0.09(s,3H),0.08(s,3H)。
【0584】
(b)(S,E)−(2−((t−ブチルジメチルシリルオキシ)メチル)−4−(1−プロペニル)−2,3−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)(5−メトキシ−2−ニトロ−4−(トリイソプロピルシリルオキシ)フェニル)メタノン(67)
テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.41g、0.35ミリモル、0.03当量)を、窒素雰囲気下で、乾燥ジオキサン(60mL)中におけるトリフレート47(8.4g、11.8ミリモル、1.0当量)、E−1−プロペン−1−イルボロン酸(1.42グラム、16.5ミリモル、1.4当量)及びリン酸カリウム(5.0g、23.6ミリモル、2.0当量)の混合物に添加した。この混合物を120分間にわたって25℃で攪拌し、そのときにLC/MSが反応の完了を示した。酢酸エチル(120mL)及び水(120mL)を添加し、有機相を除去し、ブライン(20mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、ろ過し、そして減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、95/5(v/v)のn−ヘキサン/EtOAc〜90/10(v/v)のn−ヘキサン/EtOAc)により精製して、生成物を黄色泡状物として得た(4.96g、70%)。LC/MS(4.477分(ES+)),m/z:605.0[M+H]+1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.67(s,1H),6.74(s,1H),5.93(d,1H,J=15.4Hz),5.67(s,1H),4.65(m,1H),4.04(m,2H),3.86(s,3H),2.85(m,1H),2.71(m,1H),1.72(dd,3H,J=6.8,1.0Hz),1.30−1.22(m,3H),1.07(d,18H,J=7.2Hz),0.87(s,9H),0.08(s,3H),0.07(s,3H)。
【0585】
(c)(S,E)−(2−アミノ−5−メトキシ−4−(トリイソプロピルシリルオキシ)フェニル)(2−((t−ブチルジメチルシリルオキシ)メチル)−4−(1−プロペニル)−2,3−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)メタノン(68)
亜鉛粉末(22.0g、0.33モル、37当量)を、氷浴を使用して温度を25〜30℃に維持して、プロペニル中間体67(5.5g、9.1ミリモル、1.0当量)の5%v/vギ酸/エタノール溶液(55mL)に20分かけて少しずつ添加した。30分後、反応混合物をセライト(登録商標)の短い床を通して濾過した。セライト(登録商標)を酢酸エチル(65mL)で洗浄し、一緒にした有機層を水(35mL)、飽和炭酸水素ナトリウム(35mL)及びブライン(10mL)で連続的に洗浄した。有機相をMgSO4で乾燥させ、ろ過し、そして減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、90/10(v/v)のn−ヘキサン/酢酸エチル)で精製して、生成物を淡黄色のオイルとして得た(3.6g、69.0%)。LC/MS(4.439分(ES+)),m/z:575.2[M+H]+1H NMR(400MHz,CDCl3)δ6.75(m,1H),6.40(br s,1H),6.28(m,1H),6.11(d,1H,J=15.4Hz),5.53(m,1H),4.67(m,1H),4.36(m,2H),3.93(br s,1H),3.84(br s,1H),3.73(s,3H),2.86(dd,1H,J=15.7,10.4Hz),2.73(dd,1H,J=15.9,4.5Hz),1.80(dd,3H,J=6.8,1.3Hz),1.35−1.23(m,3H),1.12(d,18H,J=7.3Hz),0.89(s,9H),0.08(s,3H),0.07(s,3H)。
【0586】
(d)(S,E)−アリル2−(2−((t−ブチルジメチルシリルオキシ)メチル)−4−(1−プロペニル)−2,3−ジヒドロ−1H−ピロール−1−カルボニル)−4−メトキシ−5−(トリイソプロピルシリルオキシ)フェニルカルバメート(69)
クロロギ酸アリル(0.83g、6.88ミリモル、1.1当量)を、−78℃で、アミン68(3.6g、6.26ミリモル、1.0当量)の、乾燥ピリジン(1.09g、13.77ミリモル、2.2当量)を含む乾燥DCM(80mL)の溶液に添加した。ドライアイスを除去し、反応混合物を室温にまで加温した。さらに15分間撹拌した後、LC/MSは反応の完了を示した。有機相を0.01NのHCl(50mL)、飽和重炭酸ナトリウム(50mL)、ブライン(10mL)で連続的に洗浄し、MgSO4で乾燥させ、ろ過し、そして減圧下で濃縮して、淡黄色の油を残し、これをさらに精製することなく次の工程で使用した(4.12g、100%の収率と推定)。LC/MS(4.862分(ES+)),m/z:659.2[M+H]+
【0587】
(e)(S,E)−アリル2−(2−(ヒドロキシメチル)−4−(1−プロペニル)−2,3−ジヒドロ−1H−ピロール−1−カルボニル)−4−メトキシ−5−(トリイソプロピルシリルオキシ)フェニルカルバメート(70)
粗中間体69(100%収率と推定、4.12g、6.25ミリモル、1.0当量)を、酢酸(70mL)と、メタノール(10mL)と、THF(10mL)と、水(20mL)との混合物に溶解させ、そして室温で撹拌した。6時間後、反応混合物を酢酸エチル(500mL)で希釈し、そして水(2×500mL)、飽和炭酸水素ナトリウム(300mL)及びブライン(50mL)で連続的に洗浄した。有機相をMgSO4で乾燥させ、ろ過し、そして減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、1/99v/vのメタノール/DCM〜5/95v/vのメタノール/DCM)で精製して、生成物を黄色の油状物として得、そしてさらに未反応の出発材料1gを回収した。この物質を上と同じ反応条件に供したが、ただし16時間撹拌した。ワークアップ及び精製の後、追加の生成物を単離した(2.7g、79%、2段階)。LC/MS(3.742分(ES+)),m/z:545.2[M+H]+1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.38(m,1H),7.72(m,1H),6.81(s,1H),6.37(m,1H),6.10(d,1H,J=15.8Hz),5.97(m,1H),5.53(m,1H),5.36(ddd,1H,J=17.2,3.1,1.5Hz),5.25(ddd,1H,J=10.4,2.5,1.3Hz),4.78(m,1H),4.65(dt,2H,J=5.7,1.3Hz),3.84(m,3H),3.79(s,3H),3.04(dd,1H,J=16.7,10.5Hz),2.40(dd,1H,J=16.0,4.5Hz),1.82(dd,3H,J=6.8,1.0Hz),1.36−1.26(m,3H),1.14(d,18H,J=7.3Hz)。
【0588】
(f)(11S,11aS)−アリル11−ヒドロキシ−7−メトキシ−5−オキソ−2−((E)−1−プロペニル)−8−(トリイソプロピルシリルオキシ)−11,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−10(5H)−カルボキシレート(71)
乾燥ジメチルスルホキシド(1.16g、14.87ミリモル、3.0当量)を、窒素雰囲気下−78℃で塩化オキサリル(0.94g、7.43ミリモル、1.5当量)のDCM(25mL)溶液に滴下添加した。−78℃の温度を維持し、10分後に、第一級アルコール70(2.7g、4.96ミリモル、1.0当量)のDCM(20mL)溶液を滴下添加した。さらに15分後、乾燥トリエチルアミン(2.5g、24.78ミリモル、5.0当量)を添加し、そして反応混合物を室温に加温した。反応混合物を0.1Nの冷HCl(50mL)、飽和炭酸水素ナトリウム(50mL)及びブライン(10mL)で連続的に洗浄し、そして有機層をMgSO4で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して生成物を黄色の油状物として得、これをさらに精製することなく次の工程で使用した(2.68gは、100%の収率と推定)。LC/MS(3.548分(ES+)),m/z:543.2[M+H]+
【0589】
(g)(11S,11aS)−アリル11−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−7−メトキシ−5−オキソ−2−((E)−1−プロペニル)−8−(トリイソプロピルシリルオキシ)−11,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−10(5H)−カルボキシレート(72)
t−ブチルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(3.93g、14.87ミリモル、3.0当量)を、窒素雰囲気下0℃で、カルビノールアミン71(収率100%と推定、2.68g、4.96ミリモル、1.0当量)、2,6−ルチジン(2.12g、19.83ミリモル、4.0当量)の乾燥DCM(40mL)溶液に添加した。10分後、反応混合物を室温に温め、さらに60分間撹拌した。有機相を水(10mL)、飽和炭酸水素ナトリウム(10mL)及びブライン(5mL)で順次洗浄し、MgSO4で乾燥させ、ろ過し、そして減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、クロロホルム〜2/98(v/v)のメタノール/クロロホルム)により精製して、生成物を黄色の油状物として得た(2.0g、63%、2工程)。LC/MS(4.748分(ES+)),m/z:657.2[M+H]+1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.19(s,1H),6.86(m,1H),6.66(s,1H),6.22(d,1H,J=15.4Hz),5.81(d,1H,J=8.8Hz),5.78(m,1H),5.48(m,1H),5.11(d,1H,J=5.0Hz),5.08(m,1H),4.58(dd,1H,J=13.4,5.4Hz),4.35(dd,1H,J=13.2,5.7Hz),3.83(s,3H),3.76(s,1H),3.00(dd,1H,J=15.6,11.0Hz),2.53(m,1H),1.81(dd,3H,J=6.8,0.9Hz),1.30−1.18(m,3H),1.08(d,9H,J=2.3Hz),1.06(d,9H,J=2.3Hz),0.86(s,9H),0.25(s,3H),0.18(s,3H)。
【0590】
(h)(11S,11aS)−アリル11−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−8−ヒドロキシ−7−メトキシ−5−オキソ−2−((E)−1−プロペニル)−11,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−10(5H)−カルボキシレート(73)
酢酸リチウム二水和物(0.31g、3.04ミリモル、1.0当量)を25℃でジアゼピン72(2.0g、3.04ミリモル、1.0当量)の湿潤DMF(20mL)溶液に加え、そして4時間攪拌した。反応混合物を酢酸エチル(200mL)で希釈し、そして0.1Mクエン酸(50mL、pH3)、水(50mL)及びブライン(10mL)で連続的に洗浄し、MgSO4で乾燥させ、ろ過し、そして減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、50/50(v/v)のn−ヘキサン/EtOAc〜25/75(v/v)のn−ヘキサン/EtOAc)により精製して生成物を淡黄色の固体として得た(0.68g、45%)。LC/MS(3.352分(ES+)),m/z:501.1[M+H]+1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.02(s,1H),6.66(m,1H),6.53(s,1H),6.03(d,1H,J=15.5Hz),5.80(s,1H),5.63(d,1H,J=8.9Hz),5.55(m,1H),5.29(m,1H),4.87(m,2H),4.39(dd,1H,J=13.5,4.2Hz),4.20(dd,1H,J=13.2,5.7Hz),3.73(s,3H),3.59(m,1H),2.81(dd,1H,J=16.1,10.5Hz),2.35(d,1H,J=15.7Hz),1.61(d,3H,J=6.4Hz),0.67(s,9H),0.05(s,3H),0.00(s,3H)。
【0591】
(i)(11S,11aS)−アリル11−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−8−(3−ヨードプロポキシ)−7−メトキシ−5−オキソ−2−((E)−1−プロペニル)−11,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−10(5H)−カルボキシレート(74)
ジヨードプロパン(0.295g、1.00ミリモル、5.0当量)及び炭酸カリウム(0.028g、0.20ミリモル、1.0当量)を、フェノール33(0.100g、0.020ミリモル、1.0当量)の乾燥アセトン(5mL)溶液に添加した。反応混合物を6時間にわたり60℃で加熱し、そのときにLC/MSは反応の完了を示した。反応混合物を減圧下で濃縮乾固し残、留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、75/25(v/v)のn−ヘキサン/EtOAc〜50/50(v/v)のn−ヘキサン/EtOAc)により精製して、生成物を無色の油状物として得た(0.074g、56%)。LC/MS(3.853分(ES+)),m/z:669.0[M+H]+1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.26(s,1H),6.90(s,1H),6.68(s,1H),6.24(d,1H,J=15.3Hz),5.87(d,1H,J=8.9Hz),5.78(m,1H),5.53(m,1H),5.12(m,2H),4.65(m,2H),4.41(m,1H),4.11(m,1H),3.93(s,3H),3.81(m,1H),3.40(t,2H,J=6.7Hz),3.05(dd,1H,J=16.3,10.1Hz),2.57(m,1H),2.34(m,2H),1.84(d,3H,J=6.6Hz),0.92(s,9H),0.28(s,3H),0.26(s,3H)。
【0592】
(iii)(11S,11aS)−4−((S)−2−((S)−2−(アリルオキシカルボニルアミノ)−3−メチルブタンアミド)プロパンアミド)benzyl 11−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−8−ヒドロキシ−7−メトキシ−5−オキソ−2−((E)−1−プロペニル)−11,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−10(5H)−カルボキシレート(79)
【化162】
【0593】
(a)アリル((S)−1−(((S)−1−((4−((((2−((S)−2−(((t−ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)−4−((E)−1−プロペン−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−ピロール−1−カルボニル)−4−メトキシ−5−((トリイソプロピルシリル)オキシ)フェニル)カルバモイル)オキシ)メチル)フェニル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)カルバメート(75)
トリエチルアミン(0.256mL、1.84ミリモル、2.2当量)を、5℃(氷浴)で、アミン68(0.480g、0.835ミリモル、1.0当量)及びトリホスゲン(0.089g、0.301ミリモル、0.36当量)の乾燥THF(15mL)撹拌溶液に添加した。イソシアネート反応の進行を、この反応混合物からアリコートを取り出し、メタノールでクエンチし、そしてLCMS分析を行うことによって定期的に監視した。イソシアネート反応が完了した後に、Alloc−Val−Ala−PABOH I5(0.473g、1.25ミリモル、1.5当量)及びトリエチルアミン(0.174mL、1.25ミリモル、1.5当量)の乾燥THF(10mL)溶液を新たに調製されたイソシアネートに注入によって迅速に添加した。反応物を4時間にわたって40℃で撹拌し、その後室温で一晩撹拌した。この混合物を減圧下で濃縮し、そしてフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、20/80(v/v)のn−ヘキサン/EtOAc〜50/50(v/v)のn−ヘキサン/EtOAc、その後1/99(v/v)のDCM/MeOH〜5/95(v/v)のDCM/MeOH)によって精製して、生成物を黄色の固体として得た(0.579g、71%)。LC/MS(4.468分(ES+)),m/z:978.55[M+H]+1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.63(br s,1H),8.42(s,1H),7.78(br s,1H),7.53(d,2H,J=8.1Hz),7.31(d,2H,J=8.6Hz),6.76(s,1H),6.59(d,1H,J=7.6Hz),6.36(br s,1H),6.04(d,1H,J=15.9Hz),5.90(m,1H),5.55(m,1H),5.33−5.21(m,3H),5.10(s,2H),4.66(m,2H),4.57(dd,2H,J=5.6,1.0Hz),3.98(dd,1H,J=7.3,6.8Hz),3.90(m,1H),3.81(m,1H),3.78(s,3H),2.82(dd,1H,J=15.4,9.6Hz),2.72(dd,1H,J=15.9,3.5Hz),2.17(m,1H),1.78(dd,3H,J=6.5,0.8Hz),1.46(d,3H,J=7.1Hz),1.29(m,3H),1.11(d,18H,J=7.1Hz),0.97(d,3H,J=6.8Hz),0.92(d,3H,J=6.8Hz),0.83(s,9H),0.04(s,3H),0.01(s,3H)。
【0594】
(b)アリル((S)−1−(((S)−1−((4−((((2−((S)−2−(ヒドロキシメチル)−4−((E)−1−プロペン−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−ピロール−1−カルボニル)−4−メトキシ−5−((トリイソプロピルシリル)オキシ)フェニル)カルバモイル)オキシ)メチル)フェニル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)カルバメート(76)
シリルエーテル75(1.49g、1.52ミリモル、1.0当量)を酢酸/メタノール/テトラヒドロフラン/水の7:1:1:2混合物(14:2:2:4mL)に溶解し、そして室温で撹拌した。2時間後、反応物をEtOAc(100mL)で希釈し、水、重炭酸ナトリウム水溶液、次いでブラインで順次洗浄した。次いで、有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、そして減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、100/0、その後99/1〜92/8v/vのDCM/MeOH)により精製して、生成物をオレンジ色の固体として得た(1.2g、92%)。LC/MS(3.649分(ES+)),m/z:865.44[M+H]+1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.44(s,1H),8.35(s,1H),7.69(br s,1H),7.53(d,2H,J=8.7Hz),7.32(d,2H,J=8.3Hz),6.78(s,1H),6.56(m,2H),6.32(br s,1H),6.05(d,1H,J=14.9Hz),5.90(m,1H),5.56(m,1H),5.30(m,2H),5.22(m,1H),5.10(d,2H,J=3.1Hz),4.73(m,1H),4.64(m,1H),4.57(d,2H,J=5.8Hz),4.01(m,1H),3.79(m,2H),3.76(s,3H),2.98(dd,1H,J=16.3,10.2Hz),2.38(dd,1H,J=16.6,4.1Hz),2.16(m,1H),1.78(dd,3H,J=6.8,0.9Hz),1.46(d,3H,J=7.1Hz),1.29(m,3H),1.11(d,18H,J=7.4Hz),0.97(d,3H,J=6.7Hz),0.92(d,3H,J=6.8Hz)。
【0595】
(c)(11S,11aS)−4−((S)−2−((S)−2−(アリルオキシカルボニルアミノ)−3−メチルブタンアミド)プロパンアミド)ベンジル11−ヒドロキシ−7−メトキシ−5−オキソ−2−((E)−1−プロペニル)−8−(トリイソプロピルシリルオキシ)−11,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−10(5H)−カルボキシレート(77)
乾燥ジメチルスルホキシド(0.180g、2.3ミリモル、3.0当量)を窒素雰囲気下−78℃で塩化オキサリル(0.147g、1.1ミリモル、1.5当量)のDCM(10mL)溶液に滴下添加した。−78℃の温度を維持し、20分後に、第一級アルコール76(0.666g、0.77ミリモル、1.0当量)のDCM(10mL)溶液を滴下添加した。さらに15分後、乾燥トリエチルアミン(0.390g、3.85ミリモル、5.0当量)を添加し、そして反応混合物を室温まで温めた。反応混合物を0.1Nの冷HCl(10mL)、飽和炭酸水素ナトリウム(10mL)及びブライン(5mL)で順次洗浄した。次いで、有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、そして減圧下で濃縮した。次いで残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、50/50(v/v)のn−ヘキサン/EtOAc〜25/75(v/v)のn−ヘキサン/EtOAc)により精製して、生成物を白色の固体として得た(0.356g、54%)。LC/MS(3.487分(ES+)),m/z:862.2[M+H]+1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.34(br s,1H),7.47(d,2H,J=7.6Hz),7.17(s,1H),7.14(d,2H,J=7.5Hz),6.86(br s,1H),6.65(br s,1H),6.42(d,1H,J=7.6Hz),6.22(d,1H,J=14.4Hz),5.80(m,1H),5.40(m,1H),5.53(m,1H),5.32(m,1H),5.21(d,2H,J=9.6Hz),5.06(d,1H,J=12.3Hz),4.90(m,1H),4.58(m,3H),3.98(m,1H),3.84(m,1H),3.81(s,3H),3.50(m,1H),3.05(dd,1H,J=16.0,10.3Hz),2.76(m,1H),2.15(m,1H),1.80(dd,3H,J=6.7,0.8Hz),1.44(d,3H,J=7.1Hz),1.16(m,3H),1.01(d,18H,J=6.6Hz),0.96(d,3H,J=6.8Hz),0.92(d,3H,J=6.8Hz)。
【0596】
(d)(11S,11aS)−4−((S)−2−((S)−2−(アリルオキシカルボニルアミノ)−3−メチルブタンアミド)プロパンアミド)ベンジル11−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−7−メトキシ−5−オキソ−2−((E)−1−プロペニル)−8−(トリイソプロピルシリルオキシ)−11,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−10(5H)−カルボキシレート(78)
t−ブチルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(0.46g、1.74mmol、3.0当量)を、窒素雰囲気下0℃で、第二級アルコール77(0.5g、0.58ミリモル、1.0当量)及び2,6−ルチジン(0.25g、2.32ミリモル、4.0当量)の乾燥DCM(10mL)溶液に添加した。10分後、反応混合物を室温まで温め、さらに120分間撹拌した。次いで、有機相を水(10mL)、飽和炭酸水素ナトリウム(10mL)及びブライン(5mL)で順次洗浄し、MgSO4で乾燥させ、ろ過し、そして減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、50/50(v/v)のn−ヘキサン/EtOAc)により精製して、生成物を白色固体として得た(0.320g、57%)。LC/MS(4.415分(ES+)),m/z:976.52[M+H]+1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.31(br s,1H),7.48(d,2H,J=8.0Hz),7.21(s,1H),7.14(d,2H,J=8.3Hz),6.89(s,1H),6.65(s,1H),6.38(d,1H,J=7.3Hz),6.25(d,1H,J=14.6Hz),5.93(m,1H),5.85(d,1H,J=8.8Hz),5.50(m,1H),5.34(m,1H),5.24(m,2H),5.15(d,1H,J=12.5Hz),4.86(d,1H,J=12.2Hz),4.62(m,3H),4.01(m,1H),3.86(s,3H),3.78(m,1H),3.04(m,1H),2.56(m,1H),2.20(m,1H),1.84(dd,3H,J=6.6,0.7Hz),1.48(d,3H,J=6.8Hz),1.20(m,3H),1.05(d,9H,J=2.9Hz),1.03(d,9H,J=2.9Hz),0.99(d,3H,J=6.8Hz),0.95(d,3H,J=6.8Hz),0.88(s,9H),0.27(s,3H),0.14(s,3H)。
【0597】
(e)(11S,11aS)−4−((S)−2−((S)−2−(アリルオキシカルボニルアミノ)−3−メチルブタンアミド)プロパンアミド)ベンジル11−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−8−ヒドロキシ−7−メトキシ−5−オキソ−2−((E)−1−プロペニル)−11,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−10(5H)−カルボキシレート(79)
酢酸リチウム二水和物(0.010g、0.10ミリモル、1.0当量)を、3時間にわたり25℃でシリルエーテル78(0.100g、0.10ミリモル、1.0当量)の湿潤DMF(2mL)溶液に添加した。次いで、反応混合物を酢酸エチル(20mL)で希釈し、そして0.1Mクエン酸(20mL、pH3)、水(20mL)及びブライン(5mL)で連続的に洗浄し、MgSO4で乾燥させ、ろ過し、そして減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、5/95(v/v)のメタノール/DCM)により精製して、生成物を淡黄色油状物として得た(0.070g、83%)。LC/MS(3.362分(ES+)),m/z:820.2[M+H]+1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.39(s,1H),7.48(d,2H,J=8.2Hz),7.25(s,1H),7.12(d,2H,J=8.1Hz),6.88(s,1H),6.68(s,1H),6.47(d,1H,J=7.6Hz),6.24(d,1H,J=15.2Hz),6.03(s,1H),5.92(m,1H),5.84(d,1H,J=8.9Hz),5.50(m,1H),5.34(m,1H),5.26(m,2H),5.18(d,1H,J=12.3Hz),4.80(d,1H,J=12.4Hz),4.66−4.60(m,3H),4.02(m,1H),3.95(s,3H),3.81(m,1H),3.03(m,1H),2.57(m,1H),2.19(m,1H),1.84(dd,3H,J=6.8,0.8Hz),1.48(d,3H,J=7.1Hz),1.00(d,3H,J=6.8Hz),0.95(d,3H,J=6.8Hz),0.87(s,9H),0.26(s,3H),0.12(s,3H)。
【0598】
(iv)(11S,11aS)−4−((20S,23S)−1−ヨード20−イソプロピル−23−メチル−2,18,21−トリオキソ−6,9,12,15−テトラオキサ−3,19,22−トリアザテトラコサンアミド)ベンジル11−ヒドロキシ−7−メトキシ−8−(3−((S)−7−メトキシ−5−オキソ−2−((E)−1−プロペニル)−5,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−8−イルオキシ)プロポキシ)−5−オキソ−2−((E)−1−プロペニル)−11,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−10(5H)−カルボキシレート (66,D)
【化163】
【0599】
(a)(11S,11aS)−アリル8−(3−((11S,11aS)−10−((4−((R)−2−((R)−2−(アリルオキシカルボニルアミノ)−3−メチルブタンアミド)プロパンアミド)ベンジルオキシ)カルボニル)−11−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−7−メトキシ−5−オキソ−2−((E)−1−プロペニル)−5,10,11,11a−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−8−イルオキシ)プロポキシ)−11−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−7−メトキシ−5−オキソ−2−((E)−1−プロペニル)−11,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−10(5H)−カルボキシレート(80)
炭酸カリウム(0.030g、0.21ミリモル、1.0当量)をフェノール79(0.175g、0.21ミリモル、1.0当量)及びヨードリンカー74(0.214g、0.32ミリモル、1.5当量)のアセトン(10mL)溶液に添加した。反応混合物を17時間にわたり密閉フラスコ中において75℃で窒素雰囲気下に加熱した。反応混合物を減圧下で濃縮乾固し、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、2/98v/vのメタノール/DCM〜5/95v/vのメタノール/DCM)により精製して、生成物を淡黄色の固体として得た(0.100g、35%)。LC/MS(4.293分(ES+)),m/z:1359.13[M]+
【0600】
(b)(11S,11aS)−アリル8−(3−((11S,11aS)−10−((4−((R)−2−((R)−2−(アリルオキシカルボニルアミノ)−3−メチルブタンアミド)プロパンアミド)ベンジルオキシ)カルボニル)−11−ヒドロキシ−7−メトキシ−5−オキソ−2−((E)−1−プロペニル)−5,10,11,11a−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−8−イルオキシ)プロポキシ)−11−ヒドロキシ−7−メトキシ−5−オキソ−2−((E)−1−プロペニル)−11,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−10(5H)−カルボキシレート(81)
フッ化テトラ−n−ブチルアンモニウム(1M、0.22mL、0.22ミリモル、2.0当量)をシリルエーテル80(0.150g、0.11ミリモル、1.0当量)の乾燥THF(2mL)溶液に添加した。反応混合物を室温で20分間攪拌し、その後LC/MSは反応の完了を示した。反応混合物を酢酸エチル(10mL)で希釈し、水(5mL)及びブライン(5mL)で順次洗浄した。有機相をMgSO4で乾燥させ、ろ過し、そして減圧下で濃縮して黄色の固体が残った。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、6/94v/vのメタノール/ DCM〜10/90v/vのメタノール/DCM)によって精製して、生成物を淡黄色の固体として得た(0.090g、73%)。LC/MS(2.947分(ES+)),m/z:1154.0 [M+Na]+1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.39(br s,1H),7.39(d,2H,J=7.6Hz),7.18(d,2H,J=10.6Hz),7.10(m,3H),6.86(d,2H,J=10.0Hz),6.74(s,1H),6.55(s,1H),6.22(dd,2H,J=15.3,6.6Hz),5.85(m,2H),5.74(m,3H),5.52(m,2H),5.22(m,1H),5.00(m,2H),4.57(m,6H),4.41(m,2H),4.09(m,4H),3.85(m,11H),3.06(m,2H),2.76(m,2H),2.20(m,2H),2.08(m,1H),1.79(d,6H,J=6.4Hz),1.40(d,3H,J=6.1Hz),0.90(m,6H)。
【0601】
(c)(11S,11aS)−4−((R)−2−((R)−2−アミノ−3−メチルブタンアミド)プロパンアミド)ベンジル11−ヒドロキシ−7−メトキシ−8−(3−((S)−7−メトキシ−5−オキソ−2−((E)−1−プロペニル)−5,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−8−イルオキシ)プロポキシ)−5−オキソ−2−((E)−1−プロペニル)−11,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−10(5H)−カルボキシレート(65)
テトラキス(トリフェニルホスフェン)パラジウム(0)(0.005g、0.005ミリモル、0.06当量)を、ビス−カルビノールアミン81(0.090g、0.08ミリモル、1.0当量)及びピロリジン(16μL、0.20ミリモル、2.5当量)の乾燥DCM(5mL)溶液に添加した。20分後、反応混合物をDCM(10mL)で希釈し、そして飽和塩化アンモニウム(5mL)及びブライン(5mL)で順次洗浄し、MgSO4で乾燥させ、ろ過し、そして溶媒を減圧下で除去して淡黄色の固体として粗生成物が残り、これをさらに精製することなく次の工程で使用した(0.075g、100%の収率と推定)。LC/MS(2.060分(ES+)),m/z:947.2[M+H]+
【0602】
(d)(11S,11aS)−4−((20S,23S)−1−ヨード20−イソプロピル−23−メチル−2,18,21−トリオキソ−6,9,12,15−テトラオキサ−3,19,22−トリアザテトラコサンアミド)ベンジル11−ヒドロキシ−7−メトキシ−8−(3−((S)−7−メトキシ−5−オキソ−2−((E)−1−プロペニル)−5,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−8−イルオキシ)プロポキシ)−5−オキソ−2−((E)−1−プロペニル)−11,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−10(5H)−カルボキシレート(66,D)
EDCI(0.015g、0.08ミリモル、1.0当量)を、アミン65(収率100%と推定、0.075g、0.08ミリモル、1.0当量)及びヨードアセトアミド−PEG4−酸I7(0.034g、0.08ミリモル、1.0当量)の乾燥ジクロロメタン(5mL)溶液に添加し、そしてこの反応物を暗所で攪拌した。50分後、追加量のヨードアセトアミド−PEG4−酸I7(0.007g、0.016ミリモル、0.2当量)を追加量のEDCI(0.003g、0.016ミリモル、0.2当量)と共に添加した。合計2.5時間後に、この反応混合物をジクロロメタン(15mL)で希釈し、水(10mL)及びブライン(10mL)で順次洗浄した。有機相をMgSO4で乾燥させ、ろ過し、そして減圧下で濃縮した。得られた残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、クロロホルム100%〜90:10v/vのクロロホルム:メタノール)により精製した。純粋な画分を併せて生成物を得た(0.0254g、23%、2工程)。これらの粗画分を集め、そして分取TLCによって精製(シリカゲル、90:10v/vのクロロホルム:メタノール)して、生成物の第2バッチを得た(0.0036g、3%、2工程)。LC/MS(2.689分(ES+)),m/z:681.0 1/2[M+2H]+
【0603】
例10:放出された化合物の活性
K562アッセイ
K562ヒト慢性骨髄性白血病細胞を、5%CO2を含む加湿雰囲気中において37℃で、10%ウシ胎児血清及び2mMグルタミンを補充したRPM11640培地中で維持し、そして暗所において37℃で1時間又は96時間にわたり特定の用量の薬剤と共にインキュベートした。このインキュベーションを遠心分離(5分、300g)で停止させ、そして細胞を、薬剤を含まない培地で1回洗浄した。適切な薬剤処理の後に、細胞を96ウェルマイクロタイタープレートに移した(ウェル当たり104個の細胞、サンプル当たり8ウェル)。次いで、プレートを、5%のCO2を含む加湿雰囲気中において37℃で暗所において保持した。このアッセイは、生細胞が黄色の可溶性テトラゾリウム塩の3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニル−2H−テトラゾリウムブロミド(MTT、シグマアルドリッチ)を不溶性の紫色ホルマザン沈殿物に還元する能力に基づくものである。4日間にわたるプレートのインキュベーション後(対照細胞の数を約10倍増加させるため)、20μLのMTT溶液(リン酸緩衝生理食塩水中5mg/mL)を各ウェルに加え、そしてプレートをさらに5時間インキュベートした。次いで、プレートを300gで5分間遠心分離し、そして培地の大部分をウェル当たり10〜20μLを残して細胞ペレットからピペットで移した。DMSO(200μL)を各ウェルに添加し、そしてサンプルを、完全な混合を確実にするように撹拌した。その後、光学密度をタイターテックマルチスキャンELISAプレートリーダーにより550nmの波長で読み取り、そして用量応答曲線を作成した。それぞれの曲線について、IC50値を、最終光学密度を対照値の50%に減少させるのに必要な用量として読み取った。
【0604】
化合物RelCは、このアッセイでは0.1pM未満のIC50を有する。
【0605】
化合物RelEは、このアッセイでは0.425nMのIC50を有する。
【0606】
例11:結合体の形成
一般的な抗体結合手順
抗体を、還元緩衝液(例:リン酸緩衝生理食塩水PBS、ヒスチジン緩衝液、ホウ酸ナトリウム緩衝液、TRIS緩衝液)で1〜5mg/mLに希釈する。TCEP(トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩)の新たに調製された溶液を添加してシステインジスルフィド架橋を選択的に減少させる。TCEPの量は、抗体当たり1〜4モル当量以内で還元目標レベルに比例し、2〜8個の反応性チオールを生成する。37℃で数時間還元した後、この混合物を室温まで冷却し、そして過剰の薬剤−リンカー(A、B、C、D、E)を希釈DMSO溶液として添加した(反応混合物の10%容量/容量までの最終DMSO含有量)。混合物を穏やかに、適切な時間、一般に1〜3時間にわたって4℃又は室温で振盪した。過剰の反応性チオールは、結合の終了時にN−エチルマレイミド(NEM)のような「チオールキャッピング剤」と反応できる。抗体−薬剤結合体を、10kDa以上の分子量カットオフを有する遠心スピンフィルターを用いて濃縮し、次いで接線流濾過(tFF)又は高速タンパク質液体クロマトグラフィー(FPLC)によって精製する。対応する抗体−薬剤結合体を、逆相クロマトグラフィー(RP)又は疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)をUV−可視、蛍光又は質量分析計検出と共に使用して薬剤当たりの抗体比(DAR)を評価するために高速液体クロマトグラフィー(HPLC)又は超高性能液体クロマトグラフィー(UHPLC)によって分析することによって決定できる;凝集体レベル及び単量体純度は、サイズ排除クロマトグラフィーをUV可視、蛍光又は質量分析計検出とと共に使用するHPLC又はUHPLCによって分析できる。最終結合体濃度を、分光(280、214及び330nmでの吸光度)及び生化学的アッセイ(ビシンコニン酸アッセイBCA;Smith,P.K.,外(1985)Anal.Biochem.150 (1):76−85;基準として既知濃度のIgG抗体を使用)の組み合わせにより決定する。抗体−薬剤結合体を、一般に無菌条件下で0.2μmフィルターを使用して濾過滅菌し、そして+4℃、−20℃又は−80℃で保存する。
【0607】
DARの決定
抗体又はADC(35μL中約35μg)を10μLのホウ酸緩衝液(100mM、pH8.4)及び5μLのDTT(水中0.5M)に添加することによって還元させ、そして15分間にわたり37℃で加熱した。サンプルを1容量のアセトニトリル:水:ギ酸(49%:49%:2%v/v)で希釈し、そして80℃でWidepore 3.6μXB−C18 150×2.1mm(P/N 00F−4482−AN)カラム(Phenomenex社Aeris)に、UPLCシステム(島津製作所Nexera)で、75%緩衝液A(水、トリフルオロ酢酸(0.1%v/v)(tFA))、25%緩衝液B(アセトニトリル:水:TFA90%:10%:0.1%v/v)で平衡化された1ml/分の流量で注入した。結合した物質を10分で25%から55%までの緩衝液Bの勾配を使用して溶離させた。214nmでのUV吸収のピークを積分した。次のピークを、各ADC又は抗体に対して同定した:天然の抗体の軽鎖(L0)、天然の抗体の重鎖(H0)及び薬剤−リンカーが付加されたこれらの鎖のそれぞれ(1の薬剤を有する軽鎖についてはL1及び1、2又は3の結合薬剤−リンカーを有する重鎖についてはH1、H2、H3と標識)。330 nmでのUVクロマトグラムを、薬剤−リンカーを含有する断片の同定のために使用した(すなわち、L1、H1、H2、H3)。
【0608】
PBD/タンパク質のモル比を軽鎖及び重鎖の両方について算出した:
【数1】
【0609】
最終DARは次のように算出される:
【数2】
【0610】
DAR測定を、薬剤−リンカーの吸光度からの干渉を最小限に抑えるために214nmで実施する。
【0611】
ADCの生成
抗体AB12(それぞれVH及びVL配列の配列番号1及び配列番号2を有する完全ヒトモノクローナルIgG1、K抗体)を薬剤リンカーAに結合させてConjAB12−Aを得、そしてDARは、2.14であると測定された。
【0612】
抗体AB12(それぞれVH及びVL配列の配列番号1及び配列番号2を有する完全ヒトモノクローナルIgG1、K抗体)を薬剤リンカーDに結合させてConjAB12−Dを得、そしてDARは、1.25であると測定された(下の表を参照)。
【0613】
抗体AB12(それぞれVH及びVL配列の配列番号1及び配列番号2を有する完全ヒトモノクローナルIgG1、K抗体)を薬剤リンカーEに結合させてConjAB12−Eを得、そしてDARは、2.3であると測定された(下の表を参照)。
【0614】
以下の表に示すように、他のADCも調製した。
【0615】
HUMAX−TACは、配列番号1に従う配列を有するVHドメイン及び配列番号2に従う配列を有するVLドメインを含む抗CD25抗体である。
【0616】
上述のように、CD25に対する標的のADCを、HuMax−TAC抗体を3種の異なるリンカーに結合させることによって生成させた。得られたADCを、測定されたDARと共に以下の表にまとめる。B12抗HIVgp120抗体を使用して対照の非CD25標的ADCを生成した。
【0617】
【表1】
【0618】
例12:ADCの試験管内細胞毒性
細胞培養
SU−DHL−1及びKarpas299細胞は、微生物細胞培養のライプニッツ研究所DSMZ−ドイツコレクションから入手した。Daudi細胞は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションから入手した。細胞培養培地は、L−グルタミン及び10%FBSを補充したRPMI1640であった。細胞を加湿インキュベーター中において37℃、5%CO2で増殖させた。
【0619】
細胞毒性アッセイ
懸濁細胞の培養液(1×106/mlまでで)の濃度及び生存率を、トリパンブルーで1:1混合し、そして透明(生)/青(死)細胞を血球計数器で計数することによって決定した。細胞懸濁液を、必要な播種密度(一般に105/ml)にまで希釈し、そして96ウェル平底プレートに分注した。アラマーブルーアッセイについては、100μl/ウェルをブラックウェルプレートに分注した。MTSアッセイについては、50μL/ウェルを透明なウェルプレートに分注した。ADC(20μg/ml)のストック溶液(1ml)を、フィルター滅菌ADCを細胞培養培地に希釈することによって作製した。ストックADCの8×10倍希釈のセットを、細胞培養培地900μlに100μlをシリアル転送することにより24ウェルプレートで作製した。それぞれのADC希釈(アラマーブルーについては100μl/ウェル、MTSについては50μL/ウェル)を、細胞懸濁液を含む96ウェルプレートの4つの複製ウェルに分注した。対照ウェルには、同じ量の培地のみを与えた。4日間のインキュベーション後、細胞生存率をアラマーブルー又はMTSアッセイのいずれかにより測定しました。
【0620】
AlamarBlue(登録商標)(インビトロジェン社、カタログ番号DAL1025)を、各ウェルに分注し(ウェルあたり20μl)、そしてCO2ガス供給インキュベーター内において37℃で4時間インキュベートした。ウェルの蛍光を、励起570nm、発光585nmで測定した。細胞生存率(%)を、4つの対照ウェル(100%)における平均蛍光と比較した、4つのADC処理ウェルにおける平均蛍光の比率から算出した。
【0621】
MTS(プロメガ社、カタログ番号G5421)を各ウェルに分注し(ウェルあたり20μl)、そしてCO2ガス供給インキュベーター内において37℃で4時間インキュベートした。吸光度を490nmで測定した。細胞生存率(%)を、4つの対照ウェル(100%)における平均吸光度と比較した、4つのADC処理ウェルにおける平均吸光度から算出した。用量応答曲線を、3回の反復実験の平均値データから作成し、そしてEC50を、プリズムを使用して可変勾配を有するシグモイド用量応答曲線にデータを当てはめることにより決定した(米国カリフォルニア州サンディエゴのグラフパッド社)。
【0622】
HUMAX−TACのCD25+ve細胞株への結合
Karpas299及びSU−DHL−1の未分化大細胞リンパ腫(ALCL)由来細胞株は、CD25を発現することが以前に報告されている。それらの発現プロファイルを確認するために、CD25の表面発現をフローサイトメトリーによって分析した。HUMAX−TACをCD25特異的抗体として使用した。B12を陰性対照抗体として使用した。
【0623】
図1は、Karpas299及びSU−DHL−1細胞株上でのCD25の発現を示す。カーパス及びSU−DHL−1上の表面CD25発現をフローサイトメトリーによって決定した。グラフは、3回(Karpas299)又は4回の独立した実験(SU−DHL−1)の平均を表す。EC50値をng/mlで報告する。
【0624】
両方の細胞株は、HUMAX−TACに特異的に結合したが、ネガティブコントロール抗体は結合せず、これは、細胞表面CD25の発現を確認するものである。
【0625】
【表2】
【0626】
試験管内細胞毒性
HuMax−TAC−Aの有効性をSU−DHL−1細胞に対して試験した。CD25のネガティブコントロールとして、Daudi B細胞を使用した。
【0627】
図2は、HuMax−TAC−Aの試験管内での有効性を示す。HuMax−TAC−Aの連続10倍希釈液(μg/mL)をSU−DHL−1細胞又はDaudi細胞と共にインキュベートした。アラマーブルーアッセイをインキュベーション期間の終了時に実施し、そして細胞生存を算出した。グラフは3回の反復実験の平均を表す。
【0628】
HuMax−TAC−Aは、SU−DHL−1細胞に対して有意な細胞毒性を示した(図2)。
【0629】
図3A、B、C(及び表3A、3B及び3C)は、HUMAX−TAC−ADC結合体に対する薬剤リンカーの選択を示す。3種の異なる弾頭リンカー(A、E、D)に結合したHuMax−TACの連続10倍希釈液(μg/mL)をSU−DHL−1、Karpas299又はDaudi細胞と共にインキュベートした。MTSアッセイをインキュベーション期間の終了時に行い、パーセント細胞死を測定した。グラフは3回の反復実験の平均を表す。 EC50値を、μg/m.HT=HUMAX−TACで報告する。
【0630】
表3A
【表3A】
表3B
【表3B】
表3C
【表3C】
【0631】
例13:ADCの生体内抗腫瘍活性
CD25+(ve)ヒト未分化大細胞リンパ腫(ALCL)由来細胞株Karpas299を使用して、生体内でHuMax−TACのために最も可能性の高いPBD弾頭を決定した。抗体を、上記A及びE薬剤リンカーに結合させ、そしてKarpas299異種移植片モデルで試験した。非CD25結合コントロールとして、同じ弾頭に結合された抗HIVgp120抗体、B12を使用した。同時に、非CD25結合ADCコントロールで観察される任意の潜在的な抗腫瘍活性を調査するために、HUMAX−TAC−E及びB12−E(いずれも上述した)を、ヒトIgGの30倍過剰量と組み合わせて生体内で試験した。
【0632】
研究設計
薬剤及び処置:
【表4】
【0633】
手順:
・脇腹において0%マトリゲル皮下でIxKARPAS−299−SPN腫瘍細胞を有するCR雌NCr nu/nuマウスをセットアップする。
・細胞注入量は0.1mL/マウスである。
・開始日における年齢:8〜12週間。
・腫瘍が100〜150mm3の平均サイズに達したときにペアマッチを実行し、そして治療を開始する。
・体重:1日4回×5、その後終了まで二週間。
・キャリパー測定:終了まで二週間。
・任意の副作用又は死亡を直ちに報告する。
・>30%の体重減少が1回観察された又は>25%の体重減少が3回連続して測定された任意の個々の動物を安楽死させる。
・>20%の平均体重減少又は>10%の死亡率の2つの測定値を有する任意の群は、投与を中止する。この群は安楽死されず、回復が可能となる。>20%の重量減少を有する群内では、個々の体重減少の終点に当たる個体を安楽死させる。群の治療に関連する体重減少が元の体重の10%以内に回復した場合には、投与をより低い用量又はより少ない頻度の投薬スケジュールで再開することができる。非処置体重回復(%)の例外を、ケースバイケースで許可することができる。
・終点TGD。動物を個別に監視すべきである。実験の終点は、2000mm3の腫瘍体積又は60日であり、最初に来たいずれかである。レスポンダーをさらに長く追跡することができる。終点に達したときには、動物を安楽死させなければならない。
【0634】
一般的な方法論的アプローチ
群平均腫瘍容積の算出については、次の規則を適用した:動物が腫瘍のサイズのため調査を終了したときに、この動物について記録された最終的な腫瘍体積を、その後の時点での平均体積を算出するために使用されたデータと共に含めた。エラーバーは、平均標準誤差(SEM)を示す。腫瘍体積値は、群中に50%未満の動物しかその研究では残ならかった場合には群平均腫瘍体積を算出するためには使用しなかった。プリズム(カリフォルニア州サンディエゴのグラフパッド社)を図形表現及び統計分析のために使用した。
【0635】
結果
図4は、Karpas299異種移植片モデルにおけるHuMax−TAC−ADCに対する薬剤リンカー選択を示す。実験群当たりの平均腫瘍体積が0.1cm3に達したときにマウスに投与し、そしてマウスを、尾静脈にIVを介して0.3及び1mg/kg(結合ADCについて)並びに1mg/kg(非結合ADCについて)でのADCの単回投与で処置した。IVIGの実験について、マウスを、尾静脈内にIVを介してIgGの1mg/kg±30mg/kgでHUMAX−TAC−E又はB12−Eのいずれかの単回投与で処置した。データは、各群における10匹のマウスからの平均腫瘍体積(±SEM)を表す。
【0636】
HuMax−TAC−Eは、両方の濃度でHuMax−TAC−Aと比較して最も強力な抗腫瘍活性を示した(図4)。非結合ADCコントロール(B12−A及びB12−E)のいずれも有意な抗腫瘍活性を示さなかった。
【0637】
HUMAX−TAC−E及びB12−Eの両方をKarpas299異種移植モデルにおいて30mg/kgのIgGと組み合わせて試験したところ、それらの相対活性は、この試験の全期間にわたり影響を受けなかった(図4)が、これは、生体内での抗CD25 PBD ADCの評価に好適な異種移植モデルとしてのKarpas299細胞株を検証するものである。
【0638】
図5は、体重測定を示す。体重を各処置群について毎週監視した。実験群間で体重の有意な変化は検出されなかった。データは、各群における8匹のマウスからの平均体重(±SEM)を表す。
【0639】
CD25標的及び非CD25標的ADCの両方によるマウスの処置は、体重の有意な変化とは関連していなかったが、これは重大な毒性作用がないことを示す(図5)。
【0640】
略語
Ac アセチル
Acm アセトアミドメチル
Alloc アリルオキシカルボニル
Boc ジ−t−ブチルジカーボネート
t−Bu t−ブチル
Bzl ベンジル、この場合、Bzl−OMeはメトキシベンジルであり、Bzl−Meはメチルベンゼンである
Cbz又は Zベンジルオキシカルボニル、この場合、Z−Cl及びZ−Brは、それぞれクロロベンジルオキシカルボニル及びブロモベンジルオキシカルボニルである
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
Dnp ジニトロフェニル
DTT ジチオトレイトール
Fmoc 9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニル
Imp N−10イミン保護基:3−(2−メトキシエトキシ)プロパノエートヴァル−Val−Ala−PAB
MC−OSu マレイミドカプロイル−O−N−スクシンイミド
Moc メトキシカルボニル
MP マレイミドプロパンアミド
Mtr 4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼンスルホニル
PAB p−アミノベンジルオキシカルボニル
PEG エチレンオキシ
PNZ p−ニトロベンジルカルバメート
Psec 2−(フェニルスルホニル)エトキシカルボニル
TBDMS t−ブチルジメチルシリル
TBDPS t−ブチルジフェニルシリル
Teoc 2−(トリメチルシリル)エトキシカルボニル
Tos トシル
Troc 塩化2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル
Trt トリチル
Xan キサンチル
【0641】
配列

配列番号1 (AB12 VH):
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSRYIINWVRQAPGQGLEWMGRIIPILGVENYAQKFQGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARKDWFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLA

配列番号2 (AB12 VL):
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYGSSPLTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFP

配列番号3 (VH CDR1):
RYIIN

配列番号4 (VH CDR2):
RIIPILGVENYAQKFQG

配列番号5 (VH CDR3):
KDWFDY

配列番号6 (VL CDR1):
RASQSVSSYLA

配列番号7 (VL CDR2):
GASSRAT

配列番号8 (VL CDR3):
QQYGSSPLT
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]