(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
更に美容的に許容可能なキャリアを含有する、液体ハンドソープ、ボディウォッシュ、皮膚ローション、皮膚クリームおよび皮膚コンディショナーから選択されたパーソナルケア用品である請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
歯に適用することで、エナメル質の酸性浸食を減少及び防止し、歯をクリーニングし、細菌的に発生するバイオフィルムおよびプラークを減少し、歯肉炎を減らして、う歯および虫歯の形成を防止し、および/または象牙質の知覚過敏を減少するための請求項11に記載の組成物。
【背景技術】
【0001】
関連した出願の相互参照
この出願は2013年6月18日に出願したPCT/US2013/46268;2012年12月19日に出願したPCT/US2012/70489;2012年12月19日に出願したPCT/US2012/70492;2012年12月19日に出願したPCT/US2012/70498;2012年12月19日に出願したPCT/US2012/70506;2012年12月19日に出願したPCT/US2012/70513;2012年12月19日に出願したPCT/US2012/70505;2012年12月19日に出願したPCT/US2012/70501; 2012年12月19日に出願したPCT/US2012/70521;2012年12月19日に出願したPCT/US2012/70534;および2013年7月17日に出願したPCT/US2013/50845の一部継続出願であり、それらの出願の全てがここに参照として挿入される。
【0002】
背景
アルミニウムまたはアルミニウム/ジルコニウムの塩類を含有する従来の制汗剤は、既知である。これらの塩類はポリマー状錯体を形成し、それが孔をふさぎ、発汗をブロックすることにより制汗剤として機能する。孔を塞いで発汗をブロックし得る大きさの分子量錯体を提供し、デオドラント/抗菌効果を提供し、かつ従来の制汗剤中の酸性塩類より皮膚をより刺激しない別の制汗活性剤が求められている。液体ハンドソープおよびボディウォッシュにおいて使用するための別の抗菌および皮膚保護剤がまた、求められている。最後に、歯を白くおよび強化し、浸食を遅らせおよび細菌およびプラークを抑制し得るオーラルケア製品における薬剤の必要性が求められている。
【0003】
概要
四塩基性亜鉛ハロゲン化物(「TBZH」)、例えば四塩基性亜鉛塩化物(「TBZC」)と、アミノ酸またはトリアルキグリシン(「TAG」)(それぞれ「TBZH−AA」、「TBZC−AA」、「TBZH−TAG」および「TBZC−TAG」)をシステインと組合せた錯体を含有し、その錯体は濃縮水溶液中で安定かつ可溶性であるが、希釈時に亜鉛とシステインの錯体を含有する比較的酸に安定な沈殿物を提供するものを含有する組成物を提供する。この材料の普通でない予想外の特性は安定な亜鉛錯体を皮膚または歯に分配することを許容し、パーソナルケア製品、例えば制汗製品および液体ハンドソープおよびボディソープ、並びにオーラルケア製品、例えばマウスウォッシュまたは歯磨剤に有用となる。
【0004】
四塩基性亜鉛塩化物(TBZC)または亜鉛塩化物ヒドロキシドモノハイドレートは式Zn
5(OH)
8Cl
2・H
2Oを有する亜鉛ヒドロキシ化合物であり、また塩基性亜鉛塩化物、水酸化塩化亜鉛またはオキシ塩化亜鉛とも呼ばれる。それは、水に不溶の無着色結晶性固体である。TBZCは実質的に水に不溶であるが、材料はアミノ酸の存在下に水に可溶であり、付加的アニオン(即ち、HCl)を使用せずに亜鉛イオン原料を提供することが解った。TBZCがこの組成物および方法に好ましいが、他の四塩基性亜鉛ハロゲン化物、例えば四塩基性亜鉛フッ化物または四塩基性亜鉛臭化物を用いてもよい。
【0005】
TBZH―AAまたはTBZH―TAG錯体は、ハロゲン化物(例えば塩化物)を含む。1つの態様では、TBZH―AAまたはTBZH―TAGは、TBZHをアミノ酸遊離塩基と反応することにより形成され、この場合において錯体に対するハロゲン化物(例えば、塩化物)の貢献が主にTBZHからである。別の態様では、TBZH―AAは、TBZHと塩基性アミノ酸のヒドロハロゲン化物塩(例えば、ヒドロ塩化物塩)との反応によってTBZH塩基性アミノ酸およびハロゲン化物を含む錯体を得て、その場合錯体に対するハロゲン化物貢献がTBZHとアミノ酸のヒドロハライド塩からである。他の態様では、アミノ酸の遊離塩基およびヒドロハライド塩の組合せは出発材料として使用され、他の態様において付加的なハロゲン化物は異なるハロゲン化物含有化合物(例えば塩酸、臭酸等)の付加によって提供されることができる。ハロゲン化物原料のタイプと量は、所望のpHを達成するために操作され得る。
【0006】
1つの態様では、TBZH―AAはTBZC−リシン錯体であり、例えばTBZCおよびリシンおよび/またはリシン塩酸塩の混合物から形成される。この特定の亜鉛−リシン−塩化物錯体は、本明細書では時々「TBZC−Lys」と呼ぶ。
【0007】
四塩基性亜鉛−アミノ酸またはTAG−ハロゲン化物錯体、例えばTBZC−Lysは、市販の制汗塩類と競合する鍵となる特徴(例えば、伝導率、加水分解反応およびタンパク質凝集)を有する。従来のアルミニウムまたはアルミニウム-ジルコニウム制汗塩類のように、TBZH−AAまたはTBZH−TAGは発汗時に孔を塞ぎ汗の放出をブロックし得る沈澱を形成する。メカニズムは通常ではない。溶液に導入されるか残存するかより、水の量が増えて、より希釈されて、イオン性錯体の場合に典型的であるように、TBZH−AAまたはTBZH−TAGは水和して比較的不溶性の亜鉛含有沈澱、例えば酸化亜鉛を提供し、それにより孔を更に塞いでおよび/または皮膚の上での亜鉛化合物の沈着を制御することを可能にする。亜鉛はさらに抗菌性であるので、孔から汗の放出をブロックする沈澱を提供することに加えて、臭いの原因である細菌の繁殖を抑えるデオドラント効果も提供する。
【0008】
錯体から形成される沈殿は、典型的には酸化亜鉛、並びに他の化合物および/または錯体を含む。酸化亜鉛、沈殿の一構成成分は酸性pHで可溶性であるが、汗がpH5〜6を有しているので、汗は中性またはより高いpHでの沈殿レベルと比較して沈殿のレベルを減少し得る。さらに、汗は沈澱物を徐々に溶解し、配合の作用の期間を減少し得る。また、沈殿の速度が非常に低いかまたは非常に高いかであるかもしれない。この問題は製品にシステインを共に配合することで改善し得る。システインと亜鉛錯体は共に使用時および汗で希釈時に沈澱を形成し、その沈殿が酸に抵抗性であり得る。従って、システインと共にTBZH−AAまたはTBZH−TAGを含有する配合は、制汗剤として有効性を向上した。さらに、システインは投与前の配合でTBZH−AAまたはTBZH−TAGを安定するのを助ける。
【0009】
システインとTBZH―AAまたはTBZH―TAG錯体との使用は、汗により抵抗する沈殿を形成することが解ったが、我々はまたシステインの使用が沈殿の形成を遅延するか、またはある条件下では阻止することさえ発見した。システインとpH量は、沈殿形成の程度と速度に効果を有する。
【0010】
組成物のpHは要因(例えば水の量、システイン濃度等)に基づいて変化する。組成物のpHは通常7〜11、別の態様では7〜10、別の態様では8〜10、別の態様では8および9である。
【0011】
組成物は、システインを0.01〜1%の量で含むことができる。驚くべきことに、配合中のシステインの量が沈殿と耐酸性に影響し得ることが解った。例えば、0.09%以下のレベルのシステインを含む配合は典型的には希釈時に沈殿を形成するが耐酸性が悪い。0.1%〜0.15%未満のシステインを含む配合は、典型的には希釈時にすぐに沈殿を生じ、最高5pH単位のpH変更に耐えることができる優れた耐酸性を示す。0.15%以上のシステインを含む配合は、典型的には希釈時に沈殿形成が遅れるが、耐酸性はよい。本明細書における「耐酸性」は、人間の汗と同様のpH(即ちpH5.5)の水溶液において沈澱を維持するまたは沈殿の溶解を防止する特性を意味する。本明細書における「沈殿」は、肉眼で見える希釈時の不溶性沈殿の形成で、例えば、溶液中の見えるまたは前記透明溶液の見える白濁または濁りを意味する。この段落のための「希釈」は4倍以上希釈、典型的には水95%以上を含有することを意味する。「すぐに沈殿」は、TBZH―AAまたはTBZH―TAG錯体/システインの組合せの希釈後1秒未満で観察される沈殿を意味する。「沈殿の遅れ」は、TBZH―AAまたはTBZH―TAG錯体/システインの組合せの希釈後、1秒〜180秒、他の態様では1〜60秒、および他の態様では1〜10秒で観察される沈殿を意味する。
【0012】
未希釈形態における組成物は、典型的には水を10〜90%、他の態様では20〜90%および他の態様では50〜90%を含むが、ある態様ではより少ない水の量でも可能である。組成物中の水の量は、所望の濃度を達成するために最終製品の形態に基づいて変化し得る。例えば、歯磨剤は典型的には水を総量で10〜25%、マウスウォッシュは典型的には水を総量で50〜90%、制汗剤のようなパーソナルケア用品は典型的には水を総量で10〜20%の量で含む。混合物の沈殿時間およびpH値は、多くの要因(例えば水の濃度)に影響を受ける。より多くの水は、一般にはより急速な沈殿とより高いpH値に一般に至る。
【0013】
別の態様では、また、TBZH―AAまたはTBZH―TAG/システインの組合せは液体ハンドソープおよびボディウォッシュに有用である。
【0014】
さらにもう一つの態様では、TBZH―AAまたはTBZH―TAG/システインの組合せは、オーラルケア製品(例えば歯磨剤またはマウスウォッシュ(マウスリンス))で有用である。TBZH―AAまたはTBZH―TAG/システインの組合せを含有している配合は亜鉛イオンの有効濃度をエナメル質に提供し、それによって浸食から保護し、細菌性定着とバイオフィルム形成を減少し、歯に高い輝きを提供する。更に、使用時に、配合は希釈されて安定化沈殿を提供し、それが象牙細管を塞ぎ、それによって歯の敏感性を減少する。不溶性亜鉛塩を含む配合と比較して亜鉛の効率的な分配を提供するが、TBZH―AAまたはTBZH―TAG/システインの組合せを含有する配合は従来の可溶性亜鉛塩を用いる亜鉛ベースのオーラルケアに付随する悪い食味と食感、フッ化物分配の劣化および起泡および洗浄性の減少を示さない。
【0015】
遅れた沈殿を示す組成物は、使用の間に望ましい部位、例えば象牙質細管または汗腺で沈殿の量を最大にするのに特に有利であり得る。
【0016】
(i)四塩基性亜鉛−アミノ酸またはTAG−ハロゲン化物錯体(好ましくはTBZC−AA)、例えばTBZC−Lys、および(ii)遊離または口腔でまたは美容的に許容可能な塩の形態におけるシステインを含有する組成物を提供する。組成物は、オーラルケア製品、例えば歯磨剤またはマウスリンス(またはマウスウォッシュ)、またはパーソナルケア用品、例えば制汗剤、液体ハンドソープおよびボディウォッシュ、およびスキンローション、クリームおよびコンディショナーであってよい。更に、そのような組成物の使用方法、例えば組成物を皮膚に適用することを含有する汗を減少する方法、細菌を組成物に接触することを含有する殺菌方法、組成物を歯に適用することを包含する歯の知覚過敏、浸食、およびプラークを治療または減少する方法、並びにそのような組成物を製造する方法を提供する。
【0017】
本発明の適用性の更なる領域は、以下の詳しい説明から明らかになる。詳細な説明および特定の実施例は、本発明の好ましい態様を示しているが、説明のためだけを意図し、本発明の範囲を制限することを意図しない、ことを理解すべきである。
【0018】
詳細な説明
好ましい態様の以下の記載は、本質的に単なる説明であり、本発明、その用途および使用に限定することを意図しない。
【0019】
本明細書中に用いられる範囲は、範囲の中の各値およびすべての値を記載することの短縮形として用いられる。範囲の中のいかなる値も、範囲の終点として選ばれることができる。また、この中のすべての引用文献は、参考として全体が本明細書に導入される。本明細書の定義と引用文献のそれとが矛盾する場合は、本明細書の記載が優先する。
【0020】
特に明記しない限り、本明細書のいずれかの場所でまたは本明細書に記載される%および量は、重量パーセントに関するものと理解されなければならない。与えられる量は、材料の実際の重さに基づく。
【0021】
1つの態様では、マウスリンスの形の単一成分分配システムを包含し、システムはTBZH―AAまたはTBZH―TAG/システイン錯体の濃縮溶液を含有し、希釈は管理者/使用者によって、典型的なオーラルケア治療および/または使用者の唾液に本来含まれている水の形態で供給される。
【0022】
第1態様では、(i)四塩基性亜鉛アミノ酸またはTAGハロゲン化物錯体および(ii)遊離または口腔でまたは美容的に許容可能な塩の形態におけるシステインを含有する組成物(組成物1)を提供する:例えば、
1.1.四塩基性亜鉛−アミノ酸またはTAG−ハロゲン化物錯体が前駆体から形成され、前駆体がTBZC、アミノ酸原料および塩化物原料であり、該塩化物原料がTBZC、アミノ酸原料または塩酸(hydrochloric acid)の一部であり得る組成物1。
1.2.アミノ酸原料が塩基性アミノ酸、リシン、アルギニンおよびグリシンの少なくとも1つである組成物1.1。
1.3.トリアルキルグリシンがC
1−C
4アルキルグリシンまたはトリメチルグリシンである上記組成物のいずれか。
1.4.TBZH−AA錯体がTBZCとアミノ酸塩酸塩とを組合せることにより製造される上記組成物のいずれか。
1.5.TBZH−AA錯体がTBZC−Lysである上記組成物のいずれか。
1.6.水での希釈時に、システインと錯体化した不溶性亜鉛含有沈殿を提供する上記組成物のいずれか。
1.7.組成物に存在する亜鉛の総量が組成物の0.2〜8重量%である上記組成物のいずれか。
1.8.亜鉛:システインの比が重量で10:1〜100:1である上記組成物のいずれか。
1.9.pHが8.4〜8.8である上記組成物のいずれか。
1.10.システインがシステインハロゲン酸塩(cysteine hydrohalide)(必要に応じてシステイン塩酸塩)である上記組成物のいずれか。
1.11.更に口腔でまたは美容的に許容可能なキャリアを含有する上記組成物のいずれか。
1.12.更に口腔でまたは美容的に許容可能なキャリアを含有し、組成物が歯磨剤またはマウスウォッシュから選択されたオーラルケア製品または制汗剤、デオドラント、液体ハンドソープ、ボディウォッシュ、皮膚ローション、皮膚クリームおよび皮膚コンディショナーから選択されたパーソナルケア用品である上記組成物のいずれか。
1.13.更に水10%未満、例えば水5%未満、例えば実質的に無水である口腔的にまたは美容的に許容可能なキャリアを含有する上記組成物のいずれか。
1.14.組成物が水を85%以下の量で含有する上記組成物のいずれか。
1.15.システインを0.09〜0.15%で含む上記組成物のいずれか。
1.16.水または水溶液、例えば唾液または汗で4倍以上に希釈時にすぐに、例えば希釈後1秒以内に、沈殿を形成する上記組成物のいずれか。
1.17.水または水溶液、例えば唾液または汗で4倍以上に希釈後、遅れて、例えば1秒以上、1〜180秒、1〜60秒または1〜10秒で沈殿を形成する上記組成物のいずれか。
1.18.遅れて沈殿を提供するシステインの効果的量、例えば0.09〜0.15%含有する上記組成物のいずれか。
1.19.水または水溶液、例えば唾液または汗で4倍以上に希釈時に沈殿を形成し、沈殿がpH5.5で酸抵抗性である上記組成物のいずれか。
1.20.亜鉛を0.2〜8重量%含有する上記組成物のいずれか。
【0023】
(i)TBZH、アミノ酸原料およびハロゲン化物原料(ハロゲン化物原料は、TBZH、アミノ酸原料またはハロゲン酸の部分であり得る)を液体(例えば水性)媒体中で組み合わせて、必要に応じて固体形態でそのように形成された錯体を単離し、錯体をシステインと組合せる、または(ii)TBZH−AA錯体とシステインとを組合せることを包含する組成物1以下の製造方法を提供する。混合物は、美容的に許容可能なキャリアと必要に応じて組合せてもよい。
【0024】
(i)TBZH−AAまたはTBZH−TAG錯体および(ii)遊離または美容的に許容可能な塩の形態でのシステインを、美容的に許容可能なキャリアと共に、含有する制汗剤またはデオドラント製品である、例えば組成物1以下の範囲のいずれかに従う組成物(組成物2)を提供する。
2.1.使用時に、皮膚に不溶性亜鉛含有錯体を含有する沈殿を提供する組成物2。
2.2.TBZH−AA錯体がTBZC−Lysであり、必要に応じて水和物の形態である組成物2または2.1。
2.3.美容的に許容可能なキャリアが水溶性アルコール(例えばC
2〜8アルコール、具体的にはエチルアルコール);グリコール(例えばプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールおよびそれらの混合物);グリセリド(例えばモノ−、ジ−およびトリグリセリド);中鎖〜長鎖有機酸、アルコールおよびエステル;界面活性剤(例えば、乳化剤または分散剤);付加的なアミノ酸;構造剤(例えば、増粘剤およびゲル化剤、例えばポリマー、シリケートおよび二酸化ケイ素);緩和剤;フレグランス;および着色剤(例えば染料および顔料)から選択される1以上の成分を含有する組成物2、2.1または2.2。
2.4.組成物が制汗剤スティック、エアゾール制汗剤スプレーまたは液体ロールオン制汗剤の形である組成物2、2.2または2.3。
【0025】
また、組成物2以下のいずれかの制汗効果量を皮膚に適応することを含有する発汗を減少する方法、組成物2以下のいずれかのデオドラント効果的量を皮膚に適用することを含む体の臭いを減少する方法、および組成物2以下のいずれかと微生物とを接触することを包含する殺菌方法を提供する。例えば(i)本明細書に包含されまたは特に記載された態様のいずれかの配合、例えば組成物2以下のいずれかを制汗効果量を皮膚に適用することを含有する制汗方法;および(ii)本明細書に包含されまたは特に記載された態様のいずれかの配合、例えば組成物2以下のいずれかをデオドラント効果量を皮膚に適用することを包含する発汗による臭いの制御または皮膚上の細菌を制御する方法を提供する。
【0026】
(i)TBZH−AA錯体および(ii)遊離または美容的に許容可能な塩の形態でのシステインを含有する制汗剤またはデオドラント、例えばTBZC−Lys、システインおよび美容的に許容可能なキャリアを含有する組成物2以下のいずれかを製造する方法を提供する。
【0027】
また、(i)殺菌、制汗および/または体臭の減少のための組成物2以下の使用;および(ii)殺菌、制汗および/または体臭の減少における使用のための組成物2以下のいずれかを提供する。
【0028】
また、制汗薬またはデオドラント配合、例えば組成物2以下の配合の製造におけるシステインの使用を提供する。
【0029】
組成物2以下を製造する際に、TBZH−AAまたはTBZH−TAGおよび遊離または美容的に許容可能な塩の形態のシステインは、適切な美容的に許容可能なベース(例えばわきの下へ適用するために、スティック、ロールオン、スプレーまたはエアゾール)に導入されてもよい。適用後、帯電分子(例えば皮膚にあるタンパク質)存在下に、塩が凝集して発汗をブロックするプラグを形成する。汗からの付加的な水は配合をさらに希釈し、錯体を分解し、システインで錯体化された酸化亜鉛からなる沈殿が得られ、それが上述の汗と臭いを減少し得る。
【0030】
本明細書で使用される用語「制汗剤」は汗を減少するために孔にプラグを形成する製品を一般的に意味し、例えばフード・アンド・ドラッグ・アドミニストレーション(Food and Drug Administration)、21CFRパート350に制汗剤として分類される材料を含む。また、制汗剤はデオドラントでもあってよく、亜鉛が抗菌特性を有し、皮膚上の臭い原因菌を抑制するので、上記組成物の場合特にそうであると理解される。
【0031】
また(i)TBZH−AAまたはTBZH−TAG錯体および(ii)遊離または口腔でまたは美容的に許容可能な塩の形態におけるシステインを、美容的に許容可能なキャリアと共に含有する、液体ハンドソープ、ボディウォッシュ、皮膚ローション、皮膚クリームおよび皮膚コンディショナーから選択されるパーソナルケア用品である組成物(組成物3)、例えば組成物1以下の範囲のいずれかに従うものを提供する。例えば、
3.1.水と使用する時に皮膚に不溶性亜鉛含有沈殿を提供する組成物3。
3.2.TBZH−AAまたはTBZH−TAG錯体を組成物の1〜10重量%で含有する組成物3または3.1。
2.5.TBZH−AA錯体がTBZC−Lysであり、必要に応じて水和物の形態である上記組成物のいずれか。
3.3.組成物に存在する亜鉛の総量が0.1〜8重量%、要すれば0.1〜2または0.1〜1重量%である上記組成物のいずれか。
3.4.システインはシステインハロゲン酸塩(必要に応じてシステイン塩酸塩)である上記組成物のいずれか。
3.5.美容的に許容可能なキャリアが水溶性アルコール(例えばC
2〜8アルコール、具体的にはエチルアルコール);グリコール(例えばプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールおよびそれらの混合物);グリセリド(例えばモノ−、ジ−およびトリグリセリド);中鎖〜長鎖有機酸、アルコールおよびエステル;界面活性剤(例えば、乳化または分散剤);付加的なアミノ酸;構造剤(例えば、増粘剤およびゲル化剤、例えばポリマー、シリケートおよび二酸化ケイ素);緩和剤;フレグランス;および着色剤(例えば染料および顔料)から選択される1以上の成分を含有する上記組成物のいずれか。
3.6.美容的に許容可能なキャリアは1以上のノニオン性界面活性剤、例えばアミンオキシド界面活性剤(例えば、アルキルアミンの脂肪酸アミド、例えばラウラアミドプロピルジメチルアミンオキシド、ミリストアミドプロピルアミンオキシドおよびそれらの混合物)、アルコールアミド界面活性剤(例えば、アルコールアミンの脂肪酸アミド、例えばコカミドMEA(ココモノエタノールアミド))、ポリエトキシル化界面活性剤(例えば、脂肪酸とポリオール(例えば、グリコール、グリセロール、サッカライドまたは糖アルコール)のポリエトキシル化誘導体(例えば、ポリソルベートまたはPEG−120メチルグルコースジオレエート)およびそれらの組合せから選択されるノニオン界面活性剤を含有する上記組成物のいずれか。
3.7.美容的に許容可能なキャリアがアニオン界面活性剤(例えばラウリル硫酸ナトリウムおよびラウリルエーテル硫酸ナトリウムから選択される)を含有する上記組成物のいずれか。
3.8.美容的に許容可能なキャリアが水、アニオン界面活性剤、例えばラウレス硫酸ナトリウム、粘度変性剤、例えばアクリレートポリマー、および双性イオン界面活性剤、例えばコカミドプロピルベタインを含有する上記組成物のいずれか。
3.9.美容的に許容可能なキャリアがアニオン界面活性剤を実質的に有しない上記組成物のいずれか。
3.10.美容的に許容可能なキャリアが水、四級アンモニウム剤(例えば塩化セトリモニウム)、湿潤剤(例えばグリセリン)およびノニオン界面活性剤(例えば、アミンオキシド界面活性剤(例えば、ラウラアミドプロピルジメチルアミンオキシド、ミリストアミドプロピルアミンオキシドおよびそれらの混合物)、アルコールアミド界面活性剤(例えば、コカミドMEA(ココモノエタノールアミド))、ポリエトキシレート界面活性剤(例えばPEG−120メチルグルコースジオレエート)およびそれらの組合せから選択されるもの)を含有する上記組成物のいずれか。
3.11.美容的に許容可能なキャリアは、抗菌的に効果的量の非亜鉛抗菌剤(例えばトリクロサン、トリクロカルバン、クロロキシレノール、ハーブの抽出物および精油(例えばローズマリー・エキス、お茶エキス、マグノリア・エキス、チモール、メントール、オイカリプトール、ゲラニオール、カルバクロール、シトラール、ヒノキトール、カテコール、サリチル酸メチル、エピガロカテキン没食子酸、エピガロカテキン、没食子酸)から選択される抗菌剤)、ビスグアニド消毒剤(例えば、クロルヘキシジン、アレキシジンまたはオクテニジン)および第四級アンモニウム化合物(例えば、塩化セチルピリジニウム(CPC)、塩化ベンザルコニウム、塩化テトラデシルピリジニウム(TPC)、塩化N−テトラデシル−4−エチルピリジニウム(TDEPC));およびそれらの組合せ;たとえば抗菌的に効果的量の塩化ベンザルコニウムを含有する上記組成物のいずれか。
3.12.少しアルカリ性pHを有する上記組成物のいずれか。
3.13.上記組成物のいずれかは、以下の成分を含有する:
【表1】
【0032】
また、細菌を抗菌的に効果的量のTBZH−AA/cys錯体、例えば組成物3以下のいずれかに接触することを含有する殺菌方法、例えば抗菌的に効果的量のTBCH−AAおよびシステイン(例えば、組成物3以下のいずれか)と水による皮膚を洗うことを含有する局所の皮膚感染症(例えば、黄色ブドウ球菌および/または化膿レンサ球菌による感染症)の発生を治療または減少する方法、並びにニキビの発生を治療または減少する方法を提供する。
【0033】
また、(i)TBZH、アミノ酸原料およびハロゲン化物原料(ハロゲン化物原料はTBZH、アミノ酸原料またはハロゲン酸、例えば塩酸の一部であってもよい。)を液体(例えば水性)媒体中で組合せ、要すれば形成された錯体を固体状態で単離し、錯体をシステインと組合せることを含有するか、または(ii)TBZH−AAまたはTBZH−TAG錯体をシステインと組合せることを含有する、(i)TBZH−AAまたはTBZH−TAG錯体および(ii)遊離であるか美容的に許容可能なシステインを含有するオーラルケア組成物、例えば組成物3以下のいずれかを製造する方法を提供する。TBZH−AAまたはTBZH−TAG錯体およびシステインは、美容的に許容可能なキャリアと組み合わせられる。また(i)殺菌、例えば細菌からの皮膚保護または洗浄時の視覚的シグナルの提供のためのTBZH−AAまたはTBZH−TAG錯体とシステイン(例えば、組成物1以下)の使用;(ii)殺菌、皮膚保護または洗浄時の視覚的シグナルの提供のためのTBZH−AAまたはTBZH−TAGとシステインの組成物(組成物1以下)の製造における使用;および(iii)殺菌、皮膚保護または洗浄時の視覚的シグナルの提供のための使用についてのTBZHおよびシステイン、例えば組成物1以下のいずれかを提供する。
【0034】
例えば、1つの態様において、TBZH−AAまたはTBZH−TAG錯体とシステインは界面活性剤および必要に応じて塩化ベンザルコニウムを含有する従来の市販の液体ハンドソープ(LHS)配合に導入される。塩は配合と適合性を有するので、透明な溶液を形成する。しかしながら、希釈時に組合せは白い沈殿をすぐに形成する。従って、界面活性剤ベース中のTBZH−AA錯体およびシステインは、洗浄方法の視覚的/感覚的きっかけを提供し得る。システインで安定化されたZnOからなる沈澱は皮膚上に沈着して、LHSの抗菌効果を増す。
【0035】
また、(i)TBZH−AAまたはTBZH−TAG錯体および(ii)システインを遊離またはか口腔で許容可能な塩の形態で、口腔で許容可能なキャリアと共に含有する(例えば、組成物1以下の範囲のいずれかに従う)オーラルケア製品(例えば、歯磨剤またはマウスリンス)である組成物(組成物4)が提供される。例えば、
4.1.水存在下に歯に適用時に、不溶性亜鉛含有錯体を歯に提供する歯磨剤の形での組成物4。
4.2.TBZH−AA錯体が亜鉛を効果的量、例えば0.5〜4重量%、例えば1〜3重量%の量で存在し、かつ口腔で許容可能なキャリアが歯磨剤ベースである歯磨剤の形の組成物4または4.1。
4.3.TBZH−AA錯体がTBZC−Lysであり、必要に応じて水和物の形態である上記組成物のいずれか。
4.4.口腔で許容可能なキャリアが研磨剤(例えば、シリカ研磨材の効果的量、例えば10〜30%、例えば20%)を含有する歯磨剤ベースである歯磨剤の形の組成物4〜4.2のいずれか。
4.5.TBZH−AAまたはTBZH−TAG錯体が亜鉛を効果的量、例えば0.2〜8重量%で存在する上記組成物のいずれか。
4.6.システインがシステインハロゲン酸塩(必要に応じてシステイン塩酸塩)である上記組成物のいずれか。
4.7.更にフッ化物イオン源を効果的量(例えば、フッ化物500〜3000ppmを提供する量)で含有する上記組成物のいずれか。
4.8.更に効果的量のフッ化物を含有し、例えばフッ化物がフッ化第一スズ、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フルオロ珪酸ナトリウム、フルオロケイ酸アンモニウム、アミンフッ化物(例えば、N’−オクタデシルトリメチレンジアミン−N,N,N’−トリス(2−エタノール)−ジヒドロフルオライド)、フッ化アンモニウム、フッ化チタン、ヘキサフルオロスルフェートおよびそれらの組合せから選択された塩である上記組成物のいずれか。
4.9.湿潤剤、例えばグリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、キシリトールおよびそれらの混合物から選択される湿潤剤を含有し、例えばグリセリンを少なくとも20%、例えば20〜40%、例えば25〜35%を含有する前記組成物のいずれか。
4.10.1以上の界面活性剤、例えばアニオン、カチオン、双性イオン、ノニオン界面活性剤およびそれらの混合物から選択された界面活性剤、例えばアニオン界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウムおよびそれらの混合物から選択される界面活性剤)を、例えば0.3〜4.5重量%、例えばラウリル硫酸ナトリウム(SLS)を1〜2%の量で含有し、および/または双性イオン界面活性剤、例えばベタイン界面活性剤、例えばコカミドプロピルベタインを、例えば0.1〜4.5重量%、例えばコカミドプロピルベタイン0.5〜2%の量で含有する上記組成物のいずれか。
4.11.更に1以上のポリサッカライドガム、例えばキサンタンガムまたはカラギーナン、シリカ増粘剤およびそれらの組合せの粘性変性量を含有する前記組成物のいずれか。
4.12.ガムストリップまたはフラグメントを含有する前述の組成物のいずれか。
4.13.香味料、フレグランスおよび/または着色剤を更に含有する前述の組成物のいずれか。
4.14.効果的量の1以上の抗菌剤(例えばハロゲン化されたジフェニルエーテル(例えばトリクロサン)、ハーブの抽出物および精油(例えば、ローズマリー・エキス、お茶エキス、マグノリア・エキス、チモール、メントール、オイカリプトール、ゲラニオール、カルバクロール、シトラール、ヒノキトール、カテコール、サリチル酸メチル、エピガロカテキン没食子酸、エピガロカテキン、没食子酸、ミスワク抽出物、シーバックソーン抽出物)、ビスグアニド消毒剤(例えば、クロルヘキシジン、アレキシジンまたはオクテニジン)、第四級アンモニウム化合物(例えば、セチルピリジニウム塩化物(CPC)、塩化ベンザルコニウム、塩化テトラデシルピリジニウム(TPC)、塩化N−テトラデシル−4−エチルピリジニウム(TDEPC))、フェノール消毒剤、ヘキセチジン、オクテニジン、サンギナリン、ポビドンヨード、デルモピノール、サリフラワー、金属イオン(例えば、亜鉛塩、例えばクエン酸亜鉛、スズ(II)塩、銅塩、鉄塩)、サンギナリン、プロポリスおよび酸化剤(例えば、過酸化水素、緩衝ナトリウム過ホウ酸塩または過酸化炭酸塩)、フタール酸およびその塩、モノパーサル酸およびその塩およびエステル、アスコルビルステアレート、オレオイルサルコシン、硫酸アルキル、ジオクチルスルホサクシネート、サリチルアニリド、臭化ドミフェン、デルモピノール、オクタピノールおよび他のピペリジノ誘導体、ナイシン調製、亜塩素酸塩;および上記のいずれかの混合物を含油する;例えば、トリクロサンまたはセチルピリジニウム塩化物を含有する上記組成物のいずれか。
4.15.抗菌的に効果的量のトリクロサンを例えば0.1〜0.5%、例えば0.3%の量で含有する上記組成物のいずれか。
4.16.更にホワイトニング剤、例えば過酸化物、金属亜塩素酸塩、過ホウ酸塩、過炭酸塩、ペルオキシ酸、ヒポクロリットおよびそれらの組合せからなる群から選択されたホワイトニング剤を含有する前記組成物のいずれか。
4.17.更に過酸化水素または過酸化水素源(例えば、過酸化尿素または過酸化物塩または錯体、例えば過酸化リン酸塩、過酸化炭酸塩、過ホウ酸塩、過酸化シリケートまたはペルサルフェート塩;例えば、過酸化リン酸カルシウム、過ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム過酸化物、過酸化リン酸ナトリウムおよび過硫酸カリウム)を含有する前記組成物のいずれか。
4.18.更に細菌付着を阻害または防止する薬剤(例えば、ソルブロールまたはキトサン)を含有する前記組成物のいずれか。
4.19.更に(i)カルシウムガラス錯体(例えば、カルシウムナトリウムホスホシリケート)および(ii)カルシウムタンパク質錯体(例えば、カゼインホスホペプチドアモルファスリン酸カルシウムから選択されるカルシウムおよびリン酸塩の原料を含有する前記組成物のいずれか。
4.20.更に可溶性カルシウム塩、例えば硫酸カルシウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、酢酸カルシウム、乳酸カルシウムおよびそれらの組合せから選択された可溶性カルシウム塩を含有する前述の組成物のいずれか。
4.21.更に生理的にまたは口腔的に許容可能なカリウム塩(例えば、硝酸カリウムまたは塩化カリウム)を象牙質の知覚過敏を減少する効果的量で含有する前記組成物のいずれか。
4.22.アニオン性ポリマー、例えば合成アニオン性重合ポリカルボキシレートを更に含有し、例えば上記アニオン性ポリマーがマレイン酸無水物または酸と別の重合性エチレン性不飽和単量体との1:4〜4:1の共重合体から選択され;例えば、アニオン性ポリマーが平均分子量(M.W.)30,000〜1,000,000(例えば300,000〜800,000)のメチルビニルエーテル/無水マレイン酸(PVM/MA)共重合体であり、例えばアニオン性ポリマーが組成物重量の1〜5%で含有する上記組成物のいずれか。
4.23.更にブレスフレッシュナー、フレグランスまたは香味料を含有する前記組成物のいずれか。
4.24.組成物のpHが7〜11、または9〜11、又は8〜10または8〜9である上記組成物のいずれか。
4.25.アミノ酸がリシンであり、TBZCとリシンが亜鉛アミノ酸ハロゲン化物錯体を形成し、亜鉛を0.1〜8重量%、例えば0.5重量%の量で、更に湿潤剤(例えば、ソルビトール、プロピレングリコールおよびそれらの混合物)を45〜65%、例えば50〜60%の量で、増粘剤、例えばセルロース誘導体、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)、トリメチル・セルロース(TMC)とそれらの混合物から選択されて、0.1〜2%の量で、甘味料および/または香味料、および水、例えば以下の表の成分を含有するオーラルゲルである上記組成物のいずれか、
【表2】
4.26.エナメル質の酸性の浸食の減少および防止、歯のクリーニング、細菌的に発生するバイオフィルムとプラークの減少、歯肉炎の減少、う歯および虫歯の形成の防止、象牙質の知覚過敏の減少をする使用のための上記組成物のいずれか。
【0036】
また、効果的量の組成物、例えば組成物4以下のいずれかを歯に適用し、および要すれば水または水溶液で不溶性亜鉛含有沈殿の沈殿を起こすのに十分リンスすることを含有する、エナメル質の酸性の浸食の減少および防止、歯のクリーニング、細菌的に発生するバイオフィルムとプラークの減少、歯肉炎の減少、う歯および虫歯の形成の防止、象牙質の知覚過敏の減少をするための方法を提供する。
【0037】
また(i)TBZH、アミノ酸原料および塩化物原料(塩化物原料は亜鉛イオン原料、アミノ酸原料または塩酸塩の一部であってもよい。)を液体(例えば水性)媒体中で組合せ、要すれば形成された錯体を固体状態で単離し、錯体をシステインと組合せることを含有するか、または(ii)TBZH−AA錯体をシステインと組合せることを含有する、(i)TBZH−AAまたはTBZH−TAG錯体および(ii)遊離であるか美容的に許容可能なシステインを含有するオーラルケア組成物、例えば組成物4以下のいずれかを製造する方法を提供する。TBZH−AAまたはTBZH−TAG錯体とシステインは、オーラルケアベース(例えば、歯磨剤またはマウスウォッシュベース)と組み合わせられ得る。
【0038】
例えば、種々の態様では、(i)歯の知覚過敏を減らし、(ii)プラーク蓄積を減らし、(iii)歯の脱ミネラル化を防止し歯の再ミネラルを促進し、(iv)口腔で微生物バイオフィルム形成を抑制し、(v)歯肉炎を減少または防止し、(vi)口中で痛い所または傷の治癒を促進し、(vii)酸産生菌のレベルを減少し、(viii)非う蝕性および/または非プラーク形成性細菌の相対的なレベルを増加し、(ix)歯の虫歯の形成を減少または抑制し、(x)例えば、量的光誘導蛍光(quantitative light−induced fluorescence;QLF)または電気虫歯測定(electrical caries measurement;ECM)により検出されるエナメル質の不安定な病変を減少、修復または抑制し、(xi)ドライマウスを治療、軽減または減少し、(xii)歯と口腔をクリーニングし、(xiii)浸食を減少し、(xiv)歯を白くし;(xv)歯石形成を減少し、および/または(xvi)必要とする人の口腔に上記の組成物4以下のいずれかを、例えば1日1回以上適用することを包含して、口腔筋肉を介する全身疾患の潜在性を減少することにより、心血管健康状態を含む全身の健康状態を向上する方法を提供する。また、これらの方法のいずれかに用いられる組成物4以下が提供される。
【0039】
また、オーラルケア組成物、例えば組成物4以下のいずれかの製造における(i)TBZH−AAまたはTBZH−TAG錯体および(ii)遊離または口腔で許容可能な塩の形態のシステインの使用を提供する。
【0040】
また、歯のエナメル質の酸浸食の減少および防止、歯のクリーニング、細菌産生バイオフィルムおよびプラークの減少、歯肉炎の減少、う歯および虫歯の形成の抑制、および/または象牙質の知覚過敏の減少のための、(i)TBZH−AAまたはTBZH−TAG錯体および(ii)遊離または口腔で許容可能な塩の形態のシステインの使用を提供する。
【0041】
また、TBZH−AA錯体を安定させるため遊離または口腔で許容可能な塩の形態のシステインの使用を提供する。1つの態様では、TBZH−AAまたはTBZH−TAG錯体は、前駆体を水溶液に混合することによって室温で調製される。その場の形成は配合の容易性を提供する。前駆体は、塩を形成していなければならない第1の代わりに使用されることができる。別の態様では、前駆体から塩の形成を許容する水は、使用時に組成物と接触する水(例えば、その用途に基づいて、洗浄水、唾液または汗)から来る。
【0042】
本明細書中の種々の亜鉛塩および錯体のモルまたは重量%の数値は特定塩または錯体の形態に基づいて変化し得るので、我々はしばしば配合中の総亜鉛の量を、その塩または錯体の形態に無関係に、重量またはモル量で述べる。ある態様では、組成物中の亜鉛の総量は、組成物の0.05〜8重量%である。他の態様では、亜鉛の総量は、少なくとも0.1、少なくとも0.2、少なくとも0.3、少なくとも0.4、少なくとも0.5または少なくとも1、組成物の最大8重量%である。他の態様では、組成物の亜鉛の総量は、5未満、4未満、3未満、2未満、または1未満で組成物の0.05重量%までである。例えば、ある態様では、組成物中の亜鉛の総量は2〜3%、または1%でもよい。
【0043】
ある種の態様では、組成物は無水である。無水によって、水が5重量%未満、必要に応じて4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5未満、0〜0.1の水である。無水組成物で提供される時は、TBZH−AA錯体の前駆体(例えば、TBZCおよびリシン塩酸塩)は大きく反応しない。十分な量の水に接触される時、前駆体は反応して所望の塩、例えばTBZC−Lysを形成し、それが使用時に更に希釈されるときに皮膚または歯上に所望の沈殿を形成する。
【0044】
アミノ酸:TBZH−AA錯体中のアミノ酸は、塩基性アミノ酸であり得る。「塩基性アミノ酸」とは、天然由来の塩基性のアミノ酸、例えばアルギニン、リシンおよびヒスチジン、並びに分子中にカルボキシル基およびアミノ基を有するいずれかの塩基性のアミノ酸で、水溶性で、pH7以上で水溶液を与えるものを意味する。従って、塩基性アミノ酸は、アルギニン、リシン、シトルリン、オルニチン、クレアチン、ヒスチジン、ジアミノブタン酸、ジアミノプロプリオン酸、それらの塩類またはそれらの組合せを含むが、これらに限定されるものではない。特定の態様では、塩基性アミノ酸はリシンである。亜鉛アミノ酸ハロゲン化物錯体を製造するのに用いられる塩基性アミノ酸は、通常、ハロゲン酸付加塩(例えば、塩酸塩)の形で提供される。
【0045】
組成物はまた、システインを遊離または口腔でまたは美容的に許容可能な塩の形態で含有する。「口腔でまたは美容的に許容可能な塩の形態」とは、提供される濃度で口腔または皮膚のそれぞれに投与しても安全であり、亜鉛の生物活性を邪魔しない塩の形態を意味する。特定の態様では、システインは遊離形態で投与される。本明細書中で配合中のアミノ酸の量が重量で与えられる場合はいずれも、重量は、別途指示しない限り、遊離酸の重量について一般的に提供される。一つの態様では、システイン塩は酸、例えばシステインハロゲン酸塩(例えばシステイン塩酸塩)である。
【0046】
口腔でまたは美容的に許容可能なキャリアを含有する組成物において、キャリアはTBZH−AAまたはTBZH−TAG錯体(前駆体を含む)およびシステイン以外の組成物中のすべての他の材料を言う。従って、キャリアの量は、TBZH−AAまたはTBZH−TAG錯体(前駆体を包む)およびタンパク質の重量に付加されることによって100%になる量である。「口腔で許容可能なキャリア」とは、例えば歯磨剤またはマウスリンスにおいて提供される量と濃度においての使用において安全であるとして一般的に認識される成分を含有するオーラルケア製品における使用について適当なキャリアを意味する。「美容的に許容可能なキャリア」とは、例えば液体ハンドソープまたはボディウォッシュ、または制汗剤製品において提供される量と濃度においての使用において安全であるとして一般的に認識される成分を含有する皮膚上に局所的使用のための製品の使用について適当なキャリアを意味する。従って、組成物に用いられる添加剤は、米国食品医薬品局(United States Food and Drug Administration)による「安全と一般的に認識される(Generally Recognized as Safe)」(GRAS)添加剤を包含し得る。
【0047】
パーソナルケア配合:
従って、「美容的に許容可能なキャリア」という用語は、本明細書に定義するように錯体の効果的量の適切な分配を提供し、亜鉛の生物活性の効果を邪魔せず、皮膚への局所的投与に適切で無毒性であるいずれかの配合またはキャリア媒体を意味する。代表的キャリアは、水、油、野菜とミネラル両方、石鹸ベース、クリームベース、ローションベース、軟膏ベース等、特に水性洗剤キャリア、例えば液体ハンドソープまたはボディウォッシュを包含する。1つの態様では、水性石鹸ベースはアニオン界面活性剤を含まないか、1パーセント未満で含有する。別の態様では、美容的に許容可能なキャリアは、局所的に許容可能な第四級アンモニウム化合物を含む。それらは、活性剤の生物活性の効果に過度に干渉せずかつ受容者または患者に十分に無毒性である薬配合の分野で既知または使用される、緩衝剤、防腐剤、抗酸化剤、フレグランス、乳化剤、染料および添加剤を更に包含してもよい。局所配合のための添加剤は、当業者に周知であり、それらが上皮細胞またはそれらの機能に薬理学的に許容されかつ有害でない限り、局所組成物に添加されてもよい。更に、それらは組成物の安定性の劣化を引き起こしてはならない。例えば、不活性充てん剤、抗刺激剤、粘着付与剤、添加剤、フレグランス、乳白剤、抗酸化剤、ゲル化剤、安定剤、界面活性剤、緩和剤、着色剤、防腐剤、緩衝剤および他の局所配合の従来の成分が当業者に既知である。
【0048】
ある場合において、パーソナルケア組成物は亜鉛リシン錯体がエマルションの水相にある場合に、水溶性でなく、エマルション系に分配され得る油またはモイスチャライザーを含有する。エマルジョン配合のための界面活性剤は、ノニオン性界面活性剤の組合せ、例えば:(i)例えばHLB8以下を有する親油性界面活性剤、例えばソルビタン脂肪酸エステル、例えばソルビタンオレエート、例えばソルビタンセスキオレエート;および(ii)例えばHLB8以上を有する親水性界面活性剤、特にa.ジ−またはトリ−アルカノールアミン、例えばトリエタノールアミン);b.ポリエトキシル化界面活性剤、例えばポリエトキシル化アルコール(特にポリエトキシル化ポリオール)、ポリエトキシル化植物油およびポリエトキシル化シリコーン、例えばポリソルベート80、ジメチコンポリエチレンオキシドおよびジメチルメチル(ポリエチレンオキシド)シロキサンからなる群から選択された1以上の界面活性剤の組合せを含有してもよい。油中水型エマルションでは、界面活性剤混合物の全体的なHLBは好ましくは2〜8、即ち典型的に親油性界面活性剤が高含量で存在するが;一方、水中油型エマルションでは、界面活性剤混合物の全体的なHLBは好ましくは8〜16である。
【0049】
また、パーソナルケア組成物は適切な抗酸化剤、酸化を抑制することが知られている物質を含有してもよい。組成物で使用するために適切な抗酸化剤はブチル化ヒドロキシトルエン、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビックパルミチン酸、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,4,5−トリヒドロキシブチロフェノン、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−fert−ブチルフェノール、エリソルビン酸、グアヤクガム、プロピルガレート、チオジプロピオン酸、チオジプロピオン酸ジラウリル、tert−ブチルヒドロキノンおよびトコフェロール(例えばビタミンE)、これらの化合物の薬理学的に許容される塩類とエステルを包含するもの等などを含むが、これに限定されるものではない。好ましくは、抗酸化剤はブチルオキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、プロピルガレート、アスコルビン酸、薬理学的に許容される塩類またはそれらのエステルまたはそれらの混合物である。最も好ましくは、抗酸化剤はブチル化ヒドロキシトルエンである。これらの材料は、ルガー・ケミカル社(Ruger Chemical Co;ニュージャージー州アーヴィントン)から入手可能である。局所配合が少なくとも1つの抗酸化剤を含むとき、存在する抗酸化剤の総量は0.001〜0.5重量%、好ましくは0.05〜0.5重量%、より好ましくは0.1%である。
【0050】
また、パーソナルケア組成物は、適切な防腐剤を含有してもよい。防腐剤は、配合に加えられて抗菌剤の働きをする化合物である。非経口配合において効果的で許容可能な当業者に既知の防腐剤の中で、塩化ベンザルコニウム、ベンゼトニウム、クロロヘキシジン、フェノール、m−クレゾール、ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロロブタノール、o−クレゾール、p−クレゾール、クロロクレソール、フェニル水銀(II)ニトラート、チメロサール、安息香酸およびそれらの種々の混合物が挙げられる。局所配合が少なくとも1つの防腐剤を含む時、存在する防腐剤の総量は0.01〜0.5重量%、好ましくは0.1〜0.5重量%、より好ましくは0.03〜0.15重量%である。
【0051】
また、パーソナルケア組成物は脂質二分子膜を横切らない金属カチオンと錯体を形成する適切なキレート化剤を含有してもよい。適切なキレート化剤の例としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレングリコール−ビス(β-アミノエチルエーテル)−N,N,N’,N’−四酢酸(EGTA)、および8−アミノ−2−[(2−アミノ−5−メチルフェノキシ)メチル]−6−メトキシキノリン−N
5N,N’,N’−四酢酸、四カリウム塩(QUIN−2)。好ましくは、キレート化剤はEDTAおよびクエン酸である。これらの材料は、スペクトラムケミカルズ(Spectrum Chemicals)から入手可能である。局所配合が少なくとも1つのキレート化剤を含む時、存在するキレート化剤の総量は0.005%〜2.0重量%、好ましくは0.05%〜0.5重量%、より好ましくは0.1重量%である。キレート化剤が、例えば亜鉛と結合して、亜鉛錯体を邪魔しないことに気を付けなければならないが、試験された組成では低レベルのEDTAは問題を示さなかった。
【0052】
また、パーソナルケア組成物は、配合のpHを適切な範囲(例えば、pH6〜8またはほぼ中性pH)に調節して保持するために、適切なpH調整剤および/または緩衝剤を含有してもよい。
【0053】
また、パーソナルケア組成物は適切な粘性増加剤を含有してもよい。これらの成分は、粘性増加剤とポリマーとの相互作用を通して、ポリマー含有溶液の粘度を増加し得る拡散性の化合物である。CARBOPOL ULTREZ 10は粘性増加剤として使用されてもよい。これらの材料は、オハイオ州クリーブランドのルブリゾール(Lubrizol)から入手可能である。局所配合が少なくとも1つの粘性増加剤を含む時、存在する粘性増加剤の総量は0.25%〜5.0重量%、好ましくは0.25%〜1.0重量%およびより好ましくは0.4%〜0.6重量%である。
【0054】
液体状態(例えば局所投与のために適切であり美容的な用途に適当なローション)は、適切な水性または非水系のビヒクルを緩衝剤、懸濁および分配剤、増粘剤、侵入促進剤等と共に包含してもよい。クリームまたはペーストまたはその種の他のもののような固体の形態は、例えば、以下の成分、水、油、アルコールまたはグリースを基材として、界面活性剤、ポリマー(例えばポリエチレングリコール)、増粘剤、固体等と共に包含してもよい。液体または固体配合は、増大分配技術、例えばリポソーム、ミクロソーム、マイクロスポンジ等を包含してもよい。
【0055】
局所の治療計画は、組成物を直接皮膚に適用部位で1日1〜数回適用して、水で洗浄して酸化亜鉛を皮膚上に沈殿する。
【0056】
配合は細菌感染症、ニキビ、炎症などと関連した状態または症状を治療、改善または予防するのに使用され得る。
【0057】
オーラルケア配合:
オーラルケア組成物(例えば、組成物4以下)はTBZH−AA錯体を含みまたは加えて、エナメル質および歯構造の強さと完全性を保護および向上し、および/またはう歯および/または歯肉病に付随する細菌を減らすために活性である種々の薬剤を含有してもよい。本明細書に用いられる活性成分の有効濃度は、使用される特定の薬剤と使用される分配システムに依存する。練り歯磨きは、例えば典型的には使用時に水で希釈されるが、マウスリンスは典型的には希釈されないと理解される。従って、練り歯磨きの活性剤の有効濃度はマウスリンスのために必要である量より通常5〜15x高い。また、濃度は選択される実際の塩またはポリマーにも依存する。例えば、活性剤が塩の形態で提供される場合、対イオンは塩の重量に影響を及ぼすので、対イオンが重いならば、より重い重量の塩が最終製品で活性イオンの同じ濃度を提供するために必要となる。アルギニンは、それが存在する場合、消費者練り歯磨きでは0.1〜20重量%(遊離塩基の重量として表される)、例えば1〜10重量%、または専門家または処方箋治療製品では7〜20重量%のレベルで存在してもよい。フッ化物、それが存在する場合、消費者練り歯磨きでは25〜25,000ppm、例えば750〜2,000ppmであり、または専門家または処方箋治療製品では2,000〜25,000ppm)のレベルで存在してもよい 。抗菌剤のレベルは、同様に異なり、練り歯磨きでのレベルは洗口液で使用されるレベルより例えば5〜15倍高い。例えば、トリクロサン練り歯磨きはトリクロサン0.3重量%を含んでもよい。
【0058】
オーラルケア組成物は、1以上のフッ化物イオン源(例えば、可溶性フッ化物塩)をさらに包含してもよい。多種多様なフッ化物イオン生成材料が、本発明の組成物の可溶性フッ化物の原料として使用されることができる。代表的なフッ化物イオン源は、フッ化第一スズ、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フルオロ珪酸ナトリウム、フルオロケイ酸アンモニウム、フッ化アミン、フッ化アンモニウムおよびその組合せを含むが、これに限定されるものではない。特定の態様では、フッ化物イオン源は、フッ化第一スズ、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウムならびにそれらの混合物を包含する。ある種の態様では、オーラルケア組成物はまた、フッ化物イオン原料またはフッ素−供給成分をフッ化物イオン25ppm〜25,000ppm、一般的に少なくとも500ppm、例えば500〜2000ppm、例えば1000〜1600ppm、例えば1450ppm供給するのに十分な量で含有してもよい。フッ化物の適切なレベルは、特定の適用に依存する。一般的な消費者用練り歯磨きは一般的に1000〜1500ppmを有し、小児用練り歯磨きはそれよりいくぶん少ない。専門用歯磨剤またはコーティングは、フッ化物を5,000ppmほど多くて、25,000ppm含有してもよい。フッ化物イオン原料は、一つの態様では0.01重量%〜10重量%、または0.03重量%〜5重量%で、他の態様では組成物の重量で0.1重量%〜1重量%のレベルで組成物に加えられてもよい。フッ化物イオンの適切なレベルを提供するためのフッ化物塩の重量は、明らかに、塩における対イオンの重量に基づいて変化する。
【0059】
研磨剤:オーラルケア組成物(例えば組成物4以下)はシリカ研磨剤を包含してもよくて、かつ付加的な研磨剤、例えばリン酸カルシウム研磨剤、例えばリン酸トリカルシウム(Ca
3(PO
4)
2)、ヒドロキシアパタイト(Ca
10(PO
4)
6(OH)
2)、または二水和リン酸二カルシウム(CaHPO
4・2H
2O、また時々本明細書ではDiCalと呼ぶ。)またはピロリン酸カルシウム;炭酸カルシウム研磨剤;または研磨剤(例えばメタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、アルミニウムシリケート、焼成アルミナ、ベントナイトまたは他の珪酸材料またはそれらの組合せ)を含有してもよい。
【0060】
本明細書で一般に有用なシリカ研磨剤量並びに他の研磨剤は一般的に平均粒子径0.1〜30ミクロン、5〜15ミクロンを有する。特定のシリカキセロゲルは、商品名SyloidでW.R.グレース・アンド・コ、デイビソン・ケミカル・ディビジョンによって市販されている。沈殿シリカ材料は、J. M.ヒューバー社(Huber Corp.)によって商品名Zeodentの名前で市販されているもの、例えばZeodent115および119を有するシリカを含む。ある種の態様に、オーラルケア組成物の実施において有用な研磨剤材料は、給油価100cc/100gシリカ未満、45cc/100gシリカ〜70cc/100gシリカを有するシリカゲルおよび沈降アモルファスシリカを包含する。吸油価はASTA Rub−Out Method D281を使用して測定される。ある種の態様では、シリカは3ミクロン〜12ミクロンおよび5〜10ミクロンの平均粒子径を有するコロイダル粒子である。特に組成物に有用な低い吸油量シリカ研磨材は、メリーランド州21203ボルチモアのW.R.グレース・アンド・コ(W.R. Grace&Co.)のデイビソン・ケミカル・ディビジョンによって取引指定Sylodent XWAの下で上市されている。Sylodent 650 XWA、含水率29重量%、平均直径7〜10ミクロンおよび吸油値70cc/100gシリカ未満を有するコロイダルシリカの粒子からなるシリカヒドロゲルは、組成物に有用な低い吸油量シリカ研磨材の例である。
【0061】
起泡剤:また、オーラルケア組成物は、口腔がブラッシングされるときに得られる泡の量を増大する薬剤を包含してもよい。泡の量を増大する薬剤の例示は、ポリオキシエチレンおよびアルギン酸ポリマーを含むある種のポリマーを包含するが、これらに限定されない。ポリオキシエチレンは、組成物のオーラルケアキャリア成分によって発生する泡の量および泡に厚さを増加し得る。また、ポリオキシエチレンはポリエチレングリコール(「PEG」)またはポリエチレンオキシドとして一般に知られている。この組成物に適切なポリオキシエチレンは、分子量200,000〜7,000,000を有する。1つの態様では、分子量は600,000〜2,000,000であり、別の態様では800,000〜1,000,000である。ポリオックスは、ユニオンカーバイドによって製造される高分子量ポリオキシエチレンの商品名である。ポリオキシエチレンは、オーラルケア組成物のオーラルケアキャリア成分を1%〜90%、1つの態様では5%〜50%および別の態様では10重量%〜20重量%の量で存在してもよい。存在する場合、オーラルケア組成物の起泡剤の量(すなわち、単一のドース)は0.01〜0.9重量%、0.05〜0.5重量%、および別の態様では0.1〜0.2重量%である。
【0062】
界面活性剤:組成物は、アニオン性、カチオン性、ノニオン性および/または、双性イオン界面活性剤を含んでもよい。
i. 高級脂肪酸モノグリセリドモノスフェートの水溶性塩、例えば水添ココナッツオイル脂肪酸のモノスルフェート化モノグリセリドのナトリウム塩、例えばナトリウムN−メチルN−ココイルタウレート、ナトリウムココモノグリセリドスルフェート、
ii. 高級アルキルスルフェート(例えばラウリル硫酸ナトリウム)
iii. 例えば式CH
3(CH
2)
mCH
2(OCH
2CH
2)
nOSO
3X(式中、mは6〜16(例えば、10)、nは1〜6(例えば、2、3または4)およびXはNaまたはKである。)高級アルキルエーテルスルフェート、例えばナトリウム・ラウレス−2スルフェート(CH
3(CH
2)
10CH
2(OCH
2CH
2)
2OSO
3Na))、
iv. 高級アルキルアリールスルホネート、例えばナトリウムドデシルベンゼンスルホネート(ナトリウムラウリルベンゼンスルホネート)
v. 高級アルキルスルホアセテート、例えばナトリウムラウリルスルホアセテート(ドデシルナトリウムスルホアセテート)、1,2ジヒドロキシプロパンスルホスルホネートの高級脂肪酸エステル、スルホコラウレート(N−2−エチルラウレートカリウムスルホアセトアミド)およびナトリウムラウリルサルコシネート)。
【0063】
「高級アルキル」とは、例えばC
6−30アルキルを意味する。特定の態様では、アニオン界面活性剤はラウリル硫酸ナトリウムおよびラウリルエーテル硫酸ナトリウムから選択される。アニオン界面活性剤は、口腔組織を刺激する濃度(例えば、<10%)でなく、効果的である量(例えば、配合の>0.01重量%)で存在してもよく、および最適濃度は特定の配合および特定の界面活性剤に依存する。例えば、マウスウォッシュに使用される濃度は典型的には練り歯磨きに使用した濃度の10分の1のオーダーである。1つの態様では、アニオン界面活性剤は練り歯磨き中に0.3%〜4.5重量%、例えば1.5%で存在する。組成物は要すれば界面活性剤の混合物、例えばアニオン性界面活性剤およびアニオン性、カチオン性、双性イオンまたはノニオン性であってもよい他の界面活性剤を含有する混合物を含んでもよい。通常、界面活性剤は、広いpH範囲でかなり安定であるものである。ある種の態様では、本発明に有用なアニオン界面活性剤は、アルキル基に炭素数10〜18を有するアルキルスルフェートの水溶性塩および炭素数10〜18の有している脂肪酸のスルホン化モノグリセリドの水溶性塩を包含する。ラウリル硫酸ナトリウム、ナトリウムラウロイルサルコシネートおよびナトリウムココナッツモノグリセリドスルホネートは、このタイプのアニオン界面活性剤の例である。特定の態様では、組成物(例えば、組成物4以下)はラウリル硫酸ナトリウムを含有する。
【0064】
界面活性剤または適合性界面活性剤の混合物は、組成物中に重量で0.1〜5%、他の態様では0.3%〜3%および他の態様では全組成物の0.5%〜2重量%で存在してもよい。
【0065】
アニオン界面活性剤がTBZH−AA錯体または亜鉛の活性を邪魔しないことを注意しなければならない。相対的に低レベルおよび比較的低い水配合において、界面活性剤は一般に大きな影響を与えないが、アニオン界面活性剤のより高いレベル、特に水性配合においては、アニオン界面活性剤は除外され得る。カチオン性および/またはノニオン性界面活性剤は代わりに使用されてもよい。
【0066】
歯石コントロール剤:種々の態様では、組成物は抗歯石(歯石コントロール)剤を含有する。適切な抗歯石剤は、非限定的ではあるが、ポリアミノプロパンスルホン酸(AMPS)、ヘキサメタリン酸塩、クエン酸亜鉛三水和物、ポリペプチド、ポリオレフィンスルホネート、ポリオレフィンホスフェートを包含する。そのような歯石コントロール剤は、エナメル質の浸食を減少し、歯の洗浄を補強しおよび/または歯で歯石形成を減らすのに効果的量、例えば組成物の重量の2〜20%(例えば、約5〜15%)の量で提供される 。
【0067】
香料:また、オーラルケア組成物は香味剤を包含してもよい。組成物で使用されることができる香味剤は、精油並びに種々の香味料アルデヒド、エステル、アルコールおよび同様の材料を含むが、これらに限定されるものではない。精油の例としては、スペアミント、ペパーミント、ヒメコウジ、サッサフラス、クローブ、セージ、ユーカリノキ、マヨラナ、シナモン、レモン、ライム、グレープフルーツおよびオレンジの油を包含する。また、化学薬品、例えば メントール、カルボン(carvone)およびアネトールも有用である。ある種の態様は、ペパーミントおよびスペアミントの油を使用する。香味剤はオーラル組成物中に0.1〜5重量%、例えば0.5〜1.5重量%の濃度で導入されてもよい。
【0068】
ポリマー:オーラルケア組成物はまた、配合の粘性を調節しまたは他の成分の溶解性を増すために、付加的なポリマーを包含してもよい。そのような付加的なポリマーは、ポリエチレングリコール、ポリサッカライド(例えば、セルロース誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースまたはポリサッカライドガム、例えばキサンタンガムまたはカラギーナンガム)を包含する。酸性ポリマー(例えばポリアクリレートゲル)は、それらの遊離酸または部分的にまたは完全に中和された水溶性アルカリ金属(例えば、カリウムとナトリウム)またはアンモニウム塩の形で提供されてもよい。
【0069】
高分子構造またはゲルを水性媒体で形成するシリカ増粘剤が存在してもよい。これらのシリカ増粘剤は、組成物に存在する粒子シリカ研磨剤とは、シリカ増粘剤が非常に微細に分割されまたは殆どあるいは全く磨耗作用を提供しないので、物理的におよび機能的に別である点に注目すべきである。他の増粘剤は、カルボキシビニルポリマー、カラギーナン、ヒドロキシエチルセルロースおよびセルロースエーテルの水溶性塩、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウムおよびカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースナトリウムである。また、天然ガム(例えばカラヤゴム、アラビアゴムおよびトラガカントガム)を導入してもよい。また、コロイダル珪酸アルミウニムマグネシウムは、増粘組成物の成分としてさらに組成物のテクスチャーを改善するために使用されてもよい。ある種の態様では、全体組成物の0.5%〜5.0重量%の量の増粘剤が使用される。
【0070】
組成物はアニオン性ポリマーを、例えば0.05〜5%の量において包含してもよい。アニオン性ポリマーの例は、合成アニオン性重合ポリカルボキシレート(例えば無水マレイン酸または無水マレイン酸と別の重合性エチレン性不飽和モノマー、好ましくは分子量30,000〜1,000,000、最も好ましくは300,000〜800,000を有するメチルビニルエーテル/無水マレイン酸の1:4〜4:1の共重合体を包含する。例えば、これらの共重合体は、例えばニュージャージー州08805バウンドブルック(Bound Brook)のISP・テクノロジー・インク(Technologies Inc.から入手可能なGantrez.、AN 139(M.W. 500,000)、AN 119(M.W. 250,000)および好ましくはS―97薬剤(Pharmaceutical)グレード(M.W. 700,000)である。向上剤は、存在時には、0.05〜3重量%の範囲の量で存在する。他の有効なポリマーは無水マレイン酸とアクリル酸エチル、ヒドロキシエチルメタクリレート、N−ビニル−2−ピロリドンまたはエチレンとの1:1の共重合体、あとのものはモンサントEMA No.1103、M.W.10,000およびEMAグレード61として市販され、およびアクリル酸とメチルまたはヒドロキシエチルメタクリレート、メチルまたはエチルアクリレート、イソブチルビニルエーテルまたはN−ビニル−2−ピロリドンとの1:1共重合体のようなものを包含する。一般に適切なものは、活性化炭素−炭素オレフィン系二重結合および少なくとも1つのカルボキシル基を有するオレフィン系またはエチレン系不飽和カルボン酸の重合物、即ちカルボキシル基に関してα−β位または末端メチレン基の一部として分子中に存在する重合機能を容易にするオレフィン系二重結合を有する酸の重合物である。そのような酸の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、α−塩化アクリル酸、クロトン酸、β−アクリルオキシプロピオン酸、ソルビン酸、α−クロルソルビン酸、桂皮酸、β−スチリルアクリル酸、ムコン酸、イタコン酸、シトランコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニット酸、α−フェニルアクリル酸、2−ベンジルアクリル酸、2−シクロヘキシルアクリル酸、アンゲリカ酸、ウンベリ酸、フマル、マレイン酸および無水物が挙げられる。そのようなカルボン酸モノマーと共重合性し得る他の異なるオレフィンモノマーは、ビニルアセテート、塩化ビニル、マレイン酸ジメチルなどを包含する。共重合体は、水溶性のために十分なカルボン酸塩基を含む。高分子剤の別のクラスは、特にポリマーがアクリルアミドアルカンスルホン酸、分子量1,000〜2,000,000を有する2−アクリルアミド2メチルプロパン・スルホン酸から選択された不飽和スルホン酸にポリマーが基づく場合、置換アクリルアミドのホモポリマーおよび/または不飽和スルホン酸および塩類のホモポリマーを含有する組成物を包含する。高分子剤の別の有用なクラスはアニオン性活性アミノ酸、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸およびホスホセリンの部分を含むポリアミノ酸を包含する。
【0071】
オーラル組成物は、かなりのレベルの水を含有してもよい。市販のオーラル組成物の調製に使用される水は、脱イオンされ、有機不純物の無いものでなければならない。組成物中の水の量は、その他の材料と共に導入される量に、添加される自由水を加える。
【0072】
湿潤剤:オーラル組成物のある種の態様の中で、組成物を空気に暴露する時に硬化することを避けるために湿潤剤を導入することも望ましい。また、ある種の湿潤剤は、歯磨剤組成物に所望の甘さまたはフレーバーを与え得る。適切な湿潤剤は、食用多価アルコール、例えばグリセリン、ソルビトール、キシリトール、プロピレングリコール並びに他のポリオールおよびこれらの湿潤剤の混合物を包含する。1つの態様では、主要な湿潤剤はグリセリンであり、それは25%を超える、例えば25〜35%、30%のレベルで、他の湿潤剤は5%以下で存在してもよい。
【0073】
他の任意の成分:上記の成分に加えて、オーラルケア態様は種々の必要な歯磨剤成分を含有してよく、そのいくつかを下記に記載する。任意の成分は、例えば、接着剤、起泡剤(sudsing agent)、香料、甘味料、付加的なアンチプラーク剤、研磨剤および着色剤を包含するが、これらに限定されない。
【0074】
特に明記しない限り、この明細書で付与する組成物成分のすべてのパーセンテージは、100%の総組成物または配合重量に基づく重量である。
【0075】
本明細書に与えられる組成物および配合は、当業者に通常であるように、それらの成分に関して記載され請求される。当業者に明らかであるように、成分はいくつかの例では、互いに反応してよく、そのため最終的な配合の実際の組成物は記載される成分と必ずしも一致しなくてもよい。従って、組成物は製品にリストされた成分の組合せの製品に拡張されると理解すべきである。
【0076】
本明細書中に用いられる範囲は、範囲の中の各値およびすべての値を記載することの短縮形として用いられる。範囲の中のいかなる値も、範囲の終点として選ばれることができる。また、この中のすべての引用文献は、参考として全体が本明細書に導入される。本明細書の定義と引用文献のそれとが矛盾する場合は、本明細書の記載が優先する。
【0077】
特に明記しない限り、本明細書のいずれかの場所でまたは本明細書に記載される%および量は、重量パーセントに関するものと理解されなければならない。与えられる量は、材料の実際の重さに基づく。
【0078】
実施例1
溶液の濁り度の検討:濁り度測定は、タービスキャン(Turbiscan)(フォーミュレーション・インク(Formulaction Inc)、フロリダ州デイビー)によって行われる。この器具の測定は、試料溶液を有するセルを通して光線を発して、溶液を拡散されることなく横切る光子を検出することにより行われる。結果は透過パーセントで示され、透過パーセントが高いとより透明な溶液になり、透過パーセントが減少すると溶液中の沈澱の形成を示す。器具の温度は、37℃にセットされる。濁り度は、この温度で30分間1分の間隔で測定される。すべての希釈物は、測定の前に新たに調製される。
【0079】
以下の実験では、三つの異なる0.5%リシンを有する亜鉛リシン混合溶液を調製する。
【0080】
1)TBZC−Lys−Cys:
リシン7.3g(0.05モル)を脱イオン水50mlに溶解する。このリシン溶液に、TBZC2.8g(0.005モル)を加える。亜鉛/リシン比は1:2である。混合物を室温で週末の間撹拌させる。次いで、未反応TBZCを遠心分離で取り除き、溶液を0.45μm膜で濾過する。上澄みのpHは10.1である。この溶液の19.9gに、システイン粉末0.1gを加え、最終溶液は黄色で透明である。この溶液を室温で24時間養生後濁りを確認する。
【0081】
2)TBZC−LysHCl−Cys:
リシンHCl9.13g(0.05モル)を脱イオン水50mlに溶解する。このリシンHCl溶液に、TBZC2.76g(0.005モル)を加える。亜鉛/リシン比は1:2である。混合物を室温で週末の間撹拌させる。次いで、未反応TBZCを遠心分離で取り除き、溶液を0.45μm膜で濾過する。上澄みのpHは6である。この溶液の19.9gに、システイン粉末0.1gを加える。しかし、白い沈殿が形成され、溶液は透明でなかった。
【0082】
3)ZnCl
2−Lys−Cys
リシン7.3g(0.05モル)を脱イオン水50mlに溶解する。このリシン溶液に、ZnCl
23.4g(0.025モル)を加える。亜鉛/リシン比は1:2である。混合物を室温で週末の間撹拌させる。次いで、未反応ZnCl
2を遠心分離で取り除き、溶液を0.45μm膜で濾過する。上澄みのpHは7である。この溶液の19.9gに、システイン粉末0.1gを加えると白い沈殿が形成され、溶液は透明でなかった。
【0083】
システインアミノ酸をTBZC−LysHClに添加するとすぐに沈殿が生じ、その沈殿は更に溶解しない。TBZC−Lys溶液のみがシステイン添加後透明を維持する。従って、濁り度の検討は、TBZC−LysおよびTBZC−Lys−Cys溶液で行われる。TBZC−LysおよびTBZC−Lys−Cys溶液は両方とも2倍、4倍、8倍、16倍および32倍希釈に希釈する。
【0084】
結果を表Aに示す。TBZC−Lysの2倍溶液は、測定期間中安定である。沈殿はこの溶液を更に4倍に希釈するとすぐに形成される。沈殿の掲載はすぐに起こり、10分後に沈降する。4倍希釈に対する初期透過率%と比べて、即時の沈殿が8倍希釈で観察される。数字が小さいほどより多く沈殿が形成される。8倍希釈における沈殿のより早い沈降(約5分)が観察される。16倍希釈は4倍および8倍希釈と同様の挙動を示すが、より沈殿が多く形成され、より早く沈降する。16倍希釈と比べて、32倍希釈も沈殿をすぐに形成するが、その量は少ない。32倍希釈の透過率%は約35%を維持し、測定時間中は沈降が起こらないことを意味する。
【0085】
システイン0.5%をTBZC−Lys系に添加後、この新しい混合溶液の2倍および4倍は共に30分の側的期間中安定である。8倍希釈、16倍希釈および32倍希釈では即時沈殿が観察される。これらの希釈物はTBZC−Lysと同様の挙動を示すが、形成される沈殿の量は全てシステインの添加が無い溶液より少ない。
【表3】
【0086】
実施例2
以下の実験では、5つの異なるTBZC−リシン−システイン混合溶液を調製する:
【0087】
システイン0.05重量%を有するTBZC−Lys−Cys
リシン7.3g(0.05モル)を脱イオン水50mlに溶解する。このリシン溶液に、TBZC2.8g(0.005モル)を加える。亜鉛/リシン比は1:2である。混合物を室温で4時間撹拌させる。次いで、未反応TBZCを遠心分離で取り除き、溶液を0.45μm膜で濾過する。上澄みのpHは10.1である。この溶液の20gに、システイン粉末0.01gを加え、最終溶液は黄色で透明である。この溶液を室温で24時間養生後濁りを確認する。
【0088】
システイン0.075重量%を有するTBZC−Lys−Cys
リシン7.3g(0.05モル)を脱イオン水50mlに溶解する。このリシン溶液に、TBZC2.8g(0.005モル)を加える。亜鉛/リシン比は1:2である。混合物を室温で4時間撹拌させる。次いで、未反応TBZCを遠心分離で取り除き、溶液を0.45μm膜で濾過する。上澄みのpHは10.1である。この溶液の19.985gに、システイン粉末0.015gを加え、最終溶液は黄色で透明である。この溶液を室温で24時間養生後濁りを確認する。
【0089】
システイン0.09重量%を有するTBZC−Lys−Cys
リシン7.3g(0.05モル)を脱イオン水50mlに溶解する。このリシン溶液に、TBZC2.8g(0.005モル)を加える。亜鉛/リシン比は1:2である。混合物を室温で4時間撹拌させる。次いで、未反応TBZCを遠心分離で取り除き、溶液を0.45μm膜で濾過する。上澄みのpHは10.1である。この溶液の19.982gに、システイン粉末0.018gを加え、最終溶液は黄色で透明である。この溶液を室温で24時間養生後濁りを確認する。
【0090】
システイン0.1重量%を有するTBZC−Lys−Cys
リシン7.3g(0.05モル)を脱イオン水50mlに溶解する。このリシン溶液に、TBZC2.8g(0.005モル)を加える。亜鉛/リシン比は1:2である。混合物を室温で4時間撹拌させる。次いで、未反応TBZCを遠心分離で取り除き、溶液を0.45μm膜で濾過する。上澄みのpHは10.1である。この溶液の19.98gに、システイン粉末0.02gを加え、最終溶液は黄色で透明である。この溶液を室温で24時間養生後濁りを確認する。
【0091】
システイン0.15重量%を有するTBZC−Lys−Cys
リシン7.3g(0.05モル)を脱イオン水50mlに溶解する。このリシン溶液に、TBZC2.8g(0.005モル)を加える。亜鉛/リシン比は1:2である。混合物を室温で4時間撹拌させる。次いで、未反応TBZCを遠心分離で取り除き、溶液を0.45μm膜で濾過する。上澄みのpHは10.1である。この溶液の19.97gに、システイン粉末0.03gを加え、最終溶液は黄色で透明である。この溶液を室温で24時間養生後濁りを確認する。
【0092】
システインの添加時に、システインの量を変えたTBZC−Lys溶液は透明である。この実験に使用した装置および方法は、実施例1に記載したものと同じである。異なるシステインの量を有するTBZC−Lys−Cysの全ての3つの溶液は、2倍、4倍、8倍、16倍および32倍希釈に希釈する。
【0093】
結果
表Bはシステインを0.05%含有する溶液の結果を示す。表から解るように、2倍希釈溶液は20分の測定期間の間安定である。4倍、8倍、16倍32倍希釈で即時沈殿が生じる。4倍希釈サンプルでは、沈殿は非常に早く、4分後にボトルの底に沈降する。8倍希釈の初期透過率%は、4倍希釈と比べて、小さく、より多くの沈殿は形成されていることを暗示する。沈殿の沈降は8倍希釈では6分ごろに完了する。16倍希釈は8倍希釈と同様の挙動を示すが、4倍希釈と8倍希釈の中間の量の沈殿を形成する。更に、16倍希釈は4倍希釈および8倍希釈より沈降率が遅い。16倍希釈と比べて、32倍希釈はまたすぐに沈殿を形成するが、量は少ない。32倍希釈は非常に素早く沈殿を形成し、4分後にはボトルの底に沈降する。
【0094】
表1に見られるように、0.05重量%システインを含む希釈サンプルの初期pHは、9.7〜10.1であるが、希釈の大きいサンプルが一番低いpHを有する。2倍希釈はクリアに見える。残りの希釈物は白い沈殿を含む。表2に見られるように、0.05%システインを含む希釈溶液のpHと汗のpHと同様のpH(約5.5)に変更時に、溶液の透明性に示されるように、すべての溶液で沈殿が溶解する。
【0095】
0.075重量%システインを含む溶液についての表Cに見られるように、2倍希釈は90%で安定である。言い換えると、20分間の測定期間中、2倍希釈は沈殿を形成しない。4倍、8倍、16倍および32倍希釈はすぐに白い沈殿を形成する。4倍希釈は測定期間中連続して沈殿を形成する。4倍希釈の最終の透過率%は24.8%である。8倍、16倍および32倍希釈は20分間非常によく似た挙動を示す。8倍希釈は全てのサンプルの中で初期透過率%18.07%を有し、最も初期沈殿を形成する。時間経過につれ、沈殿は透過率%の上昇で判断されるように、試験管の底に沈降する。16倍希釈は8倍希釈および32倍希釈に対して中間の量の即時沈殿を形成する。時間の経過につれて、16倍希釈および32倍希釈の沈殿は透過率%の増加に見られるように、試験管の底に沈降する。
【0096】
表3に見られるように、システインを0.075重量%含む希釈サンプルの初期pHは、9.66〜10.16の範囲であり、最も希釈サンプルが一番低いpHを示す。希釈サンプルの全てが白い沈殿を含有する。表4に見られるように、0.075%システインを含む希釈サンプルのpHを汗のpHに近いpHに変更時に、希釈物のいずれも沈殿を含まない。
【0097】
表Dに見られるように、0.09重量%システインを含む2倍溶液は、透過率%89%で安定である。言い換えると、20分間の測定期間中、2倍希釈は沈殿を形成しない。4倍、8倍、16倍および32倍希釈はすぐに白い沈殿を形成し、測定期間中同様の挙動を示す。4倍希釈は測定期間中連続して沈殿を形成する。4倍希釈の最終の透過率%は30.59%である。4倍希釈は全てのサンプルの中で最も初期沈殿を形成し、8倍、16倍、32倍希釈とそれぞれこの順に続く。
【0098】
表5に見られるように、システインを0.09重量%含む希釈サンプルの初期pHは、9.8〜10.2の範囲である。希釈サンプルの全てが白い沈殿を含有する。表6に見られるように、0.09%システインを含む希釈サンプルのpHを汗のpHに近いpHに変更時に、希釈物のいずれも沈殿を含まない。
【0099】
表Eは0.1%システインを含む溶液について、2倍希釈および4倍希釈が共に20分間の測定期間中安定であることを示す。即時沈殿は8倍、16倍、および32倍希釈で観察される。8倍希釈は2倍および4倍希釈よりも多くの量の沈殿を形成する。8倍希釈は初期透過率%70%を有し、約7分後から残りの20分間77%を維持する。これは、8倍希釈では約7分後から沈殿を生じていないことを暗示する。16倍希釈は、システインを0.05%含む溶液の8倍および16倍希釈より少ないが、一番多くの沈殿を形成する。32倍希釈もまた、すぐに沈殿を形成するが、その量は16倍希釈より少ない。32倍希釈の透過率%は約65%で一定であり、測定期間中沈殿を生じていないことを意味する。
【0100】
表7に見られるように、システインを0.1重量%含む希釈サンプルの初期pHは、9.70〜10.00の範囲であり、最も希釈されたサンプルが一番低いpHを有する。希釈サンプルの全てが白い沈殿を含有する。表8に見られるように、0.1%システインを含む希釈サンプルのpHを汗のpHに近いpH(約5.5)に変更時に、希釈物の全てに沈殿が存在する。(32倍希釈は、最初沈殿を有していないようにいえるが、溶液を一昼夜放置した後、沈殿が試験管の底に沈降する。)2倍希釈は最も沈殿が多く、希釈の順番に、希釈サンプルの残りが沈殿を減らしていく。
【0101】
表Fは、システインを0.15%含む溶液について、すべての希釈で即時沈殿を形成することを示す。2倍希釈は測定期間中約65.5%透過率%に安定する。8倍と32倍希釈は非常位よく似た初期透過率%を有し、8倍希釈では19.02%であり、32倍希釈では19.97%である。4倍と16倍希釈もよく似た初期透過率%を有し、4倍希釈では25.9%であり、16倍希釈では24.82%である。測定期間中、4倍希釈の透過率%が初期に増加を示すが、約3分後以降、減少する。20分の測定期間終了後、4倍希釈は最低の透過率%を有し、あの後8倍希釈、16倍希釈、次いで32倍希釈、そして最後に2倍希釈が最大の透過率%を有する。
【0102】
表9に見られるように、システインを0.15重量%含む希釈サンプルの初期pHは、9.64〜10.21の範囲である。希釈サンプルの全てが白い沈殿を含有する。表10に見られるように、0.15%システインを含む希釈サンプルのpHを汗のpHに近いpH(約5.5)に変更時に、希釈物の全てが曇った白い沈殿を含むが、32倍希釈は沈殿を殆ど含まない。
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【表18】
【表19】
【0103】
実施例3−マウスウォッシュ配合
活性成分としてTBZC−lys/システインを含むマウスウォッシュを表Iに記載する成分を用いて調製する。
【表20】
【0104】
配合は透明で、安定した溶液を形成することができるが、希釈時に沈澱を形成する。このマウスウォッシュ配合は中性pHを有し37℃で安定で不活性であるが、希釈時に沈殿を形成する。希釈による不溶性沈澱の形成は象牙質細管中で「プラグ(栓)」の形成を許容し、知覚過敏の利点を提供する。
【0105】
実施例4−TBZC−リシンを含有するゲル配合
前述の実施例のマウスウォッシュ配合はより透明な配合と水での希釈時に沈殿を提供する。このユニークな特性は抗敏感および抗キャビティ効果を促進し、練り歯磨き製品に有用である。
【0106】
活性成分としてのTBZC−Lys/システインを有するゲルを、表IIに示される成分を用いて調製する。透明性と希釈による沈殿を評価する。以下のバッチ中の亜鉛イオン濃度は、0.5%(w/w)の亜鉛レベルである。
【表21】
【0107】
ゲルは単独でまたはゲル相と研磨剤ペースト相を有する練り歯磨きの中で使用され得る。練り歯磨き配合のゲル相中の活性成分としてのTBZC−Lys/システイン。希釈による不溶性沈澱の形成は練り歯磨きのこのタイプを使用した後に象牙質細管中で「プラグ」の形成を促進し、さらに、それは消費者での使用中に白い沈殿信号を提供する。
【0108】
実施例6−TBZC−Lys/システインを含有する歯磨剤配合
ZLC/システイン、フッ化物1450ppmおよびリン酸塩を含有するテスト歯磨剤は、以下の通りに調製する:
【表22】