(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6392786
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】エンベロープ追跡型変調器のための改善された共振抑制
(51)【国際特許分類】
H03F 1/02 20060101AFI20180910BHJP
H03F 3/24 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
H03F1/02
H03F3/24
【請求項の数】14
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-555729(P2015-555729)
(86)(22)【出願日】2014年1月31日
(65)【公表番号】特表2016-507190(P2016-507190A)
(43)【公表日】2016年3月7日
(86)【国際出願番号】EP2014051960
(87)【国際公開番号】WO2014118341
(87)【国際公開日】20140807
【審査請求日】2017年1月16日
(31)【優先権主張番号】1301855.1
(32)【優先日】2013年2月1日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】500480274
【氏名又は名称】スナップトラック・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジェラード・ウィンペニー
【審査官】
緒方 寿彦
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2013/115039(WO,A1)
【文献】
米国特許第05543753(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 1/02
H03F 3/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準信号に応じて変調された電源電圧を生成するように構成されたエンベロープ追跡型電源であって、
前記基準信号の低周波数変動を追跡するように構成された第1の経路と、
前記基準信号の高周波数変動を追跡するように構成された第2の経路と、
前記追跡された低周波数変動および高周波数変動に基づいて前記変調された電源電圧を生成するように構成された結合器と、
前記結合器内の共振信号を感知するように構成された感知回路と、
前記感知された信号に応じて共振を制御するように前記第1の経路内の信号を調整するように構成された調整回路と
を備え、
前記調整回路が、前記感知された共振信号を前記第1の経路内の制御信号と結合して調整された制御信号を生成するための別の結合器を備え、
前記第1の経路が、スイッチモード電圧出力を生成するためのスイッチを制御するように構成されたパルス幅変調器を含み、
前記パルス幅変調器が、前記調整された制御信号に応じて変更されるように構成され、
前記スイッチの出力における電流を感知するように構成された電流制御フィードバックループをさらに備え、
前記制御信号が前記感知された電流に応じて生成される、エンベロープ追跡型電源。
【請求項2】
前記感知回路が、前記第1の経路または前記第2の経路内の前記共振信号を感知するように適合される、請求項1に記載のエンベロープ追跡型電源。
【請求項3】
前記感知回路が、結合要素にわたって生じた電圧または前記結合要素内を流れる電流を感知するように構成された回路を備える、請求項1に記載のエンベロープ追跡型電源。
【請求項4】
前記感知回路が、前記結合要素にわたって生じた前記電圧を感知するように構成され、前記感知回路が、2つの入力を有する差動増幅器を備え、前記差動増幅器の1つの入力が前記結合要素の各端子に結合される、請求項3に記載のエンベロープ追跡型電源。
【請求項5】
結合要素がコンデンサを備えた高域結合要素である、請求項3又は4に記載のエンベロープ追跡型電源。
【請求項6】
結合要素が低域結合要素である、請求項3又は4に記載のエンベロープ追跡型電源。
【請求項7】
前記感知回路が前記結合器の低域結合要素内に電流感知増幅器、および前記電流感知増幅器の出力と前記基準信号との間の差を増幅するための差動増幅器を備え、前記第1の経路内の第1の信号が前記差動増幅器の出力に応じて調整される、請求項6に記載のエンベロープ追跡型電源。
【請求項8】
前記パルス幅変調器を制御するように構成された差動増幅器をさらに備え、前記差動増幅器が、前記調整された制御信号に接続された1つの入力、および前記感知された電流に接続されている1つの入力を有する、請求項1に記載のエンベロープ追跡型電源。
【請求項9】
前記基準信号から、前記電流制御フィードバックループを介して感知される電流信号を減算して前記制御信号を生成するように構成された差動結合器をさらに備える、請求項1に記載のエンベロープ追跡型電源。
【請求項10】
前記スイッチの出力における電圧を感知するように構成された電圧制御フィードバックループをさらに備え、前記パルス幅変調器が、前記調整された制御信号と前記電圧制御フィードバックループからの電圧との間の差に応じて変更される、請求項1に記載のエンベロープ追跡型電源。
【請求項11】
前記電圧制御フィードバックループからの電圧が前記基準信号と結合される、請求項10に記載のエンベロープ追跡型電源。
【請求項12】
前記第2の経路が、線形増幅器の出力を前記線形増幅器の入力に接続し、この結果前記線形増幅器が前記基準信号と前記線形増幅器の前記出力との間の差を増幅して前記結合器内で結合するための出力電圧を生成するように構成された、フィードバック経路を有する、前記線形増幅器を備える、請求項1から11のいずれか一項に記載のエンベロープ追跡型電源。
【請求項13】
前記第1の経路が、前記第1の経路内の線形増幅器の出力から前記第1の経路内の前記線形増幅器の入力へのフィードバック経路を有する、前記線形増幅器を備え、また、前記第1の経路内の前記線形増幅器が、前記基準信号の周波数の完全なスペクトルを備える信号を増幅するように構成された、請求項1から12のいずれか一項に記載のエンベロープ追跡型電源。
【請求項14】
エンベロープ追跡型電源において基準信号に応じて変調された電源電圧を生成するための方法であって、
第1の経路内の前記基準信号の低周波数変動を追跡するステップと、
第2の経路内の前記基準信号の高周波数変動を追跡するステップと、
結合器において、前記追跡された低周波数変動および高周波数変動に基づいて前記変調された電源電圧を生成するステップと、
前記結合器内の共振信号を感知するステップと、
前記感知された共振信号に応じて前記第1の経路内の信号を調整するステップと
を含み、
前記第1の経路内の信号を調整するステップが、前記感知された共振信号を前記第1の経路内の制御信号と結合して調整された制御信号を生成するステップを備え、
前記第1の経路が、スイッチモード電圧出力を生成するためのスイッチを制御するように構成されたパルス幅変調器を含み、前記パルス幅変調器が、前記調整された制御信号に応じて変更されるように構成され、
前記方法が、前記スイッチの出力における電流を感知するステップをさらに備え、
前記制御信号が前記感知された電流に応じて生成される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線周波数電力増幅器の応用例(application)に好適な、エンベロープ追跡型変調電源に関する。本発明は、基準信号が低周波数経路および高周波数経路への入力として使用されるような、および結合されて電源電圧を形成する別個の出力を各経路が生成するような電源と、特に関係がある。
【背景技術】
【0002】
無線周波数電力増幅器のためのエンベロープ追跡型電源は、当技術分野で良く知られている。通常、基準信号は、増幅されるべき入力信号のエンベロープに基づいて生成される。エンベロープ追跡型電源は、基準信号を追跡する電力増幅器のための電源電圧を生成する。
【0003】
図1は、周波数スプリッタ12を使用して、配線10上の入来するエンベロープ基準信号を配線14上の高周波数(HF)経路信号および配線16上の低周波数(LF)経路信号へと分割する、先行技術のエンベロープ追跡型(ET)変調器のアーキテクチャを示す。周波数スプリッタ12は、低周波数経路内の低域フィルタ18および高周波数経路内の高域フィルタ20を含むことができる。配線16上のLF経路内の信号は、高効率なスイッチモード増幅器22によって増幅され、また、配線14上のHF経路内の信号は、広帯域線形増幅器24によって増幅される。周波数選択結合器26を使用して、LF経路およびHF経路内の信号を、これらをそれぞれ増幅した後に結合することができる。
図1では、結合器26が、低周波数経路内に低周波数結合要素28を含み、また高周波数経路内に高周波数結合要素30を含むものとして例示されている。配線32上の結合器26からの結合された信号は、例示の目的で抵抗として例示した負荷34へのフィードを行う。典型的な応用例では、負荷は電力増幅器(PA)であり、また、基準信号は、この電力増幅器によって増幅されるべき入力信号から導出される。
【0004】
図1に例示するような供給アーキテクチャを組み込んだ電力増幅器システムの例は、「Band Separation and Efficiency Optimisation in Linear-Assisted Switching Power Amplifiers」、Yousefzadehら、(IEEE Power Electronics Specialists Conference 2006)において見出すことができる。
【0005】
図2は、周波数選択結合器26がインダクタ-コンデンサ(LC)結合器である、代替の先行技術の構成を示す。低周波数結合要素はインダクタ28aであり、高周波数結合要素はコンデンサ30aである。この構成では、フィードバック経路36は、配線32上の結合器(または変調器)の出力からの信号を、線形増幅器24の入力へと運ぶ。フィードバック経路36上の信号は、減算器38によって、配線14上の高周波数経路内の信号から減算されて、線形増幅器24への入力を提供する。フィードバック経路36を含めることにより、
図1の構成と比較して、追跡精度の改善が達成される。
【0006】
図2に例示するような供給アーキテクチャを組み込んだ電力増幅器システムの例は、「Efficiency Optimisation in Linear-Assisted Switching Power Converters for Envelope Tracking in RF Power Amplifiers」、Yousefzadehら、(IEEE Symposium on Circuits and Systems 2005)において見出すことができる。
【0007】
図1に例示するような先行技術の構成において、たとえば、スイッチモード増幅器および/または結合器の出力において特定の周波数で共振が発生し、このことによりこれらの周波数でエンベロープ追跡型変調電源の効率および追跡精度が低減されるという点で、問題が生じる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】「Band Separation and Efficiency Optimisation in Linear-Assisted Switching Power Amplifiers」、Yousefzadehら、(IEEE Power Electronics Specialists Conference 2006)
【非特許文献2】「Efficiency Optimisation in Linear-Assisted Switching Power Converters for Envelope Tracking in RF Power Amplifiers」、Yousefzadehら、(IEEE Symposium on Circuits and Systems 2005)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
先行技術に対する改善をもたらす、また特に共振の問題に対処するエンベロープ追跡型変調電源を提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、基準信号に応じて変調された電源電圧を生成するように構成されたエンベロープ追跡型電源であって、基準信号の低周波数変動を追跡するための第1の経路と、基準信号の高周波数変動を追跡するための第2の経路とを備え、変調された電源電圧を生成するための結合器をさらに備え、結合器内の共振信号を感知するための感知回路、および感知された信号に応じて第1の経路内の信号を共振を制御するように調整するための調整回路がさらに設けられる、エンベロープ追跡型電源を提供する。
【0011】
感知回路を、第1のまたは第2の経路の共振を感知するように適合することができる。
【0012】
感知回路は、結合要素にわたって生じた電圧または結合要素内を流れる電流を感知するための回路を備えることができる。
【0013】
感知回路は結合要素にわたって生じた電圧を感知するためのものであってよく、この回路は2つの入力を有する差動増幅器を備え、1つの入力が結合要素の各端子に接続される。
【0014】
結合要素は、高域結合要素であってよい。結合要素は、コンデンサであってよい。結合要素は、低域結合要素であってよい。結合要素は、インダクタであってよい。
【0015】
感知回路は、結合器の低域結合要素内の電流感知増幅器、微分器、および微分器の出力と基準信号との間の差を増幅するための差動増幅器を備えることができ、第1の経路内の第1の信号は差動増幅器の出力に応じて調整されている。
【0016】
調整回路は、感知された共振信号を第1の経路内の制御信号と結合して調整された制御信号を生成するための結合器を備えることができる。
【0017】
第1の経路は、スイッチモード電圧出力を生成するためのスイッチを制御するためのパルス幅変調器を含むことができ、この場合パルス幅変調器は、調整された制御信号に応じて変更される。
【0018】
エンベロープ追跡型電源は、スイッチの出力における電流を感知するための電流制御フィードバックループをさらに備えることができ、制御信号が前記感知された電流に応じて生成される。
【0019】
エンベロープ追跡型電源は、1つの入力が調整された制御信号に接続されまた1つの入力が感知された電流に接続されている、パルス幅変調器を制御するための差動増幅器をさらに備えることができる。
【0020】
エンベロープ追跡型電源は、基準信号およびフィードバックされた電流信号を減算して制御信号を生成するための差動結合器をさらに備えることができる。
【0021】
エンベロープ追跡型電源は、スイッチの出力における電圧を感知するための電圧制御フィードバックループをさらに備えることができ、パルス幅生成器は、調整された制御信号とフィードバックされた感知された電圧との間の差に応じて変更される。
【0022】
フィードバックされた感知された電圧を、基準波形と結合することができる。
【0023】
第2の経路は、線形増幅器の出力を線形増幅器の入力に接続し、この結果線形増幅器が基準信号と線形増幅器の出力との間の差を増幅して結合器内で結合するための出力電圧を生成するようなフィードバック経路を有する、線形増幅器を備えることができる。
【0024】
第1の経路内の線形増幅器の出力から線形増幅器の入力へのフィードバック経路を提供することができ、また、線形増幅器は、基準信号の周波数の完全なスペクトルを備える信号を増幅する。
【0025】
RF増幅器を設けることができる。ワイヤレス通信システムを設けることができる。ワイヤレスモバイルデバイスを設けることができる。
【0026】
本発明は、エンベロープ追跡型電源において基準信号に応じて変調された電源電圧を生成するための方法も提供し、この方法は、基準信号の低周波数変動を追跡するための第1の経路を提供するステップと、基準信号の高周波数変動を追跡するための第2の経路を提供するステップとを含み、このエンベロープ追跡型電源は、変調された電源電圧を生成するための結合器をさらに備え、この方法は、結合器内の共振信号を感知するステップと、感知された共振信号に応じて第1の経路内の信号を調整するステップとをさらに提供する。
【0027】
ここで本発明について、添付の図面を参照して例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】低周波数経路および高周波数修正経路を含む、先行技術のエンベロープ追跡型変調電源を例示する図である。
【
図2】高周波数修正経路内にフィードバックを組み込んだ、先行技術のエンベロープ追跡型変調電源を例示する図である。
【
図3】好ましいスイッチモード増幅器の詳細を組み込んだ、改善されたエンベロープ追跡型変調電源を例示する図である。
【
図4】電力増幅器の負荷が圧縮されてまたは圧縮されずに動作されるときの、
図3のエンベロープ追跡型変調器の近似的な回路モデルを例示する図である。
【
図5】
図4(b)のモデルに基づく、スイッチモード電力増幅器の出力における共振の効果を例示する図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態による、
図3の構成に対する改善を例示する図である。
【
図7】本発明の好ましい実施形態による、
図3の代替の構成を例示する図である。
【
図8】本発明の好ましい実施形態による、分散型アーキテクチャとした
図7の実施形態の応用例を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下の説明では、本発明は、例示的な実施形態および実装形態を参照して説明される。本発明は提示されるようないずれかの構成の特定の詳細に限定されず、これらの詳細は本発明を理解する目的のために提供される。
【0030】
本発明の実施形態について、高周波数修正経路内の線形増幅器のための好ましい有利なフィードバックアーキテクチャへの適用の文脈において、以下の説明で説明する。ただし、本発明およびその実施形態は、高周波数修正経路内の特定のフィードバック構成に必ずしも限定されない。
【0031】
図3を参照して、本発明が対処するどの問題が検討されるかに関して、および本発明のどの好ましい実施形態について説明されるかに関して、好ましい構成による有利なエンベロープ追跡型変調器のアーキテクチャが例示される。
図3は、スイッチモード増幅器22の好ましい実装形態も例示する。
【0032】
異なる図面における同等な特徴を識別するために、図面において同様の参照符号が使用される。
【0033】
図3の構成は
図2の構成に対応するが、線形増幅器24へのフィードバック経路が異なる点から取られ、高域フィルタ20が取り除かれ、任意選択の遅延19が追加されている、ということを指摘することができる。
【0034】
図3をさらに参照すると、一般に、有利なアーキテクチャは、基準信号の低周波数変動を追跡するためのおよびスイッチモード電圧を生成するためのスイッチモード電力増幅器を備える、低周波数経路を備える。基準信号の高周波数変動を追跡するためのおよび修正電圧を生成するための線形増幅器を備える、修正経路も設けられる。修正電圧は、スイッチモード増幅器の出力と結合されて、変調された電源電圧を提供する。(結合段の前で)線形増幅器の出力から線形増幅器の入力へとフィードバック経路が設けられる。
【0035】
図3に例示する有利な構成では、
図1および
図2の高域フィルタ20は、配線14上の信号を備える経路がもはや高周波数経路ではなくなるように、またしたがって単に修正経路として参照できるように、好ましくは除去される。配線14上の信号は、配線10上の基準信号の完全なスペクトルであり、代替としてフィルタリングされていない基準信号と呼ぶことができる。
【0036】
図3に示すように、フィードバック経路40は、線形増幅器24の出力を減算器38の入力に接続し、この結果、線形増幅器24への入力は、このフィードバック上の信号が取り除かれた修正経路内の配線14上の信号である。線形増幅器24の出力から取られたフィードバック経路40は、基準信号から減算されて修正信号を導出する信号を提供する。
【0037】
経路14および経路40上の、減算器38への入力における2つの信号は、完全なスペクトルの信号を備える。線形増幅器24の出力における信号は完全なスペクトルの信号であり、線形増幅器への電源電圧の効率を最大化することができる。
図1および
図2の構成では、線形増幅器の出力は完全なスペクトルの信号ではなく、また、線形増幅器24によって取り扱われる必要のあるピークツーピーク信号は、
図3の構成において取り扱われる必要のあるピークツーピーク信号よりも大きい。フィードバックが結合器の前で線形増幅器の出力から取られる
図3のフィードバック構成はしたがって、効率を改善するのに有利である。
【0038】
図3の構成は追加として、
図2の構成においてスイッチモード増幅器22のスイッチングの結果として結合器26のインダクタ28a内を流れる、三角波のリップル電流に対処するための修正を好ましくは含む。
図2の構成においてインダクタ28a内を流れる三角波のリップル電流を、結合器26の出力における、したがって配線32上の変調器出力上の、望まれない電圧誤差の創出を回避するために、コンデンサ30aを介して線形増幅器24の出力段を通して分流しなければならない。線形増幅器24の出力を通って流れる結果としてのリップル電流は、その効率を低減させる。
【0039】
図3はしたがって、
図2の周波数結合器26が追加のコンデンサ28cおよびインダクタ28bを含むように適合される、好ましい構成を追加として示す。インダクタ28aとインダクタ28bとの間の結合係数の大きさは、0から1の間の範囲とすることができる。インダクタ28bは、スイッチモード増幅器22の出力とインダクタ28aとの間に接続される。コンデンサ28cは、インダクタ28aとインダクタ28bとの間の共通の接続と電気的接地との間に接続される。
【0040】
この修正された構成では、スイッチモード増幅器22に起因するリップル電流はこの場合はインダクタ28b内を流れ、またこの場合はコンデンサ28cを介して接地に分流される。インダクタ28a内を流れ線形出力段24を通過するリップル電流と関連付けられた損失は、この場合回避される。
【0041】
図3におけるさらなる修正は、修正経路14内に遅延整合要素19を好ましくは含むものである。低周波数経路内のスイッチモード増幅器22と関連付けられた遅延を、次いで、線形増幅器24を含む修正周波数経路14内の遅延整合要素19を用いて好ましくは補償することができる。
【0042】
LF経路のスイッチモード増幅器22は、
図3に示すように、高帯域幅のスイッチモード電源を実装するための知られている先行技術の技法である、ピーク電流モードバックコンバータとして好ましくは実装される。
【0043】
図3に例示するようなスイッチモード増幅器22の有利な実装形態についてここで説明する。
【0044】
図3に例示するように、スイッチモード増幅器22は、配線56上の制御信号を受け取り、かつスイッチ52aおよびスイッチ52bの対を制御する、パルス幅変調器(PWM)50を含む。スイッチ52aは電源電圧と共通ノード54との間に接続され、また、スイッチ52bはこの共通ノードと電気的接地との間に接続される。電源電圧はバッテリによって提供され、Vbatと表示される。パルス幅変調器50は、配線56上の制御信号に応じて、スイッチ52aおよびスイッチ52bを制御して結合器26に低周波数経路の出力を提供する。パルス幅変調器および出力スイッチの構成は、当技術分野で知られている。
【0045】
スイッチモード増幅器22は、内側の電流制御フィードバックループおよび外側の電圧制御フィードバックループを含む。
【0046】
内側の電流制御フィードバックループは、直接的に、またはスイッチ52aもしくはスイッチ52b内の電流を感知することによって間接的にのいずれかでインダクタの電流を感知し、また結合器61にフィードバック経路58を提供する。結合器61は、フィードバック経路58上のフィードバック信号を配線63上の補償ランプ信号と結合する。結合器61の出力は、増幅器59の反転入力への入力を提供する。増幅器59は、その非反転入力において増幅器60からの出力を受け取る。増幅器59は、配線56上の制御信号を生成する。
【0047】
外側の電圧制御フィードバックループは、インダクタ28bの第2の端子からの電圧フィードバック経路62を提供し、この第2の端子においてインダクタ28bはインダクタ28aおよびコンデンサ28cに接続する。フィードバック経路62は、増幅器60の反転入力にフィードバック信号を提供する。増幅器60は、その非反転入力において配線16上の低周波数経路の信号を受け取る。
【0048】
インダクタ28bは、フィードバック経路58によって提供される内側の電流フィードバックループの作用により、電流源として振る舞う。この内側の電流フィードバックループ内の配線63上に補償ランプが提供され、この補償ランプは高デューティサイクルでの周波数の2分を防止するために使用される。
【0049】
フィードバック経路62によって提供される外側の電圧フィードバックループを使用して、インダクタ28b、インダクタ28a、およびコンデンサ28cの接点における電圧を制御する。
【0050】
図3に例示するようなピーク電流モードバックコンバータは、一般に、以下の通りである。
【0051】
低域フィルタ18は、基準信号の低周波数変動を表す信号を生成する。配線16上のこの信号はその場合、スイッチ52aおよびスイッチ52bを備えるバックスイッチャのためのパルス信号に関する制御信号を備え、このバックスイッチャはこの制御信号によって決定されるデューティサイクルを有し、この結果バックスイッチャの出力における電力は、配線16上の信号、すなわち基準信号の低周波数変動を追跡する。
【0052】
ただし加えて、配線16上のこの制御信号は、内側のフィードバック電流制御ループおよび外側のフィードバック電圧制御ループによって修正される。
【0053】
外側のフィードバック電圧制御ループは第1に、増幅器60内の制御信号を調整する。この制御信号(すなわち低周波数基準信号)は、そこからフィードバック経路62上のフィードバック信号が取り除かれている。フィードバック経路62上のフィードバック電圧は、低周波数経路の出力における電圧を表し、また、配線16上の低周波数基準信号からのこの電圧の除去により、出力電圧と基準信号との間の誤差を表す信号が提供される。
【0054】
内側のフィードバック制御ループは第2に、増幅器59内の制御信号を調整する。第2の調整された制御信号(増幅器59からの出力)は、そこからフィードバック経路58上の信号が取り除かれている。フィードバック経路58上のこの信号は、出力電流を表す。
【0055】
したがって、
図3を参照して、本発明を実施できる有利なアーキテクチャが提示されている。
【0056】
図3のピーク電流モードバックコンバータのスイッチモード増幅器22の出力インピーダンスは、インダクタ28aからコンデンサ28cおよびインダクタ28bに向かって見ると、広い周波数範囲にわたって低く、したがってピーク電流モードバックコンバータのスイッチモード増幅器22は、電圧源として近似することができる。このインピーダンスを、点線70で表示される位置に矢印71の方向に見たインピーダンスZ
01として
図3に例示する。
【0057】
図3の線形増幅器24の出力インピーダンスは、コンデンサ30aから線形増幅器24に向かって見ると、フィードバックのために、線形増幅器24の広い周波数範囲にわたって同様に低い。したがって線形増幅器も、電圧源として近似することができる。このインピーダンスを、点線72で表示される位置に矢印73の方向に見たインピーダンスZ
02として
図3に例示する。
【0058】
したがって
図3のシステムは、負荷34にフィードするインダクタ28aおよびコンデンサ30aによって提供される、2つの電圧源および1つのインダクタ-コンデンサ結合器として近似することができる。
【0059】
図4(a)および
図4(b)を参照すると、
図3のスイッチモード増幅器22および線形増幅器24を近似する電圧源が例示されている。スイッチモード増幅器22は電圧源76によって表され、線形増幅器24は電圧源78によって表される。電圧源76は、制御信号として配線16上の低域信号を受け取り、結合器26へのスイッチングされた電圧を生成する。電圧源78は、制御信号として配線14上の修正経路信号を受け取り、結合器26への修正電圧を生成する。
【0060】
図4(a)は、圧縮されている動作を表す。
図4(a)に例示するように、負荷を形成する電力増幅器は、これが圧縮されて動作しているときは、
図3の抵抗型負荷34として近似することができる。
【0061】
図4(b)は、圧縮されていない動作を表す。電力増幅器は、これが圧縮されずに動作しているときは、
図4(b)に示すような電流源76として近似することができる。
【0062】
圧縮されて動作するときは、インダクタ28aおよびコンデンサ30aは、抵抗74によって表されるような電力増幅器とともに、低Q共振回路を形成する。圧縮されずに動作するときは、インダクタ28aおよびコンデンサ30aは、電流源76によって表されるような電力増幅器とともに、高Q共振回路を形成する。
【0063】
図4(b)の場合、圧縮されていない動作であり、高Q共振回路のこの共振は、共振周波数での追跡不備を引き起こす場合がある。
【0064】
共振周波数でのこの追跡不備の結果を、
図5に例示する。
図5に示すように、波形は、信号のベースラインにおいて特に明らかな望まれない低周波数変調を呈する。これは、追跡不備が共振から生じていることを示す。本発明の目的は、圧縮されずに動作するときに、共振を低減することによって、追跡不備を低減することである。
【0065】
図6は、本発明の実施形態による
図3の構成に対する修正形態を示し、この修正形態は、この共振を制御して説明した問題に対処する。
【0066】
結合器26は、低周波数結合要素(インダクタ28a)および高周波数結合要素(コンデンサ30a)を有する。
図4(a)および
図4(b)を参照して上記したように、共振は結合器26の要素同士の間で発生する。結合器26内のこの共振を感知するために、結合器の1つの要素内の電流または結合器の1つの要素にわたる電圧を感知することができる。この感知は、結合器26のいずれかの半部において、すなわち高周波数結合要素においてまたは低周波数結合要素において、実行することができる。共振が感知されると、フィードバック経路を使用して、結合器への経路内の共振を制御することができる。
【0067】
図6に例示するように、一実施形態では、差動増幅器は、こうして高周波数結合要素(コンデンサ30a)の両端に接続され、基準信号の低周波数変動を追跡するように構成される経路に関する修正信号を提供する。これは好ましい実装形態を表す。
【0068】
このようにして、コンデンサ30aにわたって形成される電圧が感知される。この電圧のスケーリングされオフセットされた複製が、次いでスイッチモード増幅器22(ピーク電流モードバックコンバータ)の電圧誤差増幅器60の出力と結合される。スケーリングおよびオフセットは、増幅器30において実施される。
【0069】
したがって
図6を参照すると、差動増幅器30には、コンデンサ30aの両端に接続された入力が提供される。差動増幅器30の出力は結合器82への入力を提供し、この結合器82は、その他方の入力として電圧誤差増幅器60の出力を受け取る。結合器82は、差動増幅器30の出力を増幅器60の出力と結合して、増幅器59への非反転入力を提供する。
【0070】
代替の実施形態では、この動作は、インダクタ28aにわたる電圧またはインダクタ28a内の電流の感知に基づくことができる。これを
図7に例示する。
【0071】
図7は、低周波数結合要素のインダクタ内を流れる電流を感知することによって共振制御が達成される、特に有利な構成を例示する。
【0072】
図7に示すように、この実施形態によれば、低周波数経路には、参照符号85で表示されるようにインダクタ28aへの入力における低周波数経路の出力内で検出された電流に基づいて動作する、微分増幅器81が設けられる。
【0073】
さらに、差動増幅器83は、微分増幅器81の出力を受け取り、微分増幅器81の出力を増幅器18への入力における電圧と比較する。差動増幅器83はこのようにして、上記の技法により、結合器82にフィードバック信号を提供して、低周波数経路内で生成された共振を取り除く。
【0074】
異なる実装形態では、感知回路を、電流または電圧を感知するように構成することができ、本明細書に記載した実施形態は、例示的なものである。
【0075】
したがって一般に、結合器の要素にわたって生じた電圧または要素内で生じた電流が感知され、この要素は低周波数結合要素または高周波数結合要素のいずれかである。
【0076】
図6から
図8をさらに参照して、追加のただし任意選択である修正形態を示す。効率を最大化するために、たとえば、線形増幅器24のレールツーレール動作を可能にするように、線形増幅器24への入力信号にDCオフセットが好ましくは加えられる。電圧源44によって提供されるDCオフセット電圧V
OSは、減算器42の入力として提供され、ここで修正経路14内の配線14上の信号から減算される。減算器42の出力は、オフセット修正経路の信号を提供し、この信号から減算器38はフィードバック経路40上のフィードバック信号を減算する。DCオフセット電圧の値は、DC電圧を減算器42の出力のところに位置付けて、線形増幅器24のために可能な最低の電源電圧を使用できるように選択される。
【0077】
線形増幅器24は好ましくは常に可能な最低の電源電圧で動作され、この電源電圧は、高効率なスイッチモード電源(
図6から
図8の構成には示さない)によって提供される。
【0078】
低周波数経路の出力における電流または電圧を感知することによって共振が低減される構成は、単一の低周波数経路が複数の高周波数経路および複数の修正増幅器と連結して提供される分散型アーキテクチャにおいて、特に有利である。そのような例示的な実施形態を、
図8に示し、以下で説明する。
【0079】
図8の構成では、
図7におけるように、フィルタ18およびスイッチモード電源22を備える低周波数経路が提供される。スイッチモード電源は配線88上に低周波数電圧を提供し、この低周波数電源により、以下で説明するように、複数の増幅器34a、増幅器34bの各々に対する低周波数修正がもたらされる。
【0080】
分散型アーキテクチャは任意の数の増幅器を提供することができるが、簡潔さのため、
図8には増幅器34aおよび増幅器34bの2つを示す。増幅器34a、増幅器34bは、先の図面の負荷34の例である。
【0081】
各増幅器34a、増幅器34bは、任意選択でインダクタ22aと結合することができるそれぞれのインダクタ90a、インダクタ90bの第1の端子において、配線88上の低周波数スイッチ電源を受け取り、またこれを、インダクタの第2の端子において配線92a、配線92b上の高周波数修正経路から受け取られた高周波数修正電圧と結合する。インダクタの第2の端子は、増幅器34a、増幅器34bへの電源入力部を形成する。
【0082】
説明されるような分散型アーキテクチャにおいては、任意の1つの時間において1つの電力増幅器だけが作動している。インダクタ28aはしたがって任意選択のものであり、インダクタ28a、インダクタ90a、およびインダクタ90bが直列接続されていれば、必要とされない場合がある。
【0083】
各高周波数修正経路は
図7の高周波数修正経路に対応し、添え字30a'または添え字30a''によって表示されているコンデンサ30aを覗き、各要素が添え字aまたは添え字bによって区別して示されている。
【0084】
各高周波数修正経路は、配線10上の基準信号を受け取る。各高周波数修正経路は、それぞれの電力増幅器にその電源として適用する前に共通の低周波数信号と結合するための、高周波数修正信号も生成する。そのような分散型の構成は、当技術分野で知られている。
【0085】
本発明およびその実施形態はエンベロープ追跡(ET)の無線周波数(RF)電力増幅器への適用に関し、高周波数からマイクロ周波数までのセルラーハンドセット応用例、ワイヤレスのインフラ設備の応用例、および軍事用電力増幅器の応用例を含む、広範囲の実装形態に適用可能である。
【0086】
本発明について、実施形態を参照して例示により本明細書で説明した。本発明は、説明された実施形態に限定されず、また実施形態における特徴の特定の組合せにも限定されない。これらの実施形態に対して本発明の範囲内で修正を行うことができる。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって規定される。
【符号の説明】
【0087】
10 配線
12 周波数スプリッタ
14 配線、経路、修正経路、修正周波数経路
16 配線
18 低域フィルタ
19 遅延、遅延整合要素
20 高域フィルタ
22 スイッチモード増幅器、スイッチモード電源
22a インダクタ
24 線形増幅器、線形出力段
26 結合器
28 低周波数結合要素
28a インダクタ
28b インダクタ
28c コンデンサ
30 高周波数結合要素
30a コンデンサ
30a' コンデンサ
30a'' コンデンサ
32 配線
34 負荷
34a 増幅器
34b 増幅器
36 フィードバック経路
38 減算器
40 フィードバック経路
42 減算器
44 電圧源
50 パルス幅変調器
52a スイッチ
52b スイッチ
54 共通ノード
56 配線
58 フィードバック経路
59 増幅器
60 増幅器
61 結合器
62 フィードバック経路
63 配線
70 点線
71 矢印
72 点線
73 矢印
74 抵抗
76 電圧源
78 電圧源
81 微分増幅器
82 結合器
83 差動増幅器
88 配線
90a インダクタ
90b インダクタ
92a 配線
92b 配線