(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6392811
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】気体識別を利用し且つ肺炎感染及び肺炎菌種の疾患分析機能を有する人工呼吸器
(51)【国際特許分類】
A61B 5/08 20060101AFI20180910BHJP
A61M 16/00 20060101ALI20180910BHJP
G01N 27/12 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
A61B5/08
A61M16/00 370Z
G01N27/12 A
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-124236(P2016-124236)
(22)【出願日】2016年6月23日
(65)【公開番号】特開2017-104487(P2017-104487A)
(43)【公開日】2017年6月15日
【審査請求日】2016年6月23日
(31)【優先権主張番号】104141669
(32)【優先日】2015年12月11日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】514024712
【氏名又は名称】台湾ナノカーボンテクノロジー股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】TAIWAN CARBON NANO TECHNOLOGY CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】廖 育萱
(72)【発明者】
【氏名】李 家宏
(72)【発明者】
【氏名】蔡 群賢
(72)【発明者】
【氏名】李 庭鵑
(72)【発明者】
【氏名】蔡 群栄
【審査官】
松本 隆彦
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2013/0197384(US,A1)
【文献】
特開2001−281192(JP,A)
【文献】
特開2007−292780(JP,A)
【文献】
特表2002−539429(JP,A)
【文献】
特開2000−258376(JP,A)
【文献】
特開2007−033416(JP,A)
【文献】
特開2008−170321(JP,A)
【文献】
特開2005−114357(JP,A)
【文献】
特開2002−071612(JP,A)
【文献】
特開2005−291886(JP,A)
【文献】
特表2012−504227(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0122191(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/08
A61M 16/00
G01N 27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板上に設置する加熱層と、前記加熱層上に設置する絶縁層と、前記絶縁層上に配列するように設置する複数の検出ユニットとを包含し、前記検出ユニットは、少なくとも一つの検出電極と、前記検出電極を囲繞する仕切り部と、反応感知フィルムと、からなり、前記検出電極は、第一帯状電極と前記第一帯状電極から延在する第一指状電極とを包括する第一電極と、第二帯状電極と前記第二帯状電極から延在する第二指状電極とを包括する第二電極と、を包括し、且つ前記第一指状電極と前記第二指状電極とが交互に配列し合い、前記反応感知フィルムは、前記仕切り部内にある収容空間に設置し且つ前記検出電極と接触し、さらに、各前記検出ユニットにある前記検出電極及び前記反応感知フィルムが複数の被検気体と接触した後、すべての前記検出ユニットは電気化学反応を行うことで、複数の識別信号を発生させるセンサアレイと、
前記識別信号を読み取って分析することで、前記被検気体に対応する複数の気体パターン信号を発生するセンサ回路と、
前記気体パターン信号同士の差異を拡大し、前記気体パターン信号の次元を低減することで、分析結果を発生する確率的ニューラルネットワークチップと、
気体トレーニングデータを保存するメモリと、
前記分析結果を受け、前記分析結果に基づいて混合気体識別アルゴリズムを実行し、前記複数の被検気体の種類を識別し、且つ前記気体トレーニングデータに存在しない未知の気体を分類し、さらに前記気体トレーニングデータに基づいて識別結果を発生するマイクロコントローラと、
を包含することを特徴とする、気体識別を利用し且つ肺炎感染及び肺炎菌種の疾患分析機能を有する人工呼吸器。
【請求項2】
前記マイクロコントローラが前記気体トレーニングデータに存在しない未知の気体を検出した場合、前記未知の気体に対応する未知の気体データを前記センサ回路、前記確率的ニューラルネットワークチップ及び前記メモリに伝送し、前記センサ回路は、前記未知の気体データに基づいて識別を行い、前記確率的ニューラルネットワークチップも、前記未知の気体データに基づいて再訓練し、前記メモリもまた、前記未知の気体データに基づいて新たな前記気体トレーニングデータを追加することを特徴とする請求項1に記載の、気体識別を利用し且つ肺炎感染及び肺炎菌種の疾患分析機能を有する人工呼吸器。
【請求項3】
前記基板の材料は、ガラス、酸化インジウムスズ及びポリエチレンテレフタレートからなる群のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の、気体識別を利用し且つ肺炎感染及び肺炎菌種の疾患分析機能を有する人工呼吸器。
【請求項4】
前記加熱層は、電流を受け入れて30℃から70℃の間に介する温度まで加熱することを特徴とする請求項1に記載の、気体識別を利用し且つ肺炎感染及び肺炎菌種の疾患分析機能を有する人工呼吸器。
【請求項5】
前記加熱層の材料は、酸化インジウムスズであることを特徴とする請求項1に記載の、気体識別を利用し且つ肺炎感染及び肺炎菌種の疾患分析機能を有する人工呼吸器。
【請求項6】
前記絶縁層の材料は、ポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1に記載の、気体識別を利用し且つ肺炎感染及び肺炎菌種の疾患分析機能を有する人工呼吸器。
【請求項7】
前記検出電極の材料は、インジウムスズ酸化物、銅、ニッケル、クロム、鉄、タングステン、リン、コバルト及び銀からなる群のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の、気体識別を利用し且つ肺炎感染及び肺炎菌種の疾患分析機能を有する人工呼吸器。
【請求項8】
前記仕切り部は、前記絶縁層から離れ且つ上に向かって延在する複数の仕切り壁を包括し、前記仕切り壁は、収容空間を囲繞することを特徴とする請求項1に記載の、気体識別を利用し且つ肺炎感染及び肺炎菌種の疾患分析機能を有する人工呼吸器。
【請求項9】
前記検出電極の前記第一帯状電極及び前記第二帯状電極は、第一軸方向に沿って延在し且つ平行に設置し、前記第一指状電極は、前記第一軸方向と異なる第二軸方向に沿って前記第一帯状電極から前記第二帯状電極に向かって延在し、前記第二指状電極は、前記第二軸方向に沿って前記第二帯状電極から前記第一帯状電極に向かって延在し、前記第一指状電極及び前記第二指状電極は、平行を呈して配列するように設置することを特徴とする請求項1に記載の、気体識別を利用し且つ肺炎感染及び肺炎菌種の疾患分析機能を有する人工呼吸器。
【請求項10】
前記第一軸方向と前記第二軸方向とは、互いに垂直となるように設置することを特徴とする請求項9に記載の、気体識別を利用し且つ肺炎感染及び肺炎菌種の疾患分析機能を有する人工呼吸器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体識別を利用し且つ肺炎感染及び肺炎菌種の疾患分析機能を有する人工呼吸器、特に気体の種類をリアルタイム且つ正確に検出する肺炎感染及び肺炎菌種の疾患分析機能を有する人工呼吸器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人工呼吸器は、自発呼吸ができない患者に使用して生命徴候を維持させるためのものであって、病院の集中治療室や救急救命室でよく見掛けることができる。
【0003】
例えば、特許文献1のような、入口及び出口を有するケーシングと、前記ケーシング内に設けるフィルタ素子とを包含し、空気が前記入り口から前記ケーシングに入り込んで前記フィルタ素子によって懸濁粒子を濾過した後前記出口から排出される、懸濁粒子濃度レベルを表示することが可能な人工呼吸器が提供されており、その特徴は、前記ケーシング内で前記フィルタ素子と前記入口との間に位置するように設ける懸濁粒子濃度センサと、前記懸濁粒子濃度センサと電気的に接続し、前記懸濁粒子濃度センサが感知した懸濁粒子濃度レベルを表示するために用いる表示ユニットとをさらに包含することであって、このことから、前記人工呼吸器の前記フィルタ素子を適切な時期に交換又は洗浄するため、前記表示ユニットは、ユーザに前記人工呼吸器が提供している空気の品質を伝えている。
【0004】
このような周知技術では、ただ単に、重症患者に正常な呼吸のみ提供して生命を維持しているが、治療過程にある重症患者は抵抗力が弱いため、呼吸道や肺が感染して合併症を併発する確率が大幅に上昇し、一度感染すると、長時間にわたる検査が必要となり、レントゲンや血液検査、喀痰検査といったさらなる検査を行わなければ、患者がどのような細菌によって感染したのかを知り得ることができず、多くの場合、この長時間にわたる検査が患者の命を脅かすこととなってしまっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】台湾実用新案公告第M437177号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の主な目的は、周知における人工呼吸器がただ単に、重症患者に正常な呼吸のみ提供して生命を維持し、治療過程において一度感染すると、長時間にわたる検査を行わなければ、患者がどのような細菌によって感染しているのかを知り得ることができず、患者の命が脅かされているという問題を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するため、本発明は、センサアレイ、センサ回路、確率的ニューラルネットワークチップ、メモリ及びマイクロコントローラを包含する、気体識別を利用し且つ肺炎感染及び肺炎菌種の疾患分析機能を有する人工呼吸器を提供し、前記センサアレイは、基板と、前記基板上に設置する加熱層と、前記加熱層上に設置する絶縁層と、前記絶縁層上に配列するように設置する複数の検出ユニットとを包含し、前記検出ユニットは、少なくとも一つの検出電極と、前記検出電極を囲繞する仕切り部と、反応感知フィルムとを包括し、前記検出電極は、第一帯状電極と前記第一帯状電極から延在する第一指状電極とを包括する第一電極と、第二帯状電極と前記第二帯状電極から延在する第二指状電極とを包括する第二電極と、を包括し、且つ前記第一指状電極と前記第二指状電極とが交互に配列し合い、前記反応感知フィルムは、前記仕切り部内にある収容空間に設置し且つ前記検出電極と接触し、さらに、複数の被検気体と接触して電気化学反応が起こることで、前記検出電極が被検気体に対応する識別信号を発生させている。前記センサ回路は、前記識別信号を読み取って分析することで、前記被検気体に対応する複数の気体パターン信号を発生している。前記確率的ニューラルネットワークチップは、前記気体パターン信号同士の差異を拡大し、前記気体パターン信号の次元を低減することで、分析結果を発生している。前記メモリは、気体トレーニングデータを保存している。前記マイクロコントローラは、前記分析結果を受け、前記分析結果に基づいて混合気体識別アルゴリズムを実行し、前記複数の被検気体の種類を識別し、且つ前記気体トレーニングデータに存在しない未知の気体を分類し、さらに前記気体トレーニングデータに基づいて識別結果を発生している。
【0008】
このことから、周知技術と比較して本発明が得られる効果というと、本発明を利用して得られた肺炎感染及び肺炎菌種の疾患分析機能を有する人工呼吸器は、気体識別を利用して肺炎感染及び肺炎菌種の疾患分析機能を有することから、患者に呼吸機能を提供するだけでなく、患者の呼吸道や肺にどのような細菌が感染して合併症が併発しているかを早期に検出し、症状に対してリアルタイム且つ正確に治療を行い、合併症による患者への脅威を低減している。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る実施例の人工呼吸器を示す模式図である。
【
図2】本発明に係る実施例を示すブロック図である。
【
図3】本発明に係る実施例におけるセンサアレイを示す平面図である。
【
図5】本発明に係る実施例における検出電極を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の詳細な説明及び技術的内容について、図面を参照しつつ以下において説明する。
【0011】
本発明に係る実施例の人工呼吸器を示す模式図である
図1と、本発明に係る実施例を示すブロック図である
図2とを参照すると、本発明は、センサアレイ10と、センサ回路20と、確率的ニューラルネットワークチップ30と、メモリ40と、マイクロコントローラ50とを包含する、気体識別を利用し且つ肺炎感染及び肺炎菌種の疾患分析機能を有する人工呼吸器1である。続いて、本発明に係る実施例におけるセンサアレイを示す平面図である
図3と、
図3に係るA−A線断面図である
図4とを参照すると、前記センサアレイ10は、基板11と、加熱層12と、絶縁層13と、配列する複数の検出ユニット14とを包含し、前記加熱層12は、前記基板11上に設置し、前記基板11の材料は、ガラス、酸化インジウムスズ或いはポリエチレンテレフタレート(Polyethylene Terephthalate,PET)としている。前記加熱層12の材料は、室温より高い温度まで加熱することが可能なものとし、本発明の実施例では、前記加熱層12の材料は、酸化インジウムスズとし、電流を受け入れて30℃から70℃の間に介する温度まで加熱することが好ましい。前記絶縁層13は、前記加熱層12上に設置し、そのうち、前記絶縁層13の材料は、ポリエチレンテレフタレートとしている。
【0012】
前記検出ユニット14は、前記絶縁層13上に設置し、且つアレイ状或いはパターン状を呈し、本実施例では、前記検出ユニット14は、8×4のアレイ状を用い、互いの間隔が100μmであることが好ましい。前記検出ユニット14は、少なくとも一つの検出電極141と、仕切り部142と、反応感知フィルム143とを包括し、本発明において、前記反応感知フィルム143の材料は、カルボキシメチルセルロースアンモニウム塩(CMC−NH
4)、ポリスチレン(Polystyrene,PS)、ポリエチレンアジペート(Poly(ethylene adipate))、ポリエチレンオキシド(Poly(ethylene Oxide),PEO)、ポリカプロラクトン(Polycaprolactone)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルベンジルクロライド(Poly(vinylbenzyl chloride),PVBC)、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸交互共重合体(Poly(methyl vinyl ether−alt−maleic acide))、ビニルフェノール−メタクリル酸メチル共重合体(Poly(4−vinylphenol−co−methyl methacrylate))、エチルセルロース(Ethyl cellulose,EC)、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体(Poly(vinylidene chloride−co−acrylonitrile),PVdcAN)、ポリエピクロロヒドリン(Polyepichlorohydrin,PECH)、ポリエチレンイミン(Polyethyleneimine)、ペプチド(Beta−Amyloid(1−40))、ヒトガレクチン(Human galectin−1又はHuman albumin)、スチレン−アリルアルコール共重合体(Styrene/Allyl alcohol copolymer,SAA)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(Poly(ethylene−co−vinyl acetate))、ポリイソブチレン(Polyisobutylene,PIB)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(Poly(acrylonitrile−co−butadiene))、ポリ(4−ビニルピリジン)Poly(4−vinylpyridine)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Hydroxypropyl methyl cellulose)、ポリイソプレン(Polyisoprene)、ポリαメチルスチレン(Poly(alpha−methylstyrene))、3−クロロ−1,2−プロピレンオキサイド − エチレンオキサイド共重合体(Poly(epichlorohydrin−co−ethylene oxide))、ポリビニルブチラール(Poly(vinyl butyral−co−vinyl alcohol−vinyl acetate))、ポリスチレン(Polystyrene,PS)、リグニンスルホン酸塩(Lignin)、リポペプチド(Acylpeptide)、ポリプロピオン酸ビニル(Poly(vinyl proplonate))、ポリビニルピロリドン(Poly(vinylpyrrolidone),PVP)、ダイマー酸−アルキルポリアミン共重合体(Poly(dimer acid−co−alkyl polyamine))、ポリ(4−ビニルフェノール)(Poly(4−vinylphenol)、ポリヒドロキシエチルメタクリレート(Poly(2−hydroxyethyl methacrylate))、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(Poly(vinyl chloride−co−vinyl acetate))、セルローストリアセテート(Cellulose triacetate)、ポリ(ステアリン酸ビニル)(Poly(vinyl stearate))、ポリビスフェノールAカーボネート(Poly(bisphenol A carbonate),PC)、ポリフッ化ビニリデン(Poly(vinylidene fluoride),PVDF)或いはこれ等の組合せとしている。本実施例において、各前記検出ユニット14における前記検出電極141の数量は、4つとし、互いの間隔が30μmであることが好ましく、これにより、前記検出電極141の数量は、128個に達することができるが、これに限定するものではない。
【0013】
次に、
図5を参照すると、前記検出電極141は、第一帯状電極1411aと第一指状電極1411bとを包括する第一陽極1411と、第二帯状電極1412aと第二指状電極1412bとを包括する第二電極1412と、を包括し、前記第一帯状電極1411a及び前記第二帯状電極1412aは、第一軸方向に沿って延在し且つ平行に設置し、前記第一指状電極1411bは、第二軸方向に沿って前記第一帯状電極1411aから前記第二帯状電極1412aに向かって延在し、前記第二指状電極1412bは、前記第二軸方向に沿って前記第二帯状電極1412aから前記第一帯状電極1411aに向かって延在し、前記第一指状電極1411b及び前記第二指状電極1412bは、平行を呈し且つ交互に配列し合っている。前記第一軸方向と前記第二軸方向とは、互いに異なる方向を向いており、本実施例では、前記第一軸方向と前記第二軸方向とは互いに垂直となっている。そのうち、前記検出電極141の材料は、インジウムスズ酸化物、銅、ニッケル、クロム、鉄、タングステン、リン、コバルト、銀或いはこれ等の組合せのいずれかとしている。また、前記仕切り部142は、前記絶縁層13から離れ且つ上に向かって延在する複数の仕切り壁1421を包括し、前記仕切り壁1421は、前記検出電極141を囲繞して収容空間1422を形成している。前記反応感知フィルム143は、前記仕切り部142内にある収容空間1422に設置し且つ前記検出電極141と接触している。実際に応用する際、前記反応感知フィルム143は、複数の被検気体と接触して電気化学反応が起こることで、前記検出電極141が被検気体に対応する識別信号を発生させている。
【0014】
次に、前記センサ回路20は、前記識別信号を読み取って分析することで、前記被検気体に対応する複数の気体パターン信号201を発生している。そのうち、前記センサアレイ10は、すべてのアレイが混合気体に対する集団反応により、前記センサ回路20を介して前記被検気体に対応する複数の気体パターン信号201を発生している。前記確率的ニューラルネットワークチップ30は、前記気体パターン信号201同士の差異を拡大し、前記気体パターン信号201の次元を低減することで、分析結果301を発生している。
【0015】
また、前記確率的ニューラルネットワークチップ30は、スマートアルゴリズムを利用して信号の主要な特徴を捕捉し、原信号より低い次元で出力することで、バックエンドシステムの演算量を低減している。前記メモリ40は、様々な合併症を引き起こす各種細菌が発生する気体データ及びその他考えられる気体データを含む気体トレーニングデータ401を保存している。前記マイクロコントローラ50は、前記分析結果301を受け、前記分析結果301に基づいて混合気体識別アルゴリズム501を実行し、前記複数の被検気体の種類を識別し、且つ前記気体トレーニングデータ401に存在しない未知の気体を分類し、さらに前記気体トレーニングデータ401に基づいて識別結果502を発生している。
【0016】
つまり、前記マイクロコントローラ50が前記気体トレーニングデータ401に存在しない未知の気体を検出した場合、前記未知の気体を自動的に分類し、前記未知の気体に対応する未知の気体データを前記センサ回路20、前記確率的ニューラルネットワークチップ30及び前記メモリ40に伝送している。これにより、前記センサ回路20は、前記未知の気体データに基づいて識別を行うことができ、前記確率的ニューラルネットワークチップ30も、前記未知の気体データに基づいて再訓練することができ、前記メモリ40もまた、前記未知の気体データに基づいて新たな前記気体トレーニングデータを追加することができる。
【0017】
以上のことから、周知技術と比較して本発明が得られる効果というと、本発明を利用して得られた肺炎感染及び肺炎菌種の疾患分析機能を有する人工呼吸器は、気体識別チップを備えていることから、患者に呼吸機能を提供するだけでなく、患者の呼吸道や肺が感染による合併症を併発しているか否かを早期に検出することができ、症状に対してリアルタイム且つ正確に治療を行うことができる。
【0018】
以上において、本発明に係る詳細な説明を行ったが、上述したものは、本発明に係る好ましい実施例に過ぎず、本発明に係る実施の範囲を限定するものではなく、本発明に係る請求の範囲に基づいて行われたいずれの変更及び修正は、本発明に係る請求の範囲に属するものである。
【符号の説明】
【0019】
1 気体識別を利用し且つ肺炎感染及び肺炎菌種の疾患分析機能を有する人工呼吸器
10 センサアレイ
11 基板
12 加熱層
13 絶縁層
14 検出ユニット
141 検出電極
1411 第一電極
1411a 第一帯状電極
1411b 第一指状電極
1412 第二電極
1412a 第二帯状電極
1412b 第二指状電極
142 仕切り部
1421 仕切り壁
1422 収容空間
143 反応感知フィルム
20 センサ回路
201 気体パターン信号
30 確率的ニューラルネットワークチップ
301 分析結果
40 メモリ
401 気体トレーニングデータ
50 マイクロコントローラ
501 混合気体識別アルゴリズム
502 識別結果