(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する種々の実施形態において、同様の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
図1を参照して、本発明の一実施形態に係る製造ライン10について説明する。製造ライン10は、コンベア12、ロボット14、16、および18、ロボット制御部20、22、および24、撮像部25および27、ならびに、ワーク搬送パレット50を備える。
【0018】
コンベア12は、その上に載置されたワーク搬送パレット50を、
図1中の矢印Aの方向へ搬送する。ロボット14は、コンベア12の上に載置されたワーク搬送パレット50に、ワーク(図示せず)をクランプさせる。
【0019】
ロボット16は、ロボット14の下流側に配置されている。ロボット16は、例えば、組み立てロボット、加工ロボット、または溶接ロボットであって、ワーク搬送パレット50にクランプされたワークに対して、ワークの組み立て、加工、または溶接等の作業を行う。
【0020】
ロボット18は、ロボット16の下流側に配置され、ワーク搬送パレット50にクランプされたワークをアンクランプする。ロボット14および18の構成および機能については、後述する。
【0021】
ロボット制御部20、22、および24は、ロボットプログラムまたは上位コントローラからの指令に応じて、ロボット14、16、および18をそれぞれ制御する。ロボット制御部20、22、および24の各々は、CPUおよび記憶部(ともに図示せず)を有する。
【0022】
撮像部25は、例えば3次元視覚センサであって、コンベア12によってロボット14の位置に搬送されたワーク搬送パレット50を撮像し、撮像した画像データをロボット制御部20へ送信する。
【0023】
同様に、撮像部27は、例えば3次元視覚センサであって、コンベア12によってロボット18の位置に搬送されたワーク搬送パレット50を撮像し、撮像した画像データをロボット制御部24へ送信する。
【0024】
次に、
図2を参照して、ロボット14について説明する。本実施形態においては、ロボット14は、垂直多関節ロボットであって、ロボットベース26、旋回胴28、ロボットアーム30、手首部32、およびロボットハンド34を有する。
【0025】
ロボットベース26は、作業セルの床の上に固定されている。旋回胴28は、鉛直軸周りに旋回可能にロボットベース26に設けられている。ロボットアーム30は、旋回胴28に回動可能に連結された上腕部36と、該上腕部36の先端に回動可能に連結された前腕部38とを有する。
【0026】
手首部32は、前腕部38の先端に取り付けられ、ロボットハンド34を3軸周りに回動可能となるように支持している。ロボットハンド34は、手首部32に連結されたハンドベース40と、該ハンドベースに開閉可能に設けられた指部42および44とを有する。
【0027】
ロボット制御部20は、旋回胴28、ロボットアーム、および手首部32に内蔵されたサーボモータ(図示せず)に指令を送り、これら可動要素を駆動して、ロボットハンド34を任意の位置および姿勢に配置させる。また、ロボット制御部20は、ロボットハンド34に内蔵されたサーボモータ(図示せず)に指令を送り、指部42および44を開閉させる。
【0028】
本実施形態においては、ロボット18は、ロボット14と同じ構成を有する。具体的には、ロボット18は、ロボット14と同様に、ロボットベース26、旋回胴28、ロボットアーム30、手首部32、およびロボットハンド34を有する。
【0029】
ロボット制御部24は、旋回胴28、ロボットアーム、手首部32、およびロボットハンド34に内蔵されたサーボモータ(図示せず)に指令を送り、これら要素を動作させる。
【0030】
次に、
図3〜
図16を参照して、ワーク搬送パレット50について説明する。なお、以下の説明においては、図中の直交座標系を方向の基準とし、便宜上、x軸プラス方向を右方とし、y軸プラス方向を前方とし、z軸プラス方向を上方とする。
【0031】
図3および
図4に示すように、ワーク搬送パレット50は、載置台52、第1のクランプ機構54、および第2のクランプ機構56を備える。
【0032】
図5〜
図7に示すように、載置台52は、中空の直方体であって、底壁58、前壁60、後壁62、左壁64、右壁66、および頂壁68を有する。底壁58は、長方形の平板部材である。
【0033】
前壁60および後壁62は、互いに対向するように底壁58の前端縁および後端縁からそれぞれ上方に立ち上がっている。左壁64および右壁66は、互いに対向するように底壁58の左端縁および右端縁からそれぞれ上方に立ち上がり、且つ、前壁60と後壁62との間で延在している。
【0034】
頂壁68は、前壁60、後壁62、左壁64および右壁66の上端縁に接続されている。これら前壁60、後壁62、左壁64、右壁66、頂壁68によって、載置台52の内部空間S(
図7)が画定されている。
【0035】
頂壁68の上面68aには、ワークが載置される。したがって、上面68aは、ワークが載置される載置面として機能する。また、
図7に示すように、底壁58には、該底壁58から上方へ突出する複数のシャフト部59が形成されている。
【0036】
載置台52は、ガイドレール70および72と、シャフト保持部74とをさらに有する。ガイドレール70および72の各々は、頂壁68の上面68aから上方に突出し、且つ、y軸方向へ直線状に延在している。
【0037】
ガイドレール70および72は、同じx軸方向の位置に配置され、且つ、y軸方向に互いに離隔して配置されている。
図8に示すように、ガイドレール70および72の各々は、レール部71と、該レール部71の上端から左右へ突出する鍔部73および75とを有する。
【0038】
シャフト保持部74は、頂壁68の上面68aから上方に突出し、ガイドレール70の前方に配置されている。シャフト保持部74には、該シャフト保持部74をy軸方向に貫通する貫通孔74aが形成されている。
【0039】
頂壁68には、貫通孔76、78、および80が形成されている。貫通孔76は、y軸方向に長尺な長孔であって、ガイドレール70の左側に隣接して配置されている。貫通孔78は、y軸方向に長尺な長孔であって、ガイドレール72の右側に隣接して配置されている。貫通孔80は、円形の孔であって、貫通孔78よりも右側にずれて配置されている。
【0040】
載置台52は、ガイドレール82および84と、シャフト保持部86とをさらに有する。これらガイドレール82および84、ならびにシャフト保持部86は、それぞれ、上述のガイドレール70および72、ならびにシャフト保持部74と同じ構成を有する。
【0041】
具体的には、シャフト保持部86は、貫通孔86aを有し、ガイドレール82および84の各々は、
図8に示すように、レール部71と、鍔部73および75とを有する。
【0042】
また、頂壁68には、上述の貫通孔76、78、および80にそれぞれ対応する貫通孔88、90、および92が形成されている。なお、貫通孔92は、貫通孔80の右側に隣接して配置されている。
【0043】
再度、
図3および
図4を参照して、第1のクランプ機構54は、第1の爪94、第2の爪96、付勢部98、シャフト100、および歯車101を有する。第1の爪94および第2の爪96は、載置台52の上面68aに開閉可能に設けられている。
【0044】
図3、
図4、および
図9に示すように、第1の爪94は、y軸方向に真直ぐ延びる縦ブロック部102と、該縦ブロック部102の後端から下方へ突出する係合部104と、縦ブロック部102の前端から左方へ突出する横ブロック部106と、該横ブロック部106の後端面106aから後方へ突出するクランプ部108とを有する。
【0045】
縦ブロック部102の左端面102aには、y軸方向に並ぶ複数の歯部110(第1の歯部)が形成されている。クランプ部108の後端面108aには、該後端面108aから内方へ凹む凹部108bが形成されている。また、係合部104は、z軸に対して傾斜する傾斜面104aを有する。
【0046】
図9および
図10に示すように、横ブロック部106およびクランプ部108の底面112には、該底面112から内方へ凹む凹部114が形成されている。
【0047】
この凹部114は、底面112と略平行な端面113と、該端面113から互いに対向して下方へ延出する端面116および118と、該端面116および118から内方へそれぞれ突出する爪部120および122とによって、画定されている。この凹部114は、上述したガイドレール70を受容する。
【0048】
図3、
図4、および
図11に示すように、第2の爪96は、y軸方向に真直ぐに延びる縦ブロック部124と、該縦ブロック部124の前端から下方へ突出する係合部126と、該縦ブロック部124の前端から上方へ突出する突部127と、縦ブロック部124の後端から右方へ突出する横ブロック部128と、横ブロック部128の前面128aから前方へ突出するクランプ部130とを有する。
【0049】
横ブロック部128およびクランプ部130の右端面132には、y軸方向に並ぶ複数の歯部134(第2の歯部)が形成されている。また、クランプ部130の前端面130aには、該前端面130aから内方へ凹む凹部130bが形成されている。また、係合部126は、z軸に対して傾斜する傾斜面126aを有する。
【0050】
図11および
図12に示すように、横ブロック部128およびクランプ部130の底面136には、該底面136から内方へ凹む凹部138が形成されている。
【0051】
この凹部138は、底面136と略平行な端面140と、該端面140から互いに対向して下方へ延出する端面142および144と、該端面142および144から内方へそれぞれ突出する爪部146および148とによって、画定されている。この凹部138は、上述したガイドレール72を受容する。
【0052】
図3、
図4および
図13に示すように、付勢部98は、載置台52に設けられたシャフト保持部74と、第1の爪94の横ブロック部106との間に介挿されている。本実施形態においては、付勢部98は、コイルバネであって、第1の爪94を後方へ付勢する。
【0053】
シャフト100は、シャフト保持部74の貫通孔74aに摺動可能に挿通され、その先端100aが第1の爪94の横ブロック部106に固定されている。また、シャフト100は、付勢部98に挿通され、これにより、該付勢部98を所定位置に位置決めする。
【0054】
図3および
図4に示すように、歯車101は、第1の爪94に形成された歯部110と、第2の爪96に形成された歯部134との間に介挿され、これら歯部110および134と係合する。歯車101は、鉛直軸周りに回動可能となるように、頂壁68の上面68aに取り付けられている。
【0055】
次に、
図3、
図4、
図14〜
図16を参照して、載置台52に対する第1の爪94および第2の爪96の取付構造について説明する。
【0056】
第1の爪94が載置台52に取り付けられた状態においては、
図15に示すように、載置台52に設けられたガイドレール70が、第1の爪94に形成された凹部114内に受容される。
【0057】
このとき、ガイドレール70の鍔部73および75が、第1の爪94に設けられた爪部120および122と係合することによって、第1の爪94がガイドレール70から上方へ脱落してしまうのを防止する。この構成により、第1の爪94は、ガイドレール70によって案内されて、上面68aに対してy軸方向へ移動できる。
【0058】
また、
図14に示すように、第1の爪94の縦ブロック部102に設けられた係合部104は、載置台52の頂壁68に形成された貫通孔78に受容され、その下端が、載置台52の内部空間Sに突出している。
【0059】
一方、第2の爪96が載置台52に取り付けられたとき、
図16に示すように、載置台52に設けられたガイドレール72が、第2の爪96に形成された凹部138内に受容される。
【0060】
このとき、ガイドレール72の鍔部73および75が、第2の爪96に設けられた爪部146および148と係合することによって、第2の爪96がガイドレール72から上方へ脱落してしまうのを防止する。この構成により、第2の爪96は、ガイドレール72によって案内されて、上面68aに対してy軸方向へ移動できる。
【0061】
また、
図14に示すように、第2の爪96の縦ブロック部124に設けられた係合部126は、載置台52の頂壁68に形成された貫通孔76に受容され、その下端が、載置台52の内部空間Sに突出している。
【0062】
図14に示すように、第1のクランプ機構54は、移動規制部150、付勢部152(第2の付勢部)、および操作部154をさらに有する。移動規制部150は、載置台52の内部空間Sに配置され、本体部156、係合部158および160を有する。
【0063】
本体部156は、x−y平面に略平行に配置された平板部材である。本体部156には、複数の貫通孔156aが形成されている。これら貫通孔156aには、載置台52の底壁58に形成されたシャフト部59が摺動可能にそれぞれ受容されている。これにより、移動規制部150は、x軸方向およびy軸方向への移動が規制されつつ、z軸方向へ移動可能となる。
【0064】
係合部158は、本体部156の後端から上方へ突出し、載置台52の頂壁68に形成された貫通孔78の下方に配置されている。係合部158は、第1の爪94の係合部104に形成された傾斜面104aと略平行な傾斜面158aを有する。
【0065】
係合部160は、本体部156の前端から上方へ突出し、載置台52の頂壁68に形成された貫通孔76の下方に配置されている。係合部160は、第2の爪96の係合部126に形成された傾斜面126aと略平行な傾斜面160aを有する。
【0066】
付勢部152の各々は、コイルバネであって、載置台52の底壁58と移動規制部150との間に介挿され、移動規制部150を上方へ付勢する。載置台52の底壁58に形成されたシャフト部59は、付勢部152にそれぞれ挿通され、これにより、該付勢部152を所定位置に位置決めする。
【0067】
操作部154は、載置台52の頂壁68に形成された貫通孔80に摺動可能に挿通され、その下端154aが、移動規制部150の本体部156の上面156bと当接している。
【0068】
再度、
図3および
図4を参照して、第2のクランプ機構56は、第1のクランプ機構54と同じ構成を有する。具体的には、第2のクランプ機構56は、第1の爪94、第2の爪96、付勢部98、シャフト100、歯車101、移動規制部150、付勢部152、および操作部154を有する。
【0069】
第2のクランプ機構56の第1の爪94が載置台52に取り付けられた状態においては、載置台52に設けられたガイドレール82が、第2のクランプ機構56の第1の爪94に形成された凹部114内に受容される。また、第2のクランプ機構56の第1の爪94の縦ブロック部102に設けられた係合部104は、載置台52の頂壁68に形成された貫通孔90に受容される。
【0070】
第2のクランプ機構56の第2の爪96が載置台52に取り付けられたとき、載置台52に設けられたガイドレール84が、第2のクランプ機構56の第2の爪96に形成された凹部138内に受容される。
【0071】
また、第2のクランプ機構56の第2の爪96の縦ブロック部124に設けられた係合部126は、載置台52の頂壁68に形成された貫通孔88に受容される。第2のクランプ機構56のシャフト100は、シャフト保持部86の貫通孔86aに挿通され、その先端100aが、第2のクランプ機構56の第1の爪94に固定される。
【0072】
第2のクランプ機構56の移動規制部150は、載置台52の内部空間Sにおいて、第1のクランプ機構54の移動規制部150の右側に隣接して配置され、第2のクランプ機構56の付勢部152によって上方へ付勢される。
【0073】
そして、第2のクランプ機構56の操作部154は、載置台52の頂壁68に形成された貫通孔92に摺動可能に挿通され、第2のクランプ機構56の移動規制部150と当接する。
【0074】
次に、
図3、
図4、
図14、および
図17を参照して、ワーク搬送パレット50の機能について説明する。第1のクランプ機構54および第2のクランプ機構56は、載置台52の上面68aに載置されたワークをクランプおよびアンクランプする。
【0075】
以下、第1のクランプ機構54でワークをクランプおよびアンクランプする動作について説明する。
図3、
図4および
図14は、第1の爪94および第2の爪96が閉状態となっている場合を示している。
【0076】
この閉状態においては、第1の爪94のクランプ部108の後端面108a(
図9)と、第2の爪96のクランプ部130の前端面130a(
図11)とが、互いに隣接して対面する。
【0077】
また、
図14に示すように、第1の爪94の係合部104の後端面が、貫通孔78を画定する壁面と係合し、これにより、第1の爪94の後方への移動が規制されている。同様に、第2の爪96の係合部126の前端面が、貫通孔76を画定する壁面と係合し、これにより、第2の爪96の前方への移動が規制されている。
【0078】
第1のクランプ機構54でワークをクランプする場合、まず、第1の爪94および第2の爪96を開状態とする。具体的には、第2の爪96の突部127を後方(すなわち、開方向)へ押す。
【0079】
そうすると、第2の爪96は、
図3、
図4、および
図14に示す位置から、ガイドレール72に案内されつつ後方へ移動する。上述したように、第2の爪96の係合部126に形成された傾斜面126aと、移動規制部150の係合部160に形成された傾斜面160aとは、略平行である。
【0080】
よって、
図3、
図4、および
図14に示す位置から第2の爪96が後方へ移動されたとき、傾斜面126aは、傾斜面160a上を摺動しつつ、該傾斜面160aを下方へ押す。これにより、移動規制部150は、付勢部152の付勢力に反して僅かに下方へ変位し、その結果、係合部126は、係合部160を乗り越えることができる。
【0081】
係合部126が係合部160を乗り越えたとき、移動規制部150は、付勢部152の付勢力によって、再度、上方の位置へ復帰する。そして、
図17に示すように、係合部160が係合部126と係合し、第2の爪96の前方(すなわち、閉方向)への移動が規制される。
【0082】
第2の爪96が後方へ移動されるにつれて、該第2の爪96のクランプ部130に形成された歯部134が、歯車101を、上方から見て反時計回りに回転させる。このように歯車101が回転されるにつれて、該歯車101と、第1の爪94の縦ブロック部102に形成された歯部110との間の係合によって、第1の爪94がガイドレール70に沿って前方(すなわち、開方向)へ移動される。
【0083】
このように、本実施形態においては、歯部110、歯部134、および歯車101の作用によって、第2の爪96の後方への移動に連動して、第1の爪94が前方へ移動される。
【0084】
したがって、歯部110、歯部134、および歯車101は、第1の爪94の前後方向への移動と、第2の爪96の前後方向への移動とをそれぞれ連動させる連動機構162(
図3、
図4)を構成する。
【0085】
上述したように、第1の爪94の係合部104に形成された傾斜面104aと、移動規制部150の係合部158に形成された傾斜面158aとは、略平行である。したがって、第1の爪94が前方へ移動されると、傾斜面104aは、傾斜面158a上を摺動しつつ、該傾斜面158aを下方へ押す。
【0086】
これにより、移動規制部150は、付勢部152の付勢力に反して僅かに下方へ変位し、その結果、係合部104は、係合部158を乗り越えることができる。係合部104が係合部158を乗り越えたとき、移動規制部150は、付勢部152の付勢力によって、再度、上方の位置へ復帰する。
【0087】
そして、
図17に示すように、係合部158が係合部104と係合し、第1の爪94の後方(すなわち、閉方向)への移動が規制される。こうして、第1の爪94および第2の爪96は、
図17に示す開状態となる。
【0088】
この開状態においては、第1の爪94のクランプ部108の後端面108a(
図9)と、第2の爪96のクランプ部130の前端面130a(
図11)とは、予め定められた距離(閉状態よりも大きい距離)だけ、互いからy軸方向へ離隔する。
【0089】
第1の爪94および第2の爪96を開状態とした後、クランプ部108とクランプ部130との間の位置において、載置台52の上面68aにワークが載置される。
【0090】
次いで、操作部154が下方へ押される。上述したように、操作部154の下端154aは、移動規制部150の上面156bに当接している。したがって、操作部154が下方へ押されると、移動規制部150は、
図18に示すように、付勢部152の付勢力に反して下方へ移動される。
【0091】
これにより、係合部158および160が、それぞれ、係合部104および126から脱離し、係合部104と係合部158との間の係合、および、係合部126と係合部160との間の係合が、解除される。
【0092】
そうすると、付勢部98の付勢力によって、第1の爪94が後方へ移動し、この第1の爪94の後方移動と連動して、第2の爪96が前方へ移動する。その結果、クランプ部108とクランプ部130との間でワークが挟持される。
【0093】
本実施形態においては、クランプ部108および130に、それぞれ、凹部108bおよび130bが形成されている。ワークは、クランプ部108とクランプ部130との間でクランプされたとき、この凹部108bおよび130b内に安定して保持される。
【0094】
ワークをアンクランプするときは、上述した方法で、第1の爪94および第2の爪96を、再度、開状態とする。これにより、第1のクランプ機構54からワークをアンクランプすることができる。
【0095】
なお、第2のクランプ機構56でワークをクランプおよびアンクランプする動作は、第1のクランプ機構54と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0096】
次に、
図19〜
図21を参照して、製造ライン10の動作について説明する。
図19に示すフローは、ロボット制御部20、22、または24が、作業プログラムまたは上位コントローラから作業開始指令を受け付けたときに、開始する。
【0097】
図19に示すフローが開始された後、
図1に示すコンベア12上に、ワーク搬送パレット50が所定の間隔で設置される。ここで、ロボット14の上流側にあるワーク搬送パレット50のクランプ機構54、56は、全て開状態とされている。
【0098】
ステップS1において、ロボット制御部20は、ロボット14を動作させて、ワークを載置台52の上面68aに載置する。具体的には、ロボット制御部20は、撮像部25に指令を送り、コンベア12によってロボット14の位置に搬送されたワーク搬送パレット50を撮像する。
【0099】
次いで、ロボット制御部20は、ロボットプログラムに従って、ロボット14に内蔵されたサーボモータに指令を送り、予め定められた場所に保管されているワークを、ロボットハンド34によって把持する。
【0100】
次いで、ロボット制御部20は、撮像部25によって撮像された画像に基づいてロボット14を動作させ、ロボットハンド34によって把持したワークを、開状態となっている第1のクランプ機構54のクランプ部108とクランプ部130との間の位置に載置する。同様にして、ロボット制御部20は、第2のクランプ機構56のクランプ部108とクランプ部130との間の位置にワークを載置する。
【0101】
ステップS2において、ロボット制御部20は、ロボット14を動作させて、操作部154を操作する。具体的には、ロボット制御部20は、ステップS1にて撮像部25が撮像した画像に基づいてロボット14を動作させて、
図20に示すように、ロボット14の指部44を、第1のクランプ機構54の操作部154の上に配置する。
【0102】
そして、ロボット制御部20は、ロボットアーム30を動作させてロボットハンド34を下方へ移動させ、これにより、操作部154を下方へ押す。そうすると、
図18を用いて上述したように、係合部158および160が、それぞれ、係合部104および126から脱離し、第1の爪94および第2の爪96が閉方向へ移動する。その結果、ワークがクランプ部108とクランプ部130との間でクランプされる。
【0103】
同様に、ロボット制御部20は、ロボット14を動作させて、第2のクランプ機構56の操作部154を下方へ押し、第2のクランプ機構56のクランプ部108とクランプ部130との間でワークをクランプする。
【0104】
ステップS3において、ロボット制御部20は、ワークが第1のクランプ機構54および第2のクランプ機構56によって適正に把持されたか否かを判定する。具体的には、ロボット制御部20は、撮像部25に指令を送り、ステップS2の終了時点におけるワーク搬送パレット50を撮像する。
【0105】
ロボット制御部20は、このステップS3で撮像した画像と、予め記憶部に記憶された適正画像とを比較することによって、ワークが第1のクランプ機構54および第2のクランプ機構56によって適正に把持されたか否かを判定する。なお、適正画像とは、ワークが第1のクランプ機構54および第2のクランプ機構56によって適正に把持された状態を撮像した画像である。
【0106】
ロボット制御部20は、ワークが第1のクランプ機構54および第2のクランプ機構56によって適正に把持された(すなわち、YES)と判定した場合、ステップS4へ進む。一方、ロボット制御部20は、ワークが第1のクランプ機構54および第2のクランプ機構56によって適正に把持されていない(すなわち、NO)と判定した場合、ステップS8へ進む。
【0107】
ステップS4において、ロボット制御部22は、ロボット16を動作させて、ワークに対して作業を行う。具体的には、コンベア12は、ステップS3の終了後、ステップS2にてワークをクランプしたワーク搬送パレット50を、ロボット16の位置へ搬送する。
【0108】
ロボット制御部22は、ロボットプログラムに従ってロボット16を動作させて、ワーク搬送パレット50にクランプされたワークに対して、ワークの組み立て、加工、または溶接等の作業を行う。このステップS4の終了後、コンベア12は、作業済のワークをクランプしたワーク搬送パレット50を、ロボット18の位置へ搬送する。
【0109】
ステップS5において、ロボット制御部24は、ロボット18を動作させて、第1の爪94および第2の爪96を開状態とする。具体的には、ロボット制御部24は、撮像部27に指令を送り、コンベア12によってロボット18の位置に搬送されたワーク搬送パレット50を撮像する。
【0110】
次いで、ロボット制御部24は、撮像部27によって撮像された画像に基づいてロボット18を動作させ、
図21に示すように、第1のクランプ機構54の第2の爪96に設けられた突部127を、ロボットハンド34で把持する。
【0111】
そして、ロボット制御部24は、ロボットアーム30を動作させて、
図21に示す状態からロボットハンド34を後方へ移動させ、これにより、突部127を後方へ押す。そうすると、第1の爪94および第2の爪96は、上述したように、互いに連動して開方向へと移動し、
図17に示す開状態となる。こうして、第1のクランプ機構54は、ワークをアンクランプする。
【0112】
同様に、ロボット制御部24は、ロボット18を動作させて、第2のクランプ機構56の第2の爪96に設けられた突部127を後方へ押し、第2のクランプ機構56の第1の爪94および第2の爪96を開状態とする。これにより、第2のクランプ機構56は、ワークをアンクランプする。
【0113】
ステップS6において、ロボット制御部24は、ロボット18を動作させて、ステップS5にてアンクランプされたワークを、ワーク搬送パレット50から取り出す。具体的には、ロボット制御部24は、撮像部27に指令を送り、ステップS5で開状態にされたワーク搬送パレット50を撮像する。
【0114】
次いで、ロボット制御部24は、撮像部27によって撮像された画像に基づいてロボット18を動作させ、ロボット18のロボットハンド34でワークを把持し、把持したワークを所定の保管場所へ搬送する。
【0115】
ステップS7において、ロボット制御部20、22、または24は、全てのワークに対して作業を完了したか否かを判定する。ロボット制御部20、22、または24は、全ての作業が完了した(すなわち、YES)と判定した場合、
図19に示すフローを終了する。一方、ロボット制御部20、22、または24は、作業が完了していないワークが残存している(すなわち、NO)と判定した場合。ステップS1へ戻る。
【0116】
ステップS3にてNOと判定した場合、ステップS8において、ロボット制御部20は、ステップS3にてワークを適正にクランプしていないと判定したクランプ機構54または56の第1の爪94および第2の爪96を開状態とする。
【0117】
具体的には、ロボット制御部20は、上述のステップS5と同様の方法により、ワークを適正にクランプしていないクランプ機構54または56の第1の爪94および第2の爪96を開状態とし、ワークをアンクランプする。
【0118】
ステップS9において、ロボット制御部20は、ロボット14を動作させて、ステップS8にてアンクランプされたワークを、ワーク搬送パレット50から取り出す。具体的には、ロボット制御部20は、ロボット14のロボットハンド34でワークを把持して持ち上げる。そして、ロボット制御部20は、ステップS1へ戻り、持ち上げたワークを載置台
52に再度、載置する。
【0119】
このように、本実施形態に係るワーク搬送パレット50においては、付勢部98の作用によって第1の爪94および第2の爪96を閉方向へ移動させ、また、移動規制部150によって、第1の爪94および第2の爪96の開状態を維持している。
【0120】
この構成によれば、例えばロボット14、18によって、第1の爪94および第2の爪96を開閉させることが可能となる。したがって、外部機器から提供される圧縮ガスまたは電力等の動力によって動作するアクチュエータを不要にできるので、製造ライン10の構造を簡単とすることができる。その結果、製造コストを低減するとともに、作業の信頼性を向上させることができる。
【0121】
また、本実施形態に係るワーク搬送パレット50においては、連動機構162によって、第1の爪94と第2の爪96とが互いに連動して開閉する。この構成によれば、1つの付勢部98で第1の爪94と第2の爪96とを開閉できるので、部品点数を削減でき、また、ワーク搬送パレット50の構造を簡単とすることができる。
【0122】
また、ワーク搬送パレット50は、操作部154を備えている。この構成によれば、例えばロボット14によって、開状態となっている第1の爪94および第2の爪96を、簡単に閉状態にできる。
【0123】
なお、上述のワーク搬送パレット50においては、第1の爪94および第2の爪96の双方が、載置台52に対して可動に設けられている。しかしながら、これに限らず、第1の爪94または第2の爪96は、載置台52に固定されてもよい。
【0124】
このような実施形態について、
図22および
図23を参照して説明する。ワーク搬送パレット50’は、載置台52’、第1のクランプ機構54’、および第2のクランプ機構56’を備える。
【0125】
載置台52’は、上述の載置台52と、以下の構成において相違する。すなわち、載置台52’には、上述のガイドレール72および84と、貫通孔76および88とが設けられていない。
【0126】
第1のクランプ機構54’は、上述の第1のクランプ機構54と、第2の爪96’および移動規制部150’の構成において、相違する。すなわち、第2の爪96’は、載置台52’の上面68aに固定されている。
【0127】
第2の爪96’は、載置台52’とは別体の部材として作製され、ボルト等の締結具、接着剤、または溶接等によって、上面68aに固定されてもよい。または、第2の爪96’は、載置台52’に一体に設けられてもよい。
【0128】
移動規制部150’は、上述の移動規制部150と、以下の構成において相違する。すなわち、移動規制部150’には、上述の係合部160が設けられていない。
【0129】
本実施形態において、第1の爪94および第2の爪96’を開状態とする場合(すなわち、
図19のステップS5、S8)、ロボット制御部20、24は、ロボット14、18を動作させて、ロボット14、18の指部44または42を、該指部44または42と係合可能な第1の爪94の部分に当接させる。
【0130】
この係合可能な部分としては、例えば、第1の爪94の縦ブロック部102の後端面102b、または、第1の爪94の横ブロック部106の後端面106aがある。
【0131】
そして、ロボット制御部20、24は、ロボット14、18を動作させて、指部44または42によって、この係合可能な部分を前方(すなわち、開方向)へ押す。その結果、第1の爪94が前方へ移動し、第1の爪94および第2の爪96’が開状態となる。そして、移動規制部150’の係合部158が、第1の爪94の係合部104と係合し、第1の爪94の後方(すなわち、閉方向)への移動が規制される。
【0132】
一方、第1の爪94および第2の爪96’を閉状態とする場合(すなわち、
図19のステップS2)、ロボット制御部20は、上述の実施形態と同様に、ロボット14を動作させて操作部154を下方へ押す。これにより、係合部158が係合部104から脱離し、第1の爪94が閉方向へ移動する。こうして、第1の爪94および第2の爪96’が閉状態となる。
【0133】
本実施形態においても、上述の実施形態と同様に、外部機器から提供される圧縮ガスまたは電力等の動力によって動作するアクチュエータを不要にできるので、製造ライン10の構造を簡単とすることができる。
【0134】
なお、上述したワーク搬送パレット50において、第1の爪94の係合部104と、移動規制部150の係合部158を省略してもよい。この場合、第2の爪96の係合部126と移動規制部150の係合部104とが係合して、第2の爪96の閉方向への移動が規制される。
【0135】
第1の爪94と第2の爪96の移動は、連動機構162によって連動しているので、第2の爪96の移動が規制された場合、連動機構162を介して、第1の爪94の移動も規制される。よって、第1の爪94および第2の爪96の開状態を維持できる。
【0136】
または、係合部104および係合部158の代わりに、第2の爪96の係合部126と、移動規制部150の係合部160を省略してもよい。
【0137】
このように、係合部104および158(または、係合部126および160)を省略することによって、第1の爪または第2の爪と、移動規制部の構成を簡単とすることができる。
【0138】
その一方で、係合部104、126、158、および160を全て具備する移動規制部150によれば、第1の爪94および第2の爪96の開状態を、より安定して維持することができる。
【0139】
また、上述の実施形態においては、付勢部98が、コイルバネである場合について述べた。しかしながら、これに限らず、付勢部98は、変位されたときに該変位に応じた反力を発生させる弾性材料(例えば、ゴム)、または、磁石であってもよい。
【0140】
例えば磁石を付勢部に適用する場合、シャフト保持部74、86の後端面に第1の磁石を固定する一方、第1の爪94の横ブロック部106の前端面に第2の磁石を固定する。第1の磁石および第2の磁石の磁極は、該第1の磁石および該第2の磁石が互いから離反する磁力を生じさせるように、設定される。こうして、磁石から構成された付勢部は、第1の爪94を閉方向へ付勢することができる。
【0141】
また、上述の実施形態において、付勢部98とは別の他の付勢部を設けて、該他の付勢部によって第2の爪96を閉方向へ付勢してもよい。
【0142】
また、上述の実施形態において、撮像部25および27を省略することもできる。このような実施形態の場合、コンベア12に、ワーク搬送パレット50、50’を位置決めするための位置決め手段(例えば、冶具)が設けられる。コンベア12上に載置されたワーク搬送パレット50、50’は、位置決め手段によって、コンベア12上の予め定められた位置に、位置決めされる。
【0143】
例えば、位置決め手段は、載置台52、52’の底壁58、前壁60、後壁62、左壁64、右壁66、または頂壁68に形成された複数の穴と、コンベア12側に設けられ、該複数の穴にそれぞれ挿通される複数のピンとを有する。
【0144】
この実施形態において
図19に示すフローを実行する場合、ロボット制御部20、24は、ステップS1、S2、S5およびS6において、ロボットプログラムに従ってロボット14を動作させて、これらステップS1、S2、S5およびS6を実行する。
【0145】
この実施形態においては、ワーク搬送パレット50が位置決め手段によってコンベア12上の所定位置に位置決めされているので、ロボット制御部20、24は、撮像部が撮像した画像を用いることなく、ロボットプログラムに従ってロボット14を動作させることにより、ステップS1、S2、S5およびS6を実行できる。
【0146】
このロボットプログラムは、位置決め手段によってコンベア12上に位置決めされたワーク搬送パレット50に対する、ワークの載置(ステップS1)、操作部154の操作(ステップS2)、爪94および96の開放(ステップS5)、およびワークの取り出し(ステップS6)といった動作をロボット14に教示することによって、構築され得る。
【0147】
以上、発明の実施形態を通じて本発明を説明したが、上述の実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、本発明の実施形態の中で説明されている特徴を組み合わせた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得るが、これら特徴の組み合わせの全てが、発明の解決手段に必須であるとは限らない。さらに、上述の実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることも当業者に明らかである。
【0148】
また、特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、工程、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」、「次いで」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。