特許第6392813号(P6392813)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セブ ソシエテ アノニムの特許一覧

特許6392813基部および携帯用ユニットを備える蒸気整髪装置
<>
  • 特許6392813-基部および携帯用ユニットを備える蒸気整髪装置 図000002
  • 特許6392813-基部および携帯用ユニットを備える蒸気整髪装置 図000003
  • 特許6392813-基部および携帯用ユニットを備える蒸気整髪装置 図000004
  • 特許6392813-基部および携帯用ユニットを備える蒸気整髪装置 図000005
  • 特許6392813-基部および携帯用ユニットを備える蒸気整髪装置 図000006
  • 特許6392813-基部および携帯用ユニットを備える蒸気整髪装置 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6392813
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】基部および携帯用ユニットを備える蒸気整髪装置
(51)【国際特許分類】
   A45D 1/04 20060101AFI20180910BHJP
   A45D 1/00 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
   A45D1/04 D
   A45D1/00 D
   A45D1/00 502B
   A45D1/00 507B
   A45D1/00 508C
   A45D1/00 508D
   A45D1/00 509C
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-141724(P2016-141724)
(22)【出願日】2016年7月19日
(62)【分割の表示】特願2011-241083(P2011-241083)の分割
【原出願日】2011年11月2日
(65)【公開番号】特開2016-179350(P2016-179350A)
(43)【公開日】2016年10月13日
【審査請求日】2016年8月18日
(31)【優先権主張番号】1059120
(32)【優先日】2010年11月5日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】594034072
【氏名又は名称】セブ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ザビエル ヴァシュロン
(72)【発明者】
【氏名】ジェローム トウゴウチ
(72)【発明者】
【氏名】マーシャル メゾヌーブ
【審査官】 大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭57−093006(JP,A)
【文献】 特表2005−530581(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0061352(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 1/04
A45D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪のスタイリングが意図された装置(1)であって、
流体貯留器(19)を備える基部(1000)と、
記基部(1000)から離れ、流体蒸発手段(7)、および毛髪を対象とする蒸気分配手段(7’、7”)を備える携帯用ユニット(100)と、
流体が通るように意図され、前記流体貯留器(19)と前記流体蒸発手段(7)の間に配置された少なくとも1本のライン(215)を備えるコードセット(21)と、
流体出力調節手段(6)を制御する制御ユニット(13)と
を備え、
前記携帯用ユニット(100)は、前記毛髪と接触することが意図された第1の処理表面(4)を備え、前記流体蒸発手段(7)は、前記携帯用ユニット(100)内だけに設けられ
前記携帯用ユニット(100)は、開閉可能に構成され、
前記制御ユニット(13)は、前記携帯用ユニット(100)の開状態において前記第1の処理表面(4)が加熱された後に、前記携帯用ユニット(100)の閉状態が検出された場合、前記毛髪に蒸気が吐出可能なように、前記流体出力調節手段(6)を制御して前記コードセット(21)を介して前記流体貯留器(19)から前記流体蒸発手段(7)に供給するように構成されている
ことを特徴とする装置(1)。
【請求項2】
前記携帯用ユニット(100)は、前記第1の処理表面(4)を加熱する加熱手段(41)を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記流体蒸発手段(7)は、蒸発チャンバおよび前記蒸発チャンバの加熱手段を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記蒸気分配手段(7’、7”)は、前記第1の処理表面(4)に対して横方向に配置された一続きの蒸気出口オリフィスを有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記携帯用ユニットは、互いに面して配置された第1の顎部(2)および第2の顎部(3)を備え、前記第1の処理表面(4)は、前記第1の顎部(2)によって担持され、第2の処理表面(5)は、前記第2の顎部(3)によって担持され、前記顎部は、前記第1および第2の処理表面(4,5)が毛髪の房をクランプするように開位置から閉位置に進むようにして連結されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記第2の処理表面(5)を加熱する加熱手段(9)を備えることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記毛髪を処理するための前記第1の処理表面(4)および前記第2の処理表面(5)は、平坦、湾曲または波形であり、前記装置の閉位置においてほぼ合わさる相補的表面であることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の装置。
【請求項8】
流体ライン(211)は、柔軟な管状材料から構成されることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
流体ライン(211)は、約0.5mmと約3mmの間の内径を有することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
第1の導線(222)を封入する第1の電気ケーブル(212)と、第2の導線(223)を封入する第2の電気ケーブル(213)とを少なくとも備え、2つのケーブル(212、213)は、シース(216)の内側にあり、電力を制御ユニット(13)に供給することを可能にすることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記コードセット(21)は、前記シース(216)の内側に、電力を少なくとも前記流体出力調節手段(6)に供給することを可能にする第3の導体224が封入された第3の電気ケーブル214を備えることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記コードセット(21)は、第3の導体224が封入された第3の電気ケーブル214を備え、前記第1のケーブルおよび第2のケーブルは、前記シース(216)の内側にあり、前記第3のケーブルは、シース216の外側にあり、電力を少なくとも前記流体出力調節手段(6)に供給することを可能にすることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気を用い、毛髪との接触によってスタイリングするように意図された、詳細には人間の毛髪をストレート成形する、カーリングする、またはウエーブ付けするように意図された整髪装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ストレート成形、カーリング、またはウエーブ付けを可能にするヘアスタイリング装置の2つの従来のタイプが知られており、毛髪をクランプするその表面は、平坦、湾曲、または起伏付きのものであり、加熱されるまたは加熱するものである。
【0003】
ストレート成形、カーリング、またはウエーブ付けのためのトングタイプ(tong−type)の装置は、一般的に、2つの枢動する顎部を有し、その各々は、処理表面を担持する端部を備え、処理表面の少なくとも一方は、加熱され、他方は、具体的には毛髪の挿入を可能にする開いた顎部の位置から毛髪を加熱部と接触させるための閉位置に進むことによって、毛髪を第1のものと接触させるように意図される。
【0004】
顎部の他方の端部は、把持領域として作用し、開位置から閉位置に進むことを可能にする2つのハーフハンドルを形成する。この移行は、装置の2つの連接されたハーフハンドルを互いに向かって押さえ付けることによって手動で行われて処理表面を毛髪と接触させる。毛髪の房のストレート成形は、装置をこの房に沿って根元から端部方向に移動させることによって行われる。毛髪の房のカーリングは、房を1つの処理表面または複数の処理表面の周りで少なくとも部分的に巻き、熱を掛けてカールを主として固定式にセットすることによって行われる。
【0005】
毛髪のスタイリングを向上させるために、そのような装置内で、毛髪に放出された蒸気を使用することも実現される。
【0006】
特許文献1は、基部内に離れて置かれた蒸気発生器を備えたカーリングアイロンについて記載している。蒸気は、全体的かつ単独で蒸気発生基部内で生成され、蒸気通路コードセットを介して携帯用ストレート成形器に運ばれてヘアスタイリング装置の穿孔部を介して出る。同様に、特許文献2は、毛髪をスタイリングするのに必要な蒸気のすべてのタイプを循環させることを可能にする外部の蒸気発生器を備えるヘアスタイリング装置について記載している。ヘアスタイリング装置をその基部に連結させるコードセット13は、蒸気を運ぶためのホースを少なくとも備え、同じ組立体内には電気ケーブルが含まれる。これらの2つの文献では、蒸気は、基部内で形成され、コードセットを介して携帯用ストレート成形器に届けられる。これは、いくつかの欠点、詳細には凝縮効果を有する。形成され、ルーティングされた蒸気は、携帯用装置に至る供給ライン内で冷えることがあり、携帯用装置は、蒸気および高温水の混合物を排出することになり、この高温水は、ユーザの頭皮上に排出された場合危険である。
【0007】
特許文献3は、出口において高温空気および/または蒸気および/またはミストを供給することができる外部ユニットを備えたヘアドライヤに関するということから、別のタイプのヘアスタイリング装置について記載している。基部ユニットは、水貯留器およびポンプを備え、このユニットは、携帯用ヘアドライヤにコードセットを介して液体を供給する貯留器を備える。蒸気は、ヘアドライヤ内でライン周りの加熱要素によって作り出され得る。しかし、この装置の目的は、ミストまたは蒸気を高温空気に加えることによって毛髪を脱水化させずに乾燥させることである。この装置の目的は、毛髪と接触することが意図された少なくとも1つの処理表面を用いることによって毛髪をスタイリングすることではない。
【0008】
結果として、蒸気を用いて毛髪と接触することによるスタイリングのための装置において、小型で頑丈な自動式の複雑でない設計、ならびに温環境で機能することができ、連続的、または一定でもある、出力設定に従った蒸気出力を確実にすることができる安全対策を有するものはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2007141276号パンフレット
【特許文献2】欧州特許第0659363号明細書
【特許文献3】米国特許第20090183382号明細書
【特許文献4】欧州特許第0619087号明細書
【特許文献5】欧州特許第2162114号明細書
【特許文献6】国際公開第2008129172号パンフレット
【特許文献7】欧州特許第2145557号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、上述した欠点を少なくとも部分的に解決し、蒸気を用いて毛髪と接触することによってスタイリングし、小型の自動手段を備え、蒸気の連続的な出力を確実にすることができる装置を提案することである。
【0011】
本発明の別の目的は、髪を蒸気に接触させた状態のスタイリング装置であって、少なくとも蒸気機能のパラメータを信頼高く制御することができる、スタイリング装置である。
【0012】
本発明の別の目的は、髪を蒸気に接触させた状態のヘアスタイリング装置であって、制御設定に対応する蒸気の連続的で、一定でもある出力を確実にすることができるヘアスタイリング装置である。
【0013】
本発明の別の目的は、髪を蒸気に接触させた状態のヘアスタイリング装置であって、その作動において堅固で頑丈であり、たとえば機械的変形に関して良好な耐久性を確実にするヘアスタイリング装置である。
【0014】
本発明の別の目的は、髪を蒸気に接触させた状態のヘアスタイリング装置であって、その作動において効率的でありおよび/またはすばやい、ヘアスタイリング装置である。
【0015】
本発明の別の目的は、髪を蒸気に接触させた状態のおよび/または流体分配を有するヘアスタイリング装置であって、その作動において漏れが無いヘアスタイリング装置である。
【0016】
本発明の別の目的は、髪を蒸気に接触させた状態のヘアスタイリング装置であって、装置の位置に関わらず作動を確実にする、ヘアスタイリング装置である。
【0017】
本発明の別の目的は、髪を蒸気に接触させた状態のヘアスタイリング装置であって、容易で実用的な使用を可能にするヘアスタイリング装置である。
【0018】
本発明の別の目的は、髪を蒸気に接触させた状態のヘアスタイリング装置であって、その設計において簡単で安価であるヘアスタイリング装置である。
【0019】
本発明の別の目的は、髪を蒸気に接触させた状態のヘアスタイリング装置であって、安全であり、高温の環境で機能することができるヘアスタイリング装置である。
【0020】
これらの目的は、ヘアスタイリングが意図された装置であって、流体貯留器を備える基部と、基部から離れ、流体蒸発手段と、毛髪に向かうようになっている蒸気を分配する手段とを備える携帯用ユニットと、流体が通るように意図され、流体貯留器と蒸発手段の間に配置された少なくとも1本のラインを備えるコードセットとを備え、携帯用ユニットは、毛髪と接触することが意図された第1の処理表面を備え、流体を蒸発させる手段は、携帯用ユニット内だけに設けられる、装置によって達成される。
【0021】
この装置は、ユーザに優しい方法で接触することによって毛髪をスタイリングすること、軽量であり、取り扱いが容易であるハンドルユニットを提供すること、上記で説明した凝縮効果を回避すること、軽量の基部を提供し、より安全な作動状態で使用できること、より安価な装置を提供すること、およびより良好に制御された蒸気出力を備えた装置を提供することを可能にする。このため、蒸発能力が増大する。
【0022】
本発明によれば、携帯用ユニットは、第1の処理表面を加熱する加熱手段を備えることができる。したがって、ヘアスタイリングは、高温または加熱された処理表面との接触によってより効率的に実施される。
【0023】
本発明によれば、流体蒸発手段は、蒸発チャンバと、蒸発チャンバを加熱する手段とを備えることができる。この設けられたチャンバは、具体的には、一様性および出力に関して、蒸気の高い収率を可能にし、流体の滴が装置を離れる前に蒸発しないことを防止することもできる。このため、たとえば直接的または間接的接触による熱伝導によって高温または加熱された処理表面を生み出すことができる。
【0024】
本発明によれば、蒸気分配手段は、第1の処理表面に対して横方向に配置された一続きの蒸気出口オリフィスを呈することができる。このため、髪の房を2つの連続する処理にかけることができる。すなわち、蒸気により、また伸張されていないまたはクランプされていない毛髪のキューティクルを開き、毛髪に潤いを与えた後、接触による処理(ストレート成形、カーリング、またはウエーブ付けなど)が続き、この処理は、キューティクルが開かれ、毛髪に潤いを与えることによって向上される。
【0025】
本発明によれば、携帯用ユニットは、互いの真向かいに配置された第1の顎部および第2の顎部を備え、第1の処理表面は、第1の顎部によって担持され、第2の処理表面は、第2の顎部によって担持され、顎部は、その表面が毛髪の房をクランプするように開位置から閉位置に進むようにして連結される。このため、処理される毛髪のクランプまたは挟み込みを実施して処理品質および速度を増大させることができる。得られた装置により、毛髪をクランプし、蒸気を毛髪に向かって蒸発させることが可能になる。
【0026】
本発明によれば、装置は、第2の処理表面を加熱する加熱手段を備えることができる。したがって、処理は、一層向上される。
【0027】
本発明によれば、第1および第2の毛髪処理表面は、装置の閉位置においてほぼ合わさる平坦、湾曲、または波形の相補的表面でよく、それによって毛髪をストレート成形する、カールする、または個々にウエーブ付けすることが可能になる。
【0028】
本発明によれば、装置は、ユニットから離れた基部内に優先的に配置された流体出力を調整するための手段と、少なくとも流体出力調整手段を制御する制御ユニットとを備えることができる。このため、携帯用ユニットの入口で連続的で一定でもある流体出力を確実にすることができ、携帯用ユニットの重量を軽減することが可能になる。出力調整手段(たとえばポンプ)は、熱源、すなわち蒸発手段から距離があるため、高い温度にはさらされない。ポンプモータは、温度によって影響を受けず、そのチューブはいかなる弾性も失わない。
【0029】
本発明によれば、流体ラインは、管状の可撓性材料から作製される。このため、ヘアスタイリングに必要なあらゆる位置で携帯用装置の使用を可能にする可撓性の柔軟なコードセットを実現することができる。
【0030】
本発明によれば、流体ラインは、約0.5mmと約3mmの間の内径を有することができる。このため、1から5ml/分程度、またはさらには3ml/分から4ml/分の間、優先的には3.5ml/分に等しい、比較的連続的で比較的一定でもある流体出力を得ることができる。
【0031】
本発明によれば、装置は、少なくとも第1の導線を封入する第1の電気ケーブルと、第2の導線を封入する第2の電気ケーブルとを備えることができ、2つのケーブルは、シース(sheath)の内側にあり、少なくとも制御ユニットに電力を供給することを可能にする。このため、すべての電気ケーブルおよび流体ラインを単一のシース内に有することができる。また、すべての制御電子装置を携帯用ユニット内に配置すること、取り扱いを向上させること、および装置の生産コストを低減することが可能になる。
【0032】
本発明によれば、コードセットは、シース216内に、電力を少なくとも流体出力調整手段に供給することを可能にする、第3の導体224を封入する第3の電気ケーブル214を備える。このため、コードセット21の直径を低減し、重量を軽減し、可撓性を増大させ、必要であれば二重の電気絶縁を確実にすることができる。代替策として、コードセットは、第3の導体を封入する第3の電気ケーブルを備えることができ、第1のケーブルおよび第2のケーブルはシース内にあり、第3のケーブルは、シースの外側にあり、少なくとも流体出力調節手段に電力を供給することを可能にする。
【0033】
本発明によれば、コードセットは、少なくとも部分的にマルチワイヤ編組またはカプセル化からなる。このため、少なくとも水ライン、さらには電気ケーブルも可撓的に軽量化する方法で包含および含有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
本発明は、非限定的に提供され、ここに示された実施形態を検討することによってより良好に理解される。
図1】本発明による装置を示す図である。
図2】本発明によるユニットおよび基部の長手方向断面図である。
図3】本発明によるユニットの顎部の1つの横断方向断面図である。
図4A】本発明の変形形態によるコードセットの横断方向断面図である。
図4B】本発明の変形形態によるコードセットの横断方向断面図である。
図4C】本発明の変形形態によるコードセットの横断方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
対応する番号参照を有する図1および2に示すように、本発明は、毛髪をスタイリングするように意図された装置1であって、主要流体貯留器19を備える基部1000と、流体蒸発手段7、毛髪を対象とする蒸気分配手段7’、7”を備える携帯用ユニット100と、流体が通るように意図され、主要流体貯留器19と蒸発手段7の間に配置された少なくとも1本のラインを備えるコードセット21とを備え、携帯用ユニット100は、毛髪と接触するように意図された第1の処理表面4を単独でまたは少なくとも備え、流体蒸発手段7は、携帯用ユニット100内だけに設けられる、装置1に関する。基部は、携帯用ユニットから「離れている」と考えられており、作業面に置くことができる。基部は、携帯用装置またはハンドピース100を使用しないときに受け入れる台座1001を有し、固定された部分2031および流体を挿入するための可動式の枢動する部分2032を有するカバー2030を備え、カバーは、必要な場合に脱塩手段(カートリッジ)を取り換えるために完全に取り外し可能である。基部の1つの部分は、イオン交換樹脂が、もはや有効でないという理由で色が変わるときにユーザに視覚的に警告を与えることができるように透明になるように構築されてよい。基部は、基部内に導入された流体のカリウム含量を低減することができる脱塩手段2000を備える。これらの脱塩手段2000は、「生」流体を受け取る中間の貯留器2100と、ヘアスタイリング装置100を対象とする「精製された」流体を含む主要な貯留器19の間に配置される。流体(水、または固定用の化粧製品と混合された水など)が通るように意図されたラインは、15℃から30℃の間の温度に貯留器内で保たれた流体を輸送することができる材料から作製される。材料は、シリコーン、または約30℃までの温度に耐える安価なゴムから作製されてよく、必ずしも約100℃の高温水または蒸気温度に耐えなくてよい。図3に示すように、携帯用ユニット100は、第1の処理表面4を加熱する加熱手段41を備える。これは、処理表面4に押さえ付けられ、または処理表面4を備える要素の内側に配置された正温度係数(PTC)サーミスタまたはセラミックでよい加熱要素41に関連し得る。流体蒸発手段7は、蒸発チャンバ7’と、蒸発チャンバ7’の加熱手段8とを備える。1つのチャンバまたは複数のチャンバは、アルミニウムから構築され、蒸発気分配オリフィス7”を備えることができ、加熱要素8に対して直接的または間接的に接触して押さえ付けられてよい。加熱要素8の適正な圧砕、したがってその最適な機能は、たとえば板ばね7”’によって行われる。温度センサ10が、水入口21’の上方に優先的に配置され得る。蒸発チャンバの加熱要素8は、少なくとも、壁の1つに押さえ付けられ、もしくは処理表面を形成する要素の内側に配置されたPTCサーミスタまたはセラミックになり得る加熱要素でよく、これらは、処理表面の加熱手段と同一または別個のものである。
【0036】
蒸発気分配手段(7’、7”)は、第1の処理表面4上の横方向に、好ましくは処理表面4からわずかに後方に配置された一続きの蒸発気出口オリフィス7”を有する。代替策として、または追加的に、蒸発気分配手段(7’、7”)は、処理表面上に配置された一続きのオリフィスを有する。蒸発気の出力速度は、約3g/分から4g/分、またはむしろ3.5g/分にほぼ等しい。携帯用ユニット100は、互いに面して配置された第1の顎部2および第2の顎部3を備え、第1の処理表面4は、第1の顎部2によって担持され、第2の処理表面5は、第2の顎部3によって担持され、顎部は、表面(4、5)が毛髪の房をクランプするように開位置から閉位置に進むようにして連結される。
【0037】
装置は、第1の処理表面4用のものと同じタイプの第2の処理表面5を加熱する加熱手段9を有する。第1の毛髪処理表面4および第2の毛髪処理表面5は、本明細書では、装置の閉位置ではほぼ合わさる平坦なものとして図示する相補的表面であるが、湾曲または波形のものでもよい。たとえば例示の目的で引用した特許文献4または特許文献5で説明された湾曲表面を備えたカーリング装置もまた、本発明の影響を受ける。カーリング装置は、主要本体と、把持手段と、好ましくは主要本体上にその長手方向軸の周りを自由に回転するように装着された、毛髪の房を巻くための本体と、本体上で髪の房をクランプする少なくとも可動式クランプとを備え(かつ)それらに基づいて構成された、好ましくは手動操作式の処理および/またはヘアスタイリング装置に関する。ウエーブ付け装置は、たとえば特許文献6に記載された、互いに面し、非平面の処理表面を各々が有する、2つの顎部を装備する装置である。
【0038】
好ましくは離れた基部内に配置された、たとえば好ましくは蠕動のモータ6’で作動される流体出力調節手段6と、少なくとも流体出力調節手段6を制御するための制御ユニット13が設けられる。流体(水または固定用の化粧製品で混合された水など)用のラインは、柔軟な管状材料、すなわち15℃から30℃の間の温度で貯留器内に保たれた流体を輸送することができる材料から構成される。
【0039】
材料は、安価で、約30℃までの温度に耐えることができ、必ずしも約100℃の加熱された水または蒸気温度に耐える能力を有する必要がない、シリコーンまたはゴムまたはEPDM(エチレンプロピレンジエンモノマー)などのエラストマーまたはTPVなどの熱可塑性エラストマーから作製されてよい。材料は、低圧(約1000ミリバールの大気圧)に耐えるのに適しているが、蒸気が通ることによって及ぼされる4バールまでの圧力に対する耐性を必ずしも有する必要はない。
【0040】
図4A、4B、4Cに示すように、流体ライン211は、好ましくはほぼ一定の、約0.5mmから約3mm、好ましくは1mmから2.4mm、好ましくは1.2mmに等しい内径を有する。これにより、圧力降下無しの少量の水出力が可能になる。コードセットの長さは、1mから5mの範囲内にあり、好ましくは約3mに等しい。少なくとも第1の電気ケーブル212は、第1のワイヤ222を封入し、第2の電気ケーブル212は、第2のワイヤ223を封入し、2つのケーブルは、コードセット21の内側にあり、少なくとも制御ユニット13、また蒸発チャンバの加熱要素および処理表面にも電力を供給する。これらの2つの導体は、そのそれぞれのケーブル213および223ならびにシース216によって二重に絶縁されるために、その中に230Vの電圧を通すことを可能にする。第1の導体212は、相導体であり、第2の導体213は、中性導体である。
【0041】
図4Aでは、コードセット21は、中性導体として使用される第3の導体224を封入する第3の電気ケーブル214を備える。この第3のケーブル214および2つのケーブル212および213は、低電圧ポンプ(8V)に電力を供給するために使用され、それによって中性導体として使用される導体は、220V電圧に対して、またそれと同時に低電圧に対して使用されるために、導体用の空間をより多く有することが可能になる。
【0042】
図4Aの代替策として、かつ図4Bに示すように、コードセット21は、第3の導体224を封入する第3の電気ケーブル214を備え、第1のケーブルおよび第2のケーブルは、シース216の内側にあり、第3のケーブルは、シース216の外側にある。中性導体として使用されるこの第3のケーブル214および2つのケーブル212および213は、低電圧ポンプ(8V)に電力を供給するために使用され、それによって中性導体として使用される導体は、220電圧に対して、またそれと同時に低電圧に対して使用されるために、導体用の空間をより多く有することが可能になる。第3のケーブルは、シースの内側にないが、これは、8Vに対しては二重絶縁は必要でないためである。
【0043】
図4Bの代替策として、かつ図4Cに示すように、第3の導体224が、220Vの電力を供給するために使用される場合、二重絶縁224’および224”内に配置されてよい。
【0044】
コードセットは、少なくとも水ラインおよびさらには電気ケーブルの編み込み、たとえば編組化および/またはカプセル化から少なくとも部分的に構成される。すべての導体は、二重に絶縁される。他の導体が、離れた照明または当業者の理解範囲における他の任意の離れた用途のために設けられてよい。
【0045】
図4A、4B、および4Cに示す本発明の詳細な形態によれば、流体ライン215は、1.2mmの内径、3.2mmの外径を有し、電気ケーブルは、1mmの内径および2.4mmの外径を有し、ケーブルは、6.8mmの外径を有するシース216の内側にあり、そのすべては、0.3mmに等しい厚さを有する編組内にあり、その最大高さは、10.6mmであり、最小厚さは、7.4mmであり、流体ラインの中心とケーブル組立体の中心の間の距離は5.0mmである。
【0046】
装置は、開位置からの進行および/または閉位置への移行のための検出手段(14、18)を有し、制御ユニットは、検出手段(14、18)から信号を受け入れ、信号に応答して少なくともポンプ6を制御するようにプログラミングされる。検出手段(14、18)は、好ましくは、開位置に進むことおよび/または閉位置に進むことの検出の磁気手段(14、18)でよい。これらは、磁気断続器、好ましくは、第1の顎部2内に配置されたばね仕掛けの磁気断続器14、2つの位置の1つにおいて断続器14上で作用するようにして第2の顎部3内に配置された磁石18を備える。
【0047】
第1の顎部2および第2の顎部3は、ヒンジタイプの連接部20によって連結され、2つの顎部の最大開口角度(α)は、5°から60°の間、または10°から20°の間、好ましくは約15°に等しい。さらに、本明細書に依然として示す装置は、「開いた」待機位置にあるが、参照の目的で、かつヘアスタイリング装置を説明するために本明細書に含まれた特許文献7に記載されたように、「閉じた」待機位置であってもよく、このヘアスタイリング装置は、各々がその端部に、少なくとも1つが加熱要素を有する処理表面を担持する2つの顎部を備え、前記顎部は、2つの処理表面の間に毛髪を挿入することを可能にする開位置と、毛髪が2つの処理表面に接触する閉位置との間のヒンジの周りで他方の端部上に枢動式に装着され、前記顎部は、処理表面の圧力の施与を引き起こす2つのハーフグリップの連接によって開位置から閉位置に進む。処理表面を有する2つの顎部の枢動軸は、(本明細書で示したように)顎部の端部に置かれてよく、または顎部のほぼ中間に置かれて「はさみ」タイプの連接を装置にもたらしてよい。
【0048】
温度検出手段10は、蒸発手段7の温度を示す値を測定し、制御ユニットは、温度検出手段10から信号を受け取り、その信号に応答して少なくとも蠕動ポンプ6を制御するようにプログラミングされ得る。温度検出手段は、サーミスタ、好ましくは負温度係数(NTC)サーミスタを備えることができる。サーミスタは、加熱の調節を確実にすることができる。
【0049】
本発明の作動の説明
作動中、装置がオンになったとき、サーミスタタイプの正温度係数(PTC)またはセラミック加熱要素が、毛髪と接触するように意図された表面を加熱し始め、別個の加熱要素(または同じ加熱要素)が、蒸発手段7を加熱し始める。ユーザは装置を握り、処理される毛髪の房をクランプするようにこれを当てる。開位置から閉位置に位置が進み、閉状態の検出、たとえば磁気検出が実行され、信号が制御ユニット(CPU)に伝送され、制御ユニット(CPU)は、この信号に応答して、基部ユニットのポンプ8を制御し、このポンプは、コードセット21を介して液体貯留器19から蒸発手段に供給し、それによってユニット内に蒸気を生み出し、この蒸気は、蒸気分配手段を介して取り出されて毛髪の処理された房と接触するようになる。試験では、観察された蒸気出力は、約3g/分から4g/分の間、または3.5g/分にほぼ等しかった。
【0050】
本発明の利点
本発明は、多くの利益をもたらし、その一部は、
−小型の自動手段を備え、連続的な蒸気出力を確実にすることができ、
−安全および信頼高く作動し、高温の環境で機能することができ、
−蒸発気の連続的で一定の出力を確実にすることができ、
−作動において堅固で頑丈であり、良好な耐久性を確実にし、
−作動において効果的でありおよび/またはすばやい、
−作動において漏れが無い、
−装置のいかなる位置でも作動を確実にし、
−容易で実用的な使用を可能にし、
−簡単でコスト効果の高い方法で構築され、
−簡易化された構造を備え、
−工業的に低コストで生産され、
−作動において堅固、頑丈であり、たとえば機械的変形に関して良好な耐久性を確実にし、
−作動において効果的でありおよび/またはすばやい、
−作動において漏れが無い、
−使用が容易で実用的であり、毛髪房の配置の最適な状態のもとでの機能性を備え、
−すばやい毛髪処理を可能にし、
−望ましくない摩擦がより少ない、
−処理の効果性を増大させるために、装置を完全に閉じるまたは開くわずかに前に要素を作動させることができ、
−構成要素を作動させるためにハウジングの機械的変形に依存することはもはやなく、
−(装置)を閉じるまたは開くことにユーザによって及ぼされる力に関連する寄生性の力をそれ以上必要とすることはもはやない
装置を提供する。
【0051】
明確なことに、本発明は、説明および図示した、例示目的で提供したにすぎない実施形態に全く限定されない。特にさまざまな要素の構成に関してまたは等価の方法を代用することにより、改変も依然として可能であるが、本発明の保護範囲を離れないものとする。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C