特許第6392846号(P6392846)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6392846
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】口腔ケア用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9789 20170101AFI20180910BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20180910BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20180910BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20180910BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20180910BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20180910BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20180910BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
   A61K8/9789
   A61K8/34
   A61K8/39
   A61K8/86
   A61K8/81
   A61K8/73
   A61K8/41
   A61Q11/00
【請求項の数】21
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-503545(P2016-503545)
(86)(22)【出願日】2014年3月17日
(65)【公表番号】特表2016-514712(P2016-514712A)
(43)【公表日】2016年5月23日
(86)【国際出願番号】DE2014100091
(87)【国際公開番号】WO2014146644
(87)【国際公開日】20140925
【審査請求日】2017年3月16日
(31)【優先権主張番号】102013004521.5
(32)【優先日】2013年3月18日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515261734
【氏名又は名称】テラノーヴィス・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】パテル・アショックマー
【審査官】 池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−134013(JP,A)
【文献】 特開2011−140523(JP,A)
【文献】 特開2001−178395(JP,A)
【文献】 特開2007−332143(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第1813671(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔ケアおよびデンタルケアまたは歯口清掃用組成物であって、該組成物が、水性組成物であり、水に加えて(質量%で)
ハッカ油: 0.05〜10%
ローズマリー油: 0.05〜5%
変性エチルアルコール: 5〜75%
を含む、上記組成物。
【請求項2】
前記ハッカ油の含有量が、0.2〜5質量%であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ハッカ油の含有量が、1.2〜2質量%であることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ローズマリー油の含有量が、0.2〜2.5質量%であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項5】
前記ローズマリー油の含有量が0.5〜1.2質量%であることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記変性エチルアルコールの含有量が、15〜35質量%であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項7】
0.05〜10質量%の含有量でニーム油を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項8】
0.05〜0.5質量%の含有量でタイム油を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項9】
0.05〜1.5質量%の含有量でグレープフルーツ種子エキスを含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項10】
0.05〜1.5質量%の含有量でブドウ種子エキスを含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項11】
0.1〜4.0質量%の含有量でチョウジ油を含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項12】
5〜15質量%の含有量でデカオレイン酸ポリグリセリル−10を含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項13】
5〜15質量%の含有量でペンタオレイン酸ポリグリセリル−10を含むことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項14】
5〜20質量%の含有量でポリエチレングリコール(PEG)を含むことを特徴とする、請求項1〜13いずれか一つに記載の組成物。
【請求項15】
噴霧用調合物として、またはスプレーとして、または洗口液として形成されていることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項16】
ジェルとしてか、またはジェル状に形成されており、少なくとも1つのゲル化剤を含むことを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項17】
前記ゲル化剤がポリアクリル酸および/またはキサンタンであることを特徴とする、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
0.2〜1.0質量%の含有量でポリアクリル酸を含むことを特徴とする、請求項16または17に記載の組成物。
【請求項19】
0.2〜1.0質量%含有量でトリエタノールアミンを含むことを特徴とする、請求項1〜18のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項20】
歯の表面上の細胞外高分子物質(EPS)、および/または歯垢(プラーク)、および/または歯石を溶解および/または除去するための、請求項1〜19のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項21】
歯の表面上の薄膜層を修飾するための、請求項1〜19のいずれか一つに記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔ケア用組成物に関し、その組成物は水性組成物である。さらに、本発明は、前記組成物の使用に関する。最終的には、それぞれ本発明による組成物の使用によって、歯の表面上の細胞外高分子物質(EPS)、および/または歯垢(プラーク)、および/または歯石を溶解および/または除去する方法、ならびに歯の表面上の薄膜層を修飾する方法を記載する。
【背景技術】
【0002】
歯の表面および歯全体へのカリエスの破壊作用は一般に公知である。つまり、成人のおよそ90%はカリエスを患っている。さらに、歯茎(歯肉)の疾患、特に炎症性変化が、広く普及している。その際、歯肉炎から迅速に歯周炎へと発展し得る。その際、歯垢(プラーク)、特に歯石の存在と様々な歯肉疾患との間の因果関係は、一般的に認められている。
【0003】
歯の表面上での望ましくない歯垢形成、および全体的に口腔への細菌侵入を少なくとも抑えるためには、適した予防法の基盤として、1日につき2回または複数回行うべきである歯磨きが一般的に当てはまる。
【0004】
もっとも、歯磨きの数分後にはすでに、歯の表面上でのいわゆる薄膜層の新形成を証明することができる。「薄膜層」および「薄膜」という名称は、ここおよび以下では同義で使用される。それは、唾液に由来するタンパク質の沈殿物である。薄膜は、歯の健康それ自体にとってはあまり問題ではない。もっとも、それに続いて、唾液細菌叢からのさらなる微生物が薄膜上にコロニーを作り、それが、生成したバイオフィルムの厚さ成長をもたらすことになる。
【0005】
それと同時に、有害微生物もコロニーを作り得る。その際、非常に様々な細菌種を歯の表面上で包埋することができる細胞外高分子物質(EPS)からなる基質が生成可能である。生成する細胞層は、歯垢(プラーク)と呼ばれ、カリエスの発生を無限に促進する。
【0006】
唾液に由来する無機物質(無機質)の吸収および沈着により、プラークから歯石が生成し得る。歯石は、一般的にはもはや歯ブラシで取り除くことができない。歯石は、前記の歯肉疾患の発症を促進する。
【0007】
従来技術から、その使用が少なくとも歯の表面の洗浄、それゆえプラークの抑制または除去をもたらすことになる組成物が公知である。
【0008】
ドイツ特許第102008033105号A1(特許文献1)ならびにドイツ特許第102008039681号A1(特許文献2)からは、好ましくは、公知の練り歯磨きの形状で形成されている口腔ケア剤、デンタルケア剤、および歯磨き剤が公知である。これらは、流動性担体中に懸濁された、特に合成材料を含み得る粒子を含有する。しかしながら今日では、天然成分を含む製品が市場ではますます必要とされている。さらに、これらの公知の洗浄剤の使用は、通常は歯磨きに限定されているため、それに伴い、前記の、バイオフィルムの新形成が、歯磨き後には定期的に起こる。最終的に、歯磨きはどこでもかつ人目に立たずに行うことはできない。
【0009】
ドイツ特許第20013336号U1(特許文献3)は、歯周組織および/または歯頸の炎症性疾患を予防および/または治療する際に使用される、油ベースの口腔ケアジェル(Mundpflegegel)およびデンタルケアジェルを記載する。それに加えて、このジェルは、様々なビタミンからなる調合物を含有する。もっとも、この調合物に関しては、歯の表面上の望ましくない垢への効果は明らかにされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】ドイツ特許第102008033105号A1
【特許文献2】ドイツ特許第102008039681号A1
【特許文献3】ドイツ特許第20013336号U1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
それゆえ本発明の課題は、前記の不利点の少なくとも1つを軽減することである。
【0012】
さらに、本発明の課題は、歯の表面の薄膜および/または歯垢(プラーク)および/または歯石を溶解および/または除去するために貢献することである。
【0013】
さらに、本発明の課題は、口腔、特に歯の表面、および/または歯肉を抗菌処理するために貢献することである。
【0014】
さらに、本発明の課題は、できる限り大幅にまたは完全に天然成分からなる口腔ケア用組成物を提供することである。
【0015】
最終的には、本発明の課題は、口腔ケア用組成物の簡単な使用に貢献することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記課題のうちの少なくとも1つを解決するために貢献するのは、請求項1の特徴部分を含む口腔ケア用組成物である。
【0017】
有利な形態および変形形態は、この請求項の従属請求項から判明する。
【0018】
前記課題のうちの少なくとも1つを解決するために貢献するのは、さらに、請求項18、20または22に記載される、本発明による組成物の使用、ならびに請求項19または21に記載の方法である。
【0019】
本発明の枠内では、本発明による口腔ケア用組成物が、歯の表面上のバイオフィルムを阻害、軽減および溶解(除去)する際に驚くべき優れた効果を示すということが判明した。この組成物は、驚くべきことに、歯の表面上でのそのようなバイオフィルムの形成を制御、さらには完全に阻止するために非常に適している。その際、一方では薄膜形成が修飾され、他方では、場合によって存在する細胞外高分子構造(EPS)が溶解される。前記バイオフィルムの新形成は、使用後でさえも持続的に妨害される。
【0020】
洗浄した歯の表面上で本発明による組成物を使用すると、細菌の付着が持続的に低下するように、薄膜形成が影響および修飾される。さらに、付着細菌の分裂能および歯の表面でのコロニー形成能が、明らかに軽減ないしは妨害される。
【0021】
その結果、歯垢(プラーク)の生成がすでに、制御、さらには阻止さえされ得る。有害細菌は、もはや歯の表面に堆積することができない。
【0022】
さらに、驚くべきことに、本発明による口腔ケア用組成物は、比較的短期の定期的な使用(例えば、およそ2〜4週間)後にすでに、存在する歯垢を溶解および除去する能力があることが判明した。
【0023】
さらには歯石さえも、驚くべきことに、この組成物によりまずは軟化可能であり、最終的には除去可能である。
【0024】
さらに、本発明による口腔ケア用組成物の顕著な抗菌効果が明らかになる。それゆえ、組成物は、歯の表面上の前記の種類の垢に対して作用するのみならず、その上、カリエスならびに歯肉疾患に作用する能力もある。
【0025】
本発明による組成物は、均質な(単一相の)スプレーまたはジェルとして口腔内で使用することができる。それによって、使用が単純化される。その際、組成物を塗布するために歯ブラシは必ずしも必要ではないが、好みで補助的に使用可能である。別法として、洗口液、ペースト、または類似物としての使用が可能である。
【0026】
本発明による組成物は、完全に天然成分からなり得るため、消費者に対して、望ましい透明性が達成される。消費者は、消費者にとって未知の合成成分、およびその推定される不利点、および/または望ましくない効果に取り組む必要がない。本発明による組成物の成分は、個別に見て問題なく、口腔内において刺激が少なく忍容性の仕方で作用する。
【0027】
さらに、本発明による組成物は、比較的低価格で製造可能である。
【0028】
発明思想の有利な第1の変形形態では、ハッカ油の含有量が、本発明による組成物の0.2〜2質量%(Ma.%)である。別法として、0.2〜5Ma.%、特に1.2〜2Ma.%というハッカ油の含有量が好ましい場合もある。
【0029】
好ましいさらなる一実施形態によると、ローズマリー油の含有量が、組成物の0.2〜2.5Ma.%、特に好ましくは0.5〜1.2Ma.%である。別法として、0.2〜0.5Ma.%というローズマリー油の含有量が好ましい場合もある。
【0030】
別法として、または前記の形態に付加的に、アルコールの含有量が、好ましくは、組成物の15〜35Ma.%であってもよい。
【0031】
有利なさらなる一例示的実施形態では、組成物が、特に0.05〜10Ma.%の含有量、特に0.1〜0.2Ma.%の含有量でニーム油を含む。
【0032】
具体的かつ好ましいさらなる一形態では、組成物が、さらに、特に0.05〜0.5Ma.%の含有量、特に0.1〜0.2Ma.%の含有量でタイム油を含む。
【0033】
有利なさらなる一変形形態によると、組成物は、別法としてまたは付加的に、特に0.05〜1.5Ma.%の含有量、特に0.1〜1.0Ma.%の含有量でグレープフルーツ種子エキスを含む。
【0034】
さらに、特に0.05〜1.5Ma.%の含有量、特に0.1〜1.0Ma.%の含有量でブドウ種子エキスを含む組成物が好ましい。
【0035】
有利なさらなる一変形形態によると、組成物は、別法としてまたは付加的に、特に0.1〜4.0Ma.%の含有量、特に0.25〜2.0Ma.%の含有量でチョウジ油を含む。
【0036】
有利なさらなる一変形形態では、組成物が、別法としてまたは付加的に、特に5〜15Ma.%の含有量、特に10Ma.%の含有量でデカオレイン酸ポリグリセリル−10を含む。
【0037】
有利なさらなる一変形形態では、組成物が、別法としてまたは付加的に、特に5〜15Ma.%の含有量、特に10Ma.%の含有量でペンタオレイン酸ポリグリセリル−10を含む。
【0038】
有利なさらなる一変形形態では、組成物が、別法としてまたは付加的に、ポリエチレングリコール(PEG)、特にPEG3350を含む。その際、PEGの含有量は、好ましくは5〜20Ma.%、特に好ましくは15Ma.%であり得る。
【0039】
有利なさらなる一形態では、組成物が、別法としてまたは付加的に、特に8〜18Ma.%の含有量、特に10〜12.5Ma.%の含有量でシクロメチコンを含む。
【0040】
本発明の有利なさらなる一態様では、組成物が、別法としてまたは付加的に、特に7.5〜12.5Ma.%の含有量、特に10Ma.%の含有量でセラミドIIIを含む。
【0041】
さらに、別法としてまたは付加的に、特に5〜30Ma.%の含有量、特に10〜25Ma.%の含有量でステアリン酸ブチルを含む組成物が有利であると判明する。
【0042】
有利なさらなる一変形形態では、組成物が、別法としてまたは付加的に、好ましくは7.5〜12.5Ma.%の含有量、特に好ましくは10Ma.%の含有量でプランクトンエキスを含む。
【0043】
本発明の有利なさらなる一態様では、組成物が、別法としてまたは付加的に、特に7.5〜12.5Ma.%の含有量、特に10Ma.%の含有量でレシチンを含む。
【0044】
本発明による組成物の範囲内では、アルコールが、好ましくはエチルアルコール、特に変性エチルアルコールを含み得る。
【0045】
さらに、水が脱イオン水を含む一形態が好ましい。
【0046】
本発明による組成物が、噴霧用調合物として、またはスプレーとして、または洗口液として形成されていると特に有利であると判明する。
【0047】
一別法では、ロゼンジ剤(Lutschtablette)、パステル剤(Pastille)、ボンボン、またはチューインガムとしての形態も同じく有利であると判明する。特殊なさらなる一形態は、歯に塗布するための粘着ストリップに関する。そのような粘着ストリップは、適した有効成分を装備しており、個別に見て、歯の色抜きないしは漂白をもたらすために公知である。本発明の枠内では、そのような粘着ストリップを利用して本発明による組成物をできるだけ持続的に歯の表面と接触させることが提案される。
【0048】
別法として、しかしながら同様に好ましく、組成物はジェルとしてか、またはジェル状に形成されていてもよく、特に、組成物は、少なくとも1つのゲル化剤、好ましくはポリアクリル酸および/またはキサンタンを含む。
【0049】
その際、具体的なさらなる一変形形態によると、組成物は、ゲル化剤として、0.2〜1.0Ma.%、特に0.5Ma.%の含有量でポリアクリル酸を含み得る。
【0050】
さらに、非限定的なさらなる一例示的実施形態によると、組成物は、0.2〜1.0Ma.%、特に0.5Ma.%の含有量でトリエタノールアミンを含む。その際、トリエタノールアミンは、一方では、ジェルとしての形態用のゲル化剤として利用可能である。他方では、トリエタノールアミンは、スプレー、すすぎ液、または類似物としての組成物の形態におけるpH調整および/または粘度調整にも利用可能である。
【0051】
さらなる好ましい任意選択の形態の枠内では、組成物は、別法としてまたは付加的に、オレガノ油および/またはタマヌ油および/または緑茶エキスを含む。
【0052】
本発明の枠内では、口腔ケアおよび/またはデンタルケアおよび/または歯口清掃のための、本発明による組成物の使用が提案される。
【0053】
さらに、本発明の枠内では、歯の表面上の細胞外高分子物質(EPS)、および/または歯垢(プラーク)、および/または歯石を溶解および/または除去するための、本発明による組成物の使用が提案される。さらに、歯の表面上の薄膜層を修飾するための使用が提案される。その際、前記の使用は、場合によっては同時に実現することも可能である。
【0054】
最終的には、歯の表面上の細胞外高分子物質(EPS)、および/または歯垢(プラーク)、および/または歯石を溶解および/または除去するための方法が記載されており、この方法は、口腔内、特に歯の表面上での、本発明による組成物の使用を含む。
【0055】
本発明によるさらなる方法は、歯の表面上の薄膜層の修飾に関し、この方法は、口腔内、特に歯の表面上での、本発明による組成物の使用を含む。
【0056】
その際、前記の方法は、場合によっては同時に行うことも可能である。
【0057】
その際、本発明による使用ないしは本発明による方法の、それぞれの属概念の公知の内容に対する利点は、本発明による組成物の本質および利点に関する前記の記載からすでに明らかになり、反復を防ぐために、その参照を全範囲にわたって指摘する。
【0058】
さらに、本発明による組成物の有利な形態および変形形態の前記の記載によって、本発明による使用ないしは本発明による方法の有利な形態および変形形態も同時に明らかになる。その際、組成物の様々な有利な形態の特徴部分は、使用ないしは方法の有利な変形形態の範囲内でも組み合わせ可能である。
【発明を実施するための形態】
【0059】

本発明の例示的実施形態を、示される例に本発明を限定するものではないが、模範的な、本発明による組成物に関する以下の一覧表の枠内で示す。これらの模範的な組成物は、同時に、従属請求項の内容に付加的または補足的に、本発明による組成物の特に好ましい実施形態を描写する。
【0060】
その際、すべての数値は、組成物の総質量に対する質量%と理解される。
【0061】
下記の実例組成物は、一般的には、スプレーないしは溶液として形成されているが、組成物7および8は、少なくとも1つのゲル化剤の添加により、ジェルとして、ないしはジェル状に形成されている。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】
【0065】
【表4】
【0066】
【表5】
【0067】
【表6】
【0068】
【表7】
【0069】
【表8】
【0070】
実験
以下では、前述の章「例」から選択された組成物を用いて得られた実験結果を説明する。その際、補足的に、添付の図にも関連づけるが、これらの図は、得られた結果を、本発明による組成物を前もって使用していない対照写真(Kontrollaufnahme)との対比で示す。
【0071】
図1〜7は、ウシエナメル質から均一に製造された、被験者によって口腔中(in vivo)に保持された検査試料(エナメル質検査試料)の、電子顕微鏡により得られた平面写真ないしは断面写真を示す。その際、それぞれの実験条件は、具体的な図に基づいて説明される。その際、図1B、2B、3B、4Bおよび6Bは、比較のために、それぞれの同一実験条件に従うものの本発明による溶液は使用していない対照写真を示す。
【0072】
図1および6による、エナメル質検査試料の横断面写真に関しては、エナメル質が、透過型電子顕微鏡による分析用のサンプル準備の枠内でそれぞれ溶出されたためバイオフィルムの基底においてもはや認識できないということを指摘する。
【0073】
図8Aおよび8Bは、もともとは非常に顕著な歯石(Zahnsteinbelag)を伴っていた、抜歯された2つのヒトの歯の、本発明による溶液の使用前(図8A)および使用後(図8B)の写真撮影図を示す。
【0074】
実験1:バイオフィルム基質(細胞外高分子物質、EPS)の溶出の例:
あらゆる口腔衛生処置を控えると、48時間以内には、口腔条件下に歯の表面上に厚い細菌性バイオフィルムが形成する(本発明による組成物を使用しない場合の48時間後の対応する、対照写真を示す図1Bを参照)。
【0075】
透過型電子顕微鏡によると、バイオフィルムの横断面図では、主に球状細菌を同定できる。バイオフィルムは、緊密な、コンパクトな微細構造を示し、細菌間の空洞は、細菌間基質で充填されている。
【0076】
エナメル質は、透過型電子顕微鏡による分析用のサンプル準備の枠内で溶出されたため、バイオフィルムの基底においてもはや認識できない。
【0077】
図1Bによる、この48時間バイオフィルムを、口腔外において、1時間の間、前記の章「例」からの例4(4Bまたは4Cではない)の組成物を含む本発明による溶液中に曝露すると、バイオフィルムの外側の細菌層が剥離し、細菌間基質が溶出する。その結果、透過型電子顕微鏡写真では、バイオフィルムの「ゆるんだ」微細構造が得られる。
【0078】
この結果は、対応する、図1Aによる写真で明らかにされる。
【0079】
実験2:バイオフィルム基質の溶出の例:
(その間に口腔衛生処置をすることなく)口腔中に100時間曝露すると、エナメル質検査試料の表面上ないしはエナメル質表面上には、付着微生物からなる厚い垢が形成する。走査型電子顕微鏡写真ないしは走査型電子顕微鏡による平面図では、このバイオフィルムは、細菌性の多層、および乾燥に起因する亀裂形成によって覆われている厚い表面カバーであることが明らかになる。部分的には、バイオフィルムの表面に、個々の糸状、桿状、および球状の細菌を同定することができる(この条件に従う、かつ本発明による組成物を使用していない対照写真を示す図2Bを参照)。
【0080】
このバイオフィルムを、口腔外において、例4による溶液中に1時間曝露すると、走査型電子顕微鏡による平面図において、バイオフィルムのゆるんだ、裂け目の多い、網状の表面組織体が生じる。糸状、桿状、および球状の細菌は容易に検出可能であり、細菌間基質は溶出している。この結果は、補足的に、図2Aによる、当該検査試料の対応する写真で明らかにされる。
【0081】
実験3:バイオフィルム新形成の低下の例:
その間に口腔衛生を行わないと24時間以内には、口腔条件下において、エナメル質表面上に厚いバイオフィルム(「細菌層」)が形成する。走査型電子顕微鏡による平面図では、高倍率において、多層バイオフィルムとしてエナメル質表面を覆い完全に遮蔽する、球状および桿状の細菌が強い印象を与える。これは、図3Bによる、および図4B中の、対応する対照写真によって示される。その際、図4Bは、図3Bと比較して、5倍の拡大写真を示す。対応するサイズ比が、図3Aおよび3Aの比較にも当てはまる(以下の段落を参照)。
【0082】
エナメル質検査試料を口腔中で24時間曝露する最中に12時間の間隔を置いて2回それぞれ30秒間、例4による溶液ですすぐと、バイオフィルム新形成が明らかに低下する。走査型電子顕微鏡による平面図のエナメル質表面上では、付着細菌の個々の島しか示すことができず、閉鎖したバイオフィルムは示されない。エナメル質表面は、顆粒状に見えるタンパク質層(薄膜層)で覆われている。この薄膜が、エナメル質表面の部分的遮蔽に寄与する。この、特に有利な結果は、補足的に、図3Aおよび4Aによる、相応に処理された検査試料の対応する写真によって明らかにされる。
【0083】
実験4:バイオフィルム新形成の大規模な低下および薄膜修飾の例:
前述の章「例」からの例12の組成物を含む溶液を用いて、12時間の間隔を置いてそれぞれ30秒間にわたり2回すすぐと、口腔条件下での24時間バイオフィルムは、ほぼ完全に阻止(阻害)されている。24時間の口腔内曝露後に、エナメル質表面は、例12による溶液での2回のすすぎの影響下に、走査型電子顕微鏡写真では網状の顆粒状に示される薄膜層によって部分的に遮蔽されている。この薄膜層上には、単に(非常に散発的に)個々の付着細菌を検出することができる。
【0084】
この結果は、補足的に、図5による、相応に処理された検査試料の写真によって明らかにされる。
【0085】
本発明による溶液を使用しない、比較可能な対照写真としては、この場合、再び図4Bを利用する。
【0086】
実験5:バイオフィルム新形成の低下および薄膜形成の修飾の例:
前述の章「例」からの例14の組成物を含む溶液を用いて、それぞれ30秒間、2回すすいでも、口腔条件下での24時間バイオフィルム形成は、対照と比べて明らかに低下している(その間に歯磨きをすることがない場合の24時間バイオフィルム形成、図4Bによる対照写真を参照)。走査型電子顕微鏡によると、例14による溶液を用いた2回のすすぎの影響下に、付着細菌の散発的な凝集体のみを検出することができる。エナメル質表面は、非常に緊密かつ均質な薄膜層によって覆われており、このことは、補足的に、図7による、相応に処理された検査試料表面の写真によって証明される。これに関する比較には、改めて図4Bによる対照写真を利用する。
【0087】
さらに、例14に従う本発明による溶液を使用することで得られる、前記の均質な薄膜層は、透過型電子顕微鏡によると、横断面標本において、高電子密度の、顆粒状の表面カバーであることが判明する。このことは、図6Aによる、横断面標本の対応する写真により明らかにされる。
【0088】
図6Bによる対応する対照写真は、同一条件下ではあるものの本発明による溶液を使用することなしに得られた対照試料の横断面図を示す。図6Aによる均質な薄膜層と比較して、この場合、図6Bでは、多層の細菌性バイオフィルムの生成が明らかになる。
【0089】
実験6:歯石の溶解および除去を示す例:
この実験の枠内では、著しい歯石を伴う、抜歯された2つの歯を、例14による溶液で処理した(24時間曝露)。その際、歯石と硬歯質(Zahnhartsubstanz)との間の結合の「溶解」が起こり、歯の表面上での歯石の付着が低下している。したがって、例14による溶液を作用させると、歯ブラシを用いて、歯の表面からほぼ完全に歯石を除去する/ブラシで払うことができる。
【0090】
歯石は、通常は、スケーラによる著しい機械的力の影響下または超音波駆動の歯石除去器の使用下にのみ、歯の表面から剥削することができる。図8Aおよび8Bは、抜歯された歯の、一方では、著しい歯石を伴う、溶液14に曝露する前の写真(図8A)、他方では前記の実験を実施した後の写真(図8B)を示す。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B