(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6392847
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】機械的固定システムを設けられた床板及びその固定システムの製造方法
(51)【国際特許分類】
E04F 15/02 20060101AFI20180910BHJP
【FI】
E04F15/02 G
E04F15/02 B
【請求項の数】23
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-504281(P2016-504281)
(86)(22)【出願日】2014年3月25日
(65)【公表番号】特表2016-516926(P2016-516926A)
(43)【公表日】2016年6月9日
(86)【国際出願番号】SE2014050360
(87)【国際公開番号】WO2014182215
(87)【国際公開日】20141113
【審査請求日】2017年3月8日
(31)【優先権主張番号】1350377-6
(32)【優先日】2013年3月25日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】504033441
【氏名又は名称】ベーリンゲ、イノベイション、アクチボラグ
【氏名又は名称原語表記】VAELINGE INNOVATION AB
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【弁理士】
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン、ブー
【審査官】
前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】
特表2009−542946(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/101171(WO,A1)
【文献】
登録実用新案第3136542(JP,U)
【文献】
特開2009−221778(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/014113(WO,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第02339092(EP,A1)
【文献】
国際公開第2009/061279(WO,A1)
【文献】
米国特許第06647690(US,B1)
【文献】
米国特許第03538665(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/00−15/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床下地(10)上に配置される第1床板(1)及び第2床板(2)を含み、機械的固定システムを設けられた床板であって、
前記第1床板(1)の第1端部(3)から突出する固定ストリップ(5)を備え、
前記固定ストリップ(5)は、前記第2床板(2)の第2端部(4)の前記床下地(10)の方を向くことになる下側面(18)における固定溝(7)と協働するように構成され且つ水平方向に前記第1端部(3)と前記第2端部(4)とを固定するための固定要素(6)を設けられ、
前記第1端部(3)と前記第2端部(4)とが、前記第1端部(3)に向けた前記第2端部(4)の垂直方向における下方の移動によって、組み立てられるように構成されており、
前記第2端部(4)は、前記固定溝(7)に隣接する校正溝(11)を設けられており、
前記校正溝(11)は、前記第2端部(4)の前記下側面(18)に設けられ、前記第2床板(2)が前記床下地(10)上に配置された際に水平方向に延びる又は傾斜状となる底面(19)を有し、前記校正溝(11)は、前記第2端部(4)が前記床下地(10)に向けて押されるとともに曲げられることを可能とし、前記第1床板(1)と前記第2床板(2)の間の厚さの相違を調整するために設けられていることを特徴とする、床板。
【請求項2】
少なくとも前記第2端部(4)は、可撓性を有している、請求項1に記載の床板。
【請求項3】
少なくとも前記第2床板(2)は、可撓性を有している、請求項1又は2に記載の床板。
【請求項4】
少なくとも前記第2床板(2)は、プラスチック材料、好ましくは、熱可塑性材料又はエラストマーを有している、請求項1乃至3のいずれかに記載の床板。
【請求項5】
前記第2床板(2)の芯材は、プラスチック材料、好ましくは、熱可塑性材料又はエラストマーを有している、請求項1乃至4のいずれかに記載の床板。
【請求項6】
前記校正溝(11)は、前記固定溝(7)に向けて開放している、請求項1乃至5のいずれかに記載の床板。
【請求項7】
前記校正溝(11)の深さは、前記床板の間での厚さの平均差に対して実質的に等しいか又は超えている、請求項1乃至6のいずれかに記載の床板。
【請求項8】
前記校正溝(11)の深さは、前記第1床板(1)と前記第2床板(2)の間の厚さの相違に対して実質的に等しくなっている、請求項1乃至7のいずれかに記載の床板。
【請求項9】
前記校正溝(11)は、前記第2床板(2)の下側面(18)に配置されている、請求項1乃至8のいずれかに記載の床板。
【請求項10】
前記固定要素(6)は、湾曲状の外側上部(30)を有している、請求項1乃至9のいずれかに記載の床板。
【請求項11】
前記第1端部(3)及び前記第2端部(4)を垂直方向に固定するために、前記第1端部(3)又は前記第2端部(4)は、前記第1端部(3)又は前記第2端部(4)のうちの他方における舌部溝(9;14)と協働するように構成される舌部(8;13)を、設けられている、請求項1乃至10のいずれかに記載の床板。
【請求項12】
前記舌部(13)は、前記第1端部(3)又は前記第2端部(4)と同じ材料から形成されている、請求項11に記載の床板。
【請求項13】
前記舌部(13)は、前記第2端部(4)に設けられ、前記第2床板(2)の上側面(17)から垂直方向で下方に延びている、請求項12に記載の床板。
【請求項14】
前記舌部(13)の幅は、前記第2床板(2)の前記上側面(17)からの距離とともに増加している、請求項13に記載の床板。
【請求項15】
前記舌部は、移動溝(12)に配置された移動可能舌部である、請求項11に記載の床板。
【請求項16】
床下地(10)上に配置される第1床板(1)及び第2床板(2)の端部(3,4,23,24)での機械的固定システムの製造方法であって、
前記第1床板(1)及び前記第2床板(2)を準備する工程であって、前記第1床板(1)は第1の厚さを有し、前記第2床板(2)は前記第1の厚さとは異なる第2の厚さを有する、工程と、
前記第1床板(1)及び前記第2床板(2)のうちの第2端部(4,24)の前記床下地(10)の方を向くことになる下側面(16,18)に固定溝(7,27)を形成する工程と、
前記第1床板(1)及び前記第2床板(2)のうちの少なくとも一方の前記第2端部(4,24)の前記下側面(16;18)に、工具(40)を用いて校正溝(11)を形成する工程であって、前記校正溝(11)は、前記第1床板(1)又は前記第2床板(2)が前記床下地(10)上に配置された際に水平方向に延びる又は傾斜状となる底面(19)を有し、前記校正溝(11)は、前記第2端部(4)が前記床下地(10)に向けて押されるとともに曲げられることを可能とし、前記第1床板(1)と前記第2床板(2)の間の厚さの相違を調整するために設けられたものであり、前記工具(40)は、前記第1床板(1)及び前記第2床板(2)の上側面(15,17)に対して固定された位置に配置される工程と、を備える、機械的固定システムの製造方法。
【請求項17】
前記第1床板(1)及び前記第2床板(2)の上側面(15,17)からの固定された位置に、前記校正溝(11)の底面(19)を配置する工程をさらに備えている、請求項16に記載の機械的固定システムの製造方法。
【請求項18】
前記校正溝(11)の底面(19)は、前記校正溝(11)の深さが、前記第1床板(1)及び前記第2床板(2)の間での厚さの平均差に対して実質的に等しいか又は超えるように、配置される、請求項16に記載の機械的固定システムの製造方法。
【請求項19】
前記校正溝(11)の底面(19)は、前記校正溝(11)の深さが、前記第1床板(1)及び前記第2床板(2)の間での厚さの相違に対して実質的に等しくなるように、配置される、請求項16に記載の機械的固定システムの製造方法。
【請求項20】
前記固定溝及び前記校正溝は、互いに隣接して形成される、請求項16乃至19のいずれかに記載の機械的固定システムの製造方法。
【請求項21】
前記校正溝(11)は、前記固定溝(7,27)に向けて開放する、請求項16乃至20のいずれかに記載の機械的固定システムの製造方法。
【請求項22】
前記第1床板(1)及び前記第2床板(2)の第1端部(3,23)に、固定要素(6,26)を設けられた固定ストリップ(5,25)を形成する工程であって、前記固定要素(6,26)は、前記固定溝(7,27)と協働するように構成される工程を、さらに備える、請求項16乃至21のいずれかに記載の機械的固定システムの製造方法。
【請求項23】
前記第1床板(1)及び前記第2床板(2)の前記第1端部(1)又は前記第2端部(2)に、舌部溝(9,29;14)を形成する工程と、
前記第1床板(1)及び前記第2床板(2)の前記第1端部(3)及び前記第2端部(4)のうちの他方に、舌部(8;13)を設ける工程と、を備え、前記舌部(8;13)は、前記舌部溝(9,29;14)と協働するように構成される、請求項16乃至22のいずれかに記載の機械的固定システムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、機械的固定システムを設けられた床板、及び床板の端部における機械的固定システムを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製造時に許容される公差に起因して、異なる床板の厚さは、わずかに異なり得る。そのため、機械的固定システムの異なる部分が床板の異なる高さに配置され得る。例えば、床板が配置される床下地から第1床板に配置される舌部までの距離は、床下地から垂直方向における固定のために舌部が挿入されるようになる第2床板の舌部溝までの距離とは異なることがあり、このことが
図1に示されている。このことは、床板が固定位置とならない場合があるため、床板の連結時の困難性を生じさせ得る。しかしながら、そのような床板の厚さの相違は、床板が床下地に設けられた発泡体に配置されるときには、一般に、床板を互いに固定するときの困難性を生じさせるものではない。そのような発泡体は、一般に、圧縮可能である。圧縮可能な発泡体は、厚さのある床板上の舌部溝が隣接する床板の舌部と同じ高さに位置付けられるように、厚さのある床板を床下地に向けて圧縮されることを可能とする。
【0003】
そのような下層発泡体は、積層床や、エンジニアード木質床等の設置のときに従来から用いられている。ビニル床、例えばLVT(Luxury Vinyl Tiles)のようなプラスチックから形成される床の設置のときには、そのような発泡体は、従来、用いられていない。
【0004】
その結果、異なる床板の間の厚さの相違は、床板を互いに固定するとき、特に、いわゆるフォルドダウン(fold down)技術によって床板を連結するときの困難性を生じさせ得る。フォルドダウン技術は、一方の床板の一端の垂直方向下方の移動によって床板を組み立てる工程を含む。上述したように、異なる厚さを有する床板は、一方の床板の舌部溝が隣接する床板の舌部と異なる高さに位置付けられることを生じさせることがあり、床板が固定位置とならない場合があるので、床板の連結時の困難性を生じさせる。
【発明の概要】
【0005】
本発明の少なくとも或る実施の形態の目的は、上述した技術及び公知技術に対する改良を提供することである。
【0006】
本発明の少なくとも或る実施の形態のさらなる目的は、機械的固定システムによる床板の固定を容易にすることである。
【0007】
本発明の少なくとも或る実施の形態の他の目的は、床板が異なる厚さを有するときの機械的固定システムによる床板の固定を容易にすることである。
【0008】
本発明の少なくとも或る実施の形態のさらなる目的は、下層発泡体が用いられないときの機械的固定システムによる床板の固定を容易にすることである。
【0009】
本開示から明らかとなり得る、これら及び他の目的、並びに利点の少なくとも幾つかは、機械的固定システムを設けられた床板であって、第1床板の第1端部から突出する固定ストリップを備え、前記固定ストリップが、第2床板の第2端部の下側面における固定溝と協働するように構成され且つ水平方向に第1端部と第2端部とを固定するための固定要素を設けられた床板によって、達成されている。第1端部と第2端部とが、第1端部に向けた第2端部の垂直方向における下方の移動によって、組み立てられるように構成されている。第2端部は、固定溝に隣接する校正溝を設けられている。
【0010】
本発明の実施の形態の利点は、校正溝が、異なる厚さを有する床板、特に床板の端部における厚さの相違を補償することである。校正溝は、床板が配置される床下地に向けて第2端部が押されることを可能とする。これにより、第2端部は、第2床板の厚さが第1床板の厚さを超える場合であっても、第1端部及び第2端部のそれぞれで、第2床板の上側面が第1床板の上側面に整列するように、配置され得る。
【0011】
本発明の実施の形態の他の利点は、床板の固定が容易化され得ることである。従来にあっては、異なる厚さを有する異なる床板によって、舌部及び舌部溝のような機械的固定システムの部分的な固定が、妨げられる場合がある。舌部は、上述のように、固定のための舌部溝に嵌り込む状態に進入することに困難性を有する場合がある。本開示の校正溝を設けることによっては、第2端部は、舌部が舌部溝に進入する固定位置に到達するまで、下方に曲げられ得る。
【0012】
少なくとも第2端部は、可撓性を有していてもよい。
【0013】
少なくとも第2床板は、可撓性を有していてもよい。第2端部又は床板の可撓性あるいは弾性は、第2端部が床下地に向けて曲げられることを可能とする。
【0014】
少なくとも第2床板は、プラスチック材料、好ましくは、熱可塑性材料又はエラストマーを有していてもよい。
【0015】
第2床板の芯材は、プラスチック材料、好ましくは、熱可塑性材料又はエラストマーを有していてもよい。
【0016】
前記校正溝は、固定溝に向けて開放していてもよい。
【0017】
前記校正溝の深さは、前記床板の間での厚さの平均変化量に対して実質的に等しいか又は超えるようになっていてもよい。
【0018】
前記校正溝の深さは、第1端部及び第2端部における第1床板と第2床板の間の厚さの相違に対して実質的に等しくてもよい。
【0019】
前記校正溝は、第2床板の下側面に配置されていてもよい。
【0020】
固定要素は、湾曲状の外側上部を有していてもよい。固定溝は、固定要素の形状に相補的な形状を有していてもよい。
【0021】
前記第1端部及び前記第2端部を垂直方向に固定するために、前記第1端部又は前記第2端部は、前記第1端部又は前記第2端部のうちの他方における舌部溝と協働するように構成される舌部を、設けられていてもよい。
【0022】
前記舌部は、前記第1端部又は前記第2端部と同じ材料から形成されていてもよい。
【0023】
前記舌部は、前記第2端部に設けられ、前記第2床板の上側面から垂直方向で下方に延びていてもよい。
【0024】
前記舌部の幅は、前記第2床板の上側面からの距離とともに増加してもよい。
【0025】
前記舌部は、移動溝に配置された移動可能舌部であってもよい。移動可能舌部は、床板が固定位置となるときに、前記舌部溝に嵌り込む状態に進入するように構成されていてもよい。
【0026】
本発明の第2の態様によれば、本発明は、第1床板及び第2床板の端部での機械的固定システムの製造方法によって、実現される。当該方法は、
第1床板及び第2床板を準備する工程であって、前記第1床板は第1の厚さを有し、前記第2床板は前記第1の厚さとは異なる第2の厚さを有する、工程と、
前記第1床板及び前記第2床板のうちの第2端部の下側面に固定溝を形成する工程と、
前記第1床板及び前記第2床板のうちの少なくとも一方の前記第2端部の下側面に、工具を用いて校正溝を形成する工程であって、前記工具は、前記第1床板及び前記第2床板の上側面に対して固定された位置に配置される工程と、
を備える。
【0027】
本発明の第2の態様による方法は、上述された前記床板の利点を組み入れることができ、上述のことは、機械的固定システムの製造方法にも適用される。
【0028】
当該方法は、前記第1床板及び前記第2床板の上側面からの固定された位置に、前記校正溝の底面を配置する工程をさらに備えていてもよい。
【0029】
前記校正溝の底面は、前記校正溝の深さが、前記床板の間での厚さの平均変化量に対して実質的に等しいか又は超えるように、配置されてもよい。
【0030】
前記校正溝の底面は、前記校正溝の深さが、前記第1床板及び前記第2床板の間での厚さの相違に対して実質的に等しくなるように、配置されてもよい。
【0031】
前記固定溝及び前記校正溝は、互いに隣接して形成されてもよい。
【0032】
前記校正溝は、前記固定溝に向けて開放していてもよい。前記校正溝は、前記第2床板の下側面に配置されてもよい。
【0033】
当該方法は、前記第1床板及び前記第2床板の第1端部に、固定要素を設けられた固定ストリップを形成する工程であって、前記固定要素は、前記固定溝と協働するように構成される工程を、さらに備えていてもよい。前記固定要素は、水平方向での固定のために、前記固定溝と協働するように構成されていてもよい。
【0034】
当該方法は、前記第1床板及び前記第2床板の前記第1端部又は前記第2端部に、舌部溝を形成する工程と、前記第1床板及び前記第2床板の前記第1端部及び前記第2端部のうちの他方に、舌部を設ける工程と、を備え、舌部は、舌部溝と協働するように構成されていてもよい。前記舌部は、垂直方向での固定のために、前記舌部溝と協働するように構成されていてもよい。
【0035】
舌部を設ける工程は、前記第1床板及び前記第2床板の前記第1端部及び前記第2端部のうちの他方に、移動溝を形成する工程と、前記移動溝に前記舌部を挿入する工程とを含み、前記舌部は、前記移動溝において移動可能であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本発明は、本発明の実施の形態を示す添付された図を参照しつつ、例示を通して、より詳細に説明され得る。
【
図1】
図1は、従来技術による床下地に配置された床板を示している。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態による床板を示している。
【
図4】
図4は、本発明の他の実施の形態による床板を示している。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図2,3,4及び5は、少なくとも第1床板1と第2床板2とを有する床板のセットの機械的固定システムを示している。
図6a,6bはそれぞれ、第1床板1と第2床板2とを示している。第1及び第2床板1,2は、床下地10上に配置されている。第1床板1は、床下地10から離れる側を向く上側面15と、床下地10の方を向く下側面16と、を有する。第2床板2は、床下地10から離れる側を向く上側面17と、床下地10の方を向く下側面18と、を有する。
【0038】
第1及び第2床板1,2は、機械的固定システムを設けられている。機械的固定システムは、固定ストリップ5を有する。固定ストリップ5は、第1床板1の第1端部3から突出している。固定ストリップ5は、固定要素6を設けられている。固定要素6は、第2床板2の第2端部4の下側面18に配置された固定溝7と協働するように構成されており、固定要素6は、水平方向での第1及び第2端部3,4の固定のためのものである。
【0039】
固定要素6は、外側上部30を有する。固定溝7は、外側下部31を有する。
図2及び3に示される実施の形態では、固定要素6は、湾曲状又は弧状の外側上部30を有する。湾曲状の上部30は、円又は楕円の一部として形成されていてもよい。固定溝7は、固定要素6の形状を補う形状を有していてもよい。すなわち、固定溝7の外側下部31は、湾曲状又は弧状であってもよい。
図4及び5に示される実施の形態では、固定要素6は、傾斜状の外側上部32を有する。固定溝7は、固定要素6の形状を補う形状を有していてもよい。すなわち、固定溝7の外側下部33は、傾斜していてもよい。また、床下地10に向く固定要素6の下部は、
図4及び5に示されるように、床下地10に対して傾斜していてもよい。
【0040】
第1及び第2端部3,4は、第1端部3に向けた第2端部4の垂直方向における下方の動きによって、互いに組み付けられ且つ固定されるように構成されている。
【0041】
また、機械的固定システムは、舌部8及び舌部溝9を有していてもよい。舌部8は、第1端部3又は第2端部4に配置されてもよい。舌部溝9は、第1端部3及び第2端部4の他方に配置されてもよい。舌部8は、垂直方向での第1端部3及び第2端部4の固定のために、舌部溝9と協働するように構成されている。舌部8は、
図2及び3に示されるように、第1床板1の上側面15に対して傾斜して、第1端部3から突出していてもよい。これに代えて、舌部8は、第1端部3から水平方向に傾斜して突出してもよい。
【0042】
図2及び3に示されるように、舌部8は、第1端部3又は第2端部4における移動溝12に配置される移動可能舌部であってもよい。移動可能舌部8は、別の部分として、形成されていてもよい。すなわち、移動可能舌部8は、第1及び第2床板1,2の材料とは異なる材料から形成されていてもよい。このような移動可能舌部8は、例えばWO2007/015669に示されている。
図2及び3に示される実施の形態では、舌部8は、第1端部3における移動溝12に配置される移動可能舌部である。舌部溝9は、第2端部4に配置されている。移動可能舌部8は、移動溝12内で移動可能となっている。移動可能舌部8は、垂直方向での第1端部3及び第2端部4の固定のために、舌部溝9と協働するように構成されている。
【0043】
図4及び5に示される実施の形態では、舌部13は、第1端部3又は第2端部4と同じ材料から形成されていてもよい。舌部13は、第1端部3又は第2端部4の一体部分であってもよい。
図4及び5において、舌部13は、第2端部4と同じ材料から形成されている。舌部溝14は、第1端部3に形成されている。舌部13は、好ましくは、垂直方向での第1端部3及び第2端部4の固定のために、舌部溝14と協働するように構成されている。
図4及び5に示される実施の形態では、舌部13は、上側面17から垂直方向で下方に延び、水平方向に突出する。舌部13の幅は、第2板2の上面17からの距離とともに、増加する。舌部13は、断面で見た場合に、ありほぞ形状を有していてもよい。
【0044】
第1及び第2端部3,4はそれぞれ、第1及び第2床板1,2の短辺端部であってもよい。また、第1及び第2床板1,2の長辺端部が、機械的固定システムを設けられてもよい。例えば、長辺端部は、曲げることにより床板を固定するために構成された機械的固定システムを設けられてもよい。これに代えて、長辺端部は、上述のタイプの機械的固定システムを設けられてもよい。また、床板が、正方形形状、長方形形状又は他の多角形形状であってもよいことは、考慮される。
【0045】
実施の形態において、少なくとも第2端部4は、当該第2端部4が垂直方向に押されるように、可撓性、伸縮性又は弾性を有する。第2端部4は、好ましくは、床下地10に向けて垂直方向において下方に押される。ある実施の形態では、第1及び第2床板1,2は、可撓性、伸縮性又は弾性を有する。第1及び第2床板1,2は、この実施の形態において、プラスチック材料、好ましくは、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン(PU及び/又はPUR)、ポリプロピレン(PP)又はポリエチレン(PE)、あるいはそれらの組み合わせのような熱可塑性材料を有していてもよい。熱可塑性材料は、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルブチラール、又はそれらの組み合わせであってもよい。また、第1及び第2床板1,2は、エラストマーを有していてもよい。また、第1及び第2床板1,2は、WPC(Wood Plastic Composite)を有していてもよい。また、第2端部4の弾性力は、第2端部4から材料を除去することによって、確保されてもよい。
【0046】
実施の形態では、第1及び第2床板1,2が、1つ又は複数の層を有していてもよい。第1及び第2床板1,2は、芯材を有していてもよい。機械的固定システムは、芯材に形成されていてもよい。また、第1及び第2床板1,2は、芯材の上側面上に配置される表面層、好ましくは装飾層又は印刷層を有していていもよい。また、表面層は、装飾層又は印刷層上に配置される耐摩耗層を有していていもよい。また、第1及び第2床板1,2は、芯材の下側面上に配置される裏地層を有していてもよい。芯材は、第2端部4に可撓又は弾発特性を提供してもよい。芯材は、プラスチック材料、好ましくは、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン(PU)、ポリプロピレン(PP)又はポリエチレン(PE)、あるいはそれらの組み合わせのような熱可塑性材料を有していていもよい。熱可塑性材料は、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルブチラール、又はそれらの組み合わせであってもよい。また、芯材は、WPC(Wood Plastic Composite)を有していてもよい。また、芯材は、エラストマーを有していてもよい。また、芯材が1つ以上の層を有してもよいことが、考慮される。例えば、芯材は、MDF又はHDFのような木質繊維系板の第1層と、プラスチック、好ましくは熱可塑性材料又はエラストマーを有するような弾性材料の第2層と、を有していてもよい。
【0047】
第1及び第2床板1,2は、豪華なビニールタイル又は板、ビニールフリーの床板等のような弾性床板であってもよい。第1及び第2床板1,2は、芯材と、芯材の上側面上に配置される表面層と、選択的に芯材の下側面上に配置される裏地層と、を有していてもよい。芯材は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン(PU)、ポリプロピレン(PP)又はポリエチレン(PE)のような熱可塑性材料を有していてもよい。芯材は、エラストマーを有していてもよい。表面層は、印刷層、耐摩耗層及び保護コートのような、1つ又は複数の層を有していてもよい。印刷層及び/又は耐摩耗層は、熱可塑性箔のような熱可塑性材料を有していてもよい。印刷層及び耐摩耗層の熱可塑性材料は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエステル、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリウレタン(PUR)ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルブチラール、又はあるいはそれらの組み合わせであってもよい。保護コートは、UV硬化コートのような放射線硬化コートであってもよい。
【0048】
図2及び3ならびに
図4及び5に示されるように、第2端部4は、校正溝11を設けられている。校正溝11は、固定溝7に隣接して配置されている。校正溝11は、第2床板2の下側面18に配置されている。校正溝11は、固定溝7へ延びている。校正溝11は、固定溝7に向けて開放している。校正溝11は、床板2の下側面から垂直方向に延びている。校正溝11は、水平方向に延びる又は傾斜状となり得る底面19を有する。
【0049】
第2床板2が第2端部4に芯材を有する実施の形態では、校正溝11は、芯材に形成されていてもよい。第2床板2が、第2端部4に芯材と、芯材の下側面における裏地層とを有する実施の形態では、校正溝11は、裏地層又は裏地層と芯材とに、形成されてもよい。
【0050】
校正溝11は、第1及び第2床板1,2の間の厚さの相違を調整するように構成されており、特に、それぞれ、第1及び第2床板1,2の第1及び第2端部3,4での厚さの相違を調整するように構成されている。
図2及び4に示されるように、第2端部4における第2床板2の厚さは、第1端部3における第1床板1の厚さを超えている。結果的に、舌部溝9は、
図2に示されるように、舌部8が舌部溝9と協働する状態への進入から妨げられるように、舌部8の上方に配置されている。
図4に示される実施の形態では、舌部13は、舌部溝14に部分的にのみ挿入されている。舌部13の固定面及び舌部溝14は、部分的にのみ嵌り合った状態となっている。
【0051】
床下地10に配置された際、第2端部4での校正溝11の存在は、第2端部4での床下地10と床板2との間に形成される距離を生じさせる。校正溝11は、
図3及び5に示されている、舌部8,13が舌部溝9,14との嵌り合いに移行できる位置へ、第2端部4が床下地10に向けて押されることを、可能とする。舌部8,13が舌部溝9,14との嵌り合った際には、第1端部3と第2端部4とが、垂直方向で固定される。
図3及び5に示されるように、校正溝11の底面19の少なくとも一部は、床下地10に接している。舌部溝9,14における舌部8,13の嵌り合いは、第2端部4が床下地10に向けて曲がる位置に、第1端部3と第2端部4とを固定する。好ましくは、第2端部4での第2床板2の上側面17は、舌部8,13が舌部溝9,14と嵌り合う状態に移行した際に、第1端部3での第1床板1の上側面15と整列される。
【0052】
好ましくは、第2床板2或いは第2床板2の芯材の可撓又は弾発特性は、第2端部4での望ましい曲げの達成を助ける。上側面17に平行且つ接続面34に直交する水平方向における校正溝11の幅は、第2床板の材料特性に応じて調整されてもよい。第2床板2がより硬い場合には、校正溝11の幅は、第2端部4での望ましい曲げを得るために、増加されるべきである。第2床板2がより可撓性及び/又は弾性が大きい場合には、校正溝11の幅は、より硬い床板に比較して、縮減され得る。校正溝11の幅を調整することによって、床下地10に向けた第2端部4の曲げを可能とするための望ましい第2床板2の可撓性及び弾性が得られる。
【0053】
校正溝11は、好ましくは、上側面17に平行で且つ接続面34に水平に沿う水平方向における第2端部4の延長上に延びる。校正溝11は、好ましくは、連続している。代替的な実施の形態では、校正溝11は、上側面17に平行で且つ接続面34に水平に沿う水平方向で、非連続であってもよい。
【0054】
好ましくは、校正溝11の深さは、第1床板1と第2床板2との間の厚さの相違に、実質的に等しくなっている。好ましくは、校正溝11の深さは、0.5mm未満で、好ましくは0.3mm未満で、より好ましくは0.2mm未満である。
【0055】
校正溝11は、機械的固定システムの形成時に、形成され得る。校正溝11の深さは、複数の床板の間の厚さの平均差として、又は、複数の床板の間の厚さの平均差を超える深さとして、選択され得る。望ましい厚さを超える厚さを有する床板は、校正溝11を設けられてもよい。望ましい厚さを超えない厚さを有する床板は、校正溝11を設けられなくてもよい。
【0056】
図6aは、断面における第1床板1を示す。第1床板1は、第1端部3と第2端部24とを有する。
図6bは、断面における第2床板2を示す。第2床板2は、第2端部4と第1端部23とを有する。
図6a,6bにおける第1及び第2床板1,2は、上述の
図2〜5における第1及び第2床板1,2に対応している。
図2〜5は、第1及び第2床板1,2の接続を示す一方、
図6a,6bは、床板を分離して示している。
図2〜5を参照した、第1及び第2床板1,2の説明は、
図6a,6bを参照して以下に説明する第1及び第2床板1,2にも適用され、その逆も同様である。
【0057】
第1及び第2床板1,2の端部での機械的固定システムの形成方法が、
図6a〜6bを参照して以下に説明される。固定溝27は、第1の厚さを有する第1床板1の第2端部24の下側面16に形成される。また、固定溝7は、第2の厚さを有する第2床板2の第2端部4の下側面18に形成される。第1床板1の厚さは、第2床板2の厚さとは異なっていてよい。
【0058】
固定溝7,27が形成される第2端部4,24で好ましくは測定された、第1及び第2床板1,2のいずれかの厚さが所定の厚さを超える場合、校正溝11は、その床板に形成される。厚さが所定の厚さに対して等しい又は小さい場合、校正溝は形成されない。
図6a〜6bにおいて、校正溝11は、第1及び第2床板1,2の両方に形成されている。
【0059】
校正溝11は、工具40によって形成される。工具40は、第1及び第2床板1,2の上側面15,17から固定された距離で、配置される。固定された距離は、第1床板1の上側面15と工具40との間、並びに、第2床板2の上側面17と工具40との間で、同じになっている。固定された距離は、厚さの所定の望ましい値に対応する。所定の望ましい値は、少なくとも第1及び第2床板の平均厚さに対応していてもよい。
【0060】
工具40が固定された位置に配置されることによって、前記距離を超える厚さを有する床板は、校正溝11を設けられる。工具40は、ナイフ、床板の一部を溶融するように構成された加熱装置、スクレーパ工具、切断工具等であってもよい。
【0061】
第1床板1及び第2床板2は、床板1,2が工具40を通る際に、好ましくは、同一の搬送要素によって搬送される。搬送要素と工具40との間の距離は、固定される。好ましくは、第1床板1及び第2床板2の上側面15,17はそれぞれ、搬送要素に接する。
【0062】
校正溝11は、第1及び第2床板1,2の第2端部4,24の下側面16,18に形成される。校正溝11は、切断、削り取り、又は床板一部の溶融によって、形成されてもよい。校正溝11は、当該校正溝11が固定溝7,27に向けて開放するように、形成されてもよい。校正溝11は、固定溝7,27に隣接して配置される。好ましくは、第1及び第2床板1,2は、固定溝7,27が形成され第1位置と、校正溝11が形成される第2位置との間で、水平方向に、搬送される。
【0063】
校正溝11は、底面19を有する。校正溝11は、第1床板1の校正溝11の底面19及び第2床板2の校正溝11の底面19の各々が、第1及び第2床板1,2の上側面15,17から実質的に同じ距離に配置されるように、形成される。各床板の上側面15,17と、各校正溝11の底面19との間の距離は、第1及び第2床板1,2にとって実質的に同じとなる。第1及び第2床板1,2が異なる厚さを有する場合であっても、各校正溝11の底面19は、第1及び第2床板1,2の各々の上側面15,17から実質的に等しい距離に配置される。その結果、校正溝11の深さは、第2端部4,24での床板の初期の厚さに応じて、床板の間で、異なることもある。
【0064】
また、当該方法は、第1床板1の第1端部3に固定要素6を設けられた固定ストリップ5を形成する工程と、第2床板2の第1端部23に固定要素26を設けられた固定ストリップ25を形成する工程と、を有していてもよい。固定要素6,26は、水平方向での固定のために、固定溝7,27と協働するように構成される。
【0065】
また、当該方法は、第2床板2の第2端部4に舌部溝9を形成する工程と、第1床板1の第2端部24に舌部溝29を形成する工程と、を有していてもよい。移動溝12は、第1床板1の第1端部3に形成されてもよく、移動溝22は、第2床板2の第1端部23に形成される。また、当該方法は、
図6a〜6bに示されるように、各移動溝12及び22に移動可能舌部8を挿入する工程を有していてもよい。移動可能舌部8は、移動溝12,22内で移動可能である。移動可能舌部8は、垂直方向で床板を固定するように構成されている。これに代えて、垂直方向固定が、
図4及び5に示されるように、舌部13及び舌部溝14によって確保されてもよい。
【0066】
第2床板2の第1端部23の固定ストリップ25、固定要素26及び移動溝22が、第1床板1の第1端部3の固定ストリップ5、固定要素6及び移動溝12に、実質的に対応すること、及び、
図2〜5を参照した上述の説明が
図6a〜6bにも適用されることが、理解されるべきである。
【0067】
第1床板1の第2端部24の固定溝27及び舌部溝29が、第2床板2の第2端部4の固定溝7及び舌部溝9に実質的に対応すること、及び、
図2〜5を参照した上述の説明が
図6a〜6bにも適用されることが、理解されるべきである。
【0068】
第1及び第2端部3,4,23,24は、第1及び第2床板1,2の短辺端部であってもよい。第1及び第2床板1,2の長辺端部が、機械的固定システムを設けられてもよい。例えば、長辺端部は、曲げることにより床板を固定するために構成された機械的固定システムを設けられてもよい。これに代えて、長辺端部は、上述のタイプの機械的固定システムを設けられてもよい。また、床板が、正方形形状、長方形形状又は他の多角形形状であってもよいことは、考慮される。
【0069】
床板1,2の上側面15,17によって、床板が設置された際の床下地10から離れる側を向く側が意味される。しかしながら、製造中、上側面15,17は、必ず上方を向いていなくてよく、一時的に下方を向いてもよい。
【0070】
添付された請求項によって規定されるものとしての本発明の範囲内である、ここに説明された各実施の形態の多くの変形例があることは、考慮される。
【0071】
また、校正溝11は種々の形状を有してもよいことが考慮される。例えば、校正溝は、
図2〜3に示されるように、U形状であってもよい。さらに、校正溝11の底面19は、
図4〜5に示されるように、傾斜されてもよい。
【0072】
さらに、
図2〜6を参照した上述の機械的固定システムが、校正溝11を用いることなく使用されてもよい。例えば、第1床板1の第1端部3から突出する固定ストリップ5を備える機械的固定システムを有する床板が、設けられてもよい。固定ストリップ5は、水平方向での第1端部3及び第2端部4の固定のために、第2床板2の第2端部4の下側面18での固定溝7と協働するように構成される固定要素6を、設けられてもよい。固定要素6は、湾曲状の外側上部30を有する。固定溝7は、湾曲状の外側下部31を有していてもよい。