特許第6392848号(P6392848)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6392848
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】光学素子及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 1/118 20150101AFI20180910BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20180910BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
   G02B1/118
   G02F1/1335
   G09F9/00 313
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-507259(P2016-507259)
(86)(22)【出願日】2014年8月21日
(86)【国際出願番号】JP2014071824
(87)【国際公開番号】WO2015136734
(87)【国際公開日】20150917
【審査請求日】2016年9月8日
(31)【優先権主張番号】特願2014-52042(P2014-52042)
(32)【優先日】2014年3月14日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中松 健一郎
【審査官】 小西 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−152446(JP,A)
【文献】 特開2008−276059(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/118943(WO,A1)
【文献】 特開平07−040457(JP,A)
【文献】 特開平07−016940(JP,A)
【文献】 国際公開第00/62942(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 1/10 − 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の凸部が可視光の波長以下のピッチで設けられた表面を有する光学素子であって、
前記表面が、フィルム状の樹脂基材によって構成され、かつ前記表面の周囲に位置する側面が、フッ素系微粒子によって覆われ、
前記表面の少なくとも端部は、水に対する接触角が100°以上であることを特徴とする光学素子。
【請求項2】
前記表面の少なくとも端部は、ヘキサデカンに対する接触角が20°〜100°であることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
【請求項3】
前記光学素子は、前記表面を覆う保護部材を更に有し、
前記保護部材は、前記表面を外部から遮断することを特徴とする請求項1又は2に記載の光学素子。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の光学素子を備えることを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学素子及び表示装置に関する。より詳しくは、可視光の波長以下の大きさの凸部が表面に設けられることによって低反射率が実現された光学素子、及び、それを備える表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光学素子として、ナノメートルサイズの凹凸構造(ナノ構造)の一種である「モスアイ構造(蛾の目状の構造)」が表面に設けられたフィルムが知られている(例えば、特許文献1〜5参照。)。モスアイ構造としては、例えば、基材の表面にナノメートルサイズのコーン状の突起を多数形成したものが挙げられる。このようなモスアイ構造によれば、空気層から基材にかけて屈折率が連続的に変化するために、入射光は基材の表面を光学的な表面と認識しなくなり、反射光を激減させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−4201号公報
【特許文献2】特開2008−51847号公報
【特許文献3】国際公開第2009/110139号
【特許文献4】特開2011−28229号公報
【特許文献5】国際公開第2012/133946号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のナノ構造が表面に設けられたフィルムは、取り扱い性に関する課題があることが分かった。本発明者は、ナノ構造が表面に設けられたフィルムの実用化に向けた研究において、フィルムの端部から内部に向かって拡がる染みの発生が頻発することに気付いた。その原因を追求した結果、フィルムの表面は、通常は光学性能の維持等の目的で保護フィルムによって覆われるが、フィルムの側面はナノ構造が露出した状態となっていたため、側面に汚れが付着し得ることに想到した。そして、本発明者は、側面のみにわずかな汚れが付着した場合であっても、ナノ構造のような微細な構造が形成されている場合には、毛細管現象が生じ、汚れ中の成分がフィルム側面から浸透してフィルム内部に向かって拡がり、大きな染みを発生させることを見出した。そして、皮脂、パネル貼り合わせ用の紫外線硬化樹脂(特に、樹脂に含まれる特定の種類の可塑剤)等が染みの原因物質であることが分かった。
【0005】
上記のようなナノ構造に特有の染みは、以下に説明するように通常の染みとは異なる特殊な性質を有し、従来では認識されていなかったものである。すなわち、上記ナノ構造に特有の染みは、保護フィルムを剥離し、染みの発生したフィルムの表面を空気に暴露した状態で放置することにより、染みが消失するという検証結果が得られている。例えば、幅8mm、侵入深さ4mmの大きな染みが確認されたフィルムを実験室にて48時間室温で放置したところ、染みが薄くなり、裸眼によってはほぼ視認できない状態になることを確認した。これは、ナノ構造がフィルム内に連続的に形成されているため、時間の経過と共に染みの成分がナノ構造間に拡散していき、その結果、染みが消失したように見えるためであると推測される。ナノ構造の一種であるモスアイ構造について、染みが発生した部分の室温放置前後の様子を電子顕微鏡によって観察したところ、放置前ではモスアイ構造の高さが浅く、染みの成分がモスアイ構造間に埋まっていることが分かった。一方、実験室で48時間放置したフィルムでは、高さ・形状共に、染みが発生しなかった正常部と同程度になったモスアイ構造が確認できた。このように、裸眼による観察で染みが消失した部分では、形状も正常部と遜色なく、突起の折れ、突起同士のスティッキング等のモスアイ構造の異常も確認されず、微視的にも正常な状態に復帰していることが分かった。
【0006】
更に、染みの消失と光学性能との関係を確認するために、染みの発生したサンプルをランダムに4点抽出し、染みの消失前後で反射率と色度を測定した。測定は、以下の手順で行った。
(1)濃い油汚れ品をランダムに4点ピックアップした。
(2)液晶表示装置上からフィルムのみを剥離し、黒アクリル板に貼付した。
(3)正常部と染みの発生部(染み発生時)について、5°正反射の条件で反射スペクトルを測定した。
(4)一定時間室温で放置して染みが薄くなったことを目視で確認した後、薄くなった染みの発生部(染み消失時)について、5°正反射の条件で反射スペクトルを測定した。
【0007】
測定結果を図7〜11に示した。図7は、従来のモスアイ構造を有するフィルムの第1の染み発生部において、染みの消失前後における5°正反射スペクトルを測定した結果を示したグラフである。図8は、従来のモスアイ構造を有するフィルムの第2の染み発生部において、染みの消失前後における5°正反射スペクトルを測定した結果を示したグラフである。図9は、従来のモスアイ構造を有するフィルムの第3の染み発生部において、染みの消失前後における5°正反射スペクトルを測定した結果を示したグラフである。図10は、従来のモスアイ構造を有するフィルムの第4の染み発生部において、染みの消失前後における5°正反射スペクトルを測定した結果を示したグラフである。図11は、従来のモスアイ構造を有するフィルムの第1〜第4の染み発生部において、染みの消失前後における色度を測定した結果をまとめて示したグラフである。図11中の「X−Y」の表記では、Xが第1〜第4の染み発生部の番号を表し、Yが1のときは、正常部、Yが2のときは、染み発生時、Yが3のときは、染み消失時を表している。例えば、図11中の「3−2」は、第3の染み発生部の染み発生時についての測定結果を表している。
【0008】
図7〜10に示した結果から明らかなように、染みが薄くなって消失すると、反射スペクトルは正常部のスペクトルとほぼ重なっており、充分に反射率が低減されている。また、図11に示した結果から明らかなように、染みが薄くなって消失すると、色度(a)についても、正常部に近い値に戻っている。以上のように、光学特性の観点においても、染みが薄くなって消失した状態では正常部と比較して何ら遜色ない結果となっており、品質的に問題ないと言える。
【0009】
以上のように、上記ナノ構造に特有の染みは、フィルムの表面を空気に暴露した状態で放置することにより消失する性質があり、従来では気付かれていなかったか、もし気付かれていたとしても、それを解消する手段は見出されていなかったものである。例えば、特許文献1〜3には、上記ナノ構造に特有の染みに着目した記載はなく、ナノ構造を表面に有するフィルムの端部における染みの発生を解決するものではなかった。また、特許文献4、5には、モスアイ構造が存在すると、指紋等の汚れが毛細管現象により浸透していくことが開示されているが、特許文献4、5に記載された発明は、汚れを拭き取り易くするために表面を親水性にするものであって、汚れの発生自体、及び、汚れの拡がり(モスアイ構造間の毛細管現象)を抑制できるものではなかった。
【0010】
一方で、実際の製造現場では、保護フィルムを剥離すれば消失する染みであったとしても、解消することが求められる。例えば、光学フィルムの生産者(販売者)と使用者(購入者)とが異なる場合には、染みが発生した製品は不良品と判定されてしまう。
【0011】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、端部に付着した汚れ成分が毛細管現象によって拡がって染みを生じさせることを抑制した光学素子、及び、それを備える表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、基材表面に複数の凸部が可視光の波長以下のピッチで形成されたときに基材の端部で生じる染みを抑制する方法について種々の検討を行った結果、保護部材(保護フィルム)によって光学素子の表面を覆った場合であっても、光学素子の側面が露出しており、この側面に付着した汚れ成分が拡散することによって染みが発生することに着目した。そして、染みの発生を防止するためには、染みが付着しづらく、拡散しにくい表面とすることが重要であり、水に対する接触角が100°以上である撥水性の表面とすることによって、端部に付着した汚れ成分が毛細管現象によって拡がって染みを生じさせることを防止できることを見出した。以上のようにして、本発明者らは、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達した。
【0013】
すなわち、本発明の一態様は、複数の凸部が可視光の波長以下のピッチで設けられた表面を有する光学素子であって、上記表面の少なくとも端部は、水に対する接触角が100°以上である光学素子であってもよい。
【0014】
また、本発明の別の一態様は、上記光学素子を備える表示装置であってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る光学素子及び表示装置によれば、光学素子の端部に付着した汚れ成分が毛細管現象によって拡がって染みを生じさせることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係る光学素子を模式的に示した斜視図である。
図2図1のA−B線に沿った断面を拡大して示した断面模式図である。
図3】実施形態に係る光学素子によって反射率を低減できる原理を説明するための図であり、(a)は、モスアイ構造の断面を示し、(b)は、モスアイ構造の断面における屈折率の変化を模式的に示している。
図4】実施形態に係る光学素子の端部に、被覆材としてインクを設けたときの状態を模式的に示した斜視図である。
図5】実施形態に係る光学素子の端部に、被覆材として微粉末を設けたときの状態を模式的に示した斜視図である。
図6】実施形態に係る光学素子の作製に用いられるローラー型ナノインプリント装置の全体構成を示す断面図である。
図7】従来のモスアイ構造を有するフィルムの第1の染み発生部において、染みの消失前後における5°正反射スペクトルを測定した結果を示したグラフである。
図8】従来のモスアイ構造を有するフィルムの第2の染み発生部において、染みの消失前後における5°正反射スペクトルを測定した結果を示したグラフである。
図9】従来のモスアイ構造を有するフィルムの第3の染み発生部において、染みの消失前後における5°正反射スペクトルを測定した結果を示したグラフである。
図10】従来のモスアイ構造を有するフィルムの第4の染み発生部において、染みの消失前後における5°正反射スペクトルを測定した結果を示したグラフである。
図11】従来のモスアイ構造を有するフィルムの第1〜第4の染み発生部において、染みの消失前後における色度を測定した結果をまとめて示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態及び実施例を説明する。なお、本発明は、以下の実施形態及び実施例に限定されるものではない。また、各実施形態及び実施例の構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜組み合わされてもよいし、変更されてもよい。
【0018】
(1)光学素子の構造及び機能
実施形態に係る光学素子の構造について、図1及び図2を参照して説明する。図1は、実施形態に係る光学素子を模式的に示した斜視図である。図2は、図1のA−B線に沿った断面を拡大して示した断面模式図である。図1及び図2に示したように、実施形態に係る光学素子は、複数の凸部(突起)11aが可視光の波長以下のピッチ(凸部の頂点間の距離)Pで表面に設けられたフィルム状の基材11を有する。すなわち、実施形態に係る光学素子は、モスアイ(蛾の目)状の構造(以下、「モスアイ構造」ともいう)を表面に有する反射防止フィルム(以下、略して「モスアイフィルム」ともいう)に相当する。なお、図1及び図2では、モスアイ構造を明示するためにフィルムの断面方向を拡大して示している。実際のフィルムでは、フィルムの面積に対してモスアイ構造の高さ(1μm未満)の比率は極めて小さく、実際は図1及び図2に示したようにモスアイ構造を肉眼で識別することはできない。
【0019】
モスアイ構造を構成する凸部(突起)11aの高さは特に限定されないが、好ましい下限は150nmであり、好ましい上限は180nm以下である。ピッチ(突起の頂点間の距離)Pは、可視光の波長(780nm)以下であれば特に限定されず、好ましい下限は100nmであり、好ましい上限は200nmである。凸部11aの形状は特に限定されず、例えば、略円錐状(コーン状)が挙げられる。凸部11aは、基材表面にランダムに配置されることが好ましい。上記のような凸部11aを形成する観点から、基材11の材質としては、樹脂が好適である。
【0020】
反射防止処理が施されていない樹脂膜と空気層との界面に入射した可視光が上記界面で反射される割合(可視光反射率)は通常4%であるが、樹脂膜上にモスアイフィルムを配置することによって、可視光反射率を0.15%程度に低減できる。その理由について、図3を参照して説明する。図3は、実施形態に係る光学素子によって反射率を低減できる原理を説明するための図であり、(a)は、モスアイ構造の断面を示し、(b)は、モスアイ構造の断面における屈折率の変化を模式的に示している。モスアイ構造を構成する凸部11aは可視光の波長の長さ(380〜780nm)よりも小さいことから、可視光は、モスアイ構造により構成された界面を透過する際に、通常の平坦な界面を透過する際とは異なる挙動を示す。すなわち、モスアイ構造の領域における屈折率を、屈折率が1.5の樹脂からなる凸部11aと屈折率1.0の空気からなる凹部(凸部11a間の隙間)11bの体積比に基づいて算出すると、モスアイ構造の領域における屈折率は、図3の(b)に示したように、空気層の1.0から樹脂膜の1.5まで連続的に大きくなっている。したがって、屈折率1.0の空気層(図3の(a)中の点線Aよりも上の領域)、モスアイ構造の領域(図3の(a)中の点線Aと点線Bの間の領域)、及び、屈折率1.5の樹脂膜で全体が構成された基材11(図3の(a)中の点線Bよりも下の領域)を順に透過する可視光にとっては、屈折率が不連続に変化する界面は存在しなくなる。このような理由のため、モスアイ構造が存在することによって界面反射が劇的に減少する。なお、図3の(b)は、基材11を構成する材料の屈折率が1.5の場合を示しているが、屈折率が1.5以外の場合であっても、モスアイ構造によって屈折率が不連続に変化する界面は存在しなくなることは同様に成立する。
【0021】
実施形態に係る光学素子では、基材11の凸部11aが設けられた表面において、少なくとも端部52は、水に対する接触角が100°以上とされる。本発明者が検討した結果、従来のモスアイフィルムでは、モスアイ構造の凸部間の隙間が毛細管の役割を果たすため、フィルムの端部52や基材11の側面に付着した汚れが、フィルム内に拡がりやすく、モスアイ構造による反射率低減効果を損なってしまう。本実施形態では、フィルムの端部における水に対する接触角を100°以上にすることで、端部52や基材11の側面に付着した皮脂が基材11上に拡がることを防止できる。これにより、光学素子の取り扱い性を向上し、光学素子の機能を充分に発揮させることができる。また、凸部11aが設けられた表面全体において、水に対する接触角を100°以上としてもよい。水に対する接触角を100°以上にした領域では、イソプロピルアルコール(IPA)等の有機溶剤で拭き取ることによって、容易かつ綺麗に汚れ成分を除去することができる。したがって、表面全体の水に対する接触角を100°以上とすることによって、基材11上に汚れ成分が付着した場合であっても除去が可能となる。また、染みの抑制効果を向上させる観点から、水に対する接触角の好ましい下限は105°であり、より好ましい下限は110°であり、水に対する接触角の好ましい上限は150°であり、より好ましい上限は140°である。
【0022】
上記水に対する接触角は、基材11の素材に、上記特定範囲の接触角を示す材料を選定することによって実現できる。例えば、金型の表面形状を樹脂(転写樹脂ともいう)に転写することによってモスアイ構造を形成する場合には、転写樹脂として、硬化後に疎水性を示す樹脂(疎水性樹脂)を用いることができる。従来の転写樹脂は、汚れが付着しても拭き取り易いよう、親水性樹脂を使用することが一般的であったが、本実施形態では、疎水性樹脂を用いる点に特徴がある。また、表面処理を行うことによって上記特定範囲内に接触角を調整してもよい。
【0023】
実施形態に係る光学素子では、基材11の凸部11aが設けられた表面において、少なくとも端部52は、ヘキサデカンに対する接触角が20°〜100°であることが好ましい。パネル貼り合わせ用の紫外線硬化樹脂には、ブタジエン系可塑剤が用いられることがあり、このブタジエン系可塑剤が、従来のモスアイフィルムにおいて、毛細管現象によって拡がって染みを生じさせる原因物質であった。そこで、フィルムの端部におけるヘキサデカンに対する接触角を20°〜100°にすることで、ブタジエン系可塑剤が端部52や基材11の側面に付着した場合に基材11上に拡がることを防止できる。これにより、光学素子の取り扱い性を向上し、光学素子の機能を充分に発揮させることができる。凸部11aが設けられた表面全体において、ヘキサデカンに対する接触角を20°〜100°としてもよい。また、染みの抑制効果を向上させる観点から、ヘキサデカンに対する接触角の好ましい下限は25°であり、より好ましい下限は30°である。ヘキサデカンに対する接触角の好ましい上限は90°であり、より好ましい上限は40°である。
【0024】
上記ヘキサデカンに対する接触角は、基材11の素材に、上記特定範囲の接触角を示す材料を選定することによって実現でき、表面処理を行うことによって上記特定範囲内に接触角を調整してもよい。
【0025】
実施形態に係る光学素子では、基材11の凸部11aが設けられた表面の端部52に、被覆材が配置されてもよい。図4は、実施形態に係る光学素子の端部に、被覆材としてインクを設けたときの状態を模式的に示した斜視図である。図4に示したように、インク21は、凹部11bを埋めるように基材11上に配置される。図4では、インク21は、基材11の凸部11aが設けられた表面の端部、及び、側面(上半分)の両方を覆っているが、インク21は、いずれか一方のみを覆うものであってもよい。
【0026】
インク21としては、顔料及び染料の少なくとも一方を含有するものが挙げられる。インク21の種類としては、マーカー用のものや、工業用スタンプ用のものを用いることができる。なお、マーカーの種類は、水性マーカーであってもよく、油性マーカーであってもよく、例えば、シヤチハタ社製のShatihataスタンプ台専用インキ「SG−40」、「SG−240」、シヤチハタスタンプ台専用補充インキ「SGN−40」、「SGN−240」(以上は、カーボンブラックを含有)や、シヤチハタ社製の強着スタンプインキタート<多目的用>黒又は赤「STG」、「STG−1」、「STG−3」や、ゼブラ社製のマッキープロ・特殊用途DX「YYS10−BK」用黒インク(以上は、顔料を含有)や、ゼブラ社製のマッキー・シリーズ(以上は、染料を含有)、ぺんてる社製のサインペン等が挙げられる。
【0027】
なお、インク21が配置された端部52ではモスアイ構造による反射率低減効果は得られないので、端部52の幅(基材11側面からの距離)は狭いことが好ましい。端部52の幅の下限は、汚染防止を実質的に確保できれば特に限定されない。
【0028】
上記被覆材としては、微粉末(微粒子)を用いてもよい。図5は、実施形態に係る光学素子の端部に、被覆材として微粉末を設けたときの状態を模式的に示した斜視図である。図5に示したように、側面を微粉末31で被覆することにより、皮脂や紫外線硬化樹脂の浸透を防ぎ、染みの発生を防止することができる。
【0029】
微粉末31としては特に限定されず、フッ素系材料等の表面エネルギーが小さいものが好適である。表面エネルギーが小さい微粉末31であれば、たとえ少量の付着量であったとしても、皮脂その他の外部からの付着物を弾く作用が大きいため、モスアイ構造内への汚染物等の侵入を防ぐ効果が大きい。フッ素系材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が挙げられる。
【0030】
微粉末31による被覆の方法として、例えば、スプレー法が挙げられる。スプレー法を用いる場合には、例えば、フッ素系微粒子を含有するエアロゾルスプレー(フッ素コート剤)が好適に用いられる。フッ素コート剤の溶剤はアルコール含有の揮発性材料であり、比較的容易にフィルム端部に塗布・配置できる。フッ素コート剤の具体例としては、住鉱潤滑剤社製の「スミロンパウダースプレー」が挙げられ、この製品では、PTFE粉末が極微量の特殊な油で処理され、スプレー化されている。その他、PTFE粉末に粘着性の樹脂を混合したものを用いてもよい。粘着性の樹脂としては、例えば、紫外線硬化性のポリジメチルシロキサン(シリコーンゴム)を用いることができる。
【0031】
側面を微粉末31で被覆する手法としては、側面のみに微粉末31を付着させる方法の他、フィルム表面及び裏面が保護フィルムに覆われている場合には、フィルム全体に粉を拭きつけて余剰分を落とす方法を用いてもよい。
【0032】
また、被覆処理は、1枚単位で処理してもよいが、図5に示したように、複数枚単位(例えば、100枚単位)で処理すれば、容易に大量処理できる。なお、複数枚単位で被覆処理する場合には、被覆処理された複数枚のフィルムが互いに貼りついてしまい、その後の1枚単位で行う別の処理が適切に行えない可能性がある。例えば、モスアイフィルムを偏光板に貼り付ける工程では、束になった100枚のフィルムから1枚ずつフィルムを繰り出す装置を用いることがあるが、その際に、2、3枚のフィルムがくっついた状態で繰り出されると、モスアイフィルムが無駄になってしまう。この繰り出し異常は、フィルム間に発生する静電気によって生じるほか、被覆処理で付着させた被覆材が粘着性である場合に、被覆材によってフィルム同士がくっついてしまうために生じることがある。これに対して、フッ素系材料の微粉末31を側面に付着させる方法によれば、微粉末31自身に粘着性がないため、繰り出し異常を解決するのに好適である。
【0033】
被覆材の例としてインク、微粉末(微粒子)を挙げたが、上記被覆材は、可視光の波長以下のピッチで設けられた複数の凸部(ナノ構造)の間に浸透して拡散しない材料であればよく、速乾性の材料が好適である。例えば、日立化成工業社製の防湿絶縁材料(紫外線硬化性樹脂)である「タッフィー」の「TF−4200EB−452」、「TF−3348−100B」も用いることができる。なお、被覆材として用いられる樹脂は、非反応成分の添加物を実質的に含まないものであることが好ましい。「非反応成分の添加物」とは、被覆層を構成する樹脂の硬化反応の際、ポリマー骨格内に取り込まれない添加物成分を意味する。非反応成分の添加物は、ポリマーの骨格に拘束されない、又は、ポリマーの骨格に拘束され難いため、染みの原因となる可能性がある。「実質的に含まない」とは、染みを発生させない程度の量であることを意味する。非反応成分の添加物としては、ブタジエン系可塑剤等の特定の種類の可塑剤が挙げられる。したがって、非反応成分の添加物を実質的に含まない樹脂としては、可塑剤を含まない樹脂が挙げられる。
【0034】
(2)光学素子の製造プロセス
実施形態に係る光学素子の製造方法の一例として、図6を参照してナノインプリント方式を用いる方法について説明する。図6は、実施形態に係る光学素子の作製に用いられるローラー型ナノインプリント装置の全体構成を示す断面図である。
【0035】
まず、第一段階として、モスアイフィルムを作製する。モスアイフィルムを作製する方法としては、図6に示すように、モスアイ構造を付与するための転写樹脂をダイコーター、スリットコーター等の塗布手段により基材フィルム112に塗布し、続いて、転写樹脂を金型ロール115に接触させ、そして、紫外線等のエネルギー線を照射することによって転写樹脂を硬化させる方法が好適である。金型ロール115を円筒軸又は円柱軸を中心に回転させることにより、被転写体に対する型押し、及び、被転写体からの離型を連続的に行うことができ、その結果、表面にモスアイ構造が形成されたモスアイフィルム120を高速かつ大量に製造することができる。
【0036】
ローラー型ナノインプリント装置についてより詳細に説明すると、まず、基材フィルム112がロール状に巻かれた基材フィルムロール111が回転し、基材フィルムロール111からベルト状の基材フィルム112が、図6中の矢印が指す方向に送り出される。基材フィルム112の材料としては、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が用いられる。
【0037】
次に、基材フィルム112は、テンションを調節する一対のピンチロール(保持ロール)113a、113bを通過し、続いてダイコーター114により未硬化の転写樹脂が塗布される。転写樹脂としては、紫外線等のエネルギー線で硬化する疎水性樹脂を用いることができる。続いて、基材フィルム112は、円柱状の金型ロール115の外周面に沿って半周分移動する。このとき、基材フィルム112に塗布された転写樹脂が金型ロール115の外周面と接する。
【0038】
基材フィルム112が金型ロール115の外周面と最初に接する位置には、金型ロール115の外周面と対向するようにゴム製の円柱状のピンチロール116が配置されている。この位置において、金型ロール115とピンチロール116とで基材フィルム112を挟み込み、金型ロール115と転写樹脂とを加圧及び密着させることにより、金型ロール115の外周面に形成された凹凸パターンが転写樹脂に転写される。
【0039】
また、基材フィルム112が金型ロール115の外周面に沿って移動する間に、金型ロール115の下方から、紫外線等のエネルギー線が照射される。これにより、転写樹脂は、金型ロール115の外周面に形成された凹凸パターンの反転形状を有した状態で硬化される。なお、図6中の白抜き矢印は、エネルギー線の照射方向を示している。
【0040】
金型ロール115の外周面に沿って半周分移動後、基材フィルム112は、金型ロール115の外周面と対向するように配置されたピンチロール117に沿って移動し、硬化された転写樹脂の膜とともに金型ロール115から剥離される。これにより、基材フィルム112上に、転写樹脂からなるモスアイ構造が連続的に形成されたモスアイフィルム120が作製される。
【0041】
続いて、ラミネーションフィルム(保護部材)119がロール状に巻かれたラミネーションフィルムロール118から供給されたラミネーションフィルム119が、ピンチロール127により、モスアイフィルム120の転写樹脂が塗布された側に貼り合わせされる。これにより、モスアイフィルム120とラミネーションフィルム119とが充分に密着される。ラミネーションフィルム119は、モスアイフィルム120の表面に汚れが付着することや傷が付くことを防ぐ目的で一時的に貼られる保護フィルムである。ラミネーションフィルム119がモスアイフィルム120の表面を覆うことにより、モスアイフィルム120の表面は外部から遮断される。最後に、モスアイフィルム120とラミネーションフィルム119とを密着させた積層フィルムが巻き取られて積層フィルムロール121が作製される。
【0042】
被覆材としてのインク21を形成する場合には、例えば、積層フィルムロール121を所定のサイズに分断して作製したモスアイフィルム120にインク21を塗布する。インク21の塗布方法としては特に限定されず、マーカー、刷毛等の塗布用具を用いてモスアイフィルム120の側面に直に塗布してもよいし、スプレー法により塗布してもよい。また、インク21の塗布は、モスアイ構造の形成後、ラミネーションフィルム119の貼り付け前に行ってもよい。モスアイフィルム120をロール状に巻き取った状態で側面に塗布すると作業性がよい。インク21の塗布は、1枚単位で処理してもよいが、複数枚単位(例えば、100枚単位)で処理すれば、容易に大量処理できる。
【0043】
(3)光学素子の用途
実施形態に係る光学素子の用途としては特に限定されず、例えば、表示装置に用いられてもよい。表示装置の種類についても特に限定されないが、例えば、液晶表示装置が好適である。従来の光学素子が液晶表示装置に適用される場合には、液晶パネルの貼り合わせ用の紫外線硬化樹脂(シール材)が端部に付着すると、染み(反射ムラ)が発生することがあった。一方、実施形態に係る光学素子が液晶表示装置に適用される場合には、シール材が端部に付着したときに染みが発生することを防止できる。
【0044】
(4)光学素子の変形例
上記実施形態では、光学素子としてモスアイフィルムを用いているが、光学素子は、複数の凸部が可視光の波長以下のピッチで設けられた表面を有するものであればよい。すなわち、光学素子の表面構造は、モスアイ構造以外のナノ構造であってもよく、例えば、ワイヤーグリッド構造であってもよい。また、光学素子の厚さは特に限定されず、フィルムであってもよいし、シートであってもよいし、それら以外の構造物であってもよい。
【0045】
[実施例]
実施形態に記載されたモスアイフィルムの用途としては、液晶表示装置の表示面に貼り付け、外光の映り込みを防止する用途がある。このような用途では、液晶パネルの貼り合わせ用の紫外線硬化樹脂(シール材)が光学素子の端部に付着し、光学シートに染み(反射ムラ)を発生させることがある。また、液晶表示装置の使用者が触った際に皮脂が光学素子の端部に付着し、光学シートに染み(反射ムラ)を発生させることがある。
そこで、以下の実施例及び比較例では、水及びヘキサデカンに対する接触角が互いに異なる各種材料でモスアイフィルムを作製し、このモスアイフィルムの表面に、(1)皮脂、(2)ブタジエン系可塑剤を含有する紫外線硬化樹脂(協立化学産業社製、商品名「HRJ」)をそれぞれ付着させ、その後室温で24時間放置したときの染みの拡がり方を確認した。
接触角は、測定対象の表面に、液滴を1μl滴下し、θ/2法(Half−angle Method)により測定した。測定装置としては、協和界面科学社製のポータブル接触角計(商品名:PCA−1)を用いた。
【0046】
(実施例1)
モスアイフィルムの材料として、旭硝子社製の疎水性樹脂「NIF−A−1」(以下、転写樹脂Aともいう)を用いた。転写樹脂Aで形成されたモスアイフィルムの接触角は、以下のとおりであった。
水に対する接触角:111.3°
ヘキサデカンに対する接触角:38.5°
【0047】
参考までに、転写樹脂Aで形成された平坦なフィルムの接触角は、以下のとおりであった。
水に対する接触角:58.6°
ヘキサデカンに対する接触角:34.2°
以上のように、同じ材料を用いた場合であっても、モスアイフィルムの表面と平坦なフィルムの表面では接触角の値が異なっていた。
【0048】
(実施例2)
モスアイフィルムの材料として、東京応化工業社製の疎水性樹脂「TPIR−219」(以下、転写樹脂Bともいう)を用いた。転写樹脂Bで形成されたモスアイフィルムの接触角は、以下のとおりであった。
水に対する接触角:104.1°
ヘキサデカンに対する接触角:5°未満
【0049】
(比較例1)
モスアイフィルムの材料として、DNPファインケミカル社製の親水性樹脂「AR206」(以下、転写樹脂Cともいう)を用いた。転写樹脂Cで形成されたモスアイフィルムの接触角は、以下のとおりであった。
水に対する接触角:46.8°
ヘキサデカンに対する接触角:8.5°
【0050】
参考までに、転写樹脂Cで形成された平坦なフィルムの接触角は、以下のとおりであった。
水に対する接触角:59.3°
ヘキサデカンに対する接触角:5.8°
【0051】
(比較例2)
モスアイフィルムの材料として、DNPファインケミカル社製の疎水性樹脂「MHC−100」(以下、転写樹脂Dともいう)を用いた。転写樹脂Dで形成されたモスアイフィルムの接触角は、以下のとおりであった。
水に対する接触角:11.8°
ヘキサデカンに対する接触角:34.4°
【0052】
参考までに、転写樹脂Dで形成された平坦なフィルムの接触角は、以下のとおりであった。
水に対する接触角:13.9°
ヘキサデカンに対する接触角:56.7°
【0053】
(試験結果)
実施例1では、(1)皮脂は、付着した状態から変化せず、染みの拡がりは見られなかった。また、皮脂は、IPAによって、目視で確認できない程度にまで、容易に拭き取ることができた。(2)紫外線硬化樹脂についても皮脂の場合と同様の結果であった。
【0054】
実施例2では、(1)皮脂は、付着当初に滲んで指紋の痕が薄くなるような様相を示したが、染みの拡がりは生じなかった。また、皮脂は、IPAによって、目視で確認できない程度にまで、容易に拭き取ることができた。(2)紫外線硬化樹脂については、拡がりの程度は小さかったものの、染みの拡がりが見られた。また、IPAによる拭き取りによって、付着させた部分の紫外線硬化樹脂は除去できたが、染みとなって拡がった部分の紫外線硬化樹脂は除去できなかった。
【0055】
比較例1及び2では、(1)皮脂、(2)紫外線硬化樹脂のいずれとも付着した部分から拡がって染みが発生した。染みは時間が経つにつれて拡大した。
【0056】
以上の結果から、モスアイ構造を有する表面が、水の接触角が100°以上の撥水性であれば、皮脂の拡がりが抑制され、染みが発生しないことが分かった。更に、ヘキサデカンの接触角が30°〜40°程度の撥油性であれば、ブタジエン系可塑剤を含有する紫外線硬化樹脂の拡がりが抑制され、染みが発生しないことが分かった。
【0057】
[付記]
以下に、本発明の光学素子の好ましい態様の例を挙げる。各態様は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜組み合わされてもよい。
【0058】
上記表面の少なくとも端部は、ヘキサデカンに対する接触角が20°〜100°であることが好ましい。これによって、パネル貼り合わせ用の紫外線硬化樹脂に含まれることがあるブタジエン系可塑剤が付着した場合であっても、染みの発生を防止できる。上記表面の全体において、ヘキサデカンに対する接触角を20°〜100°としてもよい。
【0059】
上記光学素子は、上記表面を覆う保護部材を更に有し、上記保護部材は、上記表面を外部から遮断するものであることが好ましい。光学素子においてナノ構造が形成された表面は、損傷や汚染を防止するために保護部材で覆われることが望ましいが、従来の光学素子では、保護部材で覆うことにより、ナノ構造に起因する染みが消失し難くなっていた。本発明の光学素子においては、保護部材を設けたとしてもナノ構造に起因する染みを充分に防止することができる。
【0060】
上記光学素子は、上記表面の端部、及び、上記表面の周囲に位置する側面の少なくとも一方が、上記複数の凸部間の隙間を埋める被覆材によって覆われたものであってもよい。この態様では、ナノ構造に起因する染みを充分に防止することができる。
【0061】
上記被覆材は、インクにより形成されたものであってもよい。インクとしては、染料を含むものや、顔料を含むものが挙げられる。
【0062】
上記被覆材は、フッ素系微粒子を含有するものであり、上記フッ素系微粒子は、上記基材の側面を覆うものであってもよい。この態様では、微粒子自身に粘着性がないため、複数枚単位で被覆処理を行っても、その後の工程で繰り出し異常が生じることを防止できる。
【0063】
上記被覆材は、可塑剤を含まない樹脂により形成されたものであってもよい。ブタジエン系可塑剤等の特定の種類の可塑剤は、ポリマーの骨格に拘束されない、又は、ポリマーの骨格に拘束され難いため、染みの原因となる可能性がある。
【符号の説明】
【0064】
11:基材
11a:凸部(突起)
11b:凹部
21:インク
31:微粉末
52:端部
111:基材フィルムロール
112:基材フィルム
113a、113b、116、117、127:ピンチロール
114:ダイコーター
115:金型ロール
118:ラミネーションフィルムロール
119:ラミネーションフィルム
120:モスアイフィルム
121:積層フィルムロール
P:ピッチ(凸部の頂点間の距離)
図1
図2
図3
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図5
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図11