(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6392869
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】針収納デバイス
(51)【国際特許分類】
A61M 5/32 20060101AFI20180910BHJP
【FI】
A61M5/32 510Z
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-528446(P2016-528446)
(86)(22)【出願日】2014年7月17日
(65)【公表番号】特表2016-525403(P2016-525403A)
(43)【公表日】2016年8月25日
(86)【国際出願番号】EP2014065420
(87)【国際公開番号】WO2015011022
(87)【国際公開日】20150129
【審査請求日】2017年6月30日
(31)【優先権主張番号】13177490.3
(32)【優先日】2013年7月22日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】397056695
【氏名又は名称】サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ウーヴェ・ダスバッハ
(72)【発明者】
【氏名】ペーター・ノーバー
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・バウマイアー
【審査官】
杉▲崎▼ 覚
(56)【参考文献】
【文献】
特表2014−532532(JP,A)
【文献】
英国特許出願公開第02459772(GB,A)
【文献】
特表2014−519934(JP,A)
【文献】
特表2004−505683(JP,A)
【文献】
実開平03−046346(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 3/00− 9/00
A61M 31/00
A61M 39/00−39/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
針収納デバイス(1)であって:
薬物送達デバイスの針(3)を受けるように適用された開口部(5)を有するハウジング(4)と;
該ハウジング(4)内に可動に配設された針収納コンパートメント(2)と;
ハウジング(4)内に旋回可能に配設され、薬物送達デバイスの針(3)が、開口部(5)と位置合わせされた針収納コンパートメント(2)の1つ内に収納されたときに可聴および/または触覚フィードバックを起動させるように適用されたインジケータ(10)であって、ピボット軸(D)の周りでハウジング(4)に旋回可能に取り付けられたベースプレート(11)を含み、ここで、開口部(5)の領域内に、フィン(12)が、設けられ、初期状態においてベースプレート(11)用の止め具として働くように適用される、インジケータ(10)とを含み、
可撓性であり、ハウジング(4)の内側表面によって形成されたクランク(18)上で案内されるインジケータアーム(17)が提供され、
針(3)を収納し、針(3)無しの薬物送達デバイスを取り出した後、インジケータアーム(17)は、クランク(18)の傾斜路上を摺動し、可聴および/または触覚フィードバックを起動させる、
前記針収納デバイス。
【請求項2】
ばね(13)がインジケータ(10)とハウジング(4)の間に配置される、請求項1に記載の針収納デバイス(1)。
【請求項3】
ばね(13)は、インジケータ(10)のピボット軸(D)上に配置される、請求項2に記載の針収納デバイス(1)。
【請求項4】
ばね(13)は、インジケータ(10)のハウジング(4)に対する旋回によって、薬物送達デバイスの挿入中、インジケータ(10)とハウジング(4)の間で引っ張られるように適用される、請求項2または3に記載の針収納デバイス(1)。
【請求項5】
ばね(13)は、レッグばねとして形成される、請求項2〜4のいずれか1項に記載の針収納デバイス(1)。
【請求項6】
ベースプレート(11)およびハウジング(4)は、スロットピン案内(16)によって互いに対して可動である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の針収納デバイス(1)。
【請求項7】
クランク(18)は、薬物送達デバイスをその針(3)が開口部(5)内および位置合わせされた針収納コンパートメント(2)内を指す状態で挿入する間、インジケータアーム(17)が案内され、応力がかかる、少なくとも1つの傾斜路を含む、請求項6に記載の針収納デバイス(1)。
【請求項8】
ハウジング(4)は、ほぼ円形、半円、長円、または楕円の形状を有する外側形状および/またはセクションを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の針収納デバイス(1)。
【請求項9】
開口部(5)へのアクセスを可能にするドア(6)が、提供される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の針収納デバイス(1)。
【請求項10】
ドライブおよびコンベヤチェーン(8)が、提供され、針収納コンパートメント(2)の少なくとも1つが開口部(5)と位置合わせされるようにハウジング(4)内で針収納コンパートメント(2)を送達するように適用される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の針収納デバイス(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物送達デバイスの使用済みおよび/または未使用の針用の複数の針収納コンパートメントを含む針収納デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病のような病気を患う患者は、頻繁に注射を自己投与する必要がある。自動注射器またはペン注射器のような薬物送達デバイスが、自己投与注射を容易にするために開発された。通常、そのような薬物送達デバイスは、再使用可能であり、滅菌した注射針アセンブリ(injection needle assemblies)が再装備されて感染のリスクを最小限に抑える。
【0003】
針マガジンまたは針ディスペンサのような携帯用針収納デバイスは、薬物送達デバイスに取り付けられるように適用された、複数のそのような滅菌した注射針アセンブリを含む。針収納デバイスは、薬剤の安全な自己投与を容易にするように薬物送達デバイスを補強する。追加的に、針収納デバイスは、使用済み注射針用の廃棄容器として使用されて、汚染された注射針によって引き起こされる偶発的な針突き刺しによる負傷のリスクを低減することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、針収納デバイス内の使用済み針の改良された、特に安全な収納を備えた針収納デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本目的は、請求項1に記載の針収納デバイスによって達成される。
【0006】
本発明の例示的な実施形態は、従属請求項において与えられる。
【0007】
例示的な実施形態では、本発明による針収納デバイスは、薬物送達デバイスの針を受けるように適用された開口部を有するハウジングと、ハウジング内に可動に配設された針収納コンパートメントと、ハウジング内に旋回可能に配設され、薬物送達デバイスの針が、開口部と位置合わせされた針収納コンパートメントの1つ内に収納されたときに可聴および/または触覚フィードバックを起動させるように適用されたインジケータとを含む。
【0008】
例示的な実施形態では、インジケータは、ピボット軸の周りでハウジングに旋回可能に取り付けられたベースプレートを含む。開口部の領域内には、フィンが設けられ、初期状態においてベースプレート用の止め具として働くように適用される。
【0009】
例示的な実施形態では、針収納デバイスは、さらに、インジケータとハウジングの間に配置されたばねを含む。ばねは、インジケータのピボット軸上に配置される。ばねは、インジケータのハウジングに対する旋回によって、薬物送達デバイスの挿入中、インジケータとハウジングの間で引っ張られるように適用される。ばねは、レッグばね(leg spring)として形成される。ベースプレートおよびハウジングは、スロットピン案内によって互いに対して可動である。
【0010】
例示的な実施形態では、針収納デバイスは、さらに、可撓性であり、ハウジングの内側表面によって形成されたクランク上で案内される、インジケータを含む。クランクは、薬物送達デバイスをその針が開口部内および位置合わせされた針収納コンパートメント内を指す状態で挿入する間、インジケータアームが案内され、元応力がかかる、少なくとも1つの傾斜路を含む。針を収納し、針を有さない薬物送達デバイスを取り出した後、インジケータアームは、クランクの傾斜路上を摺動し、可聴および/または触覚フィードバックを起動させる。
【0011】
例示的な実施形態では、ハウジングは、ほぼ円形、半円、長円、または楕円形状を有する外側の形状および/またはセクションを含む。
【0012】
例示的な実施形態では、針収納デバイスは、さらに、開口部へのアクセスを可能にするために設けられたドアを含む。
【0013】
例示的な実施形態では、針収納デバイスは、さらに、針収納コンパートメントの少なくとも1つが、開口部と位置合わせされるようにハウジング内で針収納コンパートメントを送達するように適用されたドライブおよびコンベヤチェーン(drive and conveyor chain)を含む。
【0014】
本発明は、ユーザが、薬物送達デバイスを針収納デバイスから取り出すことができるときを知ることを可能にする。針収納デバイス内に一体化されたインジケータの可聴および/または触覚フィードバックにより、ユーザは、薬物送達デバイスの針が、針収納デバイスの開口部と位置合わせされた針収納コンパートメント内に取り外されているかどうかを知る。さらに、針収納コンパートメントのチェーンを備えた針収納デバイスの場合、針を取り出した後でその針を再度針収納コンパートメントに挿入して戻すことは可能でなく、その理由は、「使用された」針収納コンパートメントを動かすことを可能にする自動機構が設けられるためである。
【0015】
本発明の適用性のさらなる範囲は、これ以後与えられる詳細な説明から明確になるであろう。しかし、本発明の例示的な実施形態を示しているが、詳細な説明および特有の例は、本発明の趣旨および範囲内のさまざまな変更および改変が、この詳細な説明から当業者に明らかになるため、例示としてのみ与えられることを理解されたい。
【0016】
本発明は、本明細書の以下に与えられる詳細な説明、および例示としてのみ与えられ、したがって本発明を限定するものではない添付の図からより完全に理解されることになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】一体化されたインジケータを備えた針収納デバイスの例示的な実施形態の斜視図である。
【
図2】一体化されたインジケータを備えた針収納デバイスの別の例示的な実施形態の斜視図である。
【
図3】一体化されたインジケータを備えた針収納デバイスのさらなる例示的な実施形態の斜視図である。
【
図4】針収納デバイスのハウジング内に配設されたインジケータの例示的な実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
対応する部材は、すべての図において同じ参照記号で印付けられる。
【0019】
図1は、複数の針収納コンパートメント2を含むように配置された針収納デバイス1の例示的な実施形態の等角図を示す。針収納デバイス1は、針収納コンパートメント2内に保持された薬物送達デバイス(図示せず)の未使用または使用済み針3用の複数の滅菌した、安全輸送のレセプタクルを提供する。
【0020】
針収納デバイス1は、薄型で、ほぼ半円形状のセクションを有する横方向壁4.1を有するほぼ円筒状のハウジング4を含む。開口部5が横方向壁4.1内に形成され、開口部5は、これと位置合わせされた針収納コンパートメント2の1つへのアクセスをもたらす。
【0021】
スライダとして配置されたドア6は、開位置(図示せず)および閉位置Cに位置し、開口部5へのアクセスを提供し遮断することがそれぞれできる。ドア6は、ドア6を開位置と閉位置Cの間で動かすように手動で摺動されるドアハンドル6.1を含む。
【0022】
針収納デバイス1は、薬物送達デバイス、たとえば自動注射器またはペン注射器の遠位端に取り付けられるように適用された針3用の容器として使用される。薬物送達デバイスの遠位端は、針3および/または針を備えた針ハブを含むニードルアセンブリを薬物送達デバイスに取り付けるために開口部5内に挿入される。特に、針3に固着された針ハブ(図示せず)は、針収納デバイスの開口部5内に薬物送達デバイスを挿入するときにその遠位端に取り付けられるように適用される。
【0023】
針収納コンパートメント2内に保持された針3は、特に、先の尖った近位先端部を有する両頭針(double pointed needle)として配置される。薬物送達デバイスは、液体薬剤を含む医療アンプルを含むことができる。針3を薬物送達デバイスに取り付けるとき、針3の近位先端部は、医療アンプルを封止するセプタムを穿孔して流体連通を確立する。
【0024】
針収納デバイス1は、作動要素7を追加的に含み、作動要素7は、針収納コンパートメント2の1つに開口部5を通ってアクセスできるような方法で針収納コンパートメント2をハウジング4内で搬送するためのドライブおよびコンベヤチェーン8を起動させるように手動で作動されるように適用される。針収納デバイス1は、滅菌した未使用の注射針3用のディスペンサとして、および使用済み注射針3用の廃棄デバイスとして動作する。注射が実行された後、使用済み注射針3は、安全に廃棄するために針収納コンパートメント2内に再挿入される。
【0025】
作動要素7は、針収納コンパートメント2をハウジング4内で送達するようにドライブおよびコンベヤチェーン8を起動させるように回転させることができる、ダイヤルホイールとして配置される。作動要素7の手動の起動は、ドライブおよびコンベヤチェーン8が、たとえばチェーン内に配設された針収納コンパートメント2を規定されたステップ距離だけ送るようにし、それにより、針収納コンパートメント2の1つは、ハウジング4内に配設された開口部5に適正に位置合わせされる。
【0026】
あるいは、作動要素7は、ハウジング4に対して回転可能に取り付けられたローラとして設計することもできる。ローラは、ハウジング4の横方向壁4.1のかなりの高さを覆うことができる。
【0027】
図2は、針収納デバイス1’の代替的な実施形態の等角図を示す。作動要素7’は、ばね式レバーとして配置され、このばね式レバーは、手動で作動させるとき、約90度の角度の周りを旋回して、ハウジング4内に保持された針収納コンパートメント2を送る一体化されたドライブおよびコンベヤチェーン8を起動させる。手動で作動させた後、レバーは、ばねによって
図2に示す位置に戻される。したがって、作動要素7’の設計は、針収納コンパートメント2を第1の方向に送るように1つの回転方向の手動作動だけを可能にする。
【0028】
図3は、ほぼ楕円の断面を有するハウジング4を含む針収納デバイス1’’の別の代替的実施形態の上面図を示す。作動要素7’’は、回転可能なダイヤルホイールとして配置される。
【0029】
ハウジング4は、ほぼ円形、半円、長円、または楕円の外側形状および収納セクションを備えた異なる外側形状および収納セクションを含むことができる。
【0030】
各々の針収納デバイス1、1’および1’’は、開口部5と位置合わせされた針収納コンパートメント2内に挿入された針3が、その収納コンパートメント2内に安全に固定され、したがって収納されているかを示すことができるタッチ要素(touch element)9を含む。タッチ要素9は、たとえば、色付けされ、またはその表面は、ユーザが、
図4により詳細に示す一体化されたインジケータ10から触覚フィードバックを感じるために、自身の手をどこに置く必要があるかを知るように構造化される。
【0031】
図4は、針収納デバイス1、1’または1’’のハウジング4内に一体化され配設されたインジケータ10の例示的な実施形態を示す。
【0032】
インジケータ10は、ハウジング4内に旋回可能に配設され、薬物送達デバイスの針3が、開口部5と位置合わせされた針収納コンパートメント2の1つに収納されたときに可聴および/または触覚フィードバックを起動させるように適用される。
【0033】
例示的な実施形態では、インジケータ10は、ピボット軸Dの周りでハウジング4に対して旋回可能に取り付けられたベースプレート11を含む。ベースプレート11は、プロファイルとして、たとえばLプロファイルまたは曲げられたアームとして形成され、プラスチックまたは金属から作られ、またはこれらを含む。ピボット軸Dの周りでは、ベースプレート11は、ピボット軸Dがその中を通って配置される穴を備えた拡大された表面11.1を含む。
【0034】
ベースプレート11は、薬物送達デバイスが開口部5内に挿入されない
図4に示す初期位置と、薬物送達デバイスが開口部5内に挿入される収納位置(図示せず)との間でハウジング4に対して、矢印P1によって示すように旋回可能に可動である。
【0035】
薬物送達デバイスが開口部5から取り出された後、ベースプレート11を収納位置から初期位置に自動的にリセットするために、ばね13が、インジケータ10、特にインジケータ10上の第1の止め具14と、ハウジング4上の第2の止め具15との間に配置される。
【0036】
可能な実施形態では、ばね13は、
図4に示すように、レッグばねとして形成され、インジケータ10のピボット軸D上に配置される。
【0037】
インジケータ10の、初期位置と収納位置の間のハウジング4に対する動きを支持するために、スロットピン案内16が設けられる。図示する実施形態では、インジケータ10は、スロット16.1を含み、対応するピン16.2は、ハウジング4の内側表面から突起する。図示しない実施形態では、ハウジングは、スロットを含むことができ、インジケータは、対応するピンを含むことができる。
【0038】
さらに、針収納デバイス1の開口部5の領域には、フィン12が、設けられ、薬物送達デバイスが開口部5内に挿入されない初期状態においてベースプレート11、特にベースプレート11の縁11.2のための端部止め具として働くように適用される。フィン12の縁11.2に向かう端部は、湾曲した輪郭を含み、またはフックとして形成される。
【0039】
さらに、インジケータ10は、インジケータアーム17と、インジケータアーム17が、インジケータ10がその初期と収納の位置間で動く間に案内されるクランク18とを含む。
【0040】
針収納デバイス1の作動中、たとえば未使用の針3の取り出しおよび薬物送達デバイスへの取り付け中、または使用済み針の取り外しおよび針収納デバイス内への収納中、薬物送達デバイスは、開口部5内に挿入され、それによってフィン12がインジケータ10、特にベースプレート11を、(
図4に示す)初期位置から収納位置(図示せず)に矢印P2によって示すように、フィン12の湾曲した輪郭を用いて押し出し動かすことを引き起こす。
【0041】
特に、インジケータ10は、ピボット軸Dの周りを旋回可能に動かされる。インジケータ10の動きにより、ばね13は、インジケータ10とハウジング4、特に第1のおよび第2の止め具14と15の間で引っ張られるように適用される。さらに、インジケータアーム17、特に少なくともその可撓性端部は、少なくともクランク18の傾斜路上で案内され、それにより、インジケータアーム17に元応力がかかる。
【0042】
例として示すように、インジケータアーム17は、案内矢印S1からS4による所与の方法で、薬物送達デバイスが針収納デバイス1の開口部5を出入りする動き全体の間、クランク18上、特に傾斜路および縁を有する構造的表面内で案内される。クランク18は、異なる傾斜路および縁を備えた異なる形状を有することができる。一例では、クランク18は、ハウジング4の内側表面によって形成される。
【0043】
クランク18の最高のレベルまたは高さにおいて、また、たとえば薬物送達デバイスを、その針3を開口部5内に、したがって位置合わせされた針収納コンパートメント2内に向けて、特に針収納デバイス1を出入りする両方向に動かすとき、インジケータアーム17は、その最大まで引っ張られる。この位置では、クランク18上には横向きの案内は存在せず、それにより、インジケータアーム17は、上方向にジャンプし、それによって弛緩し、したがってハウジング4の外側表面内のタッチ要素9の領域内で可聴ならびに触覚フィードバックを起動させる。
【0044】
換言すれば、使用済み針を有さない薬物送達デバイスを、針連結部、たとえばねじ山またはバイオネット連結をねじって外すことによって取り出した後、インジケータ10は、ハウジング4および針収納デバイス1に比べて、矢印P2の方向の反対に高さを増す。針連結が開かれるこの位置では、可撓性インジケータアーム17は、クランク18上を摺動し、可聴および触覚フィードバックを起動させる。このとき、デバイスのユーザは、薬物送達デバイスを針収納デバイスから取り出すことができることを知る。
【0045】
例示的な実施形態では、タッチ要素9は、ハウジング4の表面内の、インジケータの上方、特にインジケータアーム17の上方に位置する領域内に配置される。
【0046】
薬物送達デバイスの針収納デバイス1からの取り出し中、インジケータ10は、その縁11.2が、フィン12によって停止され、それによってばね13が弛緩されるまでこの動きを辿る。
【0047】
針収納デバイス1内に一体化されたインジケータ10の可聴および/または触覚フィードバックにより、ユーザは、薬物送達デバイスの針3が、針収納デバイス1の開口部5と位置合わせされた針収納コンパートメント2内に取り外されたかどうかを知る。さらに、針収納コンパートメント2のチェーンを備えた針収納デバイス1の場合、針を取り出した後にその針を針収納コンパートメント内に再度挿入して戻すことは可能ではなく、その理由は、「使用された」または「占有された」針収納コンパートメントを動かすことを可能にする自動機構が設けられるためである。
【0048】
例示的な実施形態では、針収納デバイス1、1’、1’’および/またはばね13は、十分な強度と組み合わせられた(著しく緊張する)可撓性の挙動を有する少なくとも1つの材料を含むことができ、またはこれからなることができる。そのような材料は、たとえば、ばね鋼シートまたは半結晶性材料、たとえば、ポリアミド、ポリオキシメチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、またはポリプロピレンまたは熱可塑性エラストマになることができる。ばね鋼シートは、特に、可聴フィードバックを提供するのに適している。
【0049】
当業者は、本明細書において説明された装置、方法、および/またはシステムならびに実施形態のさまざまな構成要素の改変形態(付加および/または排除)を、そのような改変形態およびそのあらゆるすべての等価物を包含する、本発明の全範囲および趣旨から逸脱することなく加えることができることを理解するであろう。