(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記撮像制御部は、前記第1帯域フィルタに対応する画素の露出時間より前記第2帯域フィルタに対応する画素の露出時間を長くすることによって、前記第1撮像信号および前記第2撮像信号それぞれの読み出しを行うことを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態を図面とともに詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明において参照する各図は、本発明の内容を理解でき得る程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示してあるに過ぎない。即ち、本発明は、各図で例示された形状、大きさ、および位置関係のみに限定されるものではない。また、以下の説明において、被検体の体内に導入されて被検体の体内画像を撮像するカプセル型内視鏡から無線信号を受信して被検体の体内画像を表示する処理装置を含むカプセル型内視鏡システムを例示するが、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、同一の構成には同一の符号を付して説明する。
【0018】
(実施の形態1)
〔カプセル型内視鏡システムの概略構成〕
図1は、本発明の実施の形態1に係るカプセル型内視鏡システムの概略構成を示す模式図である。
【0019】
図1に示すカプセル型内視鏡システム1は、被検体100内の体内画像を撮像するカプセル型内視鏡2と、被検体100内に導入されるカプセル型内視鏡2から送信される無線信号を受信する受信アンテナユニット3と、受信アンテナユニット3が着脱自在に接続され、受信アンテナユニット3が受信した無線信号に所定の処理を行って記録または表示する受信装置4と、カプセル型内視鏡2によって撮像された被検体100内の画像データに対応する画像の処理および/または表示する画像処理装置5と、を備える。
【0020】
カプセル型内視鏡2は、被検体100内を撮像する撮像機能と、被検体100内を撮像して得られた画像データを含む体内情報を受信アンテナユニット3へ送信する無線通信機能と、を有する。カプセル型内視鏡2は、被検体100内に飲み込まれることによって被検体100内の食道を通過し、消化管腔の蠕動運動によって被検体100の体腔内を移動する。カプセル型内視鏡2は、被検体100の体腔内を移動しながら微小な時間間隔、例えば0.5秒間隔(2fps)で被検体100の体腔内を逐次撮像し、撮像した被検体100内の画像データを生成して受信アンテナユニット3へ順次送信する。なお、カプセル型内視鏡2の詳細な構成は後述する。
【0021】
受信アンテナユニット3は、受信アンテナ3a〜3hを備える。受信アンテナ3a〜3hは、カプセル型内視鏡2から無線信号を受信して受信装置4へ送信する。受信アンテナ3a〜3hは、ループアンテナを用いて構成され、被検体100の体外表面上の所定位置、例えばカプセル型内視鏡2の通過径路である被検体100内の各臓器に対応した位置に配置される。
【0022】
受信装置4は、受信アンテナ3a〜3hを介してカプセル型内視鏡2から送信された無線信号に含まれる被検体100内の画像データを記録または被検体100内の画像データに対応する画像を表示する。受信装置4は、カプセル型内視鏡2の位置情報および時間を示す時間情報等を、受信アンテナ3a〜3hを介して受信した画像データに対応付けて記録する。受信装置4は、カプセル型内視鏡2による検査が行われている間、例えば被検体100の口から導入され、消化菅内を通過して被検体100内から排出されるまでの間、受信装置ホルダ(図示せず)に収納されて被検体100に携帯される。受信装置4は、カプセル型内視鏡2による検査の終了後、被検体100から取り外され、カプセル型内視鏡2から受信した画像データ等の転送のため、画像処理装置5と接続される。
【0023】
画像処理装置5は、受信装置4を介して取得した被検体100内の画像データに対応する画像を表示する。画像処理装置5は、受信装置4から画像データ等を読み取るクレードル51と、キーボードやマウス等の操作入力デバイス52と、を備える。クレードル51は、受信装置4が装着される際に、受信装置4から画像データや、この画像データに関連付けられた位置情報、時間情報およびカプセル型内視鏡2の識別情報等の関連情報を取得し、取得した各種情報を画像処理装置5へ転送する。操作入力デバイス52は、ユーザによる入力を受け付ける。ユーザは、操作入力デバイス52を操作しつつ、画像処理装置5が順次表示する被検体100内の画像を見ながら、被検体100内部の生体部位、例えば食道、胃、小腸および大腸等を観察し、被検体100を診断する。
【0024】
〔カプセル型内視鏡の構成〕
次に、
図1で説明したカプセル型内視鏡2の詳細な構成について説明する。
図2は、カプセル型内視鏡2の機能構成を示すブロック図である。
図2に示すカプセル型内視鏡2は、筐体20と、電源部21と、光学系22と、撮像素子23と、照明部24と、信号処理部25と、送信部26と、記録部27と、タイマ28と、受信部29と、制御部30と、を有する。
【0025】
筐体20は、被検体100に挿入し易い大きさに形成されたカプセル型の形状をなす。筐体20は、筒状の筒部201、筒部201の両側開口端をそれぞれ塞ぐドーム形状のドーム部202およびドーム部203を有する。筒部201およびドーム部202は、可視光を遮光する不透明な有色の部材を用いて形成される。ドーム部203は、可視光等の所定の波長帯域の光を透過可能な光学部材を用いて構成される。これらの筒部201、ドーム部202およびドーム部203によって形成される筐体20は、
図2に示すように、電源部21と、光学系22と、撮像素子23と、照明部24と、信号処理部25と、送信部26と、記録部27と、タイマ28と、受信部29と、制御部30と、を収容する。
【0026】
電源部21は、カプセル型内視鏡2内の各部に電源を供給する。電源部21は、ボタン電池等の一次電池または二次電池と、ボタン電池から供給された電力の昇圧等を行う電源回と、を用いて構成される。また、電源部21は、磁気スイッチを有し、外部から印加された磁界によって電源のオンオフ状態を切り替える。
【0027】
光学系22は、複数のレンズを用いて構成され、照明部24が照射した照明光の反射光を撮像素子23の撮像面に集光して被写体像を結像する。光学系22は、光軸が筐体20の長手方向の中心軸Oと一致するように筐体20内に配置される。
【0028】
撮像素子23は、制御部30の制御のもと、光学系22が受光面に結像した被写体像を受光して光電変換を行うことによって、被検体100の撮像信号(画像データ)を生成する。具体的には、撮像素子23は、制御部30の制御のもと、基準のフレームレート、例えば4fpsのフレームレートによって被検体100を撮像して被検体100の撮像信号を生成する。撮像素子23は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサを用いて構成される。
【0029】
また、撮像素子23は、二次元状に配置され、外部から光を受光し、受光量に応じた撮像信号を生成して出力する複数の画素を有する受光部230と、原色または補色の波長帯域の光を透過する複数の第1帯域フィルタ(以下、「広帯域フィルタ」という)と、この複数の第1帯域フィルタの各々よりも狭い波長帯域の光を透過させる第2帯域フィルタ(以下、「狭帯域フィルタ」という)と、を含むフィルタユニットを複数の画素に対応させて配置したカラーフィルタ231と、広帯域フィルタに対応する画素へ入射される光量よりも多くの光量が狭帯域フィルタに対応する画素へ入射されて受光部230によって生成された撮像信号を出力する出力部232と、受光部230における広帯域フィルタに対応する画素(以下、「広帯域画素」という)から第1撮像信号(以下、「広帯域画像信号」という)の読み出しを実施した後に、狭帯域フィルタに対応する画素(以下、「狭帯域画素」という)から第2撮像信号(以下、「狭帯域画像信号」という)の読み出しを行う撮像制御部233と、を有する。
【0030】
図3は、カラーフィルタ231の構成及び広帯域画像、狭帯域画像の生成を模式的に示す図である。
図3に示すように、カラーフィルタ231は、赤色の成分を透過する広帯域フィルタR、緑色の成分を透過する広帯域フィルタG、青色の成分を透過する広帯域フィルタB、および415nm±30nmの波長帯域を透過する狭帯域フィルタXを用いて構成される。このように構成されたカラーフィルタ231を用いて受光部230の各画素で生成された撮像信号は、信号処理部25、受信装置4および画像処理装置5のいずれかによって、所定の画像処理(例えばデモザイキング処理等の補間)が行われることによって、広帯域のR、G、B画素信号から広帯域画像F1、狭帯域のXと広帯域のG画素信号から狭帯域画像F2が生成される。
【0031】
照明部24は、制御部30の制御のもと、撮像素子23のフレームレートに同期して、撮像素子23の撮像視野内の被写体に向けて光を照射する。照明部24は、白色LED(Light Emitting Diode)や駆動回路等を用いて構成される。
【0032】
信号処理部25は、撮像素子23から入力された撮像信号に対して所定の画像処理を行って送信部26へ出力する。ここで、所定の画像処理とは、ノイズ低減処理、ゲインアップ処理およびデモザイキング処理等である。また、信号処理部25は、撮像素子23の出力部232から出力される撮像信号に含まれる広帯域画像信号に基づいて、広帯域画像(
図3の広帯域画像F1を参照)を生成するとともに、広帯域フィルタGに対応する広帯域画素から出力される広帯域画像信号と、狭帯域フィルタXに対応する狭帯域画素から出力される狭帯域画素信号とに基づいて、狭帯域画像(
図3の狭帯域画像F2を参照)を生成し、広帯域画像および狭帯域画像を送信部26へ送信する。
【0033】
送信部26は、信号処理部25から順次入力された広帯域画像および狭帯域画像を外部に無線送信する。送信部26は、送信アンテナと、広帯域画像または狭帯域画像を変調等の信号処理を施して無線信号に変調する変調回路と、を用いて構成される。
【0034】
記録部27は、カプセル型内視鏡2が実行する各種動作を示すプログラムおよびカプセル型内視鏡2を識別する識別情報等を記録する。
【0035】
タイマ28は、計時機能を有する。タイマ28は、計時データを制御部30へ出力する。
【0036】
受信部29は、外部から送信された無線信号を受信して制御部30へ出力する。受信部29は、受信アンテナ3aと、無線信号を復調等の信号処理を行って制御部30へ出力する復調回路と、を用いて構成される。
【0037】
制御部30は、カプセル型内視鏡2の各部の動作を制御する。制御部30は、照明部24に照射させる。また、制御部30は、照明部24の照射タイミングに同期させて、撮像素子23に撮像させて撮像信号を生成させる。制御部30は、CPU(Central Processing Unit)を用いて構成される。
【0038】
このように構成されたカプセル型内視鏡2は、被検体100の体腔内を移動しながら微小な時間間隔で被検体100の体腔内を逐次撮像し、撮像した被検体100内の撮像信号に対応する画像データを生成して受信アンテナユニット3へ順次送信する。
【0039】
〔カプセル型内視鏡の処理〕
次に、カプセル型内視鏡2が実行する処理について説明する。
図4は、カプセル型内視鏡2が実行する処理の概要を示すフローチャートである。なお、
図4においては、カプセル型内視鏡2が1回の撮影動作で行う処理について説明する。
【0040】
図4に示すように、まず、撮像制御部233は、狭帯域フィルタXの感度と照明部24が照射する光の光量とに基づいて、狭帯域画素の露出時間t1を算出し(ステップS101)、広帯域フィルタR,G,Bの感度と照明部24が照射する光の光量とに基づいて、広帯域画素の露出時間t2を算出する(ステップS102)。ここで、狭帯域画素の感度は広帯域画素よりも低いため、狭帯域画素の露出時間t1は、広帯域画素の露出時間t2よりも長い(t1>t2)。その後、制御部30は、照明部24に照明光を照射させる(ステップS103)。
【0041】
続いて、露出時間t2が経過した場合(ステップS104:Yes)、撮像制御部233は、受光部230の全画素から撮像信号の非破壊読み出しを行う(ステップS105)。この場合、出力部232は、受光部230の全画素から読み出した撮像信号に対応する画像(以下、「画像img1」という)を信号処理部25へ出力する。ステップS105の後、カプセル型内視鏡2は、後述するステップS106へ移行する。これに対して、露出時間t2が経過していない場合(ステップS104:No)、カプセル型内視鏡2は、露出時間t2が経過するまで非破壊読み出しを行わない。
【0042】
ステップS106において、露出時間t1が経過した場合(ステップS106:Yes)、撮像制御部233は、受光部230における全画素から撮像信号の読み出しを行う(ステップS107)。この場合、出力部232は、受光部230の全画素から読み出した撮像信号に対応する画像(以下、「画像img2」という)を信号処理部25へ出力する。このとき、撮像制御部233は、受光部230の全画素に対して電荷を初期状態にするリセット処理を行う。ステップS107の後、カプセル型内視鏡2は、後述するステップS108へ移行する。これに対して、露出時間t1が経過していない場合(ステップS106:No)、カプセル型内視鏡2は、露出時間t1が経過する読み出しを行わない。
【0043】
ステップS108において、信号処理部25は、撮像素子23から出力された画像img1に基づいて、カラーの広帯域画像を生成する。具体的には、信号処理部25は、画像img1に含まれる広帯域画素(広帯域フィルタR,G,Bそれぞれに対応する画素)から読み出された広帯域信号を用いて広帯域画像を生成する。
【0044】
続いて、信号処理部25は、撮像素子23から出力された画像img2に基づいて、狭帯域画像を生成する(ステップS109)。具体的には、信号処理部25は、画像img1に含まれる広帯域フィルタGに対応する広帯域画像から読み出された広帯域信号(G成分)と、画像img2に含まれる狭帯域フィルタXに対応する狭帯域画素から読み出された狭帯域信号とを用いて、狭帯域画像を生成する。これにより、広帯域画像および狭帯域画像を同時に撮影する場合であっても、広帯域画像および狭帯域画像それぞれを高画質で取得することができる。
【0045】
以上説明した本実施の形態1によれば、撮像制御部233が広帯域フィルタに対応する広帯域画素から広帯域信号の読み出しを実施した後に、狭帯域フィルタに対応する狭帯域画素から狭帯域信号の読み出しを行い、出力部232が広帯域信号および狭帯域信号を撮像信号として出力するので、広帯域画像および狭帯域画像を同時に撮影する場合であっても、高画質な狭帯域画像を取得することができる。
【0046】
また、本実施の形態1によれば、広帯域画素の信号と狭帯域画素の信号とをほぼ同時に取得することができるため、広帯域画素と狭帯域画素の位置ずれを最小限に抑えた画像を得ることができるので、それによって生成される広帯域画像と狭帯域画像とを重畳して際に画像の位置合わせのための画像処理を省略することができる。
【0047】
さらに、本実施の形態1によれば、通常の白色光を照射する照明部24のみで、広帯域画像と狭帯域画像とを取得することができるので、カプセル型内視鏡2の小型化を図ることができる。
【0048】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。本実施の形態2に係るカプセル型内視鏡システムは、上述した実施の形態1に係るカプセル型内視鏡2の撮像素子23の構成と異なる。このため、以下においては、本実施の形態2に係るカプセル型内視鏡の撮像素子の構成について説明する。なお、上述した実施の形態1に係るカプセル型内視鏡と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0049】
図5は、本実施の形態2に係る撮像素子の構成を模式的に示す断面図である。なお、
図5においては、撮像素子を構成する複数の画素ユニットにおいて、1つの広帯域フィルタに対応する広帯域画素ユニットおよび1つの狭帯域フィルタに対応する狭帯域画素ユニットについて説明する。
【0050】
図5に示す撮像素子23aは、広帯域画素ユニット40と、狭帯域画素ユニット41と、を有する。
【0051】
広帯域画素ユニット40は、少なくとも、光を集光する第1マイクロレンズ401と、広帯域フィルタRと、第1マイクロレンズ401が集光した光の一部を遮光する遮光層402と、第1マイクロレンズ401が集光した光を受光する画素としてのフォトダイオード403と、各種の配線が積層された配線層404と、フォトダイオード403が形成されたシリコン基板405と、を有する。広帯域画素ユニット40は、シリコン基板405、配線層404、フォトダイオード403、遮光層402、広帯域フィルタRおよび第1マイクロレンズ401の順に積層されて形成される。
【0052】
狭帯域画素ユニット41は、少なくとも、光を集光する第2マイクロレンズ411と、狭帯域フィルタXと、遮光層412と、フォトダイオード403と、配線層404と、シリコン基板405と、を有する。狭帯域画素ユニット41は、シリコン基板405、配線層404、フォトダイオード403、遮光層412、狭帯域フィルタXおよび第2マイクロレンズ411の順に積層されて形成される。また、第2マイクロレンズ411の視野角α2は、第1マイクロレンズ401の視野角α1よりも大きく形成される(α2>α1)。さらに、狭帯域画素ユニット41は、第2マイクロレンズ411の視野角α2が第1マイクロレンズ401の視野角α1よりも大きいので、遮光層412の厚みD2を遮光層402の厚みD1よりも小さくすることができる。
【0053】
このような広帯域画素ユニット40および狭帯域画素ユニット41を用いて撮像素子23aを構成し、広帯域画素ユニット40に入射する光量を、狭帯域画素ユニット41に入射する光量よりも小さくする光学部材として、第2マイクロレンズ411の視野角α2を第1マイクロレンズ401の視野角α1よりも大きく形成する。これにより、撮像素子23aは、狭帯域画素に入射する光量を広帯域画素に入射する光量より大きくすることができるので、狭帯域画像および広帯域画像を同時に撮影する場合であっても、狭帯域画像および広帯域画像それぞれを高画質で取得することができる。
【0054】
以上説明した本実施の形態2によれば、第2マイクロレンズ411の視野角α2が第1マイクロレンズ401の視野角α1よりも大きく形成し、狭帯域画素ユニット41に入射する光量を広帯域画素ユニット40に入射する光量より大きくすることができるので、狭帯域画像および広帯域画像を撮影する場合であっても、高画質な狭帯域画像を取得することができる。
【0055】
なお、本実施の形態2では、カラーフィルタ231上における第1マイクロレンズ401と第2マイクロレンズ411との間隔を変更してもよい。例えば第1マイクロレンズ401と第1マイクロレンズ401とが隣接する場合、一定の間隔を設け、第1マイクロレンズ401と第2マイクロレンズ411とが隣接する場合、第1マイクロレンズ401と第2マイクロレンズ411との隙間をなくしてカラーフィルタ231上に設けるようにしてもよい。
【0056】
(実施の形態2の変形例)
次に、本実施の形態2の変形例について説明する。
図6は、本実施の形態2の変形例に係る撮像素子の構成を模式的に示す断面図である。なお、
図6においては、撮像素子を構成する複数の画素ユニットにおいて、1つの広帯域フィルタに対応する広帯域画素ユニットおよび1つの狭帯域フィルタに対応する狭帯域画素ユニットについて説明する。
【0057】
図6に示すように、撮像素子23bは、広帯域画素ユニット40aと、狭帯域画素ユニット41aと、を有する。
【0058】
広帯域画素ユニット40aは、上述した実施の形態2に係る広帯域画素ユニット40の構成に加えて、光学部材としての第1遮光膜406を有する。第1遮光膜406は、広帯域フィルタRとフォトダイオード403との間に配置され、所定の大きさの開口d1が形成された第1開口部406aを有する。
【0059】
狭帯域画素ユニット41aは、上述した実施の形態2に係る狭帯域画素ユニット41の構成に加えて、光学部材としての第2遮光膜416を有する。第2遮光膜416は、狭帯域フィルタXとフォトダイオード403との間に配置され、第1開口部406aより大きな開口d2が形成された第2開口部416aを有する(d2<d1)。
【0060】
このような広帯域画素ユニット40aおよび狭帯域画素ユニット41aを用いて撮像素子23bを構成し、広帯域画素ユニット40aに入射する光量を、狭帯域画素ユニット41aに入射する光量よりも小さくする光学部材として、第2開口部416aの開口d2を第1開口部406aの開口d1よりも大きく形成する。これにより、撮像素子23bは、狭帯域画素に入射する光量を広帯域画素に入射する光量より大きくすることができるので、狭帯域画像および広帯域画像を同時に撮影する場合であっても、高画質な狭帯域画像を取得することができる。
【0061】
以上説明した本実施の形態2の変形例によれば、第2開口部416aの開口d2が第1開口部406aの開口d1よりも大きく形成し、狭帯域画素ユニット41aに入射する光量を広帯域画素ユニット40aに入射する光量より大きくすることができるので、狭帯域画像および広帯域画像を撮影する場合であっても、狭帯域画像および広帯域画像それぞれ高画質で取得することができる。
【0062】
なお、本実施の形態2の変形例では、広帯域画素ユニット40aの第1遮光膜406の第1開口部406aの開口および狭帯域画素ユニット41aの第2遮光膜416の第2開口部416aの開口それぞれの大きさを変更することで、フォトダイオード403に入射する光量を調整していたが、例えばカラーフィルタ231とフォトダイオード403に形成された配線層404の領域や大きさを広帯域画素ユニット40aおよび狭帯域画素ユニット41aそれぞれで変更することによって、フォトダイオード403に入射する光量を調整してもよい。
【0063】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について説明する。本実施の形態3に係るカプセル型内視鏡システムは、上述した実施の形態1に係るカプセル型内視鏡の構成と異なる。このため、以下においては、本実施の形態3に係るカプセル型内視鏡の構成について説明する。なお、以下において、上述した実施の形態1に係るカプセル型内視鏡2と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0064】
図7は、本実施の形態3に係るカプセル型内視鏡2aの機能構成を示すブロック図である。
図7に示すカプセル型内視鏡2aは、上述した実施の形態1に係るカプセル型内視鏡2の撮像素子23に換えて、撮像素子23cを備える。
【0065】
撮像素子23cは、制御部30の制御のもと、光学系22が受光面に結像した被写体像を受光して光電変換を行うことによって、被検体100の撮像信号(画像データ)を生成する。撮像素子23cは、受光部230と、カラーフィルタ231と、出力部232と、光学フィルタ234と、を有する。
【0066】
光学フィルタ234は、少なくとも狭帯域の光を透過させるローパスフィルタを用いて構成され、カラーフィルタ231と受光部230との間に配置される。また、光学フィルタ234は、カラーフィルタ231と同様に矩形状をなす。
【0067】
次に、光学フィルタ234の特性について説明する。
図8は、カラーフィルタ231を構成する各フィルタの透過率と波長との関係を示す図である。
図9は、光学フィルタ234の透過率と波長との関係を示す図である。
図10は、カラーフィルタ231および光学フィルタ234を合わせた透過率と波長との関係を示す図である。
図8〜
図10において、横軸が波長を示し、縦軸が透過率を示す。また、
図8において、曲線L
Bが広帯域フィルタBの透過率と波長との関係を示し、曲線L
Gが広帯域フィルタGの透過率と波長との関係を示し、曲線L
Rが広帯域フィルタRの透過率と波長との関係を示し、曲線L
xが狭帯域フィルタXの透過率と波長との関係を示す。さらに、
図9において、曲線Lpが光学フィルタ234の透過率と波長との関係を示す。さらにまた、
図10において、曲線L
B2が広帯域フィルタBおよび光学フィルタ234を合わせた透過率と波長との関係を示し、曲線L
G2が広帯域フィルタGおよび光学フィルタ234を合わせた透過率と波長との関係を示し、曲線L
R2が広帯域フィルタRおよび光学フィルタ234を合わせた透過率と波長との関係を示し、曲線L
x2が狭帯域フィルタXおよび光学フィルタ234を合わせた透過率と波長との関係を示す。
【0068】
図8の曲線L
xに示すように、狭帯域フィルタXの透過率は、広帯域フィルタB,G,Rそれぞれに対応する曲線L
B,L
G,L
Rに比して、分光感度が小さい。そこで、本実施の形態3では、
図9の曲線L
pに示すように、所定の波長帯域、例えば波長480nm以上の光を制限する光学フィルタ234をカラーフィルタ231と受光部230との間に配置する。これにより、
図10の曲線L
B2,L
G2,L
R2,L
X2に示すように、狭帯域フィルタXに対応する狭帯域画素と広帯域フィルタB,G,Rそれぞれに対応する広帯域画素の感度差が小さくなる。これにより、撮像素子23cは、狭帯域画素に入射する光量と広帯域画素に入射する光量の差を小さくすることができるので、狭帯域画像および広帯域画像を同時に撮影する場合であっても、高画質な狭帯域画像を取得することができる。
【0069】
以上説明した本実施の形態3によれば、光学フィルタ234が狭帯域画素に入射する光量と広帯域画素に入射する光量とを同等にするので、狭帯域画像および広帯域画像を同時に撮影する場合であっても、高画質な狭帯域画像を取得することができる。
【0070】
なお、本実施の形態3では、光学フィルタ234がカラーフィルタ231と受光部230との間に配置されていたが、例えば光学フィルタ234、カラーフィルタ231および受光部230の順で配置して撮像素子23cを構成してもよい。
【0071】
(実施の形態3の変形例)
図11は、本実施の形態3の変形例に係る光学フィルタの模式図である。
図12は、本実施の形態3の変形例に係る光学フィルタの配置を模式的に示す図である。
【0072】
図11および
図12に示すように、光学フィルタ234aは、円環状をなす。光学フィルタ234aは、少なくとも狭帯域の光のみを透過させるバンドパスフィルタを用いて構成される。また、光学フィルタ234aは、光学系22とカラーフィルタ231との間に配置される。さらに、光学フィルタ234aは、光学系22の瞳位置に配置される。これにより、撮像素子23cは、狭帯域画素に入射する光量と広帯域画素に入射する光量とを同等にすることができるので、狭帯域画像および広帯域画像を同時に撮影する場合であっても、狭帯域画像および広帯域画像それぞれを高画質で取得することができる。
【0073】
なお、本実施の形態3の変形例では、光学フィルタ234aの形状が円環状であったが、光学フィルタを円盤状に形成し、中央を広帯域光および狭帯域光を透過可能なフィルタを設けてもよい。さらに、光学フィルタ234aの中心から径方向に向けて透過する波長の透過率を徐々に変更させてもよい。
【0074】
(その他の実施の形態)
上述した実施の形態では、広帯域カラーフィルタが原色フィルタで構成されていたが、例えば補色の波長成分を有する光を透過する補色フィルタ(Cy,Mg,Ye)を用いてもよい。さらに、カラーフィルタを、原色フィルタと、オレンジおよびシアンの波長成分を有する光を透過するフィルタ(Or,Cy)とによって構成されたカラーフィルタ(R,G,B,Or,Cy)を用いてもよい。
【0075】
上述した実施の形態では、カラーフィルタに、1つの種類の狭い波長帯域を透過させる狭帯域フィルタが設けられていたが、カラーフィルタ内に、複数種類の狭帯域フィルタを設けてもよい。例えば、上述した実施の形態1の青の415nm±30nmの波長帯域を透過する狭帯域フィルタXと、例えば緑の540nm±30nmの波長帯域の光を透過させる狭帯域フィルタYとを設けて、X画素とY画素から狭帯域画素を生成してもよい。
【0076】
上述した実施の形態では、撮像装置をカプセル型内視鏡として説明していたが、撮像装置を、被検体に挿入される挿入部の先端側に備えた内視鏡であっても適用することができる。