(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
体内に導入された体内撮像装置の撮像部と接合され、術者が設定した状態で体表面に対して直接または間接的に固定される支持部材を、保持するための支持部材ホルダであって、
上記術者が設定した、上記支持部材の位置、上記支持部材の回転方向、及び体表面に対する上記支持部材の傾きを保持するように、上記支持部材を体表面に対して直接または間接的に固定する固定具に対して、上記支持部材を直接または間接的に保持し、
上記術者が設定した、上記支持部材の位置、上記支持部材の回転方向、及び体表面に対する上記支持部材の傾きの少なくともいずれか1つを変更可能であるように、上記支持部材を可動的に保持することを特徴とする支持部材ホルダ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態について、
図1〜
図23に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、各実施形態に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、適宜その説明を省略する。また、各図面に記載した構成の形状、並びに、長さ、大きさ及び幅等の寸法は、実際の形状や寸法を反映させたものではなく、図面の明瞭化と簡略化のために適宜変更している。
【0014】
〔実施形態1〕
(体内監視カメラシステムの概略構成)
図1は、本実施形態に係る体内監視カメラシステム1の概略構成を示す模式図である。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係る体内監視カメラシステム1は、カメラユニット11(撮像部)と、一端がカメラユニット11に接続されたカメラ側ケーブル12と、カメラ支持管13(支持管)と、カメラユニット制御機器17およびディスプレイ18(表示装置)を含む制御システム3と、カニューレ31(套管、保持管)と、紐状部材38(固定具)と、一端がカメラユニット制御機器17に接続された機器側ケーブル16とを備える。なお、カメラ側ケーブル12の他端に設けられたカメラ側ケーブルコネクタ12aと機器側ケーブル16の他端に設けられた機器側ケーブルコネクタ16aとを嵌合することでカメラユニット11と制御システム3とが電気的に接続される。以下では、カメラ側ケーブルコネクタ12aをコネクタ12aと、機器側ケーブルコネクタ16aをコネクタ16aと略記することがある。
【0016】
(カメラユニット11)
図2の(a)は、本実施形態にかかるカメラユニット11の要部の概略構成を模式的に示す断面図であり、
図2の(b)は、
図2の(a)に示すカメラユニット11の上面図である。なお、体内撮影を行うカメラユニット11(撮像部)と、カメラユニット11に接続するカメラ側ケーブル12(ケーブル)とを含むように撮像装置が構成される。
【0017】
カメラユニット11は、
図2の(a)・(b)に示すように、カメラ筐体21、回路基板19、撮像ユニット24、制御回路28、照明装置27、及び支持部22を備えている。
【0018】
回路基板19、撮像ユニット24、制御回路28、及び照明装置27は、カメラ筐体21内に設けられている。一方、支持部22は、カメラ筐体21の外側に設けられている。
【0019】
まず、カメラ筐体21の内部の構成について説明する。
【0020】
撮像ユニット24は、撮像レンズであるレンズ26と、固体撮像素子25とを備えている。
【0021】
固体撮像素子25は、レンズ26の光軸と軸心が一致するように配置されている。固体撮像素子25としては、例えば、CCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)やCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor:相補型金属酸化膜半導体)イメージセンサ等が用いられる。
【0022】
照明装置27は、体内を照らすことで、カメラユニット11が撮影する映像を明瞭にする。照明装置27は、小型のものが好ましく、例えばLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)等が好適に利用できる。なお、照明装置27は、カメラユニット11に、1つのみ設けられていてもよく、
図2の(a)に示すように複数設けられていてもよい。
【0023】
これら固体撮像素子25及び照明装置27と制御回路28とは、回路基板19に接続されている。
【0024】
制御回路28は、回路基板19を介して、撮像ユニット24及び照明装置27と電気的に接続されている。
【0025】
また、回路基板19にはカメラ側ケーブル12の一方の端部が接続されており、カメラ側ケーブル12、並びに、接続部4(
図1参照)を介して、回路基板19と、制御システム3におけるカメラユニット制御機器17(
図1参照)との間で信号の入出力が行われる。
【0026】
これにより、制御回路28は、カメラ側ケーブル12及び回路基板19を介してカメラユニット制御機器17から入力された制御信号に基づいて、撮像ユニット24及び照明装置27の駆動を制御する。
【0027】
カメラユニット11からカメラユニット制御機器17への伝送に有線方式を採用しているため、伝送速度が高速化でき、信号を安定して送受信できるため高解像度の画像を得ることができる。また、無線方式に比べ低電力で通信でき、電源を外部から供給することによりカメラユニット11の小型化を図ることができる。したがって、小型化により、カメラユニット11を体内に導入するときの傷を小さくできるので、低侵襲性が向上するといった特段の効果がある。
【0028】
次に、カメラ筐体21及び該カメラ筐体21の外部に設けられた支持部22について説明する。
【0029】
カメラ筐体21は、その上面に、凹形状の支持管接合部14(接合部)を有している。支持管接合部14は、
図2の(a)に示すように、上方から見たときに円形状の開口形状(孔構造)を有し、
図2の(b)に示すように、開口内壁に係止雌ねじ23が設けられた構成を有している。
【0030】
また、支持部22は、カメラ筐体21における対向する両側面のそれぞれから外方に突出して設けられている。
【0031】
支持部22は、カメラユニット11における把持部として用いられる。カメラユニット11は、例えばトロッカー32(管状部材、
図1参照)を通して体内に導入される。支持部22は、カメラユニット11を支持するためのものである。支持部22は、鉗子を用いてトロッカー32からカメラユニット11を体内に導入する際に把持されたり、カメラユニット11及びカメラ支持管13の接合時に、カメラユニット11の上面(支持管接合部14が設けられた面)がカメラ支持管13の端部に向かい合うように把持されたりすることで、カメラユニット11を支持することができるようになっている。
【0032】
また、カメラユニット11のカメラ筐体21は、レンズ26や照明装置27が配置された部分は透明の材料で構成されるが、それ以外の領域(支持部22を含む)は、体内で目立ちやすい青色や緑色の材料で構成することが望ましい。このように、赤色や黄色である体内色に対して、補色の関係にある青色や緑色にすることによって、後述する体内での設置作業や回収作業時に視認し易くできる。よって、カメラユニット11を青色や緑色にすることは、カメラユニット11の設置作業の時間短縮を図ることができ、安全性も高まるといった、特段の効果がある。
【0033】
また、上記のように、青色や緑色材料で着色する以外にも視認しやすい蓄光材料や反射材料を用いても良い。このようにすることによって、視認しにくい臓器の陰や、照明光がとどきにくい視野の端にあるときに、直ちに見つけることができるので、特に効果的である。
【0034】
(カメラ側ケーブル12および機器側ケーブル16)
カメラ側ケーブル12はカメラ側の通信ケーブルであり、機器側ケーブル16はカメラユニット制御機器側の通信ケーブルである。カメラユニット11が撮影した映像は、映像信号として、カメラ側ケーブル12および機器側ケーブル16を介してカメラユニット制御機器17に送信されたり、カメラユニット制御機器17からの制御信号が、機器側ケーブル16およびカメラ側ケーブル12を介してカメラユニット11に送信されたりする。
【0035】
カメラ側ケーブル12の一方の端部は、回路基板19に接続されており、支持管接合部14の内部を通るようにカメラユニット11の外部に導出されている。なお、回路基板19とカメラ側ケーブル12との接続部は、図示しない樹脂等で封止されている。さらに、支持管接合部14内部の、カメラ側ケーブル12が引き出される部分(凹形状の支持管接合部14の底部)において、カメラ側ケーブル12が支持管接合部14に接着固定されている。該接着固定の一例としては、接着剤またはOリング(オーリング)による封止固定が挙げられる。該接着固定された部分からカメラユニット11内への浸水および異物混入等が防止されている。
【0036】
また後述するように、カメラ側ケーブル12は、カメラユニット11に接続された状態でトロッカー32(
図1参照)等の管状部材を通して体腔内に導入されたり、支持管接合部14を介してカメラユニット11に接合される後述するカメラ支持管13(
図1参照)を通って体外へ引き出されたりする。このため、カメラ側ケーブル12は、柔軟性を有するフレキシブル材料で形成されている。
【0037】
また、カメラ筐体21を体内で目立ちやすい青色や緑色の材料で構成することが望ましいことを前述したが、同様に、このカメラ側ケーブル12の表面の被膜を体内で目立ちやすい青色や緑色の材料で構成することが、より一層望ましい。さらに、カメラ側ケーブルコネクタ12aにおいても、同様に着色した材料で構成することが望ましい。このように、赤色や黄色である体内色に対して、補色の関係にある青色や緑色にすることによって、後述する体内での設置作業や回収作業時に視認し易くできる。例えば、誤って体内に落とし、カメラユニット11が臓器の陰に隠れたときでも、カメラ側ケーブル12はカメラユニット11と比較して長いため、視認できる場所に見えていることが多く、直ぐに見つけやすい。よって、カメラ側ケーブル12を青色や緑色にすることは、カメラユニット11の設置作業の時間短縮を図ることができ、安全性も高まるといった、特段の効果がある。このように、カメラユニット11やカメラ側ケーブル12の着色には、波長が420nm〜570nm(特に好ましくは、450〜530nm)の可視光に対応する色(体内で見やすい色)を用いることができる。
【0038】
また、上記のように、青色や緑色材料で着色する以外にも視認しやすい蓄光材料や反射材料を用いても良い。このようにすることによって、視認しにくい臓器の陰や、照明光がとどきにくい視野の端にあるときに、直ちに見つけることができるので、特に効果的である。
【0039】
図1では、オス型(凸型)のカメラ側ケーブルコネクタ12aのピン部分を、メス型(凹型)の機器側ケーブルコネクタ16aに挿入する、すなわち、カメラ側ケーブル12のコネクタ12aと機器側ケーブル16のコネクタ16aとが嵌合されることにより、カメラ側ケーブル12および機器側ケーブル16が接続される。ただし、オス型とメス型は逆であってもよく、メス型のカメラ側ケーブルコネクタとオス型の機器側ケーブルコネクタとを嵌合するような構成でもかまわない。なお、メス型(凹型)のカメラ側ケーブルコネクタは、オス型のようにピン部分が外部に露出していないため、誤って体内に触れた場合でも端子部に汚れが付着しにくい。よって、カメラ側ケーブルにはメス型(凹型)のコネクタを用いることが望ましい。
【0040】
なお、詳細については後述するが、カメラユニット11とカメラ支持管13とを接続するときに、カメラ側ケーブル12(コネクタ12a含む)はカメラ支持管13を通って体内から体外に引き出される。そのため、カメラ側ケーブルコネクタ12aの外径は、カメラ支持管13の外径より小さくなる。すなわち、カメラ側ケーブルコネクタ12aの外径を小さくすれば、カメラ支持管13の外径を小さくすることができる。これにより、低侵襲性が向上するといった特段の効果がある。つまり、カメラ側ケーブルコネクタ12aの外径はなるべく小さくすることが望ましい。例えば、
図1に示すように、カメラ側ケーブルコネクタ12aの外径は、機器側ケーブルコネクタ16aの外径以下とすることが望ましく、カメラ側ケーブル12の外径(ケーブル径)は、機器側ケーブル16の外径(ケーブル径)よりも小さくすることが望ましい。
【0041】
なお、後述するように、カメラ支持管に、その一端から他端に至るスリットを設けることもできる。この場合は、カメラ支持管の側面から上記スリットを介してカメラ支持管内部にカメラ側ケーブル12を通す。これにより、カメラ側ケーブル(コネクタ含む)をカメラ支持管に通し易くなる。また、スリットを設けることで、カメラ支持管13の内部に、カメラ側ケーブルコネクタ12aを通す必要がなくなるため、カメラ側ケーブルコネクタ12aの外形寸法よりも、カメラ支持管13の内径を小さくすることができる。よって、カメラ支持管13の肉厚を同じとすれば、カメラ支持管13の外径をさらに小さくすることができる。これにより、低侵襲性が一層向上するといった特段の効果がある。また、スリットによってカメラ支持管内の通気性が高まる等、カメラ支持管の冷却効果も奏する。
【0042】
また、後述するように、カメラ側ケーブル12(カメラ側ケーブルコネクタ12a含む)は、カメラユニット11の回収時に一旦体内に戻すことになるため、機器側ケーブル16のうち、カメラ側ケーブル12と接触する機器側ケーブルコネクタ16aおよびこれから所定長さの部分は清潔を維持する必要がある。
【0043】
(カメラ支持管13)
図1に示すように、カメラ支持管13は、カメラ側ケーブル12を内部に通して体外へ引き出した状態で、体内でカメラユニット11と接合されることで、カメラユニット11を支持する支持管である。
【0044】
カメラユニット11との接合強度の観点から、カメラ支持管13は硬質な材料で形成される。カメラ支持管13の材質は、カメラユニット11を安定して支持することができる接合強度を得ることができるとともに、カメラユニット11を所望の位置並びに向きで固定することができる剛性を有していれば、特に限定されるものではないが、例えば、ステンレス鋼、セラミックス(ファイン・セラミックス)、強化プラスチック等が挙げられる。
【0045】
カメラ支持管13は、腹壁等の体壁41を通じて、その一方の端部13a(第1の端部)が体内に導入される。なお、このとき、カメラ支持管13は、その一方の端部13aが直接体内に導入されていてもよいし、
図1に示すように体壁41に挿入されるカニューレ31を使用し、該カニューレ31の内部にカメラ支持管13を挿通することでその一方の端部13aを体内に導入してもよい。
【0046】
カニューレ31を使用する場合、カメラ支持管13には、カメラ支持管13をカニューレ31に挿し込んだ状態で上記一方の端部13a及び他方の端部13b(第2の端部)がカニューレ31から露出するように、カニューレ31よりも軸方向の長さが長いカメラ支持管13を使用する。また、カニューレ31内でカメラ支持管13を軸周りに回転させることができるように、カニューレ31内にカメラ支持管13を挿通した状態でカメラ支持管13の外壁とカニューレ31の内壁との間に隙間を有する大きさ(太さ)のカメラ支持管13を使用する。
【0047】
体内に導入された端部13aは、支持管接合部14にてカメラユニット11と接合される。
【0048】
ここで、カメラ支持管13の構造について、
図3の(a)〜(c)を参照してより詳細に説明する。
【0049】
図3の(a)は、本実施形態に係るカメラ支持管13の一例を示す斜視図であり、
図3の(b)は、
図3の(a)に示すカメラ支持管13及び
図2の(a)に示す支持管接合部14のそれぞれの断面を示す断面図であり、
図3の(c)は、
図3の(b)に示すカメラ支持管13と支持管接合部14との接合状態を示す断面図である。なお、
図3の(c)では、カメラ側ケーブル12の図示を省略している。
【0050】
図3の(a)に示すように、カメラ支持管13は、好適には円筒状の管構造を有している。カメラ支持管13が円筒形状を有していることで、同じく円筒形状の管である一般的なカニューレとの組み合わせが容易である。
【0051】
カメラ支持管13の一方の端部13a(体内側)と体内のカメラユニット11とは、支持管接合部14(接合部)にて接合される。
【0052】
カメラ支持管13は、
図3の(a)〜(c)に示すように、体内に導入される側の端部13aに、支持管接合部14に設けられた係止雌ねじ23に螺合(ねじ嵌合)する係止雄ねじ123を有している。
【0053】
このようにカメラ支持管13の係止雌ねじ23を支持管接合部14の係止雌ねじ23に螺合させることで、カメラユニット11とカメラ支持管13とを高い機械的強度で接合することができる。
【0054】
また、カメラ支持管13の側面には、
図3の(a)に示すように、スリット223が設けられていることが望ましい。なお、カメラ支持管13の側面にスリット223が設けられている場合の利点については、後で説明する。
【0055】
(制御システム3)
制御システム3は、
図1に示すように、カメラユニット制御機器17とディスプレイ18(表示装置)とを備えている。
【0056】
カメラユニット制御機器17は、カメラユニット11から送信された映像をディスプレイ18に表示させる。また、カメラユニット制御機器17は、制御信号をカメラユニット11に送信する。なお、カメラユニット制御機器17とディスプレイ18とは、一体化されていてもよく、別体で構成されていても構わない。
【0057】
(カニューレ31)
図4の(a)は、本実施形態で用いるカニューレ31の概略構成を示す断面図であり、
図4の(b)は、
図3の(a)〜(c)に示すカメラ支持管13を、
図3の(b)・(c)に示すカニューレ31に挿入した状態を示す断面図であり、
図4の(c)は、カニューレ31に挿入されたカメラ支持管13と
図2に示すカメラユニット11との接合状態を示す断面図である。
【0058】
図4の(a)に示すように、本実施形態で用いられるカニューレ31は、頭部131と脚部132とを含み、頭部131の内径が脚部132の内径よりも大きい漏斗型の管(管状のデバイス)である。
【0059】
このため、カニューレ31は、頭部131側の端部31b(体外側)が、体内に挿入される脚部132側(体内側)の端部31aよりも太く、カニューレ31を体壁41に挿入したときに、頭部131がストッパとして機能するようになっている。
【0060】
これにより、カメラ支持管13が体内に抜けることがなく、カニューレ31を体壁41に固定することができる。
【0061】
また、カニューレ31はバルブ37(支持管ホルダ)を有しており、バルブ37は、その中央部に、太い方の端部31b(体外側)から細い方の端部31a(体内側)の向きに外力が加わると押し広げられる弁構造を有している。
【0062】
したがって、
図4の(b)に示すように、カメラ支持管13を、バルブ37を通してカニューレ31内に挿し込むと、バルブ37は、カメラ支持管13によって押し広げられ、その復元性による付勢力により、カメラ支持管13を強く締め付ける。この結果、カメラ支持管13はカニューレ31に固定される。
【0063】
なお、カニューレ31は、低侵襲性を実現するために、直径が小さいものが好ましい。具体的には、カニューレ31は、直径が3mm以下であることが好ましい。
【0064】
(カメラ支持管13のカニューレ31への固定及びカメラユニット11への接合)
ここで、カメラ支持管13のカニューレ31への挿入及びカメラユニット11への接合の仕方について、
図4の(b)・(c)を参照して以下に説明する。
【0065】
カメラユニット11を体内でカメラ支持管13に接合する場合、まず、
図4の(b)に示すように、カメラ支持管13の内部にカメラ側ケーブル12を通した状態で、カメラ支持管13の一方の端部13aを、カニューレ31の太い方(体外側)の端部31bに押し当て、カメラ支持管13の上記一方の端部13aがカニューレ31から露出するまで、カメラ支持管13をカニューレ31内に挿し込む。このとき、バルブ37はカメラ支持管13によって押し広げられ、その復元性によってカメラ支持管13を付勢することでカメラ支持管13がカニューレ31に固定される。なお、カメラ支持管13の他方の端部13b(体外側)もカニューレ31から露出させておく。
【0066】
次いで、
図4の(c)に示すように、カメラ側ケーブル12をガイドとして用いて、カメラ支持管13の体内側の端部13aの係止雄ねじ123を支持管接合部14の係止雌ねじ23に挿入し、螺合させることで、係止雄ねじ123が係止雌ねじ23に嵌まり、カメラユニット11とカメラ支持管13とが高い機械的強度で接合される。なお、係止雄ねじ123および係止雌ねじ23については、ねじ形状に限定されず、互いに嵌め合う形状であれば何でもよく、係止雌ねじ23の代わりに、弾性材料を用いた圧入構造等を用いることもできる。
【0067】
なお、ねじ形状ではなく、係止爪等を用いて、カメラ支持管13と支持管接合部14とを差し込んで嵌合させる場合には、カメラ支持管13と支持管接合部14とを嵌合させる強度は、カメラ側ケーブル12とカメラユニット11とを接着固定している接着固定部の接着強度より小さく設定しておくことが望ましい。これは、カメラ支持管13をカメラユニット11の支持管接合部14に挿入する際に、ケーブルを持ち、引っ張って支え、ケーブルをガイドにしながら挿入する必要があるため、もしカメラ支持管13と支持管接合部14との嵌合強度が、上記接着固定部の接着強度より大きいと、接着固定部が破損したり、カメラユニットが体外方向に引っ張られることで患者の体壁を損傷したりするおそれが生じるためである。
【0068】
例えば、具体的には、カメラ支持管13と支持管接合部14とを嵌合させる強度は、接着固定部の接着強度より小さい30N(ニュートン)以下にすることが望ましい。更に、最適な範囲としては、3Nから6Nの範囲に設定することが望ましい。この範囲に設定すれば、嵌め込む際にむやみに大きな力を加えることなく嵌合でき、また、カメラ支持管13が嵌った感触が手元に伝わるので、むやみに力を加え続けることなく、安全に設置できるといった特段の効果がある。
【0069】
なお、
図4の(c)は、カメラ支持管13とカメラユニット11とを支持管接合部14にて接合した後、カメラ支持管13を引き上げ、カメラユニット11を、カニューレ31の体内側の端部13aと接触させた状態を示している。
【0070】
カメラ支持管13は、例えば、術者がカニューレ31を一方の手で押さえた状態で他方の手でカメラ支持管13に力を加える等、カメラ支持管13に外力を加えることで、外力の方向に移動可能にカニューレ31に固定されている。
【0071】
すなわち、カニューレ31は、カメラ支持管13に上下方向(軸方向)あるいは回転方向(円周方向)に外力を加えることで、カメラ支持管13を、上下方向あるいは回転方向に移動させることができるとともに、外力を加えないときは、カメラ支持管13の高さ方向および回転方向の任意の位置でカメラ支持管13を保持(固定)することができるようになっている。
【0072】
(紐状部材38)
紐状部材38は、
図1に示すようにカメラ支持管13を、体外において固定された固定物(被固定体)に固定することで、カメラ支持管13を、体表面45に対して一定の角度を保持した状態で固定する固定具である。
【0073】
紐状部材38の材質としては、カメラ支持管13を、体外において固定された固定物に固定した状態で保持できるとともに、該固定時の角度を維持することができる強度を有していれば、特に限定されるものではない。
【0074】
本実施形態では、体外において固定された固定物として、トロッカー32(例えば、カメラ支持管13に隣り合うトロッカー32)を使用する。
【0075】
トロッカー32は、一般的に鉗子や内視鏡等を体腔内に挿入するために患者の腹部に穿刺される筒(管状部材)である。トロッカー32としては、一般的なトロッカーを用いることができる。
【0076】
本実施形態では、カニューレ31に固定されたカメラ支持管13を紐状部材38でトロッカー32に固定することで、カメラ支持管13を、体表面45に対して間接的に固定する。
【0077】
但し、上記固定物としては、カメラ支持管13を所望の角度に保持することができるように、体外において、カメラ支持管13に取り付けられた紐状部材38の一部を、紐状部材38が撓まないように取り付ける(固定する)ことが可能であれば、特に限定されるものではない。上記固定物としては、例えば、手術台あるいは手術室内に設置された固定器具等であってもよい。
【0078】
<体内監視カメラシステム1の設置方法>
次に、本実施形態に係る体内監視カメラシステム1における撮像装置2の設置方法を、使用方法と併せて説明する。
【0079】
図5の(a)〜(h)は、本実施形態に係る体内監視カメラシステム1における撮像装置2の設置方法を工程順に示す模式図である。また、
図6の(a)・(b)は、
図5の(e)に示す工程を詳細に示す斜視図であり、
図6の(c)は、カメラ側ケーブルコネクタ12aの大きさとカメラ支持管13の大きさとの関係を示す平面図である。
図7は、本実施形態に係る体内監視カメラシステム1の使用状況を示す模式図である。
【0080】
図5の(a)に示すように、まず、術者は、体壁41に、鉗子や内視鏡を体腔内に挿入するためのポート41a〜41c(孔)を開け、ポート41a〜41cに、複数のトロッカー32(以下、トロッカー32a〜32cと称する)をそれぞれ挿入する。
【0081】
さらに、カメラユニット11を体腔内に設置するために、体壁41における、患部を含む臓器全体を見渡すことのできる位置にポート41dを開け、カニューレ31を挿入する。
【0082】
具体的には、針形状のオブチュレータ(図示せず)をカニューレ31内に通した状態でオブチュレータをポートに穿刺することで、カニューレ31が体壁41に挿入される。
【0083】
なお、トロッカー32a〜32c及びカニューレ31の少なくとも一つが体壁41に挿入された後、術者は、トロッカー32a〜32cのうち少なくとも1つのトロッカーを通してガスを体内に送り、前もって体腔内を膨張させ、器具を挿入する空間を確保しておく。
【0084】
次に、
図5の(b)に示すように、術者は、トロッカー32cを通して内視鏡34を体腔内に挿入し、内視鏡34を用いて体内を観察しながら、鉗子33aで支持部22を把持して、撮像装置2を、トロッカー32bを通して体腔内に挿入する。
【0085】
次に、
図5の(c)に示すように、術者は、鉗子33aを操作して撮像装置2をカニューレ31の近傍に移動させるとともに、カニューレ31を通して鉗子33bを体腔内に挿入する。
【0086】
次に、
図5の(d)に示すように、術者は、鉗子33bでカメラ側ケーブル12を挟んだ状態で鉗子33bをカニューレ31から引き抜くことで、カメラ側ケーブル12を体外に導出する。このとき、カメラユニット11における支持部22は、鉗子33aによって把持された状態となっている。
【0087】
次に、
図5の(e)に示すように、術者は、トロッカー32aを通して鉗子33cを体腔内に挿入し、カメラユニット11の支持管接合部14とカニューレ31の開口とが平行でかつ近接するように、カメラユニット11の両側面の支持部22を、2つの鉗子33a・33cで把持しつつ、体外に導出したカメラ側ケーブル12を、カメラ支持管13の内部に通し、かつカメラ支持管13をカニューレ31に挿入する。
【0088】
このとき、カメラ支持管13として側面にスリット223が設けられたカメラ支持管13を使用する場合、体外に導出したカメラ側ケーブル12を、カメラ支持管13の側面のスリット223からその内部に通すことで、カメラ支持管13をカニューレ31に挿入する。
【0089】
具体的には、
図6の(a)に示すように、まず、カメラ側ケーブル12をカニューレ31から引き上げた後、カメラ側ケーブル12の一部をカメラ支持管13のスリット223の下部に挿入する。
【0090】
次いで、スリット223がカメラ側ケーブル12に沿うように、カメラ支持管13をカニューレ31に挿入する。すなわち、
図6の(b)に示すように、カメラ側ケーブル12の一部をカメラ支持管13のスリット223の下部に挿入した状態でカメラ側ケーブル12を上方へ引き上げると同時に、カメラ側ケーブル12をガイドとして用いて、カメラ支持管13をカニューレ31内に挿入する。
【0091】
このように、カメラ支持管13の側面にスリット223が設けられていることで、カメラ側ケーブル12をカメラ支持管13の内部に通す際に、カメラ側ケーブル12をスリット223からカメラ支持管13内部に挿入することができる。
【0092】
このため、カメラ側ケーブル12をカメラ支持管13の内部に簡易に通すことができるとともに、カメラ支持管13の体内への挿入作業が非常に簡素になる。
【0093】
また、カメラ支持管13を体内に導入するためにカニューレ31を使用する場合、スリット223が設けられていない場合には、カニューレ31から引き出したカメラ側ケーブル12をカメラ支持管13の内部に通すために、少なくともカニューレ31とカメラ支持管13とを足し合わせた長さが必要となる。
【0094】
しかしながら、スリット223が設けられている場合には、カメラ側ケーブル12の長さは、カニューレ31の長さよりも長ければよい。
【0095】
したがって、このようにカメラ支持管13にスリット223が設けられていることで、カメラ側ケーブル12の長さの制限を小さくすることができる。
【0096】
また、カメラ支持管13にスリット223を設けることで、
図6の(c)に示すように、カメラ側ケーブル12に接続されたカメラ側ケーブルコネクタ12aの外形寸法を、カメラ支持管13の内径よりも大きくすることができる。このため、カメラ側ケーブルコネクタ12aを機器側ケーブル16に接続し易くなり、作業効率を上げることができる。なお、カメラ側ケーブルコネクタ12aの外形寸法は、カニューレ31の内径よりは小さくする。
【0097】
次に、
図5の(f)に示すように、術者は、カニューレ31から露出したカメラ支持管13の体内側の端部13aを、カメラ側ケーブル12をガイドとして用いて、カメラユニット11の支持管接合部14に挿入して螺合させる。これにより、カメラ支持管13の内部にカメラ側ケーブル12を通した状態で、カメラ支持管13とカメラユニット11とを、体内で、支持管接合部14にて接合する。
【0098】
なお、ねじ形状ではなく、係止爪等を用いて、カメラ支持管13と支持管接合部14とを差し込んで嵌合させる場合、カメラ支持管13をカメラユニット11の支持管接合部14に挿入する際には、カメラ側ケーブル12のカメラユニット11との接着固定部の接着強度(例えば、30N以上)よりも、カメラ支持管13と支持管接合部14とを嵌合させるために必要な力(例えば、3N〜6N)を十分小さくしてあるので、ケーブルをガイドにしながら引っ張ることで、カメラ支持管13を安全に挿入し、嵌合させることができる。
【0099】
次いで、
図5の(g)に示すように、術者は、体腔内をできるだけ広く撮影できるように、カメラ支持管13を引き上げ、カメラユニット11を、カニューレ31の体内側の端部13aと接触させる。カメラ支持管13はカニューレ31のバルブ37(
図4の(a)〜(c)参照)によって強く締め付けられているため、カメラ支持管13及びカメラユニット11は、この状態を維持する。
【0100】
次に、カメラ支持管13を操作してカメラユニット11の体腔内での高さ、向き、および角度を決め、
図5の(h)に示すように、紐状部材38等の固定具で固定する。
【0101】
カメラユニット11の体腔内での高さは、
図5の(g)に示すようにカメラユニット11をカニューレ31の体内側の端部13aと接触させた状態から、カメラ支持管13を、徐々に下降させたり必要に応じて上下方向に微調整を行ったりして決定する。
【0102】
また、カメラユニット11の体腔内での向きは、カメラ支持管13を円周方向に回転させることで決定する。
【0103】
カメラ支持管13は、バルブ37の付勢力により、任意の位置でカニューレ31に固定することができ、カニューレ31を介して間接的に体表面45に固定される。
【0104】
また、カメラユニット11の向きは、体壁41の弾力を利用して、カメラ支持管13を傾けることで決定する。
【0105】
このとき、カメラ支持管13を紐状部材38等の固定具で、トロッカー32a等のカメラ支持管13の近傍のトロッカー32に固定することで、術者がカメラ支持管13を支えなくても、体表面45に対するカメラ支持管13の傾きを維持することができる。
【0106】
カメラユニット11を体内に設置した後は、
図7に示すように、カメラ側ケーブルコネクタ12aを用いて、カメラ側ケーブル12と機器側ケーブル16とを接合する。
【0107】
これにより、処置部(術部)の局所映像は、内視鏡34に接続された内視鏡制御機器117によってディスプレイ118に表示され、カメラユニット11で撮影された臓器42内の全体映像は、カメラユニット制御機器17によってディスプレイ18に表示される。
【0108】
これにより、術者は、ディスプレイ118で作業領域(局所領域)を拡大観察しながら鉗子33a及び鉗子33cによって処置を行いつつ、ディスプレイ18で作業領域外の状態(作業領域外の鉗子等の動きや、出血箇所、ガーゼ等の残留物等)も把握することができる。
【0109】
<カメラユニット11とカメラ支持管13との分離>
次に、カメラユニット11とカメラ支持管13とを分離させる方法について説明する。
【0110】
まず、術者は、体内のカメラユニット11の支持部22を鉗子33a及び鉗子33cで把持した状態で、カメラ支持管13を、係止雄ねじ123と係止雌ねじ23とを螺合させる方向とは逆方向(つまり、ねじを緩める方向)に回転させることで、カメラ支持管13をカメラユニット11の支持管接合部14から引き抜く。
【0111】
なお、ねじ形状ではなく、係止爪等を用いて、カメラ支持管13と支持管接合部14とを差し込んで嵌合させる場合には、カメラユニット11とカメラ支持管13を分離させる時にも同様に、カメラ支持管13と支持管接合部14との嵌合強度は、カメラ側ケーブル12とカメラユニット11とを接着固定している接着固定部の接着強度より小さく設定しておくことが望ましい。もしカメラ支持管13と支持管接合部14との嵌合強度が、上記接着固定部の接着強度より大きいと、カメラ支持管13をカメラユニット11から外す際に、大きな力を加えなければならないため、接着固定部が破損したり、カメラユニットが体外方向に引っ張られることで患者の体壁を損傷したりするおそれが生じるためである。
【0112】
例えば、上記嵌合強度を、3Nから6Nの範囲に設定しておけば、むやみに大きな力を加えることなくカメラ支持管13を外すことができ、また、カメラ支持管13が外れた感触が手元に伝わるので、むやみに力を加え続けることがなく、安全に分離できるといった特段の効果がある。
【0113】
さらに、術者は、カメラ支持管13をカニューレ31から引き抜いてカメラ支持管13とカメラ側ケーブル12とを分離させた後、トロッカー32aまたはトロッカー32bから、カメラユニット11及びカメラ側ケーブル12を体外に導出する。
【0114】
<効果>
以上のように、本実施形態によれば、カメラユニット11とカメラ支持管13とが高い機械的強度で接合され、従来よりもカメラユニット11の支持力が高い。また、カメラ側ケーブル12がカメラ支持管13の内部を通って体外に導出されるので、カメラユニット11とカメラ支持管13とが接合された後は、カメラ側ケーブル12に負荷がかかったり、カメラ側ケーブル12が体内で露出したり、体壁41に接触したりすることがない。これにより、カメラ側ケーブル12及び回路基板19の電気的接続の確実性(接続部分の防水性、防汚性)が高まる。このため、信頼性の高い体内監視カメラシステム1を実現することができる。
【0115】
また、術者は、カメラ支持管13を操作し、カメラユニット11の視野方向を変えることができる。具体的には、体壁41の弾力を利用して、カメラ支持管13を傾けることで、カメラ支持管13に接合されたカメラユニット11の視野方向を変えることができる。
【0116】
また、カニューレ31、及び、カニューレ31に挿入したカメラ支持管13はともに円筒状の管であるため、カメラ支持管13を軸周りに容易に回転させることができる。これにより、術者は、カメラ支持管13に接合されたカメラユニット11の視野の回転方向を変えることができる。
【0117】
また、カメラ支持管13は、その軸方向である長手方向(管の延伸方向)に移動可能である。このため、術者は、カメラ支持管13を体内側に押し込んだり体外側に引き上げたりすることで、カメラ支持管13の長さの許容する範囲内で、カメラ支持管13に接合されたカメラユニット11の撮像ズーム(被写体距離)を変えることも可能である。
【0118】
カメラ支持管13は、カニューレ31に固定されていることで、カメラ支持管13の位置および回転方向が維持される。
【0119】
また、カメラ支持管13は、紐状部材38を使用して、周囲のトロッカー32等(例えばトロッカー32aあるいはトロッカー32b等)の、体外に固定された被固定体に固定することができる。これによりカメラ支持管13を所望の状態で固定することができる。
【0120】
すなわち、術者は、体壁41の弾力を利用してカメラ支持管13を傾けた状態でカメラ支持管13を、トロッカー32等の体外の被固定体に固定することで、術者がカメラ支持管13を支えなくても、カメラ支持管13の傾きを保持することができる。
【0121】
このため、本実施形態によれば、術者がカメラ支持管13を支えなくても、カメラ支持管13の状態を保持することができる。
【0122】
したがって、本実施形態によれば、カメラユニット11における視野方向、視野の回転方向を任意に設定するとともに、撮像ズーム(被写体距離)を、カメラ支持管13の長さの許容する範囲内で任意に設定し、所望の位置で固定することができる。このため、使い勝手の良い体内監視カメラシステムを実現することができる。
【0123】
<変形例>
(カメラ支持管13とカメラユニット11との接合方法)
本実施形態では、カメラ支持管13に係止雄ねじ123を設け、支持管接合部14に係止雌ねじ23を設けることで、カメラ支持管13とカメラユニット11とを螺合させる場合を例に挙げて説明した。
【0124】
しかしながら、カメラ支持管13とカメラユニット11との接合方法は、これに限定されるものではなく、カメラ支持管13と支持管接合部14とが互いに嵌合する形状であればよい。
【0125】
図8の(a)〜(c)は、それぞれ、本実施形態に係るカメラ支持管13及び支持管接合部14の変形例を示す断面図である。
【0126】
図8の(a)・(b)は、カメラ支持管13に係止孔323を設け、支持管接合部14に係止爪423を設けた例を示している。
【0127】
また、
図8の(c)は、カメラ支持管13に係止爪523を設け、支持管接合部14に係止孔623を設けた例を示している。
【0128】
なお、
図8の(a)・(c)は、各変形例におけるカメラ支持管13及び支持管接合部14のそれぞれの断面を示す断面図であり、
図8の(b)は、
図8の(a)に示すカメラ支持管13を支持管接合部14に挿入した状態を示す断面図である。
【0129】
図8の(a)・(b)に示すように、本変形例に係るカメラ支持管13は、係止孔323よりも先の部分がテーパ形状(先細り形状)となっている。このため、カメラ支持管13の先端(体内側)は支持管接合部14の係止爪423に引っ掛からず、この先端が支持管接合部14の奥に至るまでカメラ支持管13を押し込むと、係止孔323が係止爪423に嵌るようになっている。
【0130】
なお、
図8の(c)でもカメラ支持管13は、係止孔323よりも先の部分がテーパ形状(先細り形状)となっている場合を例に挙げて図示している。
【0131】
しかしながら、カメラ支持管13は、上記の構造に限定されない。カメラ支持管13の両端部は、同じ太さであってもよい。
【0132】
なお、これら変形例においては、カメラユニット11とカメラ支持管13とを分離させるために、例えば、係止爪423・523に弾性を持たせるか、あるいは、支持管接合部14に可撓性を持たせる等して、閾値以上の力を加えることで係止爪423と係止孔323との係合や係止爪523と係止孔623との係合が解除されるように設計されていることが好ましい。あるいは、磁気、電力等の外力により、係止爪423が支持管接合部14の開口内壁表面から後退(つまり、突出しない状態に変化)したり、係止爪523がカメラ支持管13の表面から後退したりするように設計されていることが望ましい。
【0133】
また、上述したように係止雄ねじ123および係止雌ねじ23や、係止爪423・523および係止孔323・623を用いてカメラ支持管13と支持管接合部14とを接合する代わりに、支持管接合部14の内壁をゴム等の弾性材料で形成し、カメラ支持管13を支持管接合部14に圧入することで、カメラ支持管13と支持管接合部14とを接合することもできる。
【0134】
なお、このように、ねじ形状ではなく、上記の例の係止爪等を用いて、カメラ支持管13と支持管接合部14とを差し込んで嵌合させる場合には、カメラ支持管13と支持管接合部14とを嵌合させる強度は、カメラ側ケーブル12とカメラユニット11とを接着固定している接着固定部の接着強度(例えば、30N以上)より小さく設定しておくことが望ましい。これは、カメラ支持管13をカメラユニット11の支持管接合部14に挿入する際に、ケーブルを持ち、引っ張って支え、ケーブルをガイドにしながら挿入する必要があるため、もしカメラ支持管13と支持管接合部14との嵌合強度が、上記接着固定部の接着強度より大きいと、接着固定部が破損したり、カメラユニットが体外方向に引っ張られることで患者の体壁を損傷したりするおそれが生じるためである。
【0135】
例えば、具体的には、カメラ支持管13と支持管接合部14とを嵌合させる強度は、接着固定部の接着強度より小さい30N(ニュートン)以下にすることが望ましい。更に、最適な範囲としては、3Nから6Nの範囲に設定することが望ましい。この範囲に設定すれば、嵌め込む際にむやみに大きな力を加えることなく嵌合でき、また、カメラ支持管13が嵌った感触が手元に伝わるので、むやみに力を加え続けることなく、安全に設置できるといった特段の効果がある。
【0136】
また、上記の嵌合強度であれば、カメラ支持管13と支持管接合部14とが十分に接触するので、カメラ支持管13と支持管接合部14の側面を熱伝導性の良い材料で形成した際に、カメラユニット11からの放熱性を高めることができる。
【0137】
(カメラ支持管13のカニューレ31への固定方法)
本実施形態では、主に、
図4の(a)〜(c)等に示すように、カニューレ31内のバルブ37によってカメラ支持管13をカニューレ31に固定する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、本実施形態はこれに限定されるものではない。
【0138】
図9の(a)は、本変形例に係るカメラ支持管13の概略構成を、該カメラ支持管13に設けたストッパ77と併せて示す断面図であり、
図9の(b)は、カニューレの概略構成を示す断面図であり、
図9の(c)は、
図9の(b)に示すカニューレ31に挿入された
図9の(a)に示すカメラ支持管13と、撮像装置2との接合状態を示す断面図である。
【0139】
なお、本変形例では、
図9の(a)・(c)に示すように、カメラ支持管13に係止雌ねじ23を設け、支持管接合部14に係止雌ねじ23を設けた場合を例に挙げて図示している。
【0140】
しかしながら、カメラ支持管13及び支持管接合部14としては、これに限定されるものではなく、
図8の(a)・(b)あるいは
図8の(c)に示すカメラ支持管13及び支持管接合部14を用いてもよいことは、言うまでもない。
【0141】
本変形例に係るカニューレ31は、
図9の(b)に示すように、内部にバルブ37を有していないことを除けば、
図4の(a)に示すカニューレ31と同様の構成を有している。
【0142】
本変形例では、カニューレ31として、市販の一般的なカニューレ31を用いることができる。
【0143】
本変形例では、カニューレ31の内部にバルブ37を設ける代わりに、
図9の(a)・(c)に示すように、カメラ支持管13に、カメラ支持管13の軸方向(延伸方向)に沿って移行可能なストッパ77(支持管ホルダ)を装着する。
【0144】
ストッパ77は、カメラ支持管81に差し込まれたゴム等の弾性体であり、術者の操作によって移動させることができる。なお、ストッパ77およびカメラ支持管13をネジ構造とすることで、ストッパ77を移動可能とすることもできる。
【0145】
カメラ支持管13にこのようなストッパ77を装着することで、カメラ支持管13をカニューレ31に挿入していくと、ストッパ77がカニューレ31のエッジ(体外側)に当接し、カメラ支持管13がカニューレ31に保持される。さらに、カメラ支持管13の係止孔323をカメラユニット11の係止爪423に嵌合させることで、カメラユニット11とカメラ支持管13とが高い機械的強度で接合される。なお、術者は、ストッパ77を上下移動させることで、体内におけるカメラユニット11の位置(撮像ズーム)を変えたり、カメラ支持管13を回転させることで、カメラユニット11の向きを変えたりすることができる。
【0146】
なお、係止爪等を用いて、カメラ支持管13と支持管接合部14とを差し込んで嵌合させる場合、カメラ支持管13がカメラユニット11に設けられた支持管接合部14から外れないためには、カメラ支持管13をカニューレ31に保持するストッパ77の保持強度は、カメラ支持管13の嵌合強度より大きいことが必要である。具体的には、例えば、差し込んだカメラ支持管13の嵌合強度3N〜6Nとした場合、これより大きな強度、少なくとも5N以上は必要である。また、ケーブル自体の強度以上にする必要はないため、最適な範囲としては、5N〜50Nが望ましい。
【0147】
本変形例に係る体内監視カメラシステム1は、
図9の( c)に示すように、
図9の(a)〜(c)に示すカニューレ31(保持管)、ストッパ77、及び紐状部材38を備えている。
【0148】
したがって、本変形例でも、紐状部材38によりカメラ支持管13を、体外において固定されたトロッカー32等の被固定体に固定することで、カメラ支持管13を、体表面45に対して一定の角度を保持した状態で固定することができる。
【0149】
(スリット223)
また、
図3および
図6の(a)・(b)では、カメラ支持管13の側面のスリット223が直線状である場合を例に挙げて図示したが、スリット223の形状は、これに限定されるものではない。
【0150】
例えば、カメラ支持管13を、円筒状の管に、カメラ支持管13の一方の開口(体内側)から縦方向(カメラ支持管13の軸方向)上向きに切り込んだ下部スリットと、下部スリットから90度程度ずれた位置にて他方の開口(体外側)から縦方向下向きに切り込んだ上部スリットとを、横方向スリットで繋げた、クランク型のスリット223を設けた構成としてもよい。
【0151】
あるいは、カメラ支持管13を、上記下部スリットおよび上部スリットを、曲線状スリット(斜め方向スリットでもよい)で繋げた、らせん型のスリット223を設けた構成としてもよい。
【0152】
クランク型あるいはらせん型のように、スリット223の一部がカメラ支持管13の軸方向(長手方向)とは異なる方向を向いている場合、カメラ側ケーブル12の一部をカメラ支持管13の下部スリットに通した状態でカメラ支持管13を90度程度回転させ、さらに、上部スリットがカメラ側ケーブル12に沿うようにカメラ支持管13をカニューレ31に挿入することになる。
【0153】
これにより、スリット223から挿入したカメラ側ケーブル12がカメラ支持管13から外れなくなり、術者の作業がさらにし易くなり、作業が早くなる。
【0154】
(紐状部材38による固定)
また、本実施形態では、紐状部材38を、カメラ支持管13の体外側の端部13bに取り付けることでカメラ支持管13をトロッカー32等の被固定体に固定する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、本実施形態はこれに限定されるものではなく、紐状部材38を、カメラ支持管13が固定されたカニューレ31に取り付け、該カニューレ31を被固定体に固定することで、カメラ支持管13を固定してもよい。
【0155】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、
図10〜
図13に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施形態では、主に、実施形態1との相違点について説明するものとし、実施形態1で用いた構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。なお、本実施形態でも、実施形態1と同様の変形が可能であることは言うまでもない。
【0156】
実施形態1では、カニューレ31に挿入されたカメラ支持管13を体外に固定する固定具として紐状部材38を用いた場合を例に挙げて説明したが、固定具及びカメラ支持管13の固定方法としては、これに限定されるものではない。
【0157】
本実施形態では、固定具およびカメラ支持管13の固定方法の他の例について説明する。
【0158】
図10〜
図13は、それぞれ、本実施形態に係る体内監視カメラシステム1の要部の概略構成の一例を示す斜視図である。
図10〜
図13は、それぞれ、支持管固定部材の一例について図示している。
【0159】
<固定具例1>
本例に係る体内監視カメラシステム1は、
図10に示すように、
図4の(a)〜(c)に示すカニューレ31と、固定器具141(専用器具、固定具)とを備えている。
【0160】
本例では、固定具として紐状部材38に代えて、体表面45に直接固定が可能な専用の固定器具141を用いることにより、カニューレ31に固定されたカメラ支持管13を固定する。
【0161】
本例に係る固定器具141は、片面(体表面45との接触面)に図示しない粘着層を備えた支持台144と、該支持台144における粘着層とは反対側の面に固定された付属のバンド145(帯状の紐)と、バンド145の固定長さを調整するアジャスタ146とを備えている。なお、体表面45との密着性を高めるため、体表面45との接触面を構成する面部材は、体表面45の丸みを帯びた形状に密着可能なフレキシブル部材を用いることが望ましい。このようにすることによって、後述する最適な保持強度の範囲に設定することができる。
【0162】
バンド145は、その一方の端部が支持台144に直接固定されている一方、他方の端部がアジャスタ146を介して支持台144に固定されている。バンド145の固定長さは、支持台144に直接固定されたバンド145の固定端145aから、自由端であるバンド145の他方の端部を支持台144に固定するアジャスタ146までの長さを調整することで、任意に調整が可能となっている。
【0163】
本例では、固定器具141を、粘着層によって体表面45に固定した状態で、カメラ支持管13を固定したカニューレ31をバンド145によって支持台144に固定することで、カメラ支持管13を、カニューレ31を介して体表面45に固定する。
【0164】
したがって、本例でも、実施形態1と同様に、術者が、カメラ支持管13を操作し、カメラ支持管13を容易に円周方向に回転させたり、カメラ支持管13を体内側に押し込んだり、体外側に引き上げたりすることで、カメラユニット11の視野の回転方向や撮像ズーム(被写体距離)を変えることができる。
【0165】
また、バンド145によるカニューレ31の固定位置を調整することで、体表面45に対するカニューレ31およびカメラ支持管13の固定角度(傾き)を変更することができる。これにより、本実施形態でも、所望の角度でカニューレ31およびカメラ支持管13を固定することができ、カメラユニット11の視野方向を任意に変更することができる。
【0166】
これにより、本例でも、カメラ支持管13を、所望の状態で固定することができる。
【0167】
なお、本例では、
図10に示すようにバンド145の固定長さの調整にアジャスタ146を用いたが、バンド145の固定長さの調整方法は、これに限定されるものではない。例えば、アジャスタ146を用いる代わりに、バンド145として、マジックテープ(登録商標)等の面ファスナーが設けられたバンドを用いても構わない。
【0168】
また、
図10に示す例では、バンド145でカニューレ31を締め付ける(押さえ付ける)ことにより、カニューレ31を支持台144に括り付ける場合を例に挙げて図示したが、バンド145でカメラ支持管13を締め付ける(押さえ付ける)ことにより、カメラ支持管13を支持台144に括り付ける構成としても構わない。
【0169】
バンド145でカメラ支持管13を締め付ける場合、バンド145の固定長さを調整してバンド145を緩める等して支持管13あるいは支持台144を動かし、支持管13の位置を調整した後、再度、バンド145で支持管13を締め付けることで支持管13を所望の位置で固定してもよい。あるいは、バンド145の固定長さを調整したり、バンド145に伸縮性を持たせたりして締め付けの強さを調整することで、支持管13に一定以上の力を加えることで支持管13を動かすことができるように支持管13を固定してもよい。
【0170】
なお、本例では、上述したようにカニューレ31として、
図4の(a)〜(c)に示すカニューレ31を使用する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、バンド145でカメラ支持管13を締め付ける場合、カメラ支持管13の移動がバンド145により制限されることから、カメラ支持管13は、必ずしもカニューレに固定されている必要はなく、カニューレとしては、一般的なカニューレを用いることができる。
【0171】
なお、カメラ支持管13がカメラユニット11に設けられた支持管接合部14から外れないためには、カメラ側ケーブル12をカメラ支持管13に保持するケーブル留め具43(ケーブルホルダ)のケーブル保持強度だけではなく、カメラ支持管13を支えるための、カメラ支持管13をカニューレ31に保持するバルブ37やストッパ77の保持強度や、カメラ支持管13もしくはカニューレ31を支持台144に保持するバンド145や面ファスナーの保持強度、支持台144を体表面45に固定する粘着層の接着強度などの全ての固定部材の保持強度は、カメラ支持管13の嵌合強度より大きいことが必要である。具体的には、例えば、差し込んだカメラ支持管13の嵌合強度3N〜6Nとした場合、これより大きな強度、少なくとも5N以上は必要である。また、ケーブル自体の強度以上にする必要はないため、これらの保持強度の最適な範囲としては、例えば5N〜50Nが望ましい。なお、この最適範囲は、後述する他の支持管固定部材例においても同様である。
【0172】
また、上記の保持強度であれば、カメラ支持管13と支持管接合部14とが十分に接触するので、カメラ支持管13と支持管接合部14の側面を熱伝導性の良い材料で形成した際に、カメラユニット11からの放熱性を高めることができる。
【0173】
<固定具例2>
本例に係る体内監視カメラシステム1は、
図11に示すように、
図4の(a)〜(c)に示すカニューレ31と、固定器具151(専用器具、固定具)を備えている。
【0174】
本実施形態でも、固定具として紐状部材38に代えて、体表面45に直接固定が可能な専用の固定器具151を用いることにより、カニューレ31に固定されたカメラ支持管13を固定する。なお、本例でも、カメラ支持管13は、カニューレ31を介して間接的に体表面45に固定される。
【0175】
本例に係る固定器具151は、支持台152と、クリップ構造を有する挟持部材からなるクリップ部153(クリップ状部材)と、支持台152における体表面45とは反対面側に設けられた支持管装着部154とを備えている。
【0176】
固定器具151は、付勢力を有するクリップ部153で例えば皮膚を挟むことで体表面45に直接固定できるようになっている。
【0177】
支持管装着部154は、支持台152に固定されたアーム部155・155と、カメラ支持管13を直接または間接的に把持する把持部であるクランプ部156と、クランプ部156でカニューレ31を把持した状態でクランプ部156をアーム部155・155間にねじ締めにより固定するねじ締め用取手157とを備えている。
【0178】
本例では、固定器具151を、クリップ部153によって体表面45に固定した状態で、カメラ支持管13を固定したカニューレ31をクランプ部156によって支持台152に固定することで、カメラ支持管13を、カニューレ31を介して体表面45に固定する。
【0179】
このとき、クランプ部156に、支持管13が固定されたカニューレ31を装着し、ねじ締め用取手157を回してクランプ部156でカニューレ31を締め付けることで、カニューレ31および支持管13を所望の状態に固定することができる。
【0180】
したがって、本例でも、実施形態1と同様に、術者が、カメラ支持管13を操作し、カメラ支持管13を容易に円周方向に回転させたり、カメラ支持管13を体内側に押し込んだり、体外側に引き上げたりすることで、カメラユニット11の視野の回転方向や撮像ズーム(被写体距離)を変えることができる。
【0181】
また、アーム部155に対するクランプ部156の固定角度を調整して、体表面45に対するカニューレ31およびカメラ支持管13の固定角度(傾き)を調整することで、カメラユニット11の視野方向を変えることができる。
【0182】
これにより、本例でも、カメラ支持管13を、所望の状態で固定することができる。
【0183】
なお、
図11に示す例では、クランプ部156でカニューレ31を保持する場合を例に挙げて図示したが、クランプ部156でカメラ支持管13を保持しても構わない。
【0184】
クランプ部156で支持管13を保持する場合、クランプ部156に一旦固定した支持管13の位置や向き等を調整する場合には、ねじ締め用取手157を回してクランプ部156を緩めることにより支持管13を動かし、支持管13の位置を調整した後、再度、ねじ締め用取手157を回してクランプ156で支持管13を締め付けることで支持管13を所望の位置で固定してもよい。あるいは、ねじ締め用取手157による締め付けの強さを調整することで、支持管13に一定以上の力を加えることで支持管13を動かすことができるようにクランプ部156に支持管13を固定してもよい。
【0185】
なお、本例でも、上述したようにカニューレ31として、
図4の(a)〜(c)に示すカニューレ31を使用する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、クランプ156でカメラ支持管13を締め付ける場合、カメラ支持管13の移動がクランプ156により制限されることから、カメラ支持管13は、必ずしもカニューレに固定されている必要はなく、カニューレとしては、一般的なカニューレを用いることができる。
【0186】
また、クランプ部156は、ネジ締め用取手157の代わりに、バネ等による付勢力により締め付けを調整するようになっていてもよい。この場合、支持管装着部154には、クランプ部156の固定角度を調整する角度調整機構が設けられていることが望ましい。但し、勿論、支持管装着部154に角度調整機構を設ける代わりに、クリップ部153による固定器具151の固定位置を変更することで、体表面45に対する支持管13の傾きを調整しても構わない。
【0187】
また、
図11では、支持台152の側面に、支持台152を挟むようにクリップ部153を2つ設けた場合を例に挙げて図示したが、体表面45への支持台152の固定方法はこれに限定されるものではない。例えば、支持台152の下面である、アーム部155とは反対側の面に、付勢力を有し、患者の患部近傍の体の一部(例えば腕や脚、腹部等)を挟むことができる大型のクリップ部が1つ設けられている構成を有していても構わない。
【0188】
<固定具例3>
本例に係る体内監視カメラシステム1は、
図12に示すように、
図4の(a)〜(c)に示すカニューレ31と、固定器具161(専用器具、固体具)とを備えている。
【0189】
本実施形態でも、固定具として紐状部材38に代えて、体表面45に直接固定が可能な専用の固定器具161を用いることにより、カニューレ31に固定されたカメラ支持管13を固定する。なお、本例でも、カメラ支持管13は、カニューレ31を介して間接的に体表面45に固定される。
【0190】
本例に係る固定器具161は、片面(体表面45との接触面)に図示しない粘着層を備えた支持台162と、支持台162における体表面45とは反対面側に設けられた支持管装着部163とを備えている。なお、体表面45との密着性を高めるため、体表面45との接触面を構成する面部材は、体表面45の丸みを帯びた形状に密着可能なフレキシブル部材を用いることが望ましい。このようにすることによって、前述した最適な保持強度の範囲に設定することができる。
【0191】
支持管装着部163は、支持台162に固定されたアーム部164と、カメラ支持管13を直接または間接的に把持する把持部であるクランプ部165と、クランプ部165をアーム部164にねじ締めにより固定するねじ締め用取手166とを備えている。
【0192】
本例では、固定器具161を、粘着層によって体表面45に固定した状態で、カメラ支持管13を固定したカニューレ31をクランプ部165によって支持台162に固定することで、カメラ支持管13を、カニューレ31を介して体表面45に固定する。
【0193】
本例でも、支持管固定部材例2と同様に、クランプ部165に、支持管13が固定されたカニューレ31を装着し、ねじ締め用取手166を回してクランプ部165でカニューレ31を締め付けることで、カニューレ31および支持管13を所望の状態に固定することができる。
【0194】
したがって、本例でも、支持管固定部材例2と同様の効果を得ることができる。また、本例でも、支持管固定部材例2と同様の変形が可能である。
【0195】
<固定具例4>
本例に係る体内監視カメラシステム1は、
図13に示すように、支持管固定部材として、
図4の(a)〜(c)に示すカニューレ31と、固定器具171(専用器具、固定具)とを備えている。
【0196】
本実施形態でも、固定具として紐状部材38に代えて、体表面45に直接固定が可能な専用の固定器具171を用いることにより、カニューレ31に固定されたカメラ支持管13を固定する。なお、本例でも、カメラ支持管13は、カニューレ31を介して間接的に体表面45に固定される。
【0197】
本例に係る固定器具171は、アーム部172と、カメラ支持管13を直接または間接的に把持する把持部であるクランプ部173と、クランプ部173をアーム部172に固定(連結)する連結部174とを備えている。
【0198】
なお、連結部174には、図示しないねじ締め用取手が設けられていてもよい。あるいは、アーム部172とクランプ部173とがなす角度を調整する図示しない角度調整機構が設けられていてもよい。また、クランプ部173は、ねじ締めによりカニューレ31を保持するようになっていてもよく、バネ等による付勢力によりカニューレ31を保持するようになっていてもよい。
【0199】
クランプ部173とアーム部172とは、連結部174により、クランプ部173とアーム部172とがなす角度が例えば鈍角となるように連結されている。
【0200】
図13に示す固定器具171は、一方の端部である、クランプ部173における支持管13またはカニューレ31との接触端部で、支持管13またはカニューレ31の角度を傾けた際に体壁41の弾性によって発生する復元力49を受け止め、もう一方の端部である、アーム部172における体壁41との接触端部で、その復元力49を、被固定体である例えば体壁41を押さえる力(体壁押力50)として利用する。これにより、カメラ支持管13またはカニューレ31を所望の状態に固定できる。
【0201】
したがって、本例でも、術者が、カメラ支持管13を操作し、カメラ支持管13を容易に円周方向に回転させたり、カメラ支持管13を体内側に押し込んだり、体外側に引き上げたりすることで、カメラユニット11の視野の回転方向や撮像ズーム(被写体距離)を変えることができる。
【0202】
また、アーム部172に対するクランプ部173の固定角度を調整して、体表面45に対するカニューレ31およびカメラ支持管13の固定角度(傾き)を調整することで、カメラユニット11の視野方向を変えることができる。
【0203】
なお、
図13に示す例では、クランプ部173でカニューレ31を保持する場合を例に挙げて図示したが、本例でも、クランプ部173でカメラ支持管13を保持しても構わない。
【0204】
なお、本例でも、クランプ173でカメラ支持管13を固定する場合、カメラ支持管13の移動がクランプ173により制限されることから、カメラ支持管13は、必ずしもカニューレに固定されている必要はなく、カニューレとしては、一般的なカニューレを用いることができる。
【0205】
また、支持管固定部材例3では、固定器具161を、粘着層によって体表面45に固定する場合を例に挙げて説明したが、
図12に示す固定器具161においても、本例と同様に、アーム部164に対するクランプ部165の固定角度を調整することで、粘着層を使用せずに固定器具161を体表面45に固定することができる。
【0206】
すなわち、
図12に示す固定器具161においても、クランプ部173における支持管13またはカニューレ31との接触端部で、支持管13またはカニューレ31の角度を傾けた際に体壁41の弾性によって発生する復元力を受け止め、支持台162における体壁41との接触端部で、その復元力を、体壁41を押さえる力(体壁押力)として利用する構成とすることもできる。
【0207】
<変形例>
上述した各例で用いられる専用の固定器具としては、体表面に固定できるものであれば、その形状、材質は特に限定されない。
【0208】
また、上述した各例では、各固定器具を体表面に固定する場合を例に挙げて説明したが、本実施形態は、これに限定されるものではない。
【0209】
例えば、手術台に設置された専用の固定器具でカメラ支持管13やカニューレ31を固定してもよい。
【0210】
例えば、上述した各例に記載の固定器具において、アームに、少なくとも1つの関節部を有し、該関節部でアームを屈曲させることができるとともに、屈曲角度を自在に変更することができるいわゆる関節アームあるいは多関節アームを使用し、該アームを、支持台あるいは体表面45に固定する代わりに、手術台そのもの、あるいは、手術台もしくは手術室内に設置された固定器具に固定するか、そのようなアームが設けられた支持台を、手術台、あるいは手術室内に設置された固定器具に固定してもよい。これにより、固定器具の固定位置からクランプ部までのリーチを長くすることができるので、固定器具を患部近傍の体表面45に固定する場合と同様の効果を得ることができる。
【0211】
〔実施形態3〕
本発明のさらに他の実施形態について、
図14に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施形態では、主に、実施形態1、2との相違点について説明するものとし、実施形態1で用いた構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。なお、本実施形態でも、実施形態1、2と同様の変形が可能であることは言うまでもない。
【0212】
実施形態1、2では、カニューレ31に挿入されたカメラ支持管13を体外に固定する固定具として紐状部材38や専用の固定器具(例えば固定器具141・151・161・171)を用いた場合を例に挙げて説明したが、固定具及びカメラ支持管13の固定方法としては、これに限定されるものではない。
【0213】
本実施形態では、固定具及びカメラ支持管13の固定方法のさらに他の例について説明する。
【0214】
図14は、本実施形態に係る体内監視カメラシステム1の要部の概略構成の一例を示す斜視図である。
【0215】
本実施形態に係る体内監視カメラシステム1は、
図4の(a)〜(c)に示すカニューレ31と、粘着テープ46(固定具)とを備えている。
【0216】
本実施形態では、体表面45に直接固定が可能な粘着テープ46を用いることにより、カニューレ31に固定されたカメラ支持管13を固定する。なお、本実施形態でも、カメラ支持管13は、カニューレ31を介して間接的に体表面45に固定される。
【0217】
粘着テープ46には、体表面との接触部に粘着層を有する、手術で一般的に使用される粘着テープを用いることができる。粘着テープ46は、片面(体表面45との接触面)に図示しない粘着層を備え、該粘着層の粘着性により、体表面45に直接固定することが可能となっている。
【0218】
なお、本実施形態でも、術者が、カメラ支持管13を操作し、カメラ支持管13を容易に円周方向に回転させたり、カメラ支持管13を体内側に押し込んだり、体外側に引き上げたりすることで、カメラユニット11の視野の回転方向や撮像ズーム(被写体距離)を変えることができる。
【0219】
また、本実施形態では、カニューレ31における粘着テープ46の固定位置(言い換えれば、カニューレ31に粘着テープ46による押力が加わる位置)を変更することで、体表面45に対するカニューレ31およびカメラ支持管13の固定角度(傾き)を変更することができる。これにより、本実施形態でも、所望の角度でカニューレ31およびカメラ支持管13を固定することができ、カメラユニット11の視野方向を任意に変更することができる。
【0220】
また、例えばカニューレ31の下(つまり、カニューレ31と体表面45との間)に、カニューレ31の固定高さを調整する固定高さ調整部材として、例えば
図10に示す支持台144のように所望の厚みを有する物体を挟み込むことで、カニューレ31およびカメラ支持管13の固定角度(傾き)を変更してもよい。言い換えれば、本実施形態に係る体内監視カメラシステム1は、支持管固定部材として、カニューレ31及び粘着テープ46に加えて、図示しない固定高さ調整部材をさらに備えていてもよい。
【0221】
これにより、本実施形態でも、カメラ支持管13を、所望の状態で固定することができる。
【0222】
なお、
図14に示す例では、粘着テープ46をカニューレ31に貼り付けることにより粘着テープ46でカニューレ31を固定する場合を例に挙げて図示したが、本実施形態でも、粘着テープ46をカメラ支持管13に貼り付けることにより粘着テープ46でカメラ支持管13を直接固定しても構わない。
【0223】
粘着テープ46でカメラ支持管13を直接固定する場合、手術者が支持管13を操作して支持管13の位置を調整し、粘着テープ46でカメラ支持管13を固定した後、支持管13の位置を変更する場合には、粘着テープ46を一旦剥がし、手術者が支持管13を操作して支持管13の位置を再度調整した後、再度、粘着テープ46で支持管13を固定すればよい。
【0224】
これにより、粘着テープ46でカメラ支持管13を直接固定する場合でも、カメラ支持管13を、所望の状態で固定することができる。
【0225】
なお、本実施形態でも、粘着テープ46でカメラ支持管13を直接固定する場合、カメラ支持管13の移動が粘着テープ46により制限されることから、カメラ支持管13は、必ずしもカニューレに固定されている必要はなく、カニューレとしては、一般的なカニューレを用いることができる。
【0226】
〔実施形態4〕
本発明のさらに他の実施形態について、
図15の(a)〜(c)に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施形態では、主に、実施形態1〜3との相違点について説明するものとし、実施形態1で用いた構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。なお、本実施形態でも、実施形態1〜3と同様の変形が可能であることは言うまでもない。
【0227】
実施形態1〜3では、カメラ支持管13、または、カメラ支持管13が固定されたカニューレ31を固定具で体外に固定する場合を例に挙げて説明した。本実施形態では、カメラ支持管13にカメラ側ケーブル12を固定し、該カメラ側ケーブル12を固定具で体外に固定することでカメラ支持管13を固定する場合を例に挙げて説明する。
【0228】
図15の(a)は、カメラ支持管13における体外側の端部13bにケーブル留め具43を設けたときのカメラ支持管13の断面図および上面図を並べて示す図であり、
図15の(b)は、カメラ側ケーブル12をカメラ支持管13に通したときのカメラ支持管13の断面図および上面図を並べて示す図であり、
図15の(c)は、本実施形態に係る体内監視カメラシステム1の要部の概略構成の一例を示す斜視図である。
【0229】
本実施形態に係る体内監視カメラシステム1は、
図4の(a)〜(c)に示すカニューレ31と、ケーブル留め具43(ケーブルホルダ)と、粘着テープ46(固定具)とを備えている。
【0230】
実施形態1で説明したように、カメラ側ケーブル12は、カメラ側ケーブルコネクタ12aを介して機器側ケーブル16に接続される。本実施形態では、カメラ側ケーブル12をカメラ支持管13に係止するために、
図15の(a)・(b)に示すように、カメラ支持管13の体外側の端部13bにケーブル留め具43を設けている。
【0231】
<カメラ支持管13の概略構成>
ここで、先ず、本実施形態にかかるカメラ支持管13の概略構成について説明する。
【0232】
図15の(a)に示すように、本実施形態で用いられるカメラ支持管13は、頭部113と脚部114とを含み、頭部113の内径が脚部114の内径よりも大きい漏斗型の管である点を除けば、実施形態1に係るカメラ支持管13と同様の構成を有している。
【0233】
本実施形態に係るカメラ支持管13は、腹壁等の体壁41を通じて、脚部114側の端部13aが体内に導入される。
【0234】
したがって、カメラ支持管13には、カメラ支持管13をカニューレ31に挿し込んだ状態で、体内に挿入される側の端部である脚部114側の端部13a及び体外側の端部となる頭部113側の端部13bがカニューレ31から露出するように、カニューレ31の脚部132よりも軸方向の長さが長い脚部114を有するカメラ支持管13を使用する。また、カニューレ31内でカメラ支持管13を回転させることができるように、カニューレ31内にカメラ支持管13を挿通した状態でカメラ支持管13の外壁とカニューレ31の内壁との間に隙間を有する大きさ(太さ)のカメラ支持管13を使用する。
【0235】
なお、本実施形態でも、カメラ支持管13の脚部114は、円筒形状を有している。このため、本実施形態では、カニューレ31として、
図4の(a)〜(c)に示すカニューレ31を使用しているが、円筒形状の管である一般的なカニューレとの組み合わせが容易である。
【0236】
<ケーブル留め具43の概略構成>
上述したように、本実施形態で用いられるカメラ支持管13は、頭部113側の端部31b(体外側)が、体内に挿入される脚部114側(体内側)の端部31aよりも太い形状を有している。
【0237】
ケーブル留め具43は、カメラ支持管13における頭部113側の端部31bに設けられる。
【0238】
ケーブル留め具43は、
図15の(a)・(b)に示すように、支持管13の軸方向に延伸し、カメラ支持管13の中央から外側(側面方向)に向けて幅が狭くなる(横断面が外向きテーパとなる)縦溝43aを有している。なお、縦溝43aとして、ケーブル留め具43にテーパ状の縦溝を設ける代わりに、ケーブル留め具43を弾性材料で構成し、該ケーブル留め具43に、縦溝43aとして切り込みを設けることで、弾性材料による付勢力によってカメラ側ケーブル12を保持する構成としてもよい。
【0239】
本実施形態によれば、このように、ケーブル留め具43の縦溝43aの底部(幅狭になっている部分)にカメラ側ケーブル12を固定することで、カメラ支持管13にカメラ側ケーブル12を固定することができる。
【0240】
したがって、本実施形態によれば、
図15の(b)に示すようにケーブル留め具43によってカメラ側ケーブル12とカメラ支持管13とを固定した上で、
図15の(c)に示すようにカメラ側ケーブル12を粘着テープ46等で固定することで、カメラ支持管13の位置を固定することができる。
【0241】
なお、ケーブル留め具43はカメラ支持管13と一体的に形成されていてもよく、別体として形成されていてもよい。すなわち、カメラ側ケーブル12をカメラ支持管13に通した後に個別の部品としてケーブル留め具43をカメラ支持管13に挿入することでカメラ側ケーブル12を固定してもよい。
【0242】
<効果>
本実施形態でも、手術者が支持管13を操作して支持管13の位置を調整し、粘着テープ46でカメラ側ケーブル12を固定した後、支持管13の位置を変更する場合には、粘着テープ46を一旦剥がし、手術者が支持管13を操作して支持管13の位置を再度調整した後、再度、粘着テープ46でカメラ側ケーブル12を固定すればよい。
【0243】
また、例えばカメラ側ケーブル12の下(つまり、カメラ側ケーブル12と体表面45との間)、あるいは、状況に応じて、カニューレ31もしくはカメラ支持管13の下に、固定高さ調整部材として、例えば
図10に示す支持台144のように所望の厚みを有する物体を挟み込むことで、カメラ側ケーブル12に接続されたカニューレ31およびカメラ支持管13の固定角度(傾き)を変更してもよい。すなわち、本実施形態でも、支持管固定部材は、図示しない固定高さ調整部材をさらに備えていてもよい。
【0244】
これにより、粘着テープ46でカメラ側ケーブル12を直接固定する場合でも、カメラ支持管13を、所望の状態で固定することができる。
【0245】
また、本実施形態によれば、ケーブル留め具43を用いてカメラ支持管13にカメラ側ケーブル12を固定することで、カメラユニット11の設置作業の途中でカメラ側ケーブル12を仮止めすることができ、作業性が向上するという利点もある。また、設置後はカメラ側ケーブル12が体外で引っ張られても、カメラユニットとカメラ側ケーブル12との接続部に負荷がかからず、カメラ側ケーブルの断線を防止することができるという利点もある。
【0246】
<変形例>
なお、本実施形態でも、上述したようにカニューレ31として、
図4の(a)〜(c)に示すカニューレ31を使用する場合を例に挙げて説明したが、本実施形態に係るカメラ支持管13は、必ずしもカニューレに固定されている必要はなく、カニューレとしては、一般的なカニューレを用いることができる。
【0247】
つまり、本実施形態では、カメラ支持管13にカメラ側ケーブル12を固定し、カメラ側ケーブル12を体外に固定することで、カメラ側ケーブル12によって、カメラ支持管13を固定することができる。つまり、カメラ側ケーブル12を粘着テープ46で固定することで、カメラ側ケーブル12と接続されたカメラ支持管13の位置および向きが固定される。このため、カメラ支持管13を直接固定具で体外に固定する場合と同様に、カメラ支持管13は、カニューレに固定されていなくても構わない。
【0248】
また、本実施形態では、上述したようにケーブル留め具43を用いてカメラ支持管13にカメラ側ケーブル12を固定し、該カメラ側ケーブル12を粘着テープ46で体外に固定することでカメラ支持管13を固定する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、本実施形態はこれに限定されるものではなく、上述したようにケーブル留め具43を用いてカメラ支持管13にカメラ側ケーブル12を固定した上で、カメラ支持管13あるいはカニューレ31を、該カメラ側ケーブル12を粘着テープ等の固定具で体外に固定しても構わない。勿論、カメラ側ケーブル12、カメラ支持管13、及びカニューレ31のうち何れか2つ以上を固定しても構わない。何れの場合にも、ケーブル留め具43を用いてカメラ支持管13にカメラ側ケーブル12を固定することで、上述したように作業性の向上を図るとともに、カメラ側ケーブルの断線を防止することができるという効果を得ることができる。
【0249】
また、本実施形態では、カメラ側ケーブル12あるいはカメラ支持管13もしくはカニューレ31の固定に粘着テープ46を用いるものとして説明した。しかしながら、固定具としてはこれに限定されるものではなく、実施形態1〜3でカメラ支持管13もしくはカニューレ31の固定に用いた固定具と同様の固定具を用いることができることは言うまでもない。
【0250】
〔実施形態5〕
本発明のさらに他の実施形態について、
図16の(a)〜(d)および
図17の(a)〜(h)に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施形態では、主に、実施形態1〜4との相違点について説明するものとし、実施形態1で用いた構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。なお、本実施形態でも、実施形態1〜4と同様の変形が可能であることは言うまでもない。
【0251】
実施形態1〜4では、カニューレ31とカメラ支持管13とを別体とした場合を例に挙げて説明した。本実施形態では、カメラ支持管13にカニューレの機能を持たせることにより、カニューレ31を使用せず、カメラ支持管13を体表面に対して直接固定する場合について説明する。
【0252】
<カメラ支持管13の概略構成>
図16の(a)は、本実施形態に係るカメラ支持管13の斜視図であり、
図16の(b)は、
図16の(a)に示すカメラ支持管13の断面図であり、
図16の(c)は本実施形態に係るカメラ支持管13をオプチュレータと組み合わせた場合の斜視図であり、
図16(d)は、本実施形態に係るカメラ支持管13を体壁41に穿刺した状態を示す断面図である。
【0253】
<カメラ支持管13の概略構成>
ここで、先ず、本実施形態にかかるカメラ支持管13の概略構成について説明する。
【0254】
図15の(a)に示すように、本実施形態で用いられるカメラ支持管13は、頭部113と脚部114とを含み、頭部113の内径が脚部114の内径よりも大きい漏斗型の管であるとともに、スリット223が設けられていない点を除けば、実施形態1に係るカメラ支持管13と同様の構成を有している。
【0255】
本実施形態に係るカメラ支持管13は、腹壁等の体壁41を通じて、脚部114側の端部13aが直接体内に導入される。
【0256】
なお、本実施形態でも、術者が、体外側に露出したカメラ支持管13を操作することによりカメラ支持管13を体内側に押し込んだり、体外側に引き上げたりすることで、撮像ズーム(被写体距離)を変えることができるように、カメラ支持管13には、体壁41の厚みよりも脚部114の軸方向の長さが長く、脚部114を体内で軸方向に自在に移動させることができる長さを有するカメラ支持管13を使用する。
【0257】
また、カメラ支持管13を所望の高さで自在に回転させることができるように、カメラ支持管13には、脚部114が円筒状の管からなるカメラ支持管13を用いることが望ましい。
【0258】
但し、本実施形態はこれに限定されるものではなく、カメラ支持管13は、体内において軸方向に移動可能でかつ回転可能に設けられていればよい。
【0259】
なお、低侵襲性の観点から、カメラ支持管13はできるだけ小口径であることが好ましい。
【0260】
本実施形態によれば、
図16の(c)・(d)に示すように、カメラ支持管13を体内に挿入する場合、カメラ支持管13内にオブチュレータ36(先尖り棒)を挿通し、カメラ支持管13の体内側の端部13aから露出したオブチュレータ36の先端(鋭利な部分)を、体壁41に開けられたポート41dに穿刺する。これにより、カメラ支持管13が体壁41dに挿入され、カメラ支持管13が、体壁41によって接触固定される。また、カメラ支持管13の頭部113側の端部13bが体外に出るため、頭部113がストッパとして機能することにより、カメラ支持管13が体内に抜けることもない。
【0261】
<体内監視カメラシステム1の設置方法>
次に、本実施形態に係る体内監視カメラシステム1における撮像装置2の設置方法を、使用方法と併せて説明する。
【0262】
図17の(a)〜(h)は、本実施形態に係る体内監視カメラシステム1における撮像装置2の設置方法を工程順に示す模式図である。
【0263】
まず、
図17の(a)に示すように、
図5の(a)と同様に、術者は、体壁41に、鉗子や内視鏡を体腔内に挿入するためのポート41a〜41c(孔)を開け、ポート41a〜41cに、複数のトロッカー32(以下、トロッカー32a〜32cと称する)をそれぞれ挿入する。
【0264】
さらに、カメラユニット11を体腔内に設置するために、体壁41における、患部を含む臓器全体を見渡すことのできる位置にポート41dを開け、カニューレ31の代わりに、
図15の(a)〜(d)に示すカメラ支持管13をポート41dに挿入する。具体的には、
図15の(c)・(d)に示すように、針形状のオブチュレータ36をカメラ支持管13内に通した状態でオブチュレータ36をポート41dに穿刺する。これにより、
図15の(d)に示すように、カメラ支持管13が、体壁41に挿入され、体壁41によって接触固定される。その後、カメラ支持管13からオブチュレータ36を抜き取る。
【0265】
なお、トロッカー32a〜32cの少なくとも一つが挿入された後、術者は、トロッカーを通してガスを体内に送り、前もって体腔内を膨張させ、器具を挿入する空間を確保しておく。
【0266】
次に、
図17の(b)に示すように、術者は、トロッカー32cを通して内視鏡34を体腔内に挿入し、内視鏡34を用いて体内を観察しながら、鉗子33aで支持部22を把持して、撮像装置2を、トロッカー32bを通して体腔内に挿入する。
【0267】
次に、
図17の(c)に示すように、術者は、鉗子33aを操作して撮像装置2をカメラ支持管13の近傍に移動させるとともに、カメラ支持管13を通して鉗子33bを体腔内に挿入する。
【0268】
次に、
図17の(d)に示すように、術者は、鉗子33bでカメラ側ケーブル12を挟んだ状態で鉗子33bをカメラ支持管13から引き抜くことで、カメラ側ケーブル12を体外に導出する。このとき、カメラユニット11における支持部22は、鉗子33aによって把持された状態となっている。
【0269】
次に、
図17の(e)に示すように、術者は、トロッカー32aを通して鉗子33cを体腔内に挿入し、カメラユニット11の支持管接合部14とカメラ支持管13の開口とが平行でかつ近接するように、カメラユニット11の両側面の支持部22を、2つの鉗子33a・33cで把持する。
【0270】
次に、
図17の(f)に示すように、術者は、カメラ支持管13の体内側の端部13aを、カメラユニット11の支持管接合部14に挿入して螺合させる。これにより、カメラ支持管13の内部にカメラ側ケーブル12を通した状態で、カメラ支持管13とカメラユニット11とを、体内で、支持管接合部14にて接合する。
【0271】
次いで、
図17の(g)に示すように、術者は、体腔内をできるだけ広く撮影できるように、カメラ支持管13を引き上げる。
【0272】
次に、カメラ支持管13を操作してカメラユニット11の体腔内での高さ、向き、および角度を決め、
図17の(h)に示すように、粘着テープ46等の固定具でカメラ支持管13を固定する。これにより、術者がカメラ支持管13を支えなくても、カメラ支持管13の状態を維持することができる。
【0273】
カメラユニット11を体内に設置した後は、実施形態1と同様に、カメラ側ケーブルコネクタ12aを用いて、カメラ側ケーブル12と機器側ケーブル16とを接合する。
【0274】
<効果>
以上のように、本実施形態でも、実施形態1〜4同様、カメラユニット11とカメラ支持管13とが高い機械的強度で接合され、従来よりもカメラユニット11の支持力が高い。また、カメラ側ケーブル12がカメラ支持管13の内部を通って体外に導出されるので、カメラユニット11とカメラ支持管13とが接合された後は、カメラ側ケーブル12に負荷がかかったり、カメラ側ケーブル12が体内で露出したり、体壁41に接触したりすることがない。これにより、カメラ側ケーブル12及び回路基板19の電気的接続の確実性(接続部分の防水性、防汚性)が高まる。このため、信頼性の高い体内監視カメラシステム1を実現することができる。
【0275】
また、本実施形態でも、実施形態1〜4同様、術者は、カメラ支持管13を操作し、カメラユニット11の視野方向、視野の回転方向、撮像ズーム(被写体距離)を任意に設定し、所望の位置で固定することができる。このため、使い勝手の良い体内監視カメラシステムを実現することができる。
【0276】
加えて、本実施形態によれば、実施の形態1〜4のカニューレ31のように内部にカメラ支持管13を通す必要がなく、カメラ支持管13を、体壁41に直接挿入し、体表面に対して直接固定することができるので、ポート41dの口径を小さくすることができる。このため、低侵襲性の点で優れる。また、本実施形態によれば、実施形態1で説明したようにカメラ側ケーブル12をカメラ支持管13に通した状態でカメラ支持管13をカニューレ31に通す工程が不要であるため、術者の作業効率を高めることができる。
【0277】
<変形例>
なお、
図17の(h)では、固定具として粘着テープ46を用いる場合を例に挙げて図示したが、上記固定具としては、これに限定されるものではなく、例えば、実施形態2、3で説明した専用の固定器具であってもよいことは、言うまでもない。
【0278】
また、実施形態4では、カメラ支持管13をカニューレ31に挿通した状態で体表面に固定する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、本実施形態に示すように、オプチュレータを用いてカメラ支持管13を体壁41に穿刺し、カメラ側ケーブル12をカメラ支持管13に通した後に、個別の部品としてケーブル留め具43をカメラ支持管13に挿入してもよい。これにより、実施形態4に示すようにカメラ側ケーブル12を用いてカメラ支持管13を固定する場合であっても、カニューレ31を使用することなく、カメラ支持管13を、体表面に対して直接固定することができる。
【0279】
また、固定具として紐状部材を用いる場合であっても、複数の紐状部材もしくは分岐部を有する紐状部材を使用することで、カニューレ31を使用することなく、カメラ支持管13を、体表面に対して直接固定することが可能である。
【0280】
この場合、例えば、カメラ支持管13として、
図16の(a)〜(d)に示すように、カメラ支持管13が体内に抜けることを防止するストッパとして機能する頭部113を有するカメラ支持管13を使用し、紐状部材を用いて、カメラ支持管13を吊るす一方、実施形態1で説明したようにトロッカー等に係止することで、体内における支持管13の、長さ、回転方向、及び体表面に対する傾きを保持した状態で、支持管13を体表面に直接固定することができる。
【0281】
なお、カメラ支持管13として、
図16の(a)〜(d)に示すカメラ支持管13を用いる代わりに、カメラ支持管13に、カメラ支持管13の軸方向への紐状部材の移動を防止する紐状部材固定部(例えば紐状部材を通したり結んだりして紐状部材を固定することができる固定部)を設けても、同様の効果を得ることができる。
【0282】
〔実施形態6〕
本発明のさらに他の実施形態について、
図18〜
図23に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施形態では、主に、実施形態1〜4との相違点について説明するものとし、実施形態1で用いた構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。なお、本実施形態でも、実施形態1〜4と同様の変形が可能であることは言うまでもない。
【0283】
実施形態1〜4では、カメラ支持管13、または、カメラ支持管13が固定されたカニューレ31を固定具で体外に固定する場合や、カメラ支持管13にカメラ側ケーブル12を固定し、該カメラ側ケーブル12を固定具で体外に固定することでカメラ支持管13を固定する場合を例に挙げて説明した。本実施形態では、これらの場合に、カメラ支持管13とカニューレ31との間の空間を満たす充填機能、換言すればカメラ支持管13とカニューレ31との隙間の少なくとも一部を塞ぐ機能を有する空気栓(支持管用付属具)を用いた例について説明する。
【0284】
<空気栓>
図18(a)は、カニューレ31に挿入されたカメラ支持管13とカメラユニット11との接合状態を示す断面図において、カメラ支持管13における体外側の端部とカニューレ31における体外側の端部との間に、空気栓88を設けた状態を示す断面図であり、
図18(b)は、空気栓88の側面図、
図18(c)は、空気栓88の上面図、
図18(d)は、空気栓88の斜視図であり、
図18(e)は、カニューレ31における体外側の端部のサイズが小さい場合の断面図である。
【0285】
カメラ支持管13を設置する套管(カニューレ)やトロッカーなどの管状部材は、その内径サイズやバルブなどの内部構造に種々のタイプがある。このため、管状部材にカメラ支持管13を設置したときに、管状部材の種類によっては、カメラ支持管13と管状部材31との隙間から、腹壁を膨らませているガスが抜け、不都合が生じる場合がある。このため、
図18(a)に示すように、管状部材31とカメラ支持管13の間に、漏れを低減する空気栓88(支持管用付属具)を設けることが有効である。
【0286】
図18(a)〜(d)の空気栓88は、ホールド部88aおよびフランジ状の蓋部88bを含み、ホールド部88aは先細りする(体表側に向けて細くなる)円錐台形状であり、ホールド部88aを貫通する支持管孔88hが設けられた構成である。ゴム等の弾性部材で構成された空気栓88は、支持管孔88h内にカメラ支持管13をホールドした状態で、ホールド部88aが弁37を押し広げるようにカニューレ31(管状部材)の上端部内に嵌め込まれ、蓋部88bがカニューレ31の上端部の上面を覆うように設置される。以上のようにして、空気栓88は、カニューレ31とカメラ支持管13との隙間をほぼ塞ぐことになる。
【0287】
なお、カニューレ31の弁37とカメラ支持管13との間には一般的に大きな隙間(弁37が1枚や2枚の少数枚である場合やカニューレ31の内径が大きな場合はより大きな隙間)が生じるため、空気漏れの低減に空気栓88が必要となる。これは以下の空気栓の変形例においてもいえることである。
【0288】
また、
図18(a)は、弁37がカニューレ31の上部にあって空気栓88と接触する例を示しているが、これは一例であって、弁37がカニューレ31の上部にない場合等、弁37と空気栓88が接触しない場合においても空気栓88が空気漏れ低減の効果を奏することは当然である。これは以下の空気栓の変形例においてもいえることである。
【0289】
図18(a)では、カニューレ31の上部が比較的大きいものに設置した例を示している。
図18(b)に示すようなホールド部88aの下部を徐々に細くすることによって、カニューレ31の上部がこれより細いもの(
図18(e)に示す)でも、ホールド部88aの下部の外側面がカニューレ31の上端部の内側面に接触するようにして挿入することができ、種々のタイプのカニューレ(管状部材)に対して、空気栓として適用することができる。
【0290】
なお、空気栓88によってカニューレ31内を完全に密封する(カメラ支持管13と管状部材31との隙間を完全に塞ぐ)必要はなく、膨らませた腹腔が萎むような大きな漏れを防ぐことができれば十分である。この隙間が幾分か残っており、適度にガス漏れをすることは、体内の温度を下げる効果があり、むしろ望ましい。また、カメラ支持管13を冷やすことにもなるので、カメラユニット11の熱をカメラ支持管13を介して外気に逃がす効果を高めることができる。
【0291】
<空気栓兼支持管ホルダ>
空気栓を、支持管を保持してカニューレに固定する支持管ホルダとして機能させることもできる。
【0292】
図19(a)は、カニューレ31に挿入されたカメラ支持管13とカメラユニット11との接合状態を示す断面図において、カメラ支持管13における体外側の端部とカニューレ31における体外側の端部との間に、支持管ホールド機能を有する空気栓を設けた状態を示す断面図であり、
図19(b)は、空気栓の側面図、
図19(c)は、空気栓の上面図、
図19(d)は、空気栓の斜視図であり、
図19(e)は、空気栓の側面に、支持管を固定するための板バネ状のクリップを取り付けた、他の例を示す断面図である。
図19(a)〜(d)に示すように、空気栓88(支持管用付属具、支持管ホルダ)は、ホールド部88aと、フランジ状の蓋部88bと、蓋部88bの周縁から体表面側に伸びる側壁部88dを含み、ホールド部88aは先細りする(体表側に向けて細くなる)円錐台形状であり、ホールド部88aを貫通する支持管孔88hが設けられた構成である。ゴム等の弾性部材で構成された空気栓88は、支持管孔88h内にカメラ支持管13を保持した状態で、ホールド部88aが弁37を押し広げるようにカニューレ31の上端部内に嵌め込まれ、蓋部88bがカニューレ31の上端部の上面を覆うとともに側壁部88dがカニューレ31の上端部の外側面を覆うように設置される。以上のようにして、空気栓88は、カニューレ31とカメラ支持管13との隙間をほぼ塞ぐとともに、カメラ支持管13とカニューレ31とを固定する。
【0293】
なお、
図19の(e)に示すように、側壁部88dのかわりに板バネ等のクリップ88Dを用い、クリップの開閉によってカニューレ31を挟み込む構造とすることもできる。このようなクリップ構造にすることによって、サイズの異なる種々のタイプのカニューレ(管状部材)に適用することが可能となり、汎用性が高まる。
【0294】
<空気栓兼ケーブルホルダ>
空気栓を、カメラ側ケーブルを保持して支持管に固定するケーブルホルダとして機能させることもできる。
【0295】
図20(a)は、カニューレ31に挿入されたカメラ支持管13とカメラユニット11との接合状態を示す断面図において、カメラ支持管13における体外側の端部とカニューレ31における体外側の端部との間に、ケーブルホルダの機能を有する空気栓を設けた状態を示す断面図であり、
図20(b)は、空気栓の側面図、
図20(c)は、空気栓の上面図、
図20(d)は、空気栓の斜視図である。
【0296】
図20(a)〜(d)に示すように、空気栓88(支持管用付属具、ケーブルホルダ)は、ホールド部88aおよび鍔状の蓋部88bを含み、ホールド部88aは、蓋部88bより上側に位置する上部88axが円柱形状で、かつ蓋部88bより下側(体表側)に位置する下部88ayが先細りする(体表側に向けて細くなる)円錐台形状であり、ホールド部88a内に支持管孔88hが設けられ、上部88axの中心部から蓋部88bの周縁に至るケーブル用切り欠き88fが設けられた構成である。ゴム等の弾性部材で構成される空気栓88は、ケーブル用切り欠き88fを通ったカメラ側ケーブル12を上部88axの中央にホールドするとともに支持管孔88h内にカメラ支持管13をホールドした状態で、下部88ayが弁37を押し広げるようにカニューレ31(管状部材)の上端部内に嵌め込まれ、蓋部88bがカニューレ31の上端部の上面を覆うように設置される。以上のようにして、空気栓88は、カニューレ31とカメラ支持管13との隙間をほぼ塞ぐとともに、カメラ支持管13とカメラ側ケーブル12とを固定する。
【0297】
図21(a)(d)は空気栓の変形例の縦断面図であり、(b)・(c)は(a)の破線部分の横断面図、(e)は(d)の破線部分の横断面図である。
図21に示すように、ホールド部88aの上部88axおよび蓋部88bに、ケーブル穴88Kを有する板バネ等のクリップ88Xを用い、クリップ88Xの開(
図21(b))閉(
図21(c))によって、ケーブル穴88K内のカメラ側ケーブル12を側面から挟み込む構造とする。なお、ホールド部88aの下端は
図21(e)のようなリング形状とする。このようなクリップ構造にすることによって、安定したケーブル保持力を得ることができ、また、サイズの異なる種々のタイプのケーブルに適用することが可能となり、汎用性が高まる。
【0298】
<空気栓兼支持管ホルダ兼ケーブルホルダ>
空気栓を、支持管を保持してカニューレに固定する支持管ホルダ、および、カメラ側ケーブルを保持して支持管に固定するケーブルホルダとして機能させることもできる。
【0299】
図22(a)は、カニューレ31に挿入されたカメラ支持管13とカメラユニット11との接合状態を示す断面図において、カメラ支持管13における体外側の端部とカニューレ31における体外側の端部との間に、支持管ホルダおよびケーブルホルダ機能を有する空気栓を設けた状態を示す断面図であり、
図22(b)は、空気栓の側面図、
図22(c)は、空気栓の上面図、
図22(d)は、空気栓の斜視図である。
図22(a)〜(d)に示すように、空気栓88(支持管用付属具、支持管ホルダ、ケーブルホルダ)は、ホールド部88aと、鍔状の蓋部88bと、蓋部88bの周縁から体表面側に伸びる側壁部88dとを含み、ホールド部88aは、蓋部88bより上側に位置する上部88axが円柱形状で、かつ蓋部88bより下側(体表側)に位置する下部88ayが先細りする(体表側に向けて細くなる)円錐台形状であり、ホールド部88a内に支持管孔88hが設けられ、上部88axの中心部から蓋部88bの周縁を経て側壁部88dの下端に至るケーブル用切り欠き88gが設けられた構成である。ゴム等の弾性部材で構成される空気栓88は、ケーブル用切り欠き88gを通ったカメラ側ケーブル12を上部88axの中央にホールドするとともに支持管孔88h内にカメラ支持管13をホールドした状態で、下部88ayが弁37を押し広げるようにカニューレ31(管状部材)の上端部内に嵌め込まれ、蓋部88bがカニューレ31の上端部の上面を覆うとともに側壁部88dがカニューレ31の上端部の外側面を覆うように設置される。以上のようにして、空気栓88は、カニューレ31とカメラ支持管13との隙間をほぼ塞ぐとともに、カメラ支持管13とカニューレ31およびカメラ側ケーブル12それぞれとを固定する。
【0300】
図23(a)は空気栓の変形例の縦断面図であり、(b)・(c)は(a)の破線部分の横断面図である。
図23のホールド部88aの上部88axに、
図21に示す、ケーブル穴88Kを有する板バネ等のクリップ88Xを用い、クリップ88Xの開閉によって、ケーブル穴88K内のカメラ側ケーブル12を側面から挟み込む構造とすることもできる。このようなクリップ構造にすることによって、安定したケーブル保持力を得ることができ、また、サイズの異なる種々のタイプのカメラ側ケーブルに適用することが可能となり、汎用性が高まる。また、
図23(a)〜(c)に示すように、ホールド部88aの上部88axおよび蓋部88bに、支持管穴88Sを有する板バネ等のクリップ88Yを用い、クリップ88Yの開閉によって、ケーブル穴88S内のカメラ支持管13を側面から挟み込む構造を取ったりすることもできる。このようなクリップ構造にすることによって、安定した保持力を得ることができる。
【0301】
さらに、ホールド部88aの上部88axに、
図21のクリップ88Xからなるケーブルホルダを設け、ホールド部88aの下端を
図21(e)に示したリング状とし、これらの間に、
図23に示すような、カメラ支持管13を固定するクリップ88Yを設けることもできる。このような2重クリップ構造にすることによって、カメラ支持管およびカメラ側ケーブルの安定した保持力を得ることができ、また、サイズの異なる種々のタイプのカメラ側ケーブル、カメラ支持管、およびカニューレ(管状部材)に適用することが可能となり、汎用性が高まる。
【0302】
実施形態6では、カメラ支持管13、カメラ側ケーブル12、およびカニューレ31の固定に用いることのできる空気栓88について説明した。しかしながら、これらに限定されるものではなく、実施形態1〜4で説明した構成を用いてもよいことは言うまでもない。
【0303】
〔上記各実施の形態について〕
上記各実施の形態に記載のカニューレは、あくまで管状部材(管状デバイス)の一例であって、これらカニューレを、同じく管状部材(管状デバイス)であるトロッカーに置きかえて使用することも可能である。
【0304】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る体内監視カメラシステム(1)は、一方の端部13aが体内に導入される支持管(カメラ支持管13)と、上記支持管と接合される接合部(支持管接合部14)を有し、上記支持管と体内で接合される撮像部(カメラユニット11)と、上記撮像部に接続され、上記支持管を通って体外へ引き出されるケーブル(カメラ側ケーブル12)と、体外にあり、上記ケーブルに接続され、少なくとも表示装置(ディスプレイ18)を含む制御システム(3)と、術者によって設定された、体内における上記支持管の長さ、上記支持管の回転方向、及び体表面に対する上記支持管の傾きを保持した状態で上記支持管を体表面に対して直接または間接的に固定する固定具(例えば、紐状部材38、粘着テープ46、固定器具141・151・161・171等)と、を備えている。
【0305】
本発明の態様2に係る体内監視カメラシステム(1)は、上記態様1において、上記支持管を内部に挿通可能な管状構造を有する套管(カニューレ31)を備え、上記支持管は、上記套管に挿通された状態で、体表面に対して固定してもよい。
【0306】
本発明の態様3に係る体内監視カメラシステム(1)は、上記態様2において、上記支持管は、体外で上記套管と固定されており、上記固定具は、上記套管を体表面に対して固定することで上記支持管を固定してもよい。
【0307】
本発明の態様4に係る体内監視カメラシステム(1)は、上記態様2または3において、上記支持管は、上記支持管の長さが許容する範囲内で軸方向に移動可能で、かつ、軸周りに回転可能に上記套管に固定されていてもよい。
【0308】
本発明の態様5に係る体内監視カメラシステム(1)は、上記態様2〜4の何れかにおいて、上記支持管は、付勢力によって上記套管に固定されていてもよい。
【0309】
本発明の態様6に係る体内監視カメラシステム(1)は、上記態様2〜5の何れかにおいて、上記支持管と上記套管との固定強度は、上記支持管と上記接合部との接合強度より大きい。
【0310】
本発明の態様7に係る体内監視カメラシステム(1)は、上記態様2〜6の何れかにおいて、上記支持管と上記套管との固定強度は、5Nから50Nの範囲である。
【0311】
本発明の態様8に係る体内監視カメラシステム(1)は、上記態様1〜5の何れかにおいて、上記ケーブルを保持して支持管に固定するケーブルホルダ(ケーブル留め具43、空気栓88)を備え、上記支持管または上記ケーブルが体外に固定される。
【0312】
本発明の態様9に係る体内監視カメラシステム(1)は、上記態様1〜8の何れかにおいて、上記ケーブルを保持して支持管に固定するケーブルホルダを備え、上記ケーブルホルダのケーブル保持強度は、上記支持管と上記接合部との接合強度よりも大きい。
【0313】
本発明の態様10に係る体内監視カメラシステム(1)は、上記態様9において、上記接合強度は、3Nから6Nの範囲である。
【0314】
本発明の態様11に係る体内監視カメラシステム(1)は、上記態様9において、上記固定具による体表面への固定強度は、上記ケーブル保持強度よりも大きい。
【0315】
本発明の態様12に係る体内監視カメラシステム(1)は、上記態様1〜11の何れかにおいて、上記ケーブルを保持して支持管に固定するケーブルホルダ(ケーブル留め具43、空気栓88)を備え、上記ケーブルホルダのケーブル保持強度は、5Nから50Nの範囲である。
【0316】
なお、本発明の態様8〜12で上記支持管が套管に挿入される場合において、上記ケーブルホルダが、上記支持管と上記套管との隙間の少なくとも一部を塞ぐ機能を有していてもよい。
【0317】
本発明の態様13に係る体内監視カメラシステム(1)は、上記態様2〜7の何れかにおいて、上記ケーブルを保持して支持管に固定するケーブルホルダもしくは上記支持管を保持して上記套管に固定する支持管ホルダを備え、上記ケーブルホルダもしくは上記支持管ホルダは、上記支持管と上記套管との隙間の少なくとも一部を塞ぐ機能を有する。
【0318】
本発明の態様14に係る体内監視カメラシステム(1)の支持管用付属具(88)は、上記態様2〜7の何れかに記載の体内監視カメラシステムの支持管用付属具であり、上記ケーブルを上記支持管に固定する機能、上記支持管を上記套管に固定する機能、および、上記支持管と上記套管との隙間の少なくとも一部を塞ぐ機能のうち、少なくとも2つの機能を有する。
【0319】
本発明の態様15に係る体内監視カメラシステム(1)の固定具(粘着テープ46)は、体表面に対するフレキシブルな接着面を備える。
【0320】
本発明の態様16に係る体内監視カメラシステムの設定方法は、少なくとも表示装置(ディスプレイ18)を含む体外の制御システム(3)に接続されるケーブル(カメラ側ケーブル12)と、該ケーブルに接続された撮像部(カメラユニット11)とを体内に導入する工程と、上記ケーブルを、一方の端部13aが体内に導入された支持管(カメラ支持管13)に通して体外へ引き出す工程と、体内において、上記撮像部と支持管とを、上記撮像部に設けられた接合部(支持管接合部14)で接合する工程と、体内における上記支持管の長さ、上記支持管の回転方向、及び体表面に対する上記支持管の傾きを調整し、上記支持管を、体表面に対して直接または間接的に固定する工程と、を有している。
【0321】
(本発明の別表現)
なお、本発明は、以下のようにも表現できる。
【0322】
本発明の一態様に係る体内監視カメラシステム(1)は、一方の端部13aが体内に導入される支持管(カメラ支持管13)と、上記支持管と接合される接合部(支持管接合部14)を有し、上記支持管と体内で接合される撮像部(カメラユニット11)と、上記撮像部に接続され、上記支持管を通って体外へ引き出されるケーブル(カメラ側ケーブル12)と、体外にあり、上記ケーブルに接続され、少なくとも表示装置(ディスプレイ18)を含む制御システム(3)と、を備え、上記支持管は、体外にて上記撮像部の視野方向、視野の回転方向を任意に、かつ撮像ズーム(被写体距離)を上記支持管の長さが許容する範囲で任意に変化させることができ、かつ体表面に対して直接または間接的に固定できる。
【0323】
また、上記体内監視カメラシステム(1)では、上記支持管をその内部に通すためのカニューレ31を使用してもよい。
【0324】
また、上記体内監視カメラシステム(1)では、上記支持管は、その周辺のトロッカー32に紐状の固定具(紐状部材38)で係止することで体表面に固定できる。
【0325】
また、上記体内監視カメラシステム(1)では、上記支持管は、体表面との接触部に粘着性をもつ専用の器具(例えば固定器具141・161)を用いることによって体表面に固定できる。
【0326】
また、上記体内監視カメラシステム(1)では、上記支持管は、体表面との接触部で皮膚を挟むことで体表面に固定される専用の器具(例えば固定器具151)を用いることによって体表面に固定できる。
【0327】
また、上記体内監視カメラシステム(1)では、上記支持管は、上記支持管を体壁に挿入し角度を傾けた際に体壁の弾性により発生する復元力49を受け止め、体表面との接触部で体壁を押さえる力(例えば体壁押力50)として利用する専用の器具(例えば固定器具161・171)を用いることによって体表面に固定できる。
【0328】
また、上記体内監視カメラシステム(1)では、上記支持管は、その一端を手術台に固定した専用の器具を用いることによって体表面に固定できる。
【0329】
また、上記体内監視カメラシステム(1)では、上記支持管は、テープ(粘着テープ46)を用いることによって体表面に固定できる。
【0330】
また、上記体内監視カメラシステム(1)では、上記支持管は、上記ケーブルを係止することができ、かつそのケーブルを体表面に固定することによって体表面に固定できる。
【0331】
また、上記体内監視カメラシステム(1)では、上記支持管は、上記カニューレと体外部で固定され、上記カニューレを体表面に固定することによって体表面に固定できる。
【0332】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、上記実施形態を技術常識に基づいて適宜変更したものやそれらを組み合わせて得られるものも本発明の実施形態に含まれる。