(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
特開2013−82386号公報(特許文献1)には、ウォークイン機構及びウォークイン動作から復帰する機構とウォークインキャンセル機構及びウォークインキャンセル解除機構とを備えた車両用シートが記載されている。以下、各機構について説明する。
【0003】
(1)ウォークイン機構は、ウォークイン操作手段を操作してシートバックを前方に回転させることにより、シートバックがベース部材に対して略直交する起立位置とベース部材の上面を塞ぐ位置まで倒れる全倒位置との間の中間傾斜位置まで回転したときに、シートバックの全倒位置側への回転を規制し、かつロック状態にあるスライドロック機構をアンロック状態に切り替える機構である。
【0004】
ウォークイン機構の主要部品として、シートバックフレームの下端部に設けられた押圧突起とウォークイン作動レバーとが設けられている。ウォークイン操作手段を操作してシートバックを前方に回転させると、押圧突起がウォークイン作動レバーを押圧してウォークイン作動位置まで回転させる。このとき、押圧突起は非押圧突起により回転を阻止され、シートバックは中間傾斜位置で回転を停止する。一方、ウォークイン作動レバーがウォークイン作動位置まで回転することにより、ロアレールに対してアッパレールを固定するロック爪がアンロック位置まで回転する。そして、アッパレールはロアレールに対してスライド可能になる。(段落0019参照)。
【0005】
(2)ウォークイン動作から復帰する機構は、シートバックを中間傾斜位置から起立位置側に戻すことにより、スライドロック機構をアンロック状態からロック状態に切り替え、ロアレールに対するアッパレールのスライドを規制する機構である。
【0006】
この機構は、押圧突起によるウォークイン作動レバーへの押圧力を解除して、ロック爪をアンロック状態からロック状態に切り替える。このとき、ウォークイン作動レバーはウォークイン非作動位置まで回転復帰する(段落0019参照)。
【0007】
(3)ウォークインキャンセル機構は、着座可能位置に位置するシートクッションを退避位置まで回転させることにより機能する、ウォークイン機構を動作不能な無効状態にしつつ、シートクッションが退避位置に位置する状態でシートバックが全倒位置まで回転するのを許容する機構である。
【0008】
ウォークインキャンセル機構は、シートクッションを退避位置まで回転させた状態でウォークイン操作手段を操作したときに、キャンセル操作レバーを操作することにより、シートバックを全倒位置まで回転可能にすると共に、ロアレールに対するアッパレールのロック状態(スライド規制)を維持する機構である。ウォークインキャンセル機構は、シートクッションを退避位置まで回転させ、シートバックを全倒位置まで回転させることにより、ウォークイン作動レバーをウォークイン非作動位置(押圧突起との非干渉位置)に位置付ける。これにより、ロアレールに対するアッパレールのロック状態(スライド規制)が維持される。すなわち、ウォークインキャンセル機構はウォークイン動作をキャンセルする。
【0009】
(4)ウォークインキャンセル解除機構は、全倒位置に位置するシートバックを起立位置まで回転させた上で、シートクッションを着座可能位置に戻すことにより機能する、ウォークインキャンセル機構の働きによって無効状態となったウォークイン機構を動作可能な有効状態に戻す機構である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る実施例を説明する。以下の説明では、前後方向は車両の前後方向を、幅方向は車両又は車両用シートの幅方向(両者とも同じ方向)を、左右方向は車両の前方を向いた状態における左右方向を、上下方向は車両を水平に配置した状態における鉛直方向を意味する。なお、左右方向は車両又は車両用シートの幅方向と同じ方向である。また、図中の記号Fは矢印方向が車両の前方であることを、また記号Rは矢印方向が車両の後方であることを示す。
【0017】
本実施例の車両用シート1では、上述した特許文献1と同様のウォークイン機構及びウォークイン動作から復帰する機構と、ウォークインキャンセル機構及びウォークインキャンセル解除機構とを備えている。以下、図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施例に係る車両用シート1の側面図である。
図1では、車両用シート1は、搭乗者が着座可能な通常の着座姿勢にある状態を示している。
【0019】
図1に示すように、車両用シート1は、金属製のベース部材5と、人が着座するシートクッション2と、シートクッションの後端に立設されたシートバック3と、シートバック3の上端部に設けられたヘッドレスト4とを備えている。
【0020】
ベース部材5は、スライドレール装置6により、前後方向にスライド可能に車内床面に取り付けられる。スライドレール装置6はロアレール6aとアッパレール6bとを有し、ロアレール6aに対してアッパレール6bがスライド可能に構成されている。ロアレール6aは車内床面に固定されている。アッパレール6bはベース部材5に取り付けられて固定されている。
【0021】
スライドレール装置6はアッパレール6bをロアレール6aに対して固定するスライドロック機構が設けられる。特許文献1には、ロアレールに設けられたロック孔と、アッパレールに設けられ前後方向に延びる軸周りに回転可能なロック爪とで構成されたスライドロック機構が記載されている。本実施例では、特許文献1と同様に構成したスライドロック機構を用いることができる。
【0022】
ベース部材5の後端部には、上方に向かって突出する接続部5aが一体的に形成されている。この接続部5aは、左右に一対設けられている。左右に設けられた一対の接続部5aの間には、左右に延びる回転軸5bが設けられている。回転軸5bの両端部にはシートバック3のフレームの下端部が回転可能に連結されている。
【0023】
シートクッション2は、後述するシートクッションフレームの周りをクッション材7で覆い、更にその上から表皮材8で覆っている。シートバック3及びヘッドレスト4もそれぞれのフレームの周りをクッション材7で覆い、更にその上から表皮材8で覆って構成されている。
【0024】
本実施例では、車両用シート1として、
図13に示すようなシートについて説明する。
図13では、車両用シート1の外観を点線で示しており、シート1を上方から見た平面図で示してある。
【0025】
車両用シート1は、自動車の車体後部に荷室スペースを有する車両において後部座席(2列目から後側の座席)を構成する。特に、車両用シート1はワゴン型の車両に搭載されるのに好適である。しかし、本発明を適用可能な車両用シートは、荷室スペースを有する車両及びワゴン車の後部座席に限定される訳ではない。
【0026】
本実施例の車両用シート1は、左側シートクッション2Aと左側シートバック3Aと左側ヘッドレスト4Aとを有する左側シートと、右側シートクッション2Bと右側シートバック3Bと右側ヘッドレスト4Bとを有する右側シートとが、一体に構成されている。
【0027】
以下、車両用シート1の姿勢の切替えについて説明する。
【0028】
図2は、車両用シート1の側部を拡大してしめす拡大平面図である。なお、
図2では、車両用シートの左側部を示している。
【0029】
車両用シート1のシートクッション2の下側から、シートクッション2のロックを解除する操作部9が引き出されている。操作部
9は、帯状部材からなる操作ストラップで構成されている。
【0030】
シートクッション2のロック機構としては、例えば、特許文献1に記載されたような機構を用いることができる。すなわち、シートクッション2側にストライカを取り付け、ベース部材側に遥動可能なロック片を設け、ストライカとロック片とを係合させてシートクッション2をロックする。操作部
9を引くことでロック片を遥動させ、ストライカとロック片との係合を解除する。
【0031】
車両用シート1は、
図1の着座姿勢から
図3〜
図5に示すような姿勢に切り替えることができる。
図3は、本発明の一実施例に係る車両用シート1について、シートクッション2をベース部材5から跳ね上げた跳ね上げ姿勢を示す側面図である。
図4は、本発明の一実施例に係る車両用シート1について、シートクッション2を退避位置に退避させた退避姿勢を示す側面図である。
図5は、本発明の一実施例に係る車両用シート1について、シートクッション2を退避位置に退避させ、シートバック3をベース部材5の上に全倒させた格納姿勢を示す側面図である。
【0032】
図1の着座姿勢(着座可能位置)では、シートクッション2はベース部材5に対して、搭乗者が着座可能な正規の位置に配置される。また、シートバック3はベース部材5に対して略90度以上の角度で起立する起立位置にある。着座姿勢では、シートクッション2はベース部材5にロックされ、シートバック3は前後方向の傾斜角度が固定されている。
【0033】
図1の着座姿勢から操作部9を操作すると、
図3の跳ね上げ姿勢(跳ね上げ位置)に移行する。跳ね上げ姿勢では、シートクッション2のベース部材5へのロックが解除され、シートクッション2がベース部材5から跳ね上がった状態になる。この状態では、シートクッション2の前側が持ち上げられ、シートクッション2の後側が前側に対して低くなっている状態である。すなわち、シートクッション2の前側は後側に対して上方に位置する姿勢である。
【0034】
シートクッション2がこの跳ね上げ姿勢をとることにより、次の退避姿勢への切り替えが容易になる。しかし、本実施例では、
図3の跳ね上げ姿勢から
図4の退避姿勢(退避位置)に連続的に移行する。
図3の跳ね上げ姿勢から
図4の退避姿勢への移行は、操作部9の操作がきっかけとなって、
図1の着座姿勢から
図3の跳ね上げ姿勢への移行に連続して自動的に起こる。
【0035】
図4の退避姿勢では、シートクッション2はベース部材5の前側の退避位置に位置する。このとき、シートクッション2は、前側(前縁)を車両床面に付け、後側を上方に持ち上げた状態で静止する。また、シートクッション2は座面が前方を向き、座面の裏面側が
後方を向くように起立した状態になる。
【0036】
図4の退避姿勢から、ヘッドレスト4を前方へ傾倒させ、シートバック3を、シートクッション2が移動した後のベース部材5の上面を覆うように、全倒位置に倒す。これにより、車両用シート1は、
図5の格納姿勢(格納位置)に移行する。
【0037】
次に、
図1の着座姿勢から
図3の跳ね上げ姿勢に切り替える跳ね上げ機構300について、
図6〜
図9を参照して説明する。
【0038】
図6は、本発明の一実施例に係る車両用シート1について、ベース部5及びシートクッション2のフレーム200の構成を示す、上方から見た斜視図である。
図7は、本発明の一実施例に係る車両用シート1について、ベース部5及びシートクッション2のフレーム200の構成を示す側面図である。
図8は、跳ね上げ機構300の近傍を拡大して示す斜視図である。
図9は、跳ね上げ機構300の支持脚部301をベース部5に固定するヒンジ部306の近傍を拡大して示す斜視図である。なお、図
7では、着座姿勢のフレーム200−1、跳ね上げ姿勢のフレーム200−2及び退避姿勢のフレーム200−3を一つの図面上に示している。
【0039】
ベース部5は、左側ベース部材5Aと右側ベース部材5Bとを有する。左側ベース部材5Aと右側ベース部材5Bとは連結部材5c,5d,5eによって連結されている。左側ベース部材5Aと右側ベース部材5Bとは金属製の板状部材で形成されている。連結部材5c,5d,5eは金属製の円筒状部材又は丸棒で形成されている。ベース部5は、ブラケット10a,10b,10c等により、車両床面に固定される。
【0040】
跳ね上げ機構300は、シートクッション2のフレーム200とベース部5との間に設けられる(
図7参照)。フレーム200には、跳ね上げ機構300の支持脚部301が連結される連結部材(連結プレート)201が固定されている。支持脚部301の一端部はヒンジ部(ブラケット部)306(
図9参照)に設けられた回動軸302により、ベース部5に対して回動可能に連結されている。支持脚部301の他端部は回動軸303により、連結部材201に対して回動可能に連結されている。連結部材201は跳ね上げ機構300の構成要素の一つである。
【0041】
回動軸303は、前後方向において、フレーム200の中間部に設けられ、回動軸302はフレーム200(ベース部5)の前端部に設けられている。
【0042】
なお、支持脚部301、連結部材201及びヒンジ部306等は左右に分割されて一対が配置されている。以下、左側に配置されるものを各符号の後にAを付して、また右側に配置されるものを各符号の後にBを付して各図面に表記する。
【0043】
連結部材201には、回動軸303を中心とする半径が一定の案内溝201aが形成されている。支持脚部301の回動軸303よりも先端側には案内溝201aに
係合して案内される被案内部材(被案内フレーム部材)304が設けられている(
図7参照)。
【0044】
フレーム200を構成するフレーム部材202と被案内部材304との間には、弾性部材305が設けてあり、被案内部材304をフレーム部材202に向けて付勢している。弾性部材305はコイルばねであり、搭乗者が着座する座面の下側に設けられている。すなわち、弾性部材305はシートクッション2のクッション材7に囲まれた空間に配置されている。
【0045】
図9に示すように、ヒンジ部306には、回動軸302にコイルばね307が設けられている。コイルばね307は支持脚部301を着座姿勢200−1から跳ね上げ姿勢200−2、更には退避姿勢200−3に向かうように付勢している。
【0046】
着座姿勢においては、シートクッションロック機構100によりシートクッション2のフレーム200が着座姿勢を維持するようにロックされている。シートクッションロック機構100は遥動可能なロック片を有し、ロック片がフレーム200に設けられたストライカ203と係合することにより、フレーム200が着座姿勢を維持するようにロックされる。このようなシートクッションロック機構100は特許文献1と同様に構成することができる。
【0047】
次に、跳ね上げ機構300の動作について説明する。
【0048】
操作部9を操作すると、シートクッションロック機構100のロック片が遥動し、ストライカ203との係合が解除される。ロック片とストライカ203との係合が解除されると、支持脚部301の被案内部材304が弾性部材305の付勢力を受け、且つ被案内部材304が案内溝201aに案内されて、案内溝201aの上端部まで移動する。この支持脚部301の動作により、フレーム200は着座姿勢200−1から跳ね上げ姿勢200−2に切り替わる。
【0049】
フレーム200が着座姿勢200−1から跳ね上げ姿勢200−2に切り替わる際には、フレーム200は弾性部材305の付勢力の他に、ヒンジ部306に設けられたコイルばね307の付勢力を受ける。すなわち、本実施例では、弾性部材305の付勢力とコイルばね307の付勢力とにより、フレーム200が着座姿勢200−1から跳ね上げ姿勢200−2に切り替わる。
【0050】
フレーム200が着座姿勢200−1から跳ね上げ姿勢200−2に切り替えるだけであれば、弾性部材305の付勢力だけで切り替えることができる。上述したように、シートクッション2を跳ね上げ姿勢200−2に切り替えることができれば、シートクッション2を跳ね上げ姿勢200−2から退避姿勢200−3に移行させることは、手動でも容易に行うことができる。
【0051】
次に、
図3の跳ね上げ姿勢から
図4の退避姿勢に切り替えるシートクッション2の退避機構について説明する。
【0052】
シートクッション2の退避機構は、ヒンジ部306に設けられたコイルばね307及び支持脚301が主要部品となる。コイルばね307は、シートクッション2のフレーム200を着座姿勢200−1から跳ね上げ姿勢200−2に切り替えるサポートを行う。そしてシートクッション2のフレーム200が跳ね上げ姿勢200−2に切り替わった後は、コイルばね307の付勢力が中心となってシートクッション2のフレーム200を跳ね上げ姿勢200−2から退避姿勢200−3に切り替える。
【0053】
シートクッション2の退避機構は、跳ね上げ機構300がシートクッション2を着座姿勢200−1から跳ね上げ姿勢200−2に切り替えた後で、シートクッション2を跳ね上げ姿勢200−2から退避姿勢200−3に切り替える。すなわち、退避機構による退避動作は跳ね上げ機構300による跳ね上げ動作に続いて起こる。従って、跳ね上げ機構300を退避機構に含め、退避機構による退避動作を着座姿勢200−1から跳ね上げ姿勢200−2を経て退避姿勢200−3に至る動作と見なしてもよい。
【0054】
図10〜
図12を参照して、シートクッション2の姿勢の変化について、整理する。
図10は、シートクッション2が着座姿勢にあるときのフレーム200の状態を示す側面図である。
図11は、シートクッション2が跳ね上げ姿勢にあるときのフレーム200の状態を示す側面図である。
図12は、シートクッション2が退避姿勢にあるときのフレーム200の状態を示す側面図である。
【0055】
シートクッション2が着座姿勢200−1にあるときは、支持脚部301の回動軸303は回動軸302よりも低い位置にある(
図10)。
【0056】
シートクッション2が跳ね上げ姿勢200−2にあるときは、支持脚部301は回動軸303を回動軸302よりも高い位置まで持ち上げる。このとき、回動軸303は回動軸302に対して後方に位置している。その結果、フレーム200(シートクッション2)は、前端部が後端部よりも高くなるように傾斜する(
図11)。
【0057】
跳ね上げ姿勢200−2から退避姿勢200−3に移行する際に、支持脚部301は回動軸302を中心として回動軸303を回動軸302よりも前方に回動させる。その結果、退避姿勢200−3では、回動軸303が回動軸302よりも前方に位置し、かつ回動軸303は回動軸302よりも高い位置(上方)に位置する。このとき、フレーム200(シートクッション2)は、着座面が略垂直に起立した状態になる(
図12)。
【0058】
本実施例では、操作部9を操作することにより、シートクッション2を着座姿勢から退避姿勢まで自動的に移行させることができる。このため、利用者が操作に惑うことが無くなり、操作の簡単な車両用シート1を提供することができる。なお、本実施例では、操作部9の操作は、操作ストラップを引くだけの簡単な操作でよい。
【0059】
また、回動軸303が前後方向においてフレーム200の中間部に設けられ、回動軸302がフレーム200(ベース部5)の前端部に設けられていることにより、着座姿勢から跳ね上げ姿勢、更に退避姿勢まで円滑に移行させることができる。
【0060】
また、本実施例では、弾性部材305はシートクッション2の着座面の下に位置して、クッション材7の内側のフレーム部材の隙間に配置される。このため、弾性部材305を配置するために特別にスペースを確保する必要が無い。従って、跳ね上げ機構300の省スペース化が可能である。また、弾性部材305は組付けを邪魔する障害物の少ないフレーム200の中央部に位置し、フレーム部材202と被案内部材304に掛け止めるだけでよい。このため、弾性部材305の取り付け作業が容易で、製造コストを低減できる。
【0061】
跳ね上げ機構300を駆動する駆動力は、コイルばね305及びコイルばね307により得られる。跳ね上げ機構300に構造が単純で安価なコイルばね(引っ張りばね)を用いているので、故障等の不具合が発生し難く、コストを低減できる。
【0062】
着座姿勢から跳ね上げ姿勢に移行する間に機能するコイルばね305と、跳ね上げ姿勢から格納姿勢に移行する間に機能するコイルばね307とを設けたことにより、着座姿勢から跳ね上げ姿勢に移行する動作と跳ね上げ姿勢から格納姿勢に移行する動作とを確実に安定して実行することができる。また、個々のコイルばね305及びコイルばね307を小型化することがきる。このため、ヒンジ部306を小型化することができる。
【0063】
本実施例では、シートクッション2がロックされていない状態では、少なくとも前部が持ち上がった状態(ポップアップした状態)になるので、ロック/アンロックの状態を判別し易い。
【0064】
特許文献1の車両用シートで説明したように、シートクッション2を退避位置に退避させた後、ウォークイン機構によるウォークイン動作(ウォークインモード)をキャンセルする必要がある。ウォークイン動作をキャンセルすることにより、シートバック3を全倒位置まで回転可能にすると共に、ロアレール6aに対してアッパレール6bをロック状態にして、シート1のスライド規制を行う。従来、シートクッション2を退避位置に退避させた後、利用者がキャンセル操作レバーを操作することにより、ウォークインキャンセル機構を動作させてウォークイン動作をキャンセルしていた。
【0065】
本実施例の車両用シート1では、
図13に示すように、ウォークインキャンセル機構を操作ストラップ9の操作に連動するようにした。
図13は、本発明の一実施例に係る車両用シート1のウォークインキャンセル機構を説明する図である。なお、
図13では、左側ベース部5Aのみを示し、右側ベース部5Bの図示を省略している。
【0066】
本実施例においても、ベース部5Aに、ウォークイン機構、ウォークインキャンセル機構及びウォークインキャンセル解除機構を含む機構部400を設ける。この機構部400は、特許文献1と同様に構成することができる。
【0067】
しかし本実施例では、ウォークイン作動レバーをウォークイン非作動位置(押圧突起との非干渉位置)に位置付ける操作を、レバー402を介して操作ストラップ9に連結されたワイヤ401で行うようにした。すなわち、操作部(操作ストラップ)9を機構部400のウォークインキャンセル機構に連結し、機構部400のウォークインキャンセル機構を操作部9で操作できるようにした。
【0068】
これにより、ウォークイン作動レバーをウォークイン非作動位置に位置付ける操作は、操作部9の操作に連動して行われる。すなわち、シートクッション2を退避位置に退避させるために操作部9を操作することで、ウォークインキャンセルの操作が自動的に行われる。
【0069】
従って、本実施例では、利用者がウォークイン作動レバーをウォークイン非作動位置に位置付ける操作を手動で行う必要が無い。これにより、ウォークインキャンセルの操作を省略でき、利用者がウォークインキャンセルの操作で戸惑うことが無くなる。