(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示の技術は、本願出願人によって提案されたものであり、これらの技術を、海底、湖底、川底などの水底地盤を対象とする各種工事に利用することが検討されている。具体的には、水底地盤へのケーシングの圧入、水底地盤の土砂のケーシング内への取り込み、ケーシング内の材料の水中での排出などを伴う工事において、特許文献1に開示された装置や方法を利用することが検討されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1をはじめとする従来技術には、次のような問題点があった。
【0007】
(ケーシングの圧入、ケーシング内への土砂取込に関する問題)
ケーシング内に水底の土砂を取り込むにあたっては、
図15(a)に示すようにケーシングを水底地盤に圧入する必要があるが、従来技術では、ケーシングの圧入力を得るために、カウンターウエイト(重り)による押し込み荷重を利用する必要があった。
しかしながら、大荷重のカウンターウエイトに頼ってケーシングを圧入する場合には、施工機材が大掛かりになるほか、施工機材の製造コストが高くなり、また、その組立てが煩雑になるなどの問題があった。
【0008】
(ケーシング内の材料排出に関する問題)
ケーシング内の材料を水中で排出する際、従来技術の場合では、当該材料を自重に任せて自然落下的に排出させていた。
しかしながら、ケーシング内の材料に粘性がある場合には、材料の排出に時間がかかるため、施工に時間がかかり、予定どおりに施工を進めることが難しいといった問題があった。
また上記のように粘性材料を排出する場合には、ケーシング内の材料がいつ落下するか予測できない状況下で、自然落下による材料の排出をひたすら待つほかなかった。そのため、材料排出に要する時間を予測することが難しく、予定どおりに施工を進めることができないという問題があった。
【0009】
そこで、上述した課題に鑑み、本発明の目的は、カウンターウエイトに頼ることなくケーシングを水底地盤に圧入することを可能にする、圧入方法および圧入装置を提供することにある。
また本発明の他の目的は、カウンターウエイトに頼ることなく水底地盤の土砂をケーシング内に取り込むことを可能にする、土砂取込方法を提供することにある。
また本発明の他の目的は、ケーシング内の材料を水中で速やかに且つ確実に排出することを可能にする、材料排出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的は、水底地盤にケーシングを圧入するための装置であって、
水中のケーシング内に圧縮空気を送るためのポンプと、
水中のケーシング内の空気圧力をケーシング外部にガイドするための排気路と、
前記排気路の排気口を上げ下げするための昇降手段と、を具備しており、
水中のケーシングに対する排気口の相対高さに応じて、ケーシング内の気圧が変動し、
水中で前記排気路の排気口を上昇させることで、水中のケーシング内で気圧が低下し、水圧によってケーシングが水底地盤に圧入される、ことを特徴とする水底地盤への圧入装置によって達成される。
【0011】
また上記目的は、
水中のケーシング内に圧縮空気を送るためのポンプと、水中のケーシング内の空気圧力を外部にガイドするように設けられた排気路と、前記排気路の排気口を上げ下げするための昇降手段と、を具備するケーシング内圧力制御装置を使用して、水底地盤にケーシングを圧入する方法であって、
ケーシング内を圧縮空気で加圧することによってケーシング内への水の流入を妨げた状態で、ケーシングの下端を水底に当接させる工程と、
圧縮空気によりケーシング内への水の流入を妨げた状態で、且つ、ケーシングの下端が水底に当接した状態で、前記排気路の排気口を上昇させる工程と、
を含む水底地盤へのケーシング圧入方法によって達成される。
【0012】
また上記目的は、
水中のケーシング内に圧縮空気を送るためのポンプと、水中のケーシング内の空気圧力を外部にガイドするように設けられた排気路と、前記排気路の排気口を上げ下げするための昇降手段と、を具備するケーシング内圧力制御装置を使用して、水底地盤の土砂をケーシング内に取り込む方法であって、
ケーシング内を圧縮空気で加圧することによってケーシング内への水の流入を妨げた状態で、ケーシングの下端を水底に当接させる工程と、
圧縮空気によりケーシング内への水の流入を妨げた状態で、且つ、ケーシングの下端が水底に当接した状態で、前記排気路の排気口を上昇させる工程と、
を含む水底地盤の土砂取込方法によって達成される。
【0013】
また上記目的は、
水中のケーシング内に圧縮空気を送るポンプと、前記ケーシング内で上げ下げ可能に設けられた材料押出手段を用いてケーシング内の材料を水中で排出する方法であって、
材料を収容するケーシングを、水中の材料排出位置に位置決めする工程と、
圧縮空気によりケーシング内への水の流入を妨げた状態で、ケーシング内の材料を、ケーシング内の圧縮空気と材料押出手段により排出方向に押圧する工程と、
を含む水中での材料排出方法によって達成される。
【0014】
上記材料排出方法で用いるケーシングは、該ケーシングの下端開口部を開閉可能なバケットを有している。そして、バケットが閉じた状態でケーシングにより、水底地盤に排出された材料を押し潰すようにしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る装置および方法は、水底地盤の改良や水底環境の改善などの水上土木工事に応用することで優れた効果が達成される。
【0016】
なお、本発明における「水底」の具体例としては、例えば、海底、川底、湖底が挙げられる。また、「水底地盤」の具体例としては、例えば、海底地盤、川底の地盤、湖底の地盤が挙げられる。また、「水」の具体例としては、例えば、海水、川の水、湖の水が挙げられる。
【0017】
以下、水底の一例として海底を挙げ、また、水底地盤の一例として海底地盤を挙げる。
【0018】
本発明に係る圧入装置は、海底地盤にケーシングを圧入するための装置であって、
・水中のケーシング内に圧縮空気を送るためのポンプと、
・水中のケーシング内の空気圧力をケーシング外部にガイドするための排気路と、
・前記排気路の排気口を上げ下げするための昇降手段を具備している。
このような構成によれば、水中において、排気口をケーシングに対して相対的に上下させることで、排気口の相対高さに応じて、ケーシング内の気圧(圧縮空気の圧力)が変動するとともに、ケーシングに作用する水圧が変動する。
したがって、水中のケーシングに対して排気口を相対的に引き上げることで、ケーシング内の圧縮空気が外部に逃げる結果、水中のケーシング内で気圧が低下して負圧が発生する。その結果、ケーシングに作用する水圧が支配的となって、当該水圧によってケーシングが海底地盤に圧入される。すなわち、水中で排気路を上げ下げすることで、ケーシングに作用する水圧による圧入力を自在にコントロールすることができ、また、この水圧を利用してケーシングを海底地盤に対して確実に圧入することができる。
よって本発明によれば、海底地盤の土質にかかわらず、ケーシングを対象の海底地盤に対して簡単かつ確実に圧入することが可能になる。
【0019】
また本発明に係る圧入方法では、はじめに、ケーシング内を圧縮空気で加圧することによってケーシング内への海水流入を妨げた状態を確保する。そしてこの状態で、ケーシングの下端(下端開口部)を海底に当接させる。続いて、圧縮空気によりケーシング内への海水流入を妨げた状態で、且つ、ケーシングの下端が海底に当接した状態で、(この状態から)排気路の排気口を上昇させる。
このような方法によれば、水中のケーシングに対する排気口の相対高さを、所定のタイミングで上げることで、ケーシングに作用する水圧(ケーシング圧入方向に作用する水圧)が支配的となり、この水圧を利用してケーシングを海底地盤に圧入することが可能になる。よって本発明によれば、海底地盤の土質にかかわらず(例えばカウンターウエイトだけでは圧入困難な粘性土であっても)、ケーシングを対象の海底地盤に対して簡単かつ確実に圧入することが可能になる。
また、本発明では、水圧を利用してケーシングを圧入するので、従来技術では不可欠であったカウンターウエイト(ケーシングを圧入するための大荷重の重り)が不要となる。したがって、施工機材が低コストで製造可能となり、また、施工機材の組み立てを簡略化できる。
【0020】
また、本発明に係る土砂取込方法によれば、水中のケーシングに対する排気路の相対高さを、所定のタイミングで上げることで、ケーシング内の圧縮空気が外部に排出されてケーシング内の気圧が低下するので、これに起因する負圧をケーシング内に発生させることができる。さらに、この負圧を利用してケーシング内に海底地盤の土砂を(吸い込むように)取り込むことが可能になる。よって本発明によれば、ケーシング内に負圧を発生させて、対象の海底地盤の土砂をケーシング内に簡単かつ確実に取り込むことが可能になる。
【0021】
また、本発明に係る材料排出方法では、上げ下げ可能にケーシング内に設けられた材料押出手段とケーシング内の圧縮空気による二重の押し出し作用によって、ケーシング内の材料を確実に押し出すことが可能になる。すなわち、水中で排出する材料が、例えば粘性を有しているような場合でも、ケーシング内壁に対する粘着力に抗して、当該材料を二重の押し出し作用によって強制的に外部に排出することが可能となる。
また、このように材料を強制排出することで、ケーシング内の材料を速やかに排出することができる。その結果、(従来のようにケーシング内の材料を自重に任せて自然落下するのをひたすら待つ場合に比べて)1回の材料排出に要する時間を想定することが可能となり、施工スケジュールの組立が容易になり、また、スケジュールどおりに施工を進めることができる。
また、本発明に係る材料排出方法では、圧縮空気によりケーシング内への海水流入を妨げた状態で、ケーシング内の材料を水中で排出する。これにより、ケーシング内の材料に海水が混じるのを防止することができ、その結果、海水混入による材料の品質低下や変質を防止することができる。つまり、ケーシングから材料を排出するときに材料の品質低下や変質を防止できる。
また、材料排出時に、ケーシング内への海水流入を阻止することで、(流入する海水によって材料が洗われるような事態が生じないため)水質汚濁を防止することができ、漁場などの環境に配慮した施工を行うことが可能となる。
また例えば、「ケーシングの圧入 → ケーシング内の材料排出」、という一連のサイクルを繰り返す場合に、ケーシング内の排水の手間が省けて、効率的に当該サイクルを繰り返すことができる。したがって、これらの工程を要する施工を効率的に進めることができる。
また、次のサイクルを開始する際に、ケーシング内の海水を一気に排水することがないので、このような排水に起因する水質汚濁が発生することもない。したがって、環境に配慮した施工を行うことが可能となる。
【0022】
また、本発明に係る材料排出方法では、ケーシング下端のバケットを閉じた状態で、該ケーシングにより、海底地盤に排出された材料を押し潰すようになっている。これにより、例えば浅場造成などの施工において、海底に排出された材料の天端高さを調整することが可能になる。
【0023】
また、本発明に係る材料排出方法では、圧縮空気によりケーシング内への海水流入を妨げた状態で、海底地盤に排出された材料をケーシングで押し潰す。
例えば、「ケーシングの圧入 → ケーシング内の材料排出 → 排出材料の押し潰し」、という一連のサイクルを繰り返す時に、ケーシング内の排水の手間が省けて、効率的に当該サイクルを繰り返すことができる。したがって、これらの工程を要する施工を効率的に進めることができる。
また、次のサイクルを開始する際に、ケーシング内の海水を一気に排水することがないので、このような排水に起因する水質汚濁が発生することもない。したがって、環境に配慮した施工を行うことが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(作業船)
はじめに、
図1〜
図8に基づいて、本実施形態で一例として利用する作業船(地盤改良船)の構成について説明する。なお、本実施形態で例示する作業船は、本発明の実施に利用可能な作業機材の一例であり、本発明はこのような船体に代えて、陸上に用意した重機などを利用して実施することも可能である。
【0026】
本実施形態で利用する作業船1は、
図1および
図2に示すような外観を有しており、
また、
図3〜
図8の詳細図に示すとおり、主として、
・ アンカーワイヤー2を利用した作業船位置決めシステムと(
図2参照)、
・ 作業船1の船首側に立設されたリーダ3と、
・ リーダ3に沿って昇降自在に設けられた掘削兼攪拌混合装置5と、
・ リーダ3に沿って昇降自在に設けられた埋め戻し材投入装置7と、
・ リーダ3の側面に設けられたガイドレールと、
・ このガイドレールに沿って昇降自在に設けられた材料投入用の昇降式バケット9と、
・ 改良材などを計量して昇降式バケット9に充填するための計量用ホッパー11と、
・ 施工に用いる改良材や埋め戻し材を収容する砂箱13(材料収容箱)と、
・ 砂箱内の改良材/埋め戻し材を計量用ホッパー11へ向けて搬送するベルトコンベアー15を有している。
【0027】
なお、「改良材」の具体例としては、例えば、改質材、浄化材、不溶化材などが挙げられる。本実施形態では、改質材、浄化材、不溶化材などの総称として「改良材」の用語を用いる。埋め戻し材と改良材は同一材料で構成してもよい。
【0028】
また、作業船1は、前述した構成に加えて、掘削兼攪拌混合装置5が具備するケーシング内の圧力を制御するための装置である「ケーシング内圧力制御装置」を有している。ケーシング内圧力制御装置の詳細については後述する。このケーシング内圧力制御装置は、
図12に示すように海底地盤にケーシングを圧入する際には「圧入装置」として機能し、また、
図14に示すようにケーシング内の材料を水中で排出する際には「材料排出装置」として機能する。
【0029】
以下、作業船の主要部の構成について詳細に説明する。
【0030】
(作業船位置決めシステム)
作業船位置決めシステムはGPSを用いた位置誘導画面と、
図2に示すように、作業船1に固定されたウインチと、該ウインチに巻き取り・繰り出し可能に連結されたアンカーワイヤー2と、の組合せを複数セット含んで構成されている。アンカーワイヤー2が連結されたウインチは、例えば作業船の四隅近傍等に設けられている。
【0031】
複数のアンカーワイヤー2の一又は二以上を選択的に操作することで、
図2に示すように作業船1を海面上で任意の方向に移動させることができ、その結果、作業船1を施工現場の所望の位置に位置決めすることができる。
【0032】
(掘削兼攪拌混合装置)
掘削兼攪拌混合装置5は、主として、所定位置の海底地盤を掘削する「掘削装置」としての機能と、掘削土砂と改良材とを攪拌混合する「攪拌混合装置」としての機能を兼ね備えた装置である。
【0033】
掘削兼攪拌混合装置5は、リーダ3に沿って昇降自在に設けられており、
図3、
図4、
図6、
図7等に示すとおり、
・改良材をケーシング32内に導くための送給路である一対の材料供給管21と、
・材料供給管21に改良材を投入するための材料投入口23と、
・回転駆動装置であるオーガーモーター25と、
・材料供給管21およびロッド27の下端に設けられた掘削兼攪拌混合部29と、
・オーガーモーター25の動力を掘削兼攪拌混合部29内の掘削兼攪拌混合翼35に伝達するためのロッド27と、
を有している。
【0034】
材料供給管21および材料投入口23の組合せは、
図7の正面図に示すとおり、掘削兼攪拌混合装置一台につき2セット設けられており、材料供給管21,21の間にロッド27が位置するように、一対の材料供給管21,21が間隔をあけて設けられている。各材料供給管21の上端側は材料投入口23に連通しており、また、その下端側は掘削兼攪拌混合部29のケーシング32内に連通している。
【0035】
また、材料供給管21は、ケーシング32内に圧縮空気を送るエアー流路(圧気用パイプ)としての役割も担っている。エアーポンプから、材料供給管21を介して、ケーシング32内に圧縮空気を送り込むことで、その空気圧によって、海中に水没した状態のケーシング32内から海水を排出することが可能であり、また、ケーシング32内から海水を排出した状態を維持することが可能である。
【0036】
オーガーモーター25から出力される回転動力は、一対の材料供給管21,21の間に位置するロッド27を介して(
図7参照)、掘削兼攪拌混合部29のケーシング32内に設けられた掘削兼攪拌混合翼35に伝達される。
【0037】
このオーガーモーター25は、
図3(a)に示すとおりリーダ3に昇降自在に連結されており、また、その上端はワイヤーロープ26に連結されている。当該ワイヤーロープ26を上下方向で操作することでオーガーモーター25を含む掘削兼攪拌混合装置5の全体がリーダ3に沿って昇降する。
【0038】
材料供給管21の下端に設けられた掘削兼攪拌混合部29は、
図6、
図7、
図8等に示すとおり、主として、
・開閉式のバケット31(掘削手段)を具備する密閉可能なケーシング32と、
・ケーシング32内で昇降可能に設けられた掘削兼攪拌混合翼35と、
を有している。
【0039】
ケーシング32は、平面視略矩形の箱型容器状の構成部材(矩形ケーシング)であり、底部の開口部を開閉可能に構成されている。また、ケーシング32の天端は、該ケーシングの上から内部に海水が入り込まないように塞いである。また、ケーシング32の天端の上面側は、ケーシングより上に位置する海水による水圧を受ける水圧受け面として機能する。ケーシング32がその天端の水圧受け面で受ける水圧は、該ケーシングを海底の地盤に圧入する際の圧入力に利用される。
【0040】
また、ケーシング32の上部には、一対の材料供給管21の下端が連結されており、材料投入口23から投入された改良材は該材料供給管21を介してケーシング32内にガイドされる。また、エアーポンプから圧送された圧縮エアーは材料供給管21を介してケーシング32内に送り込まれる。掘削兼攪拌混合部29が海水中に没している場合には、該圧縮エアーの圧力によって、ケーシング32内から海水を排出することができる。すなわち、空気圧によって海水が排出された空間をケーシング32内に確保することができる。
【0041】
オーガーモーター25に連結されたロッド27の下端は、ケーシング32内に設けられた掘削兼攪拌混合翼35に連結されている。掘削兼攪拌混合翼35は、ロッド27を介して伝達された動力によって回転駆動し、また
図6及び
図7に示すように、ケーシング32内で昇降可能に設けられている。
【0042】
また、ケーシング32の先端(下端)には、開閉式のバケット31(掘削手段)が設けられている。ケーシング32とバケット31の組合せは、全体としてひとつのケーシングを構成しているともいえる。バケット31が開くことでケーシング32の底部が開口し、また、該バケット31が閉じることでケーシング32の底部が閉じて密閉される。つまり、バケット31は、海底地盤を掘削したり掘削土砂を取り込む掘削手段としての役割のほか、ケーシング32底部を開閉する蓋(ケーシング32の底部を密閉する蓋)としての役割を担っている。
【0043】
このようなバケット31(掘削手段)は、開閉動作の手段として例えば油圧シリンダを有している。
バケット31が開いた状態を
図6(a)に示す。この状態では、ケーシング32の底部は開口している。
バケット31が開いた状態から閉じるときの動作を
図6(b)および
図8に示す。このときの一連の動作(開いた状態から閉じる動作)を通じて、その先端の掘削爪によって海底地盤が掘削されるとともに、バケット31の内側およびケーシング32内に掘削土砂を取り込むことができる。
バケット31と掘削兼攪拌混合翼35を併用して海底地盤を掘削している状態を
図6(c)に示す。この掘削兼攪拌混合翼35を併用した掘削では、ケーシング32内の掘削兼攪拌混合翼35が一時的に下降し、ケーシング32底部の開口部から突き出た状態で海底地盤を回転掘削している。
バケット31が閉じた状態を
図6(d)に示す。この状態では、ケーシング32底部は閉じて、該ケーシング32は密閉されている。ケーシング32内に掘削土砂を取り込んでからバケット31を閉じた場合には、該ケーシング32は密閉されて、該掘削土砂はケーシング32内に閉じ込められることになる。
【0044】
掘削兼攪拌混合翼35(攪拌混合手段)は、
図7に示すようにケーシング32内で昇降可能に設けられている。
【0045】
上記構成の掘削兼攪拌混合翼35は、主として、
・バケット31(掘削手段)によってケーシング32内に取り込んだ掘削土砂、
・一対の材料供給管21,21を介してケーシング32内に投入された改良材、
を攪拌混合する役割を担っている。すなわち、掘削兼攪拌混合翼35は、掘削土砂や改良材を攪拌混合する際には、「攪拌混合手段」として機能する。
また
図6(c)に示すように、必要に応じて、ケーシング32底部の開口部から突き出して、海底地盤を掘削するといった役割を担っている。すなわち、掘削兼攪拌混合翼35は、海底地盤を掘削する際には、「掘削手段」として機能する。
また
図14に示すように、必要に応じて、ケーシング32内に収容されている材料(例えば掘削土砂と改良材を攪拌混合してなる改質土)を該ケーシングから強制的に押し出す役割を担っている。すなわち、掘削兼攪拌混合翼35は、ケーシング32内に収容されている材料を排出する際には、「材料押出手段」として機能する。
【0046】
(ケーシング内圧力制御装置)
次に、
図9に基づいて、前述した作業船が具備する「ケーシング内圧力制御装置」について説明する。このケーシング内圧力制御装置は、海底地盤にケーシングを圧入する際には「圧入装置」として機能し、また、ケーシング内の材料を水中で排出する際には「材料排出装置」として機能する。
【0047】
図9は、作業船が具備するケーシング内圧力制御装置を示す、概略構成図、側面図、正面図である。なお、システム構成の特徴を容易に理解できるように、
図9(a)には、システム構成の要部のみを概略的に図示する。
【0048】
後述するとおり、本実施形態では、材料供給管21(圧気用パイプ)を介してケーシング32内に圧縮空気を送り込むことを特徴の一つとしている(
図11Aの工程(a)を参照)。そして、本実施形態のケーシング内圧力制御装置は、ケーシング内の空気圧(ケーシング32内に送り込まれた圧縮空気の圧力)を制御する役割を担っている。
【0049】
本実施形態のケーシング内圧力制御装置は、
図9に示すとおり、主として、
・ケーシング32内に圧縮空気を送るためのエアーポンプ51と、
・ケーシング32内の空気圧を制御するための排気路53と、
・排気路53の先端排気口を水中で上げ下げするための昇降モーター55(昇降手段)を
具備している。
【0050】
排気路53は、全体として、ケーシング32内の空気圧をケーシングの外部(海水中)にガイドするように設けられている。この排気路53は、水中排気管56と、排気バイパス管57と、排気ホース58と、水中排気管バルブ59を含んで構成されている。
【0051】
水中排気管56の先端にある水中排気口60は、作業船を用いた施工時に海水中に水没した状態にあり、当該水中排気管56は、この状態で昇降モーター55によって上げ下げ可能に設けられている。水中排気管56の上下動の距離は特に限定されないが、例えば、ケーシング32の上端と下端の深度範囲内の距離で水中排気口60を上下動(縦方向の移動が)できるように、水中排気管56の長さやと昇降モーター55などを設定する。
【0052】
排気バイパス管57は、ケーシング32内の空気圧(圧縮空気)をケーシング外部の水中排気管56にガイドする役割を担っている。排気バイパス管57の一端はケーシング32内(天端)に接続され、他端は、水中排気管バルブ59と排気ホース58を介して水中排気管56に接続されている。
【0053】
排気ホース58は、可撓性の耐圧耐水ホースで構成されており、その一端は水中排気管バルブ59に接続され、他端は水中排気管56に接続されている。なお、水中排気管56が上下動する際には、排気ホース58はその動きに追従するので、水中排気管56の動作によって両者の接続が外れることはない。
【0054】
上記構成において、エアーポンプ51からケーシング32内に送り込まれた圧縮空気は、ケーシング内に収容されて、その空気圧によって海水をケーシング外に押し出す。
【0055】
また、ケーシング32内に収容された圧縮空気は、排気バイパス管57によってガイドされ、更に、水中排気管バルブ59と排気ホース58を介して、水中排気管56にガイドされる。したがって、水中排気管バルブ59が開いている状況下で、エアーポンプ51から圧縮空気が圧送されている間は、ケーシング32内の圧縮空気は排気路53によってガイドされて、水中排気口60から水中へ排気され続ける。
【0056】
(ケーシング内圧力制御装置の機能作用)
次に、
図10に基づいて、ケーシング内圧力制御装置の機能作用の概要について説明する。
図10は、ケーシング内圧力制御装置の機能作用を示す図である。
【0057】
図10に示すように、ケーシング32下端位置の深度に水中排気口60を位置決めした水中排気管56を、昇降モーター55によって上昇させると、これに連動して(上昇する水中排気口60に追従するように)、ケーシング内水位も上昇する。逆に、ケーシング上端位置の深度に水中排気口60を位置決めした水中排気管56を、昇降モーター55によって下降させると、これに連動して(下降する水中排気口60に追従するように)、ケーシング内水位も下降する。すなわち、水中排気口60(水中排気管56)の上下動に連動して、ケーシング内水位が上下動する。
【0058】
このように、(ケーシング内に通ずる)排気路の排気口60を水中で上げ下げすることで、水中のケーシング32に対する排気口60の相対高さに応じて、ケーシング内の空気圧が変動するので、ケーシング内圧力の制御が簡単である。また、このような機能を簡単な装置構成で実現することができる。
【0059】
また、ケーシング内に送り込んだ圧縮空気の圧力によって、ケーシング内への海水流入を簡単に妨げることができる。また、ケーシング内にすでに海水が進入している場合には、その空気圧によって、ケーシング内の海水をケーシング外に排出する(空気圧によって押し出す)ことができる。したがって、水中排気口60(水中排気管56)を上げ下げするだけで、ケーシング内水位を精度よくコントロールすることができ、また、必要なときに簡単にケーシング内を排水することができる。ケーシング内水位をコントロールする際、水中排気口60を上下動させる幅は、ケーシング32の上端と下端の深度範囲内である。
【0060】
なお、後述する各方法において、ケーシング内の排水には、エアーポンプ51からの圧気を利用する。また、後述するケーシングの圧入およびケーシングへの土砂取込には、ケーシングを圧入する力が必要であるところ、この圧入力には、水中排気管56を引上げた際に発生する水頭差(水底地盤から水中排気管先端までの距離)による負圧を利用する。この場合、最大水深分の圧力差が利用できる。
【0061】
(埋め戻し材投入装置)
埋め戻し材投入装置7は、
図3に示すようにリーダ3に沿って昇降自在に設けられており、掘削兼攪拌混合装置5(掘削手段)による掘削で生じた掘削孔に、埋め戻し材を投入する役割を担っている。
【0062】
この埋め戻し材投入装置7は、
図3(c)、
図5に示すように、
・埋め戻し材をガイドする略パイプ状のシュート41と、
・シュート41内に改良材を投入するための埋め戻し材投入口43と、
・リーダ3に対してスライド可能に設けられたシュート振れ止め金物45と(
図3(c))、
を有している。
【0063】
シュート41の上端側はワイヤーロープ46に連結されている。当該ワイヤーロープ46を上下方向で操作することでシュート41を含む埋め戻し材投入装置7の全体がリーダ3に沿って昇降する。そのときシュート41が振れないように、シュート振れ止め金物45がリーダ3によってガイドされる。
【0064】
シュート41の下端側は、
図5に示すように正面視で拡径しており、また、その上端側は略Y字状に分岐している。略Y字状に分岐したシュート41上端のそれぞれに、埋め戻し材投入口43が設けられている。
【0065】
上記構成の埋め戻し材投入装置7は、掘削兼攪拌混合装置5による掘削で生じた海底の掘削孔に、シュート41を介して埋め戻し材を投入し、該埋め戻し材で掘削孔を埋め戻す、といった機能・作用を発揮する。
【0066】
(昇降式バケット)
図3に示すように、作業船1の船首側にリーダ3が立設されており、このリーダ3の側面に設けられたガイドレールに沿って、改良材や埋め戻し材などの材料投入用の昇降式バケット9が昇降する。この昇降式バケット9は、掘削兼攪拌混合装置5の材料投入口23に改良材を投入する役割を担うとともに、埋め戻し材投入装置7の埋め戻し材投入口43に埋め戻し材(改良材)を投入する役割を担う。
【0067】
昇降式バケット9への改良材/埋め戻し材の充填は、計量ホッパー11を介して行われる。作業船1に設けられた砂箱13には改良材/埋め戻し材が収容されており、ベルトコンベアー15を介して計量ホッパー11へ搬送される。
【0068】
(海底地盤を対象とする工事の一例)
次に、前述した特徴を具備する作業船を用いた、海底地盤の改良や海底環境の改善の施工方法の具体例として、潜堤築造および浅場造成について説明する。なお、本実施形態では、施工に用いる改良材および埋め戻し材の具体例として、改質材を挙げる。
【0069】
図11A、
図11Bに基づいて、施工手順を具体的に説明する。
なお、次に述べる工程a〜mは、
図11Aおよび
図11Bに示す工程(a)〜(m)に対応している。
【0070】
工程a
材料供給管21を介してケーシング32内に圧縮空気を送り込んで、該ケーシング内の海水を完全に排水し、ケーシング内を空洞にする。すなわち、空気圧によりケーシング32内に海水の無い空間を確保する。以後、空気圧の押し出し作用によってケーシング32内に海水が流れ込まない完全排水状態が保持される。
【0071】
工程b
材料供給管21の下端に固設されたケーシング32を、バケット31を開いた状態で、所定位置の海底地盤に突き当てる。
【0072】
工程c
ケーシング32を海底地盤に突き当た状態で、該ケーシングを地盤に圧入する。ケーシングの圧入原理については、
図12、
図13との関係で後述する。
なお、ケーシング圧入の際には、必要に応じて掘削兼攪拌混合翼35を下げて掘削補助として使用する。すなわち、掘削兼攪拌混合翼35をケーシング32底部の開口部から突き出し、回転駆動させる。
【0073】
工程d
ケーシング32の先端にあるバケット31(掘削手段)の開閉を繰り返し、掘削土砂をケーシング32内に取り込む。なお、工程a以降、ケーシング32内は圧縮空気によって加圧され続けて完全排水状態が維持されているので、該ケーシング32内に海水が水圧で流れ込むことはない。以後も同様である。
【0074】
工程e
必要量の掘削土砂をケーシング32内に取り込んだら、該ケーシング先端のバケット31(掘削手段)を閉じる。これによりケーシング32が密閉され、ケーシング32内に取り込んだ掘削土砂がケーシング周囲の海水から隔離される。
【0075】
工程f
ケーシング32底部(バケット31)を閉じたまま掘削兼攪拌混合部29の全体を引き抜き、所定量の改質材を材料供給管21を介してケーシング32内に投入する。そして、ケーシング32内の掘削兼攪拌混合翼35を回転させつつ、ケーシング32内で上下動させて、「ケーシング32内に取り込んだ掘削土砂」と「ケーシング32内に投入した改質材」とを攪拌混合する。これらをケーシング32内で攪拌混合することで、揚土することなくその場で、すなわち水中のケーシング32内で「改質土」が製造される。
【0076】
工程g
掘削兼攪拌混合部29(ケーシング32)を引き抜いた後にできた掘削孔を埋め戻すため、アンカーワイヤー2を利用して操船し、埋め戻し材投入装置7のシュート41下端を、掘削孔の真上に位置決めする。
【0077】
工程h
埋め戻し材投入装置7のシュート41を所定位置まで下げ、該シュートを介して改質材を掘削孔に投入する。
【0078】
工程i
アンカーワイヤーを利用して操船し、掘削孔に投入された改質材位置に、再びケーシング32下端を合わせる。ケーシング32下端のバケット31は閉じた状態とする。
【0079】
工程j
ケーシング32を下げ、その下端のバケット31で、掘削孔に投入された改質材を圧縮して締め固め、支持力の増強を図る。
【0080】
工程k
掘削孔に投入された改質材高さが、所定深度(在来地盤高さ)になるまで、上記工程g〜jを繰り返す。
【0081】
工程l
上記工程fで攪拌混合して得た改質土(取り込んだ掘削土砂と投入した改質材とを攪拌混合して得た材料)を、掘削孔を埋めている改質材の真上で排出する。
なお、ケーシング32から改質土を排出する原理については、
図14との関係で後述する。
【0082】
工程m
以上の工程を経て、改質土による潜堤築造または浅場造成が完了する。
築造された潜堤、造成された浅場は、
図11Bの工程(m)に示すとおり、掘削孔を埋める改質材(締め固められた改質材)と、その上に覆い被さるように設けられた改質土と、で構成される。改質土は、原位置の掘削土砂を有効活用して海水中(海水が排出されたケーシング32内)で製造された材料である。
【0083】
(海底地盤へのケーシング圧入方法/海底地盤の土砂取込方法)
次に、
図11Aの工程(b)(c)におけるケーシング圧入方法について、
図12および
図13に基づいて更に具体的に説明する。
なお、
図12(b)(c)は、
図11Aの工程(b)(c)に対応する工程図であって、ケーシング圧入原理を示す図である。
また、
図13(b)(c1)(c2)は、
図11Aの工程(b)(c)に対応する工程図であって、ケーシング圧入原理を更に詳細に示す図である。
【0084】
本実施形態では、前述したケーシング内圧力制御装置(圧入装置)を使用して、海底地盤の所定位置にケーシングを圧入する。海底地盤の土質は特に限定されないが、例えば粘性土の地盤にケーシングを圧入することが可能である。
具体的な圧入方法は次のとおりである。
【0085】
ケーシング32の圧入にあたっては、予め、ケーシング下端位置の深度に、ケーシング内圧力制御装置の水中排気口60を位置決めする。これにより、ケーシング内水位が、水中排気口60の深度に追従し、ケーシング下端位置まで下がる。その結果、ケーシング内が圧縮空気で満たされ、その圧縮空気の加圧力によって、ケーシング内への海水流入が妨げられる。つまり、ケーシング下端と水中排気口60の深度を水中で揃えることで、ケーシング32内が完全排水された状態となる。なお、ケーシング32内の容量を超える過剰な圧縮空気は、
図12に示すように、水中排気管を56を介して水中排気口60から水中に排気される。
【0086】
このようにケーシング32内への海水流入が妨げられた状態が確保されたら、続いて、
図12(b)に示すようにケーシング下端を海底に突き当てて密着させる。これにより、ケーシング32の下開口部が、海底地盤(粘性土)によって隙間なく塞がれた様な状態に至る。
図12(b)は、圧縮空気で満たされたケーシング32の下端を、バケット31を開けた状態で海底地盤に対し隙間なくぴったりと突き当てた状態を示している。この状態では、
図13(b)に示すように、ケーシング32に作用する水圧および土圧とケーシング内気圧が均衡している。
【0087】
次に、圧縮空気によりケーシング32内への海水流入を妨げた状態で、且つ、ケーシング32の下端が海底に当接した状態(ケーシング32の下開口部が海底地盤によって塞がれたような状態)で、水中排気管56を引き上げて水中排気口60を上昇させる。つまり、ケーシング32に対して水中排気口60を相対的に上昇させる。すると、
図13(c1)に示すように、ケーシング32内の圧縮空気が水中排気管56を介してケーシング外に排出され、その結果、ケーシング32内の気圧が低下して、ケーシング内に負圧が発生する。その結果、ケーシング32に作用する水圧および土圧とケーシング内気圧の均衡が崩れて、ケーシング32に作用する水圧が支配的となる。すなわち、
図13(c1)に示すように水中排気管56を引き上げることでケーシング内の気圧が急激に低下し、その結果、ケーシング32に作用する水圧が圧入力となってケーシング32が圧入方向に押し進められる。
【0088】
したがって、ケーシング内圧力制御装置を利用し、
図12(c)に示すように水中排気管56を引き上げることで、水圧を利用してケーシングを対象地盤に圧入することが可能となる。このケーシング圧入方法において、ケーシング内に発生する負圧およびケーシングに作用する水圧(圧入力)は、
図13(c2)に示すように、最大で水深分の圧力を与えることが可能である。
【0089】
このようにしてケーシング32を地盤に圧入することができれば、ケーシング内に相対的に海底地盤が入り込むため、当該ケーシング内に海底地盤の土砂を取り込むことが可能となる。したがって、ケーシング内圧力制御装置は、海底地盤にケーシングを圧入する方法で利用することが可能であり、また、海底地盤の土砂をケーシング内に取り込む方法で利用することも可能である。
【0090】
(水中での材料排出方法)
次に、
図11Bの工程(l)(m)における材料排出方法について、
図14に基づいて具体的に説明する。
なお、
図14(l)(m)は、
図11Bの工程(l)(m)に対応する工程図であって、材料排出原理を示す図である。
【0091】
本実施形態では、前述したケーシング内圧力制御装置(材料排出装置)を使用して、材料である改質土をケーシングから排出する。
具体的な材料排出方法は次のとおりである。
【0092】
はじめに、材料である改質土を収容しているケーシング32を、水中の改質土排出位置(例えば掘削孔を埋めている改質材の真上)に位置決めする。ケーシングが収容している改質土は、前記工程fで攪拌混合して得た改質土(掘削土砂と改質材とを攪拌混合したもの)である。
【0093】
このとき、ケーシング内圧力制御装置の水中排気口60は、ケーシング32下端位置の深度に位置決めされている。したがって、ケーシング32内が圧縮空気で満たされ、その圧縮空気の加圧力によって、ケーシング32内への海水流入が妨げられている。つまり、ケーシング32の下端と水中排気口60の深度が揃うことで、ケーシング内が完全排水された状態となっている。以後も、この排水状態が継続する。
【0094】
続いて
図14(l)に示すように、圧縮空気によりケーシング32内への海水流入を妨げた状態で、ケーシング下端のバケット31を開放する。なお、本実施形態でケーシング32内に収容している改質土は、粘性のある掘削土砂と改質材を攪拌混合したものである。したがって、ケーシング32内の改質土は粘性を有しており、ケーシング32の内壁に粘着していることが想定される。
【0095】
そこで本実施形態では、ケーシング32内の改質土を、ケーシング内の圧縮空気で排出方向に押圧するとともに、
図14(m)に示すように、掘削兼攪拌混合翼35(材料押出手段)をケーシング32内で下降させて改質土を排出方向に機械的に押圧する。これにより、ケーシング32内の改質土は、圧縮空気と掘削兼攪拌混合翼の二重の押し出し作用を受けて、ケーシング下端から強制的に排出される。
【0096】
そして、ケーシング32内の改質土がすべて排出されたら、ケーシング下端のバケット31を再び閉じて、その状態で
図14(n)に示すようにケーシングにより地盤上に排出された改質土を押し潰す。
【0097】
(むすび)
最後に、上述した実施形態は、特許請求の範囲に記載した本発明の例示であって、本発明の形態は必ずしもこれに限定されるものではない。すなわち、上述した実施形態では、海底地盤の改良や海底環境の改善の施工方法の具体例として、「潜堤築造」や「浅場造成」を具体例として挙げたが、これらは、海底地盤の改良や海底環境の改善の施工方法の例示であって、本発明の技術的範囲はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【0098】
また、上述した実施形態で例示した作業船は、本発明の実施に利用可能な作業機材の一例であり、本発明はこのような船体なしでも実施することが可能である。すなわち、上述した実施形態では船体を利用していたが、これに代えて、例えば陸上に用意した移動式重機に、圧入装置やケーシング内圧力制御装置などの必要機材を取り付けて、陸上から海底地盤の改良や海底環境の改善などの各種工事を実施することも可能である。また、このような陸上に用意した重機を利用して施工を行う場合には、当該重機を護岸や桟橋などに設置して海底に向けてケーシングの圧入などの作業を行うことも可能である。
【0099】
また、本発明の用途は、海底地盤の改良に限定されるものではなく、川底の地盤改良や、湖底の地盤改良にも利用可能である。
【解決手段】海底地盤へのケーシンング圧入方法では、ケーシング32内圧力制御装置を利用する。この圧力制御装置は、水中のケーシング32内に圧縮空気を送るポンプと、ケーシング32内の空気圧力を外部にガイドする水中排気管56と、この排気管を上げ下げする昇降手段を具備する。海底地盤にケーシング32を圧入する際には、ケーシング32内を圧縮空気で加圧することによってケーシング32内を完全排水するとともに、ケーシング下端を海底に突き当てる。続いて、完全排水されたケーシング32下端が海底に密着した状態で、排気管56を引上げる。これにより、ケーシング圧入方向に作用する水圧が支配的となり、この水圧を利用してケーシング32を海底地盤に圧入することができる。