(54)【発明の名称】細胞観察情報処理システム、細胞観察情報処理方法、細胞観察情報処理プログラム、細胞観察情報処理システムに備わる記録部、細胞観察情報処理システムに備わる装置
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
観察情報取得部を介して、細胞画像、細胞数・細胞密度・形状・生存率などの細胞の活性度を示す活性度データ、観察名などの細胞の観察結果を示す第1〜第n(nは2以上の整数)の観察情報を時系列的に取得する第1〜第nの観察時点のうちの記録部に保存されている第1〜第n−1の観察時点における、細胞に対する作業が継代作業であるか否かを表す第1〜第n−1の継代有無情報のうち、少なくとも一つ以上の継代有無情報を、過去の継代有無情報として自動的に取得又は生成する継代有無情報取得・生成部と、
前記継代有無情報取得・生成部により取得又は生成された前記過去の継代有無情報に基づき、自動的に又はユーザの操作を介して、少なくとも第nの観察時点における第nの継代数を取得又は生成する継代数取得・生成部と、
を備えることを特徴とする細胞観察情報処理システム。
観察情報取得部を介して、細胞画像、細胞数・細胞密度・形状・生存率などの細胞の活性度を示す活性度データ、観察名などの細胞の観察結果を示す第1〜第n(nは2以上の整数)の観察情報を時系列的に取得する第1〜第nの観察時点のうちの記録部に保存されている第1〜第n−1の観察時点における細胞に対する作業が継代作業であるか否かを表す第1〜第n−1の継代有無情報のうち、少なくとも一つ以上の継代有無情報を、過去の継代有無情報として自動的に取得又は生成する継代有無情報取得・生成段階と、
取得又は生成した前記過去の継代有無情報に基づき、自動的に又はユーザの操作を介して、少なくとも第nの観察時点における第nの継代数を取得又は生成する継代数取得・生成段階と、
を備えたことを特徴とする細胞観察情報処理方法。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、説明する。なお、以下に説明する実施の形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下の実施形態で説明する構成の全てが、本発明における必須の構成要件であるとは限らない。
本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムは、観察情報取得部を介して、細胞画像、細胞数・細胞密度・形状・生存率などの細胞の活性度を示す活性度データ、観察名などの細胞の観察結果を示す第1〜第n(nは2以上の整数)の観察情報を時系列的に取得する第1〜第nの観察時点のうちの
記録部に保存されている第1〜第n−1の観察時点における、細胞に対する作業が継代作業であるか否かを表す第1〜第n−1の継代有無情報のうち、少なくとも一つ以上の継代有無情報を、過去の継代有無情報として
自動的に取得又は生成する継代有無情報取得・生成部と、前記継代有無情報取得・生成部により取得又は生成された前記過去の継代有無情報に基づき、自動的に又はユーザの操作を介して、少なくとも第nの観察時点における第nの継代数を取得又は生成する継代数取得・生成部と、を備える。
【0019】
本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムのように、継代有無情報取得・生成部が、
記録部に保存されている第1〜第n−1の観察時点における細胞に対する作業が継代作業であるか否かを表す第1〜第n−1の継代有無情報のうち、少なくとも一つ以上の継代有無情報を、過去の継代有無情報として
自動的に取得又は生成し、継代数取得・生成部が、継代有無情報取得・生成部により取得又は生成された過去の継代有無情報に基づき、少なくとも第nの観察時点における少なくとも第nの継代数を取得又は生成するようにすれば、ユーザが継代数を入力するようにした場合に、装置がユーザの入力を支援することが可能となる。あるいは、ユーザが継代数を入力しなくても装置が自動的に継代数を適宜更新することが可能となる。その結果、細胞等の観察情報に付与するべきタグの一つである継代数についてのユーザの入力ミスを防止できる。
【0020】
なお、本発明の実施形態では、継代有無情報取得・生成部は、
第nの観察時点における第nの継代有無情報を、例えば、ユーザの操作を介して取得又は生成するように構成してもよいし、または、例えば、自動的に取得又は生成するように構成してもよい。
また、本発明の実施形態では、継代数取得・生成部は、継代数を、例えば、ユーザの操作を介して取得又は生成するように構成してもよいし、または、例えば、自動的に取得又は生成するように構成してもよい。
また、本発明の実施形態では、継代有無情報取得・生成部による継代有無情報の取得又は生成するタイミングや、継代数取得・生成部による継代数の取得又は生成のタイミングに関し、観察情報を取得するごとに取得又は生成するように構成してもよいし、観察情報を取得後一括して取得又は生成するように構成してもよい。
【0021】
そして、本発明の実施形態では上記効果の他にも、継代有無情報取得・生成部や継代数取得・生成部の構成に応じて、次のような付随的な効果を奏する。
【0022】
(1)継代有無情報取得・生成部の構成による作用効果
(1−1)継代有無情報取得・生成部が、継代有無情報を、ユーザの操作を介して取得・生成する構成による作用効果
本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムにおいては、好ましくは、継代有無情報取得・生成部は、さらに、提示部を介してユーザから受け付けた選択指示に基づき、第nの観察時点における細胞に対する作業が継代作業であるか否かを示す第nの継代有無情報を生成し、提示部は、第nの観察時点における細胞に対する作業が継代作業であるか否かの選択指示をユーザから受け付けるように構成されている。
【0023】
上述したように、各時点での細胞の観察情報をデータベース化する場合、継代作業を行う観察当日の細胞の画像は、継代作業を行う前に取得する結果、細胞サンプルの継代数を増加させてデータベースファイルに保存する観察日は、実際に細胞の継代作業を行った観察日とずれることになる。このため、ユーザが、細胞に対する所定のメンテナンス作業を行った観察当日に、前回の細胞に対して行ったメンテナンス作業についての記憶や認識に基づいて、例えば、観察情報に付与する検索用タグを設定する画面等において、継代数を手入力しようとすると、継代数のカウントに関する勘違いや、細胞に対して行ったメンテナンス作業の内容に関する勘違い等を生じて継代数を間違って入力し易い。
一方、ユーザが、細胞に対する作業内容をデータベースファイルに保存する観察日は、実際に細胞の作業を行った観察日と一致する。このため、ユーザに入力すべき継代数の値を意識させなければ、ユーザが観察当日の細胞に対して行った作業の内容を勘違いするおそれが減少するものと考えられる。しかも、ユーザに対し、観察当日の細胞に対して行った作業の内容を確認するための操作を行わせれば、より一層確実に作業内容の勘違いが防止できるものと考えられる。
【0024】
しかるに、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムのように、継代有無情報取得・生成部が、さらに、提示部を介してユーザから受け付けた選択指示に基づき、第nの観察時点における細胞に対する作業が継代作業であるか否かを示す第nの継代有無情報を生成し、提示部が、第nの観察時点における細胞に対する作業が継代作業であるか否かの選択指示をユーザから受け付けるようにすれば、後述するように、ユーザから受け付けた第n(即ち、観察当日)の継代有無情報を検索用タグとして、観察情報取得部により取得された第nの観察情報に付与して記録部に保存するようにした場合に、次回の観察時点においては、今回記録部に保存した継代有無情報が過去(即ち、第n−1)の継代有無情報となる。このため、次回の観察時点においては、継代有無情報取得・生成部が、その過去の継代有無情報を取得又は生成し、継代数取得・生成部がその過去の継代有無情報に基づき継代数を取得又は生成する。その結果、ユーザは、観察当日に行った細胞に対する作業内容に関する確認のために、例えば、選択ボタンの押下などの簡単な操作をするだけで、次回の観察時点において観察情報に付与すべき検索用タグの一つとしての継代数としての正しい値を得ることが可能となる。そして、ユーザによる継代数の入力が不要となるため、ユーザの継代数の入力ミスを無くすことができ、しかも、ユーザが観察当日に細胞に対して行った作業内容の勘違いを防止できる。
【0025】
即ち、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムにおいては、好ましくは、継代有無情報取得・生成部により生成された第nの継代有無情報を検索用タグとして、観察情報取得部により取得された第nの観察情報に付与し、その検索用タグを付与した第nの観察情報を記録部に保存する保存部をさらに備える。
このようにすれば、上述したようにユーザの継代数の入力ミスを無くすことができ、しかも、観察当日に細胞に対して行った作業内容の勘違いを防止できるという効果を実現できる。
【0026】
また、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムにおいては、好ましくは、提示部を介して継代作業であるか否かの選択指示をユーザから受け付けた場合に、記録部への検索用タグが付与された第nの観察情報の保存を実施するように保存部を制御する制御部をさらに備える。
このようにすれば、上述したような効果に加えて、ユーザが観察当日の継代有無情報の記録部への保存を、上述したような簡単な操作によって確認することができる。
【0027】
また、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムにおいては、好ましくは、提示部は、さらに、第nの観察時点における細胞に対する作業が継代作業であるか否かの選択指示のユーザからの受け付けをユーザからの確認指示の入力によって完了させる。
このようにすれば、保存部による検索用タグが付与された第nの観察情報の記録部への保存が実施される前に、ユーザが、継代作業であるか否かの選択指示を再確認することができるので、ユーザによる選択指示の誤操作を防止できる。
【0028】
(1−2)継代有無情報取得・生成部が、継代有無情報を、自動的に取得・生成する構成による作用効果
また、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムにおいては、好ましくは、継代有無情報取得・生成部は、さらに、第nの観察時点における継代有無判別用情報に基づき、第nの観察時点における細胞に対する作業が継代作業であるか否かを判別する継代有無判別部を備え、継代有無判別部による継代作業であるか否かの判別結果を第nの継代有無情報として生成するように構成されている。
継代有無判別用情報としては、細胞の活性度を示す活性度データとして、例えば、細胞数、細胞密度等や、過去の継代日、継代間隔日数、前回の継代日から経過した時間等が挙げられる。
【0029】
このようにすれば、後述するように、継代有無情報取得・生成部が継代有無判別部による判別結果に基づき自動的に取得又は生成した第n(即ち、観察当日)の継代有無情報を検索用タグとして、観察情報取得部により取得された第nの観察情報に付与して記録部に保存するようにした場合に、次回の観察時点においては、今回、記録部に保存した継代有無情報が過去(即ち、第n−1)の継代有無情報となる。このため、次回の観察時点においては、継代有無情報取得・生成部が、その過去の継代有無情報を取得又は生成し、継代数取得・生成部がその過去の継代有無情報に基づき継代数を取得又は生成することになる。その結果、ユーザは、観察当日に行った細胞に対する作業内容に関する確認の操作をすることなく、次回の観察時点において観察情報に付与すべき検索用タグの一つとしての継代数として正しい値を得ることが可能となる。そして、ユーザによる継代数の入力が不要となるため、ユーザの継代数の入力ミスを無くすことができる。しかも、観察当日に行った細胞に対する作業内容に関する確認のための作業が不要となるため、細胞等の観察情報に付与するためのタグを取得する際に要するユーザの操作の手間と時間を短縮化できる。
【0030】
即ち、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムにおいては、好ましくは、継代有無情報取得・生成部により生成された第nの継代有無情報を検索用タグとして、観察情報取得部により取得された第nの観察情報に付与し、その検索用タグを付与した前記第nの観察情報を記録部に保存する保存部をさらに備える。
このようにすれば、上述したようにユーザの継代数の入力ミスを無くすことができ、観察当日に行った細胞に対する作業内容に関する確認のための作業が不要となるため、細胞等の観察情報に付与するためのタグを取得する際に要するユーザの操作の手間と時間を短縮化できるという効果を実現できる。
【0031】
(1−2−1)第nの観察時点における継代有無判別部が、細胞の細胞数又は細胞密度が所定の上方閾値を下回る場合に、第nの観察時点における細胞に対する作業が非継代作業であると判別する構成による作用効果
そして、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムにおいては、好ましくは、活性度データは、細胞の細胞数又は細胞密度であり、継代有無判別部は、第nの観察時点における細胞の細胞数又は細胞密度が所定の上方閾値を下回る場合に、第nの観察時点における細胞に対する作業が非継代作業であると判別するように構成されている。
【0032】
上述したように、一般に、ユーザは、撮像した画像から得られた細胞の活性度データが所定の細胞密度、細胞数等の上方閾値に到達しない期間は、細胞に対し非継代作業を行う。
従って、観察当日の細胞の活性度データが所定の細胞密度、細胞数等の上方閾値を下回る場合には、観察当日に細胞に対して行った作業が非継代作業である可能性が非常に高い。
【0033】
しかるに、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムのように、継代有無判別部が、第nの観察時点における細胞の細胞数又は細胞密度が所定の上方閾値を下回る場合に、第nの観察時点における細胞に対する作業が非継代作業であると判別するようにすれば、第nの観察時点における継代有無情報をユーザの操作を介することなく、装置が自動的に取得又は生成できる。
【0034】
(1−2−2)継代有無判別部が、第nの観察時点における細胞の細胞数又は細胞密度が所定の上方閾値以上である場合に、第nの観察時点における細胞に対する作業が継代作業であると判別する構成による作用効果
また、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムにおいては、好ましくは、活性度データは、細胞の細胞数又は細胞密度であり、継代有無判別部は、第nの観察時点における細胞の細胞数又は細胞密度が所定の上方閾値以上である場合に、第nの観察時点における細胞に対する作業が継代作業であると判別するように構成されている。
【0035】
上述したように、一般に、ユーザは、撮像した画像から得られた細胞の活性度データが所定の細胞密度、細胞数等の上方閾値に到達したことが確認されたときに、細胞に対し継代作業を行う。
従って、観察当日の細胞の活性度データが所定の細胞密度、細胞数等の上方閾値以上である場合には、観察当日に細胞に対して行った作業が継代作業である可能性が非常に高い。
【0036】
しかるに、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムのように、継代有無判別部が、第nの観察時点における細胞の細胞数又は細胞密度が所定の上方閾値以上である場合に、第nの観察時点における細胞に対する作業が継代作業であると判別するようにすれば、第nの観察時点における継代有無情報をユーザの操作を介することなく、装置が自動的に取得又は生成できる。
【0037】
(1−2−3)継代有無情報取得・生成部が、少なくとも第nの観察時点における継代有無判別用情報に基づき、過去の継代有無情報を自動的に生成する構成による作用効果
また、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムにおいては、好ましくは、継代有無情報取得・生成部は、さらに、少なくとも第nの観察時点における継代有無判別用情報に基づき、第n−1の観察時点における細胞に対する作業が継代作業であるか否かを判別する継代有無判別部を備え、継代有無判別部による継代作業であるか否かの判別結果を過去の継代有無情報として生成するように構成されている。
【0038】
このようにすれば、継代有無情報が検索用タグとして記録部に保存されていなくも、継代有無情報取得部により第n−1の観察時点における継代有無情報を取得又は生成でき、取得又は生成した第n−1の観察時点における継代有無情報に基づき、継代数取得・生成部により第nの観察時点における継代数を取得又は生成することができるようになる。その結果、ユーザは、観察当日において観察情報に付与すべき検索用タグの一つとしての継代数として正しい値を得ることが可能となる。そして、ユーザによる継代数の入力が不要となり、ユーザの継代数の入力ミスを無くすことができる。
【0039】
(1−2−3−1)継代有無判別部が、第nの観察時点における細胞の細胞数又は細胞密度が所定の下方閾値を下回る場合に、第n−1の観察時点における細胞に対する作業が継代作業であると判別する構成による作用効果
また、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムにおいては、好ましくは、活性度データは、細胞の細胞数又は細胞密度であり、継代有無判別部は、第nの観察時点における細胞の細胞数又は細胞密度が所定の下方閾値を下回る場合に、第n−1の観察時点における細胞に対する作業が継代作業であると判別するように構成されている。
【0040】
上述したように、一般に、ユーザは、撮像した画像から得られた細胞の活性度データが所定の細胞密度、細胞数等の上方閾値に到達したことが確認されたときに、細胞に対し継代作業を行う。ここで、継代作業を行った観察日の後で最新の観察日には、新しい培養容器内の細胞の画像を撮像することによって得られる活性度データは、所定の細胞密度、細胞数等の下方閾値を下回る。また、継代作業を行った観察日の後で最新の観察日の次の観察日には、培養容器内の細胞の画像を撮像することによって得られる活性度データは、所定の細胞密度、細胞数等の下方閾値以上となる。
従って、観察当日の細胞の活性度データが所定の細胞密度、細胞数等の下方閾値を下回る場合には、前回の観察時点に細胞に対して行った作業が継代作業である可能性が非常に高い。
【0041】
しかるに、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムのように、継代有無判別部が、第nの観察時点における細胞の細胞数又は細胞密度が所定の下方閾値を下回る場合に、第n−1の観察時点における細胞に対する作業が継代作業であると判別するようにすれば、継代有無情報が検索用タグとして記録部に保存されていなくも、継代有無情報取得部により第n−1の観察時点における継代有無情報を取得又は生成でき、取得又は生成した第n−1の観察時点における継代有無情報に基づき、継代数取得・生成部により第nの観察時点における継代数を取得又は生成することができるようになる。
【0042】
(1−2−3−2)継代有無判別部が、第nの観察時点における細胞の細胞数又は細胞密度が所定の下方閾値以上である場合に、第n−1の観察時点における細胞に対する作業が非継代作業であると判別する構成による作用効果
また、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムにおいては、好ましくは、活性度データは、細胞の細胞数又は細胞密度であり、継代有無判別部は、第nの観察時点における細胞の細胞数又は細胞密度が所定の下方閾値以上である場合に、第n−1の観察時点における細胞に対する作業が非継代作業であると判別するように構成されている。
【0043】
上述したように、継代作業を行った観察日の後で最新の観察日には、新しい培養容器内の細胞の画像を撮像することによって得られる活性度データは、所定の細胞密度、細胞数等の下方閾値を下回る。また、継代作業を行った観察日の後で最新の観察日の次の観察日には、培養容器内の細胞の画像を撮像することによって得られる活性度データは、所定の細胞密度、細胞数等の下方閾値以上となる。
従って、観察当日の細胞の活性度データが所定の細胞密度、細胞数等の下方閾値以上である場合には、前回の観察時点に細胞に対して行った作業が非継代作業である可能性が非常に高い。
【0044】
しかるに、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムのように、継代有無判別部が、第nの観察時点における細胞の細胞数又は細胞密度が所定の下方閾値以上である場合に、第n−1の観察時点における細胞に対する作業が非継代作業であると判別するようにすれば、継代有無情報が検索用タグとして記録部に保存されていなくも、継代有無情報取得部により第n−1の観察時点における継代有無情報を取得又は生成でき、取得又は生成した第n−1の観察時点における継代有無情報に基づき、継代数取得・生成部により第nの観察時点における継代数を取得又は生成することができるようになる。
【0045】
(1−2−3−3)継代有無判別部が、第n−1の観察時点における前記細胞の細胞数又は細胞密度が所定の上方閾値以上であり、かつ、第nの観察時点における細胞の細胞数又は細胞密度が所定の下方閾値を下回る場合に、第n−1の観察時点における細胞に対する作業が継代作業であると判別する構成による作用効果
また、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムにおいては、好ましくは、活性度データは、細胞の細胞数又は細胞密度であり、継代有無判別部は、第n−1の観察時点における細胞の細胞数又は細胞密度が所定の上方閾値以上であり、かつ、第nの観察時点における細胞の細胞数又は細胞密度が所定の下方閾値を下回る場合に、第n−1の観察時点における細胞に対する作業が継代作業であると判別するように構成されている。
【0046】
上述したように、一般に、ユーザは、撮像した画像から得られた細胞の活性度データが所定の細胞密度、細胞数等の上方閾値に到達したことが確認されたときに、細胞に対し継代作業を行う。ここで、継代作業を行った観察日の後で最新の観察日には、新しい培養容器内の細胞の画像を撮像することによって得られる活性度データは、所定の細胞密度、細胞数等の下方閾値を下回る。また、継代作業を行った観察日の後で最新の観察日の次の観察日には、培養容器内の細胞の画像を撮像することによって得られる活性度データは、所定の細胞密度、細胞数等の下方閾値以上となる。従って、観察当日の細胞の活性度データが所定の細胞密度、細胞数等の下方閾値を下回る場合には、前回の観察時点に細胞に対して行った作業が継代作業である可能性が非常に高い。
しかし、観察当日が継代作業後の2回後の観察時点である場合においても、細胞の活性度データが所定の細胞密度、細胞数等の下方閾値を下回る場合が、低い確率ではありながらも起こりうると考えられる。そのような場合には、継代有無判別部が、第nの観察時点における細胞の細胞数又は細胞密度が所定の下方閾値以上である場合に、第n−1の観察時点における細胞に対する作業が非継代作業であると判別するのでは、前回の観察時点の継代有無情報を誤ることになる。
【0047】
しかるに、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムのように、継代有無判別部が、第n−1の観察時点における細胞の細胞数又は細胞密度が所定の上方閾値以上であり、かつ、第nの観察時点における細胞の細胞数又は細胞密度が所定の下方閾値を下回る場合に、第n−1の観察時点における細胞に対する作業が継代作業であると判別するようにすれば、継代有無情報が検索用タグとして記録部に保存されていなくも、継代有無情報取得部により第n−1の観察時点における継代有無情報を取得又は生成でき、取得又は生成した第n−1の観察時点における継代有無情報に基づき、継代数取得・生成部により第nの観察時点における継代数をより高精度に取得又は生成することができるようになる。
【0048】
(1−2−3−4)継代有無判別部が、第nの観察時点における細胞の細胞数又は細胞密度が、前記第n−1の観察時点における細胞の細胞数又は細胞密度と比較して所定の差の閾値以上に減少している場合に、第n−1の観察時点における細胞に対する作業が継代作業であると判別する構成による作用効果
また、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムにおいては、好ましくは、活性度データは、細胞の細胞数又は細胞密度であり、継代有無判別部は、第nの観察時点における細胞の細胞数又は細胞密度が、第n−1の観察時点における細胞の細胞数又は細胞密度と比較して所定の差の閾値以上に減少している場合に、第n−1の観察時点における細胞に対する作業が継代作業であると判別するように構成されている。
【0049】
上述したように、一般に、ユーザは、撮像した画像から得られた細胞の活性度データが所定の細胞密度、細胞数等の上方閾値に到達したことが確認されたときに、細胞に対し継代作業を行う。ここで、継代作業を行った観察日の後で最新の観察日には、新しい培養容器内の細胞の画像を撮像することによって得られる活性度データは、所定の細胞密度、細胞数等の下方閾値を下回る。従って、観察当日の細胞数又は細胞密度が、前回の観察時の細胞数又は細胞密度と比較して、所定の閾値以上に減少している場合は、前回の観察時点に細胞に対して行った作業が継代作業である可能性が極めて高い。
【0050】
しかるに、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムのように、継代有無判別部が、第nの観察時点における細胞の細胞数又は細胞密度が、第n−1の観察時点における細胞の細胞数又は細胞密度と比較して所定の差の閾値以上に減少している場合に、第n−1の観察時点における細胞に対する作業が継代作業であると判別するようにすれば、継代有無情報が検索用タグとして記録部に保存されていなくも、継代有無情報取得部により第n−1の観察時点における継代有無情報を取得又は生成でき、取得又は生成した第n−1の観察時点における継代有無情報に基づき、継代数取得・生成部により第nの観察時点における継代数を取得又は生成することができるようになる。その結果、ユーザは、観察当日において観察情報に付与すべき検索用タグの一つとしての継代数として正しい値を得ることが可能となる。そして、ユーザによる継代数の入力が不要となり、ユーザの継代数の入力ミスを無くすことができる。
【0051】
(1−3)第1〜第n−1の観察時点の継代有無情報を検索用タグとして保存する構成による作用効果
また、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムにおいては、好ましくは、継代有無情報取得・生成部により取得又は生成された第1〜第n−1の継代有無情報のそれぞれを検索用タグとして、観察情報取得部により取得された第1〜第n−1の観察情報のそれぞれに付与し、検索用タグが付与された第1〜第n−1の観察情報を記録部に保存する保存部をさらに備える。
【0052】
このようにすれば、継代有無情報取得・生成部が、記録部に保存された第1〜第n−1の観察情報に付与された検索用タグの一つである第1〜第n−1の継代有無情報を過去の継代有無情報として取得又は生成し、継代数取得・生成部がその過去の継代有無情報に基づき第nの継代数を取得又は生成することで、ユーザは、観察当日に行った細胞に対する作業内容に関する確認の操作をすることなく、観察当日において観察情報に付与すべき検索用タグの一つとしての継代数として正しい値を得ることが可能となる。そして、ユーザによる継代数の入力が不要となるため、ユーザの継代数の入力ミスを無くすことができる。しかも、観察当日に行った細胞に対する作業内容を確認するための操作が不要となるため、細胞等の観察情報に付与するための検索用タグを取得する際に要するユーザの操作の手間と時間を短縮化できる。
【0053】
(1−3−1)第1〜第n−1の観察時点の継代有無情報を検索用タグとして保存し、第1〜第n−1の観察時点の同一の細胞についての継代有無情報を取得又は生成し、その継第有無情報に基づき、第nの継代数を取得又は生成する構成による作用効果
そして、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムにおいては、好ましくは、保存部はさらに、第1〜第n−1の観察情報のそれぞれに、その観察情報が示す細胞を識別するための細胞識別情報をそれぞれ検索用タグとして付与して、記録部に保存し、継代有無情報取得・生成部は、細胞識別情報のタグに基づき、記録部の中から、同一の細胞に関する前記過去の継代有無情報を取得し、継代数取得・生成部は、継代有無情報取得・生成部により取得又は生成された同一の細胞に関する過去の継代有無情報に基づき、第nの継代数を取得又は生成するように構成されている。
細胞識別情報は、観察対象となっている細胞を識別するための識別情報であって、より詳しくは、細胞名、細胞種、培養を行う細胞であることを示す親株又はその親株から小分けした細胞であることを示す子株を識別するための細胞レベル情報、及び細胞の継代数のうちの少なくとも一つ以上を含む情報である。
細胞名は、ユーザが実験・研究に用いる細胞に対して付ける任意の名称である。
細胞種は、分類される細胞固有の種類である。
【0054】
細胞種の母集団は多く、細胞種の数は数百以上と多い。そして、ユーザが研究・実験対象として培養する細胞種ごとに観察日を異ならせる場合がある。そのような場合、当該観察日において観察対象としている当該細胞種に属する細胞サンプル以外の他の細胞種に属する細胞サンプルについての過去の継代有無情報は、ユーザが当該観察日において観察対象としている当該細胞種に属する細胞サンプルについての第nの継代数の取得又は生成に不必要なものとなる。そして、継代有無情報取得・生成部が過去の継代有無情報を取得又は生成する際に、その取得又は生成する対象となる細胞種に属する細胞サンプルが特定できなければ、当該細胞種に属する細胞サンプルについての第nの継代数を正確かつ効率的に取得又は生成することが難しくなる。
また、細胞識別情報のうち、少なくとも細胞名の表記態様は、ユーザが自由に決められる場合がある。そして、ユーザは、研究・実験によっては、同一細胞種に属する複数の細胞サンプルに対し、異なる細胞名を付与することがある。そのような場合、継代有無情報取得・生成部が過去の継代有無情報を取得又は生成する際に、その取得又は生成する対象となる細胞名が付与された細胞サンプルが特定できなければ、当該細胞名が付与された細胞サンプルについての第nの継代数を正確かつ効率的に取得又は生成することが難しくなる。
【0055】
しかるに、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムのように、保存部が、第1〜第n−1の観察情報のそれぞれに、その観察情報が示す細胞を識別するための細胞識別情報をそれぞれ検索用タグとして付与して、記録部に保存し、継代有無情報取得・生成部が、細胞識別情報のタグに基づき、記録部の中から、同一の細胞に関する過去の継代有無情報を取得し、継代数取得・生成部が、継代有無情報取得・生成部により取得又は生成された同一の細胞に関する過去の継代有無情報に基づき、第nの継代数を取得又は生成するようにすれば、当該細胞種に属する細胞サンプルや当該細胞名が付与された細胞サンプルについての第nの継代数を正確かつ効率的に取得又は生成できる。
【0056】
(1−3−1−1)第1〜第n−1の観察時点の継代有無情報を検索用タグとして保存し、第1〜第n−1の観察時点の同一の細胞かつ同一のユーザについての継代有無情報を取得又は生成し、その継第有無情報に基づき、第nの継代数を取得又は生成する構成による作用効果
また、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムにおいては、好ましくは、保存部はさらに、第1〜第n−1の観察情報のそれぞれに、その観察情報を観察したユーザを識別するためのユーザ識別情報をそれぞれ検索用タグとして付与して、記録部に保存し、継代有無情報取得・生成部は、細胞識別情報のタグとユーザ識別情報のタグとに基づき、記録部の中から、同一の細胞、かつ同一ユーザに対応する過去の継代有無情報を取得又は生成し、継代数取得・生成部は、継代有無情報取得・生成部により取得又は生成された同一の細胞、かつ同一のユーザに対応する過去の継代有無情報に基づき、第nの継代数を取得又は生成するように構成されている。
ユーザ識別情報は、細胞観察を行うユーザを識別するための識別情報であって、より詳しくは、細胞の観察結果の入力を行う本人又は本人に代わり細胞観察や細胞の観察結果の入力を行なう代行者を識別するための識別情報である。
【0057】
細胞を用いた観察・実験においては、昔からの慣習として、特定のユーザが、細胞の誕生から死滅までのライフサイクルの情報を一貫して管理する傾向が強い。
このように、各ユーザが単独で一貫して管理する細胞の観察・実験の環境下においては、各ユーザが取得した細胞の観察情報へ検索用タグを付与する場合、検索用タグの表記態様に、各ユーザの個性が表れる。そして、各ユーザの個性に応じて異なる表記態様の検索用タグが、各ユーザにとっては夫々使い慣れた利用勝手の良いものとなる。
【0058】
そして、上述したように、細胞識別情報のうち、少なくとも細胞名の表記態様は、各ユーザが自由に決められる場合がある。その場合、同じ細胞種に属する細胞サンプルであっても、細胞名の表記態様はユーザごとにカスタマイズされ、ユーザごとに異なる細胞名が付与することがある。しかし、異なる細胞サンプルに対して、異なるユーザが同じ細胞名を付与することもありうる。その場合、当該ユーザの管理下にある細胞サンプル以外の他のユーザの管理下にある細胞サンプルについての過去の継代有無情報は、当該細胞サンプルに付与された細胞名如何にかかわらず、当該ユーザが当該観察日において観察対象としている細胞サンプルについての第nの継代数の取得又は生成に不必要なものとなる。また、継代有無情報取得・生成部が過去の継代有無情報を取得又は生成する際に、その取得又は生成する対象となるユーザの管理下にある細胞サンプルが特定できなければ、例えば、異なるユーザが異なる細胞サンプルに対し同一の細胞名を付与している場合に、当該ユーザの管理下にある細胞サンプルについての第nの継代数を正確かつ効率的に取得又は生成することが難しくなる。
【0059】
しかるに、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムのように、保存部が、第1〜第n−1の観察情報のそれぞれに、その観察情報を観察したユーザを識別するためのユーザ識別情報をそれぞれ検索用タグとして付与して、記録部に保存し、継代有無情報取得・生成部が、細胞識別情報のタグとユーザ識別情報のタグとに基づき、記録部の中から、同一の細胞、かつ同一ユーザに対応する過去の継代有無情報を取得又は生成し、継代数取得・生成部が、継代有無情報取得・生成部により取得又は生成された同一の細胞、かつ同一のユーザに対応する過去の継代有無情報に基づき、第nの継代数を取得又は生成するようにすれば、異なる細胞サンプルに対して、異なるユーザが同じ細胞名を付与する場合であっても、当該ユーザの管理下にある細胞サンプルについての第nの継代数を正確かつ効率的に取得又は生成することができる。
【0060】
(2)継代数取得・生成部の構成による作用効果
(2−1)画面上に過去の継代有無情報を提示することによりユーザによる継代数の入力操作を支援し、継代数取得・生成部が、ユーザにより入力された継代数を第nの継代数として取得・生成する構成による作用効果
また、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムにおいては、好ましくは、継代有無情報取得・生成部により取得又は生成された過去の継代有無情報を提示部に出力する継体有無情報出力部をさらに備え、提示部は、継体有無情報出力部により出力された過去の継代有無情報をユーザに提示するとともに継代数の入力をユーザから受け付けるように構成され、継代数取得・生成部は、提示部により提示された過去の継代有無情報を参照したユーザにより該提示部を介して入力された継代数を第nの継代数として取得するように構成されている。
【0061】
上述したように、各時点での細胞の観察情報をデータベース化する場合、継代作業を行う観察当日の細胞の画像は、継代作業を行う前に取得する結果、細胞サンプルの継代数を増加させてデータベースファイルに保存する観察日は、実際に細胞の継代作業を行った観察日とずれることになる。このため、ユーザが、細胞に対する所定のメンテナンス作業を行った観察当日に、前回の観察時点に細胞に対して行ったメンテナンス作業についての記憶や認識に基づいて、例えば、観察情報に付与する検索用タグを設定する画面等において、継代数を手入力しようとすると、継代数のカウントに関する勘違いや、細胞に対して行ったメンテナンス作業の内容に関する勘違い等を生じて継代数を間違って入力し易い。
そこで、ユーザが、細胞に対する所定のメンテナンス作業を行った観察当日に観察情報に付与する検索用タグを設定する画面等において、継代数を手入力する際に、前回の観察時点に細胞に対して行ったメンテナンス作業についての情報をユーザに確認させることができれば、ユーザによる継代数のカウントに関する勘違いや、細胞に対して行ったメンテナンス作業の内容に関する勘違い等を防止し、継代数の入力間違いを防止できるものと考えられる。
【0062】
しかるに、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムのように、継代有無情報取得・生成部により取得又は生成された過去の継代有無情報を提示部に出力する継体有無情報出力部をさらに備え、提示部が、継体有無情報出力部により出力された過去の継代有無情報をユーザに提示するとともに継代数の入力をユーザから受け付けるように構成し、継代数取得・生成部は、提示部により提示された過去の継代有無情報を参照したユーザにより該提示部を介して入力された継代数を第nの継代数として取得するように構成すれば、前回の観察時点に細胞に対して行ったメンテナンス作業についての情報のうち、継代有無情報をユーザに確認させることができ、ユーザによる細胞に対して行ったメンテナンス作業の内容に関する勘違いを防止して、継代数の入力間違いを防止できる。
【0063】
(2−1−1)画面上に過去の継代有無情報及び継代/非継代作業の履歴情報を提示することによりユーザによる継代数の入力操作を支援し、継代数取得・生成部が、ユーザにより入力された継代数を第nの継代数として取得・生成する構成による作用効果
そして、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムにおいては、好ましくは、継体有無情報出力部は、過去の継代有無情報が示す継代/非継代作業についての履歴情報をさらに提示部に出力し、提示部は、継体有無情報出力部により出力された履歴情報をさらにユーザに提示し、継代数取得・生成部は、提示部により提示された過去の継代有無情報と履歴情報とを参照したユーザにより該提示部を介して入力された継代数を前記第nの継代数として取得するように構成されている。
ここでの履歴情報としては、例えば、細胞の過去の継代作業であることが示された日や継代作業であることが示された日における継代数等のうちの少なくとも一つ以上の情報が挙げられる。
【0064】
本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムのように、継体有無情報出力部が、過去の継代有無情報が示す継代/非継代作業の履歴情報をさらに提示部に出力し、提示部が、継体有無情報出力部により出力された履歴情報をさらにユーザに提示し、継代数取得・生成部が、提示部により提示された過去の継代有無情報と履歴情報とを参照したユーザにより該提示部を介して入力された継代数を第nの継代数として取得するようにすれば、前回の細胞に対して行ったメンテナンス作業についての情報として、継代有無情報に加えて、細胞の過去の継代作業であることが示された日や継代作業であることが示された日における継代数等の履歴情報をユーザに確認させることができ、ユーザによる細胞に対して行ったメンテナンス作業の内容に関する勘違いに加えて継代数のカウントに関する勘違いを防止し、継代数の入力間違いを防止できる。
【0065】
(2−1−2)画面上に過去の継代有無情報を提示することによりユーザによる継代数の入力操作を支援するとともに、継代数取得・生成部が自動的に第nの入力チェック用の継代数を生成し、ユーザにより入力された継代数と自動的に生成した入力チェック用の第nの継代数とに基づき、継代数の入力に関する警告情報をユーザに通知しうる構成による作用効果
また、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムにおいては、好ましくは、継代数取得・生成部は、さらに、ユーザにより入力された継代数とは別に、過去の継代有無情報に基づき第nの入力チェック用の継代数を自動的に生成し、さらに、ユーザにより入力された継代数と、継代数取得・生成部により自動的に生成された入力チェック用の第nの継代数とに基づき、継代数の入力に関する警告情報をユーザに通知しうる通知部を備える。
そして、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムにおいては、好ましくは、通知部は、ユーザにより入力された継代数と、継代数取得・生成部により自動的に生成された入力チェック用の第nの継代数とが異なる場合に、警告情報をユーザに通知する。
【0066】
このようにすれば、ユーザが入力した継代数に誤りの疑いが生じた場合に、ユーザに対し継代数を確認させることによって、ユーザによる継代数の入力誤りをより一層防止することができるようになる。
【0067】
(2−2)継代数取得・生成部が、過去の観察時点における継代有無情報と、過去の継代数とに基づき第nの継代数を自動的に生成する構成による作用効果
また、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムにおいては、好ましくは、継代数取得・生成部は、継代有無情報取得・生成部により取得又は生成された過去の継代有無情報に含まれる夫々の観察時点の継代有無情報に対応する継代数を過去の継代数として生成し、さらに、過去の継代有無情報と、過去の継代数とに基づき、第nの継代数を生成する。
【0068】
このようにすれば、ユーザが継代数の入力操作をしないで済み、ユーザによる継代数の入力誤りを防止できる。
【0069】
(2−2−1)継代数取得・生成部が、前回(第n−1)の観察時点における継代有無情報を用いて第nの継代数を自動的に生成する構成による作用効果
そして、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムにおいては、好ましくは、過去の継代有無情報は、第n−1の観察時点における第n−1の継代有無情報を含み、過去の継代数は、第n−1の継代有無情報に対応する第n−1の継代数を含み、継代数取得・生成部は、第n−1の継代有無情報と、第n−1の継代数とに基づき、第nの継代数を生成する。
【0070】
上述したように、観察当日にデータベースファイルに保存する検索用タグとしての細胞の継代数は、前回の観察時点においてデータベースファイルに保存された継代有無情報と継代数とによって定まる。
しかるに、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムのように、過去の継代有無情報が、第n−1の観察時点における第n−1の継代有無情報を含み、過去の継代数が、第n−1の継代有無情報に対応する第n−1の継代数を含み、継代数取得・生成部が、第n−1の継代有無情報と、第n−1の継代数とに基づき、第nの継代数を生成するようにすれば、過去の継代有無情報、継代数として、前回の観察時の継代有無情報、継代数が得られるので、観察当日の継代数を自動的に算出できる。
【0071】
そして、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムにおいては、好ましくは、継代数取得・生成部は、第n−1の継代有無情報が継代作業であることを示す場合、第n−1の継代数に1を加えた値を、第nの継代数として生成する。
【0072】
また、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムにおいては、好ましくは、継代数取得・生成部は、第n−1の継代有無情報が非継代作業であることを示す場合、第n−1の継代数を、第nの継代数として生成する。
【0073】
(2−2−2)継代数取得・生成部が、前々回以前(第n−2以前)の観察時点における継代有無情報を用いて第nの継代数を自動的に生成しうる構成による作用効果
また、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムにおいては、好ましくは、過去の継代有無情報は、第n−1の観察時点における第n−1の継代有無情報と、第n−2以前の観察時点における第n−2以前の継代有無情報を含み、継代数取得・生成部は、過去の観察時点のうちで、細胞に対する作業が継代作業であり、かつ最新の観察時点を特定し、特定した最新の観察時点における最新の継代有無情報に対応する継代数に基づき、第nの継代数を生成する。
【0074】
上述したように、各時点での細胞の観察情報をデータベース化する場合、継代作業を行う観察当日の細胞の画像は、継代作業を行う前に取得する結果、細胞サンプルの継代数を増加させてデータベースファイルに保存する観察日は、実際に細胞の継代作業を行った観察日とずれることになる。このことは、継代作業を行ったことを示す継代有無情報が保存された最新の観察日より後の観察時点における継代数は、継代作業を行ったことを示す継代有無情報が保存された最新の観察日における継代数よりも1つ多い値になるといえる。
【0075】
そこで、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムのように、過去の継代有無情報が、第n−1の観察時点における第n−1の継代有無情報と、第n−2以前の観察時点における第n−2以前の継代有無情報を含み、継代数取得・生成部が、過去の観察時点のうちで、細胞に対する作業が継代作業であり、かつ最新の観察時点を特定し、特定した最新の観察時点における最新の継代有無情報に対応する継代数に基づき、第nの継代数を生成するようにすれば、前回(n−1)の観察時点における継代有無情報、継代数を用いなくても、観察当日の継代数を自動的に算出できる。
【0076】
そして、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムにおいては、好ましくは、継代数取得・生成部は、最新の継代有無情報に対応する継代数に1を加えた値を、第nの継代数として生成する。
【0077】
(2−2−3)継代数取得・生成部が第k(kは1以上n−1以下の整数)の観察時点のうちで、最新の継代作業であると特定される観察時点から第nの観察時点までの経過日数と、所定の基準日数との比較結果に基づき警告情報をユーザに提示する構成による作用効果
また、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムにおいては、好ましくは、過去の継代有無情報は、第k(kは1以上n−1以下の整数)の観察時点における第kの継代有無情報を含み、継代数取得・生成部は、第kの継代有無情報に基づき、第kの観察時点における細胞に対する作業が継代作業であるか否かを特定し、さらに、第kの観察時点のうちで、継代数取得・生成部により継代作業であると特定された最新の観察時点から第nの観察時点までの経過日数と、所定の基準日数とに基づき、警告情報を提示部に出力しうる警告情報出力部を備え、提示部は、警告情報出力部により出力された警告情報をユーザに提示する。
そして、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムにおいては、好ましくは、所定の基準日数は、細胞の継代間隔日数の基準値である。
また、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムにおいては、好ましくは、細胞の継代間隔日数の基準値は、過去の細胞の継代間隔日数に基づいて定められている。そのような細胞の継代間隔日数の基準値としては、例えば、複数の過去の細胞の継代間隔日数の平均値が挙げられる。
また、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムにおいては、好ましくは、細胞の継代間隔日数の基準値は、細胞の種類ごとに予め定められている。
【0078】
過去の観察時点において、実際は継代作業を行ったにもかかわらず、ユーザが観察情報とともに検索用タグとしての継代有無情報をデータベースファイルに保存し忘れる場合が起こりうる。
ところで、一般的に、細胞に対する継代作業を行う間隔は、ほぼ一定の日数となる。このため、過去の継代有無情報が保存された最新の観察時点から観察当日までの経過日数がわかれば、細胞に対する継代作業を行う間隔を細胞の継代間隔日数の基準値として用いることにより、観察当日までの間に、継代作業を行ったにもかかわらず作業当日の継代有無情報をデータベースファイルに保存し忘れた観察日の存在の有無が推定できる。
【0079】
そこで、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムのように、継代数取得・生成部が、第kの継代有無情報に基づき、第kの観察時点における細胞に対する作業が継代作業であるか否かを特定し、さらに、第kの観察時点のうちで、継代数取得・生成部により継代作業であると特定された最新の観察時点から第nの観察時点までの経過日数と、所定の基準日数とに基づき、警告情報を提示部に出力しうる警告情報出力部を備え、提示部が、警告情報出力部により出力された警告情報をユーザに提示するようにすれば、過去の観察時点において、ユーザが観察情報とともに検索用タグとしての継代有無情報をデータベースファイルに保存していなかった場合に、ユーザに対し、データベースファイルへの保存漏れを防止するよう注意喚起させるとともに、観察当日の継代数の値が正しいか否かの注意を喚起させることができるようになる。
なお、所定の基準日数としての細胞の継代間隔日数の基準値は、ユーザが任意に指定した日数であってもよい。
【0080】
(2−2−3−1)最新の観察時点から第nの観察時点までの経過日数が、所定の基準日数以上である場合に警告情報をユーザに提示する構成による作用効果
また、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムにおいては、好ましくは、警告情報出力部は、継代数取得・生成部により継代作業であると特定された最新の観察時点から第nの観察時点までの経過日数が、所定の基準日数以上である場合に、警告情報を提示部に出力する。
【0081】
上述したように、継代有無情報取得・生成部が取得した過去の継代有無情報から継代作業であると特定できる最新の観察時点から観察当日までに所定の基準日数が経過している場合、観察当日以前の所定の観察時点において継代作業を行ったにもかかわらず、継代作業を行った事実をデータベースファイルに保存していなかったものと推定できる。
その場合、観察当日のデータベースファイルには、継代有無情報取得・生成部が取得した過去の継代有無情報から継代作業であると特定できる最新の観察時点における継代数に対し、継代数を加算することが必要となる。
しかるに、継代有無情報取得・生成部が取得した過去の継代有無情報から継代作業であると特定できる最新の観察時点から観察当日までの経過日数の値によっては、継代作業を行った事実をデータベースファイルに保存していなかった観察時点が、観察当日から複数回、継代作業を行った観察時点における継代作業を行った事実をデータベースファイルに保存していない場合もありうる。このため、継代数の値を単純に1つのみ増加させたのでは、正しい継代数を算出できないことも起こりうる。
しかるに、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムのように、警告情報出力部が、継代数取得・生成部により継代作業であると特定された最新の観察時点から第nの観察時点までの経過日数が、所定の基準日数以上である場合に、警告情報をユーザに提示するようにすれば、継代作業を行った事実をデータベースファイルに保存していなかった観察日が存在することをユーザに通知して、ユーザに対し、観察当日の継代数の値が正しいか否かの注意を喚起させるとともに、データベースファイルへの保存漏れを防止するよう注意喚起させることができる。
【0082】
(3)継代有無情報、継代数を取得・生成するタイミングについての構成による作用効果
(3−1)観察情報を取得するごとに、リアルタイムで継代数を生成する構成による作用効果
また、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムにおいては、好ましくは、継代数取得・生成部は、観察情報取得部により第nの観察情報が順次取得されるごとに、過去の継代有無情報に基づき、第nの継代数を順次取得又は生成する。
そして、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムにおいては、好ましくは、継代有無情報取得・生成部は、過去の継代有無情報に含まれる第1〜第n−1の継代有無情報のうちの少なくとも一つ以上を一括して取得又は生成する。
【0083】
(3−2)観察情報を取得後、継代数を一括して生成する構成による作用効果
また、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムにおいては、好ましくは、継代数取得・生成部は、過去の継代有無情報に基づき、第1〜第nのうちの少なくとも一つ以上の観察時点における、第1〜第nのうちの少なくとも一つ以上の継代数を一括して取得又は生成する。
このように細胞数のタグを付与する時点を、観察情報を取得し検索用タグを付与して記録部に保存する時点と異ならせるようにすると、細胞の観察情報を取得する当該時に、取得した観察情報に検索用タグとして付与する継代数を取得又は生成するための処理を省くことができる。これにより、細胞をインキュベータの外部に出しておく時間を短縮化でき、観察情報取得時に細胞に与えるダメージを極力抑えることができる。また、継代数の一括取得又は生成のためにユーザの操作を介在させた場合においては、ユーザの操作する時点が観察情報を取得する時点と異なり、細胞にダメージを与えることがないため、ユーザは、時間をかけて継代数の入力誤りをチェックした操作ができるようになる。
【0084】
(4)その他の構成による作用効果
また、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムにおいては、好ましくは、継代数取得・生成部により取得又は生成された第nの継代数を検索用タグとして第nの観察情報に付与し、その検索用タグが付与された第nの観察情報を記録部に保存する保存部をさらに備える。
【0085】
このようにすれば、上述したように、ユーザから受け付けた第n(即ち、観察当日)の継代有無情報を検索用タグとして、観察情報取得部により取得された第nの観察情報に付与して記録部に保存するようにした場合に、次回の観察時点においては、今回記録部に保存した継代有無情報、継代数が過去(即ち、第n−1)の継代有無情報、継代数となる。このため、次回(即ち、第n)の観察時点においては、継代数取得・生成部が第n−1の継代有無情報、継代数に基づき、第nの継代数を自動的に取得又は生成することができる。
【0086】
また、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムにおいては、好ましくは、検索用タグを提示部に出力する検索用タグ出力部と、検索用タグ出力部により出力された検索用タグをユーザに提示する提示部と、をさらに備える。
このように細胞観察情報処理システムに提示部を備えれば、細胞観察情報処理システムとは別の提示部を用いることなく、ユーザが細胞観察情報処理システムに備えられた提示部を介して表示された観察情報に付与すべき検索用タグを、確認することができるようになる。
【0087】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0088】
第1実施形態
図1は本発明の細胞観察情報処理システムの基本構成を概念的に示すブロック図である。
図2は本発明の第1実施形態にかかる細胞観察情報処理システムの構成を示す説明図である。
第1実施形態の細胞観察情報処理システム10は、
図1、
図2に示すように、継代有無情報取得・生成部11aと、継代数取得・生成部11bと、制御部25を備えている。なお、
図1及び
図2中、1は細胞観察情報処理装置本体、12は保存部、13は記録部、18は提示部としてのモニタ、16は継代有無情報選択部、20は観察情報取得部である。なお、
図2では、細胞観察情報処理システム10は、継代有無情報取得・生成部11aと、継代数取得・生成部11bと、制御部25とが、保存部12,記録部13,提示部18,継代有無情報選択部16,観察情報取得部20とともに、一つの装置本体1に備えられたスタンドアロン型の構成となっている。細胞観察情報処理装置本体1は、例えば、撮像装置とデータベースを備えたコンピュータを備えた顕微鏡装置で構成されている。
【0089】
継代有無情報取得・生成部11aは、観察情報取得部20を介して、細胞画像、細胞数・細胞密度・形状・生存率などの細胞の活性度を示す活性度データ、観察名などの細胞の観察結果を示す第1〜第n(nは2以上の整数)の観察情報を時系列的に取得する第1〜第nの観察時点のうちの
記録部13に保存されている第1〜第n−1の観察時点における細胞に対する作業が継代作業であるか否かを表す第1〜第n−1の継代有無情報のうち、少なくとも一つ以上の継代有無情報を過去の継代有無情報として
自動的に取得又は生成する。
なお、本発明の各実施形態の以下の説明において、第nの観察時点は、観察当日である。
【0090】
観察情報取得部20は、第1〜第n(nは2以上の整数)の観察時点における取得指示に対応して、細胞画像、細胞数・細胞密度・形状・生存率などの細胞の活性度を示す活性度データ、観察名などの細胞の観察結果を示す第1〜第nの観察情報を時系列的に取得するように構成されている。より詳しくは、観察情報取得部20は、装置本体1に備わる、図示しない画像撮像指示画面からユーザが観察名を入力するとともに観察情報取得の指示ボタンを押下したときに作動し、装置本体1に備わる、図示しない撮像装置に観察位置に位置する細胞を含む試料を撮像させ、撮像された細胞画像に対し、例えば、図示しない画像処理部及び画像解析部を介した画像処理及び解析処理を施すことによって、細胞密度・形状・生存率などの細胞の活性度を示す活性度データを検出し、例えば、細胞画像と活性度データと観察名を一つの観察情報として、装置本体1内の図示しない記憶領域に一時的に記憶する。
【0091】
また、継代有無情報取得・生成部11aは、提示部18を介してユーザから受け付けた選択指示に基づき、第nの継代有無情報を生成する。
継代数取得・生成部11bは、継代有無情報取得・生成部11aにより取得又は生成された過去の継代有無情報に基づき、自動的に又はユーザの操作を介して、少なくとも第nの観察時点における第nの継代数を取得又は生成する。
【0092】
提示部18は、例えば、
図3(a)に示すような画面において継代作業有無ボタン18e(継代作業有ボタン18e−1,継代作業無ボタン18e−2)を表示し、第nの観察時点における細胞に対する作業が継代作業であるか否かの選択指示を、継代有無情報選択部16を介してユーザから受け付ける。そして、
図3(a)の例では、提示部18は、ユーザが継代有無情報選択指示部16を介して継代作業有ボタン18e−1,継代作業無ボタン18e−2のいずれかを選択したときに継代作業有無ボタン18eを介した選択指示を完了するように構成されている。なお、提示部18は、例えば、
図3(b)に示すように、継代作業有無ボタン18e(継代作業有ボタン18e−1,継代作業無ボタン18e−2)に加えて、ユーザに対し、確認ボタン18fを備え、ユーザが継代有無情報選択指示部16を介して確認ボタン18fを押したときに継代作業有無ボタン18eを介した選択指示が完了するように構成してもよい。
継代有無情報選択指示部16は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル等からなり、提示部18に表示された継代作業有無ボタン18e(
図3(b)の例ではさらに、確認ボタン18f)を選択あるいは押す機能を有している。
【0093】
また、
図3(a)、
図3(b)中、18aはユーザ識別情報の表示項目、18bは日時情報表示項目、18cは活性度データ表示画面、18dは検索用タグ入力画面である。
検索用タグ入力画面18dは、ユーザが、例えば、細胞名、細胞レベル情報や、継代数などの細胞識別情報を検索用タグとして入力可能に構成されている。また、検索用タグ入力画面18dは、記録部13に保存されている前回の観察時点での細胞名、細胞レベル情報、継代有無情報取得・生成部11aが生成した第nの継代有無情報、継代数取得・生成部11bが生成した第nの継代数を初期表示するように構成されている。
また、第1実施形態の細胞観察情報処理システム10は、図示しない検索用タグ出力部を備えており、検索用タグ出力部がこれらの情報の検索用タグ入力画面18dへの出力を行うように構成されている。
【0094】
保存部12は、継代有無情報取得・生成部11aにより取得された第nの継代有無情報や、継代数取得・生成部11bが取得・生成した第nの継代数を検索用タグとして、観察情報取得部20により取得された第nの観察情報に付与し、その検索用タグを付与した第nの観察情報を記録部13に保存する。
【0095】
制御部25は、提示部18を介して継代作業であるか否かの選択指示を、継代有無情報選択部16を介してユーザから受け付けた場合に、記録部
13への検索用タグが付与された第nの観察情報の保存を実施するように保存部12を制御する。なお、
図3(a)の例では、継代作業であるか否かの選択指示は、継代作業有無ボタン18e(継代作業有ボタン18e−1,継代作業無ボタン18e−2)のいずれかを選択したときに完了する。一方、
図3(b)の例では、継代作業であるか否かの選択指示は、継代作業有無ボタン18e(継代作業有ボタン18e−1,継代作業無ボタン18e−2)のいずれかを選択しただけでは完了せず、確認ボタン18fを押したときに完了する。
【0096】
なお、説明の便宜上、図示は省略するが、第1実施形態の細胞観察情報処理システム10は、継代有無情報取得・生成部11aや継代数取得・生成部11bのほかにも、観察情報に付与するための検索用タグを取得するためのタグ取得部を有している。
タグ取得部は、1時点での取得指示に対応して観察情報取得部20を介して取得された、細胞画像、細胞数・細胞密度・形状・生存率などの細胞の活性度を示す活性度データ、観察名などの細胞の観察結果を示す観察情報を検索するための検索用タグとして、細胞観察を行うユーザを識別するためのユーザ識別情報、観察対象となっている細胞を識別するための細胞識別情報、観察情報を取得した日時を識別するための日時情報、ユーザによる細胞のメンテナンスのための作業に関する情報、観察情報を取得するために用いた装置を識別するための装置識別情報、活性度データの変化情報及び細胞画像を示すための画像タグのうちの少なくとも一つ以上のタグを取得する。
詳しくは、タグ取得部は、例えば、細胞観察情報処理装置本体1に備わる、図示しないユーザID入力画面において、ユーザが選択入力したユーザIDや、
図3(a)、
図3(b)に示した検索用タグ入力画面18dのタグ入力欄に、ユーザが入力した細胞レベル情報(親株又は子株)、細胞名等を検索用タグとして取得することができるように構成されている。なお、タグ取得部は、検索用タグ入力画面18dのタグ入力欄に、ユーザが入力した継代数も検索タグとして取得することができるように構成されていてもよい。但し、本発明の各実施形態では、便宜上、継代数取得・生成部11bが取得又は生成した継代数を検索用タグとして用いるものとして説明する。
また、タグ取得部は、この他にも、観察情報取得部20を介して取得された夫々の観察情報における細胞画像にログとして記録されている撮像日時など、装置が自動的に生成した測定日時を、観察情報を取得した日時を識別するための日時情報として取得する。さらに、タグ取得部は、観察情報取得部20を介して取得された夫々の観察情報における細胞画像から画像タグを取得することができるように構成されている。
【0097】
さらに、保存部12は、各時点での取得指示に対応して観察情報取得部20を介して取得された夫々の観察情報に対して、タグ取得部により取得されたタグを、観察情報を検索するための検索用タグとして付与し、検索用タグを付与した観察情報を記録部13に保存するように構成されている。
【0098】
なお、観察情報、ユーザ識別情報、細胞識別情報、装置識別情報は、上述したとおりである。
また、ユーザによる細胞のメンテナンスのための作業に関する情報は、より詳しくは、作業の内容、希釈率、容器種類や容器サイズ、細胞を格納した容器番地のうちの少なくとも一つ以上を含む識別情報である。
希釈率とは、培養容器内で培養されている細胞を、継代や実験のために間引くときの間引き量である。
また、画像タグは、細胞画像を示すためのタグで、より詳しくは、例えば、提示部18に提示される図示しない画像選択入力画面において、小さなサイズで表示されうる画像や、画像と画像に対応した名称とが一体化した情報である。
また、活性度データの変化情報は、例えば、複数時点での活性度データ(例えば、細胞密度、細胞数、生存率)の変化量(即ち、変化率)であり、例えば、グラフの傾き等で示すことができる情報である。
【0099】
記録部13は、例えば、
図4に示すように、1以上の検索用タグ付き観察情報のレコードを有している。夫々のレコードは、各時点での細胞画像の撮像に対応して作成され、1時点での細胞画像の撮像に対応する1つの観察情報と、観察情報を検索するための検索用タグとが互いに関連付けられている。
なお、本実施形態では、便宜上、ユーザ識別情報としてユーザIDを用いることとするが、ユーザ識別情報は、ユーザIDに限定されるものではなく、例えば、ユーザの氏名やニックネーム等、ユーザを他のユーザと識別できる文字や記号等であればどのようなものでもよい。
【0100】
また、細胞観察情報処理装置本体1は、例えば、図示しないシステムのログイン画面を備えている。そして、ユーザがシステムのログイン画面において、システムのログインIDやパスワードを入力すると、図示しないユーザID入力画面が表示される。また、ユーザID入力画面において、ユーザがユーザ識別情報として自己のユーザIDを選択入力すると、ユーザIDが装置本体1内の図示しない記憶領域に一時的に記憶されるとともに、図示しない画像撮像指示画面が表示され、ユーザが画像撮像指示操作を行うことができるように構成されている。なお、図示しないユーザID入力画面において、ユーザがユーザID選択入力とともに、システムのログインIDやパスワードを入力するように、システムのログイン画面としての機能を兼ね備えた構成としてもよい。
【0101】
このように構成された第1実施形態の細胞観察情報処理システム10を用いた、観察情報の取得から、過去の継代有無情報の取得、過去の継代有無情報に基づく観察当日の継代数の生成、提示部18を介したユーザによる観察当日の細胞に対する作業が継代作業であるか否かの選択指示、選択指示に基づく観察当日の継代有無情報の生成、観察当日の継代有無情報、継代数を含む検索用タグが付与された観察情報の記録部13への保存までの処理手順を、
図5及び
図6を用いて説明する。
ユーザが培養している細胞の状態を管理する段階には、培養している細胞の観察情報を記録部13に保存する段階と、記録部13から所望の細胞の観察情報を検索・抽出して細胞の状態をチェックする段階とがある。過去の継代有無情報の取得、過去の継代有無情報に基づく観察当日の継代数の生成、提示部18を介したユーザによる観察当日の細胞に対する作業が継代作業であるか否かの選択指示、選択指示に基づく観察当日の継代有無情報の生成は、培養している細胞の観察情報を記録部13に保存する段階において行われる。
【0102】
まず、ユーザは、図示しないシステムのログイン画面において、システムのログインIDやパスワードを入力する。すると、図示しないユーザID入力画面が表示される。次いで、ユーザは、自己のユーザID(
図5の例では“ユーザ1”とする。)を選択入力する。すると、ユーザIDが装置本体1内の記憶領域に一時的に記憶されるとともに、図示しない画像撮像指示画面が表示され、ユーザが画像撮像指示操作を行うことができるようになる。
【0103】
次いで、ユーザは、図示しない画像撮像指示画面において観察名を入力し、観察情報取得を指示する指示ボタンを押下する。すると、観察情報取得部20は、観察位置に位置する細胞を含む試料を図示しない撮像装置に撮像させ、撮像された細胞画像に対し、例えば、図示しない画像処理部及び画像解析部を介した画像処理及び解析を施すことによって、細胞数・細胞密度・形状・生存率などの細胞の活性度を示す活性度データを検出する。そして、細胞画像と活性度データと観察名を一つの観察情報として、装置本体1内の図示しない一時記憶領域に記憶する。これにより1時点における観察情報が取得される(ステップS1)。なお、観察情報の取得は、取得時点を異ならせて複数回繰り返すことができる。
【0104】
ユーザによる画像撮像指示画面からの入力・観察画像取得指示、観察情報取得部20による観察情報の取得が終了後、継代有無情報取得・生成部11aは、記録部13に保存されている第1〜第n−1の観察時点(ここでは、便宜上、前回:第n−1の観察時点とする)における細胞に対する作業が継代作業であるか否かを表す第1〜第n−1の継代有無情報のうち、少なくとも一つ以上の継代有無情報(ここでは、便宜上、前回:第n−1の継代有無情報とする)を過去の継代有無情報として取得する(ステップS2)。
【0105】
次いで、継代数取得・生成部11bが、取得された過去の継代有無情報に基づき、観察当日の継代数を生成する(ステップS3〜ステップS5)。
詳しくは、継代数取得・生成部11bは、前回の観察時点での継代有無情報が、『継代作業』であることを示す情報である場合(ステップS3)、前回の観察時点での継代数に1を加えた値を、観察当日の継代数として生成する(ステップS4)。また、継代数取得・生成部11bは、前回の観察時点での継代有無情報が、『非継代作業』であることを示す情報である場合(ステップS3)、前回の観察時点での継代数の値を、観察当日の継代数として生成する(ステップS5)。
【0106】
また、提示部18は、
図3(a)、
図3(b)に示すような検索用タグ入力画面18dに、記録部13に保存されている前回の観察時点の細胞レベル情報や、細胞名、継代数取得・生成部11bが生成した観察当日の継代数を初期表示するとともに、作業有無ボタン18eを表示する(ステップS6)。
ユーザは、
図3(a)、
図3(b)に示すような検索用タグ入力画面18dにおいて、親株又は子株を識別するための細胞レベル情報や、細胞名(、さらには場合によっては継代数)を入力する。また、ユーザは、継代作業有ボタン18e−1,継代作業無ボタン18e−2のいずれかの継代作業有無ボタン18eを選択する。
【0107】
検索用タグ入力画面18dにおいて検索用タグが入力されると、タグ取得部は、検索用タグ入力画面18dにおいてユーザが入力した親株又は子株を識別するための細胞レベル情報、細胞名(、さらには場合によっては継代数)やユーザIDを検索用タグとして取得する。
また、継代作業有無ボタン18eが選択される(ステップS7)と、継代有無情報取得・生成部11aは、ユーザが選択した継代有無ボタン18eに基づき、観察当日の継代有無情報を検索用タグとして生成する(ステップS8〜S10)。
詳しくは、継代有無情報取得・生成部11aは、ユーザにより継代作業有ボタン18e−1が選択されたとき(ステップS8)には、観察当日の細胞に対する作業が『継代作業』であることを示す継代有無情報を生成する(ステップS9)。また、継代有無情報取得・生成部11aは、ユーザにより継代作業無ボタン18e−2が選択されたとき(ステップS8)には、観察当日の細胞に対する作業が『非継代作業』であることを示す継代有無情報を生成する(ステップS10)。
【0108】
このとき、ユーザによる継代作業有無ボタン18eの選択指示操作が完了(即ち、例えば、
図3(a)の例では、いずれかの継代作業有無ボタン18eが選択されることにより完了する。また、
図3(b)の例では、いずれかの継代作業有無ボタン18eが選択後、さらに、確認ボタン18fが押されることにより完了する。)しているとき(ステップS11)には、制御部25の制御により、保存部12が、タグ取得部により取得された検察用タグとともに、継代有無情報取得・生成部11aにより生成された観察当日の継代有無情報と、継代数取得・生成部11bにより生成された観察当日の継代数も、検索用タグとして観察情報に付与して記録部13に保存する(ステップS12)。なお、
図3(b)に示すような検索用タグ入力画面18dにおいて、ユーザによる継代作業有無ボタン18eの選択指示操作が完了していないとき(ステップS11)には、制御部25の制御により、保存部12は作動せず、ステップS7〜S11の処理を繰り返す。このとき、ユーザは、親株又は子株を識別するための細胞レベル情報、細胞名の入力、継代作業有ボタン18e−1,継代作業無ボタン18e−2のいずれかの継代作業有無ボタン18eの選択指示操作を行なう。
【0109】
なお、
図6の例では、観察情報取得部20による観察情報の取得の都度、継代作業有無ボタン18eを表示した検索用タグ入力画面18dにおいて、ユーザにタグ入力及び継代作業有無ボタン18eの選択をさせるために提示部18を切り換えるように構成しているが、観察情報取得部20による観察情報の取得を複数回繰り返した後に、継代作業有無ボタン18eを表示した検索用タグ入力画面18dにおいて、ユーザにタグ入力及び継代作業有無ボタン18eの選択をさせるために提示部18を切り換えるように構成してもよい。また、検索用タグの付与タイミングに関し、観察情報取得部20による観察情報の取得後に、リアルタイムで継代作業有無ボタン18eを表示した検索用タグ入力画面18dにおいて、ユーザにタグ入力及び継代作業有無ボタン18eの選択をさせるために提示部18を切り換えるように構成してもよいし、観察情報取得部20による観察情報の取得後より一定期間経過後に、継代作業有無ボタン18eを表示した検索用タグ入力画面18dにおいて、ユーザにタグ入力及び継代作業有無ボタン18eの選択をさせるために提示部18を切り換えるように構成してもよい。
【0110】
ここで、第1実施形態の細胞観察情報処理システム10における、観察当日における継代有無情報、継代数の生成について、
図5の下方に示した観察情報及び検索用タグの例を用いて、さらに詳しく説明する。
図5の例では、8月1日の観察日は継代作業を行う日となっている。継代作業を行う観察日(8月1日)には、継代作業を行う前の細胞の観察情報に検索用タグが付与されて記録部13としてのデータベースファイルに保存されることになる。
このため、8月1日には、観察情報取得部20は、継代作業を行う前の細胞を対象として画像(ここでは、画像a1)、細胞数等の観察情報を取得する。また、ユーザは、検索用タグ入力画面18d上で、親株又は子株を識別するための細胞レベル情報、細胞名などの情報を入力する。なお、検索用タグ入力画面18dには、後述のように、記録部13に保存されている8月1日の前の観察時点の継代有無情報に基づいて生成された8月1日の観察時点の継代数が初期表示されている。なお、ここでは図示していないが、8月1日が継代作業を行う観察日であるため、8月1日の直前の観察時点の継代有無情報が『非継代作業』を示す情報であるものとし、継代数が“4”であるものとする。継代情報有無取得・生成部11aは、8月1日の直前の観察時点の継代有無情報『非継代作業』を取得する。次いで、継代数取得・生成部11bが、8月1日の直前の観察時点の継代有無情報『非継代作業』に基づき、8月1日の継代数を生成するが、8月1日の直前の観察時点の継代有無情報が、『非継代作業』であることを示す情報であるため、8月1日の継代数として、8月1日の直前の観察時点の継代数と同じ値“4”を生成する。
【0111】
また、ユーザは、8月1日は継代作業を行う観察日であるため、継代作業有ボタン18e−1を選択する。継代作業有ボタン18e−1が選択されると、継代有無情報取得・生成部11aは、『継代作業』であることを示す情報を、8月1日の継代有無情報として生成する。
また、ユーザが継代作業有無ボタン18e(ここでは継代有ボタン18e−1)を介した選択指示を完了したときに、保存部12は、検索用タグ入力画面18dにおいてユーザにより入力され、タグ取得部により取得された細胞名、細胞レベル情報、観察当日の日付等や、継代有無情報取得・生成部11a、継代数取得・生成部11bにより生成された観察当日(8月1日)の継代有無情報、継代数を検索用タグとして、観察情報に付与し、記録部13に保存する。
その後、ユーザは、実際の継代作業を行う。
【0112】
8月2日の観察当日は、非継代作業を行う日となっている。8月2日の観察日においては、8月1日の観察時点は、過去(前回)の観察時点となっている。継代作業を行った観察日(8月1日)の次の観察時点である8月2日には、継代作業を行った後の細胞の観察情報に検索用タグが付与されて記録部13としてのデータべースファイルに保存されることになる。
このため、8月2日には、観察情報取得部20は、継代作業を行った後の細胞を対象として画像(ここでは、画像a2)、細胞数等の観察情報を取得する。また、ユーザは、タグ入力画面18d上で、親株又は子株を識別するための細胞レベル情報、細胞名などの情報を入力する。なお、検索用タグ入力画面18dには、後述のように、記録部13に保存されている8月1日の観察時点の継代有無情報に基づいて生成された8月2日の観察時点の継代数“5”が初期表示されている。継代情報有無取得・生成部11aは、8月1日の観察時点の継代有無情報『継代作業』を取得する。次いで、継代数取得・生成部11bが、8月1日の観察時点の継代有無情報『継代作業』に基づき、8月2日の継代数を生成するが、8月1日の観察時点の継代有無情報が、『継代作業』であることを示す情報であるため、8月2日の継代数として、8月1日の観察時点の継代数“4”に1を加えた値“5”を生成する。
【0113】
また、ユーザは、8月2日は非継代作業を行う観察日であるため、継代作業無ボタン18e−2を選択する。継代作業無ボタン18e−2が選択されると、継代有無情報取得・生成部11aは、『非継代作業』であることを示す情報を、8月2日の継代有無情報として継代有無情報として生成する。
また、ユーザが継代作業有無ボタン18e(ここでは継代無ボタン18e−2)を介した選択指示を完了したときに、保存部12は、検索用タグ入力画面18dにおいてユーザにより入力された細胞名、細胞レベル情報、観察当日の日付等とともに、継代有無情報取得・生成部11a、継代数取得・生成部11bにより生成された観察当日(8月2日)の継代有無情報、継代数を検索用タグとして、観察情報に付与し、記録部13に保存する。
その後、ユーザは、実際の非継代作業を行う。
【0114】
第1実施形態の細胞観察情報処理システム10によれば、継代有無情報取得・生成部11aが、
記録部13に保存されている過去(第1〜第n−1)の観察時点における細胞に対する作業が継代作業であるか否かを表す第1〜第n−1の継代有無情報のうち、少なくとも一つ以上の継代有無情報を、過去の継代有無情報として
記録部に保存されている取得又は生成し、継代数取得・生成部11bが、継代有無情報取得・生成部により取得又は生成された過去の継代有無情報に基づき、少なくとも第nの観察時点における少なくとも第nの継代数を取得又は生成し、継代有無情報取得・生成部11aが、さらに、提示部18を介してユーザから受け付けた選択指示に基づき、観察当日(第n)の継代有無情報を生成し、提示部18が、第nの観察時点における細胞に対する作業が継代作業であるか否かの選択指示をユーザから受け付けるようにしたので、ユーザは、観察当日に行った細胞に対する作業内容に関する確認のために、例えば、選択ボタンの押下などの簡単な操作をするだけで、次回の観察時点において観察情報に付与すべき検索用タグの一つとしての継代数としての正しい値を得ることが可能となる。そして、ユーザによる継代数の入力が不要となるため、ユーザの継代数の入力ミスを無くすことができ、しかも、ユーザが観察当日に細胞に対して行った作業内容の勘違いを防止できる。
【0115】
また、第1実施形態の細胞観察情報処理システム10によれば、提示部18を介して継代作業であるか否かの選択指示をユーザから受け付けた場合に、記録部13への検索用タグが付与された第nの観察情報の保存を実施するように保存部12を制御する制御部をさらに備えたので、上述したような効果に加えて、ユーザが観察当日の継代有無情報の記録部13への保存を、上述したような簡単な操作によって確認することができる。
【0116】
さらに、第1実施形態の細胞観察情報処理システム10において、
図3(b)の例によれば、提示部18が、さらに、第nの観察時点における細胞に対する作業が継代作業であるか否かの選択指示のユーザからの受け付けを、確認ボタン18fの入力によって完了させるようにしたので、保存部12による検索用タグが付与された第nの観察情報の記録部13への保存が実施される前に、ユーザが、継代作業であるか否かの選択指示を再確認することができるので、ユーザによる選択指示の誤操作を防止できる。
【0117】
なお、
図1の細胞観察情報処理装置本体1は、この他にも、図示しない検索条件指定画面を備えており、検索用タグ付き観察情報に付与されている検索用タグのうち、例えば、ユーザ識別情報としてのユーザID、細胞識別情報としての細胞名,細胞レベル情報(親株又は子株)、ユーザによる細胞のメンテナンスのための作業に関する情報としての作業内容、装置識別情報としての装置ID、活性度データの変化情報としての活性度変化量等のうちの少なくとも一つ以上を含む情報を検索条件として指定できるようになっている。
また、細胞観察情報処理システム10は、図示しない検索条件取得部と観察データ抽出部を有している。検索条件取得部は、検索条件指定画面においてユーザが入力した情報に加えて、例えば、活性度データや日時情報等を組み合わせたものを検索条件として取得する。観察データ抽出部は、検索条件取得部により取得された検索条件を用いて記録部13を検索し、検索条件に合致する検索用タグが付与されている検索用タグ付き観察情報を含むデータを、記録部から抽出する。観察データ抽出部が抽出した検索用タグ付き観察情報を含むデータは、検索条件取得部により取得された検索条件に応じた表示態様で図示しない表示画面に表示されるようになっている。
そして、これら検索条件指定画面におけるユーザによる検索条件の入力、検索条件取得部による検索条件の取得、観察データ抽出部による検索用タグ付き観察情報を含むデータの抽出、表示画面への表示を経て、記録部13から所望の細胞の観察情報を検索・抽出して細胞の状態をチェックする段階での処理を行うことができるようになっている。
【0118】
また、
図2の例では、細胞観察情報処理システム10を、継代有無情報取得・生成部11aと、継代数取得・生成部11bと、制御部25を備える構成としたが、この例に限定されるものではなく、例えば、さらに、保存部12を備えて構成してもよい。
【0119】
第2実施形態
図7は本発明の第2実施形態にかかる細胞観察情報処理システムの構成を示す説明図である。
図8は
図7の細胞観察情報処理システムにおける継代有無判別部による観察当日の細胞に対する作業が継代作業であるか否かの判別方法を概念的に示す説明図である。
【0120】
第2実施形態の細胞観察情報処理システム10では、継代有無情報取得・生成部11aは、継代有無判別部11a1を備えている。
継代有無判別部11a1は、継代有無判別用情報に基づき、観察当日(即ち、第nの観察時点)における細胞に対する作業が継代作業であるか否かを判別する。なお、継代有無判別用情報としては、例えば、細胞の活性度を示す活性度データ(例えば、細胞数又は細胞密度)が挙げられる。
詳しくは、継代有無判別部11a1は、例えば、観察当日の細胞の細胞数又は細胞密度が、それらの所定の上方閾値を下回る場合に、観察当日の細胞に対する作業が非継代作業であると判別する。また、継代有無判別部11a1は、例えば、観察当日の細胞の細胞数又は細胞密度が、それらの所定の上方閾値以上である場合に、観察当日の細胞に対する作業が継代作業であると判別する。
そして、継代有無情報取得・生成部11aは、
図2の実施形態におけるような提示部18を介してユーザから受け付けた選択指示に基づくことなく、継代有無判別部11a1による判別結果を、観察当日の継代有無情報として自動的に作成する。
継代数取得・生成部11bの構成は、第1実施形態の細胞観察情報処理システム10と略同じである。
【0121】
このように構成された第2実施形態の細胞観察情報処理システム10を用いた、観察情報の取得から、過去の継代有無情報の取得、過去の継代有無情報に基づく観察当日の継代数の生成、継代有無判別部11a1による観察当日の細胞に対する作業が継代作業であるか否かの判別、判別結果に基づく観察当日の継代有無情報の生成、観察当日の継代有無情報、継代数を含む検索用タグが付与された観察情報の記録部13への保存までの処理手順を、
図9及び
図10を用いて説明する。
なお、ここでの所定の上方閾値は、便宜上、細胞数“45”とする。また、便宜上、細胞名や細胞レベル等の検索用タグを取得するための構成及び操作については、説明を省略する。
【0122】
ユーザによる画像撮像指示画面からの入力・観察画像取得指示、観察情報取得部20による観察情報の取得(ステップS1’)、継代有無情報取得・生成部11aによる過去の継代有無情報の取得(ステップS2’)、継代数取得・生成部11bによる過去の継代有無情報に基づく、観察当日の継代数の生成(ステップS3’〜 ステップS5’)までは、第1実施形態の細胞観察情報処理システム10と略同じである。
次いで、継代有無情報取得部11aが、継代有無判別部11a1により、継代有無判別用情報に基づき、観察当日の観察時点における細胞に対する作業が継代作業であるか否かを判別し、判別結果を継代有無情報として生成する(ステップS6’〜 ステップS8’)。
詳しくは、
図8の例においては、観察当日が8月1日である場合、細胞数又は細胞密度が所定の上方閾値以上となっている。この場合、継代有無判別部11a1は、観察当日の細胞に対する作業を継代作業と判別する。そして、継代有無情報取得・生成部11aは、観察当日(8月1日)の細胞に対する作業が『継代作業』であることを示す継代有無情報を生成する(ステップS6’、ステップS8’)。
また、観察当日が8月2日である場合、細胞数又は細胞密度が所定の上方閾値を下回っている。この場合、継代有無判別部11a1は、観察当日の細胞に対する作業を非継代作業と判別する。そして、継代有無情報取得・生成部11aは、観察当日(8月2日)の細胞に対する作業が『非継代作業』であることを示す継代有無情報を生成する(ステップS6’、ステップS7’)。
次いで、保存部12が、継代有無情報取得・生成部11a、継代数取得・生成部11bにより生成された観察当日の継代有無情報、継代数を検索用タグとして、観察情報に付与し、記録部13に保存する(ステップS9’)。
【0123】
第2実施形態の細胞観察情報処理システム10によれば、継代有無情報取得・生成部11aが、さらに、第nの観察時点における継代有無判別用情報に基づき、第nの観察時点における細胞に対する作業が継代作業であるか否かを判別する継代有無判別部11a1を備え、継代有無判別部11a1による継代作業であるか否かの判別結果を第nの継代有無情報として生成するように構成したので、継代有無判別部11a1による判別結果に基づき取得又は生成した第n(即ち、観察当日)の継代有無情報を検索用タグとして、観察情報取得部20により取得された第nの観察情報に付与して記録部13に保存することにより、次回の観察時点においては、今回、記録部13に保存した継代有無情報が過去(即ち、第n−1)の継代有無情報となる。このため、次回の観察時点においては、継代有無情報取得・生成部11aが、その過去の継代有無情報を取得又は生成し、継代数取得・生成部11bがその過去の継代有無情報に基づき継代数を取得又は生成することになる。その結果、ユーザは、観察当日に行った細胞に対する作業内容に関する確認の操作をすることなく、次回の観察時点において観察情報に付与すべき検索用タグの一つとしての継代数として正しい値を得ることが可能となる。そして、ユーザによる継代数の入力が不要となるため、ユーザの継代数の入力ミスを無くすことができる。しかも、観察当日に行った細胞に対する作業内容に関する確認のための作業が不要となるため、細胞等の観察情報に付与するためのタグを取得する際に要するユーザの操作の手間と時間を短縮化できる。
【0124】
なお、
図7の例では、細胞観察情報処理システム10を、継代有無情報取得・生成部11aと、継代数取得・生成部11bを備える構成としたが、この例に限定されるものではなく、例えば、さらに、保存部12を備えて構成してもよい。
【0125】
第3実施形態
図11は本発明の第3実施形態にかかる細胞観察情報処理システムの構成を示す説明図である。
図12は
図11の細胞観察情報処理システムにおける継代有無判別部による前回の観察時点の細胞に対する作業が継代作業であるか否かの判別方法を概念的に示す説明図である。
第3実施形態の細胞観察情報処理システム10では、継代有無情報取得部・生成部11aは、継代有無判別部11a1’を備えている。
継代有無判別部11a1’は、少なくとも観察当日(即ち、第nの観察時点)における継代有無判別用情報に基づき、第n−1の観察時点における細胞に対する継代作業であるか否かを判別する。なお、継代有無判別用情報としては、第2実施形態の細胞観察情報処理システムと同様、例えば、細胞の活性度を示す活性度データ(例えば、細胞数又は細胞密度)が挙げられる。
詳しくは、継代有無判別部11a1’は、例えば、観察当日の細胞数又は細胞密度が、それらの所定の下方閾値を下回る場合に、前回(第n−1)の観察時点における細胞に対する作業が継代作業であると判別する。また、継代有無判別部11a1’は、例えば、観察当日の細胞の細胞数又は細胞密度が、それらの所定の下方閾値以上である場合に、前回(第n−1)の観察時点における細胞に対する作業が非継代作業であると判別する。また、継代有無判別部11a1’は、好ましくは、例えば、前回(第n−1)の観察時点における細胞の細胞数又は細胞密度が、それらの所定の上方閾値以上であり、かつ、観察当日における細胞の細胞数又は細胞密度が、それらの所定の下方閾値を下回る場合に、前回(第n−1)の観察時点における細胞に対する作業が継代作業であると判別する。
継代数取得・生成部11bの構成は、第1実施形態の細胞観察情報処理システム10と略同じである。
【0126】
このように構成された第3実施形態の細胞観察情報処理システム10を用いた、観察情報の取得から、継代有無判別部11a1’による過去の観察時点の細胞に対する作業が継代作業であるか否かの判別、判別結果に基づく過去の継代有無情報の生成、過去の継代有無情報に基づく観察当日の継代数の生成、観察当日の継代数を含む検索用タグが付与された観察情報の記録部13への保存までの処理手順を、
図13及び
図14を用いて説明する。
【0127】
ユーザによる画像撮像指示画面からの入力・観察画像取得指示、観察情報取得部20による観察情報の取得(ステップS1”)までは、第1実施形態の細胞観察情報処理システム10と略同じである。
次いで、継代有無情報取得部11aが、継代有無判別部11a1’により、観察当日の継代有無判別用情報に基づき、前回の観察時点における細胞に対する作業が継代作業であるか否かを判別し、判別結果を継代有無情報として生成する(ステップS2”〜 ステップS6”)。
詳しくは、
図11の例においては、観察当日が8月1日である場合、細胞数又は細胞密度が所定の下方閾値以上となっている。この場合、継代有無判別部11a1’は、前回の観察時点(8月1日の直前の観察時点)の細胞に対する作業を非継代作業と判別する。そして、継代有無情報取得・生成部11aは、前回の観察時点(8月1日の直前の観察時点)の細胞に対する作業が『非継代作業』であることを示す継代有無情報を生成する(ステップS2”、ステップS6”)。
また、観察当日が8月2日である場合、細胞数又は細胞密度が所定の下方閾値を下回っている。また、記録部13に保存されている前回の観察時点(8月1日)の細胞数又は細胞密度が所定の上方閾値以上となっている。この場合、継代有無判別部11a1’は、前回の観察時点(8月1日)の細胞に対する作業を継代作業と判別する。そして、継代有無情報取得・生成部11aは、前回の観察時点(8月1日)の細胞に対する作業が『継代作業』であることを示す継代有無情報を生成する(ステップS2”〜ステップS5”)。
【0128】
なお、
図11の例では該当しないが、継代有無判別部11a1’は、観察当日の細胞数又は細胞密度が所定の下方閾値を下回り、かつ、前回の観察時点の細胞数又は細胞密度が所定の上方閾値を下回る場合には、前回の観察時点の細胞に対する作業を非継代作業と判別する。そして、継代有無情報取得・生成部11aは、前回の観察時点の細胞に対する作業が『非継代作業』であることを示す継代有無情報を生成する(ステップS2”〜ステップS4”、ステップS6”)。
次いで、第1実施形態の細胞観察情報処理システム10と略同様に、継代数取得・生成部11bによる過去の継代有無情報に基づく、観察当日の継代数の生成(ステップS7’〜 ステップS9’)を行う。
次いで、保存部12が、継代数取得・生成部11bにより生成された観察当日の継代有無情報、継代数を検索用タグとして、観察情報に付与し、記録部13に保存する(ステップS10’)。
【0129】
第3実施形態の細胞観察情報処理システム10によれば、継代有無情報取得・生成部11aが、さらに、少なくとも第nの観察時点における継代有無判別用情報に基づき、第n−1の観察時点における細胞に対する作業が継代作業であるか否かを判別する継代有無判別部11a1’を備え、継代有無判別部11a1’による継代作業であるか否かの判別結果を過去の継代有無情報として生成するように構成したので、継代有無情報が検索用タグとして記録部13に保存されていなくも、継代有無情報取得部11aにより第n−1の観察時点における継代有無情報を取得又は生成でき、取得又は生成した第n−1の観察時点における継代有無情報に基づき、継代数取得・生成部11bにより第nの観察時点における継代数を取得又は生成することができるようになる。その結果、ユーザは、観察当日において観察情報に付与すべき検索用タグの一つとしての継代数として正しい値を得ることが可能となる。そして、ユーザによる継代数の入力が不要となり、ユーザの継代数の入力ミスを無くすことができる。
また、第3実施形態の細胞観察情報処理システム10において、継代有無判別部11a1’を、第n−1の観察時点における細胞の細胞数又は細胞密度が所定の上方閾値以上であり、かつ、第nの観察時点における細胞の細胞数又は細胞密度が所定の下方閾値を下回る場合に、第n−1の観察時点における細胞に対する作業が継代作業であると判別するように構成することで、継代数取得・生成部11bにより第nの観察時点における継代数をより高精度に取得又は生成することができる。
【0130】
なお、第3実施形態の観察情報処理システム10における、例えば、
図14のステップS2”〜ステップS6”に示したような、継代有無情報取得生成部11aの継代有無判別部11a1’を介した第n−1の観察時点における細胞に対する作業が継代作業であるか否かの判別結果に基づき、継代有無情報を取得又は生成する構成は、第1実施形態及び第2実施形態の観察情報処理システム10において、例えば、
図6のステップS2、
図10のステップS2’に示したような、第n−1の観察時点における継代有無情報を取得又は生成するための構成として適用可能である。
【0131】
また、
図11の例では、細胞観察情報処理システム10を、継代有無情報取得・生成部11aと、継代数取得・生成部11bを備える構成としたが、この例に限定されるものではなく、例えば、さらに、保存部12を備えて構成してもよい。
【0132】
第4実施形態
図15は本発明の第4実施形態にかかる細胞観察情報処理システムにおける継代有無情報取得部による前回の継代有無情報の取得又は生成、継代数取得・生成部による継代数の取得又は生成を行う際の対象となるデータの選別方法の例を概念的に示す説明図であり、(a)はその一例を示すデータ構成図、(b)は他の例を示すデータ構成図である。
第4実施形態の細胞観察情報処理システム10は、第1〜第3実施形態のいずれかの細胞観察情報処理システム10において、保存部12を備えている。
保存部12は、継代有無情報取得・生成部11aにより取得又は生成された第1〜第n−1の継代有無情報のそれぞれを検索用タグとして、観察情報取得部20により取得された第1〜第n−1の観察情報のそれぞれに付与するとともに、さらに、第1〜第n−1の観察情報のそれぞれに、その観察情報が示す細胞を識別するための細胞識別情報をそれぞれ検索用タグとして付与して、記録部13に保存するように構成されている。
継代有無情報取得・生成部11aは、例えば、
図15(a)に示すように、細胞識別情報のタグに基づき、記録部13の中から、同一の細胞に関する過去の継代有無情報を取得する。
継代数取得・生成部11bは、継代有無情報取得・生成部11aにより取得又は生成された同一の細胞に関する過去の継代有無情報に基づき、第nの継代数を取得又は生成する。
【0133】
図15(a)の例では、継代有無情報取得・生成部11aは、細胞名『CHO1』を検索キーとして、記録部13に保存されている検索用タグ付き観察情報を検索する。そして、抽出された前回の観察時点(ここでは、8月1日としている)の検索用タグ付き観察情報の継代有無情報を取得する。また、継代数取得・生成部11bは、継代有無情報取得・生成部11aにより取得された継代有無情報に基づき、観察当日(ここでは、8月2日としている)の継代数を生成する。
【0134】
なお、第4実施形態の細胞観察情報処理システム10の他の例として、保存部12は、さらに、第1〜第n−1の観察情報のそれぞれに、その観察情報を観察したユーザを識別するためのユーザ識別情報をそれぞれ検索用タグとして付与して、記録部13に保存するように構成してもよい。
その場合、継代有無情報取得・生成部11aは、例えば、
図15(b)に示すように、細胞識別情報のタグとユーザ識別情報のタグとに基づき、記録部13の中から、同一の細胞、かつ同一のユーザに関する過去の継代有無情報を取得するように構成する。
また、継代数取得・生成部11bは、継代有無情報取得・生成部11aにより取得又は生成された同一の細胞、かつ同一のユーザに関する過去の継代有無情報に基づき、第nの継代数を取得又は生成するように構成する。
【0135】
図15(b)の例では、継代有無情報取得・生成部11aは、細胞名『CHO1』及びユーザID『ユーザ1』を検索キーとして、記録部13に保存されている検索用タグ付き観察情報を検索する。そして、抽出された前回の観察時点(ここでは、8月1日としている)の検索用タグ付き観察情報の継代有無情報を取得する。また、継代数取得・生成部11bは、継代有無情報取得・生成部11aにより取得された継代有無情報に基づき、観察当日(ここでは、8月2日としている)の継代数を生成する。
【0136】
その他の構成は、第1〜第3実施形態のいずれかの細胞観察情報処理システム10と略同じである。
【0137】
第4実施形態の
図15(a)の例の細胞観察情報処理システム10によれば、保存部12が、第1〜第n−1の観察情報のそれぞれに、その観察情報が示す細胞を識別するための細胞識別情報をそれぞれ検索用タグとして付与して、記録部13に保存し、継代有無情報取得・生成部11aが、細胞識別情報のタグに基づき、記録部13の中から、同一の細胞に関する過去の継代有無情報を取得し、継代数取得・生成部11bが、継代有無情報取得・生成部11aにより取得又は生成された同一の細胞に関する過去の継代有無情報に基づき、第nの継代数を取得又は生成するようにしたので、当該細胞種に属する細胞サンプルや当該細胞名が付与された細胞サンプルについての第nの継代数を正確かつ効率的に取得又は生成できる。
【0138】
また、
図15(b)の例の細胞観察情報処理システム10によれば、保存部12が、第1〜第n−1の観察情報のそれぞれに、その観察情報を観察したユーザを識別するためのユーザ識別情報をそれぞれ検索用タグとして付与して、記録部13に保存し、継代有無情報取得・生成部11aが、細胞識別情報のタグとユーザ識別情報のタグとに基づき、記録部13の中から、同一の細胞、かつ同一ユーザに対応する過去の継代有無情報を取得又は生成し、継代数取得・生成部11bが、継代有無情報取得・生成部11aにより取得又は生成された同一の細胞、かつ同一のユーザに対応する過去の継代有無情報に基づき、第nの継代数を取得又は生成するようにしたので、異なる細胞サンプルに対して、異なるユーザが同じ細胞名を付与する場合であっても、当該ユーザの管理下にある細胞サンプルについての第nの継代数を正確かつ効率的に取得又は生成することができる。
【0139】
第5実施形態
図16は本発明の第5実施形態にかかる細胞観察情報処理システムの構成を示す説明図である。
第5実施形態の細胞観察情報処理システム10は、継代有無情報取得・生成部11aと、継代数取得・生成部11bと、継代有無情報出力部19を備えている。
継代有無情報取得・生成部11aの構成は、第1実施形態の継代有無情報取得・生成部11aと略同じである。
継代有無情報出力部19は、継代有無情報取得・生成部11aにより取得又は生成された過去の継代有無情報、更には、過去の継代有無情報が示す継代作業又は非継代作業についての履歴情報(過去の継代作業日、継代数のうちの少なくとも一つ以上の情報)を提示部18に出力する。
提示部18は、継代有無情報出力部11aにより出力された過去の継代有無情報をユーザに提示するとともに、継代数入力部21を介して継代数の入力をユーザから受け付けるように構成されている。
継代数取得・生成部11bは、提示部18により提示された過去の継代有無情報を参照したユーザにより、提示部18において継代数入力部21を介して入力された継代数を第n(観察当日)の継代数として取得する。
その他、提示部18は、
図3(a)、
図3(b)に示したタグ取得画面18dを有するとともに、第1実施形態と同様のタグ取得部を有している。
【0140】
このように構成された第5実施形態の細胞観察情報処理システム10を用いた、観察情報の取得から、過去の継代有無情報の取得、過去の継代有無情報の提示部18への出力、提示部18においてユーザにより入力された観察当日の継代数に基づく観察当日の継代数の取得、観察当日の継代数を含む検索用タグが付与された観察情報の記録部13への保存までの処理の流れを、
図17を用いて説明する。
なお、ここでは、観察当日を8月2日、過去の観察時点を前回の観察時点である8月1日とする。
【0141】
ユーザによる画像撮像指示画面からの入力・観察画像取得指示、観察情報取得部20による観察情報の取得、継代有無情報取得・生成部11aによる過去の継代有無情報の取得までは、第1実施形態の細胞観察情報処理システム10と略同じである。
次いで、継代有無情報出力部19が、継代有無情報取得・生成部11aにより取得された過去の継代有無情報、更には、過去の継代有無情報が示す継代作業又は非継代作業についての履歴情報を提示部18のタグ入力画面に出力する。
図17の例では、タグ入力画面には、過去の継代有無情報『継代作業』、過去の継代作業日『8月1日』、8月1日の継代数“4”が、それぞれ表示されている。
ユーザは、提示部18のタグ入力画面に表示されたこれらの情報を参照しながら、継代数入力部21を介して、提示部に設けられた継代数入力項目に、観察当日の継代数“5”を入力する。
図17の例では、前回の観察時点の継代有無情報が『継代作業』、前回の観察時点の継代数“4”が提示部18を介して参照できるため、ユーザは、入力すべき観察当日の継代数が、前回の観察時点の継代数“4”に1を加えた値“5”であると認識できる。なお、提示部18において、前回の観察時点の継代有無情報として『非継代作業』が表示されている場合、ユーザは、入力すべき観察当日の継代数が、前回の観察時点の継代数の値と同じ値であると認識できる。
ユーザによる観察当日の継代数の入力が完了後、継代数取得・生成部11bは、ユーザにより入力された継代数を観察当日の継代数として取得する。
次いで、保存部12は、タグ入力画面においてユーザにより入力され、タグ取得部により取得された細胞名等、細胞レベル情報、観察当日の日付等とともに、継代数取得・生成部11bにより取得された観察当日の継代数を検索用タグとして、観察情報に付与し、記録部13に保存する。
【0142】
第5実施形態の細胞観察情報処理システム10によれば、継代有無情報取得・生成部11aにより取得又は生成された過去の継代有無情報を提示部18に出力する継体有無情報出力部19をさらに備え、提示部18が、継体有無情報出力部19により出力された過去の継代有無情報をユーザに提示するとともに継代数の入力をユーザから受け付けるように構成し、継代数取得・生成部11bが、提示部18により提示された過去の継代有無情報を参照したユーザにより提示部18を介して入力された継代数を第nの継代数として取得するように構成したので、前回の観察時点に細胞に対して行ったメンテナンス作業についての情報のうち、継代有無情報をユーザに確認させることができ、ユーザによる細胞に対して行ったメンテナンス作業の内容に関する勘違いを防止して、継代数の入力間違いを防止できる。
しかも、第5実施形態の細胞観察情報処理システム10によれば、継体有無情報出力部19が、過去の継代有無情報が示す継代/非継代作業の履歴情報をさらに提示部18に出力し、提示部18が、継体有無情報出力部19により出力された履歴情報をさらにユーザに提示し、継代数取得・生成部11bが、提示部18により提示された過去の継代有無情報と履歴情報とを参照したユーザにより提示部18を介して入力された継代数を第nの継代数として取得するようにしたので、前回の細胞に対して行ったメンテナンス作業についての情報として、継代有無情報に加えて、細胞の過去の継代作業であることが示された日や継代作業であることが示された日における継代数等の履歴情報をユーザに確認させることができ、ユーザによる細胞に対して行ったメンテナンス作業の内容に関する勘違いに加えて継代数のカウントに関する勘違いを防止し、継代数の入力間違いを防止できる。
【0143】
なお、第5実施形態の細胞観察情報処理システム10においては、好ましくは、ユーザにより入力された継代数とは別に、過去の継代有無情報に基づき継代数を自動的に生成し、ユーザにより入力された継代数を、自動的に生成した継代数との比較に基づきチェックできるようにするとよい。
【0144】
図18は
図16の一変形例にかかる細胞観察情報処理システムの構成を示す説明図である。
図18の例の細胞観察情報処理システム10は、継代有無情報取得・生成部11aと、継代数取得・生成部11bと、継代有無情報出力部19と、通知部24を備えている。
継代数取得・生成部11bは、
図16の例における継代数取得・生成部11bの構成に加えて、さらに、ユーザにより入力された継代数とは別に、継代有無情報取得・生成部11aにより取得された過去の継代有無情報に基づき入力チェック用の第nの継代数を自動的に生成するように構成されている。
通知部24は、ユーザにより入力された継代数と、継代数取得・生成部11bにより自動的に生成された入力チェック用の第nの継代数とを比較し、両者の値が異なる場合に、継代数の入力に関する警告情報をユーザに通知するように構成されている。なお、通知部24は、提示部18への警告メッセージの出力、警告音の発声等、ユーザに通知することができるものであれば、どのような構成であってもよい。
その他の構成は、
図16の例の細胞観察情報処理システム10と略同じである。
【0145】
このように構成された
図18の細胞観察情報処理システム10を用いた、観察情報の取得から、過去の継代有無情報の取得、過去の継代有無情報の提示部18への出力、提示部18においてユーザにより入力された観察当日の継代数に基づく観察当日の継代数の取得及び過去の継代有無情報に基づく観察当日の継代数の自動生成、ユーザにより入力された観察当日の継代数と自動生成した継代数との比較に基づく警告情報の通知、観察当日の継代数を含む検索用タグが付与された観察情報の記録部13への保存までの処理の流れを、
図19を用いて説明する。
【0146】
ユーザによる画像撮像指示画面からの入力・観察画像取得指示、観察情報取得部20による観察情報の取得、継代有無情報取得・生成部11aによる過去の継代有無情報の取得、継代有無情報出力部19による過去の継代有無情報、更には、過去の継代有無情報が示す継代作業又は非継代作業についての履歴情報を提示部18のタグ入力画面に出力、ユーザによる観察当日の継代数の入力までは、
図16の例の細胞観察情報処理システム10と略同じである。
ユーザによる観察当日の継代数の入力が完了後、継代数取得・生成部11bが、ユーザにより入力された継代数を観察当日の継代数として取得するとともに、さらに、ユーザにより入力された継代数とは別に、継代有無情報取得・生成部11aにより取得された過去の継代有無情報に基づき入力チェック用の第nの継代数を自動的に生成する。
次いで、通知部24が、ユーザにより入力された継代数と、継代数取得・生成部11bにより自動的に生成された入力チェック用の第nの継代数とを比較し、両者の値が異なる場合に、継代数の入力に関する警告情報をユーザに通知する。
それ以降の処理の流れは、
図16の例の細胞観察情報処理システム10と略同じである。
【0147】
図18の例の細胞観察情報処理システム10によれば、ユーザにより入力された継代数と、継代数取得・生成部により自動的に生成された入力チェック用の第nの継代数とが異なる場合に、警告情報をユーザに通知するようにしたので、ユーザが入力した継代数に誤りの疑いが生じた場合に、ユーザに対し継代数を確認させることによって、ユーザによる継代数の入力誤りをより一層防止することができるようになる。
なお、
図18の例の場合には、タグ入力画面における継代数入力部21による継代数の入力の完了を確認する確認ボタンを設けてもよい。そのようにすれば、通知部24により警告情報が通知された場合に、ユーザが継代数を再入力することができる。
【0148】
第6実施形態
図20は本発明の第6実施形態にかかる細胞観察情報処理システムを用いた、観察情報の取得から、過去の継代有無情報の取得、過去の継代有無情報と継代数とに基づく観察当日の継代数の取得、観察当日の継代数を含む検索用タグが付与された観察情報の記録部への保存までの処理の流れを模式的に示す説明図である。
第6実施形態の細胞観察情報処理システム10の基本構成は、
図1に示した構成と略同じである。
継代有無情報取得・生成部11aは、記録部13内の前回(第n−1)の観察時点の継代有無情報を含む過去の継代有無情報を取得する。
継代数取得・生成部11bは、第n−1の継代有無情報と、第n−1の継代有無情報に対応する第n−1の継代数とに基づき、観察当日(第n)の継代数を生成する。
詳しくは、継代数取得・生成部11bは、第n−1の継代有無情報が『継代作業』であることを示す情報である場合、第n−1の継代数に1を加えた値を観察当日の継代数として生成する。また、継代数取得・生成部11bは、第n−1の継代有無情報が『非継代作業』であることを示す情報である場合、第n−1の継代数を観察当日の継代数として生成する。
【0149】
例えば、
図20の例において、観察当日が8月2日である場合、継代情報取得・生成部11aは、記録部13に保存されている前回の観察時点である8月1日の継代有無情報を含む過去(8月1日以前)の継代有無情報を取得する。8月1日の継代有無情報は『継代作業』を示している。また、8月1日の検索用タグ付き観察情報のレコードの中の継代数は“4”を示している。そこで、継代数取得・生成部11bは、8月1日の継代数“4”に1を加えた“5”を、観察当日である8月2日の継代数として生成する。
また、例えば、
図20の例において、観察当日が8月3日である場合、継代情報取得・生成部11aは、記録部13に保存されている前回の観察時点である8月2日の継代有無情報を含む過去(8月2日以前)の継代有無情報を取得する。8月2日の継代有無情報は『非継代作業』を示している。また、8月2日の検索用タグ付き観察情報のレコードの中の継代数は“5”を示している。そこで、継代数取得・生成部11bは、8月2日の継代数“5”を、観察当日である8月3日の継代数として生成する。
次いで、保存部12が、継代数取得・生成部11bにより生成された継代数を検索用タグとして、観察情報に付与し、記録部13に保存する。
【0150】
第6実施形態の細胞画像情報処理システム10によれば、過去の継代有無情報が、第n−1の観察時点における第n−1の継代有無情報を含み、過去の継代数が、第n−1の継代有無情報に対応する第n−1の継代数を含み、継代数取得・生成部11bが、第n−1の継代有無情報と、第n−1の継代数とに基づき、第nの継代数を生成するようにしたので、観察当日の継代数を自動的に算出できる。
【0151】
第7実施形態
図21は本発明の第7実施形態にかかる細胞観察情報処理システムを用いた、観察情報の取得から、過去の継代有無情報の取得、過去の継代有無情報と継代数とに基づく観察当日の継代数の取得、観察当日の継代数を含む検索用タグが付与された観察情報の記録部への保存までの処理の流れを模式的に示す説明図である。
第7実施形態の細胞観察情報処理システム10の基本構成も、
図1に示した構成と略同じである。
継代有無情報取得・生成部11aは、記録部13内の前回(第n−1)の観察時点の継代有無情報と、前々回(第n−2)以前の観察時点の継代有無情報を含む過去の継代有無情報を取得する。
継代数取得・生成部11bは、過去の観察時点のうちで、細胞に対する作業が継代作業であり、かつ最新の観察時点を特定する。そして、継代数取得・生成部11bは、特定した最新の観察時点における最新の継代有無情報に対応する継代数に基づき、観察当日(第n)の継代数を生成する。例えば、継代数取得・生成部11bは、上記のようにして特定した最新の観察時点における、最新の継代有無情報に対応する継代数に1を加えた値を観察当日の継代数として生成する。
【0152】
ここで、
図21の例において、観察当日が8月8日である場合について詳細に説明する。
継代有無情報取得・生成部11aは、8月7日以前(ここでは8月7日〜8月1日)の観察時点の継代有無情報を取得する。
継代数取得・生成部11bは、8月7日以前の観察時点の継代有無情報のうちで、『継代作業』であることを示す情報が示された最新の観察時点として8月6日を特定する。次いで、継代数取得・生成部11は、8月6日の継代有無情報に対応する継代数“5”に1を加えた値“6”を観察当日(8月8日)の継代数として生成する。
【0153】
また、
図21の例において、観察当日が8月6日である場合について詳細に説明する。
継代有無情報取得・生成部11aは、8月5日以前(ここでは8月5日〜8月1日)の観察時点の継代有無情報を取得する。
継代数取得・生成部11bは、8月5日以前の観察時点の継代有無情報のうちで、『継代作業』であることを示す情報が示された最新の観察時点として8月1日を特定する。次いで、継代数取得・生成部11は、8月1日の継代有無情報に対応する継代数“4”に1を加えた値“5”を観察当日(8月6日)の継代数として生成する。
次いで、保存部12が、継代数取得・生成部11bにより生成された継代数を検索用タグとして、観察情報に付与し、記録部13に保存する。
【0154】
第7実施形態の細胞観察情報処理システム10によれば、前回(n−1)の観察時点における継代有無情報、継代数を用いなくても、観察当日の継代数を自動的に算出できる。
【0155】
第8実施形態
図22は本発明の第8実施形態にかかる細胞観察情報処理システムの構成を示す説明図である。
第8実施形態の細胞観察情報処理システム10は、
図1に示した基本構成に加えて、さらに、警告情報出力部26を備えている。
継代有無情報取得・生成部11aは、記録部13内の第k(kは1以上n−1以下の整数)の観察時点における第kの継代有無情報を含む過去の継代有無情報を取得する。
継代数取得・生成部11bは、第kの継代有無情報に基づき、第kの観察時点における細胞に対する作業が継代作業であるか否かを特定する。そして、継代数取得・生成部11bは、第kの観察時点のうちで、『継代作業』であると特定した最新の観察時点における継代数に1を加算した値を観察当日の継代数として生成する。
警告情報出力部26は、第kの観察時点のうちで、継代数取得・生成部11bにより『継代作業』であると特定された最新の観察時点から第n(観察当日)の観察時点までの経過日数と、所定の基準日数とに基づき、警告情報を提示部18に出力しうるように構成されている。
【0156】
詳しくは、警告情報出力部26は、継代数取得・生成部11bにより『継代作業』であると特定された最新の観察時点から第n(観察当日)の観察時点までの経過日数が、所定の基準日数を下回るときには、前回の継代作業を行った観察時点から観察当日に到達するまでの間に継代作業が行われていないものと判断する。その場合には警告情報出力部26は、警告情報を提示部18に出力しない。
一方、警告情報出力部26は、継代数取得・生成部11bにより『継代作業』であると特定された最新の観察時点から第n(観察当日)の観察時点までの経過日数が、所定の基準日数以上であるときには、前回の継代作業を行った観察時点から観察当日に到達するまでの間に別途継代作業が行われていたにもかかわらず、当該継代作業を行った観察日における継代有無情報が記録部13へ保存されていないか、又は、記録部13へ保存された継代有無情報が誤っているものと判断する。その場合には警告情報出力部26は、警告情報を提示部18に出力する。
なお、所定の基準日数としては、例えば、システムが図示しない算出手段を用いて自動的に算出した過去の細胞の継代間隔日数の平均値が挙げられる。あるいは、ユーザが図示しない指定手段を介して指定した日数であってもよい。また、所定の基準日数は、細胞の種類ごとに予め定められたものを用いてもよい。
提示部18は、警告情報出力部26により出力された警告情報をユーザに提示する。
【0157】
このように構成された
図22の細胞観察情報処理システム10を用いた、観察情報の取得から、過去の継代有無情報の取得、過去の継代有無情報における継代作業が行われた最新の観察時点の特定、特定した観察時点の継代数に基づく観察当日の継代数の取得、上記特定された最新の観察時点から観察当日までの経過日数と所定の基準日数とに基づく警告情報の出力、観察当日の継代数を含む検索用タグが付与された観察情報の記録部への保存までの処理の流れを、
図23を用いて説明する。
なお、ここでは、観察当日を8月26日、所定の基準日数を平均継代日数5日とする。
また、
図23の下欄の検索タグ付き観察情報のレコードは、便宜上、継代作業が行われたときのデータのみを抽出して示している。
【0158】
ユーザによる画像撮像指示画面からの入力・観察画像取得指示、観察情報取得部20による観察情報の取得までは、各実施形態の細胞観察情報処理システム10と略同じである。
継代有無情報取得・生成部11aは、8月25日以前(ここでは8月25日〜8月1日)の観察時点の継代有無情報を取得する。
継代数取得・生成部11bは、8月25日〜8月1日の観察時点における細胞に対する作業が継代作業であるか否かを特定する。
図23の例では、上述したように、継代作業である観察時点のデータのみが示されている。そして、継代数取得・生成部11bは、『継代作業』であると特定した最新の観察時点である8月16日における継代数“7”に1を加算した値“8”を観察当日である8月26日の継代数として生成する。
ここで、警告情報出力部26は、継代数取得・生成部11bにより『継代作業』であると特定された最新の観察時点である8月16日から第nの観察時点(観察当日)である8月26日までの経過日数(10日)と、所定の基準日数(ここでは、細胞の平均継代間隔日数『5日』)とを比較する。
図23の例では、『継代作業』であると特定された最新の観察時点から観察当日までの経過日数が、所定の基準日数を上回っている。このため、警告情報出力部26は、警告情報を提示部18に出力する。
なお、保存部12は、継代数取得・生成部11bにより生成された継代数を検索用タグとして、観察情報に付与し、記録部13に保存する。
【0159】
第8実施形態の細胞観察情報処理システム10によれば、警告情報出力部26が、継代数取得・生成部11bにより継代作業であると特定された最新の観察時点から第nの観察時点までの経過日数が、所定の基準日数以上である場合に、警告情報を提示部18に出力するようにしたので、継代作業を行った事実をデータベースファイルに保存していなかった観察日が存在することをユーザに通知して、ユーザに対し、観察当日の継代数の値が正しいか否かの注意を喚起させるとともに、データベースファイルへの保存漏れを防止するよう注意喚起させることができる。
【0160】
第9実施形態
図24は本発明の第9実施形態にかかる細胞観察情報処理システムの要部構成を示す説明図である。
図25は
図24の細胞観察情報処理システムを用いた、第1〜第nのタグ付き観察情報の抽出から、継代数が設定されていない最古の観察時点の検索タグ付き観察情報の特定、一括した継代数の生成及び継代数のタグ付き観察情報の記録部への保存を行うまでの処理手順の一例を示すフローチャートである。
図26は
図24の細胞観察情報処理システムを用いて、継代数が一括生成される検索用タグ付き観察情報レコードの一例に示す説明図で、(a)は一括処理前の検索用タグ付き観察情報レコードを示す図、(b)は継代数が示されていない最古の観察時点の検索用タグ付き観察情報レコードに継代数を付与したときの状態を示す図、(c)は最新の観察時点までの検索用タグ付き観察情報レコードに継代数を付与したときの状態を示す図である。
【0161】
第9実施形態の細胞観察情報処理システム10は、既に記録部13に保存済みの継代有無情報が付与された検索用タグ付き観察情報に対し、後から一括して継代数を生成して付与することができるように構成されている。
詳しくは、第9実施形態の細胞観察情報処理システム10は、継代有無情報取得・生成部11aと、継代数取得・生成部11bに加えて、観察情報一覧抽出部27と、一括処理制御部28を備えている。
観察情報一覧抽出部27は、記録部13に保存されている第1〜第nの観察時点の検索用タグ付き観察情報を抽出するように構成されている。
継代有無情報取得・生成部11aは、観察情報一覧抽出部27により抽出された第1〜第nの観察時点の検索用タグ付き観察情報のうち、継代数が設定されていない最古の観察時点である第m(m:1<m≦n)の観察時点の検索タグ付き観察情報を特定する。そして、後述する一括処理制御部28により制御されながら、第m−1の観察時点から第n−1の観察時点における継代有無情報を取得する。
継代数取得・生成部11bは、後述する一括処理制御部28により制御されながら、第m−1の観察時点から第n−1の観察時点における継代有無情報、継代数に基づき、第mの観察時点から第nの観察時点における継代数を取得又は生成する。
一括処理制御部28は、第mの観察時点から第nの観察時点における継代数の取得又は生成のための継代有無情報取得・生成部11a、継代数取得・生成部11b、(更には、保存部13)の作動を制御するように構成されている。
【0162】
このように構成された
図24の細胞観察情報処理システム10を用いた、第1〜第nのタグ付き観察情報の抽出から、継代数が設定されていない最古の観察時点の検索タグ付き観察情報の特定、一括した継代数の生成及び継代数のタグ付き観察情報の記録部への保存を行うまでの処理手順を、
図25及び
図26を用いて説明する。
なお、ここでは、
図26(a)に示すように、記録部13に8月1日〜8月8日の観察時点の検索用タグ付き観察情報が記録部13に保存されており、そのうち、8月1日の観察時点の検索用タグ付き観察情報には継代数が設定されており、8月2日〜8月8日の観察時点の検索用タグ付き観察情報には、継代数が設定されていないものとする。
図26(a)の例のように、継代有無情報が付与される一方、継代数が付与されない状態で記録部13に保存されるデータ形態は、例えば、観察情報取得部20と継代有無情報取得・設定部11aと保存部12とを備えた別の装置が、別の場所に存在していて、ユーザがその装置から継代数以外の検索用タグを観察情報に付与して記録部13に保存するような場合に起こりうる。
【0163】
まず、観察情報一覧抽出部27が、記録部13に保存されている第1〜第nの観察時点の検索用タグ付き観察情報を抽出する(ステップS1”’)
次いで、継代有無情報取得・生成部11aが、観察情報一覧抽出部27により抽出された第1〜第nの観察時点の検索用タグ付き観察情報のうち、継代数が設定されていない最古の観察時点である第m(m:1<m≦n)の観察時点の検索タグ付き観察情報を特定する(ステップS2”’)。
図26(a)の例では、第mの観察時点の検索用タグ付き観察情報として、8月2日の検索用タグ付き観察情報が特定される。
ここで、一括処理制御部28が、特定された8月2日の観察時点を一括処理における当該処理時点を示す値(
図26(a)の例では“j”)として設定する(ステップS3”’)。
【0164】
次いで、継代有無情報取得・生成部11aが、当該処理時点(第j)より一つ前(第j−1)の観察時点における継代有無情報を取得する(ステップ4”’)。
図26の例では、当該処理時点の初期値“j”が8月2日であり、その一つ前(第j−1)の観察時点である8月1日の検索用タグ付き観察情報データでは、継代有無情報は『継代作業』を示す情報が設定されている。
次いで、継代数取得・生成部11bが、当該処理時点(第j)より一つ前(第j−1)の観察時点の継代有無情報、継代数に基づき、当該処理時点(第j)における継代数を取得又は生成する(ステップ5”’)。
図26(a)の例では、(第j−1)の観察時点である8月1日は、継代有無情報が『継代作業』を示す情報、継代数は“4”が設定されている。この場合、継代数取得・生成部11bは、上述した各実施形態と同様、継代数に1を加えた値“5”を、当該処理時点(第j)における継代数として生成する。
次いで、保存部12は、継代数取得・生成部11bにより生成された継代数を検索用タグとして、観察情報に付与し、記録部13に保存する(ステップS6”’)。このときの検索用タグ付き観察情報レコードの状態を
図26(b)に示す。
【0165】
次いで、一括処理制御部28が、当該処理時点(第j)が最新の観察時点(第n)に到達したか否かをチェックする(ステップS7”’)。そして、一括処理制御部28は、当該処理時点(第j)が最新の観察時点(第n)に到達するまで、次の観察時点(第j+1)を当該観察時点(第j)への設定(ステップS8”’)、並びにステップS4”’〜ステップS7”’の処理を繰り返す。継代数の一括生成処理が終了し、最新の観察時点までの検索用タグ付き観察情報レコードに継代数を付与したときの状態を
図26(c)に示す。
【0166】
第9実施形態の細胞観察情報処理システム10によれば、細胞数のタグを付与する時点を、観察情報を取得し検索用タグを付与して記録部に保存する時点と異ならせるようにすると、細胞の観察情報を取得する当該時に、取得した観察情報に付与する検索用タグとして継代数を取得又は生成するための処理を省くことができる。これにより、細胞をインキュベータの外部に出しておく時間を短縮化でき、観察情報取得時に細胞に与えるダメージを抑えることができる。また、継代数の一括取得又は生成のためにユーザの操作を介在させた場合においては、ユーザの操作する時点が観察情報を取得する時点と異なり、細胞にダメージを与えることがないため、ユーザは、時間をかけて継代数の入力誤りをチェックした操作ができるようになる。
なお、第9実施形態の細胞観察情報処理システムにおける構成は、本発明の細胞観察情報処理システムの一部の構成を示したに過ぎず、もちろん、他の実施形態における細胞観察情報処理システムと組み合わせた構成とすることが可能である。
【0167】
図27は発明の第10実施形態にかかる細胞観察情報処理システムを用いた、第1〜第nのタグ付き観察情報の抽出から、継代数が設定されていない最古の観察時点の検索タグ付き観察情報の特定、一括した継代数の生成及び継代数のタグ付き観察情報の記録部への保存を行うまでの処理手順の一例を示すフローチャートである。
図28は
図27の細胞観察情報処理システムを用いて、継代数が一括生成される検索用タグ付き観察情報レコードの一例に示す説明図で、(a)は一括処理前の検索用タグ付き観察情報レコードを示す図、(b)は継代数が示されていない最古の観察時点の検索用タグ付き観察情報レコードに継代数を付与したときの状態を示す図、(c)は最新の観察時点までの検索用タグ付き観察情報レコードに継代数を付与したときの状態を示す図である。
【0168】
第10実施形態の細胞観察情報処理システム10は、継代有無情報がデータ項目としてない、又はデータとして設定されていない、既に記録部13に保存済みの検索用タグ付き観察情報に対し、後から一括して継代数を生成して付与することができるように構成されている。
第10実施形態の細胞観察情報処理システム10は、継代有無情報取得・生成部11aによる第m−1の観察時点から第n−1の観察時点における継代有無情報の取得・生成方法が第9実施形態の細胞観察情報処理システム10とは異なる。即ち、継代有無情報取得・生成部11aは、観察情報一覧抽出部27により抽出された第1〜第nの観察時点の検索用タグ付き観察情報のうち、継代数が設定されていない最古の観察時点である第m(m:1<m≦n)の観察時点の検索タグ付き観察情報を特定する。そして、一括処理制御部28により制御されながら、第m−1の観察時点から第n−1の観察時点における細胞数又は細胞密度等の細胞の活性度データに基づき、第m−1の観察時点から第n−1の観察時点における継代有無情報を生成する。
その他の構成及び作用は、
図24に示した第9実施形態の細胞観察情報処理システム10の構成及び作用と略同じである。
【0169】
第10実施形態の細胞観察情報処理システム10によれば、継代有無情報がデータ項目としてない、又はデータとして設定されていない、既に記録部13に保存済みの検索用タグ付き観察情報に対し、後から一括して継代数を生成して付与することができるようにしたので、第9実施形態の細胞観察情報処理システム10による効果に加えて、さらに、細胞の観察情報を取得する当該時に、取得した観察情報に付与する検索用タグとして継代有無情報を取得又は生成するための処理を省くことができる。これにより、細胞をインキュベータの外部に出しておく時間をより短縮化でき、観察情報取得時に細胞に与えるダメージをより抑えることができる。
【0170】
このように、本発明の幾つかの実施形態によれば、細胞等の観察情報に付与するべきタグの一つである継代数についてのユーザの入力ミスを防止可能な、細胞観察情報処理システム、細胞観察情報処理方法、細胞観察情報処理プログラム、細胞観察情報処理システムに備わる記録部、細胞観察情報処理システムに備わる装置が得られる。
【0171】
以上、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムの実施形態を説明したが、細胞観察情報処理システムは、例えば、装置本体1に設けられたコンピュータを、観察情報取得部を介して、細胞画像、細胞数・細胞密度・形状・生存率などの細胞の活性度を示す活性度データ、観察名などの細胞の観察結果を示す第1〜第nの観察情報を時系列的に取得する第1〜第nの観察時点のうちの第1〜第n−1の観察時点における細胞に対する作業が継代作業であるか否かを表す第1〜第n−1の継代有無情報のうち、少なくとも一つ以上の継代有無情報を、過去の継代有無情報として取得又は生成する継代有無情報取得・生成手段、前記継代有無情報取得・生成手段により取得された前記過去の継代有無情報に基づき、自動的に又はユーザの操作を介して、第nの観察時点における第nの継代数を取得又は生成する継代数取得・生成手段、として機能させるための細胞観察情報処理プログラムで構成してもよい。
【0172】
また、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムは、細胞観察情報処理プログラムを装置本体1に設けられたコンピュータに備える構成の他にも、例えば、装置本体1に設けられたコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録した構成であってもよい。
【0173】
また、本発明の実施形態の細胞観察情報処理システムは、例えば、
図2に示したように、継代有無情報取得・生成部11aと、継代数取得・生成部11bとが、保存部12、記録部13、提示部18、継代有無選択指示部16、制御部25とともに、一つの装置本体1に備える構成に限定されるものではなく、例えば、
図29、
図30に変形例として示すように、継代有無情報取得・生成部11aと、継代数取得・生成部11bを、複数の装置に分散して設ける構成としてもよい。
【0174】
図29は本発明の一変形例にかかる細胞観察情報処理システムの構成を示す説明図である。
本変形例の細胞観察情報処理システム10は、例えば、第2実施形態の細胞観察情報処理システム10における構成と同様に構成された継代有無情報取得・生成部11aが、観察情報取得部20と保存部12とともに観察処理装置1aに、第10実施形態の細胞観察情報処理システム10における構成と同様に構成された観察情報一覧抽出部27、継代有無情報取得・生成部11a、継代数取得・生成部11b及び一括処理制御部28が、保存部12とともに継代数付与装置1bに、記録部13が記録処理装置1cに、夫々備えられている。
観察処理装置1aは、例えば、撮像装置とコンピュータを備えた顕微鏡装置で構成されている。
継代数付与装置1bは、例えば、データベースソフトウェアを備えたコンピュータを内蔵して構成され、さらに、図示しない提示装置を備えている。
記録処理装置1cは、例えば、データベースファイルを格納した記憶装置で構成されている。
観察処理装置1aと記録処理装置1c、継代数付与装置1bと記録処理装置1bは、互いにネットワーク接続されている。
なお、保存部12、記録部13、観察情報取得部20の構成は、例えば、
図2に示した第1実施形態における構成と略同じである。
【0175】
このように構成された
図29の細胞観察情報処理システム10は、培養している細胞の観察情報を記録部13に保存する段階では、観察処理装置1aに備わる観察情報取得部20がユーザによる1時点での取得指示に対応して観察情報を取得する。次いで、継代有無情報取得部・生成部11aが、例えば、観察情報取得部20が取得したデータに基づき算出される活性度データ(細胞数、細胞密度)に基づき、観察当日の継代有無情報を取得する。次いで、観察処理装置1aに備わる保存部12が継代有無情報取得部11aにより取得された継代有無情報を検索用タグとして、観察情報に付与し、ネットワーク回線を経由して記録装置1cの記録部13に検索用タグ付き観察情報を保存する。
継代数付与装置1bでは、観察処理装置1aを介して記録装置1cの記録部13に保存済みの複数の継代数が設定されていない検索用タグ付き観察情報レコードに対し、第10実施形態で説明したのと同様の手順で、一括して継代数を生成して付与する。
【0176】
図29の細胞観察情報処理システム10によれば、細胞観察情報処理システム10を構成する観察情報取得時に、観察情報に検索用タグとして付与するための継代有無情報を取得又は生成する継代有無情報取得部・生成部11aと、記録部13に保存された継代数が設定されていない検索用タグ付き観察情報に対し、一括して継代数を生成するための継代有無情報取得・生成部11a及び継代数取得・生成部11bとを、夫々、複数の装置1a、1bに分散して備えたので、個々の装置を小型・簡素化することができる。しかも、観察情報取得時と、継代数取得生成時とで装置を異ならせることによって、細胞の観察情報を取得する当該時に、取得した観察情報に付与する検索用タグとして継代数を取得又は生成するための処理を省くことができる。これにより、細胞をインキュベータの外部に出しておく時間を短縮化でき、観察情報取得時に細胞に与えるダメージを抑えることができる。また、継代数の一括取得又は生成のためにユーザの操作を介在させた場合においては、ユーザの操作する時点が観察情報を取得する時点と異なり、細胞にダメージを与えることがないため、ユーザは、時間をかけて継代数の入力誤りをチェックした操作ができるようになる。
【0177】
図30は本発明の他の変形例にかかる細胞観察情報処理システムの構成を示す説明図である。
本変形例の細胞観察情報処理システム10は、複数の観察処理装置1a−1、1a−n(
図30では便宜上、n=2)において夫々観察情報を取得し、取得した夫々の観察情報に対し継代有無情報を検索用タグとして付与して記録処理装置1cの記録部13に保存する。そして、継代数付与装置1bにおいて、記録部13に保存された継代有無情報のタグ付きの観察データに対して、継代数を一括して生成して付与する構成となっている。
詳しくは、
図30の細胞観察情報処理システム10では、複数の観察処理装置1a−1、1a−nの夫々が、第2実施形態の細胞観察情報処理システム10における構成と同様に構成された継代有無情報取得・生成部11aを、観察情報取得部20と保存部12とともに備えている。
その他の構成は、
図29の細胞観察情報処理システム10と略同じである。
【0178】
このように構成された
図30の細胞観察情報処理システム10は、培養している細胞の観察情報を記録部に保存する段階では、複数の観察処理装置1a−1、1a−2の夫々において、観察情報取得部20がユーザによる1時点での取得指示に対応して観察情報を取得し、継代有無情報取得部・生成部11aが、例えば、観察情報取得部20が取得したデータに基づき算出される活性度データ(細胞数、細胞密度)に基づき、観察当日の継代有無情報を取得し、観察処理装置1a−1、1a−2に備わる保存部12が継代有無情報取得部11aにより取得された継代有無情報を検索用タグとして、観察情報に付与し、ネットワーク回線を経由して記録装置1cの記録部13に検索用タグ付き観察情報を保存する。
継代数付与装置1bでは、観察処理装置1a−1、1a−2を介して記録装置1cの記録部13に保存済みの複数の継代数が設定されていない検索用タグ付き観察情報レコードに対し、第10実施形態で説明したのと同様の手順で、一括して継代数を生成して付与する。
【0179】
図30の細胞観察情報処理システム10によれば、複数の観察処理装置1a−1、1a−n(
図30では便宜上、n=2)において夫々観察情報を取得し、取得した夫々の観察情報に対し継代有無情報を検索用タグとして付与して記録処理装置1cの記録部13に保存し、継代数付与装置1bにおいて、記録部13に保存された継代有無情報のタグ付きの観察データに対して、継代数を一括して生成して付与する構成としたので、ユーザが一つの観察処理装置1a−nの配置に拘束されることなく、所望の場所に設けられた観察処理装置を介して観察情報を取得し、それぞれの観察処理装置を介して取得した継代有無情報を検索用タグとして付与した、検索用タグ付き観察情報を、同一の記録部13に集中して記録することができ、利便性がより一層向上する。
また、複数の観察処理装置1a−1、1a−nにおいて、記録部13に保存された継代有無情報のタグ付きの観察データに対して、継代数を一括して生成して付与する構成としたので、各々の観察処理装置を小型軽量化し、夫々のユーザごとに専用の観察処理装置を携帯可能に構成することで、各ユーザは、細胞の観察情報を任意の場所で取得することができ、利便性がより一層向上する。
その他の構成及び作用効果は、
図29の変形例と略同じである。
【0180】
図31は本発明のさらに他の変形例にかかる細胞観察情報処理システムの構成を示す説明図である。
本変形例の細胞観察情報処理システム10は、例えば、
図2の細胞観察情報処理システム10の構成に、さらに、検索用タグ出力部29と、提示部18を備えて構成されている。
検索用タグ出力部29は、継代有無情報取得・生成部11aが取得又は生成した継代有無情報や、継代数取得・生成部11bが取得・生成した継代数などの検索用タグや、さらには、例えば、記録部13に保存されている前回の観察時点の細胞レベル情報や、細胞名などの検索用タグを、提示部18に出力する。
提示部18は、検索用タグ出力部29により出力された検索用タグを、
図3(a)、
図3(b)に示したような検索用タグ入力画面18dに提示する。
その他の構成及び作用効果は、例えば、
図2に示した第1実施形態における構成及び作用効果と略同じである。
なお、ここでは、
図2の細胞観察情報処理システムに適用した例を説明したが、本発明の細胞観察情報処理システム10に検索用タグ出力部29、提示部18を備える構成は、他の実施形態の細胞観察情報処理システムにおいても適用可能である。
【0181】
上記の実施例では、提示部は画面インタフェースであったが、他の変形例として、提示部は、音声インタフェース、視線インタフェースやジェスチャーインタフェースなどの他のユーザインタフェースであってもよい。例えば、提示部が音声インタフェースの場合、その提示部は、特開2012−252181号公報に開示されているような音声解析技術を用いて、継代作業であるか否かの選択指示や、その選択指示の受付を確認した旨の確認指示を音声によりユーザから受け付けてもよい。さらに、その提示部は、継代数取得・生成部により取得又は生成された継代数を音声で出力してもよい。
【0182】
また、例えば、提示部が視線インタフェースの場合、ユーザの視線が動く方向とその方向に対する文字とを対応付けた対応付け情報を提示部内に記憶しておき、提示部は、ユーザの視線の方向を視線検出センサなどの視線検出部で検出し、その検出したユーザの視線の方向と対応付け情報とをもとに、その方向に対応付けられた文字をユーザからの指示として取得するように構成してもよい。
【0183】
さらに、例えば、提示部がジェスチャーインタフェースの場合、ユーザの手、足や体幹等の体の部位が動く方向とその方向に対する文字とを対応付けた対応付け情報を提示部内に記憶しておき、提示部は、ユーザの体の部位の動作方向をジェスチャー検出センサなどのジェスチャー検出部で検出し、その検出したユーザの体の部位の動作方向と対応付け情報とをもとに、その方向に対応付けられた文字をユーザからの指示として取得するように構成してもよい。
なお、本変形例では、他のユーザインタフェースとして、音声インタフェースや視線インタフェース等を挙げたが、これらに限られるものではなく、例えば、脳波インタフェースによってユーザからの指示を取得するように構成することも可能である。
【0184】
以上、本発明の実施形態およびその変形例について説明したが、本発明は、各実施形態およびその変形例に記載のとおりの構成に限定されるものではなく、実施段階では、発明の要旨を変更しない範囲内で構成要素を変形して具体化することができる。また、各実施形態やその変形例に記載した複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明を導出することができる。例えば、各実施形態やその変形例に記載した全ての構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよいし、異なる実施形態やその変形例に記載した構成要素を適宜組み合わせてもよい。このように、発明の要旨を変更しない範囲で、種々の変形や応用が可能である。