特許第6393062号(P6393062)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6393062
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】疑似クリップ機能を備えたラベル
(51)【国際特許分類】
   G09F 3/00 20060101AFI20180910BHJP
   G09F 1/10 20060101ALI20180910BHJP
   A61J 1/00 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
   G09F3/00 Q
   G09F1/10 N
   A61J1/00 410
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-78770(P2014-78770)
(22)【出願日】2014年4月7日
(65)【公開番号】特開2015-200743(P2015-200743A)
(43)【公開日】2015年11月12日
【審査請求日】2017年3月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】591037476
【氏名又は名称】株式会社岩田レーベル
(74)【代理人】
【識別番号】100131048
【弁理士】
【氏名又は名称】張川 隆司
(72)【発明者】
【氏名】清水 章弘
【審査官】 大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−501550(JP,A)
【文献】 特開2002−128148(JP,A)
【文献】 特開2010−032709(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0271848(US,A1)
【文献】 特開平10−024972(JP,A)
【文献】 実開昭50−057509(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3127528(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 3/00
G09F 1/10
B42F 1/02
A61J 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる2点を繋ぐ直線に交差する一方に突出し、かつ、その2点を繋ぐ外形線により形成されるつまみ部を有し、対象物に貼付されるラベルであって、
前記2点をそれぞれ一端として他方に位置する他端までそれぞれ一筆書き状に形成される一対のスリットを備え、
前記ラベルの裏面には、前記一対のスリットの他端側を含む部位に粘着性を有しないか又は粘着性が減殺された非粘着領域が形成され、前記非粘着領域を除く前記一対のスリットの間に粘着領域が形成されることを特徴とする疑似クリップ機能を備えたラベル。
【請求項2】
前記ラベルが前記対象物に貼付された状態で、前記つまみ部が前記一対のスリットに沿って捲られることで、前記一対のスリットに案内されて捲られた前記粘着領域にシート状部材が貼付され、前記対象物と前記粘着領域の間に前記シート状部材が疑似的に挟まれて保持される請求項1に記載の疑似クリップ機能を備えたラベル。
【請求項3】
前記スリットは前記他方に向かった後、前記一方側に引き返す戻り部を有する請求項1又は2に記載の疑似クリップ機能を備えたラベル。
【請求項4】
前記戻り部が曲線状に形成される請求項3に記載の疑似クリップ機能を備えたラベル。
【請求項5】
前記一対のスリットの前記戻り部は前記他方側で互いに離れる方向に曲がる曲線である請求項3又は4に記載の疑似クリップ機能を備えたラベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疑似クリップ機能を備えたラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
クリップ機能を備えたラベルが特許文献1で開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3067670号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のラベルは粘着層を有さないため、対象物に貼付できない。
【0005】
本発明の課題は、対象物に貼付できるとともに、疑似的なクリップ機能を備えたラベルを提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
本発明の疑似クリップ機能を備えたラベルは、
異なる2点を繋ぐ直線に交差する一方に突出し、かつ、その2点を繋ぐ外形線により形成されるつまみ部を有し、対象物に貼付されるラベルであって、
2点をそれぞれ一端として他方に位置する他端までそれぞれ一筆書き状に形成される一対のスリットを備え、
ラベルの裏面には、一対のスリットの間に形成される粘着領域を有することを前提とする。
【0007】
本発明の疑似クリップ機能を備えたラベルは、ラベルが対象物に貼付された状態で、つまみ部が一対のスリットに沿って捲られると、ラベルの裏面の粘着領域が一対のスリットに案内されるように捲られる。よって、捲られた粘着領域にシート状部材が貼付されると、対象物と粘着領域の間にシート状部材が疑似的に挟まれて保持される。そのため、対象物に貼付できるとともに、疑似的なクリップ機能を発揮することが可能となる。
【0008】
そして、本発明では、ラベルの裏面、一対のスリットの他端側を含む粘着性を有しないか又は粘着性が減殺された非粘着領域と、非粘着領域を除く一対のスリットの間に粘着領域とが形成されることを特徴とする。これによれば、つまみ部を捲る際に、つまみ部を導くスリットの他端側が非粘着領域に含まれる。よって、つまみ部がスリットに沿って他端側まで捲られるとスリットの他端側を含む非粘着領域がつまみ部の捲られる方向に引っ張られる。そのため、つまみ部が捲られることでスリットの他端側のラベルが引っ張られる力を分散させ、スリット以外の箇所からラベルが裂けるのを抑制できる。
【0009】
本発明の実施態様では、スリットは他方に向かった後、一方側に引き返す戻り部を有する。これによれば、つまみ部の捲られる方向を案内する一対のスリットが戻り部で引き返すため、スリットに沿って捲られるラベル部分の面積を調整できる。
【0010】
また、戻り部は曲線状に一方側に引き返す。これによれば、つまみ部の捲られる方向を案内する一対のスリットが曲線状に他方側から一方側に引き返す。よって、つまみ部を捲った際、戻り部又はその周辺部でスリット以外の箇所からラベルが裂けるのを抑制できる。
【0011】
更に一対のスリットの戻り部は他方側で互いに離れる方向に曲がる曲線である。これによれば、スリットに沿って捲られるラベル部分の面積が次第に増加する。よって、戻り部又はその周辺においてスリット以外の箇所からラベルが裂けるのをより効果的に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】疑似クリップ機能を備えたラベルの例1を示す正面図。
図2A図1に対応する背面図。
図2B図2Aにおける粘着領域及び非粘着領域を説明する説明図。
図3図1に対応する右側面図。
図4図1に対応する左側面図。
図5図1に対応する平面図。
図6図1に対応する底面図。
図7図1に対応する斜視図。
図8A図1のラベルを薬剤容器に貼付する工程を示す説明図。
図8B図8Aに続く説明図。
図9A図1のラベルにメモ用紙を挟む使用方法を説明する説明図。
図9B図9Aに続く説明図。
図9C図9Bに続く説明図。
図9D図9Cに続く説明図。
図10A】疑似クリップ機能を備えたラベルの例2を示す正面図。
図10B図10Aのラベルの背面における粘着領域及び非粘着領域を説明する説明図。
図11A】疑似クリップ機能を備えたラベルの例3を示す正面図。
図11B図11Aのラベルの背面における粘着領域及び非粘着領域を説明する説明図。
図12A】疑似クリップ機能を備えたラベルの例4を示す正面図。
図12B図12Aのラベルの背面における粘着領域及び非粘着領域を説明する説明図。
図13】疑似クリップ機能を備えたラベルの例5を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1図7は、本発明の疑似クリップ機能を備えた一例(例1)のラベルL1を示す。図1に示すようにラベルL1は、長辺1(1a、1b)と短辺2(2a、2b)を有して矩形シート状に形成されたラベル本体部3と、ラベル本体部3の短辺2aに設けられたつまみ部4を備える。ラベルL1は、対象物に貼付された状態で、ラベル本体部3とつまみ部4により疑似的なクリップ機能を発揮することが可能となる。
【0014】
図1及び図2Aに示すようにラベル本体部3は、ラベルL1が貼付される対象物に関連する情報を自身の表面に表示する情報表示部I(図1)と、自身の表裏を貫通する一対のスリット5とを備える。一対のスリット5は、ラベル本体部3の短辺2a上の異なる2点S1、S2をそれぞれ一端とする。また、ラベル本体部3の内部に位置する異なる2点E1、E2をそれぞれ他端とする。一対のスリット5は、それぞれ一端と他端(S1とE1、S2とE2)を繋ぐように一筆書き状に形成される。
【0015】
図1の図示左側のスリット5は、短辺2a上の1点S1を一端として短辺2b側に向かって伸びる伸長部6と、伸長部6と一続きに接続され、短辺2b側に向かった後に短辺2a側に引き返す戻り部7と、戻り部7と一続きに接続され、再び短辺2b側に向かってE1まで伸びる再伸長部8とを備える。
【0016】
図1の図示左側の伸長部6は、短辺2a上の1点S1を一端として短辺2b側に向かうとともに、長辺1a側に弧を描くように曲がる。戻り部7は、伸長部6と連続して長辺1a側に弧を描き、短辺2b側に最も接近する接近点7aに到達する。戻り部7は接近点7aに到達した後、接近点7aを頂点とするように凸曲線を描くように短辺2a側に引き返すように曲がる。再伸長部8は戻り部7と連続して曲線を描くとともに、戻り部7側に引き返すように短辺2a側に最も接近した後、短辺2b側に向かってE1まで伸長する。再伸長部8は、全体としてU字状の曲線を描く。
【0017】
一方、図1の図示右側のスリット5は、図示左側のスリット5を短辺2a、2bの中点を通過する直線を軸とする軸対称に形成される。一対のスリット5の間の幅は、短辺2b側において間隔が広くなる先太り形状に形成される。
【0018】
また、ラベル本体部3の裏面には、図2Bに示すように粘着領域9と、粘着領域9に囲まれる非粘着領域10が形成される。粘着領域9は、一対のスリット5の間に形成され、疑似クリップ機能を発揮するための粘着領域9aと、粘着領域9aとともに非粘着領域10を囲みラベルL1を対象物(対象部)に貼付するための粘着領域9bを備える。粘着領域9aは対象物に貼付でき、かつ、その対象物とは異なる他の対象物に対しても再貼付可能な領域である。粘着領域9bは、ラベル本体部3を対象物に貼付するための粘着領域となる。非粘着領域10は、粘着性を有しないか又は粘着性が減殺された領域である。非粘着領域10は、短辺2a側に凹となる凹曲線部10aと、凹曲線部10aの両端に接続するとともに、短辺2b側に凸となる凸曲線部10bを有し、三日月状に形成される。
【0019】
凹曲線部10aは、図2Bの図示右側のU字状の再伸長部8に外側(短辺2a側)から沿い、短辺2bに向かって伸長して戻り部7に交差する。凹曲線部10aは戻り部7交差した後、短辺2b側に最も接近する接近点P1に到達する。その後、接近点P1を頂点とするように凸曲線を描き、図示左側の戻り部7に交差した後、再伸長部8の外側(短辺2a側)に沿うように形成される。
【0020】
凸曲線部10bは、凹曲線部10aの両端に接続するとともに、短辺2b側に最も接近する接近点P2を頂点とするように凸曲線状に形成される。凹曲線部10aと凸曲線部10bにより囲まれる非粘着領域10の内部には、一対のスリット5の他端側である戻り部7及び再伸長部8が含まれる。また、非粘着領域10と粘着領域9aが隣接して形成され、非粘着領域10と粘着領域9aの境界線が短辺2b側に向けて凸となる凸曲線状となる。
【0021】
図1に戻って、ラベル本体部3の短辺2aには、つまみ部4が形成される。つまみ部4は、短辺1a上の2点S1、S2からラベル本体部3と同一平面上の外側に突出するとともに、その2点S1、S2を繋ぐ外形線4aにより囲まれた囲み状領域4bにより矩形状に形成される。つまみ部4は、ラベルL1が対象物に貼付された状態でラベルL1の使用者が指などでつまむことができる部分である。
【0022】
図2Bに示すようにつまみ部4の裏面において、つまみ部4の突出側には、つまみ部4をつまむことを可能とする非粘着領域11と、つまみ部4の一部を対象物に貼付できる粘着領域12が形成される。非粘着領域11は粘着性を有しないか又は粘着性が減殺された領域であり、つまみ部4の突出側の外形に沿って矩形状に形成される。一方、粘着領域12は、ラベル本体部3の粘着領域9aとつまみ部4の非粘着領域11の間に配置され、短辺2aに沿って矩形状に形成される。また、粘着領域12は非粘着領域11より小さく形成される。
【0023】
以上の構成を備えるラベルL1は、本実施例では図8Aに示すように薬剤容器13に貼付される。薬剤容器13は、薬剤を収容する容器本体部14と、容器本体部14に収容された薬剤を吐出可能なポート15を備える。薬剤容器13に収容された薬剤が医師や看護師等により患者に投与される。
【0024】
容器本体部14は、筒状シート14aにおける両側の開口を閉じた容器状に形成される。容器本体部14の図示上部には、筒状シート14aを厚さ方向に貫く吊架孔14bが形成される。一方、容器本体部14の図示下部には、筒状シート14aの下部開口にポート15の一端部が挿入される。そして、その状態で、その下部開口の内面同士、又は、その内面とポート15の外面がシール部14cにより相互に接合される。また、容器本体部14の表面(図示手前側)の中央部は、ラベルL1が貼付される貼付領域となる。
【0025】
筒状シート14aに接合されるポート15は、容器本体部14の内部と外部を連通させる筒状部材である。ポート15の図示下部の開口には、その開口を塞ぐように弾性部材(図示省略する)が装着される。その弾性部材に針(図示省略する)を穿刺することで、容器本体部14に収容された薬剤が外部に排出可能となる。薬剤としては薬液Lが容器本体部14に収容される。
【0026】
以上の構成を有する薬剤容器13にラベルL1が貼付される。ラベルL1は裏面の粘着領域9a、9b(図2B参照)により薬剤容器13に貼付される。図8Bに示すようにラベルL1は、つまみ部4がポート15と対向し、ラベルL1の長辺1が筒状の容器本体部14の長さ方向に沿うように貼付される。また、ラベルL1の情報表示部Iには薬液Lに関連する情報が表示される。ラベルL1は、容器本体部14に薬液Lが収容された状態で容器本体部14に貼付してもよいし、薬液Lが収容される前の筒状シート14aの状態又は筒状シート14aが形成される前の平面状のシートの状態のときに貼付してもよい。
【0027】
ラベルL1が貼付された薬剤容器13の薬液Lを患者に投入する場合は、医師や看護師等は、患者の氏名や薬液Lの投入時間等の管理情報を薬剤容器13とともに把握する必要がある。そこで、図9Aに示すように管理情報を表裏が非粘着性であるシート状部材16に記入して管理する。本実施例では、シート状部材16は矩形シート状の用紙であるメモ用紙16aとして構成される。メモ用紙16aの表面には医師や看護師等により管理情報が記入される。
【0028】
管理情報が記入されたメモ用紙16aは、薬剤容器13と一体にして一元管理される。そこで、メモ用紙16aと薬剤容器13を一体にするために、看護師等がラベルL1のつまみ部4をつまみ、つまみ部4を一対のスリット5に沿って、図示上方に捲し上げる(図9A)。すると、つまみ部4とともに、一対のスリット5に挟まれたラベルL1部分(粘着領域9a)が薬剤容器13の表面から剥離されて捲り上がる。そして、図9Bに示すように薬剤容器13から剥離されるラベルL1が戻り部7に到達し、ラベルL1の裏面の非粘着領域10が薬剤容器13から浮き上がる。その結果、戻り部7の接近点7a、7b(図2A及びB参照)又はその周辺部を基点に一対のスリット5に挟まれたラベルL1部分が薬剤容器13から持ち上がる。これによりつまみ部4を捲る際につまみ部4を導くスリット5の案内が終了する(スリット5が接近点7a、7bから短辺2a側に引き返すため、スリット5による案内が終了する)。
【0029】
次に図9Cに示すようにつまみ部4とともに持ち上げられた粘着領域9a(図9B参照)と、つまみ部4及び粘着領域9aが捲られて露出した薬液容器13との間にメモ用紙16aの一辺を差し入れる(図9C)。その状態で一対のスリット5の間のスリット間領域(粘着領域9aに対応するラベルL1の表面側の領域)を表面から薬剤容器13に向けて押さえ付け、メモ用紙16aをラベルL1の粘着領域9aに貼付する。するとメモ用紙16aは粘着領域9aにぶら下がり、薬剤容器13と粘着領域9aの間に疑似的に挟まれるように保持される(図9D)。
【0030】
一方、粘着領域9aにより保持されたメモ用紙16aを外す場合は、メモ用紙16aの表面に沿って位置したつまみ部4の非粘着領域11(図2B参照)をつまむ。そして、メモ用紙16aを薬剤容器13の表面に沿うように支持したまま、つまみ部4を図示(図9D)上方に捲し上げる。すると、つまみ部4とともに、一対のスリット5に挟まれたラベルL1部分(粘着領域9a)がメモ用紙16aの表面から剥離されて持ち上がる。それによりメモ用紙16aがラベルL1から取り外される。そして、必要に応じてメモ用紙16aに情報が追加して記入され、再度、図9A〜Dに示すようにメモ用紙16aがラベルL1により保持される。
【0031】
以上のようにラベルL1は、図9A及びBに示すようにつまみ部4が一対のスリット5に導かれるように捲られると、ラベルL1の裏面の粘着領域9aが薬剤容器13から剥離する。そのため、剥離した粘着領域9aにメモ用紙16aが貼付されると、薬剤容器13と粘着領域9aの間にメモ用紙16aを保持できる。メモ用紙16aはラベルL1によりクリップに挟まれるが如く保持される。よって、ラベルL1は、薬剤容器13に貼付でき、疑似的なクリップ機能も発揮することが可能となる。
【0032】
また、図9Dに示すようにラベルL1により薬剤容器13とメモ用紙16aを一体にできる。よって、患者の氏名や薬液Lの投入時間等の管理情報が記入されたメモ用紙16aと薬剤容器13を一元管理できる。そのため、従来のように油性ペン等で薬剤容器13に貼付されたラベルL1や薬剤容器13に薬剤の管理情報を直接記入する必要がない。よって、油性ペン等の成分が薬剤容器13内にしみ出して薬液L中に混じることを予防でき、衛生的である。
【0033】
また、薬剤容器13と一体にされたメモ用紙16aは、メモ用紙16aを薬剤容器13に表面に沿うように押さえて、つまみ部4を捲し上げると、ラベルL1の粘着領域9a(図9A参照)から剥離できる。よって、必要な情報を再度、メモ用紙16aに記入できる。更には、情報が追加されたメモ用紙16aは、図9A〜Dに示すように再度、ラベルL1のクリップ機能により薬剤容器13に貼付できる。
【0034】
図2A及びBに示すようにラベルL1の裏面には、つまみ部4の捲られる方向を案内する一対のスリット5の他端E1、E2側が非粘着領域10である。そのため、つまみ部4がスリット5に導かれるように他端E1、E2側まで捲られると、図9Bに示すように非粘着領域10に対応するラベルL1部分が薬剤容器13の表面から浮き上がる。よって、つまみ部4を捲る際、スリット5の他端E1、E2側でラベルL1が裂けるのを予防できる。
【0035】
具体的には、つまみ部4を一対のスリット5に沿って捲り上げ、スリット5の戻り部7まで捲られると、図9Bに示すように戻り部7の周辺部が薬剤容器13から浮き上がる。よって、つまみ部4を捲る際、戻り部7又はその周辺部等に加えられる負荷が分散し、スリット5以外の箇所からラベルL1が裂けるのを抑制できる。そして、スリット5が短辺2a側に引き返す戻り部7の接近点7a、7b(図1参照)又はその周辺部において、つまみ部4を捲る際につまみ部を導くスリット5の案内が終了する。そのため、戻り部7の接近点7a、7bにより一対のスリット5に沿って捲られる領域を調整できる。
【0036】
また、戻り部7は曲線状に短辺2a側に引き返すため、戻り部7又はその周辺部でスリット5以外の箇所からラベルL1が裂けるのを抑制できる。更に、一対のスリット5の戻り部7は、短辺2b側で互いに離れる方向に曲がる曲線状である。よって、つまみ部4を捲るに従って、捲り上がる領域が増加し、スリット5以外の個所からラベルL1が裂ける力を分散できる。また、戻り部7は接近点7a、7bを頂点とする凸曲線に形成されることで、より効果的にラベルL1が裂ける力を分散できる。
【0037】
戻り部7に接続する再伸長部8は、戻り部7と連続して曲線を描き、戻り部7側に引き返すように短辺2a側に最も接近した後、短辺2bに向かって他端E1、E2まで伸長する曲線を描く。そのため、つまみ部4を捲った際、スリット5の他端E1、E2側でラベルL1が裂けるのを抑制できる。また、図2Bに示すように再伸長部8は非粘着領域10に含まれるため、ラベルL1が裂けるのをより効果的に防止できる。
【0038】
図1に示すようにスリット5は、短辺2a、2bの中点を通過する直線を軸として反転させると重なり合う軸対称に形成される。そのため、図9A及びBに示すようにスリット5に沿ってつまみ部4を捲る際、薬剤容器13から剥離されるラベルL1の一部に引っ張られる力が集中してラベルL1が裂けるのを抑制できる。更に、一対のスリット5の間の幅は、図1に示すように短辺2b側で間隔が広くなる先太り形状に形成される。よって、メモ用紙16aを貼付する貼付面積を大きく確保できる。
【0039】
また、図2Bに示すように非粘着領域10と粘着領域9aが隣接して形成され、非粘着領域10と粘着領域9aの境界線が短辺2b側に向けた凸曲線状とされる。そのため、図9A及びBに示すように一対のスリット5に沿ってつまみ部4を捲る際に、粘着領域9aが薬剤容器13から円滑に剥離する。
【0040】
一方、つまみ部4は、ラベル本体部3の短辺2aからその外側に突出して形成される。よって、ラベルL1によりメモ用紙16aを挟む際に、挟んだメモ用紙16aによりラベルL1の情報表示部Iが隠れるのを防止できる。また、図2Bに示すようにつまみ部4の裏面において、ラベル本体部3の粘着領域9aとつまみ部4の非粘着領域11との間に粘着領域12が形成される。よって、ラベルL1が薬剤容器13に貼付された状態で、つまみ部4が何らかの拍子により意図せず捲られた場合、一対のスリット5の間の粘着領域9aまで薬剤容器13から剥離されるのを抑制できる。よって、不必要な粘着領域9aの剥離で粘着領域9aの粘着力が低下するのを抑制できる。
【0041】
また、図9Dに示すように薬剤容器13とラベルL1により挟まれるメモ用紙16aがシート状である。そのため、メモ用紙16aをラベルL1により保持する際、薬剤容器13上のラベルL1に沿ってメモ用紙16aが位置し、メモ用紙16aがかさ張らない。また、見栄えもよくなる。
【0042】
以上、本発明の実施の態様を説明したが、本発明はその具体的な記載に限定されることなく、例示した構成等を技術的に矛盾のない範囲で適宜組み合わせて実施することも可能であるし、またある要素、処理を周知の形態に置き換えて実施することもできる。
【0043】
例えば、メモ用紙16aを貼付するラベルL1の粘着領域9aは、再貼付可能な弱粘着領域としてもよい。これによれば、メモ用紙16aに付加的に情報を書き込む際、メモ用紙16aの取外しが容易となる。更に、薬剤容器13から粘着領域9aを剥離することが容易となる。また、上記の実施例では、非粘着領域10を囲むように粘着領域9a、9bをラベル本体部3の裏面の全域に形成したが、ラベル本体部3の一部に形成してもよい。
【0044】
上記実施例では、非粘着領域10は図2A及びBに示すように戻り部7の一部を含む構成であったが、戻り部7の全部を含む構成としてもよい。また、非粘着領域10に戻り部7の一部を含む構成としては、例えば、戻り部7の少なくとも接近点7a、7bが非粘着領域10に含まれる構成ならば、ラベルL1を捲る際、ラベルL1がスリット5以外の個所から裂けるのを抑制できる。
【0045】
また、ラベルL1はプラスチックフィルム、合成紙、紙、箔、蒸着紙、蒸着されたプラスチックフィルムまたはこれらの混合または積層体などを用いてもよい。その際、ラベルL1を一軸又は二軸延伸フィルムとすると、つまみ部4を一対のスリット5に沿って剥離する際、ラベルL1がスリット5以外の箇所から裂けるのを予防できる。
【0046】
上記の実施例では、つまみ部4はラベル本体部3の短辺2aに形成される例を例示したが、図10A及びB(背面図は正面図と対称につき省略する。また、右側面図、左側面図、平面図及び底面図は図3〜6と同様となる。)に示すようにラベル本体部3の内部に形成されてもよい。つまみ部4が内部に形成される場合にはつまみ部4の外形線4aはスリットで形成される。また、つまみ部4は、図11A及びB(背面図は正面図と対称につき省略する。)に示すようにラベル本体部3の長辺1bのみに形成されてもよいし、図12A及びB(背面図は正面図と対称につき省略する。)に示すようにラベル本体部3の長辺1b及び短辺2aに形成されてもよい。また、つまみ部4は長辺1a、1bの両方と短辺2a、2bの両方に形成してもよく、長辺1a、1b、短辺2a、2bに複数形成してもよい。更に、図13に示すようにつまみ部4の表面にラベルL4のクリップ機能を示唆する線図による表示部Mを設け、表示部Mを使用者の目印としてもよい。
【0047】
なお、矩形状のラベルL1〜L5を例示したが、ラベルとしては円形状、楕円形状、三角形状、多角形状等、種々の形状を採用できる。また、ラベルL1を薬剤容器13に適用する例を例示したが、生産ラインなどで部品を管理するなど、種々の用途に適用できる。
【符号の説明】
【0048】
1 長辺 2 短辺
3 ラベル本体部 4 つまみ部
5 スリット 6 伸張部
7 戻り部 8 再伸長部
9 粘着領域 10 非粘着領域
11 非粘着領域 12 粘着領域
13 薬剤容器 14 容器本体部
15 ポート 16 シート状部材
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13