(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、栓体を着脱することなく、
下口部材に装着したまま略半回転操作するだけで、液体の注出、及び注出の停止を行うことができる携帯飲料容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、口部を有し飲料を貯留する容器本体と、該容器本体の前記口部に装着される下口部材と、該下口部材に装着される栓体とを備え、前記下口部材が、前記口部の口縁部よりも上方に向けて突出する上側筒部と、前記口縁部の内周に対して螺合される下側筒部とからなる飲み口部材を有し、前記下側筒部と前記栓体との対向周面に、互いに螺合する螺着ねじ部を螺刻し、前記栓体を、前記下側筒部に螺合した状態において、前記下側筒部の下端の開口部の開栓が許容される開栓状態と、前記開口部の閉栓が許容される閉栓状態とに略半回転可能に設け、前記下側筒部の前記螺着ねじ部を上下方向に
一対設け、前記開口部の径方向中心部を中心として周方向に複数に分割するとともに、少なくとも前記上側筒部の上部前方側に形成された飲み口と対応する部分で分割して分割した端部間を前記飲み口の幅と略同一となる間隔、あるいは幅広となる間隔に離間し、前記栓体に、前記下口部材を覆う蓋体を一体に設け、前記蓋体に、前記容器本体内に貯留された液体の注出を許容する連通状態に、前記容器本体の内部と外部との連通を許容する連通許容部を設けた携帯飲料容器であることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、栓体を着脱することなく、
下口部材に螺合したまま略半回転操作するだけで、液体の注出、及び注出の停止を行うことができる。
詳しくは、液体の注出を開始する場合、栓体を、
下口部材に螺合したまま
開口部の開栓が許容される方向(開栓方向)へ略半回転操作するとともに、螺着ねじ部同士の相対移動により
開口部の開栓が許容される移動量だけねじ送り移動させて、
開口部を開栓状態に開栓する。
【0008】
栓体による
開口部の閉栓を解除した際に、蓋体の連通許容部を介して、容器本体内に貯留された液体の注出を許容する連通状態に、該容器本体の内部と外部とを連通させる。
これにより、容器本体を液体の注出が許容される所望の角度に傾けるだけで、容器本体内に貯留された液体を、該容器本体の
開口部から蓋体の連通許容部を介して外部へ注出することができる。
【0009】
液体の注出を停止する場合、栓体を、
下口部材に螺合したまま
開口部の閉栓が許容される方向(閉栓方向)へ略半回転操作するとともに、螺着ねじ部同士の相対移動により
開口部の閉栓が許容される移動量だけねじ送り移動させて、
開口部を閉栓状態に閉栓する。閉栓と同時に、連通許容部による連通が不可となるため、液体の注出を停止することができる。
【0010】
この結果、栓体を着脱することなく、
開口部に螺合したまま略半回転操作するだけで、
開口部を開栓、及び閉栓することができるとともに、液体の注出、及び注出の停止を行うことができる。
しかも、栓体を着脱する手間が省けるため、液体を注出する開栓状態と、注出を停止する閉栓状態とに即移行することができる。
【0011】
また、
前記下口部材における下側筒部の螺着ねじ部を、該
開口部の径方向中心部を中心として周方向に複数に分割するとともに、少なくとも前記飲み口と対応する部分で分割
しているので、液体の注出を許容する通路を、螺着ねじ部における飲み口と対応する部分に確保することができる。
【0012】
詳しくは、容器本体内に貯留された液体を、
下側筒部における螺着ねじ部の分割した端部間を通過させて、
下口部材の飲み口に向けて誘導することができるため、螺着ねじ部によって液体の注出が妨げられることがなく、液体を、
下口部材の飲み口からスムースに注出することができる。
しかも、螺着ねじ部を、周方向に連続して螺刻するよりも、複数に分割して部分的に螺刻する方が、分割した部分だけ軽量化することができる。
【0013】
さらに、螺着ねじ部における前記飲み口と対応する部分で分割した端部間
は、前記飲み口の幅と略同一となる間隔、あるいは幅広となる間隔に離間
しているので、液体の注出を許容する通路を、
下口部材における螺着ねじ部の飲み口と対応する部分に確保することができる。
詳しくは、容器本体内に貯留された液体を注出する際に、螺着ねじ部における飲み口と対応する部分の端部間を通過させて、液体を、容器本体における
下口部材の飲み口に向けて誘導することができる。
この結果、螺着ねじ部によって液体の注出が妨げられることがなく、容器本体内に貯留された液体をより効率よく注出することができる。
【0014】
また、この発明の態様として、前記螺着ねじ部を、前記
開口部の開栓が許容される開栓状態と、該
開口部の閉栓が許容される閉栓状態とに、前記栓体を略半回転でねじ送り移動するねじピッチに螺刻することができる。
この発明によれば、栓体を、
下口部材に螺合したまま略半回転操作するだけで、
開口部を確実に開栓、及び閉栓することができる。
【0015】
詳しくは、例えば、通常のねじピッチは、栓体を1回転(略360度)すると、該栓体を上下方向に略4mmねじ送り移動するねじピッチに螺刻しているため、栓体を1回転、あるいは複数回転して開栓する場合、回動操作の途中で、栓体を回動操作する手の位置や向きを変えなければならない。
【0016】
これに対して、本実施形態の携帯飲料容器は、螺着ねじ部を、
開口部の開栓が許容される開栓状態と、該
開口部の閉栓が許容される閉栓状態とに、栓体を略半回転(略180度)でねじ送り移動するねじピッチに螺刻している。
具体的には、栓体を略半回転すると、該栓体を上下方向に略2.5mm〜略3mmねじ送り移動する、通常のねじピッチよりも大きいねじピッチに螺刻している。
【0017】
つまり、栓体を、
開口部の開栓が許容される方向へ略半回転操作すれば、該栓体が螺着ねじ部同士の相対移動により
開口部の開栓が許容される移動量だけねじ送り移動されるため、該
開口部を開栓することができる。
また、栓体を、
開口部の閉栓が許容される方向へ略半回転操作すれば、該栓体が螺着ねじ部同士の相対移動により
開口部の閉栓が許容される移動量だけねじ送り移動されるため、該
開口部を閉栓することができる。
【0018】
この結果、栓体を、
下口部材に螺合したまま略半回転操作するだけで、
開口部を開栓、及び閉栓することができるため、回動操作の途中で手の位置や向きを変える必要がなく、栓体を1回転、あるいは複数回転するよりも回転量が少なくて済むため、
開口部をより簡単に開栓、及び閉栓することができる。
【0019】
また、この発明の態様として、前記飲み口を、前記容器本体の内部から外部に向けて突出する突出形状に形成することができる。
この発明によれば、液体を、所望する方向に向けて正確に注出することができる。
【0020】
詳しくは、
開口部を開栓した開栓状態において、容器本体を、液体が
下口部材の飲み口から注出される所望の角度に傾けるだけで、容器本体内に貯留された液体を、
下口部材の飲み口に沿って該飲み口と一致する方向に向けて正確に注出することができる。
この結果、飲み口から注出される液体が意図しない方向へ注出されることを防止でき、所望する方向に向けて正確に注出することができる。
【0021】
また、この発明の態様として、前記蓋体の連通許容部を、該蓋体の外面よりも外方に向けて前記飲み口の突出を許容する飲み口突出孔で構成することができる。
ここで上記飲み口突出孔は、例えば、飲み口の突出が許容される大きさ、及び形状を有する孔部、窓部、開口部等で構成することができる。
【0022】
この発明によれば、液体を、蓋体よりも外方に向けて確実に注出することができる。
詳しくは、栓体を、
下口部材に螺合したまま
開口部の開栓が許容される方向へ略半回転操作して、
下口部材の飲み口を、蓋体の飲み口突出孔を介して該蓋体の外面よりも外方へ突出させるため、飲み口から注出される液体が蓋体に接触したり、蓋体によって液体の注出が邪魔されることを回避できる。
【0023】
この結果、
下口部材の飲み口から注出される液体を、蓋体よりも外方に向けて確実に注出することができる。
しかも、飲み口を、蓋体の飲み口突出孔よりも外方へ突出するため、例えば、利用者の口を飲み口に直接押し付けるか、近接する等して、飲み口から直飲みすることができる。
【0024】
さらに、栓体を、
下口部材に螺合したまま
開口部の閉栓が許容される方向へ略半回転操作して、蓋体の飲み口突出孔を、
下口部材の飲み口と異なる位置、具体的には、飲み口の突出が不可となる位置へ移動させるため、
下口部材の飲み口を、蓋体における飲み口突出孔以外の他の部分にて確実に覆うことができる。
【0025】
下口部材の飲み口を蓋体で覆うことにより、注出終了後又は注出停止中において、飲み口が外部に露出されることを確実に防止できる。例えば、ゴミ、塵埃等の異物が飲み口に入ることを防止できるとともに、人の手や指が触れることも防止できるため、衛生的な状態を保つことができる。
さらにまた、栓体と蓋体とを一体で略半回転操作するため、
下口部材の開口部を開栓、及び閉栓する動作と、
下口部材の飲み口を蓋体よりも外方に突出、及び突出を不可とする動作が一括して行え、操作性が向上する。
【0026】
また、この発明の態様として、前記
上側筒部における前記飲み口と反対側の内周に、
前記開口部を開栓した開栓状態において、前記容器本体内に対して外気の流入を許容する通気路を設けることができる。
この発明によれば、外気の流入を許容する通気路を、
上側筒部における飲み口と反対側の部分に確保することができる。
【0027】
詳しくは、容器本体内に貯留された液体の貯留量が減少するのに伴って、該容器本体内の内圧が低下する際、その内圧の低下により、外部の外気を、
上側筒部における飲み口と反対側の部分に形成した通気路から吸い込んで容器本体内へ流入させるため、容器本体内に貯留された液体を、
下口部材の飲み口からよりスムースに注出することができる。
この結果、液体の注出と、外気の流入とが干渉することを防止できるとともに、容器本体内に貯留された液体の注出と、容器本体内への外気の流入とを効率よく行うことができる。
【0028】
また、この発明の態様として、前記
下側筒部の
前記螺着ねじ部を、前記通気路と対応する部分で分割するとともに、
前記螺着ねじ部における前記通気路と対応する部分で分割した端部間を、前記通気路の幅と略同一となる間隔、あるいは幅広となる間隔に離間することができる。
【0029】
この発明によれば、外気の流入を許容する通気路を、
下側筒部における螺着ねじ部の飲み口と反対側の部分に確保することができる。
詳しくは、外部の外気を通気路から吸い込んで容器本体内に流入させる際に、螺着ねじ部における通気路と対応する部分の端部間を通過させて、容器本体内に向けて誘導することができる。
この結果、螺着ねじ部によって外気の流入が妨げられることがなく、容器本体内に貯留された液体の貯留量が減少するのに伴って、外気を容器本体内へより効率よく流入させることができる。
【発明の効果】
【0030】
この発明によれば、栓体を着脱することなく、
下口部材に装着したまま略半回転操作するだけで、液体の注出、及び注出の停止を行うことができる携帯飲料容器を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
この発明の一実施形態を以下図面に基づいて詳述する。
(実施例1)
図1は実施例1における閉栓状態の携帯飲料容器10の正面図、
図2は
図1に示す携帯飲料容器10を後側斜め上方斜視図、
図3は
図1に示す携帯飲料容器10のA−A矢視断面図、
図4は
図3に示す携帯飲料容器10のB−B矢視断面図である。
【0033】
図5は開栓状態の携帯飲料容器10の正面図、
図6は
図5に示す携帯飲料容器10を前側斜め上方から見た斜視図、
図7は
図5に示す携帯飲料容器10のD−D矢視断面図、
図8は
図6に示す携帯飲料容器10のE−E矢視断面図である。
【0034】
実施例1の携帯飲料容器10は、有底筒状に形成した容器本体11と、該容器本体11における口部12に嵌着される下口部材13と、該下口部材13における飲み口部材15に対して開栓方向OP、及び閉栓方向CLへ略半回転可能に螺合され、該飲み口部材15の開口部15mを開栓、及び閉栓する栓体16とを有している。
下口部材13は、口部12の外周に嵌着される環状の肩部材14と、口部12の内周に螺合される筒状の飲み口部材15とで構成している。
栓体16は、口部12を覆う大きさ、及び形状に形成した蓋体23と、蓋体23の内側中央部に嵌着される筒状の栓本体24とで構成している。
【0035】
容器本体11は、外側の外容器11aと、該外容器11aに収容した内側の内容器11bとで真空二重構造に構成している。外容器11a、及び内容器11bは、いずれも薄肉のステンレス鋼で構成している。
容器本体11の胴部11cは、上下方向Lの中央部から上端部に向けて徐々に大径となる滑らかな曲面に形成するとともに、径方向外側に向けて徐々に膨出する形状に形成している。上下方向Lの中央部よりも下部の外径は、中央部から下端部に向けて略同径となる形状に形成している。
【0036】
容器本体11における口部12の口縁部12aは、上方に向けて突出する筒状に形成している。口縁部12aよりも下側外周部は、下端側から上端側に向けて段階的に小径となる段付き形状に形成している。
口縁部12aの内周面には、飲み口部材15を容器本体11の口部12に対して着脱可能に螺合するため、一対の螺着ねじ部18a,18bにおける一方の螺着ねじ部18aを螺刻している。
口縁部12aにおける螺着ねじ部18aよりも下側内周部には、径方向内側に向けて突出する凸状の環状突部19を周方向に連続して形成している。
【0037】
肩部材14は、上方に向けて突出する上側筒部14aと、下方に向けて突出する下側筒部14bとを、一体に形成している。上側筒部14aの外周面は、下端側から上端側に向けて徐々に小径となるテーパー面に傾斜している。
下側筒部14bは、口部12の口縁部12aと対応して、下端側から上端側に向けて段階的に小径となる段付き形状に形成している。下側筒部14bの内周面は、口縁部12aの外周面に対して面接触が許容される内径、及び形状に形成している。
【0038】
上述の肩部材14と飲み口部材15との嵌着構造について説明する。
図9は栓体16を開栓状態、及び閉栓状態に略半回転操作する説明図、詳しくは、
図9(a)は飲み口15cを閉塞した状態の平面図、
図9(b)は飲み口15cを開放した状態の平面図である。
【0039】
図10は開栓状態、及び閉栓状態に略半回転した栓体16の内部構造の説明図、詳しくは、
図10(a)は
図3に示す栓体16のC−C矢視断面図、
図10(b)は
図7に示す栓体16のF−F矢視断面図である。
【0040】
図11は
図10に示す溝部20a、及び凸部23bを係合したa部拡大説明図、詳しくは、
図11(a)は凸部23bを溝部20aに係合した状態の拡大断面図、
図11(b)は凸部23bが壁部20bを乗り越える状態の拡大断面図である。
【0041】
上側筒部14aにおける径方向に対向する上端側内周には、径方向内側に向けて突出する凸部14cをそれぞれ形成している。径方向に対向する凸部14cは、異なる大きさに形成している(
図4、
図8、
図10参照)。
【0042】
上側筒部14aにおける凸部14cと異なる位置の上端側内周部には、径方向内側に向けて突出する爪部14dを、上側筒部14aの上端側内周部に沿って周方向に所定間隔を隔てて複数形成している(
図3、
図7参照)。
実施形態では、凸部14cを、上側筒部14aの内周面に2箇所形成した例について説明したが、例えば、1箇所、あるいは、3箇所以上を形成してもよい。
【0043】
上側筒部14aにおける凸部14c、及び爪部14dよりも下方の後方側Bbの外周面には、径方向外側に向けて凹状に窪んだ凹状係合部20を、凸部14cに対して略90度偏心した位置に形成している(
図10、
図11参照)。
凹状係合部20は、該凹状係合部20の周方向中央部に形成した径方向内側に向けて凹状に窪んだ溝部20aと、該溝部20aの周方向両端部に形成した径方向外側に向けて突出する壁部20bとで構成している。
壁部20bは、溝部20aを基準として周方向に向けて離れるのに伴って徐々に小径となるテーパー面に形成している(
図11(a)(b)参照)。
【0044】
上側筒部14aの下端側外周には、栓体16の下端側外周部が嵌着される環状の段部14eを筒部14a,14bと同心円に形成している。段部14eは、下側筒部14bの外径よりも小径で、壁部20bの下端側外面と略同径に形成している。
【0045】
飲み口部材15は、口部12の口縁部12aよりも上方に向けて突出する筒状の上側筒部15aと、口縁部12aの内周に対して螺合される下側筒部15bとを、一体に形成している。
上側筒部15aにおける前方側Ffの上部内周面には、容器本体11の貯留空間Xに貯留された液体の注出を許容する凹状の飲み口15cを形成している。
飲み口15cは、上側筒部15aにおける前方側Ffの上部内周面を径方向内側に向けて凹状に窪ませて断面凹状に形成している。
【0046】
飲み口15cと反対側の後方側Bbの上部内周面には、容器本体11の貯留空間Xに向けて外気の流入を許容する通気路15dを形成している。
飲み口15cは、上側筒部15aにおける前方側Ffの上部内周面に沿って上下方向Lに形成するとともに、容器本体11の内部から外部に向けて上方に突出する突出形状に形成している。
【0047】
上側筒部15aにおける飲み口15cと対応する下側内周面には、該上側筒部15aの飲み口15cと、下側筒部15bの下端側中央部に形成した開口部15mとを連通する注出路15c1を形成している。注出路15c1は、飲み口15cから開口部15mに至る内周面に沿って上下方向Lに形成している。
【0048】
栓体16を、開栓方向OP、又は閉栓方向CLへ略半回転操作して、栓体16を開口部15mの開栓が許容される開栓状態と、該開口部15mの閉栓が許容される閉栓状態とに移行するのに伴って、蓋体23の飲み口突出孔23aを、飲み口部材15の開口部15mとの連通が許容される連通許容状態と、該開口部15mとの連通が不可となる連通不可状態とに移行する。
【0049】
これにより、栓体16を略半回転操作して開栓状態に移行するか、閉栓状態に移行すると同時に、飲み口部材15の開口部15mと蓋体23の飲み口突出孔23aとを連通許容状態、及び連通不可状態に切り替えることができる。
【0050】
上側筒部15aにおける飲み口15cと反対側の後方側Bb上部には、蓋体23の飲み口突出孔23aを閉塞する弧状の突出孔閉塞部15pを形成している。
突出孔閉塞部15pは、飲み口突出孔23aと略一致する大きさ、及び形状に形成するとともに、蓋体23の径方向中心部よりも後方側Bbの両側外周部から、飲み口15cと反対側の後方側Bbの上部外周部に向けて徐々に低くなる角度に傾斜している。
【0051】
突出孔閉塞部15pは、該突出孔閉塞部15pの中央部から両端部に向けて徐々に高くなる滑らかな曲面に形成している。上側筒部15aにおける突出孔閉塞部15pを除く上端部は、径方向内側に向けて徐々に低くなるテーパー面に傾斜している。
【0052】
上側筒部15aにおける飲み口15cと対応する前方側Ffの外面には、径方向外側に向けて凹状に窪んだ滑らかな曲面の窪み部15eを形成している。
これにより、飲み口15cは、上端部が前方側Ffに向けて突出する突出形状を有し、該上端部の後方側Bb外面が滑らかな曲面形状を有している(
図3、
図5〜
図7参照)。
【0053】
液体の注出中において、容器本体11を、飲み口15cが上向きとなる姿勢に起立した際、飲み口15cの上端部外面に付着する液体を、該上端部の滑らかな曲面部分に沿って飲み口15cの内側に向けて積極的に流下しやすくすることができる。
よって、液体の切れがよく、飲み口15cの前方側Ff外面に沿って液体が滴り落ちること、あるいは、滴り跡が残ることを防止できるとともに、衛生的な状態を保つことができる。
【0054】
飲み口部材15における飲み口15cよりも下側外周部には、上側筒部14aの上端が当接される鍔部15fを周方向に連続して形成している。
鍔部15fの下側外周部には、上側筒部14aの爪部14dが係止される溝部15gを周方向に連続して形成している。
溝部15gの下側外周部には、上側筒部14aの上端側内周面が当接される凸状の環状突起15hを周方向に連続して形成している(
図3、
図7参照)。
【0055】
環状突起15hにおける径方向に対向する両側周縁部には、上側筒部14aの凸部14cと対応して、該凸部14cの係合が許容される凹部15iをそれぞれ形成している。径方向に対向する凹部15iは、凸部14cと対応して異なる大きさに形成している(
図4、
図8、
図10参照)。
【0056】
飲み口部材15における環状突起15hよりも下側外周面には、口縁部12aの螺着ねじ部18aと対応して、他方の螺着ねじ部18bを螺刻している。
実施形態では、径方向に対向する凸部14、及び凹部15iを異なる大きさに形成した例について説明したが、同一の大きさに形成してもよい。
【0057】
下側筒部15bの下端部は、口縁部12aにおける螺着ねじ部18aよりも下方に延長するとともに、環状突部19における径方向内側内周と対向する位置に至る長さに形成している。
下側筒部15bの下端側外周部には、径方向外側に向けて突出する環状の突出部15jを周方向に連続して形成している。該突出部15jには、柔軟性を有する弾性部材(具体的には、シリコーンゴム)にて形成した環状の止水用パッキン21を嵌着している。
【0058】
下側筒部15bの下端側中央部には、平面視円形の開口部15mを、容器本体11の貯留空間Xと連通して開口している。該下側筒部15bの下端側内周部には、径方向内側に向けて突出する突出部15kを周方向に連続して形成している。
【0059】
飲み口部材15における飲み口15cよりも下側内周面には、栓体16における栓本体24の外周面と対向して、一対の螺着ねじ部22a,22bにおける一方の螺着ねじ部22aを螺刻している。
【0060】
螺着ねじ部22aは、飲み口部材15の開口部15mの径方向中心部を中心として周方向に2分割して形成している。
すなわち、螺着ねじ部22aを、前方側Ffの飲み口15c、及び後方側Bbの通気路15dと対応する内周面を除いて、飲み口部材15における前方側Ff、及び後方側Bbと直交する両側内周面のみに形成している。
【0061】
螺着ねじ部22aにおける飲み口15cと対応する部分で分割した端部間は、飲み口15cの幅と略同一となる間隔、あるいは幅広となる間隔に離間している。
螺着ねじ部22aにおける通気路15dと対応する部分で分割した端部間は、通気路15dの幅と略同一となる間隔、あるいは幅広となる間隔に離間している。
【0062】
上述の肩部材14、及び飲み口部材15の組み付け方について説明する。
肩部材14における上側筒部14aの凸部14cと、飲み口部材15における環状突起15hの凹部15iとの大きさを一致させて、肩部材14を飲み口部材15の下部外周に対して下方から挿嵌する。
上側筒部14aの爪部14dを飲み口部材15の溝部15gに係止し、上側筒部14aの凸部14cを環状突起15hの凹部15iに係合して、肩部材14と飲み口部材15とを一体に嵌着固定している(
図4、
図10(a)参照)。
【0063】
つまり、凸部14cと凹部15iとの大きさを一致させて、肩部材14と飲み口部材15とを嵌着するため、肩部材14の凹状係合部20を、飲み口部材15の飲み口15cと反対側に向けたまま嵌着することができる。
これにより、肩部材14と飲み口部材15との向きを間違えることなく一体に組み付けることができる。
【0064】
上述の下口部材13を、容器本体11の口部12に嵌着する嵌着構造について説明する。
飲み口部材15の下側筒部15bを、容器本体11の口部12に上方から挿入するとともに、螺着ねじ部18a,18bを互いに螺合させながら閉栓方向CL(時計回り)に半回転以上回動して、下側筒部15bの下端部を、環状突部19の径方向内側周面と対向する位置に至るまで深く押し込む。
【0065】
下側筒部15bに嵌着したパッキン21を、環状突部19の径方向内側周面に沿って密着した状態に押し付けるとともに、飲み口部材15に嵌着した肩部材14を、容器本体11における口縁部12aの外周面に嵌着して、口部12の口縁部12aを、肩部材14と飲み口部材15とで径方向に挟持する(
図3、
図4参照)。
【0066】
パッキン21を環状突部19に対して上方から密着させるよりも、環状突部19とパッキン21との接触面積が大きく、より高い止水性を確保することができる。
しかも、より大きな接触抵抗が得られるため、栓体16を開栓方向OP(反時計回り)へ略半回転操作する際、環状突部19とパッキン21との接触抵抗により、飲み口部材15が供回りすることを防止できる。
【0067】
さらに、肩部材14と飲み口部材15とを、容器本体11における口部12の口縁部12aに対して径方向に押し付け、口部12の口縁部12aを、肩部材14と飲み口部材15とで径方向に挟持するため、栓体16を開栓方向OPへ略半回転操作する際、飲み口部材15が供回りすることを防止できる(
図3、
図4参照)。
上述のパッキン21と環状突部19との接触抵抗による供回り防止効果に加えて、口部12の口縁部12aを肩部材14と飲み口部材15とで挟持することによる供回り防止効果が相乗して得られるため、より高い供回り防止効果が得られる。
【0068】
栓体16は、容器本体11の口部12を含む、飲み口部材15の上側筒部15aの外周を覆う大きさ、及び形状に形成した蓋体23と、蓋体23の内側中央部に突出した筒状の栓本体24とを、一体に嵌着して構成している(
図3、
図4参照)。蓋体23、及び栓本体24は、いずれもポリプロピレンなどの合成樹脂で構成している。
【0069】
蓋体23は、該蓋体23の上面部を平面視円形に形成し、該蓋体23の外周部を、上端側から下端側に向けて徐々に大径となる末広がり形状に形成している。
蓋体23の上面部には、下口部材13における飲み口部材15の飲み口15cが形成された部分と同一円周上に、該飲み口15cが上方に向けて突出が許容される弧状の飲み口突出孔23aを形成している。
飲み口突出孔23aは、栓体16の回動方向(開栓方向OP、及び閉栓方向CL)に沿って周方向に形成するとともに、飲み口部材15の飲み口15cが形成された上端部と同一の曲率半径に形成している。
【0070】
蓋体23における飲み口突出孔23aと対応する上面部には、飲み口15cの露出を許容する飲み口露出部23eを形成している。
飲み口露出部23eは、蓋体23の中央部から飲み口突出孔23aと対応する外周部に向けて徐々に低くなる角度に傾斜するとともに、飲み口部材15の突出孔閉塞部15pと略同一の角度に傾斜するとともに、略同一の曲面に形成している。
【0071】
蓋体23の下端側外周部は、肩部材14における段部14eの外周面に対して嵌着が許容される大きさ及び形状に形成している。蓋体23の下端側内周部には、径方向内側に向けて突出する凸部23bを、該蓋体23の飲み口突出孔23aと反対側の内周面に形成している。
凸部23bは、凹状係合部20の溝部20aに対して係合が許容される大きさ及び形状に形成され、肩部材14の上側筒部14aに形成した凹状係合部20と対応する高さ位置の内周面に形成している。
【0072】
蓋体23の内側中央部には、下方に向けて突出する筒状の受け部23cを形成している。受け部23cの下端側内周には、径方向内側に向けて突出する係止爪23dを周方向に所定間隔を隔てて複数形成している。
栓本体24は、上下方向Lに貫通する中空筒状に形成した筒部24aと、該筒部24aの上端側開口縁部に嵌着した蓋体23と、該筒部24aの下端側開口部24dに嵌着したパッキン25Aとで囲繞した内部空間Yを、図示しない通気路を介して栓本体24の外部と連通している。
【0073】
パッキン25Aは、開口部24dの閉塞が許容される大きさ、及び形状に、柔軟性を有する弾性部材(具体的には、シリコーンゴム)にて円板状に形成している。該開口部24dと対応するパッキン25Aの中央部には、上方に向けて突出する断面弧状の反転部25aを形成している(
図3、
図4、
図12参照)。
【0074】
栓本体24の筒部24aは、蓋体23の受け部23cに対して嵌着が許容される大きさ及び形状に形成している。該筒部24aの外周には、受け部23cの係止爪23dが係止される係止孔24bを周方向に所定間隔を隔てて形成している。
筒部24aの下端側外周部には、止水用のパッキン25Aが嵌着される段付き形状の突出部24cを周方向に連続して形成している。
栓本体24における筒部24aの下端側外周面には、飲み口部材15の螺着ねじ部22aと対応して、他方の螺着ねじ部22bを螺刻している。
【0075】
上述の螺着ねじ部22a,22bは、飲み口部材15における開口部15mの開栓が許容される開栓状態と、及び開口部15mの閉栓が許容される閉栓状態とに、栓体16を略半回転でねじ送り移動するねじピッチに螺刻している(
図3、
図7参照)。
具体的には、栓体16を略半回転(略180度)すると、該栓体16を上下方向Lに略2.5mm〜略3mmねじ送り移動する、通常のねじピッチよりも大きいねじピッチに螺刻している。
【0076】
上述の蓋体23と栓本体24は、栓本体24の筒部24aを、蓋体23の受け部23cに対して下方から嵌め込むとともに、受け部23cの係止爪23dを筒部24aの係止孔24bに係合して、蓋体23と栓本体24とを一体に嵌着固定している。
パッキン25Aは、筒部24aの下端側外周部に形成した段付き形状を有する突出部24cに嵌着している(
図12参照)。
【0077】
筒部24aの突出部24cよりも下側の外周部には、パッキン25Aにおける反転部25aの外周部分が押し付けられる支持部24eを形成している。
支持部24eにおける反転部25aの外周部分が押し付けられる下面は、外周側から内周側に向けて徐々に低くなるテーパー面に傾斜している。
容器本体11における貯留空間Xの圧力が高くなるほど、反転部25aの外周部分が支持部24eの下面に対して垂直に押し付けられるため、より高い止水性を確保することができる。
【0078】
図12は
図3に示すパッキン25Aによる止水状態のb部拡大説明図、詳しくは、
図12(a)は栓体16のパッキン25Aによる止水状態の拡大断面図、
図12(b)は貯留空間Xと内部空間Yとを連通した状態の拡大断面図である。
【0079】
パッキン25Aの反転部25aは、容器本体11における貯留空間Xの内圧の変化に応じて、栓本体24の内部空間Yに向けて上向きに突出する突出状態(
図12(a)参照)と、該突出状態と反対に向けて下向きに突出する反転状態(
図12(b)参照)とに弾性変位可能な柔軟性を備えている。
常圧時において、反転部25aは、該反転部25a自体の復元力によって上方に向けて弧状に突出する突出状態を保っている。
【0080】
反転部25aにおける支持部24eに押し付けられる外周部分には、平面視丸形状の調圧孔26を厚み方向に貫通して形成している。
調圧孔26の下側周縁部には、下方に向けて突出する凸状の突出部26aを、該調圧孔26の下側周縁部に沿って周方向に連続して形成している。つまり、調圧孔26における周縁部の肉厚を、該調圧孔26の周辺部分に比べて厚くしている。
【0081】
これにより、反転部25aの反転動作が何回も繰り返されても、調圧孔26の周縁部に、例えば、割れや亀裂等が生じにくく、調圧孔26による調圧作用が継続して得られるとともに、気密性及び止水性を保つために必要な強度を確保することができる。
実施形態では、調圧孔26を1箇所形成した例について説明したが、必要に応じて複数個所形成してもよい。
【0082】
上述の栓体16を、容器本体11における口部12に固定した下口部材13の飲み口部材15に螺着する場合、栓体16の栓本体24を、下口部材13の飲み口部材15に上方から挿入するとともに、螺着ねじ部22a,22b同士を螺合させながら閉栓方向CLに半回転以上回動する。
栓本体24に嵌着したパッキン25Aの外周部分を、飲み口部材15における突出部15kの径方向内側周面に沿って密着した状態に押し付けて連通不可状態に閉塞するため、確実に閉栓、及び止水することができる。
【0083】
つまり、閉栓状態において、栓本体24のパッキン25Aによって、下口部材13における飲み口部材15の開口部15mを閉塞するため、容器本体11の貯留空間Xに貯留した液体が、飲み口部材15の開口部15mから外部へ漏洩することを防止できる。
【0084】
容器本体11における貯留空間Xの内圧が常圧時の場合、パッキン25Aの外周部分は、該パッキン25A自体の復元力によって栓本体24の支持部24eに対して密着した状態に押し付けられている。
パッキン25Aの外周部分に形成した調圧孔26の上面側周縁部も、支持部24eの下側斜面に対して垂直に密着した状態に押し付けられるため、気密性及び止水性を同時に確保することができる(
図12(a)の実線参照)。
【0085】
容器本体11における貯留空間Xの内圧が常圧時よりも上昇した場合、パッキン25Aの外周部分が支持部24eの下側斜面に対して強く押し付けられるとともに、調圧孔26の上面側周縁部も支持部24eの下側斜面に対して垂直に強く押し付けられるため、より高い気密性及び止水性を確保することができる。
したがって、閉栓状態の携帯飲料容器10を転倒させることがあっても、容器本体11の貯留空間Xに貯留した液体が外部へ漏洩することを確実に防止できる。
【0086】
容器本体11の貯留空間Xに貯留した液体の温度が低下して、貯留空間Xの内圧が常圧時よりも下降した際、パッキン25Aの反転部25aが復元力に抗して下向きに反転する(
図12(a)の仮想線参照)。
さらに、パッキン25Aの反転部25aが下方に向けて引き下げられることで、パッキン25Aの外周部分と、支持部24eの下側斜面との間に隙間が生じることになる。
【0087】
パッキン25Aの外周部分に形成した調圧孔26が、支持部24eの下側斜面から引き離され、調圧孔26の上面側周縁部と、支持部24eの下側斜面との間に隙間が形成されるため、調圧孔26を介して、容器本体11の貯留空間Xと、栓本体24の内部空間Yとが連通される(
図12(b)の実線参照)。
【0088】
栓本体24の内部空間Yは、図示しない通気路を介して栓本体24の外部と連通しているため、調圧孔26を介して、栓本体24の内部空間Y側から容器本体11の貯留空間X側に向けて外気の吸気が許容される。
上述の吸気によって、容器本体11における貯留空間Xの内圧が常圧時に復帰した際、飲み口部材15における下側筒部15bの突出部15kに対するパッキン25Aの押し付け力が常圧時の状態に復帰するため、栓体16を開栓方向OPへ略半回転操作する際の接触抵抗が小さくなり、栓体16の開栓操作が手で楽に行える。
【0089】
容器本体11における貯留空間Xの内圧が常圧時に復帰した際、パッキン25Aの反転部25aが、該反転部25a自体の復元力によって上向きに突出する突出状態に復帰するとともに、パッキン25Aの外周部分、及び調圧孔26の上面側周縁部が支持部24eの下側斜面に対して密着した状態に押し付けられるため、気密性及び止水性が確保することができる。
【0090】
栓体16を開栓方向OPへ略半回転して、栓体16における蓋体23の下端部を、下口部材13における肩部材14の段部14eよりも上方へ移動させた際、蓋体23の下端部が、肩部材14に形成した凹状係合部20の壁部20bにて支持される(
図3、
図10(a)参照)。
【0091】
一方、栓体16を閉栓方向CLへ略半回転して、栓体16における蓋体23の下端側内周を、下口部材13における肩部材14の段部14eの外周面に係合した際、栓体16の蓋体23が下口部材13の肩部材14に対してガタツキ無く同心円に保持される。
【0092】
上述のように栓体16を上方へ移動した際、肩部材14における凹状係合部20と反対側の外周面には該凹状係合部20が存在しないため、栓体16における蓋体23の下端側内周と、肩部材14における上側筒部14aの上端側外周との間に、上側筒部14aと段部14eとの段差分に相当するクリアランスSが形成される。
すなわち、クリアランスSは、蓋体23の飲み口突出孔23aと対応する前方側Ffに向けて栓体16の偏心移動を許容する(
図7、
図10(b)参照)。
【0093】
次に、上述の携帯飲料容器10から液体を注出する際の注出方法について説明する。
液体の注出を開始する場合、栓体16を、容器本体11における口部12に固定した下口部材13の飲み口部材15に螺合したまま、開口部15mの径方向中心部を中心として開栓方向OPへ略半回転操作するとともに、栓体16を略半回転操作するのに伴って、栓体16の螺着ねじ部22bを、飲み口部材15の螺着ねじ部22aに沿って上方へ移動させる。
これにより、栓体16を、螺着ねじ部22a,22b同士の相対移動により、開口部15mの開栓が許容される移動量だけねじ送り移動させることができる。
【0094】
栓体16を、螺着ねじ部22a,22bによるねじ送りにより、飲み口部材15の突出部15kからパッキン25Aが離間される方向へ移動させるとともに、突出部15kに対するパッキン25Aの密着を解除して、飲み口部材15の開口部15mを開栓する(
図5〜
図7、
図9(b)参照)。
【0095】
栓体16を開栓方向OPへ回転開始するとともに、該栓体16を開口部15mの閉栓が許容される閉栓状態から、該開口部15mの開栓が許容される開栓状態へ移行するのに伴って、蓋体23の飲み口突出孔23aを、飲み口部材15の開口部15mとの連通が不可となる連通不可状態から、該開口部15mとの連通が許容される連通許容状態へ同時に移行する。
【0096】
これにより、開口部15mを開栓すると同時に、蓋体23の飲み口突出孔23aを、注出路15c1を介して飲み口部材15の開口部15mと連通することができるとともに、容器本体11の貯留空間Xに貯留された液体の注出が許容される連通許容状態に、容器本体11の内部と外部とを連通することができる。
【0097】
蓋体23の飲み口突出孔23aを、飲み口部材15の飲み口15cと一致する前方側Ffへ略半回転で移動させて、飲み口部材15の飲み口15cを栓体16の飲み口突出孔23aよりも外方に向けて突出させる。
飲み口部材15の飲み口15cは、蓋体23の飲み口露出部23eよりもさらに外方に突出されるため、飲み口15cから直飲みすることが可能な突出量を確保することができる。
【0098】
蓋体23の飲み口突出孔23aを、飲み口部材15の飲み口15cと一致する前方側Ffの位置へ略半回転移動した際、栓体16における蓋体23の凸部23bが、肩部材14における凹状係合部20の壁部20bを乗り越えて溝部20aに係合し、蓋体23の飲み口突出孔23aが飲み口部材15の飲み口15cと一致する位置に回動規制される(
図7、
図10(b)、
図11(a)参照)。
【0099】
上述のように開栓した後、開栓状態の携帯飲料容器10を、液体の注出が許容される所望の角度に傾けた際、栓体16における蓋体23の飲み口突出孔23aと、下口部材13における飲み口部材15の飲み口15cとの位置が周方向にずれることを防止でき、飲み口部材15の飲み口15cを、蓋体23の飲み口突出孔23aよりも外方に所定量突出した状態に保つことができる。
【0100】
開栓状態の携帯飲料容器10を、飲み口部材15の飲み口15cが手前側となる姿勢に保持して、該飲み口15cから液体が注出される所望の角度に傾ければ、容器本体11の貯留空間Xに貯留された液体を、蓋体23の飲み口突出孔23aよりも外方に突出した飲み口部材15の飲み口15cから注出することができる。
【0101】
飲み口部材15の飲み口15cを蓋体23の飲み口突出孔23aよりも外方へ突出するため、飲み口15cから注出される液体が蓋体23に接触したり、蓋体23によって注出が邪魔されることを回避でき、液体を周囲に飛散させることなく、所望する方向に向けて確実に注出することができる。
例えば、利用者の口を飲み口15cに直接押し付けるか、飲み口15cに近接する等して、飲み口15cから直飲みすることができる。
【0102】
しかも、容器本体11の貯留空間Xに貯留された液体を注出する際、貯留空間Xに貯留された液体を、螺着ねじ部22aにおける飲み口15c側の端部間を通過させて、飲み口15cに向けて誘導するため、螺着ねじ部22aによって液体の注出が妨げられることがなく、飲み口部材15の飲み口15cからスムースに注出することができる。
【0103】
注出中において、容器本体11の貯留空間Xに貯留した液体の貯留量が減少するのに伴って、該貯留空間Xの内圧が低下する際、その内圧の低下により、外部の外気を通気路15dから吸い込むとともに、螺着ねじ部22aにおける通気路15d側の端部間を通過させて、貯留空間Xへ確実に流入させることができる。
これにより、螺着ねじ部22aによって外気の流入が妨げられることがなく、容器本体11の貯留空間Xへより効率よく流入させることができ、容器本体11の貯留空間Xに貯留された液体を、飲み口部材15の飲み口15cからスムースに注出することができる。
【0104】
次に、液体の注出を停止する場合、栓体16を、下口部材13の飲み口部材15に螺合したまま閉栓方向CLへ略半回転(略180度)するとともに、該栓体16を略半回転操作するのに伴って、栓体16の螺着ねじ部22bを、飲み口部材15の螺着ねじ部22aに沿って下方へ移動させる。
これにより、栓体16を、螺着ねじ部22a,22b同士の相対移動により、開口部15mの閉栓が許容される移動量だけねじ送り移動させることができる。
【0105】
栓体16を、螺着ねじ部22a,22bによるねじ送りにより、飲み口部材15の突出部15kに対してパッキン25Aが押し付けられる方向へ移動させるとともに、該パッキン25Aを突出部15kの径方向内側周面に対して密着した状態に押し付けて、飲み口部材15の開口部15mを閉栓するため、液体の注出を停止することができる(
図1〜
図3、
図9(a)参照)。
【0106】
上述のように、栓体16を、容器本体11における口部12に固定した下口部材13の飲み口部材15に螺合したまま開栓方向OP、及び閉栓方向CLへ略半回転操作するだけで、栓体16を着脱することなく、開口部15mを開栓、及び閉栓することができる。
【0107】
しかも、回動操作の途中で、栓体16を回動操作する手の位置や向きを変える必要がなく、栓体16を1回転、あるいは複数回転するよりも回転量が少なくて済むため、開口部15mをより簡単に開栓、及び閉栓することができる。
さらに、栓体16を、飲み口部材15の開口部15mに対して着脱する手間が省けるため、液体を注出する開栓状態と、注出を停止する閉栓状態とに即移行することができる。
【0108】
栓体16を閉栓方向CLへ略半回転操作する際に、蓋体23の飲み口突出孔23aを、飲み口部材15の飲み口15cと反対側の後方側Bbへ略半回転で移動させて、飲み口部材15の飲み口15cを、蓋体23における飲み口突出孔23aと反対側の部分にて覆う。
蓋体23の飲み口突出孔23aを、飲み口部材15の突出孔閉塞部15pと一致する後方側Bbの位置へ略半回転で移動させ、該飲み口突出孔23aを突出孔閉塞部15pに係合するため、蓋体23の飲み口突出孔23aを確実に閉塞することができる。
【0109】
飲み口部材15の飲み口15cを蓋体23にて覆うことにより、注出終了後又は注出休止中において、飲み口部材15の飲み口15cが外部に露出されることを防止できる。
例えば、ゴミ、塵埃等の異物が飲み口15cから容器本体11内に入ることを確実に防止できるとともに、人の手や指が飲み口15cに触れることも防止できるため、衛生的な状態を保つことができる。
【0110】
開栓状態において、携帯飲料容器10における容器本体11内に貯留された液体を、飲み口部材15の飲み口15cに沿って該飲み口15cと一致する方向に向けて注出するため、携帯飲料容器10を、液体が飲み口15cから注出される所望の角度に傾けた際、液体の注出方向が意図しない方向へ変化することをより積極的に防止できる。
これにより、飲み口15cから注出される液体が意図しない方向へ誤って注出されること、及び周囲に飛散することをより積極的に防止できるとともに、液体の損失をより少なくすることができる。
【0111】
栓体16を開栓方向OPへ略半回転操作する際に、蓋体23の凸部23bを、凹状係合部20の壁部20bを乗り越えさせて溝部20aに係合する際に付与される凹凸感触により、蓋体23の口部23が、飲み口部材15の飲み口15cと一致する位置に略半回転されたことを、栓体16を回動操作する手に付与される操作感によって把握することができるため、栓体16を必要以上に回し過ぎてしまう、あるいは、回し足りないことを防止できる。
【0112】
さらに、栓体16を開栓状態に略半回転した状態において、携帯飲料容器10を液体の注出が許容される角度に傾けた際、その傾ける動作によって、クリアランスSと対応する移動量だけ、栓体16の全体が、肩部材14における凹状係合部20の溝部20aと、蓋体23の凸部23bとが互いに係合される方向に向けて偏心移動が許容される(
図7、
図10(b)、
図11(a)参照)。
【0113】
これにより、溝部20aと凸部23bとの係合が許容される方向への栓体16の偏心移動方向を、下口部材13における飲み口部材15の飲み口15cと対応する方向と一致させて、より確実に係合することができる。
【0114】
飲み口15cと反対側の位置にて、蓋体23の凸部23bが肩部材14における溝部20aに対して係合され、栓体16の飲み口突出孔23aが飲み口部材15の飲み口15cと一致する略半回転した位置に回動規制されるため、栓体16における蓋体23の飲み口突出孔23aとの位置がずれることを防止することができる。
これにより、携帯飲料容器10を液体の注出が許容される所望する角度に傾けて、下口部材13における飲み口部材15の飲み口15cから液体を直接飲んだり、コップ等の容器に注いだりする際、栓体16が不意に回転することを、より確実に防止できる。
【0115】
しかも、栓体16における蓋体23の凸部23bを、下口部材13における肩部材14の凹状係合部20の壁部20bを乗り越えさせて溝部20aに係合する動作と、凸部23bを、溝部20aから離脱する動作とが上述したクリアランスSによって許容されるため、栓体16を開栓方向OP、及び閉栓方向CLへ略半回転する際の操作が何等支障無く行える(
図7、
図10(a)、
図11(b)参照)。
【0116】
なお、容器本体11の内部を清掃する場合、栓体16を開栓方向OPへ半回転以上回動しながら、螺着ねじ部22a,22b同士の螺合を解除して、栓体16の栓本体24を飲み口部材15から抜き取る。
飲み口部材15を開栓方向OPへ回動しながら、螺着ねじ部18a,18b同士の螺合を解除して、下口部材13を、容器本体11の口部12から分離すれば、容器本体11の口部12全体が開口されるため、容器本体11の内部を綺麗に洗浄する作業が容易に行える。
【0117】
(実施例2)
以下、上述の携帯飲料容器10におけるその他の例について説明する。この説明において、前記構成と同一または同等の部位については同一の符号を記してその詳しい説明を省略する。
【0118】
上述の実施例1では、反転部25a、及び調圧孔26を有する円板状のパッキン25Aにて止水する例について説明したが、環状のパッキン25Bを用いて止水してもよい。
図13は実施例2における環状のパッキン25Bにて止水する止水構造の説明図である。
【0119】
詳しくは、柔軟性を有する弾性部材にて形成した環状のパッキン25Bを、栓体16における有底筒状を有する栓本体24の突出部24cに嵌着している。
【0120】
液体の注出を停止する場合、栓体16を、口部12における下口部材13の飲み口部材15に螺合したまま閉栓方向CLへ略半回転操作して、栓体16の栓本体24に嵌着したパッキン25Bを、飲み口部材15における突出部15kの径方向内側周面に沿って密着した状態に押し付けるため、確実に閉栓、及び止水することができる。
【0121】
この結果、閉栓状態において、容器本体11の貯留空間Xに貯留した液体が、飲み口部材15の開口部15mから漏洩することを確実に防止でき、実施例1のパッキン25Aを用いた携帯飲料容器10と略同等の作用、及び効果を奏することができる。
しかも、パッキン25Bの外周部分には孔部や開口部が存在しないため、該外周部分に漏洩が生じることがない。
【0122】
この発明の構成と、前記実施形態との対応において、
この発明における容器本体の口部は、連通許容部は、実施形態における口部12、下口部材13、及び飲み口部材15に対応し、
以下同様に、
蓋体の連通許容部は、蓋体23の飲み口突出孔23aに対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、多くの実施の形態を得ることができる。
【0123】
実施形態では、螺着ねじ部22a,22bのねじピッチを、略2.5mm〜略3mmの範囲に含まれるねじピッチに設定した例について説明したが、栓本体24を略半回転操作して開栓状態、及び閉栓状態にねじ送り移動することが可能であれば、例えば、略3mm以上のねじピッチに変更してもよく、実施形態にねじピッチに限定されるものではない。