特許第6393075号(P6393075)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6393075深穴清掃・洗浄用の吸込用アダプター、及びこれを用いた掃除機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6393075
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】深穴清掃・洗浄用の吸込用アダプター、及びこれを用いた掃除機
(51)【国際特許分類】
   B08B 5/00 20060101AFI20180910BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
   B08B5/00 A
   B23Q11/00 P
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-94324(P2014-94324)
(22)【出願日】2014年4月30日
(65)【公開番号】特開2015-208741(P2015-208741A)
(43)【公開日】2015年11月24日
【審査請求日】2017年3月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】502180277
【氏名又は名称】株式会社深瀬
(74)【代理人】
【識別番号】100129159
【弁理士】
【氏名又は名称】黒沼 吉行
(72)【発明者】
【氏名】深 瀬 成 一
(72)【発明者】
【氏名】深 瀬 真 宏
【審査官】 石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−167637(JP,A)
【文献】 実開昭58−161688(JP,U)
【文献】 実開平03−119488(JP,U)
【文献】 特開昭59−049886(JP,A)
【文献】 実開昭58−035335(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 1/00−1/04
B08B 5/00−13/00
B23Q 11/00−13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
深穴内の異物を除去する為の深穴清掃・洗浄用の吸込用アダプターであって、
深穴内に挿入される筒状部と、当該筒状部の先端側に存在する異物の吸込み口とからなり、
当該吸込口の近傍には、前記筒状部の外側に向かってエアーを噴射する外向き噴射孔が設けられ、前記吸込み口から吸い込まれたエアーが通る通気路を内部に区画する壁面には、吸込み口から吸い込まれたエアーの流れ方向にエアーを噴射する内向き噴射孔が形成されており、
前記外向き噴射孔から噴出する空気量と、前記内向き噴射孔から噴出する空気量とは、外向き噴射孔から噴出された全ての空気が、吸い込み口から吸い込まれるように調整されており、
前記外向き噴射孔は、先端側に向かって傾斜すると共に、サイクロン流を生じさせるように斜めに開口している事を特徴とする、深穴清掃・洗浄用の吸込用アダプター。
【請求項2】
前記筒状部は、前記吸込み口から吸い込まれたエアーが通る通気路を内部に区画する第1筒状体と、当該第1筒状体の外側に配置されて、前記第1筒状との間に、前記噴射孔から噴射されるエアーが通る排出路を区画する第2筒状体とで構成されている、請求項に記載の深穴清掃・洗浄用の吸込用アダプター。
【請求項3】
前記異物の吸い込み口と、外向き噴射孔と、内向き噴射孔とは筒状の先端モジュールとして構成されており、当該先端モジュールは、筒状部の先端部に着脱自在に設けられており、
当該筒状部の後端には、前記外向き噴射孔と内向き噴射孔から噴出されるエアーを供給するエアー供給部が設けられており、
当該エアー供給部から供給されたエアーは内部に設けられたエアー溜まりに到達して、当該エアー溜まりから外向き噴射孔と内向き噴射孔に供給される、請求項1又は2に記載の深穴清掃・洗浄用の吸込用アダプター。
【請求項4】
前記先端モジュールは、内向きフランジ状に形成した筒体と、当該筒体内に収容された内向き噴射孔形成筒とからなり、
当該内向き噴射孔形成筒は、先端側に外径を狭めた筒状部であって、突出した外周面に切り欠き状の溝を複数形成すると共に、内部に内向き噴射孔を形成してなり、
当該内向き噴射孔は、筒状部内の後端側に向かって、サイクロン流を生じさせるように斜めに開口している、請求項3に記載の深穴清掃・洗浄用の吸込用アダプター。
【請求項5】
通気路内には、軸方向両端側が窄んだ形状であって、エゼクタ効果を生じさせるスロート部を形成するニードルが設けられており、
前記内向き噴射孔は、当該ニードルにおいて縮径により窄み部分を形成している傾斜面に沿う向きにエアーを噴射させるように開口している、請求項1〜4の何れか一項に記載の深穴清掃・洗浄用の吸込用アダプター。
【請求項6】
圧縮エアーを供給するコンプレッサー乃至は送風機と、請求項1〜5の何れか一項に記載の深穴清掃・洗浄用の吸込用アダプターとからなり、
コンプレッサー乃至は送風機から供給されるエアーを、外向き噴射孔に供給する事を特徴とする掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は構造物、特に望ましくはコンクリート構造物に穿設された深穴内を清掃又は洗浄する為の吸込用アダプター、及びこれを用いた掃除機に関し、特に穴内の壁面等に付着した塵埃なども吹き飛ばして、これを排出乃至は吸引できるようにした吸込用アダプター及びこれを用いた掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネル、ビル、橋梁等の建築構造物や機械部品、或いは各種の物品には、様々な目的により貫通する孔や貫通していない穴を形成する事があり、当該穴(又は孔)に対しては、その内部を清掃する為に様々な器具が提案されている。そしてこのような穴(又は孔)の内部を清掃するのに適した清掃・洗浄器具として、本願出願人も、これまでに特許文献1及び2の技術を提案している。
【0003】
特許文献1(特開2011−255293号公報)では、機械装置や製品、部品を製造する過程で要する清掃技術であって、圧縮気体を清掃対象物に当てて剥がし除去する清掃技術を提案している。即ち、この文献では、「グリップの先端適宜角度姿勢に一体化してなる吸引筒の先端中央に同吸引筒に対して同心配置で、その先端側方向に向けて気体を噴射可能とする噴射ノズルを設け、当該グリップの基端から該噴射ノズルに渡る管路の中途適所に同グリップを把持した手指で操作可能となる外壁に操作入力部を露出するよう噴射スイッチを配した圧縮気回路を内蔵すると共に、該圧縮気回路の噴射スイッチと噴射ノズルとの間適所から分岐した負圧誘導回路の末端を、当該吸引筒同心状配置適所において、該噴射ノズルとは反対側方向に同吸引筒末端側に向けて開口するよう設け、後端部前適所にR形状の湾曲形状で進行方向を変更する流路を設けてあるものとしたことを特徴とする吸引回収飛ばし機能付エアーガン」を提案している。
【0004】
また特許文献2(特開2012−96214号公報)では、従前の吸引式のクリーナーでは除去できないような溝や穴に入り込んだ塵埃、切削屑、又は切削油等であっても、これを効果的に吸引して除去できるようにした吸引機器の先端構造、および当該先端構造を具備する吸込用アダプター並びに吸引式洗浄ガンを提案している。即ちこの文献では、「吸引構造を具備する掃除機や加圧エアーを利用したクリーナー等の吸引機器における吸引部分先端の吸引構造であって、筒状に構成されている吸引部分の先端側に開口する吸引口と、当該吸引口内又はその近傍に配設されて、前記吸引口の鉛直投影面内に流体を吐出する噴射ノズルとを具備し、当該噴射ノズルの先端部分は、前記吸引部分の吸引口よりも突出可能な程度に進退自在に設けられている吸引部分先端の吸引構造とし、これを備えた吸込用アダプターおよび吸引式洗浄ガン」を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−255293号公報
【特許文献2】特開2012−96214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願出願人は、従前においても、ネジ穴や止り穴、或いは狭いか或いは深い溝や穴の内部を洗浄するものとして、前記特許文献1や2で提案される技術を提案している。
【0007】
しかし、機械加工や建築現場においては、30cm以上の深さを有する穴(即ち、深穴)を穿つ場合もあった。そしてこのような深穴にあっては、ごみ等の異物が穴内の壁面などに密着しており、此れを除去するのが困難であったり、或いは穴内に存在する異物の質量が大きく空気流だけでは除去できなかったりする場合もあった。例えば、建物の基礎部分、橋梁、トンネル内壁などの建築構造物において、コンクリート構造部分にアンカーボルトを打設する際には、当該コンクリート構造部分に、予め定められた径と深さの穴をハンマードリルなどで穿ち、アンカーボルトを差し込む前に、当該穴内に存在するコンクリートの切り粉をブロワーなどで除去することが行われている。これは穴内にコンクリートの切り粉が残留してしまうと、接着剤との接合力が低下してしまい、十分な引き抜き耐力が得られなくなる為である。
【0008】
しかしながら、コンクリート構造部分にハンマードリル等で穴を穿った場合には、コンクリートの削り屑や粉塵が穴内に残留してしまい、特に穴の内壁面に付着した微細な削り屑や粉は、単に穴の内部を吸引したり、或いはエアガン等で穴内に空気を噴射したとしても確実に除去するのは困難であった。特にエアガン等で穴内の異物を吹き飛ばす場合には、吹き飛ばした塵埃が、清掃が済んでいる筈の穴内に入り込んでしまい、清掃作業がなかなか完了しない等の問題があった。この為、例えば穴内に差し込んだアンカーボルトを接着剤により固定する際には、当該穴内をブラシ等で清掃乃至は洗浄する等、多大な時間や労力を要してしまい、作業効率の向上を図るのが困難であった。
【0009】
そこで本発明では、深穴の内壁面や底面等に、コンクリートの切り粉等の粉塵などが付着していても、これを剥がして清掃・洗浄することのできる深穴清掃・洗浄用の吸込用アダプター、及びこれを用いた掃除機を提供することを課題の1つとする。
【0010】
また、アンカーボルトの引き抜き強度は、一般的に、アンカーボルトのコンクリートに接する表面積に比例しており、深く埋め込むほど引き抜き耐力が大きくなり、一方で埋め込み長さが短いと、アンカーボルトが所定の耐力に達する前に抜けてしまうことがある。よって、アンカーボルト本来の強度や粘りを発揮できるようにする為には、アンカーボルトを埋め込むための穴も深くならざるを得ず、その結果、掃除機のような単なる吸引だけでは、底部に存在する礫などを除去するのが困難になっていた。
【0011】
そこで本発明は、深い乃至は長い穴であっても、当該穴内の底部に存在する礫や粉、その他の異物であっても確実に吸引して除去し、当該穴内を清掃乃至は洗浄できるようにした深穴清掃・洗浄用の吸込用アダプター、及びこれを用いた掃除機を提供することを課題の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題の少なくとも何れかを解決するべく、本発明では穿たれた穴内に挿入して使用され、穴の内壁面に向かってエアーを噴射させるように構成した深穴清掃・洗浄用の吸込用アダプターを提供するものである。
【0013】
即ち、本発明にかかる深穴清掃・洗浄用の吸込用アダプターは、深穴内の異物を除去する為の深穴清掃・洗浄用の吸込用アダプターであって、深穴内に挿入される筒状部と、当該筒状部の先端側に存在する異物の吸込み口とからなり、当該吸込口の近傍には、前記筒状部の外側に向かってエアーを噴射する外向き噴射孔が設けられている。
【0014】
かかる深穴清掃・洗浄用の吸込用アダプターは、その全体形状が筒状であれば良く、多くの穴が円形であることを考慮すれば円筒状に形成されるのが望ましい。但し、円筒形状に限らず、四角筒形状、三角筒形状等のように多角筒形状に形成しても良い。また筒状に形成されている筒状部は、その軸心長が制限されるものでは無いが、本発明における効果が顕著になるのは、穴の深さ乃至は長さが50cm以上であることから、当該筒状部は50cm以上、望ましくは100cm以上の長さに形成されている事が望ましい。また、清掃対象となる穴がコンクリートに穿った穴である場合には、当該穴内には礫が存在する。よって、当該礫も吸い込むことができる様に、吸込み口から吸い込まれたエアーと礫が通る通気路は、最も狭い部分の内径が15mm以上、望ましくは18mm以上に形成されている事が望ましい。また、トンネル工事などにおいてアンカーボルトを設置する穴の内径は約30mm程度以上であることから、当該穴であっても挿入できるように、最も広がっている部分の外径は28mm以下に形成されるのが望ましい。
【0015】
そして上記の筒状部の先端側には、異物を吸い込む為の吸込み口が存在し、且つ当該吸込口の近傍には、前記筒状部の外側に向かってエアーを噴射する外向き噴射孔が設けられている。かかる外向き噴射孔を形成する事により、穴の内壁面に付着した削粉を吹き飛ばすことができる。そして、この外向き噴射孔を吸込み口の近く、望ましくは吸込み口の開口部分から30mm以内、特に望ましくは吸込み口の開口部分から10mm以内の範囲に設ける事により、エアーの噴射で吹き飛ばされた削粉は、吸込み口に向かって流れ、前記筒状部の中を通って排出される事になる。この点、仮に当該外向き噴射孔が前記吸込み口から離れた場所、例えば吸込み口の開口部分から30mmを超えた場所に形成した場合には、吹き飛ばした削粉が穴の開口部に向かって舞い上がってしまい、再び穴の内壁面に付着するおそれがある。
【0016】
また、この外向き噴射孔は、当該孔から噴出されたエアーが渦を巻いて流れる様に、放射方向から僅かに斜め方向に放出するように形成するのが望ましい。外向き噴射孔を斜めに開口させることにより、当該孔から放出されるエアーはサイクロン状に放出され、その結果、吸い込み口に向かって安定的に削粉を導くことができる。また、この外向き噴射孔は、穴の底に堆積した削粉や礫も吸込み口に向かわせるように、僅かに先端側に向かって傾斜させておくことが望ましい。よって、当該外向き噴射孔は、先端側に向かって、渦流(サイクロン流)を生じさせるように斜めに開口している事が望ましい。
【0017】
また、外向き噴射孔から噴射されたエアーにより吹き飛ばされた削粉が、穴の内壁面に付着しないようにするためには、当該吸い込み口から流れ込むエアーの流れる方向に、前記通気路内を吸引するか、或いは当該方向にエアーを噴射させて通気路内にエアーの流れを形成する事が望ましい。吸い込み口から流れ込むエアーの流れる方向に、前記通気路内を吸引する場合には、筒状部の後端側をバキューム装置で吸引することができ、また吸い込み口から流れ込むエアーの流れ方向にエアーの流れを形成するためには、前記吸込み口から吸い込まれたエアーが通る通気路を内部に区画する壁面に、吸込み口から吸い込まれたエアーの流れ方向に、エアーを噴射する内向き噴射孔を形成することができる。この内向き噴射孔から噴射されるエアーは、前記した外向き噴射孔から噴射されるエアーを分岐させて使用することができる。そして外向き噴射孔から噴出する空気量と、内向き噴射孔から噴出する空気量とは、外向き噴射孔から噴出された全ての空気が、吸い込み口から吸い込まれるように調整される事が望ましい。
【0018】
また、この内向き噴射孔は、吸込み口からの吸引効果を高める為に、当該孔から噴出されたエアーが渦を巻いて流れる様に、放射方向から僅かに斜め方向に噴射するように形成するのが望ましい。内向き噴射孔を斜めに開口させることにより、当該孔から放出されるエアーはサイクロン状に放出され、その結果、筒状部内を後端側に向かうエアーに乱流を生じさせることなく効率的に流すことができる。よって、当該内向き噴射孔は、筒状部内の後端側に向かって、渦流(サイクロン流)を生じさせるように斜めに開口している事が望ましい。
【0019】
更に、前記筒状部内に設けられた通気路において、先端側から後端側に向かうエアーの流量乃至は流速を増大させる為には、前記内向き噴射孔から噴射されるエアーを利用してエゼクタ効果を生じさせることが望ましい。この為、筒状部材内に確保された通気路内には、軸方向両端側が窄んだ形状であって、エゼクタ効果を生じさせるスロート部を形成するニードルを設ける事が望ましい。この時、エゼクタ効果を生じさせるためには、前記内向き噴射孔は、ニードルにおいて膨らむ方向に傾斜している部分以外の領域に開口している事が望ましく、更にニードルにおいて後端側に縮む方向に傾斜している部分の傾斜に沿う向きに開口している事が望ましい。その結果、通気路内においてスロート部が形成されている下流側に、内向き噴射孔からエアーを供給する事になり、これにより吸込み口から吸い込まれるエアーの量を大幅に増大させることができる。なお、上記ニードルは、通気路における軸心部分に設置する事が望ましい。但し、スロート部を形成し、エゼクタ効果を利用できるのであれば、ニードル以外の部品や構成を使用しても良い。例えば、通気路内に挿入されるチューブであって、その内径を窄めた後に拡大させることにより恰も鼓形状の通気路を出現させて、スロート部を確保するようにしたチューブ等であっても良い。
【0020】
そして上記本発明の深穴清掃・洗浄用の吸込用アダプターにおいて、前記外向き噴射孔及び内向き噴射孔の少なくとも何れかから噴射させるエアーを導くための噴射エアー用通気路を設ける。この噴射エアー用通気路は、吸込み口から吸い込まれたエアーを案内する通気路を内部に区画している筒状部の外側又は内側に管を沿わせるか、或いは突出するようにして噴射エアー用通気路を形成する事もできるが、前記筒状部を内外2層構造に形成して、筒同士の隙間を噴射エアー用通気路とする事が望ましい。即ち、前記筒状部は、前記吸込み口から吸い込まれたエアーが通る通気路を内部に区画する第1筒状体と、当該第1筒状体の外側に配置されて、前記第1筒状体との間に、前記噴射孔から噴射されるエアーが通る排出路を区画する第2筒状体とで構成することが望ましい。筒状部を二重構造とする事により、内筒となる第1筒状体と、外筒となる第2筒状体との間に、内向き又は外向き噴射孔から噴射されるエアーを導く噴射エアー用通気路を形成することができ、また筒状部の外周面における凹凸を大幅に減じることができる上、当該噴射エアー用通気路の水平断面積を最大限大きく確保することができる。更に、第1筒状体(内筒)と第2筒状体(外筒)との間に一定の間隔を確保するスペーサを設置して、両筒状体を組み合わせればよい事から、当該筒状部の製造も容易に行う事ができる。
【0021】
なお、前記第1筒状体(内筒)と第2筒状体(外筒)との水平断面形状は、相似形である他、全く異なる形状であって良く、少なくとも両筒状体の間に、噴射エアー用通気路を確保する程度の間隙を形成する必要がある。但し、第1筒状体(内筒)と第2筒状体(外筒)との水平断面形状を円形にし、両筒状体を円筒形状とすると共に、軸心位置を合わせれば、前記噴射エアー用通気路は周方向に一定の幅の間隙となる。よって、当該筒状部を軸方向に連結自在に形成する場合であっても、周方向において当該噴射エアー用通気路の位置合わせは不要となり、2つの筒状体を捩じ込み式により連結する事が可能になる。
【0022】
更に、上記の様に筒状部を連結自在とする事により、当該深穴清掃・洗浄用の吸込用アダプターの長さを自在に調整することができ、その結果、清掃・洗浄の対象となる穴の深さに応じて、最適な長さの深穴清掃・洗浄用の吸込用アダプターを使用できるようになる。特に、このように深穴清掃・洗浄用の吸込用アダプターの長さを調整自在とするには、吸込み口、外向き噴射孔及び内向き噴射孔が形成される部分をモジュール化して、これを筒状部の先端に着脱自在とする事が望ましい。この時、外向き噴射孔及び内向き噴射孔に対してエアーを供給するエアー供給部は、最も後端側に存在することになる筒状部に一体形成する他、当該エアー供給部をモジュール化して、前記筒状部の後端に着脱自在に形成する事もできる。
【0023】
そこで本発明では、軸方向の長さを任意に変更できるように、前記異物の吸い込み口と外向き噴射孔とは筒状の先端モジュールとして構成されており、当該先端モジュールは、筒状部の先端部に着脱自在に設けられており、当該筒状部の後端には、前記外向き噴射孔から噴出されるエアーを供給するエアー供給部が設けられている深穴清掃・洗浄用の吸込用アダプターをも提供する。
【0024】
そして上記の様に吸込み口から筒状体内に吸い込まれ、エアーと共に通気路を通った塵埃や礫等の異物は、深穴清掃・洗浄用の吸込用アダプターの後端側、即ち筒状部の後端側に存在する排出口から排出されることになる。この時、排出される異物には、コンクリートの削粉等の塵埃が含まれている。そこでこのような塵埃が大気中に放出されることの無いように、更には作業環境を良好に保つことができる様に、当該排出口には、集塵機から延出されているホースやチューブなどが接続されていることが望ましい。
【0025】
更に本発明では、噴射したエアーによって吸込み口から吸引することができるようにした深穴清掃・洗浄用の吸込用アダプターをも提供する。
即ち、深穴内の異物を除去する為の深穴清掃・洗浄用の吸込用アダプターであって、深穴内に挿入される筒状部と、当該筒状部の先端側に存在する異物の吸込み口とからなり、吸込み口から吸い込まれたエアーが通る通気路を内部に区画する壁面には、吸込み口から吸い込まれたエアーの流れ方向にエアーを噴射する内向き噴射孔が形成されている深穴清掃・洗浄用の吸込用アダプターを提供する。
かかる深穴清掃・洗浄用の吸込用アダプターは、清掃する穴の内壁面に対するエアーの噴射は行わないものの、その吸引力が大幅に高められて、穴内の異物を吸い出すことが可能になる。
【発明の効果】
【0026】
以上のように構成した本発明の深穴清掃・洗浄用の吸込用アダプターによれば、吸込口の近傍には、前記筒状部の外側に向かってエアーを噴射する外向き噴射孔を設けている事から、当該深穴清掃・洗浄用の吸込用アダプターを先端側から穴内に挿入すれば、当該外向き噴射孔からは、穴の内壁面に向かってエアーが噴射され、これにより当該孔の内壁面に付着した削粉等の粉体を吹き飛ばすことができる。そしてこの吹き飛ばされた粉体は、先端の吸込み口から筒状体内に吸い込まれ、通気路を通って後端の排出口から排出することができる。そしてこの排出口に、集塵機などから延出するホースやチューブを接続すれば、塵埃などの粉体が大気中に放出される恐れをなくすことができる。
【0027】
また、吸込み口から吸い込まれたエアーが通る通気路を内部に区画する壁面に、吸込み口から吸い込まれたエアーの流れ方向にエアーを噴射する内向き噴射孔を形成する等により、吸込み口から吸引する向きの空気流を形成することにより、前記外向き噴射孔から噴射されたエアーは、清掃対象である穴の開口側に流れることなく、吸込み口から吸い込まれることになる。よって、一旦吹き飛ばした塵埃が、再び穴の内壁面に付着する恐れは大幅に減じられ、これにより清掃対象となる穴内を往復清掃する回数が大幅に減じて作業効率を向上させることができる。
【0028】
また筒状部を、前記吸込み口から吸い込まれたエアーが通る通気路を内部に区画する第1筒状体と、当該第1筒状体の外側に配置されて、前記第1筒状部との間に、前記噴射孔から噴射されるエアーが通る排出路を区画する第2筒状体とで構成することにより、内向き又は外向き噴射孔から噴射されるエアーを導く噴射エアー用通気路を簡易且つ確実に形成することができ、しかも、当該噴射エアー用通気路の水平断面積を最大限に確保することができる。
【0029】
更に、前記異物の吸い込み口と外向き噴射孔とは筒状の先端モジュールとして構成し、当該先端モジュールを筒状部の先端部に着脱自在に設け、また当該筒状部の後端には、前記外向き噴射孔から噴出されるエアーを供給するエアー供給部を設けた場合には、当該筒状部を任意に継ぎ足すことができ、これにより清掃対象となる穴の長さや深さに応じて、最適な長さに調整することができ、短すぎて穴の底部の塵埃や礫を吸い上げることができなかったり、長すぎて取扱いが困難であるなどの問題を解消した深穴清掃・洗浄用の吸込用アダプターとすることができる。
【0030】
そして、吸込み口から吸い込まれたエアーが通る通気路内には、軸方向両端側が窄んだ形状であって、エゼクタ効果を生じさせるスロート部を形成するニードルを設けることにより、当該吸込み口からの吸込み量を大幅に増大させることができ、これにより吸引効率を高めることができる。
【0031】
以上のように構成した深穴清掃・洗浄用の吸込用アダプターは、外向き噴射孔から放出するエアーを供給するコンプレッサー乃至は送風機と組み合わせる事により、長いか又は深い穴であっても、当該穴内を確実に清掃乃至は洗浄することのできる深穴清掃・洗浄用の掃除機を実現することができる。なお、当該掃除機においては、吸込み口から吸引したエアーが排出される排出口に、吸塵装置やバキューム装置を接続する事で、吸い込んだ塵埃や粉、或いは礫などを集め、また一層吸引力を高めた掃除機とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本実施の形態にかかる深穴清掃・洗浄用の吸込用アダプターを示す長手方向に沿う向きの部分省略縦断面図。
図2】先端モジュールの分解斜視図。
図3】先端モジュールにおける外向き噴射孔から噴射されるエアーの流れを示す横断面図。
図4】筒状部の連結状態を示す分解斜視図。
図5】使用状態における先端部分を示す要部縦断面図。
図6】他の実施の形態にかかる吸込用アダプターを示す長手方向に沿う向きの部分省略縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照しながら、深穴清掃・洗浄用の吸込用アダプター10の実施の形態を具体的に説明する。図1は、本実施の形態にかかる深穴清掃・洗浄用の吸込用アダプター10(以下、単に吸込用アダプター10とする)を示す長手方向に沿う向きの部分省略縦断面図である。この実施の形態にかかる吸込用アダプター10は、円筒状に形成されて、清掃対象となる穴内に挿入される筒状部20と、異物の吸込み口32を備えて前記筒状部20の先端側に設けられる先端モジュール30と、吸い込んだ異物の排出口42を備えて前記筒状部20の後端側に設けられる後端モジュール40とで構成されている。
【0034】
前記筒状部20は、円筒形状の内筒21(第1筒状体21)と、当該内筒21(第1筒状体21)の外径よりも僅かに大きな内径で形成されると共に、内筒21(第1筒状体21)との間に空隙を確保して配置される円筒形状の外筒22(第2筒状体22)とからなり、これら内筒21と外筒22とは、軸方向の前端部に設けられた前側固定具34と、軸方向の後端部に設けられた後側固定具44とにより一体化されている。即ち前側固定具34及び後側固定具44は、内筒21の端部を収容する底部51と、外筒22の端部を収容する段部52とを備え、段部52が外筒22の端部に螺合することにより、内筒21と外筒22とを一体化している。
【0035】
これにより、内筒21と外筒22の間には、後述する外向き噴射孔31及び内向き噴射孔33から噴射させるエアーを通す噴射エアー用通気路24が確保されている。そして前側固定具34と後側固定具44には、軸方向に貫通する孔部53が形成されており、当該孔部53は前記噴射エアー用通気路24と連通している。その結果、当該筒状部20には、吸込み口32から吸い込んだエアー及び塵埃などの異物が通る通気路23が形成されると共に、噴射孔31,33から噴射させるエアーを通すが噴射エアー用通気路24が、内筒21と外筒22とからなる筒状部20の壁面内に形成されて、内外面における凹凸をなくすことができる。
【0036】
なお、この筒状部20を構成する内筒21(第1筒状体21)、外筒22(第2筒状体22)、前側固定具34、及び後側固定具44は、樹脂で形成する事も可能であるが、工事現場などで使用される場合には、耐久性を考慮して金属で形成されるのが望ましい。また、手に持って操作されるものであることから、十分な耐久性を確保した上で、可能な限り軽く形成されるのが望ましく、よってアルミニウムを用いて形成されるのが望ましい。
【0037】
上記のように構成された筒状部の先端側には、吸込み口32を備えた先端モジュール30が取り付けられる。この先端モジュール30は、前記筒状部と外径及び内径を揃えた円筒形状であって、その先端側には吸込み口32が開口している。また当該吸込み口32の近傍の外周面には、径方向外側に向かってエアーを噴射させる外向き噴射孔31が形成されている。また内周面には、後端側に向かってエアーを噴射させる内向き噴射孔33が形成されている。これら外向き噴射孔31及び内向き噴射孔33からは、前記筒状部の壁面内に確保された噴射エアー用通気路24から供給されたエアーが噴射され、よって、この先端モジュール30にも噴射エアーを通すための通気路(噴射エアー用通気路24)が形成されている。
【0038】
図2は先端モジュール30の分解図であり、この図に示す様に、本実施の形態では、先端部を内向きフランジ状に形成した筒体35の内部空間に、噴射エアーを通すための通気路(噴射エアー用通気路24)を形成するための内向き噴射孔形成筒36を収容している。この内向き噴射孔形成筒36は、先端側に外径を狭めた筒状部20であって、突出した外周面に切り欠き状の溝37を複数形成すると共に、内部に内向き噴射孔33を形成したものであり、これを筒体35内に収容する事により、溝37と筒体35の内周面の間に先端モジュール30にも噴射エアーを通すための通気路(噴射エアー用通気路24)が確保される。また、内向き噴射孔形成筒36において、外径を狭めた先端部分と筒体内周面の間にはエアー溜まり38が確保される。そして前記外向き噴射孔31は、このエアー溜まり38から後端側に向かって斜めに当該内向き噴射孔形成筒36を貫通している。
【0039】
図3は、この先端モジュール30における外向き噴射孔31から噴射されるエアーの流れを示す横断面図であり、本実施の形態における外向き噴射孔31は、渦を巻くようにエアーを噴射させるべく径方向(動径方向)よりも僅かに傾斜させている。これは外向き噴射孔31から噴射するエアーをサイクロン状に整える事により、乱流を生じさせることなく、清掃対象となる穴の内壁面を清掃し、これを吸込み口32まで導くことができるようにするためである。
【0040】
特に本実施の形態では噴射されるエアーの流れ方向が右ねじ方向の渦流を生じさせるように、当該外向き噴射孔31を右向きに傾斜させている。特に外向き噴射孔31から噴射されるエアーを右ねじ方向にすることにより、筒状部20内の通気路23も右ねじ方向のサイクロン流で流れる。その結果、後端モジュール40の排出口42に、バキューム装置等の掃除機につながるホースとしてサクションホースを使用した場合であっても、当該ホース内においてエアーの流れが乱れることなく、即ちホースのサクション部分による抵抗を減じた上で流れることができる。但し、サクションホースを使用しない場合、或いはサクションホース内におけるエアーの流れる向きを考慮しなければ、前記外向き噴射孔31は、左ねじ方向にエアーの流れを形成するように左向きに傾斜させても良い。
【0041】
前記後端モジュール40は、図1に示す様に、筒状部20の後端側、より具体的には後側固定具44に羅着されており、前記噴射エアーを通すための通気路(噴射エアー用通気路24)にエアーを導入する噴射エアー導入口41と、吸込み口32から吸い込まれて通気路を通ってきたエアーを排出する排出口42とを備えて構成されている。本実施の形態において、当該後端モジュール40は、噴射エアー導入口41と後側固定具44に羅着する羅着部43を備えると共に、後端側に向かって段状に拡径した外側部材45と、この外側部材45の中空部分に漏斗状部分を存在させると共に、当該漏斗状部分の後端側に存在する筒状部を前記外側部分の後端に突出させている内側部材46とで構成しており、両者はボルト47によって一体化されている。このように形成した後端モジュール40では、噴射エアー導入口41から導入されたエアーは、内側部材46の漏斗状部分と外側部材45の内周面とで区画される空間内に導入され、前記羅着部43を軸方向に貫通する孔を通って、筒状部20の通気路(噴射エアー用通気路24)に案内される。また、内側部材46において外側部材45よりも後端側に突出している筒状部には、集塵機等に案内する為のホース(サクションホース等)を接続する他、吸引した塵埃を収容する吸塵袋などを取り付けることができる。その結果、吸引した塵埃が作業空間内に拡散する事による作業環境の悪化を解消することができる。
【0042】
以上の様に、本実施の形態にかかる吸込用アダプター10は、先端モジュール30と、筒状部と、後端モジュール40とで構成している。そして筒状部先端側の先端モジュール30との連結構造、及び筒状部後端側の後端モジュール40との連結構造とは共通の構造とすることにより、図4の筒状部の連結状態を示す分解斜視図に示す様に、清掃する穴の深さ又は長さに合わせて、筒状部20を連結して使用することができる。この時、上記の様に内筒21(第1筒状体21)と外筒22(第2筒状体22)との間に噴射エアー用通気路24を形成することにより、筒状部20同士を羅着によって結合しても、当該噴射エアー用通気路24の位置合わせを不要とすることができる。
【0043】
図5は、使用状態における先端部分を示す要部縦断面図である。この図に示す様に、筒状部の内筒21と外筒22の間の隙間(噴射エアー用通気路24)を通り、前側固定具34の孔部を通って供給されたエアーは、内向き噴射孔形成筒36に形成された溝37と筒体35の内周面の間に形成された噴射エアー用通気路24を通り、その先に確保されたエアー溜まり38に到達する。そしてこのエアー溜まり38の内のエアーは、外向き噴射孔31から径方向外側に向かって放出され、清掃対象となる穴の内壁面に付着しているコンクリートの削り粉等の異物を吹き飛ばす。そして吹き飛ばされた異物は、エアーの流れに従って、吸込み口32に向かって流れる。この時、前記エアー溜まり38内のエアーは内向き噴射孔33から、通気路23内に、排出口42に向かって噴射される。その結果、当該吸込み口32の近傍のエアーは通気路23内に吸い込まれることになる。よって、外向き噴射孔31から噴射されたエアーにより吹き飛ばされた塵埃は、そのまま吸込み口32まで案内され、清掃対象となっている穴の開口側に向かうことはない。よって、清掃が終わった穴の内壁面に、再び塵埃が付着してしまうといった不都合を解消することができ、清掃時間を大幅に短縮することができる。
【0044】
また、本実施の形態において、外向き噴射孔31は、先端モジュール30における先端の下縁部分に設けられており、先端側に向かって傾斜する向きにエアーを噴出させるように構成している。その結果、清掃対象となる穴の底面における角部分に堆積した塵埃も吹き飛ばすことができ、穴の側面及び底面の全体を清掃することのできる吸込用アダプター10が実現している。
【0045】
なお、この外向き噴射孔31の形成個数や開口径、及び内向き噴射孔33の形成個数や開口径は、吸引する異物の質量や大きさ、或いは穴の内壁面に対する付着の程度により適宜調整することができる。例えば、吸引する異物の質量が大きい場合には、内向き噴射孔33から噴射するエアーの噴射量を、外向き噴射孔31から噴射するエアーの噴射量よりも多くすることが望ましい。また穴の内壁面に対する塵埃などの異物の付着力が強い場合には、外向き噴射孔31から噴射させるエアーの風量を多くするか、或いは当該外向き噴射孔31の開口径を1〜2mm程度に小さく絞り、勢いよくエアーを噴射させることが望ましい。
【0046】
図6は他の実施の形態にかかる吸込用アダプター10を示す長手方向に沿う向きの部分省略縦断面図である。この図に示す吸込用アダプター10は、通気路23内に、軸方向両端側が窄んだ形状であって、且つエゼクタ効果を生じさせるスロート部61を形成するニードル60を設けて構成している。そして、前記内向き噴射孔33は、このニードル60において縮径により窄み部分を形成している傾斜面62に沿う向きにエアーを噴射させるように構成している。その結果、スロート部61よりも下流側におけるエアーの流量が増加され、これにより吸込み口32から吸い込まれるエアーの流量を大幅に増加させて、吸引力を高めることができる。
【0047】
この実施の形態にかかる吸込用アダプター10では、通気路23にニードル60を設置する事から、吸引力を高めることができる反面で、自ずと筒状部20の内径および外径が大きくならざるを得ない。そこで、当該ニードル60を設置するのは、筒状部の内径(通気路)が約4cm以上確保できる場合、即ち清掃する穴の内径が5cm以上の場合において有効である。これに対して、前記図1に示したような吸込用アダプター10であれば、ニードル60を設置していない事から、より小さい内径の孔、例えば内径3cm程度の穴であっても清掃する事が可能である。
【0048】
また、この図6に示す実施の形態にかかる吸込用アダプター10では、二重構造にすることにより、噴射エアーを通すための通気路(噴射エアー用通気路24)を形成する内筒21(第1筒状体21)と外筒22(第2筒状体22)は、先端モジュール30と後端モジュール40とで、直接保持している。即ち、内筒21の先端部は、内向き噴射孔形成筒36の後端部を収容することで固定されており、また外筒22の先端部は当該内向き噴射孔形成筒36を収容する筒体35と羅着されて固定されている。一方で、当該外筒22の後端部は、噴射エアー導入口41が設けられた外側部材45に羅着する事で固定されており、内筒21の後端部は、当該外側部材45内に羅着されて、当該外側部材45よりも後端側に突出している内側部材46の先端側を収容する事で固定されている。よって、この実施の形態においては、複数の筒状部20を継ぎ足して使用することはできないが、必要があれば前記図1及び図4に示した構造を採用して、継ぎ足し自在にする事もできる。
【0049】
以上のように構成した、図6に示した吸込用アダプター10によれば、各噴射孔31,33から噴射されるエアーが、噴射エアー導入口41から供給される。このエアーは、そのまま内筒21と外筒22の間に存在する噴射エアー用通気路24を通って先端モジュール30に到達し、内向き噴射孔形成筒36の外周に形成された溝37を通ってエアー溜まり38に到達し、内向き噴射孔33及び外向き噴射孔31から放出される。そして外向き噴射孔31から放出されたエアーは、清掃対象である穴の内壁面に付着した削り粉等を吹き飛ばす。吹き飛ばされた削り粉は、吸込み口32から通気路23内に侵入する。この時、内向き噴射孔33から噴射されたエアーは、ニードル60における縮径する傾斜面62に沿ってエゼクタ効果を高めるように作用することから、吸込み口32における吸引力は大幅に増大される。そして筒状部20内の通気路23を移動したエアーや削り子、或いは礫などは、排出口42から排出される。この排出口42にも、必要に応じて吸塵器や吸塵袋、或いは掃除機に連結することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明にかかる深穴清掃・洗浄用の吸込み用アダプターは、工事現場等においてコンクリートに穿った穴、例えばアンカー埋め込み穴を清掃・洗浄する為に利用することができ、更に機械加工などにおいて形成した工作対象物に穿った穴を清掃・洗浄する為に使用することができる。
【0051】
即ち、本発明にかかる深穴清掃・洗浄用の吸込み用アダプターは、何れかの産業に限定して利用可能なものでは無く、穴を清掃乃至は洗浄する場合において、産業を問わず広く利用する事ができる。
【符号の説明】
【0052】
10:吸込用アダプター、 20:筒状部、 21:内筒(第一筒状体)、 22:外筒(第二筒状体)、 23:通気路、 24:噴射エアー用通気路、 30:先端モジュール、 31:外向き噴射孔、 32:吸込み口、 33:内向き噴射孔、 34:前側固定具、 35:筒体、 36:噴射孔形成筒、 37:溝、 40:後端モジュール、 41:噴射エアー導入口、 42:排出口、 43:羅着部、 44:後側固定具、 45:外側部材、 46:内側部材、 47:ボルト、 51:底部、 52:段部、 53:孔部、 60:ニードル、 61:スロート部
62 傾斜面
図1
図2
図3
図4
図5
図6